以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
≪第1実施形態≫
まず、図1は、本実施形態にかかる電池を示す斜視図である。図1は一つの電池10(単位電池、セルともいう)を示し、この電池10を複数積層して所望の電気回路構成で接続することにより、所望の電圧、容量の組電池を構成することができる。
本実施形態に係る電池10は、図1に示すように、正極11と、セパレータ12と、負極13と、で構成される電極組立体14、正極集電タブ15と、負極集電タブ16と、外装部材17と、特に図示しない電解質とから構成されている。電極組立体14は、正極11、セパレータ12及び負極13を積層してつづら折り状に形成されたものである。なお、図1では、電極組立体14の3層の積層状態は簡略化のため省略している。電極組立体14は、正極集電タブ15と負極集電タブ16と接触した状態で、外装部材17に収納されている。外装部材17は、電極組立体14と電極集電タブを収容する有底矩形箱状の本体部材17aと、本体部材17aの開口部を閉塞する矩形板状の蓋部材17bとから構成されている。また、蓋部材17bには、正極端子18と負極端子19が固定され、外部に向かって突出している。例えば、正極端子18は円筒状に形成されていて、円形状の上面と下面を有する。上面を含む端部が外部に向かって突出していて、バスバー等に接続されている。下面を含む端部は、外装部材17の内側で正極集電タブ15と溶接等により接合され、電気的に接続されている。負極端子19についても、正極端子18と同じように、形成されている。また、正極端子18と負極端子19は、円筒状に限らず、多角筒形状、楕円筒形状等、他の筒形状としてもよい。外装部材17には、例えば、ラミネートシートが用いられ得る。ラミネートシートは、ポリプロピレン、アルミニウム、ナイロン等のシートが積層されてなる3層構造として構成されたものを用いることができる。ただし、前述の材料のシートに限定されるものではない。従来公知の金属缶ケースを外装として用いることができる。また、外装部材17内には、電解質が充填されている。
まず、電極組立体14を構成する正極11について説明する。図2Aは、折り曲げられる前の正極11を示す平面図と、平面図におけるA-A′線に沿った正極11の断面図である。図2Aでは、帯状の正極集電体101の長手方向を長手方向Lとし、正極集電体101上において長手方向Lに対して垂直方向を幅方向W、正極集電体101の厚さ方向を高さ方向Hとする。正極11は、帯状の正極集電体101と、正極集電体101の一方の面101aと他方の面101bのうち、一方の面101aに積層された正極活物質層102を有する。正極活物質層102は、正極集電体101の一方の面101aの全体に積層されているのではなく、図2Aに示されるように、正極集電体101の長手方向Lに、所定の間隔L1をあけて正極活物質層102が積層されている。正極活物質層102は、幅方向Wにおける正極集電体101の両端に位置する一方の縁から他方の縁までの範囲に形成されている。すなわち、正極11は、正極集電体101に正極活物質層102が形成された複数の活物質層形成部108pと、正極活物質層102が形成されていない複数の集電体露出部109pを交互に有する。そして、複数の活物質層形成部108pの長手方向Lの長さはすべて同じ長さとし、集電体露出部109pの長手方向Lの長さは、所定の間隔L1となる。
正極11の正極集電体101は、正極活物質層102と外部との間を電気的に接続するための部材であって、導電性の材料から構成している。正極集電体101の具体的な形態について特に制限はない。導電性を有する限り、その材料、構造などは特に限定されず、一般的なリチウムイオン二次電池に用いられている従来公知の形態が採用され得る。正極集電体101の構成材料としては、電子伝導性、電池作動電位という観点からアルミニウムが好ましい。また、正極集電体101の構造も、箔状のほか、不織布状、多孔質状などの構造であり得る。正極集電体101には、2つ以上の金属箔を張り合わせた集電体が用いられることとしてもよい。集電体の厚さも特に限定されるものではないが、5~50μm程度であることが望ましい。集電体の大きさは、リチウムイオン二次電池の使用用途に応じて適宜決定することができる。また、本実施形態では、電極組立体14は、折り曲げ構造が連続する「つづら構造」となるため、正極集電体101は容易に折り曲げることができ、折り曲げた後破断など生じない厚さであることが望ましい。好ましくは20μm以下である。
また、正極活物質層102は、正極活物質を含み、必要に応じて電気伝導性を高めるための導電助剤、バインダ、電解質(ポリマーマトリックス、イオン伝導性ポリマー、電解液など)、イオン伝導性を高めるための電解質支持塩(リチウム塩)などをさらに含み得る。正極活物質層102に含まれる成分の配合比および正極活物質層102の厚さについても特に限定されず、リチウムイオン二次電池についての従来公知の知見が適宜参照され得る。
正極活物質は、リチウムの吸蔵、放出が可能な材料であれば特に限定されず、リチウムイオン二次電池に通常用いられる正極活物質が利用され得る。具体的には、リチウム-遷移金属複合酸化物が好ましく、例えば、LiMn2O4などのLi-Mn系複合酸化物、LiNiO2などのLi-Ni系複合酸化物、LiNi0.5Mn0.5O2などのLi-Ni-Mn系複合酸化物が挙げられる。場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。
導電助剤は、正極活物質層102の導電性を向上させることを目的として配合される。本実施形態において用いられる導電助剤は特に制限されず、従来公知の形態が適宜参照され得る。例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック;気相成長炭素繊維(VGCF)等の炭素繊維;グラファイト;カーボンナノファイバー;などの炭素材料が挙げられる。正極活物質層102が導電助剤を含むと、正極活物質層102の内部における電子ネットワークが効果的に形成されるため、リチウムイオン二次電池の出力特性が向上する。正極活物質層102の全量100質量%に対する導電助剤の含有量は、通常0~30質量%程度であり、好ましくは1~10質量%である。
バインダは、以下に制限されることはないが、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ酢酸ビニル、およびアクリル樹脂、例えば、リキッドシリコーンラバー(LSR)などの熱可塑性樹脂、ポリイミド、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、およびユリア樹脂などの熱硬化性樹脂、ならびにスチレン・ブタジエンゴム(SBR)などのゴム系材料が挙げられる。正極活物質層102の全量100質量%に対するバインダの含有量は、通常0~50質量%程度であり、好ましくは5~45質量%である。
次に、電極組立体14を構成する負極13について説明する。図2Bは、折り曲げられる前の負極13を示す平面図と、平面図におけるB-B′線に沿った負極13の断面図である。図2Bでは、図2Aと同様に、帯状の負極集電体103の長手方向を長手方向Lとし、負極集電体103上において長手方向Lに対して垂直方向を幅方向W、負極集電体103の厚さ方向を高さ方向Hとする。負極13は、帯状の負極集電体103と、負極集電体103の一方の面103aと他方の面103bのうち、一方の面103aに積層された負極活物質層104を有する。負極13の負極活物質層104は、負極集電体103の一方の面103aの全体に形成されているのではなく、図2Bに示されるように、長手方向Lに、所定の間隔L2をあけて負極活物質層104が形成されている。負極活物質層104は、幅方向Wにおける負極集電体103の両端に位置する一方の縁から他方の縁までの範囲に形成されている。すなわち、負極13は、負極集電体103に負極活物質層104が形成された活物質層形成部108nと、負極活物質層104が形成されていない集電体露出部109nを交互に有する。そして、複数の活物質層形成部108nの長手方向Lの長さはすべて同じ長さとし、集電体露出部109nの長手方向Lの長さは、所定の間隔L2となる。また、負極活物質層104の集電体露出部109nの長手方向Lの長さL2は、正極活物質層102の集電体露出部109pの長手方向Lの長さL1よりも短いものとする。すなわち、負極活物質層104の活物質層形成部108nの長手方向の長さは、正極活物質層102の活物質層形成部108pの長手方向の長さよりも長い。
負極集電体103は、負極活物質層104と外部との間を電気的に接続するための部材であって、前述の正極集電体101と同様の形態を採用し得る。電子伝導性、電池作動電位という観点から、材料には銅が好ましいが、これに限定されるものではない。負極集電体103は、負極活物質層104の膨張、および収縮によって破断しない強度を備えていることが望ましい。負極活物質層104の膨張、および収縮によって負極集電体103の破断が生じると、破断とともに負極活物質層104の位置ずれが生じ得る。このような位置ずれに伴う電池性能の低下が招かれることを防止するためである。また、負極集電体103には、Liと合金化することのない材質のものを選択することが望ましい。負極集電体103がLiと合金化すると、負極集電体103自体の膨張、および収縮等の物理的変化が生じ得る。このような場合に、負極集電体103の破断や、負極活物質層104の膨張、収縮に伴う位置ずれが相乗的に発生することを防止するためである。また、本実施形態では、電極組立体14は、折り曲げ構造が連続する「つづら構造」となるため、負極集電体103は容易に折り曲げることが出来、折り曲げた後破断など生じない厚さであることが望ましい。通常5~50μm程度であり、好ましくは20μm以下である。
また、この負極13の負極活物質層104は、負極活物質を含み、必要に応じて電気伝導性を高めるための導電助剤、バインダ、電解質(ポリマーマトリックス、イオン伝導性ポリマー、電解液など)、イオン伝導性を高めるための電解質支持塩(リチウム塩)などをさらに含み得る。負極活物質層104の構成要素のうち、負極活物質以外の導電助剤、バインダ等は、前述した正極活物質層102の構成要素と同様の形態が採用され得るため、ここでは説明を省略する。正極活物質層102の構成要素と負極活物質層104の構成要素は同じである必要はなく、異なる形態としてもよい。負極活物質層104中に含まれる成分の配合比率は特に限定されず、リチウムイオン二次電池についての公知の知見を適宜参照することによって調整され得る。また、負極活物質層104の厚さについても特に制限はなく、リチウムイオン二次電池についての従来公知の知見が適宜参照され得る。
負極活物質は、リチウムを吸蔵、放出可能な材料からなるものであれば特に制限されないが、実施形態にあっては、リチウムと合金化する元素を含む形態としている。リチウムと合金化する元素を含む形態としては、リチウムと合金化し得る元素の単体、これらの元素を含む酸化物、および炭水化物等が挙げられる。リチウムと合金化し得る元素としては、以下に制限されることはないが、具体的には、Si、Ge、Sn、Pb、Al、In、Zn、H、Ca、Sr、Ba、Ru、Rh、Ir、Pd、Pt、Ag、Au、Cd、Hg、Ga、Tl、C、N、Sb、Bi、O、S、Se、Te、Cl等が挙げられる。これらの中でも、容量およびエネルギー密度に優れた電池を構成できる観点から、負極活物質は、C、SiまたはSnの元素を含むことがより好ましく、Siを含むことが特に好ましい。酸化物としては、一酸化ケイ素(SiO)、二酸化スズ(SnO2)、一酸化スズ(SnO)などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。その他、グラファイト、ソフトカーボン、ハードカーボン等の炭素材料、リチウム金属等の金属材料、リチウム-チタン複合酸化物(チタン酸リチウム:Li4Ti5O12)等のリチウム-遷移金属複合酸化物、およびその他の従来公知の負極活物質が使用可能である。場合によっては、これらの負極活物質が2種以上併用されてもよい。ただし、容量を向上させるためには、リチウムと合金化し得る元素を含む負極活物質を多く活物質中に含むことが好ましい。
電極集電体に活物質層を形成する工程では、まず、上記の、リチウムと合金化しうる元素を含む活物質を準備し、導電性材料およびバインダ等を、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)または水などの溶媒に添加し、必要に応じて攪拌等の処理を施すことにより、スラリーを調製する。スラリーは、必要に応じて分散剤等を、溶媒に添加し、必要に応じて攪拌等の処理を施すことにより、調製することとしてもよい。得られたスラリーにおける活物質の濃度は、固形分換算で50~96質量%程度である。また、バインダの濃度は、固形分換算で2~30質量%程度である。さらに、分散剤の濃度は、固形分換算で2~20質量%程度である。
次に、上記で調製したスラリーを、例えば、間欠塗工機等の塗工手段を用いて、所望の間隔で活物質層形成部108、集電体露出部109が形成されるように、電極集電体の表面に塗工する。塗工手段としては、間欠塗工機に制限されず、インクジェット法、エッチング法、スプレーコーティング法、およびディスペンサ法などの手法も採用されうる。また、必要に応じて塗膜を乾燥させる。乾燥手段についても特に制限はなく、従来公知の知見が適宜参照されうる。活物質層形成部108の形成方法としては、塗工以外にも、スパッタリング法により、活物質層形成部108を形成することとしてもよい。
上記の実施形態に係る電極(正極11及び負極13)を用いて形成される電極組立体14について説明する。図2Cは、折り曲げられる前の電極組立体14を示す平面図と、平面図におけるC-C′線に沿った電極組立体14の断面図である。図2Cでは、図2Aと同様に、帯状の電極組立体14の長手方向を長手方向Lとし、電極組立体の正極面141p上において長手方向Lに対して垂直方向を幅方向W、電極組立体14の厚さ方向を高さ方向Hとする。図2Cで示されるように、電極組立体14は、正極11と負極13が、その間にセパレータ12を介して、積層されて形成される。このとき、正極活物質層102が形成された一方の面101aと負極活物質層104が形成された一方の面103aを対向させて、正極の活物質層形成部108pと負極の活物質層形成部108nがお互いにセパレータ12の高さ方向Hに重なるように、かつ、正極の集電体露出部109pと負極の集電体露出部109nがお互いにセパレータ12の高さ方向Hに重なるように積層する。ただし、このとき、それぞれの集電体露出部を重ね合わせた際に、それぞれの集電体露出部の長手方向Lの長さが異なるため、正極活物質層102の集電体露出部109pの左右の端には負極活物質層104の集電体露出部109nと重ならない部分がある。
セパレータ12は、上述した正極11と負極13との短絡を防止するもので、正極活物質層102と負極活物質層104との間の空間的な隔壁(スペーサ)として機能する。また、これと併せて、充放電時における正極11、負極13間でのリチウムイオンの移動媒体である電解質を保持する機能をも有する。例えば、セパレータ12は、液体電解質やゲル電解質から構成される電解質層に用いられ、セパレータ12の具体的な形態としては、ポリエチレンやポリプロピレンといったポリオレフィンやポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン(PVdF-HFP)等の炭化水素、ガラス繊維などからなる微多孔膜が挙げられる。また、本実施形態に係るセパレータ12として、上記に限らず、高分子ゲル電解質および高分子固体電解質等のポリマー電解質、ならびに固体電解質を用いることとしてもよい。
液体電解質は、可塑剤である有機溶媒に支持塩であるリチウム塩が溶解した形態を有する。可塑剤として用いられる有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート(PC)などのカーボネート類が挙げられる。また、支持塩(リチウム塩)としては、LiN(SO2C2F5)2、LiN(SO2CF3)2、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiSO3CF3、LiFSIなどの電極の活物質層に添加され得る化合物を同様に用いることができる。一方、ポリマー電解質は、電解液を含むゲル電解質と、電解液を含まない高分子固体電解質に分類される。ゲル電解質は、リチウムイオン伝導性を有するマトリックスポリマーに、上記の液体電解質が注入されてなる構成を有する。リチウムイオン伝導性を有するマトリックスポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、およびこれらの共重合体などが挙げられる。マトリックスポリマーには、リチウム塩などの電解質塩がよく溶解し得る。また、高分子固体電解質は、上記のマトリックスポリマーに支持塩(リチウム塩)が溶解してなる構成を有し、可塑剤である有機溶媒を含まない。したがって、電解質層が高分子固体電解質から構成される場合には電池からの液漏れの心配がなく、電池の信頼性が向上し得る。また、高分子ゲル電解質や高分子固体電解質のマトリックスポリマーは、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度を発揮し得る。架橋構造を形成させるには、適当な重合開始剤を用いて、高分子電解質形成用の重合性ポリマー(例えば、PEOやPPO)に対して熱重合、紫外線重合、放射線重合、電子線重合などの重合処理を施せばよい。なお、上記電解質は、電極の活物質層中に含まれていてもよい。
次に、電極組立体14を折り曲げてつづら折り状に形成する。図3は、折り曲げられる前の電極組立体14を示す平面図と、平面図におけるC-C′線に沿った電極組立体14の断面図である。図3では、図2Cと同様に、帯状の電極組立体14の長手方向を長手方向Lとし、電極組立体の正極面141p上において長手方向Lに対して垂直方向を幅方向W、電極組立体14の厚さ方向を高さ方向Hとする。図3で示されるように、電極組立体14の正極11側の面を正極面141p、電極組立体14の負極13側の面を負極面141nとする。すなわち、電極組立体14の正極面141pは、正極集電体101の他方の面101bに相当し、電極組立体14の負極面141nは、負極集電体103の他方の面103bに相当する。また、電極組立体14のうち、負極活物質層104が形成された負極13の活物質層形成部108nの幅に相当する範囲を活物質層形成部108、負極活物質層104が形成されていない集電体露出部109nの幅に相当する範囲を集電体露出部109とする。すなわち、集電体露出部109の長手方向Lの長さはL2である。そして、集電体露出部109を折曲部110とする。電極組立体14は、折曲部110で折り曲げられる。折曲部110のうち、正極面141pに対して山折りとなるよう折り曲げられる折曲部110を正極折曲部110pとし、負極面141nに対して山折りとなるように折り曲げられる折曲部110を負極折曲部110nとする。本実施形態では、つづら折り状に交互に折り曲げることになるため、正極折曲部110pと負極折曲部110nが交互に並ぶことになる。
折曲部110には、それぞれ2本の折曲線が引かれている。折曲線は、電極組立体14の長手方向Lの一方の端部21から近い順に折曲線22aと22bとする。電極組立体14の正極面141pまたは負極面141n上における、ひとつの折曲部110の中に引かれた折曲線22aと折曲線22bに挟まれた領域を接触面142とし、折曲部110の中の、接触面142以外の部分の領域を非接触面143(非接触面143のうち、折曲線22aに接する側の領域を非接触面143a、折曲線22bに接する側の領域を非接触面143b)とする。接触面142は、電極組立体14と電極集電タブを接触させる際に、電極組立体14の正極面141pと負極面41bがそれぞれ正極集電タブ15と負極集電タブ16に接触する部分である。また、接触面142の長手方向Lの長さL3は、集電体露出部109の長手方向Lの長さL2未満の範囲の任意の長さであり、接触面142の面積は任意の面積をとることができる。すなわち、集電体露出部109は、接触面142と、接触面142の左右に非接触面143を常に有することとなる。
上記の通り、正極面141p及び負極面141nは、折曲部110において、接触面142と非接触面143(非接触面143aと非接触面143b)を有する。ただし、ひとつの折曲部110において正極面141pと負極面141nのどちらの面にも接触面142を有するのではなく、いずれか一方のみが接触面142を有する。どちらの面が接触面142を有するかについては、各折曲部110において、正極面141pと負極面141nのどちら側に電極組立体14が折り曲げられるかによって決まる。正極面141p側に折り曲げられる正極折曲部110pでは、正極面141p上の折曲線22aと折曲線22bに挟まれた領域が接触面142となり、負極面141n側に折り曲げられる負極折曲部110nでは、負極面141n上の折曲線22aと折曲線22bに挟まれた領域が接触面142となる。したがって、正極面141pと負極面141nが折曲部110で交互に接触面142を有することになる。例えば、図3で示されるように、電極組立体14の複数の折曲部110に対して、それぞれ電極組立体14の長手方向Lの一方の端部21から近い順に番号を振っていき、奇数番号の折曲部110を正極折曲部110p、偶数番号の折曲部110を負極折曲部110nとすると、奇数番号の折曲部110(正極折曲部110p)では、正極面141p上に接触面142を有し、偶数番号の折曲部110(負極折曲部110n)では、負極面141n上に接触面142を有する。
図4Aは、図3の電極組立体14をつづら折り状に折り曲げたものの平面図である。電極組立体14を折曲部110で折り曲げる際には、折曲線22aを起点に山折りに折り曲げるとともに、折曲線22bを起点に山折りに折り曲げて、折曲部110を2箇所の折曲線で山折りにする。このとき、本実施形態では、非接触面143はそれぞれ接触面142に対して傾斜になることとしているが、これに限らず、図4Bに示すように、非接触面143が接触面142に対して垂直となることとしてもよい。また、前述の通り、折曲部110のうち、正極折曲部110pでは、正極面141pに対して山折りにし、負極折曲部110nでは、負極面141nに対して山折りにする。以上により、複数の折曲部110が、交互に、正極面141p側または負極面141n側に折り曲げられて、つづら折状の電極組立体14が形成される。
次に、図5に示されるように、板状部材である正極集電タブ15と負極集電タブ16を用意する。そして、複数の正極折曲部110pにおいて、電極組立体14の正極面141p上の複数の接触面142を正極集電タブ15に可動状態で接触させ、複数の負極折曲部110nにおいて、負極面141n上の複数の接触面142を負極集電タブ16に可動状態で接触させる。可動状態とは、電極組立体14と電極集電タブが溶接等されておらず、電極組立体14が膨張収縮した時に、電極集電タブの接触面142を形成する側面に対して平行方向に接触面142が動くことができる状態である。これにより、電極集電タブと電極組立体14は固定された状態で接触していないため、電極組立体14が充放電により膨張収縮した時に、接触面142が電極集電タブの側面の平行方向に沿って動くことで、応力の発生が抑制され、タブ切れを防止することができるとともに、正極11と負極13との間の積層ずれが抑制され、内部短絡を防ぐことができる。また、接触面142で電極集電タブに電極組立体14が押しつけられているため、電極集電体と電極集電タブとの接触面積を増やし、電極集電タブにおける発熱を抑制することができる。
正極集電タブ15と負極集電タブ16を構成する材料は、特に制限されず、リチウムイオン二次電池用の電極集電タブとして従来用いられている公知の高導電性材料が用いられ得る。正極集電タブ15と負極集電タブ16の構成材料としては、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等の金属材料が好ましい。軽量、耐食性、高導電性の観点から、より好ましくは、アルミニウム、銅である。また、正極集電タブ15と負極集電タブ16は、荷重に応じて膨張収縮する材料であってもよい。
次に、図1に示されるように、電極組立体14と集電タブ(正極集電タブ15と負極集電タブ16)を接触した状態のままで外装部材17に収容する。図1で示されるように、集電タブの厚さ方向を方向Xとし、集電タブの電極組立体14が接触する側面に平行する方向を方向Yとし、電極組立体14の一方の縁から他方の縁に延びる方向を方向Zとする。外装部材17では、本体部材17aの底面と、蓋部材17bの、本体部材17aの開口部を塞ぐ主面と、が方向Zについて対向し、本体部材17aの底面の4つの辺から底面に略直交する方向(方向Z)に延びる面を本体部材17aを構成する側面とする。本体部材17aを構成する4つの側面のうち、側面171aと側面171bが方向Xについてお互いに対向する側面であり、側面171a側に正極集電タブ15が設置され、側面171b側に負極集電タブ16が設置される。また、側面171cと側面171dが方向Yについてお互いに対向する側面である。さらに、外装部材17の中で、電極組立体14は、方向Yに荷重を加えられる。例えば、側面171cと側面171dに板バネが設置され、方向Yに荷重が加えられる。また、側面171cと側面171dのうち、いずれか一方の側面に板バネが設置されることとしてもよい。
次に、外装部材17に電解質を充填して封止する。電解質は、充放電時における正極11、負極13間でのイオンの移動媒体としての機能を有する。電解質は、通常のリチウムイオン電池で用いられるものであれば特に制限はなく、液状電解質(電解液)、固体電解質、高分子ゲル電解質のいずれであってもよい。
上記のように、正極11と負極13をセパレータ12を介して積層してなる電極組立体14が、電極活物質が形成されていない複数の集電体露出部109を折曲部110としてつづら折り状に折り畳まれて、複数の折曲部110で、電極集電タブと可動状態で接触する。これにより、電極組立体14の膨張収縮によるタブ切れを防止することができる。
また、本実施形態では、折曲部110で、電極集電体の他方の面が、幅方向Wにおける電極集電体の一方の縁から他方の縁まで、電極集電タブと接触する。これにより、電極集電体と集電タブを任意の接触面積で接触させて、接触面積を増やすことができる。
また、本実施形態では、電極組立体14と、正極集電タブ15と、負極集電タブ16と、を収容する電池ケース内において、電極組立体14は、電極集電タブが設置された側面に対して平行方向に圧縮荷重を受けた状態で固定されて収納される。これにより、膨張収縮による電極組立体14の積層ずれを抑え、正極11と負極13との間の内部短絡を抑制する。
≪第2実施形態≫
本発明の第2実施形態に係る組電池について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して、絶縁体210を備える点が異なる。その他の構成は、第1実施形態と同じであり、同じ構成については第1実施形態の記載を適宜、援用する。
第2実施形態では、第1実施形態の電池10の構成に、絶縁体210と、をさらに備える。図6は、図5のつづら折り状に折り曲げられた電極組立体14に絶縁体210を積層させた状態を示す平面図である。図6で示されるように、絶縁体210は、電極組立体14のそれぞれの折曲部110(正極折曲部110pと負極折曲部110n)に積層される。
絶縁体210は、絶縁性を有した部材であり、例えば、樹脂で構成された板状部材が挙げられる。図7は、図2Aで示された正極11に絶縁体210を積層したものの平面図と、平面図におけるA-A′線に沿った正極11の断面図である。図7で示されるように、絶縁体210の長手方向Lの長さは折曲線22aと折曲線22bの間の長さL3と同じか、またはそれ以下であってもよい。絶縁体210の幅方向Wの長さは、正極集電体101の幅方向Wの長さと同じか、またはそれ以下であってもよい。また、図示しないが、負極13についても、正極11と同様に、図2Bで示された負極13に絶縁体210が積層される。
折曲部110における絶縁体210の積層位置は、例えば、図7で示されるように、正極集電体101の一方の面101aの複数の集電体露出部109pにおいて、折曲線22aと折曲線22bに挟まれた範囲内に積層される。このとき、正極集電体101の一方の面101a上の複数の集電体露出部109pの全てに絶縁体210が積層されるのではなく、絶縁体210が積層される集電体露出部109pと絶縁体210が積層されない集電体露出部109pを交互に繰り返すように、絶縁体210が積層される。また、正極11と同様に、負極13についても、負極集電体103の一方の面103aの複数の集電体露出部109nにおいて、絶縁体210が積層される集電体露出部109nと絶縁体210が積層されない集電体露出部109nが交互に繰り返されるように、絶縁体210が積層される。
次に、正極11と負極13が、セパレータ12を介して積層される。このとき、第1実施形態と同様に、正極活物質層102及び絶縁体210が積層された一方の面101aと負極活物質層104及び絶縁体210が積層された一方の面103aとを対向させて、正極11の活物質層形成部108pと負極13の活物質層形成部108nがお互いにセパレータ12の高さ方向Hに重なるように、かつ、正極11の集電体露出部109pと負極13の集電体露出部109nがお互いにセパレータ12の高さ方向Hに重なるように積層する。ただし、このとき、集電体露出部109においては、正極集電体101に積層した絶縁体210と負極集電体103に積層した絶縁体210がひとつの折曲部110において重ならないように、正極折曲部110pには、正極集電体101に積層された絶縁体210が設置され、負極折曲部110nには、負極集電体103に積層された絶縁体210が設置されるように、正極11と負極13が重ねられる。
次に、第1実施形態と同様に、電極組立体14が、正極面141p側と負極面141n側に交互に折り曲げてつづら折り状に形成される。これにより、図6で示すように、電極組立体14をつづら折り状に形成したときに、正極折曲部110pにおいて、絶縁体210が、正極集電タブ15に接触する正極11とセパレータ12との間に位置し、負極折曲部110nにおいて、絶縁体210が、負極集電タブ16に接触する負極13とセパレータ12との間に位置することになる。
また、絶縁体210を積層する位置は、上記に限らず、図8で示されるように、負極折曲部110nにおいては、正極集電体101の他方の面101bに絶縁体210を積層することとしてもよい。図8は、図2Aで示された正極11に絶縁体210が積層されたものの平面図と、平面図におけるA-A′線に沿った正極11の断面図である。図8で示されるように、正極集電体101の他方の面101bの複数の集電体露出部109pにおいて、折曲線22aと22bに挟まれた領域の範囲内に絶縁体210が積層される。このとき、正極集電体101の他方の面101bの複数の集電体露出部109pの全てに絶縁体210が積層されるのではなく、絶縁体210が積層される集電体露出部109pと絶縁体210が積層されない集電体露出部109pを交互に繰り返すように絶縁体210が積層される。また、負極集電体103の他方の面103bの複数の集電体露出部109nにおいても、同様に、絶縁体210が積層される集電体露出部109nと絶縁体210が積層されない集電体露出部109nが交互に繰り返されるように、絶縁体210が積層される。絶縁体210の長手方向Lの長さは折曲線22aと折曲線22bの間の長さL3と同じか、またはそれ以下であってもよい。絶縁体210の幅方向Wの長さは、正極集電体101の幅方向Wの長さと同じか、またはそれ以下であってもよい。
次に、正極11と負極13が、セパレータ12を介して積層される。このとき、第1実施形態と同様に、正極活物質層102が形成された一方の面101aと負極活物質層104が形成された一方の面103aを対向させて、正極11の活物質層形成部108pと負極13の活物質層形成部108nがお互いにセパレータ12の高さ方向Hに重なるように、かつ、正極11の集電体露出部109pと負極13の集電体露出部109nがお互いにセパレータ12の高さ方向Hに重なるように積層する。ただし、正極集電体101に積層した絶縁体210と負極集電体103に積層した絶縁体210がひとつの折曲部110において重ならないように、正極折曲部110pには、負極集電体103に積層された絶縁体210が設置され、負極折曲部110nには、正極集電体101に積層された絶縁体210が設置されるように、正極11と負極13が重ねられる。
次に、第1実施形態と同様に、電極組立体14を、正極面141p側と負極面141n側に交互に折り曲げてつづら折り状に形成する。図9は、つづら折り状に折り曲げられた電極組立体14に絶縁体210が積層された状態を示す平面図である。図9で示すように、電極組立体14をつづら折り状に形成したときに、正極折曲部110pにおいて、絶縁体210が、負極13の、セパレータ12と接触している面とは反対の面側、すわなち、電極組立体14の負極面141n上に位置し、負極折曲部110nにおいて、絶縁体210が、正極11の、セパレータ12と接触している面とは反対の面側、すなわち、電極組立体14の正極面141p上に位置することになる。
本実施形態では、図10で示されるように、前述の、セパレータ12と電極集電体との間に積層された絶縁体を第1絶縁体210a、電極集電体の、セパレータ12に接する面とは反対側の面に積層された絶縁体を第2絶縁体210bとして区別し、第1絶縁体210aと第2絶縁体210bが両方とも積層されているものとする。ただし、上記に限らず、第1絶縁体210aのみが積層されていることとしてもよいし、第2絶縁体210bのみが積層されていることとしてもよい。
以上のように、絶縁体210は、折曲部110において、接触面142に対して電極集電タブの厚さ方向に重なるように電極集電体の電極集電タブと接触していない面の側に積層される。これにより、電極集電タブと電極集電体との接触面142に対して任意の接触面積で押さえつけることができ、使用電流範囲における発熱量が設計可能となる。
また、絶縁体210は、折曲部110において、電極集電タブと接触する電極集電体とセパレータ12との間に積層される。これにより、絶縁体210がセパレータの機能も有し、正極と負極との間の内部短絡を抑制することができる。また、絶縁体210は、折曲部110において、電極集電タブと接触していない電極集電体の他方の面に積層される。これにより、折曲部110において、電極集電タブと接触していない電極集電体を電極集電タブの方向に押しつけることができ、正極集電体及び負極集電体との間の位置ずれを抑制することができる。
また、本実施形態では、絶縁体210は、樹脂で構成される。これにより、正極集電タブと電極集電体を任意の接触面積で押さえつけた際に、絶縁体210に接する電極集電体とセパレータ12が傷つくことを抑制することができる。
≪第3実施形態≫
次に、本発明の第3実施形態に係る組電池について説明する。本実施形態は、第2実施形態に対して、絶縁体210を集電タブに固定する締結材211を有する点が異なる。その他の構成は、第2実施形態と同じであり、同じ構成については第2実施形態の記載を適宜、援用する。
第3実施形態では、第2実施形態の電池10の構成に、絶縁体210を集電タブに固定する締結材211と、をさらに備える。締結材211は、正極折曲部110pにおいては、絶縁体210を正極集電タブ15に固定し、負極折曲部110nにおいては、絶縁体210を負極集電タブ16に固定する。例えば、締結材211は、絶縁性を有し、かつ弾性体であり、正極集電タブ15または負極集電タブ16と絶縁体210を束ね、お互いが近づくように任意の荷重を加えるものである。例としては、リングゴムや結束バンドが挙げられる。
図11は、絶縁体210が積層された折り曲げられる前の正極11を示す平面図と、平面図におけるA-A′線に沿った正極11の断面図である。図11で示されるように、第3実施形態では、幅方向Wにおける絶縁体210の長さW1は、幅方向Wにおける電極組立体14の一方の縁から他方の縁までの長さW2よりも長い。電極組立体14の幅方向Wの長さW2に対して突出した部分を絶縁体突出部212とする。また、負極13についても、同様に、絶縁体突出部212を有する絶縁体210が負極13に積層される。
そして、第1実施形態と同様に、正極11、負極13、セパレータ12を積層して折り曲げて、つづら折り状の電極組立体14を形成し、電極組立体14を正極集電タブ15と負極集電タブ16に接触させる。図12は、締結材211によって第1絶縁体210aと第2絶縁体210bが電極集電タブに締結された電極組立体14を示す平面図である。図12に示されるように、第1絶縁体210aと第2絶縁体210bが正極折曲部110pと負極折曲部110nそれぞれに配置され、正極集電タブ15と負極集電タブ16はそれぞれ複数の集電タブ突出部213を有する。図13は、図12の部分Dを示す拡大斜視図であり、正極折曲部110pが正極集電タブ15に接触面142で接触し、締結材211によって、集電タブ突出部213と絶縁体突出部212が締結されている状態を示している。本実施形態では、正極集電タブ15は、側面15aと主面15bを有する。側面15aは、正極集電体101と接触する接触面142が形成される面であり、当該側面15aの辺のうち、接触面142における正極集電体101の縁101cに沿った方向(方向Y)に平行する辺15cから、側面15aに略直交する方向(方向X)に延びる面を主面15bとする。そして、正極集電タブ15の主面15bには、面上に突出させた凸部である集電タブ突出部213を有する。集電タブ突出部213は、方向Yの長さが接触面142の方向Yの長さと同じか、それよりも小さくてもよい。また、図12で示されるように、正極集電タブ15は、主面15b上に、前述の集電タブ突出部213を複数有し、複数の集電タブ突出部213は、複数の接触面142が方向Yに一定の間隔をあけて並んで配置されているのと同じ一定の間隔をあけて配置されている。また、負極集電タブ16についても、正極集電タブ15と同様に、負極集電体103と接触する接触面142が形成される側面16aと、側面16aに略直交する主面16bを有し、主面16bには、複数の集電タブ突出部213を有する。
上記構成により、図13で示されるように、電極組立体14と集電タブを接触面142で接触させると、第1絶縁体210aと第2絶縁体210bの絶縁体突出部212と集電タブ突出部213が対向するように配置されることになる。そして、締結材211で、絶縁体突出部212と集電タブ突出部213を束ねて、お互いに近づくように荷重を加える。これにより、締結材211は、電極組立体14と集電タブを可動状態で接触させながら、絶縁体210の絶縁体突出部212と集電タブ突出部213を固定する。また、ひとつの折曲部110に、第1絶縁体210aと第2絶縁体210bの両方を設置する場合には、締結材211は、ひとつの締結材211でふたつの絶縁体突出部212をまとめて集電タブ突出部213に束ねてもよいし、ふたつの締結材211を用意し、ふたつの絶縁体突出部212に対してそれぞれ別々に集電タブ突出部213と束ねるようにしてもよい。
また、絶縁体210の固定の仕方は、上記に限らず、例えば、電極集電タブの主面に設置した凹部に嵌合した固定体220によって絶縁体210を固定することとしてもよい。図14は、固定体220を嵌合するために正極集電タブ15の主面15bに設置されたレール部221の断面を示した断面斜視図である。レール部221は、主面15b上の方向Yに延びる凹部であり、方向Xに対する断面が略C型形状をしていて、外部と内部とを連通するスリット222が方向Yに延びている。また、負極集電タブ16も、正極集電タブ15と同様に、レール部221を有する。図15で示されるように、正極集電タブ15及び負極集電タブ16は、複数のレール部221を有し、それぞれのレール部221に固定体220が嵌合されている。複数のレール部221は、複数の接触面142と同様に、方向Yに一定の間隔をあけて配置されている。ひとつのレール部221の方向Yの長さは、接触面142の方向Yの幅の長さと同じか、それよりも小さくてもよい。
図16は、図15のE-E′線に沿った部分拡大断面図であり、固定体220の一部をレール部221に組み込み、絶縁体210(第1絶縁体210aと第2絶縁体210b)と連結している状態を示している。固定体220は、レール部221に嵌合されてレール部221に沿って移動可能な嵌合部223と、絶縁体210と連結する連結部224と、嵌合部223と連結部224をつなぐ支持部225と、を有する。嵌合部223は、スリット222を通るレールランナー226と、枢軸227と、ローラ228と、で構成される。レールランナー226の下部には左右に貫通している貫通穴が形成され、貫通穴に枢軸227が取り付けられている。枢軸227は、貫通穴の左右から突き出た状態で取り付けられていて、枢軸227の突き出た部分にそれぞれローラ228の取付け穴がはめ込まれている。嵌合部223は、枢軸227及びローラ228を有することにより、レール部221内部から簡単に抜け出ないようにされている。ローラ228がレール部221内部の底面に接しながら転がることで、嵌合部223はレール部221内を移動することができる。これにより、固定体220に連結する絶縁体210は電極組立体14と電極集電タブを可動状態で接触させることができ、充放電中に電極組立体14が膨張収縮する時には、任意の荷重を保ちながら接触面142が電極集電タブの側面の平行方向に沿って動くことで、応力の発生が抑制され、タブ切れを防止することができる。ただし、支持部225、レールランナー226と、枢軸227と、ローラ228は図16で示される形状に限定されない。
また、連結部224は、固定体220の嵌合部223を有する一方の端とは反対側の端にあり、軸部229と係止部230を有する。例えば、絶縁体210に差込穴を開けておき、連結部224の軸部229を差込穴に差し込み、係止部230で絶縁体210との連結を保持することができる。
以上のように、本実施形態では、絶縁体210は、折曲部110において、電極集電タブに固定される。これにより、絶縁体210によって電極集電タブと電極集電体を任意の荷重で押さえつけることができる。
また、本実施形態では、締結材211は、折曲部110において、絶縁体210と電極集電タブを束ね、お互いに近づく方向に荷重を加えて固定する。これにより、絶縁体210によって電極集電タブと電極集電体を任意の荷重で押さえつけることができる。
また、締結材211は、絶縁性を有し、かつ弾性体であることを特徴とする。これにより、電極組立体14に膨張収縮が生じた際に、応力が締結材211を変形させるものの、任意の荷重を保ちながら、電極集電タブと電極集電体を押さえつけることができる。
さらに、本実施形態では、正極集電タブ及び負極集電タブの主面にレール部221を有し、固定体220は、レール部221に嵌合され、レール部221に沿って移動可能な嵌合部223と、絶縁体210と連結する連結部224と、嵌合部223と連結部224をつなぐ支持部225と、を有する。これにより、電極組立体14が膨張収縮した際にも、嵌合部223がレール部221に沿って移動することにより、任意の荷重を保ちながら、電極集電タブと電極集電体を押さえつけることができる。
また、電極集電タブは、荷重に応じて膨張収縮することとしてもよい。これにより、電極組立体14が膨張した際に、応力が電極集電タブを変形させるものの、任意の荷重を保ちながら、電極集電タブと電極集電体を押さえつけることができる。
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。