JP7310127B2 - 多孔質炭素電極基材およびその製造方法 - Google Patents

多孔質炭素電極基材およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、燃料電池などに好適な多孔質炭素電極基材およびその製造方法に関する。
燃料電池、例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子電解質膜を一対の触媒層で挟んだ膜電極接合体にガス拡散層を介してそれぞれ反応ガス(燃料ガスおよび酸化剤ガス)を供給して電気化学反応を引き起こすことにより、物質の持つ化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。多孔質炭素電極基材は、ガス拡散層の部材として利用されている。
多孔質炭素電極基材を製造する方法としては、特許文献1に記載のように、炭素繊維と有機物、または炭素繊維前駆体繊維と有機物、または炭素繊維前駆体繊維のいずれかからなる炭素繊維シート前駆体を、400~2700℃の熱処理炉内で、連続的に走行させて熱処理する方法がある(特許文献1)。
特許文献1では、多孔質炭素電極基材のシワや凹凸の抑制、反り高さ低減のため、屈曲部材を炉内のシート通路に設け、炭素繊維シート前駆体の表面を屈曲部材に接触させながら走行させる手法がとられている。
特許文献2では、熱処理炉内の入口と出口間にガイド部材や屈曲部材などを介装させず、多孔質炭素電極基材の張力を低張力(1~25N/m)に維持制御することでシワや凹凸を抑制し、低張力に維持制御することで発生してしまう多孔質炭素電極基材の幅方向に向かう偏り動作を設備により自動的に修正する手法が示されている。
特開2007-2394号公報 特開2011-6824号公報
多孔質炭素電極基材を製造する方法において、熱処理により多孔質炭素電極基材が変形し、シワ、凹凸が発生する。シワ、凹凸が発生すると、ガス拡散層製造時の塗工不良など、後工程での収率悪化や、多孔質電極基材としての性能低下が生じることとなる。
また、多孔質電極基材を熱処理する際に、多孔質電極基材に幅方向に外力を加えることで、多孔質電極基材が刀状に変形する、“弧形”が発生することが分かっている。ひとたび弧形が発生すると、その後に弧形を解消する術はなく、多孔質電極基材の搬送ニップでの破断や、ガス拡散層製造時の塗工不良など、シワ、凹凸と同じく、後工程での収率悪化や、多孔質電極基材としての性能低下が生じることとなる。
また、多孔質炭素電極基材は、脆性が高く、弾性率も高いため、他の部材と比較し、欠けや割れが生じやすい。特にシート状の多孔質炭素電極基材の搬送時は、搬送張力の影響などにより、幅方向への蛇行や一方向への偏りが生じてしまうと、破断が発生し、連続して巻き取ることができなくなってしまう。
特許文献1に記載の発明では、炭素繊維シート前駆体走行時の幅方向への蛇行や、多孔質炭素電極基材を平面上に巻き出したときにシートが刀状に曲がってしまう弧形への対策はなされておらず、炭素繊維シート前駆体に対して幅広の屈曲治具、さらに幅広の焼成炉が必要であった。
特許文献2の多孔質炭素電極基材の製造方法に記載の偏り修正手段では、シートの偏りを検出し、その信号を制御部により演算、修正機構の制御を行っているため、それらの設備導入のためのコストや、設置スペースを要する。また、検出装置や、修正装置を含む設備は、故障のリスクや、定期的なメンテナンスの必要が生じる。また、幅方向の偏り修正動作により、熱処理中に多孔質炭素電極基材の偏り方向と逆向きに外力を加えることとなり、外力により多孔質炭素電極基材が延伸するため、多孔質炭素電極基材にかかる外力方向に凸となる弧形が増大する。
また、特許文献2に記載の発明では、多孔質炭素電極基材の偏り移動を極力回避するため、前熱処理炉と連続焼成炉との間を走行する多孔質炭素電極基材の幅方向両端縁に接触して自由回転する軸線を垂直にした複数の案内ロールを互いに近接して配設している。しかし、多孔質炭素電極基材が蛇行した場合、これら案内ロールがシート端部と点接触するため、局部的な応力によりシートの欠け、折れ、破断に繋がる。形態に関しても、弧形は改善しておらず、偏り修正手段により巻き上がりの形態を安定させており、多孔質炭素電極基材を次工程で巻出し、加工する場合に弧形による破断が顕在化する。
本発明の目的は、かかる従来技術の問題点に鑑み、炭素繊維シート前駆体の搬送時の蛇行を抑制し、弧形発生を抑制した多孔質炭素電極基材を提供せんとするものである。
さらに、シワや凹凸(うねりや反り)の発生が効果的に抑制され、しかも巻き上がりの形態も安定する多孔質炭素電極基材の連続製造方法を提供せんとするものである。
本発明の上記目的は、以下の発明によって解決される。
炭素繊維または炭素繊維前駆体繊維を含む炭素繊維シート前駆体を、400~2700℃の熱処理炉内を連続的に搬送させて熱処理し、巻き取って得られる多孔質炭素電極基材の製造方法において、
前記巻き出しの後から巻き取りの前までの前記シート前駆体のパスライン内に設けられた走行板により、走行する前記シート前駆体を高さ方向に屈曲させ、かつ、
前記パスラインを挟みその両横に設けられた一対のガイド部材により、走行する前記シート前駆体の蛇行を抑制し、
前記パスラインを走行する前記シート前駆体にかかる巻出張力を1~25N/mとする、多孔質炭素電極基材の製造方法。
ここに記載している多孔質炭素電極基材は、便宜上、炭素繊維シート前駆体を熱処理して樹脂を炭化して、巻き取って得られたものを指す。つまり、熱処理工程において、パスライン上を搬送させるシート基材は炭素繊維シート前駆体と呼び、巻き取られたシート基材は多孔質炭素電極基材と呼ぶ。
本発明によれば、煩雑な設備を伴わず、炭素繊維シート前駆体の搬送が可能となる。また、基材に過大な外力がかかりにくいため、弧形が少ない多孔質炭素電極基材を得ることができる。
本発明の多孔質炭素電極基材の製造方法を実施するための熱処理装置の一実施形態を平面で表す概略説明図である。 同実施形態にあって熱処理炉内を側面より透視して示す概略説明図である。 多孔質電極基材における弧形量の測定方法を示す概略説明図である。 走行板及びガイド部材を用いて、炭素繊維シート前駆体を長手方向に屈曲させながら走行させる屈曲状態を、走行板の上方より見た際の概略説明図である。 走行板及びガイド部材を用いて、多孔質炭素電極基材を長手方向に屈曲させながら走行させる屈曲状態を、走行板の側面方向より透視して見た際の概略説明図である。 走行板及びガイド部材において、該炭素繊維シート前駆体を複数の走行板により長手方向に屈曲させながら走行させる屈曲状態を、走行板の上方より見た際の概略説明図である。 走行板及びガイド部材において、該炭素繊維シート前駆体を複数の走行板により長手方向に屈曲させながら走行させる屈曲状態を、走行板の側面方向より透視して見た際の概略説明図である。
本発明は、前記課題、つまり煩雑な設備を伴わず、炭素繊維シート前駆体の搬送が可能で、また、弧形が少ない多孔質炭素電極基材の製造方法について、鋭意検討した。その結果、炭素繊維シート前駆体搬送時の蛇行を修正しようと外力をかけた際、多孔質炭素電極基材の弧形が増大してしまうのに対し、蛇行自体を抑制することに着目し、結果として多孔質炭素電極基材の弧形が大幅に改善することを見いだした。
すなわち、巻き出しの後から巻き取りの前までにおける炭素繊維シート前駆体のパスライン上に走行板を設け、前記走行板により炭素繊維シート前駆体を高さ方向に屈曲させ、かつ、前記パスラインを挟みその両横に一対のガイド部材を設けてみたところ、炭素繊維シート前駆体搬送時の蛇行を抑制することができ、また、それに伴い多孔質炭素電極基材の弧形を大幅に抑制できることを確認した。
ここに記載しているパスラインとは、多孔質炭素電極基材を製造する工程において、炭素繊維シート前駆体を搬送する際に、炭素繊維シート前駆体が通過する経路のことを指す。
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を用いて具体的に説明する。
図1及び図2は、本発明に関わる多孔質炭素電極基材の製造方法を実施するための装置の一例を概略で示している。これらの図において、炭素繊維シート前駆体は、図面左から右方向へと連続走行する。
同図中、符号1は低温炉、符号2は高温炉、符号3は、走行板/ガイド部材を示しており、炭素繊維シート前駆体ロールから炭素繊維シート前駆体4が送り出される、炭素繊維シート前駆体4は、先ず低温炉1を通って前炭化処理が実施されたのち、続いて走行板/ガイド部材を経由して、高温炉2に導入され、高温炉2を走行する間に炭化が完了し、多孔質炭素電極基材となる。
図3は、本発明の多孔質炭素電極基材の弧形量の測定方法を示しており、以下説明する。多孔質炭素電極基材の一方の幅方向の端部(以下、この端部を端部A(8)とする)上の任意の点(以下、この点を点A1(9)とする)の接線に対して、垂線(以下、この垂線を垂線1(10)とする)を引いたとき、垂線1と基材の他方の幅方向の端部(以下、この端部を端部B(11)とする)との交点を点B1(12)として、続いて点A1からの直線距離が10mの長さの直線の終点と端部Aとが重なる点を点A2(13)として、点A2の接線に対して、垂線(以下、この垂線を垂線2(14)とする)を引いたとき、垂線2と端部Bとの交点を点B2(15)した際に、点A1から点A2までの端部A上の距離と端部B上の点B1から点B2までとの距離との差を弧形量とする。
ここで、端部Aが曲線の場合は端部Aの接線に対して垂線を引くこととして、端部Aが直線の場合は接線を得ることができないので、端部Aに対して垂線を引くこととする。
また、点A1から引いた10mの直線の終点と端部Aとが重なる点とは、点A1を始点として、10mの直線を引き、その終点と端部Aが重なるようにした際の10mの直線の終点と端部Aが重なる点を指す。
また、点A1から点A2の距離とは、点A1と点A2の最短距離を指すものではなく、端部A上の点A1から点A2の距離を指す。同様に、点B1から点B2の距離とは、点B1と点B2の最短距離を指すものではなく、端部B上の点B1から点B2の距離を指す。
多孔質炭素電極基材の弧形量は、±0.015×W以内が望ましい。このとき、Wとは、多孔質炭素電極基材の幅(点A1から点B1までの直線距離)を指す。弧形量が±0.015×Wを逸脱すると、ニップロールを通過させたり、カレンダー加工を行った場合に、多孔質炭素電極基材がたるみ、破断が生じてしまう。その他に、多孔質炭素電極基材のたるみにより、多孔質炭素電極基材をロール状に巻き取る際、多孔質炭素電極基材の端部が揃わず、巻き姿が乱れてしまう。
多孔質炭素電極基材としては、炭素繊維が樹脂炭化物で結着されていて、孔を有してさえいれば、特に限定されない。例えば、カーボンクロスやカーボンペーパーが好ましく用いられるが、表面平滑性が高く、電気的接触が良好で、且つ機械的強度が高い性質を有するカーボンペーパーは、曲げ剛性が高い一方で脆い性質を有するので本発明の製造方法の効果を発揮するうえで好ましい。
カーボンペーパーは、通常、炭素短繊維または炭素繊維前駆体短繊維を抄造後、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸、硬化させ、熱処理により炭化させることで得られる。炭素短繊維を構成する炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系、ピッチ系、レーヨン系等の炭素繊維を用いることができる。なかでも、機械強度に優れ、しかも、適度な柔軟性を有する電極基材が得られることから、PAN系やピッチ系、特にPAN系の炭素繊維を用いることが好ましい。
上記に記載の炭素短繊維は、平均繊維長が3~20mmの炭素繊維を意味する。つまり炭素短繊維は、上述した炭素繊維をカットすることによって得られる。以下、炭素短繊維を例にとって本発明を説明する。
炭素短繊維を分散した炭素短繊維シートは、乾式抄紙法及び湿式抄紙法のいずれによっても得ることができる。多孔質炭素電極基材の細孔構造を制御するため、炭素短繊維シート中には炭素短繊維と同質量以下の耐炎化糸、有機物である有機繊維やパルプを混合抄紙してもよい。
また、形態保持性やハンドリング性等を向上させるためには、炭素短繊維シートにポリビニルアルコール、セルロース、ポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂等を含む有機質バインダを含有させることが好ましく、その場合はこれらの合計が1~30質量%の範囲であることが好ましい。
多孔質炭素電極基材の弧形量を±0.015×W以内に調整するためには、例えば、炭素短繊維シートを得る際に、水を抄紙媒体とする湿式抄紙法を用いることで、分散性がよい均一なシートができ、樹脂が炭化する際の伸縮の左右差を抑制することができる。
さて、本発明においては、得られた炭素短繊維シートに樹脂を含浸するなどして、炭素短繊維及び樹脂を含む組成物の準備をすることが好ましい。弧形量を±0.015×W以内に調整するためには、炭素短繊維シートへ樹脂を含ませる際に、樹脂が炭化する際の伸縮による体積変動の左右差を抑制するため、炭素短繊維及び樹脂を含む組成物の長手方向の任意の位置における幅方向の目付の差を5g/m以内とすることが望ましい。
この炭素短繊維及び樹脂を含む組成物を加熱して、前記樹脂を炭化させることで、多孔質炭素電極基材とすることができる。多孔質炭素電極基材の厚みは、薄すぎると搬送性が難しく、厚すぎると巻き取る際に内層側と外層側の周差により折れが発生するため、多孔質炭素電極基材の厚みは、50μm~300μmが好ましい。なお、多孔質炭素電極基材の厚さは、測定子断面が直径5mmの円形であるマイクロメーターを用いて、多孔質炭素電極基材の厚さ方向に0.15MPaの面圧を付与して測定することができる。測定は1.5cm間隔の格子状の20点以上で行い、その平均値を厚さとする。
炭素短繊維及び樹脂を含む組成物の形態として、熱処理による炭化の前に、加熱及び加圧して成形しておくのも好ましい。この成形により、多孔質炭素電極基材の厚みや空孔率をより適切化できる。成形する際の温度は100~250℃が好ましく、加える圧力は0.01~5MPa が好ましい。樹脂が炭化する際の伸縮による体積変動の左右差を抑制して、弧形量を±0.015×W以内に調整するため、成形時の炭素短繊維及び樹脂を含む組成物の幅方向へ与える温度差を25℃以内とすることが望ましく、さらに望ましい範囲は15℃以内である。また、成形後の炭素短繊維及び樹脂を含む組成物(炭素繊維シート前駆体という)の幅方向の厚みの差異を20μm以内とすることが望ましく、さらに望ましい範囲は10μm以内である。
その後、得られた炭素繊維シート前駆体を熱処理することで、炭素繊維シート前駆体を炭化させ、多孔質炭素電極基材を得る。本発明の多孔質炭素電極基材の製造方法における熱処理炉は、400~2700℃に設定可能な熱処理炉であり、詳しくは400~800℃の領域と1600~2700℃の領域を有することが好ましい。前記2種類の領域(400~800℃の領域と、1600~2700℃の領域)が、1つの熱処理炉内に設置されていても良いし、それぞれの温度領域に対応する熱処理炉に分割して設置して、焼成を2段階に分けて行うこともできる。
なお、熱処理炉を400~800℃の領域と1600~2700℃の領域とにわけたり、400~800℃の熱処理炉と1600~2700℃の熱処理炉に分割して設置したりして、焼成を2段階に分けて行う場合には、各領域(または各熱処理炉)内の温度は、それぞれ、最高温度600~800℃および最高温度1600℃~2700℃の範囲になるようにすることが好ましい。このような2段階焼成を行うと、分解ガスが多く発生し、炭化による収縮が進行する最高温度600~800℃の熱処理と、多孔質炭素電極基材のシワ、凹凸等の発生しやすい最高温度1600~2700℃の熱処理とで張力条件を変更することも可能となることから、好ましい。
かかる熱処理炉は、所定の温度に設定した空間に炭素繊維シート前駆体を連続的に走行させることで熱処理を行い、最終的に多孔質炭素電極基材を製造するためのものである。かかる炭素繊維シート前駆体を走行させる方法としては、炉外から送り出した炭素繊維シート前駆体を炉の入口部の開口部より炉内に導入し、所定温度の空間で熱処理された炭素繊維シート前駆体を炉の出口部の開口部より送り出し、炉外で巻き取る方法が、炭素繊維シート前駆体または多孔質炭素電極基材の搬送、走行の方法として容易であり、長尺の多孔質炭素電極基材を製造する方法としては好ましい。該炭素繊維シート前駆体の酸化を防止するため、炉内は不活性雰囲気下に保たれる。この炭素繊維シート前駆体の焼成を行う際は、樹脂が炭化する際の温度の左右差による伸縮による体積変動の左右差を抑制して、弧形量を±0.015×W以内に調整するため、焼成に用いる炉内温度の幅方向の左右差が100℃以内とすることが望ましく、さらに望ましい範囲は25℃以内である。
また、炭素繊維シート前駆体搬送時の蛇行を抑制し、炭素繊維シート前駆体にかかる外力を抑制し、弧形量を±0.015×W以内に調整するため、本発明では、巻き出しの後から巻き取りの前までにおける前記炭素繊維シート前駆体のパスライン中に走行板を設け、前記走行板により基材を高さ方向に屈曲させる。すなわち、炭素繊維シート前駆体は走行板の上方または下方を接触しながら通過することにより、高さ方向に屈曲して張力がかかることで、多孔質炭素電極基材のシワ、凹凸抑制を図ることができる。かかる走行板には走行する炭素繊維シート前駆体の全幅が接することが望ましい。
かつ、前記パスラインを挟みその幅方向の両横に一対のガイド部材を設ける。パスラインの両横にガイド部材が一対で設置されていればよく、走行板を挟みその両横に一対のガイド部材が設けられる、すなわち一対のガイド部材の間に走行板が配置されることが好ましいが、必ずしもその配置である必要はない。ガイド部材のパスライン長手方向上の長さに上限はなく、パスラインの全域において、両横にガイド部材が設けられていてもよい。
図4に示す通り、かかるガイド部材間の距離L(19)は、炭素繊維シート前駆体の幅W(20)と、熱処理されてできた多孔質炭素電極基材を巻取る装置の蛇行制御範囲によって決定する。ガイド部材間に炭素繊維シート前駆体を通し、搬送するため、ガイド部材間の距離Lは炭素繊維シート前駆体の幅Wより広くなくてはならない。
ガイド部材に炭素繊維シート前駆体の端部が接触すると、それ以上蛇行することができない。ガイド部材を熱処理炉の幅方向中央に設置したとき、炭素繊維シート前駆体の幅方向への移動許容量は、(L-W)/2で表すことができ、良好な巻き形状を得るためこの移動許容量が多孔質炭素電極基材を巻取る装置の蛇行制御範囲内に収まるようにガイド部材の距離を設定することが好ましい。すなわち、以下の式が成り立つことが好ましい。
0<(L-W)/2≦S
ここで、L:前記一対のガイド部材間のシート幅方向距離、W:前記炭素繊維シート前駆体の幅、S:熱処理されてできた多孔質炭素電極基材を巻取る装置の蛇行制御範囲の絶対値である。
前記炭素繊維シート前駆体がガイド部材に接触し、蛇行を抑制する際に、炭素繊維シート前駆体に過度な搬送張力を与えると、炭素繊維シート前駆体の端部がガイド部材に押しつけられ、端部に削れや荒れが生じることがある。このことから、炭素繊維シート前駆体の巻出張力は、低張力(25N/m以下)が望ましい。また、巻出張力を0N/mに設定すると、張力の制御がかからず、炭素繊維シートにハンチングが生じることがあるため、1N/m以上に設定することが望ましい。
巻出張力とは、炭素繊維シート前駆体を巻き出し、炭素繊維シート前駆体を炉の入口部の開口部より炉内に導入する際に炭素繊維シート前駆体に与える張力を示す。

かかる走行板及びガイド部材を構成する素材として、炭素、金属、セラミックスなどを用いることが可能である。設置位置の雰囲気温度により構成する素材を選択する必要があるが、安価であること、表面の平滑性や耐久性から、金属が特に好ましい。
かかる走行板及びガイド部材は、熱処理工程の巻出しの後から巻取りの前までいずれかの場所に設けることが可能であるが、設置位置の雰囲気温度が400℃以下であるならば、走行板及びガイド部材を構成する素材として、安価で耐久性の高い金属を選択することが可能となることから、好ましい。
かかる走行板及びガイド部材の設置箇所は、1カ所でもかまわないが、2カ所以上が好ましい。走行板及びガイド部材が2カ所以上あることで、各走行板及びガイド部材での炭素繊維シート前駆体の蛇行が抑えられ、各ガイド部材と炭素繊維シート前駆体の接触が緩やかになり、炭素繊維シート前駆体の欠け、折れ、破断を抑制することが可能となる。
かかる走行板及びガイド部材を用いて、該炭素繊維シート前駆体を長手方向に屈曲させながら走行させる屈曲状態を、走行板の上方、断面方向より示した様子を図4、5に例示する。
4は走行するシート基材、3aは走行板、3bはガイド部材である。かかる走行板及びガイド部材は、パスライン上に設置して使用する。かかる走行板の断面は必ずしも円形である必要はないが、炭素繊維シート前駆体が急角度で屈曲するのを防止するため、例えば図5のように該走行板表面の該炭素繊維シート前駆体と接する面の全部または一部に曲面加工を施すことが望ましい。走行板を構成する部品のうち該炭素繊維シート前駆体と接する部品は、回転可能であってもなくてもよいが、部材構造を簡素化する上からは、回転できない固定構造とすることが望ましい。また、該炭素繊維シート前駆体と接する面は、該炭素繊維シート前駆体が擦過により削れることを防ぐため、摩擦を極力低減のために、平滑であることが望ましく、鏡面仕上げであることが好ましい。
かかるガイド部材の長手方向の端部には、炭素繊維シート前駆体導入部及び導出部に炭素繊維シート前駆体端部が接触し、削れ、欠けが生じるのを防ぐため、例えば図4のように曲面加工、テーパー加工などを施すことが望ましい。
ここで長手方向とは該炭素繊維シート前駆体の長辺方向であり、つまりその走行方向である。
かかる走行板及びガイド部材は、必ずしも一体化したものである必要はないが、走行板とガイド部材との隙間に炭素繊維シート前駆体端部が入り込んでしまうと、削れ、欠けが生じることがあるため、この防止のため、走行板及びガイド部材を一体化することが望ましい。
本発明において、走行板により炭素繊維シート前駆体を高さ方向に屈曲させることで、炭素繊維シート前駆体の幅方向の剛性を高くできる。炭素繊維シート前駆体を屈曲させた状態で幅方向の両端に設けたガイド部材に接触すると、炭素繊維シート前駆体端部が反り上がることなく蛇行修正をすることが可能となる。また、ガイド部材と炭素繊維シート前駆体の側端部が線接触して軌跡をなすこととなるため、軸線を垂直にした案内ロール等による炭素繊維シート前駆体端部との点接触によるガイドに比べ、局部的な応力が分散され、多孔質炭素電極基材の欠け、折れ、破断を抑制することが可能となる。
かかる走行板及びガイド部材において、該炭素繊維シート前駆体を複数の走行板により長手方向に屈曲させながら走行させる屈曲状態を、走行板の上方、断面方向より示した様子を図6,7に例示する。
本発明において、該炭素繊維シート前駆体の屈曲回数は、図6、7に示すように複数回が好ましい。該炭素繊維シート前駆体の屈曲回数は、1~10回が好ましく、2~8回がより好ましく、2~6回が特に好ましい。上記の上限のいずれかと下限のいずれかとの組み合わせによる範囲であってもよい。かかる屈曲回数が多すぎると、構造体が長くなり、設置箇所の制約が生じることとなる。
多孔質炭素電極基材は、少なくとも一方の表面から測定した短絡電流の平均値が10mA以下であることが好ましい。
多孔質炭素電極基材の上記短絡電流の平均値を10mA以下にするための手段を以下に例示するが、これに限定されるものではない。
毛羽を除去する観点から、炭素短繊維シートを得る際には、水を抄紙媒体とする湿式抄紙法を用いることで、比較的炭素短繊維がシート面に平行に向きやすい。すなわち湿式抄紙法を用いると、炭素短繊維がシートを貫く方向に向きにくいため、燃料電池の膜を貫通する短絡を起こしにくく短絡電流を低く抑えることができ、しかも、炭素短繊維の分散性のよい均質なシートが得られるため、多数の測定点において短絡電流を低く抑えることができる。
炭素短繊維シートの製造にあたっては、炭素短繊維シート中の炭素短繊維の目付が10~50g/mになるようにするのが好ましく、15~35g/mであることがより好ましい。かかる炭素短繊維シートから得られる多孔質炭素電極基材の機械強度が優れたものとなり、同時に十分な柔軟性を維持することができるためである。また、目付が適正な範囲であると、多孔質炭素電極基材が厚くなり過ぎず、炭素短繊維がシートを貫く方向に向くことを抑制できるため、燃料電池の膜を貫通する短絡を抑えることができ、結果として短絡電流を低く抑え、同時に多数の測定点における短絡電流も低く抑えることができる。
多孔質炭素電極基材から突出した炭素短繊維を除去するため、多孔質炭素電極基材を連続的に加圧し、多孔質炭素電極基材表面の炭素短繊維を折ることも好ましい。方法としては、平板による間欠プレス、ロールベルトによるベルトプレス、カレンダロールによるロールプレスが挙げられる。
<多孔質炭素電極基材の作製>
東レ株式会社製ポリアクリロニトリル系炭素繊維“トレカ”T-300―6K(平均単繊維直径:7μm、単繊維数6,000本)を12mmの長さにカットし、水を抄造媒体として抄造し、さらにポリビニルアルコールの10質量%水性分散液に含浸し、乾燥して、炭素短繊維の目付が32g/mの帯状炭素短繊維シートを得た。ポリビニルアルコールの付着量は、炭素短繊維シートに対して質量比で約0.20に相当する。
次に、中越黒鉛工業製鱗片状黒鉛BF-5A(平均粒径5μm)、フェノール樹脂、メタノールを4:18:81の質量比で混合した分散液を上記炭素短繊維シートに、炭素短繊維シート100%に対してフェノール樹脂が質量比で90%、炭素繊維シートの幅方向の左右での目付の差が±5g/m以内になるように含浸し、140℃で乾燥させた後、0.5MPaの加圧下にて200℃で1.5分加熱し、フェノール樹脂を硬化させて、炭素短繊維及び樹脂を含む組成物を得た。このとき、成形時の上記炭素短繊維及び樹脂を含む組成物に与える温度差は幅方向全体で25℃未満となるよう制御した。また、成形後の炭素繊維シート前駆体の幅方向の厚みの差異が、20μm以内となるよう制御した。
フェノール樹脂としては、レゾール型フェノール樹脂とノボラック型フェノール樹脂とを1:1の質量比で混合した樹脂を用いた。
次に、上記炭素繊維シート前駆体のロール状物から当該シート前駆体を巻き出し、窒素ガス雰囲気に保たれた最高温度が2,400℃の加熱炉に導入し、多孔質炭素電極基材を得た。より詳細には、最高温度800℃の低温炉、最高温度2,400℃の高温炉を通過させるという2段階加熱を行った。この際、低温炉での平均昇温速度は約2900℃/分、高温炉での平均昇温速度は4,200℃/分であり、焼成に用いる炉内温度の幅方向の左右差が100℃以下になるよう制御した。
各実施例・比較例に記載のとおり、パスライン上に走行板・ガイド部材を設けた。走行板・ガイド部材の材質はSUSを選定した。走行板の断面は一部に曲面加工を施し、屈曲回数が2回となるように設置した。パスラインを挟んでその幅方向の両側に一対の部材を設けてガイド部材とした。かかるガイド部材は、長手方向の端部に曲面加工が施されたものであった。ここで長手方向とは該炭素繊維シート前駆体の長辺方向であり、つまりその走行方向である。
ガイド部材の高さは、走行板より高くし、走行板上を走行する基材が乗り上げないようにした。炭素繊維シート前駆体の巻出張力を18N/mに設定し、ロール状に巻き取った。
得られた多孔質炭素電極基材を巻き出し、以下の手順で多孔質炭素電極基材の孤形量を測定した。
[多孔質炭素電極基材の弧形量測定法]
図3に基づき、測定方法を説明する。
平地に10mの直線を引き、その直線に多孔質電極基材の一方の幅方向の端部Aを沿わせる。この直線の始点と、端部A上の任意の点A1を重ね合わせる。次に、直線の終点と、この端部Aが重なる点を点A2とする。平地に引いた10mの直線上の中点(以下点C(16)とする)から、垂線(以下垂線3とする)を引く。垂線3と端部Aとの交点(以下点D(17)とする)との距離CDを測定する。
多孔質炭素電極基材の端部A及び端部Bは、直線B1A1と直線B2A2の交点(以下点E(18)とする)から点A1の距離(距離EA1)、及び点Eから点B1の距離(距離EB1)を半径とする、同一中心角(∠A1EA2)を持つ円の弧と見なせる。
円の弧長Lは、弦長d、矢高h(円弧の高さ)、半径Rのいずれか2つが定まれば、次式により求められる。ここでθは中心角を指す。
L=R×θ
d=2×R×sin(θ/2)
h=R×(1―cos(θ/2))
この関係を本測定に当てはめると、弦長dは、直線A1A2の距離となるため、d=10[m]、矢高hは、距離CDの実測値となる。これらの値から、点A1から点A2の距離(以下、弧A1A2の長さ、とも記す)を求めることができる。
また、弧B1B2は、同一中心角(∠A1EA2)の弦であることから、基材幅分半径の大きい円の弧となるため、点A1から点A2の距離と点B1から点B2の距離(以下、弧B1B2の長さ、とも記す)の差は
弧A1A2-弧B1B2=A1B1×θ
と表される。
[蛇行量の測定方法]
熱処理工程において、炭素繊維シート前駆体端部の基準走行位置より、幅方向にずれた距離を蛇行量と定義する。水平方向に進行する炭素繊維シート前駆体を真上から見て、進行方向右側に蛇行した場合を正方向、進行方向左側に蛇行した場合を負方向とする。熱処理加工中に蛇行量の測定を行い、蛇行量の絶対値の最大値を最大蛇行量とする。
[焼成後処理]
多孔質炭素電極基材の長さの測定を行った後、この多孔質炭素電極基材に対して、125N/cmの線圧でカレンダー加工を行った。
(実施例1)
上記の<多孔質炭素電極基材の作製>に記載した方法に従って、幅Wが300mmの多孔質炭素電極基材を得た。走行板およびガイド部材を別々に準備して、一体化せず、低温炉と高温炉の間に設置した。走行板はパスライン上に設置してその上を炭素繊維シート前駆体が通過する構成とした。走行板を挟んでその両横に一対のガイド部材を設置した。表1に各評価項目を示す。熱処理時、破断は発生しなかった。最大蛇行量を測定したところ、低温炉-高温炉間での最大蛇行量は良好、高温炉出口での最大蛇行量はやや大きい結果となった。弧形量を測定したところ、±0.015×Wの範囲内となった。得られた多孔質炭素電極基材の端部の品位を確認したところ、0.5mm程度の削れが1箇所見られた他は良好であった。得られた多孔質電極基材に対して、[焼成後処理]に記載のカレンダー加工を実施した。カレンダー加工時、多孔質炭素電極基材の破断は発生しなかった。
(実施例2)
熱処理工程において、実施例1で用いた走行板及び一対のガイド部材とを一体化したガイド構造体に替えたこと以外は実施例1と同様にして、幅Wが300mmの多孔質炭素電極基材を得た。熱処理時、破断は発生しなかった。最大蛇行量を測定したところ、低温炉-高温炉間での最大蛇行量は良好、高温炉出口での最大蛇行量はやや大きい結果となった。弧形量を測定したところ、±0.015×Wの範囲内となった。得られた多孔質炭素電極基材の端部の品位は、削れなどみられず良好であった。得られた多孔質電極基材に対して、[焼成後処理]に記載のカレンダー加工を実施した。カレンダー加工時、多孔質炭素電極基材の破断は発生しなかった。
(実施例3)
熱処理工程において、実施例2記載の設置箇所(低温炉と高温炉の間)に加え、ガイド構造体を高温炉出口近傍にも追加で設置したこと以外は実施例2と同様にして、幅Wが300mmの多孔質炭素電極基材を得た。熱処理時、破断は発生しなかった。最大蛇行量を測定したところ、低温炉-高温炉間での最大蛇行量、高温炉出口での最大蛇行量ともに良好な結果となった。弧形量を測定したところ、±0.015×Wの範囲内となった。得られた多孔質炭素電極基材の端部の品位は良好であった。また、実施例2と同様の方法で焼成後処理を実施した多孔質炭素電極基材について、破断は発生しなかった。
(比較例1)
走行板を取り除く以外は実施例1と同様にして、幅Wが300mmの多孔質炭素電極基材の作製を試みた。熱処理中に炭素繊維シート前駆体がガイド部材に当たった際、炭素繊維シート前駆体の端部が反り上がってしまい、蛇行が収まらず、熱処理加工途中で炭素繊維シート前駆体が破断した。得られた多孔質炭素電極基材について、弧形量を測定したところ、±0.015×Wの範囲より逸脱した。得られた多孔質炭素電極基材の端部の品位は良好であったが、実施例1と同様の方法で焼成後処理を実施した多孔質炭素電極基材について、熱処理時、カレンダー加工時ともに破断が発生した。
(比較例2)
ガイド部材を取り除く以外は実施例1と同様にして、幅Wが300mmの多孔質炭素電極基材を得た。熱処理中に炭素繊維シート前駆体の蛇行が収まらず、熱処理加工途中で炭素繊維シート前駆体が破断した。得られた多孔質炭素電極基材について、弧形量を測定したところ、±0.015×Wの範囲より逸脱した。得られた多孔質炭素電極基材の端部の品位は良好であったが、実施例1と同様の方法で焼成後処理を実施した多孔質炭素電極基材について、熱処理時、カレンダー加工時ともに破断が発生した。
(比較例3)
巻出張力を30N/mとした以外は実施例1と同様にして、幅Wが300mmの多孔質炭素電極基材を得た。得られた多孔質炭素電極基材の端部を観察すると、削れや欠けが生じ、多孔質炭素電極基材としての品位が著しく低下していた。得られた多孔質炭素電極基材について、弧形量を測定したところ、±0.015×Wの範囲より逸脱した。また、実施例1と同様の方法で焼成後処理を実施した多孔質炭素電極基材について、カレンダー加工時に破断が発生した。
Figure 0007310127000001
1 低温炉
2 高温炉
3a 走行板
3b ガイド部材
4 シート基材
5 巻出ユニット
6a センサ
6b 巻取ユニット
7 ガイドロール
8 端部A
9 点A1
10 垂線1
11 端部B
12 点B1
13 点A2
14 垂線2
15 点B2
16 点C
17 点D
18 点E
19 シート基材の幅 W
20 一対のガイド部材間のシート幅方向距離 L

Claims (5)

  1. 炭素短繊維を分散した炭素短繊維シートに、樹脂を含ませて得られた炭素短繊維及び樹脂を含む組成物を、加熱及び加圧する成形処理する成形工程と、前記成形処理をされた該炭素繊維シート前駆体に含まれる樹脂を炭化処理する炭化工程とを有する多孔質炭素電極基材の連続製造方法であって、
    前記炭素短繊維シートが湿式抄紙法により得られ、
    前記炭素短繊維及び樹脂を含む組成物の長手方向の任意の位置における幅方向の目付の差が5g/m以内であり、
    前記成形工程において炭素短繊維及び樹脂を含む組成物の幅方向に与える温度差が25℃以内であり、
    前記成形工程により得られる前記炭素繊維シート前駆体の幅方向の厚みの差異が20μm以内である
    炭素繊維シート前駆体を、400~2700℃の熱処理炉内を連続的に搬送させて熱処理し、巻き取って得られる多孔質炭素電極基材の製造方法において、
    前記巻き出しの後から巻き取りの前までの前記シート前駆体のパスラインに設けられた走行板により、走行する前記シート前駆体を高さ方向に屈曲させ、かつ、
    前記パスラインを挟みその両横に設けられた一対のガイド部材により、走行する前記シート前駆体の蛇行を抑制し、
    前記走行板及びガイド部材の設置位置の雰囲気温度が、400℃以下であって、
    前記パスラインを走行する前記炭素繊維シート前駆体の巻出張力を1~25N/mとする、多孔質炭素電極基材の連続製造方法。
  2. 前記走行板を挟みその両横に前記一対のガイド部材が配置されている、請求項1に記載の多孔質炭素電極基材の連続製造方法。
  3. 前記走行板と前記一対のガイド部材とが一体化されてガイド構造体を形成する、請求項1または2に記載の多孔質炭素電極基材の連続製造方法。
  4. 前記パスライン内に2箇所以上の前記ガイド構造体が設けられた、請求項3に記載の多孔質炭素電極基材の連続製造方法。
  5. 前記走行板及びガイド部材において、前記炭素繊維シート前駆体とガイド部材が線接触する、請求項1~4のいずれかに記載の多孔質炭素電極基材の連続製造方法
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