JP7310127B2 - 多孔質炭素電極基材およびその製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1では、多孔質炭素電極基材のシワや凹凸の抑制、反り高さ低減のため、屈曲部材を炉内のシート通路に設け、炭素繊維シート前駆体の表面を屈曲部材に接触させながら走行させる手法がとられている。
特許文献1に記載の発明では、炭素繊維シート前駆体走行時の幅方向への蛇行や、多孔質炭素電極基材を平面上に巻き出したときにシートが刀状に曲がってしまう弧形への対策はなされておらず、炭素繊維シート前駆体に対して幅広の屈曲治具、さらに幅広の焼成炉が必要であった。
また、特許文献2に記載の発明では、多孔質炭素電極基材の偏り移動を極力回避するため、前熱処理炉と連続焼成炉との間を走行する多孔質炭素電極基材の幅方向両端縁に接触して自由回転する軸線を垂直にした複数の案内ロールを互いに近接して配設している。しかし、多孔質炭素電極基材が蛇行した場合、これら案内ロールがシート端部と点接触するため、局部的な応力によりシートの欠け、折れ、破断に繋がる。形態に関しても、弧形は改善しておらず、偏り修正手段により巻き上がりの形態を安定させており、多孔質炭素電極基材を次工程で巻出し、加工する場合に弧形による破断が顕在化する。
本発明の目的は、かかる従来技術の問題点に鑑み、炭素繊維シート前駆体の搬送時の蛇行を抑制し、弧形発生を抑制した多孔質炭素電極基材を提供せんとするものである。
炭素繊維または炭素繊維前駆体繊維を含む炭素繊維シート前駆体を、400~2700℃の熱処理炉内を連続的に搬送させて熱処理し、巻き取って得られる多孔質炭素電極基材の製造方法において、
前記巻き出しの後から巻き取りの前までの前記シート前駆体のパスライン内に設けられた走行板により、走行する前記シート前駆体を高さ方向に屈曲させ、かつ、
前記パスラインを挟みその両横に設けられた一対のガイド部材により、走行する前記シート前駆体の蛇行を抑制し、
前記パスラインを走行する前記シート前駆体にかかる巻出張力を1~25N/mとする、多孔質炭素電極基材の製造方法。
ここに記載している多孔質炭素電極基材は、便宜上、炭素繊維シート前駆体を熱処理して樹脂を炭化して、巻き取って得られたものを指す。つまり、熱処理工程において、パスライン上を搬送させるシート基材は炭素繊維シート前駆体と呼び、巻き取られたシート基材は多孔質炭素電極基材と呼ぶ。
すなわち、巻き出しの後から巻き取りの前までにおける炭素繊維シート前駆体のパスライン上に走行板を設け、前記走行板により炭素繊維シート前駆体を高さ方向に屈曲させ、かつ、前記パスラインを挟みその両横に一対のガイド部材を設けてみたところ、炭素繊維シート前駆体搬送時の蛇行を抑制することができ、また、それに伴い多孔質炭素電極基材の弧形を大幅に抑制できることを確認した。
ここに記載しているパスラインとは、多孔質炭素電極基材を製造する工程において、炭素繊維シート前駆体を搬送する際に、炭素繊維シート前駆体が通過する経路のことを指す。
図1及び図2は、本発明に関わる多孔質炭素電極基材の製造方法を実施するための装置の一例を概略で示している。これらの図において、炭素繊維シート前駆体は、図面左から右方向へと連続走行する。
同図中、符号1は低温炉、符号2は高温炉、符号3は、走行板/ガイド部材を示しており、炭素繊維シート前駆体ロールから炭素繊維シート前駆体4が送り出される、炭素繊維シート前駆体4は、先ず低温炉1を通って前炭化処理が実施されたのち、続いて走行板/ガイド部材を経由して、高温炉2に導入され、高温炉2を走行する間に炭化が完了し、多孔質炭素電極基材となる。
図3は、本発明の多孔質炭素電極基材の弧形量の測定方法を示しており、以下説明する。多孔質炭素電極基材の一方の幅方向の端部(以下、この端部を端部A(8)とする)上の任意の点(以下、この点を点A1(9)とする)の接線に対して、垂線(以下、この垂線を垂線1(10)とする)を引いたとき、垂線1と基材の他方の幅方向の端部(以下、この端部を端部B(11)とする)との交点を点B1(12)として、続いて点A1からの直線距離が10mの長さの直線の終点と端部Aとが重なる点を点A2(13)として、点A2の接線に対して、垂線(以下、この垂線を垂線2(14)とする)を引いたとき、垂線2と端部Bとの交点を点B2(15)した際に、点A1から点A2までの端部A上の距離と端部B上の点B1から点B2までとの距離との差を弧形量とする。
また、形態保持性やハンドリング性等を向上させるためには、炭素短繊維シートにポリビニルアルコール、セルロース、ポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂等を含む有機質バインダを含有させることが好ましく、その場合はこれらの合計が1~30質量%の範囲であることが好ましい。
多孔質炭素電極基材の弧形量を±0.015×W以内に調整するためには、例えば、炭素短繊維シートを得る際に、水を抄紙媒体とする湿式抄紙法を用いることで、分散性がよい均一なシートができ、樹脂が炭化する際の伸縮の左右差を抑制することができる。
この炭素短繊維及び樹脂を含む組成物を加熱して、前記樹脂を炭化させることで、多孔質炭素電極基材とすることができる。多孔質炭素電極基材の厚みは、薄すぎると搬送性が難しく、厚すぎると巻き取る際に内層側と外層側の周差により折れが発生するため、多孔質炭素電極基材の厚みは、50μm~300μmが好ましい。なお、多孔質炭素電極基材の厚さは、測定子断面が直径5mmの円形であるマイクロメーターを用いて、多孔質炭素電極基材の厚さ方向に0.15MPaの面圧を付与して測定することができる。測定は1.5cm間隔の格子状の20点以上で行い、その平均値を厚さとする。
なお、熱処理炉を400~800℃の領域と1600~2700℃の領域とにわけたり、400~800℃の熱処理炉と1600~2700℃の熱処理炉に分割して設置したりして、焼成を2段階に分けて行う場合には、各領域(または各熱処理炉)内の温度は、それぞれ、最高温度600~800℃および最高温度1600℃~2700℃の範囲になるようにすることが好ましい。このような2段階焼成を行うと、分解ガスが多く発生し、炭化による収縮が進行する最高温度600~800℃の熱処理と、多孔質炭素電極基材のシワ、凹凸等の発生しやすい最高温度1600~2700℃の熱処理とで張力条件を変更することも可能となることから、好ましい。
かかる熱処理炉は、所定の温度に設定した空間に炭素繊維シート前駆体を連続的に走行させることで熱処理を行い、最終的に多孔質炭素電極基材を製造するためのものである。かかる炭素繊維シート前駆体を走行させる方法としては、炉外から送り出した炭素繊維シート前駆体を炉の入口部の開口部より炉内に導入し、所定温度の空間で熱処理された炭素繊維シート前駆体を炉の出口部の開口部より送り出し、炉外で巻き取る方法が、炭素繊維シート前駆体または多孔質炭素電極基材の搬送、走行の方法として容易であり、長尺の多孔質炭素電極基材を製造する方法としては好ましい。該炭素繊維シート前駆体の酸化を防止するため、炉内は不活性雰囲気下に保たれる。この炭素繊維シート前駆体の焼成を行う際は、樹脂が炭化する際の温度の左右差による伸縮による体積変動の左右差を抑制して、弧形量を±0.015×W以内に調整するため、焼成に用いる炉内温度の幅方向の左右差が100℃以内とすることが望ましく、さらに望ましい範囲は25℃以内である。
また、炭素繊維シート前駆体搬送時の蛇行を抑制し、炭素繊維シート前駆体にかかる外力を抑制し、弧形量を±0.015×W以内に調整するため、本発明では、巻き出しの後から巻き取りの前までにおける前記炭素繊維シート前駆体のパスライン中に走行板を設け、前記走行板により基材を高さ方向に屈曲させる。すなわち、炭素繊維シート前駆体は走行板の上方または下方を接触しながら通過することにより、高さ方向に屈曲して張力がかかることで、多孔質炭素電極基材のシワ、凹凸抑制を図ることができる。かかる走行板には走行する炭素繊維シート前駆体の全幅が接することが望ましい。
かつ、前記パスラインを挟みその幅方向の両横に一対のガイド部材を設ける。パスラインの両横にガイド部材が一対で設置されていればよく、走行板を挟みその両横に一対のガイド部材が設けられる、すなわち一対のガイド部材の間に走行板が配置されることが好ましいが、必ずしもその配置である必要はない。ガイド部材のパスライン長手方向上の長さに上限はなく、パスラインの全域において、両横にガイド部材が設けられていてもよい。
図4に示す通り、かかるガイド部材間の距離L(19)は、炭素繊維シート前駆体の幅W(20)と、熱処理されてできた多孔質炭素電極基材を巻取る装置の蛇行制御範囲によって決定する。ガイド部材間に炭素繊維シート前駆体を通し、搬送するため、ガイド部材間の距離Lは炭素繊維シート前駆体の幅Wより広くなくてはならない。
ガイド部材に炭素繊維シート前駆体の端部が接触すると、それ以上蛇行することができない。ガイド部材を熱処理炉の幅方向中央に設置したとき、炭素繊維シート前駆体の幅方向への移動許容量は、(L-W)/2で表すことができ、良好な巻き形状を得るためこの移動許容量が多孔質炭素電極基材を巻取る装置の蛇行制御範囲内に収まるようにガイド部材の距離を設定することが好ましい。すなわち、以下の式が成り立つことが好ましい。
0<(L-W)/2≦S
ここで、L:前記一対のガイド部材間のシート幅方向距離、W:前記炭素繊維シート前駆体の幅、S:熱処理されてできた多孔質炭素電極基材を巻取る装置の蛇行制御範囲の絶対値である。
前記炭素繊維シート前駆体がガイド部材に接触し、蛇行を抑制する際に、炭素繊維シート前駆体に過度な搬送張力を与えると、炭素繊維シート前駆体の端部がガイド部材に押しつけられ、端部に削れや荒れが生じることがある。このことから、炭素繊維シート前駆体の巻出張力は、低張力(25N/m以下)が望ましい。また、巻出張力を0N/mに設定すると、張力の制御がかからず、炭素繊維シートにハンチングが生じることがあるため、1N/m以上に設定することが望ましい。
巻出張力とは、炭素繊維シート前駆体を巻き出し、炭素繊維シート前駆体を炉の入口部の開口部より炉内に導入する際に炭素繊維シート前駆体に与える張力を示す。
かかる走行板及びガイド部材を構成する素材として、炭素、金属、セラミックスなどを用いることが可能である。設置位置の雰囲気温度により構成する素材を選択する必要があるが、安価であること、表面の平滑性や耐久性から、金属が特に好ましい。
かかる走行板及びガイド部材は、熱処理工程の巻出しの後から巻取りの前までいずれかの場所に設けることが可能であるが、設置位置の雰囲気温度が400℃以下であるならば、走行板及びガイド部材を構成する素材として、安価で耐久性の高い金属を選択することが可能となることから、好ましい。
かかる走行板及びガイド部材の設置箇所は、1カ所でもかまわないが、2カ所以上が好ましい。走行板及びガイド部材が2カ所以上あることで、各走行板及びガイド部材での炭素繊維シート前駆体の蛇行が抑えられ、各ガイド部材と炭素繊維シート前駆体の接触が緩やかになり、炭素繊維シート前駆体の欠け、折れ、破断を抑制することが可能となる。
4は走行するシート基材、3aは走行板、3bはガイド部材である。かかる走行板及びガイド部材は、パスライン上に設置して使用する。かかる走行板の断面は必ずしも円形である必要はないが、炭素繊維シート前駆体が急角度で屈曲するのを防止するため、例えば図5のように該走行板表面の該炭素繊維シート前駆体と接する面の全部または一部に曲面加工を施すことが望ましい。走行板を構成する部品のうち該炭素繊維シート前駆体と接する部品は、回転可能であってもなくてもよいが、部材構造を簡素化する上からは、回転できない固定構造とすることが望ましい。また、該炭素繊維シート前駆体と接する面は、該炭素繊維シート前駆体が擦過により削れることを防ぐため、摩擦を極力低減のために、平滑であることが望ましく、鏡面仕上げであることが好ましい。
かかるガイド部材の長手方向の端部には、炭素繊維シート前駆体導入部及び導出部に炭素繊維シート前駆体端部が接触し、削れ、欠けが生じるのを防ぐため、例えば図4のように曲面加工、テーパー加工などを施すことが望ましい。
ここで長手方向とは該炭素繊維シート前駆体の長辺方向であり、つまりその走行方向である。
本発明において、走行板により炭素繊維シート前駆体を高さ方向に屈曲させることで、炭素繊維シート前駆体の幅方向の剛性を高くできる。炭素繊維シート前駆体を屈曲させた状態で幅方向の両端に設けたガイド部材に接触すると、炭素繊維シート前駆体端部が反り上がることなく蛇行修正をすることが可能となる。また、ガイド部材と炭素繊維シート前駆体の側端部が線接触して軌跡をなすこととなるため、軸線を垂直にした案内ロール等による炭素繊維シート前駆体端部との点接触によるガイドに比べ、局部的な応力が分散され、多孔質炭素電極基材の欠け、折れ、破断を抑制することが可能となる。
かかる走行板及びガイド部材において、該炭素繊維シート前駆体を複数の走行板により長手方向に屈曲させながら走行させる屈曲状態を、走行板の上方、断面方向より示した様子を図6,7に例示する。
東レ株式会社製ポリアクリロニトリル系炭素繊維“トレカ”T-300―6K(平均単繊維直径:7μm、単繊維数6,000本)を12mmの長さにカットし、水を抄造媒体として抄造し、さらにポリビニルアルコールの10質量%水性分散液に含浸し、乾燥して、炭素短繊維の目付が32g/m2の帯状炭素短繊維シートを得た。ポリビニルアルコールの付着量は、炭素短繊維シートに対して質量比で約0.20に相当する。
各実施例・比較例に記載のとおり、パスライン上に走行板・ガイド部材を設けた。走行板・ガイド部材の材質はSUSを選定した。走行板の断面は一部に曲面加工を施し、屈曲回数が2回となるように設置した。パスラインを挟んでその幅方向の両側に一対の部材を設けてガイド部材とした。かかるガイド部材は、長手方向の端部に曲面加工が施されたものであった。ここで長手方向とは該炭素繊維シート前駆体の長辺方向であり、つまりその走行方向である。
ガイド部材の高さは、走行板より高くし、走行板上を走行する基材が乗り上げないようにした。炭素繊維シート前駆体の巻出張力を18N/mに設定し、ロール状に巻き取った。
[多孔質炭素電極基材の弧形量測定法]
図3に基づき、測定方法を説明する。
L=R×θ
d=2×R×sin(θ/2)
h=R×(1―cos(θ/2))
この関係を本測定に当てはめると、弦長dは、直線A1A2の距離となるため、d=10[m]、矢高hは、距離CDの実測値となる。これらの値から、点A1から点A2の距離(以下、弧A1A2の長さ、とも記す)を求めることができる。
弧A1A2-弧B1B2=A1B1×θ
と表される。
[蛇行量の測定方法]
熱処理工程において、炭素繊維シート前駆体端部の基準走行位置より、幅方向にずれた距離を蛇行量と定義する。水平方向に進行する炭素繊維シート前駆体を真上から見て、進行方向右側に蛇行した場合を正方向、進行方向左側に蛇行した場合を負方向とする。熱処理加工中に蛇行量の測定を行い、蛇行量の絶対値の最大値を最大蛇行量とする。
[焼成後処理]
多孔質炭素電極基材の長さの測定を行った後、この多孔質炭素電極基材に対して、125N/cmの線圧でカレンダー加工を行った。
(実施例1)
上記の<多孔質炭素電極基材の作製>に記載した方法に従って、幅Wが300mmの多孔質炭素電極基材を得た。走行板およびガイド部材を別々に準備して、一体化せず、低温炉と高温炉の間に設置した。走行板はパスライン上に設置してその上を炭素繊維シート前駆体が通過する構成とした。走行板を挟んでその両横に一対のガイド部材を設置した。表1に各評価項目を示す。熱処理時、破断は発生しなかった。最大蛇行量を測定したところ、低温炉-高温炉間での最大蛇行量は良好、高温炉出口での最大蛇行量はやや大きい結果となった。弧形量を測定したところ、±0.015×Wの範囲内となった。得られた多孔質炭素電極基材の端部の品位を確認したところ、0.5mm程度の削れが1箇所見られた他は良好であった。得られた多孔質電極基材に対して、[焼成後処理]に記載のカレンダー加工を実施した。カレンダー加工時、多孔質炭素電極基材の破断は発生しなかった。
(実施例2)
熱処理工程において、実施例1で用いた走行板及び一対のガイド部材とを一体化したガイド構造体に替えたこと以外は実施例1と同様にして、幅Wが300mmの多孔質炭素電極基材を得た。熱処理時、破断は発生しなかった。最大蛇行量を測定したところ、低温炉-高温炉間での最大蛇行量は良好、高温炉出口での最大蛇行量はやや大きい結果となった。弧形量を測定したところ、±0.015×Wの範囲内となった。得られた多孔質炭素電極基材の端部の品位は、削れなどみられず良好であった。得られた多孔質電極基材に対して、[焼成後処理]に記載のカレンダー加工を実施した。カレンダー加工時、多孔質炭素電極基材の破断は発生しなかった。
(実施例3)
熱処理工程において、実施例2記載の設置箇所(低温炉と高温炉の間)に加え、ガイド構造体を高温炉出口近傍にも追加で設置したこと以外は実施例2と同様にして、幅Wが300mmの多孔質炭素電極基材を得た。熱処理時、破断は発生しなかった。最大蛇行量を測定したところ、低温炉-高温炉間での最大蛇行量、高温炉出口での最大蛇行量ともに良好な結果となった。弧形量を測定したところ、±0.015×Wの範囲内となった。得られた多孔質炭素電極基材の端部の品位は良好であった。また、実施例2と同様の方法で焼成後処理を実施した多孔質炭素電極基材について、破断は発生しなかった。
(比較例1)
走行板を取り除く以外は実施例1と同様にして、幅Wが300mmの多孔質炭素電極基材の作製を試みた。熱処理中に炭素繊維シート前駆体がガイド部材に当たった際、炭素繊維シート前駆体の端部が反り上がってしまい、蛇行が収まらず、熱処理加工途中で炭素繊維シート前駆体が破断した。得られた多孔質炭素電極基材について、弧形量を測定したところ、±0.015×Wの範囲より逸脱した。得られた多孔質炭素電極基材の端部の品位は良好であったが、実施例1と同様の方法で焼成後処理を実施した多孔質炭素電極基材について、熱処理時、カレンダー加工時ともに破断が発生した。
(比較例2)
ガイド部材を取り除く以外は実施例1と同様にして、幅Wが300mmの多孔質炭素電極基材を得た。熱処理中に炭素繊維シート前駆体の蛇行が収まらず、熱処理加工途中で炭素繊維シート前駆体が破断した。得られた多孔質炭素電極基材について、弧形量を測定したところ、±0.015×Wの範囲より逸脱した。得られた多孔質炭素電極基材の端部の品位は良好であったが、実施例1と同様の方法で焼成後処理を実施した多孔質炭素電極基材について、熱処理時、カレンダー加工時ともに破断が発生した。
(比較例3)
巻出張力を30N/mとした以外は実施例1と同様にして、幅Wが300mmの多孔質炭素電極基材を得た。得られた多孔質炭素電極基材の端部を観察すると、削れや欠けが生じ、多孔質炭素電極基材としての品位が著しく低下していた。得られた多孔質炭素電極基材について、弧形量を測定したところ、±0.015×Wの範囲より逸脱した。また、実施例1と同様の方法で焼成後処理を実施した多孔質炭素電極基材について、カレンダー加工時に破断が発生した。
2 高温炉
3a 走行板
3b ガイド部材
4 シート基材
5 巻出ユニット
6a センサ
6b 巻取ユニット
7 ガイドロール
8 端部A
9 点A1
10 垂線1
11 端部B
12 点B1
13 点A2
14 垂線2
15 点B2
16 点C
17 点D
18 点E
19 シート基材の幅 W
20 一対のガイド部材間のシート幅方向距離 L
Claims (5)
- 炭素短繊維を分散した炭素短繊維シートに、樹脂を含ませて得られた炭素短繊維及び樹脂を含む組成物を、加熱及び加圧する成形処理する成形工程と、前記成形処理をされた該炭素繊維シート前駆体に含まれる樹脂を炭化処理する炭化工程とを有する多孔質炭素電極基材の連続製造方法であって、
前記炭素短繊維シートが湿式抄紙法により得られ、
前記炭素短繊維及び樹脂を含む組成物の長手方向の任意の位置における幅方向の目付の差が5g/m2以内であり、
前記成形工程において炭素短繊維及び樹脂を含む組成物の幅方向に与える温度差が25℃以内であり、
前記成形工程により得られる前記炭素繊維シート前駆体の幅方向の厚みの差異が20μm以内である
炭素繊維シート前駆体を、400~2700℃の熱処理炉内を連続的に搬送させて熱処理し、巻き取って得られる多孔質炭素電極基材の製造方法において、
前記巻き出しの後から巻き取りの前までの前記シート前駆体のパスラインに設けられた走行板により、走行する前記シート前駆体を高さ方向に屈曲させ、かつ、
前記パスラインを挟みその両横に設けられた一対のガイド部材により、走行する前記シート前駆体の蛇行を抑制し、
前記走行板及びガイド部材の設置位置の雰囲気温度が、400℃以下であって、
前記パスラインを走行する前記炭素繊維シート前駆体の巻出張力を1~25N/mとする、多孔質炭素電極基材の連続製造方法。 - 前記走行板を挟みその両横に前記一対のガイド部材が配置されている、請求項1に記載の多孔質炭素電極基材の連続製造方法。
- 前記走行板と前記一対のガイド部材とが一体化されてガイド構造体を形成する、請求項1または2に記載の多孔質炭素電極基材の連続製造方法。
- 前記パスライン内に2箇所以上の前記ガイド構造体が設けられた、請求項3に記載の多孔質炭素電極基材の連続製造方法。
- 前記走行板及びガイド部材において、前記炭素繊維シート前駆体とガイド部材が線接触する、請求項1~4のいずれかに記載の多孔質炭素電極基材の連続製造方法。
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