JP7330196B2 - がん薬物応答性を予測する方法 - Google Patents

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Description

本開示は、Bcl-2タンパク質を含むヘテロ二量体を検出する抗体を使用して、治療に対するがん細胞の感受性を決定する組成物および方法に関する。
関連出願との相互参照
本出願は、2018年11月28日出願の米国仮特許出願第62/772,368号、2018年8月20日出願の米国仮特許出願第62/719,789号、および2018年1月18日出願の米国仮出願第62/618,786号の優先権および利益を主張するものであり、それらの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
電子提出されたテキストファイルの説明
電子的に提出されたテキストファイルの内容は、参照によりその全体を本明細書に組み込まれる。配列表のコンピュータ可読形式のコピー(ファイル名:EUTR-018PC_105444-5018_SequenceListing_ST25;記録日:2019年1月3日;ファイルサイズ:13.4KB)。
がんは世界中で主な死因であり続けている。当技術分野では、がんのさらに効果的な治療が求められている。数多くの分子標的剤が臨床試験に入っていることから、予測試験が非常に望ましいものとなっている。特に、臨床試験の登録のための、および承認時には治療のための、適正な患者の選択は、新しいがん療法の臨床開発のための主要な駆動力である。
アポトーシスの本来備わった経路は、B細胞リンパ腫2(BCL-2)のタンパク質ファミリーの15個を超えるメンバーが相互作用する、ミトコンドリアのレベルで調節される。数多くの化学療法剤がアポトーシスを引き起こし、その機構は多くの場合、BCL-2ファミリーメンバーのレベルおよび相互作用の変化を伴う。Bcl-2ファミリーのメンバーは、Bcl-2相同性(BH)ドメイン(BH1、BH2、BH3、およびBH4)と称する相同性のある四つの特徴的なドメインのうち、一つまたは複数を共有する。
BH3プロファイリングは、BH3-onlyタンパク質のペプチド模倣型BH3ドメインへ曝露された後のミトコンドリア外膜透過化(MOMP)を測定することによって、腫瘍細胞のミトコンドリアプライミングを測定する、機能的アッセイである。MOMPは、ミトコンドリア内膜を横断する電位を測定する蛍光色素JC-1によって、間接的に測定される。この電位は、MOMPに応答して速やかに低下する。しかし、実際には、JC-1に基づくこの種の機能的測定は、一貫した蛍光シグナルを測定することの難しさに妨げられる。
さらに、機能的シグナルの代わりである個々のBH3-onlyタンパク質のタンパク質レベルの直接的な測定は、これらのレベルの変化が、供試される被験抗がん剤に対する感受性と一貫して相関しないという事実により、混乱を生じるものとなる。
さらに、機能的BH3測定を個々のBH3-onlyタンパク質のタンパク質レベルの直接的な測定に組み合わせることは、複雑であり、固形腫瘍または固定標本に適さない。
そのため、がん治療のための予測試験の改善をもたらす新しい組成物および方法が求められている。
したがって、本開示は、部分的には、Bcl-2ヘテロ二量体(例えば、Bcl-xl/BIM-BH3ヘテロ二量体)にそれぞれ特異的に結合するいくつかの抗体の発見に基づく。本開示はさらに、患者由来の固形腫瘍試料中の二つのB細胞リンパ腫2(BCL-2)タンパク質を含むヘテロ二量体を検出して、参照値に対するヘテロ二量体の比率を決定するために、有用な抗体を提供し、上記比率は、がん治療に対する患者の感受性を予測するものである。このように、開示された抗体は、がん治療のための予測試験のための組成物および方法の改善をもたらす。
一部の態様では、本明細書に開示されるのは、がん治療に対する患者の感受性を予測する方法であって、本方法は、二つのB細胞リンパ腫2(BCL-2)タンパク質を含むヘテロ二量体を認識する抗体または抗体形式に試料を接触させることであって、試料が患者の固形腫瘍由来の標本であること;ヘテロ二量体の量を標示するシグナルを検出すること;ならびに参照値に対する試料中に存在するヘテロ二量体の量に基づき比率を決定することであって、参照値が試料中のヘテロ二量体のBCL-2タンパク質モノマーのうちの一方の量を含み、上記比率ががん治療に対する患者の感受性を予測するものであることを含む。
別の態様では、本開示は、がん治療に対する患者の感受性を予測する方法を提供し、本方法は、二つのB細胞リンパ腫2(BCL-2)タンパク質を含むヘテロ二量体を認識する抗体または抗体形式、およびヘテロ二量体のBCL-2タンパク質モノマーのうちの一方を認識する抗体または抗体形式に試料を接触させることであって、試料が患者の固形腫瘍由来の標本であること;ヘテロ二量体の量およびモノマーの量を標示するシグナルを検出すること;ならびにモノマーの量に対するヘテロ二量体の量に基づき比率を決定することであって、上記比率ががん治療に対する固形腫瘍患者の感受性を予測するものであることを含む。
一部の実施形態では、本方法は、上記比率ががん治療に対する感受性を予測するものである場合に、患者にがん治療を施すことをさらに含む。
一部の実施形態では、本方法は、上記比率ががん治療に対する感受性を予測するものである場合に、がん治療の用量を低減して、もしくは頻度を少なくして、および/またはレジメンを短縮して、患者を治療することをさらに含む。
一部の実施形態では、本方法は、上記比率ががん治療に対する感受性を予測するものである場合に、がん治療の用量を増加して、もしくは頻度を多くして、および/またはレジメンを延長して、患者を治療することをさらに含む。
一部の実施形態では、本方法は、上記比率ががん治療に対する感受性の欠如を予測するものである場合に、患者に対するがん治療を保留することをさらに含む。
一部の実施形態では、本方法は、上記比率ががん治療に対する感受性の欠如を予測するものである場合に、異なるがん治療を用いて患者を治療することをさらに含む。
一部の実施形態では、本方法は、患者の一つまたは複数の臨床因子を決定することを含むことをさらに含む。
一部の実施形態では、本方法は、患者の一つまたは複数の臨床因子に基づいて、がん治療への臨床応答の可能性について患者を分類することをさらに含む。
一部の実施形態では、本方法は、患者の一つまたは複数の臨床因子に基づいて、がん治療に対する患者の感受性の予測を、がん治療に対する臨床応答の可能性と比較することをさらに含む。臨床因子は、年齢、細胞遺伝学的状態、遂行能力、組織学的サブクラス、性別、および病期のうちの一つまたは複数とすることができる。
一部の実施形態では、本方法は、変異状態、一塩基多型、定常状態タンパク質レベル、および動的タンパク質レベルから選択される追加的なバイオマーカーを測定することをさらに含む。
一部の実施形態では、本方法は、免疫組織化学(IHC)、フローサイトメトリー、または免疫蛍光法を採用することによってヘテロ二量体を検出することをさらに含む。
一部の実施形態では、BCL-2タンパク質は、アクチベーターBH3タンパク質である。
一部の実施形態では、本方法は、BIDおよびBIMから選択されるアクチベーターBH3タンパク質をさらに含む。
一部の実施形態では、BCL-2タンパク質は、増感性BH3タンパク質である。一部の実施形態では、増感性BH3タンパク質は、BAD、BIK、NOXA A、NOXA B、HRK、BMF、およびPUMAから選択される。
一部の実施形態では、BCL-2タンパク質は、マルチドメインのアポトーシス促進タンパク質である。一部の実施形態では、マルチドメインのアポトーシス促進タンパク質は、BAXおよびBAKから選択される。
一部の実施形態では、BCL-2タンパク質は、マルチドメインの抗アポトーシスタンパク質である。一部の実施形態では、マルチドメインの抗アポトーシスタンパク質は、BCL-2、BCL-XL、MCL-1、BCL-W、およびBFL-1から選択される。
一部の実施形態では、ヘテロ二量体は、BCL2と、BID、BIM、BAD、BIK、PUMA、およびBMFのうちの一つとを含む。
一部の実施形態では、本方法は、BCL2、BID、BIM、BAD、BIK、PUMA、およびBMFモノマーのうちの一つに対するヘテロ二量体の比率をもたらす。
一部の実施形態では、ヘテロ二量体は、BCLXLと、BID、BIM、BAD、BIK、HRK、PUMA、およびBMFのうちの一つとを含む。
一部の実施形態では、本方法は、BCLXL、BID、BIM、BAD、BIK、HRK、PUMA、およびBMFモノマーのうちの一つに対するヘテロ二量体の比率をもたらす。
一部の実施形態では、ヘテロ二量体は、BCLWと、BID、BIM、BIK、PUMA、およびBMFのうちの一つとを含む。
一部の実施形態では、本方法は、BCLW、BID、BIM、BIK、PUMA、およびBMFモノマーのうちの一つに対するヘテロ二量体の比率をもたらす。
一部の実施形態では、ヘテロ二量体は、MCL1と、BID、BIM、BIK、NOXA A、NOXA B、PUMA、BAK、およびBMFのうちの一つとを含む。
一部の実施形態では、本方法は、MCL1、BID、BIM、BIK、NOXA A、NOXA B、PUMA、およびBMFモノマーのうちの一つに対するヘテロ二量体の比率をもたらす。
一部の実施形態では、ヘテロ二量体は、BFL1と、BID、BIM、NOXA A、NOXA B、およびPUMAのうちの一つとを含む。
一部の実施形態では、本方法は、BFL1、BID、BIM、NOXA A、NOXA B、およびPUMAモノマーのうちの一つに対するヘテロ二量体の比率をもたらす。
一部の実施形態では、がん治療はBH3模倣体である。BH3模倣体は、BCL-2/BCL-XL特異的なABT-737およびABT-263(ナビトクラクス)、Bcl-2特異的なベネトクラクス(ベネクレクスタ、ABT-199)、MCL-1特異的なS63845およびAMG176およびADZ5991、BCL-XL特異的なA-1155463およびA1331852、BFL-1/MCL-1特異的なEU5346、またはそれらの組み合わせから選択されうる。
一部の実施形態では、がん治療は、抗がん剤、化学療法、抗アポトーシスタンパク質の拮抗剤、外科手術、アジュバント療法、およびネオアジュバント療法のうちの一つまたは複数である。がん治療は、SMAC模倣体、BH3模倣体、プロテアソーム阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、グルココルチコイド、ステロイド、モノクローナル抗体、抗体薬物コンジュゲート、またはサリドマイド誘導体のうちの一つまたは複数とすることができる。
一部の実施形態では、がん治療は、検出された特定のヘテロ二量体の形成を遮断する。
一部の実施形態では、がん治療は、検出された特定のヘテロ二量体の形成を攪乱する。
一部の実施形態では、がん治療はチェックポイント阻害剤である。
一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、TIM-3、BTLA、PD-1、CTLA-4、B7-H4、GITR、ガレクチン-9、HVEM、PD-L1、PD-L2、B7-H3、CD244、CD160、TIGIT、SIRPα、ICOS、CD172a、およびTMIGD2のうちの一つを標的とする薬剤である。
一部の実施形態では、PD-1を標的とする薬剤は、PD-1に特異的な抗体または抗体形式であって、任意選択的にニボルマブ、ペンブロリズマブ、およびピジリズマブから選択される。
一部の実施形態では、PD-L1を標的とする薬剤は、PD-L1に特異的な抗体または抗体形式であり、任意選択的にアテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、およびBMS-936559から選択される。
一部の実施形態では、CTLA-4を標的とする薬剤は、CTLA-4に特異的な抗体または抗体形式であり、任意選択的にイピリムマブおよびトレメリムマブから選択される。
一部の実施形態では、試料は、腫瘍生検体、組織生検体、腫瘍切除物、凍結腫瘍組織標本、リンパ節、骨髄細胞、循環腫瘍細胞、培養細胞、ホルマリン固定パラフィン包埋腫瘍組織標本、気管支肺胞洗浄物、皮膚、髪、尿、およびこれらの組み合わせから選択される。
一部の実施形態では、腫瘍生検体は、コア生検体、針生検体、外科手術生検体、および切除生検体から選択される。
一部の実施形態では、試料は患者の浸潤性リンパ球である。
一部の実施形態では、固形腫瘍は、肺がん、乳がん、前立腺がん、黒色腫、膵臓がん、腎臓がん、結腸がん、および卵巣がんから選択される。
一部の実施形態では、肺がんは、非小細胞肺がん(NSCLC)および小細胞肺がん(SCLC)から選択される。
一部の実施形態では、乳がんは三重陰性乳がんである。
一部の実施形態では、前立腺がんはアンドロゲン非依存性前立腺がんである。
一部の実施形態では、感受性は、(a)試料中のアポトーシスの存在、(b)患者が抗アポトーシスBcl-2ヘテロ二量体の形成に干渉する薬剤に感受性であることを標示する、試料中の抗アポトーシスBcl-2ヘテロ二量体の存在、(c)遺伝的なリスク要因、家族歴、個人歴、種および民族性、ある特定の組織の特徴、様々な良性の状態(例えば非増殖性の病変)、以前の胸部放射線照射、発癌物質への曝露などによって特徴付けられる。
一部の実施形態では、本方法は、ミトコンドリア外膜透過化(MOMP)の機能的読取りを伴わない。
一部の実施形態では、本方法は、細胞膜電位の色素ベースの検出を伴わない。
一部の実施形態では、抗体または抗体形式は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体断片、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、単鎖Fv、ダイアボディ、直鎖抗体、二重特異性抗体、多特異性抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、および抗体の抗原結合部分を含む融合タンパク質のうち一つまたは複数から選択される。
一部の実施形態では、抗体または抗体形式は、BCL2と、BID、BIM、BAD、BIK、PUMA、およびBMFのうちの一つとのヘテロ二量体を認識する。
一部の実施形態では、抗体または抗体形式は、BCLXLと、BID、BIM、BAD、BIK、HRK、PUMA、およびBMFのうちの一つとのヘテロ二量体を認識する。
一部の実施形態では、抗体または抗体形式は、BCLWと、BID、BIM、BIK、PUMA、およびBMFのうちの一つとのヘテロ二量体を認識する。
一部の実施形態では、抗体または抗体形式は、MCL1と、BID、BIM、BIK、NOXA A、NOXA B、PUMA、BAK、およびBMFのうちの一つとのヘテロ二量体を認識する。
一部の実施形態では、抗体または抗体形式は、BFL1と、BID、BIM、NOXA A、NOXA B、およびPUMAのうちの一つとのヘテロ二量体を認識する。
一部の実施形態では、抗体または抗体形式は、(i)重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、前記重鎖CDR1配列がGHTFTEHYIN(配列番号1)であり、前記重鎖CDR2配列がWIFPGSGSTYYNEKFKG(配列番号2)であり、重鎖CDR3配列がSYSNFWFAY(配列番号3)である、重鎖可変領域と;(ii)軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、軽鎖CDR1配列がRASQSIGTSIH(配列番号4)であり、軽鎖CDR2配列がKYASESIS(配列番号5)であり、軽鎖CDR3配列がQQSNSWPTT(配列番号6)である、軽鎖可変領域と、を含む。
一部の実施形態では、抗体または抗体形式は、式(FW1)-(CDR1)-(FW2)-(CDR2)-(FW3)-(CDR3)-(FW4)に従ってCDR間に並置された可変領域フレームワーク(FW)配列をさらに含み、重鎖可変領域の可変領域FW配列は、重鎖可変領域FW配列であり、軽鎖可変領域の可変領域FW配列は、軽鎖可変領域FW配列である。
一部の実施形態では、可変領域FW配列はヒトである。
一部の実施形態では、抗体または抗体形式は、ヒトの重鎖定常領域および軽鎖定常領域をさらに含む。
一部の実施形態では、定常領域は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4からなる群から選択される。
一部の実施形態では、抗体または抗体形式は、(i)配列番号7に記載のアミノ酸配列または総計10個以下のアミノ酸置換を有する配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域配列と、(ii)配列番号8のアミノ酸配列または総計10個以下のアミノ酸置換を有する配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域配列とを含む。
一部の実施形態では、本抗体または抗体形式は、配列番号7および/または配列番号8と少なくとも90%、または93%、または95%、または97%、または98%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、臨床応答の可能性は、以下の数式によって定義される:
Figure 0007330196000001
式中、
上記AUC(曲線下面積)は、均一時間分解蛍光法(HTRF)または蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)由来の平均シグナル強度によって確立された蛍光測定値の合計であり、上記シグナル強度は、プライミング開始後の約5分から約300分の間に発生する単一の時点の測定値であり;
上記DMSO(ジメチルスルホキシド)は、曲線下面積またはシグナル強度のどちらかに対するベースライン陰性対照を含み;
上記CCCP(カルボニルシアニド m-クロロフェニルヒドラゾン)は、酸化的リン酸化の化学阻害剤であり、ミトコンドリアの電子伝達系内の電子担体の通常の活動の間に確立されたプロトン勾配の脱共役剤として役割を果たすことによるタンパク質合成のエフェクターを含み、上記CCCPは、ベースライン陽性対照を含み;
上記ペプチドは、一つまたは複数のBH3ドメインペプチドであり、式中で(n)は、DMSO対照およびCCCP対照の反復の平均の数により正規化される。
一部の実施形態では、先述の数式と組み合わせて、一つまたは複数の臨床因子が、臨床応答との関連付けのためにBH3プロファイルの特異性および/または感受性を増加させるように選択される。
一部の実施形態では、臨床応答の可能性は、ここに示されるように先の数式の簡略化された形により定義され:
Figure 0007330196000002
式中、
上記AUC(曲線下面積)は、均一時間分解蛍光法(HTRF)または蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)由来の平均シグナル強度によって確立された蛍光測定値の合計であり、上記シグナル強度は、プライミング開始後の約5分から約300分の間に発生する単一の時点の測定値であり;
上記DMSO(ジメチルスルホキシド)は、曲線下面積またはシグナル強度のどちらかに対するベースライン陰性対照を含み;
上記CCCP(カルボニルシアニド m-クロロフェニルヒドラゾン)は、酸化的リン酸化の化学阻害剤であり、ミトコンドリアの電子伝達系内の電子担体の通常の活動の間に確立されたプロトン勾配の脱共役剤として役割を果たすことによるタンパク質合成のエフェクターを含み、上記CCCPは、ベースライン陽性対照を含み;
上記ペプチドは、一つまたは複数のBH3ドメインペプチドであり、式中で(n)は、DMSO対照およびCCCP対照の反復の平均の数により正規化される。
一部の実施形態では、先述の数式と組み合わせて、一つまたは複数の臨床因子が、臨床応答との関連付けのためにBH3プロファイルの特異性および/または感受性を増加させるように選択される。
一態様では、本開示は、Mcl-1/BimまたはBCLXL/Bimのヘテロ二量体の量を測定することを含む、試料中のチェックポイント阻害剤に対する患者の応答性を予測する方法を提供し、その場合、試料は、固形腫瘍由来の浸潤性リンパ球集団を含む。
一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、TIM-3、BTLA、PD-1、CTLA-4、B7-H4、GITR、ガレクチン-9、HVEM、PD-L1、PD-L2、B7-H3、CD244、CD160、TIGIT、SIRPα、ICOS、CD172a、およびTMIGD2のうちの一つを標的とする薬剤である。
一部の実施形態では、PD-1を標的とする薬剤は、PD-1に特異的な抗体または抗体形式であって、任意選択的にニボルマブ、ペンブロリズマブ、およびピジリズマブから選択される。
一部の実施形態では、PD-L1を標的とする薬剤は、PD-L1に特異的な抗体または抗体形式であり、任意選択的にアテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、およびBMS-936559から選択される。
一部の実施形態では、CTLA-4を標的とする薬剤は、CTLA-4に特異的な抗体または抗体形式であり、任意選択的にイピリムマブおよびトレメリムマブから選択される。
一態様では、本開示は、(i)重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、前記重鎖CDR1配列がGHTFTEHYIN(配列番号1)であり、前記重鎖CDR2配列がWIFPGSGSTYYNEKFKG(配列番号2)であり、重鎖CDR3配列がSYSNFWFAY(配列番号3)である、重鎖可変領域と;(ii)軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、軽鎖CDR1配列がRASQSIGTSIH(配列番号4)であり、軽鎖CDR2配列がKYASESIS(配列番号5)であり、軽鎖CDR3配列がQQSNSWPTT(配列番号6)である、軽鎖可変領域と、を含む、抗体または抗体形式を含む組成物を提供する。
一部の実施形態では、本開示は、配列番号1の配列を有する抗体または抗体形式を含むが、四つ以下のアミノ酸置換を有するか、または三つ以下のアミノ酸置換を有するか、または二つ以下のアミノ酸置換を有するか、または1アミノ酸置換を有する、組成物を提供する。
一部の実施形態では、本開示は、配列番号2の配列を有する抗体または抗体形式を含むが、四つ以下のアミノ酸置換を有するか、または三つ以下のアミノ酸置換を有するか、または二つ以下のアミノ酸置換を有するか、または1アミノ酸置換を有する、組成物を提供する。
一部の実施形態では、本開示は、配列番号3を含む抗体または抗体形式の配列を有するが、四つ以下のアミノ酸置換を有するか、または三つ以下のアミノ酸置換を有するか、または二つ以下のアミノ酸置換を有するか、または1アミノ酸置換を有する、組成物を提供する。
一部の実施形態では、本開示は、配列番号4の配列を有する抗体または抗体形式を含むが、四つ以下のアミノ酸置換を有するか、または三つ以下のアミノ酸置換を有するか、または二つ以下のアミノ酸置換を有するか、または1アミノ酸置換を有する、組成物を提供する。
一部の実施形態では、本開示は、配列番号5の配列を有する抗体または抗体形式を含むが、四つ以下のアミノ酸置換を有するか、または三つ以下のアミノ酸置換を有するか、または二つ以下のアミノ酸置換を有するか、または1アミノ酸置換を有する、組成物を提供する。
一部の実施形態では、本開示は、配列番号6の配列を有する抗体または抗体形式を含むが、四つ以下のアミノ酸置換を有するか、または三つ以下のアミノ酸置換を有するか、または二つ以下のアミノ酸置換を有するか、または1アミノ酸置換を有する、組成物を提供する。
一部の実施形態では、抗体または抗体形式は、式(FW1)-(CDR1)-(FW2)-(CDR2)-(FW3)-(CDR3)-(FW4)に従ってCDR間に並置された可変領域フレームワーク(FW)配列をさらに含み、重鎖可変領域の可変領域FW配列は、重鎖可変領域FW配列であり、軽鎖可変領域の可変領域FW配列は、軽鎖可変領域FW配列である。
一部の実施形態では、可変領域FW配列はヒトである。
一部の実施形態では、抗体または抗体形式は、ヒトの重鎖定常領域および軽鎖定常領域をさらに含む。
一部の実施形態では、定常領域は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4からなる群から選択される。
一部の実施形態では、抗体または抗体形式は、(i)配列番号7に記載のアミノ酸配列またはアミノ酸置換、アミノ酸欠失、およびアミノ酸付加のうち一つもしくは複数から選択される10個以下の総アミノ酸変異を有する配列番号7に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域配列と、(ii)配列番号8に記載のアミノ酸配列またはアミノ酸置換、アミノ酸欠失、およびアミノ酸付加のうち一つもしくは複数から選択される10個以下の総アミノ酸変異を有する配列番号8に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域配列とを含む。
一部の実施形態では、本抗体または抗体形式は、配列番号7および/または配列番号8と少なくとも90%、または93%、または95%、または97%、または98%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、本開示は、本明細書に開示されるような抗体または抗体断片をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドを提供する。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドを含むベクターが提供され、一部の実施形態では、ベクターを含む宿主細胞が提供される。
一部の態様では、本開示は、本明細書に開示される抗体のいずれかの抗体または抗体形式と、薬学的に許容可能な賦形剤とを含む、医薬組成物を提供する。
一部の態様では、本開示は、ヘテロ二量体抗体を生成する方法を提供し、この方法は、(a)ヘテロ二量体誘発性立体構造抗原を用いて対象(例えば、ヒト、サル、マウス、ラット、またはハムスター)を免疫すること、(b)ヘテロ二量体誘発性抗原を認識するIgGを産生する脾臓B細胞を対象から単離すること、(c)陰性選択用磁気カラムに脾臓B細胞を通すことであって、陰性選択用磁気カラムが、ヘテロ二量体の一方のモノマーを含有する組換え融合タンパク質により被覆されていること、(d)陰性選択用磁気カラムから脾臓B細胞のフロースルーを採集して、陽性選択用磁気カラムにそのフロースルーを通すことであって、陽性選択用磁気カラムが、ヘテロ二量体抗原により被覆されていること、(e)陽性選択用磁気カラムに結合された脾臓B細胞を溶出し採集すること、(f)採集された細胞をB細胞培地中で培養すること、ならびに(g)培養細胞からヘテロ二量体特異的抗体を単離し、それによってヘテロ二量体抗体を生成することを含む。一部の実施形態では、ヘテロ二量体抗原は、BCL2と、BID、BIM、BAD、BIK、PUMA、およびBMFのうちの一つとのものである。一部の実施形態では、ヘテロ二量体抗原は、BCLXLと、BID、BIM、BAD、BIK、HRK、PUMA、およびBMFのうちの一つとのものである。一部の実施形態では、ヘテロ二量体抗原は、BCLWと、BID、BIM、BIK、PUMA、およびBMFのうちの一つとのものである。一部の実施形態では、ヘテロ二量体抗原は、MCL1と、BID、BIM、BIK、NOXA A、NOXA B、PUMA、BAK、およびBMFのうちの一つとのものである。一部の実施形態では、ヘテロ二量体抗原は、BFL1と、BID、BIM、NOXA A、NOXA B、およびPUMAのうちの一つとのものである。一部の実施形態では、ヘテロ二量体のうちの一方のモノマーは、BCL2、BID、BIM、BAD、BIK、PUMA、BMF、BCLXL、BCLW、およびMCL1から選択される。一部の実施形態では、ヘテロ二量体のうちの一方のモノマーは、MCL1である。一部の実施形態では、ヘテロ二量体のうちの一方のモノマーは、BIMである。一部の実施形態では、ヘテロ二量体は、BCL2と、BID、BIM、BAD、BIK、PUMA、およびBMFのうちの一つから選択される。一部の実施形態では、ヘテロ二量体は、BCLXLと、BID、BIM、BAD、BIK、HRK、PUMA、およびBMFのうちの一つから選択される。一部の実施形態では、ヘテロ二量体は、BCLWと、BID、BIM、BIK、PUMA、およびBMFのうちの一つから選択される。一部の実施形態では、ヘテロ二量体は、MCL1と、BID、BIM、BIK、NOXA A、NOXA B、PUMA、BAK、およびBMFのうちの一つから選択される。一部の実施形態では、ヘテロ二量体は、BFL1と、BID、BIM、NOXA A、NOXA B、およびPUMAのうちの一つから選択される。一部の実施形態では、ヘテロ二量体は、BCL2、BID、BIM、BAD、BIK、PUMA、BMF、BCLXL、BCLW、およびMCL1から選択される。
本開示の一つまたは複数の例の詳細は、下記の説明に記載されている。本開示の他の特徴または利点は、以下の図面、いくつかの例の詳細な説明から、また添付の特許請求の範囲から、明らかになるものとなる。本開示の詳細は、下記の添付の説明に記載されている。本明細書に記載されるものと類似または同等の方法および材料を本開示の実践または試験に使用することができるが、ここでは例示的な方法および材料が説明されている。本開示の他の特徴、目的、および利点は、記載から、および特許請求の範囲から明らかになる。本明細書および添付の特許請求の範囲において、単数形はまた、文脈が別段に明確に指示しない限り複数を含む。別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。
図1は、ヘテロ二量体選択的なモノクローナル抗体を作製するためにどのように免疫原を使用しうるかを示す画像である。標的エピトープであるBH3-only Bcl-2タンパク質を用いた二量体化によって誘発されたマルチドメインのBcl-2タンパク質の構造変化がある。 図2は、免疫アッセイを介してBcl-2ヘテロ二量体に特異的な抗体をスクリーニングし選択するプロセスを図示する概略図である。ハイブリドーマ上清のELISAスクリーニングおよびカウンタースクリーニングを行い、モノクローナル抗体(Mab)に結合するBcl-xL/Bimヘテロ二量体を選択した。左のパネルは、Bcl-2ヘテロ二量体に結合する抗体が陽性選択されていることを示す。このスクリーニングにより、選択的に結合する39クローンを進めた。中間のパネルは、ヘテロ二量体Bcl-xL/Bim BH3へのmAb-HSBXBの選択的な結合を示す:すなわちBcl-xL-GSTであり、グルタチオン被覆ELISAプレートに結合されたものである。Bim BH3ペプチドを添加して、または添加せず(右のパネル)、HSBXB抗体を用いて複合体を検出した。これらの実験では、ヘテロ二量体の非二量体化メンバーに結合する抗体が陰性選択された。 図3は、グルタチオン被覆ELISAプレートに結合し、BCL2/Bcl-xLを標的とする化合物であるABT-263(ナビトクラクス)を用いて処理した、Bcl-xL-GST/完全長BIMタンパク質を含む非共有ヘテロ二量体を示すグラフである。ペプチドの添加後、モノクローナル抗体を添加する前に、化合物をELISAプレートに添加した。完全長Bimタンパク質を用いてヘテロ二量体を形成した。 図4A、図4B、図4C、および図4Dは、フローサイトメトリーおよび免疫蛍光(IF)によるBcl-XL/Bimヘテロ二量体の検出を示し、ELISAのHSBXBシグナルがミトコンドリアのBH3プロファイリングの読取りと相関することを実証している。図4Aでは、細胞を氷上で3時間インキュベートし、次いで洗浄して、10ug/mLにてHSBXB抗体またはBcl-xL抗体と共に20分間インキュベートし、次いで二次のAlexa488結合ヤギ抗マウス抗体により染色した。シグナルを、IgG-2Aアイソタイプまたは二次のみの対照について補正した。各シリーズでは、左のバーはHSBXB抗体であり、右のバーはアイソタイプ対照である。図4Bでは、三つの細胞株のミトコンドリアプロファイリングにおけるHrk-BH3のシグナルを、正規化されたHSBXB FACSシグナルに対してプロットした。図4Cは、RIPA(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)により溶解された細胞から得られたBcl-xL-Bim複合体の抗Bcl-xLによる捕捉を示す。各シリーズについて、左のバーはAHR77細胞株であり、右のバーはMolm-13細胞株である。次いで、捕捉された複合体をHSBXBまたはBcl-xLによりプロービングした。図4Dでは、SKBR3細胞を2%のPFA中に固定し、HSBXB(マゼンタ)とBcl-xL(Alexa 488)により染色した。 同上。 同上。 図5は、モノクローナル抗体のクローニング工程、HSBXB抗体を生産するために用いる発現ベクター、クローニング戦略、重鎖可変領域(配列番号7)および軽鎖可変領域(配列番号8)のアミノ酸配列、ならびに重鎖可変領域および軽鎖可変領域(強調表示された灰色部分)の相補性決定領域(CDR)を示す画像である。 同上。 図6は、固定した細胞上で本開示に記載された抗体を用いて生成された免疫蛍光シグナルを示す。免疫蛍光顕微鏡を使用して、固定および/またはアーカイブされた腫瘍試料で使用可能なバイオマーカーとしてのHSBXB(例えば、HSBXBクローン32)の有用性を確認した。黒色腫AUCC903N細胞を固定し、透過処理し、HSBXB抗体と共にインキュベートした。次いで、黒色腫細胞で、Bcl-xl-Bimヘテロ二量体(緑色で示す)および核(DAPI;青色で示す)を染色した。固定は4%のパラホルムアルデヒドを使用して行い、0.2%のTritonX100緩衝液により透過処理を行った。これらのデータは、Bcl-xl-Bimヘテロ二量体が予想通りにミトコンドリアに存在することを示す。重要なことに、このデータは、ヘテロ二量体抗体を使用して、接着試料におけるプライミングを特定し、結果に基づき治療的介入を方向付けることができることを確定するものである。 図7A、図7Bおよび図7Cは、固定した細胞上で本開示に記載される抗体を使用することによって生成されたヒト腫瘍生検シグナルの免疫組織化学的(IHC)染色を示す。固定は4%のパラホルムアルデヒドを使用して行い、0.2%のTritonX100緩衝液により透過処理を行った。免疫蛍光顕微鏡を使用して、固定およびアーカイブされた腫瘍試料で使用可能なバイオマーカーとしてのHSBXBの有用性を確認した。黒色腫AUCC903N細胞を固定し、透過処理し、HSBXB抗体と共にインキュベートした(図7)。図7Aは、HBSXBクローン32(40×倍率)を使用した、患者21の***切片0040-3上でのIHC染色を示す。図7Bは、対照抗体(40×倍率)を使用した、患者21の***切片0040-3でのIHC染色を示す。図7Cは、HBSXBクローン32(40×倍率)を使用した、患者14の***切片0020-3でのIHC染色を示す。これらのデータは、Bcl-xl-Bimヘテロ二量体を使用して、接着試料におけるプライミングを特定し、結果に基づき治療的介入を方向付けることができることを示す。 同上。 同上。 図8は、がん細胞で検出されたHSBXBヘテロ二量体シグナルをBcl-xL選択的BH3模倣体(A1155463)がどのようにシフトさせるかを示す、二つのグラフからなる。各シリーズについて、左のバーはHSBXBシグナルであり、右のバーは総Bcl-xLである。データはまた、準致死用量のA1155463で処理された細胞が16時間後にシグナルを失うことを示している(下のグラフ)。グラフのx軸上の「I/C」という用語は、「アイソタイプ対照」を指し、グラフのx軸上の「CC」という用語は、未染色または「清浄な対照」を指す。フローサイトメトリーを使用してシグナルを検出した。 図9Aおよび図9Bは、生検採取されたAML芽球細胞のBcl-xL特異的なHrkペプチドの読取りを用いたBH3プロファイリングに対する、HSBXB/総Bcl-xLシグナルのベンチマーキングを示す。図9Aでは、AML患者試料をBH3プロファイリングに供した。芽球細胞集団は、Hrkプライミング(Bcl-xLに選択的なHrk BH3ペプチドに対する応答)を示した。並行して、AML患者試料を固定し、FITC標識HSBHB抗体およびCy5標識Bcl-xL抗体により染色した。芽球細胞をゲートしたシグナルをフローサイトメトリー(FACS)上で解析した。HSBXB/総Bcl-xLの比率を算出し、BH3プロファイル済み試料から得られたHrk読取り値と比較した。図9Bでは、HSBXBにより検出されたヘテロ二量体/総Bcl-xLのシグナルの比率を、図9Aに記載されるAML患者試料由来のHrkペプチド生成シグナルに対してプロットした。 同上。 図10A、図10B、および図10Cは、全ての試料(図10A)、骨髄(図10B)、および末梢血(図10C)についての状況依存的な読取りを示す。図10A、図10B、および図10Cでは、NOXA%プライミング(y軸)はMcl-1依存性を標示する。骨髄のNOXAのプライミングは臨床応答(CR)と極めて関連しているのに対し、末梢血由来の試料はCRと関連しない。各グラフのx軸上で、NRは「非応答者」を標示する。 図11A、図11B、および図11Cは、FLAM感受性に関連する末梢血(PB)または骨髄(BM)における状況特異的なBcl-2、Bcl-xL依存性を示す。図11Aでは、FLAM tx応答は、BMにおけるNoxa+Badプライミングに正に相関する(p値=0.049)。図11Bでは、FLAM tx応答は、Noxa+Badプライミングに負に相関し、PBの依存性が明らかになった(p値=0.0005)。図11Cでは、BMにおけるNoxa/Badプライミング比率で、さらに高い相関関係が観察された(6倍差、p値=0.002)。 図12A、図12B、および図12Cは、HSBXB抗体がHRKおよび患者応答にどのように相関するかを示すグラフである。図12Aでは、HSBXB/Bcl-xLシグナルの比率は、AML患者試料におけるHRKプライミングに相関した(p値=0.0105)。図12Bでは、HSBXB/Bcl-xLシグナルの比率は、CLL患者試料におけるHRKプライミングに相関した(p値=0.0003)。図12Cでは、この患者群のHRKシグナルによる前処理は、アルボシジブの応答と相関していた。図12Cのx軸上で、「PR」は「部分応答」を指し、「PD」は進行性疾患を指す。 図13Aおよび図13Bは、Bcl-XL/BIM-BH3ヘテロ二量体に対するHSBXB抗体の選択的な結合を示すグラフである。図13Aでは、Bcl-xLタンパク質をELISAプレートに結合した。Bim BH3ペプチドを添加して、または添加せずに、HSBXB抗体を用いて複合体を検出した。図13Bでは、Bcl-xL-GST/BIM BH3ヘテロ二量体をグルタチオン被覆ELISAプレートに結合し、ABT-263(ナビトクラクス)により処理し、HSBXBシグナルを検出した。 図14A、図14B、および図14Cは、A-1155463により処理したときに、Bcl-xL選択的なBH3模倣体に応答して、HSBXBシグナルがシフトすることを示すグラフである。図14Aでは、異所性Bcl-xLおよびBim(SEV-Bcl-xL-Bim[ref])を過剰発現するヒトの精嚢内皮細胞を、透過処理細胞にて、標示された濃度でA-1155463により2時間処理し、固定し、次いで、IgG-2Aアイソタイプに修正されたHSBXBまたはBcl-xLの抗体を用いて固定した。シグナル(y軸)の比率を、フローサイトメトリーにより収集した。図14Bでは、無傷のSEV-Bcl-xL/Bim細胞を、図14AのようにA-1155463により16時間処理し、固定し、染色した。HSBXBとBcl-xLのシグナルの比率を、以下に示すようなパーセンテージとして計算した。
Figure 0007330196000003
図14Cでは、SKBR3細胞を、MEK阻害剤であるセルメテニブ(selumetenib)のある場合またはない場合で、A-1155463により処理した。
図15A、図15Bおよび図15Cは、AML患者試料におけるHRKとHSBXB/BCLXLとの対比のパーセントの相関を示すグラフである。 図16Aおよび図16Bは、乳がん(BC)細胞におけるA1331852に対する薬物応答を示すグラフである。 図17は、未処理の乳がん(BC)細胞におけるHSBXBとBCL-XLとの対比のIF染色を示す。 図18は、二つのパネルからなり、左のパネルは、HCC1937細胞+/- A1331852におけるHSBXBおよびBCL-XLのIFを示し、右のパネルは、HCC1937細胞における阻害剤および対照のシグナル強度を示す。右のパネルでは、各シリーズについて、左のバーはBCL-XL(A468)であり、右のバーはHSBXB(A468)である。 図19は、HCC1937細胞における、A1331852に応答したBcl-xLの局在の変化 を示すグラフである。ソフトウェアZen 2011(Blue edition、カールツァイス)を使用して定量的解析を行った。各パネルについて、最も左側のバーはMito-BCL-XLであり、次のバーはMito-HSBXBであり、次のバーはBcl-XL-HSBXBであり、次のバーはBcl-XL-DAPIであり、最も右側のバーはHSBXB-DAPIである。 図20は、HCC1937細胞におけるsiRNA-BCL-XLのノックダウンを示すグラフおよびゲル画像である。ソフトウェアImage Jを使用して、定量的解析を実施した。 図21は、乳がん細胞におけるHCC1937のBcl-xLノックダウンを示すIF画像である。 図22は、siRNA BCL-XL HCC1937細胞におけるシグナルの低減を示すグラフである。ソフトウェアZen 2011(Blue edition、カールツァイス)を使用して定量的解析を行った。各シリーズについて、左のバーはBCL-XL(A568)であり、右のバーはA488-HSBXBである。 図23は、SVEC野生型とMito-プライミングされたSVECとの対比を示すIFイメージである。 図24Aは、野生型とBCL-xl-/-MEF細胞との対比でのBCL-XL発現のイムノブロットである。図24Bは、MEF細胞におけるBCL-XL(赤色)およびHSBXB(緑色)のIF染色である。図24Cは、MEF細胞におけるIF染色のシグナル強度を示すグラフである。各シリーズについて、左のバーはBCL-XL(A568)であり、右のバーはA488-HSBXBである。 図25は、MEFの野生型およびBCLxL-/-細胞におけるHSBxBの免疫組織化学(IHC)である。 図26は、HCC1937乳がん細胞におけるHSBxBのIHCアッセイである。 図27は、MEF野生型およびBCLxL-/-MEF細胞におけるBcLxLのIHCアッセイである。 図28は、HCC1937処理された乳がん細胞におけるBclxLのIHCアッセイである。 図29Aおよび図29Bは、Bcl-XL-siRNAをトランスフェクトされたHCC1937細胞における、HSBXB(図29A)およびBCL-XL IHC(図29B)のシグナル強度の低減を示すグラフである。ソフトウェアAperioソフトウェアを使用して、定量的解析を実施した。 同上。 図30は、野生型MEFおよびBCL-XL-/-細胞におけるHSBxB/BclxLを示すIHCアッセイである。 図31は、未処理(左)、A-1331852処理(中央)、およびsiRNA-Bcl-xL処理(右)のHCC1937ヒト乳がん細胞を使用したHSBxB/BCLxLを示すIHCアッセイである。デジタル画像をAperio Scanscope XTによって取得し、Spectrum Analysisアルゴリズムパッケージを用いて画像を解析し、ImageScope解析ソフトウェア(アペリオ・テクノロジーズ社)を適用してIHCシグナル(茶色および青灰色)を定量化した。これらのアルゴリズムは、染色を分離するために色デコンボリューション法を使用しており、各染色は、単一染色切片を解析し、色相値および強度閾値を記録することによって、個別に較正された。アルゴリズムは、弱い(1+)、中間(2+)、および強い(3+)陽性染色の割合を計算する。総陽性シグナルは、各試料中の弱い、中間の、および強い陽性染色の総数を表す。 図32は、SVEC BCL-xL:BIM細胞におけるHSBxB/BCLxL重複を示すIHCアッセイである。 図33A、図33B、および図33Cは、IHCを使用したFFPE三重陰性乳がん切片へのHSBXBの適用を示すIHCアッセイである。図33Aでは、患者21 HBSXB 40×倍率。図33Bでは、患者21、対照抗体、40x倍率。図33Cでは、患者14、HBSXB 40×倍率。 図34は、いくつかの組織由来がんを通じてHSBXB結合が実証されるものとして、IHCアッセイの広範な適用を示す表である。 図35A、図35B、および図35Cは、16時間のzVAD+A1331852の処理を行った場合と行わなかった場合の、組織マイクロアレイ(TMA)についての三重陰性乳がん細胞株HCCC1937におけるHSBxB/BCLxL二重染色のIHCの結果を示す。各シリーズについて、左のバーは陽性全体のHSBXBの%であり、右のバーは陽性全体のBCL-xLの%である。 同上。 同上。 図36は、ヘテロ二量体抗体を選択、単離、および精製するための方法の実験工程を示す概略図である。 図37は、Mcl-1/Bimヘテロ二量体へのIgGクローンの選択的な結合を示すグラフである。グラフ全体にわたって増加する線は、MCL-1-GST BIMであり、グラフを通じて底部近くにある線は、MCL-1-GSTである。 図38は、Mcl-1/Bimヘテロ二量体の形成に存在する修飾BPA4ペプチドへの、IgGクローンの選択的な結合を示すグラフである。プレートをMcl-1/Bimヘテロ二量体、Mcl-1モノマー、またはBPA4ペプチドのみのいずれかにより被覆した。グラフの上部に始まって、2.0の値に最も近い線は、非固定のMcl-1-GST-BPA4試料であり、次の下の線は、固定化Mcl-1-GST-BPA4試料であり、次の線は、BPA4のみの非固定の試料であり、次の二つの線は重なり合っており、それらはBIMのない試料およびBPA4のみ固定された試料を指す。 図39は、Mcl-1/Bimヘテロ二量体の形成に存在する修飾BPA4ペプチドへの、IgGクローンの選択的な結合を示すグラフである。プレートを、修飾BPAペプチドを伴うMcl-1/Bimヘテロ二量体、天然Bimビオチン、または切頭型Bimペプチドのいずれかで被覆した。グラフの上部から始まって、線は以下の順:bpa4、bio-bim、bpa1、およびbpa2で現れ、bh3 bim、bimなし、およびbpa3に関連する線はそれぞれグラフの下部にある。 図40は、クローンE905およびMcl-1ポリクローナルウサギ抗体に特異的なMcl-1/Bimヘテロ二量体を示すIF画像である。 図41は、クローンE905およびMcl-1ポリクローナルウサギ抗体に特異的なMcl-1/Bimヘテロ二量体を示すIF画像である。 図42は、クローン15D02およびMcl-1ポリクローナルウサギ抗体に特異的なMcl-1モノマーを示すIF画像である。 図43は、Mcl-1/Bimヘテロ二量体抗体(HSMCB)がBimをin situで結合する必要があることを示すIF画像である。Bim siRNAをMCF-7(乳がん細胞)上で使用し、次いで細胞を固定し、抗BimおよびHSMCB(Mcl-1/Bimヘテロ二量体特異的mAb)により染色した。Bimを発現しない細胞は、赤色染色の欠如によって標示されているが(左の画像から2番目)、DAPIおよびmitoviewについては陽性であり、HSMCBにより染色されない。その他、Mcl-1プライミングされた細胞において重ね合わされた視野(最も右側の画像)で予想されたように、BimおよびMcl-1/Bim複合体は共局在する。
本開示は、部分的には、例えばBcl-2ヘテロ二量体(例えば、Bcl-xl/BIM-BH3ヘテロ二量体)に特異的にそれぞれ結合するいくつかの抗体によって、患者ががん治療に感受性であるか否かを検出するための組成物および方法の発見に基づく。本開示はさらに、患者由来の固形腫瘍試料中の二つのB細胞リンパ腫2(BCL-2)タンパク質を含むヘテロ二量体を検出して、参照値に対するヘテロ二量体の比率を決定するために有用な、組成物および方法を提供し、上記比率は、がん治療に対する患者の感受性を予測するものである。重要なことに、本方法は、直接的なシグナルに基づいてがん患者応答に関する情報を与え、機能的なものとは対照的である。
アポトーシスは、ミトコンドリアで収束する多数のシグナル伝達経路によって媒介されるプログラム細胞死のプロセスである。ミトコンドリアタンパク質の群、すなわち、B細胞白血病/リンパ腫-2(BCL-2)タンパク質ファミリーは、このプロセスを調節する。より具体的には、アポトーシス促進性のおよび抗アポトーシス性のBCL-2タンパク質は、BCL-2タンパク質を調節するその同系物(すなわち、BH3-only BCL-2タンパク質)と共にヘテロ二量体を形成し、それによって細胞死または生存シグナルをもたらす。
アポトーシスの特徴の一つは、ミトコンドリア外膜透過化(MOMP)であり、これはBcl-2タンパク質ファミリーによって調節されるプロセスである。このタンパク質ファミリーの活性は、リンパ球がんおよびいくつかの固形腫瘍がんの発症に連係しており、多くのがんにおいて化学療法に対する抵抗性の重要なメディエーターとなるものと考えられている。Bcl-2タンパク質は、生存促進(抗アポトーシス)メンバーとアポトーシス促進メンバーとの間の別個のタンパク質-タンパク質相互作用によって調節される。これらの相互作用は、主にBH3(Bcl-2相同性ドメイン-3)媒介性結合を介して起こる。アポトーシス開始シグナル伝達は、ミトコンドリアの上流の大部分に起こり、短いBH3-onlyのBcl-2ファミリーメンバーのミトコンドリアへの転位を引き起こし、その場合、それらのメンバーはMOMPを活性化または増感させる。アクチベーターBH3-onlyタンパク質であるBimおよびBidは、エフェクターのアポトーシス促進タンパク質であるBaxおよびBakに結合して直接的に活性化し、抗アポトーシスBcl-2ファミリータンパク質であるBcl-2、Mcl-1、Bfl-1、Bcl-wおよびBcl-xLにも結合して阻害する。増感性BH3タンパク質、Bad、Bik、Noxa、Hrk、Bmf、およびPumaは、抗アポトーシスBcl-2ファミリータンパク質、Bcl-2、Mcl-1、Bfl-1、Bcl-w、およびBcl-xLにのみ結合し、それらの抗アポトーシス機能を遮断する。理論に拘束されることを望むものではないが、各増感性タンパク質は、固有の特異性プロファイルを有する。例えば、Noxa(AおよびB)は、高い親和性でMcl-1に結合し、Badは、Bcl-xLおよびBcl-2に結合するがMcl-1には弱く結合するに過ぎず、Pumaは、三つ全ての標的に良好に結合する。これらのタンパク質の抗アポトーシス機能は、結合してヘテロ二量体を形成することによって、アクチベーターBH3タンパク質BimおよびBidを隔離することである。増感性ペプチドまたは処理によってこれらのアクチベーターが転置する結果、Bax/Bak媒介性アポトーシスの関与が生じる。これらの相互作用は、ホメオスタシス、細胞死、アポトーシスへの増感、アポトーシスの遮断を含めて様々なアウトカムを生じうる。
最も有効ながん薬剤は、標的がん細胞にアポトーシスを誘導する。しかし、現在のがん治療における一つの重大な欠陥は、異なるがん細胞が様々な様式でアポトーシス誘導性薬剤に応答する可能性があることである。これは、部分的には、それらのがん細胞におけるアポトーシス促進/抗アポトーシスBCL-2タンパク質と調節性BH3-only BCL-2タンパク質との間の各種ヘテロ二量体の存在に起因する。
一部の態様では、本開示は、がん治療に対する患者の感受性を予測する方法を提供し、本方法は、二つのB細胞リンパ腫2(BCL-2)タンパク質を含むヘテロ二量体を認識する抗体または抗体形式に試料を接触させることであって、試料が患者の固形腫瘍由来の標本であること;ヘテロ二量体の量を標示するシグナルを検出すること;ならびに参照値に対する試料中に存在するヘテロ二量体に基づき比率を決定することであって、参照値が試料中のヘテロ二量体のBCL-2タンパク質モノマーのうちの一方の量を含み、上記比率ががん治療に対する患者の感受性を予測するものであることを含む。
別の態様では、本開示は、がん治療に対する患者の感受性を予測する方法を提供し、本方法は、二つのB細胞リンパ腫2(BCL-2)タンパク質を含むヘテロ二量体を認識する抗体または抗体形式、およびヘテロ二量体のBCL-2タンパク質モノマーのうちの一方を認識する抗体または抗体形式に試料を接触させることであって、試料が患者の固形腫瘍由来の標本であること;ヘテロ二量体の量およびモノマーの量を標示するシグナルを検出すること;ならびにモノマーの量に対するヘテロ二量体の量に基づき比率を決定することであって、上記比率ががん治療に対する固形腫瘍患者の感受性を予測するものであることを含む。
がん、Bcl-2ヘテロ二量体、Bcl-2タンパク質、およびBcl-2ヘテロ二量体に結合する抗体
本開示は、アポトーシスを受けるためのがん細胞の素因を決定することを用いて、特定の治療に対するがんの罹患性を明らかにする。これを行うことのできる一つの方法は、アポトーシスを調節するBcl-2ヘテロ二量体に結合する開示抗体を使用することによるものである。ヘテロ二量体の形成は、ヘテロ二量体の両方のメンバーに立体構造の変化を誘発し、その結果、二量体化前の両方のメンバーに隔離された抗原性エピトープの曝露を生じる。本開示の単離された抗体は、そのようなエピトープを特異的に認識し、Bcl-2ファミリーのヘテロ二量体にのみ結合し、非二量体メンバーのいずれにも結合しない。
本開示の一つの態様は、Bcl-2ファミリーのヘテロ二量体(すなわち、Bcl-2ヘテロ二量体)に特異的に結合する単離された抗体を特徴とする。Bcl-2ファミリーは、Bcl-2タンパク質(モノマー)と、二つのBcl-2タンパク質の間に形成された天然に存在するヘテロ二量体との両方を含む。ヘテロ二量体は、第1のBcl-2タンパク質(例えば、Bim、Bid、Bad、Puma、Noxa、Bak、Hrk、Bax、またはMule)と第2のBcl-2タンパク質(例えば、Mcl-1、Bcl-2、Bcl-XL、Bfl-1、またはBcl-w)とを含有する。一部の実施形態では、BCL-2タンパク質は、アクチベーターBH3タンパク質であり、アクチベーターBH3タンパク質は、BIDおよびBIMから選択される。一部の実施形態では、BCL-2タンパク質は、増感性BH3タンパク質である。増感性BH3タンパク質は、BAD、BIK、NOXA A、NOXA B、HRK、BMF、およびPUMAから選択される。一部の実施形態では、BCL-2タンパク質は、マルチドメインのアポトーシス促進タンパク質であり、マルチドメインのアポトーシス促進タンパク質は、BAXおよびBAKから選択される。一部の実施形態では、BCL-2タンパク質は、マルチドメインの抗アポトーシスタンパク質であり、マルチドメインの抗アポトーシスタンパク質は、BCL-2、BCL-XL、MCL-1、BCL-W、およびBFL-1から選択される。一部の実施形態では、ヘテロ二量体は、BCL2と、BID、BIM、BAD、BIK、PUMA、およびBMFのうちの一つとを含む。
本開示の方法はまた、BCL2、BID、BIM、BAD、BIK、PUMA、およびBMFモノマーのうちの一つに対するヘテロ二量体の比率をもたらす。ヘテロ二量体は、BCLXLと、BID、BIM、BAD、BIK、HRK、PUMA、およびBMFのうちの一つとを含みうる。本方法はまた、BCLXL、BID、BIM、BAD、BIK、HRK、PUMA、およびBMFモノマーのうちの一つに対するヘテロ二量体の比率をもたらしうる。ヘテロ二量体は、BCLWと、BID、BIM、BIK、PUMA、およびBMFのうちの一つとを含むことがある。一部の実施形態では、本方法は、BCLW、BID、BIM、BIK、PUMA、およびBMFモノマーのうちの一つに対するヘテロ二量体の比率をもたらす。ヘテロ二量体は、MCL1と、BID、BIM、BIK、NOXA A、NOXA B、PUMA、BAK、およびBMFのうちの一つとを含みうる。一部の実施形態では、本方法は、MCL1、BID、BIM、BIK、NOXA A、NOXA B、PUMA、およびBMFモノマーのうちの一つに対するヘテロ二量体の比率をもたらす。一部の実施形態では、ヘテロ二量体は、BFL1と、BID、BIM、NOXA A、NOXA B、およびPUMAのうちの一つとを含む。一部の実施形態では、本方法は、BFL1、BID、BIM、NOXA A、NOXA B、およびPUMAモノマーのうちの一つに対するヘテロ二量体の比率をもたらす。
本開示の方法はまた、BCL2と、BID、BIM、BAD、BIK、PUMA、およびBMFのうちの一つとのヘテロ二量体を認識する抗体または抗体形式を提供する。一部の実施形態では、抗体または抗体形式は、BCLXLと、BID、BIM、BAD、BIK、HRK、PUMA、およびBMFのうちの一つとのヘテロ二量体を認識する。一部の実施形態では、抗体または抗体形式は、BCLWと、BID、BIM、BIK、PUMA、およびBMFのうちの一つとのヘテロ二量体を認識する。一部の実施形態では、抗体または抗体形式は、MCL1と、BID、BIM、BIK、NOXA A、NOXA B、PUMA、BAK、およびBMFのうちの一つとのヘテロ二量体を認識する。一部の実施形態では、抗体または抗体形式は、BFL1と、BID、BIM、NOXA A、NOXA B、およびPUMAのうちの一つとのヘテロ二量体を認識する。
本開示の組成物は、(i)重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、前記重鎖CDR1配列がGHTFTEHYIN(配列番号1)であり、前記重鎖CDR2配列がWIFPGSGSTYYNEKFKG(配列番号2)であり、重鎖CDR3配列がSYSNFWFAY(配列番号3)である、重鎖可変領域と;(ii)軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、軽鎖CDR1配列がRASQSIGTSIH(配列番号4)であり、軽鎖CDR2 配列がKYASESIS(配列番号5)であり、軽鎖CDR3 配列がQQSNSWPTT(配列番号6)である、軽鎖可変領域とを含む、抗体または抗体形式を含む。抗体または抗体形式は、(i)配列番号7に記載のアミノ酸配列または総計10個以下のアミノ酸置換を有する配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域配列と、(ii)配列番号8のアミノ酸配列または総計10個以下のアミノ酸置換を有する配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域配列とを含みうる。本抗体または抗体形式は、配列番号7および/または配列番号8と少なくとも90%、または93%、または95%、または97%、または98%の同一性を有するアミノ酸配列を含みうる。
Bcl-2タンパク質は、ミトコンドリアに存在し、プログラム細胞死および死/生存シグナルの実行因子への関与の主要な調節因子である。(例えば、Reed,Natural Clinical Practice Oncology,3:388-398(2006),Green et al.,Cancer Cell 1:19-30(2002),and Adams et al.,Cold Spring Harb.Symp.Quant.Biol.70:469-477(2005)を参照)。四つのBcl-2タンパク質のサブグループがある:(i)マルチドメインの抗アポトーシスBcl-2タンパク質、(ii)マルチドメインのアポトーシス促進Bcl-2タンパク質、(iii)アクチベーターBH3-only Bcl-2タンパク質、および(iv)増感性BH3-only Bcl-2タンパク質。下記の表1は、主要なヒトBcl-2タンパク質およびそれらのGenBank受入番号を挙げている。
Figure 0007330196000004
他のBcl-2タンパク質は、もしあれば、既知のBcl-2タンパク質のアミノ酸配列をクエリとして用いて、相同性検索によって特定することができる。
ポリペプチドは、BH3ドメインとの相同性に基づいて特定することができ、表1に開示されたポリペプチドのアミノ酸配列に少なくとも約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%の配列相同性を有しうる。好適なバリアントは、一つまたは複数の予測される非必須アミノ酸残基に施された保存的アミノ酸置換を有するものである。例えば、「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基により置き換えられたものである。さらに別の実施形態では、BH3ドメインペプチドは、アポトーシスのアクチベーターまたは増感物質である。好ましい実施形態では、BH3ドメインペプチドは増感物質である。
一実施形態では、ヘテロ二量体は、Bcl-2ファミリーの異なるメンバーを含む。別の実施形態では、Bcl-2ファミリーのヘテロ二量体は、Bim、Bid、Bad、Puma、Noxa、Bak、Hrk、Bax、Bmf、およびMuleからなる群から選択されるBcl-2ファミリーの第1のメンバーと、Mcl-1、Bcl-2、Bcl-XL、Bfl-1、およびBcl-wからなる群から選択されるBcl-2ファミリーの第2のメンバーとを含有する。別の実施形態では、Bcl-2ファミリーの第1のメンバーはBimであり、Bcl-2ファミリーの第2のメンバーはMcl-1、Bcl-XL、またはBcl-2である。一実施形態では、ヘテロ二量体は、Bcl-XLおよびBimを含む。別の実施形態では、ヘテロ二量体は、BimおよびMcl-1を含む。別の実施形態では、ヘテロ二量体は、BimおよびBcl-2を含む。別の実施形態では、ヘテロ二量体は、BidおよびBcl-2を含む。
細胞が薬物誘導性アポトーシスを経るように予め設定されている(例えば、細胞が生存のためのBcl-2ポリペプチド活性に依存する)場合に、本開示の抗体は、アポトーシスの遮断に関与する特定のBcl-2タンパク質を識別するために使用することができる。
Bcl-2タンパク質の一つのサブグループのメンバーは、アポトーシスを調節する異なるサブグループのメンバーと共にヘテロ二量体を形成することが知られている。図1に示されるように、ヘテロ二量体の形成は、ヘテロ二量体の両方のメンバーに立体構造の変化を誘発し、その結果、二量体化前の両方のメンバーに隔離されている抗原性エピトープの曝露を生じる。本開示の単離された抗体は、そのようなエピトープを特異的に認識する(例えば、図1に示される矢印のエピトープ)。換言すれば、本明細書に開示される抗体は、Bcl-2ファミリーのヘテロ二量体に特異的に結合することができる。
端的には、理論に拘束されることを望むものではないが、異常な表現型の結果として、がん細胞はアポトーシス経路に遮断を発生させる。これらの遮断は、いくつかの治療に対して抵抗性のあるがん細胞を作り出し、驚くべきことに、他の療法に感受性のあるがん細胞をいくらか作り出す。「癌遺伝子の嗜癖(addiction)」の概念は、生存のための特定のタンパク質に対する、がん細胞の獲得依存性または嗜癖を説明するものである。がん細胞は、必ずという訳ではないが、アポトーシスを経るように予め設定されることがあり、これは、そうでない場合の意図されない生存のための任意または全ての抗アポトーシスBcl-2ファミリータンパク質にこれらの細胞が依存することに応じたものである。これにより、がん細胞が治療に応答する可能性について洞察が得られる。
理論に拘束されることを望むものではないが、がん細胞は、DNA損傷、遺伝的不安定性、異常な成長因子シグナル伝達、およびマトリクス相互作用の異常または欠失などの異常を呈し、それらのいずれかは、典型的には、本来備わった(ミトコンドリアの)アポトーシス経路を介してアポトーシスを誘発するべきものである。しかし、これらのアポトーシスシグナルに応答するどころか、がん細胞は生存する。その際に、これらの細胞は、しばしば、慢性的なアポトーシスシグナルに対する選択された遮断に高く依存するものとなってゆく。この適応によって、がん細胞の生存機構がもたらされるが、これらの適応はまた、特定のアポトーシス誘発療法に対して影響を受けやすいがん細胞を生じることがある。本来備わったアポトーシスによる細胞を死滅させる非常に重要な事象は、ミトコンドリア外膜の透過化(MOMP)、およびエフェクターカスパーゼを活性化する分子の放出である。多くの場合、MOMPは、本来備わったアポトーシス経路では元に戻せない。Bcl-2ファミリータンパク質は、MOMPの重要な調節因子であり、それらの活性は、リンパ球がんおよびいくつかの固形腫瘍がんの発症に連係しており、多くのがんにおいて化学療法に対する抵抗性の重要なメディエーターとなるものと考えられている。
Bcl-2タンパク質は、生存促進(抗アポトーシス)メンバーとアポトーシス促進メンバーとの間の別個のタンパク質-タンパク質相互作用によって調節される。これらの相互作用は、主にBH3(Bcl-2相同性ドメイン-3)媒介性結合を介して起こる。アポトーシス開始シグナル伝達は、ミトコンドリアの上流の大部分に起こり、短いBH3-onlyのBcl-2ファミリーメンバーのミトコンドリアへの転位を引き起こし、その場合、それらのメンバーはMOMPを活性化または増感させる。アクチベーターBH3-onlyタンパク質であるBimおよびBidは、エフェクターのアポトーシス促進タンパク質であるBaxおよびBakに結合して直接的に活性化し、抗アポトーシスBcl-2ファミリータンパク質であるBcl-2、Mcl-1、Bfl-1、Bcl-wおよびBcl-xLにも結合して阻害する。増感性BH3タンパク質、Bad、Bik、Noxa、Hrk、Bmf、およびPumaは、抗アポトーシスBcl-2ファミリータンパク質、Bcl-2、Mcl-1、Bfl-1、Bcl-w、およびBcl-xLにのみ結合し、それらの抗アポトーシス機能を遮断する。理論に拘束されることを望むものではないが、各増感性タンパク質は、固有の特異性プロファイルを有する。例えば、Noxa(AおよびB)は、高い親和性でMcl-1に結合し、Badは、Bcl-xLおよびBcl-2に結合するがMcl-1には弱く結合するに過ぎず、Pumaは、三つ全ての標的に良好に結合する。これらのタンパク質の抗アポトーシス機能は、アクチベーターBH3タンパク質BimおよびBidを隔離することである。増感性ペプチドによってこれらのアクチベーターが転置する結果、Bax/Bak媒介性アポトーシスの関与が生じる。これらの相互作用は、ホメオスタシス、細胞死、アポトーシスへの増感、アポトーシスの遮断を含めて様々なアウトカムを生じうる。
アポトーシスシグナル伝達が遮断されるがん細胞の規定された特徴は、ミトコンドリア表面にBH3-onlyアクチベータータンパク質が蓄積することであり、結果としてこれらのタンパク質は、抗アポトーシスタンパク質によって隔離される。この蓄積とエフェクター標的タンパク質への近さは、「BH3プライミングされた」状態におけるBcl-2ファミリータンパク質の拮抗作用に対する感受性の増加の原因である。
一部の実施形態では、Noxa(AまたはB)に対し高いアポトーシス応答を生じる細胞は、Mcl-1によりプライミングされるのに対し、ペプチドBadに対する高い応答は、Bcl-xLまたはBcl-2がアポトーシスの遮断をもたらすことを標示する。一部の実施形態では、Pumaは、pan-Bcl-2ファミリーのプライミングを反映する。このように、Mcl-1とBcl-xLのどちらかに、両方のタンパク質に、またはいくつかのBcl-2ファミリーメンバーのどちらかに依存する細胞は、容易に区別され、それゆえに、それに応じて適切な治療が調整されうる。これらのペプチドに対するミトコンドリア応答の区別により、Mcl-1とBcl-xLとのどちらかに影響される内因性シグナル伝達へと注ぎ込む経路を介して作用することが知られている療法の使用を手引きする。Bcl-2阻害化合物またはMcl-1阻害化合物の使用が、そのような場合に標示されうる。一部の実施形態では、本方法はまた、Mcl-1またはBcl-xLの上流のエンティティを標的とする療法の適応性または禁忌を示す。
抗体の生成および産生
本開示の抗体は、抗原結合活性を保持する免疫グロブリン全体またはその断片とすることができる。一部の実施形態では、本開示の抗体は、scFv抗体、キメラ抗体、またはヒト化抗体を含めた、遺伝子改変免疫グロブリンとすることができる。一部の実施形態では、抗体または抗体形式は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体断片、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、単鎖Fv、ダイアボディ、直鎖抗体、二重特異性抗体、多特異性抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、および抗体の抗原結合部分を含む融合タンパク質のうち一つまたは複数から選択される。一部の実施形態では、抗体または抗体形式は、式(FW1)-(CDR1)-(FW2)-(CDR2)-(FW3)-(CDR3)-(FW4)に従ってCDR間に並置された可変領域フレームワーク(FW)配列をさらに含み、重鎖可変領域の可変領域FW配列は、重鎖可変領域FW配列であり、軽鎖可変領域の可変領域FW配列は、軽鎖可変領域FW配列である。一部の実施形態では、可変領域FW配列はヒトである。抗体または抗体形式は、ヒトの重鎖定常領域および軽鎖定常領域をさらに含みうる。一部の実施形態では、定常領域は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4からなる群から選択される。本明細書で使用される際に、用語「単離された抗体」とは、天然に付随する分子、すなわち、抗体を含有する調製物の乾燥重量で最大20%を占める天然に付随する分子を、実質的に含まない抗体を指す。
本開示の抗体は、従来の方法によって調製されうる。(例えば、Harlow and Lane,(1988)Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New Yorkを参照)例えば、重要な結合モチーフの区画を別々に用いてヘテロ二量体タンパク質の二つのメンバーを生産した後、重要なエピトープを合成し、ヘテロ二量体の一方のメンバーの一部であるリガンドと、ヘテロ二量体の他方のメンバーの全長タンパク質である受容体とを誘導することによって、Bcl-2ファミリーの合成ヘテロ二量体を調製してもよい。合成ヘテロ二量体の機能性は、in vitro結合アッセイを用いてチェックすることができる。決定されると、結合忠実性が合成ヘテロ二量体で維持され、次いで、リガンド部分が、いくつかの潜在的な芳香族アミノ酸のうちの一つの代わりにベンゾイルフェニルアラニン(アナスペック、フリーモント、カリフォルニア州、米国)を含有するように改変される。(図1、図2)各タンパク質断片は、上記に詳述されたように結合忠実性についてさらに試験することができる。選択されると、結合リガンドは、450nMで最大8時間にわたるUV光への活性化曝露への曝露によって共有結合することができる。次いで、合成ヘテロ二量体をFPLCによって精製し、マウス宿主への注射のための免疫原として使用することができる。
ヘテロ二量体に結合する抗体を生産するために、ヘテロ二量体を、任意選択的に担体タンパク質(例えばKLH)に結合し、アジュバントと混合した後、宿主動物に注射してもよい。動物で産生された抗体は、次いで、ヘテロ二量体親和性クロマトグラフィーによって精製することができる。一般的に採用される宿主動物としては、ウサギ、マウス、モルモット、およびラットが挙げられる。様々なアジュバントが、免疫応答を増加させるために使用されうるが、そのようなアジュバントは、宿主の種に依存し、フロイントアジュバント(完全および不完全)、水酸化アルミニウムなどの鉱物ゲル、CpG、界面活性物質、例えばリゾレシチン、プルロニック(登録商標)ポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油乳剤、スカシガイヘモシアニン、およびジニトロフェノールが挙げられる。有用なヒトアジュバントとしては、BCG(カルメット・ゲラン桿菌)およびコリネバクテリウム・パルヴムが挙げられる。ポリクローナル抗体、すなわち、不均一な抗体分子の集団は、免疫した動物の血清中に存在する。
モノクローナル抗体、すなわち、均一な抗体分子の集団は、標準的なハイブリドーマ技術を用いて調製される。(例えば、Kohler et al.(1975)Nature 256,495;Kohler et al.(1976)Eur.J.Immunol.6,511;Kohler et al.(1976)Eur J Immunol 6,292;およびHammerling et al.(1981)Monoclonal Antibodies and T Cell Hybridomas,Elsevier,N.Y.))を参照)具体的には、モノクローナル抗体は、培養にて持続性のある細胞株による抗体分子の生産をもたらす任意の手法によって取得されうる。(Kohler et al.(1975)Nature 256,495;Kosbor et al.(1983)Immunol Today 4,72;Cole et al.(1983)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80,2026、およびthe EBV-hybridoma technique(Cole et al.(1983)を参照;またMonoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.,pp.77-96を参照)そのような抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA、IgD、およびその任意のサブクラスを含む任意の免疫グロブリンクラスでありうる。本開示のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、in vitroまたはin vivoで培養されうる。in vivoで高い力価のモノクローナル抗体を生成する能力によって、それは特に有用な生産方法となっている。
さらに、「キメラ抗体」の生産について開発された手法を使用することができる。(例えば、Morrison et al.(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81,6851;Neuberger et al.(1984)Nature 312,604;およびTakeda et al.(1984)Nature 314:452を参照)キメラ抗体とは、異なる動物種に異なる部分が由来する分子であり、例えば、マウスモノクローナル抗体由来の可変領域とヒト免疫グロブリン定常領域とを有するものなどである。あるいは、単鎖抗体の生産について記載された手法(米国特許第4,946,778号および第4,704,692号)を、scFv抗体のファージまたは酵母のライブラリーを生じるように適合させることができる。scFv抗体は、アミノ酸架橋を介してFv領域の重鎖断片と軽鎖断片とを連結することによって形成される。
さらに、抗体断片が既知の手法によって生成され得る。例えば、そのような断片としては、以下に限定されないが、抗体分子のペプシン消化によって産生することができるF(ab’)sub.2断片、およびF(ab’)sub.2断片のジスルフィド架橋を低減することによって生成できるFab断片が挙げられる。抗体は、当技術分野に公知の方法によってヒト化することもできる。例えば、所望の結合特異性を有するモノクローナル抗体は、市販されているヒト化体(スコットジーン、スコットランド、およびオックスフォード・モレキュラー、パロアルト、カリフォルニア州)である。完全ヒト抗体、例えばトランスジェニック動物で発現されるものなどは、本開示の特徴である(例えば、Green et al.(1994)Nature Genetics 7,13;ならびに米国特許第5,545,806号および第5,569,825号を参照)。
上述の方法のいずれかによって調製された抗体を、そのBcl-2ヘテロ二量体への結合について確認した。(すなわち、図3、図13A、図13Bを参照)それらを陰性選択に供し、ヘテロ二量体の非二量体化メンバーにも結合したものを除外した。(図2)例えば、二つのメンバーのそれぞれ、すなわちモノマーAおよびモノマーBは、別個の蛍光色素、すなわち染料xおよび染料yそれぞれを用いて標識されうる。染料xおよびyは、異なる最適な発光波長を有する。抗体を最初に標識モノマーA、標識モノマーB、またはA/Bヘテロ二量体(二重標識)と共に適切な時間の間インキュベートし、次いでGamaBind Sepharoseセファロースビーズによって捕捉した。抗体がどちらかのモノマーまたはヘテロ二量体に結合できたか否かを、捕捉された抗体から放出された蛍光シグナルに基づき決定した。ヘテロ二量体に結合しかつ非二量体メンバーのどちらにも結合しない抗体を選択した。(図2)
本明細書に開示される抗体は、従来の方法、例えば免疫組織化学(IHC)染色によって、対象(例えば患者)から得られた試料中、特に固定組織試料またはミトコンドリア画分中のBcl-2ヘテロ二量体の存在または不在を検出する方法で、使用することができる(図6)。例えば、様々なBcl-2ヘテロ二量体に特異的な複数の抗体を使用して、患者由来の複数の組織試料中のミトコンドリア外膜上の特定のBcl-2ヘテロ二量体の存在をプロファイリングしてもよい。様々な病期(例えば、悪性病変の段階)の組織を、同じ患者から採集することができる。ミトコンドリア画分を、これらの組織から、本開示の複数の抗体を用いて調製することができ、この画分を、Bcl-2ヘテロ二量体の存在/不在についてプロファイリングすることができる。
また、本明細書に開示されるのは、特定のBcl-2ヘテロ二量体の形成に直接的または間接的に干渉する薬剤に対するヒト患者の応答性を、患者中のBcl-2ヘテロ二量体の存在に基づいて予測する方法である。
Bcl-2タンパク質は、異なるBcl-2サブグループのメンバー間のヘテロ二量体の形成を介して、アポトーシスの調節において必須の役割を果たすことがよく知られている。上記表1を参照されたい。アクチベーターBH3-only Bcl-2タンパク質(すなわち、BIDまたはBIM)は、マルチドメインのアポトーシス促進Bcl-2タンパク質(すなわち、BAXまたはBAK)に結合し、細胞死を導くミトコンドリア外膜透過化(MOMP)を惹起する。マルチドメインの抗アポトーシスBcl-2タンパク質(例えば、Bcl-2またはMcl-1)は、BAXおよびBAKに結合することができ、またBAXまたはBAKとの結合からアクチベーターBH3-onlyタンパク質を隔てることもできる。そのため、MOMPプロセスが阻害され、細胞の生存がもたらされる。マルチドメインの抗アポトーシスBcl-2タンパク質の活性は、増感性BH3-onlyタンパク質によって調節される。Bcl-2タンパク質のこのサブグループは、抗アポトーシスBcl-2タンパク質に結合し、BH3-only Bcl-2タンパク質を転置させる結果それらが放出されてアポトーシス促進Bcl-2タンパク質に結合し、それによりMOMPプロセスを惹起する、ということによってアポトーシスを促進する。端的に述べれば、二つのタイプのBcl-2ヘテロ二量体があり:すなわち(1)アクチベーターBH3-only Bcl-2タンパク質とマルチドメインのアポトーシス促進Bcl-2タンパク質との間で、または増感性BH3-only Bcl-2タンパク質とマルチドメインの抗アポトーシスBcl-2タンパク質との間で形成される、アポトーシス促進Bcl-2ヘテロ二量体;および(2)マルチドメインの抗アポトーシスBcl-2タンパク質とアクチベーターBH3-only Bcl-2タンパク質との間で、またはマルチドメインの抗アポトーシスBcl-2タンパク質とマルチドメインのアポトーシス促進Bcl-2タンパク質との間で形成される、抗アポトーシスBcl-2ヘテロ二量体がある。アポトーシス促進Bcl-2ヘテロ二量体の形成は、アポトーシスを促進するのに対し、抗アポトーシスヘテロ二量体の形成は、細胞の生存を促進する。
対象(例えば患者)における特定のアポトーシス促進性または抗アポトーシス性のBcl-2ヘテロ二量体の存在は、特定のヘテロ二量体の形成を遮断しその機能を阻害する薬剤に対する患者の応答性を標示することが知られている。(例えば、Delbridge and Strasser A.Cell Death Differ.2015 Jul;22(7):1071-80.doi:10.1038/cdd.2015.50を参照)
本開示の一部の実施形態では、上記薬剤は、その同族パートナーへの結合についてBH3-onlyタンパク質に対して競合する、BH3-onlyタンパク質の模倣体である。他の実施形態では、上記薬剤は、上流アポトーシス因子を標的とし、最終的にBcl-2ヘテロ二量体の形成を遮断する。
数多くのがん薬剤が、抗アポトーシスBcl-2ヘテロ二量体の形成を遮断することによって、がん細胞にアポトーシスを誘発する。がん患者における特定の抗アポトーシスBcl-2ヘテロ二量体の存在は、この患者がこの抗アポトーシスBcl-2ヘテロ二量体の形成に干渉する薬剤に感受性であることを標示する。(Robert et al.,Clinical Pharmacology and Therapeutics 101;1,January 2017を参照)。一方、アポトーシス阻害剤は、神経変性疾患または心血管疾患を治療するために使用することができ、これらの疾患の両方がアポトーシスを伴うものである。このコンテクストでは、神経変性疾患患者または心血管疾患患者の特定のアポトーシス促進Bcl-2ヘテロ二量体の存在は、例えば、このような患者が特定のアポトーシス促進Bcl-2ヘテロ二量体の形成を遮断するアポトーシス阻害剤に感受性であることを示す。
一部の実施形態では、感受性は、(a)試料中のアポトーシスの存在、(b)患者が抗アポトーシスBcl-2ヘテロ二量体の形成に干渉する薬剤に感受性であることを標示する、試料中の抗アポトーシスBcl-2ヘテロ二量体の存在、(c)遺伝的なリスク要因、家族歴、個人歴、種および民族性、ある特定の組織の特徴、様々な良性の状態(例えば非増殖性の病変)、以前の胸部放射線照射、発癌物質への曝露などによって特徴付けられる。
一部の実施形態では、本方法は、ミトコンドリア外膜透過化(MOMP)の機能的読取りを伴わない。一部の実施形態では、本方法は、細胞膜電位の色素ベースの検出を伴わない。
例示的な臨床判断
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法は、例えば、診断、予後、および治療に対する応答を評価するために、患者由来の固形腫瘍試料の評価において有用である。様々な態様では、本開示は、固形腫瘍を評価することを含む。様々な実施形態では、評価は、診断、予後、および治療に対する応答から選択されうる。
様々な態様では、本開示の方法を使用してがん患者を治療しうる。例えば、本方法は、上記比率ががん治療に対する感受性を予測するものである場合に、患者にがん治療を施すことをさらに含みうる。一部の実施形態では、本方法は、上記比率ががん治療に対する感受性を予測するものである場合に、がん治療の用量を低減して、もしくは頻度を少なくして、および/またはレジメンを短縮して、患者を治療することをさらに含みうる。一部の実施形態では、本方法は、上記比率ががん治療に対する感受性を予測するものである場合に、がん治療の用量を増加して、もしくは頻度を多くして、および/またはレジメンを延長して、患者を治療することをさらに含みうる。一部の実施形態では、本方法は、上記比率ががん治療に対する感受性の欠如を予測するものである場合に、患者に対するがん治療を保留することをさらに含みうる。一部の実施形態では、本方法は、上記比率ががん治療に対する感受性の欠如を予測するものである場合に、異なるがん治療を用いて患者を治療することをさらに含みうる。
例えば、様々な実施形態では、試料は、モノマーよりも多くの二量体の比率を示す。例えば、二量体とモノマーとの比は、約20:1、または約15:1、または約10:1、または約9:1、または約8:1、または約7:1、または約6:1、または約5:1、または約4:1、または約3:1、または約2:1でありうる。様々な実施形態では、試料は、二量体よりも多くのモノマーの比率を示す。例えば、モノマーと二量体との比は、約20:1、または約15:1、または約10:1、または約9:1、または約8:1、または約7:1、または約6:1、または約5:1、または約4:1、または約3:1、または約2:1でありうる。様々な実施形態では、二量体とモノマーとの比は同等(すなわち約1:1)である。
診断とは、例えばがんなどの可能性のある疾患または障害を決定または特定するプロセスを指す。予後とは、例えばがんなどの疾患または障害のあり得るアウトカムを予測することを指す。完全な予後は、多くの場合、予想される期間、機能、および疾患の経過の説明、例えば進行性の低下、間欠性の発作、または突然の予想外の発作などを含む。治療に対する応答とは、治療を受ける際の患者の医療アウトカムの予測である。治療に対する応答は、非限定的な例として、病理学的に完全な応答、生存、および無増悪生存期間、進行までの時間、ならびに再発の可能性であることがある。
様々な実施形態では、本方法は、患者が特定の治療を受けるか否かに関する臨床判断を方向付ける。一実施形態では、本方法は、ネオアジュバントおよび/もしくはアジュバント化学療法に対する陽性応答の予測、またはネオアジュバントおよび/もしくはアジュバント化学療法に対する非応答性を予測するものである。一実施形態では、本方法は、アポトーシス促進剤、もしくはアポトーシスを介して動作する薬剤、および/もしくはアポトーシスを介して動作しない薬剤に対する陽性応答を、またはアポトーシスエフェクター剤、および/もしくはアポトーシスを介して動作しない薬剤に対する非応答性を、予測するものである。様々な実施形態では、本開示は、例えば、どのタイプの治療を投与または保留すべきかを含めて、がん患者の治療を方向付ける。
一部の実施形態では、本方法は、抗がん剤、化学療法、抗アポトーシスタンパク質の拮抗剤、外科手術、アジュバント療法、およびネオアジュバント療法のうちの一つまたは複数に関するがん治療を方向付ける。
一実施形態では、本方法は、患者が一次治療、主要治療、または初期治療の後にアジュバント療法を受けるか否かに関する臨床判断を方向付けるものであり、そのような療法としては、限定はないが単一の唯一つのアジュバント療法が挙げられる。アジュバント療法は、アジュバントケアとも呼ばれ、一次治療、主要治療、または初期治療に加えて与えられる治療である。非限定的な例として、アジュバント療法は、外科手術後に通常与えられる追加的な治療であることがあり、その外科手術では、検出可能な全ての疾患が除去されているが、潜在的な疾患により再発する統計的リスクが残っている。
一部の実施形態では、本方法は、アジュバント療法を含めて患者の治療を方向付ける。例えば、特定の治療に応答するようにスコア付けされた患者は、そのような治療をアジュバント療法として受けることがある。さらに、本方法は、非限定的な例として、アポトーシス促進の様式で誘導および/もしくは動作する治療かまたはそうしないものとして、アジュバント療法のアイデンティティを方向付けることがある。一実施形態では、本方法は、患者が特定の治療に応答しないものとなるかまたはあまり応答しないものとなることを標示することがあり、それゆえに、そのような患者は、アジュバント療法としてそのような治療を受けないことがある。したがって、一部の実施形態では、本方法は、あり得る患者の応答に従ってアジュバント療法を提供または保留することを可能にする。このようにして、患者の生活の質およびケアコストが改善されうる。
様々な実施形態では、本方法は、患者がネオアジュバント療法、例えば、外科手術前の腫瘍を縮小および/または低下させるための療法を受けるか否かに関する臨床判断を方向付ける。一部の実施形態では、ネオアジュバント療法は、外科手術前のがん患者に投与される化学療法を意味する。一部の実施形態では、ネオアジュバント療法は、本明細書に記載されるものを含めて、外科手術前にがん患者に投与される薬剤を意味する。ネオアジュバント化学療法が一般的に考慮されるがんの種類としては、例えば、***、結腸直腸、卵巣、子宮頸部、膀胱、および肺が挙げられる。
一部の実施形態では、本方法は、ネオアジュバント療法を含めて患者の治療を方向付ける。例えば、特定の治療に応答するものとスコア付けされた患者は、そのような治療をネオアジュバント療法として受けることがある。さらに、本方法は、非限定的な例として、アポトーシス促進の様式で誘導および/もしくは動作する治療かまたはそうしないものとして、ネオアジュバント療法のアイデンティティを方向付けることがある。一実施形態では、本方法は、患者が特定の治療に応答しないものとなるかまたはあまり応答しないものとなることを標示することがあり、それゆえに、そのような患者は、ネオアジュバント療法としてそのような治療を受けないことがある。したがって、一部の実施形態では、本方法は、あり得る患者の応答に従ってネオアジュバント療法を提供または保留することを可能にする。このようにして、患者の生活の質およびケースのコストが改善されうる。
一部の実施形態では、本方法は、患者が特定の種類の治療(例えば、抗がん剤、化学療法、抗アポトーシスタンパク質の拮抗剤、外科手術、アジュバント療法、およびネオアジュバント療法のうち一つまたは複数)を受けるか否かに関する臨床判断を方向付ける。一部の実施形態では、がん治療は、SMAC模倣体、BH3模倣体、プロテアソーム阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、グルココルチコイド、ステロイド、モノクローナル抗体、抗体薬物コンジュゲート、またはサリドマイド誘導体のうちの一つまたは複数である。一部の実施形態では、本方法は、患者の治療のための手引きの試験である。
一部の実施形態では、本方法はがん治療を含み、がん治療はチェックポイント阻害剤である。チェックポイント阻害剤は、TIM-3、BTLA、PD-1、CTLA-4、B7-H4、GITR、ガレクチン-9、HVEM、PD-L1、PD-L2、B7-H3、CD244、CD160、TIGIT、SIRPα、ICOS、CD172a、およびTMIGD2のうちの一つを標的とする薬剤とすることができる。PD-1を標的とする薬剤は、PD-1に特異的な抗体または抗体形式とすることができ、任意選択的にニボルマブ、ペンブロリズマブ、およびピジリズマブから選択される。PD-L1を標的とする薬剤は、PD-L1に特異的な抗体または抗体形式とすることができ、任意選択的にアテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、およびBMS-936559から選択される。CTLA-4を標的とする薬剤は、CTLA-4に特異的な抗体または抗体形式とすることができ、任意選択的にイピリムマブおよびトレメリムマブから選択される。
一部の実施形態では、本方法は、患者が特定の治療に対して示す、あり得る応答についての情報を提供する。一部の実施形態では、本方法は、高い応答の可能性を示し、侵襲的な治療を含めて治療を方向付ける場合がある。一部の実施形態では、本方法は、低い応答の可能性を示し、生活の質をより良くするために効果のない化学療法による不必要な毒性を回避するべく、侵襲的な治療を含む治療の休止と緩和ケアとを方向付ける場合がある。
例示的な実施形態では、本方法は、特定の治療への応答の可能性を標示するものとなる。例えば、一部の実施形態では、本方法は、アポトーシス促進剤、および/またはアポトーシスを介して動作する薬剤、および/または直接的なタンパク質の調節によって駆動されるアポトーシスを介して動作する薬剤に対する、高いまたは低い応答の可能性を標示する。様々な実施形態では、例示的なアポトーシス促進剤、および/またはアポトーシスを介して動作する薬剤、および/または直接的なタンパク質の調節によって駆動されるアポトーシスを介して動作する薬剤としては、ABT-263(ナビトクラックス)、およびオバトクラックス、WEP、ボルテゾミブ、およびカルフィルゾミブが挙げられる。一部の実施形態では、本方法は、アポトーシスを介して動作しない薬剤、および/または直接的なタンパク質の調節によって駆動されるアポトーシスを介して動作しない薬剤に対する、高いまたは低い応答の可能性を標示する。様々な実施形態では、アポトーシスを介して動作しない例示的な薬剤としては、キネシン紡錘体タンパク質阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤、三酸化二ヒ素(トリセノックス)、MEK阻害剤、ポマリドミド、アザシチジン、デシチビン(decitibine)、ボリノスタット、エンチノスタット、ジナシクリブ、ゲムツズマブ、BTK阻害剤、PI3キナーゼデルタ阻害剤、レノリジミド(lenolidimide)、アントラサイクリン、シタラビン、メルファラム(melphalam)、Aky阻害剤、mTOR阻害剤が挙げられる。
例示的な実施形態では、本方法は、アポトーシス促進剤かまたはがん治療のためにアポトーシスを介して動作する薬剤を患者が受けるか否かを標示するものとなる。別の例示的な実施形態では、本方法は、アポトーシスを介して動作されない薬剤を患者が受けることになるか否かを標示するものとなる。
特定の実施形態では、本方法は、本明細書に記載される治療(薬剤を含む)のいずれかに対するがん患者の応答を予測する際に有用である。
様々な実施形態では、がん治療は、本明細書に記載される方法に基づいて投与されるかまたは保留される。例示的な治療としては、外科的切除、放射線療法(放射性増感剤としてまたはそれとの組合せでの本明細書に記載される化合物の使用を含む)、化学療法、薬力学療法、標的療法、免疫療法、および支持療法(例えば、鎮痛剤、利尿剤、抗利尿剤、抗ウイルス剤、抗生物剤、栄養補助剤、貧血治療薬、血液凝固治療薬、骨治療薬、および精神および心理治療薬)が挙げられる。
例示的な治療
例示的な実施形態では、本開示は治療作因を選択する。そのような作因の例としては、以下に限定されないが、抗がん剤、化学療法、外科手術、アジュバント療法、およびネオアジュバント療法のうちの一つまたは複数が挙げられる。一実施形態では、がん治療は、BH3模倣体、エピジェネティクス修飾剤、トポイソメラーゼ阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤、およびキネシン紡錘体タンパク質安定化剤のうちの一つまたは複数である。一部の実施形態では、BH3模倣体は、ABT-737およびABT-263(ナビトクラクス)、Bcl-2特異的なベネトクラクス(ベネクレクスタ、ABT-199)、MCL-1特異的なS63845およびAMG176およびADZ5991、BCL-XL特異的なA-1155463およびA1331852、BFL-1/MCL-1特異的なEU5346、またはそれらの組み合わせから選択される。別の実施形態では、がん治療は、プロテアソーム阻害剤;ならびに/または細胞周期調節の調節因子(非限定的な例として、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤);ならびに/または細胞のエピジェネティックな機構(非限定的な例として、一つもしくは複数のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)(例えば、ボリノスタットもしくはエンチノスタットのうち一つもしくは複数)、アザシチジン、デシタビン;ならびに/またはアントラサイクリンもしくはアントラセンジオン(非限定的な例として、エピルビシン、ドキソルビシン、ミトキサントロン、ダウノルビシン、イダルビシンのうち一つもしくは複数);ならびに/または白金系治療剤(非限定的な例として、カルボプラチン、シスプラチン、およびオキサリプラチンのうち一つもしくは複数);シタラビンもしくはシタラビン系化学療法;BH3模倣体(非限定的な例として、BCL2、BCLXL、もしくはMCL1のうち一つもしくは複数);ならびにMCL1の阻害剤である。一部の実施形態では、がん治療は、検出された特定のヘテロ二量体の形成を遮断する。一部の実施形態では、がん治療は、検出された特定のヘテロ二量体の形成を攪乱する。
様々な実施形態では、本開示はがん治療に関し、そのようなものとしては、限定はないが、アルキル化剤、例えばチオテパおよびシトキサン・シクロスホスファミド(cyclosphosphamide)など;スルホン酸アルキル、例えばブスルファン、インプロスルファン、およびピポスルファンなど;アジリジン、例えばベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、およびウレドーパなど;アルトレタミン、トリエチレンメタミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド、およびトリメチロメラミンを含むエチレンイミンおよびメチラメナミン(methylamelamine);アセトゲニン(例えば、ブラタシンおよびブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン、およびビゼレシンの合成類似体を含む);クリプトフィシン(例えば、クリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体であるKW-2189およびCB1-TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンジスタチン;ナイトロジェンマスタード、例えばクロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなど;ニトロソウレア、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、およびラニムスチンなど;抗生物質、例えば、エンジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特にカリケアマイシンガンマ1I及びカリケアマイシンオメガI1(例えば、Agnew、Chem.Intl.Ed.Engl.、33:183-186(1994)を参照);ダイネミシンAを含む、ダイネミシン;ビスホスホネート、例えば、クロドロネートなど;エスペラミシン;ならびにネオカルジノスタチンクロモフォアおよび関連色素タンパク質エンジイン抗生物質クロモフォア);アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アウトラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、アドリアマイシン・ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン、およびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシンなど;代謝拮抗剤、例えば、メトトレキサートおよび5-フルオロウラシル(5-FU)など;葉酸類似体、例えばデノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなど;プリン類似体、例えばフルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなど;ピリミジン類似体、例えばアンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンなど;アンドロゲン、例えばカルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなど;抗副腎剤、例えばミノグルテチミド(minoglutethimide)、ミトタン、トリロスタンなど;フロリン酸(frolinic acid)などの葉酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル、アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート(edatraxate);デメコルシン;ジアジコン;エルフォルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイニン(lonidainine);メイタンシノイド、例えばメイタンシンおよびアンサミトシンなど;ミトグアゾン;ミトキサントロン、モピダンモール(mopidanmol);ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK多糖複合体(JHSナチュラルプロダクツ、ユージーン、オレゴン州);ラゾキサン;リゾキシン、シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(例えばT-2トキシン、ベラクリンA、ロリジンA、およびアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えばタキソール・パクリタキセル(ブリストルマイヤーズ・スクイブ・オンコロジー、プリンストン、ニュージャージー州)、アブラキサン・クレモフォール不含、パクリタキセルのアルブミン操作ナノ粒子製剤(アメリカン・ファーマシューティカル・パートナーズ、シャウムベルク、111.)、およびタキソテール・ドクセタキセル(doxetaxel)(ローヌ-プーランク-ローラー、アントニー、フランス);クロランブシル(chloranbucil);ジェムザール・ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金類似体、例えばシスプラチン、オキサリプラチン、およびカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ナベルビン・ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;イリノテカン(カンプトサール、CPT-11)(5-FUおよびロイコボリンを併用するイリノテカンの治療レジメンを含む);トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド、例えばレチノイン酸など;カペシタビン;コンブレタスタチン;ロイコボリン(LV);オキサリプラチン、オキサリプラチン治療レジメン(フォルフォックス)を含む;ラパチニブ(タイケルブ);細胞増殖を低減するPKC-α、Raf、H-Ras、EGFR(例えばエルロチニブ(タルセバ))、およびVEGF-Aの阻害剤、ダコゲン、ベルケード、ならびに上記のいずれかの医薬的に許容可能な塩、酸、または誘導体のうち一つまたは複数が挙げられる。
例示的な検出方法
様々な実施形態では、本方法は、がん治療に対する患者の感受性を予測することを含む。一部の実施形態では、ヘテロ二量体の検出は、免疫組織化学(IHC)、フローサイトメトリー、または免疫蛍光法を採用する。
様々な実施形態では、本方法は、タンパク質および/または核酸の存在、不在、またはレベルを評価することを含む。様々な実施形態では、本方法は、BH3ヘテロ二量体比の特異性および/または感受性を高めることができるタンパク質および/または核酸の存在、不在、またはレベルを評価することを含む。一部の実施形態では、評価は、患者応答についてのマーカーである。一部の実施形態では、本方法は、免疫組織化学染色(すなわちIHC)、ウェスタンブロッティング、細胞ウェスタン、免疫蛍光染色、ELISA、および蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)、または本明細書に記載もしくは当技術分野で公知の任意の他の方法のうち一つまたは複数を使用した測定を含む。本方法は、抗体を腫瘍標本(例えば、生検体、組織または体液)に接触させて、組織または体液に特異的であるかまたはがんの状態を標示するエピトープを特定することを含みうる。
一般に、体液または組織における抗原上のエピトープの検出に使用される二つのストラテジー、すなわち直接的な方法および間接的な方法がある。直接的な方法は、一工程の染色を含み、体液または組織試料中の抗原に直接的に反応する標識抗体(例えば、FITCコンジュゲート抗血清)を含んでいてもよい。間接的な方法は、体液または組織抗原に反応する非標識一次抗体と、一次抗体に反応する標識二次抗体とを含む。標識としては、放射性標識、蛍光標識、ビオチンなどのハプテン標識、または西洋ワサビペルオキシダーゼやアルカリホスファターゼなどの酵素を挙げることができる。これらのアッセイを実施する方法は、当該技術分野で周知である。例えば、Harlowら(Antibodies,Cold Spring Harbor Laboratory,NY,1988)、Harlowら(Using Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,NY,1999)、Virella(Medical Immunology,6th edition,Informa HealthCare,New York,2007)、およびDiamandisら(Immunoassays,Academic Press,Inc.,New York,1996)を参照されたい。これらのアッセイを実施するためのキットは、例えば、クロンテックラボラトリーズ社(マウンテンビュー、カリフォルニア州)から市販されている。
様々な実施形態では、抗体としては、抗体全体、および/または任意の抗原結合断片(例えば抗原結合部分)、および/またはこれらの単鎖(例えば、ジスルフィド結合によって相互接続された少なくとも二つの重(H)鎖と二つの軽(L)鎖とを含む抗体、Fab断片、V、V、CおよびCH1ドメインから成る一価断片;F(ab)断片、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された二つのFab断片を含む二価断片;VおよびCH1ドメインからなるFd断片;抗体の単一アームのVおよびVドメインからなるFv断片など)が挙げられる。様々な実施形態では、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体は、単離されたヒト抗体もしくはヒト化抗体、またはその機能的断片であることから、有用である。
様々な種の標的に向けた抗体の結合能力を評価する標準的なアッセイは、当技術分野に公知であり、そのようなものとしては例えば、ELISA、ウエスタンブロット、およびRIAが挙げられる。抗体の結合カイネティクス(例えば結合親和性)も、Biacore解析などの当技術分野で公知の標準的なアッセイによって評価することができる。
別の実施形態では、測定は、核酸の存在、不在、またはレベルを評価することを含む。当業者は、多くの方法を使用して適切なマーカーのDNA/RNAレベルを検出または定量化できることを理解するものとなる。
遺伝子発現は、例えば、構成単位の少ないまたは中程度の手法を用いて測定することができ、そのようなものとしては、以下に限定されないが、レポーター遺伝子アッセイ、ノーザンブロット、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)、および逆転写PCR(RT-PCR)が挙げられる。遺伝子発現はまた、例えば構成単位の多い手法を用いて測定することができ、そのようなものとしては、以下に限定されないが、遺伝子発現の連鎖解析(SAGE)、DNAマイクロアレイ、タイリングアレイ、RNA-Seq/全トランスクリプトームショットガンシーケンシング(WTSS)、ハイスループットシーケンシング、マルチプレックスPCR、マルチプレックスライゲーション依存的プローブ増幅(MLPA)、ライゲーションによるDNAシーケンシング、およびLuminex/XMAPが挙げられる。当業者は、マイクロアレイなどのアレイ、RT-PCR(定量的PCRを含む)、ヌクレアーゼ保護アッセイ、およびノーザンブロット分析を含めた数多くの方法を用いて、試料内のバイオマーカーのRNA産物のレベルを検出または定量化できることを認識するものとなる。
例示的ながんおよび患者
一部の実施形態では、本開示は、がん治療を決定するための方法を提供する、および/または患者の腫瘍もしくはがん細胞標本を含む。がんまたは腫瘍は、細胞の制御不能な増殖および/または細胞の生存の異常な増加および/またはアポトーシスの阻害を指し、これらは身体の器官およびシステムの正常な機能に干渉する。がんまたは腫瘍を有する対象は、対象の体内に客観的に測定可能ながん細胞が存在する対象である。本開示に含まれるのは、良性および悪性のがん、ならびに休眠腫瘍または微小転移である。元の場所から移動して生命に関わる器官に播種するがんは、罹患した器官の機能劣化を経て、遂には対象の死をもたらすことがある。
様々な実施形態では、本開示は、前転移性がんまたは転移性がんに適用可能である。転移とは、その主要部位から体内の他の場所へのがんの拡散を指す。がん細胞は、原発腫瘍から離れ、リンパ管および血管内に浸透し、血流を通じて循環し、体内のいずれかの場所において正常組織で遠位巣に成長(転移)しうる。転移は局所的または遠位でありうる。転移は、原発腫瘍から切り離され、血流を通じて移動し、遠位で停止する、腫瘍細胞に付随する連続的なプロセスである。新しい部位で、細胞は、血液の供給を確立し、成長して生命を脅かす質量塊を形成しうる。腫瘍細胞内の刺激性分子経路および抑制性分子経路の両方がこの挙動を調節し、また、遠位の腫瘍細胞と宿主細胞との間の相互作用も重要である。転移は、多くの場合、具体的な症状のモニタリングに加えて、磁気共鳴撮像(MRI)スキャン、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン、血球および血小板の数、肝機能試験、胸部X線、および骨スキャンを、単独でまたは組み合わせて使用することを介して検出される。
本明細書に記載される方法は、がんの予後、がんの診断、がんの治療、ならびに/または悪性腫瘍および細胞生存の増加もしくはアポトーシスの阻害に関連する増殖性障害の成長、進行、および/または転移の診断、予後、治療、予防、または寛解に向けられる。一部の実施形態では、がんは、固形腫瘍であり、以下に限定されないが、非小細胞肺がん、卵巣がん、および黒色腫を含む。
一部の実施形態では、試料は患者の浸潤性リンパ球である。
一部の実施形態では、固形腫瘍は、肺がん、乳がん、前立腺がん、黒色腫、膵臓がん、腎臓がん、結腸がん、および卵巣がんから選択される。一部の実施形態では、肺がんは、非小細胞肺がん(NSCLC)および小細胞肺がん(SCLC)から選択される。一部の実施形態では、乳がんは三重陰性乳がんである。一部の実施形態では、前立腺がんはアンドロゲン非依存性前立腺がんである。
一部の実施形態では、本開示は、以下のがんのうち一つまたは複数に関する:副腎皮質癌、AIDS関連がん、肛門がん、虫垂がん、星状細胞腫(例えば、小児の小脳または大脳)、基底細胞癌、胆管がん、膀胱がん、骨腫瘍(例えば、骨肉腫、悪性線維性組織球腫)、脳幹神経膠腫、脳がん、脳腫瘍(例えば、小脳星状細胞腫、大脳星状細胞腫/悪性神経膠腫、上衣腫、髄芽腫、テント上原始神経外胚葉腫瘍、視覚路および視床下部の神経膠腫)、乳がん、気管支腺腫/カルチノイド、カルチノイド腫瘍、小脳星状細胞腫、子宮頸がん、慢性骨髄増殖性障害、結腸がん、線維形成性小円形細胞腫瘍、子宮内膜がん、上衣腫、食道がん、ユーイング肉腫、頭蓋外生殖細胞腫瘍、性腺外生殖細胞腫瘍、肝外胆管がん、眼がん、胆嚢がん、胃(胃)がん、消化管間質性腫瘍(GIST)、生殖細胞腫瘍(例えば、頭蓋外、性腺外、卵巣)、妊娠性絨毛性腫瘍、神経膠腫(例えば、脳幹、大脳星状細胞腫、視覚路および視床下部)、胃カルチノイド、頭頸部がん、心臓がん、肝細胞(肝臓)がん、下咽頭がん、視床下部および視覚路の神経膠腫、眼内黒色腫、島細胞癌(膵島)、腎がん(腎細胞がん)、喉頭がん、唇および口腔のがん、脂肪肉腫、肝臓がん、肺がん(例えば、非小細胞、小細胞)、髄芽腫、黒色腫、メルケル細胞癌、中皮腫、転移性扁平上皮頸部がん、口がん、多発性内分泌腫瘍症候群、菌状息肉症、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性疾患、骨髄増殖性障害、慢性、鼻腔および副鼻腔のがん、鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、非小細胞肺がん、口腔がん、中咽頭がん、骨肉腫、卵巣がん、膵臓がん、膵臓がん、副鼻腔および鼻腔のがん、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん、褐色細胞腫、松果体の星状細胞腫および/または胚細胞腫、松果体芽腫およびテント上原始神経外胚葉腫瘍、下垂体腺腫、胸膜肺芽細胞腫、前立腺がん、直腸がん、腎細胞癌(腎がん)、腎盂および尿管、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、肉腫(例えば、ユーイングファミリー、カポジ、柔組織、子宮)、セザリー症候群、皮膚がん(例えば、非黒色腫、黒色腫、メルケル細胞)、小細胞肺がん、小腸がん、柔組織肉腫、扁平上皮癌、扁平上皮頸部がん、胃がん、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、精巣がん、咽頭がんm、胸腺腫および胸腺癌、甲状腺がん、絨毛性腫瘍、尿管および腎盂のがん、尿道がん、子宮がん、子宮肉腫、膣がん、視覚路および視床下部の神経膠腫、外陰部がん、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、およびウィルムス腫瘍。
別段に定義のない限り本明細書で使用される場合、対象という用語は、哺乳類であり、例えば、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、または非ヒト霊長類、例えばサル、チンパンジー、またはヒヒなどである。用語「対象」および「患者」は互換的に使用される。
例示的な標本
一部の実施形態では、本開示は、生検体または外科手術標本試料を含む腫瘍標本の測定を含む。一部の実施形態では、標本は、凍結腫瘍組織標本、培養細胞、循環腫瘍細胞、およびホルマリン固定パラフィン包埋腫瘍組織標本から選択される。一部の実施形態では、生検体はヒト生検体である。様々な実施形態では、生検体は、凍結腫瘍組織標本、培養細胞、循環腫瘍細胞、およびホルマリン固定パラフィン包埋腫瘍組織標本のうちいずれか一つである。
一部の実施形態では、試料は、腫瘍生検体、組織生検体、腫瘍切除物、凍結腫瘍組織標本、リンパ節、骨髄細胞、循環腫瘍細胞、培養細胞、ホルマリン固定パラフィン包埋腫瘍組織標本、気管支肺胞洗浄物、皮膚、髪、尿、およびこれらの組み合わせから選択される。一部の実施形態では、腫瘍生検体は、コア生検体、針生検体、外科手術生検体、および切除生検体から選択される。
一部の実施形態では、腫瘍標本は、凍結腫瘍組織(凍結切片)標本などの生検試料であってもよい。当技術分野で知られているように、凍結切片は、マイクロトームを冷凍庫内に含むクライオスタットを利用することがある。外科手術標本は、金属組織ディスク上に置かれ、次いでチャックに固定され、速やかに約-20℃から約-30℃に凍結される。標本は、例えばポリエチレングリコールおよびポリビニルアルコールからなる、ゲル様媒体に包埋される。凍結組織は、クライオスタットのマイクロトーム部分を用いて凍結切削され、切片は、任意選択的にガラススライド上に取り上げられて染色される。
一部の実施形態では、腫瘍標本は、培養細胞などの生検試料であってもよい。これらの細胞は、当技術分野で公知の通常の細胞培養手法を用いて処理されうる。これらの細胞は循環腫瘍細胞であってもよい。
一部の実施形態では、腫瘍標本は、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍組織標本などの生検試料であることがある。当技術分野に公知であるように、生検標本は、ホルマリン(水とホルムアルデヒドの混合物)またはそれを保持するための他の流体を含む容器内に置かれてもよい。組織試料は、ホットパラフィンワックスと共に型内に置かれる。ワックスは冷却されて、組織を保護する固体ブロックを形成する。包埋組織を用いたこのパラフィンワックスブロックは、組織の非常に薄い切片を切るマイクロトーム上に置かれる。
特定の実施形態では、腫瘍標本(または生検体)は、100mg未満の組織を含有するか、または特定の実施形態では、約50mg以下の組織を含有する。腫瘍標本(または生検体)は、約20mgから約50mgまでの組織、例えば約35mgの組織などを含有しうる。
組織は、例えば、一つまたは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、または5個)の針生検体(例えば、14ゲージ針またはその他の適切なサイズを使用して)として取得されうる。一部の実施形態では、生検は穿刺吸引であり、その場合、疑いのある領域に長く鋭い針を挿入し、シリンジを用いて流体および細胞を分析用に抜き取る。一部の実施形態では、生検はコア針生検であり、その場合、先切りチップを付けた大きな針をコア針生検中に用いて、疑いのある領域から組織の柱を抜き取る。一部の実施形態では、生検は真空支援生検であり、その場合、吸引デバイスは、針を通して抽出される流体および細胞の量を増加させる。一部の実施形態では、生検は画像誘導生検であり、その場合、針生検は、例えばX線、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴撮像法(MRI)、または超音波などの撮像手法と組み合わされる。他の実施形態では、試料は、***生検用の真空支援生検システムであるMAMMOTOME(登録商標)生検システムなどのデバイスを介して取得されうる。
特定の実施形態では、標本はヒト腫瘍由来細胞株である。特定の実施形態では、標本はがん幹細胞である。他の実施形態では、標本は、固形腫瘍の生検、例えば、結腸直腸、***、前立腺、肺、膵臓、腎臓、または卵巣の原発腫瘍の生検などに由来する。
特定の実施形態では、標本は上皮系起源である。一部の実施形態では、上皮系標本は、固体マトリクスまたはビーズに結合した抗上皮細胞接着分子(EpCAM)または他の上皮細胞結合抗体を用いて生検試料から選択することによって濃縮される。
特定の実施形態では、標本は間葉系起源である。一部の実施形態では、間葉系標本は、固体マトリクスまたはビーズに結合した神経細胞接着分子(N-CAM)またはニューロピリンまたは他の間葉細胞結合抗体を用いて生検試料から選択することによって濃縮される。
一部の実施形態では、標本は循環腫瘍細胞に由来する。
例示的な臨床因子および追加的なバイオマーカー
一部の実施形態では、本開示は、患者の一つまたは複数の臨床因子を決定することを含む。本開示はさらに、患者由来の固形腫瘍試料中の二つのB細胞リンパ腫2(BCL-2)タンパク質を含むヘテロ二量体を検出して、ヘテロ二量体の比率および/または臨床応答を決定して、がん治療に対する患者の応答を評価するかまたは患者の感受性を予測することを含みうる。一部の実施形態では、臨床因子は、患者の一つまたは複数の臨床因子に基づいて、がん治療への臨床応答の可能性について患者をさらに分類することを含む。一部の実施形態では、臨床因子は、患者の一つまたは複数の臨床因子に基づいて、がん治療に対する患者の感受性の予測を、がん治療に対する臨床応答の可能性と比較することをさらに含む。一部の実施形態では、患者の応答情報を比率試験と組み合わせて提供する臨床因子は、アポトーシスに連係していない場合がある。一部の実施形態では、臨床因子は、非アポトーシス的に影響を及ぼす。
一部の実施形態では、臨床因子は、年齢、細胞遺伝学的状態、遂行能力、組織学的サブクラス、性別、および病期のうちの一つまたは複数である。一部の実施形態では、臨床因子は、変異状態、一塩基多型、定常状態タンパク質レベル、および動的タンパク質レベルから選択される追加的なバイオマーカーを測定することをさらに含む。
一実施形態では、臨床因子は年齢である。一実施形態では、患者の年齢のプロファイルは、約10歳を超えるか、または約20歳を超えるか、または約30歳を超えるか、または約40歳を超えるか、または約50歳を超えるか、または約60歳を超えるか、または約70歳以上を超えるか、または約80歳を超えるものとして分類される。
一実施形態では、臨床因子は細胞遺伝学的状態である。例えば、ウィルムス腫瘍および網膜芽細胞腫などの一部のがんでは、腫瘍抑制因子に関連する染色体領域が一般に削除または変異していることから、遺伝子欠失または不活化は、がんの進行の開始に関与する。例えば、欠失、反転および転位は、一般に非小細胞肺がん、白血病、および黒色腫において染色体領域9p21に検出される。理論に拘束されることを望むものではないが、これらの染色体の変化は、腫瘍抑制性サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2Aを不活化することがある。特定の遺伝子のこれらの欠失と併せて、染色体の大部分も失われる場合がある。例えば、染色体1pおよび16qは、一般に固形腫瘍細胞で失われている。遺伝子重複および遺伝子コピー数の増加もがんに寄与することがあり、転写解析またはコピー数変動アレイを用いて検出することができる。例えば、染色体領域12q13~q14は、多くの肉腫で増幅されている。この染色体領域は、MDM2とよばれる結合タンパク質をコードし、MDM2は、p53とよばれる腫瘍抑制因子に結合することが知られている。MDM2が増幅されると、p53が細胞成長を調節することが妨げられ、その結果、腫瘍形成を生じることがある。さらに、ある特定の乳がんは過剰発現に関連しており、ヒト上皮成長因子受容体2をコードするERBB2遺伝子のコピー数が増加する。また、染色体1qおよび3qなどの染色体の数の上昇も、がんリスクの増加と関連する。
細胞遺伝学的状態は、当技術分野で公知の様々な様式で測定することができる。例えば、FISH、古典的な核型分析、および仮想核型分析(例えば、比較ゲノムハイブリダイゼーションアレイ、CGH、および一塩基多型アレイ)を使用してもよい。例えば、FISHが、特定の座位での染色体再編成を評価するために用いられることがあり、これらの現象は、疾患リスク状態に関連する。一部の実施形態では、細胞遺伝学的状態が好ましいか、中間的あるか、または好ましくない。
一実施形態では、臨床因子は遂行能力である。遂行能力の状態は、任意のシステムを用いて定量化することができ、患者の遂行能力の状態をスコアリングするための方法は、当技術分野に公知である。この測定は、多くの場合、患者が化学療法を受けることができるか否か、用量調整の調整を決定するために、および対症ケアの強度を決定するために、使用される。カルノフスキースコアおよびズブロッドスコアを含む様々なスコアリングシステムがある。並行スコアリングシステムとしては、精神医学の診断および統計マニュアル(DSM)の第5の軸として組み込まれている、機能の全体的評定(GAF)スコアが挙げられる。高い遂行能力ステータス(例えば、カルノフスキースコアリングシステムを用いて、少なくとも80%または少なくとも70%)は、疾患状態の進行を防ぎ、患者の化学療法および/または放射線治療を受け入れる能力を増強するための、治療を標示することがある。例えば、これらの実施形態では、患者は外来であり、自己ケアが可能である。他の実施形態では、評価は、従来の放射線療法および/または化学療法に認容性のあるものとするように、遂行能力の状態の低い患者を標示する(例えば、カルノフスキーのスコアリングシステムを用いて50%未満、30%未満、または20%未満)。これらの実施形態では、患者は、主にベッドまたは椅子に拘束され、自己ケアさえできない。
カルノフスキースコアは100から0で運用され、100が「完璧な」健康状態であり、0は死亡である。スコアは間隔10で採用されうる:100%は正常であり、愁訴がなく、疾患の徴候がない;90%は通常の活動が可能であり、疾患の症状または徴候が殆どなく、80%はいくらかの困難を伴いながら通常の活動性であり、いくらかの症状または徴候がある;70%は自分の世話をし、通常の活動または作業をできない;60%はいくらかの助けを必要とし、殆どの個人的な要求に対処することができる;50%は多くの場合に助けを必要とし、頻回の医療的なケアを必要とする;40%は身体障害があり、特別なケアと助けを必要とする;30%は重度に身体障害があり、入院適応となるが死亡のリスクはない;20%は極めて病的にあり、緊急に入院を必要とし、支持的手段または治療を必要とする;そして10%は瀕死にあり、速やかに進行する致死的な疾患の過程にある。
遂行能力の状態のためのズブロッドスコアリングシステムは以下を含む:0は、完全に活動的であり、制限なく罹患前の全ての遂行能力を実行することができる;1は、物理的に激しい活動を制限されるが、外来であり、軽度のまたは坐位の性質の作業、例えば、軽度の家事、事務作業を行うことができる;2は、外来であり、全ての自己ケアを行うことができるが、覚醒時間の最大50%でまたは約50%を超えて任意の作業活動を行うことができない;3は、限られた自己ケアのみ行うことができ、覚醒時間の50%超をベッドまたは椅子に拘束される;4は、完全に身体障害があり、自己ケアを何も行うことができず、総じてベッドまたは椅子に拘束される;5は死亡である。
一実施形態では、臨床因子は組織学的サブクラスである。一部の実施形態では、腫瘍の組織学的試料は、Elston&Ellis,Histopathology,1991,19:403-10に従って等級分けされ、その内容は参照によりその全体を本明細書に組み込まれる。
一実施形態では、臨床因子は性別である。一実施形態では、性別は雄である。別の実施形態では、性別は女性である。
一実施形態では、臨床因子は病期である。非限定的な例として、全体的な段階のグループ化を用いると、ステージIのがんは身体の一部に局在化し、ステージIIのがんは局所的に進行し、ステージIIIのがんも同様である。がんがステージIIまたはステージIIIとして指定されるか否かは、がんの具体的なタイプに依存しうる。非限定的な一例としてホジキン病では、ステージIIは、横隔膜の片側のみのリンパ節の罹患を標示するのに対し、ステージIIIは、横隔膜の上方および下方のリンパ節の罹患を標示する。したがって、ステージIIおよびIIIの具体的な基準は、診断に従って異なる。ステージIVのがんは、多くの場合、他の器官にまたは身体全体にわたって、転移しているかまたは広がっている。
別の実施形態では、本方法は、変異状態、一塩基多型、定常状態タンパク質レベル、および動的タンパク質レベルから選択される追加的なバイオマーカーの測定をさらに含む。別の実施形態では、本方法は、患者における臨床応答を予測することをさらに含む。別の実施形態では、臨床応答は、約1年、約2年、約3年、または約5年の進行/無イベント生存を含まない。
年齢のプロファイルおよび遂行能力の状態など、様々な臨床因子が特定されている。細胞遺伝学的または分子的な事象など、数多くの診断の静的測定も利用されており、そのようなものとしては、限定はないが、遺伝子MLL、AML/ETO、Flt3-ITD、NPM1(NPMc+)、CEBPα、IDH1、IDH2、RUNX1、ras、およびWT1内、ならびにエピジェネティック修飾遺伝子TET2およびASXL内の変異、ならびに細胞シグナル伝達タンパク質プロファイルの変化が挙げられる。
一部の実施形態では、予防方法は、本明細書に記載される方法によって手引きされるような、がんに罹患している可能性が高い患者に治療を施すことを含む。一部の実施形態では、がんについての高いリスク、がんに対する遺伝子的素因(例えば、遺伝的リスク要因)、以前のガンの発症(例えば、新しいがんおよび/または再発)、がんの家族歴、がん誘発作因への曝露(例えば、環境的な作因)、および薬理ゲノム学的情報(治療の薬物動態、薬力学、または有効性プロファイルに及ぼされる遺伝子型の影響)のうち一つまたは複数を有するという特徴が対象にある場合に、対象はがんを患う可能性がある。
一部の実施形態では、対象ががんのリスクが高いという特徴を有する場合に、対象はがんを患う可能性が高い。一部の実施形態では、対象ががんに対する遺伝的素因という特徴を有する場合に、対象はがんを患う可能性が高い。一部の実施形態では、がんに対する遺伝的素因は、当技術分野で知られているように、遺伝的臨床因子である。そのような臨床因子としては、例として、少なくとも結腸がん、子宮がん、小腸がん、胃がん、尿路がんについて、MLH1、MSH2、MSH6、PMS1、PMS2が挙げられうる。一部の実施形態では、対象が以前のがんの発症という特徴を有する場合に、対象はがんに罹患する可能性が高い。一部の実施形態では、対象は、1件、または2件、または3件、または4件、または5件、または6件の以前のがんの発症を患っている。一部の実施形態では、対象ががんの家族歴があるという特徴を有する場合に、対象はがんを患う可能性が高い。一部の実施形態では、親および/または祖父母および/または兄弟姉妹および/または叔母/叔父および/または大叔母/大叔父、および/または従兄弟従姉妹が、がんを患ってきたか、または患っている。一部の実施形態では、対象がガン誘導性作因(例えば、環境的作因)への曝露という特徴を有する場合、対象はがんを患う可能性が高い。例えば、強い太陽光への皮膚の曝露は、皮膚がんの臨床因子である。例として、喫煙は、肺、口、喉頭、膀胱、腎臓、およびいくつかの他の器官のがんの臨床因子である。
さらに、一部の実施形態では、以下の臨床因子のいずれか一つは、本明細書に記載される方法では有用である:性別、遺伝的リスク因子、家族歴、個人歴、人種および民族、特定組織の特徴、様々な良性状態の特徴(例えば、非増殖病変)、以前の胸部放射線照射、発癌物質の曝露など。
さらにまた、一部の実施形態では、以下の臨床因子のいずれか一つは、本明細書に記載される方法に有用となりうる:細胞表面マーカーCD33、細胞表面マーカーCD34、FLT3変異状態、p53変異状態、MEK-1キナーゼのリン酸化状態、およびBcl-2の70位のセリンのリン酸化のうち一つまたは複数。
一部の実施形態では、臨床因子は、サイトカインの発現レベルであり、サイトカインとしては、限定はないがインターロイキン-6が挙げられる。一部の実施形態では、インターロイキン-6のレベルは、患者の予後不良や患者の予後良好を含めた、MM患者における応答の可能性に相関するものとなる。
一部の実施形態では、応答の可能性は、プライミングのパーセントを評価することによって決定される。特定の実施形態では、プライミングは以下の数式によって定義される:
Figure 0007330196000005
式中、
上記AUC(曲線下面積)は、均一時間分解蛍光法(HTRF)または蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)由来の平均シグナル強度によって確立された蛍光測定値の合計であり、上記シグナル強度は、プライミング開始後の約5分から約300分の間に発生する単一の時点の測定値であり;
上記陰性対照は、曲線下面積またはシグナル強度のどちらかに対するベースライン陰性対照を含み;
上記陽性対照は、曲線下面積またはシグナル強度のどちらかに対するベースライン陽性対照を含み(例えば、任意の脱共役剤);
上記ペプチドは、一つまたは複数のBH3ドメインペプチドであり、式中で(n)は、陰性対照および陽性対照の反復の平均の数により正規化される。
一部の実施形態では、先述の数式と組み合わせて、一つまたは複数の臨床因子が、臨床応答との関連付けのためにBH3プロファイルの特異性および/または感受性を増加させるように選択される。
一部の実施形態では、応答の可能性は、プライミングのパーセントを評価することによって決定される。特定の実施形態では、プライミングは以下の数式によって定義される:
Figure 0007330196000006
式中、
上記AUC(曲線下面積)は、均一時間分解蛍光法(HTRF)または蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)由来の平均シグナル強度によって確立された蛍光測定値の合計であり、上記シグナル強度は、プライミング開始後の約5分から約300分の間に発生する単一の時点の測定値であり;
上記DMSO(ジメチルスルホキシド)は、曲線下面積またはシグナル強度のどちらかに対するベースライン陰性対照を含み;
上記CCCP(カルボニルシアニド m-クロロフェニルヒドラゾン)は、酸化的リン酸化の化学阻害剤であり、ミトコンドリアの電子伝達系内の電子担体の通常の活動の間に確立されたプロトン勾配の脱共役剤として役割を果たすことによるタンパク質合成のエフェクターを含み、上記CCCPは、ベースライン陽性対照を含み;
上記ペプチドは、一つまたは複数のBH3ドメインペプチドであり、式中で(n)は、DMSO対照およびCCCP対照の反復の平均の数により正規化される。
一部の実施形態では、先述の数式と組み合わせて、一つまたは複数の臨床因子が、臨床応答との関連付けのためにBH3プロファイルの特異性および/または感受性を増加させるように選択される。
一部の実施形態では、臨床応答の可能性は、ここに示されるように先の数式の簡略化された形により定義され:
Figure 0007330196000007
式中、
上記AUC(曲線下面積)は、均一時間分解蛍光法(HTRF)または蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)由来の平均シグナル強度によって確立された蛍光測定値の合計であり、上記シグナル強度は、プライミング開始後の約5分から約300分の間に発生する単一の時点の測定値であり;
上記DMSO(ジメチルスルホキシド)は、曲線下面積またはシグナル強度のどちらかに対するベースライン陰性対照を含み;
上記CCCP(カルボニルシアニド m-クロロフェニルヒドラゾン)は、酸化的リン酸化の化学阻害剤であり、ミトコンドリアの電子伝達系内の電子担体の通常の活動の間に確立されたプロトン勾配の脱共役剤として役割を果たすことによるタンパク質合成のエフェクターを含み、上記CCCPは、ベースライン陽性対照を含み;
上記ペプチドは、一つまたは複数のBH3ドメインペプチドであり、式中で(n)は、DMSO対照およびCCCP対照の反復の平均の数により正規化される。
一部の実施形態では、先述の数式と組み合わせて、一つまたは複数の臨床因子が、臨床応答との関連付けのためにBH3プロファイルの特異性および/または感受性を増加させるように選択される。
一部の実施形態では、曲線下面積が、均質な時間分解蛍光法(HTRF)によって確立される。一部の実施形態では、時間は、約0と約300分との間から約0から約30分までの時間帯にわたって発生する。一部の実施形態では、曲線下面積は、蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)によって確立される。一部の実施形態では、シグナル強度は、約5分から約300分の間に発生する単一の時点の測定値である。
一部の実施形態では、本開示は、Mcl-1/BimまたはBCLXL/Bimのヘテロ二量体の量を測定することを含む、試料中のチェックポイント阻害剤に対する患者の応答性を予測する方法を提供し、その場合、試料は、固形腫瘍由来の浸潤性リンパ球集団を含む。チェックポイント阻害剤は、TIM-3、BTLA、PD-1、CTLA-4、B7-H4、GITR、ガレクチン-9、HVEM、PD-L1、PD-L2、B7-H3、CD244、CD160、TIGIT、SIRPα、ICOS、CD172a、およびTMIGD2のうちの一つを標的とする薬剤とすることができる。PD-1を標的とする薬剤は、PD-1に特異的な抗体または抗体形式とすることができ、任意選択的にニボルマブ、ペンブロリズマブ、およびピジリズマブから選択される。PD-L1を標的とする薬剤は、PD-L1に特異的な抗体または抗体形式とすることができ、任意選択的にアテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、およびBMS-936559から選択される。CTLA-4を標的とする薬剤は、CTLA-4に特異的な抗体または抗体形式とすることができ、任意選択的にイピリムマブおよびトレメリムマブから選択される。
一部の実施形態では、本開示は、抗体または抗体断片をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドを提供する。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドを含むベクターが提供され、一部の実施形態では、ベクターを含む宿主細胞が提供される。
一部の態様では、本開示は、本明細書に開示される抗体のいずれかの抗体または抗体形式と、薬学的に許容可能な賦形剤とを含む、医薬組成物を提供する。
本開示はまた、腫瘍細胞またはがん細胞の標本の評価を簡略化できるキットを提供する。本開示の典型的なキットは、ヘテロ二量体を検出するために有用な、例えば、一つまたは複数の薬剤(例えば、本明細書に開示される抗体)を含む様々な試薬を含む。キットは、ウェルプレート、シリンジなどを含めて、評価に必要な材料をさらに含みうる。キットは、記載された試薬の使用を指示するラベルまたは印刷された指示をさらに含みうる。キットは、試験される治療をさらに含みうる。
「a」、「an」、および「the」などの単数形は、便宜上、本出願全体を通じて使用されるが、文脈または明示的な記述が別段に示される場合を除いて、単数形は複数を含むように意図されていることが理解されるべきである。さらに、本明細書に言及される全ての雑誌記事、特許、特許出願、刊行物などは、全ての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれることが理解されるべきである。数値範囲は全て、その数値範囲内のそれぞれのあらゆる数値点を含むものと理解されるべきであり、それぞれのあらゆる数値点を記載するものとして解釈されるべきである。同一の構成要素または特性を方向付ける全ての範囲の終点は包括的であり、独立して組み合わせることができることが意図されている。
「約」は、参照値として実質的に同じ効果を有するかまたは実質的に同じ結果をもたらす全ての値を含む。このように、用語「約」によって包含される範囲は、その用語が使用される状況、例えば、参照値が関連付けられるパラメータに応じて異なるものとなる。したがって、文脈に応じて、「約」は、例えば±15%、±10%、±5%、±4%、±3%、±2%、±1%、または±1%未満を意味しうる。重要なことに、用語「約」によって前述された参照値のすべての記載はまた、参照値の記載に過ぎないことが意図されている。上述にもかかわらず、本願では、用語「約」は、曲線下面積(AUC、AUC、およびAUCを含む)、Cmax、Tmaxなどの薬物動態パラメータに関して特別な意味を有する。薬物動態パラメータの値と関係して使用される際に、用語「約」は、参照パラメータの85%から115%までを意味する。
本明細書で使用される際に、「含む」およびその変形の言葉は、列挙された項目の記載がこの技術の材料、組成、デバイス、および方法にも有用となりうる他の類似の項目の除外とはならないように、非限定的であることが意図される。同様に、用語「can」および「may」およびそれらの変形は、ある特定の要素または特徴を実施形態が含むことができるかまたは含んでいてもよいという記載が、それらの要素または特徴を含まない本技術の他の実施形態を除外しないように、非限定的であることが意図される。含む(including)、含有する(containing)、有する(having)などの用語の同義語として、「含む(comprising)」というオープン・エンドの用語が、本明細書で本開示を記載および請求するために使用されるが、本技術またはその実施形態は、代替的に、記載された成分の「から成る」または「から本質的に成る」などのより限定的な用語を用いて記載されることがある。
別段に定義されない限り、本明細書のすべての技術用語および科学用語は、本開示の属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似または同等の任意の方法および材料を、本開示の実践または試験に使用することができるが、好適な方法および材料が本明細書に記載される。引用された全ての刊行物、特許、および特許公開物は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本開示は、以下の非限定的な実施例によってさらに説明される。
実施例1:Bcl-2ヘテロ二量体に特異的なモノクローナル抗体の調製
ヒトBcl-xL、Bcl-2、およびMcl-2をコードする遺伝子をクローニングし、それらの膜貫通ドメインを削除するよう変異させた。次いで、変異遺伝子を、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)をコードするヌクレオチド配列に連結し、pGEX 4T-1にクローニングして、Bcl-xL(Δ)-GST、Bcl-2(Δ)-GST、およびMcl-2(Δ)-GST融合タンパク質を発現するためのDNA構築物を得た。全てGSTに融合した全長のヒトBax、Bak、Bak、Bim、Bid、Bad、Puma、およびNoxaを発現するためのDNA構築物を、組換え技術によって調製した。
全てのDNA構築物を、BL21(D3)化学的受容性大腸菌細胞に導入した。陽性形質転換体を適切な培地で培養し、融合タンパク質の発現をイソプロピル-1-チオ-β-D-ガラクトピラノシドにより誘導した。Amersham Hitrap GlutathioneカラムをACTA-FPLC(アマルシャム)上で使用して、発現した融合タンパク質を精製し、分光光度法により正確に定量した。
次いで、Bcl-xL(Δ)-GST、Bcl-2(Δ)-GST、またはMcl-2(Δ)-GSTを、PBS中、Bax-GST、Bak-GST、Bak-GST、Bim-GST、Bid-GST、Bad-GST、Puma-GST、またはNoxa-GSTと等モル量で混合した。
Bim BH3ペプチド内の芳香族アミノ酸を、表2に記載されるようにBPAにより誘導体化した。これらのペプチドのそれぞれを、結合親和性について、Richard、D.J.;et al.Bioorg.Med.Chem.(2013)のような蛍光偏向法を用いて試験した。
Figure 0007330196000008
次いで、選択されたペプチドを、UV光(450nM)に室温で8時間曝露することによって、精製GST抗アポトーシスBcl-2ファミリー融合タンパク質に結合した。Zue et al.,Protein Science 6:781-788(2007)に記載された方法に従って、セファロース12カラム(ファルマシア)をACTA-FPLC(アマルシャム)上で用いて、ヘテロ二量体を精製した。
次いで、各ヘテロ二量体(2.mg)を、モノホスホリル脂質A・プラス・トレハロースジコリノミコレートアジュバント(リビイムノケムリサーチ社、ハミルトン、モンタナ州)に懸濁した。次いで、形成された混合物をBalb/cマウスに、3~4日ごとに1回を14回、各後足肉趾で注射した。最後の注射の3日後、脾臓細胞をマウスから摘出し、1%ペニシリン-ストレプトマイシンを補充したDMEM培地(ギブコ/BRL社)中で、単細胞懸濁液を調製した。脾臓細胞を、35%ポリエチレングリコールを使用してマウス骨髄腫細胞P3X63AgU.1(ATCC CRL 1597)と融合し、96ウェル培養プレート中で培養した。
100μMヒポキサンチン、0.4μMアミノプテリン、および16μMチミジン(HAT)(シグマケミカル社、セントルイス、ミズーリ州)を含有するスーパーDMEM(10%ウシ胎児血清FCS、100mMピルビン酸塩、100U/mLインスリン、100mMオキサロ酢酸、2mMグルタミン、1%非必須アミノ酸(GIBCO/BRL)、100U/mLペニシリン、および100μg/mLストレプトマイシンを含有するDMEM)中で、ハイブリドーマを選択した。
ハイブリドーマ細胞に、10%FCSおよび抗生物質を含有する200μLのスーパーDMEMを与えた。融合の10日後、ハイブリドーマ培養物の上清を採集し、Certo et al.,Cancer Cell.,9(5):351-365(2006)に記載された捕捉ELISAにおいて、同族のヘテロ二量体タンパク質に結合したおよび/またはヘテロ二量体(陰性対照として)のどちらかのメンバーに結合した抗体の存在についてスクリーニングした。
簡潔に述べると、96ウェルマイクロタイタープレート(Maxisorb、ヌンク、カムストルプ、デンマーク)を50μL(1μg/mL)のヘテロ二量体またはヘテロ二量体のメンバーにより、4℃で一晩被覆した。次いで、0.05%のTWEEN(登録商標) 20を含有するPBSで、プレートを3回洗浄し、2.0%のウシ血清アルブミン(BSA)を含有する50μLのPBSにより室温で1時間、ブロッキングした。次いで、プレートをPBSTで再び3回洗浄した。その後、指定されたウェルに100μLのハイブリドーマ上清を添加した。プレートを攪拌装置上で1時間、室温でインキュベートし、次いで、洗浄緩衝液で3回洗浄した。次に、アッセイ緩衝液(PBS中、0.5%ウシ血清アルブミン、0.05%TWEEN(登録商標) 20、0.01%チメルソール(Thimersol))中で1:1000希釈した50μLのHRP結合ヤギ抗マウスIgG Fc(カッペルラボラトリーズ)を、各ウェルに添加した。このプレートを、次いで、攪拌装置上、室温で1時間インキュベートし、洗浄緩衝液で3回洗浄した後、50μLの基質DACOを添加して、室温で10分間インキュベーションした。50μLのジエチルグリコールを各ウェルに添加して反応を停止し、各ウェルの450nmでの吸光度をマイクロリットルプレートリーダーで読み取る。
次いで、ヘテロ二量体に結合するがヘテロ二量体のいずれかのメンバーに結合しない抗体を産生するハイブリドーマ細胞を選択した。これらの陽性ハイブリドーマ細胞を2回クローニングし、産生された抗体の特異性を再試験した。所望の特異性を有する抗体のアイソタイプを、従来の方法によって、例えば、アイソタイプ特異的ヤギ抗マウスIgG(フィッシャーバイオテク、ピッツバーグ、ペンシルバニア州)を用いて決定した。各抗血清中の抗体の特異性を従来の方法、例えば、下記の実施例4および実施例5に記載の免疫沈降およびFACSアッセイによって調べた。
実施例2:酵母scFvライブラリーを使用したBcl-2ヘテロ二量体に特異的なscFv抗体のスクリーニング
非免疫ヒトscFv酵母ライブラリー(発現ベクターpYD1を使用)を、太平洋北西部国立研究所から入手した。このライブラリーでは、可撓性のポリペプチドリンカーにより重鎖と軽鎖とが接続されたscFv抗体を、酵母凝集素タンパク質Aga2pの接着サブユニットおよびHA-タグタンパク質に融合した。発現すると、scFvは、細胞表面タンパク質であるAga1PへのAga2Pの結合を介して、酵母宿主細胞の表面に位置した(図4A~図4D)。各酵母細胞は、典型的には、1×10コピーから1×10コピーのscFvとscFvの表面発現とを提示した。表面発現の変化は、scFv領域に隣接するHAタグの免疫蛍光標識化を介して測定することができる(図4A~図4D)。
上記のscFvライブラリーを、酵母株EBY100(インビトロジェン)に導入し、所望の特異性を有するscFv抗体を以下のように特定した。EBY酵母細胞をまず、1リットルのSDCAA培地(20gのデキストロース、6.7gのDifco酵母窒素ベース、5gのBactoカザミノ酸、5.4gのNaHPO、および8.56gのNaHPOO)中で一晩増殖させた。一晩培養から得た1x1010個の酵母細胞を、2,500gで5分間の遠心分離によって沈殿させ、SGCAA培地(デキストロースの代わりにガラクトースを含有することを除いてSDACCと同一の培地)中、600nmで約0.5~1の吸光度となるように再懸濁した。次いで、酵母細胞を20℃で36時間培養して、scFv抗体を発現させた。その後、2,500gで5分間遠心分離することによって細胞を採集する。細胞ペレットを25mLのPBSで洗浄する。
scFv抗体を発現する酵母細胞を、フローサイトメトリーによってソーティングした。簡潔に述べると、約1×10個から1×10個の酵母細胞を上記に記載されたように調製し、14,000gで30秒間の遠心分離を介して採集し、1mLのPBS緩衝液で洗浄して、2μLの/10μg/mL抗HAフィコエリスリンモノクローナル抗体(シグマ・アルドリッチ)およびBcl-2/Bidヘテロ二量体と混合した。上記ヘテロ二量体では、Bcl-2がFITCにより標識され、Bidがテキサスレッドにより標識されていた。室温で1時間インキュベートした後、混合物を12,000gで30秒間遠心分離して、酵母細胞を沈殿させた。次いで、細胞ペレットを500μLの10mM Tris(最終細胞密度約10個/mL)に再懸濁して、フローサイトメトリーによって以下のように細胞ソーティングに供した。
陽性対照として抗HAフィコエリスリン抗体と混合されたEBY100酵母細胞を用いて、フローサイトメトリーのプロトコルを予め決定し、陰性対照としてEBY100酵母細胞を二重標識ヘテロ二量体と混合した。蛍光検出器のFITC、テキサスレッド、およびフィコエリスリンのチャネル間のクロストークを除外するために補整を行った。標識された酵母細胞を、FACS Aria Cell-Sorter(ベクトンディッキンソン、マウンテンビュー、カリフォルニア州)にロードし、前方散乱チャネルおよび側方散乱チャネル上でゲーティングした。FITC/テキサスレッド/フィコエリスリン陽性の四分円中の適切なソートゲートを延伸し、上位5%の三重陽性酵母細胞を1mLのSDCAA培地中に採集した。必要に応じて、上位0.1%の三重陽性酵母細胞を採集し、Bcl-2/Bidヘテロ二量体に対して高い親和性を有する細胞のみを確実にソーティングするようにした。
特定された三重陽性細胞を10mLのSDCAAに懸濁し、30℃で一晩成長させた。次いで、これらの細胞を2ラウンドの陰性選択に供して、Bcl-2またはBidのモノマーにも結合するscFv抗体を発現する細胞を除外する。より具体的には、細胞をFITC標識Bcl-2およびテキサスレッド標識Bidと共にインキュベートし、上述と同じ手順に従って、FITCおよびテキサスレッド二重陰性細胞をソーティングした。採集した細胞を、二重標識Bcl-2/Bidヘテロ二量体により標識し、ヘテロ二量体へのそれらの結合を確認した。
次いで、特定された酵母細胞を希釈して播種し、個別のクローンを形成させた。Weaver-Feldhaus et al.,Protein Engineering,Design&Selection vol.18,no.11,pp 527-536(2005)に記載されるように、Zymoprepキット(ザイモリサーチ、オレンジ、カリフォルニア州)を用いて、これらのクローンからプラスミドDNAを単離した。各プラスミドDNAに含まれるscFv配列を、Chao et al.,Nature Protocols 1:755-768(2006)に記載される方法に従って決定した。
特定されたscFv抗体を、ELISAおよびFACSによって分析して、Bcl-2/Bidヘテロ二量体に対するその特異性を確認した。次いで、抗体を変異誘発に供し、Bcl-2/Bidヘテロ二量体に対する高い親和性および特異性を有するscFv抗体を選択した。
実施例3:免疫沈降によるBcl-2ヘテロ二量体に特異的な抗体の選択
免疫アッセイ(すなわち、ELISA、免疫沈降アッセイ)を実施して、実施例1から得た抗体がBcl-2ヘテロ二量体に特異的であることを確認した。(図2、図13A、図13B)Bcl-2ヘテロ二量体の二つのメンバーを、別個の発光スペクトルを有する二つの蛍光プローブにコンジュゲートした。すなわち、一方をフルオレセインイソチオシアネート(FITC;488nmで発光する)で標識し、他方をテキサスレッド(590nmで発光する)で標識した。(図4A~D)上記の実施例1に記載の方法に従って、標識したメンバーを共にインキュベートして、Bcl-2ヘテロ二量体を形成させた。この実施例の実験では、0.05%tween-20と目的の抗体を産生するハイブリドーマクローンから得た50uLの上清とを含有する0.5mLのPBSと共にインキュベートした際に、0.1 μgのヘテロ二量体が形成された。ヘテロ二量体の標識された非二量体のメンバーを、陰性対照として使用した。次いで、混合物を氷上で1時間インキュベートして抗体-抗原複合体を形成させ、その後、10μLのGammaBind-Gセファロースビーズ(GEヘルスケア、ピスカタウェイ、ニューヨーク州)を混合物に添加した。回転させながら氷上で30分間、氷上でインキュベートした後、混合物を10,000×gで30秒間遠心分離した。抗体-抗原複合体を付加させたビーズペレットを、次いで数回洗浄し、OD488nmおよびOD590nmでの光学密度について測定した。次いで、抗体の特異性を、OD488nmおよびOD590nmの値に基づいて決定した。
実施例4:BIM-BH3誘発性エピトープの選択的な結合および阻害
次いで、ヘテロ二量体特異的なBcl-xL Bim(HSBXB)として本明細書に開示されたモノクローナル抗体を調製した。HSBXBは、Bcl-xLおよびBim-BH3ドメインペプチドのヘテロ二量体に特異的に結合した。HSBXBの特性をさらに解析するために、BimのBH3ドメインにより媒介されるBcl- xL/Bim結合を阻害した条件下で、抗体を評価した。ABT-263は、BH3ドメイン媒介性の結合を競合的に阻害するBH3ドメイン模倣体である。ABT-263は、死促進タンパク質(例えばBim)とのBcl-xLの相互作用を攪乱し、ヘテロ二量体からのBimの放出を生じ、結果としてアポトーシスの開始をもたらす。ABT-263を追加すると、BimのBH3ドメインを含むペプチドを含んで形成されたヘテロ二量体に、ヘテロ二量体抗体シグナルの用量依存的な阻害が観察された。Bid-BH3ドメインペプチド、またはペプチドなしは、モノクローナル抗体のヘテロ二量体特異性を確認する陰性対照としての役割を果たした。図3C、図13A、および図13Bは、ヘテロ二量体Bcl-xL/Bim-BH3へのMab HSBXBの選択的な結合の結果を示す。図13Aに示される実験では、Bcl-xL-GSTをグルタチオン被覆ELISAプレートに結合した。次いで、Bim-BH3ペプチドを添加するかまたは対照として添加せず、HSBXB抗体を用いて複合形成を検出した。図13Bは、ABT-263による結合の阻害を示す。非共有結合のBcl-xL-GST/Bim BH3ヘテロ二量体を、グルタチオン被覆ELISAプレートに結合し、ABT-263により処理した。次いで、ペプチドの添加後、モノクローナル抗体を添加する前に、ABT-263をELISAプレートに添加した。図13Bは、ABT263により媒介されたBcl-xL結合Bim BH3ペプチドの転置を実証しており、この転置は、HSBXBの結合の喪失に反映されていた。この実験の結果は、BH3ペプチドがヘテロ二量体へ極めて選択的に結合することを標示しており、この選択的な結合は、BH3ペプチドの結合の程度に相関し、結合のダイナミックレンジを実証するものである。Bimペプチド、BIDペプチド、または全長Bimタンパク質により形成されたヘテロ二量体において、ヘテロ二量体抗体シグナルの用量依存的な阻害が観察された。ABT263は、Bcl-xL結合BimおよびHSBXB結合を転置させた。Bcl-2/Bimに特異的な抗体を選択する図3C。
実施例5:細胞および組織中のBcl-xL/Bimヘテロ二量体の検出
本明細書に開示されるのは、HSBXB抗体を用いる細胞内染色のための、ならびにがん細胞のプライミング状態を決定する際の抗体の機能性を検討するためのHSBXBの使用のための、方法の確立である。Hrk BH3ドメインペプチド(Bcl-xL依存性のバイオマーカー)を用いて細胞をプロービングすることによって決定する場合にBcl-xL、Bimプライミングの程度を変化させる(図4B、y軸)、三つの細胞株を選択した。細胞株Molm-13、AHR77、およびDHL-6は、それぞれ17%、50%、および60%でBcl-xL(Hrk)プライミングされ、HrkプライミングとHSBXB抗体染色との間の相関(R=0.982)が観察された(図4Aおよび図4B)。また、HSBXB染色のフローサイトメトリー検出を確認するために、サンドイッチELISAベースのアプローチを利用して、Bcl-xL抗体により被覆したプレートに、結合したBcl-xLヘテロ二量体を捕捉し、次いでHSBXB抗体を用いて検出した(図4C)。このアプローチは、フローサイトメトリーで見られたものならびに(Pierceal,W.E.et al.Mol Cancer Ther.2013 Dec;12(12):2940-9)に記載されたものと同じHSBXBの染色傾向を示した。さらに、IFによってBcl-xL/Bimヘテロ二量体の検出を実証するために、SKBR3細胞を2%PFA中で固定し、HSBXB(マゼンタ)およびBcl-xL(Alexa 488)により染色したが、このことはHSBXBがヘテロ二量体を検出できることを示している。(図4D)
4℃で30分間インキュベートした後、細胞抗体混合物をFACS緩衝液で洗浄し、0.3×gで5分間遠心分離して細胞を沈殿させた。細胞株から得られた細胞を、150μLのFACS緩衝液に再懸濁し、陰性対照試料としての対照細胞試料と陽性対照としての抗Bcl-xLローダミン標識ミトコンドリアとを使用して予め決定したフローサイトメトリーパラメーターを用いて、FACScan(ベクトンディッキンソン、マウンテンビュー、カリフォルニア州)によって解析した。ミトコンドリア懸濁液を、FACSチューブを用いてフローサイトメトリー装置内にロードし、HSBXB FITCおよびローダミンから放出されたシグナルを検出した。ミトコンドリア懸濁液がFITCおよびローダミンの両方に対して二重陽性であった場合、それは供試抗体がBcl-xL:Bimヘテロ二量体に結合可能であったことを標示した。図13Aを参照されたい。
実施例6:固定細胞中のBcl-xL/Bimヘテロ二量体の検出
この研究では、広範に存在するMcl-1/BimまたはBcl-xL/Bimのヘテロ二量体の保有について、細胞を特性解析した。細胞をカバースリップ上に置き、次いでPBS中2~4%ホルムアルデヒド(ホルムアルデヒド、16%、メタノール不含、ポリサイエンス社)を用いて室温で15分間固定した。次いで、細胞を含有するカバースリップを、PBSにより3回、各5分間リンスした。次いで、スリップをブロッキング緩衝液(TBST/5%正常ヤギ血清:5mLの1×TBSTに250μLの正常ヤギ血清を添加)に60分間浸漬した。ブロッキング緩衝液を吸引除去した後、Mcl-1/BimまたはBcl-xL/Bimヘテロ二量体のどちらにも特異的な抗体(すなわちHSBXB、図5を参照)をスリップに添加した。ミトコンドリアの場所を特定するために、抗ヒトVDAC-1抗体も添加した。試料を4℃で一晩インキュベートした後、スリップをPBSにより3回、5分間リンスした。次いで、希釈緩衝液中で希釈した蛍光色素結合二次抗体を添加した。暗所中、室温で1~2時間インキュベートした後、スリップをPBSで3回、2分間リンスし、続いて、Prolong Gold Antifade Reagent(インビトロジェン、サンディエゴ、カリフォルニア州)により処理した。次いで、スリップの縁周りにマニキュアを塗ることによってスリップを密封し、次いで、倒立蛍光顕微鏡下でスリップを観察した。ミトコンドリア上の抗体の局在は、抗体がMcl-1/Bimヘテロ二量体またはBcl-xL/Bimヘテロ二量体を認識したことを標示していた。
実施例7:患者試料におけるHSBXBによるBcl-xL/Bimヘテロ二量体シグナルとミトコンドリアプロファイリングの読取りとの比較、および臨床応答との比較
従前の研究では、ミトコンドリアプライミングアッセイにおけるHrkペプチドの読取りによって決定されたBcl-xL依存性が、CDK-9阻害剤アルボシジブに対するCLL患者の応答に相関することが実証されている。(例えば、参照により本明細書に組み込まれるPCT公開公報WO2016/115105、がん治療を手引きするための状況依存的な診断テストを参照)その研究では、プライミングと患者応答との関連性が非常に有意であり、曲線下面積(AUC)=0.83であった。ミトコンドリアプロファイリングでは、Hrkプライミングシグナルは、陽性シグナルの関数として測定され、ミトコンドリアの完全な脱分極が、化学阻害剤カルボニルシアン化物m-クロロフェニルヒドラゾン(CCCP)によって誘発されるのに対し、陰性シグナルは、「プライミング指数」を得るための以下の式に概説したようにDMSO処理に由来する。
Figure 0007330196000009
HSBXB ELISAシグナルは、先に取得および記録されたHrkプライミングシグナルに対し、それらの同じ試料からベンチマークすることができる。次いで、総Bcl-xLシグナル(結合および非結合)を決定することができる。Bcl-xL捕捉分子および第2の非干渉性Bcl-Xl検出抗体を、この目的のために使用することができる。HSBXB ELISAシグナルは、最大(100%)として総Bcl-xL ELISAに、ゼロとしてバックグラウンドシグナルに、関連付けることができる。下記の式を用いて、BimによるBcl-xLの占有率のパーセンテージ、Bcl-xL/Bimプライミング指数を計算することができる:
Figure 0007330196000010
バイオマーカーの状態(Bcl-xL/Bimプライミングのパーセンテージ)と患者の応答者または非応答者の分類との間の関連性を検討することができる。システムは、ABT-263に対する応答者および非応答者を含めて、細胞株を用いて最適化することができる。その後、針生検による新鮮な凍結乳がん腫瘍組織(アーカイブ)を、I-Specimen、レキシントン、マサチューセッツ州から取得することができる。組織ドナーからの臨床応答およびアウトカムのデータは、供給業者を通じて入手可能である。最大40個のそのような標本を得ることができ、ELISAに供された。
分析について:単変量比較は、ログランク(マン・ホイットニー)検定およびt検定を用いて行うことができ、全てのp値は、両側対立仮説を用いて計算することができる。ベンジャミニ・ホフバーグ法を用いた偽発見率(false discovery rate)を説明することによって、複数の比較(二つのバイオマーカーの比率)を説明するように、p値を調整することができる。マーカーの予測能は、理想的な閾値を特定するための受信者操作特性(ROC)の曲線下面積(AUC)統計を用いて評価することができる。多変量解析は、ロジスティック回帰を用いて行うことができ、有意調整変数は、病期、年齢、ホルモン受容体(PR/ER)の状態、および細胞遺伝学的リスクの状態を含むことがある。全生存期間(OS)および無イベント生存期間(EFS)は、プライミングのパーセンテージとの有意な相関について、傾向解析のログランク検定(マンテル・ヘンツェル)によって検定することができる。
免疫組織化学(IHC)法を使用して、乳がん固形腫瘍生検体においてHSBXBを最適化し、また臨床アウトカムに対しバイオマーカーを確立することができる。アルゴリズムベースのIHCシグナル定量を用いたデジタル病理学を用いて、いくつかのIHCの作業を実施することができる。本開示のプロトコルは、エピトープ検出シグナルを向上させることができる酵素的、化学的、温度、および圧力の処理条件の様々な用途を含む。
IHCアッセイの開発を図24A、図24B、図24C、図25、図26、図27、図28、図30、図31、および図32に示す。MEF Bcl-xL-/-細胞におけるBcl-xL発現のイムノブロットを図24Aに示し、Bcl-xLおよびHSBXBのIF画像およびシグナル強度を図24Bおよび図24Cに示す。図25では、MEFの野生型およびMEF Bcl-xLl-/-細胞におけるHSBXB抗体のIHCアッセイを示す。図26では、未治療の(左)の、A-1331852阻害剤(中央)により治療された、およびsiRNA-Bcl-xLで治療された(右)HCC1937ヒト乳がん細胞を使用した、HSBXB抗体のIHCアッセイを示す。図27では、Bcl-xL阻害剤のIHCアッセイを、MEF野生型(左)およびMEF Bcl-xL-/-(右)の細胞について示す。図28では、Bcl-xL阻害剤のIHCアッセイを、未処置の(左)およびsiRNA-Bcl-xLで治療された(右)HCC1937ヒト乳がん細胞について示す。図30は、MEF野生型(左)およびMEF Bcl-xL-/-(右)についてのHSBxB/BCLxLのIHCアッセイを示す。図31は、未処置の(左)、A-1331852で治療された(中央)、およびsiRNA-Bcl-xLで治療された(右)場合について、HCC1937ヒト乳がん細胞を用いたHSBxB/BCLxLのIHCアッセイを示す。図32は、BCLxL+/+であるSVEC細胞におけるBCL-xL:BIMに対するHSBxB/BCLxLのIHCアッセイを示す。
初期データは、HSBXB抗体がホルムアルデヒド固定およびパラフィン(FFPE)IHC実験(例えば、図6を参照)、ならびにIHCを用いたFFPE三重陰性乳がん切片で良好に機能したことを示す(図33A、図33B、図33C、図35A、図35B、および図35C)。図35A、図35B、および図35Cは、FFPE乳がん細胞上の2色IHCの結果を示す。結果は、Bcl-xL特異的BH3模倣体処理細胞におけるHSBXB/抗Bcl-xLシグナルの変化を示す。HSBXB抗体のノイズ指数へのシグナルは、ヒト乳がん異種移植FFPE試料の追加的な固定後調製を検討することによって改善されることがあり、I-Specimen、レキシントン、マサチューセッツ州、米国から得られる適合する新鮮凍結組織における、ならびに適合するFFPEおよび固定済みヒト/マウス異種移植生検体における、ELISAおよびフローサイトメトリーの読取りをベンチマークしてもよい。
この例の実験は、HSBXBが複数の組織由来のがんにわたって結合することが観察されたことから、特にIHCについて広範な適用があることを実証する(図34)。
IHC染色条件は最適化することができ、またヘテロ二量体およびモノマーを検出するための感受性および特異性は、FFPE組織の切片で実行できる。カットオフ値は、定量値の最低レベル(LLOQ)および定量値の最高レベル(HLOQ)を確立することによって決定することができる。画像解析および視覚的スコアリングを介した定量化により、IHCの解釈をシグナル密度の単一の値および画定された境界内のシグナルの分布へと低減することが可能になる。
実施例8:アーカイブされた患者試料におけるHSBXB/Bcl-xLシグナルと臨床応答との相関関係
アーカイブされた患者試料におけるHSBXB/Bc-xlシグナルと臨床応答との間の相関を実証するために、約50~75個のアーカイブされたHer2+乳がん腫瘍組織を、未治療の治療前の患者および難治性の治療前の患者から採取することができる(すなわち、I-specimen、レキシントン、マサチューセッツ州から入手)。次いで、針生検体を薄切し、96ウェルプレート内で8連で分散させることができる。次いで、個別のウェルを、該当する濃度(すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10)でHSBXB抗体に、ならびにBcl-xL抗体に、曝露することができる。次いで、HSBXB/Bcl-xLシグナルを決定することができる。データを、臨床応答データ(PI3キナーゼデルタ治療を伴うまたは伴わないハーセプチン、ラパチニブ)と相関させることができる。
次に、本実施例の実験は、特に、免疫蛍光(IF)顕微鏡によるHSBXBおよびBcl-xLlシグナルを測定するための条件をどのように確立するかを実証するものである。これは、標準的な撮像システムおよび顕微鏡を使用して実施することができる。固定された組織の場合、Bcl-xL/BIMヘテロ二量体の形成またはプライミングを引き起こすかまたは枯渇する原因はない。代わりに、Bcl-xL抗体によって生成されるシグナルを、到達しうる内部の最大シグナルとして頼ることができる。固定された乳がん細胞については、これを、抗Bcl-xL IgG細胞内結合についてのシグナル強度の中央値を用いて計算することができる。HSBXBにより決定されるプライミングの計算については、以下の式を使用することができる。
Figure 0007330196000011
撮像方法を確立すると、スライド(I-Specimenから購入)上のパラフィン包埋薄切片である最大50~75個のアーカイブされたHer2+患者腫瘍生検試料を、蛍光顕微鏡法を用いて調べることができる。シグナル標本はそれぞれHER2+であり、臨床応答、臨床アウトカム、ならびに予後マーカーのアノテーションを有する。この分析は、定量的IF顕微鏡を使用して実施することができ、細胞ごとにミトコンドリア、細胞質、または微小管における、HSBXBならびに抗Bcl-xLの染色強度を測定するために用いることができる。これらの測定値を、隣接した非腫瘍組織からのシグナルと比較することができる。次いで、シグナルを、細胞全体当たりまたは特異的な細胞内領域当たりで報告し、各標本についての同じものと比較することができる。熟練した病理学者は、腫瘍内の組織学的バリエーションを使用することができ、また複製スライドでBcl-2およびMcl-1の発現レベルを測定することができる。これらの追加的な測定を、相関分析に含めるために考慮することができる。
次いで、バイオマーカーは、バイオマーカーの状態(Bcl-xLプライミングのパーセンテージ)と患者の応答者または非応答者の分類との間の関連性を試験することにより、統計解析によって分析することができる。単変量比較は、マン・ホイットニー検定を用いて行うことができ、報告されたP値はすべて両側検定とすることができる。次いで、複数の比較(二つのバイオマーカーの比率)を説明するための一次解析についての有意性の閾値を決定することができる。マーカーの予測能は、曲線下面積(AUC)の統計を用いて評価することができる。多変量解析は、ロジスティック回帰を用いて行うことができ、有意調整変数は、病期、年齢、ホルモン受容体(例えばPR/ER)の状態、および細胞遺伝学的リスクの状態を含むことがある。次いで、全生存期間(OS)および無イベント生存期間(EFS)を、ログランク検定によって、プライミングのパーセンテージとの有意な相関および傾向について検定することができる。
Mcl-1/Bim(HSMCB)およびBcl-2/Bim(HSBLB)に特異的なモノクローナルAbを調製するために、ならびにミトコンドリアプライミング検出物質として検証するために、Bcl-2ファミリーヘテロ二量体特異的抗体(HSA)の範囲をMcl-1およびBcl-2に拡張してもよい。この目的で、精製されたMcl-1-GSTおよびBcl2-GST融合タンパク質を、共有結合によりBim修飾BH3ペプチドにコンジュゲートすることができる。モノクローナル抗体は、Abpro(レキシントン、マサチューセッツ州)によって調製およびスクリーニングすることができる。ミトコンドリアプライミングを検出する際のバイオマーカー機能の読取り忠実性および有用性を、細胞株にて確立することができる。ハイブリドーマ作製のため、各標的抗原に対し、完全フロイントアジュバントと組み合わせた50マイクログラムの抗原を用いて、5頭のスイスウェブスターマウスを免疫することができる。抗体は既に上述したように作製することができる。
次いで、染色されたチップを、95%エタノール中で2回各10秒間、100%エタノール中で2回各10秒間、そして最後にキシレン中で2回各10秒間、逐次的にインキュベーションすることによって脱水することができる。次いで、チップにカバースリップを取り付けて、染色パターンについて蛍光顕微鏡およびUV顕微鏡を使用して調べることができる。次いで、がん組織試料から得られた染色パターンを、隣接する正常組織から得られたものと比較することができる。(例えば、図6を参照)
実施例9:Bcl-xL/Bimヘテロ二量体シグナルは、AML患者試料由来のゲーティングされた芽細胞集団におけるHrkプライミングに相関する。断定された読取りはバイオマーカー開発を手引きする
AML患者試料を、この実施例の実験でBH3についてプロファイリングした。芽細胞群は、Hrkプライミング、ならびにBcl-xLに選択的なHrk BH3ペプチドに対する応答を示した。並行して、AML患者試料を固定し、FITC標識HSBXB抗体およびローダミン標識Bcl-xL抗体により染色した。この芽細胞をゲーティングしたシグナルをFACSで解析した。HSBXBにより生成されたBcl-xL/Bimヘテロ二量体の読取りと総Bcl-xLシグナルとの比率を、AML患者試料由来のHrkペプチドにより生成されたシグナルに対してプロットする。図9A、図、図9Bを参照されたい。また、図12A、図12B、および図12Cを参照すると、HSBXBシグナルがAML患者試料(図12A)およびCLL患者患者試料(図12B)の両方においてHRKおよび特許応答に相関することが示されている。この患者群の前処理HRKシグナルは、アルボシジブ治療に関連することが示された(図12C)。また、図15A、図15B、および図15Cを参照すると、AML患者試料におけるHRKとHSBXB/BCLXLとの対比のパーセントの相関が示されている。
実施例10:Bcl-xLを標的とするBH3模倣体化合物による処理後の腫瘍細胞株におけるBcl-2ヘテロ二量体のプロファイリング
この実施例の実験は、HSBXB抗体が薬力学的マーカーとして機能し、Bcl-Xl選択的なBH3模倣体A1155463による処理の結果としてのBcl-xL/Bimヘテロ二量体のシフトを検出することが示されたという、驚くべき結果を実証したものである。これらの実験では、Bcl-xLを発現するATH66細胞を16時間にわたって化合物で処理し、次いで、パラホルムアルデヒドで固定して、非イオン性界面活性剤により透過処理し、HSBXB-FITCおよび抗Bcl-xL-ローダミンにより染色した。フローサイトメトリーを用いてシグナルを解析した。シグナルの比率によりBcl-xLプライミング指標が与えられた。これは、アポトーシスの発生と一致した経時変化で減少することが観察され、このアポトーシスは、DAPI染色およびアネキシン5表面染色によって決定されたものである。例えば、図8および図14A、図14B、および図14Cを参照すると、A-1155463で処理した際に、Bcl-xLに選択的なBH3模倣体に応答してHSBXBシグナルがシフトすることが示されている。
実施例11:ヒト乳がん細胞におけるHSBXB抗体の免疫蛍光(IF)染色、HSBXBの局在の変化、およびBcl-xLのsi-RNAノックダウン
Bcl-xL阻害剤、A-1331852、またはMEK阻害剤に対する薬物応答を、図16Aおよび図16Bに示されるように、2種類のヒト乳がん細胞HCC1937およびBT-474で比較した。両方の細胞型で、A-1331852阻害剤の添加の結果、細胞生存率の減少がもたらされたのに対し、MEK阻害剤は、どちらの乳がん細胞型でも細胞生存率を減少させなかった。未処理のヒト乳がん細胞HCC1937およびBT-474におけるHSBXB抗体およびBcl-XL阻害剤A-1331852の免疫蛍光(IF)染色を、図17に示す。図18に示されるように、A-1331852阻害剤の存在もしくは不在下で処理されたか、またはHSBXB抗体の存在もしくは不在下で処理されたヒト乳がん細胞HCC1937から、IF染色および相対的シグナル強度を得た。HSBXB抗体は、阻害剤処理および対照試料においてシグナル強度が低かった。A-1331852阻害剤に応答したBcl-xLおよびHSBXBの局在の変化が、HCC1937細胞で観察された(図19)。図23では、野生型のSVEC細胞およびミトコンドリアプライミングされたSVEC細胞で、Bcl-xLおよびHSBXBの両方が観察されることを実証する、IF画像が示されている。
siRNAを用いて、Bcl-xL-siRNAをHCC1937細胞にトランスフェクトしてBcl-xLをノックダウンし、その結果、Bcl-xLおよびHSBXBの両方のシグナル強度が低いものとなり(図20、図22)、HSBXB(図29A)およびBCLxL(図29B)の両方の総陽性のパーセンテージが低減された。HCC1937細胞におけるBcl-xLのノックダウンは、IF染色によって、HSBXBがsiRNA処理細胞に観察されなかったことから確認された(図21)。
実施例12:in situ IHCにより非結合Bcl-2ファミリータンパク質に対するBcl-2ファミリーヘテロ二量体を測定することによって、固形腫瘍における浸潤性リンパ球のアポトーシス能力を評価することにより、免疫腫瘍療法に対するがん患者の応答を予測する方法。
アポトーシスは、T細胞免疫において、選択中の細胞の排除を制御することにより重要な役割を果たし、そのような場には、これらの細胞が浸潤して腫瘍細胞に対する免疫応答を生じる腫瘍内が含まれる。例えば、PD-1/L1遮断抗体の有効性は、腫瘍内のPD-L1発現細胞によって負に調節されている腫瘍特異的PD-1+ T細胞の存在、ならびにこれらの細胞の持つ長寿命に付随する。(Kuhnger,M.et.A.,ASCO Journal June 12,2017 from 162.234.150.177)これらの治療の目的は、機能的に無傷のPD-1/PD-L1複合体をモノクローナル抗体により妨げることによって、腫瘍免疫に影響を与えることである。これにより、T細胞ががん細胞の死滅を媒介することが可能になる。PD-L1の発現レベル、腫瘍内の位置、および長寿命はそれぞれ、この治療戦略の有効性に影響を与える。PDL-1調節療法または他の免疫腫瘍療法に応答する浸潤リンパ球の素因に関する正確な情報は、これらの薬剤の使用を手引きする際に重要である。
この実施例の実験は、治療応答のための免疫腫瘍に影響を与えるための適応免疫系機構を理解することによって手引きされる。腫瘍抗原に対するT細胞応答は、周囲のリンパ球、例えば骨髄由来免疫抑制細胞および制御性T細胞からのシグナル伝達のキューを介して起こることが観察されている(Wensveen,1 Klaas P.J.M.van Gisbergen,1 et al Immunity 32,754-765,June 25,2010;Carrington,EN et al PNAS|March 31,2015|vol.112|no.13)。Bcl-2ファミリーのヘテロ二量体の状態は、このシグナル伝達に影響を与え、腫瘍細胞に向けられた免疫応答の増強の成功を予測するための測定基準を提供する。
一実施形態では、T細胞の長寿命および活性化の傾向は、アンタゴニストMcl-1に結合したアポトーシス促進分子Noxaを調べることによって評価することができる。さらに、T細胞の長寿命および活性化の傾向は、FFPE非小細胞肺患者生検組織上でIHCを用いてin situでBim/Mcl-1ヘテロ二量体を測定することによって、評価することができる。これらの結果は、先天免疫においてT細胞集団を調節するこの機構が記載されている文献(すなわち、Wensveen,Klaas P.J.M.van Gisbergen,et al Immunity 32,754-765,June 25,2010)に示唆されているような相関と整合することがある。浸潤性T細胞集団中のMcl-1/Bimヘテロ二量体を測定することにより、PDL-1を標的とする薬剤の応答性ならびに他の免疫腫瘍調節療法の応答性を予測するための測定基準を提供することができる。
実施例13:ヘテロ二量体抗体を生成するための方法
本明細書に開示されるのは、免疫されたマウスからヘテロ二量体抗体(例えば、Mcl-1/Bim-BH3ヘテロ二量体抗体)を単離、選択、および精製する方法である。ヘテロ二量体抗体の単離、選択、および精製により、がん細胞のプライミングの状態を決定するなど、ヘテロ二量体の機能性の検討が可能になり、患者が免疫調節薬を含むがん治療に感受性であるか否かを検出することが可能になる。本明細書に開示される方法によって産生される精製ヘテロ二量体抗体は、患者由来の固形腫瘍試料または患者由来の液体腫瘍中の二つのB細胞リンパ腫2(BCL-2)タンパク質を含むヘテロ二量体を検出するために使用することができる。
図36に概略的に示されるように、最初に、共有結合のヘテロ二量体抗原(例えば、Mcl-1/Bim-BH3)によりマウスを免疫する。細胞全体の酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を用いて、免疫化マウス血清中の抗原特異的抗体の存在を試験するとともに、抗体力価を分析することができる。抗体力価を増やすために追加免疫の繰り返しを実施することができる。力価の増加は、典型的には、追加免疫を繰り返す度に観察される。十分な力価が達成されれば(例えば、最大1:150,000の血清希釈物)、マウスの脾臓を採取し、次いで、2段階の親和性ベースの選択ステップを用いて、ヘテロ二量体を含有する脾臓B細胞を選択する:すなわち、まず、脾臓B細胞を陰性選択用の磁気カラムに通し、次いで、脾臓B細胞を正電荷の磁気カラム選択に通す。陰性磁気カラムベース選択を実施するために、グルタチオン誘導体化された磁気ビーズと、GSTに融合されたヘテロ二量体の一方のモノマーを含有する組換え融合タンパク質(例えば、Mcl-1GST)との両方で被覆されている負電荷のカラム上に、脾臓B細胞を配置する。次いで、陰性選択用の磁気カラムからのフロースルーを採集するが、このフロースルーは、モノマーの組換え融合タンパク質に結合しなかったことからヘテロ二量体を含有しない脾臓B細胞を表す。次いで、陰性選択用の磁気カラムから得たB細胞を含有するこのフロースルーを、陽性親和性選択用の共有結合のヘテロ二量体抗原(例えば、Mcl-1/Bim-BH3)により陽性に被覆されている第2の磁気カラムに通した。ヘテロ二量体特異的抗体を含有する細胞を、陽性選択用の磁気カラムに結合させ、次いで陽性選択カラムから溶出して採集した。次いで、ヘテロ二量体抗体を含有する選択された細胞を、B細胞増殖のための補助物質(例えば、IL-4、LPS、およびCD40リガンド)を含む培地中で成長させることができる。次いで、標準的なおよび定型的な分子生物学的方法によって、細胞を単離してサブクローニングすることができ、その後、優れたヘテロ二量体特異的結合および産生能を有する抗体について、上清をスクリーニングすることができる(例えば、ELISAによって)。
本方法のこの段階で、上清からの最適なスクリーニングシグナル(例えば、ELASAに基づく)を示す抗体(例えば、Igの重鎖および軽鎖)の完全な配列を特定することができる。例えば、抗体の全長は、cDNA末端の迅速増幅のための5’または3’のRace System(すなわちRACE PCR)を用いて決定することができる。本方法のこれらの実験では、マウスの重鎖および軽鎖の可変領域に由来する標準的な内部プライマーを使用して、全長配列を生成することができる。
最適なヘテロ二量体抗体が単離されて選択されると、標準的および定型的な分子生物学的方法を用いて、単離されたヘテロ二量体抗体を、精製および大規模抗体生産のための発現ベクターおよび発現系(例えば293T細胞)にクローニングすることができる。次いで、抗体の特異的結合を対照アッセイで試験することができる。例えば、対照アッセイは、プレートがヘテロ二量体抗原(例えば、Mcl-1/Bim、陽性)およびモノマー抗原(例えば、Mcl-1、陰性)の両方で被覆されているELISAとすることができる。一部の実施形態では、対照アッセイは、ヘテロ二量体の両方のタンパク質(例えば、Mcl-1およびBim)を発現する細胞株を用いた免疫蛍光(IF)染色である。例えば、Mcl-1/Bimヘテロ二量体の両方のタンパク質を発現する細胞におけるMcl-1/Bimヘテロ二量体のIF染色を、Mcl-1/Bimヘテロ二量体の両方のタンパク質を発現しない(すなわち、対照としてタンパク質がノックダウンされていることがある)異なる細胞におけるMcl-1/Bimヘテロ二量体のIF染色と比較することができる。一部の実施形態では、対照アッセイは、ヘテロ二量体の両方のタンパク質(例えば、Mcl-1およびBim)を発現する細胞株の免疫組織化学(IHC)染色を、ヘテロ二量体の両方のタンパク質を発現しない細胞株のIHC染色と比較して含む。一部の実施形態では、対照アッセイは、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)ブロック上のIHC染色を含み、このブロックは、細胞株、対照細胞株、異種移植片組織、および患者組織を由来としうる。一部の実施形態では、対照アッセイはフローサイトメトリーを含む。
ヘテロ二量体抗体の単離、選択、および精製に関連するこれらの方法の一例を図37、図38、および図39に示す。図37のデータは、Mcl-1/Bimヘテロ二量体へのIgGクローン9E05の選択的な結合を示す。本明細書に開示される方法を用いてこのクローンを作製した。クローン9E05由来の精製上清を、上記に記載された親和性選択、すなわち、グルタチオンにより誘導体化された磁気ビーズ(陰性選択)、およびGSTに融合されたヘテロ二量体の一方のモノマーを含有する組換え融合タンパク質(例えば、Mcl-1GST)、およびMcl-1-GST/Bim BH3で被覆されたビーズ(陽性選択)を用いて力価を評価し;次いで、ELISAスクリーニングおよび定型的なクローニングを用いて、クローンをさらに分離し、図37に示すような高純度のヘテロ二量体抗体を得た。図38のデータは、Mcl-1/Bimヘテロ二量体の形成体に存在する修飾BPA4ペプチドへの9E05クローンの選択的な結合を示す。プレートをMcl-1/Bimヘテロ二量体、Mcl-1モノマー、またはBPA4ペプチドのみのいずれかにより被覆した。図39のデータは、Mcl-1/Bimヘテロ二量体の形成体に存在する修飾BPA4ペプチドへの9E05クローンの選択的な結合を示す。プレートを、修飾BPAペプチドを伴うMcl-1/Bimヘテロ二量体、天然Bimビオチン、または切頭型Bimペプチドのいずれかで被覆した。図40は、クローンE905およびMcl-1ポリクローナルウサギ抗体に特異的なMcl-1/Bimヘテロ二量体を示すIF画像である。図41は、クローンE905およびMcl-1ポリクローナルウサギ抗体に特異的なMcl-1/Bimヘテロ二量体を示すIF画像である。図42は、クローン15D02およびMcl-1ポリクローナルウサギ抗体に特異的なMcl-1モノマーを示すIF画像である。図43は、Mcl-1/Bimヘテロ二量体抗体(HSMCB)がBimをin situで結合する必要があることを示すIF画像である。
一部の実施形態では、免疫されたマウスからヘテロ二量体抗体(例えば、Mcl-1/Bim-BH3ヘテロ二量体抗体)を単離、選択、および精製することに関連する本開示の方法を、改変することができる。例えば、上記に記載されたように、ヘテロ二量体特異的抗体を含有する細胞を陽性選択カラムから溶出し採集する際に、ヘテロ二量体特異的抗体を含有する溶出された細胞を蛍光標識し(例えば、蛍光色素、タグ、プローブ)、その後に細胞の培養を行うことができる。一部の実施形態では、細胞は、共有結合のMcl-1-GST/Bim BH3- FITCにより標識されている。次いで、標識化細胞を、例えばフローサイトメトリーによってソーティングすることができ、最適なシグナルを提示するそれらの細胞を、フローサイトメトリー上でゲーティングして単離することができる。次いで、この工程を繰り返すことができ(すなわち、フローサイトメトリーから単離された細胞を培養した後、別ラウンドのフローサイトメトリーを行う)、最適な結合特性を提示する細胞を、上記に記載されたようにさらにクローニングすることができる。
本明細書に開示される全ての特徴は、任意の組合せで組み合わせられてもよい。本明細書に開示される各特徴は、同一、同等または類似の目的に適う代替的な特徴によって置き換えられうる。そのため、別途明示的に記述されない限り、開示された各特徴は、全体的な一連の同等または類似の特徴の一例に過ぎない。
上記の説明から、当業者は、本開示の必須の特性を簡単に確かめることができ、その趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な使用および条件に適合させるために本開示の様々な変更および修正を行うことができる。それゆえ、他の実施形態もまた特許請求の範囲内にある。

Claims (25)

  1. がん治療に対する患者の感受性を予測することを目的とする方法であって、
    (a)二つのB細胞リンパ腫2(BCL-2)タンパク質を含むヘテロ二量体を認識する抗体に試料を接触させることであって、前記試料が前記患者の固形腫瘍由来の標本である、接触させること、
    (b)前記ヘテロ二量体の量を標示するシグナルを検出すること、ならびに
    (c)参照値に対するステップ(b)由来の前記試料中の前記ヘテロ二量体の量の比率を決定すること、を含み、
    前記参照値が、前記試料中の前記ヘテロ二量体の前記BCL-2タンパク質モノマーのうちの一方の量を含み、
    前記比率が、前記がん治療に対する前記患者の感受性を予測するものである、方法。
  2. がん治療に対する患者の感受性を予測することを目的とする方法であって、
    (a)二つのB細胞リンパ腫2(BCL-2)タンパク質を含むヘテロ二量体を認識する抗体、および前記ヘテロ二量体の前記BCL-2タンパク質モノマーのうちの一方を認識する抗体に、試料を接触させることであって、前記試料が前記患者の固形腫瘍由来の標本である、接触させること、
    (b)前記ヘテロ二量体の量を標示するシグナルおよび前記モノマーの量を標示するシグナルを検出すること、ならびに
    (c)前記モノマーの量に対する前記ヘテロ二量体の量に基づき比率を決定することであって、前記比率が前記がん治療に対する前記患者の感受性を予測するものである、決定すること、を含む、方法。
  3. 前記ヘテロ二量体の検出が、免疫組織化学(IHC)、フローサイトメトリー、または免疫蛍光法を採用する、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記BCL-2タンパク質が、BIDおよびBIMから選択されるアクチベーターBH3タンパク質である、請求項1または2に記載の方法。
  5. 前記BCL-2タンパク質が、BAD、BIK、NOXA A、NOXA B、 HRK、BMF、およびPUMAから選択される増感性BH3タンパク質である、請求項1または2に記載の方法。
  6. 前記BCL-2タンパク質が、BAXおよびBAKから選択されるマルチドメインのアポトーシス促進タンパク質である、請求項1または2に記載の方法。
  7. 前記BCL-2タンパク質が、BCL-2、BCL-XL、MCL-1、BCL-W、およびBFL-1から選択されるマルチドメインの抗アポトーシスタンパク質である、請求項1または2に記載の方法。
  8. 前記ヘテロ二量体が、BCL2と、BID、BIM、BAD、BIK、PUMA、およびBMFのうちの一つとを含む、請求項1または2に記載の方法。
  9. 前記方法が、BCL2、BID、BIM、BAD、BIK、PUMA、およびBMFのモノマーのうちの一つに対するヘテロ二量体の比率をもたらす、請求項1または2に記載の方法。
  10. 前記ヘテロ二量体が、BCLXLと、BID、BIM、BAD、BIK、HRK、PUMA、およびBMFのうちの一つとを含む、請求項1または2に記載の方法。
  11. 前記方法が、BCLXL、BID、BIM、BAD、BIK、HRK、PUMA、およびBMFのモノマーのうちの一つに対するヘテロ二量体の比率をもたらす、請求項1または2に記載の方法。
  12. 前記ヘテロ二量体が、BCLWと、BID、BIM、BIK、PUMA、およびBMFのうちの一つとを含む、請求項1または2に記載の方法。
  13. 前記方法が、BCLW、BID、BIM、BIK、PUMA、およびBMFのモノマーのうちの一つに対するヘテロ二量体の比率をもたらす、請求項1または2に記載の方法。
  14. 前記ヘテロ二量体が、MCL1と、BID、BIM、BIK、NOXA A、NOXA B、PUMA、BAK、およびBMFのうちの一つとを含む、請求項1または2に記載の方法。
  15. 前記方法が、MCL1、BID、BIM、BIK、NOXA A、NOXA B、PUMA、およびBMFのモノマーのうちの一つに対するヘテロ二量体の比率をもたらす、請求項1または2に記載の方法。
  16. 前記ヘテロ二量体が、BFL1と、BID、BIM、NOXA A、NOXA B、およびPUMAのうちの一つとを含む、請求項1または2に記載の方法。
  17. 前記方法が、BFL1、BID、BIM、NOXA A、NOXA B、およびPUMAのモノマーのうちの一つに対するヘテロ二量体の比率をもたらす、請求項1または2に記載の方法。
  18. 前記がん治療がBH3模倣体を含み、前記BH3模倣体が、ABT-737およびABT-263(ナビトクラクス)、ベネトクラクス(ベネクレクスタ、ABT-199)、S63845、AMG176、ADZ5991、A-1155463、A1331852、EU5346、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項1または2に記載の方法。
  19. 前記がん治療がチェックポイント阻害剤を含み、前記チェックポイント阻害剤が、TIM-3、BTLA、PD-1、CTLA-4、B7-H4、GITR、ガレクチン-9、HVEM、PD-L1、PD-L2、B7-H3、CD244、CD160、TIGIT、SIRPα、ICOS、CD172a、およびTMIGD2のうちの一つを標的とする薬剤である、請求項1または2に記載の方法。
  20. PD-1を標的とする前記薬剤が、PD-1体であって、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、およびピジリズマブから選択される、請求項19に記載の方法。
  21. PD-L1を標的とする前記薬剤が、PD-L1に特異的な抗体であって、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、およびBMS-936559から選択される、請求項19に記載の方法。
  22. CTLA-4を標的とする前記薬剤が、CTLA-4に特異的な抗体であって、イピリムマブおよびトレメリムマブから選択される、請求項19に記載の方法。
  23. 前記抗体が、(i)重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域であって、前記重鎖CDR1配列がGHTFTEHYIN(配列番号1)であり、前記重鎖CDR2配列がWIFPGSGSTYYNEKFKG(配列番号2)であり、前記重鎖CDR3配列がSYSNFWFAY(配列番号3)である、重鎖可変領域と;(ii)軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域であって、前記軽鎖CDR1配列がRASQSIGTSIH(配列番号4)であり、前記軽鎖CDR2配列がKYASESIS(配列番号5)であり、前記軽鎖CDR3配列がQQSNSWPTT(配列番号6)である、軽鎖可変領域と、を含む、請求項1または2に記載の方法。
  24. 前記抗体が、(i)配列番号7に記載のアミノ酸配列または総計10個以下のアミノ酸置換を有する配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域配列と、(ii)配列番号8のアミノ酸配列または総計10個以下のアミノ酸置換を有する配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域配列とを含む、請求項23に記載の方法。
  25. (i)重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域であって、前記重鎖CDR1配列がGHTFTEHYIN(配列番号1)であり、前記重鎖CDR2配列がWIFPGSGSTYYNEKFKG(配列番号2)であり、前記重鎖CDR3配列がSYSNFWFAY(配列番号3)である、重鎖可変領域と;(ii)軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域であって、前記軽鎖CDR1配列がRASQSIGTSIH(配列番号4)であり、前記軽鎖CDR2配列がKYASESIS(配列番号5)であり、前記軽鎖CDR3配列がQQSNSWPTT(配列番号6)である、軽鎖可変領域と、を含む抗体を含む組成物または(i)配列番号7に記載のアミノ酸配列または総計10個以下のアミノ酸置換を有する配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域配列と、(ii)配列番号8のアミノ酸配列または総計10個以下のアミノ酸置換を有する配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域配列とを含む抗体を含む組成物。
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