[第1実施形態のレーザ加工装置の構成]
図1は、第1実施形態のレーザ加工装置10の斜視図である。図1に示すように、レーザ加工装置10は、製品ワーク12と基準ワーク14とに対してレーザ加工を行う。このレーザ加工装置10は、チャックテーブル20(Xθステージ)と、加工ユニット22と、サブテーブル24と、BHC撮影系26と、制御装置28(図3参照)と、を備える。なお、図中のXYZ方向は互いに直交し、このうちX方向及びY方向は水平方向であり、Z方向は上下方向(製品ワーク12及び基準ワーク14の厚み方向)である。またθ方向は、Z方向を回転軸とする回転方向である。
図2は、製品ワーク12及び基準ワーク14の断面拡大図である。図2の符号2Aに示すように、製品ワーク12は、複数のチップ(図示は省略)が形成されたシリコンウェーハである。製品ワーク12は、後述のチャックテーブル20の保持面20a(図3参照)に当接するおもて面12aと、その反対側の面である裏面12bとを有する。
おもて面12aは、図示は省略するが、格子状に配列された複数のストリートによって複数の領域に区画されている。各領域にはチップを構成するデバイス層12cが設けられている。レーザ加工装置10は、各ストリート上に設定された複数の分割予定ラインに沿って製品ワーク12の内部にレーザ加工領域110(図6参照)を形成する。
図2の符号2Bに示すように、基準ワーク14は、後述の図3に示すレーザ光学系22aの診断(評価)に用いられる。この基準ワーク14は、製品ワーク12とは異なるものであり、予め定められた製造条件(基準)で製造されたシリコン板(ウェーハ)である。この製造条件とは、厚み、表面(おもて面14a及び裏面14b)の表面粗さ、ドープ率、及び結晶方位などである。おもて面14aは後述のサブテーブル24の保持面24aに当接する本発明の当接面であり、裏面14bはおもて面14aとは反対側の面である。レーザ加工装置10は、Y方向に沿って基準ワーク14の内部にレーザ加工領域110(図7参照)を形成する。
図3は、チャックテーブル20及び加工ユニット22の概略図である。なお、図3では、サブテーブル24及びBHC撮影系26の図示は省略している。
図3及び既述の図1に示すように、チャックテーブル20は、本発明の製品ワーク保持テーブルに相当するものであり、製品ワーク12が配置され且つそのおもて面12aに当接する保持面20aを有する。この保持面20aには、複数の吸引孔(図示は省略)が形成されている。各吸引孔はテーブル用吸引源30に連通している。また、チャックテーブル20にはテーブル駆動機構32が接続されている。
テーブル用吸引源30は、例えば吸引ポンプが用いられる。テーブル用吸引源30は、後述の制御装置28の制御の下、保持面20aの各吸引孔(図示は省略)から空気を吸引する。これにより、保持面20aによって製品ワーク12のおもて面12aが吸着保持される。換言すると、製品ワーク12は、その裏面12bが加工ユニット22と対向するように保持面20aに吸着保持される。
テーブル駆動機構32は、公知の直動機構(リニアアクチュエータ等)及び回転機構(電動モータ等)を組み合わせた構成である。このテーブル駆動機構32は、後述の制御装置28の制御の下、チャックテーブル20をX方向に移動させると共にθ方向に回転させる。
加工ユニット22は、レーザ光学系22aと赤外線顕微鏡22bとを備える。加工ユニット22は、チャックテーブル20及び後述のサブテーブル24のZ方向上方側に配置されている。また、加工ユニット22にはユニット駆動機構34が接続されている。
ユニット駆動機構34は、公知の直動機構(リニアアクチュエータ等)であり、後述の制御装置28の制御の下、加工ユニット22をY方向及びZ方向にそれぞれ移動させる。
レーザ光学系22a(レーザヘッド又はレーザエンジンともいう)は、後述の制御装置28の制御の下、製品ワーク12の裏面12b或いは基準ワーク14の裏面14bに向けてレーザ光Lを照射する。レーザ光学系22aは、レーザ光源40、ビームエキスパンダ42、ミラー44、λ/2波長板46、空間光変調器48、ミラー50、ミラー52、レンズ54、ミラー56、ミラー58、レンズ60、及び集光レンズ62を備える。なお、レーザ光学系22aの構成は、図3に示した構成に限定されるものではなく、製品ワーク12のレーザ加工に用いられる各種構成を採用してもよい。
レーザ光源40は、製品ワーク12及び基準ワーク14のレーザ加工用のレーザ光Lをビームエキスパンダ42に向けて出射する。なお、レーザ光Lの種類については公知技術であるので、ここでは具体的な説明は省略する。
ビームエキスパンダ42は、レーザ光源40から入射されたレーザ光Lを、後述の空間光変調器48で位相変調するために適切なビーム径に拡大する。ビームエキスパンダ42から出射されたレーザ光Lは、ミラー44及びλ/2波長板46を経て空間光変調器48に入射する。
空間光変調器48は、例えば、反射型液晶(LCOS:Liquid Crystal on Silicon)の空間光変調器(SLM:Spatial Light Modulator)が用いられる。この空間光変調器48は、制御装置28の制御の下、所定のホログラムパターンを呈示することで、λ/2波長板46から入射されたレーザ光Lを変調させる。これにより、製品ワーク12或いは基準ワーク14の内部に集光されるレーザ光Lの収差が所定の収差以下となるように、レーザ光Lが収差補正される。なお、空間光変調器48の構成及び機能についても公知技術であるので、ここでは具体的な説明は省略する。
空間光変調器48により変調されたレーザ光Lは、ミラー50、ミラー52、レンズ54、ミラー56、ミラー58、及びレンズ60を経て、集光レンズ62により集光される。集光レンズ62は、不図示のレンズ移動機構によりZ方向に位置調整される。このレンズ移動機構は、制御装置28の制御の下、集光レンズ62のZ方向の位置を調整することで、レーザ光Lの集光点のZ方向位置を調整する。なお、図3中の符号A1は、集光レンズ62の光軸、すなわちレーザ光学系22aの照射軸である。
赤外線顕微鏡22b(赤外線撮影光学系ともいう)は、チャックテーブル20に保持されている製品ワーク12をその裏面12b側から撮影する。この赤外線顕微鏡22bは、レーザ光学系22aに固定されており、レーザ光学系22aと一体に移動する。
赤外線顕微鏡22bは、照明光源64、ハーフミラー66、対物レンズ68、及び赤外線カメラ70等を備える。
照明光源64は、例えばLD(Laser Diode)光源及びSLD(Super Luminescent Diode)光源等が用いられる。この照明光源64は、後述の制御装置28の制御の下、製品ワーク12を透過する波長域の照明光、例えば赤外域(近赤外域を含む)の赤外光をハーフミラー66に向けて出力する。
ハーフミラー66は、照明光源64から入射した照明光の一部を対物レンズ68に向けて反射する。これにより、照明光は、対物レンズ68により製品ワーク12の裏面12b上に集光される。対物レンズ68により集光される照明光の集光点のZ方向位置は、不図示のレンズ移動機構により対物レンズ68をZ方向に移動させることにより調整される。なお、図3中の符号A2は、対物レンズ68の光軸、すなわち赤外線顕微鏡22bの撮影光軸(観察光軸)である。
製品ワーク12で反射された照明光の反射光の一部は、ハーフミラー66を透過して赤外線カメラ70に入射する。
赤外線カメラ70は、赤外光の波長域に対して感度を有する撮像素子(不図示)を備えており、後述の制御装置28の制御の下、製品ワーク12を撮影してこの製品ワーク12の撮影画像である赤外線撮影画像71を出力する。例えば、製品ワーク12の内部に対物レンズ68による焦点を合わせた状態で赤外線カメラ70による撮影を行った場合には、赤外線撮影画像71に基づき製品ワーク12の内部の状態を確認することができる。また、製品ワーク12の裏面12b又はおもて面12aに対物レンズ68による焦点を合わせた状態で赤外線カメラ70による撮影を行った場合には、赤外線撮影画像71に基づき裏面12b又はおもて面12aの状態を確認することができる。
赤外線カメラ70は、製品ワーク12の赤外線撮影画像71(画像データ)を制御装置28へ出力する。制御装置28は、赤外線カメラ70から入力された製品ワーク12の内部、裏面12b、又はおもて面12aの赤外線撮影画像71をモニタ73に表示させる。
なお、赤外線カメラ70としては、例えばInGaAs(インジウムガリウムヒ素)カメラに代表される近赤外領域で高い感度を有するカメラ(近赤外線カメラ)が好ましく用いられる。
赤外線顕微鏡22bの光軸A2は、レーザ光学系22aの光軸A1に対して、X方向の一方向側にシフトした位置にある。これにより、赤外線顕微鏡22bは、レーザ光学系22aによる製品ワーク12のレーザ加工位置と同一の分割予定ライン上で製品ワーク12を撮影することができる。
図4は、サブテーブル24及びBHC撮影系26の概略図である。なお、図4では、チャックテーブル20及び加工ユニット22の図示は省略している。
図4及び既述の図1に示すように、サブテーブル24は、本発明の基準ワーク保持テーブルに相当するものであり、例えばガラス等の光透過性を有する材料、より具体的には後述のBHC撮影系26で使用される照明光を透過する材料で形成されている。
サブテーブル24は、基準ワーク14が配置され且つそのおもて面14aに当接する保持面24aを有する。この保持面24aには、複数の吸引溝24bが形成されている。各吸引溝24bはサブテーブル用吸引源36に連通している。
サブテーブル用吸引源36は、既述のテーブル用吸引源30と同様に吸引ポンプが用いられる。サブテーブル用吸引源36は、後述の制御装置28の制御の下、保持面24aの各吸引溝24bから空気を吸引する。これにより、保持面24aによって基準ワーク14のおもて面14aが吸着保持される。換言すると、基準ワーク14は、その裏面14bが加工ユニット22と対向するように保持面24aに吸着保持される。
サブテーブル24は、Z方向側(上方側)から見た場合において、加工ユニット22のY方向の移動範囲の一部に重なる位置であって、且つチャックテーブル20のX方向の移動範囲には重ならない位置に設けられている。すなわち、サブテーブル24は、チャックテーブル20のX方向の移動を妨げない位置で且つレーザ光学系22aによるレーザ加工が可能な位置に設けられている。
従って、後述の制御装置28の制御の下、ユニット駆動機構34を駆動して加工ユニット22のY方向位置を調整することで、レーザ光学系22aを基準ワーク14(裏面14b)に対向する位置、すなわち基準ワーク14のレーザ加工が可能な位置にセットすることができる。また、基準ワーク14のレーザ加工時に基準ワーク14に対してレーザ光学系22aをY方向に相対移動させることができる。
BHC撮影系26は、本発明の撮影画像取得部に相当する。BHC撮影系26は、サブテーブル24の保持面24aとは反対側の下面24c(本発明の他面に相当)に対向する位置、すなわちサブテーブル24のZ方向下方側に配置されている。このBHC撮影系26は、光透過性のサブテーブル24を通して基準ワーク14のおもて面14aを撮影、より具体的にはおもて面14aに現れたバックサイドハーフカット(Backside Half Cut:BHC)を撮影する。BHCは、詳しくは後述の図7に示しているが、基準ワーク14の内部に形成されたレーザ加工領域110からおもて面14a側に向けて延びた亀裂112であって且つおもて面14aに到達した亀裂112である。
BHC撮影系26は、顕微鏡72と、照明光源74と、カメラ76と、を備える。また、本実施形態のBHC撮影系26は、おもて面14aの広い範囲(一定範囲以上)を撮影可能な広画角を有するものとする。
顕微鏡72は、Z方向に延びた形状を有する。また、顕微鏡72の側面には照明光源74が取り付けられ、且つそのZ方向下方側の底面にはカメラ76が取り付けられている。さらに、顕微鏡72には、ハーフミラー72aと対物レンズ72bとが設けられている。
ハーフミラー72aは、顕微鏡72及び照明光源74の双方に対向する位置に配置されている。
対物レンズ72bは、ハーフミラー72aのZ方向上方側に配置されている。この対物レンズ72bの焦点位置は、サブテーブル24の保持面24a、すなわち基準ワーク14のおもて面14aに合せられている。なお、図4中の符号A3は、対物レンズ72bの光軸、すなわちBHC撮影系26の撮影光軸(観察光軸)である。この光軸A3は、例えばサブテーブル24のXY方向の中心位置に一致するように位置調整されている。
照明光源74は、例えばハロゲン光源、LED(light emitting diode)光源、LD光源、及びSLD光源等が用いられる。この照明光源74は、後述の制御装置28の制御の下、サブテーブル24を透過する波長域の照明光、例えば白色光或いは赤外光(近赤外光)をハーフミラー72aに向けて出射する。
ハーフミラー72aは、照明光源74から入射した照明光の一部を対物レンズ72bに向けて反射する。これにより、照明光は、対物レンズ72bによりサブテーブル24を通して基準ワーク14のおもて面14a上に集光される。そして、このおもて面14aで反射された照明光の反射光の一部は、ハーフミラー72aを透過してカメラ76に入射する。
カメラ76は、照明光源74から出射される照明光の波長域に対して感度を有する撮像素子(不図示)を備えている。このカメラ76は、後述の制御装置28の制御の下、サブテーブル24を通して基準ワーク14のおもて面14aの撮影を行い、このおもて面14aの撮影画像であるおもて面撮影画像78を制御装置28へ出力する。制御装置28は、カメラ76から入力されたおもて面撮影画像78をモニタ73に表示させる。
なお、サブテーブル24の保持面24aの任意の位置、すなわち基準ワーク14のおもて面14aの任意の位置をカメラ76で撮影するために、サブテーブル24及びBHC撮影系26のいずれか一方を他方に対してXY方向に相対移動させる相対移動機構を設けてもよい。これにより、BHC撮影系26の画角が狭い場合でもこの一方を他方に対してXY方向に相対移動させることで、BHC撮影系26によりおもて面14aの広い範囲を撮影することができる。
[第1実施形態の制御装置の機能]
図5は、制御装置28の機能ブロック図である。図5に示すように、制御装置28には、既述のレーザ光学系22a、赤外線顕微鏡22b、BHC撮影系26、テーブル用吸引源30、テーブル駆動機構32、ユニット駆動機構34、サブテーブル用吸引源36、及びモニタ73の他に、操作部75が接続されている。なお、操作部75は、公知のキーボード、マウス、操作ボタン、及びタッチパネル等が用いられる。
制御装置28は、例えばパーソナルコンピュータのような演算装置により構成され、各種のプロセッサ(Processor)及びメモリ等から構成された演算回路を備える。各種のプロセッサには、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、及びプログラマブル論理デバイス[例えばSPLD(Simple Programmable Logic Devices)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、及びFPGA(Field Programmable Gate Arrays)]等が含まれる。なお、制御装置28の各種機能は、1つのプロセッサにより実現されてもよいし、同種または異種の複数のプロセッサで実現されてもよい。
制御装置28は、不図示の制御プログラムを実行することで、統括制御部80、吸着制御部82、移動制御部84、レーザ制御部86、撮影制御部88、及び表示制御部90として機能する。なお、制御装置28の「~部」として説明するものは「~回路」、「~装置」、又は「~機器」であってもよい。すなわち、「~部」として説明するものは、ファームウェア、ソフトウェア、及びハードウェアまたはこれらの組み合わせのいずれで構成されていてもよい。
吸着制御部82は、テーブル用吸引源30及びサブテーブル用吸引源36の駆動を制御する。吸着制御部82は、操作部75にて製品ワーク12の吸着操作或いは吸着解除操作が入力された場合には、テーブル用吸引源30の駆動或いは駆動停止を行う。また、吸着制御部82は、操作部75にて基準ワーク14の吸着操作或いは吸着解除操作が入力された場合には、サブテーブル用吸引源36の駆動或いは駆動停止を行う。
移動制御部84は、統括制御部80の制御の下、製品ワーク12のレーザ加工時と基準ワーク14のレーザ加工時とにおいて、テーブル駆動機構32及びユニット駆動機構34を駆動することで、チャックテーブル20及びサブテーブル24に対して加工ユニット22を相対移動させる。
移動制御部84は、統括制御部80の制御の下、製品ワーク12のレーザ加工時にテーブル駆動機構32及びユニット駆動機構34をそれぞれ駆動して、加工ユニット22(レーザ光学系22a及び赤外線顕微鏡22b)を一体に製品ワーク12に対してXYZ方向及びθ方向に相対移動させる。
このように加工ユニット22を製品ワーク12に対して相対移動させることで、製品ワーク12のレーザ加工前にレーザ光学系22aを製品ワーク12に対向する位置に位置合わせ、より具体的にはレーザ光学系22aの光軸A1を製品ワーク12の加工開始位置(分割予定ラインの一端)に位置合わせすることができる。また、製品ワーク12のレーザ加工中にレーザ光学系22aを製品ワーク12に対してX方向に相対移動させることができる。さらに、製品ワーク12のレーザ加工前に、赤外線顕微鏡22bの光軸A2を製品ワーク12のアライメント基準(図示は省略)に位置合わせすることができる。従って、テーブル駆動機構32及びユニット駆動機構34は、製品ワーク12のレーザ加工時には本発明の第1相対移動機構として機能する。
移動制御部84は、統括制御部80の制御の下、基準ワーク14のレーザ加工時にユニット駆動機構34を駆動して、加工ユニット22(レーザ光学系22a)を基準ワーク14に対してY方向に相対移動させる。これにより、基準ワーク14のレーザ加工前にレーザ光学系22aを基準ワーク14に対向する位置に位置合わせ、より具体的にはレーザ光学系22aの光軸A1を基準ワーク14の任意の加工開始位置に位置合わせすることができる。また、基準ワーク14のレーザ加工中にレーザ光学系22aを基準ワーク14に対してY方向に相対移動させることができる。従って、ユニット駆動機構34は、基準ワーク14のレーザ加工時には本発明の第1相対移動機構として機能する。
レーザ制御部86は、統括制御部80の制御の下、レーザ光源40によるレーザ光Lの出射と空間光変調器48によるレーザ光Lの変調とを制御することにより、レーザ光学系22aによる製品ワーク12及び基準ワーク14のレーザ加工を実行させる。なお、空間光変調器48によるレーザ光Lの変調制御については公知技術であるので具体的な説明は省略する。
撮影制御部88は、統括制御部80の制御の下、製品ワーク12のレーザ加工時に赤外線顕微鏡22bの制御、すなわち照明光源64による照明光の出射及び赤外線カメラ70による製品ワーク12の撮影を制御する。また、撮影制御部88は、統括制御部80の制御の下、基準ワーク14のレーザ加工が完了した場合にはBHC撮影系26の制御、すなわち照明光源74による照明光の出射及びカメラ76による基準ワーク14のおもて面14aの撮影を制御する。
表示制御部90は、統括制御部80の制御の下、モニタ73の表示を制御する。表示制御部90は、製品ワーク12のレーザ加工時には赤外線顕微鏡22bにより撮影された赤外線撮影画像71をモニタ73に表示させる。また、表示制御部90は、基準ワーク14のレーザ加工時にはBHC撮影系26により撮影されたおもて面撮影画像78をモニタ73に表示させる。さらに表示制御部90は、レーザ加工装置10の各種の設定画面をモニタ73に表示させる。
統括制御部80は、既述の制御プログラムを実行することで、アライメント検出部96、第1レーザ加工制御部98、第2レーザ加工制御部100、画像取得制御部102として機能する。
アライメント検出部96は、操作部75において製品ワーク12のレーザ加工開始操作が入力された場合に作動、或いはチャックテーブル20に新たな製品ワーク12が保持された場合に自動で作動する。このアライメント検出部96は、レーザ加工装置10の各部を制御して、チャックテーブル20に保持されている製品ワーク12(分割予定ライン)の位置及び姿勢を検出するアライメント検出を行う。
最初にアライメント検出部96は、テーブル駆動機構32及びユニット駆動機構34を駆動して、赤外線顕微鏡22bを、製品ワーク12のアライメント基準(ストリート或いは認識マーク等)を撮影可能な撮影位置に相対移動させる。この移動後にアライメント検出部96は、撮影制御部88を介して赤外線顕微鏡22bを制御して、照明光源64による製品ワーク12の照明と、赤外線カメラ70による製品ワーク12のアライメント基準の撮影と、を実行させる。これにより、赤外線カメラ70により製品ワーク12の赤外線撮影画像71が取得され、この赤外線撮影画像71が赤外線カメラ70からアライメント検出部96に出力される。
次いで、アライメント検出部96は、赤外線カメラ70から入力された赤外線撮影画像71に基づき、赤外線撮影画像71内のアライメント基準を公知の画像認識法で検出することにより、製品ワーク12の分割予定ラインの位置及び姿勢を検出する。そして、アライメント検出部96は、製品ワーク12の分割予定ラインの位置及び姿勢の検出結果を、アライメント検出結果として第1レーザ加工制御部98へ出力する。
第1レーザ加工制御部98は、アライメント検出部96によるアライメント検出の完了後に作動する。第1レーザ加工制御部98は、移動制御部84及びレーザ制御部86を介して、テーブル駆動機構32とユニット駆動機構34とレーザ光学系22aとを制御して、製品ワーク12の分割予定ラインごとに、分割予定ラインに沿って製品ワーク12の内部にレーザ加工領域110(図6参照)を形成するレーザ加工を行う。
具体的には第1レーザ加工制御部98は、アライメント検出部96によるアライメント検出結果に基づき、移動制御部84を介してテーブル駆動機構32及びユニット駆動機構34を駆動して、レーザ加工予定の分割予定ラインをX方向に平行な姿勢にすると共に、この分割予定ラインの一端にレーザ光学系22aの光軸A1を位置合わせするアライメントを行う。
図6は、レーザ加工による製品ワーク12内でのレーザ加工領域110の形成を説明するための説明図である。なお、図6の符号6Aは製品ワーク12のY方向に沿った断面図であり、図6の符号6Bは製品ワーク12のX方向に沿った断面図である。
図6の符号6A及び符号6Bに示すように、第1レーザ加工制御部98は、上述のアライメント完了後、レーザ光学系22aを制御して、レーザ光Lを製品ワーク12のおもて面12aから所定の深さ位置d1にある集光点P1に集光させることで、この集光点P1の位置にレーザ加工領域110を形成する。
次いで、第1レーザ加工制御部98は、移動制御部84を介してテーブル駆動機構32を駆動して、チャックテーブル20をX方向に移動させる。これにより、集光点P1にレーザ光Lを集光させた状態で、製品ワーク12に対してレーザ光学系22aがX方向に相対移動される、すなわち分割予定ラインに沿ってレーザ光学系22aが製品ワーク12に対してX方向に相対移動される。その結果、分割予定ラインに沿って製品ワーク12の内部にレーザ加工領域110が形成される。また、レーザ加工領域110が形成されると、このレーザ加工領域110を起点として製品ワーク12の厚み方向(Z方向)に亀裂112が発生する。
このような製品ワーク12に対するレーザ加工では、レーザ加工領域110からZ方向下方側(おもて面12a側)に向けて延びる亀裂112がおもて面12aには到達しない。そして、レーザ加工後の製品ワーク12の裏面12bに対して研削或いはケミカルエッチング等により外的応力が印加されることで、亀裂112がおもて面12aに到達する。
第1レーザ加工制御部98は、例えばレーザ加工領域110の層数が1層である場合には、移動制御部84を介してユニット駆動機構34を駆動して、レーザ光学系22aを分割予定ラインのピッチ間隔に相当する距離だけY方向に相対移動させる。これにより、レーザ光学系22aの光軸A1を2番目の分割予定ラインの一端に位置合わせするアライメントが行われる。
そして、第1レーザ加工制御部98は、移動制御部84及びレーザ制御部86を介してテーブル駆動機構32及びレーザ光学系22aを制御して、集光点P1に対するレーザ光学系22aのレーザ光Lの集光と、チャックテーブル20のX方向の移動とを実行する。これにより、2番目の分割予定ラインに沿って製品ワーク12の内部にレーザ加工領域110が形成される。
以下同様に、全ての分割予定ラインに沿って製品ワーク12の内部にレーザ加工領域110が形成される。次いで、第1レーザ加工制御部98は、移動制御部84を介してテーブル駆動機構32を駆動して、チャックテーブル20を90°回転させた後、上述の一連の処理を繰り返し実行する。これにより、格子状の分割予定ラインに沿って製品ワーク12の内部にレーザ加工領域110が形成される。
なお、第1レーザ加工制御部98は、製品ワーク12の厚みが厚い場合には、分割予定ラインに沿って製品ワーク12の内部に例えば2層のレーザ加工領域110の形成を行う。この場合には第1レーザ加工制御部98は、分割予定ラインごとに2層のレーザ加工領域110の形成を連続して行う。
図5に戻って、第2レーザ加工制御部100は、操作部75において基準ワーク14のレーザ加工開始操作が入力された場合に作動、或いはサブテーブル24に新たな基準ワーク14が保持された場合に自動で作動する。この第2レーザ加工制御部100は、移動制御部84及びレーザ制御部86を介して、ユニット駆動機構34とレーザ光学系22aとを制御して、基準ワーク14の内部にY方向に沿ってレーザ加工領域110(図7参照)を形成するレーザ加工を行う。
最初に第2レーザ加工制御部100は、既知のサブテーブル24の位置座標に基づき、移動制御部84を介してユニット駆動機構34を駆動して、加工ユニット22をY方向に移動させることで、レーザ光学系22aの光軸A1をサブテーブル24の保持面24aの例えば中心位置に位置合わせする。これにより、サブテーブル24上の基準ワーク14の裏面14bに対向する位置までレーザ光学系22aが移動される。なお、基準ワーク14に対するレーザ加工では、XY方向におけるレーザ加工領域110の形成位置は特に限定はされないので、レーザ光学系22aと基準ワーク14とのXY方向の位置合わせの方法は特に限定されず、さらにこの位置合わせを手動で行ってもよい。
図7は、レーザ加工による基準ワーク14内でのレーザ加工領域110の形成を説明するための説明図である。なお、図7の符号7Aは、既述の図6の符号6Bと同様にレーザ加工時の製品ワーク12のX方向に沿った断面図であり、比較例として載せている。また、図7の符号7Bはレーザ加工時の基準ワーク14のY方向に沿った断面図である。
図7及び既述の図5に示すように、第2レーザ加工制御部100は、レーザ光学系22aと基準ワーク14との位置合わせの完了後、レーザ光学系22aを制御して、レーザ光Lを基準ワーク14のおもて面14aから所定の深さ位置d2にある集光点P2に集光させることで、この集光点P2の位置にレーザ加工領域110を形成する。
深さ位置d2は、深さ位置d1よりも浅い位置である。また、この深さ位置d2は、正常状態のレーザ光学系22aにより基準ワーク14の内部に形成されたレーザ加工領域110からおもて面14a側に向けて延びる亀裂112の長さの想定値(設計値)に対応する位置である。ここでいう正常状態とは、レーザ光学系22aの光軸A1の位置変化、光軸A1の傾き変化、及び光量ムラ等の状態変化が発生していない状態である。この亀裂112の長さの想定値、すなわち深さ位置d2は、実験又はシミュレーションにより予め定められる。
レーザ光学系22aによって基準ワーク14の深さ位置d2にレーザ加工領域110を形成することで、レーザ光学系22aが正常状態であれば、レーザ加工領域110からZ方向下方側(おもて面12a側)に延びる亀裂112の先端がおもて面14aに略一致する。これにより、おもて面14aに既述のBHCが現れる。
次いで、第2レーザ加工制御部100は、移動制御部84を介してユニット駆動機構34を駆動して加工ユニット22をY方向(本発明の平行な方向に相当)に移動させる。これにより、集光点P2にレーザ光Lを集光させた状態で、基準ワーク14に対してレーザ光学系22aがY方向に相対移動される。その結果、基準ワーク14の内部にレーザ加工領域110がY方向に沿って形成される。また、Y方向に沿った各レーザ加工領域110を起点として基準ワーク14の厚み方向(Z方向)に亀裂112が発生する。
図8は、レーザ加工後の基準ワーク14のおもて面14aの正面図である。図8に示すように、既述の図7に示したレーザ加工により基準ワーク14の内部の深さ位置d2にY方向に沿ってレーザ加工領域110を形成した場合において、レーザ光学系22aが正常状態であればY方向に沿ったレーザ加工領域110から延びる亀裂112はBHCとなる。その結果、図8の符号8Aに示すように、基準ワーク14のおもて面14aにY方向に沿って亀裂112(BHC)が略直線状に現れる。
一方、レーザ光学系22aに状態変化が発生している場合には、Y方向に沿って形成されたレーザ加工領域110から延びる亀裂112の長さが不安定になったり、基準ワーク14の内部での集光点P2の位置(深さ位置d2)が不安定になったりする。
例えば、図8の符号8Bに示すように、レーザ加工領域110から延びる亀裂112の長さが不安定になると、おもて面14aに亀裂112(BHC)が断続的に現れたり、或いはおもて面14aに亀裂112が現れなかったりする。また、図8の符号8Cに示すように、例えばレーザ光学系22aの集光レンズ62の位置等に状態変化が発生する等の要因で集光点P2の位置が不安定になると、レーザ光Lがおもて面14aを透過することでおもて面14aにレーザ光Lのダメージ痕113が現れる場合がある。
このように、基準ワーク14に対してレーザ加工を行う際の集光点P2のZ方向位置を深さ位置d2に設定することで、このレーザ加工後の基準ワーク14のおもて面14aの状態(レーザ加工の加工結果)に基づき、レーザ光学系22aが正常状態であるのか或いは状態変化が発生しているのかを診断することができる。
図5に戻って、画像取得制御部102は、基準ワーク14に対するレーザ加工の完了後に作動する。画像取得制御部102は、撮影制御部88を介してBHC撮影系26を制御して、サブテーブル24を通して、照明光源74による基準ワーク14のおもて面14aの照明とカメラ76によるおもて面14aの撮影とを実行させる。これにより、カメラ76によって基準ワーク14のおもて面撮影画像78(画像データ)が取得され、このおもて面撮影画像78がカメラ76から画像取得制御部102に出力される。このおもて面撮影画像78は、レーザ加工領域110からおもて面14aに向けて延びる亀裂112(BHC)を示す亀裂情報に相当する。
画像取得制御部102は、カメラ76からおもて面撮影画像78が入力された場合には、表示制御部90を制御してモニタ73(本発明の表示部に相当)におもて面撮影画像78を表示させる。これにより、オペレータに対して基準ワーク14の亀裂情報が呈示される。
[第1実施形態の作用]
図9は、本発明の診断方法に相当する上記構成のレーザ加工装置10によるレーザ光学系22aの診断処理、より具体的には基準ワーク14のおもて面撮影画像78の取得及び表示処理の流れを示すフローチャートである。なお、レーザ加工装置10による製品ワーク12のレーザ加工処理の流れについては公知技術であるので、ここでは具体的な説明は省略する。
図9に示すように、オペレータは、予め定められた診断タイミングごと、例えばレーザ加工装置10の起動時或いは一定期間ごとに、レーザ加工装置10のレーザ光学系22aの診断処理を開始させる。最初にオペレータは、基準ワーク14をサブテーブル24の保持面24a上に配置した後、操作部75にて基準ワーク14の吸着操作を行う。この操作を受けて、吸着制御部82がテーブル用吸引源30の駆動を開始させる。これにより、サブテーブル用吸引源36が各吸引溝24bから空気を吸引することで、基準ワーク14のおもて面14aが保持面24aにより吸着保持される(ステップS1、本発明の保持ステップに相当)。
サブテーブル24に基準ワーク14が保持されると、或いは操作部75において基準ワーク14のレーザ加工開始操作が入力されると、第2レーザ加工制御部100が、移動制御部84を介してユニット駆動機構34を駆動して、サブテーブル24とレーザ光学系22aの光軸A1との位置合わせを行う。これにより、レーザ光学系22aと基準ワーク14とが位置合わせされる(ステップS2)。
次いで、第2レーザ加工制御部100が、レーザ光学系22aを制御してレーザ光Lを基準ワーク14の内部の深さ位置d2(集光点P2)に集光させてこの深さ位置d2にレーザ加工領域110を形成する(ステップS3、本発明のレーザ加工領域形成ステップに相当)。また、第2レーザ加工制御部100が、移動制御部84を介してユニット駆動機構34を駆動して加工ユニット22をY方向に移動させる(ステップS4、本発明の相対移動ステップに相当)。これにより、基準ワーク14内の深さ位置d2にレーザ加工領域110がY方向に沿って形成されると共に、レーザ加工領域110からZ方向(上下方向)に延びる亀裂112が形成される。
基準ワーク14のレーザ加工の完了後、画像取得制御部102が、撮影制御部88を介してBHC撮影系26を制御して、サブテーブル24を通して基準ワーク14のおもて面14aの照明及び撮影を実行させる(ステップS5、本発明の撮影画像取得ステップに相当)。これにより、おもて面撮影画像78がBHC撮影系26から画像取得制御部102に出力される。
おもて面撮影画像78を取得した画像取得制御部102は、このおもて面撮影画像78をモニタ73に表示させる(ステップS6)。そして、オペレータは、モニタ73に表示されるおもて面撮影画像78(基準ワーク14の亀裂情報)を確認することで、レーザ光学系22aの診断を開始する。
オペレータは、既述の図8の符号8Aに示したように、基準ワーク14のおもて面14aにBHCがY方向に沿って略直線状に現れている場合には、レーザ光学系22aが正常状態であると診断する。また逆に、既述の図8の符号8Bに示したようにおもて面14aにBHCが断続的に現れたり、或いは図8の符号8Cに示したようにおもて面14aにレーザ光Lのダメージ痕113が現れたりしている場合には、オペレータはレーザ光学系22aの状態変化が発生していると判断し、レーザ光学系22aの調整又は交換を行う。
なお、本実施形態では、おもて面撮影画像78に基づくレーザ光学系22aの診断をオペレータが行っているが、おもて面撮影画像78の画像解析処理[AI(artificial intelligence)画像解析を含む]によりレーザ光学系22aの診断を自動で実行してもよい。
以下、診断タイミングごとに既述のステップS1からステップS6の処理が繰り返し実行されると共に、おもて面撮影画像78に基づくオペレータの診断が実行される。
[第1実施形態の効果]
以上のように第1実施形態のレーザ加工装置10は、レーザ加工により基準ワーク14の深さ位置d2にレーザ加工領域110を形成し、サブテーブル24を通して基準ワーク14のおもて面撮影画像78を取得することで、レーザ加工の次工程(切削等による外部圧力の印加)を経なくともレーザ光学系22aの状態変化の発生の有無が診断可能になる。これにより、レーザ光学系22aの状態変化の発生の有無を簡単に診断することができるので、レーザ加工により不良品が多量に発生することが防止される。
[第2実施形態]
図10は、第2実施形態のレーザ加工装置10の概略図である。なお、図10では、チャックテーブル20の図示は省略している。
上記第1実施形態では、サブテーブル24のZ方向下方側に配置されたBHC撮影系26によりサブテーブル24を通して基準ワーク14のおもて面14aを撮影しているが、第2実施形態では加工ユニット22の赤外線顕微鏡22bを用いておもて面14aの撮影を行う。
図10に示すように、第2実施形態のレーザ加工装置10は、BHC撮影系26の代わりに照明光源118及び中継光学系120を備える点を除けば上記第1実施形態のレーザ加工装置10と基本的に同じ構成である。このため、上記第1実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
照明光源118は、サブテーブル24のZ方向下方側に配置されており、後述のハーフミラー124及びサブテーブル24を通して基準ワーク14のおもて面14aに向けて照明光を照射する。この照明光は、赤外線顕微鏡22bの赤外線カメラ70での撮影に対応した赤外光(近赤外光)の波長域の光である。なお、図中の符号A4は、照明光源118の照明軸である。
中継光学系120は、基準ワーク14のおもて面14aの像(像光)を、赤外線顕微鏡22bで撮影可能な位置まで導く。なお、図中の符号A5は、中継光学系120の光軸である。中継光学系120は、ハーフミラー124と、スクリーン126と、リレーレンズ128と、ミラー130と、結像レンズ132と、を備える。
ハーフミラー124は、サブテーブル24と照明光源118との間に配置されている。ハーフミラー124は、照明光源118から入射した照明光の一部を透過してサブテーブル24に向けて出射する。これにより、照明光がサブテーブル24を透過して基準ワーク14に入射し、さらに基準ワーク14のおもて面14aで反射された照明光の一部が反射光としてハーフミラー124に入射する。ハーフミラー124は、サブテーブル24から入射した反射光をリレーレンズ128に向けて反射する。
スクリーン126は、サブテーブル24のX方向側方側の位置であって且つZ方向側(上方側)から見た場合において赤外線顕微鏡22bのY方向の移動範囲の一部に重なる位置において、XY面に平行に配置されている。すなわち、スクリーン126は、チャックテーブル20のX方向の移動を妨げない位置で且つ赤外線顕微鏡22bによる撮影が可能な位置に設けられている。また、スクリーン126のZ方向の位置は、サブテーブル24の保持面24aのZ方向の位置に一致するように調整されている。
リレーレンズ128は、ハーフミラー124のX方向側方側の位置に配置されている。リレーレンズ128は、ハーフミラー124にて反射された反射光をミラー130に向けて出射する。
ミラー130は、リレーレンズ128のX方向側方側の位置で且つスクリーン126のZ方向下方側の位置に配置されている。ミラー130は、リレーレンズ128から入射した反射光をZ方向上方側に位置する結像レンズ132に向けて反射する。
結像レンズ132は、スクリーン126とミラー130との間に配置されている。結像レンズ132は、ミラー130にて反射された反射光をスクリーン126に結像する。これにより、ハーフミラー124、リレーレンズ128、ミラー130、及び結像レンズ132を経て、基準ワーク14のおもて面14aの像がスクリーン126に映し出される。
第2実施形態のテーブル駆動機構32及びユニット駆動機構34は、本発明の第2相対移動機構としても機能する。テーブル駆動機構32及びユニット駆動機構34は、制御装置28の制御の下、製品ワーク12及び中継光学系120に対して赤外線顕微鏡22bを、製品ワーク12を撮影する撮影位置とスクリーン126(スクリーン126に映し出されるおもて面14aの像)を撮影する撮影位置とに相対移動させる。
具体的には第2実施形態のアライメント検出部96は、製品ワーク12のレーザ加工前において、第1実施形態と同様にテーブル駆動機構32及びユニット駆動機構34を駆動して、赤外線顕微鏡22bを、製品ワーク12のアライメント基準を撮影可能な撮影位置に相対移動させる。これにより、既述のアライメント検出が可能となる。
第2実施形態の画像取得制御部102は、基準ワーク14に対するレーザ加工の完了後にユニット駆動機構34を駆動して、赤外線顕微鏡22bを、スクリーン126(おもて面14aの像)を撮影可能な撮影位置に相対移動させる。次いで、画像取得制御部102は、撮影制御部88を介して赤外線顕微鏡22bを制御して、赤外線カメラ70によるスクリーン126の撮影を実行させる。これにより、おもて面撮影画像78が赤外線カメラ70によって取得される。
以上のように第2実施形態では、中継光学系120を設けることで、この中継光学系120を介して赤外線顕微鏡22bにより基準ワーク14のおもて面14aを撮影することができる。これにより、アライメント検出用の赤外線顕微鏡22bを用いておもて面撮影画像78を取得することができるので、第1実施形態のカメラ76を省略することができ、レーザ加工装置10の低コスト化が図れる。
なお、上記第2実施形態では、中継光学系120を介して赤外線顕微鏡22bにより基準ワーク14のおもて面14aを撮影しているが、例えばBHC撮影系26(カメラ76)がサブテーブル24の下面24cに対向する位置とは異なる位置に配置されている場合でもおもて面14aを撮影することができる。すなわち、中継光学系120の構成を変えることで、BHC撮影系26等の各種撮影系(カメラ)の位置及び姿勢に関係なく、おもて面撮影画像78の取得が可能になる。その結果、レーザ加工装置10の設計の自由度を高めることができる。
[第3実施形態]
図11は、第3実施形態のレーザ加工装置10の概略図である。上記各実施形態では、チャックテーブル20とサブテーブル24とが別体に設けられているが、図11に示すように、第3実施形態ではチャックテーブル20とサブテーブル24とが一体化されている。
図11に示すように、第3実施形態のレーザ加工装置10は、チャックテーブル20にテーブル保持部138が設けられている点を除けば上記各実施形態のレーザ加工装置10と基本的に同じ構成である。このため、上記各実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
テーブル保持部138はサブテーブル24を保持する。これにより、テーブル保持部138を介してチャックテーブル20にサブテーブル24が固定され、サブテーブル24がチャックテーブル20と一体に移動する。その結果、テーブル駆動機構32及びユニット駆動機構34を駆動することで、サブテーブル24(基準ワーク14)に対するレーザ光学系22a及びBHC撮影系26の相対移動が可能になる。
なお、第3実施形態においても、既述の図11に示した上記第2実施形態と同様に中継光学系120を設けることで、この中継光学系120を介して赤外線顕微鏡22bにより基準ワーク14のおもて面14aを撮影してもよい。
[その他]
上記各実施形態では、本発明の第1相対移動機構から第3相対移動機構としてテーブル駆動機構32及びユニット駆動機構34を例に挙げて説明したが、チャックテーブル20及びサブテーブル24に対して、レーザ光学系22aを相対移動させたり或いはBHC撮影系26(赤外線顕微鏡22b)を相対移動させたりすることが可能であれば、その構成は特に限定はされない。
上記各実施形態では、レーザ光学系22aの外部に赤外線顕微鏡22bが連結されているが、赤外線顕微鏡22bがレーザ光学系22aの筐体内に設けられていてもよい。
上記各実施形態では、基準ワーク14に対するレーザ加工時において、基準ワーク14とレーザ光学系22aとをX方向に相対移動させているが、この相対移動は実行しなくともよい。この場合には、おもて面撮影画像78に基づき、BHCの有無及びダメージ痕113の有無によりレーザ光学系22aの状態変化の発生の有無を簡単に診断することができる。
上記各実施形態では、基準ワーク14に対するレーザ加工時において深さ位置d2にレーザ加工領域110を形成しているが、BHCの有無及びダメージ痕113の有無を観察可能であれば、深さ位置d2より深い位置或いは浅い位置にレーザ加工領域110を形成してもよい。