JP7334214B2 - 端子部品、該端子部品の製造方法、および二次電池 - Google Patents
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Description
図1は、リチウムイオン二次電池10の部分断面図である。図1では、略直方体の電池ケース41の片側の幅広面に沿って、内部を露出させた状態が描かれている。図1に示されたリチウムイオン二次電池10は、いわゆる密閉型電池である。図2は、図1のII-II断面を示す断面図である。図2では、略直方体の電池ケース41の片側の幅狭面に沿って内部を露出させた状態の部分断面図が模式的に描かれている。
電極体20は、絶縁フィルム(図示は省略)などで覆われた状態で、電池ケース41に収容されている。電極体20は、正極要素としての正極シート21と、負極要素としての負極シート22と、セパレータとしてのセパレータシート31,32とを備えている。正極シート21と、第1のセパレータシート31と、負極シート22と、第2のセパレータシート32とは、それぞれ長尺の帯状の部材である。
電池ケース41は、図1に示されているように、電極体20を収容している。電池ケース41は、一側面が開口した略直方体の角形形状を有するケース本体41aと、開口に装着された蓋41bとを有している。この実施形態では、ケース本体41aおよび蓋41bは、軽量化と所要の剛性を確保するとの観点で、それぞれアルミニウムまたはアルミニウムを主体とするアルミニウム合金で形成されている。
ケース本体41aは、図1および図2に示されているように、一側面が開口した略直方体の角形形状を有している。ケース本体41aは、略矩形の底面部61と、一対の幅広面部62,63と、一対の幅狭面部64,65とを有している。一対の幅広面部62,63は、それぞれ底面部61のうち長辺から立ち上がっている。一対の幅狭面部64,65は、それぞれ底面部61のうち短辺から立ち上がっている。ケース本体41aの一側面には、一対の幅広面部62,63と一対の幅狭面部64,65で囲まれた開口41a1が形成されている。
蓋41bは、一対の幅広面部62,63の長辺と、一対の幅狭面部64,65の短辺とで囲まれたケース本体41aの開口41a1に装着される。そして、蓋41bの周縁部が、ケース本体41aの開口41a1の縁に接合される。かかる接合は、例えば、隙間がない連続した溶接によるとよい。かかる溶接は、例えば、レーザー溶接によって実現されうる。
ガスケット71は、図3に示されているように、蓋41bの取付孔41b1および座面41b3に取り付けられる部材である。この実施形態では、ガスケット71は、座部71aと、ボス部71bと、側壁71cとを備えている。座部71aは、蓋41bの取付孔41b1周りの外側面に設けられた座面41b3に装着される部位である。座部71aは、座面41b3に合わせて略平坦な面を有する。座部71aは、座面41b3の突起41b4に応じた凹みを備えている。ボス部71bは、座部71aの底面から突出している。ボス部71bは、蓋41bの取付孔41b1に装着されるように取付孔41b1の内側面に沿った外形形状を有している。ボス部71bの内側面は、外部端子43bの軸部43b2が装着される装着孔となる。側壁71cは、座部71aの周縁から上方に立ち上がっている。外部端子43bの頭部43b1は、ガスケット71の側壁71cで囲まれた部位に装着される。
インシュレータ72は、蓋41bの取付孔41b1の周りにおいて、蓋41bの内側に装着される部材である。インシュレータ72は、ベース部72aと、孔72bと、側壁72cとを備えている。ベース部72aは、蓋41bの内側面に沿って配置される部位である。この実施形態では、ベース部72aは、略平板状の部位である。ベース部72aは、蓋41bの内側面に沿って配置され、ケース本体41aに収められるように、蓋41bからはみ出ない程度の大きさを有している。孔72bは、取付孔41b1に対応して設けられた孔である。この実施形態では、孔72bは、ベース部72aの略中央部に設けられている。蓋41bの内側面に対向する側面において、孔72bの周りには凹んだ段差72b1が設けられている。段差72b1には、取付孔41b1に装着されたガスケット71のボス部71bの先端が干渉しないように収められる。側壁72cは、ベース部72aの周縁部から下方に立ち上がっている。ベース部72aには、負極の内部端子43aの一端に設けられる基部43a1が収められる。インシュレータ72は、電池ケース41の内部に配置されるため、所要の耐薬品性を備えているとよい。この実施形態では、インシュレータ72には、PPSが用いられている。PPSは、ポリフェニレンサルファイド樹脂(Poly Phenylene Sulfide Resin)である。なお、インシュレータ72に用いられる材料は、PPSに限定されない。
図4は、端子部品200を模式的に示す断面図である。端子部品200は、図3に示された負極の外部端子43bに用いられうる。図4では、端子部品200について、異種金属の構造や異種金属の界面が模式的に示されている。また、図4では、端子部品200を構成する第1金属201と第2金属202とが接合される工程が模式的に示されている。
S1 金属用意工程;
S2 重ね合わせ工程;
S3 加圧工程;
S4 通電工程;および、
S5 冷却工程
を有している。
金属用意工程S1では、第1金属201と第2金属202とを用意する。図4に示されているように、第1金属201は、平板状であり、凹部201aを有している。この実施形態では、凹部201aの側面201a3は、開口201a1から底部201a2に向かって徐々に広がるように傾斜したテーパ面である。即ち、凹部201aは、開口201a1よりも内部が広くなっている。第1金属は、例えば、アルミニウム板またはアルミニウム合金板に対して、従来公知の金属加工を行うことで用意することができる。
重ね合わせ工程S2では、第1金属201と、第2金属202とを重ね合わせる。この実施形態では、第1金属201の凹部201aに、第2金属202の一部(具体的には、フランジ部202b)を入り込ませ、両者を機械的に接合する。例えば、第2金属202の端面202a1に第1金属201を重ねた状態で、プレス機等を用いて所要のプレス圧を加える。このとき、第1金属201は塑性変形し、第2金属202のフランジ部202bを含んだ部分は凹部201aに入り込む。図4に示されているように、第2金属202の端面202a1は、第1金属201の凹部201aに収められる。第1金属201と第2金属202には、いわゆるかしめ構造が形成される。第1金属201と第2金属202とがこのように機械的に締結されることによって、第1金属201と第2金属202との高い接合強度が実現される。
加圧工程S3では、第1金属201と第2金属202との重ね合わせ部分に圧力を加える。加圧することによって、上記重ね合わせ部分の抵抗を局所的に上昇させる。上記重ね合わせ部分は、例えば、第1金属201の凹部201aの底部201a2と、第2金属202の端面202a1との重ね合わせ部分である。この実施形態では、いわゆる抵抗溶接を行う。抵抗溶接によって、第1金属201と第2金属202との接触界面を、金属の拡散によって接合する。図4に示されているように、第1金属201と第2金属202との重ね合わせ部分を、電極301,302で挟み込む。このとき、電極302と第1金属201とを接触させ、かつ、電極301と第2金属202とを接触させた状態で、上記重ね合わせ部分に所定の圧力を加える。このときの圧力は、4N/mm2以上50N/mm2以下(4MPa~50MPa)とすることができ、例えば5N/mm2以上30N/mm2以下(5MPa~30MPa)とすることが好ましく、10N/mm2以上20N/mm2以下(10MPa~20MPa)とすることがより好ましい。
通電工程S4では、上記のように、圧力が付与された状態で、第1金属201と第2金属202とに通電する。具体的には、上記のとおり第1金属201および第2金属202にそれぞれ押し当てた電極301と電極302との間を通電する。
冷却工程では、第1金属201と第2金属202との接触界面を冷却する。この実施形態では、上記工程S4における通電開始から所定期間経過後、当該通電を停止する。通電を停止すると、通電経路が冷却する。通電工程S4を経て、接合部203が形成される。なお、通電を停止する時、上記加圧も停止するとよい。このようにして、端子部品200を製造することができる。
第1金属201として、図4に示される断面形状の板状アルミニウム部材(純度99.5%)を用意した。第2金属202として、同図に示される断面形状の銅製部材(純度99.5%)を用意した。これらの部材を上述の手順を用いて機械的に接合した。
-例1-
上記のように用意したサンプルの第1金属201に電極302、第2金属202に電極301をそれぞれ当てて、第1金属201と第2金属202との重ね合わせ部分に15N/mm2の圧力を加えた(加圧工程)。次いで、上記圧力が付与された状態で、第1金属201と第2金属202とに8kAの電流Iaで50ミリ秒間通電した(第1通電工程)。次いで、10.5kAの電流Ibで100ミリ秒間の通電を行った(第2通電工程)。その後、通電を停止した(冷却工程)。このようにして、例1に係る端子部品を製造した。
第1通電工程での電流Iaおよび通電期間と、第2通電工程での電流Ibおよび通電期間と、を表1の該当欄に示されるものとしたこと以外は例1と同じ材料および手順を用いて各例に係る端子部品を製造した。
第1通電工程を実施しなかった。また、第2通電工程での電流Ibおよび通電期間と、を表1の該当欄に示されるものとした。それ以外は例1と同じ材料および手順を用いて各例に係る端子部品を製造した。なお、表1の「第1通電工程」欄における「-」の記載は当該工程の不実施を示している。
加圧工程における圧力を4.5N/mm2としたこと以外は例1と同じ材料および手順を用いて例7に係る端子部品を製造した。
各例に係る端子部品について、第1金属201と第2金属202との接合界面の断面SEM観察に供する試料を調製した。図7は、端子部品200の平面図である。試料の調製について、まず、各例に係る端子部品を樹脂に埋め込み、研磨加工を施した。そして、図7に示されている端子部品200について、第1金属201と第2金属202との接合部203の断面を観察可能なように観察用試料を用意した。このようにして得られた試料を用いて、SEM観察画像を取得した。代表的な画像を図8~12に示す。図8は、例1のSEM観察画像である。図9は、例2のSEM観察画像である。図10は、例3のSEM観察画像である。図11は、例5のSEM観察画像である。図12は、例6のSEM観察画像である。各図のスケールバーは、いずれも10μmを示している。また、図8~12の符号に関して、201は第1金属であり、202は第2金属であり、401は第1層であり、および、402は第2層である。
上記のように得られたSEM観察画像を用いて、上述のとおり、第1層401および第2層402(図6参照)の厚みを測定した。また、測定された各層の厚みから、第1層401の厚みを1としたときの第2層402の厚み(すなわち、厚みD1と厚みD2との比(D2/D1))を算出した。それぞれ、結果を表1の該当欄に示す。なお、表1の「第1層」の「厚み(μm)」欄における「-」の記載は、第1層が1μm以下であったことを示しており、「比(D2/D1)」欄における「-」の記載はこれによって当該比が算出されなかったことを示している。
上記の試料を用いて、EDSによる元素マッピングを行い、任意のSEM観察視野内における銅元素およびアルミニウム元素の存在比率から、各層の組成を分析した。EDS装置としては、日本電子社製のEDS装置を使用した。結果を表1の「組成」欄に示す。
各例に係る端子部品について、第1金属201と第2金属202との接合強度を測定した。接合強度の測定方法には、市販の引張試験機を使用した。第1金属201および第2金属202のカシメ片となる部位202cをそれぞれ上記引張試験機のクランプで把持した(図4参照)。そして、第1金属201および第2金属202が相互に離れるように引張試験機で引張り、両者の接合部が破断する強度を接合強度(N)として測定した。結果を表1の「接合強度(N)」欄に示す。なお、当該欄に記載の数値が高いほど接合強度が高いことを示しており、この実施形態では、10N以上である場合に、「接合強度が高い」と評価している。
20 電極体
21 正極シート
21a 正極集電箔
21a1 未形成部
21b 正極活物質層
22 負極シート
22a 負極集電箔
22a1 未形成部
22b 負極活物質層
31 セパレータシート
32 セパレータシート
41 電池ケース
41a ケース本体
41a1 開口
41b 蓋
41b1 取付孔
41b2 段差
41b3 座面
41b4 突起
42 正極端子
42a 内部端子
42b 外部端子
43 負極端子
43a 内部端子
43a1 基部
43a2 接続片
43b 外部端子
43b1 頭部
43b2 軸部
43b3 カシメ片
61 底面部
62 幅広面部
63 幅広面部
64 幅狭面部
65 幅狭面部
71 ガスケット
71a 座部
71b ボス部
71c 側壁
72 インシュレータ
72a ベース部
72b 孔
72b1 段差
72c 側壁
200 端子部品
201 第1金属
201a 凹部
201a1 開口
201a2 底部
201a3 側面
202 第2金属
202a 軸部
202a1 端面
202b フランジ部
202b1 外縁
202c カシメ片となる部位
202e 接合予定部
203 接合部
301 電極
302 電極
401 第1層
402 第2層
Claims (12)
- アルミニウムまたはアルミニウム合金で構成されている第1金属と、銅または銅合金で構成されている第2金属と
を備え、
前記第1金属と前記第2金属との接合界面は、
前記第2金属側に設けられた、アルミニウムと銅とで構成される第1金属間化合物を含む第1層と、
前記第1層よりも前記第1金属側に設けられた、アルミニウムと銅とで構成される前記第1金属間化合物と異なる第2金属間化合物を含む第2層と、
を有しており、
ここで、前記第2層では、前記第2金属間化合物が樹枝状に成長しており、該樹枝状の当該第2金属間化合物の間隙に、前記第1金属を構成するアルミニウムまたはアルミニウム合金が入り込んでいる、端子部品。 - 前記第2金属間化合物におけるアルミニウムの含有量は、前記第1金属間化合物におけるアルミニウムの含有割合よりも大きい、請求項1に記載の端子部品。
- 前記第2層の厚みは、前記第1層の厚みよりも大きい、請求項1または2に記載の端子部品。
- 前記第1層の厚みを1としたときに、前記第2層の厚みは、1以上5以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の端子部品。
- 前記第2金属間化合物は、CuAl2である、請求項1~4のいずれか一項に記載の端子部品。
- 前記第1金属間化合物は、Cu9Al4である、請求項1~5のいずれか一項に記載の端子部品。
- 正極および負極を有する電極体と、
前記電極体を収容する電池ケースと、
前記正極に取り付けられた正極端子と、
前記負極に取り付けられた負極端子と、
を備え、
前記正極端子および前記負極端子の少なくともいずれか一方が、請求項1~6のいずれか一項に記載の端子部品を備える、二次電池。 - アルミニウムまたはアルミニウム合金で構成されている第1金属と、銅または銅合金で構成されている第2金属とを重ね合わせる重ね合わせ工程と、
前記第1金属と前記第2金属との重ね合わせ部分に圧力を加える加圧工程と、
前記圧力が付与された状態で、前記第1金属と前記第2金属とに通電する通電工程と、
を有しており、
前記通電工程を経て、
前記第1金属と前記第2金属との接合界面に、以下の2つの層:
前記第2金属側に設けられた、アルミニウムと銅とで構成される第1金属間化合物を含む第1層;および、
前記第1層よりも前記第1金属側に設けられた、アルミニウムと銅とで構成される、前記第1金属間化合物と異なる第2金属間化合物を含む第2層;
が形成され、
ここで、前記第2層では、前記第2金属間化合物が樹枝状に成長しており、該樹枝状の当該第2金属間化合物の間隙に、前記第1金属を構成するアルミニウムまたはアルミニウム合金が入り込んでいる、端子部品の製造方法。 - 前記第2金属間化合物におけるアルミニウムの含有量は、前記第1金属間化合物におけるアルミニウムの含有割合よりも大きい、請求項8に記載の製造方法。
- 前記通電工程は、電流Iaを流す第1通電工程と、電流Ibを流す第2通電工程と、を備えており、
前記電流Iaは、前記電流Ibよりも小さい、請求項8または9に記載の製造方法。 - 前記通電工程における合計通電時間は、20ミリ秒以上200ミリ秒以下である、請求項8~10のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記圧力は、5N/mm2以上30N/mm2以下である、請求項8~11のいずれか一項に記載の製造方法。
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