以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
以下、本実施形態にかかる駐車支援制御装置を含むリモート駐車システムについて説明する。図1に示すように、リモート駐車システムは、電子キー1、遠隔操作機2、アンテナ/チューナ3、周辺監視センサ4、駐車支援制御装置の制御部を構成する各種ECU5~8、各種アクチュエータ9、報知装置10を有している。各種ECU5~8としては、ボデーECU5、画像ECU6、コックピットECU7、自動駐車ECU8が備えられている。これら各種ECU5~8とアンテナ/チューナ3、周辺監視センサ4、各種アクチュエータ9および報知装置10とは、直接もしくは車内LAN(Local Area Network)を介して通信可能に接続されている。リモート駐車システムは、これら各部を制御することにより、駐車支援として操作者の遠隔操作に基づくリモート駐車を行っている。なお、駐車支援には、駐車経路を表示して指し示す支援や、駐車中にアナウンスを行う支援など、様々なものがあるが、ここではリモート駐車を含めた各種駐車に係わる支援を駐車支援と呼ぶこととする。
電子キー1は、自身の車両(以下、自車という)におけるドアの開閉やエンジン始動停止などの自車の起動スイッチのオンオフを制御するための認証データを有したものであり、自車の操作者に所持される。ここでは操作者と呼んでいるが、典型的には操作者は自車を運転する運転者と同一人物となる。具体的には、電子キー1は、アンテナ/チューナ3を通じてボデーECU5と無線通信を行えるようになっており、ボデーECU5からの認証データの送信要求を受信し、送信要求を受け取ると認証データを送信するようになっている。また、電子キー1は、操作者の操作に基づいてLock/Unlock信号を送信することで、ドアの自動施開錠を行うことも可能になっている。
遠隔操作機2は、スマートフォンやタブレットのような携帯通信端末によって構成され、自車の外部に持ち出せる機器である。遠隔操作機2は、タッチパネル式の表示画面2aを備えており、表示画面2aを通じて操作者がリモート駐車の操作などを行えるようになっていて、その操作に対応する操作信号をコックピットECU7に伝える。また、遠隔操作機2は、GPS(Global Positioning System)に基づく自身の位置情報をコックピットECU7に伝えることもできる。
例えば、遠隔操作機2では、リモート駐車の実行指示、リモート駐車の継続指示、リモート駐車の停止指示などを行えるようになっている。一例を挙げると、遠隔操作機2の表示画面2aを通じてリモート駐車のアプリケーションを実行すると、リモート駐車の実行ボタンが表示され、その実行ボタンを押下するとリモート駐車の実行指示となる。また、実行ボタンを押下し続けるとリモート駐車の継続指示となり、実行ボタンの押下をやめるとリモート駐車の停止指示となる。
アンテナ/チューナ3は、電子キー1とボデーECU5との無線通信を実現するためのもので、電子キー1に対してボデーECU5から伝えられる送信要求を含む信号を送信したり、電子キー1からの認証データを含む信号を受信して認証データを抽出したりする。
周辺監視センサ4は、自車の周辺環境を監視する自律センサである。例えば、周辺監視センサ4は、歩行者や他車両などの移動する動的物標および路上の構造物などの静止している静的物標といった自車周辺の立体物を検知対象物として検知する。ここでは、周辺監視センサ4として、自車周囲の所定範囲を撮像する周辺監視カメラ41、自車周囲の所定範囲に探査波を送信するソナー42が備えられている。各周辺監視センサ4は、例えば駐車支援を行う際に、それぞれに決められた制御周期毎に立体物の検知を行っている。
周辺監視カメラ41は、撮像装置に相当するもので、自車の周辺画像を撮影し、その撮像データをセンシング情報として画像ECU6へ出力する。ここでは、周辺監視カメラ41として、車両前方、後方、左右側方の画像を撮影する前方カメラ、後方カメラ、左側方カメラ、右側方カメラを備えている場合を例に挙げて説明するが、これに限るものではない。周辺監視カメラ41の撮像データを解析することで「立体物」を検知したり、撮像データを用いてリモート駐車時に遠隔操作機2の表示画面2aに表示させる画像生成を行ったりできるようになっている。
なお、「立体物」とは、周辺監視センサ4によって検出される立体構造体、人、自転車などの三次元に空間的な広がりを持つ物体のことである。「障害物」とは、「立体物」のうち、駐車支援制御を行うときに自車の移動に対して障害となり得るものを意味している。「立体物」であっても、自車よりも高い位置にある壁や乗り越えられる程度の高さの段差など、自車の移動に対して障害とならないものについては「障害物」に含めなくても良い。
ソナー42は、探査波センサに相当するものである。ソナー42は、所定のサンプリング周期毎に、探査波として超音波を出力すると共にその反射波を取得することで得られた物標との相対速度や相対距離および物標が存在する方位角などの位置の測定結果をセンシング情報として自動駐車ECU8へ逐次出力する。ソナー42は、物体を検知した場合には、その検知した位置の座標である検知座標をセンシング情報に含めて出力している。物体の検知座標については、移動三角測量法を用いて特定しており、自車の移動に伴って物体までの距離が変化することから、サンプリング周期毎の測定結果の変化に基づいて特定している。
ここではソナー42を1つのみ図示しているが、実際には、車両に対して複数箇所に備えられる。ソナー42としては、例えば前後のバンパーに車両左右方向に複数個並べて配置されたフロントソナーや、車両の側方位置に配置されたサイドソナーが挙げられる。
なお、ここでは探査波センサとしてソナー42を例に挙げるが、探査波センサとしては、ミリ波レーダやLIDAR(Light Detection and Ranging)なども挙げられる。ミリ波レーダは、探査波としてミリ波を用いた測定、LIDARは、探査波としてレーザ光を用いた測定を行うものであり、共に、例えば車両の前方などの所定範囲内に探査波を出力し、その出力範囲内において測定を行う。
また、本実施形態では、周辺監視センサ4として、周辺監視カメラ41、ソナー42を備えたもの例に挙げるが、これらのうちの少なくとも周辺監視カメラ41によって周辺監視が行えれば良く、すべて備えていなくても良い。
各種ECU5~8は、駐車支援制御装置の制御部を構成するものであり、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えたマイクロコンピュータによって構成されている。各種ECU5~8は、本実施形態では複数に分かれた構成として記載されているが、各種ECU5~8の少なくとも一部が1つのECUで構成されていても良いし、少なくとも一部が更に複数に分かれた構成とされていても良い。各種ECU5~8が協働して、もしくは、各ECU5~8のうちの少なくとも一部によって駐車支援制御装置の制御部を構成している。
ボデーECU5は、アンテナ/チューナ3を介しての電子キー1との間の通信や、自動駐車ECU8やコックピットECU7などとの通信が行えるようになっている。ボデーECU5は、電子キー1との通信に基づいて、電子キー1が自車の真正のものであるか否かを判定するキー認証を行う。また、ボデーECU5は、キー認証結果に基づいて、ドアのLock/Unlock制御を行ったり、自車を発進可能な起動状態にするイグニッションスイッチ等の起動スイッチの制御を行う。また、リモート駐車の開始時には、ボデーECU5は、コックピットECU7もしくは自動駐車ECU8からリモート駐車の操作の内容を示す操作信号を受け取って、電子キー1に認証データの送信要求を出す。そして、ボデーECU5は、電子キー1から送信されてきた認証データを用いたキー認証に基づいて電子キー1が自車の真正のものであると起動スイッチをオンする。本実施形態の場合、ボデーECU5は、後述するように駐車支援制御を実行する実行モードであるか実行しない非実行モードであるかが自動駐車ECU8から送られてくるようになっており、実行モードのときにのみ起動スイッチをオンする。また、ボデーECU5は、キー認証の結果をコックピットECU7に伝えている。これにより、コックピットECU7にて、キー認証の結果が遠隔操作機2に伝えられると共に、画像ECU6への画像生成の指示が可能になり、さらに、自動駐車ECU8に操作信号を送ることによるリモート駐車の操作指示が可能になる。具体的には、ボデーECU5は、各種制御を実行する機能部として、キー認証部5aおよび電源制御部5bを有した構成とされている。
キー認証部5aは、予め照合用識別情報を記憶しており、照合用識別情報と電子キー1から送られてきた情報とを照合することでキー認証を行い、電子キー1が自車の真正のものであることを確認する。ボデーECU5は、キー認証部5aでのキー認証の結果、電子キー1が自車の真正のものであることが確認された場合、操作者がドアノブに触れるとドアを開錠可能にする等のLock/Unlock制御を行っている。
電源制御部5bは、起動スイッチのオンオフの制御を行う。例えば、電源制御部5bは、キー認証部5aで電子キー1が自車の真正のものであることが確認され、かつ、車室内に備えられたプッシュスイッチが押下されると、起動スイッチをオンさせて自車を発進可能状態にする。また、電源制御部5bは、コックピットECU7からリモート駐車の操作信号として起動スイッチをオンさせることを指示する起動指令信号や停止させることを指示する停止指令信号を受け取る。また、電源制御部5bは、自動駐車ECU8から駐車支援制御を実行する実行モードであるか実行しない非実行モードであるかの情報を受け取る。そして、電源制御部5bは、起動指令信号もしくは停止指令信号を受け取ったときに、キー認証によって電子キー1が自車の真正のものであることが確認されており、かつ、実行モードであるという情報を受け取っていれば起動スイッチのオンオフを制御する。
画像ECU6は、周辺監視カメラ41から撮像データを入力し、自車の周辺画像を生成したり、周辺画像と重ね合わせて、もしくは周辺画像とは別にHMI(Human Machine Interface)表示を作成したりする。例えば、画像ECU6は、コックピットECU7や自動駐車ECU8などとの通信も行えるようになっており、コックピットECU7や自動駐車ECU8から送られてくるデータに基づいて、状況に応じた画像を生成している。具体的には、画像ECU6は、各種制御を実行する機能部として、画像認識部6a、画像生成部6bおよびHMI表示部6cを有した構成とされている。
画像認識部6aは、周辺監視カメラ41から入力される撮像データから自車の周辺の画像認識を行っている。
画像生成部6bは、画像認識部6aでの画像認識結果に基づいて自車の周辺画像を生成する。例えば、画像生成部6bは、操作者が自身の運転によって駐車を行う場合(以下、通常駐車時という)や、操作者が遠隔操作機2を用いてリモート駐車を行うリモート駐車時に画像を生成するようにしている。画像生成部6bは、リモート駐車時にコックピットECU7から画像要求が出されるため、その画像要求を受け取るとリモート駐車時の画像生成を行うようになっている。また、画像生成部6bは、遠隔操作機2の操作に基づく要求があった場合、その要求に応じた画像を生成するようにしている。
一例を挙げると、通常駐車時には、画像生成部6bは、自車を真上から見た画像であるトップビュー画像を生成する。
HMI表示部6cは、自動駐車ECU8に備えられる後述するHMI制御部8eからHMI制御に基づいて送られてくる情報、本実施形態の場合はソナー42での障害物の検知結果を示す障害物情報を反映するHMI表示を作成するものである。例えば、HMI表示は、画像生成部6bが生成する画像に障害物の検知結果を示す情報を重畳させるようにした画像とされる。一例を挙げると、障害物の検知結果を示す情報として、障害物が存在する場所での障害物の表示、自車のうち障害物から最短距離の場所から障害物に向けた距離表示を、画像生成部6bが生成する画像に重畳させる。
コックピットECU7は、メータ情報、ナビゲーション情報、車両情報、マルチメディア情報などを扱っており、扱っている各種情報に基づいて、メータ装置よるメータ表示やナビゲーション装置のディスプレイを通じてのナビゲーション表示などを行っている。
また、コックピットECU7は、ボデーECU5や画像ECU6および自動駐車ECU8と、更には遠隔操作機2と通信可能とされている。このため、コックピットECU7は、画像ECU6に対して、画像要求を出したり、画像ECU6から送られてくる画像データを受信して遠隔操作機2やナビゲーション装置のディスプレイに伝えたりしている。また、コックピットECU7は、遠隔操作機2からのリモート駐車の操作信号に加えて、遠隔操作機2の位置情報などを受信したり、遠隔操作機2へ車両状態や生成画像情報を送信したりしている。そして、コックピットECU7は、遠隔操作機2から送られてきた位置情報と、GPSに基づいて検出される自車の位置情報に基づいて、遠隔操作機2を所持する操作者が自車に対してどの位置に存在しているかを検出している。これにより、コックピットECU7は、操作者の位置からの自車の向きを把握している。そして、コックピットECU7は、操作者の位置からの自車の向きを把握すると、リモート駐車用画像の画像要求の際には、操作者からの自車の向きに対応する画像を要求する。つまり、コックピットECU7から、画像ECU6がリモート駐車用画像を生成するために用いる画像の向きや表示範囲を特定するためのデータを含めた画像要求が出される。
さらに、コックピットECU7は、リモート駐車の開始を指示する操作信号を受け取ったことを自動駐車ECU8に伝えたり、自動駐車ECU8からリモート駐車を実行する実行モードであるか実行しない非実行モードであるかに関する情報を受け取ったりしている。また、コックピットECU7は、遠隔操作機2からリモート駐車を実行する旨の操作信号を受け取ると、ボデーECU5と通信を行ってキー認証を行わせると共にキー認証の結果を受け取る。そして、コックピットECU7は、電子キー1が自車の真正のものであった場合、遠隔操作機2からのリモート駐車を実行する旨の操作信号に応じて画像ECU6に対して画像要求を出したり、リモート駐車中の操作の内容を自動駐車ECU8に伝えたりしている。
自動駐車ECU8は、リモート駐車を含む駐車支援時に、周辺監視センサ4での検出結果やソナー42の測定結果となるセンシング情報を入力し、そのセンシング情報に基づいて駐車支援のための各種制御を行う。駐車支援については、駐車支援を行う際にドライバが押下する図示しない駐車支援スイッチが押下された場合や、遠隔操作機2からリモート駐車の指示が出された場合など、駐車支援を行うことの指示が出されると実行される。自動駐車ECU8は、駐車支援の指示が出されると、周辺監視センサ4のセンシング情報に基づいて駐車可能なフリースペースを認識すると共に、自動駐車時の自車の現在位置から駐車予定位置までの駐車経路を生成し、その駐車経路に従った経路追従制御を行う。具体的には、自動駐車ECU8は、各種制御を実行する機能部として、モード選択部8a、空間認識部8b、経路生成部8c、電源制御部8d、HMI制御部8eおよび経路追従制御部8fを有した構成とされている。
モード選択部8aは、駐車支援制御を実行する実行モードであるか、実行しない非実行モードであるかのモード選択を行う。例えば、操作者の運転により駐車を行う際に駐車支援スイッチが押下された場合には、周辺監視カメラ41やソナー42が機能しているかなどの状態チェックが為される。そして、駐車支援を実行できる状態であれば実行モード、実行できない状態であれば非実行モードが選択される。また、操作者の運転ではなく、操作者が自車から降りて遠隔操作機2を通じて自車のリモート駐車を行う場合にも、上記状態チェックが為され、駐車支援を実行できる状態であれば実行モード、実行できない状態であれば非実行モードが選択される。モード選択部8aでモード選択が行われると、電源制御部8dからボデーECU5に選択されたモードが伝えられる。そして、実行モードが選択されていれば、電源制御部5bが起動スイッチをオンさせ、自動駐車ECU8の他の機能部による各種演算や各種制御が実行されるようになっている。
空間認識部8bは、周辺監視センサ4からセンシング情報を入力し、そのセンシング情報に基づいて、駐車しようとしている自車の周辺環境の認識、具体的には自車の周辺に存在する立体物の認識を行う。また、空間認識部8bは、立体物の認識結果に基づいて、自車を駐車させるためのフリースペース認識を行う。
具体的には、空間認識部8bは、センシング情報として、周辺監視カメラ41からの撮像データやソナー42での探査波による測定結果を入力し、撮像データの画像解析と探査波による測定結果に基づいて立体物認識を行っている。立体物認識では、動的物標や静的物標といった自車周辺に存在する立体物を検知対象物として認識する。この立体物認識によって認識された検知対象物となる立体物のうちの障害物、好ましくはそのうちの静的物標の形状などに基づいて、後述する経路生成が行われると共に、障害物の有無の判定などが行われる。
周辺監視カメラ41から入力される撮像データは、その周辺の様子が映し出されたものであるため、その画像を解析すれば、立体物の有無を認識できる。また、認識された立体物の形状もしくは画像のオプティカルフローに基づいて、その立体物が動的物標であるか静的物標であるかを判別できると共に、立体物の位置、つまり自車に対する立体物の位置や距離、高さを検出できる。また、ソナー42のセンシング情報からも、立体物の有無、立体物の位置や距離を検出できると共に、その立体物が動的物標であるか静的物標であるかを判別できる。なお、ここでは、空間認識部8bが周辺監視カメラ41からの画像データの解析とソナー42での探査波による測定結果の双方に基づいて立体物認識を行っているが、いずれか一方のみでも立体物認識は可能である。ただし、双方を用いることでより精度良い立体物認識を行うことが可能となる。
また、空間認識部8bは、上記した立体物認識の結果を利用して、周辺監視カメラ41からの撮像データに映し出される駐車場の中から、フリースペースとなっている場所を認識するフリースペース認識を行う。フリースペースは、駐車場の中で他車両が駐車していない場所であって、自車が駐車可能な面積、形状となっている駐車スペースを意味している。駐車場の中に駐車スペースが複数ある場合に限らず、1つのみある場合も含まれる。このフリースペースとして認識された場所が駐車予定位置に設定される。
また、空間認識部8bは、ソナー42の測定結果に基づいて障害物を認識した場合には、その障害物の位置や障害物の形状などの障害物に関する情報である障害物情報をコックピットECU7に伝える。これにより、コックピットECU7は、自車の周囲に障害物が存在することを認識できるようになっている。そして、空間認識部8bは、障害物を認識した場合には、報知装置10に対して障害物と対応する報知を行わせるための制御信号を出力するようになっている。
経路生成部8cは、立体物認識およびフリースペース認識の結果に基づいて経路生成を行ったり、駐車経路に対応する目標車速生成を行ったりする。具体的には、経路生成部8cは、立体物認識で認識されている障害物を避けつつ、自車の現在位置からフリースペース認識によって認識された駐車予定位置への移動経路を演算し、その演算結果が示す経路を駐車経路として生成する。また、経路生成部8cは、経路生成を行う際に何らかの制約条件が有る場合には、その制約条件を満たすように駐車経路を生成する。例えば、経路生成部8cは、所定範囲内において切り返しが最小数となるような駐車経路を生成する。また、駐車時の向き、つまり駐車予定位置への進入方向について制約条件がある場合には、それを制約条件に入れて駐車経路を算出する。例えば、駐車予定位置に自車を前向きに移動させて駐車する前向き駐車の場合もしくは後ろ向きに移動させて駐車する後ろ向き駐車の場合には、その駐車時の自車の向きを制約条件とする。駐車時の自車の向きについては、周辺監視カメラ41の撮像データ中に「前向き駐車」または「後ろ向き駐車」などの情報が記載された看板が含まれていた場合や駐車時の向きを指示するマークなどが含まれていた場合に、その情報を制約条件に含める。また、ユーザが駐車時の自車の向きを設定するための設定スイッチなどがある場合には、その設定スイッチの設定状態に応じて駐車時の自車の向きを制約条件に含めることもできる。
なお、駐車経路の生成の際に立体物認識で認識された立体物で構成される障害物を避けるようにしているが、そのうちの静的物標のみを避けるようにして駐車経路を生成するようにしている。動的物標については移動していくため、動的物標との衝突の危険性が無くなってから自車を移動させれば良く、その場合には静的物標のみを考慮した駐車経路を生成すれば足りる。
また、経路生成部8cは、算出された駐車経路に沿って自車を移動させる際の経路中の各所での目標車速を設定する。目標車速の設定手法については様々考えられるが、例えば一定車速としたり、旋回半径に応じた上限制御車速を設けたりして目標車速を決めている。
電源制御部8dは、モード選択部8aにてモード選択が行われると、それに基づいてボデーECU5の電源制御部5bに起動スイッチのオンオフを制御させるべく、ボデーECU5に対して選択されたモードを伝える。
HMI制御部8eは、画像ECU6におけるHMI表示部6cに、ソナー42のセンシング情報を反映させた画像を作成させるためのHMI制御を行う。例えば、HMI制御部8eは、ソナー42のセンシング情報に基づいて、障害物が存在する場所を示す情報や、自車のうち障害物から最短距離の場所から障害物までの距離を示す情報などを障害物情報としてHMI表示部6cに送っている。
経路追従制御部8fは、自車の加減速制御や操舵制御などの車両運動制御を行うことで経路追従制御を行う部分である。経路追従制御部8fは、経路生成部8cが生成した駐車経路および目標車速に追従して、自車が移動して駐車予定位置に駐車できるように、各種アクチュエータ9に制御信号を出力する。ここでは、自動駐車ECU8を1つのECUによって構成し、そのECU内に経路追従制御部8fを備えた構成としているが、自動駐車ECU8が複数のECUの組み合わせによって構成されていても良く、経路追従制御部8fがそれらのECUで構成されていても良い。複数のECUとしては、例えば、操舵制御を行う操舵ECU、加減速制御を行うパワーユニット制御ECUおよびブレーキECU等が挙げられる。
具体的には、経路追従制御部8fは、図示しないが、自車に搭載されたアクセルポジションセンサ、ブレーキ踏力センサ、舵角センサ、車輪速センサ、シフトポジションセンサ等の各センサから出力される検出信号を取得している。そして、経路追従制御部8fは、取得した検出信号より各部の状態を検出し、駐車経路および目標車速に追従して自車を移動させるべく、各種アクチュエータ9に対して制御信号を出力する。
各種アクチュエータ9は、自車の走行や停止に係わる各種走行制御デバイスであり、電子制御スロットル91、ブレーキアクチュエータ92、EPS(Electric Power Steering)モータ93、トランスミッション94等がある。これら各種アクチュエータ9が経路追従制御部8fからの制御信号に基づいて制御され、自車の走行方向や舵角、制駆動トルクが制御される。それにより、駐車経路および目標車速に従って自車を移動させて駐車予定位置Pbに駐車させるという経路追従制御を含む駐車支援制御を実現する。
なお、自車を現在位置から駐車予定位置に移動させる際には、その経路に追従して自車を移動させるようにすれば良いが、自車の移動中に人や他車が近づいてくることもあり得る。その場合には、動的物標が駐車経路と車幅から推定される自車の移動予定軌跡の範囲外に動的物標が出るまで自車の移動を停止したりして、自車が動的物標と衝突しないようにすることになる。また、最初に駐車経路を算出した際には認識できていなかった静的物標が存在している場合もあり得る。このため、駐車経路に追従して自車が移動している途中にも、空間認識部8bによる立体物認識を継続している。そして、駐車経路に追従して自車が移動した場合に静的物標が衝突し得る場所に存在していれば、駐車経路の再生成を行うようにしている。
報知装置10は、リモート駐車中であることや、操作者や障害物と認識される周囲の人などに対して、自車と接触する可能性があることを報知するものである。報知装置10は、自車の周囲に視覚的もしくは聴覚的な報知を行うことができるものである。報知装置10としては、他の用途として備えられている既存の機器にて報知機能を発揮させるものであっても良いし、専用機器として自車に対して備えられるものでも良い。
例えば、報知装置10としては、図2に示すように、自車の四隅に備えられるハザードランプ11、ヘッドランプ12、フォグランプ13、レーザ表示器14、イルミネーション装置15、車両接近通報装置16、外部音声案内装置17などが挙げられる。なお、ここでは報知装置10となり得るものの一例を示したが、これらに限るものではないし、これらすべてを備えている必要も無い。図2に示した例で言えば、報知装置10として、図2に示した各機器のうちの少なくとも1つ備えられていれば良く、これらのうちの1つもしくは複数の組み合わせによって報知装置10が構成される。
ハザードランプ11は、自車の四隅に備えられるランプであり、点灯、消灯、点滅動作を行うことができる。ヘッドランプ12は、自車の前方を照射するためのランプであり、アクティブヘッドランプで構成される場合、自車の下方の路面へも照射が可能になっている。フォグランプ13は、自車の左右前方に備えられたもので、車両の前方を照射するためのランプである。これら各ランプ11~13は、既存の照射機器として自車に備えられているものであるが、これらを報知装置10として使用する。ハザードランプ11は、複数個のランプで構成されており、既存の照射機能として用いられる場合には、複数個のランプが同時に点灯、消灯させられるが、ここでは個々のランプが独立して点灯、消灯可能となっている。また、ヘッドランプ12、フォグランプ13についても、それぞれ複数個のランプで構成されており、既存の照射機能として用いられる場合には、複数個のランプが同時に点灯、消灯させられるが、ここでは個々のランプが独立して点灯、消灯可能となっている。これら各ランプ11~13については、点灯のさせ方によって障害物が存在する場所を視覚的に案内する。
レーザ表示器14は、例えば車室内のルームミラーの前方位置等に取り付けられ、車両の前方の広範囲にレーザ照射を行うことができる。レーザ表示器14は、単なるレーザ照射で照射した近傍を光らせるだけの表示も行えるが、文字や記号、マーク等の表示も行うことができる。レーザ表示器14は、レーザ照射によって路面に例えば文字などの表示を行うことで、障害物が存在する場所を視覚的に案内する。
イルミネーション装置15は、例えば車室内のウィンドウシールドの下方位置におけるインストルメントパネル上に配置され、自車の左右方向にわたってライン状の照明表示を行うことができる。イルミネーション装置15は、単に自車の左右方向の全域にわたっての照明も可能であるが、右側もしくは左側のみの照明も可能であるし、右側から左側に向かって移動する照明、その逆に移動する照明も可能となっている。イルミネーション装置15は、イルミネーションの点灯のさせ方により、障害物が存在する場所を視覚的に案内する。
車両接近通報装置16は、自車の接近を周囲に音声で報知するためのものであり、本実施形態の場合、車両の前方と後方それぞれに備えられている。車両接近通報装置16は、出力する音声の音圧、周波数、抑揚などを調整可能となっている。
外部音声案内装置17は、車両から外部に音声案内を行うためのものである。例えば、外部音声案内装置17は、「車両右前方をご注意ください。」などの障害物が存在する場所を音声案内できるようになっている。
以上のようにして、本実施形態にかかるリモート駐車システムが構成されている。続いて、このようにして構成されたリモート駐車システムの作動について、図3~図8を参照して説明する。リモート駐車システムは、各種ECU6~8により、リモート駐車以外の各種制御も実行しており、例えば操作者が自身の運転に基づいて駐車を行うような場合の駐車支援も行っているが、ここではリモート駐車に絞ってリモート駐車システムの作動を説明する。
図3は、遠隔操作機2で実行する操作制御処理のフローチャート、図4は、コックピットECU7で実行する制御処理のフローチャートである。また、図5は、画像ECU6で実行する画像処理のフローチャート、図6は、自動駐車ECU8が実行する自動駐車処理のフローチャートである。図7は、自動駐車処理中の障害物警告処理の詳細を示したフローチャートである。各図のフローチャートに示される各処理は各ECUにおいて所定の制御周期毎に実行される。ここでは、各処理について、リモート駐車が行われると想定される車両停止時の起動スイッチがオフの際に実行されるようにしているが、起動スイッチがオンの際に実行されても良い。
図8は、リモート駐車時の遠隔操作機2の表示画面2aの一例を示したもので、並列駐車スペースが備えられている場合に、フリースペースに自車Vを操作者110がリモート駐車する状況を例に挙げたものである。
まず、遠隔操作機2では、図3に示すように、ステップS100において、リモート駐車の実行を指示する操作が行われたか否かが判定される。例えば、操作者が遠隔操作機2の表示画面2aを通じてリモート駐車のアプリケーションを実行すると、リモート駐車の実行ボタンが表示されるようになっている。この実行ボタンが押下されると、リモート駐車の実行の指示が出されたと判定している。
続くステップS110では、遠隔操作機2は、GPSに基づいて位置情報を取得する。そして、ステップS120では、無線通信を介して、リモート駐車の操作の内容を示す操作信号と共に、ステップS110で取得した位置情報をコックピットECU7に送信する処理を行う。リモート駐車を開始する際には、リモート駐車の操作の内容として、リモート駐車の実行指示が遠隔操作機2からコックピットECU7に伝えられることになる。
リモート駐車の実行指示に基づいてリモート駐車が実行されると、ステップS130において、コックピットECU7から送られてくる画像ECU6での生成画像情報を受信し、その生成画像情報が示す画像表示を行う。そして、ステップS140に進み、リモート駐車が終了したか否かを判定し、肯定判定されるまではステップS110~S130の処理を繰り返す。
例えば、図8に示すように、表示画面2a内における四隅のいずれかなど、画像表示の妨げにならない場所に実行ボタン2bが表示される。そして、操作者が実行ボタン2bを押し続けている場合には、ステップS120において、操作信号としてリモート駐車継続中を示す情報が継続して送信されることでリモート駐車が継続され、リモート駐車中の画像表示が継続される。また、実行ボタン2bを離すと、リモート駐車が停止されるようになっているが、改めて実行ボタン2bが押下されると再びリモート駐車継続中を示す情報が継続して送信されるようになっている。そして、リモート駐車によって自車が駐車予定位置に到達した旨の信号が自動駐車ECU8からコックピットECU7を介して送られてきたり、操作者が遠隔操作機2を通じてリモート駐車の終了指示を出したりするとリモート駐車が終了したと判定する。このようにして、リモート駐車の終了と判定されると、ステップS150に進んでリモート駐車中の画面表示を終了し、処理を終了する。
一方、自車側では、コックピットECU7は、図4に示すように、ステップS200において、リモート駐車の操作信号、つまりリモート駐車の実行指示を受信したか否かを判定している。このため、図3のステップS120で遠隔操作機2からリモート駐車の実行指示が送信されると、ステップS200で肯定判定される。そして、ステップS210に進み、リモート駐車の実行指示に対応する起動指令信号をボデーECU5に伝えると共に、自動駐車ECU8に対してリモート駐車の操作信号としてリモート駐車の実行指示を送る。これにより、モード選択部8aにて実行モードであるか非実行モードであるかのモード選択が行われ、その選択結果がボデーECU5に伝えられる。そして、ボデーECU5から電子キー1に対して認証データの送信要求が送信され、電子キー1から認証データがボデーECU5に返信されると、キー認証部5aでキー認証が行われ、そのキー認証の結果がコックピットECU7に伝えられる。また、キー認証の結果、電子キー1が自車の真正のものであり、自動駐車ECU8から伝えられたモードが実行モードであると、電源制御部5bが自車の起動スイッチをオンする。
さらに、コックピットECU7は、ステップS220でキー認証結果を受信したのち、ステップS230において、受信したキー認証結果に基づいて電子キー1が真正のものであるか否かを判定する。ここで否定判定されれば自車に対するリモート駐車の実行指示ではないため処理を終了し、肯定判定されるとステップS240に進む。
ステップS240では、画像ECU6に対して画像要求出すと共にステップ250に進み、自動駐車ECU8にリモート駐車の操作の内容を示す操作信号を伝える。遠隔操作機2の操作の内容に応じて、リモート駐車の実行指示や継続指示中であれば画像要求が出される。
これらステップS240、S250の処理が実行されると、画像ECU6や自動駐車ECU8が各種処理を実行する。そして、ステップS260に進み、画像ECU6から生成画像情報を取得すると、コックピットECU7から遠隔操作機2に車両状態情報と共に生成画像情報が送信される。これらステップS240~S260の処理がステップS270でリモート駐車の終了指示を受信したと判定されるまで継続される。
なお、コックピットECU7に対して、リモート駐車によって自車が駐車予定位置に到達したことが自動駐車ECU8から伝えられたり、操作者がリモート駐車の終了指示の操作を行ったことが遠隔操作機2から伝えられると、ステップS270で肯定判定される。その場合、ステップS280に進み、リモート駐車の終了処理を行う。これにより、例えばコックピットECU7からボデーECU5、画像ECU6および自動駐車ECU8にリモート駐車の終了指示を示す信号が出力され、ボデーECU5が起動スイッチをオフすると共に、各ECU6、7、8も処理を終了する。
図4のステップS240で画像要求が出されると、画像ECU6において、それに応じた画像生成を行うための処理が実行される。まず、図5のステップS300で、画像要求が出されたか否かが判定されており、画像要求が出されると、ステップS310以降の処理を行う。
ステップS310では、周辺監視カメラ41からの撮像データを取得し、トップビュー画像を生成する。上記したように、周辺監視カメラ41として、車両前方、後方、左右側方の画像を撮影する前方カメラ、後方カメラ、左側方カメラ、右側方カメラがあるため、各周辺監視カメラ41からの撮像データを合成して、トップビュー画像を生成している。その後、ステップS320に進み、トップビュー画像をコックピットECU7に伝える。これにより、図4のステップS260でコックピットECU7から生成画像情報としてトップビュー画像情報が送信され、遠隔操作機2の表示画面2aを通じてトップビュー画像が表示されることになる。このように、操作者が自車を運転して駐車するような場合にも行われるトップビュー画像を表示することで、リモート駐車の様子を確認できるようにしている。
ここで、トップビュー画像について説明する。トップビュー画像は、上記したように自車を真上から見た画像である。例えば、図8は、建物100の前に並列駐車スペースが備えられている場合に、フリースペースを1つ空けて2台の車両V1、V2が並んで駐車している状況を示している。この状況において、現在位置Paから駐車予定位置Pbとなるフリースペースに操作者110の右手前にある自車Vをリモート駐車する。この場合、図8中に示した遠隔操作機2の表示画面2aに示されるように、自車Vを真上から見た画像であって、自車Vが画像中央近辺に位置するような画像がトップビュー画像となる。トップビュー画像については、自車Vを中心としてどの方向が表示画面2aにおける画像上方位置となるように表示されても良いが、操作者110が認識し易いように、自車Vに対して遠隔操作機2を所持する操作者110と反対方向を画像上方位置に表示すると良い。
また、トップビュー画像に関しては、自動駐車ECU8のHMI制御部8eからHMI制御に基づいて送られてくる情報があった場合に、それを反映した画像とすることもできる。例えば、トップビュー画像中に、障害物の検知結果を示す情報として、障害物が存在する場所での障害物の強調表示などを重畳したものとする。このようにすると、操作者110がより的確に自車Vと障害物との位置関係を認識することが可能となる。
さらに、自動駐車ECU8では、リモート駐車の操作の内容を示す操作信号を受信すると、図6のステップS400において、操作信号がリモート駐車の実行指示を示しているか否かを判定する。ここで肯定判定されると、ステップS410に進んでモード選択処理が実行される。モード選択処理では、駐車支援制御を実行する実行モードであるか、実行しない非実行モードであるかのモード選択を行う。例えば、周辺監視カメラ41やソナー42の状態チェックを行い、駐車支援を実行できる状態であれば実行モード、実行できない状態であれば非実行モードを選択する。
その後、ステップS420に進み、モード選択処理で選択されたのが実行モードであるか否かを判定する。そして、実行モードであればステップS430に進んでボデーECU5に対して実行モードであることを伝えたのち、ステップS440に進んで駐車支援としてリモート駐車処理を行う。リモート駐車処理では、空間認識部8bによる立体物の認識および障害物の検知、フリースペース認識、経路生成、経路追従制御が実行される。そして、経路追従制御により、経路生成で生成された駐車経路および目標車速に追従して自車Vが移動して駐車予定位置に駐車できるように、各種アクチュエータ9に制御信号が出力され、各種アクチュエータ9が制御される。また、このときにHMI制御が行われ、障害物が検知されると、その検知結果となる障害物情報を逐一画像ECU6に伝えるようにしている。
そして、リモート駐車処理に続いてステップS450に進み、障害物警報処理を行う。障害物警報処理では、報知装置10を通じて障害物と対応する報知を行うための処理を行う。この障害物警報処理の詳細については後述する。
そして、ステップS460に進み、リモート駐車継続中であるか否かを判定し、継続中であればステップS440、S450の処理が継続して実行される。また、リモート駐車継続中ではない場合、例えば操作者110が遠隔操作機2を通じてリモート駐車の停止指示を行った場合やリモート駐車によって自車Vが駐車予定位置Pbに到達した場合には、処理を終了する。
一方、ステップS420で否定判定された場合、つまりモード選択で非実行モードが選択されていた場合には、ステップS460に進んでボデーECU5に対して非実行モードであることを伝える。この場合には、リモート駐車を行えないため、そのまま処理を終了する。
続いて、ステップS450で実行される障害物警報処理の詳細について、図7に示すフローチャートを参照して説明する。障害物警報処理として、まず、ステップS450aにおいて立体物認識を行う。すなわち、周辺監視センサ4からセンシング情報を入力し、そのセンシング情報に基づいて、駐車しようとしている自車の周辺環境の認識、具体的には自車の周辺に存在する立体物の認識を行う。そして、立体物認識の結果に基づき、立体物が認識され、それが障害物である否かを判定することによって障害物を検知する。なお、この立体物認識については、リモート駐車処理において行われているため、その認識結果を用いても良い。
続いてステップS450bに進み、自車と障害物との距離が第1所定距離以内であるか否かを判定する。第1所定距離とは、障害物が比較的自車の近くに存在するとされる閾値、例えば2m程度とされる。自車と障害物との距離が第1所定距離以内であれば、障害物が比較的自車の近くに存在すると想定している。ここで否定判定されれば、自車と障害物との距離は近くないことから、ステップS450cに進み、通常通知モードを設定して処理を終了する。
通常通知モードでは、自車と障害物との接触の可能性が有ることの報知は行わずに、単にリモート駐車中であることの報知を行う。この場合の報知装置10の報知方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
例えば、視覚的な報知として、図9Aに示すように、自車の四隅のハザードランプ11をすべて同時に点滅させることができる。その場合、点滅周期については比較的長い第1周期とする。また、レーザ表示器14を使用して、図9Bに示すように、路面に「リモート駐車中」という表示を行っても良い。また、図9Cに示すように、イルミネーション装置15についてもハザードランプ11と同期させて点滅させても良い。さらに、聴覚的な報知として、図9Dに示すように、外部音声案内装置17を通じて、「リモート駐車中」という音声案内を行っても良い。
一方、ステップS450bで肯定判定された場合、ステップS450dに進み、自車と障害物との距離が第2所定距離以内であるか否かを判定する。第2所定距離とは、第1所定距離よりも短い距離、例えば0.5m程度とされる。自車と障害物との距離が第2所定距離以内であれば、障害物が自車と接触する可能性があるほど近くに存在するとしている。ここで否定判定されれば、自車と障害物との距離が短いものの、これらが接触する可能性があるほど近くはないことから、ステップS450eに進み、簡易報知モードを設定する。また、ステップS450dで肯定判定されると、障害物が自車と接触する可能性があるほど近くに存在しており、警告を行う必要があることから、ステップS450fに進んで警告モードを設定する。
簡易報知モードでは、通常通知モードよりも障害物に自車がリモート駐車中であることを気づいて貰えるようにする。さらに、簡易報知モードでは、操作者に対して、自車に対するどの位置に障害物が存在するかを把握できるようにする。この場合の報知装置10の報知方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
例えば、視覚的な報知として、図9Eに示すように、自車の四隅のハザードランプ11を点滅させる。そして、自車の左右のハザードランプ11のうち障害物120が存在する側の点滅の周期をその反対側の点滅の周期よりも短くする。なお、図9Eにおいて、ハザードランプ11の周囲に示した光の線が多いほど、点滅周期が短いことを示している。この場合の点滅周期については、例えば自車の左右のハザードランプ11のうち障害物120が存在する側と反対側に位置するものの点滅周期を第1周期、存在する側に位置するものの点滅周期をそれよりも短い第2周期とする。または、左右のハザードランプ11のうち障害物120が存在する側のみを点滅させるようにしても良い。この場合、点滅周期については第1周期としても良いが、それよりも短い第2周期とすると好ましい。
また、図9Fに示すように、レーザ表示器14を使用して、路面に「リモート駐車中」という表示を行い、その表示サイズを大きくすることと、表示を点滅させることの一方を行うと好ましい。
さらに、図9Bに示すように、イルミネーション装置15についてもハザードランプ11と同期させて点滅させ、その点滅の周期を通常通知モード時よりも短くすると好ましい。さらに、聴覚的な報知として、図9Dに示すように、外部音声案内装置17を通じて、「リモート駐車中」という音声案内を通常通知モードよりも大きな音声で行うこと、もしくは音声案内を繰り返し行うようにすることの少なくとも一方を行うと好ましい。
警告モードでは、簡易通知モードよりも強く障害物120に自車がリモート駐車中であることを気づいて貰えるようにする。さらに、警告モードでも、操作者に対して、自車に対するどの位置に障害物120が存在するかを把握できるようにする。その方法については、簡易報知モードと同様であっても良いが、より操作者に対して把握し易いような方法とすると好ましい。この場合の報知装置10の報知方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
例えば、視覚的な報知として、図9Gに示すように、自車の四隅のハザードランプ11を点滅させる。そして、自車の左右のハザードランプ11のうち障害物120が存在する側の点滅の周期をその反対側の点滅の周期よりも短くする。この場合の点滅周期については、例えば自車の左右のハザードランプ11のうち障害物120が存在する側と反対側に位置するものの点滅周期を第1周期、存在する側に位置するものの点滅周期を簡易報知モードの際よりも短い第3周期とする。または、自車の左右のハザードランプ11のうち障害物120が存在する側のみを点滅させるようにし、その場合の点滅周期についてもても簡易報知モードよりも短い周期、例えば第3周期とすると好ましい。
また、レーザ表示器14を使用して、路面に「リモート駐車中」という表示を行い、その表示サイズを大きくしたり、表示を点滅させたりする。このとき、簡易報知モードと比較して、より表示サイズを大きくすることと、表示の点滅周期をより短くすることの少なくとも一方を行うと好ましい。
さらに、図9Hに示すように、イルミネーション装置15については障害物120が存在しない側から存在する側、例えば自車の左側から右側に向かって点灯場所が移動するようなイルミネーション表示を行うようにする。また、イルミネーション装置15をハザードランプ11と同期させて点滅させ、その点滅の周期を簡易通知モード時よりも短くしても良い。さらに、聴覚的な報知として、図9Dに示すように、外部音声案内装置17を通じて、「リモート駐車中」という音声案内を通常通知モードや簡易報知モードよりも大きな音声で行うようにする。また、例えば「車両右前方に人が居ます」などの障害物120の場所を特定するような音声案内を行うようにすることもできる。そして、それらの音声案内を繰り返し行うようにすると好ましく、さらに繰り返しの周期を簡易報知モードよりも短くすると好ましい。
また、報知装置10のうち、通常通知モードや簡易報知モードの際には用いていなかったものを用いて、より操作者や外部にリモート駐車中であり、かつ自車と障害物120とが接触する可能性があることを報知するようにしても良い。
例えば、図9Iに示すように、ヘッドランプ12とフォグランプ13の少なくとも一方を用いて、それらのうちの障害物120と近い側のみを点灯または点滅させることで、操作者に自車に対してどの位置に障害物120が存在するかを把握させるようにしても良い。また、図9Dに示すように、自車の前後の車両接近通報装置16のうち、障害物120が存在する側から音声を出力させても良い。これにより、操作者に自車に対してどの位置に障害物120が存在するかを把握させるようにするのに加えて、障害物120に自車がリモート駐車中であることを認識させるようにすることもできる。
図を参照して、各モードの一例を示す。図10では、ハザードランプ11のみを用いてリモート駐車時の様子を示す場合を表している。ハザードランプ11の周囲に示した光の線が多いほど、点滅周期が短いことを示している。
この図に示されるように、自車Vと障害物120との距離が第1所定距離より長く、通常通知モードが設定された際には、ハザードランプ11が比較的長い第1周期で点滅させられ、操作者110や周囲に対して単にリモート駐車中であることが報知される。
そして、自車Vや障害物120の移動によって、自車Vと障害物120との距離が第1距離以内になると、簡易通知モードが設定される。これにより、自車の左右のハザードランプ11のうち障害物120が存在する側のものが第1周期より短い第2周期で点滅させられ、第1周期で点滅させられる障害物120が存在しない側のものと比較して高頻度に点滅させられる。これにより、操作者110に障害物120が存在すること、および、存在する場所もしくは方向を意識させることが可能となる。
さらに、自車Vや障害物120の移動によって、自車Vと障害物120との距離が第2所定距離以内になると、警告モードが設定される。これにより、自車の左右のハザードランプ11のうち障害物120が存在する側のものが第2周期より短い第3周期で点滅させられ、第1周期で点滅させられる障害物120が存在しない側のものと比較して更に高頻度に点滅させられる。これにより、操作者110に障害物120が存在すること、および、存在する場所もしくは方向をより強く意識させることが可能となる。
以上説明したように、本実施形態では、リモート駐車時に自車の周囲に障害物120が存在するときに、自車に対して障害物120がどの位置に存在するかを操作者が把握できる形態で報知を行っている。このため、リモート駐車中に操作者が障害物120を把握することが可能となる。例えば、ハザードランプ11のうち障害物120が存在する側のものの点滅周期を存在しない側のものの点滅周期よりも短くすれば、操作者が点滅周期の短い側を確認することで、障害物120を把握することが可能となる。したがって、操作者が自車と障害物120との接触を避けるようにより注意しながらリモート駐車を行うことが可能となり、リモート駐車の安全性を高めることが可能となる。
(他の実施形態)
本開示は、上記した実施形態に準拠して記述されたが、当該実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
(1)上記第1実施形態では、リモート駐車時に、通常通知モードと簡易報知モードおよび警告モードの3つのモードを設定した。しかしながら、簡易報知モードと警告モードは、共に、障害物120を検知したときに、報知装置10を通じて障害物120が自車Vに帯するどの位置に存在するかを特定する形態で報知を行う場合を示したものであり、いずれか一方のみでも構わない。
(2)また、簡易報知モードや警告モードにおける操作者への報知の方法として、複数の報知方法を組み合わせた場合について説明したが、少なくとも1つが行われれば良く、複数の報知方法が適用される場合であっても、任意の組み合わせとすることができる。例えば、ハザードランプ11のみを用いて、操作者への報知を行うようにしても良い。
(3)さらに、報知装置10として、ハザードランプ11、ヘッドランプ12、フォグランプ13、レーザ表示器14、イルミネーション装置15、車両接近通報装置16、外部音声案内装置17を挙げた。しかしながら、これも一例を挙げたに過ぎず、すべてを報知装置10とする必要は無いし、ここに挙げた以外のものを報知装置10とすることもできる。
例えば、自車の下方位置、例えばサイドスポイラーの下方に路面に向けて光を照射する下方照明が備えられている場合、その下方照明を報知装置として用いることもできる。その場合、例えば、自車に対してどの位置に障害物120が存在するかを報知する際に、障害物120が存在する側の下方照明のみを点灯させたり、点滅させたりするという報知方法が考えられる。
すなわち、報知装置10として、何を用いても良く、周辺監視センサ4のセンシング情報に基づいて障害物120が検知された際に、報知装置10を通じて障害物120が自車に対するどの位置に存在するかを特定できる形態で報知を行うようにしていれば良い。例えば、ハザードランプ11を例に挙げるとすると、少なくとも自車の左右のハザードランプ11のうち障害物120が存在する側の点灯のさせ方と障害物120が存在しない側の点灯のさせ方とを異ならせれば良い。異なる点灯のさせ方としては、上記実施形態で説明したものの他、例えば、自車の左右のハザードランプ11のうち障害物120が存在する側のみを点灯させ、障害物120が存在しない側を点灯させないようにすることが挙げられる。また、障害物120が存在する側と障害物120が存在しない側を共に同周期で点滅させつつ、障害物120が存在する側を存在しない側よりも点灯時間を長くするようにしても良い。
(4)また、上記した報知装置10による報知方法についても一例を示したに過ぎず、他の報知方法とされても良い。例えば、車両接近通報装置16については、警告モードの際に音声を出力させるようにしているが、通常モードや簡易報知モードにおいても音声を出力させつつ、それぞれのモードで異なる出力方法となるようにしても良い。同様に、外部音声案内装置17では、「リモート駐車中」という音声案内の音声を簡易報知モードや警告モードの際に通常通知モードよりも大きくなるようにしたが、音声案内の内容を変化させても良い。例えば、簡易報知モードの際には「危険です」、警告モードの際には「大変危険です」など、音声案内の内容が徐々に危険度が増す内容となるようなものであっても良い。
(5)また、リモート駐車に関しては、操作者が自車Vから降りた後に操作者110となって行うことが想定されるため、キー認証に基づいて電子キー1が自車Vの真正なものである場合にのみ、起動スイッチがオンされるようにした。しかしながら、これも一例を挙げたに過ぎず、キー認証を行うことなく、操作者110が遠隔操作機2を通じてリモート駐車の開始指示の要求を出したときに自動的に起動スイッチがオンされるようにしても良い。また、起動スイッチをオフすること無くオンしたままの状態で自車Vから操作者110が降りてリモート駐車が行われるようにしても良い。
(6)なお、本開示に記載の駐車支援制御装置の制御部およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリーを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部およびその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部およびその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリーと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。