以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
<基本構成>
図1は、本発明の基本構成によるガスセンサ1の回路図である。
図1に示す基本構成によるガスセンサ1は、フィードバック回路部10と、センサ回路部20と、電流調整回路Cとを有している。
フィードバック回路部10は、環境温度に応じてフィードバック出力Fを生成する回路であり、直列に接続された第1の定電流源CC1及び第1のサーミスタRd1と、第1のサーミスタRd1を加熱する第1のヒータ抵抗MH1と、第1の定電流源CC1と第1のサーミスタRd1の接続点N0に現れる内部電位V0に基づいて、フィードバック出力Fを生成する第1のアンプ回路A1とを含んでいる。第1の定電流源CC1と接続点N0の間には、固定抵抗を接続しても構わない。第1のアンプ回路A1は、定電圧源CVからの基準電位Vrefと内部電位V0を比較し、これに基づいてフィードバック出力Fを生成する。フィードバック出力Fは、第1のヒータ抵抗MH1に供給されるとともに、電流調整回路Cにも供給される。
第1のサーミスタRd1は、温度によって抵抗値が変化する素子であれば特に限定されず、複合金属酸化物、アモルファスシリコン、ポリシリコン、ゲルマニウムなどの負の抵抗温度係数を持つ材料からなるサーミスタものであっても構わない。但し、第1のサーミスタRd1は、測定対象ガスの濃度に応じた抵抗値の変化が小さいことが好ましく、少なくとも、センサ回路部20に含まれる第2のサーミスタRd2よりも、測定対象ガスの濃度に応じた抵抗値の変化が小さいことが求められる。図1に示す第1のサーミスタRd1と第1のアンプ回路A1の接続関係は、第1のサーミスタRd1が負の抵抗温度係数を持つ材料からなる場合を示しており、この場合、図1に示すように、第1のアンプ回路A1の非反転入力端子(+)に内部電位V0が入力され、反転入力端子(-)に基準電位Vrefが入力される。
第1のヒータ抵抗MH1は、第1のサーミスタRd1をあらかじめ定められた第1の設定温度(例えば300℃)で加熱する。これにより、第1のサーミスタRd1の抵抗値は、第1の設定温度に対応する所定の値となる。そして、定電圧源CVからの基準電位Vrefは、第1のサーミスタRd1が第1の設定温度に正しく加熱された場合における内部電位V0と同じ値に設定される。ここで、第1のサーミスタRd1には第1の定電流源CC1からの定電流I1が流れるため、第1のサーミスタRd1の抵抗値をR1とした場合、内部電位V0のレベルは、R1×I1によって決まる。したがって、基準電位Vrefは、第1のサーミスタRd1が第1の設定温度に正しく加熱された場合における抵抗値R1と定電流I1の積によって決まるレベルに設定される。
そして、環境温度の変化などに起因して、第1のサーミスタRd1の実際の加熱温度が第1の設定温度からずれた場合、基準電位Vrefと内部電位V0の間に差が生じ、これが第1のアンプ回路A1によって増幅されることによりフィードバック出力Fが変化する。例えば、第1のサーミスタRd1の実際の加熱温度が第1の設定温度よりも低い場合には、第1のサーミスタRd1の加熱温度が第1の設定温度と一致するよう、フィードバック出力Fが上昇する。逆に、第1のサーミスタRd1の実際の加熱温度が第1の設定温度よりも高い場合には、第1のサーミスタRd1の加熱温度が第1の設定温度と一致するよう、フィードバック出力Fが低下する。このようなフィードバック制御により、第1のサーミスタRd1の実際の加熱温度は、環境温度にかかわらず、第1の設定温度と一致する。
上述の通り、第1のサーミスタRd1は、測定対象ガスの濃度に応じて抵抗値が変化しないことが理想であるが、実際には、測定対象ガスの濃度に応じて抵抗値が僅かに変化することがある。また、測定対象ガス以外のガスによっても、第1のサーミスタRd1の抵抗値は変化し得る。このような抵抗値の変化は、フィードバック出力Fの変化となって現れるため、測定誤差の原因となる。しかしながら、本発明の基本構成によるガスセンサ1においては、第1のサーミスタRd1と第1の定電流源CC1が直列に接続されていることから、測定対象ガスの濃度に応じて第1のサーミスタRd1の抵抗値が変化しても、第1のサーミスタRd1に流れる電流はほとんど変化しない。つまり、第1のサーミスタRd1の自己発熱はほぼ一定であり、測定対象ガスの濃度に応じた自己発熱量の変化は極めて少ない。このため、測定対象ガスの濃度に応じた測定誤差は、最小限に抑えられる。
フィードバック出力Fは、第1のヒータ抵抗MH1だけでなく、電流調整回路Cにも供給される。電流調整回路Cは、フィードバック回路部10及びセンサ回路部20とは別の回路要素であっても構わないし、フィードバック回路部10又はセンサ回路部20の一部であっても構わない。
センサ回路部20は、測定対象ガスの濃度に応じて出力信号V1を生成する回路であり、直列に接続された第2の定電流源CC2及び第2のサーミスタRd2と、第2のサーミスタRd2を加熱する第2のヒータ抵抗MH2とを含んでいる。第2の定電流源CC2と接続点N1の間には、固定抵抗を接続しても構わない。第2の定電流源CC2の電流値は、第1の定電流源CC1の電流値と同じであっても構わない。第2のサーミスタRd2は、第1のサーミスタRd1と同様、温度によって抵抗値が変化する素子であれば特に限定されないが、第1のサーミスタRd1と同じ構成を有する素子であることが好ましい。また、第2のサーミスタRd2は、測定対象ガスの濃度に応じて抵抗値が変化する素子である必要がある。測定対象ガスの種類については特に限定されず、CO2ガスやCOガスなどを測定対象とすることができる。
第2のヒータ抵抗MH2に流れる電流は、電流調整回路Cによって制御される。電流調整回路Cは、第2のヒータ抵抗MH2に第1のヒータ抵抗MH1と同じ電流、或いは、第1のヒータ抵抗MH1に比例した電流を流す回路である。これにより、第2のサーミスタRd2は、第2のヒータ抵抗MH2によってあらかじめ定められた第2の設定温度に加熱される。第2の設定温度は、第1の設定温度と同じであっても構わない。
そして、環境温度の変化などに起因してフィードバック出力Fが変化すると、第2のヒータ抵抗MH2に流れる電流量も変化する。つまり、環境温度の低下によって第1のヒータ抵抗MH1に流れる電流が増加すると、第2のヒータ抵抗MH2に流れる電流量も自動的に増加し、環境温度の上昇によって第1のヒータ抵抗MH1に流れる電流が減少すると、第2のヒータ抵抗MH2に流れる電流量も自動的に減少する。これにより、環境温度にかかわらず、第2のサーミスタRd2を第2の設定温度に正しく加熱することが可能となる。
また、第2のサーミスタRd2は、測定対象ガスの濃度に応じて抵抗値が変化するものの、本発明の基本構成によるガスセンサ1においては、第2のサーミスタRd2と第2の定電流源CC2が直列に接続されていることから、測定対象ガスの濃度に応じて第2のサーミスタRd2の抵抗値が変化しても、第2のサーミスタRd2に流れる電流はほとんど変化しない。つまり、第2のサーミスタRd2の自己発熱はほぼ一定であり、測定対象ガスの濃度に応じた自己発熱量の変化は極めて少ない。このため、第2のサーミスタRd2の自己発熱に起因する測定誤差はほとんど生じない。
このように、本発明の基本構成によるガスセンサ1は、第1のサーミスタRd1が常に第1の設定温度に加熱されるようフィードバック制御を行うフィードバック回路部10を備えるとともに、フィードバック回路部10によって生成されるフィードバック出力Fに基づき、電流調整回路Cによって第2のヒータ抵抗MH2に流れる電流を調整していることから、環境温度にかかわらず、第2のサーミスタRd2を常に第2の設定温度に加熱することが可能となる。しかも、第2のヒータ抵抗MH2に流れる電流は、アナログ的にリアルタイムに自動調整されることから、A/DコンバータやD/Aコンバータを用いてデジタル処理する場合と比べ、回路規模を縮小しつつ、第2のヒータ抵抗MH2に流す電流を高精度且つ高速に制御することが可能となる。
さらに、第1及び第2のサーミスタRd1,Rd2に流れる電流は常に一定であることから、自己発熱量もほぼ一定となる。このため、自己発熱量の変化に起因する測定誤差を最小限に抑えることが可能となる。また、自己発熱の増大によって第1及び第2のサーミスタRd1,Rd2が想定以上に高温となることもないため、第1及び第2のサーミスタRd1,Rd2の経年変化を抑制することも可能となる。
但し、本発明において、第1及び第2の定電流源CC1,CC2の両方を用いることは必須でなく、一方を固定抵抗に置き換えても構わない。例えば、第1のサーミスタRd1の抵抗値が検出対象ガスの濃度によってほとんど変化しない場合には、第1の定電流源CC1を固定抵抗に置き換えることが可能である。この場合であっても、第2のサーミスタRd2の自己発熱に起因する測定誤差を抑制することが可能となる。一方、第2のサーミスタRd2の自己発熱に起因する測定誤差よりも、第1のサーミスタRd1の自己発熱による測定誤差が支配的である場合には、第2の定電流源CC2を固定抵抗に置き換えることが可能である。しかしながら、第1及び第2の定電流源CC1,CC2の両方を用いることにより、フィードバック回路部10とセンサ回路部20の主要部の回路構成が互いに一致することから、回路構成の違いに起因する測定誤差の発生を防止することができる。
以下、本発明のいくつかの実施形態について説明する。
<第1の実施形態>
図2は、本発明の第1の実施形態によるガスセンサ1Aの回路図である。
図2に示すように、本発明の第1の実施形態によるガスセンサ1Aは、フィードバック回路部11とセンサ回路部21Aによって構成されている。フィードバック回路部11及びセンサ回路部21Aは、それぞれ図1に示したフィードバック回路部10及びセンサ回路部20に対応しているため、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。フィードバック回路部11に含まれる第1のサーミスタRd1と第1のヒータ抵抗MH1は、第1のセンサ素子S1を構成する。同様に、センサ回路部21Aに含まれる第2のサーミスタRd2と第2のヒータ抵抗MH2は、第2のセンサ素子S2を構成する。
本実施形態においては、第1のアンプ回路A1と第2のヒータ抵抗MH2の間に、第2のアンプ回路A2が接続されている。第2のアンプ回路A2はボルテージフォロアである。このため、第1のアンプ回路A1の出力電圧と同じ電圧が第2のヒータ抵抗MH2に印加される。本実施形態においては、ボルテージフォロアを構成する第2のアンプ回路A2が電流調整回路Cに相当する。
これにより、第1のヒータ抵抗MH1と第2のヒータ抵抗MH2の抵抗値が同じであり、且つ、第1のサーミスタRd1と第2のサーミスタRd2が同じ構成を有していれば、第1のヒータ抵抗MH1と第2のヒータ抵抗MH2には全く同じ量の電流が流れ、その結果、第1のサーミスタRd1と第2のサーミスタRd2は全く同じ温度に加熱される。そして、基本構成に関連して説明したとおり、第1のサーミスタRd1は、フィードバック制御により環境温度にかかわらず一定の温度(第1の設定温度)に加熱されることから、第2のサーミスタRd2も環境温度にかかわらず一定の温度(第2の設定温度)に加熱されることになる。
第2の定電流源CC2と第2のサーミスタRd2の接続点N1に現れる内部電位V1は、出力アンプAoutに供給される。出力アンプAoutは、内部電位V1と基準電位Vrefを比較し、その結果に基づいて出力信号Voutを生成する。出力信号Voutのレベルは、測定対象ガスの濃度に比例する。
このように、図2に示すガスセンサ1Aは、第1のサーミスタRd1と第2のサーミスタRd2を同じ温度に加熱することができるため、接触燃焼式のガスセンサに応用することが好適である。この場合、第2のサーミスタRd2にはCOガスなど測定対象ガスの燃焼を促進させる触媒を付加する一方、第1のサーミスタRd1にはこのような触媒を付加しなければよい。或いは、第1及び第2のサーミスタRd1,Rd2の両方に触媒を付加するとともに、第1のサーミスタRd1に付加された触媒にはCOガスなど測定対象ガスが到達しないよう、シールドしても構わない。
また、第1及び第2のサーミスタRd1,Rd2には、それぞれ第1及び第2の定電流源CC1,CC2が直列に接続されており、これにより第1及び第2のサーミスタRd1,Rd2に流れる電流は常に一定である。このため、第1及び第2のサーミスタRd1,Rd2の自己発熱量もほぼ一定であり、自己発熱量の変化に起因する測定誤差や経年変化を抑えることが可能となる。
尚、図2に示すガスセンサ1Aにおいては、ボルテージフォロアである第2のアンプ回路A2を用いているが、第1のアンプ回路A1の駆動能力が十分に高ければ、第2のアンプ回路A2を用いることなく、第1のアンプ回路A1と第2のヒータ抵抗MH2を直接接続しても構わない。
また、第1のヒータ抵抗MH1と第2のヒータ抵抗MH2の抵抗値が同じである必要はなく、両者が互いに異なっていても構わない。例えば、第2のヒータ抵抗MH2の抵抗値を第1のヒータ抵抗MH1の抵抗値の2倍に設定しても構わない。この場合、第2のヒータ抵抗MH2に流れる電流は、第1のヒータ抵抗MH1に流れる電流の半分となる。このように、第1のサーミスタRd1と第2のサーミスタRd2が互いに異なる温度で加熱されるよう構成すれば、熱伝導式のガスセンサに応用することが好適となる。例えば、第1のサーミスタRd1の加熱温度(第1の設定温度)を300℃とし、第2のサーミスタRd2の加熱温度(第2の設定温度)を150℃とすれば、CO2ガスを測定対象ガスとすることが可能となる。これは、150℃の環境下ではCO2ガスの熱伝導率は空気の熱伝導率と大きく異なる一方、300℃の環境下ではCO2ガスの熱伝導率は空気の熱伝導率とほとんど差がないからである。
図3は、第1の実施形態の変形例によるガスセンサ1Bの回路図である。
図3に示す変形例によるガスセンサ1Bは、センサ回路部21Bに含まれる第2のアンプ回路A2がボルテージフォロアではなく、ゲインが0.5倍に設定されている点において、図2に示すガスセンサ1Aと相違している。その他の基本的な構成は図2に示すガスセンサ1Aと同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図3に示す変形例によるガスセンサ1Bは、第2のアンプ回路A2のゲインが0.5倍であることから、第2のヒータ抵抗MH2にかかる電圧が第1のヒータ抵抗MH1にかかる電圧の半分となる。このため、第1のヒータ抵抗MH1と第2のヒータ抵抗MH2が同じ抵抗値を有している場合であっても、第2のヒータ抵抗MH2の発熱量は半分となる。したがって、変形例によるガスセンサ1Bは、熱伝導式のガスセンサに応用することが好適である。
次に、第1のセンサ素子S1及び第2のセンサ素子S2の具体的なデバイス構造について説明する。
(第1例)
図4は、第1例による第1及び第2のセンサ素子S1,S2のデバイス構造を説明するための上面図である。また、図5は、図4に示すA-A線に沿った断面図である。尚、図面は模式的なものであり、説明の便宜上、厚みと平面寸法との関係、デバイス相互間の厚みの比率などは、本実施形態の効果が得られる範囲内で現実の構造とは異なっていても構わない。
図4及び図5に示すように、第1例による第1及び第2のセンサ素子S1,S2は、セラミックパッケージ51に収容されている。セラミックパッケージ51は、上部が開放された箱形のケースであり、上部にはリッド52が設けられている。リッド52は複数の通気口53を有しており、これにより、雰囲気中の測定対象ガス(例えばCO2ガスやCOガス)がセラミックパッケージ51内に流入可能とされている。尚、図面の見やすさを考慮して、図4においてはリッド52が省略されている。
ここで、実際に測定対象ガスの検出を行うのは第2のセンサ素子S2であり、第1のセンサ素子S1はリファレンス素子である。このため、本実施形態によるガスセンサ1A又は1Bが熱伝導式のセンサであれば、第2のセンサ素子S2に含まれる第2のサーミスタRd2は、測定対象ガスの濃度に応じて抵抗値が変化する温度に加熱される一方、第1のセンサ素子S1に含まれる第1のサーミスタRd1は、測定対象ガスの濃度に応じて抵抗値が変化しない、或いは、変化が僅かである温度に加熱される。また、本実施形態によるガスセンサ1A又は1Bが接触燃焼式のセンサであれば、第2のセンサ素子S2には測定対象ガスの燃焼を促進させる触媒が設けられる一方、第1のセンサ素子S1にはこのような触媒が設けられない。
第1のセンサ素子S1は、基板31と、基板31の下面及び上面にそれぞれ形成された絶縁膜32,33と、絶縁膜33上に設けられた第1のヒータ抵抗MH1と、第1のヒータ抵抗MH1を覆うヒータ保護膜34と、ヒータ保護膜34上に設けられた第1のサーミスタRd1及びサーミスタ電極35と、第1のサーミスタRd1及びサーミスタ電極35を覆うサーミスタ保護膜36とを備える。
基板31は、適度な機械的強度を有し、且つ、エッチングなどの微細加工に適した材質であれば特に限定されるものではなく、シリコン単結晶基板、サファイア単結晶基板、セラミック基板、石英基板、ガラス基板などを用いることができる。基板31には、第1のヒータ抵抗MH1による熱が基板31へ伝導するのを抑制するため、平面視で第1のヒータ抵抗MH1と重なる位置にキャビティ31aが設けられている。キャビティ31aにより基板31が取り除かれた部分は、メンブレンと呼ばれる。メンブレンを構成すれば、基板31を薄肉化した分だけ熱容量が小さくなるため、より少ない消費電力で加熱を行うことが可能となる。
絶縁膜32,33は、酸化シリコン又は窒化シリコンなどの絶縁材料からなる。絶縁膜32,33として例えば酸化シリコンを用いる場合には、熱酸化法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法などの成膜法を用いればよい。絶縁膜32,33の膜厚は、絶縁性が確保される限り特に限定されず、例えば0.1~1.0μm程度とすればよい。特に、絶縁膜33は、基板31にキャビティ31aを形成する際のエッチング停止層としても用いられるため、当該機能を果たすのに適した膜厚とすればよい。
第1のヒータ抵抗MH1は導電性物質からなり、比較的高融点の材料からなる金属材料、例えば、モリブデン(Mo)、白金(Pt)、金(Au)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)又はこれら何れか2種以上を含む合金などが好適である。また、イオンミリングなどの高精度なドライエッチングが可能である導電材質であることが好ましく、特に、耐腐食性が高い白金(Pt)を主成分とすることがより好適である。また、絶縁膜33との密着性を向上させるために、Ptの下地にチタン(Ti)などの密着層を形成することが好ましい。
第1のヒータ抵抗MH1の上部には、ヒータ保護膜34が形成される。ヒータ保護膜34の材料としては、絶縁膜33と同じ材料を用いることが望ましい。第1のヒータ抵抗MH1は、常温から例えば150℃或いは300℃にまで上昇し、再び常温へ下がるという激しい熱変化を繰り返し生じるため、絶縁膜33及びヒータ保護膜34にも強い熱ストレスがかかり、この熱ストレスを継続的に受けると層間剥離やクラックといった破壊につながる。しかしながら、絶縁膜33とヒータ保護膜34を同じ材料によって構成すれば、両者の材料特性が同じであり、且つ、密着性が強固であることから、異種材料を用いた場合と比べて、層間剥離やクラックといった破壊が生じにくくなる。ヒータ保護膜34の材料として酸化シリコンを用いる場合、熱酸化法やCVD法などの方法により成膜すればよい。ヒータ保護膜34の膜厚は、第1のサーミスタRd1及びサーミスタ電極35との絶縁が確保される膜厚であれば特に限定されず、例えば0.1~3.0μm程度とすればよい。
第1のサーミスタRd1は、例えば、複合金属酸化物、アモルファスシリコン、ポリシリコン、ゲルマニウムなどの負の抵抗温度係数を持つ材料からなり、スパッタ法、CVDなどの薄膜プロセスを用いて形成することができる。第1のサーミスタRd1の膜厚は、目標とする抵抗値に応じて調整すればよく、例えばMnNiCo系酸化物を用いて室温での抵抗値(R25)を2MΩ程度に設定するのであれば、一対のサーミスタ電極35間の距離にもよるが0.2~1μm程度の膜厚に設定すればよい。ここで、感温抵抗素子としてサーミスタを用いているのは、また、白金測温体などに比べて抵抗温度係数が大きいことから、大きな検出感度を得ることができるためである。また、薄膜構造であることから、第1のヒータ抵抗MH1の発熱を効率よく検出することも可能となる。但し、上述の通り、第1のセンサ素子S1はリファレンス素子であり、測定対象ガスに応じた抵抗値の変化が生じない、或いは、ほとんど変化しないよう構成される。
サーミスタ電極35は、所定の間隔を持った一対の電極であり、一対のサーミスタ電極35間に第1のサーミスタRd1が設けられる。これにより、一対のサーミスタ電極35間における抵抗値は、第1のサーミスタRd1の抵抗値によって決まる。サーミスタ電極35の材料としては、第1のサーミスタRd1の成膜工程および熱処理工程などのプロセスに耐えうる導電性物質であって、比較的高融点の材料、例えば、モリブデン(Mo)、白金(Pt)、金(Au)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)又はこれら何れか2種以上を含む合金などが好適である。
第1のサーミスタRd1及びサーミスタ電極35は、サーミスタ保護膜36で覆われる。尚、第1のサーミスタRd1と還元性を持つ材料を接触させて高温状態にすると、サーミスタから酸素を奪って還元を引き起こし、サーミスタ特性に影響を与えてしまう。これを防止するためには、サーミスタ保護膜36の材料としては、シリコン酸化膜等の還元性を持たない絶縁性酸化膜であることが望ましい。
図4に示すように、第1のヒータ抵抗MH1の両端は、電極パッド37a,37bにそれぞれ接続される。また、サーミスタ電極35の両端は、電極パッド37c,37dにそれぞれ接続される。これらの電極パッド37a~37dは、ボンディングワイヤ55を介して、セラミックパッケージ51に設けられたパッケージ電極54に接続される。パッケージ電極54は、セラミックパッケージ51の裏面に設けられた外部端子56を介して、図2に示す第1のアンプ回路A1などに接続される。
このように、第1のセンサ素子S1は、第1のヒータ抵抗MH1と第1のサーミスタRd1が基板31上に積層された構成を有していることから、第1のヒータ抵抗MH1によって生じる熱が第1のサーミスタRd1に効率よく伝わる。
同様に、第2のセンサ素子S2は、基板41と、基板41の下面及び上面にそれぞれ形成された絶縁膜42,43と、絶縁膜43上に設けられた第2のヒータ抵抗MH2と、第2のヒータ抵抗MH2を覆うヒータ保護膜44と、ヒータ保護膜44上に設けられた第2のサーミスタRd2及びサーミスタ電極45と、第2のサーミスタRd2及びサーミスタ電極45を覆うサーミスタ保護膜46とを備える。
基板41は、第1のセンサ素子S1に用いられる基板31と同様の材料からなるとともに、同様の構成を有している。つまり、平面視で第2のヒータ抵抗MH2と重なる位置にキャビティ41aが設けられ、これにより、第2のヒータ抵抗MH2による熱が基板41へ伝導するのを抑制している。絶縁膜42,43の材料についても絶縁膜32,33と同様であり、酸化シリコン又は窒化シリコンなどの絶縁材料が用いられる。絶縁膜42,43の厚みも絶縁膜32,33と同様である。
また、第2のヒータ抵抗MH2、ヒータ保護膜44、第2のサーミスタRd2、サーミスタ電極45及びサーミスタ保護膜46についても、第1のセンサ素子S1に用いられる第1のヒータ抵抗MH1、ヒータ保護膜34、第1のサーミスタRd1、サーミスタ電極35及びサーミスタ保護膜36とそれぞれ同じ構成を有している。
但し、第1のセンサ素子S1がリファレンス素子であるのに対し、第2のセンサ素子S2は、測定対象ガスの濃度に応じて第2のサーミスタRd2の抵抗値が変化する必要がある。つまり、本実施形態によるガスセンサ1A又は1Bが熱伝導式のセンサであれば、第2のセンサ素子S2に含まれる第2のサーミスタRd2は、測定対象ガスの濃度に応じて抵抗値が変化する温度に加熱される。また、本実施形態によるガスセンサ1A又は1Bが接触燃焼式のセンサであれば、第2のセンサ素子S2には測定対象ガスの燃焼を促進させる触媒が設けられる。
第2のヒータ抵抗MH2の両端は、電極パッド47a,47bにそれぞれ接続される。また、サーミスタ電極45の両端は、電極パッド47c,47dにそれぞれ接続される。これらの電極パッド47a~47dは、ボンディングワイヤ55を介して、セラミックパッケージ51に設けられたパッケージ電極54に接続される。パッケージ電極54は、セラミックパッケージ51の裏面に設けられた外部端子56を介して、図2に示す第2のアンプ回路A2や出力アンプAoutなどに接続される。
以上の構成を有するセンサ素子S1,S2は、いずれもウェハ状態で多数個同時に作製され、ダイシングによって個片化された後、ダイペースト(図示せず)を用いてセラミックパッケージ51に固定される。その後、電極パッド37a~37d,47a~47dと、対応するパッケージ電極54を、ワイヤボンディング装置を用いてボンディングワイヤ55で接続する。ボンディングワイヤ55の材料としては、Au、Al、Cuなど、抵抗の低い金属が好適である。
最後に、接着性樹脂(図示せず)などを用いて、外気との通気口53を有するリッド52をセラミックパッケージ51に固定する。この際、接着性樹脂(図示せず)の硬化加熱時に、接着性樹脂に含まれる物質がガスとなって発生するが、通気口53により容易にパッケージ外へ放出されるため、センサ素子S1,S2に影響を与えることはない。
(第2例)
図6は、第2例による第1及び第2のセンサ素子S1,S2のデバイス構造を説明するための上面図である。また、図7は、図6に示すA-A線に沿った断面図である。
図6及び図7に示すように、第2例においては、第1及び第2のセンサ素子S1,S2が同じ基板31上に集積されている。また、平面視で第2のヒータ抵抗MH2と重なる位置にキャビティ31bが設けられている。その他の基本的な構成は、図4及び図5に示す第1例と同じであることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。このように、第1及び第2のセンサ素子S1,S2を同じ基板31上に集積すれば、部品点数が削減されるとともに、両者の温度条件をほぼ一致させることが可能となる。
<第2の実施形態>
図8は、本発明の第2の実施形態によるガスセンサ2Aの回路図である。
図8に示すように、本発明の第2の実施形態によるガスセンサ2Aは、フィードバック回路部11とセンサ回路部22Aによって構成されている。フィードバック回路部11及びセンサ回路部22Aは、それぞれ図1に示したフィードバック回路部10及びセンサ回路部20に対応しているため、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施形態においては、第2の定電流源CC2と接続点N1の間に第3のサーミスタRd3が設けられているとともに、第3のサーミスタRd3を加熱する第3のヒータ抵抗MH3と、第1のアンプ回路A1と第3のヒータ抵抗MH3の間に接続された第3のアンプ回路A3が設けられている。第3のアンプ回路A3はボルテージフォロアである。このため、第1のアンプ回路A1の出力電圧と同じ電圧が第3のヒータ抵抗MH3に印加される。センサ回路部22Aに含まれる第3のサーミスタRd3と第3のヒータ抵抗MH3は、第3のセンサ素子S3を構成する。また、第3のサーミスタRd3の代わりに白金測温体など別の材料からなる測温体を用いても構わない。
第3のセンサ素子S3は、第1のセンサ素子S1と同様にリファレンス素子であり、測定対象ガスに応じて抵抗値が変化しない、或いは、ほとんど変化しないよう構成される。例えば、ガスセンサ2Aが接触燃焼式のガスセンサである場合、第2のサーミスタRd2にはCOガスなど測定対象ガスの燃焼を促進させる触媒を付加する一方、第1及び第3のサーミスタRd1,Rd3にはこのような触媒を付加しなければよい。
そして、第1~第3のヒータ抵抗MH1~MH3の抵抗値が同じであり、且つ、第1~第3のサーミスタRd1~Rd3が同じ構成を有していれば、第1~第3のヒータ抵抗MH1~MH3には全く同じ量の電流が流れ、その結果、第1~第3のサーミスタRd1~Rd3は全く同じ温度に加熱される。
本実施形態においては、電源電位Vccの変動によって第2のサーミスタRd2の加熱温度が変動すると、これに連動して第3のサーミスタRd3の加熱温度も変動することから、電源電位Vccの変動に起因する測定誤差を低減することが可能となる。図示しないが、本実施形態においては、第1~第3のセンサ素子S1~S3を同じパッケージ内に収容することが好ましく、第1~第3のセンサ素子S1~S3を同じ基板上に集積することがより好ましい。
また、第2及び第3のサーミスタRd2,Rd3には、第2の定電流源CC2が直列に接続されており、これにより第2及び第3のサーミスタRd2,Rd3に流れる電流は常に一定である。このため、第2及び第3のサーミスタRd2,Rd3の自己発熱量もほぼ一定であり、自己発熱量の変化に起因する測定誤差や経年変化を抑えることが可能となる。
図9は、第2の実施形態の変形例によるガスセンサ2Bの回路図である。
図9に示す変形例によるガスセンサ2Bは、センサ回路部22Bに含まれる第2のアンプ回路A2がボルテージフォロアではなく、ゲインが0.5倍に設定されている点において、図8に示すガスセンサ2Aと相違している。その他の基本的な構成は図8に示すガスセンサ2Aと同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図9に示す変形例によるガスセンサ2Bは、図3に示したガスセンサ1Bと同様、第2のアンプ回路A2のゲインが0.5倍であることから、第2のヒータ抵抗MH2にかかる電圧が第1のヒータ抵抗MH1にかかる電圧の半分となる。このため、第2のヒータ抵抗MH2に流れる電流は、第1及び第3のヒータ抵抗MH1,MH3に流れる電流の半分となり、発熱量も半分となる。その結果、第1及び第3のサーミスタRd1,Rd3と第2のサーミスタRd2を互いに異なる温度に加熱できることから、熱伝導式のガスセンサに応用することが好適となる。
<第3の実施形態>
図10は、本発明の第3の実施形態によるガスセンサ3Aの回路図である。
図10に示すように、本発明の第3の実施形態によるガスセンサ3Aは、フィードバック回路部11とセンサ回路部23Aによって構成されている。フィードバック回路部11及びセンサ回路部23Aは、それぞれ図1に示したフィードバック回路部10及びセンサ回路部20に対応しているため、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施形態においては、第1のヒータ抵抗MH1と第2のヒータ抵抗MH2が直列に接続されている。具体的には、第1のアンプ回路A1の出力端子とグランドの間に第1及び第2のヒータ抵抗MH1,MH2が直列に接続されるとともに、電流が分岐する経路などが設けられていない。このため、第1のヒータ抵抗MH1と第2のヒータ抵抗MH2には、必ず同じ電流が流れることになり、第1のサーミスタRd1と第2のサーミスタRd2は必ず同じ温度に加熱される。本実施形態においては、第1のヒータ抵抗MH1と第2のヒータ抵抗MH2を接続する配線が電流調整回路Cに相当する。
本実施形態は、第2のアンプ回路A2などを用いて電圧制御を行うのではなく、第1のヒータ抵抗MH1に流れる電流をそのまま第2のヒータ抵抗MH2に流すことによって、第1のサーミスタRd1と第2のサーミスタRd2を同じ温度に加熱している。これにより、センサ回路部23Aの回路構成を単純化することが可能となる。
図11は、第3の実施形態の変形例によるガスセンサ3Bの回路図である。
図11に示す変形例によるガスセンサ3Bは、センサ回路部23Bに分流抵抗Rが追加されている点において、図10に示すガスセンサ3Aと相違している。その他の基本的な構成は図10に示すガスセンサ3Aと同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
分流抵抗Rは、第2のヒータ抵抗MH2に対して並列に接続されている。これにより、第1のヒータ抵抗MH1に流れた電流は、並列接続された第2のヒータ抵抗MH2及び分流抵抗Rに流れるため、第2のヒータ抵抗MH2と分流抵抗Rの抵抗比に応じて、第2のヒータ抵抗MH2に流れる電流が減少する。例えば、第2のヒータ抵抗MH2と分流抵抗Rの抵抗値が同じである場合、第2のヒータ抵抗MH2に流れる電流は半分に減少し、第2のヒータ抵抗MH2の発熱量は第1のヒータ抵抗MH1の発熱量の半分となる。その結果、第1のサーミスタRd1と第2のサーミスタRd2を互いに異なる温度に加熱できることから、熱伝導式のガスセンサに応用することが好適となる。
<第4の実施形態>
図12は、本発明の第4の実施形態によるガスセンサ4Aの回路図である。
図12に示すように、本発明の第4の実施形態によるガスセンサ4Aは、フィードバック回路部11とセンサ回路部24Aによって構成されている。フィードバック回路部11及びセンサ回路部24Aは、それぞれ図1に示したフィードバック回路部10及びセンサ回路部20に対応しているため、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施形態においては、第2の定電流源CC2と接続点N1の間に第3のサーミスタRd3が設けられているとともに、第1のアンプ回路A1の出力端子とグランドの間に第1のヒータ抵抗MH1、第3のヒータ抵抗MH3、第2のヒータ抵抗MH2がこの順に直列に接続されている。このため、第1~第3のヒータ抵抗MH1~MH3には、必ず同じ電流が流れることになり、第1~第3のサーミスタRd1~Rd3は必ず同じ温度に加熱される。本実施形態においては、第1のヒータ抵抗MH1と第3のヒータ抵抗MH3を接続する配線が電流調整回路Cに相当する。
第3のセンサ素子S3は、第1のセンサ素子S1と同様にリファレンス素子であり、測定対象ガスに応じて抵抗値が変化しない、或いは、ほとんど変化しないよう構成される。例えば、ガスセンサ2Aが接触燃焼式のガスセンサである場合、第2のサーミスタRd2にはCOガスなど測定対象ガスの燃焼を促進させる触媒を付加する一方、第1及び第3のサーミスタRd1,Rd3にはこのような触媒を付加しなければよい。
本実施形態は、第2及び第3のアンプ回路A2,A3などを用いて電圧制御を行うのではなく、第1のヒータ抵抗MH1に流れる電流をそのまま第2及び第3のヒータ抵抗MH2,MH3に流すことによって、第1~第3のサーミスタRd1~Rd3を同じ温度に加熱していることから、回路構成をより単純化することが可能となる。
図13は、第4の実施形態の変形例によるガスセンサ4Bの回路図である。
図13に示す変形例によるガスセンサ4Bは、センサ回路部24Bに分流抵抗Rが追加されている点において、図12に示すガスセンサ4Aと相違している。その他の基本的な構成は図12に示すガスセンサ4Aと同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図13に示す変形例によるガスセンサ4Bは、図11に示したガスセンサ3Bと同様、第2のヒータ抵抗MH2に対して分流抵抗Rが並列に接続されていることから、第2のヒータ抵抗MH2に流れる電流が減少する。これにより、第1及び第3のサーミスタRd1,Rd3と第2のサーミスタRd2を互いに異なる温度に加熱できることから、熱伝導式のガスセンサに応用することが好適となる。
<第5の実施形態>
図14は、本発明の第5の実施形態によるガスセンサ5Aの回路図である。
図14に示すように、本発明の第5の実施形態によるガスセンサ5Aは、フィードバック回路部11、センサ回路部25A及びカレントミラー回路CM1によって構成されている。フィードバック回路部11及びセンサ回路部25Aは、それぞれ図1に示したフィードバック回路部10及びセンサ回路部20に対応しているため、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。センサ回路部25Aは、図10に示したセンサ回路部23Aと同じ回路構成を有している。また、本実施形態においては、第1のアンプ回路A1の反転入力端子(-)に内部電位V0が入力され、非反転入力端子(+)に基準電位Vrefが入力される。
カレントミラー回路CM1は、電流調整回路Cに相当する部分であり、Pチャンネル型MOSトランジスタQ1,Q2を有している。トランジスタQ1は第1のヒータ抵抗MH1に対して直列に接続されており、トランジスタQ2は第2のヒータ抵抗MH2に対して直列に接続されている。そして、トランジスタQ1,Q2のゲート電極には、第1のアンプ回路A1の出力が共通に供給される。これにより、トランジスタQ1,Q2のサイズ比が1:1であれば、トランジスタQ1,Q2には同じ電流が流れることから、第1のヒータ抵抗MH1と第2のヒータ抵抗MH2にも同じ電流が流れることになる。
本実施形態が例示するように、カレントミラー回路CM1を用いて、第1のヒータ抵抗MH1と第2のヒータ抵抗MH2に同じ電流を流すことも可能である。また、トランジスタQ1,Q2のサイズ比を任意の比率とすれば、トランジスタQ1,Q2に流れる電流を任意の比率とすることが可能となる。
図15は、第5の実施形態の変形例によるガスセンサ5Bの回路図である。
図15に示す変形例によるガスセンサ5Bは、センサ回路部25Bに分流抵抗Rが追加されている点において、図14に示すガスセンサ5Aと相違している。その他の基本的な構成は図14に示すガスセンサ5Aと同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図15に示す変形例によるガスセンサ4Bは、図11に示したガスセンサ3Bと同様、第2のヒータ抵抗MH2に対して分流抵抗Rが並列に接続されていることから、第2のヒータ抵抗MH2に流れる電流が減少する。これにより、第1のサーミスタRd1と第2のサーミスタRd2を互いに異なる温度に加熱できることから、熱伝導式のガスセンサに応用することが好適となる。したがって、トランジスタQ1,Q2のサイズ比が1:1であっても、分流抵抗Rを付加することにより、第1のヒータ抵抗MH1と第2のヒータ抵抗MH2に流れる電流を任意の比率とすることが可能となる。
<第6の実施形態>
図16は、本発明の第6の実施形態によるガスセンサ6Aの回路図である。
図16に示すように、本発明の第6の実施形態によるガスセンサ6Aは、フィードバック回路部11、センサ回路部26A及びカレントミラー回路CM2によって構成されている。フィードバック回路部11及びセンサ回路部26Aは、それぞれ図1に示したフィードバック回路部10及びセンサ回路部20に対応しているため、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。センサ回路部26Aは、図12に示したセンサ回路部24Aと同じ回路構成を有している。
カレントミラー回路CM2は、電流調整回路Cに相当する部分であり、図14に示したカレントミラー回路CM1に対して、Pチャンネル型MOSトランジスタQ3が追加された構成を有している。トランジスタQ3は、第3のヒータ抵抗MH3に対して直列に接続されている。そして、トランジスタQ1~Q3のゲート電極には、第1のアンプ回路A1の出力が共通に供給される。これにより、トランジスタQ1,Q2,Q3のサイズ比が1:1:1であれば、トランジスタQ1~Q3には同じ電流が流れることから、第1~第3のヒータ抵抗MH1~MH3にも同じ電流が流れることになる。
このように、カレントミラー回路CM2を用いて、第1~第3のヒータ抵抗MH1~MH3に同じ電流を流すことも可能である。また、トランジスタQ1,Q2,Q3のサイズ比を任意の比率とすれば、トランジスタQ1,Q2,Q3に流れる電流を任意の比率とすることが可能となる。
図17は、第6の実施形態の変形例によるガスセンサ6Bの回路図である。
図17に示す変形例によるガスセンサ6Bは、センサ回路部26Bに分流抵抗Rが追加されている点において、図16に示すガスセンサ6Aと相違している。その他の基本的な構成は図16に示すガスセンサ6Aと同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図17に示す変形例によるガスセンサ6Bは、図11に示したガスセンサ3Bと同様、第2のヒータ抵抗MH2に対して分流抵抗Rが並列に接続されていることから、第2のヒータ抵抗MH2に流れる電流が減少する。これにより、第1及び第3のサーミスタRd1,Rd3と第2のサーミスタRd2を互いに異なる温度に加熱できることから、熱伝導式のガスセンサに応用することが好適となる。したがって、トランジスタQ1,Q2,Q3のサイズ比が1:1:1であっても、分流抵抗Rを付加することにより、第1及び第3のヒータ抵抗MH1,MH3と第2のヒータ抵抗MH2に流れる電流を任意の比率とすることが可能となる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。