JP7312411B2 - 樹脂ゴム複合体、タイヤ、及び樹脂ゴム複合体の製造方法 - Google Patents
樹脂ゴム複合体、タイヤ、及び樹脂ゴム複合体の製造方法 Download PDFInfo
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Description
例えば、特許文献1には、少なくとも、熱可塑性樹脂材料で形成され且つ環状のタイヤ骨格体を有するタイヤであって、前記タイヤ骨格体の外周部に周方向に巻回されて補強コード層を形成する補強コード部材を有し、前記熱可塑性樹脂材料が、少なくともポリアミド系熱可塑性エラストマーを含むタイヤが開示されている。
例えば、特許文献2には、有機高分子化合物を含む成型体の表面温度を、前記有機高分子化合物の融点-120℃以上にして、該成型体の表面に大気圧プラズマ処理を行い、過酸化物ラジカルを導入する表面改質成型体の製造方法が開示されている。
〔特許文献2〕特開2016-56363号公報
そのため、樹脂部材とゴム部材とが接するように配置された樹脂ゴム複合体において、接着剤を介さずに両者が直に接した状態であっても、両者間での優れた接着性を得ることが望まれている。
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プラズマ処理による第1表面処理が施され、かつ前記プラズマ処理が施された表面上にさらに、有機反応性基と水酸基及びアルコキシ基から選択される少なくとも一種の基とを含有する反応性無機化合物による第2表面処理が施された処理済表面を有する樹脂部材と、
前記樹脂部材における前記処理済表面に接し、前記有機反応性基との反応性を示す官能基を含有するゴムを含むゴム部材と、
を有する樹脂ゴム複合体。
第1実施形態に係る樹脂ゴム複合体は、樹脂部材と、樹脂部材に接するゴム部材と、を有する。
樹脂部材は、プラズマ処理による第1表面処理が施され、かつ前記プラズマ処理が施された表面上にさらに、有機反応性基と水酸基(-OH)及びアルコキシ基(-OR:Rはアルキル基を表す)から選択される少なくとも一種の基とを含有する反応性無機化合物による第2表面処理が施された処理済表面を有する。
ゴム部材は、前記樹脂部材における前記処理済表面に接し、前記有機反応性基との反応性を示す官能基を含有するゴムを含む。
しかし、有機溶剤系の接着剤を使うと塗膜形成後に溶剤を揮発させる必要があり、乾燥工程に時間を要する。また、作業環境面から排気設備等の設置が求められることもあり、製造面の簡易化、コストの低減等の観点で改良の余地がある。
そのため、樹脂部材とゴム部材とが接するように配置された樹脂ゴム複合体において、接着剤を介さずに両者が直に接した状態であっても、両者間での優れた接着性を得ることが望まれている。
その理由は、以下のように推察される。
ゴム部材は、反応性無機化合物が有する有機反応性基との反応性を示す官能基を含有するゴムを含む。
樹脂部材とゴム部材との界面では、ペルオキシラジカル、ヒドロペルオキシド基、カルボニル基、アルデヒド基、カルボキシ基、及び水酸基から選択される少なくとも一種と、有機反応性基を有し且つ水酸基(-OH)及びアルコキシ基(-OR:Rはアルキル基を表す)から選択される少なくとも一種を含有する反応性無機化合物とが反応してなる架橋によって、樹脂部材の表面とゴム部材の表面とが結合してなる。
その理由は、以下のように推察される。
なお、以下においては、第1実施形態及び第2実施形態に係る樹脂ゴム複合体の両者を指す場合、単に「本実施形態に係る樹脂ゴム複合体」と称す。
例えば、プラズマ処理による第1表面処理、並びにプラズマ処理が施された表面上にさらに、有機反応性基と水酸基(-OH)及びアルコキシ基(-OR:Rはアルキル基を表す)から選択される少なくとも一種の基とを含有する反応性無機化合物による第2表面処理を樹脂部材における表面の少なくとも一部に施す表面処理工程と、樹脂部材の第1表面処理及び第2表面処理が施された表面に、有機反応性基との反応性を示す官能基を含有するゴムを含むゴム部材が接するよう配置し、加熱して樹脂部材とゴム部材とを接着する接着工程と、を有する製造方法により製造することができる。
なお、本明細書において「工程」との語には、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その目的が達成されるものであれば、当該工程も本用語に含まれる。
本実施形態に係る樹脂ゴム複合体は、樹脂部材及びゴム部材が用いられる種々の分野に適用され、例えばタイヤ、防振ゴム、ゴムホース、ゴム樹脂複合型ホース、ベルト、ゴムクローラ、ゴルフボール、ベローズ、免震ゴム、シーリング材、コーキング材、自転車等の分野が挙げられる。
・樹脂部材としてのベルト層と、ゴム部材としてのトレッド、タイヤ骨格体、及びベルト層の表面に接着されたゴムシートから選択される少なくとも1種の部材と、の組合せ。
・樹脂部材としてのビード部材と、ゴム部材としてのタイヤ骨格体、及びビード部材の表面に接着されたゴムシートから選択される少なくとも1種の部材と、の組合せ。
・樹脂部材としてのタイヤ骨格体と、ゴム部材としてのトレッド、ベルト層、ビード部材、及びタイヤ骨格体の表面に接着されたゴムシートから選択される少なくとも1種の部材と、の組合せ。
・樹脂部材としてのベルトコードと、ゴム部材としてのベルトコードを被覆するコード被覆層、及び前記ベルトコードの表面に接着されたゴムシートから選択される少なくとも1種の部材と、の組合せ(つまりベルト層が樹脂ゴム複合体である)。
・樹脂部材としてのビードワイヤーと、ゴム部材としてのビードワイヤーを被覆するワイヤー被覆層、及び前記ビードワイヤーの表面に接着されたゴムシートから選択される少なくとも1種の部材と、の組合せ(つまりビードコアが樹脂ゴム複合体である)。
なお、上記の「ゴム部材としてのタイヤ骨格体」は、ゴム部材に相当するカーカス(例えば複数のワイヤーの周囲がゴムで被覆されたカーカスプライのみからなるカーカス)等のタイヤの骨格を成す部材に置き替えてもよい。
・樹脂部材としてのベルト層と、ゴム部材としてのゴムシートと、第2ゴム部材としてのトレッド、タイヤ骨格体、及びサイドゴムから選択される少なくとも1種の部材と、の組合せ。
・樹脂部材としてのビード部材と、ゴム部材としてのゴムシートと、第2ゴム部材としてのタイヤ骨格体、及びサイドゴムから選択される少なくとも1種の部材と、の組合せ。
・樹脂部材としてのタイヤ骨格体と、ゴム部材としてのゴムシートと、第2ゴム部材としてのトレッド、ベルト層、ビード部材、及びサイドゴムから選択される少なくとも1種の部材と、の組合せ。
・樹脂部材としてのベルトコードと、ゴム部材としてのゴムシートと、第2ゴム部材としてのコード被覆層と、の組合せ(つまりベルト層が樹脂ゴム複合体である)。
・樹脂部材としてのビードワイヤーと、ゴム部材としてのゴムシートと、第2ゴム部材としてのワイヤー被覆層と、の組合せ(つまりビードコアが樹脂ゴム複合体である)。
なお、上記の「第2ゴム部材としてのタイヤ骨格体」は、第2ゴム部材に相当するカーカス(例えば複数のワイヤーの周囲がゴムで被覆されたカーカスプライのみからなるカーカス)等のタイヤの骨格を成す部材に置き替えてもよい。
第1実施形態に係る樹脂部材は、プラズマ処理による第1表面処理が施され、かつプラズマ処理が施された表面上にさらに、有機反応性基と水酸基(-OH)及びアルコキシ基(-OR:Rはアルキル基を表す)から選択される少なくとも一種の基とを含有する反応性無機化合物による第2表面処理が施された処理済表面を有する。
・基〔P〕
ペルオキシラジカル(-O-O・)、ヒドロペルオキシド基(-O-OH)、カルボニル基(-C(=O)-)、アルデヒド基(-C(=O)-H)、カルボキシ基(-C(=O)-OH)、及び水酸基(-OH)
・反応性無機化合物
有機反応性基と水酸基(-OH)及びアルコキシ基(-OR:Rはアルキル基を表す)から選択される少なくとも一種の基とを含有する反応性無機化合物
・導入される基
樹脂部材の表面には、プラズマ処理による第1表面処理により水酸基(-OH)及びアルコキシ基(-OR:Rはアルキル基を表す)の少なくとも一方と結合し得る基が導入される。
例えば、プラズマ処理による第1表面処理によって導入される基としては、ペルオキシラジカル(-O-O・)、ヒドロペルオキシド基(-O-OH)、カルボニル基(-C(=O)-)、アルデヒド基(-C(=O)-H)、カルボキシ基(-C(=O)-OH)、水酸基(-OH)等の酸化基等が挙げられる。
これらの中でも、接着性向上の観点から、ペルオキシラジカル(-O-O・)、ヒドロペルオキシド基(-O-OH)、カルボニル基(-C(=O)-)、アルデヒド基(-C(=O)-H)、カルボキシ基(-C(=O)-OH)、及び水酸基(-OH)から選択される少なくとも一種の基が導入されることがより好ましい。
次いで、樹脂部材の表面に施される第1表面処理方法について説明する。
また、プラズマ処理における環境の気圧は、接着性向上の観点及びプラズマ処理の簡易化の観点から、5hPa以上2000hPa以下が好ましく、10hPa以上1500hPa以下がより好ましく、10hPa以上1300hPa以下がさらに好ましい。
また、単位面積当たりの出力電力(つまり照射密度)は、例えば1W/cm2以上、好ましくは3W/cm2以上、より好ましくは5W/cm2以上とすることがよく、一方上限は特に限定されないが、例えば50W/cm2以下でとすることがよい。
また、パルス出力を使用する場合は、1kHz以上50kHz以下のパルス変調周波数(好ましくは5kHz以上30kHz以下)、5%以上99%以下のパルスデューティ(好ましくは15%以上80%以下、より好ましくは25%以上70%以下)とするとよい。
対向電極には、片側が誘電体で被覆された円筒状又は平板状の金属を用いることが好ましい。対向電極と樹脂部材との距離は、特に限定されないが、10mm以下が好ましく、より好ましくは3mm以下、更に好ましくは1.2mm以下、特に好ましくは1mm以下である。距離の下限は特に限定されないが、例えば0.5mm以上である。
プラズマの発生は、チャンバーを用いて上述のガス雰囲気を制御した条件で行ってもよいし、例えば希ガスを電極部にフローさせる形態をとる完全大気開放条件で行ってもよい。
第1表面処理(つまりプラズマ処理)が施された樹脂部材の表面には、さらに有機反応性基と水酸基(-OH)及びアルコキシ基(-OR:Rはアルキル基を表す)から選択される少なくとも一種の基とを含有する反応性無機化合物による第2表面処理が施される。第2表面処理によって、反応性無機化合物が有する水酸基及びアルコキシ基から選択される少なくとも一種の基と、プラズマ処理によって樹脂部材の表面に導入された基との間で結合が形成される。
反応性無機化合物は、水酸基及びアルコキシ基から選択される少なくとも一種の基を有する。
上記基としては、例えば水酸基(-OH)、メトキシ基(-OCH3)、エトキシ基(-OC2H5)、イソプロポキシ基(-OC3H7)、t-ブトキシ基(-OC4H9)等が挙げられる。中でも水酸基(-OH)、メトキシ基(-OCH3)、又はエトキシ基(-OC2H5)が好ましい。
有機反応性基としては、例えばポリスルフィド基、ビニル基、チオール基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、スチリル基(つまりビニルフェニル基)、アクリル基、メタクリル基、ウレイド基(-NHCONH2)、水酸基、及びアルデヒド基等が挙げられる。
中でも、反応性無機化合物とゴム部材中のゴムとの間での結合を良好に形成させる観点から、ポリスルフィド基、ビニル基、チオール基、アミノ基、エポキシ基、及びイソシアネート基が好ましく、さらにはポリスルフィド基、ビニル基、及びチオール基がより好ましい。
反応性無機化合物は、1分子中に無機元素を少なくとも1個以上有していることが好ましい。
反応性無機化合物としては、例えば水酸基及びアルコキシ基から選択される少なくとも一種の基が無機元素(好ましくはSi原子)に直接結合し、かつ前記無機元素にさらに有機反応性基を備える基が結合した化合物が挙げられる。
(Si原子を有する化合物)
2個以上の硫黄を有するポリスルフィド系シランカップリング剤(例えばビス-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)-ジスルフィド、ビス-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)-テトラスルフィド、及びビス-(トリエトキシシリルプロピル)-ポリスルフィド等の、ビス-(トリアルコキシシリルアルキル)-ポリスルフィド)、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、4-アミノブチルトリエトキシシラン、11-アミノウンデシルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリイソプロキシシラン、(イソシアネートメチル)メチルジメトキシシラン、(3-トリエトキシシリルプロピル)-t-ブチルカーバメート、トリエトキシシリルプロピレニルカーバメート、トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロキシシラン、ビニル-t-ブトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ブテニルトリメトキシシラン、ブテニルトリエトキシシラン、へキセニルトリメトキシシラン、へキセニルトリエトキシシラン、オクテニルトリメトキシシラン、オクテニルトリエトキシシラン、ドデセニルトリメトキシシラン、ドデセニルトリエトキシシラン、スチレチールトリメトキシシラン、(ビシクロヘプテニル)トリエトキシシラン(ノルボルネントリエトキシシラン)、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキプロピルトリエトキシシラン、5,6-エポキシへキシルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、11-メルカプトウンデシルトリメトキシシラン、11-メルカプトウンデシルトリエトキシシラン、メルカプトメチルメチルジエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリイソプロキシシラン、3-メルカプトプロピルトリ-t-ブトキシシラン等が挙げられる。
ビス-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)-ジスルフィド、ビス-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)-テトラスルフィド、ビス-(トリエトキシシリルプロピル)-ポリスルフィド、3-メルカプトプロピルトリエトキシシランが好ましい。
第1表面処理(つまりプラズマ処理)が施された樹脂部材の表面に対して反応性無機化合物を用いて第2表面処理を施す方法は、反応性無機化合物が有する水酸基及びアルコキシ基から選択される少なくとも一種の基と、プラズマ処理によって樹脂部材の表面に導入された基との間で結合が形成される方法であれば、特に限定されるものではない。
例えば、液体中に反応性無機化合物を添加して表面処理液を準備し、この表面処理液中にプラズマ処理が施された樹脂部材を浸漬する方法が挙げられる。
第1実施形態の樹脂ゴム複合体における、第1表面処理及び第2表面処理が施された樹脂部材の処理済表面は、接着性向上の観点から、その水の接触角が20°以上98°以下であることが好ましく、50°以上96°以下であることがより好ましく、60°以上95°以下であることがさらに好ましい。
なお、第2実施形態の樹脂ゴム複合体においても、樹脂部材とゴム部材との界面における樹脂部材側の表面は、接着性向上の観点から、その水の接触角が上記範囲であることが好ましい。
本実施形態における樹脂部材には樹脂が含まれる。
「熱可塑性樹脂」とは、温度上昇とともに材料が軟化して流動し、冷却すると比較的硬く強度のある状態になるが、ゴム状弾性を有しない高分子化合物を意味する。
「熱可塑性エラストマー」とは、ハードセグメント及びソフトセグメントを有する共重合体を意味する。なお、ハードセグメントとは相対的にソフトセグメントよりも硬い成分を指し、塑性変形を防止する架橋ゴムの架橋点の役目を果たす分子拘束成分であることが好ましい。一方、ソフトセグメントとは相対的にハードセグメントよりも柔らかい成分を指し、ゴム弾性を示す柔軟性成分であることが好ましい。
熱可塑性エラストマーとして具体的には、例えば、結晶性で融点の高いハードセグメント、又は高い凝集力のハードセグメントを構成するポリマーと、非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを構成するポリマーと、を有する共重合体が挙げられる。また、熱可塑性エラストマーとしては、例えば、温度上昇とともに材料が軟化して流動し、冷却すると比較的硬く強度のある状態になり、かつ、ゴム状弾性を有する高分子化合物が挙げられる。なお、上記ハードセグメントは、例えば、主骨格に芳香族基若しくは脂環式基等の剛直な基を有する構造、又は分子間水素結合若しくはπ-π相互作用による分子間パッキングを可能にする構造等のセグメントが挙げられる。また、ソフトセグメントは、例えば、主鎖に長鎖の基(例えば長鎖のアルキレン基等)を有し、分子回転の自由度が高く、伸縮性を有する構造のセグメントが挙げられる。
これらの中でも、樹脂材料に含まれる樹脂としては、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性樹脂、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性樹脂、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性樹脂、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性樹脂、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、又はポリオレフィン系熱可塑性樹脂が好ましく、さらにはポリエステル系熱可塑性エラストマー、又はポリエステル系熱可塑性樹脂がより好ましい。
-ポリエステル系熱可塑性エラストマー-
ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、少なくともポリエステルが結晶性で融点の高いハードセグメントを形成し、他のポリマー(例えば、ポリエステル又はポリエーテル等)が非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成している材料が挙げられる。
ハードセグメントを形成するポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等が挙げられ、ポリブチレンテレフタレートが好ましい。
脂肪族ポリエーテルとしては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合体等が挙げられる。
脂肪族ポリエステルとしては、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリエナントラクトン、ポリカプリロラクトン、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート等が挙げられる。
これらの脂肪族ポリエーテル及び脂肪族ポリエステルの中でも、得られるポリエステルブロック共重合体の弾性特性の観点から、ソフトセグメントを形成するポリマーとしては、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート等が好ましい。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーとは、結晶性で融点の高いハードセグメントを形成するポリマーと、非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成するポリマーと、を有する共重合体のみからなる熱可塑性の樹脂材料であって、前記ハードセグメントを形成するポリマーの主鎖にアミド結合(-CONH-)を有するものを意味する。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、少なくともポリアミドが結晶性で融点の高いハードセグメントを形成し、他のポリマー(例えば、ポリエステル、ポリエーテル等)が非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成している材料が挙げられる。また、ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメント及びソフトセグメントの他に、ジカルボン酸等の鎖長延長剤を用いて形成されてもよい。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーとしては、具体的には、JIS K6418:2007に規定されるアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)等や、特開2004-346273号公報に記載のポリアミド系エラストマー等を挙げることができる。
一般式(1)
[一般式(1)中、R1は、炭素数2~20の炭化水素の分子鎖(例えば炭素数2~20のアルキレン基)を表す。]
一般式(2)
[一般式(2)中、R2は、炭素数3~20の炭化水素の分子鎖(例えば炭素数3~20のアルキレン基)を表す。]
また、一般式(2)中、R2としては、炭素数3~18の炭化水素の分子鎖(例えば炭素数3~18のアルキレン基)が好ましく、炭素数4~15の炭化水素の分子鎖(例えば炭素数4~15のアルキレン基)が更に好ましく、炭素数10~15の炭化水素の分子鎖(例えば炭素数10~15のアルキレン基)が特に好ましい。
一般式(1)又は一般式(2)で表されるモノマーとしては、ω-アミノカルボン酸又はラクタムが挙げられる。また、ハードセグメントを形成するポリアミドとしては、これらω-アミノカルボン酸又はラクタムの重縮合体、ジアミンとジカルボン酸との共縮重合体等が挙げられる。
ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、3-メチルペンタメチレンジアミン、メタキシレンジアミン等の炭素数2~20の脂肪族ジアミン等のジアミン化合物を挙げることができる。
また、ジカルボン酸は、HOOC-(R3)m-COOH(R3:炭素数3~20の炭化水素の分子鎖、m:0又は1)で表すことができ、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の炭素数2~20の脂肪族ジカルボン酸を挙げることができる。
ハードセグメントを形成するポリアミドとしては、ラウリルラクタム、ε-カプロラクタム、又はウデカンラクタムを開環重縮合したポリアミドを好ましく用いることができる。
ここで、「ABA型トリブロックポリエーテル」とは、下記一般式(3)に示されるポリエーテルを意味する。
一般式(3)
[一般式(3)中、x及びzは、1~20の整数を表す。yは、4~50の整数を表す。]
ポリスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、少なくともポリスチレンがハードセグメントを形成し、他のポリマー(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリエチレン、水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレン等)が非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成している材料が挙げられる。ハードセグメントを形成するポリスチレンとしては、例えば、公知のラジカル重合法、イオン性重合法等で得られるものが好ましく用いられ、具体的には、アニオンリビング重合を持つポリスチレンが挙げられる。また、ソフトセグメントを形成するポリマーとしては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(2,3-ジメチル-ブタジエン)等が挙げられる。
また、ソフトセグメントを形成するポリマーの数平均分子量としては、5000~1000000が好ましく、10000~800000がより好ましく、30000~500000が更に好ましい。さらに、ハードセグメント(x)及びソフトセグメント(y)の体積比(x:y)は、成形性の観点から、5:95~80:20が好ましく、10:90~70:30がより好ましい。
ポリスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン-ブタジエン系共重合体[例えばSBS(ポリスチレン-ポリ(ブチレン)ブロック-ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン-ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック-ポリスチレン)]、スチレン-イソプレン共重合体(ポリスチレン-ポリイソプレンブロック-ポリスチレン)、スチレン-プロピレン系共重合体[例えばSEP(ポリスチレン-(エチレン/プロピレン)ブロック)、SEPS(ポリスチレン-ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック-ポリスチレン)、SEEPS(ポリスチレン-ポリ(エチレン-エチレン/プロピレン)ブロック-ポリスチレン)、SEB(ポリスチレン(エチレン/ブチレン)ブロック)]等が挙げられる。
ポリウレタン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、少なくともポリウレタンが物理的な凝集によって疑似架橋を形成しているハードセグメントを形成し、他のポリマーが非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成している材料が挙げられる。
ポリウレタン系熱可塑性エラストマーとしては、具体的には、JIS K6418:2007に規定されるポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)が挙げられる。ポリウレタン系熱可塑性エラストマーは、下記式Aで表される単位構造を含むソフトセグメントと、下記式Bで表される単位構造を含むハードセグメントとを含む共重合体として表すことができる。
[式中、Pは、長鎖脂肪族ポリエーテル又は長鎖脂肪族ポリエステルを表す。Rは、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、又は芳香族炭化水素を表す。P’は、短鎖脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、又は芳香族炭化水素を表す。]
これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、Rで表される脂環族炭化水素を含むジイソシアネート化合物としては、例えば、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4-シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。さらに、Rで表される芳香族炭化水素を含む芳香族ジイソシアネート化合物としては、例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等が挙げられる。
これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、P’で表される脂環族炭化水素を含む脂環族ジオール化合物としては、例えば、シクロペンタン-1,2-ジオール、シクロヘキサン-1,2-ジオール、シクロヘキサン-1,3-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール等が挙げられる。
さらに、P’で表される芳香族炭化水素を含む芳香族ジオール化合物としては、例えば、ヒドロキノン、レゾルシン、クロロヒドロキノン、ブロモヒドロキノン、メチルヒドロキノン、フェニルヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、フェノキシヒドロキノン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルサルファイド、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン、ビスフェノールA、1,1-ジ(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,2-ビス(4-ヒドロキシフェノキシ)エタン、1,4-ジヒドロキシナフタリン、2,6-ジヒドロキシナフタリン等が挙げられる。
これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、少なくともポリオレフィンが結晶性で融点の高いハードセグメントを形成し、他のポリマー(例えば、他のポリオレフィン、ポリビニル化合物等)が非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成している材料が挙げられる。ハードセグメントを形成するポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、ポリブテン等が挙げられる。
また、エチレンとプロピレンといったように2種以上のオレフィン樹脂を組み合わせて用いてもよい。また、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー中のオレフィン樹脂含有率は、50質量%以上100質量%以下が好ましい。
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーは、公知の方法によって共重合することで合成することができる。
「ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーを酸変性してなるもの」とは、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーに、カルボン酸基、硫酸基、燐酸基等の酸性基を有する不飽和化合物を結合させたものをいう。
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーに、カルボン酸基、硫酸基、燐酸基等の酸性基を有する不飽和化合物を結合させることとしては、例えば、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーに、酸性基を有する不飽和化合物として、不飽和カルボン酸(例えば、一般的には、無水マレイン酸)の不飽和結合部位を結合(例えば、グラフト重合)させることが挙げられる。
酸性基を有する不飽和化合物としては、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーの劣化抑制の観点からは、弱酸基であるカルボン酸基を有する不飽和化合物が好ましい。酸性基を有する不飽和化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等が挙げられる。
-ポリエステル系熱可塑性樹脂-
ポリエステル系熱可塑性樹脂としては、前述のポリエステル系熱可塑性エラストマーのハードセグメントを形成するポリエステルを挙げることができる。
ポリエステル系熱可塑性樹脂としては、具体的には、ポリ乳酸、ポリヒドロキシ-3-ブチル酪酸、ポリヒドロキシ-3-ヘキシル酪酸、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリエナントラクトン、ポリカプリロラクトン、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート等の脂肪族ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等の芳香族ポリエステルなどを例示することができる。これらの中でも、耐熱性及び加工性の観点から、ポリエステル系熱可塑性樹脂としては、ポリブチレンテレフタレートが好ましい。
ポリアミド系熱可塑性樹脂としては、前述のポリアミド系熱可塑性エラストマーのハードセグメントを形成するポリアミドを挙げることができる。
ポリアミド系熱可塑性樹脂としては、具体的には、ε-カプロラクタムを開環重縮合したポリアミド(アミド6)、ウンデカンラクタムを開環重縮合したポリアミド(アミド11)、ラウリルラクタムを開環重縮合したポリアミド(アミド12)、ジアミンと二塩基酸とを重縮合したポリアミド(アミド66)、メタキシレンジアミンを構成単位として有するポリアミド(アミドMX)等を例示することができる。
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂としては、前述のポリオレフィン系熱可塑性エラストマーのハードセグメントを形成するポリオレフィンを挙げることができる。
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂としては、具体的には、ポリエチレン系熱可塑性樹脂、ポリプロピレン系熱可塑性樹脂、ポリブタジエン系熱可塑性樹脂等を例示することができる。これらの中でも、耐熱性及び加工性の点から、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン系熱可塑性樹脂が好ましい。
ポリプロピレン系熱可塑性樹脂の具体例としては、プロピレンホモ重合体、プロピレン-α-オレフィンランダム共重合体、プロピレン-α-オレフィンブロック共重合体等が挙げられる。α-オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン等の炭素数3~20程度のα-オレフィン等が挙げられる。
樹脂部材は、樹脂以外にも、効果を損なわない範囲で添加剤等の他の成分を含んでもよい。他の成分としては、ゴム、各種充填剤(例えば、シリカ、炭酸カルシウム、クレイ等)、老化防止剤、オイル、可塑剤、発色剤、耐候剤等が挙げられる。
第1実施形態に係る樹脂ゴム複合体では、ゴム部材は、樹脂部材における処理済表面に接し、反応性無機化合物に含有される有機反応性基との反応性を示す官能基を含有するゴムを含む。
第2実施形態に係る樹脂ゴム複合体では、ゴム部材は、反応性無機化合物に含有される有機反応性基との反応性を示す官能基を含有するゴムを含み、樹脂部材との界面において、前記基〔P〕に示される群から選択される少なくとも一種の基と前記反応性無機化合物とが反応してなる架橋基によって樹脂部材の表面とゴム部材の表面とが結合してなる。
本実施形態におけるゴム部材には反応性無機化合物に含有される有機反応性基との反応性を示す官能基を含有するゴムが含まれる。
中でも、反応性無機化合物における有機反応性基とゴムとの結合を良好に形成させる観点から、ポリスルフィド、チオール基、ビニル基、イソシアネート基、アミノ基、水酸基、カルボキシ基、又はエポキシ基が好ましく、ポリスルフィド、ビニル基、アミノ基、カルボキシ基、又はエポキシ基がより好ましい。
また、反応性無機化合物が有機反応性基としてポリスルフィド基を有する場合、ゴムとしてジエン基、ビニル基等の官能基を含むゴムを用いることで、両者の間で良好に結合が形成される。
反応性無機化合物が有機反応性基としてアミノ基を有する場合、ゴムとしてイソシアネート基、カルボキシ基、エポキシ基等の官能基を含むゴムを用いることで、両者の間で良好に結合が形成される。
反応性無機化合物が有機反応性基としてエポキシ基を有する場合、ゴムとしてアミノ基、水酸基、カルボキシ基等の官能基を含むゴムを用いることで、両者の間で良好に結合が形成される。
反応性無機化合物が有機反応性基としてイソシアネート基を有する場合、ゴムとしてアミノ基、水酸基、カルボキシ基、チオール基等の官能基を含むゴムを用いることで、両者の間で良好に結合が形成される。
天然ゴム(NR/官能基の例:ジエン基等)
ブタジエンゴム(BR/官能基の例:ジエン基、ビニル基等)
スチレン・ブタジエンゴム(SBR/官能基の例:ジエン基等)
スチレン・ブタジエン・スチレンゴム(SBS/官能基の例:ジエン基等)
ポリイソプレンゴム(官能基の例:ジエン基等)
クロロプレンゴム(官能基の例:ジエン基、ビニル基等)
アクリニトリルブタジエンゴム(官能基の例:ジエン基、ビニル基等)
エポキシ化天然ゴム(官能基の例:ジエン基、エポキシ基等)
エポキシ化スチレン・ブタジエンゴム(官能基の例:ジエン基、エポキシ基等)
カルボキシル化ニトリルゴム(官能基の例:ジエン基、カルボキシ基等)
ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム(官能基の例:ジエン基等)
エチレンアクリルゴム(官能基の例:カルボキシ基等)
ゴム部材に含まれるシラノール基を有する充填剤としては、例えば、シリカ、ガラス(例えばガラスファイバー、ガラスビーズ等)等の粒子が挙げられる。
中でも、シラノール基を有する充填剤としては、接着性向上の観点から、シリカ粒子が好ましい。
ここで、シリカが「親水性」であるとは、JIS-K1150(1994年)に規定される含水率(つまり乾燥減量)が10質量%以下であることを意味する。
シランカップリング剤としては、例えば有機材料との反応性を示す反応性基を備える基と、アルコキシ基と、がSi原子に結合した化合物が挙げられる。
なお、アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。
反応性基としては、例えばビニル基、エポキシ基、スチリル基(つまりビニルフェニル基)、アクリル基、メタクリル基、アミノ基、ウレイド基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、メルカプト基、トリアジンジチオール基、ビニル基、等が挙げられる。
2個以上の硫黄を有するポリスルフィド系シランカップリング剤(例えばビス-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)-ジスルフィド、ビス-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)-テトラスルフィド、及びビス-(トリエトキシシリルプロピル)-ポリスルフィド等の、ビス-(トリアルコキシシリルアルキル)-ポリスルフィド)、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、4-アミノブチルトリエトキシシラン、11-アミノウンデシルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリイソプロキシシラン、(イソシアネートメチル)メチルジメトキシシラン、(3-トリエトキシシリルプロピル)-t-ブチルカーバメート、トリエトキシシリルプロピレニルカーバメート、トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロキシシラン、ビニル-t-ブトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ブテニルトリメトキシシラン、ブテニルトリエトキシシラン、へキセニルトリメトキシシラン、へキセニルトリエトキシシラン、オクテニルトリメトキシシラン、オクテニルトリエトキシシラン、ドデセニルトリメトキシシラン、ドデセニルトリエトキシシラン、スチレチールトリメトキシシラン、(ビシクロヘプテニル)トリエトキシシラン(ノルボルネントリエトキシシラン)、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキプロピルトリエトキシシラン、5,6-エポキシへキシルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、11-メルカプトウンデシルトリメトキシシラン、11-メルカプトウンデシルトリエトキシシラン、メルカプトメチルメチルジエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリイソプロキシシラン、3-メルカプトプロピルトリ-t-ブトキシシラン等が挙げられる。
中でも、シランカップリング剤としては、接着性向上の観点から、以下の化合物が好ましい。
ビス-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)-ジスルフィド、ビス-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)-テトラスルフィド、ビス-(トリエトキシシリルプロピル)-ポリスルフィド、3-メルカプトプロピルトリエトキシシランが好ましい。
添加物としては、例えば、カーボンブラック等の補強材、充填剤、加硫剤、加硫促進剤、脂肪酸又はその塩、金属酸化物、プロセスオイル、老化防止剤等が挙げられ、これらを適宜配合することができる。
本実施形態に係る樹脂ゴム複合体は、ゴム部材に接する第2ゴム部材を有していてもよい。
第2ゴム部材にはゴムが含まれる。用いられるゴムの例としては、前述のゴム部材に含まれるゴムとして列挙されたものが、同様に挙げられる。
また、第2ゴム部材には目的に応じて添加物等の他の成分を加えてもよく、この添加物の例としては、前述のゴム部材に含まれる添加物として列挙されたものが、同様に挙げられる。
本実施形態に係るタイヤは、前述の本実施形態に係る樹脂ゴム複合体を有する。
・樹脂部材が「ベルト層」である場合、ゴム部材としては「トレッド、タイヤ骨格体、及びベルト層の表面に接着されたゴムシート」から選択される少なくとも1種の部材が挙げられる。
・樹脂部材が「ビード部材」である場合、ゴム部材としては「タイヤ骨格体、及びビード部材の表面に接着されたゴムシート」から選択される少なくとも1種の部材が挙げられる。
・樹脂部材が「タイヤ骨格体」である場合、ゴム部材としては「トレッド、ベルト層、ビード部材、及びタイヤ骨格体の表面に接着されたゴムシート」から選択される少なくとも1種の部材が挙げられる。
・樹脂部材が「ベルトコード」である場合、ゴム部材としては「ベルトコードを被覆するコード被覆層、及びベルトコードの表面に接着されたゴムシート」から選択される少なくとも1種の部材が挙げられる。
・樹脂部材が「ビードワイヤー」である場合、ゴム部材としては「ビードワイヤーを被覆するワイヤー被覆層、及びビードワイヤーの表面に接着されたゴムシート」から選択される少なくとも1種の部材が挙げられる。
なお、上記のゴム部材としての「タイヤ骨格体」は、ゴム部材に相当するカーカス(例えば複数のワイヤーの周囲がゴムで被覆されたカーカスプライのみからなるカーカス)等のタイヤの骨格を成す部材に置き替えてもよい。
・樹脂部材が「ベルト層」である場合、ゴム部材としては「ゴムシート」が挙げられ、第2ゴム部材としては「トレッド、タイヤ骨格体、及びサイドゴム」から選択される少なくとも1種の部材が挙げられる。
・樹脂部材が「ビード部材」である場合、ゴム部材としては「ゴムシート」が挙げられ、第2ゴム部材としては「タイヤ骨格体、及びサイドゴム」から選択される少なくとも1種の部材が挙げられる。
・樹脂部材が「タイヤ骨格体」である場合、ゴム部材としては「ゴムシート」が挙げられ、第2ゴム部材としては「トレッド、ベルト層、ビード部材、及びサイドゴム」から選択される少なくとも1種の部材が挙げられる。
・樹脂部材が「ベルトコード」である場合、ゴム部材としては「ゴムシート」が挙げられ、第2ゴム部材としては「コード被覆層」が挙げられる。
・樹脂部材が「ビードワイヤー」である場合、ゴム部材としては「ゴムシート」が挙げられ、第2ゴム部材としては「ワイヤー被覆層」が挙げられる。
なお、上記の第2ゴム部材としての「タイヤ骨格体」は、第2ゴム部材に相当するカーカス(例えば複数のワイヤーの周囲がゴムで被覆されたカーカスプライのみからなるカーカス)等のタイヤの骨格を成す部材に置き替えてもよい。
図1は、第1実施形態のタイヤのタイヤ幅方向に沿った断面図である。
第1実施形態のタイヤは、タイヤケース17(タイヤ骨格体の一例)が樹脂部材に相当する。第1実施形態においてタイヤ200は、図1に示すように、タイヤケース17のクラウン部16の外周面に、ベルトコード26Aが被覆樹脂26Bによって被覆されたベルトが周方向に巻回されてベルト層26が形成されており、このベルト層26も樹脂部材に相当する。このベルト層26は、タイヤケース17の外周部を構成し、クラウン部16の周方向剛性を補強している。
なお、樹脂部材に相当するタイヤケース17及びベルト層26は、少なくともクッションゴム28と接する面が前述の表面処理によって処理された処理済表面である。
まず、タイヤケース半体(つまりタイヤケースがタイヤ幅方向の中央部で切断された形状を有するタイヤケースの片側半分)を、例えば樹脂材料を押出成型等の方法によって形成する。次いで、タイヤケース半体同士を互いに向かい合わせ、タイヤケースを構成する樹脂材料の融点以上で押圧する等の方法によって、タイヤケース半体同士を接合することで、タイヤケース17が形成される。
タイヤケース17のクラウン部16にベルト層26を形成する方法としては、例えば、タイヤケース17を回転させながら、リールに巻き取ったベルト(つまりベルトコード26Aが被覆樹脂26Bに被覆された部材)を巻き出し、このベルトをクラウン部16に所定の回数巻き付けてベルト層26が形成される。なお、加熱及び加圧を行って被覆樹脂26Bをタイヤケース17に溶着させてもよい。
なお、ベルト層26におけるクッションゴム28と接する外周面、及びタイヤケース17の外周面のうちベルト層26に覆われておらずかつクッションゴム28と接する領域には、少なくとも前述の方法により表面処理を施す。ただし、表面処理を施すタイミングは特に限定されず、例えばベルト層26を形成した後にタイヤケース17及びベルト層26に対して一括で処理してもよい。また、ベルト層26を形成する前にまずタイヤケース17に対して処理し、その後ベルト層26を形成した後に改めてベルト層26に対して処理してもよい。
次に、ベルト層26の外周面及びタイヤケース17の外周面のうちベルト層26に覆われていない領域に接するよう、未加硫状態のクッションゴム28を1周分巻き付ける。なお、ゴム部材に相当するクッションゴム28にはシラノール基を有する充填剤が含有されている。その後、このクッションゴム28の上に、加硫済み、半加硫状態、または未加硫状態のトレッド層30を1周分巻き付ける。その後、加硫することで、第1実施形態のタイヤが得られる。
図1に示す第1実施形態のタイヤ200では、クッションゴム28及びトレッド層30を積層することでタイヤケース17の外周面上にトレッドを形成したが、これに限らず、クッションゴム28を配置しない構成としてもよい。なお、その場合、トレッドを構成するトレッド層30がゴム部材に相当し、このトレッド層30にシラノール基を有する充填剤が含有される。
図2は、第2実施形態のタイヤ110のタイヤ幅方向に沿って切断した切断面の片側を示すタイヤ半断面図である。なお、図中矢印TWはタイヤ110の幅方向(タイヤ幅方向)を示し、矢印TRはタイヤ110の径方向(タイヤ径方向)を示す。
なお、図2においてゴム部材に相当するタイヤケース140は、ゴム部材に相当するカーカス(例えば複数のワイヤーの周囲がゴムで被覆されたカーカスプライのみからなるカーカス)等のタイヤの骨格を成す部材に置き替えてもよい。
タイヤケース140の作製方法は、特に制限されない。例えば、タイヤケース140を赤道面(図2中のCLで示される面)で分割した状態のタイヤケース半体をそれぞれ押出成形法(例えば射出成形法)等により作製し、タイヤケース半体同士を赤道面で接合することで作製してもよい。また、ゴム部材に相当するタイヤケース140をカーカスに置き替えてた場合、従来公知の方法により作製されたカーカスを用いてもよい。
タイヤケース140のトレッド部116にベルト層124Aを形成する方法としては、例えば、タイヤケース140を回転させながら、リールに巻き取ったベルト(図3Aに示すベルトコード1がコード被覆層3に被覆された部材)を巻き出し、このベルトをクラウン部16に所定の回数巻き付けてベルト層124Aが形成される。なお、加熱及び加圧を行ってコード被覆層3をタイヤケース140に溶着させてもよい。
タイヤケース140のビード部112にビードフィラー120及びビードコア118を形成する方法としては、例えば、予め形成したビードフィラー120及びビードコア118用の円環状の部材を、公知の方法でビード部112に埋め込むことで形成してもよい。
図2に示す第2実施形態のタイヤ110では、タイヤケース140がビードフィラー120に直に接する態様を示したが、これに限らず、タイヤケース140とビードフィラー120との間に、ゴム部材に相当するゴムシートを介在させてもよい。この場合、ゴムシートがゴム部材に相当し、このゴムシートにシラノール基を有する充填剤が含有される。また、タイヤケース140が第2ゴム部材に相当し、このタイヤケース140にはシラノール基を有する充填剤を含有させずともよい。
次いで、図2に示されるビードコア118が取り得る形態について、複数の例を挙げて説明する。
図3Aは、ビードコア118の一部をビードワイヤー1の長さ方向に対して垂直に切断したときの断面を模式的に表す図である。図3Aでは、3本のビードワイヤー1に直に接するようワイヤー被覆層3が設けられている。図3Aに示す態様では、ビードワイヤー1は樹脂部材に相当し、ワイヤー被覆層3と接する面が前述の表面処理によって処理された処理済表面である。また、ワイヤー被覆層3はゴム部材に相当し、ゴムを用いて形成されかつシラノール基を有する充填剤が含有される。そのため、ビードワイヤー1とワイヤー被覆層3との間に接着剤を介さずとも、ビードワイヤー1とワイヤー被覆層3との優れた接着性が得られる。
なお、1本のビードワイヤー1を熱溶着しながら、横、縦に段済みすることで、作製してもよい。
また、図2に示されるビードコア118は、図3A及び図3Bのいずれかに示される3本のビードワイヤー1とワイヤー被覆層3と(図3Bではさらにゴムシート2と)が3層積層された形態となっている。ただし、ビードコア118は、1層で使用しても、2層以上を積層して使用してもよい。その場合、ワイヤー被覆層間を溶着することが好ましい。
なお、ビードコア118が取り得る形態について図3A及び図3Bを挙げて説明したが、この構成に限定されない。
次いで、図2に示されるベルト層124Aが取り得る形態について説明する。
例えば、図3Aに示したビードコア118と同様の構成が挙げられ、つまり3本のベルトコードに直に接するようコード被覆層が設けられた構成が挙げられる。この場合、ベルトコードは樹脂部材に相当し、コード被覆層と接する面が前述の表面処理によって処理された処理済表面である。また、コード被覆層はゴム部材に相当し、ゴムを用いて形成されかつシラノール基を有する充填剤が含有される。そのため、ベルトコードとコード被覆層との間に接着剤を介さずとも、ベルトコードとコード被覆層との優れた接着性が得られる。
また、図2に示されるベルト層124Aは、3本のベルトコードとコード被覆層と(さらに必要によりゴムシートと)が1層積層された形態となっている。ただし、ベルト層124Aは、2層以上を積層して使用してもよい。その場合、コード被覆層間を溶着することが好ましい。
なお、ベルト層124Aが取り得る形態について上記の通り説明したが、この構成に限定されない。
<1> 本開示の第1の観点によれば、
プラズマ処理による第1表面処理が施され、かつ前記プラズマ処理が施された表面上にさらに、有機反応性基と水酸基及びアルコキシ基から選択される少なくとも一種の基とを含有する反応性無機化合物による第2表面処理が施された処理済表面を有する樹脂部材と、
前記樹脂部材における前記処理済表面に接し、前記有機反応性基との反応性を示す官能基を含有するゴムを含むゴム部材と、
を有する樹脂ゴム複合体が提供される。
<2> 本開示の第2の観点によれば、
前記樹脂部材における前記処理済表面は、前記プラズマ処理によってペルオキシラジカル(-O-O・)、ヒドロペルオキシド基(-O-OH)、カルボニル基(-C(=O)-)、アルデヒド基(-C(=O)-H)、カルボキシ基(-C(=O)-OH)、及び水酸基(-OH)から選択される少なくとも一種が導入された表面である、前記第1の観点による樹脂ゴム複合体が提供される。
<3> 本開示の第3の観点によれば、
前記樹脂部材における前記処理済表面の水の接触角が20°以上98°以下である、前記第1又は第2の観点による樹脂ゴム複合体が提供される。
<4> 本開示の第4の観点によれば、
樹脂部材と、前記樹脂部材に接するゴム部材と、を有し、
前記樹脂部材とゴム部材との界面において、下記基〔P〕に示される群から選択される少なくとも一種と下記反応性無機化合物とが反応してなる架橋基によって前記樹脂部材の表面と前記ゴム部材の表面とが結合してなり、
前記ゴム部材は、下記反応性無機化合物が有する有機反応性基との反応性を示す官能基を含有するゴムを含む、
樹脂ゴム複合体が提供される。
・基〔P〕
ペルオキシラジカル(-O-O・)、ヒドロペルオキシド基(-O-OH)、カルボニル基(-C(=O)-)、アルデヒド基(-C(=O)-H)、カルボキシ基(-C(=O)-OH)、及び水酸基(-OH)
・反応性無機化合物
有機反応性基と水酸基及びアルコキシ基から選択される少なくとも一種の基とを含有する反応性無機化合物
<5> 本開示の第5の観点によれば、
前記樹脂部材と前記ゴム部材との界面における前記樹脂部材側の表面の水の接触角が20°以上98°以下である、前記第4の観点による樹脂ゴム複合体が提供される。
<6> 本開示の第6の観点によれば、
前記反応性無機化合物に含有される前記有機反応性基が、ポリスルフィド基、ビニル基、チオール基、アミノ基、イソシアネート基、及びエポキシ基から選択される少なくとも1種の基である、前記第1~第5のいずれか1の観点による樹脂ゴム複合体が提供される。
<7> 本開示の第7の観点によれば、
前記反応性無機化合物が、無機元素としてSi原子を含有する、前記第1~第6のいずれか1の観点による樹脂ゴム複合体が提供される。
<8> 本開示の第8の観点によれば、
前記ゴムに含有される前記官能基が、ジエン基、ビニル基、イソシアネート基、アミノ基、水酸基、カルボキシ基、エポキシ基、チオール基、及びポリスルフィドから選択される少なくとも1種の基である、前記第1~第7のいずれか1の観点による樹脂ゴム複合体が提供される。
<9> 本開示の第9の観点によれば、
前記ゴム部材が、さらにシラノール基を有する充填剤を含有する、前記第1~第8のいずれか1の観点による樹脂ゴム複合体が提供される。
<10> 本開示の第10の観点によれば、
前記シラノール基を有する充填剤がシリカである、前記第9の観点による樹脂ゴム複合体が提供される。
<11> 本開示の第11の観点によれば、
前記シリカが親水性シリカである、前記第10の観点による樹脂ゴム複合体が提供される。
<12> 本開示の第12の観点によれば、
前記ゴム部材が、さらにシランカップリング剤を含有する、前記第9~第11のいずれか1の観点による樹脂ゴム複合体が提供される。
<13> 本開示の第13の観点によれば、
さらに、前記ゴム部材と接する第2ゴム部材を有する、前記第1~第12のいずれか1の観点による樹脂ゴム複合体が提供される。
<14> 本開示の第14の観点によれば、
前記樹脂部材が、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性樹脂、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性樹脂、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性樹脂、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性樹脂、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、及びポリオレフィン系熱可塑性樹脂から選択される少なくとも一種の樹脂を含有する、前記第1~第13のいずれか1の観点による樹脂ゴム複合体が提供される。
<15> 本開示の第15の観点によれば、
前記樹脂部材が、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、及びポリエステル系熱可塑性樹脂から選択される少なくとも一種の樹脂を含有する、前記第14の観点による樹脂ゴム複合体が提供される。
<16> 本開示の第16の観点によれば、
、前記第1~第15のいずれか1の観点による樹脂ゴム複合体を有するタイヤが提供される。
<17> 本開示の第17の観点によれば、
前記樹脂部材としてのベルト層と、前記ゴム部材としてのトレッド、タイヤ骨格体、及び前記ベルト層の表面に接着されたゴムシートから選択される少なくとも1種の部材と、を有する、前記第16の観点によるタイヤが提供される。
<18> 本開示の第18の観点によれば、
前記樹脂部材としてのビード部材と、前記ゴム部材としてのタイヤ骨格体、及び前記ビード部材の表面に接着されたゴムシートから選択される少なくとも1種の部材と、を有する、前記第16の観点によるタイヤが提供される。
<19> 本開示の第19の観点によれば、
前記樹脂部材としてのタイヤ骨格体と、前記ゴム部材としてのトレッド、ベルト層、ビード部材、及び前記タイヤ骨格体の表面に接着されたゴムシートから選択される少なくとも1種の部材と、を有する、前記第16の観点によるタイヤが提供される。
<20> 本開示の第20の観点によれば、
前記樹脂ゴム複合体が、前記樹脂部材としてのベルトコードと、前記ゴム部材としての前記ベルトコードを被覆するコード被覆層、及び前記ベルトコードの表面に接着されたゴムシートから選択される少なくとも1種の部材と、を有するベルト層である、前記第16の観点によるタイヤが提供される。
<21> 本開示の第21の観点によれば、
前記樹脂ゴム複合体が、前記樹脂部材としてのビードワイヤーと、前記ゴム部材としての前記ビードワイヤーを被覆するワイヤー被覆層、及び前記ビードワイヤーの表面に接着されたゴムシートから選択される少なくとも1種の部材と、を有するビードコアである、前記第16の観点によるタイヤが提供される。
<22> 本開示の第22の観点によれば、
プラズマ処理による第1表面処理、並びに前記プラズマ処理が施された表面上にさらに、有機反応性基と水酸基及びアルコキシ基から選択される少なくとも一種の基とを含有する反応性無機化合物による第2表面処理を樹脂部材における表面の少なくとも一部に施す表面処理工程と、
前記樹脂部材の前記第1表面処理及び第2表面処理が施された表面に、前記有機反応性基との反応性を示す官能基を含有するゴムを含むゴム部材が接するよう配置し、加熱して前記樹脂部材と前記ゴム部材とを接着する接着工程と、
を有する樹脂ゴム複合体の製造方法が提供される。
<試験片の作製>
1.樹脂部材
樹脂組成物として、市販のポリエステル系熱可塑性エラストマーとしてハイトレル4767N、東レ・デュポン社製を用い、厚さ0.6mmの樹脂角板を得た。
ゴム部材として、表1に示すゴム及び各種配合剤をラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)で110℃3分間混合撹拌した後、ロールで厚さ2.5mmのゴムシートを得た。
・第1表面処理
樹脂部材に表面処理を施すプラズマ照射装置は、プラズマ発生装置(明昌機工社製、製品名K2X02L023)を用いた。プラズマ発生装置の高周波電源として、印加電圧の周波数が13.56MHzのものを用い、電極としては、内径1.8mm、外径3mm、長さ165mmの銅管を外径5mm、厚さ1mm、長さ100mmのアルミナ管で被覆した構造のものを用いた。試料ホルダーの上面に、樹脂部材を載せ、樹脂部材表面と電極との距離が1.0mmになるように設定した。
チャンバーを密閉し、ロータリーポンプにより10Pa以下になるまで減圧した後、大気圧(つまり1013hPa)になるまでヘリウムガスを導入した。その後、出力電力密度(つまり照射密度)5.7W/cm2になるように高周波電源を設定するとともに、走査ステージの移動速度が2mm/秒に設定した。
その後、走査ステージを移動させながら樹脂部材(つまり角板)の表面に、ヘリウム雰囲気下でプラズマ照射を行ない、走査ステージを2往復させて、第1表面処理を施した。
次いで、プラズマ処理による第1表面処理が施された樹脂部材(つまり角板)に対し、シランカップリング剤による以下の第2処理を施した。
まず、エタノール100mLに、酢酸0.1mLを添加してpHを8から4にし、次いでシランカップリング剤Aを2mL添加して45分間撹拌して、表面処理液を準備した。この表面処理液に第1表面処理が施された樹脂部材を1分浸漬した。
次いで、エタノールで軽く濯ぎ洗いし、純水で軽く濯ぎ洗いした後、N2ガススプレーガンで乾燥した。さらに、電気炉を使用して120℃で30分乾燥し、エタノールで1分超音波洗浄した後、N2ガススプレーガンで乾燥することで、シランカップリング剤による第2表面処理を施した。
第1表面処理及び第2表面処理を施した樹脂部材(つまり角板)にゴム部材(つまりシート)を貼り合せ、加硫温度150℃、圧力2MPaで30分加硫して、試験片を得た。
加硫後、試験片に対して下記の剥離試験を行った。結果を表1に示す。
ゴム部材(つまりシート)の作製の際の配合を表1に示した組成に変更し、かつ樹脂部材(つまり角板)に対するプラズマ処理による第1表面処理の有無、シランカップリング剤による第2表面処理の有無、及び第2表面処理に使用したシランカップリング剤の種類を表1に記載のものに変更した以外は、実施例1と同様にして試験片を作製し、剥離試験を行った。
ゴム部材(つまりシート)の作製の際の配合を表1に示した組成に変更し、かつ樹脂部材(つまり角板)に対するプラズマ処理による第1表面処理の有無、シランカップリング剤による第2表面処理の有無、及び第2表面処理に使用するシランカップリング剤の種類を表1に記載のものに変更すること以外は、実施例1と同様にして試験片を作製し、剥離試験を行う。
なお、比較例4については、シミュレーションから得た予測値である。
各例で得られた試験片を用いて、引張試験機(RTF-1210、エーアンドデー社製)により、室温下(つまり25℃)、引張速度100mm/分でゴム部材と樹脂部材との剥離試験を行い、最大強度から接着力[N/10mm]を求めた。
<ゴム部材組成>
・ゴム(SBR)/スチレンブタジエンゴム、JSR(株)、JSR1502
・シリカ1/東ソー・シリカ(株)製、製品名:ニップシールAQ
・シリカ2/日本アエロジル(株)製、製品名:AEROSIL200
・シリカ3/東ソー・シリカ(株)製、製品名:ニップシールHQ-N(BET比表面積260m2/g)
・シランカップリング剤1/信越化学工業(株)製、製品名:ビス-(トリエトキシシリルプロピル)-ポリスルフィド
・促進剤(DPG)/ジフェニルグアニジン、大内新興化学工業製、ノクセラーD
・促進剤(CZ)/N-シクロヘキシルベンゾチアジルスルフェンアミド、大内新興化学工業製、ノクセラーCZ
・促進剤(DM)/ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、大内新興化学工業製、ノクセラーDM
・シランカップリング剤A/信越化学工業(株)製、製品名:ビス-(トリエトキシシリルプロピル)-ポリスルフィド
・シランカップリング剤B/信越化学工業(株)製、製品名:KBM-1083
2 ゴムシート
3 ワイヤー被覆層
12 ビード部
16 クラウン部
17 タイヤケース(タイヤ骨格体の一例)
18 ビードコア
26 ベルト層
26A ベルトコード
26B 被覆樹脂
28 クッションゴム
30 トレッド層
110 タイヤ
112 ビード部
114 タイヤサイド部
116 トレッド部
118 ビードコア
122 保護層
124A ベルト層
124B クッションゴム
130 トレッド層
140 タイヤケース(タイヤ骨格体の一例)
200 タイヤ
CL タイヤ赤道面
Q 中点
Claims (18)
- プラズマ処理による第1表面処理が施され、かつ前記プラズマ処理が施された表面上にさらに、有機反応性基と水酸基及びアルコキシ基から選択される少なくとも一種の基とを含有する反応性無機化合物による第2表面処理が施された処理済表面を有する樹脂部材と、
前記樹脂部材における前記処理済表面に接し、前記有機反応性基との反応性を示す官能基を含有するゴム、シラノール基を有する充填剤、及びシランカップリング剤を含むゴム部材と、
を有し、
前記反応性無機化合物が、2個以上の硫黄原子を有するポリスルフィド系シランカップリング剤であり、
前記ゴム部材が含む前記シラノール基を有する充填剤の含有率が、前記ゴムの総量に対して20phr以上100phr以下であり、
前記ゴム部材が含む前記シランカップリング剤が、2個以上の硫黄原子を有するポリスルフィド系シランカップリング剤であり、
前記ゴム部材における前記シランカップリング剤の含有率が、前記シラノール基を有する充填剤100質量部に対して5質量部以上15質量部以下である、
樹脂ゴム複合体。 - 前記樹脂部材における前記処理済表面は、前記プラズマ処理によってペルオキシラジカル(-O-O・)、ヒドロペルオキシド基(-O-OH)、カルボニル基(-C(=O)-)、アルデヒド基(-C(=O)-H)、カルボキシ基(-C(=O)-OH)、及び水酸基(-OH)から選択される少なくとも一種が導入された表面である請求項1に記載の樹脂ゴム複合体。
- 前記樹脂部材における前記処理済表面の水の接触角が20°以上98°以下である請求項1又は請求項2に記載の樹脂ゴム複合体。
- 樹脂部材と、前記樹脂部材に接するゴム部材と、を有し、
前記樹脂部材とゴム部材との界面において、下記基〔P〕に示される群から選択される少なくとも一種と下記反応性無機化合物とが反応してなる架橋基によって前記樹脂部材の表面と前記ゴム部材の表面とが結合してなり、
前記ゴム部材は、下記反応性無機化合物が有する有機反応性基との反応性を示す官能基を含有するゴム、シラノール基を有する充填剤、及びシランカップリング剤を含み、
前記反応性無機化合物が、2個以上の硫黄原子を有するポリスルフィド系シランカップリング剤であり、
前記ゴム部材が含む前記シラノール基を有する充填剤の含有率が、前記ゴムの総量に対して20phr以上100phr以下であり、
前記ゴム部材が含む前記シランカップリング剤が、2個以上の硫黄原子を有するポリスルフィド系シランカップリング剤であり、
前記ゴム部材における前記シランカップリング剤の含有率が、前記シラノール基を有する充填剤100質量部に対して5質量部以上15質量部以下である、
樹脂ゴム複合体。
・基〔P〕
ペルオキシラジカル(-O-O・)、ヒドロペルオキシド基(-O-OH)、カルボニル基(-C(=O)-)、アルデヒド基(-C(=O)-H)、カルボキシ基(-C(=O)-OH)、及び水酸基(-OH)
・反応性無機化合物
有機反応性基と水酸基及びアルコキシ基から選択される少なくとも一種の基とを含有する反応性無機化合物 - 前記樹脂部材と前記ゴム部材との界面における前記樹脂部材側の表面の水の接触角が20°以上98°以下である請求項4に記載の樹脂ゴム複合体。
- 前記ゴムに含有される前記官能基が、ジエン基、ビニル基、イソシアネート基、アミノ基、水酸基、カルボキシ基、エポキシ基、チオール基、及びポリスルフィドから選択される少なくとも1種の基である請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の樹脂ゴム複合体。
- 前記シラノール基を有する充填剤がシリカである請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の樹脂ゴム複合体。
- 前記シリカが親水性シリカである請求項7に記載の樹脂ゴム複合体。
- さらに、前記ゴム部材と接する第2ゴム部材を有する請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の樹脂ゴム複合体。
- 前記樹脂部材が、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性樹脂、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性樹脂、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性樹脂、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性樹脂、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、及びポリオレフィン系熱可塑性樹脂から選択される少なくとも一種の樹脂を含有する請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の樹脂ゴム複合体。
- 前記樹脂部材が、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、及びポリエステル系熱可塑性樹脂から選択される少なくとも一種の樹脂を含有する請求項10に記載の樹脂ゴム複合体。
- 請求項1~請求項11のいずれか1項に記載の樹脂ゴム複合体を有するタイヤ。
- 前記樹脂部材としてのベルト層と、前記ゴム部材としてのトレッド、タイヤ骨格体、及び前記ベルト層の表面に接着されたゴムシートから選択される少なくとも1種の部材と、を有する請求項12に記載のタイヤ。
- 前記樹脂部材としてのビード部材と、前記ゴム部材としてのタイヤ骨格体、及び前記ビード部材の表面に接着されたゴムシートから選択される少なくとも1種の部材と、を有する請求項12に記載のタイヤ。
- 前記樹脂部材としてのタイヤ骨格体と、前記ゴム部材としてのトレッド、ベルト層、ビード部材、及び前記タイヤ骨格体の表面に接着されたゴムシートから選択される少なくとも1種の部材と、を有する請求項12に記載のタイヤ。
- 前記樹脂ゴム複合体が、前記樹脂部材としてのベルトコードと、前記ゴム部材としての前記ベルトコードを被覆するコード被覆層、及び前記ベルトコードの表面に接着されたゴムシートから選択される少なくとも1種の部材と、を有するベルト層である請求項12に記載のタイヤ。
- 前記樹脂ゴム複合体が、前記樹脂部材としてのビードワイヤーと、前記ゴム部材としての前記ビードワイヤーを被覆するワイヤー被覆層、及び前記ビードワイヤーの表面に接着されたゴムシートから選択される少なくとも1種の部材と、を有するビードコアである請求項12に記載のタイヤ。
- プラズマ処理による第1表面処理、並びに前記プラズマ処理が施された表面上にさらに、有機反応性基と水酸基及びアルコキシ基から選択される少なくとも一種の基とを含有する反応性無機化合物による第2表面処理を樹脂部材における表面の少なくとも一部に施す表面処理工程と、
前記樹脂部材の前記第1表面処理及び第2表面処理が施された表面に、前記有機反応性基との反応性を示す官能基を含有するゴム、シラノール基を有する充填剤及びシランカップリング剤を含むゴム部材が接するよう配置し、加熱して前記樹脂部材と前記ゴム部材とを接着する接着工程と、を有し、
前記表面処理工程の前記第2表面処理に用いる反応性無機化合物が、2個以上の硫黄原子を有するポリスルフィド系シランカップリング剤であり、
前記接着工程に用いるゴム部材が含むシラノール基を有する充填剤の含有率が、前記ゴムの総量に対して20phr以上100phr以下であり、
前記ゴム部材が含む前記シランカップリング剤が、2個以上の硫黄原子を有するポリスルフィド系シランカップリング剤であり、
前記ゴム部材における前記シランカップリング剤の含有率が、前記シラノール基を有する充填剤100質量部に対して5質量部以上15質量部以下である、
樹脂ゴム複合体の製造方法。
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