JP7331310B2 - 免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物の保存時間経過による免疫賦活活性の低下を抑制するための組成物 - Google Patents
免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物の保存時間経過による免疫賦活活性の低下を抑制するための組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7331310B2 JP7331310B2 JP2019102518A JP2019102518A JP7331310B2 JP 7331310 B2 JP7331310 B2 JP 7331310B2 JP 2019102518 A JP2019102518 A JP 2019102518A JP 2019102518 A JP2019102518 A JP 2019102518A JP 7331310 B2 JP7331310 B2 JP 7331310B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- vitamin
- calcium
- composition
- lactic acid
- immunostimulatory activity
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
- Non-Alcoholic Beverages (AREA)
- Medicinal Preparation (AREA)
- Cosmetics (AREA)
- Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
Description
本発明の目的は、(1)酸性液体組成物における免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物の保存時間経過による免疫賦活活性の低下を抑制するための組成物、(2)酸性液体組成物における免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物の保存時間経過による免疫賦活活性の低下を抑制する方法、及び(3)酸性液体組成物における免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物の保存時間経過による免疫賦活活性の低下が抑制されている組成物から選択される1つ以上を提供することである。
[1](1)ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩からなる群より選択される1種又は2種以上を含有することを特徴とする組成物であって、(2)免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物を含有する酸性液体組成物における、保存時間経過による前記免疫賦活活性の低下を抑制するための組成物。
[2]免疫賦活活性を有する乳酸菌が、ラクトバチルス・プランタラムL-137であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
[3]ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩からなる群より選択される1種又は2種以上が、(i)ビタミンD、(ii)カルシウム又はその塩、(iii)ビタミンD及びビタミンE、(iv)ビタミンD及びカルシウム又はその塩、(v)ビタミンE及びカルシウム又はその塩及び(vi)ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩のいずれかであることを特徴とする、前記[1]又は[2]に記載の組成物。
[4]乳酸菌又はその処理物が、死菌体であることを特徴とする、前記[1]~[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]酸性液体組成物が、乳由来成分を含有しないことを特徴とする、前記[1]~[4]のいずれかに記載の組成物。
[6]酸性液体組成物において、免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物とビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩からなる群より選択される1種又は2種以上とを混合する工程を含有することを特徴とする、免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物の保存時間経過による免疫賦活活性の低下を抑制する方法。
[7]免疫賦活活性を有する乳酸菌が、ラクトバチルス・プランタラムL-137であることを特徴とする前記[6]に記載の方法。
[8]ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩からなる群より選択される1種又は2種以上が、(i)ビタミンD、(ii)カルシウム又はその塩、(iii)ビタミンD及びビタミンE、(iv)ビタミンD及びカルシウム又はその塩、(v)ビタミンE及びカルシウム又はその塩及び(vi)ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩のいずれかであることを特徴とする、前記[6]又は[7]に記載の方法。
[9]乳酸菌又はその処理物が、死菌体であることを特徴とする、前記[6]~[8]のいずれかに記載の方法。
[10]酸性液体組成物が、乳由来成分を含有しないことを特徴とする、前記[6]~[9]のいずれかに記載の方法。
[11](i)ビタミンD、(iii)ビタミンD及びビタミンE、(iv)ビタミンD及びカルシウム又はその塩、(v)ビタミンE及びカルシウム又はその塩及び(vi)ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩のいずれか、並びに免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物を含有することを特徴とする、酸性液体組成物。
[12](i)ビタミンD、(ii)カルシウム又はその塩、(iii)ビタミンD及びビタミンE、(iv)ビタミンD及びカルシウム又はその塩、(v)ビタミンE及びカルシウム又はその塩及び(vi)ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩のいずれか、並びに免疫賦活活性を有する乳酸菌の死菌体を含有することを特徴とする、酸性液体組成物。
[13]免疫賦活活性を有する乳酸菌が、ラクトバチルス・プランタラムL-137であることを特徴とする前記[11]又は[12]に記載の組成物。
[14]液体組成物が、乳由来成分を含有しないことを特徴とする、前記[11]~[13]のいずれかに記載の組成物。
[15]組成物全体に対するビタミンD及び/又はビタミンEの含有割合が、それぞれ0.0000015~0.0000050%、0.0015~0.0050%(w/v)であることを特徴とする、前記[11]~[14]のいずれかに記載の組成物。
[16]組成物全体に対するカルシウム又はその塩の含有割合が、カルシウムとして0.015~0.075%(w/v)であることを特徴とする、前記[11]~[15]のいずれかに記載の組成物。
[17]組成物中の乳酸菌とカルシウムの質量比が1:1~20であることを特徴とする、前記[11]~[16]のいずれかに記載の組成物。
[18]組成物中の乳酸菌とビタミンDの質量比が1:0.0001~0.001であることを特徴とする、前記[11]~[17]のいずれかに記載の組成物。
[19]組成物中の乳酸菌とビタミンEの質量比が1:0.1~1であることを特徴とする、前記[11]~[18]のいずれかに記載の組成物。
本発明の組成物Aは、免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物を含有する酸性液体組成物を含有していなくてもよい。
ビタミンDとしては、例えば、ビタミンD2、D3、D4、D5、D6及びD7の6種類から選択される1種又は2種以上が挙げられる。ビタミンDは、例えば、魚類、卵類、又はきのこ類に含まれるため、これらからビタミンDを含有する分画を抽出してそれを組成物の原料として用いてもよい。また、ビタミンD単独又はその他の成分を含む市販品そのもの又はそこから抽出したビタミンDを組成物の原料として用いてもよい。
ビタミンEとしては、天然型ビタミンEであるd体のα-、β-、γ-およびσ-トコフェロールとα-、β-、γ-およびσ-トコトリエノール、その合成体であるdl体のα-、β-、γ-およびσ-トコフェロールとα-、β-、γ-およびσ-トコトリエノール、およびこれらのエステルであるコハク酸d-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロールカルシウム、酢酸d-α-トコフェロールおよび酢酸dl-α-トコフェロール等の1種または2種以上が挙げられる。
ビタミンEは、例えば、アーモンド若しくは落花生等のナッツ類、サフラワー油、コーン油若しくはオリーブオイル等の植物油等に含まれるため、これらからビタミンEを含有する分画を抽出してそれを組成物の原料として用いてもよい。また、ビタミンE単独又はその他の成分を含む市販品そのもの又はそこから抽出したビタミンEを組成物の原料として用いてもよい。
カルシウム又はその塩は、例えば、魚類、貝類、エビ及びカニ類、ひじき、昆布、わかめ、いも類、大根等に含まれるため、これらからカルシウム又はその塩を含有する分画を抽出してそれを組成物の原料として用いてもよい。但し、カルシウム又はその塩は、乳成分由来でないことが好ましい。また、カルシウム又はその塩単独又はその他の成分を含む市販品そのもの又はそこから抽出したカルシウム又はその塩を組成物の原料として用いてもよい。
カルシウムの塩としては、カルシウムの薬理学的に許容される塩であることが好ましく、例えば、乳酸カルシウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、焼成カルシウム、アルギン酸カルシウム、L-アスコルビン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、L-グルタミン酸カルシウム、ピロリン酸二水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム、グルコン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、水酸化カルシウム、リン酸一水素カルシウム、パントテン酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、5´-リボヌクレオチドカルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアロイル乳酸カルシウム、硫酸カルシウム又はケイ酸カルシウム等であることが好ましい。
組成物には、本発明の効果を失しない限り、例えば、医薬、薬学又は食品等の分野で知られる任意のビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩からなる群より選択される1種又は2種以上以外の成分が含有されていてもよい。その他の成分として、例えば、ビタミンA等を含有していることが好ましい。この場合、組成物全体に対するビタミンAの含有割合は、例えば、0.0004~0.0006%(w/v)であることが好ましい。
ビタミンDの組成物への配合量は、組成物が経口的に摂取される又は皮膚に塗布する場合、成人(体重60kg)1人当りの1日量が2.5μg~50μg、好ましくは20μg~50μg、さらに好ましくは30μg~50μg摂取されるよう設定するのが望ましい。また、注射剤又は輸液剤の場合は成人1人1日当りの投与量が1.25μg~25μg、好ましくは10μg~25μg、更に好ましくは15μgから25μg投与されるよう設定するのが望ましい。
ビタミンEの組成物への配合量は、組成物が経口的に摂取される場合又は皮膚に塗布する場合、成人(体重60kg)1人当りの1日量がα-トコフェロールとして0.5mg~500mg、好ましくは2.5mg~250mg、さらに好ましくは10mg~100mg摂取されるよう設定するのが望ましい。また、注射剤又は輸液剤の場合は成人1人1日当りの投与量がα-トコフェロールとして0.25mg~250mg、好ましくは1.25mg~125mg、更に好ましくは5mg~50mg投与されるよう設定するのが望ましい。
カルシウム又はその塩の組成物への配合量は、組成物が経口的に摂取される場合又は皮膚に塗布する場合、成人(体重60kg)1人当りの1日量が200mg~2300mg、好ましくは1000mg~2300mg、さらに好ましくは2000mg~2300mg摂取されるよう設定するのが望ましい。また、注射剤又は輸液剤の場合は成人1人1日当りの投与量が100mg~1150mg、好ましくは500mg~1150mg、さらに好ましくは1000mg~1150mg投与されるよう設定するのが望ましい。
ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩からなる群より選択される1種又は2種以上は、(i)ビタミンD、(ii)カルシウム又はその塩、(iii)ビタミンD及びビタミンE、(iv)ビタミンD及びカルシウム又はその塩、(v)ビタミンE及びカルシウム又はその塩及び(vi)ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩のいずれかであることが、より優れた本発明の効果が得られる点で、好ましい。
ビタミンD及びビタミンEの質量比(ビタミンD:ビタミンE)は、例えば、1:(700~1500)であることが好ましく、1:(1000~1200)であることがより好ましい。
ビタミンD及びカルシウム又はその塩の質量比(ビタミンD:カルシウム又はその塩)は、例えば、1:(3000~50000)であることが好ましく、1:(3000~47000)であることがより好ましい。但し、この場合において、カルシウム又はその塩については、カルシウムとして換算する。
ビタミンE及びカルシウム又はその塩の質量比(ビタミンE:カルシウム又はその塩)は、例えば、1:(1~100)であることが好ましく、1:(1~50)であることがより好ましい。但し、この場合において、カルシウム又はその塩については、カルシウムとして換算する。
ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩の質量比(ビタミンD:ビタミンE:カルシウム又はその塩)は、例えば、1:(700~1500):(3000~50000)であることが好ましく、1:(1000~1200):(3000~47000)であることがより好ましい。但し、この場合において、カルシウム又はその塩については、カルシウムとして換算する。
免疫賦活活性を有する乳酸菌は、例えば、ラクトバチルス属、ストレプトコックス属、エンテロコッカス属、ラクトコッカス属、又はビフィズス属等に属する乳酸菌であって免疫賦活活性を有する乳酸菌を用いることができる。さらに詳しくは、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・ブフネリ(Lactobacillus buchneri)、ラクトバチルス・デルブルッキー(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)、エンテロコッカス・フェーカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ラクトコッカス・プランタラム(Lactococcus plantarum)又はビフィドバクテリウム・サーモフィラム(Bifidobacterium thermophilum)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、又はビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)であって免疫賦活活性を有する乳酸菌が挙げられる。これら各種乳酸菌のうち、より優れた本発明の効果が奏されることから、ラクトバチルス属の乳酸菌が好ましく、中でも、ラクトバチルス・プランタラムが特に好ましい。
ラクトバチルス・プランタラムL-137は独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(現:独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許生物寄託センター;住所:郵便番号292-0818 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 120号室)に、受託番号FERM BP-08607号(平成7年11月30日に寄託されたFERM P-15317号より移管)として寄託されている。なお、ラクトバチルス・プランタラムL-137の変異株であっても、ラクトバチルス・プランタラムL-137の特徴を備えるものはラクトバチルス・プランタラムL-137の範疇である。
免疫賦活活性を有する乳酸菌の「処理物」とは、好ましくは、当該乳酸菌を加工したもの又は当該乳酸菌の培養物であるが、これらに限定されない。また、菌は、生菌でもよく、死菌体でもよいが、安定性及び取扱いの容易性等の観点から、死菌体を用いることが好ましい。
本発明においては、このような処理物を、そのまま用いてもよく、凍結乾燥、低温乾燥、噴霧乾燥、又はL-乾燥等やこれらを組み合わせて粉末状にして用いてもよい。また、これらの処理物(培養物)は、適切な溶媒(水、アルコール、有機溶剤等)で希釈して用いてもよいし、適切な添加剤を加えて、ゲルや固形剤にして、用いてもよい。
培養液から菌体を分離する方法としては、この分野で通常用いられる種々の方法を採用してもよく、特に限定されない。本発明のひとつの態様において、具体的には、例えば、培養液に蒸留水を加えた後に遠心分離等の手段によって上清を除くことによって、培養液と菌体とを分離する方法等を採用してもよい。なお、この態様においては、培養液に蒸留水を加えて遠心分離を行った後に上清を除去した後、所望により、上清を除去した残留物にさらに蒸留水を加えて遠心分離を行う操作を何度か繰り返してもよい。本発明のひとつの態様において、分離操作として濾過工程を含んでいてもよい。
本開示において、酸性とは、pHが6.0以下、5.5以下、5.0以下、4.9以下、4.8以下、4.7以下、4.6以下、4.5以下、4.4以下、4.3以下、4.2以下、4.1以下、4.0以下、3.9以下、3.8以下又は3.7以下等が例示される。
本開示において、液体とは、固体でも気体でもない状態のことを示す。液体の粘度は、特に限定されないが、B型粘度計を用いて25℃の条件下測定した場合に、0超50以下cps、0超30以下cps、又は0超20以下cpsであってもよい。本開示において、液体とは、ゾルであってもよく、ゾルでなくてもよいが、ゾルでないことが好ましい。
当該酸性液体組成物は、乳由来成分を含有しないことが好ましい。言い換えると、当該酸性液体組成物は、例えばヨーグルト等のはっ酵乳でないことが好ましい。
酸性液体組成物には、本発明の効果を失しない限り、例えば、医薬、薬学又は食品等の分野で知られる任意の、免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物以外の成分が含有されていてもよい。その他の成分として、例えば、ビタミンA等を含有していることが好ましい。この場合、組成物全体に対するビタミンAの含有割合は、例えば、0.0004~0.0006%(w/v)であることが好ましい。
本開示は、ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩からなる群より選択される1種又は2種以上と、その他の成分とを混合する工程を含有することを特徴とする、本発明の組成物Aの製造方法を包含する。
混合する工程では、ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩からなる群より選択される1種又は2種以上と、その他の成分とが、組成物全体において均一となるように、公知の方法又は自体公知の方法により混合又は撹拌することが好ましい。混合又は撹拌の方法は、当該分野において十分に確立されているので、その方法に従ってよい。
〔免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物の保存時間経過による免疫賦活活性の低下抑制効果の確認〕
保存時間は、飲食品、飼料、医薬品、医薬部外品又は化粧品の保存期間として適切な時間であることが好ましく、例えば4~12週間、4~8週間又は4~6週間であってもよい。
保存温度は、飲食品、飼料、医薬品、医薬部外品又は化粧品の保存温度として適切な温度であることが好ましい。また、保存温度は、室温(例えば1~30℃)、常温(例えば15~25℃)又は高温(例えば30℃超45℃以下)であることが好ましい。
例えば、ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩からなる群より選択される1種又は2種以上及び免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物を含有する組成物と、ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩からなる群より選択される1種又は2種以上のいずれも含有しない免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物を含有する組成物とを一定時間保存し、保存後の前者の免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物の保存時間経過による免疫賦活活性が、保存後の後者のそれと比較して、優れていることを確認することができる。免疫賦活活性の確認方法は、ELISA等、当該分野において十分に確立されているので、その方法に従ってよい。
免疫賦活活性として、例えば、B細胞、T細胞、マクロファージ・ナチュラルキラー(NK)細胞、樹状細胞等の細胞のIL-12等のインターロイキン、又はIFN-β若しくはIFN-γ等のインターフェロン等のサイトカインの産生促進活性等が挙げられる。
免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物の保存時間経過による免疫賦活活性の低下抑制効果の確認方法の一例として、後述の実施例を参照することができる。
本発明の組成物Aは、例えば、液体の飲食品、飼料、医薬品、医薬部外品又は化粧品等であってよく、好ましくは、液体の飲食品等である。
上記酸性液体組成物は、酸性の液体の組成物であれば特に限定されない。
(1)酸性液体組成物、(2)免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物、(3)ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩からなる群より選択される1種又は2種以上、(4)混合する工程、及び(5)免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物の保存時間経過による免疫賦活活性の低下の抑制について、上記説明及び下記実施例を参照することができる。
本発明の組成物Bは、免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物(死菌体を含む)の保存時間経過による免疫賦活活性の低下が抑制されていることが好ましい。
本発明の組成物Bは、免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物を含有している。
免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物及びビタミンEの質量比(免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物:ビタミンE)は、例えば、1:(0.1~1)であることが好ましく、1:(0.1~0.5)であることがより好ましい。
免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物及びカルシウム又はその塩の質量比(免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物:カルシウム又はその塩)の質量比は、例えば、1:(1~20)であることが好ましく、1:(1~15)であることがより好ましく、1:(1~12)であることがさらに好ましい。但し、この場合において、カルシウム又はその塩については、カルシウムとして換算する。
本開示は、酸性液体組成物において、免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物とビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩からなる群より選択される1種又は2種以上とを混合する工程を含有することを特徴とする、酸性液体組成物の製造方法を包含する。
混合する工程では、免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物とビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩からなる群より選択される1種又は2種以上とが、酸性液体組成物全体において均一となるように、公知の方法又は自体公知の方法により混合又は撹拌することが好ましい。混合又は撹拌の方法は、当該分野において十分に確立されているので、その方法に従ってよい。
使用した原料は下記の通りである。
MRS(de Man, Rogosa, Sharpe)改変液体培地にラクトバチルス・プランタラムL-137(受託番号FERM BP-08607号)株を播種し、32℃で18時間培養した。培養後80℃で加熱死菌化し、培養液を除去して菌体を集めた。得られた菌体を水によく分散し、当該菌体20質量%及びデキストリン80質量%を混合し、噴霧乾燥することにより、乾燥死菌体を得た。
下記の表1~3の配合処方通りに酸性飲料を調製した。
また、各飲料を作製直後から4℃で保存した。当該飲料をイニシャル飲料と呼称する。
一定量サンプリングした上記各飲料を20℃で14,000×g、10分間遠心処理し、上清を除去後に、10%FBS含有RPMI1640培地を加えてラクトバチルス・プランタラムL-137乾燥死菌体を懸濁した。懸濁液をラクトバチルス・プランタラムL-137乾燥死菌体が10μg/mLとなるように10%FBS含有RPMI1640培地で希釈し、検液とした。マクロファージ様細胞株であるJ774.1細胞(細胞番号JCRB9108;国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 JCRB細胞バンク)は、それぞれ1.0×106細胞/mLとなるように10%FBS含有RPMI1640培地に懸濁し、細胞株懸濁液とした。検液と細胞株懸濁液を100μLずつ、96ウェル培養プレートに添加し(菌体終濃度:5μg/mL、細胞終濃度:5.0×105/mL)、5%CO2インキュベーター内で37℃、24時間培養した。培養終了後の上清中のIL-12p40濃度は、プレートごと-20℃で凍結した後、後日融解して、ELISA法にて測定し、イニシャル飲料に対する加速試験飲料のIL-12p40産生比率を求めた。なお、プレートは、Nuncプレート(標準品、Biolegend Cat No.577009)を使用した。
実施例1、1-2と比較例1の結果を下記に示した。
下記の表4-1の実施例1と比較例1の比較から明らかなように、カルシウムを添加することで、40℃4週の保存によって生じるラクトバチルス・プランタラムL-137乾燥死菌体の免疫賦活活性、すなわちIL-12誘導活性の低下が抑制され、ラクトバチルス・プランタラムL-137乾燥死菌体の安定性が向上した。特に、カルシウムを加えた実施例1の酸性飲料では、カルシウムを含まない比較例1の酸性飲料と比べ、免疫賦活活性の低下が2倍以上抑制された。カルシウム添加量をさらに増やし、実施例1の約5倍のカルシウム量を含む実施例1-2の酸性飲料では、さらに免疫賦活活性の低下が抑制された。
下記の表4-2から明らかなように、実施例2の酸性飲料において、ビタミンDおよびEを添加することで、40℃4週の保存によって生じるラクトバチルス・プランタラムL-137乾燥死菌体の免疫賦活活性、すなわちIL-12誘導活性の低下が抑制された。さらには、実施例3の酸性飲料において、実施例1の約3倍量の乳酸カルシウムと、実施例2と等量のビタミンDおよびEとを添加することで、40℃4週の保存によって生じるラクトバチルス・プランタラムL-137乾燥死菌体の免疫賦活活性、すなわちIL-12誘導活性の低下が顕著に抑制され、ラクトバチルス・プランタラムL-137乾燥死菌体の安定性がさらに向上した。特に、カルシウムと、ビタミンDおよびEとを加えた実施例3の酸性飲料では、カルシウムもビタミンDおよびEのいずれも含まない比較例1の酸性飲料と比べ、免疫賦活活性の低下が約2倍抑制された。
一定量サンプリングした上記各飲料を室温で14,000×g、10分間遠心処理し、上清を除去後に、10%FBS含有RPMI1640培地を加えてラクトバチルス・プランタラムL-137乾燥死菌体を懸濁した。懸濁液をラクトバチルス・プランタラムL-137乾燥死菌体が10、20μg/mLになるように10%FBS含有RPMI1640培地で希釈し、検液とした。マクロファージ様細胞株であるJ774.1細胞(細胞番号JCRB9108;国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 JCRB細胞バンク)は、それぞれ1.0×106細胞/mLとなるように10%FBS含有RPMI1640培地に懸濁し、細胞株懸濁液とした。検液と細胞株懸濁液を100μLずつ、96ウェル培養プレートに添加し(菌体終濃度:5、10μg/mL、細胞終濃度:5.0×105/mL)、5%CO2インキュベーター内で37℃、24時間から48時間培養した。培養終了後の上清中のIL-12p40濃度は、ELISA法にて測定し、イニシャル飲料に対する加速試験飲料のIL-12p40産生比率を求めた。
実施例2と実施例3の結果を下記に示した。下記の表5から明らかなように、乳酸カルシウムを添加することで40℃4週、6週又は8週の保存で、ラクトバチルス・プランタラムL-137乾燥死菌体の免疫賦活活性、すなわちIL-12誘導活性の低下が抑制され、ラクトバチルス・プランタラムL-137乾燥死菌体の安定性が向上した。
なお、下記の表6~7中において、実施例4の「DE1/3」は実施例2~3におけるビタミンD、Eの3分の1の量が含まれることを示し、実施例5の「DE4/5」は、実施例2~3におけるビタミンD、Eの5分の4の量が含まれることを示す。
Claims (13)
- (1)下記の(iii)、(ii)及び(vi)からなる群より選択されるいずれか1種を含有することを特徴とする組成物であって、
(2)免疫賦活活性を有する乳酸菌ラクトバチルス・プランタラム又はその処理物を含有する酸性液体組成物における、保存時間経過による前記免疫賦活活性の低下を抑制するための組成物。
(iii)ビタミンD及びビタミンE
(ii)カルシウム又はその塩
(vi)ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩 - 免疫賦活活性を有する乳酸菌ラクトバチルス・プランタラムが、ラクトバチルス・プランタラムL-137であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
- 乳酸菌ラクトバチルス・プランタラム又はその処理物が、死菌体であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
- 酸性液体組成物が、乳由来成分を含有しないことを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
- 酸性液体組成物において、免疫賦活活性を有する乳酸菌ラクトバチルス・プランタラム又はその処理物と、
下記の(iii)、(ii)及び(vi)からなる群より選択されるいずれか1種と、
を混合する工程を含有することを特徴とする、免疫賦活活性を有する該乳酸菌又はその処理物の保存時間経過による免疫賦活活性の低下を抑制する方法。
(iii)ビタミンD及びビタミンE
(ii)カルシウム又はその塩
(vi)ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩 - 免疫賦活活性を有する乳酸菌ラクトバチルス・プランタラムが、ラクトバチルス・プランタラムL-137であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
- 乳酸菌ラクトバチルス・プランタラム又はその処理物が、死菌体であることを特徴とする、請求項5又は6に記載の方法。
- 酸性液体組成物が、乳由来成分を含有しないことを特徴とする、請求項5~7のいずれかに記載の方法。
- 組成物全体に対するビタミンD及びビタミンEの含有割合が、それぞれ0.0000015~0.0000050%、0.0015~0.0050%(w/v)であることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の組成物。
- 組成物全体に対するカルシウム又はその塩の含有割合が、カルシウムとして0.015~0.075%(w/v)であることを特徴とする、請求項1~4又は9のいずれかに記載の組成物。
- 組成物中の乳酸菌ラクトバチルス・プランタラムとカルシウムの質量比が1:1~20であることを特徴とする、請求項1~4又は9~10のいずれかに記載の組成物。
- 組成物中の乳酸菌ラクトバチルス・プランタラムとビタミンDの質量比が1:0.0001~0.001であることを特徴とする、請求項1~4又は9~11のいずれかに記載の組成物。
- 組成物中の乳酸菌ラクトバチルス・プランタラムとビタミンEの質量比が1:0.1~1であることを特徴とする、請求項1~4又は9~12のいずれかに記載の組成物。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018113202 | 2018-06-13 | ||
JP2018113202 | 2018-06-13 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019216712A JP2019216712A (ja) | 2019-12-26 |
JP7331310B2 true JP7331310B2 (ja) | 2023-08-23 |
Family
ID=69094514
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019102518A Active JP7331310B2 (ja) | 2018-06-13 | 2019-05-31 | 免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物の保存時間経過による免疫賦活活性の低下を抑制するための組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7331310B2 (ja) |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001064174A (ja) | 1999-08-23 | 2001-03-13 | Takeda Food Products Ltd | 免疫賦活効果を相乗的に増強した製剤 |
JP2002080364A (ja) | 2000-09-01 | 2002-03-19 | Takeda Food Products Ltd | 免疫増強組成物 |
JP2017209090A (ja) | 2016-05-27 | 2017-11-30 | 株式会社 伊藤園 | 異味マスキング剤、乳酸菌含有飲料およびその製造方法 |
-
2019
- 2019-05-31 JP JP2019102518A patent/JP7331310B2/ja active Active
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001064174A (ja) | 1999-08-23 | 2001-03-13 | Takeda Food Products Ltd | 免疫賦活効果を相乗的に増強した製剤 |
JP2002080364A (ja) | 2000-09-01 | 2002-03-19 | Takeda Food Products Ltd | 免疫増強組成物 |
JP2017209090A (ja) | 2016-05-27 | 2017-11-30 | 株式会社 伊藤園 | 異味マスキング剤、乳酸菌含有飲料およびその製造方法 |
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
期間限定アイテム「ジョア 手摘みりんご」を発売,Yakult News Release,2018年01月25日,p.1,retrieved on 2023.03.31, retrieved from the internet,https://www.yakult.co.jp/company/news/file.php?type=release&id=151676609344.pdf |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2019216712A (ja) | 2019-12-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
AU2018281511B2 (en) | Novel lactic acid bacteria and use thereof | |
CA2767410C (en) | Novel lactobacillus plantarum and composition containing same | |
JP2010095465A (ja) | 乳酸菌含有免疫賦活用組成物 | |
SG171922A1 (en) | Novel lactobacillus plantarum and composition containing the same | |
AU2005247215B2 (en) | A composition having immunoregulating activities comprising Lactobacillus pentosus | |
JP2007070249A (ja) | 免疫機能調節剤、抗アレルギー剤、免疫調節用組成物及び抗アレルギー用組成物並びにこれらが含まれた食品 | |
KR101271379B1 (ko) | 와인 발효 모로미 유래의 면역 조절 작용을 갖는 유산균 | |
JP7179343B2 (ja) | 新規な乳酸菌株およびそれを含む免疫賦活剤 | |
KR101583018B1 (ko) | Il-12 생산유도능을 갖는 유산균 및 그 제조 방법 | |
JP2003250528A (ja) | ビフィドバクテリウム属細菌の生残性改善剤、増殖促進剤、又は、同細菌含有醗酵物の製造方法 | |
EP2262514B1 (en) | Agents for promoting secretion and/or suppressing decrease of adiponectin | |
JP7331310B2 (ja) | 免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物の保存時間経過による免疫賦活活性の低下を抑制するための組成物 | |
WO2018003898A1 (ja) | 軟骨再生促進用組成物 | |
JP2014024776A (ja) | Nash予防治療剤 | |
CN115702001A (zh) | 用于抑制或改善抑郁的组合物 | |
JP6836298B1 (ja) | 乳酸菌及び納豆菌を含む組成物 | |
WO2022244447A1 (ja) | 破骨前駆細胞の破骨細胞への分化抑制用組成物及び骨代謝改善用組成物 | |
AU2017287987B2 (en) | Cartilage regeneration facilitating composition | |
JP6484302B2 (ja) | 経口用組成物 | |
AU2015200625B2 (en) | Agents for promoting secretion and/or suppressing decrease of adiponectin | |
CN117062905A (zh) | 新的乳酸菌菌株及包含新的乳酸菌菌株的组合物 | |
JP5851242B2 (ja) | チオレドキシン誘導活性を有する乳酸菌ならびにチオレドキシンを介する生体傷害の予防および/または改善用の飲食品および医薬品 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A625 | Written request for application examination (by other person) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A625 Effective date: 20220222 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20230203 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20230411 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230602 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230711 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230718 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7331310 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |