まず、本発明の主な作用について説明する。
ここで、一実施の形態である露光装置は、筐体と、筐体に収容され、その内部に配置したウェハに露光処理を施すチャンバーと、筐体に収容され、筐体に供給されるドライエアのパーティクルを除去する第1のフィルター部(一次フィルター部)と、筐体に収容され、気体の排出部がチャンバーの内部に繋がるチャンバー供給配管と、チャンバー供給配管の経路上に設けられ、チャンバーへ供給されるドライエア及びドライエアの少なくとも一部を加湿した気体のパーティクルを除去する第2のフィルター部(二次フィルター部)を有することによって、ミニマルファブ生産システム用の露光装置として利用可能となる。即ち、筐体に収容したチャンバーに清浄度の高い気体を供給して、チャンバー内でウェハに露光処理を施すことができる。
なお、ここでいうドライエアとは、乾燥処理により水分が除去された気体であり、圧力が変動しても水が生じない気体を意味するものである。また、ドライエアとしては、例えば、露光装置が置かれた製造環境の気体を乾燥したもの、又は高純度の窒素ガス等を用いることができる。
また、筐体に収容され、第1のフィルター部を通過して、かつ、第1の配管を流れないドライエアのうち、少なくともその一部をチャンバー供給配管に供給する加湿用配管(第3の配管)と、筐体に収容され、加湿用配管の経路上に設けられ、加湿用配管に供給されたドライエアの少なくとも一部を超純水に供給してバブルを発生させて、ドライエアの少なくとも一部を加湿する加湿部(タンク及びバブリング部)によって、第1のフィルター部で清浄度が高められたドライエアの湿度を高めることができる。また、ドライエアで超純水をバブリングするだけでドライエアを加湿できるため、簡易、かつ、小型な装置構成で加湿装置を構築して、筐体内に収容可能となる。さらに、超純水を用いることで、気体へのパーティクルの混入や微生物汚染の発生を抑止可能となる。
なお、ここでいう超純水とは、例えば、比抵抗18MΩ・cm以上、TOC10μg/L未満、微粒子1個/L以下、生菌数1個/mL以下の水を指すものである。
また、筐体に収容され、第1のフィルター部を通過したドライエアをチャンバー供給配管に供給する第1の配管と、筐体に収容され、第1のフィルター部を通過して、かつ、第1の配管を流れないドライエアのうち、少なくともその一部をチャンバー供給配管に供給する加湿用配管と、筐体に収容され、加湿用配管の経路上に設けられ、加湿用配管に供給されたドライエアの少なくとも一部を超純水に供給してバブルを発生させて、ドライエアの少なくとも一部を加湿する加湿部と、チャンバー供給配管の経路上に設けられ、第1の配管からチャンバーへ供給されるドライエア及び加湿用配管からチャンバーへ供給される加湿した気体のパーティクルを除去する第2のフィルター部によって、第1のフィルター部で清浄度が高められたドライエアと加湿した気体とを混合して、湿度を高めた気体について、その清浄度を高めることができる。
また、加湿用配管の気体の流入部に設けられ、チャンバー内の湿度に応じてON/OFFを切り替えて、ドライエアの加湿部への供給を制御する電磁弁(第2の電磁弁)を有する場合には、チャンバー内の湿度に基づき、第1のフィルター部で清浄度を高めたドライエアを供給する経路を変更することができる。
また、加湿用配管の気体の流入部に設けられ、チャンバー内の湿度に応じてON/OFFを切り替えて、ドライエアの加湿部への供給を制御する電磁弁と、第1のフィルター部を通過したドライエアをチャンバー供給配管に供給する第1の配管と、第1の配管の経路上に設けられ、気体の流量を調整する第1の流量調整部と、第1のフィルター部を通過して、かつ、第1の配管を流れないドライエアのうち、少なくともその一部をチャンバー供給配管に供給する加湿用配管とを有する場合には、電磁弁を介して、第1の配管と加湿用配管の2つの経路に、第1のフィルター部を通過したドライエアを供給可能となる。即ち、第1の流量調整部で第1の配管を流れる気体の流量を調整することで、電磁弁やその下流の加湿用配管にドライエアを流すことが可能となる。この結果、チャンバー供給配管でドライエアと加湿した気体を混合して、同配管からチャンバー側へと供給される気体の湿度を高めることができる。さらに、第1の流量調整部で、第1の配管を流れる気体の流量を調整することで、加湿用配管を流れる気体の流量も調整できる。即ち、チャンバー内に供給する気体における湿度の調整の精度が良くなり、この結果、チャンバー内の湿度調整の精度を向上させることができる。
また、筐体に収容され、電磁弁がOFFの際に、第1のフィルター部を通過して、かつ、第1の配管を流れないドライエアのうち、少なくともその一部をチャンバー供給配管に供給する第2の配管を有する場合には、チャンバー内の湿度に応じて電磁弁をOFFにした際に、第1の配管と第2の配管の2つの経路に、第1のフィルター部を通過したドライエアを供給可能となる。
また、筐体に収容され、電磁弁がOFFの際に、第1のフィルター部を通過して、かつ、第1の配管を流れないドライエアのうち、少なくともその一部をチャンバー供給配管に供給する第2の配管と、第2の配管の経路上に設けられ、気体の流量を調整する第2の流量調整部とを有する場合には、電磁弁をONにして、第1の配管と加湿用配管を経由してチャンバーに供給される気体の総量と、電磁弁をOFFにして、第1の配管と第2の配管を経由してチャンバーに供給される気体の総量とを近付けることができる。即ち、第2の流量調整部で、第2の配管を流れる気体の流量を調整することで、第2の配管に流れる気体の流量を、加湿用配管に流れる気体の流量に近付くように調整可能となる。この結果、電磁弁をONにした際と、電磁弁をOFFにした際のチャンバーに供給される気体の量を近付けて、チャンバー内の清浄度を保つために必要な気体の量を、必要最低限の量に抑えることができる。
また、チャンバー内の温度を測定する第1の温度測定手段と、超純水の温度を測定する第2の温度測定手段と、を有し、電磁弁が、第1の温度測定手段と第2の温度測定手段の測定結果に基づき、制御可能に構成された場合には、電磁弁を制御するパラメータとして温度の情報が利用でき、温度の情報を含めて、湿度の測定値の情報及び湿度の変動予測の情報を補正可能となる。この結果、チャンバー内の湿度に合わせた電磁弁の制御を、より高精度に行うことができる。
また、一実施の形態である湿度制御方法は、加湿工程で、筐体に収容され、ウェハに処理を施すチャンバー内の湿度に応じて、第1の除去工程でパーティクルを除去したドライエアで超純水をバブリングして、ドライエアを加湿することによって、第1の除去工程で清浄度が高められたドライエアの湿度を高めることができる。また、超純水を用いることで、気体へのパーティクルの混入や微生物汚染の発生を抑止可能となる。
以下、発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」と称する)を図面に基づいて詳細に説明する。
なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一又は関連する符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
また、複数の類似の部材(部位)が存在する場合には、総称の符号に記号を追加し個別又は特定の部位を示す場合がある。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一又は同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
また、断面図及び平面図において、各部位の大きさは実デバイスと対応するものではなく、図面を分かりやすくするため、特定の部位を相対的に大きく図示する場合がある。また、断面図と平面図が対応する場合においても、図面を分かりやすくするため、特定の部位を相対的に大きく図示する場合がある。
半導体デバイスなどの製造システムとして、製造工程を複数の可搬性であって外形が統一された単位処理装置で構成し、それら単位処理装置をフローショップ方法又はジョブショップ方式等に再配置することを容易にすることで、少量生産で、かつ、多品種生産に適切に対応することができるようにするミニマルファブ生産システムが提案されている。
単位処理装置では、ハーフインチサイズ(正確には直径12.5mm)のウェハに1個のデバイスを作製することを基本としている。
現状の半導体製造システムは、ウェハの大口径化(12インチ以上)に伴い、装置自体が大型化・高コスト化し、最新の半導体工場(メガファブ生産システム)を立ち上げるには3千億円~5千億円もの巨額の投資資金が必要であるとされている。
また、大口径のウェハを用いるシステムは大量生産には効率的であるが、その装置を多品種少量生産に向けて稼働すると、稼働率等の課題から、ユーザが必要とする個数の1個あたりの製造コストが非常に高くなってしまう。
これに対し、ミニマルファブ生産システムでは、ハーフインチ程度の極めて小径のウェハが処理対象であり、現状の半導体製造システムに比べ1/1000程度の極めて小さな設備投資額で済むと期待されている。
また、ミニマルファブ生産システムでは、運転コストが低いなどのため多品種少量生産に適した生産システムとなることが期待されている。
このミニマルファブ生産システムでは、外形形状が統一された単位処理装置が用いられる。
この単位処理装置は、半導体製造装置の処理工程における個々の処理(単一処理)の一つを担うものであり、例えばウェハ洗浄装置であり、レジスト塗布装置であり、ウェハ露光装置であり、現像装置であり、またイオン注入装置であったりする。
そして、これらの単位処理装置が、半導体製造のレシピ順(処理フロー順)に並べられる。ワークであるウェハは、並べられたそれらの単位処理装置間を順に搬送され、各単位処理装置において該当する処理が順に施されるのである。
本実施の形態では、ミニマルファブ生産システムに使用される単位処理装置である露光装置を例示するが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えばレジスト塗布装置等にも適用することができる。
(実施の形態)
≪露光装置の全体構成≫
本実施の形態による露光装置の構成について図1を用いて説明する。
図1に示すように、本実施の形態による露光装置の一例である露光装置Aは、筐体1と、一次フィルター部2と、加湿調整部3と、二次フィルター部4と、チャンバー5とを備えている。
また、一次フィルター部2と、加湿調整部3と、二次フィルター部4と、チャンバー5は、筐体1に収容されている。一次フィルター部2及び二次フィルター部4は、チャンバー5に供給される気体の清浄度を高める部材である。
また、加湿調整部3は、チャンバー5内の湿度に応じて、チャンバー5に供給する気体の湿度を調整する部分である。また、チャンバー5は、その内部で半導体製造用のウェハに露光処理を施す処理部である。
また、露光装置Aは、露光装置Aが配置された工場環境下の空気に乾燥処理を施したドライエアを、筐体1の内部に供給するドライエア供給部6を有している。
また、露光装置Aは、ドライエア供給配管7と、レギュレータ8と、圧力計9を有している。ドライエア供給配管7はドライエアが流れる経路となる配管であり、気体の供給部がドライエア供給部6に接続され、気体の排出部が加湿調整部3に接続されている。
また、レギュレータ8は、筐体1に供給されたドライエアの圧力を、露光装置Aで利用する一定の圧力に調整するための制御部材である。また、圧力計9は、レギュレータ8で制御したドライエアの圧力を計測する部材である。
また、露光装置Aでは、ドライエア供給配管7の経路上で、一次フィルター部2の下流に、第1の電磁弁10が設けられている。第1の電磁弁10は、露光装置Aの電源と連動しており、露光装置Aの電源のON/OFFに合わせて、ドライエア供給配管7の開閉を行う弁部材である。
また、露光装置Aは、ドライエア供給配管7の経路上で、第1の電磁弁10の下流に、スピードコントローラ11が設けられている。スピードコントローラ11は、チャンバー供給配管12からチャンバー5の内部に供給される気体の総量を調整するための制御部材である。なお、ここでいうチャンバー供給配管12が本願請求項におけるチャンバー供給配管に該当する。
ここで、必ずしも、筐体1の内部に供給されるドライエアとして、工場環境下の空気に乾燥処理を施したものが採用される必要はなく、水分が除去された気体であれば充分である。例えば、半導体製造に利用される高純度(例えば、純度が99.99%~99.9999%)の窒素をドライエアとして利用することができる。但し、製造コストの観点から、筐体1の内部に供給されるドライエアとして、工場環境下の空気に乾燥処理を施したものが採用されることが好ましい。
なお、筐体1の内部に供給されるドライエアとして、高純度の窒素が採用された場合には、供給される気体における溶存酸素が少なくなり、後述する加湿調整部3の超純水33aを入れたタンク33中での細菌等の微生物の増殖を抑止可能となる。さらに、チャンバー5内に高純度の窒素が供給されることで、ウェハにおけるレジストの酸化が抑制される等、リソグラフィプロセス上、好ましい効果を得ることができる。
≪一次フィルター部≫
一次フィルター部2は、筐体1の外部から供給されたドライエアに含まれるパーティクルやオイルミストを除去する部材である。また、一次フィルター部2は、フィルター20と、圧力スイッチ21と、ミストセパレータ22を有している。なお、ここでいうフィルター20及びミストセパレータ22が、本願請求項における第1のフィルター部に該当する。
また、フィルター20は、筐体1の内部に供給されたドライエアに含まれるパーティクルを除去する部材であり、粒子径5μm以上のパーティクルを捕集可能に構成されている。
また、圧力スイッチ21は、露光装置Aに供給されるドライエアの圧力が、露光装置Aの動作に必要な条件を満たさない場合に、露光装置Aの動作を非常停止させるためのインターロックスイッチである。例えば、露光装置Aに供給されるドライエアの圧力が設定値未満となった際に、露光装置Aの動作を非常停止させる。
また、ミストセパレータ22は、フィルター20を通過したドライエアに含まれるパーティクルとオイルミストを除去する部材である。ミストセパレータ22は、粒子径0.3μm以上のパーティクルを捕集可能に構成されている。
ここで、必ずしも、フィルター20が、粒子径5μm以上のパーティクルを捕集可能に構成される必要はなく、捕集可能な粒子の粒子径は適宜変更することができる。但し、後述する二次フィルター部4におけるフィルター40を使用できる期間を長くできる点から、フィルター20で捕集可能な粒子の粒子径は、フィルター40で捕集可能な粒子の粒子径に近く、かつ、フィルター40で捕集可能な粒子の粒子径よりも大きな値に設定されることが好ましい。また、フィルター20と、ミストセパレータ22及びフィルター40との組み合わせで、チャンバー5に供給される気体の清浄度を充分に高めることが可能となる点から、フィルター20は、粒子径1μm以上、かつ、10μm以下の範囲のパーティクルを捕集可能に構成されることが好ましい。
また、必ずしも、ミストセパレータ22が、粒子径0.3μm以上のパーティクルを捕集可能に構成される必要はなく、捕集可能な粒子の粒子径は適宜変更することができる。但し、後述する二次フィルター部4におけるフィルター40を使用できる期間を長くできる点から、ミストセパレータ22で捕集可能な粒子の粒子径は、フィルター20で捕集可能な粒子の粒子径よりも小さく、かつ、フィルター40で捕集可能な粒子の粒子径よりも大きく設定されることが好ましい。また、フィルター20と、ミストセパレータ22及びフィルター40との組み合わせで、チャンバー5に供給される気体の清浄度を充分に高めることが可能となる点から、ミストセパレータ22は、粒子径0.1μm以上、かつ、1μm以下の範囲のパーティクルを捕集可能に構成されることが好ましい。
≪加湿調整部≫
本実施の形態による露光装置の加湿調整部3について図1を用いて説明する。
図1に示すように、加湿調整部3は、第1の配管30と、第2の配管31と、第3の配管32と、タンク33と、バブリング部34と、第2の電磁弁35を有している。
なお、ここでいう第1の配管30が本願請求項における第1の配管に該当する。また、ここでいう第2の配管31が本願請求項における第2の配管に該当する。また、ここでいう第3の配管32が本願請求項における加湿用配管に該当する。また、ここでいう、タンク33と、バブリング部34とが本願請求項における加湿部に該当する。さらに、ここでいう第2の電磁弁35が本願請求項における電磁弁に該当する。
また、第1の配管30は、一次フィルター部2を通過したドライエアの一部が流れる経路である。第1の配管30は、気体の供給部がドライエア供給配管7に接続され、気体の排出部がチャンバー供給配管12に接続されている。また、第1の配管30における気体の供給部は、第2の電磁弁35よりも上流側に接続されている。
また、第1の配管30の経路上には、スピードコントローラ36が設けられている。このスピードコントローラ36は、第1の配管30を流れるドライエアの流量を調整するための制御部材である。なお、ここでいうスピードコントローラ36が本願請求項における第1の流量調整部に該当する。
また、第2の配管31は、第2の電磁弁35がOFFとなった際に、一次フィルター部2を通過したドライエアのうち、第1の配管30側に流れなかったドライエアが流れる経路である。第2の配管31は、気体の供給部が第2の電磁弁35に接続され、気体の排出部がチャンバー供給配管12に接続されている。
即ち、第2の電磁弁35がOFFの際には、第1の配管30と第2の配管31が、ドライエアをチャンバー供給配管12へと供給する経路となる。
また、第2の配管31の経路上には、スピードコントローラ37が設けられている。このスピードコントローラ37は、第2の配管31を流れるドライエアの流量を調整するための制御部材である。なお、ここでいうスピードコントローラ37が本願請求項における第2の流量調整部に該当する。
また、第2の電磁弁35は、チャンバー5内の湿度に応じて、ONとOFFが制御された弁部材である。即ち、第2の電磁弁35に供給されるドライエアの供給経路を、第2の配管31と、第3の配管32との間で切り替える制御部材である。
また、第3の配管32は、第2の電磁弁35がONとなった際に、一次フィルター部2を通過したドライエアのうち、第1の配管30側に流れなかったドライエアが流れる経路である。
即ち、第2の電磁弁35がONの際には、第1の配管30がドライエアをチャンバー供給配管12へと供給し、第3の配管32がドライエアを超純水33aで加湿した気体をチャンバー供給配管12へと供給する経路となる。
また、第3の配管32は、タンク供給管32aと、タンク排出管32bで構成されている。タンク供給管32aは、第2の電磁弁35を通過したドライエアをタンク33の中に供給する経路である。タンク供給管32aにおける気体の排出部、即ち、タンク33側の端部には、バブリング部34が設けられている。タンク33は、超純水33aを入れる容器である。
また、タンク33は底面の直径をA、高さをBとした場合に、B≧2×Aの関係にある大きさの円筒形に形成されている。即ち、タンク33は、鉛直方向に縦長の形状を有している。また、図示しないが、タンク33は、その内部の超純水33aの減少に応じて、別途のタンクから超純水33aが供給可能に構成されている。
また、バブリング部34は、タンク33に入れられた超純水33aを供給されるドライエアでバブリングする装置である。
バブリング部34は、多孔質のフィルターを有し、供給されるドライエアで超純水33aをエアレーションして、小径のバブル(例えば、気泡径が100μm以上、かつ、数mm以下程度)を発生させ、供給されるドライエアを超純水33aで加湿する装置である。
また、タンク排出管32bは、タンク33の中の気体をチャンバー供給配管12へ供給する経路である。即ち、タンク排出管32bは、ドライエアを超純水33aで加湿した気体が通る経路となる。
ここで、必ずしも、第2の配管31の経路上に、スピードコントローラ37が設けられる必要はない。但し、第2の電磁弁35をOFFにした際に第2の配管31を流れるドライエアの流量を、第2の電磁弁35をONにした際に第3の配管32を流れるドライエアの流量に合わせることができる。この結果、第1の配管30及び第2の配管31からチャンバー供給配管12に供給される気体の量と、第1の配管30及び第3の配管32からチャンバー供給配管12に供給される気体の量とを揃えることができ、チャンバー5の内部に供給する清浄度を高めた気体の量を、第2の電磁弁35のON/OFFのそれぞれで、一定の量にすることができる。つまり、チャンバー5に供給する気体の量を必要最低限の量に抑えることが可能となる。従って、第2の配管31の経路上に、スピードコントローラ37が設けられることが好ましい。
また、必ずしも、タンク33の形状や大きさは限定されるものではなく、タンク33に供給されるドライエアで超純水33aをバブリングできる構成となっていれば充分である。但し、タンク33を鉛直方向に縦長の形状とすることで、タンク33の底面近くにバブリング部34を配置して、タンク33内の超純水33aの液面までの距離を長くすることができる。これにより、バブリング部34から発生したバブルが液面に向かって超純水33a中を移動する距離が長くなり、気体(バブル)中に取り込まれる水分の量を増やしやすくなる。即ち、ドライエアを加湿する効率を向上させることができる。従って、タンク33は、鉛直方向に縦長の形状とすることが好ましく、例えば、底面の直径をA、高さをBとした場合に、B≧2×Aの関係にある大きさとすることが好ましい。
また、必ずしも、バブリング部34は、多孔質のフィルターを有する必要はなく、バブリング部34が生じるバブルの気泡径が100μm以上、かつ、数mm以下程度に限定されるものではない。即ち、供給されるドライエアで超純水33aをバブリングできる構成となっていれば充分である。但し、バブリング部34で発生させたバブルの表面積が大きくなり、気体(バブル)中に取り込まれる水分の量を増やしやすくなり、ドライエアを加湿する効率を向上させることができる。また、バブルの気泡径が100μm以上、かつ、数mm以下程度の小さなサイズとなると、バブルの発生に伴う振動が減り、この振動に起因するステージ50の駆動制御への悪影響を抑制することができる。従って、バブリング部34は、多孔質のフィルターを有することが好ましく、例えば、バブリング部34が生じるバブルの気泡径が100μm以上、かつ、数mm以下程度になることが好ましい。
さらに、ドライエアを加湿する効率を高める観点から、タンク33を鉛直方向に縦長の形状とする点、及び、バブリング部34が多孔質のフィルターを有する点の両方が採用される必要はない。例えば、いずれか一方の構成を採用してもよい、但し、ドライエアを加湿する効率をより一層向上させる為には、タンク33を鉛直方向に縦長の形状とする点、及び、バブリング部34が多孔質のフィルターを有する点の両方が採用されることが好ましい。
≪二次フィルター部≫
二次フィルター部4は、第1の配管30、又は第2の配管31を経由して、チャンバー供給配管12に供給されるドライエアに含まれるパーティクルを除去する部材である。また、二次フィルター部4は、第3の配管32を経由して、チャンバー供給配管12に供給される加湿された気体に含まれるパーティクルを除去する部材でもある。
二次フィルター部4は、チャンバー供給配管12上に設けられ、フィルター40で構成される。なお、ここでいうフィルター40が、本願請求項における第2のフィルター部に該当する。
また、フィルター40は、粒子径0.01μm以上のパーティクルを捕集可能に構成されている。
ここで、二次フィルター部4は、必ずしも、フィルター40のみで構成される必要はない。例えば、気体に含まれるパーティクルを除去するフィルターを2つ以上設ける構成も採用可能である。また、フィルターを2つ以上設ける構成とした場合、上流側のフィルターで捕集可能な粒子の粒子径が、下流側のフィルターで捕集可能な粒子の粒子径よりも大きく設定されることが好ましい。
また、フィルター40が、粒子径0.01μm以上のパーティクルを捕集可能に構成されているが、捕集可能な粒子径のサイズはこれに限定されるものではない。但し、チャンバー5に供給する気体の清浄度を担保する点から、フィルター40は、粒子径0.003μm以上、かつ、0.1μm以下の範囲のパーティクルを捕集可能に構成されることが好ましい。
≪チャンバー≫
本実施の形態による露光装置Aのチャンバー5について図1を用いて説明する。
図1に示すように、チャンバー5は、ステージ50と、露光光学系51とを有している。
チャンバー5は、露光光学系51とステージ50を内部に配置する箱型の部材である。また、チャンバー5にはチャンバー供給配管12の気体の排出部が接続され、チャンバー供給配管12から清浄度の高い気体を供給可能に構成されている。
また、ステージ50は、ミニマルファブ生産システム用の密閉容器(図示省略)に入れられて露光装置Aに搬送され、露光装置Aの中で密閉容器から取り出されたウェハ13を載置する台である。
また、露光光学系51は、チャンバー5内のステージ50に載置されたウェハ13に露光処理を施す装置である。なお、図1では、チャンバー5内に入りこんだ露光光学系51の一部を図示して、チャンバー5の外部に設けられた部分の記載を省略している。
また、チャンバー5の内部には、湿度センサ38が設けられている。湿度センサ38は、チャンバー5内の空間の湿度を測定する部材であり、その測定結果の情報はコントローラ39に送信され、コントローラ39を介して、第2の電磁弁35のON/OFFが制御可能に構成されている。
ここで、本実施の形態では、ハーフインチサイズのウェハに対して露光パターンを投影し、ミニマルファブ生産システムに用いられる露光装置Aを対象としているが、本発明の装置構成は、露光装置Aとそのチャンバー5のみに採用されるものではない。本発明の装置構成は、ミニマルファブ生産システムに用いられる半導体製造装置のうち、清浄度が高く、湿度の調整を要する気体が供給される装置に利用可能である。例えば、ハーフインチサイズのウェハにレジストを塗布するレジスト塗布装置等である。
このレジスト塗布装置でも、チャンバー内でウェハにレジストの塗布を行うが、このチャンバーに気体を供給する構造に、一次フィルター部2、加湿調整部3、二次フィルター部4を設け、清浄度が高く、加湿した気体を供給して、チャンバー内の湿度を調整することが可能である。
≪湿度の制御構成≫
本実施の形態による露光装置Aにおけるチャンバー5内の湿度の制御構成について図1を用いて説明する。
ここで、前提として、チャンバー5内の湿度パラメータに対して、第2の電磁弁35における下限側の制御値(以下、H1値と称する)と、第2の電磁弁35における上限側の制御値(以下、H2値と称する)を設定しておく。なお、H1値及びH2値は、チャンバー5内の湿度制御に求める精度に応じて、適宜設定することができる。
まず、第2の電磁弁35の上限側の制御値である「H2値」とは、チャンバー5内の湿度(以下、Hc値と称する)が、このH2値を超えた際に、第2の電磁弁35をONからOFFに切り替える基準値である。
即ち、チャンバー5内の湿度(Hc値)が上昇して、H2値を超えた際に、第2の電磁弁35がONからOFFに切り替えられ、ドライエアは、第1の配管30及び第2の配管31の方に供給される。
また、第2の電磁弁35の下限側の制御値である「H1値」とは、チャンバー5内の湿度(Hc値)が、このH1値を下回った際に、第2の電磁弁35をOFFからONに切り替える基準値である。
また、第2の電磁弁35の下限側の制御値である「H1値」とは、ヒステリシスを考慮して、前述したH2値から設定したヒステリシス分の値を引いた湿度の値である。
なお、ヒステリシス分の値は、第2の電磁弁35における弁の耐久性等に起因するONとOFFの切り替えの頻度や、チャンバー5内の湿度制御において必要となる精度によって、適宜設定可能である。
即ち、チャンバー5内の湿度(Hc値)が下がって、H1値を下回った際に、第2の電磁弁35がOFFからONに切り替えられ、ドライエアは、第1の配管30及び第3の配管32の方に供給される。
また、チャンバー5内の湿度(Hc値)が、H1値以上で、かつ、H2値以下である際には、第2の電磁弁35におけるONとOFFの切り替えはなされず、ON又はOFFの状態が維持される。
ここで、必ずしも、H1値が、H2値から設定したヒステリシス分の値を引いた湿度の値として決定される必要はない。例えば、第2の電磁弁35の下限側の制御値としてH1値を設定して、このH1値から設定したヒステリシス分の値を足した湿度の値をH2値として採用してもよい。
また、第2の電磁弁35をONにした際は、スピードコントローラ36の調整により、チャンバー5内の湿度が調整可能である。
即ち、第1の配管30から供給されるドライエアと、第3の配管32から供給される超純水で加湿した気体を混合して、チャンバー5内に加湿した気体を供給する際には、スピードコントローラ36の調整に伴い、第3の配管32を流れる気体の流量を変化させる。
これにより、チャンバー供給配管12を流れる気体の湿度が変わる。この際、チャンバー5内の目標湿度+αの湿度に調整する必要があるが、αを出来るだけ小さくすることで、H1値とH2値との差を小さくすることができ、チャンバー5内の湿度設定の精度を向上させことが可能となる。
また、露光装置Aでは、チャンバー5内の湿度と、第2の電磁弁35におけるH1値とH2値との関係で、第2の電磁弁35のONとOFFを制御して、チャンバー5内の湿度を制御できる。
例えば、単純な制御であれば、チャンバー5内の湿度が、H1値を下回った際に、第2の電磁弁35をONにして加湿した気体を供給し、チャンバー5内の湿度が、H2値を超えた際に、第2の電磁弁35をOFFにしてドライエアのみを供給することができる。第2の電磁弁35のONとOFFに伴い、加湿した気体の供給と、ドライエアのみの供給を切り替えて、チャンバー5内の湿度を調整することができる。
また、例えば、チャンバー5内の目標湿度と、湿度センサ38で測定したチャンバー5内における湿度の測定値との差分に基づき、第2の電磁弁35のONとOFFをPID制御(Proportional-Integral-Differential Controller)する構成も考えられる。PID制御により、精度高く、第2の電磁弁35のONとOFFの制御を行うことができる。
さらに、第2の電磁弁35の代わりに、マスフローコントローラを用いて、気体の流量制御を行うことも可能である。
マスフローコントローラを利用すれば、前述した第2の配管31と第2の電磁弁35を設けることなく、気体の加湿用となる第3の配管32を流れる気体の流量を直接、制御して、第1の配管30と第3の配管32に流れる気体の流量比を調整可能となる。即ち、マスフローコントローラの調整のみで、連続的に湿度を制御することができる。
また、前述したPID制御やマスフローコントローラを用いた制御では、チャンバー5内の湿度の情報に加えて、タンク33内の超純水33aの水温や、チャンバー5内の温度の情報を制御用のパラメータに利用可能である。これにより、より精度高く、気体の流量の制御を行うことができる。なお、ここでいうチャンバー5内の温度を測定する手段が本願請求項における第1の温度測定手段に該当する。また、ここでいう超純水33aの水温を測定する手段が本願請求項における第2の温度測定手段に該当する。
但し、マスフローコントローラを用いる場合、湿度の制御精度は高くなるものの、電磁弁と比較してコントローラの設置スペースが大きい。Rehydrationを促進するためにチャンバー内の湿度を一定範囲に保つという目的を鑑みると、本発明はマスフローコントローラを使用せずに制御系を構成でき、省スペースの面で特に有利である。
但し、マスフローコントローラを用いる場合、湿度の制御精度は高くなるが、マスフローコントローラの設置スペースは第2の電磁弁35の設置スペースよりも大きくなる。Rehydration(再水和)を促進するためにチャンバー5内の湿度を一定範囲に保つという目的に鑑みると、省スペースの湿度制御系を実現できる第2の電磁弁35を用いる構成が、マスフローコントローラを用いる構成よりも有利である。
≪露光装置における湿度制御方法≫
本実施の形態の露光装置における湿度制御方法について、図1~図8を用いて説明する。
まず、図1に示すように、露光装置Aの電源が入っていない状態では、第1の電磁弁10が、露光装置Aの電源に連動してOFFとなっており、ドライエア供給配管7が閉じた状態となる。そのため、第1の電磁弁10より下流に気体が流れず、チャンバー5内への気体の供給も停止される。
なお、図2、図4、図6及び図8では、縦軸にチャンバー5内の湿度(%)、横軸に時間(t)をとったグラフに対して符号Hを付している。また、図2、図4、図6及び図8では、第2の電磁弁35のONとOFFの状態を示すグラフに対して符号Sを付している。また、図2、図4、図6及び図8のグラフでは、実際に生じている変化を実線で示し、想定される変化を二点鎖線で示している。
図2に示すように、露光装置Aの電源が入っていない状態で、第1の電磁弁10がOFFとなった状態では、チャンバー5内の湿度に変化が見られない。なお、図1及び図2に示す状態では、チャンバー5内の湿度(Hc値)が、第2の電磁弁35の上限側の制御値(H2値)を超えている前提とする。
続いて、図1に示す状態から露光装置Aに電源を入れる。湿度センサ38でチャンバー5内の湿度(Hc値)を測定すると、H2値を超えた値が測定される。図3に示すように、この測定値の結果に基づきコントローラ39は第2の電磁弁35をOFFのままに維持するように制御する。
図3に示すように、ドライエア供給部6から供給されたドライエアは、フィルター20及びミストセパレータ22を通過して、粗いパーティクルとオイルミストが除去されて、ドライエア供給配管7を流れていく。
そして、ドライエアの一部が、第2の電磁弁35の上流から第1の配管30に流れていく。また、第2の電磁弁35はOFFに維持されており、第2の電磁弁35を通過したドライエアが第2の配管31に流れていく。
ここで、第1の配管30を流れるドライエアの流量はV1となり、第2の配管31を流れるドライエアの流量はV2となる。また、第1の配管30及び第2の配管31のそれぞれから供給されるドライエアは、チャンバー供給配管12で混合され、その流量はVAとなる。
この流量VAは、前述したスピードコントローラ36及びスピードコントローラ37での気体の調整の状態を反映した上で、ドライエア供給配管7の経路上に設けられたスピードコントローラ11で調整される。即ち、スピードコントローラ11の調整により、チャンバー5に供給する気体の総量が調整される。
また、第2の配管31に設けられたスピードコントローラ37により、第2の配管31を流れるドライエアの流量がV2に設定される。この流量V2は、後述する第3の配管32を流れる加湿した気体の流量V3に近付くように調整される。
これにより、第2の電磁弁35のONとOFFを切り替えた際の、チャンバー供給配管12を流れる気体の流量を一定の量に近付けて、チャンバー5に気体を供給することができる。
また、チャンバー供給配管12に供給されたドライエアは、フィルター40を通過して、細かいパーティクルが除去されて、チャンバー5の内部に流れていく。また、チャンバー供給配管12からチャンバー5の内部に、清浄度が高められたドライエアが供給され、チャンバー5の内部空間のパージエアとして利用される。
チャンバー5に供給される清浄度が高められたドライエアには、第3の配管32を通過して加湿した気体が含まれないため、乾燥した気体がチャンバー5に供給される。この結果、図4に示すように、チャンバー5の湿度は、H2値を超えた値から小さくなっていく。
また、チャンバー5の湿度(Hc値)が、第2の電磁弁35の下限側の制御値(H1値)を下回るまでは、第2の電磁弁35はOFFの状態が維持される。
続いて、湿度センサ38で測定するチャンバー5内の湿度(Hc値)が、H1値を下回ると、図5に示すように、この測定値の結果に基づきコントローラ39は第2の電磁弁35をOFFからONに切り替えて、ONの状態を維持する。
図5に示すように、ドライエア供給配管7から供給されるドライエアの一部が、第2の電磁弁35の上流から第1の配管30に流れていく。また、第2の電磁弁35はONに維持されており、第2の電磁弁35を通過したドライエアが第3の配管32におけるタンク供給管32aに流れていく。
タンク供給管32aを流れるドライエアはバブリング部34を介して、タンク33内の超純水33aの中に小さなバブルとなって供給される。バブリング部34から生じるバブルの気泡径は、例えば、100μm以上、かつ、数mm以下程度の大きさである。
この超純水33aに小さなバブルとしてドライエアが供給されることで、タンク33における超純水33aの液面に向けてバブルが移動して、この際に、気体が超純水33aで加湿される。加湿された気体は、タンク33の気相の領域からタンク排出管32bを介して、チャンバー供給管12に供給される。
ここで、第1の配管30を流れるドライエアの流量はV1となり、第3の配管32(タンク排出管32b)を流れるドライエアの流量はV3となる。また、第1の配管30から供給されるドライエアと、第3の配管32から供給される加湿された気体は、チャンバー供給配管12で混合され、その流量はVAとなる。
即ち、チャンバー供給配管12でドライエアと加湿された気体が混ざり、チャンバー5に湿度を高めた気体を供給することができる。
この流量VAは、スピードコントローラ36での気体の調整の状態及びタンク33内の超純水33aの量を反映した上で、ドライエア供給配管7の経路上に設けられたスピードコントローラ11で調整される。
また、第1の配管30に設けられたスピードコントローラ36で、第1の配管30を流れるドライエアの流量を調整して、タンク供給管32aの側にドライエアを供給することができる。また、スピードコントローラ36の調整により、タンク排出管32bを流れる気体の流量をV3とすることができる。
この気体の流量V3は、厳密には、タンク33における超純水33aの残量、即ち、超純水33aの液面の高さで変わる水圧に応じて変動する。そのため、例えば、変動する水圧の平均的な値、又は超純水33aの液面の高さが最大となった際の水圧の値に基づき、気体の流量V3を設定する。
なお、前述した第2の配管31を流れるドライエアの流量V2は、流量V3に近付くように調整されている。また、スピードコントローラ36を調整して、タンク供給管32a及びタンク排出管32bを流れる気体の流量を変えることにより、チャンバー供給配管12から供給される気体の湿度を調整することができる。
本発明では第1の配管、第2の配管、第3の配管の3流路の構成となっているが、ここで第2の配管を省略して第1の配管、第3の配管のみを使用する2流路の構成でも湿度のコントロールは可能である。しかしながらこの場合、チャンバー内に流入する気体の流量は、VA=V1+V3、VA=V1とV3分大きく変動する。チャンバー内に流入する気体はチャンバー内のクリーン度を維持するために使われており、パーティクルの排出のため定常的な流れであることが望ましく、流量は一定であることが望ましい。このため、流量を一定に維持しやすい3流路構成が有利である。
また、チャンバー供給配管12に供給された気体は、フィルター40を通過して、細かいパーティクルが除去されて、チャンバー5の内部に流れていく。また、チャンバー供給配管12からチャンバー5の内部に、清浄度と湿度が高められた気体が供給され、チャンバー5の内部空間のパージエアとして利用される。
ところで、本実施の形態では、第1の配管30、第2の配管31及び第3の配管32を用いる3流路の構成となっているが、第2の配管31を用いずに、第1の配管30及び第3の配管32を用いる2流路の構成であってもチャンバー5内の湿度制御は可能である。しかしながら、2流路の構成の場合、チャンバー5内に流入する気体の流量は、VA=V1+V3またはVA=V1となり、ドライエアのみが流入する場合と、ドライエアと加湿された気体が流入する場合とでは、V3分の流量が変動する。チャンバー5内に流入する気体はチャンバー5内の清浄度を維持するためにも使われていることから、パーティクルの排出のためには定常的な流れであることが望ましく、流量は一定であることが望ましい。このため、流量を一定に維持しやすい3流路の構成が2流路の構成よりも有利である。
チャンバー5には、湿度が高められた気体が供給される為、図6に示すように、チャンバー5の湿度(Hc値)は、H1値からH2値に向けて大きくなっていく。
また、チャンバー5の湿度(Hc値)が、第2の電磁弁35の上限側の制御値(H2値)を上回るまでは、第2の電磁弁35はONの状態が維持される。
続いて、湿度センサ38で測定するチャンバー5内の湿度(Hc値)が、再び、H2値を上回ると、図7に示すように、この測定値に基づきコントローラ39は第2の電磁弁35をONからOFFに切り替えて、OFFの状態を維持する。
図7に示すように、ドライエア供給配管7から供給されるドライエアの一部が、第2の電磁弁35の上流から第1の配管30に流れていく。また、第2の電磁弁35は、再び、OFFに維持される為、第2の電磁弁35を通過したドライエアが第2の配管31に流れていく。
また、第1の配管30を流れるドライエアの流量はV1となり、第2の配管31を流れるドライエアの流量はV2となる。また、第1の配管30及び第2の配管31のそれぞれから供給されるドライエアは、チャンバー供給配管12で混合され、その流量はVAとなる。
また、チャンバー供給配管12に供給されたドライエアは、フィルター40を通過して、細かいパーティクルが除去されて、乾燥した気体として、チャンバー5の内部にパージエアとして供給される。
このように、乾燥した気体がチャンバー5に供給されるため、再度、図8に示すように、チャンバー5の湿度(Hc値)は、H2値を超えた値から小さくなっていく。
また、チャンバー5の湿度(Hc値)が、第2の電磁弁35の下限側の制御値(H1値)を下回るまでは、第2の電磁弁35はOFFの状態が維持される。以下、同様に、チャンバー5内の湿度に応じて、第2の電磁弁35のONとOFFの切り替えと、ON又はOFFの状態の維持が制御される。
以上のような流れで、チャンバー5内の湿度の測定値に応じて、コントローラ39で第2の電磁弁35のONとOFFを制御して、チャンバー供給配管12からチャンバー5に供給する気体の湿度を調整することができる。
なお、本実施の形態の露光装置における湿度制御方法では、湿度センサ38の測定値であるHc値が、第2の電磁弁35のH2値を上回った際、又は、H1値を下回った際に、第2の電磁弁35のONとOFFの切り替えを制御する構成となっているが、必ずしも、こうした制御方法が採用される必要はない。例えば、前述したように、目標湿度と、湿度の測定値との差分に基づき、第2の電磁弁35のONとOFFをPID制御して、より高精度な制御を行うことも可能である。
ここで、本実施の形態によれば、露光装置Aの筐体1の中に、超純水33aを入れたタンク33と、バブリング34を設けることで、チャンバー5に供給する気体を加湿することができる。
即ち、清浄度の高い気体を加湿する構造を充分に小型化でき、ミニマルファブ生産システム用の露光装置における筐体内に適用することができる。このことから、次のような利点が生じる。
まず、露光対象となるレジストとして一般的な、ジアゾナフトキノン(DNQ)ノボラック系レジストは、露光によりジアゾナフトキノンがインデンケテンに変化する。このインデンケテンは、水との加水分解反応によりアルカリ現像液に可溶なインデンカルボン酸を生成する。
一方、レジストは塗布後に、高温でベークされるため、レジスト中の水分が減少する。従って、露光前に、レジスト中の水分を補うRehydrationが必要である。一般的なメガファブ生産システムでは、塗布後のウェハがクリーンルーム内の環境に晒される為、大気中に含まれる水分によって自然とRehydrationが行われる。
しかしながら、塗布後直ぐに密閉容器にウェハが収納されるミニマルファブ生産システムでは、露光されるまでにRehydrationが行われにくく、特に厚膜レジストにおいて、Rehydration不足による現像工程での溶解不良が発生しやすい。
ここで、露光装置の周囲の湿潤な空気を取り込むことが出来れば、装置プロセス室内の湿度を高めることができるが、室内の湿潤な空気を取り込むFFU(ファンフィルターユニット)を収めるスペースの確保が、ミニマルファブ生産システム用の露光装置内では困難である。
また、装置外の空気を取り込んで加圧し、小型のフィルターを通して利用することも考えられるが、室内の空気を取り込み加圧するポンプが振動源となる。この振動が、ナノメートルレベルの高精度を要する露光装置において、ステージ制御に大きく影響してしまう。そのため、ポンプを露光装置内に内蔵することが難しい。
しかしながら、本実施の形態によれば、ユーティリティとして供給されるドライエアで超純水をバブリングして加湿し、チャンバーに供給する事で、Rehydrationに必要な湿度を維持することが可能となる。
以上で説明したとおり、本実施の形態に係る露光装置は、ミニマルファブ生産システムに最適化された気体供給装置を組み込んだ露光装置を提供することができる。
また、本実施の形態に係る湿度制御方法は、ミニマルファブ生産システムに最適化された気体供給装置を組み込んだ湿度制御方法を提供することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。