JP7336243B2 - アルコール飲料、アルコール飲料の製造方法、及び、アルコール飲料の香味改善方法 - Google Patents

アルコール飲料、アルコール飲料の製造方法、及び、アルコール飲料の香味改善方法 Download PDF

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Description

本発明は、アルコール飲料、アルコール飲料の製造方法、及び、アルコール飲料の香味改善方法に関する。
飲料は、香味だけでなく、グラス等に注がれた際に確認できる色味も含めて飲用者に楽しまれることから、飲料にとって色味は重要なファクターである。
したがって、各種飲料を所望の色味とするために、色素が使用される場合がある。
ここで、色素の中でもアントシアニン色素については、安定性の観点から、これまでにも様々な検討がなされてきた。
例えば、特許文献1には、アントシアニン色素に対し、0.1~5.0倍量のグリチルリチン酸又はその塩を添加することを特徴とするアントシアニン色素の安定化法が開示されている。
特開平9-263707号公報
特許文献1のように、アントシアニン色素について安定化の観点から検討された技術は存在していた。
一方、本発明者らは、香味の観点から、飲料におけるアントシアニン色素の影響について検討を進めた。その結果、飲料においてアルコールとアントシアニン色素とが組み合わさることによって、アントシアニン色素を含有していないアルコール飲料では感じ得なかった強烈な「えぐみ」が発生してしまうことを確認した。
そこで、本発明は、えぐみ(アルコールとアントシアニン色素とが組み合わさることによって生じるえぐみ)が低減されたアルコール飲料、アルコール飲料の製造方法、及び、アルコール飲料の香味改善方法を提供することを課題とする。
前記課題は、以下の手段により解決することができる。
(1)アントシアニン色素を含有するアルコール飲料であって、酢酸を含有し、前記酢酸の含有量が0.02~0.15w/v%であるアルコール飲料。
)ルチンを含有する前記1に記載のアルコール飲料。
)アントシアニン色素を含有させるとともに、酢酸を含有させ、前記酢酸の含有量を0.02~0.15w/v%とする工程を含むアルコール飲料の製造方法。
)アントシアニン色素を含有するアルコール飲料のえぐみを低減させる香味改善方法であって、前記アルコール飲料に酢酸を含有させ、前記酢酸の含有量を0.02~0.15w/v%とする香味改善方法。
本発明に係るアルコール飲料は、アルコールとアントシアニン色素とが組み合わさることによって生じるえぐみが低減している。
本発明に係るアルコール飲料の製造方法は、アルコールとアントシアニン色素とが組み合わさることによって生じるえぐみが低減したアルコール飲料を製造することができる。
本発明に係るアルコール飲料の香味改善方法は、アントシアニン色素を含有するアルコール飲料について、アルコールとアントシアニン色素とが組み合わさることによって生じるえぐみを低減することができる。
以下、本発明に係るアルコール飲料、アルコール飲料の製造方法、及び、アルコール飲料の香味改善方法を実施するための形態(本実施形態)について説明する。
[アルコール飲料]
本実施形態に係るアルコール飲料は、アントシアニン色素を含有するアルコール飲料であって、さらに酢酸を含有する飲料である。
ここで、アルコール飲料とは、アルコールを含有する飲料であり、特定の種類の飲料に限定されないものの、アントシアニン色素を含有することから色味に特徴のある飲料、例えば、チューハイテイスト飲料が挙げられる。そして、このチューハイテイスト飲料とは、チューハイのような味わいを呈する飲料、つまり、チューハイの香味が感じられるように香味設計された飲料である。また、チューハイテイスト飲料は、例えば、果実テイスト飲料であってよく、果実テイスト飲料としては、桃、プラム、りんご、ざくろ、ブルーベリー、いちご、ブドウ、カシス、クランベリー、マキベリー、梨、グレープフルーツ、レモン、ライム、オレンジ、ゆず、かぼす等のテイストが挙げられるが、中でもざくろ、ブルーベリー、いちご、ブドウ、カシス、クランベリー、マキベリーが好ましい。なお、チューハイテイスト飲料は、飲料(アルコール飲料又はノンアルコール飲料)に、果汁、フルーツ系フレーバー又はこれらの組み合わせを配合することによって得られるものであってよく、更に酒類系のフレーバーを配合することによって得られるものであってもよい。なお、チューハイの香味には、サワーやカクテルといった香味も含まれる。
(アントシアニン色素)
アントシアニン色素とは、フラボノイドの一種であってアントシアニジンが糖と結合した配糖体であるアントシアニンを含む色素である。また、アントシアニン色素とは、赤、青、紫色といった系統の色を食品に着色することを目的として添加される物質(着色料)である。
アントシアニン色素としては、例えば、ブドウ果汁色素、ムラサキイモ色素、ムラサキトウモロコシ色素、ムラサキヤマイモ色素、アカキャベツ色素、アカゴメ色素、アカダイコン色素、ウグイスカグラ色素、エルダーベリー色素、カウベリー色素、グースベリー色素、クランベリー色素、サーモンベリー色素、シソ色素、ストロベリー色素、ダークスイートチェリー色素、チェリー色素、チンブルベリー色素、デュベリー色素、ハイビスカス色素、ハクルベリー色素、ブラックカーラント色素、ブラックベリー色素、プラム色素、ブルーベリー色素、ボイセンベリー色素、ホワートルベリー色素、マルベリー色素、モレロチェリー色素、ラズベリー色素、レッドカーラント色素、ローガンベリー色素といった色素を挙げることができ、これらの中でも、特にブドウ果汁色素、および、ムラサキイモ色素の少なくとも1つを好適に用いることができる。
アルコール飲料のアントシアニン色素の含有量は、飲料の波長520nmにおける光の吸光度(以下、適宜、単に「飲料の吸光度」という)によって判断できる。
アントシアニン色素の含有量は、特に限定されないものの、アントシアニン色素の含有量(厳密には、アントシアニンの含有量)の指標となる飲料の吸光度は、0.04以上が好ましく、0.08以上、0.10以上、0.15以上、0.18以上、0.20以上、0.22以上、0.24以上がより好ましい。飲料の吸光度が所定値以上であることによって、本発明の課題(えぐみの増強)がより明確となる。一方、飲料の吸光度の上限は、例えば、0.50以下、0.40以下、0.35以下、0.33以下、0.31以下、0.29以下が挙げられる。
なお、飲料の吸光度は、公知の吸光度測定装置によって測定することができる。
(アルコール)
本実施形態に係るアルコール飲料は、アルコールを含有する。
アルコールは飲用することができるアルコールであればよく、本発明の所望の効果が阻害されない範囲であれば、種類、製法、原料などに限定されることがないが、蒸留酒又は醸造酒であることが好ましい。蒸留酒としては、例えば、焼酎、ブランデー、ウォッカ、ウイスキー等の各種スピリッツ、原料用アルコール等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。醸造酒としては、例えば、ビール、発泡酒、果実酒、甘味果実酒などを1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、本明細書においてアルコールとは、特に明記しない限り、エタノールのことをいう。
(アルコール度数)
アルコール度数は特に限定されないものの、1%(v/v%)以上が好ましく、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上がより好ましい。アルコール度数が所定値以上であることによって、本発明の課題(えぐみの増強)がより明確となる。一方、アルコール度数の上限は、例えば、12%以下、10%未満、9%以下である。
なお、本実施形態に係るアルコール飲料のアルコール度数は、例えば、国税庁所定分析法(訓令)3清酒3-4アルコール分(振動式密度計法)に基づいて測定することができる。
(酢酸)
酢酸とは、カルボン酸の一種であり、エタン酸(ethanoic acid)とも呼ばれる。
そして、酢酸は、驚くべきことに、アルコールとアントシアニン色素とが組み合わさることによって生じる「えぐみ」を低減させる効果を発揮する。また、酢酸は、アントシアニン色素を含有するアルコール飲料の後味のキレを増強させる効果も発揮する。
酢酸は、アントシアニン色素を含有するアルコール飲料に対して微量でも含有させれば、前記したえぐみを低減するという効果は発揮されるものの、酢酸の含有量は次のような範囲とするのが好適である。
酢酸の含有量は、0.02w/v%以上が好ましく、0.03w/v%以上、0.04w/v%以上、0.06w/v%以上、0.07w/v%以上、0.08w/v%以上、0.09w/v%以上がより好ましい。酢酸の含有量が所定値以上であることによって、前記したえぐみの低減効果および後味のキレの増強効果をより強く発揮させることができる。
酢酸の含有量は、0.15w/v%以下が好ましく、0.13w/v%以下、0.12w/v%以下、0.11w/v%以下、0.10w/v%以下がより好ましい。酢酸の含有量が所定値以下であることによって、口内に酢酸の香味が後に残ってしまい、後味のキレが悪くなるといった事態の発生を抑制することができる。
なお、アルコール飲料の酢酸の含有量は、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定することができる。
(ルチン)
ルチンは、フラボノイドの一種であり、クェルセチン-3-ルチノシド(quercetin-3-rutinoside)とも呼ばれる。
そして、ルチンは、アントシアニン色素及び酢酸を含有するアルコール飲料に含有させると、飲料としての飲み口がスムーズになり、口当たりを良くすることができる。
なお、ルチンの由来については特に限定されないが、ルチンを含有する各植物のエキス、例えば、エンジュ、ソバ、イチジク、などのエキスを挙げることができ、これらの中でも、特にエンジュエキスを好適に用いることができる。
ルチンの含有量については、30ppm(mg/L)以上が好ましく、40ppm以上、50ppm以上、60ppm以上がより好ましい。ルチンの含有量が所定値以上であることによって、口当たりを良くするという効果をより強く発揮させることができる。
ルチンの含有量については、150ppm以下が好ましく、100ppm以下、80ppm以下、75ppm以下がより好ましい。ルチンの含有量が所定値以下であることによって、アルコール飲料としての香味のバランスを好ましい状態とすることができる。
(発泡性)
本実施形態に係るアルコール飲料は、発泡性のものでも、非発泡性のものでもよい。ここで、本実施形態における発泡性とは、20℃におけるガス圧が49kPa以上であることをいい、非発泡性とは、20℃におけるガス圧が49kPa未満であることをいう。
(その他)
本実施形態に係るアルコール飲料は、本発明の所望の効果が阻害されない範囲で飲料として通常配合される甘味料、高甘味度甘味料、酸化防止剤、香料、酸味料、塩類、食物繊維など(以下、適宜「添加剤」という)を含有していてもよい。甘味料としては、例えば、果糖ぶどう糖液糖、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトースなどを用いることができる。高甘味度甘味料としては、例えば、ネオテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、チクロ、ズルチン、ステビア、グリチルリチン、ソーマチン、モネリン、アスパルテーム、アリテームなどを用いることができる。酸化防止剤としては、例えば、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなどを用いることができる。酸味料としては、例えば、アジピン酸、クエン酸三ナトリウム、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL-酒石酸、L-酒石酸、DL-酒石酸ナトリウム、L-酒石酸ナトリウム、二酸化炭素、乳酸、乳酸ナトリウム、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、DL-リンゴ酸、DL-リンゴ酸ナトリウム、リン酸などを用いることができる。塩類としては、例えば、食塩、酸性りん酸カリウム、酸性りん酸カルシウム、りん酸アンモニウム、硫酸カルシウム、メタ重亜硫酸カリウム、塩化カルシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウムなどを用いることができる。食物繊維としては、例えば、難消化性デキストリン、ペクチン、ポリデキストロース、グアーガム分解物などを用いることができる。
また、本実施形態に係るアルコール飲料は、本発明の所望の効果が阻害されない範囲で、各種香料、各種果汁などを含有してもよい。
そして、前記したアントシアニン色素、酢酸、ルチン、添加剤などは、一般に市販されているものを使用することができる。
(容器詰めアルコール飲料)
本実施形態に係るアルコール飲料は、各種容器に入れて提供することができる。各種容器にアルコール飲料を詰めることにより、長期間の保管による品質の劣化を好適に防止することができる。
なお、容器は密閉できるものであればよく、金属製(アルミニウム製又はスチール製など)のいわゆる缶容器・樽容器を適用することができる。また、容器は、ガラス容器、ペットボトル容器、紙容器、パウチ容器などを適用することもできる。容器の容量は特に限定されるものではなく、現在流通しているどのようなものも適用することができる。なお、気体、水分および光線を完全に遮断し、長期間常温で安定した品質を保つことが可能な点から、金属製の容器を適用することが好ましい。
以上説明したように、本実施形態に係るアルコール飲料は、アントシアニン色素を含有するだけでなく、酢酸も含有することから、アルコールとアントシアニン色素が組み合わさることによって生じる「えぐみ」を低減させることができるとともに、後味のキレも良くすることができる。
また、本実施形態に係るアルコール飲料は、ルチンを含有することから、口当たりを良くすることもできる。
[アルコール飲料の製造方法]
次に、本実施形態に係るアルコール飲料の製造方法を説明する。
本実施形態に係るアルコール飲料の製造方法は、混合工程と、後処理工程と、を含む。
混合工程では、混合タンクに、水、アントシアニン色素、酢酸、ルチン、飲用アルコール、添加剤などを適宜投入して混合後液を製造する。
この混合工程において、酢酸の含有量などが前記した所定範囲内となるように各原料を混合し、調整すればよい。
そして、後処理工程では、例えば、ろ過、殺菌、炭酸ガスの付加、容器への充填などの処理を必要に応じて選択的に行う。
なお、後処理工程のろ過処理は、一般的なフィルター又はストレーナーによって行うことができる。また、後処理工程の殺菌処理は、処理速度等の観点から、プレート殺菌によって行うのが好ましいが、同様の処理を行うことができるのであればこれに限定されることなく適用可能である。また、後処理工程の充填処理は、飲料品の製造において通常行われる程度にクリーン度を保ったクリーンルームにおいて充填するのが好ましい。そして、後処理工程での各処理の順序は特に限定されない。
なお、混合工程及び後処理工程において行われる各処理は、RTD飲料などを製造するために一般的に用いられている設備によって行うことができる。
以上説明したように、本実施形態に係るアルコール飲料の製造方法は、アントシアニン色素だけでなく酢酸も含有させる工程を含むことから、アルコールとアントシアニン色素が組み合わさることによって生じる「えぐみ」が低減しているとともに、後味のキレの良いアルコール飲料を製造することができる。
[アルコール飲料の香味改善方法]
次に、本実施形態に係るアルコール飲料の香味改善方法を説明する。
本実施形態に係るアルコール飲料の香味改善は、アントシアニン色素を含有するアルコール飲料のえぐみを低減させる香味改善方法であって、アルコール飲料に酢酸を含有させる方法である。
なお、各成分の含有量等については、前記した「アルコール飲料」において説明した値と同じである。
以上説明したように、本実施形態に係るアルコール飲料の香味改善方法は、アントシアニン色素を含有するアルコール飲料に酢酸を含有させることから、アルコールとアントシアニン色素が組み合わさることによって生じる「えぐみ」を低減させるとともに、後味のキレを良くすることができる。
次に、本発明の要件を満たす実施例とそうでない比較例とを例示して、本発明について説明する。
[サンプルの準備]
表に示す量となるように、ウォッカ、ブドウ果汁色素(三栄源エフ・エフ・アイ社製「サンレッドGRF」)、ムラサキイモ色素(三栄源エフ・エフ・アイ社製「サンレッドYMF」)、酢酸、エンジュエキス、果糖ぶどう糖液糖、クエン酸(無水)、クエン酸三ナトリウム、アセスルファムK(MCフードスペシャリティーズ社製「サネット」)、ザクロ香料、炭酸水を適宜配合してサンプルを準備した。
なお、サンプルの20℃におけるガス圧(全圧)は表のとおり2.0kg/cm(≒196.13kPa)であった。
[サンプルの測定]
サンプル4-1、4-2については、吸光度の測定を実施した。
詳細には、前記の方法により製造したサンプル4-1、4-2について、吸光度測定装置(島津製作所社製UVSPECTROPHOTOMETER UV-1800)を用いて波長520nmの光の吸光度を測定(サンプルのpHが表に示す値の状態(約3.4)で測定)した。
なお、各サンプルに含まれる物質のうち、波長520nmの光の吸光度の結果を左右する物質はブドウ果汁色素とムラサキイモ色素のみであるから、サンプル4-1と同量のブドウ果汁色素を添加した他のサンプルの吸光度は、サンプル4-1の吸光度と同じ値を示すと推定できる。
[試験内容]
前記の方法により製造した各サンプルについて、訓練された識別能力のあるパネル6名が下記評価基準に則って「アルコールとアントシアニン色素とが組み合わさって生じるえぐみ」、「後味のキレ」、「アルコール飲料としての香味のバランス」、「口当たり」について、1~5点の5段階評価で独立点数付けし、その平均値を算出した。
なお、全ての評価は、サンプルを飲んで評価した。
(アルコールとアントシアニン色素とが組み合わさって生じるえぐみ:評価基準)
アルコールとアントシアニン色素とが組み合わさって生じるえぐみ(以下、適宜「えぐみ」と示し、表でも「えぐみ」と示す)の評価は、まず、サンプル1-1とサンプル1-2との香味の違いを確認した。そして、サンプル1-2を飲んだ際、サンプル1-1を飲んだ際には感じることができなかった「えぐみ」を5点と評価し、この5点を基準とした。
そして、「えぐみが非常に弱い」場合を1点、「えぐみが非常に強い(サンプル1-2と同程度に強い)」場合を5点と評価した。なお、えぐみの評価については、点数が低いほど、えぐみが低減されており好ましいと判断できる。
ここで、「えぐみ」とは、アントシアニン色素を含有しないサンプル1-1では一切感じることができなかった香味であって、サンプル1-2のようにアルコールとアントシアニン色素とが組み合わさってはじめて生じる収れん味である。
(後味のキレ:評価基準)
後味のキレの評価については、「後味のキレが非常に弱い」場合を1点、「後味のキレが非常に強い」場合を5点として5段階で評価した。なお、後味のキレの評価については、点数が高いほど、後味にキレがあり好ましいと判断できる。
ここで、後味のキレが強いとは、後味が口腔内に残らない状態のことである。
(アルコール飲料としての香味のバランス)
アルコール飲料としての香味のバランス(以下、適宜「香味のバランス」と示し、表でも「香味のバランス」と示す)の評価については、「香味のバランスが非常に悪い」場合を1点、「香味のバランスが非常に良い」場合を5点として5段階で評価した。
ここで、香味のバランスが良いとは、アルコール飲料としての香味のバランスがとれている状態のことである。
(口当たり:評価基準)
口当たりの評価については、「口当たりが非常に悪い」場合を1点、「口当たりが非常に良い」場合を5点として5段階で評価した。
ここで、口当たりが良いとは、飲料としての飲み口がスムーズである状態のことである。
表に、各サンプルの配合量等を示すとともに、各評価の結果を示す。なお、表に示す各成分の数値は、最終製品における含有量である。
なお、表3のNo.3-2のルチンの含有量は、添加したエンジュエキスに含まれるルチンの含有割合に基づいて算出すると69ppm(mg/L)となる。
Figure 0007336243000001
Figure 0007336243000002
Figure 0007336243000003
Figure 0007336243000004
Figure 0007336243000005
(結果の検討)
表1のサンプル1-1と1-2との香味を確認したところ、評価基準でも記載したとおり、アルコール飲料にアントシアニン色素を含有させていないサンプル1-1と、アルコール飲料にアントシアニン色素を含有させたサンプル1-2とでは、香味に関して大きな違いが生じることがわかった。
詳細には、サンプル1-2では、サンプル1-1を飲んだ際には感じることができなかった「えぐみ」が感じられた。このことから、サンプル1-2で感じた「えぐみ」は、アルコールとアントシアニン色素とが組み合わさってはじめて生じる「えぐみ」であることが確認できた。
表2の結果から、酢酸を含有させると、えぐみが低減することが確認できた。そして、サンプル2-3~2-7の場合(特にサンプル2-5~2-7の場合)に、えぐみを低減するという効果の観点において、非常に好ましい結果が得られた。
また、表2の結果から、酢酸を所定範囲で含有させると、後味のキレが強く、香味のバランスも良くなることが確認できた。そして、サンプル2-2~2-6の場合(特にサンプル2-4、2-5の場合)に、後味のキレおよび香味のバランスの観点において、非常に好ましい結果が得られた。
表3の結果から、ルチンを含むエンジュエキスを含有させることによって、口当たりが良くなることが確認できた。
表4の結果から、アントシアニン色素として、ブドウ果汁色素を使用しようとも、ムラサキイモ色素を使用しようとも、同様の効果が得られることが確認できた。この結果から、アルコール飲料に含有されるアントシアニン色素について、どのような種類のものを使用しても同様の結果が得られるであろうことが推察できた。
表5のサンプル5-1は、実際のチューハイテイスト飲料の製品を想定したサンプルであるが、このサンプルの結果から、実際の製品に本発明を適用した場合であっても、所望の効果が発揮されることが確認できた。

Claims (4)

  1. アントシアニン色素を含有するアルコール飲料であって、
    酢酸を含有し、
    前記酢酸の含有量が0.02~0.15w/v%であるアルコール飲料。
  2. ルチンを含有する請求項1に記載のアルコール飲料。
  3. アントシアニン色素を含有させるとともに、酢酸を含有させ、前記酢酸の含有量を0.02~0.15w/v%とする工程を含むアルコール飲料の製造方法。
  4. アントシアニン色素を含有するアルコール飲料のえぐみを低減させる香味改善方法であって、
    前記アルコール飲料に酢酸を含有させ、前記酢酸の含有量を0.02~0.15w/v%とする香味改善方法。
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ウェブサイト「缶缶辞典」に掲載された「直球勝負・巨峰|キレ味抜群、みずみずしい果実感!(No.20061)」の情報,[オンライン],2017年,検索日:2023年 3月 3日,インターネット<URL:https://www.cancanziten.com/?can=20061>
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園芸学会雑誌,1989年,58(3),pp.587-594

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