JP7340362B2 - おからペーストを使用した低糖質パスタソース - Google Patents
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Description
パスタソースについても消費者の健康志向の高まりから低糖質化したものが求められている。同様に、化学的な処理をした澱粉や乳化剤等の添加物をできるだけ使用しないパスタソースが求められている。さらに見た目の美味しさの観点から、パスタソースと麺との絡みが良いことも重要である。
従来のパスタソースでは一般に、加工澱粉、乳化剤、砂糖を添加していた。例えば、ソースの全量に対し、ミートソースは加工澱粉を0.8~2質量%、乳化剤を0.02~0.2質量%、砂糖を2~5質量%、ナポリタンソースは加工澱粉を0.4~1質量%、乳化剤を0.02~0.1質量%、砂糖を4~7質量%、和風ソースは加工澱粉を0.8~2質量%、乳化剤を0.02~0.1質量%、砂糖を0.4~1質量%、ペペロンチーノソースは加工澱粉を0~1.5質量%、乳化剤を0.1~0.2質量%、砂糖を2~5質量%含む。このようなパスタソースを低糖質化する方法としては、砂糖の使用量を抑えて人工甘味料を添加する方法、加工澱粉の使用量を抑え、増粘多糖類を添加する方法がある。麺との絡みをよくすることができるとして加工澱粉の代わりに増粘多糖類を添加することや、またソースを増粘させずに固形物などを分散させることができ、油浮きを安定させることができるとして乳化剤の代わりにセルロースを使用することが試みられてきた。
しかしながら、砂糖の使用量を抑える事でコクが無くなる、人工甘味料を添加する事で不自然な甘味が出てしまう、増粘多糖類を添加する事でぬるつきが出てしまう、加工澱粉を使用しない場合に粘度が低下する、乳化剤を使用しない場合に冷凍・解凍後の離水や油浮きが発生してしまう、セルロースを添加すると油浮きや離水は改善されるが、粘度が低下し麺との絡みが悪くなる等といった問題点があった。
スープやソースなどの液状食品に風味にコクやまろやかさを付与したりとろみをつけたりする方法として、おからペーストを使用する方法が提案されている(特許文献1)。しかしながらこの方法ではパスタソースにおいて糖質や乳化剤の配合量を減らした際の問題点について認識されていない。
すなわち本発明は以下の通りである。
[1]おからペーストを、パスタソースの全量に対し11~27質量%含む、パスタソース。
[2]さらに増粘多糖類を含む、前記[1]に記載のパスタソース。
[3]パスタソースがミートソース、ナポリタンソース、和風ソース、ペペロンチーノソースから選択される、前記[1]又は[2]に記載のパスタソース。
本発明において「おからペースト」とは磨砕処理等でペースト状に加工したおからをいう。このようなおからペーストの製造方法として、特開平7-51014「おから加工品およびその製造方法」に開示している方法が採用できる。これは、おからを、加水せずにまたは水を加えて加水処理して、繊維間物質の放出を伴う解粒処理を行い、しかる後、水を加えて加水処理後、攪拌して水可溶性多糖類を水和させ、高粘性液体を得ることを特徴とするおから加工品の製造方法である。
おからペーストの使用量はパスタソースの全量に対し11~27質量%である。好ましくは13~23質量%、さらに好ましくは16~20質量%である。このパスタソースの全量に対し11~27質量%で使用することにより本発明の効果を得ることができる。
なお、おからペーストは90質量%程度の水分を含んでいる。本発明において、おからペーストの質量は水分含有量90質量%に換算した値である。
ただし糖類については糖質低下の観点からパスタソースの全量に対し7質量%以下使用することが好ましく、0~1質量%がさらに好ましい。また澱粉類についても糖質低下の観点からパスタソースの全量に対し2質量%以下使用することが好ましく、0~1質量%がさらに好ましい。
例えばミートソースであれば、香味野菜、挽肉等の具材を油で炒めた後、調味料、おからペースト、水を添加し煮込むことで得ることができる。
本発明のパスタソースは、冷凍して保存することができる。
[製造例1 冷凍ミートソースの製造方法]
(1)ニーダーに植物油脂8質量部、香味野菜(たまねぎ)10.3質量部を入れ強火で15分間炒めた後、挽肉24質量部を投入してさらに15分間炒めた。
(2)(1)に食塩1.4質量部、グルタミン酸ナトリウム2.5質量部、赤ワイン6.5質量部、チキンエキス2.0質量部、香辛料0.2質量部、トマトピューレ15質量部、その他の原料を表2~表3に示す配合を投入し、全体が100質量部になるように水の量を調整した。
(3)加熱し、90℃達温後10分間保温した後、120gずつ包装し-35℃で急速凍結し冷凍ミートソースを得、-20℃で7日間冷凍保管した
製造例1で得られた冷凍ミートソースを湯煎で解凍し、全量を茹でたスパゲッティ220gにのせた。熟練のパネラー10名により、表1に記載の評価基準に従って評価し、その平均値を求めた。おからペーストを使わない従来の一般的な配合で製造したミートソース(対照例1)を評価基準の4点とした。また、対照例1の砂糖、加工澱粉、乳化剤を使用せず代わりに人工甘味料、増粘多糖類、セルロースを使用したものを対照例2とした。
結果を表2~表3に示す。
加工澱粉:ヒドロキシプロピル化リン酸架橋タピオカ澱粉、株式会社カーギルジャパン「C☆CreamTex 75710 (シースタークリ-ムテックス75710)
乳化剤:株式会社三菱ケミカルフーズ「リョートーシュガーエステルS-1570」
人工甘味料:味の素株式会社「パルスイート」
増粘多糖類(キサンタンガム):エーディーエムジャパン株式会社「ノヴァザン200メッシュ通常品」
セルロース:旭化成株式会社「セオラスDX-2」
*糖質:パスタソース100gあたりのg数で表す。日本食品標準成分表2015年版(七訂)に従い、砂糖の糖質は99g/100g、加工澱粉の糖質は87g/100g、おからペースト(水分90質量%)の糖質は0.94g/100g、香味野菜(たまねぎ)の糖質は7.2g/100g、赤ワインの糖質は1.5g/100g、チキンエキスの糖質は21.1g/100g、トマトピューレの糖質は8.1g/100g、その他の原料には糖質は含まれないものとして計算した。
比較例1~2では対照例2と同様に対照例1に対してそれぞれ約59%及び約56%低糖質化することができた。しかしながら、比較例1はおからペーストの量が少なく十分な効果が表れず全体的に評価が低かった。また比較例2は離水の点では評価が良かったが、おからの風味が出すぎてしまった点と粘性が高くなってしまい麺と合わせて食べた時にベタつきがあり重くなりすぎてしまった点で評価が良くなかった。
おからペーストの適切な量を含む実施例1~6は、対照例1に対して約59~57%低糖質化することができた。また実施例1~6はいずれも各評価について対照例1と比較して優れた結果であった。特に増粘多糖類を含む実施例1から5は対照例1よりも各評価について非常に高い評価が得られており、特に好ましかった。
(1)ニーダーに植物油脂10質量部、香味野菜(たまねぎ)4質量部を入れ弱火で10分間炒めた。
(2)(1)に食塩1.5質量部、ケチャップ10質量部、トマトペースト20質量部、ポークエキス5.0質量部、香辛料0.2質量部、その他の原料として表4(対照例3又は実施例7)に示す配合を投入し、全体が100質量部になるように水の量を調整した。
(3)加熱し、90℃達温後10分間保温した後、120gずつ包装し-35℃で急速凍結し冷凍ナポリタンソースを得、-20℃で7日間冷凍保管した
製造例2で得られた冷凍ナポリタンソースを湯煎で解凍し、全量を茹でたスパゲッティ220gにのせた。熟練のパネラー10名により、表1に記載の評価基準に従って評価し、その平均値を求めた。おからペーストを使用しない従来の一般的な配合で製造したナポリタンソースを対照例3(評価点4点)とし、砂糖、加工澱粉を使用せずおからペーストを使用し製造した低糖質ソースを実施例7とした。
結果を表4に示す。
(1)ニーダーに植物油脂3質量部、香味野菜(たまねぎ)2質量部を入れ弱火で5分間炒めた。
(2)(1)に食塩1.0質量部、グルタミン酸ナトリウム2.5質量部、醤油15質量部、チキンエキス2.0質量部、香辛料0.2質量部、その他の原料を表4(対照例4又は実施例8)に示す配合を投入し、全体が100質量部になるように水の量を調整した。
(3)加熱し、90℃達温後10分間保温した後、120gずつ包装し-35℃で急速凍結し冷凍和風ソースを得、-20℃で7日間冷凍保管した
製造例3で得られた冷凍和風ソースを湯煎で解凍し、全量を茹でたスパゲッティ220gにのせた。熟練のパネラー10名により、表1に記載の評価基準に従って評価し、その平均値を求めた。おからペーストを使用しない従来の一般的な配合で製造した和風ソースを対照例4(評価点4点)とし、砂糖、加工澱粉を使用せずおからペーストを使用し製造した低糖質ソースを実施例8とした。
結果を表4に示す。
(1)ニーダーに植物油脂5質量部、香味野菜(たまねぎ)3質量部を入れ弱火で15分間炒めた。
(2)(1)に食塩1.4質量部、グルタミン酸ナトリウム2.5質量部、チキンエキス2.0質量部、香辛料0.2質量部、香味油10質量部、その他の原料を表4(対照例5又は実施例9)に示す配合を投入し、全体が100質量部になるように水の量を調整した。
(3)加熱し、90℃達温後10分間保温した後、120gずつ包装し-35℃で急速凍結し冷凍ペペロンチーノソースを得、-20℃で7日間冷凍保管した
製造例4で得られた冷凍ペペロンチーノソースを湯煎で解凍し、全量を茹でたスパゲッティ220gにのせた。熟練のパネラー10名により、表1に記載の評価基準に従って評価し、その平均値を求めた。おからペーストを使用しない従来の一般的な配合で製造したペペロンチーノソースを対照例5(評価点4点)とし、砂糖、加工澱粉を使用せずおからペーストを使用し製造した低糖質ソースを実施例9とした。
結果を表4に示す。
和風ソースについて、実施例8は対照例4に対して約45%低糖質化することができ、各評価項目において優れており好ましかった。
ペペロンチーノソースについて、実施例9は対照例5に対して約85%低糖質化することができ、各評価項目において優れており好ましかった。
Claims (3)
- おからペーストを、パスタソースの全量に対し11~27質量%含み、さらにガム質を含むパスタソースであって、ミートソース、ナポリタンソース、和風ソース、ペペロンチーノソースから選択される前記パスタソース。
- 前記ガム質の量が、パスタソースの全量に対し0.05~0.3質量%である、請求項1に記載のパスタソース。
- おからペーストを、パスタソースの全量に対し15~25質量%含む、請求項1又は2に記載のパスタソース。
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