以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。実施形態としては、1台の室外機に9台の室内機が並列に接続され、冷房運転あるいは暖房運転が行える空気調和装置を例に挙げて説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。例えば、室内機の台数は、2台以上であれば9台以外でもよい。
まず、実施例1として、室内機配管に遮断弁を設ける態様について説明する。
<空気調和装置の全体構成>
図1は、本発明の実施例1に係る、空気調和装置の説明図であり、(A)は冷媒回路図、(B)は室外機制御部および室内機制御部のブロック図である。図1(A)に示すように、本実施例に係る空気調和装置1は、屋外に設置される1台の室外機2と、室内に設置され、室外機2に液管8a、8b、・・・、8iおよびガス管9で並列に接続された9台の室内機5a~5iを備える。
詳細には、液管8aの一端が、遮断弁7a、液分管47aおよび分岐部7uを介して、室外機2の液側閉鎖弁25に、他端が、室内機5aの液管接続部53aにそれぞれ接続されている。また、液管8bの一端が、遮断弁7b、液分管47bおよび分岐部7uを介して、室外機2の液側閉鎖弁25に、他端が、室内機5bの液管接続部53bにそれぞれ接続されている。他の液管8c~8iについても同様に、液管8c~8iの一端が、遮断弁7c~7i、液分管47c~47iおよび分岐部7uを介して、室外機2の液側閉鎖弁25に、他端が、室内機5c~5iの液管接続部53c~53iにそれぞれ接続されている。
また、ガス管9の一端が室外機2のガス側閉鎖弁26に、他端が分岐して室内機5a~5iのガス管接続部54a~54iにそれぞれ接続されている。以上により、空気調和装置1の冷媒回路100が形成される。
尚、図1(A)では、9台の室内機5a~5iのうち、室内機5a、室内機5b、および、室内機5iのみを示している。また、上記冷媒回路100には、HFO1234yf、R32、あるいはこれらを含む混合冷媒等の、GWPが低い可燃性冷媒が用いられる。そして、以下に説明する室外機2および9台の室内機5a~5iは、各々が可燃性冷媒に対応するように設計されたものである。つまり、空気調和装置1は、元々はR410A等の不燃性冷媒に対応した室外機(以降、旧室外機と記載)と9台の室内機(以降、旧室内機と記載)が液管8a~8iおよびガス管9で接続されて構成されていたものから、可燃性冷媒に対応し各々の能力は旧室外機および旧室内機と同じである室外機2と9台の室内機5a~5iに置き換え、液管8a~8iおよびガス管9を流用して室外機2と9台の室内機5a~5iを接続した冷媒回路100に可燃性冷媒を充填したものである。
旧室外機を室外機2に置き換えるとともに9台の旧室内機を室内機5a~5iに置き換えて可燃性冷媒を冷媒回路100に充填するときは、その充填量が旧冷媒を使用していたときより少なくなる場合がある。これは、IEC60335-2-40やISO5149といった規格で、不燃性冷媒に比べて可燃性冷媒や微燃性冷媒の許容される充填量(以降、最大充填量と記載)が少なくなるためである。この最大充填量は、例えば、ISO5149では、換気扇やガス漏れセンサを設置する等の部屋における冷媒濃度の管理に対する手当を行っていれば、部屋の大きさに関わらず許容される充填量として定められているものが該当し、不燃性冷媒では冷媒の種類によらず150kgであるのに対し、可燃性冷媒や微燃性冷媒では各冷媒の発火下限濃度に応じた量とされ、一例としてR32冷媒では約60kgとされている。
このため、空気調和装置1が旧室外機と9台の旧室内機で構成されて旧冷媒を用いていたときは、各室内機において各室内機の最大能力が要求されても、各室内機で要求された最大能力を合算した能力が発揮できる冷媒充填量とされていたものをリプレイスにより可燃性冷媒あるいは微燃性冷媒に置き換えると、規制充填量まで充填しても旧冷媒と比べて充填量が少なくなって各室内機で最大能力を発揮できない恐れがある。例えば、全ての旧室内機で最大能力が要求された場合の合計要求能力を100としたときに、この合計要求能力より最大充填量と規制充填量の差分の冷媒充填量の分だけ低い合計要求能力(例えば80)しか発揮できない。
<室外機の構成>
まずは、室外機2について説明する。室外機2は、圧縮機21と、四方弁22と、室外熱交換器23と、室外膨張弁24と、各液管8a~8iの一端が接続された液側閉鎖弁25と、ガス管9の一端が接続されたガス側閉鎖弁26と、アキュムレータ28と、室外ファン27を備えている。そして、室外ファン27を除くこれら各装置が以下で詳述する各冷媒配管で相互に接続されて、冷媒回路100の一部をなす室外機冷媒回路20を構成している。
圧縮機21は、インバータにより回転数が制御される図示しないモータによって駆動されることで、運転容量を可変できる能力可変型圧縮機である。圧縮機21の冷媒吐出側は、後述する四方弁22のポートaに吐出管41で接続されており、また、圧縮機21の冷媒吸入側は、アキュムレータ28の冷媒流出側に吸入管42で接続されている。
四方弁22は、冷媒の流れる方向を切り換えるための弁であり、a、b、c、dの4つのポートを備えている。ポートaは、上述したように圧縮機21の冷媒吐出側に吐出管41で接続されている。ポートbは、室外熱交換器23の一方の冷媒出入口に冷媒配管43で接続されている。ポートcは、アキュムレータ28の冷媒流入側に冷媒配管46で接続されている。そして、ポートdは、ガス側閉鎖弁26に室外機ガス管45で接続されている。
室外熱交換器23は、冷媒と、後述する室外ファン27の回転により室外機2の内部に取り込まれた外気を熱交換させるものである。室外熱交換器23の一方の冷媒出入口は、上述したように四方弁22のポートbに冷媒配管43で接続され、他方の冷媒出入口は室外機液管44で液側閉鎖弁25に接続されている。
室外膨張弁24は室外機液管44に設けられている。室外膨張弁24は電子膨張弁であり、空気調和装置1が暖房運転を行っている場合すなわち室外熱交換器23が蒸発器として機能する場合は、後述する吐出温度センサ33で検出した圧縮機21の吐出温度に応じてその開度が調整されることで、吐出温度が性能上限値を超えないようにしている。また、空気調和装置1が冷房運転を行っている場合すなわち室外熱交換器23が凝縮器として機能する場合は、その開度が全開とされる。
室外ファン27は樹脂材で形成されており、室外熱交換器23の近傍に配置されている。室外ファン27は、図示しないファンモータによって回転することで図示しない吸込口から室外機2の内部へ外気を取り込み、室外熱交換器23において冷媒と熱交換した外気を図示しない吹出口から室外機2の外部へ放出する。
アキュムレータ28は、上述したように、冷媒流入側が四方弁22のポートcに冷媒配管46で接続されるとともに、冷媒流出側が圧縮機21の冷媒吸入側に吸入管42で接続されている。アキュムレータ28は、冷媒配管46からアキュムレータ28の内部に流入した冷媒をガス冷媒と液冷媒に分離してガス冷媒のみを圧縮機21に吸入させる。
以上説明した構成の他に、室外機2には各種のセンサが設けられている。図1(A)に示すように、吐出管41には、圧縮機21から吐出される冷媒の圧力を検出する吐出圧力センサ31と、圧縮機21から吐出される冷媒の温度を検出する吐出温度センサ33が設けられている。冷媒配管46におけるアキュムレータ28の冷媒流入口近傍には、圧縮機21に吸入される冷媒の圧力を検出する吸入圧力センサ32と、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を検出する吸入温度センサ34が設けられている。
室外機液管44における室外熱交換器23と室外膨張弁24との間には、室外熱交換器23に流入する冷媒の温度あるいは室外熱交換器23から流入する冷媒の温度を検出するための熱交温度センサ35が設けられている。そして、室外機2の図示しない吸込口付近には、室外機2の内部に流入する外気の温度、すなわち外気温度を検出する外気温度センサ36が備えられている。
また、室外機2には、室外機制御部200が備えられている。室外機制御部200は、室外機2の図示しない電装品箱に格納されている制御基板に搭載されている。図1(B)に示すように、室外機制御部200は、CPU210と、記憶部220と、通信部230と、センサ入力部240とを備えている。
記憶部220は、ROMやRAMで構成されており、室外機2の制御プログラムや各種センサからの検出信号に対応した検出値、圧縮機21や室外ファン27の制御状態等を記憶している。通信部230は、室内機5a~5cとの通信を行うインターフェイスである。センサ入力部240は、室外機2の各種センサでの検出結果を取り込んでCPU210に出力する。
CPU210は、前述した室外機2の各センサでの検出結果をセンサ入力部240を介して取り込む。また、CPU210は、室内機5a~5iから送信される後述する制御信号を通信部230および電気配線10を介して取り込む。CPU210は、取り込んだ検出結果や制御信号に基づいて、圧縮機21や室外ファン27の駆動制御を行う。また、CPU210は、取り込んだ検出結果や制御信号に基づいて、四方弁22の切り換え制御を行う。さらには、CPU210は、取り込んだ検出結果や制御信号に基づいて、室外膨張弁24の開度調整を行う。
<室内機の構成>
次に、9台の室内機5a~5iについて説明する。9台の室内機5a~5iは、室内熱交換器51a~51iと、室内膨張弁52a~52iと、分岐した液管8a~8iの他端が接続された液管接続部53a~53iと、分岐したガス分管9a~9cの他端が接続されたガス管接続部54a~54iと、室内ファン55a~55iを備えている。そして、室内ファン55a~55iを除くこれら各装置が以下で詳述する各冷媒配管で相互に接続されて、冷媒回路100の一部をなす室内機冷媒回路50a~50iを構成している。
以下に、9台の室内機5a~5iの構成について詳細に説明する。尚、室内機5a~5iは全て構成が同じであるため、以下の説明では室内機5aを例に挙げて詳細な説明を行い、その他の室内機5b~5iについては詳細な説明を省略する。また、図1では、室内機5aの構成装置に付与した番号の末尾をaからb~iにそれぞれ変更したものが、室内機5aの構成装置と対応する室内機5b~5iの構成装置となる。
室内熱交換器51aは、冷媒と、後述する室内ファン55aの回転により図示しない吸込口から室内機5aの内部に取り込まれた室内空気を熱交換させるものであり、一方の冷媒出入口が液管接続部53aに室内機液管71aで接続され、他方の冷媒出入口がガス管接続部54aに室内機ガス管72aで接続されている。室内熱交換器51aは、室内機5aが冷房運転を行う場合は蒸発器として機能し、室内機5aが暖房運転を行う場合は凝縮器として機能する。尚、液管接続部53aやガス管接続部54aは、各冷媒配管が溶接やフレアナット等により接続されている。
室内膨張弁52aは、室内機液管71aに設けられている。室内膨張弁52aは電子膨張弁であり、室内熱交換器51aが蒸発器として機能する場合すなわち室内機5aが冷房運転を行う場合は、その開度は、室内熱交換器51aの冷媒出口(ガス管接続部54a側)での冷媒過熱度が目標冷媒過熱度となるように調整される。また、室内膨張弁52aは、室内熱交換器51aが凝縮器として機能する場合すなわち室内機5aが暖房運転を行う場合は、その開度は、室内熱交換器51aの冷媒出口(液管接続部53a側)での冷媒過冷却度が目標冷媒過冷却度となるように調整される。ここで、目標冷媒過熱度や目標冷媒過冷却度とは、室内機5aで十分な冷房能力あるいは暖房能力を発揮するのに必要な冷媒過熱度および冷媒過冷却度である。尚、室内膨張弁52aは、ステッピングモータにパルス信号を加えることで動作するものとしてもよい。また、ステッピングモータに加えるパルス信号のパルス数で膨張弁の開度が設定されるものとしてもよい。
室内ファン55aは樹脂材で形成されており、室内熱交換器51aの近傍に配置されている。室内ファン55aは、図示しないファンモータによって回転することで、図示しない吸込口から室内機5aの内部に室内空気を取り込み、室内熱交換器51aにおいて冷媒と熱交換した室内空気を図示しない吹出口から室内へ放出する。
以上説明した構成の他に、室内機5aには各種のセンサが設けられている。室内機液管71aにおける室内熱交換器51aと室内膨張弁52aとの間には、室内熱交換器51aに流入あるいは室内熱交換器51aから流出する冷媒の温度を検出する液側温度センサ61aが設けられている。室内機ガス管72aには、室内熱交換器51aから流出あるいは室内熱交換器51aに流入する冷媒の温度を検出するガス側温度センサ62aが設けられている。室内機5aの図示しない吸込口付近には、室内機5aの内部に流入する室内空気の温度、すなわち吸込温度を検出する吸込温度センサ63aが備えられている。
また、室内機5aには、室内機制御部400aが備えられている。室内機制御部400aは、室内機5aの図示しない電装品箱に格納された制御基板に搭載されており、図1(B)に示すように、CPU410aと、記憶部420aと、通信部430aと、センサ入力部440aを備えている。
記憶部420aは、ROMやRAMで構成されており、室内機5aの制御プログラムや各種センサからの検出信号に対応した検出値、使用者による空調運転に関する設定情報等を記憶する。通信部430aは、室外機2および他の室内機5b、5cとの通信を行うインターフェイスである。センサ入力部440aは、室内機5aの各種センサでの検出結果を取り込んでCPU410aに出力する。
CPU410aは、前述した室内機5aの各センサでの検出結果をセンサ入力部440aを介して取り込む。また、CPU410aは、使用者が図示しないリモコンを操作して設定した運転情報やタイマー運転設定等を含んだ信号を図示しないリモコン受光部を介して取り込む。また、CPU410aは、運転開始/停止信号や運転情報(要求能力や設定温度、室内温度等)を含んだ制御信号を、通信部430aおよび電気配線10を介して室外機2に送信するとともに、室外機2が検出した吐出圧力等の情報を含む制御信号を通信部430aおよび電気配線10を介して室外機2から受信する。CPU410aは、取り込んだ検出結果やリモコンおよび室外機2から送信された信号に基づいて、室内膨張弁52aの開度調整や、室内ファン55aの駆動制御を行う。
尚、以上説明した室外機制御部200と室内機制御部400a~400iとで、本発明の制御部が構成される。
<空気調和装置の基本動作>
次に、本実施例に係る空気調和装置1の空調運転時の冷媒回路100における冷媒の流れや各部の動作について、図1(A)を用いて説明する。尚、以下の説明では、空気調和装置1が冷房運転を行う場合でありかつ全ての室内機5a~5iが運転する場合について説明し、暖房運転を行う場合については詳細な説明を省略する。また、図1(A)における矢印は冷房運転時の冷媒の流れを示している。
図1に示すように、空気調和装置1が冷房運転を行う場合、室外機制御部200のCPU210は、四方弁22を実線で示す状態、すなわち、四方弁22のポートaとポートbが連通するよう、また、ポートcとポートdが連通するよう、切り換える。これにより、冷媒回路100は、室外熱交換器23が凝縮器として機能するとともに室内熱交換器51a~51iが蒸発器として機能する冷房サイクルとなる。
圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、吐出管41を流れて四方弁22に流入し、四方弁22から冷媒配管43を流れて室外熱交換器23に流入する。室外熱交換器23に流入した冷媒は、室外ファン27の回転により室外機2の内部に取り込まれた外気と熱交換を行って凝縮する。室外熱交換器23から室外機液管44に流出した冷媒は、室外膨張弁24および液側閉鎖弁25を介して液管8a~8iに流出する。流出した冷媒は、分岐部7uにより分岐された後、液分管47a~47iを介して遮断弁7a~7iに達する。室内機5a~5iの運転中は、遮断弁7a~7iが開放されているため、冷媒は、遮断弁7a~7iを通過する。
液管8a~8iを流れる冷媒は液管接続部53a~53iを介して室内機5a~5iに流入する。室内機5a~5iに流入した冷媒は室内機液管71a~71iを流れ、室内膨張弁52a~52iを通過して減圧される。減圧された冷媒は室内熱交換器51a~51iに流入し、室内ファン55a~55iの回転により室内機5a~5iの内部に取り込まれた室内空気と熱交換を行って蒸発する。このように、室内熱交換器51a~51iが蒸発器として機能し、室内熱交換器51a~51iで冷媒と熱交換を行った室内空気が図示しない吹出口から室内に吹き出されることによって、室内機5a~5iが設置された室内の冷房が行われる。
室内熱交換器51a~51iから流出した冷媒は室内機ガス管72a~72iを流れ、ガス管接続部54a~54iを介してガス管9に流出する。ガス管9を流れてガス側閉鎖弁26を介して室外機2に流入した冷媒は、室外機ガス管45、四方弁22、冷媒配管46、アキュムレータ28、吸入管42の順に流れ、圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
尚、空気調和装置1が暖房運転を行う場合、CPU210は、四方弁22を破線で示す状態、すなわち、四方弁22のポートaとポートdが連通するよう、また、ポートbとポートcが連通するように切り換える。これにより、冷媒回路100は、室外熱交換器23が蒸発器として機能するとともに各室内機5a~5iの室内熱交換器51a~51iが凝縮器として機能する暖房サイクルとなる。
ところで、空気調和装置1が冷房運転あるいは暖房運転を行うときは、各室内機5a~5iにおいて、室内機制御部400a~400iのCPU410a~410iは、使用者が決定した設定温度と吸込温度センサ63a~63iで検出しセンサ入力部440a~440iを介して取り込んだ室内温度の温度差を算出し、この温度差に基づく各室内機5a~5iの要求能力を通信部430a~430iを介して室外機2に送信する。
一方、通信部230を介して各室内機5a~5iの要求能力を受信した室外機制御部200のCPU210は、各室内機5a~5iの要求能力の合算値である合計要求能力を算出し、算出した合計要求能力を達成するのに必要な量の冷媒を冷媒回路100に循環させるための圧縮機21の回転数を決定する。そして、CPU210は、決定した回転数で圧縮機21を駆動制御する。
<実施例1に係る室内機制御処理>
次に、実施例1における、冷媒不足時および冷媒過剰時の処理について説明する。なお、本実施形態のようなマルチ型空気調和装置においては、冷媒密度の高い液相の冷媒が存在する部分の容積が大きくなる冷房運転時に多くの冷媒を要する。したがって、冷媒不足が発生するのは冷房運転時であり、以下に説明する冷媒不足時の処理、および、その結果発生しうる冷媒過剰時の処理は、冷房運転時に行うものである。
図2は、本発明の実施例1に係る、冷媒過剰解消制御および冷媒不足解消制御を実施した時の室内機の状態遷移を示す図である。図2の左側には、室内機に関して、“運転室内機”、“停止室内機(標準停止)”、“停止機室内機(遮断停止)”の3つの状態があることを示すとともに、各種の冷媒過剰解消制御および冷媒不足解消制御を実施することにより、それぞれがどのように状態遷移するかを示している。また、図2の右側には、左側に示した室内機の状態に対応して、遮断弁および室内膨張弁の開閉状態と、各部に分布する冷媒の状態を示している。
図2において、冷媒量αは、現在の凝縮圧力、蒸発圧力、室外機SC量で、室内機が運転している場合に、液配管および室内熱交換器に存在していると考えられる冷媒量であり、冷媒量βは、現在の凝縮圧力、室外機SC量で室内機が運転している場合に、液配管に存在していると考えられる冷媒量である。従って、室内熱交換器に存在すると考えられる冷媒量は、冷媒量α-βと定義することができる。また、運転室内機は、対応する遮断弁が開放され、室内膨張弁が所定の制御条件に応じて流量調整されており、室内ファンが運転している状態であり、標準停止状態にある停止室内機は、対応する遮断弁が開放され、室内膨張弁が閉鎖され、室内ファンが停止している状態であり、遮断停止状態にある停止室内機は、対応する遮断弁が閉鎖され、室内膨張弁が開放され、室内ファンが停止している状態である。CPU210は、冷媒過剰時の処理として3つの冷媒過剰解消制御、すなわち過剰時制御A~過剰時制御Cのいずれかを行う。また、冷媒不足時の処理として3つの冷媒不足解消制御、すなわち不足時制御A~不足時制御Cのいずれかを行う。
例えば、冷媒不足時の制御処理の内、図2の不足時制御Aでは、室外機制御部200のCPU210は、標準停止状態にある停止室内機に対応する遮断弁を閉鎖、かつ、室内膨張弁を開放、すなわち遮断停止状態とさせることで、冷媒量βを運転室内機に循環させ、冷媒不足を解消する処理を実行する。また、図2の不足時制御Bでは、CPU210は、運転室内機に対応する遮断弁を閉鎖、かつ、室内膨張弁を開放、すなわち遮断停止させることで、冷媒量αを他の運転室内機に循環させ、冷媒不足を解消する処理を実行する。更に、図2の不足時制御Cでは、CPU210は、運転室内機に対応する遮断弁を開放したまま、室内膨張弁を閉鎖、すなわち標準停止させることで、冷媒量α-βを他の運転室内機に循環させ、冷媒不足を解消する処理を実行する。
上記不足時制御Bおよび不足時制御Cの制御処理は、室内機の運転を強制的に停止させる制御であり、強制停止された室内機では、対応する室内機アドレスの室内機5a~5iが強制停止されたことを示す「強制停止フラグ」がONになる。
一方、冷媒過剰時の制御処理の内、図2の過剰時制御Aでは、室外機制御部200のCPU210は、遮断停止状態にある停止室内機に対応する遮断弁を開放、かつ、室内膨張弁を閉鎖、すなわち標準停止状態とさせることで、運転室内機を循環する冷媒の一部を液配管に冷媒量βだけ分布させ、冷媒過剰を解消する処理を実行する。また、図2の過剰時制御Bでは、CPU210は、遮断停止状態にある停止室内機に対応する遮断弁を開放し、運転を開始させることで、運転室内機を循環する冷媒の一部を液配管および室内熱交換器に冷媒量αだけ分布させ、冷媒過剰を解消する処理を実行する。更に、図2の過剰時制御Cでは、CPU210は、標準停止状態にある停止室内機の運転を開始させ、運転室内機を循環する冷媒の一部を室内熱交換器に冷媒量α-βだけ分布させ、冷媒過剰を解消する処理を実行する。
但し、上記過剰時制御Bおよび過剰時制御Cの制御処理は、上記不足時制御Bおよび不足時制御Cの制御処理により強制的に運転を停止された室内機(強制停止フラグONの室内機)に限り、実行される。従って、例えば、リモコン等を介して、使用者によって停止を指示されている室内機は制御対象としない。
図3は、本発明の実施例1に係る、冷媒の過不足状態を判定する処理を示すフローチャートである。まずS1では、室外機制御部200のCPU210は、冷媒状態検出条件が成立しているか否かを判定する。CPU210は、例えば、吐出圧力飽和温度および吸入圧力飽和温度の変動≦2deg/10s、かつ、すべての運転室内機において室内機出口SH-目標SH≦1の条件が成立するか否かを判定する。そして、成立する場合(S1;Yes)は、S2の処理を実行し、成立しない場合(S1;No)は、S1の判定を繰り返す。ここで、吐出圧力飽和温度は、吐出圧力センサ31で検出した吐出圧力を飽和温度に換算した値、吸入圧力飽和温度は、吸入圧力センサ32で検出した吸入圧力を飽和温度に換算した値であり、いずれも冷媒の物性によって決まる。室内機出口SHは、室内機のガス側温度センサ62a~62iで検出した温度から、それぞれに対応する液側温度センサ61a~61iで検出した温度を減じた値である。目標SHは、室内熱交換器51a~51iを通過した冷媒がすべて蒸発し、ガス相になったと判断できる値であり、例えば2degである。
ここで、空気調和装置1が運転を開始した時や運転室内機の台数が大きく変動した直後などは、運転室内機の冷媒循環量が変動し、吐出圧力および吸入圧力が変動するとともに、室内機出口SHと目標SHとに隔たりが生じる。この時、運転室内機の室内膨張弁は、室内機出口SHが目標SHになるように開度を調整する。この調整の結果、室内機出口SHが目標SHに近づき、室内膨張弁の開度の調整が安定すると、吐出圧力や吸入圧力の変動が抑えられ、上記の条件が成立する。この時、運転室内機の冷媒循環量が安定したと判定することができる。これにより、後述のS2において、冷媒の状態を正しく検出することができ、後述のS3において、冷媒の推定過不足量をより正確に決定できる。
次に、CPU210は、現在の凝縮圧力、蒸発圧力、室外機SC量を検出し(S2)、該検出の結果に基づき、推定過不足量と、各室内機5a~5iの運転情報を更新する(S3)。これらの情報は、室外機制御部200の記憶部220に更新可能に格納される。なお、凝縮圧力は、吐出圧力センサ31により検出した圧力であり、蒸発圧力は、各室内機5a~5iの液側温度センサ61a~61iにより検出した温度を飽和圧力換算した圧力であり、室外機SC量は、凝縮圧力の飽和温度から、熱交温度センサ35で検出した温度を減じた値である。推定過不足量は、室外機SC量に対応付けられ、運転室内機を循環する冷媒が、適正量に対してどれだけ過剰または不足しているかを表す量である。
以下、図4~図6を参照しながら、この更新処理について詳細に説明する。まず、図4および図5を参照しながら、推定過不足量の更新処理について説明する。図4は、本発明の実施例1に係る、冷媒量の過不足を判定するための冷媒過不足情報テーブルの一例を示す図である。図4の冷媒過不足情報テーブルT1において、室外機SC量の範囲に対応して運転室内機を循環する冷媒量の過不足状態(“過剰”、“適正”、“不足”)と、過不足ゾーンがあらかじめ格納されている。ここで、過不足ゾーンは、室外機SC量によって決定される運転室内機を循環する冷媒量の過剰または不足の程度によって分割されるゾーンであり、後述する操作室内機の選定に使用される。なお、この対応関係は凝縮圧力によって異なるものであり、冷媒過不足情報テーブルT1は、凝縮圧力が3.0MPaGのときの例である。
“適正”と対応付けられる室外機SC量の範囲は、あらかじめ試験等によって定められた値であり、下限値は、室内機の能力の低下が許容されると確認できている値であり、上限値は、圧縮機の吐出圧力の上昇により信頼性が低下しないと確認できている値である。また、運転室内機を循環する冷媒量が“過剰”および“不足”の場合における過不足ゾーンは、任意の室外機SC量の範囲に対応して格納されるものであり、冷媒過不足情報テーブルT1では各3つのゾーンに分割されているが、これに限らない。
CPU210は、空気調和装置1の施工者によって入力された室内機5a~5i設置時の配管レイアウト情報(例えば、接続配管の内径、配管長)に基づいて、接続配管各部の管内容積(流路断面積×長さ)を算出する。CPU210は、凝縮圧力と室外機SC量とに応じた液冷媒密度情報を保持しており、これに液相部分の管内容積を乗じることで、凝縮圧力および室外機SC量に応じた液相部分の冷媒量(液相冷媒量)を算出する。なお、液相部分とは、循環する冷媒が室外熱交換器23で凝縮されて液相の状態で存在している冷媒回路100の部分のことであり、すなわち、運転室内機を循環する冷媒量が適正である時に室外熱交換器23内が液相になっている部分(あらかじめ試験等によって定められる)と、室外機出口から遮断弁前までの共用配管部と、運転室内機および停止室内機(標準停止)の液配管(遮断弁~室内膨張弁)である。共用配管部と、運転室内機および停止室内機(標準停止)の液配管の管内容積は、上記で算出した接続配管各部の管内容積から、該当する部分の管内容積を参照することで求められる。
図5は、本発明の一実施形態における、推定過不足量の算出方法を説明するための図である。上記した凝縮圧力および室外機SC量に応じた液相冷媒量は、図5に格納される。図4の冷媒過不足情報テーブルT1において、冷媒量“過剰”に対応する推定過不足量を算出する場合、室外機SC量の範囲の上限値に関して図5のテーブルを参照する。一方、冷媒量“不足”に対応する推定過不足量を算出する場合、室外機SC量の範囲の下限値に関して図5のテーブルを参照する。例えば、冷媒量“不足”の過不足ゾーンYに対応する室外機SC量の範囲は2以上4未満であるので、下限値の2に関して図5のテーブルを参照する。図5に示す様に、例えば、現在の凝縮圧力が3.0MPaGの場合、室外機SC量が2の時の液相冷媒量はaであり、室外機SC量の適正値が7degであるとすると、室外機SC量が最適値である時の液相冷媒量はbである。そして、推定過不足量は、b-aの絶対値|b-a|で算出される。以上のようにして、冷媒過不足情報テーブルT1の推定過不足量が決定され、推定過不足量の更新処理が完了する。
ここで、室内膨張弁は、上記のように、室内機出口SHが目標SHになるように開度を調整している。言い換えれば、室内膨張弁は、室内膨張弁から圧縮機吸入までの低圧部分の冷媒の状態を一定にする制御を行っている。そのため、運転室内機を循環する冷媒量に過不足がある時、冷媒量が適正な場合に対して、高圧部分の冷媒の状態、すなわち凝縮圧力や室外機SC量に差が現れる。ここで、冷媒の密度は、凝縮過程である二相冷媒の密度に対して、凝縮後である液相冷媒の密度の方が高い。また、管内容積も、凝縮過程である室外熱交換器の管内容積(出口付近を除く)に対して、凝縮後である室外熱交換器の出口付近から液配管までの管内容積の方が大きい。したがって、高圧部分に分布する冷媒量は、液相部分に存在する冷媒量が大部分を占める。そのため、冷媒の過不足は、液相部分の冷媒量に着目することで判断でき、上記説明のように、ある室外機SC量の時の推定過不足量は、適正な室外機SC量の時の液相冷媒量と、ある室外機SC量の時の液相冷媒量との差として算出できる。
次に、図6を参照しながら、各室内機5a~5iの運転情報の更新処理について説明する。図6は、本発明の実施例1に係る、記憶部220に更新可能に格納される室内機運転情報テーブルの一例を示す図である。図6に示す様に、室内機運転情報テーブルT2には、例えば、設置された個々の室内機を識別するために、各室内機に重複なく割り振られた記号である室内機アドレスごとに、冷媒量βと冷媒量αとその差分である冷媒量α-βと、要求能力と空調優先度と対応する遮断弁の開閉状態および強制停止フラグの状態とが格納される。ここで、要求能力とは、対応する室内における部屋温度Trと設定温度Tsとの差分であり、差分が1deg未満である場合には“小”が格納される。また、差分が1deg以上2deg未満である場合には“中”が格納され、差分が2deg以上である場合には“大”が格納される。なお、対応する室内機が停止中の場合には“-”が格納される。また、空調優先度とは、対応する室内の空調の用途に応じて定められる運転の優先度を表し、例えば、ゲストルームやVIPルーム等の優先的に空調すべき室内機アドレスには“高”が設定される。通常の執務室や実験室等の室内機アドレスには“中”が設定され、人の少ない廊下やトイレ等の室内機アドレスには“低”が設定される。
冷媒量βと冷媒量αとは、例えば、以下の様に算出される。CPU210は、空気調和装置1の施工者によって入力された室内機5a~5i設置時の配管レイアウト情報(例えば、接続配管の内径、配管長)に基づいて、各室内機5a~5iの液配管(遮断弁~室内膨張弁)の管内容積(流路断面積×長さ)を算出する。CPU210は、凝縮圧力と室外機SC量とに応じた液冷媒密度情報を保持しており、これに各室内機5a~5iの液配管の管内容積を乗じることで、凝縮圧力と室外機SC量とに応じた液配管の冷媒量βを算出する。また、CPU210は、蒸発器(室内熱交換器)の管内容積情報、および、蒸発圧力に応じた蒸発器平均冷媒密度情報を保持している。CPU210は、蒸発器の管内容積と、蒸発圧力に応じた蒸発器平均密度とを乗じることで、蒸発圧力に応じた蒸発器冷媒量を算出する。CPU210は、蒸発圧力に応じた蒸発器冷媒量と上記算出された冷媒量βとの和により、冷媒量αを算出する。以上により、各室内機5a~5iの運転情報の更新処理が完了する。これにより、S3の処理がすべて完了する。
図3に戻り、S4では、CPU210は、上記S3で更新された情報である図4の冷媒過不足情報テーブルT1を参照し、現在の室外機SC量に対応する冷媒量の過不足状態と過不足ゾーンとを検出する。例えば、室外機SC量が“2以上4未満”である場合、CPU210は、冷媒過不足情報テーブルT1を参照し、冷媒量の過不足状態は“不足”であり、過不足ゾーンは“Y”であることを検出する。
S5では、CPU210は、S4の検出の結果、現在の冷媒量の過不足状態が“適正”であるか否かを判定する。該判定の結果、“適正”ではない場合(S5;No)には、CPU210は、現在の冷媒量の過不足状態が、“過剰”であるか否かを更に判定する(S6)。なお、現在の冷媒量の過不足状態が“適正”である場合(S5;Yes)には、CPU210は、マスク時間(例えば、3~5分間)の経過(S7)を待って、再び上記S1以降の処理を実行する。
次に、冷媒過剰時における室内機制御処理について説明する。図7は、本発明の実施例1に係る、冷媒過剰時における室内機制御処理を示すフローチャートである。説明の前提として、冷媒過剰が発生するのは、例えば、不足時制御Aまたは不足時制御Bによって、対応する遮断弁が閉鎖した停止室内機がある状態、すなわち、冷媒不足を解消するために、停止室内機の液配管に滞留した冷媒が循環する冷媒へと放出された状態において、室温が設定温度に達するなどして運転室内機がさらに停止した場合である。
上記S6における判定の結果、過不足冷媒量が“過剰”である場合(S6;Yes)には、CPU210は、各冷媒過剰解消制御時の制御情報の更新を行う(S8)。以降、図4、図6~図10を参照しながら、各冷媒過剰解消制御時の制御情報の更新について詳細に説明する。図8は、本発明の実施例1に係る、過剰時制御Aの制御処理時における操作室内機選定テーブルの一例を示す図である。図8に示す様に、室内機アドレスA~Iは、冷媒量の大小に応じて、過不足ゾーンX、Y、Zに分類される。上記のように、過剰時制御Aは、遮断停止状態にある停止室内機に対応する遮断弁を開放、かつ、室内膨張弁を閉鎖することで、運転室内機を循環する冷媒の一部を液配管に冷媒量βだけ分布させる制御である。したがって、CPU210は、室内機運転情報テーブルT2の冷媒量βを参照して、各室内機を過不足ゾーンX、Y、Zに分類する。例えば、図4において、過剰時の過不足ゾーンXは480g未満であるため、図6の冷媒量βを参照し、冷媒量βが480g未満の室内機アドレスA、D、Gの3台の室内機が過不足ゾーン“X”に分類される。同様に、冷媒量βが480g以上900g未満の室内機アドレスであるB、E、Hの3台の室内機が過不足ゾーン“Y”に分類される。また、冷媒量βが900g以上1300g未満の室内機アドレスであるF、Iの2台の室内機が過不足ゾーン“Z”に分類される。なお、冷媒量βが1300g以上の室内機アドレスであるCの室内機は、いずれの過不足ゾーンにも分類されない。
以下の説明では、必要に応じて、上記の様に冷媒量に応じて分類された各室内機5a~5iの属するゾーンX、Y、Zを、ゾーンのランクと記す。ゾーンのランクは、X、Y、Zの順に降順に設定され、X、Y、Zの順に冷媒量が少なくランクが高いものとする。
図9は、本発明の実施例1に係る、過剰時制御Bの制御処理時における操作室内機選定テーブルの一例を示す図である。図9に示す様に、室内機アドレスA~Iは、冷媒量の大小に応じて、過不足ゾーンX、Y、Zに分類される。上記のように、過剰時制御Bは、遮断停止状態にある停止室内機に対応する遮断弁を開放し、運転を開始させることで、運転室内機を循環する冷媒の一部を液配管および室内熱交換器に冷媒量αだけ分布させる制御である。したがって、CPU210は、室内機運転情報テーブルT2の冷媒量αを参照して、各室内機を過不足ゾーンX、Y、Zに分類する。例えば、図4において、過剰時の過不足ゾーンXは480g未満であるため、図6の冷媒量αを参照し、冷媒量αが480g未満の室内機アドレスD、Gの2台の室内機が過不足ゾーン“X”に分類される。同様に、冷媒量αが480g以上900g未満の室内機アドレスであるA、Hの2台の室内機が過不足ゾーン“Y”に分類される。また、冷媒量αが900g以上1300g未満の室内機アドレスであるB、E、Iの3台の室内機が過不足ゾーン“Z”に分類される。なお、冷媒量αが1300g以上の室内機アドレスであるC、Fの2台の室内機は、いずれの過不足ゾーンにも分類されない。
図10は、本発明の実施例1に係る、過剰時制御Cの制御処理時における操作室内機選定テーブルの一例を示す図である。図10に示す様に、室内機アドレスA~Iは、冷媒量の大小に応じて、過不足ゾーンX、Y、Zに分類される。上記のように、過剰時制御Cは、標準停止状態にある停止室内機の運転を開始させ、運転室内機を循環する冷媒の一部を室内熱交換器に冷媒量α-βだけ分布させる制御である。したがって、CPU210は、室内機運転情報テーブルT2の冷媒量α-βを参照して、各室内機を過不足ゾーンX、Y、Zに分類する。例えば、図4において、過剰時の過不足ゾーンXは480g未満であるため、図6の冷媒量α-βを参照し、冷媒量α-βが480g未満の室内機アドレスA~Iの9台の室内機が過不足ゾーン“X”に分類される。
図7に戻り、次に、CPU210は、過剰時制御Bの制御処理時における操作室内機選定テーブルT3bまたは過剰時制御Cの制御処理時における操作室内機選定テーブルT3cの現在の過不足ゾーンあるいは現在の過不足ゾーンのランクより高いランクの過不足ゾーンに、強制停止フラグONの停止室内機(遮断停止、標準停止)が存在するか否かを判定する(S9)。該判定の結果、強制停止フラグONの停止室内機(遮断停止、標準停止)が存在する場合(S9;Yes)には、CPU210は、制御対象となる室内機(操作室内機)を選定する(S10)。
ここで、該当する停止室内機(遮断停止、標準停止)が複数存在する場合には、CPU210は、操作室内機選定テーブルT3b(図9参照)または操作室内機選定テーブルT3c(図10参照)を参照し、以下の優先順位で操作室内機を選定する。最も優先順位の高い第1の基準として、CPU210は、過不足ゾーンによって操作室内機の選定を行う。このとき、CPU210は、現在の過不足ゾーン内の室内機を、現在の過不足ゾーンより高いランクの過不足ゾーン内の室内機よりも優先して選定する。これにより、冷媒量の過不足を解消し適正な冷媒量に近づける効果が高い室内機が選定される。同一の過不足ゾーン内に、室内機が複数存在する場合には、CPU210は、第2の基準として空調優先度を参照し、高>中>低の順に操作室内機を選定し、それでも対象の室内機が複数存在する場合には、第3の基準として、要求能力を参照し、大>中>小の優先順位で操作室内機を選定する。これにより、使用者の要求を満たすために運転の重要性の高い室内機が選定される。それでも対象の室内機が複数存在する場合には、第4の基準として、操作室内機選定テーブルを参照し、過剰時制御C>過剰時制御Bの優先順位で操作室内機を選定する。ここで、遮断弁を開放して液配管を介して室内機に冷媒を循環させる過剰時制御Bに対し、遮断弁はあらかじめ開放されており、新たに室内膨張弁を開放して室内機に冷媒を循環させるだけである過剰時制御Cの方が、冷凍サイクルに与える変動が小さい。したがって、第4の基準により、冷媒過剰解消制御を行った時の冷凍サイクルの変動が小さい室内機が選定される。それでも対象の室内機が複数存在する場合には、第5の基準として、室内機アドレスを参照し、A>B>C>D・・・の優先順位で操作室内機を選定する。室内機アドレスは重複することはないため、これにより必ず操作室内機が選定される。
次に、CPU210は、上記S10で選定された操作室内機が操作室内機選定テーブルT3bから選定された場合には、図2に示した過剰時制御Bの制御処理を実行する。すなわち、CPU210は、操作室内機である停止室内機(遮断停止)に対応する遮断弁を開放し(S11)、かつ、操作室内機である停止室内機(遮断停止)の室内膨張弁の開度を所定の運転初期開度に設定にする(S12)。一方、上記S10で選定された室内機が操作室内機選定テーブルT3cから選定された場合には、CPU210は、図2に示した過剰時制御Cの制御処理を実行する。すなわち、CPU210は、操作室内機である停止室内機(標準停止)の室内膨張弁の開度を所定の運転初期開度に設定にする(S13)。
上記S12またはS13の終了後は、CPU210は、室内ファンを回転させ、停止室内機の運転を開始させる(S14)。この運転により、過剰時制御Bでは、冷媒量αによって、運転室内機の冷媒過剰が解消され、過剰時制御Cでは、冷媒量α-βによって、運転室内機の冷媒過剰が解消される。その結果、空気調和装置1は、冷媒過剰時においても、正常な運転が可能となる。S15では、CPU210は、操作室内機の強制停止フラグをOFFにする。なお、マスク時間の経過(S16)後は、上述したS1以降の処理が再び実行される。
上記S9における判定の結果、操作室内機選定テーブルT3bまたは操作室内機選定テーブルT3cの現在の過不足ゾーンあるいは現在の過不足ゾーンのランクより高いランクの過不足ゾーンに、強制停止フラグONの停止室内機(遮断停止、標準停止)が存在しない場合(S9;No)には、S17に移行する。S17では、CPU210は、過剰時制御Aの制御処理時における操作室内機選定テーブルT3aの現在の過不足ゾーンあるいは現在の過不足ゾーンのランクより高いランクの過不足ゾーンに、強制停止フラグOFFの停止室内機(遮断停止)が存在するか否かを判定する。該判定の結果、強制停止フラグOFFの停止室内機(遮断停止)が存在する場合(S17;Yes)には、CPU210は、制御対象となる室内機(操作室内機)を選定する(S18)。一方、該判定の結果、強制停止フラグOFFの停止室内機(遮断停止)が存在しない場合(S17;No)には、S1以降の処理が再び実行される。
ここで、該当する停止室内機(遮断停止)が複数存在する場合には、CPU210は、操作室内機選定テーブルT3a(図8参照)を参照し、以下の優先順位で操作室内機を選定する。最も優先順位の高い第1の基準として、CPU210は、過不足ゾーンによって操作室内機の選定を行う。このとき、CPU210は、現在の過不足ゾーン内の室内機を、現在の過不足ゾーンより高いランクの過不足ゾーン内の室内機よりも優先して選定する。これにより、冷媒量の過不足を解消し適正な冷媒量に近づける効果が高い室内機が選定される。同一の過不足ゾーン内に、室内機が複数存在する場合には、CPU210は、第2の基準として空調優先度を参照し、高>中>低の順に操作室内機を選定し、それでも対象の室内機が複数存在する場合には、第3の基準として、要求能力を参照し、大>中>小の優先順位で操作室内機を選定する。これにより、使用者の要求を満たすために運転の重要性の高い室内機が選定される。それでも対象の室内機が複数存在する場合には、第4の基準として、室内機アドレスを参照し、A>B>C>D・・・の優先順位で操作室内機を選定する。室内機アドレスは重複することはないため、これにより必ず操作室内機が選定される。
次に、CPU210は、図2に示した過剰時制御Aの制御処理を実行する。すなわち、CPU210は、操作室内機である停止室内機(遮断停止)に対応する遮断弁を開放し(S19)、かつ、操作室内機である停止室内機(遮断停止)の室内膨張弁を閉鎖する(S20)。S20の終了後は、上述したS16の処理に移行する。
続いて、冷媒不足時における室内機制御処理について説明する。図11は、本発明の実施例1に係る、冷媒不足時における室内機制御処理を示すフローチャートである。
上記S6における判定の結果、過不足冷媒量が“不足”である場合(S6;No)には、CPU210は、各冷媒不足解消制御時の制御情報の更新を行う(S21)。以降、図4、図6、図12~図14を参照しながら、各冷媒不足解消制御時の制御情報の更新について詳細に説明する。図12は、本発明の実施例1に係る、不足時制御Aの制御処理時における操作室内機選定テーブルの一例を示す図である。図12に示す様に、室内機アドレスA~Iは、冷媒量の大小に応じて、過不足ゾーンX、Y、Zに分類される。上記のように、不足時制御Aは、標準停止状態にある停止室内機に対応する遮断弁を閉鎖、かつ、室内膨張弁を開放することで、冷媒量βを運転室内機に循環させる制御である。したがって、CPU210は、室内機運転情報テーブルT2の冷媒量βを参照して、各室内機を過不足ゾーンX、Y、Zに分類する。例えば、図4において、不足時の過不足ゾーンXは500g未満であるため、図6の冷媒量βを参照し、冷媒量βが500g未満の室内機アドレスA、D、Gの3台の室内機が過不足ゾーン“X”に分類される。同様に、冷媒量βが500g以上1000g未満の室内機アドレスであるB、E、Hの3台の室内機が過不足ゾーン“Y”に分類される。また、冷媒量βが1000g以上1500g未満の室内機アドレスであるC、F、Iの3台の室内機が過不足ゾーン“Z”に分類される。
図13は、本発明の実施例1に係る、不足時制御Bの制御処理時における操作室内機選定テーブルの一例を示す図である。図13に示す様に、室内機アドレスA~Iは、冷媒量の大小に応じて、過不足ゾーンX、Y、Zに分類される。上記のように、不足時制御Bは、運転室内機に対応する遮断弁を閉鎖、かつ、室内膨張弁を開放することで、冷媒量αを他の運転室内機に循環させる制御である。したがって、CPU210は、室内機運転情報テーブルT2の冷媒量αを参照して、各室内機を過不足ゾーンX、Y、Zに分類する。例えば、図4において、不足時の過不足ゾーンXは500g未満であるため、図6の冷媒量αを参照し、冷媒量αが500g未満の室内機アドレスD、Gの2台の室内機が過不足ゾーン“X”に分類される。同様に、冷媒量αが500g以上1000g未満の室内機アドレスであるA、E、Hの3台の室内機が過不足ゾーン“Y”に分類される。また、冷媒量αが1000g以上1500g未満の室内機アドレスであるB、F、Iの3台の室内機が過不足ゾーン“Z”に分類される。なお、冷媒量αが1500g以上の室内機アドレスであるCの室内機は、いずれの過不足ゾーンにも分類されない。
図14は、本発明の実施例1に係る、不足時制御Cの制御処理時における操作室内機選定テーブルの一例を示す図である。図14に示す様に、室内機アドレスA~Iは、冷媒量の大小に応じて、過不足ゾーンX、Y、Zに分類される。上記のように、不足時制御Cは、運転室内機に対応する遮断弁を開放したまま、室内膨張弁を閉鎖することで、冷媒量α-βを他の運転室内機に循環させる制御である。したがって、CPU210は、室内機運転情報テーブルT2の冷媒量α-βを参照して、各室内機を過不足ゾーンX、Y、Zに分類する。例えば、図4において、不足時の過不足ゾーンXは500g未満であるため、図6の冷媒量α-βを参照し、冷媒量α-βが500g未満の室内機アドレスA~Iの9台の室内機が過不足ゾーン“X”に分類される。
次に、図11に戻り、CPU210は、不足時制御Aの制御処理時における操作室内機選定テーブルT4aの現在の過不足ゾーンあるいは現在の過不足ゾーンのランクより高いランクの過不足ゾーンに、停止室内機(標準停止)が存在するか否かを判定する(S22)。該判定の結果、停止室内機(標準停止)が存在する場合(S22;Yes)には、CPU210は、制御対象となる室内機(操作室内機)を選定する(S23)。
ここで、該当する停止室内機(標準停止)が複数存在する場合には、CPU210は、操作室内機選定テーブルT4a(図12参照)を参照し、以下の優先順位で操作室内機を選定する。最も優先順位の高い第1の基準として、CPU210は、過不足ゾーンによって操作室内機の選定を行う。このとき、CPU210は、現在の過不足ゾーン内の室内機を、現在の過不足ゾーンより高いランクの過不足ゾーン内の室内機よりも優先して選定する。これにより、冷媒量の過不足を解消し適正な冷媒量に近づける効果が高い室内機が選定される。同一の過不足ゾーン内に、室内機が複数存在する場合には、CPU210は、第2の基準として空調優先度を参照し、過剰時とは反対に、低>中>高の順に操作室内機を選定し、それでも対象の室内機が複数存在する場合には、第3の基準として、要求能力を参照し、過剰時とは反対に、小>中>大の優先順位で操作室内機を選定する。これにより、使用者の要求を満たすために運転の重要性の低い室内機が選定される。それでも対象の室内機が複数存在する場合には、第4の基準として、室内機アドレスを参照し、A>B>C>D・・・の優先順位で操作室内機を選定する。室内機アドレスは重複することはないため、これにより必ず操作室内機が選定される。
次に、CPU210は、図2に示した不足時制御Aの制御処理を実行する。すなわち、CPU210は、操作室内機である停止室内機(標準停止)に対応する遮断弁を閉鎖し(S24)、かつ、操作室内機である停止室内機(標準停止)の室内膨張弁を開放する(S25)。S25の終了後は、CPU210は、マスク時間(例えば、3~5分間)の経過(S26)を待って、再び上記S1以降の処理を実行する。
上記S22における判定の結果、停止室内機(標準停止)が存在しない場合(S22;No)には、CPU210は、不足時制御Bの制御処理時における操作室内機選定テーブルT4bまたは不足時制御Cの制御処理時における操作室内機選定テーブルT4cの現在の過不足ゾーンあるいは現在の過不足ゾーンのランクより高いランクの過不足ゾーンに、運転室内機が存在するか否かを判定する(S27)。該判定の結果、運転室内機が存在する場合(S27;Yes)には、CPU210は、制御対象となる室内機(操作室内機)を選定する(S28)。一方、該判定の結果、運転室内機が存在しない場合(S27;No)には、S1以降の処理が再び実行される。
ここで、運転室内機が複数存在する場合には、CPU210は、操作室内機選定テーブルT4b(図13参照)または操作室内機選定テーブルT4c(図14参照)を参照し、以下の優先順位で操作室内機を選定する。最も優先順位の高い第1の基準として、CPU210は、過不足ゾーンによって操作室内機の選定を行う。このとき、CPU210は、現在の過不足ゾーン内の室内機を、現在の過不足ゾーンより高いランクの過不足ゾーン内の室内機よりも優先して選定する。これにより、冷媒量の過不足を解消し適正な冷媒量に近づける効果が高い室内機が選定される。同一の過不足ゾーン内に、室内機が複数存在する場合には、CPU210は、第2の基準として空調優先度を参照し、過剰時とは反対に、低>中>高の順に操作室内機を選定し、それでも対象の室内機が複数存在する場合には、第3の基準として、要求能力を参照し、過剰時とは反対に、小>中>大の優先順位で操作室内機を選定する。これにより、使用者の要求を満たすために運転の重要性の低い室内機が選定される。それでも対象の室内機が複数存在する場合には、第4の基準として、操作室内機選定テーブルを参照し、不足時制御C>不足時制御Bの優先順位で操作室内機を選定する。ここで、遮断弁を閉鎖して液配管に分布する冷媒を含めて運転室内機に循環させる不足時制御Bに対し、室内膨張弁を閉鎖して室内機に分布する冷媒のみを運転室内機に循環させる不足時制御Cの方が、冷凍サイクルに与える変動が小さい。したがって、第4の基準により、冷媒不足解消制御を行った時の冷凍サイクルの変動が小さい室内機が選定される。それでも対象の室内機が複数存在する場合には、第5の基準として、室内機アドレスを参照し、A>B>C>D・・・の優先順位で操作室内機を選定する。室内機アドレスは重複することはないため、これにより必ず操作室内機が選定される。
以下、現在の冷媒量の過不足状態が“不足”であり、過不足ゾーンが“Y”である場合を例として、S28における操作室内機の判定について説明する。上述した様に、上記S27の判定条件は、操作室内機選定テーブルT4bまたは操作室内機選定テーブルT4cの現在の過不足ゾーンあるいは現在の過不足ゾーンのランクより高いランクの過不足ゾーンに、運転室内機が存在するか否かである。まず、再び図13を参照すると、操作室内機選定テーブルT4bからは、過不足ゾーンYに属する室内機アドレスA、E、Hの室内機と、過不足ゾーンXに属する室内機アドレスD、Gの室内機とが、操作室内機の候補となる。同様に、再び図14を参照すると、操作室内機選定テーブルT4cからは、過不足ゾーンXに属する室内機アドレスA、B、C、D、E、G、H、Iの室内機が、操作室内機の候補となる。なお、室内機アドレスFの室内機は、既に停止中であるため、候補から除外される。
次に、CPU210は、第1の基準(現在の過不足ゾーン>現在の過不足ゾーンのランクより高いランクの過不足ゾーン)に従い、現在の過不足ゾーンである「Yゾーン」の室内機を優先するため、上記操作室内機の候補を、操作室内機選定テーブルT4bの室内機アドレスA、E、Hの室内機に絞る。次に、CPU210は、第2の基準(空調優先度:低>中>高)に従い、「中」よりも「低」の室内機を優先するため、上記操作室内機を、操作室内機選定テーブルT4bの室内機アドレスHの室内機に決定する。
次に、図11に戻り、CPU210は、上記S28で選定された操作室内機が操作室内機選定テーブルT4bから選定された場合には、図2に示した不足時制御Bの制御処理を実行する。すなわち、CPU210は、操作室内機である運転室内機に対応する遮断弁を閉鎖し(S29)、かつ、操作室内機である運転室内機の室内膨張弁を開放する(S30)。一方、上記S28で選定された室内機が操作室内機選定テーブルT4cから選定された場合には、CPU210は、図2に示した不足時制御Cの制御処理を実行する。すなわち、CPU210は、操作室内機である運転室内機の室内膨張弁を閉鎖する(S31)。
上記S30またはS31の終了後は、CPU210は、操作室内機である運転室内機の室内ファンを停止させ、運転を停止する(S32)。この運転停止により、不足時制御Bでは、冷媒量αによって、他の運転室内機の冷媒不足が解消され、不足時制御Cでは、冷媒量α-βによって、他の運転室内機の冷媒不足が解消される。その結果、空気調和装置1は、冷媒不足時においても、正常な運転が可能となる。S33では、CPU210は、操作室内機の強制停止フラグをONに変更する。なお、マスク時間の経過(S26)後は、上述したS1以降の処理が再び実行される。
以上説明したように、実施例1に係る空気調和装置1は、室外機2と、室外機2と冷媒配管で接続された複数台の室内機5a~5iと、複数台の室内機5a~5iの各々に対応して備えられた少なくとも一つの流量制御弁とを有する。空気調和装置1は、制御部(例えば、CPU210)を有する。上記制御部は、運転室内機を循環する冷媒の適正量に対する過不足量である推定過不足量と、上記推定過不足量の程度によって上記推定過不足量の範囲を分割した複数の過不足ゾーンのそれぞれを、室外熱交換器23の出口の過冷却度に対応させ、各室内機5a~5iに対応する管内冷媒量を上記推定過不足量に対応させて各室内機を上記過不足ゾーンに分類した時に、現在の過不足ゾーンに分類された室内機、または、現在の過不足ゾーンよりも推定過不足量の少ない範囲に対応する過不足ゾーンに分類された室内機の中から、制御対象となる操作室内機を選定し、選定された上記操作室内機に対応する流量制御弁を制御する。
上述した様に、空気調和装置1は、室外熱交換器23の出口の過冷却度に対応付けた過不足量に合わせて、管内冷媒量が適正な室内機の流量制御弁を用いて過不足の調整を行う。すなわち、各室内機5a~5iの管内冷媒量の大小を考慮して冷媒の過不足を解消する。これにより、冷凍サイクル(冷媒側の状態)を監視せずに運転室内機の要求能力(空気側の状態)のみの監視で冷媒の過不足の調整を行うことによる不都合が回避される。具体的には、例えば冷媒不足時に、流量制御弁を制御したことにより冷媒不足から急激な冷媒過剰となり、吐出圧力が上昇して空気調和装置の信頼性が低下する恐れが抑制される。反対に、流量制御弁を制御しても冷媒不足が解消しないまま運転が継続し、運転能力ひいては使用者の快適性が低下する恐れが抑制される。その結果、冷媒充填量を削減しても、空気調和装置1の信頼性を維持しながら使用者の不快感を抑制することが可能となる。
空気調和装置1において、上記流量制御弁は、各室内機5a~5iに対応する室内膨張弁、および、冷房運転時において各室内機5a~5iに対応する室内膨張弁の上流の接続配管に設けられた遮断弁であってもよい。上記制御部は、上記冷房運転時における上記遮断弁の出口から室内熱交換器の出口までの管内容積に基づき、各室内機5a~5iに対応する管内冷媒量を決定するものとしてもよい。これにより、空気調和装置1は、各室内機5a~5iに供給する冷媒量を、遮断弁と室内膨張弁とにより、適切な量に調整することができる。また、空気調和装置1は、管内容積により、各室内機5a~5iの管内冷媒量のゾーンを適切に決定することができる。
空気調和装置1において、上記制御部は、上記運転室内機を循環する冷媒量が過剰である場合には、上記操作室内機に対応する上記遮断弁または上記室内膨張弁を開放する冷媒過剰解消制御を行うものとしてもよい。上記制御部は、上記運転室内機を循環する冷媒量が不足している場合には、上記操作室内機に対応する上記遮断弁または上記室内膨張弁を閉鎖する冷媒不足解消制御を行うものとしてもよい。これにより、空気調和装置1は、冷媒充填量を削減しても、各室内機5a~5iの冷媒を、過不足の少ない適切な量に調整することができる。
空気調和装置1において、上記制御部は、上記運転室内機を循環する冷媒量が不足している場合において、現在の過不足ゾーンに分類された室内機、または、現在の過不足ゾーンよりも推定過不足量の少ない範囲に対応する過不足ゾーンに分類された室内機であって、停止中であり、かつ、上記遮断弁を開放している室内機が存在する場合には、該室内機の中から上記操作室内機を選定して、上記操作室内機に対応する上記遮断弁を閉鎖するものとしてもよい。上記制御部は、上記室内機が存在しない場合には、現在の過不足ゾーンに分類された室内機、または、現在の過不足ゾーンよりも推定過不足量の少ない範囲に対応する過不足ゾーンに分類された室内機であって、運転中の室内機の中から上記操作室内機を選定し、運転を強制停止させて、上記操作室内機に対応する上記遮断弁または上記室内膨張弁を閉鎖するものとしてもよい。また、上記制御部は、上記運転室内機を循環する冷媒量が過剰である場合において、現在の過不足ゾーンに分類された室内機、または、現在の過不足ゾーンよりも推定過不足量の少ない範囲に対応する過不足ゾーンに分類された室内機であって、強制停止中である室内機が存在する場合には、該室内機の中から上記操作室内機を選定して上記遮断弁および上記室内膨張弁を開放して運転を開始するものとしてもよい。上記制御部は、上記室内機が存在しない場合には、現在の過不足ゾーンに分類された室内機、または、現在の過不足ゾーンよりも推定過不足量の少ない範囲に対応する過不足ゾーンに分類された室内機であって、停止中であり、かつ、上記遮断弁を閉鎖中の室内機が存在する場合には、該室内機を上記操作室内機として上記遮断弁を開放するものとしてもよい。すなわち、空気調和装置1は、冷媒が足りない場合には停止室内機の遮断弁閉鎖を最優先に行い、停止室内機が無い場合には運転室内機を強制停止させる。反対に、冷媒が過剰の場合には、空気調和装置1は、強制停止室内機の復帰を最優先に行い、強制停止室内機が無い場合には停止室内機に対応する遮断弁を開放する。これにより、運転室内機が強制停止された状態となることを最小限に抑え、使用者の快適性を損ねることを抑制しつつ、確実に冷媒過剰を解消することが可能となる。
空気調和装置1において、上記制御部は、上記冷房運転時、室外機において凝縮した液相の冷媒が存在する部分の管内容積に基づいて、上記過冷却度に対応する推定過不足量を決定するものとしてもよい。これにより、推定過不足量を、液部の管内容積に基づいた適切な値に、適宜調整することができる。
空気調和装置1において、上記制御部は、空調の用途に基づく空調優先度に基づき、上記操作室内機を選定するものとしてもよい。これにより、エリアごとの空調の必要性の高低に応じた、より高精度な操作対象の選定が可能となる。
次に、実施例2として、室内機配管に遮断弁を設けない態様について説明する。図15は、本発明の実施例2に係る、空気調和装置の説明図であり、(A)は冷媒回路図、(B)は室外機制御部および室内機制御部のブロック図である。図15に示すように、実施例2に係る空気調和装置1は、遮断弁7c~7iを有さない点を除き、図1に示した実施例1に係る空気調和装置1と主要な構成を同一とする。従って、実施例2では、実施例1と共通する構成要素には、同一の参照符号を用いると共に、その詳細な説明は省略する。
図15に示すように、実施例1と異なり、実施例2に係る空気調和装置1では、液側閉鎖弁25と各室内機5a~5iとは、分岐する1本の液管8により連結される。なお、室内機および室外機の設置状態については、図1を参照して説明した実施例1と同様であるため、共通する構成要素には、同一の参照符号を用いると共に、その詳細な説明は省略する。
<実施例2に係る室内機制御処理>
次に、実施例2における、冷媒不足時および冷媒過剰時の処理について説明する。実施例2においても、実施例1と同様に、冷媒不足が発生するのは冷房運転時であり、以下に説明する冷媒不足時の処理、および、その結果発生しうる冷媒過剰時の処理は、冷房運転時に行うものである。
図16は、本発明の実施例2に係る、冷媒過剰解消制御および冷媒不足解消制御を実施した時の室内機の状態遷移を示す図である。図16の左側には、室内機に関して、“運転室内機”、“停止室内機(標準停止)”の2つの状態があることを示すとともに、過剰時制御Cおよび不足時制御Cを実施することにより、それぞれがどのように状態遷移するかを示している。また、図16の右側には、左側に示した室内機の状態に対応して、室内膨張弁の開閉状態と、各部に分布する冷媒の状態を示している。図16において、冷媒量γ=室内機の冷媒量と定義される。CPU210は、冷媒過剰時の処理として、上述した過剰時制御Cを行う。また、冷媒不足時の処理として、上述した不足時制御Cを行う。
図16の不足時制御Cでは、CPU210は、室内膨張弁を閉鎖、すなわち標準停止させることで、冷媒量γを他の運転室内機に循環させ、冷媒不足を解消する処理を実行する。不足時制御Cの制御処理は、室内機の運転を強制的に停止させる制御であり、強制停止された室内機では、対応する室内機アドレスの室内機5a~5iが強制停止されたことを示す「強制停止フラグ」がONになる。
一方、図16の過剰時制御Cでは、CPU210は、標準停止状態にある停止室内機の運転を開始させ、運転室内機を循環する冷媒の一部を室内熱交換器に冷媒量γだけ分布させ、冷媒過剰を解消する処理を実行する。但し、上記過剰時制御Cの制御処理は、上記不足時制御Cの制御処理により強制的に運転を停止された室内機(強制停止フラグONの室内機)に限り、実行される。従って、例えば、リモコン等を介して、使用者によって停止を指示されている室内機は制御対象としない。
図17は、本発明の実施例2に係る、冷媒過剰時および冷媒不足時における室内機制御処理を示すフローチャートである。図17のステップU1~U3の各処理は、図3を参照して上述したステップS1~S3の各処理と同様であるため、その詳細な説明は省略し、実施例1との相違点についてのみ、説明する。
U3で更新された推定過不足量と、各室内機5a~5iの運転情報とは、室外機制御部200の記憶部220に更新可能に格納される。以下、図18および図19を参照しながら、この更新処理について詳細に説明する。まず、図18を参照しながら、推定過不足量の更新処理について説明する。図18は、本発明の実施例2に係る、冷媒量の過不足を判定するための冷媒過不足情報テーブルの一例を示す図である。図18は、実施例1における図4に類似するため、詳細な説明は省略するが、図18の冷媒過不足情報テーブルT11において、室外機SC量の範囲に対応して運転室内機を循環する冷媒量の過不足状態(“過剰”、“適正”、“不足”)と、過不足ゾーンがあらかじめ格納されている。ここで、過不足ゾーンは、運転室内機を循環する冷媒量の過剰または不足の程度によって分割されるゾーンであり、後述する操作室内機の選定に使用される。なお、この対応関係は凝縮圧力によって異なるものであり、冷媒過不足情報テーブルT11は凝縮圧力が3.0MPaGのときの例である。
次に、図19を参照しながら、各室内機5a~5iの運転情報の更新処理について説明する。図19は、本発明の実施例2に係る、記憶部220に更新可能に格納される室内機運転情報テーブルの一例を示す図である。図19は、実施例1における図6に類似するため、詳細な説明は省略するが、室内機運転情報テーブルT12には、例えば、設置された個々の室内機を識別するために、各室内機に重複なく割り振られた記号である室内機アドレスごとに、上述した冷媒量γと、要求能力と空調優先度と強制停止フラグの状態とが格納される。
冷媒量γは、例えば、実施例1において説明した蒸発器冷媒量と同様に算出可能であるため、その詳細な説明は省略する。
図17に戻り、U4では、CPU210は、上記U3で更新された情報である図18の冷媒過不足情報テーブルT11を参照し、現在の室外機SC量に対応する冷媒量の過不足状態と過不足ゾーンとを検出する。例えば、室外機SC量が“2以上4未満”である場合、CPU210は、冷媒過不足情報テーブルT11を参照し、冷媒量の過不足状態は“不足”であり、過不足ゾーンは“Y”であることを検出する。
U5では、CPU210は、上記U4の検出の結果、現在の冷媒量の過不足状態が“適正”であるか否かを判定する。該判定の結果、“適正”ではない場合(U5;No)には、CPU210は、現在の冷媒量の過不足状態が、“過剰”であるか否かを更に判定する(U6)。なお、現在の冷媒量の過不足状態が“適正”である場合(U5;Yes)には、CPU210は、マスク時間(例えば、3~5分間)の経過(U7)を待って、再び上記U1以降の処理を実行する。
次に、冷媒過剰時における室内機制御処理について説明する。上記U6における判定の結果、過不足冷媒量が“過剰”である場合(U6;Yes)には、CPU210は、各冷媒過剰解消制御時の制御情報の更新を行う(U8)。以降、図18~図20を参照しながら、各冷媒過剰解消制御時の制御情報の更新について詳細に説明する。
図20は、本発明の実施例2に係る、過剰時制御Cの制御処理時における操作室内機選定テーブルの一例を示す図である。図20に示す様に、室内機アドレスA~Iは、冷媒量の大小に応じて、過不足ゾーンX、Y、Zに分類される。上記のように、過剰時制御Cは、標準停止状態にある停止室内機の運転を開始させ、運転室内機を循環する冷媒の一部を室内熱交換器に冷媒量γだけ分布させる制御である。したがって、CPU210は、室内機運転情報テーブルT12の冷媒量γを参照して、各室内機を過不足ゾーンX、Y、Zに分類する。例えば、図18において、過剰時の過不足ゾーンXは120g未満であるため、図19の冷媒量γを参照し、冷媒量γが120g未満の室内機アドレスであるGの1台の室内機が過不足ゾーン“X”に分類される。同様に、冷媒量γが120g以上320g未満の室内機アドレスであるA、C、D、F、H、Iの6台の室内機が過不足ゾーン“Y”に分類される。また、冷媒量γが320g以上520g未満の室内機アドレスであるB、Eの2台の室内機が過不足ゾーン“Z”に分類される。
図17に戻り、次に、CPU210は、過剰時制御Cの制御処理時における操作室内機選定テーブルT13cの現在の過不足ゾーンあるいは現在の過不足ゾーンのランクより高いランクの過不足ゾーンに、強制停止フラグONの停止室内機(標準停止)が存在するか否かを判定する(U9)。該判定の結果、強制停止フラグONの停止室内機(標準停止)が存在する場合(U9;Yes)には、CPU210は、制御対象となる室内機(操作室内機)を選定する(U10)。一方、該判定の結果、強制停止フラグONの停止室内機(標準停止)が存在しない場合(U9;No)には、U1以降の処理が再び実行される。
ここで、該当する停止室内機(標準停止)が複数存在する場合には、CPU210は、操作室内機選定テーブルT13c(図20参照)を参照し、実施例1と同様の優先順位で操作室内機を選定する。すなわち、CPU210は、最も優先順位の高い第1基準として、過不足ゾーンによって操作室内機の選定を行い、第2の基準として空調優先度を、第3の基準として要求能力を、第4の基準として室内機アドレスをそれぞれ参照し、操作室内機を選定する。
次に、CPU210は、図16に示した過剰時制御Cの制御処理を実行する。すなわち、CPU210は、操作室内機である停止室内機(標準停止)の室内膨張弁の開度を所定の運転初期開度に設定にする(U11)。
上記U11の終了後は、CPU210は、室内ファンを回転させ、停止室内機の運転を開始させる(U12)。この運転により、冷媒量γによって、運転室内機の冷媒過剰が解消される。その結果、空気調和装置1は、冷媒過剰時においても、正常な運転が可能となる。U13では、CPU210は、操作室内機の強制停止フラグをOFFにする。なお、マスク時間の経過(U14)後は、上述したU1以降の処理が再び実行される。
続いて、実施例2における、冷媒不足時における室内機制御処理について説明する。上記U6における判定の結果、過不足冷媒量が“不足”である場合(U6;No)には、CPU210は、各冷媒不足解消制御時の制御情報の更新を行う(U15)。以降、図18、図19、図21を参照しながら、各冷媒不足解消制御時の制御情報の更新について詳細に説明する。
図21は、本発明の実施例2に係る、不足時制御Cの制御処理時における操作室内機選定テーブルの一例を示す図である。図21に示す様に、室内機アドレスA~Iは、冷媒量の大小に応じて、過不足ゾーンX、Y、Zに分類される。上記のように、不足時制御Cは、運転室内機に対応する室内膨張弁を閉鎖することで、冷媒量γを他の運転室内機に循環させる制御である。したがって、CPU210は、室内機運転情報テーブルT12の冷媒量γを参照して、各室内機を過不足ゾーンX、Y、Zに分類する。例えば、図18において、不足時の過不足ゾーンXは100g未満であるため、図19の冷媒量γを参照し、冷媒量γが100g未満の室内機アドレスは存在しないため、いずれの室内機も、過不足ゾーン“X”に分類されない。また、冷媒量γが100g以上300g未満の室内機アドレスであるA、C、D、F、G、H、Iの7台の室内機が過不足ゾーン“Y”に分類される。同様に、冷媒量γが300g以上500g未満の室内機アドレスであるB、Eの2台の室内機が過不足ゾーン“Z”に分類される。
図17に戻りU16では、CPU210は、不足時制御Cの制御処理時における操作室内機選定テーブルT14cの現在の過不足ゾーンあるいは現在の過不足ゾーンのランクより高いランクの過不足ゾーンに、運転室内機が存在するか否かを判定する。該判定の結果、運転室内機が存在する場合(U16;Yes)には、CPU210は、制御対象となる室内機(操作室内機)を選定する(U17)。一方、該判定の結果、運転室内機が存在しない場合(U16;No)には、U1以降の処理が再び実行される。
ここで、運転室内機が複数存在する場合には、CPU210は、操作室内機選定テーブルT14c(図21参照)を参照し、実施例1と同様の優先順位で操作室内機を選定する。すなわち、CPU210は、最も優先順位の高い第1基準として、過不足ゾーンによって操作室内機の選定を行い、第2の基準として空調優先度を、第3の基準として要求能力を、第4の基準として室内機アドレスをそれぞれ参照し、操作室内機を選定する。
次に、CPU210は、図16に示した不足時制御Cの制御処理を実行する。すなわち、CPU210は、操作室内機である運転室内機の室内膨張弁を閉鎖する(U18)。
上記U18の終了後は、CPU210は、操作室内機である運転室内機の室内ファンを停止させ、運転を停止する(U19)。この運転停止により、冷媒量γによって、他の運転室内機の冷媒不足が解消される。その結果、空気調和装置1は、冷媒不足時においても、正常な運転が可能となる。U20では、CPU210は、操作室内機の強制停止フラグをONに変更する。なお、マスク時間の経過(U14)後は、上述したU1以降の処理が再び実行される。
以上説明したように、実施例2に係る空気調和装置1において、上記流量制御弁は、各室内機5a~5iに対応する室内膨張弁であってもよい。上記制御部は、冷房運転時における上記室内膨張弁の出口から上記各室内機に備えられた室内熱交換器の出口までの管内容積に基づき、各室内機5a~5iに対応する管内冷媒量を決定するものとしてもよい。これにより、空気調和装置1は、各室内機5a~5iに供給する冷媒量を、遮断弁を用いることなく簡易な構成で、適切な量に調整することができる。また、空気調和装置1は、管内容積により、各室内機5a~5iの管内冷媒量を適切に決定することができる。
空気調和装置1において、上記制御部は、上記運転室内機を循環する冷媒量が不足している場合において、現在の過不足ゾーンに分類された室内機、または、現在の過不足ゾーンよりも推定過不足量の少ない範囲に対応する過不足ゾーンに分類された室内機であって、運転中の室内機が存在する場合には、該室内機の中から上記操作室内機を選定し、運転を強制停止させて、上記室内膨張弁を閉鎖するものとしてもよい。また、上記制御部は、上記運転室内機を循環する冷媒量が過剰である場合において、現在の過不足ゾーンに分類された室内機、または、現在の過不足ゾーンよりも推定過不足量の少ない範囲に対応する過不足ゾーンに分類された室内機であって、強制停止中である室内機が存在する場合には、該室内機の中から上記操作室内機を選定して上記室内膨張弁を開放して運転を開始するものとしてもよい。これにより、空気調和装置1は、冷媒が足りない場合には運転室内機を強制停止させる。従って、遮断弁を用いることなく、より確実に冷媒不足を解消することが可能となる。反対に、冷媒が過剰の場合には、空気調和装置1は、強制停止室内機を復帰させる。従って、遮断弁を用いることなく、より確実に冷媒過剰を解消することが可能となる。
空気調和装置1において、上記制御部は、上記冷房運転時に、室外機2において凝縮した液相の冷媒が存在する部分の管内容積に基づいて、上記過冷却度に対応する推定過不足量を決定するものとしてもよい。これにより、推定過不足量を、液部の管内容積に基づいた適切な値に、適宜調整することができる。
空気調和装置1において、上記制御部は、空調の用途に基づく空調優先度に基づき、上記操作室内機を選定するものとしてもよい。これにより、エリアごとの空調の必要性の高低に応じた、より高精度な操作対象の選定が可能となる。
<実施例2に対する実施例1の優位点>
ここで、室内機配管に遮断弁を設けることの優位点として、冷媒不足時においても、本来運転すべき他の室内機5a~5iの停止を生むことなく、正常な運転が可能となる、ことが挙げられる。例えば、室内機配管に遮断弁を設けていない実施例2の場合には、冷媒不足時の処理として不足時制御Cを行う他なく、使用者が運転を要求している室内機を強制的に停止させることになる。一方、室内機配管に遮断弁を設けている実施例1の場合には、条件を満たす標準停止状態の停止室内機が存在する場合には、不足時制御Aを行うことができ、使用者が運転を要求していない停止室内機に対応する流量制御弁の操作だけで、冷媒不足を解消することができる。