[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図1~図6に基づいて説明する。なお、以下においては、説明の便宜上、図1~図3,図7,図8,図10,図11,図21~図31における上側を「上」とし、図1~図3,図7,図8,図10,図11,図21~図31における下側を「下」として説明する。
第1実施形態の緩衝器1は、車両に用いられるものである。具体的には、緩衝器1は、自動車のサスペンション装置に設けられる。緩衝器1は、図1に示すように、いわゆる複筒型の油圧緩衝器である。緩衝器1は、作動流体としての油液(図示略)が封入されるシリンダ2を備えている。シリンダ2は、円筒状の内筒3と、この内筒3よりも大径で内筒3を覆うように同心状に設けられた有底円筒状の外筒4と、を有している。内筒3と外筒4との間にリザーバ室6が形成されている。緩衝器1は、外筒4の上部開口側を覆うカバー7と、いずれも外筒4の外周側に固定されるメインブラケット8およびスプリングシート9と、を有している。
外筒4は、円筒状の胴部11と、胴部11の下部側に一体に成形されて胴部11の下部を閉塞するシリンダ底部12とから構成されている。
緩衝器1は、シリンダ2の内筒3内に摺動可能に嵌装されるピストン18を備えている。このピストン18は、内筒3内を第一側である上側の第1室19と第二側である下側の第2室20との2つの室に区画している。内筒3内の第1室19および第2室20内には、作動流体としての油液が封入される。内筒3と外筒4との間のリザーバ室6内には、作動流体としての油液とガスとが封入される。
緩衝器1は、一端側がシリンダ2の内筒3内に配置されてピストン18に連結されると共に他端側がシリンダ2の外部に延出されるピストンロッド21を備えている。ピストン18およびピストンロッド21は一体に移動する。ピストンロッド21がシリンダ2からの突出量を増やす伸び行程において、ピストン18は第1室19側へ移動する。ピストンロッド21がシリンダ2からの突出量を減らす縮み行程において、ピストン18は第2室20側へ移動する。
内筒3および外筒4の上端開口側には、ロッドガイド22が嵌合されている。外筒4には、ロッドガイド22よりもシリンダ2の外部側である上側にシール部材23が嵌合されている。ロッドガイド22とシール部材23との間には摩擦部材24が設けられている。ロッドガイド22、シール部材23および摩擦部材24は、いずれも環状をなしている。ピストンロッド21は、これらロッドガイド22、摩擦部材24およびシール部材23のそれぞれの内側に摺動可能に挿通されてシリンダ2の内部から外部に延出されている。
ロッドガイド22は、ピストンロッド21を、その径方向移動を規制しつつ軸方向移動可能に支持して、このピストンロッド21の移動を案内する。シール部材23の外周部は、外筒4に密着する。シール部材23の内周部は、軸方向に移動するピストンロッド21の外周部に摺接する。シール部材23は、内筒3内の油液と、外筒4内のリザーバ室6の高圧ガスおよび油液とが外部に漏洩するのを防止する。摩擦部材24は、その内周部でピストンロッド21の外周部に摺接して、ピストンロッド21に摩擦抵抗を発生させる。
ロッドガイド22は、その外周部が、下部よりも上部が大径となる段差状をなしている。ロッドガイド22は、小径の下部において内筒3の上端の内周部に嵌合する。ロッドガイド22は、大径の上部において外筒4の上部の内周部に嵌合する。外筒4のシリンダ底部12上には、第2室20とリザーバ室6とを画成するベースバルブ25が設置されている。このベースバルブ25に内筒3の下端の内周部が嵌合されている。外筒4の上端部は、径方向内方に加締められている。この加締め部分とロッドガイド22とがシール部材23を挟持している。
ピストンロッド21は、主軸部27と、これよりも小径の取付軸部28とを有している。取付軸部28はシリンダ2内に配置されてピストン18等が取り付けられている。主軸部27の取付軸部28側の端部は、軸直交方向に広がる軸段部29となっている。取付軸部28の外周部には、軸方向の主軸部27とは反対側にオネジ31が形成されている。
ピストンロッド21には、主軸部27のピストン18とロッドガイド22との間の部分に、いずれも円環状のストッパ部材32、一対の緩衝体33およびコイルスプリング34が設けられている。ストッパ部材32は、内周側にピストンロッド21が挿通され、加締められて主軸部27に固定されている。ストッパ部材32側から順に、第一側の緩衝体33、コイルスプリング34および第二側の緩衝体33が配置されている。これら一対の緩衝体33およびコイルスプリング34の内側に、ピストンロッド21が挿通されている。緩衝体33およびコイルスプリング34は、ストッパ部材32とロッドガイド22との間に配置されている。
緩衝器1は、例えばピストンロッド21のシリンダ2からの突出部分が上部に配置されて車体により支持され、シリンダ2側のメインブラケット8が下部に配置されて車輪側に連結される。これとは逆に、シリンダ2側が車体により支持され、ピストンロッド21が車輪側に連結されるようにしても良い。
図2に示すように、ピストン18は、金属製のピストン本体35と、円環状の合成樹脂製の摺動部材36とによって構成されている。ピストン本体35は、ピストンロッド21の取付軸部28に嵌合する。摺動部材36は、ピストン本体35の外周面に一体に装着されて内筒3内を摺動する。
ピストン本体35は、第1室19と第2室20とを連通させる複数(図2では断面とした関係上一カ所のみ図示)の通路穴37と、第1室19と第2室20とを連通させる複数(図2では断面とした関係上一カ所のみ図示)の通路穴39とを有している。複数の通路穴37は、円周方向において、それぞれ間に一カ所の通路穴39を挟んで等ピッチで形成されており、通路穴37,39のうちの半数を構成する。複数の通路穴37は、第1室19側が径方向外側に第2室20側が径方向内側に開口している。ピストン本体35は、円環状の環状凹部38を有している。環状凹部38は、複数の通路穴37の第2室20側の開口部同士を連通させる。
これら通路穴37および環状凹部38に、第1減衰力発生機構41が設けられている。第1減衰力発生機構41は、通路穴37および環状凹部38内の通路を開閉して減衰力を発生させる。第1減衰力発生機構41は、ピストン18の軸方向の一端側である第2室20側に配置されて、ピストンロッド21に取り付けられている。第1減衰力発生機構41が第2室20側に配置されることで、複数の通路穴37および環状凹部38の内側に形成された通路は、ピストン18の第1室19側への移動、つまり伸び行程において第一側の第1室19から第二側の第2室20に向けて作動流体としての油液が流れ出す通路となる。これら通路穴37および環状凹部38内の通路に対して設けられた第1減衰力発生機構41は、伸び側の通路穴37および環状凹部38内の通路の油液の流動を抑制して減衰力を発生させる伸び側の減衰力発生機構となっている。
通路穴37,39のうちの残りの半数を構成する通路穴39は、円周方向において、それぞれ間に一カ所の通路穴37を挟んで等ピッチで形成されている。複数の通路穴39は、第2室20側が径方向外側に第1室19側が径方向内側に開口している。ピストン本体35は、複数の通路穴39の第1室19側の開口部同士を連通させる円環状の環状凹部40を有している。
これら通路穴39および環状凹部40に、第1減衰力発生機構42が設けられている。第1減衰力発生機構42は、通路穴39および環状凹部40内の通路を開閉して減衰力を発生させる。第1減衰力発生機構42は、ピストン18の軸方向の他端側である第1室19側に配置されて、ピストンロッド21に取り付けられている。第1減衰力発生機構42が第1室19側に配置されることで、複数の通路穴39および環状凹部40の内側に形成された通路は、ピストン18の第2室20側への移動、つまり縮み行程において第2室20から第1室19に向けて油液が流れ出す通路となる。これらの通路穴39および環状凹部40内の通路に対して設けられた第1減衰力発生機構42は、縮み側の通路穴39および環状凹部40内の通路の油液の流動を抑制して減衰力を発生させる縮み側の減衰力発生機構となっている。
以上により、複数の通路穴37および環状凹部38内の通路と、複数の通路穴39および環状凹部40内の通路とが、ピストン18の移動により第1室19と第2室20との間を作動流体である油液が流れるように連通する。これにより、通路穴37および環状凹部38内の通路は、ピストンロッド21およびピストン18が伸び側に移動するときに油液が通過する。通路穴39および環状凹部40内の通路は、ピストンロッド21およびピストン18が縮み側に移動するときに油液が通過する。
ピストン本体35は、略円板形状をなしている。ピストン本体35の径方向の中央には、嵌合穴43が形成されている。嵌合穴43は、軸方向に貫通して、ピストンロッド21の取付軸部28を嵌合させる。ピストン本体35の軸方向の第2室20側の端部は、その嵌合穴43と環状凹部38との間の部分が円環状の内側シート部44となっている。ピストン本体35の軸方向の第1室19側の端部は、その嵌合穴43と環状凹部40との間の部分が円環状の内側シート部45となっている。
ピストン本体35の軸方向の第2室20側の端部には、環状凹部38よりも径方向外側に、第1減衰力発生機構41の一部である円環状のバルブシート部47が形成されている。内側シート部44とバルブシート部47との間が環状凹部38となっている。環状凹部38は円環状をなしている。また、ピストン本体35の軸方向の第1室19側の端部には、環状凹部40よりも径方向外側に、第1減衰力発生機構42の一部である円環状のバルブシート部49が形成されている。内側シート部45とバルブシート部49との間が環状凹部40となっている。環状凹部40は円環状をなしている。ピストン本体35には、その径方向の、バルブシート部47の嵌合穴43とは反対側に、縮み側の複数の通路穴39の第2室20側の開口が配置されている。ピストン本体35の径方向の、バルブシート部49の嵌合穴43とは反対側に、伸び側の複数の通路穴37の第1室19側の開口が配置されている。
ピストン18の第2室20側には、ディスクバルブ51が設けられている。ディスクバルブ51は、ピストン18のバルブシート部47とともに、伸び側の第1減衰力発生機構41を構成する。ディスクバルブ51は、複数枚の有孔円板状のディスクが重ねられて構成されている。ディスクバルブ51の内側には、取付軸部28が嵌合される。ディスクバルブ51は、バルブシート部47に当接することで複数の通路穴37および環状凹部38内の通路を閉塞する。ディスクバルブ51は、バルブシート部47から離間することで複数の通路穴37および環状凹部38内の通路を開放する。ディスクバルブ51には、固定オリフィス52が形成されている。固定オリフィス52は、バルブシート部47に当接した状態でも複数の通路穴37および環状凹部38内の通路を第2室20に連通させる。
ディスクバルブ51のピストン18とは反対側には、円環状の変形抑制部55が設けられている。変形抑制部55は、ディスクバルブ51の開方向の変形をディスクバルブ51に当接して抑制する。変形抑制部55の内側に、取付軸部28が嵌合されて設けられている。変形抑制部55も複数枚の有孔円板状のディスクが重ねられて構成されている。変形抑制部55の内側に、取付軸部28が嵌合される。
ピストン18の第1室19側には、ディスクバルブ61が設けられている。ディスクバルブ61は、ピストン18のバルブシート部49とともに、縮み側の第1減衰力発生機構42を構成する。ディスクバルブ61は、複数枚の有孔円板状のディスクが重ねられて構成されている。ディスクバルブ61の内側に、取付軸部28が嵌合される。ディスクバルブ61は、バルブシート部49に当接することで通路穴39および環状凹部40内の通路を閉塞する。ディスクバルブ61は、バルブシート部49から離間することで通路穴39および環状凹部40内の通路を開放する。ディスクバルブ61には、固定オリフィス62が形成されている。固定オリフィス62は、バルブシート部49に当接した状態でも複数の通路穴39および環状凹部40内の通路を第1室19に連通させる。
ディスクバルブ61のピストン18とは反対側には、円環状の変形抑制部65が設けられている。変形抑制部65は、ディスクバルブ61の開方向の変形をディスクバルブ61に当接して抑制する。
変形抑制部65も複数枚の有孔円板状のディスクが重ねられて構成されている。変形抑制部65の内側には、取付軸部28が嵌合される。変形抑制部65は、ピストンロッドの軸段部29とディスクバルブ61との間に設けられている。
変形抑制部55の軸方向におけるディスクバルブ51とは反対側には、ナット71が設けられている。ナット71は、取付軸部28のオネジ31に螺合されている。ナット71の軸方向における変形抑制部55とは反対側には周波数感応部72が設けられている。周波数感応部72も、取付軸部28のオネジ31に螺合されている。
ピストンロッド21の取付軸部28には、周波数感応部72に連通するロッド通路75が形成されている。ピストン18と伸び側のディスクバルブ51との間には、絞り流路形成部77が設けられている。絞り流路形成部77は、ピストン18の複数の通路穴37および環状凹部38内の通路をピストンロッド21のロッド通路75に連通させる絞り流路76を有する。
周波数感応部72は、ハウジング84(固定部材)と、フリーピストン86と、弾性体であるOリング88およびOリング89とで構成されている。ハウジング84は、取付軸部28のオネジ31に螺合されるメネジ81が形成された蓋部材82と、この蓋部材82にその一端開口側が閉塞されるように取り付けられる略円筒状のハウジング本体83とから構成される。フリーピストン86は、ハウジング84内に摺動可能に嵌挿される。Oリング88およびOリング89は、ハウジング84とフリーピストン86との間に介装される。ハウジング84は、取付軸部28のオネジ31に螺合されてピストンロッド21に固定される。
蓋部材82は、略円筒状の蓋内筒部91と、この蓋内筒部91の軸方向の端部から径方向外側に延出する円板状の蓋基板部92と、蓋基板部92の外周側から軸方向の蓋内筒部91と同側に延出する蓋外筒部93と、を有している。蓋内筒部91の内周部には、上記したメネジ81が形成されている。
ハウジング本体83は、円筒状の主体部101と、主体部101の軸方向一端から径方向内方に突出する内側環状突起102とを有している。ハウジング本体83は、延出部103と、係合部104とを有している。延出部103は、主体部101の軸方向の内側環状突起102とは反対側の端部から延出する。延出部103は、主体部101よりも薄肉である。係合部104は、延出部103の軸方向における主体部101とは反対側の端部から径方向内方に延出する。係合部104が形成される前のハウジング本体83の延出部103に、蓋部材82が蓋基板部92において嵌合されて、係合部104が加締めにより形成されることで、ハウジング本体83と蓋部材82とが一体化されてハウジング84となる。
フリーピストン86は、略円筒状のピストン筒部111と、ピストン閉板部112と、円環状の外側環状突起113とを有している。ピストン閉板部112は、ピストン筒部111の軸方向の一端を閉塞する。外側環状突起113は、ピストン筒部111の軸方向の中央から径方向外方に突出する。外側環状突起113の軸方向の中央位置には、通路穴115がフリーピストン86の周方向に間隔をあけて複数箇所形成されている。通路穴115は、ピストン筒部111および外側環状突起113を径方向に貫通する。フリーピストン86は、ハウジング84内に軸方向に摺動可能に嵌挿されている。
フリーピストン86の外側環状突起113と蓋部材82の蓋外筒部93との間にOリング88が設けられている。フリーピストン86の外側環状突起113とハウジング本体83の内側環状突起102との間にOリング89が設けられている。フリーピストン86がハウジング84に対して軸方向の蓋部材82側に移動すると、その外側環状突起113が蓋部材82の蓋外筒部93とでOリング88を挟んで弾性変形させる。フリーピストン86がハウジング84に対して軸方向の蓋部材82とは反対側に移動すると、その外側環状突起113がハウジング本体83の内側環状突起102とでOリング89を挟んで弾性変形させる。
周波数感応部72は、蓋部材82と、フリーピストン86の主に内側の部分との間が、可変室121となっている。可変室121は、ピストンロッド21のロッド通路75と、絞り流路形成部77の絞り流路76と、ピストン18の環状凹部38および複数の通路穴37内の通路とを介して第1室19に連通する。可変室121は、フリーピストン86の通路穴115内の通路と、通路穴115内の通路に連通するハウジング84とフリーピストン86の外周部とOリング88,89とで囲まれた室とを含んでいる。周波数感応部72は、Oリング89とハウジング本体83の内側環状突起102との間が可変室122となっている。可変室122は、第2室20に連通する。可変室121は、フリーピストン86が蓋基板部92から離れる方向に移動すると、容積が拡大する。可変室121は、フリーピストン86が蓋基板部92に近づく方向に移動すると、容積が縮小する。可変室121と可変室122とはOリング89で連通が遮断されている。
ディスクバルブ51は、ピストン18のバルブシート部47から離間して開くと、複数の通路穴37および環状凹部38内の通路からの油液を第2室20に流す。ピストン18の複数の通路穴37および環状凹部38内の通路と、ディスクバルブ51とバルブシート部47との間の通路とが、第1通路131を構成している。第1通路131は、ピストン18に設けられている。第1通路131は、ピストン18の第1室19側への移動、つまり伸び行程においてシリンダ2内の上流側となる第1室19から下流側となる第2室20に向けて作動流体としての油液が移動する伸び側の通路となる。バルブシート部47とディスクバルブ51とを含む伸び側の第1減衰力発生機構41は、第1通路131に設けられている。第1減衰力発生機構41は、ディスクバルブ51でこの第1通路131を開閉して油液の流動を抑制することにより減衰力を発生する。伸び側の第1減衰力発生機構41は、固定オリフィス52を含んでいる。
ディスクバルブ61は、ピストン18のバルブシート部49から離間して開くと、複数の通路穴39および環状凹部40内の通路からの油液を第1室19に流す。複数の通路穴39および環状凹部40内の通路と、ディスクバルブ61とバルブシート部49との間の通路とが、第1通路132を構成している。この第1通路132は、ピストン18に設けられている。この第1通路132は、ピストン18の第2室20側への移動、つまり縮み行程において、シリンダ2内の上流側となる第2室20から下流側となる第二側の第1室19に向けて作動流体としての油液が移動する縮み側の通路となる。バルブシート部49とディスクバルブ61とを含む縮み側の第1減衰力発生機構42は、第1通路132に設けられている。第1減衰力発生機構42は、ディスクバルブ61でこの第1通路132を開閉して油液の流動を抑制することにより減衰力を発生する。縮み側の第1減衰力発生機構42は、固定オリフィス62を含んでいる。
緩衝器1では、ピストン18の複数の通路穴37および環状凹部38内の通路と、絞り流路形成部77の絞り流路76と、ピストンロッド21のロッド通路75と、可変室121と、可変室122とが、第1通路131,132と並列する第2通路141を構成している。第2通路141を構成する通路穴37および環状凹部38内の通路は、第1通路131を構成する通路穴37および環状凹部38内の通路と共通である。絞り流路形成部77の絞り流路76と、ピストンロッド21のロッド通路75と、可変室121と、可変室122とは、並列に設けられている。第2通路141は、第1通路132に対しては全体が並列している。第2通路141は、絞り流路形成部77の絞り流路76と、ピストンロッド21のロッド通路75と、可変室121と、可変室122とが、第1通路131,132と並列する並列通路142となっている。
第2通路141は、ピストンロッド21のロッド通路75を含んでいる。第2通路141は、ピストンロッド21に設けられている。並列通路142と周波数感応部72とが、第2通路141に設けられている。並列通路142と周波数感応部72とは、第1減衰力発生機構41,42と共働して減衰力を発生する第2減衰力発生機構145を構成している。第2減衰力発生機構145は、絞り流路76と周波数感応部72とを含んでいる。ハウジング84は、ピストンロッド21に固定されて、第2通路141の一部である可変室121,122を形成している。
周波数感応部72の作用は、以下の通りである。
すなわち、ピストン周波数が低周波数での伸び行程では、その初期において第1室19から第2通路141を介して可変室121に入る油液のボリュームが大きく、フリーピストン86のハウジング84に対する移動量が大きい。このため、フリーピストン86が外側環状突起113とハウジング本体83の内側環状突起102との間でOリング89を弾性変形させて停止する。すると、その後は、可変室121に油液が導入されない状態となる。これにより、第1室19からの油液は、第1通路132から伸び側の第1減衰力発生機構41を介して第2室20に流れる。その際に、第1減衰力発生機構41が減衰力を発生する。
ピストン周波数が高周波での伸び行程においては、第1室19から第2通路141を介して可変室121に入る油液のボリュームが小さく、フリーピストン86のハウジング84に対する移動量が小さい。このため、可変室121で第1室19から流れ出す油液を吸収することができる。これにより、伸び側の第1減衰力発生機構41を介して第1室19から第2室20に流れる油液の液量が減る。よって、第1減衰力発生機構41は、ピストン周波数が低周波数のときよりもソフトな減衰力を発生する。
ピストン周波数が低周波数での縮み行程では、その初期において第2室20の圧力によってフリーピストン86がハウジング84に対して大きく移動し、外側環状突起113と蓋部材82の蓋外筒部93との間でOリング88を弾性変形させて停止する。すると、その後は、フリーピストン86がハウジング84に対して移動しない状態となる。これにより、第2室20からの油液は第1通路132から縮み側の第1減衰力発生機構42を介して第1室19に流れる。その際に、第1減衰力発生機構42が減衰力を発生する。
ピストン周波数が高周波での縮み行程においては、フリーピストン86のハウジング84に対する移動量が小さい。このため、フリーピストン86のハウジング84に対する移動で第2室20の圧力の高まりを吸収することができる。これにより、縮み側の第1減衰力発生機構42を介して第2室20から第1室19に流れる油液の液量が減る。よって、第1減衰力発生機構42は、ピストン周波数が低周波数のときよりもソフトな減衰力を発生する。
図1に示すように、外筒4のシリンダ底部12と内筒3との間には、上記したベースバルブ25が設けられている。このベースバルブ25は、下室20とリザーバ室6とを仕切るベースバルブ部材191と、このベースバルブ部材191の下側つまりリザーバ室6側に設けられるディスクバルブ192と、ベースバルブ部材191の上側つまり下室20側に設けられるディスクバルブ193と、ベースバルブ部材191にディスクバルブ192およびディスクバルブ193を取り付ける取付ピン194とを有している。
ベースバルブ部材191は、径方向の中央に取付ピン194が挿通される円環状をなしている。ベースバルブ部材191には、複数の通路穴195と、複数の通路穴196とが形成されている。通路穴195は、下室20とリザーバ室6との間で油液を流通させる。通路穴196は、ベースバルブ部材191の径方向におけるこれら通路穴195の外側にて、下室20とリザーバ室6との間で油液を流通させる。リザーバ室6側のディスクバルブ192は、下室20から通路穴195を介するリザーバ室6への油液の流れを許容する一方で、リザーバ室6から下室20への通路穴195を介する油液の流れを抑制する。ディスクバルブ193は、リザーバ室6から通路穴196を介する下室20への油液の流れを許容する一方で、下室20からリザーバ室6への通路穴196を介する油液の流れを抑制する。
ディスクバルブ192は、ベースバルブ部材191とによって、縮み側の減衰バルブ機構197を構成している。減衰バルブ機構197は、緩衝器1の縮み行程において開弁して下室20からリザーバ室6に油液を流すとともに減衰力を発生する。ディスクバルブ193は、ベースバルブ部材191とによって、サクションバルブ機構198を構成している。サクションバルブ機構198は、緩衝器1の伸び行程において開弁してリザーバ室6から下室20内に油液を流す。なお、サクションバルブ機構198は、主としてピストンロッド21のシリンダ2からの伸び出しにより生じる液の不足分を補うようにリザーバ室6から下室20に実質的に減衰力を発生させることなく液を流す機能を果たす。
図2に示すように、第1実施形態においては、ロッド通路75が、ピストンロッド21の取付軸部28に形成された軸方向穴151と径方向穴152とによって形成されている。軸方向穴151は、取付軸部28の軸方向に直線状に延びている。軸方向穴151は、取付軸部28の径方向の中央位置に形成されている。この軸方向穴151は、その軸直交方向での断面の形状が円形である。軸方向穴151は、取付軸部28の軸方向における主軸部27とは反対側の端面から主軸部27の手前の所定位置まで形成されている。ロッド通路75は、軸方向穴151において可変室121に開口している。
径方向穴152は、取付軸部28の径方向に直線状に延びている。径方向穴152は、取付軸部28の軸方向の中間位置であって取付軸部28の径方向の中央位置に形成されている。径方向穴152は、軸方向穴151と直交している。径方向穴152は、軸方向穴151に連通する。径方向穴152は、取付軸部28を径方向に貫通している。径方向穴152は、取付軸部28の軸方向において、オネジ31と軸段部29との間に形成されている。径方向穴152は、ピストン18とディスクバルブ51との両方に位置が重なっている。径方向穴152は、その軸直交方向での断面の形状が円形である。ロッド通路75は、径方向穴152においてピストンロッド21の取付軸部28の外径側に開口している。
よって、ピストンロッド21に設けられた第2通路141のロッド通路75には、第一側にあってピストン18側の外径面に開口する複数、具体的には2箇所の第1開口部156と、第二側にあってピストンロッド21の内部を貫通しハウジング84側に開口する第2開口部157とが形成されている。第1開口部156はピストンロッド21の周方向に等間隔で配置されている。
図3に示すように、絞り流路形成部77は、絞りディスク161(絞り部材,絞りバルブ)と、ディスク162とを有している。絞りディスク161は、ピストンロッド21の取付軸部28に嵌合されてピストン18の内側シート部44の先端面160に当接する。ディスク162は、ピストンロッド21の取付軸部28に嵌合されて絞りディスク161の軸方向(厚さ方向)における内側シート部44とは反対側に当接する。ディスク162は軸方向(厚さ方向)における絞りディスク161とは反対側がディスクバルブ51に当接している。内側シート部44の先端面160は、取付軸部28の軸線に直交して広がる平面である。先端面160は、内径が全周にわたって一定であり、外径も全周にわたって一定であって、全周にわたって径方向の幅が一定である。
絞りディスク161およびディスク162は、いずれも取付軸部28に嵌合する有孔円形平板状である。絞りディスク161には、切欠部171が形成されている。切欠部171は、取付軸部28に嵌合する内周端縁部170から径方向外方に径方向の中間所定位置まで延出する。絞りディスク161は外径が全周にわたって一定である。絞りディスク161にはその周方向に等間隔で同形状の切欠部171が複数形成されている。全ての切欠部171は、絞りディスク161の径方向において内側シート部44の先端面160よりも外側まで延びている。よって、内側シート部44の先端面160は、絞りディスク161の全ての切欠部171について、絞りディスク161の径方向におけるそれぞれの内側の一部を軸方向のディスク162とは反対側で覆って閉塞させる。絞りディスク161は、全ての切欠部171について、絞りディスク161の径方向におけるそれぞれの外側の一部をピストン18の環状凹部38および複数の通路穴37内の通路に連通させている。言い換えれば、絞りディスク161は、全ての切欠部171について、絞りディスク161の径方向におけるそれぞれの外側の一部を第1通路131に連通させている。
ディスク162は、内径が全周にわたって一定であり、外径も全周にわたって一定であって、全周にわたって径方向の幅が一定である。ディスク162は、その内径が絞りディスク161の最小内径と同等であり、その外径が絞りディスク161の外径と同等である。よって、ディスク162は、絞りディスク161の全ての切欠部171について、それぞれの全体を軸方向の内側シート部44とは反対側で覆って閉塞させる。
絞り流路76を内側シート部44とディスク162とで形成する絞りディスク161は、絞り流路76を含む第2減衰力発生機構145に設けられている。絞りディスク161は、複数の切欠部171を周方向にほぼ等間隔に有する。絞りディスク161は、切欠部171により第2通路141の並列通路142に絞り流路76を形成する絞りバルブである。絞りディスク161は、第2通路141における図2に示すハウジング84よりも一側であるピストン18側に設けられている。
図3に示すように、ピストンロッド21の取付軸部28の軸方向において、絞りディスク161は中央位置を径方向穴152の中央位置と合わせている。よって、ピストンロッド21の取付軸部28の軸方向において、絞り流路76は中央位置をロッド通路75の径方向穴152内の通路の中央位置と合わせている。絞り流路76は、図4にも示すように、ロッド通路75に連通する。
絞りディスク161は、図4~図6に示すように、ピストンロッド21の取付軸部28に対して、円周方向の取り付け位置に関わらず、絞り流路76の流路面積が一定になるよう形成されている。
図4~図6に示すように、絞りディスク161に形成された複数の、具体的には8つの切欠部171は、同形状である。これら切欠部171は、絞りディスク161の周方向に等間隔に設けられている。
複数の切欠部171は、それぞれが絞りディスク161の径方向における外周側が内周側よりも広い切り欠き形状となっている。切欠部171は、その一つ一つが、絞りディスク161の周方向に鏡面対称の形状となっている。切欠部171は、二等辺三角形の頂点側を切り欠いた形状をほぼなしている。
切欠部171は、内周側に、最小断面積部175を有している。最小断面積部175は、絞りディスク161の周方向における幅が最小となることで流路断面積が最小となる。最小断面積部175の絞りディスク161の軸方向(厚さ方向)における一端部は、図3に示す内側シート部44の先端面160の径方向内端位置にあって先端面160に覆われている。最小断面積部175の絞りディスク161の軸方向(厚さ方向)における他端部は、ディスク162の径方向中間位置にあってディスク162に覆われている。よって、最小断面積部175は、絞り流路76の流路断面積を最小とする部位になる。
ここで、第1実施形態の絞りディスク161等の絞りバルブを、ピストンロッドに対して円周方向の取り付け位置に関わらず絞り流路の流路面積が一定になるよう形成する場合の各部の設定について説明する。
以下の説明における緩衝器は、作動流体が封入されるシリンダと、前記シリンダ内に移動可能に設けられ、該シリンダ内を第1室と第2室とに区画するピストンと、前記ピストンに連結されると共に前記シリンダの外部に延出されるピストンロッドと、前記ピストンに設けられ、前記ピストンの移動により前記シリンダ内の上流側となる室から下流側となる室に作動流体が移動する第1通路と、前記第1通路に設けられ、減衰力を発生する第1減衰力発生機構と、前記ピストンロッドに設けられる第2通路と、前記ピストンロッドに固定されて前記第2通路を形成する固定部材と、前記第2通路に設けられて減衰力を発生する第2減衰力発生機構と、を有する。
この緩衝器において、前記第2減衰力発生機構は、絞りバルブを備えている。絞りバルブは、前記固定部材を含んで形成される前記第2通路の一側に設けられる。絞りバルブは、複数の切欠部を周方向等間隔に有する。絞りバルブは、該切欠部により前記第2通路に絞り流路を形成する。
このような緩衝器において、
nを前記絞りバルブに形成された前記切欠部の数とし、
pを1よりも大きい自然数とし、
xを0よりも大きい自然数としたとき、
前記絞りバルブの前記切欠部の数は、n=pxとなる。
そして、前記ピストンロッドに設けられた前記第2通路は、第一側にあって前記ピストン側の外径面に開口する1つまたは複数の第1開口部と、第二側にあって前記ピストンロッドの内部を貫通し前記固定部材側に開口する第2開口部とが形成されている。前記第1開口部は、複数の場合はピストンロッドの周方向に等間隔とする。
この場合に、
Dを前記第1開口部の直径とし、
rを前記絞りバルブが配置される位置における前記ピストンロッドの半径としたとき、
D=2r・sin(360/2p)となる。
そして、
aeを前記絞りバルブのすべての切欠部による流路の最小の断面積とし、
a1を前記絞りバルブの1箇所の切欠部による流路の最小の断面積とし、
Bを前記第1開口部の数としたとき、
前記絞りバルブと前記第1開口部とによって形成された流路の最小有効流路面積が、
ae=a1・B(n/p)となるように設定する。
このようにして形状が設定された絞りバルブは、ピストンロッドに対して円周方向の取り付け位置に関わらず絞り流路の流路面積が一定になる。
上記した設定を、第1実施形態の構成に適用する。
緩衝器1は、作動流体が封入されるシリンダ2と、シリンダ2内に移動可能に設けられ、シリンダ2内を第1室19と第2室20とに区画するピストン18と、ピストン18に連結されると共にシリンダ2の外部に延出されるピストンロッド21と、ピストン18に設けられ、ピストン18の移動によりシリンダ2内の上流側となる室から下流側となる室に作動流体が移動する第1通路131,132と、第1通路131,132に設けられ、減衰力を発生する第1減衰力発生機構41,42と、ピストンロッド21に設けられる第2通路141と、ピストンロッド21に固定されて第2通路141を形成するハウジング84と、第2通路141に設けられて減衰力を発生する第2減衰力発生機構145と、を有している。
この緩衝器1において、第2減衰力発生機構145は、絞りディスク161を備えている。絞りディスク161は、ハウジング84を含んで形成される第2通路141の一側に設けられる。絞りディスク161は、複数の切欠部171を周方向等間隔に有する。絞りディスク161は、切欠部171により第2通路141に絞り流路76を形成する。
このような緩衝器1において、
nを絞りディスク161に形成された切欠部171の数である8とし、
pを1よりも大きい自然数とし、
xを0よりも大きい自然数としたとき、
絞りディスク161の切欠部171の数は、n=pxで表すことができる。
そして、ピストンロッド21に設けられた第2通路141には、第一側にあってピストン18側の外径面に開口する2つの第1開口部156と、第二側にあってピストンロッド21の内部を貫通しハウジング84側に開口する第2開口部157とが形成されている。
この場合に、
Dを第1開口部156の直径とし、
rを絞りディスク161が配置される位置におけるピストンロッド21の取付軸部28の半径としたとき、
D=2r・sin(360/2p)となる。
そして、
aeを絞りディスク161のすべての切欠部171による流路の最小の断面積とし、
a1を絞りディスク161の1箇所の切欠部171による流路の最小の断面積、すなわち最小断面積部175の断面積とし、
Bを第1開口部156の数である2としたとき、
絞りディスク161と第1開口部156とによって形成された流路の最小有効流路面積が、
ae=a1・B(n/p)となるように設定する。
ここで、第1実施形態の緩衝器1においては、絞りディスク161は、図4に示すように、第1所定位置で切欠部171の少なくとも一部が取付軸部28によって閉塞されると共に、切欠部171の少なくとも一部が開放される。また、図5,図6に示すように、この第1所定位置と別の回転位置にある第2所定位置では、第1所定位置で取付軸部28によって閉塞されていた切欠部171の少なくとも一部が開放されると共に、この第1所定位置で開放されていた切欠部171の少なくとも一部が閉塞される。
上記した特許文献1の緩衝器は、ディスクの内周側に切欠部を形成して流路を形成している。このような構成の緩衝器は、ディスクに設けられた流路とピストンロッドに設けられた通路との連通量が、ピストンロッドに対するディスクの回転方向(円周方向)の位置により異なってしまう場合がある。すると、製品によって減衰力性能にバラツキを生じてしまう可能性がある。一方で、緩衝器において、減衰力性能の安定化を図ることが求められている。
これに対し、第1実施形態の緩衝器1は、絞りディスク161を、ピストンロッド21に対して円周方向の取り付け位置に関わらず絞り流路76の流路面積が一定になるように上記設定の方法に基づいて形状を設定し形成している。このため、ピストンロッド21に対する絞りディスク161の回転方向(円周方向)の位置によらず、絞りディスク161に設けられた絞り流路76とピストンロッド21に設けられたロッド通路75との連通量を一定させることができる。よって、製品による減衰力性能のバラツキを抑制することができる。したがって、減衰力性能の安定化を図ることができる。
また、絞りディスク161は、第1所定位置で切欠部171の少なくとも一部が閉塞されると共に切欠部171の少なくとも一部が開放され、第1所定位置と別の回転位置にある第2所定位置では、第1所定位置で閉塞されていた切欠部171の少なくとも一部が開放されると共に第1所定位置で開放されていた切欠部171の少なくとも一部が閉塞される。このため、絞りディスク161に設けられた絞り流路76とピストンロッド21に設けられたロッド通路75との連通量が、ピストンロッド21に対する絞りディスク161の回転方向(円周方向)の位置により異なってしまう可能性がある構造となっている。このような構造において、絞りディスク161を、ピストンロッド21に対して円周方向の取り付け位置に関わらず絞り流路76の流路面積が一定になるように上記設定の方法に基づいて形状を設定し形成している。このため、減衰力性能の安定化を図ることができる。
また、ピストンロッド21に設けられた第2通路141には、第一側にあってピストン18側の外径面に開口する複数の第1開口部156と、第二側にあってピストンロッド21の内部を貫通しハウジング84側に開口する第2開口部157とが形成されている。このため、上記設定の方法によって、ピストンロッド21に対して円周方向の取り付け位置に関わらず絞り流路76の流路面積が一定になるように形状を設定することができる。よって、減衰力性能の安定化を図ることができる。
また、切欠部171は、外周側が内周側よりも広い切り欠き形状となっているため、主要な圧力損失箇所を絞りディスク161とピストンロッド21との接触部付近とし、管路長による影響を低減することができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態を主に図7~図9に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
図7に示すように、第2実施形態の緩衝器1Aでは、ピストンロッド21Aがピストンロッド21と一部異なっている。具体的には取付軸部28Aが取付軸部28と一部異なっている。取付軸部28Aは、取付軸部28に対し、ロッド通路75とは一部異なるロッド通路75Aが設けられた点が相違している。
ロッド通路75Aは、取付軸部28Aに形成された軸方向穴151と径方向穴152Aと溝部211とによって形成されている。軸方向穴151は、第1実施形態と同様である。
径方向穴152Aは、取付軸部28Aの径方向に直線状に延びている。径方向穴152Aは、取付軸部28Aの軸方向の中間位置であって取付軸部28Aの径方向の中央位置に形成されている。径方向穴152Aは、取付軸部28Aを径方向に貫通せず、軸方向穴151から径方向一側にのみ延出している。径方向穴152Aは、軸方向穴151と直交しており、軸方向穴151に連通する。径方向穴152Aは、取付軸部28Aの軸方向において、オネジ31と軸段部29との間に形成されている。径方向穴152Aは、ピストン18とディスクバルブ51との両方に位置が重なっている。径方向穴152Aは、その軸直交方向での断面の形状が円形である。
溝部211は、取付軸部28Aの外周部を、取付軸部28Aの中心軸線と平行な平面状の底面212を形成するように切り欠いた形状である。溝部211は、取付軸部28Aの周方向における位置を径方向穴152Aと合わせている。溝部211は、取付軸部28Aの軸方向における位置を径方向穴152Aと合わせている。言い換えれば、取付軸部28Aの周方向における底面212の中央位置であって取付軸部28Aの軸方向における底面212の中央位置に径方向穴152Aが形成されている。ロッド通路75Aは、溝部211においてピストンロッド21Aの取付軸部28Aの外径側に開口している。よって、ピストンロッド21Aに設けられたロッド通路75Aには、ピストン18A側の外径面に開口する1箇所の第1開口部156Aが溝部211によって形成されている。
第2実施形態の緩衝器1Aにおいては、図8に示すように、絞り流路形成部77Aが絞り流路形成部77とは一部異なっており、絞り流路76Aが絞り流路76とは一部異なっている。絞り流路76Aを形成する絞り流路形成部77Aは、ピストンロッド21Aの取付軸部28Aに嵌合されてピストン18の内側シート部44の先端面160に当接する絞りディスク161A(絞り部材,絞りバルブ)と、第1実施形態と同様のディスク162とを有している。
絞りディスク161Aも有孔円形平板状である。絞りディスク161Aには、取付軸部28Aに嵌合する内周端縁部170Aから径方向外方に径方向の中間所定位置まで延出する切欠部171Aが形成されている。絞りディスク161Aは外径が全周にわたって一定であり、ディスク162の外径と同等である。絞りディスク161Aにはその周方向に等間隔で同形状の切欠部171Aが複数形成されている。全ての切欠部171Aは、絞りディスク161Aの径方向において内側シート部44の先端面160よりも外側まで延びている。よって、内側シート部44の先端面160は、絞りディスク161Aの全ての切欠部171Aについて、絞りディスク161Aの径方向におけるそれぞれの内側の一部を軸方向のディスク162とは反対側で覆って閉塞させる。絞りディスク161Aは、全ての切欠部171Aについて、絞りディスク161Aの径方向におけるそれぞれの外側の一部をピストン18の環状凹部38内の通路に連通させている。言い換えれば、絞りディスク161Aは、全ての切欠部171Aについて、絞りディスク161Aの径方向におけるそれぞれの外側の一部を第1通路131に連通させている。絞りディスク161Aの最小内径は、ディスク162の内径と同等である。
ピストンロッド21Aの取付軸部28Aの軸方向において、絞りディスク161Aは溝部211と位置を重ね合わせている。よって、取付軸部28Aの軸方向において、絞り流路76Aがロッド通路75Aの溝部211内の通路と位置を重ね合わせている。絞り流路76Aは、図9にも示すように、ロッド通路75Aに連通する。
緩衝器1Aでは、図7に示すように、ピストン18の複数の通路穴37および環状凹部38内の通路と、絞り流路形成部77Aの絞り流路76Aと、ピストンロッド21Aのロッド通路75Aと、可変室121と、可変室122とが、第1通路131,132と並列する第2通路141Aを構成している。第2通路141Aは、絞り流路形成部77Aの絞り流路76Aと、ピストンロッド21Aのロッド通路75Aと、可変室121と、可変室122とが、並列通路142と同様、第1通路131,132と並列する並列通路142Aとなっている。
第2通路141Aは、ピストンロッド21Aのロッド通路75Aを含んでいる。第2通路141Aは、ピストンロッド21Aに設けられている。並列通路142Aと周波数感応部72とが、第2通路141Aに設けられている。並列通路142Aと周波数感応部72とは、第1減衰力発生機構41,42と共働して減衰力を発生する第2減衰力発生機構145Aを構成している。第2減衰力発生機構145Aは絞り流路76Aと周波数感応部72とを含んでいる。
絞りディスク161Aは、内側シート部44およびディスク162とで絞り流路76Aを形成している。絞りディスク161Aは、絞り流路76Aを含む第2減衰力発生機構145Aに設けられている。
絞りディスク161Aは、複数の切欠部171Aを周方向にほぼ等間隔に有する。絞りディスク161Aは、切欠部171Aにより第2通路141Aの並列通路142Aに絞り流路76Aを形成する絞りバルブである。絞りディスク161Aは、第2通路141Aにおけるハウジング84よりも一側であるピストン18側に設けられている。
絞りディスク161Aは、ピストンロッド21Aの取付軸部28Aに対して、円周方向の取り付け位置に関わらず、絞り流路76Aの流路面積が一定になるよう形成されている。
図9に示すように、例えば、絞りディスク161Aに形成された複数、具体的には4つの切欠部171Aは、同形状である。切欠部171Aは、絞りディスク161Aの周方向に等間隔に設けられている。複数の切欠部171Aは、それぞれが絞りディスク161Aにおける外周側が内周側よりも広い切り欠き形状となっている。切欠部171Aは、その一つ一つが、絞りディスク161Aの周方向に鏡面対称の形状となっている。切欠部171Aは、二等辺三角形の頂点側を切り欠いた形状をほぼなしている。
切欠部171Aは、内周側に、最小断面積部175Aを有している。最小断面積部175Aは、絞りディスク161Aの周方向における幅が最小となることで流路断面積が最小となる。最小断面積部175Aの絞りディスク161Aの軸方向(厚さ方向)における一端部は、図8に示す内側シート部44の先端面160の径方向内端位置にあって先端面160に覆われている。最小断面積部175Aの絞りディスク161Aの軸方向(厚さ方向)における他端部は、ディスク162の径方向中間位置にあってディスク162に覆われている。よって、最小断面積部175Aは、絞り流路76Aの流路断面積を最小とする部位となる。
第2実施形態の絞りディスク161A等の絞りバルブを、ピストンロッドに対して円周方向の取り付け位置に関わらず絞り流路の流路面積が一定になるよう形成する場合の各部の設定について説明する。
以下の説明において、緩衝器は、作動流体が封入されるシリンダと、前記シリンダ内に移動可能に設けられ、該シリンダ内を第1室と第2室とに区画するピストンと、前記ピストンに連結されると共に前記シリンダの外部に延出されるピストンロッドと、前記ピストンに設けられ、前記ピストンの移動により前記シリンダ内の上流側となる室から下流側となる室に作動流体が移動する第1通路と、前記第1通路に設けられ、減衰力を発生する第1減衰力発生機構と、前記ピストンロッドに設けられる第2通路と、前記ピストンロッドに固定されて前記第2通路を形成する固定部材と、前記第2通路に設けられて減衰力を発生する第2減衰力発生機構と、を有する。
この緩衝器において、前記第2減衰力発生機構は、絞りバルブを備えている。絞りバルブは、前記固定部材を含んで形成される前記第2通路の一側に設けられる。絞りバルブは、複数の切欠部を周方向等間隔に有する。絞りバルブは、該切欠部により前記第2通路に絞り流路を形成する。
このような緩衝器において、
nを前記絞りバルブに形成された前記切欠部の数とし、
pを1よりも大きい自然数とし、
xを0よりも大きい自然数としたとき、
前記絞りバルブの前記切欠部の数は、n=pxとなる。
前記ピストンロッドに設けられた前記第2通路は、前記ピストンロッドの外周部を切り欠いて形成された前記溝部を有している。前記溝部は、複数の場合はピストンロッドの周方向に等間隔とする。
この場合に、
dを前記溝部の深さとし、
rを前記絞りバルブが配置される位置における前記ピストンロッドの半径としたとき、
d=r-r・cos(360/2p)となる。
そして、
aeを前記絞りバルブのすべての切欠部による流路の最小の断面積とし、
a1を前記絞りバルブの1箇所の切欠部による流路の最小の断面積とし、
Aを前記ピストンロッドの前記溝部の溝の数としたとき、
前記絞りバルブと前記溝部とによって形成された流路の最小有効流路面積が、
ae=a1・A(n/p)となるように設定する。
このようにして形状が設定された絞りバルブは、ピストンロッドに対して円周方向の取り付け位置に関わらず絞り流路の流路面積が一定になる。
上記した設定を第2実施形態の構成に適用する。
緩衝器1Aは、ピストンロッド21Aに設けられる第2通路141Aと、第2通路141Aに設けられて、第1減衰力発生機構41,42と共働して減衰力を発生する第2減衰力発生機構145Aと、を有している。
この緩衝器1Aにおいて、第2減衰力発生機構145Aは、絞りディスク161Aを備えている。絞りディスク161Aは、ハウジング84を含んで設けられる第2通路141Aの一側に設けられる。絞りディスク161Aは、複数の切欠部171Aを周方向等間隔に有する。絞りディスク161Aは、切欠部171Aにより第2通路141Aに絞り流路76Aを形成する。
このような緩衝器1Aにおいて、
nを絞りディスク161Aに形成された切欠部171Aの数である4とし、
pを1よりも大きい自然数とし、
xを0よりも大きい自然数としたとき、
絞りディスク161Aの切欠部171Aの数は、n=pxで表すことができる。
そして、ピストンロッド21Aに設けられた第2通路141Aは、ピストンロッド21Aの外周部を切り欠いて形成された溝部211を有している。
この場合に、
dを溝部211の深さとし、
rを絞りディスク161Aが配置される位置におけるピストンロッド21Aの取付軸部28Aの半径としたとき、
d=r-r・cos(360/2p)となる。
そして、
aeを絞りディスク161Aのすべての切欠部171Aによる流路の最小の断面積とし、
a1を絞りディスク161Aの1箇所の切欠部171Aによる流路の最小の断面積、すなわち最小断面積部175Aとし、
Aをピストンロッド21Aの溝部211の溝の数である1としたとき、
絞りディスク161Aと溝部211とによって形成された流路の最小有効流路面積が、
ae=a1・A(n/p)となるように設定する。
このようにして形状が設定された絞りディスク161Aは、ピストンロッド21Aに対して円周方向の取り付け位置に関わらず絞り流路76Aの流路面積が一定になる。
ここで、第2実施形態の緩衝器1Aにおいても、絞りディスク161Aは、第1所定位置で切欠部171Aの少なくとも一部が取付軸部28Aによって閉塞されると共に切欠部171Aの少なくとも一部が開放される。また、この第1所定位置と別の回転位置にある第2所定位置では、第1所定位置で取付軸部28Aによって閉塞されていた切欠部171Aの少なくとも一部が開放されると共に、この第1所定位置で開放されていた切欠部171Aの少なくとも一部が閉塞される。
第2実施形態の緩衝器1Aは、絞りディスク161Aを、ピストンロッド21Aに対して円周方向の取り付け位置に関わらず絞り流路76Aの流路面積が一定になるように上記設定の方法に基づいて形状を設定し形成している。このため、ピストンロッド21Aに対する絞りディスク161Aの回転方向(円周方向)の位置によらず、絞りディスク161Aに設けられた絞り流路76Aとピストンロッド21Aに設けられたロッド通路75Aとの連通量を一定させることができる。よって、製品による減衰力性能のバラツキを抑制することができる。したがって、減衰力性能の安定化を図ることができる。
絞りディスク161Aは、第1所定位置で切欠部171Aの少なくとも一部が閉塞されると共に切欠部171Aの少なくとも一部が開放される。絞りディスク161Aは、第1所定位置と別の回転位置にある第2所定位置では、第1所定位置で閉塞されていた切欠部171Aの少なくとも一部が開放されると共に第1所定位置で開放されていた切欠部171Aの少なくとも一部が閉塞される。このため、絞りディスク161Aに設けられた絞り流路76Aとピストンロッド21Aに設けられたロッド通路75Aとの連通量が、ピストンロッド21Aに対する絞りディスク161Aの回転方向(円周方向)の位置により異なってしまう可能性がある構造となっている。このような構造において、絞りディスク161Aを、ピストンロッド21Aに対して円周方向の取り付け位置に関わらず絞り流路76Aの流路面積が一定になるように上記設定の方法に基づいて形状を設定し形成している。このため、減衰力性能の安定化を図ることができる。
また、ピストンロッド21Aに設けられた第2通路141Aは、ピストンロッド21Aの外周部を切り欠いて形成された溝部211に設けられている。このため、上記設定の方法によって、ピストンロッド21Aに対して円周方向の取り付け位置に関わらず絞り流路76Aの流路面積が一定になるように形状を設定することができる。よって、減衰力性能の安定化を図ることができる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態を主に図10~図20Bに基づいて第2実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第2実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
図10に示すように、第3実施形態の緩衝器1Bでは、ピストンロッド21Bがピストンロッド21Aと一部異なっている。具体的には取付軸部28Bが取付軸部28Aと一部異なっている。取付軸部28Bは、取付軸部28Aに対し、ロッド通路75Aとは一部異なるロッド通路75Bが設けられた点が相違している。
取付軸部28Bには、軸方向穴151および径方向穴152Aは形成されていない。ロッド通路75Bは、溝部211Bによって形成されている。溝部211Bは、取付軸部28Bの外周部を、取付軸部28Bの中心軸線と平行な平面状の底面212Bを形成するように切り欠いた形状である。溝部211Bは、取付軸部28Bの軸方向においてピストン18と重なり合う位置から取付軸部28Bの主軸部27とは反対側の端部まで形成されている。よって、オネジ31Bはオネジ31の一部を切り欠いた形状となっている。
ロッド通路75Bは、溝部211Bにおいてピストンロッド21Bの取付軸部28Bの外径側に開口している。ピストンロッド21Bに設けられたロッド通路75Bには、ピストン18側の外径面に開口する第1開口部156Bおよび軸方向のハウジング84側の端部に開口する第2開口部157Bが溝部211Bによって形成されている。
第3実施形態の緩衝器1Bにおいては、図11に示すように、第2実施形態と同様の絞りディスク161Aおよびディスク162からなる絞り流路形成部77Aを有している。よって、第3実施形態の緩衝器1Bは、第2実施形態と同様の絞り流路76Aを有している。
ピストンロッド21Bの取付軸部28Bの軸方向において、絞りディスク161Aは溝部211Bと位置を重ね合わせている。よって、取付軸部28Bの軸方向において、絞り流路76Aはロッド通路75Bの溝部211B内の通路と位置を重ね合わせている。絞り流路76Aは、図12にも示すように、ロッド通路75Bに連通する。
緩衝器1Bでは、図11に示すように、ピストン18の複数の通路穴37および環状凹部38内の通路と、絞り流路形成部77Aの絞り流路76Aと、ピストンロッド21Bのロッド通路75Bと、図10に示す可変室121と、可変室122とが、第1通路131,132と並列する第2通路141Bを構成している。第2通路141Bは、絞り流路形成部77Aの絞り流路76Aと、ピストンロッド21Bのロッド通路75Bと、可変室121と、可変室122とが、並列通路142Aと同様、第1通路131,132と並列する並列通路142Bとなっている。
第2通路141Bは、ピストンロッド21Bのロッド通路75Bを含んでいる。第2通路141Bは、ピストンロッド21Bに設けられている。並列通路142Bと周波数感応部72とが、第2通路141Bに設けられている。並列通路142Bと周波数感応部72とは、第1減衰力発生機構41,42と共働して減衰力を発生する第2減衰力発生機構145Bを構成している。第2減衰力発生機構145Bは絞り流路76Aと周波数感応部72とを含んでいる。
絞りディスク161Aは、内側シート部44およびディスク162とで絞り流路76Aを形成している。絞りディスク161Aは、絞り流路76Aを含む第2減衰力発生機構145Bに設けられている。絞りディスク161Aは、切欠部171Aにより第2通路141Bの並列通路142Bに絞り流路76Aを形成する絞りバルブである。絞りディスク161Aは、第2通路141Bにおけるハウジング84よりも一側であるピストン18側に設けられている。
絞りディスク161Aは、第2実施形態と同様にして、ピストンロッド21Bの取付軸部28Bに対して、円周方向の取り付け位置に関わらず、絞り流路76Aの流路面積が一定になるよう形成されている。図12に示すように、絞りディスク161Aは、第1所定位置で切欠部171Aの少なくとも一部が閉塞されると共に切欠部171Aの少なくとも一部が開放される。この第1所定位置と別の回転位置にある第2所定位置では、第1所定位置で閉塞されていた切欠部171Aの少なくとも一部が開放されると共に第1所定位置で開放されていた切欠部171Aの少なくとも一部が閉塞される。
図13A、図13Bに示すように、絞りディスク161Aが配置される位置におけるピストンロッド21Bの半径r=5に、ピストンロッド21Bの溝部221Bの溝の数A=1に、絞りディスク161Aに形成された切欠部171Aの数n=2に、溝部221Bの深さd=5に、それぞれ設定する。このとき、絞りディスク161Aのすべての切欠部171Aによる流路の最小の断面積ae=絞りディスク161Aの1箇所の切欠部171Aによる流路の最小の断面積a1となる。絞りディスク161Aのピストンロッド21Bに対する円周方向の取り付け位置が、図13Aに示す第1の所定位置であるときを例えば0°とする。第1の所定位置を基準に90°回転させた位置を図13Bに示す第2の所定位置とする。そうすると、絞りディスク161Aは、ピストンロッド21Bに対して円周方向の取り付け位置に関わらず絞り流路76Aの流路面積が一定になる。この場合、切欠部171Aにより形成された絞り流路76Aは、閉塞されている流路面積と開放されている流路面積とが同一である。
図14A、図14Bに示すように、r=5に、A=2に、n=3に、d=2.5に、それぞれ設定する。このとき、ae=2a1となる。絞りディスク161Aのピストンロッド21Bに対する円周方向の取り付け位置が、図14Aに示す第1の所定位置であるときを例えば0°とする。第1の所定位置を基準に30°回転させた位置を図14Bに示す第2の所定位置とする。そうすると、絞りディスク161Aは、ピストンロッド21Bに対して円周方向の取り付け位置に関わらず絞り流路76Aの流路面積が一定になる。この場合、切欠部171Aにより形成された絞り流路76Aは、閉塞されている流路面積と開放されている流路面積との比が1:2である。
図15A、図15Bに示すように、r=5に、A=2に、n=6に、d=0.67に、それぞれ設定する。このとき、ae=2a1となる。絞りディスク161Aのピストンロッド21Bに対する円周方向の取り付け位置が、図15Aに示す第1の所定位置であるときを例えば0°とする。第1の所定位置を基準に30°回転させた位置を図15Bに示す第2の所定位置とする。そうすると、絞りディスク161Aは、ピストンロッド21Bの取付軸部28Bに対して円周方向の取り付け位置に関わらず絞り流路76Aの流路面積が一定になる。この場合、切欠部171Aにより形成された絞り流路76Aは、閉塞されている流路面積と開放されている流路面積との比が2:1である。
図16A、図16Bに示すように、r=5に、A=1に、n=6に、d=0.67に、それぞれ設定する。このとき、ae=a1となる。絞りディスク161Aのピストンロッド21Bに対する円周方向の取り付け位置が、図16Aに示す第1の所定位置であるときを例えば0°とする。第1の所定位置を基準に30°回転させた位置を図16Bに示す第2の所定位置とする。そうすると、絞りディスク161Aは、ピストンロッド21Bの取付軸部28Bに対して円周方向の取り付け位置に関わらず絞り流路76Aの流路面積が一定になる。この場合、切欠部171Aにより形成された絞り流路76Aは、閉塞されている流路面積と開放されている流路面積との比が5:1である。
図17A、図17Bに示すように、r=5に、A=2に、n=4に、d=1.46に、それぞれ設定する。このとき、ae=2a1となる。絞りディスク161Aのピストンロッド21Bに対する円周方向の取り付け位置が、図17Aに示す第1の所定位置であるときを例えば0°とする。第1の所定位置を基準に45°回転させた位置を図17Bに示す第2の所定位置とする。そうすると、絞りディスク161Aは、ピストンロッド21Bの取付軸部28Bに対して円周方向の取り付け位置に関わらず絞り流路76Aの流路面積が一定になる。この場合、切欠部171Aにより形成された絞り流路76Aは、閉塞されている流路面積と開放されている流路面積とが同一である。
図18A、図18Bに示すように、r=5に、A=2に、n=5に、d=0.95に、それぞれ設定する。このとき、ae=2a1となる。絞りディスク161Aのピストンロッド21Bに対する円周方向の取り付け位置が、図18Aに示す第1の所定位置であるときを例えば0°とする。第1の所定位置を基準に16°回転させた位置を図18Bに示す第2の所定位置とする。そうすると、絞りディスク161Aは、ピストンロッド21Bの取付軸部28Bに対して円周方向の取り付け位置に関わらず絞り流路76Aの流路面積が一定になる。この場合、切欠部171Aにより形成された絞り流路76Aは、閉塞されている流路面積と開放されている流路面積との比が3:2である。
図19A、図19Bに示すように、r=5に、A=3に、n=6に、d=0.67に、それぞれ設定する。このとき、ae=3a1となる。絞りディスク161Aのピストンロッド21Bに対する円周方向の取り付け位置が、図19Aに示す第1の所定位置であるときを例えば0°とする。第1の所定位置を基準に30°回転させた位置を図19Bに示す第2の所定位置とする。そうすると、絞りディスク161Aは、ピストンロッド21Bの取付軸部28Bに対して円周方向の取り付け位置に関わらず絞り流路76Aの流路面積が一定になる。この場合、切欠部171Aにより形成された絞り流路76Aは、閉塞されている流路面積と開放されている流路面積とが同一である。
図20A、図20Bに示すように、r=5に、A=2に、n=6に、d=2.5に、それぞれ設定する。このとき、ae=4a1となる。絞りディスク161Aのピストンロッド21Bに対する円周方向の取り付け位置が、図20Aに示す第1の所定位置であるときを例えば0°とする。第1の所定位置を基準に30°回転させた位置を図20Bに示す第2の所定位置とする。そうすると、絞りディスク161Aは、ピストンロッド21Bの取付軸部28Bに対して円周方向の取り付け位置に関わらず絞り流路76Aの流路面積が一定になる。この場合、切欠部171Aにより形成された絞り流路76Aは、閉塞されている流路面積と開放されている流路面積との比が1:2である。
図13A~図20Bに示す例においても、絞りディスク161Aは、第1所定位置で切欠部171Aの少なくとも一部が閉塞されると共に切欠部171Aの少なくとも一部が開放される。第1所定位置と別の回転位置にある第2所定位置では、第1所定位置で閉塞されていた切欠部171Aの少なくとも一部が開放されると共に第1所定位置で開放されていた切欠部171Aの少なくとも一部が閉塞される。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態を主に図21および図22に基づいて第3実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第3実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
図21に示すように、第4実施形態の緩衝器1Cでは、ピストンロッド21Cがピストンロッド21Bと一部異なっている。具体的には取付軸部28Cが取付軸部28Bと一部異なっている。取付軸部28Cは、取付軸部28Bに対し、ロッド通路75Bとは一部異なるロッド通路75Cが設けられた点が相違している。
ロッド通路75Cは、複数、具体的には2箇所の同形状の溝部211Cによって形成されている。溝部211Cは、取付軸部28Cの外周部を、取付軸部28Cの中心軸線と平行な平面状の底面212Cを形成するように切り欠いた形状である。2箇所の溝部211Cは、互いに底面212Cを平行に配置している。溝部211Cは、取付軸部28Cの軸方向においてピストン18と重なり合う位置からこの位置よりも主軸部27とは反対側の中間所定位置まで形成されている。2箇所の溝部211Cは、取付軸部28Cの主軸部27とは反対側の端部の外周部に設けられたオネジ31Cよりも軸段部29側の範囲に、取付軸部28Cの軸方向における位置を合わせて形成されている。
ロッド通路75Cは、溝部211Cにおいてピストンロッド21Cの取付軸部28Cの外径側に開口している。ピストンロッド21Cに設けられたロッド通路75Cには、ピストン18側の外径面に開口する開口部156Cが溝部211Cによって形成されている。
第4実施形態の緩衝器1Cにおいては、取付軸部28Cに、軸段部29側から順に、第3実施形態と同様の変形抑制部65、ディスクバルブ61およびピストン18が設けられる。取付軸部28Cには、ピストン18の軸方向におけるディスクバルブ61とは反対側に、ピストン18側から順に、絞り流路形成部77C、ディスクバルブ51C、背圧付与部231、ハードバルブ232、周波数感応部72C、ディスク233、ワッシャ234、ナット71Cが設けられている。
絞り流路形成部77Cは、絞り流路76Cを有している。絞り流路76Cは、ピストン18の複数の通路穴37および環状凹部38内の通路をピストンロッド21Cのロッド通路75Cに連通させる。
ディスクバルブ51Cは、バルブシート部47とで伸び側の第1減衰力発生機構41Cを構成する。ディスクバルブ51Cは、複数枚のディスクが重ねられて構成されている。ディスクバルブ51Cの内側には、取付軸部28Cが嵌合される。ディスクバルブ51Cは、バルブシート部47に当接することで複数の通路穴37および環状凹部38内の通路を閉塞し、バルブシート部47から離間することで複数の通路穴37および環状凹部38内の通路を開放する。ディスクバルブ51Cには、固定オリフィス52Cが形成されている。固定オリフィス52Cは、バルブシート部47に当接した状態でも複数の通路穴37および環状凹部38内の通路を第2室20に連通させる。
背圧付与部231は、ディスクバルブ51Cに軸方向におけるピストン18とは反対側から当接してディスクバルブ51Cに背圧を付与する。背圧付与部231は、パイロットディスク241と、ディスク242と、ケース部材243(固定部材)とを有している。
パイロットディスク241は、金属製の有孔円板状のディスク251と、ディスク251の厚さ方向一側の外周側に固着されたゴム製の円環状のシール部材252とからなっている。ディスク251の内周側には、ピストンロッド21Cの取付軸部28Cが嵌合される。シール部材252は、ディスク251の軸方向のピストン18とは反対の外周側に固着されている。背圧付与部231は、パイロットディスク241のディスク251においてディスクバルブ51Cに当接している。
ディスク242の内周側には、ピストンロッド21Cの取付軸部28Cが嵌合される。ディスク242の外径は、パイロットディスク241のシール部材252の最小内径よりも小径である。ディスク242は、パイロットディスク241のディスク251に当接している。
ケース部材243は、有底筒状である。ケース部材243は、有孔円板状の底部262と、円筒状の内側円筒状部263と、円筒状の外側円筒状部264と、環状のバルブシート265と、を有している。内側円筒状部263は、底部262の内周縁部から、底部262の軸方向に沿って両側に突出する。外側円筒状部264は、底部262の外周縁部から、底部262の軸方向に沿って一側に突出する。バルブシート265は、底部262の外周側から、底部262の軸方向に沿って外側円筒状部264とは反対側に突出する。
底部262には、底部262の径方向における外側円筒状部264およびバルブシート265と、内側円筒状部263との間に、底部262の軸方向に沿って貫通する複数の貫通穴267が形成されている。
内側円筒状部263の内周側には、軸方向のバルブシート265側に小径穴部271が設けられており、軸方向のバルブシート265とは反対側に、大径穴部272が設けられている。小径穴部271には、ピストンロッド21の取付軸部28が嵌合する。大径穴部272は、小径穴部271よりも大径である。
ケース部材243の大径穴部272内の通路と、取付軸部28Cのロッド通路75Cとは常時連通している。内側円筒状部263の軸方向における大径穴部272側には、大径穴部272の位置で内側円筒状部263を径方向に貫通する通路溝273が形成されている。
パイロットディスク241のシール部材252は、ケース部材243の外側円筒状部264の内周面に全周にわたり摺動可能かつ液密的に嵌合している。シール部材252は、パイロットディスク241と外側円筒状部264との隙間を常時シールする。背圧付与部231は、パイロットディスク241とケース部材243とで囲んで背圧室275を形成している。背圧室275は、ピストン18の通路穴37および環状凹部38内の通路と、絞り流路形成部77Cの絞り流路76Cと、ロッド通路75Cと、ケース部材243の大径穴部272および通路溝273内の通路とを介して第1室19と連通している。背圧室275は、パイロットディスク241を介してディスクバルブ51Cに閉方向の背圧を付与する。
ハードバルブ232は、内周側にピストンロッド21Cの取付軸部28Cを嵌合させる複数枚のディスクから構成されている。ハードバルブ232は、ケース部材243のバルブシート265に全周にわたって当接する。ハードバルブ232は、バルブシート265に全周にわたって当接することで背圧室275を閉塞させる。ハードバルブ232は、背圧室275の圧力が所定値よりも高くなるとバルブシート265から離間して背圧室275を開放し、背圧室275を第2室20に連通させる。その際にハードバルブ232は減衰力を発生させる。
周波数感応部72Cは、軸方向のハードバルブ232側から順に、一つのハウジング本体281と、複数枚(具体的には2枚)のディスク282および一枚の区画ディスク283と、一枚のディスク284と、一枚のディスク285と、一つのストッパ部材286と、を有している。ディスク282,284,285は、いずれも内側にピストンロッド21Cの取付軸部28Cを嵌合可能な一定厚さの有孔円形平板状をなしている。ハウジング本体281およびストッパ部材286は、内側にピストンロッド21Cの取付軸部28Cを嵌合可能な円環状をなしている。
ハウジング本体281は、有孔円板状の底部301と、円筒状の外側筒部302と、円筒状の内側筒部303と、円環状の支持部304とを有している。外側筒部302は、底部301の外周側から底部301の軸方向に沿って一側に突出する。内側筒部303は、底部301の内周側から外側筒部302と同側に突出する。支持部304は、底部301の径方向の中間位置から外側筒部302および内側筒部303と同側に突出する。ハウジング本体281は、底部301の径方向内側がピストンロッド21Cの取付軸部28Cを嵌合させる小径穴部311となっており、内側筒部303の径方向内側が小径穴部311より大径の大径穴部312となっている。ピストンロッド21Cの溝部211Cは、取付軸部28Cの軸方向においてピストン18から大径穴部312の位置まで形成されている。
内側筒部303には、通路溝315が形成されている。通路溝315は、大径穴部312の位置において内側筒部303を径方向に貫通する。支持部304には、これを径方向に貫通する通路溝316が先端側に形成されている。ハウジング本体281の大径穴部312内の通路は、取付軸部28Cのロッド通路75Cに連通している。ハウジング本体281内には、複数枚のディスク282、区画ディスク283、ディスク284およびディスク285が、取付軸部28をそれぞれの内側に貫通させて設けられている。
複数枚のディスク282は、ハウジング本体281の内側筒部303の先端面の外径と略同径の外径となっている。ディスク284は、ディスク282の外径よりも大径の外径となっている。ディスク285は、ディスク284の外径よりも大径の外径となっている。
区画ディスク283は、金属製の有孔円形平板状のディスク321と、ディスク321の外周側の厚さ方向一側に固着されたゴム製の円環状のシール部322と、ディスク321の外周側の厚さ方向他側に固着されたゴム製の円環状の当接部323とを有している。
ディスク321の内径は、ディスク282の外径よりも大径である。ディスク321の内側には、ディスク282が径方向に隙間をもって配置可能である。ディスク321は、内径がディスク284の外径よりも小径である。ディスク321は、ディスク284に当接可能である。ディスク321は、ハウジング本体281の支持部304に当接可能である。
シール部322は、円筒状である。シール部322は、全周にわたってディスク321に固着されている。
シール部322は、ハウジング本体281の外側筒部302の内周面に全周にわたって摺動可能かつ液密的に嵌合している。シール部322は、外側筒部302と区画ディスク283との間を常時シールする。
当接部323は、ディスク321の周方向に断続的に形成されている。当接部323は、区画ディスク283のストッパ部材286側への変形時にストッパ部材286に当接して弾性変形する。当接部323が最大限近くまで変形すると、区画ディスク283はそれ以上の変形が抑制される。
区画ディスク283は、シール部322がハウジング本体281の外側筒部302に全周にわたって接触することでハウジング本体281に対し芯出しされる。その結果、区画ディスク283は、取付軸部28Cに対しても芯出しされる。区画ディスク283のディスク321がハウジング本体281の支持部304に当接して軸方向一側から支持され、ディスク321の内周側がディスク284に軸方向他側から支持される。
区画ディスク283は、その表側と裏側とに圧力差がない状態では、ディスク321が、厚さ方向一側の面で支持部304に、厚さ方向他側の面でディスク284に、それぞれ当接して支持されている。ディスク284は、区画ディスク283を着座させるシート部である。区画ディスク283は、その内周側が、両面側からクランプされずに片面側のみディスク284に支持される単純支持構造となっている。
ストッパ部材286は、円筒状の筒状部331と、円板状のフランジ部332とを有している。フランジ部332は、筒状部331の外周部の軸方向の中央位置から径方向外方に広がる。ストッパ部材286は、筒状部331の内側にピストンロッド21Cの取付軸部28Cが嵌合される。ハウジング本体281とストッパ部材286とがハウジング84C(固定部材)を構成している。フランジ部332の外周部には、ハウジング84C内を第2室20に常時連通させる通路溝333が形成されている。
区画ディスク283のシール部322は、区画ディスク283がハウジング本体281とストッパ部材286との間の許容される範囲で変位および変形しても、区画ディスク283と外周筒部302との隙間を常時シールする。区画ディスク283は、ハウジング本体281に嵌合されることで芯出しされ、この状態で、ディスク321が内周部をディスク284に全周に渡って接触させることにより、ディスク284との隙間をシールする。
区画ディスク283は、ハウジング84C内の底部301側に、容量可変な可変室121Cを形成する。区画ディスク283は、ハウジング84Cのストッパ部材286側に容量可変な可変室122Cを形成する。可変室122Cは、通路溝333内の通路を介して第2室20に連通している。区画ディスク283と、そのシート部としてのディスク284とは、可変室121Cから可変室122Cへの油液の流れを規制する一方、可変室122Cから可変室121Cへの油液の流れを許容するチェック弁335を構成している。
ディスクバルブ51Cは、ピストン18のバルブシート部47から離間して開くと、複数の通路穴37および環状凹部38内の通路からの油液を第2室20に流す。ピストン18の複数の通路穴37および環状凹部38内の通路と、ディスクバルブ51Cとバルブシート部47との間の通路とが、第1通路131Cを構成している。この第1通路131Cは、ピストン18に設けられている。この第1通路131Cは、ピストン18の第1室19側への移動、つまり伸び行程においてシリンダ2内の上流側となる第1室19から下流側となる第2室20に向けて作動流体としての油液が移動する伸び側の通路となる。バルブシート部47とディスクバルブ51Cとを含む伸び側の第1減衰力発生機構41Cは、この第1通路131Cに設けられている。ディスクバルブ51Cでこの第1通路131Cを開閉して油液の流動を抑制することにより減衰力を発生する。伸び側の第1減衰力発生機構41Cは、固定オリフィス52Cを含んでいる。
緩衝器1Cでは、ピストン18の複数の通路穴37および環状凹部38内の通路と、絞り流路形成部77Cの絞り流路76Cと、ピストンロッド21Cのロッド通路75Cと、ケース部材243の大径穴部272および通路溝273内の通路と、背圧室275と、開時に生じるハードバルブ232とケース部材243のバルブシート265との隙間と、ハウジング本体281の大径穴部312および通路溝315内の通路と、可変室121Cと、可変室122Cと、ストッパ部材286の通路溝333内の通路とが、第1通路131C,132と並列する第2通路141Cを構成している。第2通路141Cは、絞り流路形成部77Cの絞り流路76Cと、ピストンロッド21Cのロッド通路75Cと、ケース部材243の大径穴部272および通路溝273内の通路と、背圧室275と、ハードバルブ232とケース部材243のバルブシート265との隙間と、ハウジング本体281の大径穴部312および通路溝315内の通路と、可変室121Cと、可変室122Cと、ストッパ部材286の通路溝333内の通路とが、第1通路131C,132と並列する並列通路142Cとなっている。
第2通路141Cは、ピストンロッド21Cのロッド通路75Cを含んでいる。第2通路141Cは、ピストンロッド21Cに設けられている。並列通路142Cと、背圧付与部231と、ハードバルブ232と、周波数感応部72Cとが、第2通路141Cに設けられている。ハードバルブ232と、周波数感応部72Cとが、第1減衰力発生機構41C,42と共働して減衰力を発生する第2減衰力発生機構145Cを構成している。第2減衰力発生機構145Cは絞り流路76Cとハードバルブ232と背圧付与部231と周波数感応部72Cとを含んでいる。ハウジング84Cは、ピストンロッド21Cに固定されて、第2通路141Cの一部である可変室121C,122Cを形成している。ケース部材243は、ピストンロッド21Cに固定されて、第2通路141Cの一部である背圧室275を形成している。
ディスク233およびワッシャ234の内側には、ピストンロッド21Cの取付軸部28Cが嵌合される。ナット71Cは、取付軸部28Cのオネジ31Cに螺合されており、変形抑制部65、ディスクバルブ61、ピストン18、絞り流路形成部77C、ディスクバルブ51C、背圧付与部231、ハードバルブ232、周波数感応部72C、ディスク233およびワッシャ234を軸段部29との間に挟持する。
周波数感応部72Cは、以下のように作用する。
すなわち、ピストン周波数が低周波数での伸び行程では、その初期において第2通路141Cを介して第1室19から可変室121Cに入る油液のボリュームが大きく、区画ディスク283の変形量が大きい。このため、区画ディスク283が当接部323を弾性変形させて停止する。すると、その後は、可変室121Cに油液が導入されない状態となる。これにより、第1室19からの油液は、ピストン速度の低速域では第1通路131Cから固定オリフィス52Cを介して第2室20に流れ、ピストン速度の中速域では第2通路141Cからハードバルブ232を開いて第2室20に流れ、ピストン速度の高速域では第2通路141Cからハードバルブ232を開いての流れに加えてディスクバルブ51Cを開いて第2室20に流れる。
ピストン周波数が高周波での伸び行程においては、第1室19から可変室121Cに入る油液のボリュームが小さく、区画ディスク283の変形量が小さい。このため、可変室121Cで第1室19から流れ出す油液を吸収することができる。これにより、上記のように固定オリフィス52Cを介して第1室19から第2室20に流れる油液の液量と、ハードバルブ232を開いて第1室19から第2室20に流れる油液の液量と、ハードバルブ232およびディスクバルブ51Cを開いて第1室19から第2室20に流れる油液の液量とが減る。よって、固定オリフィス52C、ハードバルブ232およびディスクバルブ51Cは、ピストン周波数が低周波数のときよりもソフトな減衰力を発生する。
周波数感応部72Cは、縮み行程においても、ピストン周波数が低周波数のときよりも高周波数のときの減衰力をソフトにする。また、周波数感応部72Cは、縮み行程において第2室20の圧力が急激に高まると、チェック弁335が開いて第2通路141Cを介して第2室20から第1室19にも油液を流す。
図22に示すように、絞り流路形成部77Cは、絞りディスク161C(絞り部材,絞りバルブ)と、複数枚のディスク162Cとを有している。絞りディスク161Cは、ピストンロッド21Cの取付軸部28Cに嵌合されてピストン18の内側シート部44の先端面160に当接する。ディスク162Cは、ピストンロッド21Cの取付軸部28Cに嵌合されて絞りディスク161Cの軸方向(厚さ方向)における内側シート部44とは反対側に当接する。ディスク162Cは軸方向(厚さ方向)における絞りディスク161Cとは反対側がディスクバルブ51Cに当接している。
絞りディスク161Cおよびディスク162Cは、いずれも取付軸部28Cに嵌合する有孔円形平板状である。絞りディスク161Cには、切欠部171Cが形成されている。切欠部171Cは、取付軸部28Cに嵌合する内周端縁部170Cから径方向外方に径方向の中間所定位置まで延出する。切欠部171Cも絞りディスク161Cの径方向における外周側が内周側よりも広い切り欠き形状である。絞りディスク161Cは外径が全周にわたって一定である。絞りディスク161Cにはその周方向に等間隔で同形状の切欠部171Cが複数形成されている。全ての切欠部171Cは、絞りディスク161Cの径方向において内側シート部44の先端面160よりも外側まで延びている。よって、内側シート部44の先端面160は、絞りディスク161Cの全ての切欠部171Cについて、絞りディスク161Cの径方向におけるそれぞれの内側の一部を軸方向のディスク162Cとは反対側で覆って閉塞させる。絞りディスク161Cは、全ての切欠部171Cについて、絞りディスク161Cの径方向におけるそれぞれの外側の一部をピストン18の環状凹部38および複数の通路穴37内の通路に連通させている。
ディスク162Cは、内径が全周にわたって一定であり、外径も全周にわたって一定であって、全周にわたって径方向の幅が一定である。ディスク162Cは、その内径が絞りディスク161Cの最小内径と同等であり、その外径が絞りディスク161Cの外径よりも小径である。ただし、ディスク162Cは、絞りディスク161Cの全ての切欠部171Cについて、それぞれの全体を軸方向の内側シート部44とは反対側で覆って閉塞させる。
絞りディスク161Cは、内側シート部44およびディスク162Cとで絞り流路76Cを形成している。よって、絞り流路76Cを含む第2減衰力発生機構145Cに設けられている。絞りディスク161Cは、複数の切欠部171Cを周方向にほぼ等間隔に有する。絞りディスク161Cは、切欠部171Cにより第2通路141Cの並列通路142Cに絞り流路76Cを形成する絞りバルブである。絞りディスク161Cは、第2通路141Cにおける図21に示すハウジング84Cおよびケース部材243よりも一側であるピストン18側に設けられている。図22に示すように、ピストンロッド21Cの取付軸部28Cの軸方向において、絞りディスク161C、すなわち絞り流路76Cは、溝部211Cと軸方向位置を重ね合わせている。これにより、絞り流路76Cはロッド通路75Cに連通する。
そして、第4実施形態においても、絞りディスク161Cが、第3実施形態の絞りディスク161Bと同様にして切欠部171Cの溝部211Cとの関係が設定されている。よって、ピストンロッド21Cの取付軸部28Cに対して、円周方向の取り付け位置に関わらず、絞り流路76Cの流路面積が一定になるよう形成されている。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態を主に図23に基づいて第4実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第4実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
図23に示すように、第5実施形態の緩衝器1Dでは、ピストンロッド21Dがピストンロッド21Cとは一部異なっている。具体的には、取付軸部28Dが取付軸部28Cと一部異なっている。取付軸部28Dは、取付軸部28Cに対し、ロッド通路75Cとは一部異なる2箇所のロッド通路75Dおよびロッド通路75Eが設けられた点が相違している。ロッド通路75Dおよびロッド通路75Eは、ピストン18の軸方向において、いずれも一部がピストン18に重なっている。
ロッド通路75Dは、複数、具体的には2箇所の同形状の溝部211Dによって形成されている。溝部211Dは、取付軸部28Dの外周部を、取付軸部28Dの中心軸線と平行な平面状の底面212Dを形成するように切り欠いた形状である。2箇所の溝部211Dは、互いに底面212Dを平行に配置している。2箇所の溝部211Dは、取付軸部28Dの主軸部27とは反対側の端部に設けられたオネジ31Cと軸段部29との間の範囲に取付軸部28Dの軸方向における位置を合わせて形成されている。
ロッド通路75Dは、溝部211Dにおいてピストンロッド21Dの取付軸部28Dの外径側に開口している。ピストンロッド21Dに設けられたロッド通路75Dには、ピストン18側の外径面に開口する開口部156Dが溝部211Dによって形成されている。
ロッド通路75Eは、ロッド通路75Dとオネジ31Cとの間に形成されている。ロッド通路75Eは、複数、具体的には2箇所の同形状の溝部211Eによって形成されている。溝部211Eは、取付軸部28Dの外周部を、取付軸部28Dの中心軸線と平行な平面状の底面212Eを形成するように切り欠いた形状である。2箇所の溝部211Eは、互いに底面212Eを平行に配置している。2箇所の溝部211Eは、取付軸部28Dのロッド通路75Dとオネジ31Cとの間の範囲に取付軸部28Dの軸方向における位置を合わせて形成されている。
ロッド通路75Eは、溝部211Eにおいてピストンロッド21Dの取付軸部28Dの外径側に開口している。ピストンロッド21Dに設けられたロッド通路75Eには、ピストン18側の外径面に開口する開口部156Eが溝部211Eによって形成されている。
第5実施形態の緩衝器1Dは、ピストンロッド21Dの取付軸部28Dに、軸段部29側から順に、変形抑制部65、ディスクバルブ61D、ケース部材243D(固定部材)、絞り流路76Daを形成する絞りディスク161Da(絞り部材,絞りバルブ)、メインバルブ241D、絞り流路76Dbを形成する絞り流路形成部77Db、ピストン18、絞り流路76Ebを形成する絞り流路形成部77Eb、メインバルブ241E、絞り流路76Eaを形成する絞りディスク161Ea(絞り部材,絞りバルブ)、ケース部材243E(固定部材)、ディスクバルブ51E、変形抑制部55E、ナット71Cが設けられている。
ケース部材243Dは、ケース部材243の底部262と同様の底部262Dと、外側円筒状部264と同様の外側円筒状部264Dと、バルブシート265と同様のバルブシート265Dとを有しており、内側円筒状部263とは一部異なる内側円筒状部263Dを有している。内側円筒状部263Dには大径穴部272および通路溝273は形成されていない。ケース部材243Dは、内側円筒状部263Dおよび底部262Dに取付軸部28Dに嵌合する嵌合穴271Dが形成されている。底部262Dには、貫通穴267と同様の貫通穴267Dが形成されている。内側円筒状部263Dの先端面は、内径が全周にわたって一定であり、外径も全周にわたって一定であって、全周にわたって径方向の幅が一定である。
ディスクバルブ61Dは、複数枚の有孔円板状のディスクが重ねられて構成されている。ディスクバルブ61Dは、ケース部材243Dのバルブシート265Dに離着座する。ディスクバルブ61Dには、固定オリフィス62Dが形成されている。固定オリフィス62Dは、バルブシート265Dに全周にわたって当接してもバルブシート265Dの径方向内外を連通させる。変形抑制部65は、ディスクバルブ61Dの開方向の変形をディスクバルブ61Dに当接して抑制する。
メインバルブ241Dは、パイロットディスク241と同様の部品である。メインバルブ241Dは、ディスク251と同様のディスク251Dと、シール部材252と同様のシール部材252Dとを有している。ディスク251Dの内周側には、ピストンロッド21Dの取付軸部28Dが嵌合される。ディスク251Dは、外周側がピストン18のバルブシート部49に当接する。シール部材252Dは、ケース部材243Dの外側円筒状部264Dの内周面に全周にわたって当接する。シール部材252Dは、外側円筒状部264Dとの間を常時密閉する。
メインバルブ241Dのディスク251Dがピストン18のバルブシート部49に対し離着座して、複数の通路穴39および環状凹部40内の通路を開閉する。メインバルブ241Dは、ケース部材243Dとの間に、メインバルブ241Dに閉方向の背圧を発生させる背圧室275Dを形成している。ディスクバルブ61Dの固定オリフィス62Dは、背圧室275Dを第1室19に連通させる。
絞りディスク161Daの絞り流路76Daは、ロッド通路75Dと背圧室275Dとを連通させる。絞り流路形成部77Dbの絞り流路76Dbは、ピストン18の複数の通路穴39および環状凹部40内の通路とロッド通路75Dとを連通させる。背圧室275Dには、ピストン18の通路穴39および環状凹部40内の通路と、絞り流路形成部77Dbの絞り流路76Dbと、ロッド通路75Dと、絞りディスク161Daの絞り流路76Daとを介して第2室20の油液が導入される。
ケース部材243Eは、ケース部材243Dと同形状であり、ケース部材243Dと互換性を有する。ケース部材243Eは、底部262Dと同様の底部262Eと、外側円筒状部264Dと同様の外側円筒状部264Eと、バルブシート265Dと同様のバルブシート265Eと、内側円筒状部263Dと同様の内側円筒状部263Eとを有している。ケース部材243Eには、嵌合穴271Dと同様の嵌合穴271Eと、貫通穴267Dと同様の貫通穴267Eとが形成されている。
ディスクバルブ51Eは、複数枚の有孔円板状のディスクが重ねられて構成されている。ディスクバルブ51Eは、ケース部材243Eのバルブシート265Eに離着座する。ディスクバルブ51Eには、固定オリフィス52Eが形成されている。固定オリフィス52Eは、バルブシート265Eに全周にわたって当接してもバルブシート265Eの径方向内外を連通させる。
変形抑制部65Eは、円環状の複数枚のディスクで構成されている。変形抑制部65Eは、ディスクバルブ51Eの開方向の変形をディスクバルブ51Eに当接して抑制する。
メインバルブ241Eは、メインバルブ241Dと同様の部品である。メインバルブ241Eは、ディスク251Dと同様のディスク251Eと、シール部材252Dと同様のシール部材252Eとを有している。ディスク251Eは、内周側にピストンロッド21Dの取付軸部28Dを嵌合させている。ディスク251Eは、外周側がピストン18のバルブシート部47に当接する。シール部材252Eは、ケース部材243Eの外側円筒状部264Eの内周面に全周にわたって当接し、外側円筒状部264Eとの間を常時閉塞する。
メインバルブ241Eのディスク251Eがピストン18のバルブシート部47に対し離着座して、複数の通路穴37および環状凹部38内の通路を開閉する。メインバルブ241Eは、ケース部材243Eとの間に、メインバルブ241Eに閉方向の背圧を発生させる背圧室275Eを形成している。ディスクバルブ51Eの固定オリフィス52Eは、背圧室275Eを第2室20に連通させる。
絞りディスク161Eaの絞り流路76Eaは、ロッド通路75Eと背圧室275Eとを連通させる。絞り流路形成部77Ebの絞り流路76Ebは、ピストン18の複数の通路穴37および環状凹部38内の通路とロッド通路75Eとを連通させる。背圧室275Eには、ピストン18の通路穴37および環状凹部38内の通路と、絞り流路形成部77Ebの絞り流路76Ebと、ロッド通路75Eと、絞りディスク161Eaの絞り流路76Eaとを介して第1室19の油液が導入される。
メインバルブ241Dは、ピストン18のバルブシート部49から離間して開くと、複数の通路穴39および環状凹部40内の通路からの油液を第1室19に流す。ピストン18の複数の通路穴39および環状凹部40内の通路と、開時に生じるメインバルブ241Dとバルブシート部49との間の通路とが、第1通路132Dを構成している。この第1通路132Dは、ピストン18に設けられている。この第1通路132Dは、ピストン18の第2室20側への移動、つまり縮み行程においてシリンダ2内の上流側となる第2室20から下流側となる第1室19に向けて作動流体としての油液が移動する縮み側の通路となる。バルブシート部49とメインバルブ241Dとが縮み側の第1減衰力発生機構42Dを構成している。第1減衰力発生機構42Dは、この第1通路132Dに設けられている。メインバルブ241Dでこの第1通路132Dを開閉して油液の流動を抑制することにより減衰力を発生する。
緩衝器1Dでは、ピストン18の複数の通路穴39および環状凹部40内の通路と、絞り流路形成部77Dbの絞り流路76Dbと、ピストンロッド21Dのロッド通路75Dと、絞りディスク161Daの絞り流路76Daと、背圧室275Dと、開時に生じるディスクバルブ61Dとバルブシート265Dとの間の通路とが、第1通路132Dと並列する第2通路141Dを構成している。第2通路141Dは、絞り流路形成部77Dbの絞り流路76Dbと、ピストンロッド21Dのロッド通路75Dと、絞りディスク161Daの絞り流路76Daと、背圧室275Dと、開時に生じるディスクバルブ61Dとバルブシート265Dとの間の通路とが、第1通路132Dと並列する並列通路142Dとなっている。
第2通路141Dは、ピストンロッド21Dのロッド通路75Dを含んでいる。第2通路141Dは、ピストンロッド21Dに設けられている。バルブシート265Dとディスクバルブ61Dとが縮み側の第2減衰力発生機構145Dを構成している。第2減衰力発生機構145Dは、固定オリフィス62Dを含んでいる。第2減衰力発生機構145Dは、第2通路141Dに設けられている。ディスクバルブ61Dでこの第2通路141Dを開閉して油液の流動を抑制することにより減衰力を発生する。ケース部材243Dは、ピストンロッド21Dに固定されて、第2通路141Dの一部である背圧室275Dを形成している。
メインバルブ241Eは、ピストン18のバルブシート部47から離間して開くと、複数の通路穴37および環状凹部38内の通路からの油液を第2室20に流す。ピストン18の複数の通路穴37および環状凹部38内の通路と、開時に生じるメインバルブ241Eとバルブシート部47との間の通路とが、第1通路131Eを構成している。この第1通路131Eは、ピストン18に設けられている。この第1通路131Eは、ピストン18の第1室19側への移動、つまり伸び行程においてシリンダ2内の上流側となる第1室19から下流側となる第2室20に向けて作動流体としての油液が移動する伸び側の通路となる。バルブシート部47とメインバルブ241Eとが伸び側の第1減衰力発生機構41Eを構成している。第1減衰力発生機構41Eは、この第1通路131Eに設けられており、メインバルブ241Eでこの第1通路131Eを開閉して油液の流動を抑制することにより減衰力を発生する。
緩衝器1Eでは、ピストン18の複数の通路穴37および環状凹部38内の通路と、絞り流路形成部77Ebの絞り流路76Ebと、ピストンロッド21Dのロッド通路75Eと、絞りディスク161Eaの絞り流路76Eaと、背圧室275Eと、開時に生じるディスクバルブ51Eとバルブシート265Eとの間の通路とが、第1通路131Eと並列する第2通路141Eを構成している。第2通路141Eは、絞り流路形成部77Ebの絞り流路76Ebと、ピストンロッド21Dのロッド通路75Eと、絞りディスク161Eaの絞り流路76Eaと、背圧室275Eと、開時に生じるディスクバルブ51Eとバルブシート265Eとの間の通路とが、第1通路131Eと並列する並列通路142Eとなっている。
第2通路141Eは、ピストンロッド21Dのロッド通路75Eを含んでいる。第2通路141Eは、ピストンロッド21Dに設けられている。バルブシート265Eとディスクバルブ51Eとが伸び側の第2減衰力発生機構145Eを構成している。第2減衰力発生機構145Eは、固定オリフィス52Eを含んでいる。第2減衰力発生機構145Eは、第2通路141Eに設けられている。ディスクバルブ51Eでこの第2通路141Eを開閉して油液の流動を抑制することにより減衰力を発生する。ケース部材243Eは、ピストンロッド21Dに固定されて、第2通路141Eの一部である背圧室275Eを形成している。
伸び行程では、第1室19からの油液の流れは以下のようになる。
ピストン速度の低速域では第2通路141Eから固定オリフィス52Eを介して第2室20に流れる。
ピストン速度の中速域では第2通路141Eからディスクバルブ51Eを開いて第2室20に流れる。
ピストン速度の高速域では第2通路141Eからディスクバルブ51Eを開いての流れに加えて第1通路131Eからメインバルブ241Eを開いて第2室20に流れる。
縮み行程では、第2室20からの油液の流れは以下のようになる。
ピストン速度の低速域では第2通路141Dから固定オリフィス62Dを介して第1室19に流れる。
ピストン速度の中速域では第2通路141Dからディスクバルブ61Dを開いて第1室19に流れる。
ピストン速度の高速域では第2通路141Dからディスクバルブ61Dを開いての流れに加えて第1通路132Dからメインバルブ241Dを開いて第1室19に流れることになる。
絞りディスク161Daは、ピストンロッド21Dの取付軸部28Dに嵌合される。絞りディスク161Daは、ケース部材243Dの内側円筒状部263Dの先端面とメインバルブ241Dのディスク251Dとに当接する。内側円筒状部263Dの先端面は、内径が全周にわたって一定であり、外径も全周にわたって一定であって、全周にわたって径方向の幅が一定である。絞りディスク161Daは、有孔円形平板状である。絞りディスク161Daには、取付軸部28Dに嵌合する内周端縁部170Daから径方向外方に径方向の中間所定位置まで延出する切欠部171Daが形成されている。切欠部171Daも絞りディスク161Daの径方向における外周側が内周側よりも広い切り欠き形状である。絞りディスク161Daは外径が全周にわたって一定である。絞りディスク161Daにはその周方向に等間隔で同形状の切欠部171Daが複数形成されている。全ての切欠部171Daは、絞りディスク161Daの径方向において内側円筒状部263Dの先端面よりも外側まで延びている。よって、内側円筒状部263Dの先端面は、絞りディスク161Daの全ての切欠部171Daについて、絞りディスク161Daの径方向におけるそれぞれの内側の一部を軸方向のピストン18とは反対側で覆って閉塞させる。絞りディスク161Daは、全ての切欠部171Daについて、絞りディスク161Daの径方向におけるそれぞれの外側の一部を背圧室275Dに連通させている。
メインバルブ241Dのディスク251Dは、内径が全周にわたって一定であり、外径も全周にわたって一定であって、全周にわたって径方向の幅が一定である。ディスク251Dは、その内径が絞りディスク161Daの最小内径と同等であり、その外径が絞りディスク161Daの外径よりも大径である。ディスク251Dは、絞りディスク161Daの全ての切欠部171Daについて、それぞれの全体を軸方向の内側円筒状部263Dとは反対側で覆って閉塞させる。
絞りディスク161Daは、内側円筒状部263Dおよびディスク251Dとによって絞り流路76Daを形成している。絞りディスク161Daは、絞り流路76Daを含む第2減衰力発生機構145Dに設けられている。絞りディスク161Daは、複数の切欠部171Daを周方向にほぼ等間隔に有する。絞りディスク161Daは、切欠部171Daにより第2通路141Dの並列通路142Dに絞り流路76Daを形成する絞りバルブである。絞りディスク161Daは、第2通路141Dにおけるケース部材243Dよりも一側であるピストン18側に設けられている。ピストンロッド21Dの取付軸部28Dの軸方向において、絞りディスク161Daすなわち絞り流路76Daは溝部211Dと軸方向位置を重ね合わせている。これにより、絞り流路76Daはロッド通路75Dに連通する。
そして、第5実施形態においては、絞りディスク161Daが、第3実施形態の絞りディスク161Bと同様にして切欠部171Daの溝部211Dとの関係が設定されている。よって、ピストンロッド21Dの取付軸部28Dに対して、円周方向の取り付け位置に関わらず、絞り流路76Daの流路面積が一定になるよう形成されている。
絞り流路形成部77Dbは、絞りディスク161Db(絞り部材,絞りバルブ)と、複数枚のディスク162Dbとを有している。絞りディスク161Dbは、ピストンロッド21Dの取付軸部28Dに嵌合されてピストン18の内側シート部45の先端面に当接する。ディスク162Dbは、ピストンロッド21Dの取付軸部28Dに嵌合されて絞りディスク161Dbの軸方向(厚さ方向)における内側シート部45とは反対側に当接する。内側シート部45の先端面は、内径が全周にわたって一定であり、外径も全周にわたって一定であって、全周にわたって径方向の幅が一定である。ディスク162Dbは軸方向(厚さ方向)における絞りディスク161Dbとは反対側がメインバルブ241Dのディスク251Dに当接している。
絞りディスク161Dbおよびディスク162Dbは、いずれも取付軸部28Dに嵌合する有孔円形平板状である。絞りディスク161Dbには、切欠部171Dbが形成されている。切欠部171Dbは、取付軸部28Dに嵌合する内周端縁部170Dbから径方向外方に径方向の中間所定位置まで延出する。切欠部171Dbも絞りディスク161Dbの径方向における外周側が内周側よりも広い切り欠き形状である。絞りディスク161Dbは外径が全周にわたって一定である。絞りディスク161Dbにはその周方向に等間隔で同形状の切欠部171Dbが複数形成されている。全ての切欠部171Dbは、絞りディスク161Dの径方向において内側シート部45の先端面よりも外側まで延びている。よって、内側シート部45の先端面は、絞りディスク161Dbの全ての切欠部171Dbについて、絞りディスク161Dbの径方向におけるそれぞれの内側の一部を軸方向のディスク162Dbとは反対側で覆って閉塞させる。絞りディスク161Dbは、全ての切欠部171Dbについて、絞りディスク161Dbの径方向におけるそれぞれの外側の一部をピストン18の環状凹部40および複数の通路穴39内の通路に連通させている。
ディスク162Dbは、内径が全周にわたって一定であり、外径も全周にわたって一定であって、全周にわたって径方向の幅が一定である。ディスク162Dbの内径は絞りディスク161Dbの最小内径と同等である。ディスク162Dbの外径は絞りディスク161Dbの外径よりも小径である。ただし、ディスク162Dbは、絞りディスク161Dbの全ての切欠部171Dbについて、それぞれの全体を軸方向の内側シート部45とは反対側で覆って閉塞させる。
絞りディスク161Dbは、内側シート部45およびディスク162Dbとによって絞り流路76Dbを形成している。絞りディスク161Dbは、絞り流路76Dbを含む第2減衰力発生機構145Dに設けられている。絞りディスク161Dbは、複数の切欠部171Dbを周方向にほぼ等間隔に有する。絞りディスク161Dbは、切欠部171Dbにより第2通路141Dの並列通路142Dに絞り流路76Dbを形成する絞りバルブである。絞りディスク161Dbは、第2通路141Dにおけるケース部材243Dよりも一側であるピストン18側に設けられている。ピストンロッド21Dの取付軸部28Dの軸方向において、絞りディスク161Dbすなわち絞り流路76Dbは溝部211Dと軸方向位置を重ね合わせている。これにより、絞り流路76Dbはロッド通路75Dに連通する。
絞りディスク161Dbも、第3実施形態の絞りディスク161Bと同様にして切欠部171Dbの溝部211Dとの関係が設定されており、よって、ピストンロッド21Dの取付軸部28Dに対して、円周方向の取り付け位置に関わらず、絞り流路76Dbの流路面積が一定になるよう形成されている。
絞りディスク161Eaは、ピストンロッド21Dの取付軸部28Dに嵌合される。絞りディスク161Eaは、ケース部材243Eの内側円筒状部263Eの先端面とメインバルブ241Eのディスク251Eとに当接する。内側円筒状部263Eの先端面は、内径が全周にわたって一定であり、外径も全周にわたって一定であって、全周にわたって径方向の幅が一定である。絞りディスク161Eaは、有孔円形平板状である。絞りディスク161Eaには、切欠部171Eaが形成されている。切欠部171Eaは、取付軸部28Dに嵌合する内周端縁部170Eaから径方向外方に径方向の中間所定位置まで延出する。切欠部171Eaも絞りディスク161Eaの径方向における外周側が内周側よりも広い切り欠き形状である。絞りディスク161Eaは外径が全周にわたって一定である。絞りディスク161Eaにはその周方向に等間隔で同形状の切欠部171Eaが複数形成されている。全ての切欠部171Eaは、絞りディスク161Eaの径方向において内側円筒状部263Eの先端面よりも外側まで延びている。よって、内側円筒状部263Eの先端面は、絞りディスク161Eaの全ての切欠部171Eaについて、絞りディスク161Eaの径方向におけるそれぞれの内側の一部を軸方向のピストン18とは反対側で覆って閉塞させる。絞りディスク161Eaは、全ての切欠部171Eaについて、絞りディスク161Eaの径方向におけるそれぞれの外側の一部を背圧室275Eに連通させている。
メインバルブ241Eのディスク251Eは、内径が全周にわたって一定であり、外径も全周にわたって一定であって、全周にわたって径方向の幅が一定である。ディスク251Eは、その内径が絞りディスク161Eaの最小内径と同等であり、その外径が絞りディスク161Eaの外径よりも大径である。ディスク251Eは、絞りディスク161Eaの全ての切欠部171Eaについて、それぞれの全体を軸方向の内側円筒状部263Eとは反対側で覆って閉塞させる。
絞りディスク161Eaは、内側円筒状部263Eおよびディスク251Eとで絞り流路76Eaを形成している。絞りディスク161Eaは、絞り流路76Eaを含む第2減衰力発生機構145Eに設けられている。絞りディスク161Eaは、複数の切欠部171Eaを周方向にほぼ等間隔に有する。絞りディスク161Eaは、切欠部171Eaにより第2通路141Eの並列通路142Eに絞り流路76Eaを形成する絞りバルブである。絞りディスク161Eaは、第2通路141Eにおけるケース部材243Eよりも一側であるピストン18側に設けられている。ピストンロッド21Dの取付軸部28Dの軸方向において、絞りディスク161Eaすなわち絞り流路76Eaは溝部211Eと軸方向位置を重ね合わせている。これにより、絞り流路76Eaはロッド通路75Eに連通する。
絞りディスク161Eaも、第3実施形態の絞りディスク161Bと同様にして切欠部171Eaの溝部211Eとの関係が設定されている。よって、絞りディスク161Eaは、ピストンロッド21Dの取付軸部28Dに対して、円周方向の取り付け位置に関わらず、絞り流路76Eaの流路面積が一定になるよう形成されている。
絞り流路形成部77Ebは、絞りディスク161Eb(絞り部材,絞りバルブ)と、複数枚のディスク162Ebとを有している。絞りディスク161Ebは、ピストンロッド21Dの取付軸部28Dに嵌合されてピストン18の内側シート部44の先端面に当接する。ディスク162Ebは、ピストンロッド21Dの取付軸部28Dに嵌合されて絞りディスク161Ebの軸方向(厚さ方向)における内側シート部44とは反対側に当接する。内側シート部44の先端面は、内径が全周にわたって一定であり、外径も全周にわたって一定であって、全周にわたって径方向の幅が一定である。ディスク162Ebは軸方向(厚さ方向)における絞りディスク161Ebとは反対側がメインバルブ241Eのディスク251Eに当接している。
絞りディスク161Ebおよびディスク162Ebは、いずれも取付軸部28Dに嵌合する有孔円形平板状である。絞りディスク161Ebには、切欠部171Ebが形成されている。切欠部171Ebは、取付軸部28Dに嵌合する内周端縁部170Ebから径方向外方に径方向の中間所定位置まで延出する。切欠部171Ebも絞りディスク161Ebの径方向における外周側が内周側よりも広い切り欠き形状である。絞りディスク161Ebは外径が全周にわたって一定である。絞りディスク161Ebにはその周方向に等間隔で同形状の切欠部171Ebが複数形成されている。全ての切欠部171Ebは、絞りディスク161Eの径方向において内側シート部44の先端面よりも外側まで延びている。よって、内側シート部44の先端面は、絞りディスク161Ebの全ての切欠部171Ebについて、絞りディスク161Ebの径方向におけるそれぞれの内側の一部を軸方向のディスク162Ebとは反対側で覆って閉塞させる。絞りディスク161Ebは、全ての切欠部171Ebについて、絞りディスク161Ebの径方向におけるそれぞれの外側の一部をピストン18の環状凹部38および複数の通路穴37内の通路に連通させている。
ディスク162Ebは、内径が全周にわたって一定であり、外径も全周にわたって一定であって、全周にわたって径方向の幅が一定である。ディスク162Ebは、その内径が絞りディスク161Ebの最小内径と同等であり、その外径が絞りディスク161Ebの外径よりも小径である。ただし、ディスク162Ebは、絞りディスク161Ebの全ての切欠部171Ebについて、それぞれの全体を軸方向の内側シート部44とは反対側で覆って閉塞させる。
絞りディスク161Ebは、内側シート部44およびディスク162Ebとによって絞り流路76Ebを形成している。絞りディスク161Ebは、絞り流路76Ebを含む第2減衰力発生機構145Eに設けられている。絞りディスク161Ebは、複数の切欠部171Ebを周方向にほぼ等間隔に有する。絞りディスク161Ebは、切欠部171Ebにより第2通路141Eの並列通路142Eに絞り流路76Ebを形成する絞りバルブである。絞りディスク161Ebは、第2通路141Eにおけるケース部材243Eよりも一側であるピストン18側に設けられている。ピストンロッド21Dの取付軸部28Dの軸方向において、絞りディスク161Ebすなわち絞り流路76Ebは溝部211Eと軸方向位置を重ね合わせている。これにより、絞り流路76Ebはロッド通路75Eに連通する。
絞りディスク161Ebも、第3実施形態の絞りディスク161Bと同様にして切欠部171Ebの溝部211Eとの関係が設定されており、よって、ピストンロッド21Dの取付軸部28Dに対して、円周方向の取り付け位置に関わらず、絞り流路76Ebの流路面積が一定になるよう形成されている。
[第6実施形態]
次に、第6実施形態を主に図24に基づいて第3,第4実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第3,第4実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
図24に示すように、第6実施形態の緩衝器1Fでは、ピストンロッド21Fがピストンロッド21Cと一部異なっている。具体的には取付軸部28Fが取付軸部28Cと一部異なっている。取付軸部28Fは、取付軸部28Cに対し、軸方向長さが短い。また、取付軸部28Fは、取付軸部28Fの軸方向における長さがロッド通路75Cよりも短いロッド通路75Fが設けられた点が相違している。
ロッド通路75Fは、2箇所の溝部211Cを、取付軸部28Fの軸方向において長さを短く縮めるよう変更した2箇所の溝部211Fによって形成されている。溝部211Fは、底面212Fおよび開口部156Fも、取付軸部28Fの軸方向における長さが底面212Cおよび開口部156Cよりも短い。2箇所の溝部211Fも取付軸部28Fの軸方向における位置を合わせている。
第6実施形態の緩衝器1Fは、取付軸部28Fに、軸段部29側から順に、第3実施形態と同様の変形抑制部65、ディスクバルブ61、ピストン18、絞り流路形成部77Aおよびディスクバルブ51が設けられている。また、取付軸部28Fには、ディスクバルブ51のピストン18とは反対側にキャップ部材351が配置され、キャップ部材351内に、軸方向のディスクバルブ51側から順に、周波数感応部72F、ディスクバルブ352、弁座部材353、ディスクバルブ354、変形抑制部355およびナット71Cが設けられている。
キャップ部材351は、有孔円板状の底部361と、底部361の外周縁部から底部361の軸方向における一側に延出する筒状部362とを有する有底円筒状である。底部361には軸方向に貫通する通路穴363が複数形成されている。キャップ部材351は、底部361がキャップ部材351において軸方向のディスクバルブ51側に位置する向きで、底部361の内周側に取付軸部28Fを嵌合させて取付軸部28Fに取り付けられている。
周波数感応部72Fは、キャップ部材351の底部361のディスクバルブ51とは反対側に、それぞれ内側に取付軸部28Fを嵌合させた状態で、底部361側から順に、スペーサ部371と、区画ディスク372と、スペーサ部373と、支持ディスク374とを有している。
スペーサ部371は複数枚のディスクが重ねられて構成されている。スペーサ部373も、複数枚のディスクが重ねられて構成されている。スペーサ部371とスペーサ部373とは同様の構成であり、軸方向に対称状に配置されている。区画ディスク372は、スペーサ部371,373の最大外径よりも大径であって筒状部362の内径よりも若干小径の外径となっている。支持ディスク374は、区画ディスク372の外径と同等の外径であって区画ディスク372よりも厚く高剛性となっている。支持ディスク374には径方向における位置を通路穴363に合わせて複数の通路穴377が形成されている。
周波数感応部72Fは、キャップ部材351の底部361と区画ディスク372との間に皿バネ381を有しており、支持ディスク374と区画ディスク372との間に皿バネ382を有している。皿バネ381は、区画ディスク372に近づくほど大径となる有孔のテーパ状である。皿バネ381の径方向の内側に隙間をもってスペーサ部371が配置されている。皿バネ381は、弾性変形しつつ内周側が底部361に密着し外周側が区画ディスク372に密着している。皿バネ382は、区画ディスク372に近づくほど大径となる有孔のテーパ状である。皿バネ382の径方向の内側に隙間をもってスペーサ部373が配置されている。皿バネ382は、弾性変形しつつ内周側が支持ディスク374に密着し外周側が区画ディスク372に密着している。皿バネ381,382は、区画ディスク372の外周側に密着しつつ、区画ディスク372の外周側を取付軸部28Fの軸方向の一定位置に保持するように付勢する。周波数感応部72Fは、皿バネ382と区画ディスク372との間が可変室121Fとなっており、皿バネ381と区画ディスク372との間が可変室122Fとなっている。周波数感応部72Fは、区画ディスク372のスペーサ部371,373に挟持される内周部分と、皿バネ381,382に挟持される外周部分との間の部分が軸方向(厚さ方向)に変形することで、可変室121F,122Fの容量を変化させる。
弁座部材353は、軸方向一側の小径穴部391と、軸方向他側の大径穴部392とが径方向の中央に形成された有孔円板状をなしている。小径穴部391には、取付軸部28Fが嵌合される。大径穴部392は、小径穴部391よりも大径である。ロッド通路75Fは取付軸部28Fの軸方向において、弁座部材353の大径穴部392まで延びている。
弁座部材353は、軸方向の大径穴部392側の端部に、大径穴部392を囲むように円環状をなす内側シート部394を有している。弁座部材353は、この内側シート部394から径方向外方に広がるバルブシート部395を有している。弁座部材353は、軸方向反対側の小径穴部391側の端部に、小径穴部391を囲むように円環状をなす内側シート部398を有している。弁座部材353は、この内側シート部398から径方向外方に広がるバルブシート部399を有している。弁座部材353は、その軸方向における、内側シート部394およびバルブシート部395と、内側シート部398およびバルブシート部399との間の部分が有孔円板状の本体部400となっている。
内側シート部394は、本体部400の軸方向の大径穴部392側の内周縁部から、本体部400の軸方向に沿って一側に突出している。バルブシート部395も、内側シート部394の径方向外側で本体部400の軸方向に沿って本体部400から内側シート部394と同側に突出している。内側シート部394およびバルブシート部395は、突出側の先端面、すなわち本体部400とは反対側の先端面が、平坦面であり、弁座部材353の軸直交方向に広がって同一平面に配置されている。
バルブシート部395は、花びら型の異形シートである。バルブシート部395は、複数の同形状のバルブシート構成部401を有している。バルブシート構成部401は、弁座部材353の径方向における内端部が内側シート部394に接続されることにより、内側シート部394とで枠状をなす。これらのバルブシート構成部401が、弁座部材353の周方向に等間隔で配置されている。すべてのバルブシート構成部401の内側位置には、本体部400をその軸方向に沿って貫通する通路孔406が形成されている。
バルブシート部399も、花びら型の異形シートである。バルブシート部399は、複数の同形状のバルブシート構成部411を有している。バルブシート構成部411は、弁座部材353の径方向における内端部が内側シート部398に接続されることにより、内側シート部398とで枠状をなす。これらのバルブシート構成部411が、弁座部材353の周方向に等間隔で配置されている。すべてのバルブシート構成部411の内側位置には、本体部400をその軸方向に沿って貫通する通路孔416が形成されている。
複数のバルブシート構成部401の弁座部材353の周方向における配置ピッチと、複数のバルブシート構成部411の弁座部材353の周方向における配置ピッチとは同じである。バルブシート構成部401およびバルブシート構成部411は、互いに半ピッチ分ずれている。通路孔406は、弁座部材353の周方向に隣り合うバルブシート構成部411とバルブシート構成部411との間に配置されている。よって、バルブシート部399の範囲の外側に配置されている。通路孔416は、弁座部材353の周方向に隣り合うバルブシート構成部401とバルブシート構成部401との間に配置されている。よって、通路孔416は、バルブシート部395の範囲の外側に配置されている。
弁座部材353には、内側シート部394を径方向に横断する通路溝421が形成されている。通路溝421は、内側シート部394の本体部400とは反対側の先端面から弁座部材353の軸方向に凹んで形成されている。通路溝421は、弁座部材353の周方向において隣り合うバルブシート構成部401とバルブシート構成部401との間も含んでいる。通路孔416は、通路溝421の底面に開口している。通路溝421は、通路孔416と大径穴部392とを連通させる。
弁座部材353は、弁座部材353の周方向において隣り合うバルブシート構成部411とバルブシート構成部411との間が通路溝425となっている。通路孔406は、通路溝425の底面に開口している。よって、通路溝425は通路孔406に連通する。
弁座部材353には、本体部400の外周部の軸方向中間位置に、径方向内方に凹む円環状のシール溝431が形成されている。このシール溝431内に、Oリング432が配置されている。弁座部材353は、内側シート部398およびバルブシート部399を、底部361とは反対側に向けた状態で、外周部においてキャップ部材351の筒状部362に嵌合されている。この状態で、Oリング432は、キャップ部材351の筒状部362と弁座部材353との隙間をシールする。
ディスクバルブ352は、弁座部材353と支持ディスク374との間に設けられている。ディスクバルブ352は、弁体ディスク441と、バネディスク442とを有している。弁体ディスク441は、バルブシート部395に当接して通路孔406内の通路を閉塞する。バネディスク442は、弁体ディスク441をバルブシート部395の方向に付勢する。ディスクバルブ352は、弁体ディスク441がバルブシート部395から離間して通路孔406内の通路を開放する。支持ディスク374はディスクバルブ352の開方向への所定量以上の変形をディスクバルブ352に当接して抑制する。
ディスクバルブ354は、弁座部材353と変形抑制部355との間に設けられている。ディスクバルブ354は、弁体ディスク451と、バネディスク452とを有している。弁体ディスク451は、バルブシート部399に当接して通路孔416内の通路を閉塞する。バネディスク452は、弁体ディスク451をバルブシート部399の方向に付勢する。ディスクバルブ354は、弁体ディスク451がバルブシート部399から離間して通路孔416内の通路を開放する。変形抑制部355はディスクバルブ354の開方向への所定量以上の変形をディスクバルブ354に当接して抑制する。
緩衝器1Fでは、ピストン18の複数の通路穴37および環状凹部38内の通路と、絞り流路形成部77Aの絞り流路76Aと、ピストンロッド21Fのロッド通路75Fと、弁座部材353の大径穴部392、通路溝421および通路孔416内の通路と、開時に生じる弁体ディスク451と弁座部材353のバルブシート部399との隙間と、支持ディスク374の通路穴377内の通路と、可変室121Fと、可変室122Fと、キャップ部材351の通路穴363内の通路と、弁座部材353の通路溝425および通路孔406内の通路と、開時に生じる弁体ディスク441と弁座部材353のバルブシート部395との隙間とが、第1通路131,132と並列する第2通路141Fを構成している。
第2通路141Fは、絞り流路形成部77Aの絞り流路76Aと、ピストンロッド21Fのロッド通路75Fと、弁座部材353の大径穴部392、通路溝421および通路孔416内の通路と、開時に生じる弁体ディスク451と弁座部材353のバルブシート部399との隙間と、支持ディスク374の通路穴377内の通路と、可変室121Fと、可変室122Fと、キャップ部材351の通路穴363内の通路と、弁座部材353の通路溝425および通路孔406内の通路と、開時に生じる弁体ディスク441と弁座部材353のバルブシート部395との隙間とが、第1通路131と並列する並列通路142Fとなっている。
第2通路141Fは、ピストンロッド21Fのロッド通路75Fを含んでいる。第2通路141Fは、ピストンロッド21Fに設けられている。並列通路142Fと周波数感応部72Fとバルブシート部399とディスクバルブ354とが、第2通路141Fに設けられており、第1減衰力発生機構41と並列して減衰力を発生する伸び側の第2減衰力発生機構145Fを構成している。並列通路142Fと周波数感応部72Fとバルブシート部395とディスクバルブ352とが、第2通路141Fに設けられており、第1減衰力発生機構42と並列して減衰力を発生する縮み側の第2減衰力発生機構145Gを構成している。第2減衰力発生機構145F,145Gは、絞り流路76Aと周波数感応部72Fとを含んでいる。弁座部材353は、ピストンロッド21Fに固定されて、第2通路141Fの一部を形成している。
周波数感応部72Fの作用は、以下の通りである。
すなわち、ピストン周波数が低周波数での伸び行程では、その初期において第2通路141Fを介して第1室19から可変室121Fに入る油液のボリュームが大きく、区画ディスク372の変形量が大きい。このため、区画ディスク372が底部361側に弾性変形して停止する。すると、その後は、可変室121Fに油液が導入されない状態となる。これにより、第1室19からの油液は、ピストン速度の低速域では第1通路131から固定オリフィス52を介して第2室20に流れる。
ピストン速度の中速域では第2通路141Fから第2減衰力発生機構145Fのディスクバルブ354を開いて第2室20に流れる。
ピストン速度の高速域では第2通路141Fからディスクバルブ354を開いての流れに加えて第1通路131からディスクバルブ51を開いて第2室20に流れる。
ピストン周波数が高周波での伸び行程においては、第2通路141Fを介して第1室19から可変室121Fに入る油液のボリュームが小さく、区画ディスク372の変形量が小さい。このため、可変室121Fで第1室19から流れ出す油液を吸収することができる。これにより、上記のように固定オリフィス52を介して第1室19から第2室20に流れる油液の液量と、ディスクバルブ354を開いて第1室19から第2室20に流れる油液の液量と、ディスクバルブ354およびディスクバルブ51を開いて第1室19から第2室20に流れる油液の液量とが減る。よって、固定オリフィス52、ディスクバルブ354およびディスクバルブ51は、ピストン周波数が低周波数のときよりもソフトな減衰力を発生する。
ピストン周波数が低周波数での縮み行程では、その初期において第2通路141Fの通路穴363内の通路を介して第2室20から可変室122Fに入る油液のボリュームが大きく、区画ディスク372の変形量が大きい。このため、区画ディスク372が支持ディスク374側に弾性変形して停止する。すると、その後は、可変室122Fに油液が導入されない状態となる。これにより、第2室20からの油液は、ピストン速度の低速域では第1通路132から固定オリフィス62を介して第1室19に流れる。
ピストン速度の中速域では第2通路141Fから第2減衰力発生機構145Gのディスクバルブ352を開いて第1室19に流れる。
ピストン速度の高速域では第2通路141Fからディスクバルブ352を開いての流れに加えて第1通路132からディスクバルブ61を開いて第1室19に流れる。
ピストン周波数が高周波での縮み行程においては、通路穴363内の通路を介して第2室20から可変室122Fに入る油液のボリュームが小さく、区画ディスク372の変形量が小さい。このため、可変室122Fで第2室20から流れ出す油液を吸収することができる。これにより、上記のように、固定オリフィス62を介して第2室20から第1室19に流れる油液の液量と、ディスクバルブ352を開いて第2室20から第1室19に流れる油液の液量と、ディスクバルブ352およびディスクバルブ61を開いて第2室20から第1室19に流れる油液の液量とが減り、よって、ディスクバルブ61は、ピストン周波数が低周波数のときよりもソフトな減衰力を発生する。
第6実施形態においても、絞り流路形成部77Aの絞りディスク161Aが、第3実施形態の絞りディスク161Aと同様にして切欠部171Aと溝部211Fとの関係が設定されている。よって、ピストンロッド21Fの取付軸部28Fに対して、円周方向の取り付け位置に関わらず、絞り流路76Aの流路面積が一定になるよう形成されている。
[第7実施形態]
次に、第7実施形態を主に図25に基づいて第6実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第6実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
図25に示すように、第7実施形態の緩衝器1Hでは、ピストンロッド21Hがピストンロッド21Fと一部異なっている。具体的には取付軸部28Hが取付軸部28Fと一部異なっている。取付軸部28Hは、取付軸部28Hの軸方向における長さがロッド通路75Fよりも長いロッド通路75Hが設けられた点が相違している。
ロッド通路75Hは、2箇所の溝部211Hによって形成されている。溝部211Hは、2箇所の溝部211Fを、取付軸部28Hの軸方向において長さを延ばすよう変更して構成されている。溝部211Hは、底面212Hおよび開口部156Hも、取付軸部28Hの軸方向における長さが底面212Fおよび開口部156Fよりも短い。2箇所の溝部211Hも取付軸部28Hの軸方向における位置を合わせている。
第7実施形態の緩衝器1Hには、第6実施形態の変形抑制部65とは一部異なる変形抑制部65Hが設けられている。ロッド通路75Hは、取付軸部28Hの軸方向における軸段部29側の端部が変形抑制部65Hの位置まで延びている。変形抑制部65Hには第1室19をロッド通路75Hに連通させる絞り流路76Hが形成されている。
第7実施形態の緩衝器1Hには、第6実施形態の絞り流路形成部77Aにかえて複数枚具体的には2枚のディスク162が設けられている。言い換えれば、第6実施形態の絞りディスク161Aにかえてディスク162がもう一枚設けられている。
緩衝器1Hでは、変形抑制部65Hの絞り流路76Hと、ピストンロッド21Hのロッド通路75Hと、弁座部材353の大径穴部392、通路溝421および通路孔416内の通路と、開時に生じる弁体ディスク451と弁座部材353のバルブシート部399との隙間と、支持ディスク374の通路穴377内の通路と、可変室121Fと、可変室122Fと、キャップ部材351の通路穴363内の通路と、弁座部材353の通路溝425および通路孔406内の通路と、開時に生じる弁体ディスク441と弁座部材353のバルブシート部395との隙間とが、第1通路131,132と並列する第2通路141Hを構成している。
第2通路141Hは、ピストンロッド21Hのロッド通路75Hを含んでいる。第2通路141Hは、ピストンロッド21Hに設けられている。絞り流路76Hと周波数感応部72Fとバルブシート部399とディスクバルブ354とが、第2通路141Hに設けられており、第1減衰力発生機構41と並列して減衰力を発生する伸び側の第2減衰力発生機構145Hを構成している。絞り流路76Hと周波数感応部72Fとバルブシート部395とディスクバルブ352とが、第2通路141Hに設けられており、第1減衰力発生機構42と並列して減衰力を発生する縮み側の第2減衰力発生機構145Iを構成している。第2減衰力発生機構145H,145Iは、絞り流路76Hと周波数感応部72Fとを含んでいる。弁座部材353は、ピストンロッド21Fに固定されて、第2通路141Hの一部を形成している。
緩衝器1Hは、第2通路141Hの一部が第2通路141Fとは異なるものの、その作動は、第6実施形態の緩衝器1Fと同様である。
変形抑制部65Hは、ワッシャ161H(絞り部材,絞りバルブ)と、ディスク162Hとを有している。ワッシャ161Hは、ピストンロッド21Hの取付軸部28Hに嵌合されてピストンロッド21Hの軸段部29に当接する。ディスク162Hは、ピストンロッド21Hの取付軸部28Hに嵌合されてワッシャ161Hの軸方向(厚さ方向)における軸段部29とは反対側に当接する。ワッシャ161Hは、ディスク162Hよりも厚く高剛性である。軸段部29は、内径が全周にわたって一定であり、外径も全周にわたって一定であって、全周にわたって径方向の幅が一定である。
ワッシャ161Hおよびディスク162Hは、いずれも取付軸部28Hに嵌合する有孔円形平板状である。ワッシャ161Hには、切欠部171Hが形成されている。切欠部171Hは、取付軸部28Hに嵌合する内周端縁部170Hから径方向外方に径方向の中間所定位置まで延出する。切欠部171Hもワッシャ161Hの径方向における外周側が内周側よりも広い切り欠き形状である。ワッシャ161Hは外径が全周にわたって一定である。ワッシャ161Hにはその周方向に等間隔で同形状の切欠部171Hが複数形成されている。全ての切欠部171Hは、ワッシャ161Hの径方向において軸段部29よりも外側まで延びている。よって、軸段部29は、ワッシャ161Hの全ての切欠部171Hについて、ワッシャ161Hの径方向におけるそれぞれの内側の一部を軸方向のディスク162Hとは反対側で覆って閉塞させる。ワッシャ161Hは、全ての切欠部171Hについて、ワッシャ161Hの径方向におけるそれぞれの外側の一部を第1室19に連通させている。
ディスク162Hは、内径が全周にわたって一定であり、外径も全周にわたって一定であって、全周にわたって径方向の幅が一定である。ディスク162Hは、その内径がワッシャ161Hの最小内径と同等であり、その外径がワッシャ161Hの外径よりも大径である。よって、ディスク162Hは、ワッシャ161Hの全ての切欠部171Hについて、それぞれの全体を軸方向の軸段部29とは反対側で覆って閉塞させる。
ワッシャ161Hは、軸段部29およびディスク162Hとで絞り流路76Hを形成している。ワッシャ161Hは、絞り流路76Hを含む第2減衰力発生機構145H,145Iに設けられている。ワッシャ161Hは、複数の切欠部171Hを周方向にほぼ等間隔に有する。ワッシャ161Hは、切欠部171Hにより第2通路141Hに絞り流路76Hを形成する絞りバルブである。ピストンロッド21Hの取付軸部28Hの軸方向において、ワッシャ161Hすなわち絞り流路76Hは溝部211Hと軸方向位置を重ね合わせている。これにより、絞り流路76Hはロッド通路75Hに連通する。
第7実施形態においても、ワッシャ161Hが、第3実施形態の絞りディスク161Bと同様にして切欠部171Hの溝部211Hとの関係が設定されている。よって、ピストンロッド21Hの取付軸部28Hに対して、円周方向の取り付け位置に関わらず、絞り流路76Hの流路面積が一定になるよう形成されている。
[第8実施形態]
次に、第8実施形態を主に図26に基づいて第6実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第6実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
図26に示すように、第8実施形態の緩衝器1Jでは、ピストンロッド21Jがピストンロッド21Fと一部異なっている。具体的には取付軸部28Jが取付軸部28Fと一部異なっている。取付軸部28Jには、ロッド通路75Fと同様で、取付軸部28Jの軸方向の位置をロッド通路75Fよりも軸段部29側にずらしたロッド通路75Jが設けられている。
ロッド通路75Jは、2箇所の溝部211Jによって形成されている。溝部211Jは、2箇所の溝部211Fと同様に、取付軸部28Jの軸方向の位置をこれら溝部211Fよりも軸段部29側にずらして構成されている。溝部211Jは、底面212Jおよび開口部156Jも、取付軸部28Jの軸方向における位置が底面212Fおよび開口部156Fよりも軸段部29側にずれている。2箇所の溝部211Jも取付軸部28Jの軸方向における位置を合わせている。
第8実施形態の緩衝器1Jは、ピストン18Jが、ピストン18と一部異なっている。ピストン18Jは、ピストン本体35Jがピストン本体35と相違している。ピストン本体35Jは、取付軸部28Jを嵌合させる軸方向一側の小径穴部491と小径穴部491よりも大径の軸方向他側の大径穴部492とが径方向の中央に形成された有孔円板状をなしている。
ピストン本体35Jは、軸方向の大径穴部492側の端部に、大径穴部492を囲むように円環状をなす内側シート部494を有しており、この内側シート部494から径方向外方に広がるバルブシート部495を有している。また、ピストン本体35Jは、軸方向反対側の小径穴部491側の端部に、小径穴部491を囲むように円環状をなす内側シート部498を有している。この内側シート部498から径方向外方に広がるバルブシート部499を有している。ピストン本体35Jは、その軸方向における、内側シート部494およびバルブシート部495と、内側シート部498およびバルブシート部499との間の部分が有孔円板状の本体部500となっている。
内側シート部494は、本体部500の軸方向の大径穴部492側の内周縁部から、本体部500の軸方向に沿って一側に突出している。バルブシート部495も、内側シート部494の径方向外側で本体部500の軸方向に沿って本体部500から内側シート部494と同側に突出している。
バルブシート部495は、花びら型の異形シートであり、複数の同形状のバルブシート構成部501を有している。バルブシート構成部501は、ピストン本体35Jの径方向における内端部が内側シート部494に接続されることにより、内側シート部494とで枠状をなす。これらのバルブシート構成部501が、ピストン本体35Jの周方向に等間隔で配置されている。すべてのバルブシート構成部501の内側位置には、本体部500をその軸方向に沿って貫通する複数の通路孔506が形成されている。
バルブシート部499も、花びら型の異形シートであり、複数の同形状のバルブシート構成部511を有している。バルブシート構成部511は、ピストン本体35Jの径方向における内端部が内側シート部498に接続されることにより、内側シート部498とで枠状をなす。これらのバルブシート構成部511が、ピストン本体35Jの周方向に等間隔で配置されている。すべてのバルブシート構成部511の内側位置には、本体部500をその軸方向に沿って貫通する複数の通路孔516が形成されている。
複数のバルブシート構成部501のピストン本体35Jの周方向における配置ピッチと、複数のバルブシート構成部511のピストン本体35Jの周方向における配置ピッチとは同じである。バルブシート構成部501およびバルブシート構成部511は、互いに半ピッチ分ずれている。そして、通路孔506は、ピストン本体35Jの周方向に隣り合うバルブシート構成部511とバルブシート構成部511との間に配置されている。よって、通路孔506は、バルブシート部499の範囲の外側に配置されている。通路孔516は、ピストン本体35Jの周方向に隣り合うバルブシート構成部501とバルブシート構成部501との間に配置されている。よって、バルブシート部495の範囲の外側に配置されている。
ピストン本体35Jには、内側シート部494を径方向に横断する通路溝520が形成されている。通路溝520は、バルブシート構成部501内に連通している。通路溝520は、通路孔506と大径穴部492とを連通させる。ピストン本体35Jは、ピストン本体35Jの周方向において隣り合うバルブシート構成部501とバルブシート構成部501との間が通路溝521となっている。通路孔516は、通路溝521の底面に開口している。よって、通路溝521は通路孔516に連通する。ピストン本体35Jは、ピストン本体35Jの周方向において隣り合うバルブシート構成部511とバルブシート構成部511との間が通路溝525となっている。通路孔506は、通路溝525の底面に開口している。よって、通路溝525は通路孔506に連通する。
ピストン18Jの第1室19側にディスクバルブ61が設けられている。ピストン18Jの第2室20側にディスクバルブ51が設けられている。ディスクバルブ61は、ピストン18Jのバルブシート部495に当接することで通路孔506を閉塞し、バルブシート部495から離間することで通路孔506を開放する。ピストン18Jの通路溝525および通路孔506内の通路と、開時に生じるディスクバルブ61とバルブシート部495との間が第1通路132Jを構成している。ディスクバルブ61とバルブシート部495とが第1通路132Jに設けられて第1通路132Jを開閉する縮み側の第1減衰力発生機構42Jを構成している。第1減衰力発生機構42Jは固定オリフィス62を含んでいる。
ディスクバルブ51は、ピストン18Jのバルブシート部499に当接することで通路孔516を閉塞し、バルブシート部499から離間することで通路孔516を開放する。ピストン18Jの通路溝521および通路孔516内の通路と、開時に生じるディスクバルブ51とバルブシート部499との間とが第1通路131Jを構成している。ディスクバルブ51とバルブシート部499とが、伸び側の第1減衰力発生機構41Jを構成している。第1減衰力発生機構41Jは、第1通路131Jに設けられて第1通路131Jを開閉する。第1減衰力発生機構41Jは固定オリフィス52を含んでいる。ディスクバルブ51のピストン18Jとは反対側に、第6実施形態と同様の変形抑制部65が、第6実施形態の変形抑制部65に対して軸方向に反転した向きで設けられている。
第8実施形態の緩衝器1Jは、取付軸部28Jにおける最も軸段部29側に、第6実施形態と同様の変形抑制部355が、第6実施形態の変形抑制部355に対して軸方向に反転した向きで設けられている。また、変形抑制部355の軸段部29とは反対側に、第6実施形態と同様のディスクバルブ354が、第6実施形態のディスクバルブ354に対して軸方向に反転した向きで設けられている。
ディスクバルブ354の変形抑制部355とは反対側に、第6実施形態の弁座部材353に対して一部異なる弁座部材353Jが設けられている。弁座部材353Jも、弁座部材353に対して軸方向に反転した向きで取付軸部28Jに設けられている。弁座部材353Jは、大径穴部392が設けられておらず、取付軸部28Jを嵌合させる嵌合穴部391Jが設けられている。また、弁座部材353Jは、通路溝421に対して内側シート部394を径方向に貫通しない長さとされた通路溝421Jが形成されている。通路溝421Jは、弁座部材353Jの周方向において隣り合うバルブシート構成部401とバルブシート構成部401との間の部分である。また、弁座部材353Jのディスクバルブ354とは反対側に、第6実施形態と同様のディスクバルブ352が、第6実施形態のディスクバルブ352に対して軸方向に反転した向きで設けられている。ディスクバルブ352の弁座部材353Jとは反対側にディスク162Jが設けられている。
ディスク162Jのディスクバルブ352とは反対側に、第6実施形態の周波数感応部72Fとは一部異なる周波数感応部72Jが設けられている。周波数感応部72Jも、周波数感応部72Fに対して軸方向に反転した向きで取付軸部28Jに設けられている。周波数感応部72Jは、支持ディスク374にかえて、これとは一部異なる支持ディスク374J(絞り部材,絞りバルブ)が設けられている。支持ディスク374Jは、軸方向一側に隣接するディスク162Jと、軸方向他側に隣接するスペーサ部373のディスク532とで、絞り流路76Jを形成する絞り流路形成部77Jを構成している。絞り流路76Jは可変室121Fに連通する。また、絞り流路76Jは弁座部材353Jの通路溝421Jおよび通路孔416内の通路に連通する。周波数感応部72Jのディスクバルブ352とは反対側に底部361を配置して、第6実施形態と同様のキャップ部材351が、第6実施形態のキャップ部材351に対して軸方向に反転した向きで設けられている。キャップ部材351の底部361の周波数感応部72Jとは反対側にディスクバルブ61が配置されている。
緩衝器1Jでは、ピストン18Jの通路溝525、通路孔506、通路溝520および大径穴部492内の通路と、ロッド通路75Jと、絞り流路形成部77Jの絞り流路76Jと、弁座部材353Jの通路溝421Jおよび通路孔416内の通路と、開時に生じる弁体ディスク451と弁座部材353Jのバルブシート部399との隙間と、可変室121Fと、可変室122Fと、キャップ部材351の通路穴363内の通路と、弁座部材353の通路溝425および通路孔406内の通路と、開時に生じる弁体ディスク441と弁座部材353Jのバルブシート部395との隙間とが、第1通路131J,132Jと並列する第2通路141Jを構成している。
第2通路141Jは、ピストン18Jの通路溝520および大径穴部492内の通路と、ピストンロッド21Jのロッド通路75Jと、絞り流路形成部77Jの絞り流路76Jと、弁座部材353Jの通路溝421Jおよび通路孔416内の通路と、開時に生じる弁体ディスク451と弁座部材353Jのバルブシート部399との隙間と、可変室121Fと、可変室122Fと、キャップ部材351の通路穴363内の通路と、弁座部材353Jの通路溝425および通路孔406内の通路と、開時に生じる弁体ディスク441と弁座部材353Jのバルブシート部395との隙間とが、第1通路131J,132Jと並列する並列通路142Jとなっている。
第2通路141Jは、ピストンロッド21Jのロッド通路75Jを含んでいる。第2通路141Jは、ピストンロッド21Jに設けられている。並列通路142Jと周波数感応部72Jとバルブシート部399とディスクバルブ354とが、第2通路141Jに設けられており、第1減衰力発生機構42Jと並列して減衰力を発生する縮み側の第2減衰力発生機構145Jを構成している。並列通路142Jと周波数感応部72Jとバルブシート部395とディスクバルブ352とが、第2通路141Jに設けられており、第1減衰力発生機構41Jと並列して減衰力を発生する伸び側の第2減衰力発生機構145Kを構成している。第2減衰力発生機構145J,145Kは、絞り流路76Jと周波数感応部72Jとを含んでいる。弁座部材353Jは、ピストンロッド21Jに固定されて、第2通路141Jの一部を形成している。
周波数感応部72Jは、以下のように作用する。
すなわち、ピストン周波数が低周波数での縮み行程では、その初期において第2通路141Jを介して第2室20から可変室121Fに入る油液のボリュームが大きく、区画ディスク372の変形量が大きい。このため、区画ディスク372が底部361側に弾性変形して停止する。すると、その後は、可変室121Fに油液が導入されない状態となる。これにより、第2室20からの油液は、ピストン速度の低速域では第1通路132Jから固定オリフィス62を介して第1室19に流れる。
ピストン速度の中速域では第2通路141Jから第2減衰力発生機構145Jのディスクバルブ354を開いて第1室19に流れる。
ピストン速度の高速域では第2通路141Jからディスクバルブ354を開いての流れに加えて第1通路132Jのディスクバルブ61を開いて第1室19に流れる。
ピストン周波数が高周波での縮み行程においては、第2通路141Jを介して第2室20から可変室121Fに入る油液のボリュームが小さく、区画ディスク372の変形量が小さい。このため、可変室121Fで第2室20から流れ出す油液を吸収することができる。これにより、上記のように固定オリフィス62を介して第2室20から第1室19に流れる油液の液量と、ディスクバルブ354を開いて第2室20から第1室19に流れる油液の液量と、ディスクバルブ354およびディスクバルブ61を開いて第2室20から第1室19に流れる油液の液量とが減る。よって、固定オリフィス62、ディスクバルブ354およびディスクバルブ61は、ピストン周波数が低周波数のときよりもソフトな減衰力を発生する。
ピストン周波数が低周波数での伸び行程では、その初期において第2通路141Kを構成する底部361の通路穴363内の通路を介して第1室19から可変室122Fに入る油液のボリュームが大きく、区画ディスク372の変形量が大きい。このため、区画ディスク372が支持ディスク374J側に弾性変形して停止する。すると、その後は、可変室122Fに油液が導入されない状態となる。これにより、第1室19からの油液は、ピストン速度の低速域では固定オリフィス52を介して第2室20に流れる。
ピストン速度の中速域では第2通路141Jから第2減衰力発生機構145Kのディスクバルブ352を開いて第2室20に流れる。
ピストン速度の高速域では第2通路141Jからディスクバルブ352を開いての流れに加えて、第1通路131Jからディスクバルブ51を開いて第2室20に流れる。
ピストン周波数が高周波での伸び行程においては、第1室19から可変室122Fに入る油液のボリュームが小さく、区画ディスク372の変形量が小さい。このため、可変室122Fで第1室19から流れ出す油液を吸収することができる。これにより、固定オリフィス52を介して第1室19から第2室20に流れる油液の液量と、ディスクバルブ352およびディスクバルブ51を開いて第1室19から第2室20に流れる油液の液量とが減り、よって、固定オリフィス52、ディスクバルブ352およびディスクバルブ51は、ピストン周波数が低周波数のときよりもソフトな減衰力を発生する。
絞り流路76Jを形成する支持ディスク374J、ディスク162Jおよびディスク532は、いずれも取付軸部28Jに嵌合する有孔円形平板状である。支持ディスク374Jには、切欠部171Jが形成されている。切欠部171Jは、取付軸部28Jに嵌合する内周端縁部170Jから径方向外方に径方向の中間所定位置まで延出する。切欠部171Jも支持ディスク374の径方向における外周側が内周側よりも広い切り欠き形状である。支持ディスク374Jは外径が全周にわたって一定である。支持ディスク374Jにはその周方向に等間隔で同形状の切欠部171Jが複数形成されている。
ディスク162Jは、内径が全周にわたって一定であり、外径も全周にわたって一定であって、全周にわたって径方向の幅が一定である。ディスク162Jは、その内径が支持ディスク374Jの最小内径と同等である。ディスク532は、内径が全周にわたって一定であり、外径も全周にわたって一定であって、全周にわたって径方向の幅が一定である。ディスク532は、その内径が支持ディスク374Jの最小内径と同等である。
全ての切欠部171Jは、支持ディスク374Jの径方向においてディスク162Jおよびディスク532よりも外側まで延びている。よって、ディスク162Jは、支持ディスク374Jの全ての切欠部171Jについて、支持ディスク374Jの径方向におけるそれぞれの内側の一部を軸方向のディスク532とは反対側で覆って閉塞させる。また、ディスク532は、支持ディスク374Jの全ての切欠部171Jについて、支持ディスク374Jの径方向におけるそれぞれの内側の一部を軸方向のディスク162Jとは反対側で覆って閉塞させる。
全ての切欠部171Jは、支持ディスク374Jの径方向におけるそれぞれの外側の一部を、支持ディスク374Jおよび弁座部材353の間を介して通路溝421Jおよび通路孔416内の通路に連通させている。また、全ての切欠部171Jは、支持ディスク374Jの径方向におけるそれぞれの外側の一部を、可変室121Fにも連通させている。
支持ディスク374Jは、ディスク162Jおよびディスク532とで絞り流路76Jを形成している。支持ディスク374Jは、絞り流路76Jを含む第2減衰力発生機構145J,145Kに設けられている。支持ディスク374Jは、複数の切欠部171Jを周方向にほぼ等間隔に有する。支持ディスク374Jは、切欠部171Jにより第2通路141Jに絞り流路76Jを形成する絞りバルブである。ピストンロッド21Jの取付軸部28Jの軸方向において、支持ディスク374Jすなわち絞り流路76Jは溝部211Jと軸方向位置を重ね合わせている。これにより、絞り流路76Jはロッド通路75Jに連通する。
そして、第8実施形態においても、支持ディスク374Jが、第3実施形態の絞りディスク161Aと同様にして切欠部171Jの溝部211Jとの関係が設定されている。よって、ピストンロッド21Jの取付軸部28Jに対して、円周方向の取り付け位置に関わらず、絞り流路76Jの流路面積が一定になるよう形成されている。
[第9実施形態]
次に、第9実施形態を主に図27に基づいて第6実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第6実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
図27に示すように、第9実施形態の緩衝器1Lでは、ピストンロッド21Lがピストンロッド21Fと一部異なっている。具体的には取付軸部28Lが取付軸部28Fと一部異なっている。取付軸部28Lには、ロッド通路75Fと同様で、取付軸部28Lの軸方向におけるオネジ31C側の端部位置をロッド通路75Fよりも軸段部29側にずらしたロッド通路75Lが設けられている。
ロッド通路75Lは、2箇所の溝部211Fと同様で、取付軸部28Lの軸方向におけるオネジ31C側の端部位置をこれら溝部211Fよりも軸段部29側にずらした2箇所の溝部211Lによって形成されている。溝部211Lは、底面212Lおよび開口部156Lも、取付軸部28Lの軸方向におけるオネジ31C側の端部位置が底面212Fおよび開口部156Fよりも軸段部29側にずれている。2箇所の溝部211Lも取付軸部28Lの軸方向における位置を合わせている。
第9実施形態の緩衝器1Lは、弁座部材353とは一部異なる弁座部材353Lを有している。弁座部材353Lは、取付軸部28Lを嵌合させる嵌合穴部391Lが径方向の中央に形成されている。弁座部材353Lは、軸方向一側の端部に、嵌合穴部391Lを囲むように円環状をなす内側シート部394Lと、この内側シート部394Lよりも径方向外側で円環状をなすバルブシート部395Lとを有している。また、弁座部材353Lは、軸方向反対側の端部に、嵌合穴部391Lを囲むように円環状をなす内側シート部398Lと、この内側シート部398Lよりも径方向外側で円環状をなすバルブシート部399Lとを有している。弁座部材353Lは、その軸方向における、内側シート部394Lおよびバルブシート部395Lと、内側シート部398Lおよびバルブシート部399Lとの間の部分が有孔円板状の本体部400Lとなっている。
本体部400Lには、通路孔406Lが複数形成されている。通路孔406Lは、軸方向一側の内側シート部394Lおよびバルブシート部395Lの径方向の間の位置と、軸方向他側のバルブシート部399Lよりも径方向外側の位置とを結ぶように、本体部400Lをその軸方向に対して傾斜して直線状に貫通する。本体部400Lには、通路孔416Lが複数形成されている。通路孔416Lは、軸方向他側の内側シート部398Lおよびバルブシート部399Lの径方向の間の位置と、軸方向一側のバルブシート部395Lよりも径方向外側の位置とを結ぶように、本体部400Lをその軸方向に対して傾斜して直線状に貫通する。
ディスクバルブ352は、弁体ディスク441がバルブシート部395Lに当接して通路孔406L内の通路を閉塞する一方、弁体ディスク441がバルブシート部395Lから離間して通路孔406L内の通路を開放する。
ディスクバルブ354は、弁体ディスク451がバルブシート部399Lに当接して通路孔416L内の通路を閉塞する一方、弁体ディスク451がバルブシート部399Lから離間して通路孔416L内の通路を開放する。
第9実施形態の緩衝器1Lは、周波数感応部72Fの支持ディスク374とディスクバルブ352との間に、ロッド通路75Lに連通する絞り流路76Lを形成する絞り流路形成部77Lが設けられている。
緩衝器1Lでは、ピストン18の複数の通路穴37および環状凹部38内の通路と、絞り流路形成部77Aの絞り流路76Aと、ピストンロッド21Lのロッド通路75Lと、絞り流路形成部77Lの絞り流路76Lと、弁座部材353Lの通路孔416L内の通路と、開時に生じる弁体ディスク451と弁座部材353Lのバルブシート部399Lとの隙間と、支持ディスク374の通路穴377内の通路と、可変室121Fと、可変室122Fと、キャップ部材351の通路穴363内の通路と、弁座部材353Lの通路孔406L内の通路と、開時に生じる弁体ディスク441と弁座部材353Lのバルブシート部395Lとの隙間とが、第1通路131,132と並列する第2通路141Lを構成している。
第2通路141Lは、絞り流路形成部77Aの絞り流路76Aと、ピストンロッド21Lのロッド通路75Lと、絞り流路形成部77Lの絞り流路76Lと、弁座部材353Lの通路孔416L内の通路と、開時に生じる弁体ディスク451と弁座部材353Lのバルブシート部399Lとの隙間と、支持ディスク374の通路穴377内の通路と、可変室121Fと、可変室122Fと、キャップ部材351の通路穴363内の通路と、弁座部材353Lの通路孔406L内の通路と、開時に生じる弁体ディスク441と弁座部材353Lのバルブシート部395Lとの隙間とが、第1通路131と並列する並列通路142Lとなっている。
第2通路141Lは、ピストンロッド21Lのロッド通路75Lを含んでいる。第2通路141Lは、ピストンロッド21Lに設けられている。並列通路142Lと周波数感応部72Fとバルブシート部399Lとディスクバルブ354とが、第2通路141Lに設けられており、第1減衰力発生機構41と並列して減衰力を発生する伸び側の第2減衰力発生機構145Lを構成している。並列通路142Lと周波数感応部72Fとバルブシート部395Lとディスクバルブ352Lとが、第2通路141Lに設けられており、第1減衰力発生機構42と並列して減衰力を発生する縮み側の第2減衰力発生機構145Mを構成している。第2減衰力発生機構145L,145Mは、絞り流路76A,76Lと周波数感応部72Fとを含んでいる。弁座部材353Lは、ピストンロッド21Lに固定されて、第2通路141Lの一部を形成している。
緩衝器1Lは、第2通路141Lの一部が第2通路141Fとは異なるものの、その作動は、第6実施形態の緩衝器1Fと同様である。
第9実施形態の緩衝器1Lにおいて、絞り流路形成部77Lは、支持ディスク374に当接するディスク551と、ディスク551の支持ディスク374とは反対側に当接する絞りディスク161L(絞り部材,絞りバルブ)と、絞りディスク161Lのディスク551とは反対側に当接するディスク162Lとを有している。
ディスク551、絞りディスク161Lおよびディスク162Lは、いずれも取付軸部28Lに嵌合する有孔円形平板状である。ディスク551は、内径が全周にわたって一定であり、外径も全周にわたって一定であって、全周にわたって径方向の幅が一定である。ディスク551は、その内径が絞りディスク161Lの最小内径と同等であり、その外径が絞りディスク161Lの外径よりも小径である。
絞りディスク161Lには、切欠部171Lが形成されている。切欠部171Lは、取付軸部28Lに嵌合する内周端縁部170Lから径方向外方に径方向の中間所定位置まで延出する。切欠部171Lも絞りディスク161Lの径方向における外周側が内周側よりも広い切り欠き形状である。絞りディスク161Lは外径が全周にわたって一定である。絞りディスク161Lにはその周方向に等間隔で同形状の切欠部171Lが複数形成されている。全ての切欠部171Lは、絞りディスク161Lの径方向においてディスク551よりも外側まで延びている。よって、ディスク551は、絞りディスク161Lの全ての切欠部171Lについて、絞りディスク161Lの径方向におけるそれぞれの内側の一部を軸方向のディスク162Lとは反対側で覆って閉塞させる。絞りディスク161Lは、全ての切欠部171Lについて、絞りディスク161Lの径方向におけるそれぞれの外側の一部を通路孔416L内の通路および可変室121Fに連通させている。
ディスク162Lは、内径が全周にわたって一定であり、外径も全周にわたって一定であって、全周にわたって径方向の幅が一定である。ディスク162Lは、その内径が絞りディスク161Lの最小内径と同等であり、その外径が絞りディスク161Lの外径よりも大径である。よって、ディスク162Lは、絞りディスク161Lの全ての切欠部171Lについて、それぞれの全体を軸方向のディスク551とは反対側で覆って閉塞させる。ディスク162Lは、ディスクバルブ352の開方向への所定量以上の変形をディスクバルブ352に当接して抑制する。
絞りディスク161Lは、ディスク162L,551とによって絞り流路76Lを形成する。このため、絞りディスク161A,161Lが、絞り流路76A,76Lを含む第2減衰力発生機構145L,145Mに設けられている。絞りディスク161Lは、複数の切欠部171Lを周方向にほぼ等間隔に有する。絞りディスク161Aは、切欠部171Aにより第2通路141Lに絞り流路76Aを形成する絞りバルブである。絞りディスク161Lは、切欠部171Lにより第2通路141Lに絞り流路76Lを形成する絞りバルブである。ピストンロッド21Lの取付軸部28Lの軸方向において、絞りディスク161A,161Lすなわち絞り流路76A,76Lは、ともに溝部211Lと軸方向位置を重ね合わせている。これにより、絞り流路76A,76Lはロッド通路75Lに連通する。
そして、第9実施形態においても、絞りディスク161Aの切欠部171Aと絞りディスク161Lの161Lとが、第3実施形態の絞りディスク161Bと同様にして溝部211Lとの関係が設定されている。よって、絞りディスク161Aは、ピストンロッド21Lの取付軸部28Lに対して、円周方向の取り付け位置に関わらず、絞り流路76Aの流路面積が一定になるよう形成されており、絞りディスク161Lは、ピストンロッド21Lの取付軸部28Lに対して、円周方向の取り付け位置に関わらず、絞り流路76Lの流路面積が一定になるよう形成されている。
[第10実施形態]
次に、第10実施形態を主に図28に基づいて第9実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第9実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
図28に示すように、第10実施形態の緩衝器1Nでは、ピストンロッド21Nがピストンロッド21Lと一部異なっている。具体的には取付軸部28Nが取付軸部28Lと一部異なっている。取付軸部28Nは、取付軸部28Lよりも若干軸方向に長くなっている。取付軸部28Nには、ロッド通路75Lと同様で、取付軸部28Nの軸方向におけるオネジ31C側の端部位置をロッド通路75Lよりもオネジ31C側に若干ずらしたロッド通路75Nが設けられている。
ロッド通路75Nは、2箇所の溝部211Lと同様で、取付軸部28Nの軸方向におけるオネジ31C側の端部位置をこれら溝部211Lよりもオネジ31C側に若干ずらした2箇所の溝部211Nによって形成されている。溝部211Nは、底面212Nおよび開口部156Nも、取付軸部28Nの軸方向におけるオネジ31C側の端部位置が底面212Lおよび開口部156Lよりもオネジ31C側に若干ずれている。2箇所の溝部211Nも取付軸部28Nの軸方向における位置を合わせている。
第10実施形態の緩衝器1Nでは、支持ディスク374とディスクバルブ352との間に、ロッド通路75Nに連通する絞り流路76Lと、ロッド通路75Nに連通する絞り流路76Nとを並列して形成する絞り流路形成部77Nが設けられている。
緩衝器1Nでは、ピストン18の複数の通路穴37および環状凹部38内の通路と、絞り流路形成部77Aの絞り流路76Aと、ピストンロッド21Nのロッド通路75Nと、絞り流路形成部77Nの絞り流路76L,76Nと、弁座部材353Lの通路孔416L内の通路と、開時に生じる弁体ディスク451と弁座部材353Lのバルブシート部399Lとの隙間と、支持ディスク374の通路穴377内の通路と、可変室121Fと、可変室122Fと、キャップ部材351の通路穴363内の通路と、弁座部材353Lの通路孔406L内の通路と、開時に生じる弁体ディスク441と弁座部材353Lのバルブシート部395Lとの隙間とが、第1通路131,132と並列する第2通路141Nを構成している。
第2通路141Nは、絞り流路形成部77Aの絞り流路76Aと、ピストンロッド21Nのロッド通路75Nと、絞り流路形成部77Nの絞り流路76L,76Nと、弁座部材353Lの通路孔416L内の通路と、開時に生じる弁体ディスク451と弁座部材353Lのバルブシート部399Lとの隙間と、支持ディスク374の通路穴377内の通路と、可変室121Fと、可変室122Fと、キャップ部材351の通路穴363内の通路と、弁座部材353Lの通路孔406L内の通路と、開時に生じる弁体ディスク441と弁座部材353Lのバルブシート部395Lとの隙間とが、第1通路131と並列する並列通路142Nとなっている。
第2通路141Nは、ピストンロッド21Nのロッド通路75Nを含んでいる。第2通路141Nは、ピストンロッド21Nに設けられている。並列通路142Nと周波数感応部72Fとバルブシート部399Lとディスクバルブ354とが、第2通路141Nに設けられており、第1減衰力発生機構41と並列して減衰力を発生する伸び側の第2減衰力発生機構145Nを構成している。並列通路142Nと周波数感応部72Fとバルブシート部395Lとディスクバルブ352とが、第2通路141Nに設けられており、第1減衰力発生機構42と並列して減衰力を発生する縮み側の第2減衰力発生機構145Pを構成している。第2減衰力発生機構145N,145Pは、絞り流路76A,76L,76Nと周波数感応部72Fとを含んでいる。弁座部材353Lは、ピストンロッド21Nに固定されて、第2通路141Nの一部を形成している。
緩衝器1Nは、第2通路141Nの一部が第2通路141Fとは異なるものの、その作動は、第6実施形態の緩衝器1Fと同様である。
第10実施形態の緩衝器1Nにおいて、絞り流路形成部77Nは、絞り流路76Lを形成する第9実施形態と同様のディスク551、絞りディスク161Lおよびディスク162Lに加えて、絞り流路76Nを形成するディスク551Nと、絞りディスク161N(絞り部材,絞りバルブ)とを有している。ディスク551Nおよび絞りディスク161Nは、支持ディスク374とディスク551との間に設けられており、ディスク551Nが支持ディスク374に当接し、絞りディスク161Nがディスク551に当接する。取付軸部28Nおよびロッド通路75Nは、ディスク551Nと絞りディスク161Nとの厚さ分だけ取付軸部28Lおよびロッド通路75Lよりも長くなっている。
ディスク551Nおよび絞りディスク161Nは、いずれも取付軸部28Nに嵌合する有孔円形平板状である。ディスク551Nは、内径が全周にわたって一定であり、外径も全周にわたって一定であって、全周にわたって径方向の幅が一定である。ディスク551,551Nは、それぞれの内径が絞りディスク161Nの最小内径と同等であり、それぞれの外径が絞りディスク161Nの外径よりも小径である。ディスク551Nは、ディスク551と同形状の部品として、互換性を持たせることができる。
絞りディスク161Nには、切欠部171Nが形成されている。切欠部171Nは、取付軸部28Nに嵌合する内周端縁部170Nから径方向外方に径方向の中間所定位置まで延出する。切欠部171Nも絞りディスク161Nの径方向における外周側が内周側よりも広い切り欠き形状である。絞りディスク161Nは外径が全周にわたって一定である。絞りディスク161Nにはその周方向に等間隔で同形状の切欠部171Nが複数形成されている。全ての切欠部171Nは、絞りディスク161Nの径方向においてディスク551,551Nよりも外側まで延びている。よって、ディスク551Nは、絞りディスク161Nの全ての切欠部171Nについて、絞りディスク161Nの径方向におけるそれぞれの内側の一部を軸方向のディスク551とは反対側で覆って閉塞させる。また、ディスク551は、絞りディスク161Nの全ての切欠部171Nについて、絞りディスク161Nの径方向におけるそれぞれの内側の一部を軸方向のディスク551Nとは反対側で覆って閉塞させる。絞りディスク161Nは、絞りディスク161Lと同様、全ての切欠部171Nについて、絞りディスク161Nの径方向におけるそれぞれの外側の一部を通路孔416L内の通路および可変室121Fに連通させている。絞りディスク161Nは、絞りディスク161Lと同形状の部品とし、互換性を持たせることができる。
絞りディスク161A,161L,161Nは、絞り流路76A,76L,76Nを含む第2減衰力発生機構145N,145Pに設けられている。絞りディスク161Nは、複数の切欠部171Nを周方向にほぼ等間隔に有する。絞りディスク161Nは、切欠部171Nにより第2通路141Nに絞り流路76Nを形成する絞りバルブである。ピストンロッド21Nの取付軸部28Nの軸方向において、絞りディスク161A,161L,161Nすなわち絞り流路76A,76L,76Nは、ともに溝部211Nと軸方向位置を重ね合わせている。これにより、絞り流路76A,76L,76Nはロッド通路75Nに連通する。
そして、第10実施形態においては、絞りディスク161Nの切欠部171Nについて、第3実施形態の絞りディスク161Bと同様にして溝部211Nとの関係が設定されている。よって、絞りディスク161Nは、ピストンロッド21Nの取付軸部28Nに対して、円周方向の取り付け位置に関わらず、絞り流路76Nの流路面積が一定になるよう形成されている。絞りディスク161A,161Lも同様である。
[第11実施形態]
次に、第11実施形態を主に図29に基づいて第9実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第9実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
図29に示すように、第11実施形態の緩衝器1Qでは、ピストンロッド21Qがピストンロッド21Lと一部異なっている。具体的には取付軸部28Qが取付軸部28Lと一部異なっている。取付軸部28Qは軸方向の長さが取付軸部28Lよりも短い。取付軸部28Qには、ロッド通路75Lと同様で、取付軸部28Qの軸方向におけるオネジ31C側の端部位置をロッド通路75Lよりも軸段部29側にずらしたロッド通路75Qが設けられている。
ロッド通路75Qは、2箇所の溝部211Lと同様で、取付軸部28Qの軸方向におけるオネジ31C側の端部位置をこれら溝部211Lよりも軸段部29側にずらした2箇所の溝部211Qによって形成されている。溝部211Qは、底面212Qおよび開口部156Qも、取付軸部28Qの軸方向におけるオネジ31C側の端部位置が底面212Lおよび開口部156Lよりも軸段部29側にずれている。2箇所の溝部211Qも取付軸部28Qの軸方向における位置を合わせている。
緩衝器1Qでは、底部361とは一部異なる形状の底部361Qが設けられた点がキャップ部材351に対して異なるキャップ部材351Q(絞り部材,絞りバルブ)が設けられている。緩衝器1Qでは、周波数感応部72Qがキャップ部材351Qの内部ではなく、キャップ部材351Qの外に設けられている。周波数感応部72Qは、ディスクバルブ51とキャップ部材351Qの底部361Qとの間に設けられている。周波数感応部72Qは、周波数感応部72Fに対して同様の部品が異なる配置で設けられている。
すなわち、周波数感応部72Qは、取付軸部28Qを内側に嵌合させて、底部361Q側から順に、スペーサ部373、区画ディスク372、スペーサ部371、支持ディスク374が設けられている。また、周波数感応部72Qは、底部361Qと区画ディスク372との間に皿バネ382が、区画ディスク372と支持ディスク374との間に皿バネ381が設けられている。区画ディスク372と皿バネ381との間の可変室122Fは、支持ディスク374の通路穴377を介して第2室20に連通する。
キャップ部材351Qの底部361Qとディスクバルブ352との間にディスク571が設けられている。キャップ部材351Qの底部361Qにディスク571とは反対側で当接するスペーサ部373のディスク532と、キャップ部材351Qの底部361Qと、ディスク571とが、ロッド通路75Qに連通する絞り流路76Qを形成する絞り流路形成部77Qを構成している。絞り流路76Qは、区画ディスク372と皿バネ382との間の可変室121Fに連通する。また、絞り流路76Qは弁座部材353Lの通路孔416L内の通路に連通する。
緩衝器1Qでは、ピストン18の複数の通路穴37および環状凹部38内の通路と、絞り流路形成部77Aの絞り流路76Aと、ピストンロッド21Qのロッド通路75Qと、絞り流路形成部77Qの絞り流路76Qと、弁座部材353Lの通路孔416L内の通路と、開時に生じる弁体ディスク451と弁座部材353Lのバルブシート部399Lとの隙間と、可変室121Fと、可変室122Fと、支持ディスク374の通路穴377内の通路と、弁座部材353Lの通路孔406L内の通路と、開時に生じる弁体ディスク441と弁座部材353Lのバルブシート部395Lとの隙間とが、第1通路131,132と並列する第2通路141Qを構成している。
第2通路141Qは、絞り流路形成部77Aの絞り流路76Aと、ピストンロッド21Qのロッド通路75Qと、絞り流路形成部77Qの絞り流路76Qと、弁座部材353Lの通路孔416L内の通路と、開時に生じる弁体ディスク451と弁座部材353Lのバルブシート部399Lとの隙間と、可変室121Fと、可変室122Fと、支持ディスク374の通路穴377内の通路と、弁座部材353Lの通路孔406L内の通路と、開時に生じる弁体ディスク441と弁座部材353Lのバルブシート部395Lとの隙間とが、第1通路131と並列する並列通路142Qとなっている。
第2通路141Qは、ピストンロッド21Qのロッド通路75Qを含んでいる。第2通路141Qは、ピストンロッド21Qに設けられている。並列通路142Qと周波数感応部72Qとバルブシート部399Lとディスクバルブ354とが、第2通路141Qに設けられており、第1減衰力発生機構41と並列して減衰力を発生する伸び側の第2減衰力発生機構145Qを構成している。並列通路142Qと周波数感応部72Qとバルブシート部395Lとディスクバルブ352Lとが、第2通路141Qに設けられており、第1減衰力発生機構42と並列して減衰力を発生する縮み側の第2減衰力発生機構145Rを構成している。第2減衰力発生機構145Q,145Rは、絞り流路76A,76Qと周波数感応部72Qとを含んでいる。弁座部材353Lは、ピストンロッド21Lに固定されて、第2通路141Qの一部を形成している。
緩衝器1Qは、第2通路141Qの一部が第2通路141Fとは異なるものの、その作動は、第6実施形態の緩衝器1Fと同様である。
第11実施形態の緩衝器1Qにおいて、絞り流路76Qを形成するキャップ部材351Qの底部361Q、ディスク571およびディスク532は、いずれも取付軸部28Qに嵌合する有孔円形平板状である。キャップ部材351Qの底部361Qには、取付軸部28Qに嵌合する内周端縁部170Qから径方向外方に径方向の中間所定位置まで延出する切欠部171Qが形成されている。切欠部171Qも底部361Qの径方向における外周側が内周側よりも広い切り欠き形状である。キャップ部材351Qの底部361Qは外径が全周にわたって一定である。キャップ部材351Qの底部361Qにはその周方向に等間隔で同形状の切欠部171Qが複数形成されている。
ディスク571は、内径が全周にわたって一定であり、外径も全周にわたって一定であって、全周にわたって径方向の幅が一定である。ディスク571は、その内径がキャップ部材351Qの底部361Qの最小内径と同等である。ディスク532は、内径が全周にわたって一定であり、外径も全周にわたって一定であって、全周にわたって径方向の幅が一定である。ディスク532は、その内径がキャップ部材351Qの底部361Qの最小内径と同等である。ディスク532は、その外径がディスク571の外径よりも大径である。
全ての切欠部171Qは、キャップ部材351Qの底部361Qの径方向においてディスク571およびディスク532よりも外側まで延びている。よって、ディスク571は、底部361Qの全ての切欠部171Qについて、底部361Qの径方向におけるそれぞれの内側の一部を軸方向のディスク532とは反対側で覆って閉塞させる。また、ディスク532は、底部361Qの全ての切欠部171Qについて、底部361Qの径方向におけるそれぞれの内側の一部を軸方向のディスク571とは反対側で覆って閉塞させる。
全ての切欠部171Qは、底部361Qの径方向におけるそれぞれの外側の一部を、底部361Qおよび弁座部材353Lの間を介して通路孔416L内の通路に連通させている。また、全ての切欠部171Qは、底部361Qの径方向におけるそれぞれの外側の一部を、可変室121Fにも連通させている。
絞りディスク161Aおよびキャップ部材351Qの底部361Qは、絞り流路76A,76Qを含む第2減衰力発生機構145Q,145Rに設けられている。キャップ部材351Qの底部361Qは、複数の切欠部171Qを周方向にほぼ等間隔に有する。キャップ部材351Qの底部361Qは、切欠部171Qにより第2通路141Qに絞り流路76Qを形成する絞りバルブである。ピストンロッド21Qの取付軸部28Qの軸方向において、絞りディスク161Aおよびキャップ部材351Qの底部361Qすなわち絞り流路76A,76Qは、共に溝部211Qと軸方向位置を重ね合わせている。これにより、絞り流路76A,76Qはロッド通路75Qに連通する。
そして、第11実施形態において、キャップ部材351Qの底部361Qの切欠部171Qについて、第3実施形態の絞りディスク161Bと同様にして溝部211Qとの関係が設定されている。よって、キャップ部材351Qの底部361Qは、ピストンロッド21Qの取付軸部28Qに対して、円周方向の取り付け位置に関わらず、絞り流路76Qの流路面積が一定になるよう形成されている。絞りディスク161Aも同様である。
[第12実施形態]
次に、第12実施形態を主に図30および図31に基づいて第4実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第4実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
図30に示すように、第12実施形態の緩衝器1Sでは、ピストンロッド21Cとは異なるピストンロッド21Sが用いられている。ピストンロッド21Sは、電気的に駆動されて油液の流れを制御する流量調整部601が設けられた点が主軸部27とは異なる主軸部27Sを有している。ピストンロッド21Sは、取付軸部28Cとは一部異なる取付軸部28Sを有している。流量調整部601は、主軸部27Sの取付軸部28S側の部分に設けられている。流量調整部601は、主軸部27Sの取付軸部28S側の端部の軸段部29Sに開口する通路穴602を有している。
ピストンロッド21Sは、先端部材611を有している。先端部材611は、主軸部27Sの軸段部29Sを構成する。先端部材611には、取付軸部28Sを有し通路穴602が形成されている。先端部材611は、取付軸部28Sと、取付軸部28Sの軸方向の一端から径方向外側に広がって軸段部29Sを形成する軸段部形成部612と、軸段部形成部612の外周部から軸方向の取付軸部28Sとは反対側に延出する円筒状の取付部613とを有している。通路穴602は、軸段部形成部612の径方向における取付軸部28Sと取付部613との間の部分を軸方向に貫通している。先端部材611には取付軸部28Sの径方向の中央位置に、取付軸部28Sを軸方向に貫通する貫通孔615が形成されている。取付部613の外周部にはオネジ617が形成されている。先端部材611は、このオネジ617において流量調整部601の外周部を構成する筒状部材621の内周部のメネジ622に螺合されている。
流量調整部601内には、通路形成部材631が設けられている。通路形成部材631は、取付部613の径方向内側に配置されて軸段部形成部612に当接する。通路形成部材631は、円環状の当接部632を有している。当接部632は、貫通孔615を径方向外側で囲んで軸段部形成部612に当接する。通路形成部材631には、内部通路635が形成されている。内部通路635は、当接部632の径方向内側に一端が開口すると共に他端が当接部632の径方向外側に開口する。内部通路635の一端は貫通孔615内の通路に連通している。内部通路635の他端は通路穴602内の通路に連通している。
流量調整部601は、内部通路635を開閉する弁部材641と、弁部材641を電磁力で駆動する電磁駆動部642とを有している。流量調整部601は、電磁駆動部642の駆動が制御されることで弁部材641の推進力が制御され、貫通孔615内の通路から導入され内部通路635を通って通路穴602内の通路から吐出される油液の流量を制御する。
取付軸部28Sの外周部には、軸方向の軸段部29Sとは反対側の端部の外周部にオネジ31Cが形成されており、オネジ31Cと軸段部29Sとの間にロッド通路75Cとは一部異なるロッド通路75Sが形成されている。ロッド通路75Sは、一箇所の溝部211Sによって形成されている。溝部211Sは、取付軸部28Sの外周部を、取付軸部28Sの中心軸線と平行な平面状の底面212Sを形成するように切り欠いた形状である。ロッド通路75Sは、溝部211Sの開口部156Sにおいて取付軸部28Sのピストン18側の外径側に開口している。
第12実施形態の緩衝器1Sにおいては、取付軸部28Sに、取付軸部28Sを嵌合させながら軸段部29S側から順に、弁座部材651、ディスクバルブ652、変形抑制部653、第4実施形態と同様のディスクバルブ61、第4実施形態と同様のピストン18、第4実施形態と同様のディスクバルブ51C、絞り流路形成部77S、背圧付与部231S、第4実施形態と同様のハードバルブ232、第4実施形態と同様のワッシャ234、第4実施形態と同様のナット71Cが設けられている。
弁座部材651には、径方向中央に、取付軸部28Sを嵌合させる軸方向一側の小径穴部661と、小径穴部661よりも大径の軸方向他側の大径穴部662とを有している。弁座部材651は、軸方向の大径穴部662側の端部に、大径穴部662を囲むように円環状をなす内側シート部664を有している。弁座部材651は、この内側シート部664から径方向外方に広がるバルブシート部665を有している。弁座部材651は、有孔円板状の本体部666を有している。この本体部666から内側シート部664およびバルブシート部665が軸方向同側に突出している。
バルブシート部665は、花びら型の異形シートであり、複数の同形状のバルブシート構成部671を有している。バルブシート構成部671は、弁座部材651の径方向における内端部が内側シート部664に接続されることにより、内側シート部664とで枠状をなす。これらのバルブシート構成部671が、弁座部材651の周方向に等間隔で配置されている。すべてのバルブシート構成部671の内側位置には、本体部666をその軸方向に沿って貫通する通路孔672が形成されている。
弁座部材651には、軸方向の大径穴部662側に、内側シート部664を径方向に横断する通路溝675が形成されている。通路溝675は、弁座部材651の周方向において隣り合うバルブシート構成部671とバルブシート構成部671との間も含んでいる。通路溝675は大径穴部662を第1室19に連通させる。
ディスクバルブ652は、複数枚のディスクから構成されている。ディスクバルブ652は、バルブシート部665に当接して通路孔672内の通路を閉塞する一方、バルブシート部665から離間して通路孔672内の通路を開放する。変形抑制部653は、複数枚のディスクから構成されている。変形抑制部653は、ディスクバルブ652の開方向への所定量以上の変形をディスクバルブ652に当接して抑制する。変形抑制部653は、ディスクバルブ61の開方向への所定量以上の変形をディスクバルブ61に当接して抑制する。
背圧付与部231Sは、ケース部材243Sがケース部材243とは一部異なっている。ケース部材243Sは、ケース部材243Sは、径方向中央に取付軸部28Sを嵌合させる嵌合穴部271Sが形成されている。また、ケース部材243Sは、内側円筒状部263に対応する内側円筒状部263Sに大径穴部272および通路溝273が形成されていない。
絞り流路形成部77Sは、ピストンロッド21Sのロッド通路75Sを背圧室275に連通させる絞り流路76Cを有している。
流量調整部601は、縮み行程において、第2室20から、先端部材611の貫通孔615内の通路と、通路形成部材631内の内部通路635と、先端部材611の通路穴602内の通路と、弁座部材651の通路孔672内の通路と、開時に生じるディスクバルブ652とバルブシート部665との隙間とを介して第1室19に流れる油液の流れを、内部通路635の流路面積を制御することで減衰力を調整する。
緩衝器1Sでは、弁座部材651の通路溝675および大径穴部662内の通路と、ピストンロッド21Sのロッド通路75Sと、絞り流路形成部77Sの絞り流路76Cと、背圧室275と、開時に生じるハードバルブ232とケース部材243Sのバルブシート265との隙間とが、第1通路131C,132と並列する第2通路141Sを構成している。
第2通路141Sは、ピストンロッド21Sのロッド通路75Sを含んでいる。第2通路141Sは、ピストンロッド21Sに設けられている。絞り流路76Cおよび背圧付与部231Sが、第2通路141Sに設けられており、第1減衰力発生機構41Cと共働して減衰力を発生する第2減衰力発生機構145Sを構成している。第2減衰力発生機構145Sは絞り流路76Sを含んでいる。ケース部材243Sは、ピストンロッド21Sに固定されて、第2通路141Sの一部である背圧室275を形成している。
図31に示すように、絞り流路形成部77Sは、ピストンロッド21Sの取付軸部28Sに嵌合されてケース部材243Sの内側円筒状部263Sの先端面に当接する絞りディスク161S(絞り部材,絞りバルブ)と、ピストンロッド21Sの取付軸部28Sに嵌合されて絞りディスク161Sの軸方向(厚さ方向)における内側円筒状部263Sとは反対側に当接するディスク162Sとを有している。ディスク162Sは軸方向(厚さ方向)における絞りディスク161Sとは反対側がパイロットディスク241のディスク251に当接している。内側円筒状部263Sの先端面は、内径が全周にわたって一定であり、外径も全周にわたって一定であって、全周にわたって径方向の幅が一定である。
絞りディスク161Sおよびディスク162Sは、いずれも取付軸部28Sに嵌合する有孔円形平板状である。絞りディスク161Sには、切欠部171Sが形成されている。切欠部171Sは、取付軸部28Sに嵌合する内周端縁部170Sから径方向外方に径方向の中間所定位置まで延出する。切欠部171Sも絞りディスク161Sの径方向における外周側が内周側よりも広い切り欠き形状である。絞りディスク161Sは外径が全周にわたって一定である。絞りディスク161Sにはその周方向に等間隔で同形状の切欠部171Sが複数形成されている。全ての切欠部171Sは、絞りディスク161Sの径方向において内側円筒状部263Sの先端面よりも外側まで延びている。よって、内側円筒状部263Sの先端面は、絞りディスク161Sの全ての切欠部171Sについて、絞りディスク161Sの径方向におけるそれぞれの内側の一部を軸方向のディスク162Sとは反対側で覆って閉塞させる。
ディスク162Sは、内径が全周にわたって一定であり、外径も全周にわたって一定であって、全周にわたって径方向の幅が一定である。ディスク162Sは、その内径が絞りディスク161Sの最小内径と同等であり、その外径が絞りディスク161Sの外径よりも小径である。絞りディスク161Sは、全ての切欠部171Sについて、絞りディスク161Sの径方向におけるそれぞれの外側の一部を厚さ方向両側で背圧室275に連通させている。
絞りディスク161Sは、絞り流路76Sを含む第2減衰力発生機構145Sに設けられ、複数の切欠部171Sを周方向にほぼ等間隔に有する。絞りディスク161Sは、切欠部171Sにより第2通路141Sに絞り流路76Sを形成する絞りバルブである。絞りディスク161Sは、第2通路141Sにおけるケース部材243Sよりも一側であるピストン18側に設けられている。ピストンロッド21Sの取付軸部28Sの軸方向において、絞りディスク161Sすなわち絞り流路76Sは溝部211Sと軸方向位置を重ね合わせている。これにより、絞り流路76Sはロッド通路75Sに連通する。
そして、第12実施形態においても、絞りディスク161Sが、第3実施形態の絞りディスク161Bと同様にして切欠部171Sの溝部211Sとの関係が設定されており、よって、ピストンロッド21Sの取付軸部28Sに対して、円周方向の取り付け位置に関わらず、絞り流路76Sの流路面積が一定になるよう形成されている。
以上に述べた実施形態の第1の態様によれば、緩衝器は、作動流体が封入されるシリンダと、前記シリンダ内に移動可能に設けられ、該シリンダ内を第1室と第2室とに区画するピストンと、前記ピストンに連結されると共に前記シリンダの外部に延出されるピストンロッドと、前記ピストンに設けられ、前記ピストンの移動により前記シリンダ内の上流側となる室から下流側となる室に作動流体が移動する第1通路と、前記第1通路に設けられ、減衰力を発生する第1減衰力発生機構と、前記ピストンロッドに設けられる第2通路と、前記ピストンロッドに固定されて前記第2通路を形成する固定部材と、前記第2通路に設けられて減衰力を発生する第2減衰力発生機構と、を有する。この緩衝器は、前記第2減衰力発生機構に設けられ、複数の切欠部を周方向にほぼ等間隔に有すると共に該切欠部により前記第2通路に絞り流路を形成し、円周方向の取り付け位置に関わらず前記絞り流路の流路面積が一定になるよう形成された絞り部材を備える。これにより、減衰力性能の安定化を図ることができることができる。
第2の態様は、第1の態様において、前記絞り部材は、第1所定位置で前記切欠部の少なくとも一部が閉塞されると共に前記切欠部の少なくとも一部が開放され、前記第1所定位置と別の回転位置にある第2所定位置では、前記第1所定位置で閉塞されていた前記切欠部の少なくとも一部が開放されると共に前記第1所定位置で開放されていた前記切欠部の少なくとも一部が閉塞される。
第3の態様は、第1または第2の態様において、前記切欠部により形成された前記絞り流路は、閉塞されている流路面積と開放されている流路面積とがほぼ同一である。
第4の態様は、第1乃至第3のいずれか一態様において、前記ピストンロッドに設けられた前記第2通路には、第一側にあって前記ピストン側の外径面に開口する1つまたは複数の第1開口部と、第二側にあって前記ピストンロッドの内部を貫通し前記固定部材側に開口する第2開口部とが形成されている。
第5の態様は、第1乃至第3のいずれか一態様において、前記ピストンロッドに設けられた前記第2通路は、前記ピストンロッドの外周部を切り欠いて形成された溝部に設けられる。
第6の態様によれば、緩衝器は、作動流体が封入されるシリンダと、前記シリンダ内に移動可能に設けられ、該シリンダ内を第1室と第2室とに区画するピストンと、前記ピストンに連結されると共に前記シリンダの外部に延出されるピストンロッドと、前記ピストンに設けられ、前記ピストンの移動により前記シリンダ内の上流側となる室から下流側となる室に作動流体が移動する第1通路と、前記第1通路に設けられ、減衰力を発生する第1減衰力発生機構と、前記ピストンロッドに設けられる第2通路と、前記ピストンロッドに固定されて前記第2通路を形成する固定部材と、前記第2通路に設けられて減衰力を発生する第2減衰力発生機構と、を有する。前記第2減衰力発生機構は、前記第2通路の一側に設けられ、複数の切欠部を周方向等間隔に有すると共に該切欠部により前記第2通路に絞り流路を形成する絞りバルブを備える。nを前記絞りバルブに形成された前記切欠部の数とし、pを1よりも大きい自然数とし、xを0よりも大きい自然数としたとき、前記絞りバルブの前記切欠部の数は、n=pxとなる。前記ピストンロッドに設けられた前記第2通路は、前記ピストンロッドの外周部を切り欠いて形成された溝部を有する。dを前記溝部の深さとし、rを前記絞りバルブが配置される位置における前記ピストンロッドの半径としたとき、d=r-r・cos(360/2p)となる。aeを前記絞りバルブのすべての切欠部による流路の最小の断面積とし、a1を前記絞りバルブの1箇所の切欠部による流路の最小の断面積とし、Aを前記ピストンロッドの前記溝部の溝の数としたとき、前記絞りバルブと前記溝部とによって形成された流路の最小有効流路面積は、ae=a1・A(n/p)となる。これにより、減衰力性能の安定化を図ることができることができる。
第7の態様によれば、緩衝器は、作動流体が封入されるシリンダと、前記シリンダ内に移動可能に設けられ、該シリンダ内を第1室と第2室とに区画するピストンと、前記ピストンに連結されると共に前記シリンダの外部に延出されるピストンロッドと、前記ピストンに設けられ、前記ピストンの移動により前記シリンダ内の上流側となる室から下流側となる室に作動流体が移動する第1通路と、前記第1通路に設けられ、減衰力を発生する第1減衰力発生機構と、前記ピストンロッドに設けられる第2通路と、前記ピストンロッドに固定されて前記第2通路を形成する固定部材と、前記第2通路に設けられて減衰力を発生する第2減衰力発生機構と、を有する。前記第2減衰力発生機構は、前記第2通路の一側に設けられ、複数の切欠部を周方向等間隔に有すると共に該切欠部により前記第2通路に絞り流路を形成する絞りバルブを備える。nを前記絞りバルブに形成された前記切欠部の数とし、pを1よりも大きい自然数とし、xを0よりも大きい自然数としたとき、前記絞りバルブの前記切欠部の数は、n=pxとなる。前記ピストンロッドに設けられた前記第2通路は、第一側にあって前記ピストン側の外径面に開口する1つまたは複数の第1開口部と、第二側にあって前記ピストンロッドの内部を貫通し前記固定部材側に開口する第2開口部とが形成される。Dを前記第1開口部の直径とし、rを前記絞りバルブが配置される位置における前記ピストンロッドの半径としたとき、D=2r・sin(360/2p)となる。aeを前記絞りバルブのすべての切欠部による流路の最小の断面積とし、a1を前記絞りバルブの1箇所の切欠部による流路の最小の断面積とし、Bを前記第1開口部の数としたとき、前記絞りバルブと前記第1開口部とによって形成された流路の最小有効流路面積は、ae=a1・B(n/p)となる。これにより、減衰力性能の安定化を図ることができることができる。
第8の態様は、第1乃至第7のいずれか一態様において、前記切欠部は、外周側が内周側よりも広い切り欠き形状となる。