JP7302747B2 - プレス成形品の製造方法及びプレス成形装置 - Google Patents
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Description
鞍型のプレス成形品は、天板部と、天板部の幅方向に凸状稜線部を介して連続する縦壁部と、天板部の長手方向における天板部の端部、凸状稜線部の端部、及び縦壁部の端部に対し凹状稜線部を介して連続する外向きフランジ部と、を備える。
プレス成形の際に、立体形状に合わせた伸び縮みを金属板に与えられない場合、金属板に割れやしわといった成形不良が発生する。すなわち、金属板が立体形状に変形させられる際、金属板の長さが不足して周囲から不足分を補えない部位では、金属板は伸びざるを得ない。そして、金属板が自身の延性を超えて引っ張られると、割れが発生する。一方、立体形状に変形させられる際に金属板の長さが縮まなければならない場合や、周囲から過剰に流入する部位では、しわが発生する傾向にある。
上記のような複雑な形状を有する製品を金属板からプレス成形する場合、例えば、パンチ、ダイ、及びパッドからなる金型を用いた曲げ加工が行われる。このとき、成形途中の線長不足により、長手方向端部に位置するフランジ部に割れが発生し、加工が成形不良となるおそれがある。
ここで、天板部と縦壁部に跨る連続した外向きフランジ部を有するプレス成形品を製造する際に、単純に金属板をプレス成形した場合、次の課題がある。すなわち、外向きフランジ部における、天板面と縦壁面を繋ぐコーナー部(角部)に位置する部分が引張変形を受ける。そして、その部分にひずみが集中し、当該コーナー部で割れが発生するおそれがある。そのため、従来、外向きフランジ部におけるコーナー部、つまり凸状稜線部の長手方向端部に連続する部分のフランジ幅を広げることができなかった。このため、成形可能な幅まで稜線部のフランジ部の幅を切り欠く必要があった(図17の符号1Ec(切欠きを有する位置)を参照)。
(1)金属板を断面コ字形状の形状に成形した後に、外向きフランジ部を曲げ起こす際に、天板部と縦壁部からフランジ部の成形を開始する。これによって、長手方向端部に位置する外向きフランジ部のひずみを、天板部側及び縦壁部側に分散できる。
(2)外向きフランジ部を成形するパンチ形状(下型の形状)を変更することで、外向きフランジ部でのひずみ分布を制御可能である。
課題解決のために、本発明の一態様は、天板部と、上記天板部の幅方向に凸状稜線部を介して連続する縦壁部と、上記天板部の長手方向端部、上記凸状稜線部の長手方向端部、及び上記縦壁部の長手方向端部に凹状稜線部を介して連続する外向きフランジ部と、を備えたプレス成形品を、金属板から製造する際に、上記金属板を、上記外向きフランジ部となる領域を解放した状態で、上記凸状稜線部の位置で曲げて断面L字形状に成形し、その後、上記凹状稜線部の位置で曲げて上記外向きフランジ部を形成する、ことを要旨とする。
例えば、本発明の態様によれば、複雑な金型構造を有することなく、天板部とその天板部の両側に形成された縦壁部と天板部と縦壁部に跨った連続した外向きフランジ部(長手方向端部のフランジ部)とを備えたプレス成形品における、当該外向きフランジ部のひずみを分散できる。この結果、簡易な金型構造で、稜線部のフランジ幅を拡大した形状の鞍型のプレス成形品を成形可能となる。
ここで、図面は模式的なものであり、各部品の厚さと平面寸法との関係、各部品の比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本開示の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本開示の技術的思想は、構成部品の形状、構造等が下記のものに特定するものでない。本開示の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。また、同一の構成については、同一の符号を付する。
後述の各実施形態では、図1に示すような鞍型のプレス成形品1を製造する場合を例に挙げて説明する。
図1に示すプレス成形品1は、天板部1Aと、天板部1Aの幅方向両側にそれぞれ左右の凸状稜線部1Bを介して連続する左右の縦壁部1Cと、外向きフランジ部1Eと、を備える。外向きフランジ部1Eは、天板部1Aの長手方向端部、凸状稜線部1Bの長手方向端部、及び左右の縦壁部1Cの長手方向端部に対し、凹状稜線部1Dを介して連続する。
なお、図1に示すプレス成形品1は、縦壁部1Cの下端部に連続する下側フランジ部1Fを有する。鞍型のプレス成形品は、この下側フランジ部1Fが存在していなくても構わない。
また、図1では、長手方向両端部にそれぞれ外向きフランジ部1Eが形成されている場合が例示されている。鞍型のプレス成形品1は、長手方向の一方の端部にだけ外向きフランジ部1Eを有する構成であっても良い。
本発明に基づく第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
(プレス部品形状の製造方法)
まず、本実施形態のプレス部品形状の製造方法について説明する。
本実施形態のプレス部品形状の製造方法は、第1の工程と第2の工程とを備える。
第1の工程は、金属板(ブランク)を、左右の凸状稜線部1Bの位置で成形して断面コ字形状に成形する工程である。なお、第1の工程において、天板部1Aの幅方向の一方の縦壁部1C側に着目すれば、凸状稜線部1B位置で曲げて断面L字形状に成形する工程と同義である。
また、プレス方法として、本実施形態では単純に上型と下型で挟むフォーム工法を例示している。プレス方法が、パッドを用いたパッドフォームやブランクホルダーを用いたドロー成形であっても良い。
第2の工程は、第1の工程で断面コ字形状とした金属板について、凹状稜線部1Dの位置で曲げて外向きフランジ部1Eを形成する工程である。
第2の工程において、凹状稜線部1Dの位置で曲げて外向きフランジ部1Eを形成する。その際に、外向きフランジ部1Eとなる領域のうち、天板部側構成部1Ea及び縦壁部側構成部1Ebに対し曲げ力の入力を開始した後に、コーナー構成部1Ecに曲げ力を入力する、ように設定することが好ましい。天板部側構成部1Eaは、凹状稜線部1Dを介して天板部1Aの長手方向端部に連続する部分である。縦壁部側構成部1Ebは、凹状稜線部1Dを介して縦壁部1Cの長手方向端部に連続する部分である。コーナー構成部1Ecは、凹状稜線部1Dを介して凸状稜線部1Bの長手方向端部に連続する部分である。
例えば、縦壁部側構成部1Ebについて、コーナー構成部1Ecから離れた下側位置からコーナー構成部1Ecに向けて順番に曲げ力の入力が開始するように設定する。そして、縦壁部側構成部1Ebに曲げ力の入力が開始された後に、天板部側構成部1Eaに対し、曲げ力の入力が開始されるように設定する。
なお、コーナー構成部1Ecの端とは、円弧状のコーナー構成部1Ecと、天板部側構成部1Eaや縦壁部側構成部1Ebとの境界部を指す。
ここで、第1の工程後の断面L字形状の角度と、目的とする鞍型のプレス成形品1での断面L字形状の角度とが異なっていても良い。しかし、両者の角度は等しいことが好ましい。第1の工程後、外向きフランジ部1Eを形成することで、天板部1Aに対する縦壁部1Cのスプリングバックが抑制される。この結果、離型時の形状変化を小さくする方向に抑えることが可能となる。
第1の工程と第2の工程は、別々の金型を用いて実行するようにしても良い。
なお、第2の工程後に、形状寸法の精度を上げるためのリストライク処理の工程を有していてもよい。
ここで、第1の工程の途中から、第2の工程を開始しても良い。
本実施形態における、プレス部品形状の製造方法を実行するための、プレス成形装置の一例を次に説明する。
本実施形態は、プレス成形する金型として、第1の上型及び第1の下型と、第2の上型及び第2の下型とを備える。
本実施形態では、プレス成形装置が、図3に示すように、第1の上型と第2の上型とが、1つの上型10(ダイ)から構成される場合を例示する。また、第1の下型11と第2の下型12とは、天板部1Aの長手方向にオフセットされた状態で配置されている構成とする。この構成によれば、第1の工程のプレス成形と第2の工程のプレス成形とを、1回のプレス加工で実行可能となる。
第1の上型10及び下型11と、第2の上型及び下型12とを独立した金型構成としても良い。第1の上型10及び下型11と、第2の上型及び下型12とを、個々にプレス機に設定してプレス加工を実行する装置構成であっても良い。
第1の上型10及び下型11は、第1の工程を実行するための金型である。
第1の上型10及び下型11は、金属板2における天板部1A及び縦壁部1Cとなる領域を、凸状稜線部1Bとなる位置で成形可能な成形面を有する。第1の上型10及び下型11は、金属板2を断面コ字形状に成形するための金型である。
第1の下型11は、パンチを構成する。第1の下型11は、金型の成形面を表す図3に示すように、成形面の形状が断面コ字形状であって、金属板2のうちの、天板部1Aとなる領域の下面に当接する第1の天板面11A、凸状稜線部1Bとなる領域の下面に当接するパンチ肩部11C、縦壁部1Cを形成する領域の下面(内面)に当接する左右の第1の側面11B、下部フランジ部となる領域の下面に当接する左右の第1のフランジ面11Dを有する。
このとき、本実施形態では、図6に示すように、外向きフランジ部1Eとなる領域には、第1の下型11と第1の上型10の各成形面が当接しない。しかし、外向きフランジ部1Eとなる領域が、天板部1A及び縦壁部1Cと同様に、断面コ字形状となる。
第2の上型及び下型12は、第2の工程を実行するための金型である。
第2の上型及び下型12は、第1の上型及び第1の下型11で成形されて断面コ字形状(断面L字形状)となった金属板2を、凹状稜線部1Dで曲げ成形して、外向きフランジ部1Eを成形するための金型である。
なお、本実施形態では、上述の通り、第1の上型と第2の上型とは、1つの上型10として構成されている。
第2の上型は、図3や図6のように、曲げられた外向きフランジ部1Eの上面側に当接可能な成形面10Eを有する。その成形面10Eは、第1の上型10の長手方向端部からそれぞれ上方に立ち上がった立上り面で構成される。
本実施形態の第2の下型12のうち、外向きフランジ部となる領域に曲げ力を入力して外向きフランジ部を成形する部分の成形面は、天板部1Aの長手方向からみて、図3及び図4に示すように、頂部12Aと、その頂部12Aの左右両側に連続する一対の斜面12Bとを備えている。これによって、当該成形面は、頂部12Aを頂点とした、全体として外向きフランジ部1Eの曲げ方向(プレス方向)に凸の山形形状となっている。
山形形状は、図5に示すように、頂部12Aの幅(図5では円弧状の部分)が、天板部1Aの幅(天板部側構成部1Eaの長さ)よりも小さい。
パンチ角αは、例えば、60度以上180度以下、好ましくは、80度以上140度以下の範囲である。ここで、交差角βは、例えば40度未満である。天板部1Aと縦壁部1Cの成す角度は、内面側の角度である。
なお、縦壁部側構成部1Ebの長さ(高さ)が短い場合には、天板部側構成部1Eaの方が先に成形を開始する場合もある。
コーナー構成部1Ecへの曲げ力の入力開始は、縦壁部側構成部1Ebからの入力開始と天板部側構成部1Eaからの入力開始とが、ずれていても良いし同時であってもよい。両者の入力開始が、同時になるように設定することが好ましい。縦壁部側構成部1Ebと天板部側構成部1Eaに均等にひずみが入力するように設定すると、縦壁部側構成部1Ebからの入力開始と天板部側構成部1Eaからの入力開始が同時になる。
このとき、本実施形態では、第1の上型10及び下型11で金属板2を断面コ字形状(断面L字形状)に拘束した状態を保持したまま、第2の上型及び下型で外向きフランジ部1Eが形成される。
なお、外向きフランジ部1Eの形成開始は、断面コ字形状へのプレス成形の途中から実施しても良い。
本実施形態では、第1の工程として、第1の上型10と下型11で金属板2における天板部1A及び縦壁部1Cとなる領域を挟み込むことで、金属板2を、断面コ字形状(断面L字形状)に成形する。
この成形後の状態では、図6に示すように、第1の上型10及び下型11から外向きフランジ部1Eとなる領域が横方向(図6中、左側方向)に、片持ち梁状に張り出した状態となっている。
この状態では、金属板2は第1の上型10と下型11で挟まれているため、金属板2は、天板部1Aの幅方向にも縦壁部1Cの高さ方向にも材料が動き難い状態となっている。本実施形態では、この状態で第2の工程の処理を実行して、外向きフランジ部1Eを形成する処理を実行する。
この縦壁部側領域1Ebを成形している途中において、図5に示すように、第2の下型12の山形形状の頂部12Aが、天板部側構成部1Eaにおける天板部1A幅方向中央部に連続する部分に当たる。これによって、天板部側構成部1Eaに対し曲げ力の入力が開始される。なお、縦壁部側領域1Eb側よりも先に、天板部側構成部1Ea側に曲げ力の入力が開始されるように構成してもよい。
また、下側からの縦壁部側領域1Ebの成形がコーナー構成部1Ecに近づくと、相対的に剛性があるものを強引に曲げ起こす状態になる。このため、下型12の肩稜線部(山形形状に沿って延在する角部)でしごかれてひずみが入る。
続いて、下型12が上昇し、コーナー構成部1Ecを完全に曲げ起こす直前には、凹状稜線部1D位置の曲げ稜線は直線に近くなる。この結果、コーナー構成部1Ecを曲げ起こしても、コーナー構成部1Ecでの板厚減少率を小さく抑えられる。
本実施形態では、以上のような機序によって、外向きフランジ部1Eが形成される。
以上のように、本実施形態によれば、天板部と縦壁部と該天板部及び縦壁部の長手方向端部に跨がって形成された外向きフランジ部とを有する鞍型のプレス成形品を、より簡易な金型の構成で成形することが可能となる。
次に、本発明に基づく第2の実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、第1の実施形態と同様な構成などについては、同一の符号を付して説明する。
本実施形態のプレス部品形状の製造方法について説明する。
本実施形態のプレス部品形状の製造方法は、プレス成形の処理として、下記に示す第1の成形処理と第2の成形処理とを備える。
本実施形態は、第1の成形処理を行いながら、第2の成形処理も行う点が、第1の実施形態とは異なる。すなわち、同期をとって、第1の成形処理と第2の成形処理とが行われる。ただし、第1の成形処理と第2の成形処理とは、どちらの処理が先に開始されても構わないが、第1の成形処理が先に終了するように構成する。
第1の成形処理は、金属板(ブランク)を、左右の凸状稜線部1Bの位置で成形して断面コ字形状に成形する処理である。なお、第1の成形処理において、天板部1Aの幅方向の一方の縦壁部1C側に着目すれば、凸状稜線部1B位置で曲げて断面L字形状に成形する処理と同義である。また、プレス方法として、本実施形態(後述する製造方法)では、単純に上型と下型で挟むフォーム工法を例示している。パッドを用いたパッドフォームやブランクホルダーを用いたドロー成形であっても良い。
この第1の成形処理は、第1の実施形態における第1の工程に相当する。
第2の成形処理は、第1の成形処理で断面コ字形状に成形する金属板について、凹状稜線部1Dの位置で曲げて外向きフランジ部1Eを形成する処理である。
本実施形態の第2の成形処理は、第1の成形処理と同期をとって実行される。第2の成形処理は、第1の成形処理でプレスしない、つまりフリーとなっている、外向きフランジ部1Eとなる領域を外向きフランジ部1Eに形成する処理を実行する。なお、上述のように、第1の成形処理の開始前に第2の成形処理が開始されてもよいが、第2の成形処理の方が後に終了する。
第2の成形処理は、第1の成形処理を行いつつ実行される点を除き、第1の実施形態における第2の工程と同様である。
例えば、縦壁部側構成部1Ebについて、コーナー構成部1Ecから離れた下側位置からコーナー構成部1Ecに向けて順番に(連続して)曲げ力の入力が開始するように設定する。例えば、縦壁部側構成部1Ebに曲げ力の入力が開始された後に、天板部側構成部1Eaに対し、曲げ力の入力が開始されるように設定する。
ここで、第1の成形処理による成形と共に外向きフランジ部1Eを形成することで、天板部1Aに対する縦壁部1Cのスプリングバックを抑制されて、離型時の形状変化を小さく抑えることが可能となる。
第1の成形処理と第2の成形処理は、別々の金型を用いて実行するようにしても良い。
また、第2の成形処理後に、形状寸法の精度を上げるためのリストライク処理の工程を有していてもよい。
本実施形態における、プレス部品形状の製造方法を実行するための、プレス成形装置の一例を次に説明する。
本実施形態は、プレス成形する金型として、第1の成形処理を行う第1の上型及び第2の下型と、第2の成形処理を行う第2の上型及び第2の下型とを備える。
本実施形態では、第1の実施形態の装置と同様に、第1の上型と第2の上型とは1つの上型10(ダイ)から構成される場合を例示する(図3参照)。また、第1の下型11と第2の下型12とは、天板部1Aの長手方向にオフセットされた状態で並んで配置されている構成とする。これによって、第1の成形処理のためのプレス成形と、第2の成形処理のためのプレス成形とを、1回のプレス加工で実行可能となる。
第1の実施形態の装置と同様に、第1の上型10及び第1の下型11と、第2の上型及び第2の下型12とを独立した金型構成として、第1の上型10及び下型11と、第2の上型及び第2の下型12とを、個々にプレス機に設定してプレス加工を実行する装置構成であっても良い。
第1の上型10及び第1の下型11は、第1の成形処理を実行するための金型である。
第1の上型10及び第1の下型11の装置構成は、第1の実施形態の装置と同様な構成であるため、説明を省略する(図3参照)。
第2の上型及び第2の下型12は、第2の成形処理を実行するための金型である。
第2の上型及び第2の下型12の装置構成は、第1の実施形態の装置と同様な構成であるため、説明を省略する(図3参照)。
以上のプレス成形装置を用いて第1の成形処理及び第2の成形処理を行い、プレス成形品1を製造する製造方法の例について説明する。
ここで、図3は、成形開始前の状態である。ただし、下型だけに着目した場合、図3に示される、第1の下型11と第2の下型12との上下方向(ストローク方法)の位置関係は、第1の成形処理及び第2の成形処理の成形終了時及び初期状態での位置関係である。
すなわち、図3では、第1の下型11と第2の下型12の並び方向からみて、第1の下型11のパンチ肩部11Cよりも、第2の下型12の斜面12Bがプレス方向(上方)に変位した状態となっている。具体的には、パンチ肩部11Cの向こう側に、第2の下型12の面12Cの一部が露出して、斜面12Bでコーナー構成部1Ecへ曲げ力を入力できる状態となっている。この状態では、コーナー構成部1Ecへの曲げ力も行われた状態となる。
図7の状態では、第2の下型12の頂部12Aを、第1の下型11の第1の天板面11Aよりも、プレス方向(図7では上方)に突出している。ただし、第1の下型11のパンチ肩部11Cよりも、第2の下型12の斜面12Bがプレス方向下方に変位した状態となっている。具体的には、第1の下型11と第2の下型12の並び方向において、パンチ肩部11Cの向こう側(奥側)に、第2の下型12の面12Cが露出していない。このため、斜面12Bでコーナー構成部1Ecへの曲げ力の入力が開始されない状態となっている。すなわち、第1の下型11のパンチ肩部11Cの上方に、第2の下型12の面12Cが見えていない状態、つまり、パンチ肩部11Cの位置では斜面12Bの方が下方若しくは同じ高さにある状態となっている。
なお、図7において、下型11,12にとっては、上方がプレス方向であり、上型10にとっては、下方がプレス方向となる。
第2の実施形態での第1の工程を説明する。
まず、第1の下型11を上にストロークさせて、第1の下型11及び第2の下型12を、図7の状態に設定する。
次に、相対的に、上型10を下型11,12に向けてプレスして、第1の成形処理と、第2の成形処理のうちの一部の処理とを行う。
この第1の工程が完了した状態では、ブランクは、図8に示すような形状に成形される。図8に示す形状では、ブランクは、凸状稜線部1Bの位置で曲げて断面コ字形状(断面L字形状)に成形されると同時に、凹状稜線部1Dの位置でも曲げられて外向きフランジ部1Eの一部についても成形される。
この第1の工程では、第2の成形処理の一部として、縦壁部側構成部1Eb及び天板部側構成部1Eaへの曲げ力の入力を、コーナー構成部1Ec側に向けて順番に実行する。
なお。第1の工程が完了しても、縦壁部側構成部1Eb及び天板部側構成部1Eaへの曲げ力の入力が完了していなくてもよい。
次に、第2の実施形態での第2の工程について説明する。
第2の工程では、第1の下型11と上型10とで金属板を拘束した状態で、第1の下型11と第2の下型12の相対位置(上下方向位置)が、図7の状態から図3の状態のように下方に移動させる。具体的には、上方にストロークしていた第1の下型11を、上型10と共に下方にストロークする。これによって、第1の工程での処理に続き、第2の工程が実行される。
第2の工程では、第1の工程で、縦壁部側構成部1Eb及び天板部側構成部1Eaへの曲げ力の入力が完了していない場合には、残りの縦壁部側構成部1Eb及び天板部側構成部1Eaへの曲げ力の入力を、コーナー構成部1Ec側に向けて順番に実行する。第2の工程では、続いて、コーナー構成部1Ecへの曲げ力の入力開始も実行して、外向きフランジ部1Eの成形を行う。
この処理を採用した場合、第1の下型11のプレストローク量を少なくすることができる。すなわち、第1の下型11を少し上方にプレストロークさせて、上型10を下降してプレスしたら、第1の下型11を初期位置に復帰させるだけストロークさせればよい。
本実施形態では、第1の成形処理として、第1の上型10と下型11で金属板2における天板部1A及び縦壁部1Cとなる領域を挟み込む。これによって、金属板2を、断面コ字形状(断面L字形状)に成形する。この第1の成形処理だけでは、第1の実施形態で説明したように(図6参照)、第1の上型10及び下型11から外向きフランジ部1Eとなる領域が横方向(図4中、左側方向)に、片持ち梁状に張り出した状態となっている。
なお、第2の工程では、金属板2は第1の上型10と第1の下型11で挟まれている。このため、金属板2は、天板部1Aの幅方向にも縦壁部1Cの高さ方向にも材料が動き難い状態となっている。本実施形態では、この状態で第2の成形処理の処理を継続して、外向きフランジ部1Eの形成を完了する。
この縦壁部側領域1Ebを成形している途中において、図5に示すように、第2の下型12の山形形状の頂部12Aが、天板部側構成部1Eaにおける天板部1A幅方向中央部に連続する部分に当たる。その結果、天板部側構成部1Eaに対し曲げ力の入力が開始される。なお、縦壁部側領域1Eb側よりも先に、天板部側構成部1Ea側に曲げ力が入力されるように構成してもよい。
また、下側からの縦壁部側領域1Ebの成形がコーナー構成部1Ecに近づくと、相対的に剛性があるものを強引に曲げ起こす状態になる。このため、下型12の肩稜線部(山形形状に沿って延在する角部)でしごかれてひずみが入る。
続いて、下型12が上昇し、コーナー構成部1Ecを完全に曲げ起こす直前には、凹状稜線部1D位置の曲げ稜線は直線に近くなる。このため、コーナー構成部1Ecを曲げ起こしても、コーナー構成部1Ecでの板厚減少率を小さく抑えられる。
この結果、本実施形態では、外向きフランジ部1Eに入力されるひずみが分散される。特に稜線部側領域1Ecのひずみを縦壁部側領域1Eb及び天板部側領域1Eaに分散できる。このため、稜線部側領域1Ecへのひずみの集中が抑制されて稜線部側領域1Ecでの板厚減少率が改善される。この結果、外向きフランジ部1Eにおける稜線部側領域1Ec(コーナー部)のフランジ幅を広くした図1や図2に示すようなプレス成形品1を製造可能となる。
ここで、本実施形態では、上述の通り、第1の成形処理よりも、第2の成形処理を先に開始しても良いし、同時に開始しても良い。第1の成形処理を先に開始することが好ましい。
ここで、第1及び第2の実施形態の変形例について説明する。
(変形例1)
第2の下型12の斜面12Bの、頂部12Aから離れる方向に向かう傾斜方向における、当該斜面12Bの輪郭形状は、直線形状(図9(a)参照)でなくても良い。頂部12Aから離れるほど、プレス方向とは反対方向に向かう斜面形状となっていればよい。
斜面12Bの輪郭形状の他の例を、図9(b)(c)に示す。図9(b)は、斜面12Bの輪郭形状がプレス方向(図9では上側)に凸の曲線形状となっている例である。図9(c)は、斜面12Bの輪郭形状がプレス方向とは反対方向に凸の曲線形状となっている例である。
上記曲線形状は、円弧状などでもよい。
以上の説明では、天板部の長手方向からみた、頂部12Aの断面形状がプレス方向に凸の円弧状の場合を例示している。しかし、図10に例示するように、頂部12Aの断面形状が、平坦になっていてもよい(図10(a)参照)。また、頂部12Aの断面形状が、凹凸を有していてもよい(図10(b)参照)も良い。
頂部12Aの幅が、天板部の幅よりも小さい構成となっていれば、頂部12Aを天板部側構成部1Eaにだけ当接するように設定可能となる。このため、頂部12Aの断面形状に限定はない。
第1の実施形態に基づく実施例について説明する。
ここで、図1及び図2に示す形状の鞍型のプレス成形品1を想定してプレス成形品1の製造を評価した。
金属板2として、鋼種がSPFC980Yで、板厚1.4mmの鋼板を採用した。またプレス成形品1の寸法として、天板部1Aの幅を84mm、縦壁部1Cの高さを100mmに設定した。そして、本実施形態に基づくプレス成形(発明例)と、比較のプレス成形(比較例)とを実行した。
なお、比較例では、目的とプレス成形品1と同様な成形面を有する上型と下型とを用いて、パッドフォーム成形(パッド圧:15ton)にて実行したものである。
なお、実施例では、第2の下型12のパンチ角αを90度とした。また、斜面12Bの輪郭形状を直線形状とした。
図11から分かるように、比較例に比べて、発明例では、ひずみが天板部1A幅方向に広範囲に分布している。そして、発明例の方が、コーナー部である稜線部側領域1Ecでの板厚減少率が低減していることが分かった。
その解析結果を図12に示す。
図12から分かるように、パンチ角αを、90度から、鋭角側に変更しても鈍角側に変更しても、稜線部側領域1Ecでの板厚減少率の改善効果が、パンチ角αが90度である場合と同様であることも確認した。図12では、パンチ角αが60度~180度の場合を示している。図12のように、パンチ角αを60度及び180度に設定した場合も、コーナー部である稜線部側領域1Ecでの板厚減少率の改善の傾向は90度の場合と同様であることも確認している。
次に、第2の実施形態に基づく実施例について説明する。
ここで、図1及び図2に示す形状の鞍型のプレス成形品1を想定してプレス成形品1の製造を評価した。
金属板2として、鋼種がSPFC980Yで、板厚1.4mmの鋼板を採用した。またプレス成形品1の寸法として、天板部1Aの幅を84mm、縦壁部1Cの高さを100mmに設定した。そして、本実施形態に基づくプレス成形(発明例)と、比較のプレス成形(比較例)とを実行した。
比較例では、目的とプレス成形品1と同様な成形面を有する上型と下型とを用いて、パッドフォーム成形(パッド圧:15ton)にて実行したものである。
なお、実施例では、第2の下型12のパンチ角αを90度とした。
図14においては、ストローク量S=79mmとした場合、第1の工程で金属板を断面コ字形状に成形したときに、第2の下型12の頂部12Aが金属板2に接触するが、曲げ成形が開始しない状態とした。
一方、ストローク量Sが44mmより小さい領域では、第2の下型12の頂部12Aの突出量が多くなり、断面コ字形状に成形すると同時に天板部側構成部1Eaの一部も成形されていた。
解析結果を図16に示す。通常工法(比較例)と比較して、稜線部側領域1Ecは斜面12Bの形状によらず板厚減少量が低減していることが分かった。また、斜面12Bが下凸に折れている形状では、直線形状(図9(a))よりも稜線部側領域である稜線部側領域1Ecの板厚減少量が低減することが分かった。これより、ひずみの分布が不均一な場合は斜面12Bの形状を変更することで分散具合を調整できる。
本開示は、以下のような構成も取ることができる。
(1) 天板部と、上記天板部の幅方向に凸状稜線部を介して連続する縦壁部と、上記天板部の長手方向端部、上記凸状稜線部の長手方向端部、及び上記縦壁部の長手方向端部に凹状稜線部を介して連続する外向きフランジ部と、を備えたプレス成形品を、金属板から製造する際に、
上記金属板を、上記凸状稜線部の位置で曲げて断面L字形状に成形し、その断面L字形状の成形後又は上記断面L字形状の成形途中から、上記凹状稜線部の位置で曲げて上記外向きフランジ部を形成する。
上記凸状稜線部の位置で曲げて断面L字形状に成形する処理は、上記外向きフランジ部となる領域を解放した状態で実行する。
この構成によれば、断面L字形状に成形する際における、外向きフランジ部となる領域へのひずみの入力を小さく抑えられる。
この構成によれば、1回のプレス成形で第1の工程と第2の工程を実行可能となる。
このとき、上記凹状稜線部を介して上記天板部の長手方向端部に連続する領域に入力する上記曲げ力は、上記凸状稜線部の端から0mm以上離れた位置に最初の曲げ力を入力することが好ましい。「凸状稜線部から」とは、断面円弧状などからなる凸状稜線部のアールの終わり位置(他の部との境界)からを表す。
本実施形態では、実施形態で説明してきたように、外向きフランジ部における凹状稜線部1Dから離れた位置から成形が開始された後に、凹状稜線部1Dの成形が実行される。
上記金属板を、上記凸状稜線部の位置で曲げて断面L字形状に成形すると共に、上記凹状稜線部の位置で曲げて上記外向きフランジ部を形成し、
上記凹状稜線部の位置で曲げて上記外向きフランジ部を形成する際に、上記外向きフランジ部となる領域のうち、上記凹状稜線部を介して上記天板部の長手方向端部に連続する領域及び上記縦壁部の長手方向端部に連続する領域に対し曲げ力の入力を開始した後に、上記凹状稜線部を介して上記凸状稜線部の長手方向端部に連続する領域に曲げ力を入力し、
上記断面L字形状の成形が終了した後に、上記外向きフランジ部における、上記凹状稜線部を介して上記凸状稜線部の長手方向端部に連続する領域の成形が終了する。
この構成によれば、外向きフランジ部における凹状稜線部1D(コーナー部分)に分散されるひずみ(板厚減少率)を、より確実に小さく抑えることができる(図8参照)。
本実施形態では、実施形態で説明してきたように、外向きフランジ部における凹状稜線部1Dから離れた位置から成形が開始された後に、凹状稜線部1Dの成形が実行される。
この構成によれば、外向きフランジ部における凹状稜線部1D(コーナー部分)に分散されるひずみ(板厚減少率)を、より確実に小さく抑えることができる。
この構成によれば、鞍型のプレス成形品が製造される。
上記天板部及び上記縦壁部となる領域を、上記凸状稜線部となる位置で成形可能な成形面を有して、上記天板部とそれに連続する上記縦壁部を成形する第1の上型及び第1の下型と、
上記金属板を、上記凹状稜線部で曲げて上記外向きフランジ部を成形する第2の下型と、を備え、
上記第2の下型における、上記外向きフランジ部となる領域に曲げ力を入力して上記外向きフランジ部を成形する部分の成形面は、上記天板部の長手方向からみて、頂部と、その頂部の左右両側に連続する一対の斜面とを備えて、全体として上記外向きフランジ部の曲げ方向に凸の山形形状となっていて、
上記山形形状の頂部が、上記外向きフランジ部となる領域のうち、上記凹状稜線部を介して上記天板部の長手方向端部に連続する領域に当接可能に設定される。
また、例えば、図17のように外向きフランジ部のコーナー構成部1Ecの幅が狭くなるように切り欠く必要がなく、図1に示すように、他の部分と同じ幅に設定しても割れなどの発生を抑制可能となる。
上記第2の下型で成形される上記金属板は、上記第1の上型及び第1の下型で成形された金属板である。
上記第1の下型と上記第2の下型とは、上記天板部の長手方向にオフセットされた状態で配置される。
この構成によれば、1回のプレス加工で外向きフランジ部の成形まで可能となる。
この構成によれば、1回のプレス加工で外向きフランジ部の成形まで可能となる。
また、第1の下型のストローク量を小さく抑えることも可能となる。
この構成によれば、第2の下型によって、外向きフランジ部における、縦壁部側構成部の下端部から成形が開始され、次に、天板部側構成部の中央部から成形が開始されて、コーナー構成部に向けて成形位置が移動するように設定される。
これによって、外向きフランジ部における凹状稜線部1D(コーナー部分)に分散されるひずみ(板厚減少率)を、より確実に小さく抑えることができる(図11参照)。
この構成によっては、ひずみの度合いによっては、更にコーナー部の板厚減少量を小さく設定可能となる。
上記第1の上型及び第1の下型を用いて、上記金属板における上記天板部及び上記縦壁部となる領域を断面L字形状にプレス成形し、
上記第2の上型及び下型を用いて、上記断面L字形状にプレス成形した金属板に対し、上記外向きフランジ部を形成する。
この構成によれば、外向きフランジ部における凹状稜線部1D(コーナー部分)に分散されるひずみ(板厚減少率)を、より確実に小さく抑えることができる。
この構成によれば、より確実に、外向きフランジ部における凹状稜線部1D(コーナー部分)に分散されるひずみ(板厚減少率)を、より確実に小さく抑えることができる。
上記第1の上型及び第1の下型を用いて、上記金属板における上記天板部及び上記縦壁部となる領域を断面L字形状にプレス成形しながら、上記第2の下型を用いて、上記外向きフランジ部の一部を形成する。
この構成によれば、外向きフランジ部における凹状稜線部1D(コーナー部分)に分散されるひずみ(板厚減少率)を、より確実に小さく抑えることができる。
1A 天板部
1B 凸状稜線部
1C 縦壁部
1D 凹状稜線部
1E 外向きフランジ部
1Ea 天板部側領域(天板部側構成部)
1Eb 縦壁部側領域(縦壁部側構成部)
1Ec 稜線部側領域(コーナー構成部)
2 金属板
10 上型(第1の上型、第2の上型)
11 第1の下型
12 第2の下型
12A 頂部
12B 斜面
α 第2の下型のパンチ角
Claims (17)
- 天板部と、上記天板部の幅方向に凸状稜線部を介して連続する縦壁部と、上記天板部の長手方向端部、上記凸状稜線部の長手方向端部、及び上記縦壁部の長手方向端部に凹状稜線部を介して連続する外向きフランジ部と、を備えたプレス成形品を、金属板から製造する際に、
上記金属板を、上記凸状稜線部の位置で曲げて断面L字形状に成形し、その断面L字形状の成形後又は上記断面L字形状の成形途中から、上記凹状稜線部の位置で外向きに曲げて上記外向きフランジ部を形成し、
上記凸状稜線部の位置で曲げて断面L字形状に成形する処理は、上記外向きフランジ部となる領域を解放した状態で実行し、
上記外向きフランジ部を形成する処理は、上記解放した状態の上記外向きフランジ部となる領域に曲げ力を入力することで実行する、
ことを特徴とするプレス成形品の製造方法。 - 天板部と、上記天板部の幅方向に凸状稜線部を介して連続する縦壁部と、上記天板部の長手方向端部、上記凸状稜線部の長手方向端部、及び上記縦壁部の長手方向端部に凹状稜線部を介して連続する外向きフランジ部と、を備えたプレス成形品を、金属板から製造する際に、
上記金属板を、上記凸状稜線部の位置で曲げて断面L字形状に成形し、上記断面L字形状の成形後に、上記凹状稜線部の位置で外向きに曲げて上記外向きフランジ部を形成し、
上記凸状稜線部の位置で曲げて断面L字形状に成形する処理は、上記外向きフランジ部となる領域を解放した状態で実行することを特徴とするプレス成形品の製造方法。 - 上記断面L字形状の成形後に上記外向きフランジ部を形成し、
上記天板部及び上記縦壁部を上記断面L字形状に拘束した状態で、上記外向きフランジ部を形成する処理を実行する請求項1又は請求項2に記載したプレス成形品の製造方法。 - 上記凹状稜線部の位置で曲げて上記外向きフランジ部を形成する際に、上記外向きフランジ部となる領域のうち、上記凹状稜線部を介して上記天板部の長手方向端部に連続する領域及び上記縦壁部の長手方向端部に連続する領域に対し曲げ力の入力を開始した後に、上記凹状稜線部を介して上記凸状稜線部の長手方向端部に連続する領域に曲げ力を入力する、
ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載したプレス成形品の製造方法。 - 天板部と、上記天板部の幅方向に凸状稜線部を介して連続する縦壁部と、上記天板部の長手方向端部、上記凸状稜線部の長手方向端部、及び上記縦壁部の長手方向端部に凹状稜線部を介して連続する外向きフランジ部と、を備えたプレス成形品を、金属板から製造する際に、
上記金属板を、上記凸状稜線部の位置で曲げて断面L字形状に成形すると共に、上記凹状稜線部の位置で曲げて上記外向きフランジ部を形成し、
上記凹状稜線部の位置で曲げて上記外向きフランジ部を形成する際に、上記外向きフランジ部となる領域のうち、上記凹状稜線部を介して上記天板部の長手方向端部に連続する領域及び上記縦壁部の長手方向端部に連続する領域に対し曲げ力の入力を開始した後に、上記凹状稜線部を介して上記凸状稜線部の長手方向端部に連続する領域に曲げ力を入力し、
上記断面L字形状の成形が終了した後に、上記外向きフランジ部における、上記凹状稜線部を介して上記凸状稜線部の長手方向端部に連続する領域の成形が終了する、
ことを特徴とするプレス成形品の製造方法。 - 上記凹状稜線部を介して上記天板部の長手方向端部に連続する領域に入力する上記曲げ力は、上記凸状稜線部より内側となる位置に最初の曲げ力を入力する、
ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載したプレス成形品の製造方法。 - 上記プレス成形品の形状は、天板部と、上記天板部の幅方向両側に左右の凸状稜線部を介して連続する左右の縦壁部と、上記天板部の長手方向端部、上記左右の凸状稜線部の長手方向端部、及び上記左右の縦壁部の長手方向端部に凹状稜線部を介して連続する外向きフランジ部と、を備える、
ことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか1項に記載したプレス成形品の製造方法。 - 天板部と、上記天板部の幅方向に凸状稜線部を介して連続する縦壁部と、上記天板部の長手方向端部、上記凸状稜線部の長手方向端部、及び上記縦壁部の長手方向端部に凹状稜線部を介して連続する外向きフランジ部と、を備えたプレス成形品を、金属板から製造するためのプレス成形装置であって、
上記天板部及び上記縦壁部となる領域を、上記凸状稜線部となる位置で成形可能な成形面を有して、上記天板部とそれに連続する上記縦壁部を成形する第1の上型及び第1の下型と、
上記金属板を、上記凹状稜線部で曲げて上記外向きフランジ部を成形する第2の下型と、を備え、
上記第2の下型における、上記外向きフランジ部となる領域に曲げ力を入力して上記外向きフランジ部を成形する部分の成形面は、上記天板部の長手方向からみて、頂部と、その頂部の左右両側に連続する一対の斜面とを備えて、全体として上記外向きフランジ部の曲げ方向に凸の山形形状となっていて、
上記山形形状の頂部が、上記外向きフランジ部となる領域のうち、上記凹状稜線部を介して上記天板部の長手方向端部に連続する領域に当接可能に設定される、
ことを特徴とするプレス成形装置。 - 上記第2の下型にプレス方向で対向する第2の上型を備え、
上記第2の下型で成形される上記金属板は、上記第1の上型及び第1の下型で成形された金属板である、
ことを特徴とする請求項8に記載したプレス成形装置。 - 上記第1の上型と上記第2の上型とは1つの上型で構成され、
上記第1の下型と上記第2の下型とは、上記天板部の長手方向にオフセットされた状態で配置される、
請求項9に記載したプレス成形装置。 - 上記第1の下型と上記第2の下型とは、上記天板部の長手方向にオフセットされた状態で配置され、上記第1の下型は、上記第2の下型に対し、プレス方向に沿った方向にストローク可能となっている、
請求項8に記載したプレス成形装置。 - 上記山形形状は、当該山形形状を形成する左右の斜面を結ぶ交差角からなるパンチ角が、上記第1の上型及び第1の下型で成形された金属板における、天板部と縦壁部の成す角度から90度を引いた角度の2倍よりも広い、
ことを特徴とする請求項8~請求項11のいずれか1項に記載したプレス成形装置。 - 上記パンチ角が、60度以上180度以下の範囲である請求項12に記載したプレス成形装置。
- 上記山形形状における上記斜面の輪郭形状は、斜面の傾斜方向に沿って、プレス方向とは反対方向に凸の曲線形状となっている、ことを特徴とする請求項8~請求項13のいずれか1項に記載したプレス成形装置。
- 請求項9又は請求項10に記載のプレス成形装置を用いて上記プレス成形品を、金属板から製造する製造方法であって、
上記第1の上型及び第1の下型を用いて、上記金属板における上記天板部及び上記縦壁部となる領域を断面L字形状にプレス成形し、
上記第2の上型及び下型を用いて、上記断面L字形状にプレス成形した金属板に対し、上記外向きフランジ部を形成する、
ことを特徴とするプレス成形品の製造方法。 - 上記第1の上型及び第1の下型で金属板を断面L字形状に拘束した状態で、上記第2の上型及び下型で上記外向きフランジ部を形成する、
ことを特徴とする請求項15に記載したプレス成形品の製造方法。 - 請求項8又は請求項11に記載のプレス成形装置を用いて上記プレス成形品を、金属板から製造する製造方法であって、
上記第1の上型及び第1の下型を用いて、上記金属板における上記天板部及び上記縦壁部となる領域を断面L字形状にプレス成形しながら、上記第2の下型を用いて、上記外向きフランジ部の一部を形成する、
ことを特徴とするプレス成形品の製造方法。
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