JP7300386B2 - アンドロゲン非依存性がんを処置するための組成物および方法 - Google Patents

アンドロゲン非依存性がんを処置するための組成物および方法 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2017年1月19日付で出願された米国仮特許出願第62/448,094号に対する優先権を主張するものであり、その開示は全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
発明の背景
前立腺がんは、がんに関連した死亡原因の第2位であり、男性において最も一般的に診断されているがんであり、米国だけで年間推定220,800例の新しい症例がある。前立腺がんに対する第一選択処置は、アンドロゲン除去療法(ADT)の使用により循環アンドロゲンレベルを低減させることを目的としている。ADTは当初は、前立腺がんの成長を低減するのに効果的であるが、2~3年の処置後に患者の大多数は去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)に進行し、腫瘍増殖は去勢レベルのアンドロゲンの存在下でも進行する。この疾患進行の時点で、治療選択肢の数は非常に限られたものになる。
CRPCの処置には現在、微小管機能の破壊により、速やかに***する細胞の成長を妨げる、ドセタキセルおよびカバジタキセルのようなタキサン類、またはエンザルタミドおよびアビラテロンのような次世代抗アンドロゲン薬の投与が含まれる。残念なことに、アビラテロンを投与された患者の約3分の1およびエンザルタミドを投与された患者の約4分の1がこれらの薬物による初期処置に応答しないと推定されている。さらに、処置を開始してから12~24ヶ月以内に、当初は薬物に応答した者でさえも耐性を生じることが多い。したがって、CRPCのようなアンドロゲン非依存性がんのためのより効果的な処置が当技術分野において必要とされている。本発明はこの必要性を満たし、関連する利点も提供する。
1つの局面において、本発明は、抗アンドロゲン薬および式(I)の化合物:
Figure 0007300386000001
を含む組成物を提供する。
いくつかの態様において、R1は、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; R2は、H、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; R3は、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; かつR4は、HおよびC(O)R5からなる群より選択され、ここでR5は、H、置換されていてもよいC1~18アルキル、置換されていてもよいC2~18アルケニル、および置換されていてもよいC2~18アルキニルからなる群より選択され; かつここで各Xは独立して選択されるハロゲンである。いくつかの場合には、R1はCX3またはNO2である。他の場合には、R2はHまたはXである。いくつかの他の場合には、R3はXである。他の場合には、R5はC2アルキルまたはC2アルケニルである。特定の場合には、Xは、FおよびClからなる群より独立して選択される。特定の態様において、組成物は薬学的に許容される担体をさらに含む。
いくつかの態様において、式(I)の化合物は、
Figure 0007300386000002
およびその組み合わせからなる群より選択される。
他の態様において、抗アンドロゲン薬は、非ステロイド性アンドロゲン受容体アンタゴニスト、CYP17A1阻害剤、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。いくつかの場合には、抗アンドロゲン薬はビカルタミド、アパルタミド、エンザルタミド、酢酸アビラテロン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
いくつかの態様において、組成物はアンドロゲン受容体またはその変種の発現および/または活性を阻害する。特定の態様において、アンドロゲン受容体変種は、スプライス変種、変異体変種(mutant variant)、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。いくつかの場合には、スプライス変種は、AR-V1、AR-V3、AR-V7、AR-V9、および/またはAR-V12スプライス変種である。特定の場合には、スプライス変種はAR-V7スプライス変種である。他の場合には、変異体変種は、SEQ ID NO:1に記載のアミノ酸配列と比べて、K581R、L702H、T878A、V716M、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される1つまたは複数の変異を含む。
他の態様において、組成物はがん細胞増殖の有効な阻害剤である。いくつかの場合には、がん細胞は前立腺がん細胞または乳がん細胞である。他の場合には、がん細胞は、アンドロゲン非依存性がん細胞、転移性がん細胞、去勢抵抗性がん細胞、去勢再発性がん細胞、ホルモン耐性がん細胞、転移性去勢抵抗性がん細胞、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
第2の局面において、本発明は、対象におけるがんを予防または処置するための方法を提供する。いくつかの態様において、該方法は、抗アンドロゲン薬および式(I)の化合物:
Figure 0007300386000003
を含む治療有効量の組成物を対象に投与する段階を含む。
特定の態様において、R1は、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; R2は、H、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; R3は、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; かつR4は、HおよびC(O)R5からなる群より選択され、ここでR5は、H、置換されていてもよいC1~18アルキル、置換されていてもよいC2~18アルケニル、および置換されていてもよいC2~18アルキニルからなる群より選択され; かつここで各Xは独立して選択されるハロゲンである。いくつかの場合には、R1はCX3またはNO2である。他の場合には、R2はHまたはXである。いくつかの他の場合には、R3はXである。他の場合には、R5はC2アルキルまたはC2アルケニルである。特定の場合には、Xは、FおよびClからなる群より独立して選択される。特定の態様において、組成物は薬学的に許容される担体をさらに含む。
いくつかの態様において、式(I)の化合物は、
Figure 0007300386000004
およびその組み合わせからなる群より選択される。
いくつかの態様において、抗アンドロゲン薬は、非ステロイド性アンドロゲン受容体アンタゴニスト、CYP17A1阻害剤、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。いくつかの場合には、抗アンドロゲン薬はビカルタミド、アパルタミド、エンザルタミド、酢酸アビラテロン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
いくつかの態様において、アンドロゲン受容体またはその変種の発現および/または活性が阻害される。特定の態様において、アンドロゲン受容体変種は、スプライス変種、変異体変種、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。いくつかの場合には、スプライス変種は、AR-V1、AR-V3、AR-V7、AR-V9、および/またはAR-V12スプライス変種である。特定の場合には、スプライス変種はAR-V7スプライス変種である。他の場合には、変異体変種は、SEQ ID NO:1に記載のアミノ酸配列と比べて、K581R、L702H、T878A、V716M、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される1つまたは複数の変異を含む。
いくつかの態様において、がんは前立腺がんまたは乳がんである。他の態様において、がんは、アンドロゲン非依存性がん、転移性がん、去勢抵抗性がん、去勢再発性がん、ホルモン耐性がん、転移性去勢抵抗性がん、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。いくつかの場合には、がんのアンドロゲン非依存性、去勢抵抗性、またはホルモン耐性が低下または反転される。
他の態様において、抗アンドロゲン薬および式(I)の化合物は同時に与えられる。いくつかの他の態様において、抗アンドロゲン薬および式(I)の化合物は逐次的に与えられる。特定の態様において、対象はがんを有していない。いくつかの態様において、対象を処置することは、がんの1つまたは複数の症状の改善をもたらす。
いくつかの態様において、抗アンドロゲン薬および式(I)の化合物を対象に投与する前および/または後に、試験サンプルを対象から得る。いくつかの場合には、試験サンプルは組織、血液、またはそれらの組み合わせを含む。特定の場合には、試験組織サンプルはがん組織を含む。いくつかの態様において、1つまたは複数のバイオマーカーのレベルがサンプルにおいて決定される。いくつかの場合には、1つまたは複数のバイオマーカーは前立腺特異的抗原(PSA)を含む。
いくつかの態様において、試験サンプルにおける1つまたは複数のバイオマーカーのレベルは、参照サンプルにおける1つまたは複数のバイオマーカーのレベルと比較される。いくつかの場合には、参照サンプルは、抗アンドロゲン薬および式(I)の化合物が対象に投与される前および/または後に同じ対象から得られた正常な血液または組織である。他の場合には、参照サンプルは異なる対象または対象集団から得られる。いくつかの態様において、試験サンプルにおけるPSAのレベルは参照サンプルにおけるPSAのレベルよりも高く、抗アンドロゲン薬および式(I)の化合物を対象に投与する前に試験サンプルを得る。他の態様において、抗アンドロゲン薬および式(I)の化合物を対象に投与すると、投与前に対象から得られた試験サンプルと比較して、投与後に対象から得られた試験サンプルにおけるPSAレベルの低下がもたらされる。
第3の局面において、本発明は、細胞におけるアンドロゲン受容体の発現および/または活性を阻害するための方法を提供する。いくつかの態様において、該方法は、抗アンドロゲン薬および式(I)の化合物:
Figure 0007300386000005
を含む治療有効量の組成物とアンドロゲン受容体または細胞を接触させる段階を含む。
特定の態様において、R1は、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; R2は、H、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; R3は、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; かつR4は、HおよびC(O)R5からなる群より選択され、ここでR5は、H、置換されていてもよいC1~18アルキル、置換されていてもよいC2~18アルケニル、および置換されていてもよいC2~18アルキニルからなる群より選択され; かつここで各Xは独立して選択されるハロゲンである。いくつかの場合には、R1はCX3またはNO2である。他の場合には、R2はHまたはXである。いくつかの他の場合には、R3はXである。他の場合には、R5はC2アルキルまたはC2アルケニルである。特定の場合には、Xは、FおよびClからなる群より独立して選択される。特定の態様において、組成物は薬学的に許容される担体をさらに含む。
いくつかの態様において、式(I)の化合物は、
Figure 0007300386000006
およびその組み合わせからなる群より選択される。
いくつかの態様において、抗アンドロゲン薬は、非ステロイド性アンドロゲン受容体アンタゴニスト、CYP17A1阻害剤、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。いくつかの場合には、抗アンドロゲン薬はビカルタミド、アパルタミド、エンザルタミド、酢酸アビラテロン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
いくつかの態様において、アンドロゲン受容体トランス活性化が阻害される。いくつかの態様において、アンドロゲン受容体発現が阻害される。いくつかの態様において、アンドロゲン受容体媒介転写活性が阻害される。
いくつかの態様において、アンドロゲン受容体変種の発現および/または活性が阻害される。特定の態様において、アンドロゲン受容体変種の前立腺特異的抗原(PSA)プロモーターへの動員が阻害される。いくつかの態様において、アンドロゲン受容体変種は、スプライス変種、変異体変種、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。いくつかの場合には、スプライス変種は、AR-V1、AR-V3、AR-V7、AR-V9、および/またはAR-V12スプライス変種である。特定の場合には、スプライス変種はAR-V7スプライス変種である。いくつかの場合には、変異体変種は、SEQ ID NO:1に記載されるアミノ酸配列と比べてK581R、L702H、T878A、V716M、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される1つまたは複数の変異を含む。
いくつかの態様において、細胞はがん細胞である。特定の態様において、がん細胞は転移性がん細胞である。他の態様において、がん細胞は前立腺がん細胞または乳がん細胞である。いくつかの態様において、がん細胞は、アンドロゲン非依存性がん細胞、去勢抵抗性がん細胞、ホルモン耐性がん細胞、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。いくつかの場合には、がん細胞のアンドロゲン非依存性、去勢抵抗性、および/またはホルモン耐性が低減、低下、または反転される。いくつかの態様において、がん細胞は抗アンドロゲン薬に再感受性化される。他の態様において、抗アンドロゲン薬に対するがん細胞の耐性が低減、低下、または反転される。いくつかの態様において、がん細胞の浸潤能および/またはがん細胞の遊走能が阻害される。他の態様において、がん細胞が成長するおよび/またはコロニーを形成する能力が阻害される。
別の局面において、本発明は、対象におけるがんを予防または処置するためのキットを提供する。いくつかの態様において、キットは、抗アンドロゲン薬および式(I)の化合物:
Figure 0007300386000007
を含む。
特定の態様において、R1は、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; R2は、H、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; R3は、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; かつR4は、HおよびC(O)R5からなる群より選択され、ここでR5は、H、置換されていてもよいC1~18アルキル、置換されていてもよいC2~18アルケニル、および置換されていてもよいC2~18アルキニルからなる群より選択され; かつここで各Xは独立して選択されるハロゲンである。いくつかの場合には、R1はCX3またはNO2である。他の場合には、R2はHまたはXである。いくつかの他の場合には、R3はXである。他の場合には、R5はC2アルキルまたはC2アルケニルである。特定の場合には、Xは、FおよびClからなる群より独立して選択される。特定の態様において、キットは薬学的に許容される担体をさらに含む。
いくつかの態様において、式(I)の化合物は、
Figure 0007300386000008
およびその組み合わせからなる群より選択される。
他の態様において、抗アンドロゲン薬は、非ステロイド性アンドロゲン受容体アンタゴニスト、CYP17A1阻害剤、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。いくつかの場合には、抗アンドロゲン薬はビカルタミド、アパルタミド、エンザルタミド、酢酸アビラテロン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
いくつかの態様において、がんは前立腺がんまたは乳がんである。他の態様において、がんは、アンドロゲン非依存性がん、転移性がん、去勢抵抗性がん、去勢再発性がん、ホルモン耐性がん、転移性去勢抵抗性がん、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
いくつかの他の態様において、キットは使用説明書をさらに含む。いくつかの態様において、キットは、抗アンドロゲン薬および/または式(I)の化合物を対象に投与するための道具(paraphernalia)および/または1つもしくは複数の試薬をさらに含む。他の態様において、キットは、対象からサンプルを得るための道具および/または1つもしくは複数の試薬をさらに含む。いくつかの態様において、キットは、サンプルにおける1つまたは複数のバイオマーカーのレベルを決定するための道具および/または1つもしくは複数の試薬をさらに含む。いくつかの場合には、1つまたは複数のバイオマーカーは前立腺特異的抗原(PSA)を含む。いくつかの態様において、キットは陰性および/または陽性対照サンプルをさらに含む。
別の局面において、本発明は、抗アンドロゲン薬および式(II)の化合物:
Figure 0007300386000009
を含む組成物を提供する。
特定の態様において、R6およびR7は、H、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より独立して選択され; R8は、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; かつR9は、HおよびC(O)R10からなる群より選択され、ここでR10は、H、置換されていてもよいC1~18アルキル、置換されていてもよいC2~18アルケニル、および置換されていてもよいC2~18アルキニルからなる群より選択され; かつここでXは独立して選択されるハロゲンである。いくつかの態様において、R6および/またはR7はCX3である。いくつかの態様において、R8はXである。いくつかの態様において、R9はHである。特定の態様において、Xは、FおよびClからなる群より独立して選択される。
いくつかの態様において、式(II)の化合物は
Figure 0007300386000010
である。
他の態様において、抗アンドロゲン薬は、非ステロイド性アンドロゲン受容体アンタゴニスト、CYP17A1阻害剤、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。いくつかの場合には、抗アンドロゲン薬はビカルタミド、アパルタミド、エンザルタミド、酢酸アビラテロン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
いくつかの態様において、組成物はアンドロゲン受容体またはその変種の発現および/または活性を阻害する。特定の態様において、アンドロゲン受容体変種は、スプライス変種、変異体変種、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。いくつかの場合には、スプライス変種は、AR-V1、AR-V3、AR-V7、AR-V9、および/またはAR-V12スプライス変種である。特定の場合には、スプライス変種はAR-V7スプライス変種である。他の場合には、変異体変種は、SEQ ID NO:1に記載されるアミノ酸配列と比べてK581R、L702H、T878A、V716M、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される1つまたは複数の変異を含む。
他の態様において、組成物はがん細胞増殖の有効な阻害剤である。いくつかの場合には、がん細胞は前立腺がん細胞または乳がん細胞である。他の場合には、がん細胞は、アンドロゲン非依存性がん細胞、転移性がん細胞、去勢抵抗性がん細胞、去勢再発性がん細胞、ホルモン耐性がん細胞、転移性去勢抵抗性がん細胞、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
いくつかの態様において、組成物は薬学的に許容される担体をさらに含む。
さらに別の局面において、本発明は、対象におけるがんを予防または処置するための方法であって、抗アンドロゲン薬および式(II)の化合物を含む治療有効量の組成物を対象に投与する段階を含む、該方法、を提供する。
さらに別の局面において、本発明は、細胞におけるアンドロゲン受容体の発現および/または活性を阻害するための方法であって、抗アンドロゲン薬および式(II)の化合物を含む組成物とアンドロゲン受容体または細胞を接触させる段階を含む、該方法、を提供する。
別の局面において、本発明は、抗アンドロゲン薬および式(II)の化合物を含む組成物を含むキットを提供する。
本発明の他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明および図面から当業者には明らかとなろう。
ニクロサミド類似体の化学構造および合成経路を示す。図1A: 化合物7および30の合成経路を示す。 ニクロサミド類似体の化学構造および合成経路を示す。図1B: ニクロサミドならびに化合物5、7、11、30、および31の構造を示す。 ニクロサミド類似体の化学構造および合成経路を示す。図1C: ニクロサミドならびに化合物1、2、5、7、8、11、17、29、30、31、34、および35の構造を示す。 ニクロサミド類似体がARおよびAR-V7の発現を阻害したことを示す。図2A: ニクロサミドまたは示された化合物の1つで処理されたCWR22Rv1細胞の溶解物のウエスタンブロットを示す。図2B: 示された化合物の漸増用量で処理されたCWR22Rv1細胞の溶解物のウエスタンブロットを示す。「AR変種」は全ての形態のARの組み合わせを表す。 ニクロサミド類似体がPSA発現を阻害したことを示す。C4-2 V7細胞(すなわち、AR-V7を過剰発現するC4-2細胞)をエンザルタミド(MDV)の存在下または非存在下で、ニクロサミドまたは表示された化合物の1つで処理した。PSAタンパク質発現をELISAアッセイ法によって決定した。はp < 0.05を示す。 ニクロサミド類似体がAR-V7媒介性転写活性を阻害したことを示す。LNCaP細胞をAR-V7とともにまたはそれなしにPSA-lucレポーターと同時トランスフェクションし、トランスフェクションされた細胞を次に、エンザルタミド、ニクロサミドまたは表示されたニクロサミド類似体で処理した。次いでルシフェラーゼ活性を決定した。はp < 0.05を示す。 ニクロサミド類似体が変異体ARトランス活性化を抑制したことを示す。HEK 293細胞に、対応する変異体ARおよびアンドロゲン応答性ルシフェラーゼレポーター遺伝子構築体をコードする発現ベクターを一過性にトランスフェクションした。細胞を、表示された抗アンドロゲン薬またはニクロサミド類似体で処理した。次いでルシフェラーゼ活性を決定した。図5A: 野生型ARの活性化を示す。図5B: AR-V7の活性化を示す。図5C: T878A変種の活性化を示す。図5D: K581R変種の活性化を示す。図5E: V716M変種の活性化を示す。図5F: L702H変種の活性化を示す。はp < 0.05を示す。 ニクロサミド類似体がインビトロで細胞成長を阻害したことを示す。CWR22Rv1およびC4-2B MDVR細胞を、アビラテロン、エンザルタミド、ARN509、または漸増用量の、ニクロサミド、もしくは化合物7および31のうち1つ、のいずれかで48時間処理し、その時間の後に細胞数をカウントした。図6A: CWR22Rv1細胞を使用した細胞成長アッセイ法の結果を示す。図6B: C4-2B MDVR細胞を使用した細胞成長アッセイ法の結果を示す。図6C: CWR22Rv1細胞の経時的な細胞成長を示す。図6D: C4-2B MDVR細胞の経時的な細胞成長を示す。はp < 0.05を示す。 ニクロサミド類似体がインビトロで細胞成長を阻害したことを示す。CWR22Rv1、C4-2B MDVR、C4-2B AbiR、およびC4-2-V7細胞をエンザルタミド(MDV)の存在下または非存在下で、DMSOまたは0.5 μMのニクロサミドもしくはニクロサミド類似体の1つで48時間処理し、その時間の後に細胞数を決定した。図7A: CWR22Rv1細胞を使用した細胞成長アッセイ法の結果を示す。図7B: C4-2B MDVR細胞を使用した細胞成長アッセイ法の結果を示す。図7C: C4-2B AbiR細胞の細胞成長アッセイ法の結果を示す。図7D: C4-2-V7細胞の細胞成長アッセイ法の結果を示す。はp < 0.05を示す。 ニクロサミド類似体がアポトーシスを誘導したことを示す。C4-2BMDVR細胞をエンザルタミド(MDV)ありまたはなしで、ニクロサミドまたは表示された類似体の1つで処理し、アポトーシスを測定した。はp < 0.05を示す。 全てではないが一部のニクロサミド類似体は抗アンドロゲン薬と相乗作用してCWR22Rv1がん細胞成長を阻害することができたことを示す。CWR22Rv1細胞を、表示されたニクロサミド類似体(0.25 μM)、エンザルタミド(20 μM)、またはアビラテロン(5 μM)により、単独でまたは組み合わせで処理した。DMSO処理を陰性対照として使用した。総細胞数を0、3、および5日の時点でカウントした。図9A: ニクロサミド類似体が化合物1である場合の細胞成長アッセイ法の結果を示す。図9B: ニクロサミド類似体が化合物34である場合の細胞成長アッセイ法の結果を示す。図9C: ニクロサミド類似体が化合物30である場合の細胞成長アッセイ法の結果を示す。図9D: ニクロサミド類似体が化合物31である場合の細胞成長アッセイ法の結果を示す。化合物1および34ではなく、化合物30および31は、エンザルタミドおよびアビラテロンと相乗作用することができた。はp < 0.05を示す。 全てではないが一部のニクロサミド類似体は抗アンドロゲン薬エンザルタミドおよびアビラテロンと相乗作用してC4-2BMDVRがん細胞成長を阻害することができたことを示す。C4-2BMDVR細胞を、表示されたニクロサミド類似体(0.25 μM)、エンザルタミド(20 μM)、またはアビラテロン(5 μM)により、単独でまたは組み合わせで処理した。DMSO処理を陰性対照として使用した。総細胞数を0、3、および5日の時点でカウントした。図10A: ニクロサミド類似体が化合物1である場合の細胞成長アッセイ法の結果を示す。図10B: ニクロサミド類似体が化合物34である場合の細胞成長アッセイ法の結果を示す。図10C: ニクロサミド類似体が化合物30である場合の細胞成長アッセイ法の結果を示す。図10D: ニクロサミド類似体が化合物31である場合の細胞成長アッセイ法の結果を示す。化合物1および34ではなく、化合物30および31は、エンザルタミドおよびアビラテロンと相乗作用することができた。はp < 0.05を示す。 全てではないが一部のニクロサミド類似体は抗アンドロゲン薬エンザルタミドおよびアビラテロンと相乗作用してCWR22Rv1がん細胞成長を阻害することができたことを示す。CWR22Rv1細胞を、表示されたニクロサミド類似体(0.25 μM)、エンザルタミド(20 μM)、またはアビラテロン(5 μM)により、単独でまたは組み合わせで処理した。DMSO処理を陰性対照として使用した。総細胞数を0、3、および5日の時点でカウントした。図11A: ニクロサミド類似体が化合物7である場合の細胞成長アッセイ法の結果を示す。図11B: ニクロサミド類似体が化合物11である場合の細胞成長アッセイ法の結果を示す。図11C: ニクロサミド類似体が化合物2である場合の細胞成長アッセイ法の結果を示す。図11D: ニクロサミド類似体が化合物17である場合の細胞成長アッセイ法の結果を示す。化合物2および17ではなく、化合物7および11は、エンザルタミドおよびアビラテロンと相乗作用することができた。はp < 0.05を示す。 全てではないが一部のニクロサミド類似体は抗アンドロゲン薬ビカルタミドと相乗作用してCWR22Rv1がん細胞成長を阻害することができたことを示す。CWR22Rv1細胞を、表示されたニクロサミド類似体(0.25 μM)、ビカルタミド(20 μM)、またはその組み合わせにより処理した。DMSO処理を陰性対照として使用した。総細胞数を0、3、および5日の時点でカウントした。図12A: ニクロサミド類似体が化合物1である場合の細胞成長アッセイ法の結果を示す。図12B: ニクロサミド類似体が化合物34である場合の細胞成長アッセイ法の結果を示す。図12C: ニクロサミド類似体が化合物31である場合の細胞成長アッセイ法の結果を示す。図12D: ニクロサミド類似体が化合物30である場合の細胞成長アッセイ法の結果を示す。化合物1および34ではなく、化合物30および31は、ビカルタミドと相乗作用することができた。はp < 0.05を示す。 ニクロサミド類似体がインビボで腫瘍成長およびAR-V7発現を阻害したことを示す。CWR22Rv1腫瘍異種移植片をニクロサミドまたは化合物7で処理した。腫瘍体積、腫瘍重量、および体重を測定した。タンパク質溶解物を腫瘍から単離し、ウエスタンブロットによりARおよびAR-V7発現について分析した。図13A: 時間に応じたCWR22Rv1腫瘍異種移植片体積のグラフを示す。図13B: 3群のそれぞれの体重のグラフを示す。図13C: 処置終了時の腫瘍の写真を示す。図13D: 完全長AR (AR-FL)およびAR-V7発現を描くウエスタンブロットを示す。「AR変種」は全ての形態のARの組み合わせを表す。はp < 0.05を示す。 ニクロサミドおよびその類似体が、PSA-lucアッセイ法を使用して評価した場合、ウシ胎児血清におけるアンドロゲン受容体(AR)およびその変種の転写活性を抑制したことを示す。図14A: pcDnAのデータを示す。図14B: AR-V1のデータを示す。図14C: AR-V3のデータを示す。図14D: AR-V7のデータを示す。図14E: AR-V9のデータを示す。図14F: AR-V12のデータを示す。略語: NIC, ニクロサミド; AA, アビラテロン; ENZA, エンザルタミド; ARN, アパルタミド, #7, 化合物7; #31, 化合物31。はp < 0.05を示す。 ニクロサミドおよびその類似体が、CWR22Rv1細胞においてプロテアソーム-ユビキチン化システムの活性化によりAR変種を分解したことを示す。図15A: CWR22Rv1細胞におけるAR変種タンパク質分解および相対的タンパク質レベル(右)を描くウエスタンブロット(左)の結果を示す。図15B: CWR22Rv1全細胞溶解物のウエスタンブロットを示す。図15C: 抗AR抗体によるCWR22Rv1全細胞溶解物の免疫沈降後のウエスタンブロットを示す。略語: NIC, ニクロサミド; #7, 化合物7; #31, 化合物31。「AR変種」は全ての形態のARの組み合わせを表す。 ニクロサミドおよびその類似体が、C4-2B MDVR細胞においてプロテアソーム-ユビキチン化システムの活性化によりAR変種を分解したことを示す。図16A: C4-2B MDVR細胞におけるAR変種タンパク質分解および相対的タンパク質レベル(右)を描くウエスタンブロット(左)の結果を示す。図16B: C4-2B MDVR全細胞溶解物のウエスタンブロットを示す。図16C: 抗AR抗体によるC4-2B MDVR全細胞溶解物の免疫沈降後のウエスタンブロットを示す。略語: NIC, ニクロサミド; #7, 化合物7; #31, 化合物31。「AR変種」は全ての形態のARの組み合わせを表す。 化合物7が耐性前立腺がんにおいてアビラテロンおよびアパルタミド(ARN509)処置を増強したことを示す。図17A: CWR22Rv1細胞をアパルタミド(ARN)および/または化合物7 (#7)で処理した結果を示す。図17B: CWR22Rv1細胞をアビラテロン(ABI)および/または化合物7で処理した結果を示す。はp < 0.05を示す。 経口投与された場合に化合物7 (#7)も化合物31 (#31)もともにニクロサミドよりも良好な生物学的利用能を示したことを示す。 化合物7 (#7)は、経口投与された場合に、LuCaP 35CR PDX異種移植片腫瘍成長を抑制し、ニクロサミド(NIC)よりも良好な抗腫瘍活性を示したことを示す。図19A: 腫瘍体積データ(左)および腫瘍の画像(右)を示す。図19B: 腫瘍重量データを示す。図19C: 体重データを示す。図19D: マウス血清サンプルにおけるPSAレベルのデータを示す。はp < 0.05を示す。 化合物7 (#7)および化合物31 (#31)が乳がん細胞成長を阻害したことを示す。図20A: MDA-MB-468細胞のデータを示す。図20B: MCF-7細胞のデータを示す。
発明の詳細な説明
I. 導入
エンザルタミドおよびアビラテロンのような抗アンドロゲン薬に対するがん耐性の発現は、耐性の発現へのいくつかの潜在的な経路が利用可能であることを考えると、ほとんど避けられない。最近の研究によって、抗アンドロゲン薬に対するがん耐性の発現に、アンドロゲン受容体(AR)オルタナティブスプライシング、特にスプライス変種AR-V7が結び付けられている。ARスプライス変種は、同様にドセタキセル耐性と関連している。さらに、エンザルタミドまたはアビラテロンで処置されたがん患者におけるAR-V7発現は、AR-V7を発現しない患者と比較して、有意に低いPSA応答、短い無進行期間、および低い全生存期間と相関することが明らかにされた。
本発明は、部分的には、アンドロゲン受容体変種AR-V1、AR-V3、AR-V7、AR-V9、およびAR-V12を発現するアンドロゲン非依存性前立腺がん細胞を含む、がん細胞の増殖を阻害することができるニクロサミド類似体の発見に基づく。さらに、本発明は、部分的には、本発明のニクロサミド類似体が、がん細胞増殖の阻害において抗アンドロゲン薬と相乗作用することができるという驚くべき発見に基づく。本発明の組成物および方法は、前立腺がんを含む、任意の数のがんを処置するのに有用である。さらに、本明細書において提供される組成物および方法は、アンドロゲン非依存性がん、ならびにAR-V1、AR-V3、AR-V7、AR-V9、およびAR-V12のようなアンドロゲン受容体スプライス変種、またはアンドロゲン受容体の任意の数の変異体変種を発現するがんを処置するのに有用である。
II. 定義
特に別段の指示がない限り、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。さらに、本明細書において記述される方法または材料と類似または同等の任意の方法または材料を本発明の実践において使用することができる。本発明の目的のために、以下の用語が定義される。
本明細書において使用される「1つの(a)」、「1つの(an)」、または「その(the)」という用語は、1つの成員を有する局面を含むだけでなく、2つ以上の成員を有する局面も含む。例えば、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈から明らかにそうでないことが指示されない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「1つの細胞(a cell)」への言及は複数のそのような細胞を含み、「薬剤(the agent)」への言及は当業者に公知の1つまたは複数の薬剤への言及を含む、などである。
本明細書において使用される「約」および「およそ」という用語は、一般に、測定の性質または精度を考慮して、測定された量について許容される程度の誤差を意味するものとする。典型的な例示的な誤差の程度は、所与の値または値の範囲の20パーセント(%)以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内である。あるいは、および特に生体系において、「約」および「およそ」という用語は、所与の値の1桁以内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内にある値を意味し得る。本明細書において示される数量は、特に明記しない限り概算であり、「約」または「およそ」という用語は、明示的に述べられていない場合は推測され得ることを意味する。
本明細書において使用される「対象」、「個体」、および「患者」という用語は、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトをいうために本明細書において互換的に使用される。哺乳動物には、ネズミ、ラット、サル、ヒト、家畜、スポーツ動物、およびペットが含まれるが、これらに限定されることはない。インビボで得られたまたはインビトロで培養された生物学的実体の組織、細胞およびその後代も包含される。
本明細書において使用される場合、「治療有効量」という用語は、示された障害、状態、または精神状態に関して所望の結果を生じるのに十分な投与量を含む。所望の結果は、投与量の、レシピエントにおける主観的または客観的な改善を含み得る。例えば、有効量のニクロサミド類似体(例えば、化合物5、7、11、30、31、またはそれらの組み合わせ)および抗アンドロゲン薬(例えば、エンザルタミド、アパルタミド、酢酸アビラテロン、ビカルタミド、またはそれらの組み合わせ)は、がん、例えば前立腺がんまたは乳がんの徴候、症状、または原因を軽減するのに十分な量を含む。別の例として、有効量のニクロサミド類似体(例えば、化合物5、7、11、30、31、またはそれらの組み合わせ)および抗アンドロゲン薬(例えば、エンザルタミド、アパルタミド、酢酸アビラテロン、ビカルタミド、またはそれらの組み合わせ)は、耐性がん、再発性がん、または進行がん、例えばアンドロゲン非依存性、転移性、去勢抵抗性、去勢再発性、ホルモン耐性、または転移性去勢抵抗性がんの徴候、症状、または原因を軽減するのに十分な量を含む。別の例として、有効量のニクロサミド類似体(例えば、化合物5、7、11、30、31、またはそれらの組み合わせ)および抗アンドロゲン薬(例えば、エンザルタミド、アパルタミド、酢酸アビラテロン、ビカルタミド、またはそれらの組み合わせ)は、がんの発生を予防するのに十分な量を含む。
したがって、治療有効量は、腫瘍成長を遅らせる、反転させる、もしくは抑止する、平均生存時間を増やす、腫瘍の進行もしくは転移を阻害する、またはがん細胞をそれが耐性になったもしくは耐性である制がん薬(例えば、エンザルタミド、アパルタミド、酢酸アビラテロン、またはビカルタミドのような抗アンドロゲン薬)に再感受性化する量であることができる。同様に、例えば、ニクロサミド類似体および抗アンドロゲン薬の組み合わせの有効量は、対象に投与された場合にがんを有する対象において実質的な改善を引き起こすのに十分な量を含む。有効量は、処置されているがんの種類および段階、投与される1つまたは複数の組成物の種類および濃度、ならびに同様に投与される他の薬物の量によって異なり得る。
例えば、量は、処置されているがんの種類、がんの進行段階、適用される1つまたは複数の組成物の種類および濃度、ならびに対象に同様に投与される他の薬物の量によって変わり得る。有効量のニクロサミド類似体(例えば、化合物5、7、11、30、31、またはそれらの組み合わせ)および抗アンドロゲン薬(例えば、エンザルタミド、アパルタミド、酢酸アビラテロン、ビカルタミド、またはそれらの組み合わせ)は、エンザルタミド、アパルタミド、酢酸アビラテロン、またはビカルタミドのような抗アンドロゲン薬の抗がん治療活性を増強するのに有効な量を含むことができる。
本明細書において使用される場合、「処置すること」という用語は、レシピエントの健康状態、例えば患者のがん状態の有益な変化をもたらすための方法および操作を含むが、これらに限定されることはない。変化は主観的または客観的のいずれかであってよく、処置されているがんの症状または徴候のような特徴に関連することができる。例えば、患者が疼痛の減少に気付くなら、疼痛の処置は成功している。例えば、腫れの量の減少が起きたなら、炎症の有益な処置が行われている。同様に、臨床医ががん細胞の数、がん細胞の成長、がん腫瘍の大きさ、またはがん細胞の、別の制がん薬(例えば、エンザルタミド、アパルタミド、酢酸アビラテロン、またはビカルタミドのような抗アンドロゲン薬)に対する耐性の低減のような客観的な変化に気付いたなら、がんの処置は同じく、有益である。レシピエントの状態の悪化を予防することもこの用語に含まれる。本明細書において使用される場合、処置することは同様に、ニクロサミド類似体(例えば、化合物5、7、11、30、31、またはそれらの組み合わせ)および抗アンドロゲン薬(例えば、エンザルタミド、アパルタミド、酢酸アビラテロン、ビカルタミド、またはそれらの組み合わせ)の組み合わせを、がん(例えば、前立腺がん、乳がん、アンドロゲン非依存性がん、転移性がん、去勢抵抗性がん、去勢再発性がん、ホルモン抵抗性がん、または転移性去勢抵抗性がん)を有する患者に投与することを含む。
本明細書において使用される場合、「投与すること」という用語は、本明細書において記述される化合物または組成物、例えば、ニクロサミド類似体および抗アンドロゲン薬の組み合わせの量(例えば、治療有効量)を患者に提供することに関連する活動を含む。投与することは、本明細書において記載される組成物の単位投与量を、それを必要とする患者に提供することを含む。投与することは、特定の期間、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、60、90、120日、もしくはそれ以上の日数の間、あるいは特定の順序で、例えば、ニクロサミド類似体(例えば、化合物5、7、11、30、31、もしくはそれらの組み合わせ)の投与、引き続いて抗アンドロゲン薬(例えば、エンザルタミド、アパルタミド、酢酸アビラテロン、ビカルタミド、もしくはそれらの組み合わせ)の投与、またはその逆で、本明細書において記述される化合物または組成物の有効量を提供することを含む。
本明細書において使用される場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、細胞、生物、または対象への活性剤の投与を補助する物質をいう。「薬学的に許容される担体」とは、本発明の組成物に含めることができ、かつ対象に重大な有害な毒物学的作用を引き起こさない担体または賦形剤をいう。薬学的に許容される担体の非限定的な例としては、水、NaCl、通常の生理食塩水溶液、乳酸加リンゲル液、通常のスクロース、通常のグルコース、結合剤、充填剤、崩壊剤、滑沢剤、コーティング、甘味料、香味料および着色料、リポソーム、分散媒体、マイクロカプセル、カチオン性脂質担体、等張剤ならびに吸収遅延剤などが挙げられる。担体はまた、安定性、無菌性および等張性を製剤に提供するための物質(例えば、抗菌保存料、抗酸化物質、キレート剤および緩衝液)であり、微生物の作用を防止するための物質(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などのような、抗菌剤および抗真菌剤)であり、または製剤に食用風味を提供するための物質、などであり得る。当業者は、他の薬学的担体が本発明において有用であることを認識するであろう。
本明細書において使用される場合、「同時投与する」という用語は、2つまたはそれ以上の構造的に異なる化合物の逐次投与または同時投与を含む。例えば、2つまたはそれ以上の構造的に異なる薬学的に活性な化合物は、2つまたはそれ以上の構造的に異なる活性な薬学的に活性な化合物を含む経口投与に適している薬学的組成物を投与することによって同時投与することができる。別の例として、2つまたはそれ以上の構造的に異なる化合物は、一方の化合物を投与し、次いで他方の化合物を投与することによって同時投与することができる。2つまたはそれ以上の構造的に異なる化合物は、ニクロサミド類似体(例えば、化合物5、7、11、30、31、またはそれらの組み合わせ)および抗アンドロゲン薬(例えば、エンザルタミド、アパルタミド、酢酸アビラテロン、ビカルタミド、またはそれらの組み合わせ)から構成されることができる。いくつかの場合には、同時投与される化合物は同じ経路によって投与される。他の場合には、同時投与される化合物は異なる経路を介して投与される。例えば、一方の化合物を経口投与することができ、他方の化合物を静脈内または腹腔内注射により、例えば逐次または同時に投与することができる。同時または逐次投与される化合物または組成物は、少なくとも1つのニクロサミド類似体および1つの抗アンドロゲン薬が有効な濃度で対象内または細胞内に同時に存在するように投与することができる。
本明細書において使用される場合、「がん」という用語は、制御されない異常細胞成長によって特徴付けられる疾患クラスの任意の成員を含むことが意図される。この用語は、悪性、良性、再発性、軟部組織、または固形として特徴付けられるかどうかを問わず、全ての既知のがんおよび新生物状態、ならびに進行、再発、転移前および転移後のがんを含む全ての段階および悪性度のがんを含む。さらに、この用語は、アンドロゲン非依存性、去勢抵抗性、去勢再発性、ホルモン耐性、薬物耐性、および転移性去勢抵抗性がんを含む。異なる種類のがんの例としては、前立腺がん(例えば、前立腺腺がん); 乳がん(例えば、トリプルネガティブ乳がん、非浸潤性乳管がん、浸潤性腺管がん、管状腺がん、髄様がん、粘液がん、乳頭がん、篩状がん、浸潤性小葉がん、炎症性乳がん、上皮内小葉がん、パジェット病、葉状腫瘍); 婦人科がん(例えば、卵巣がん、子宮頸がん、子宮がん、膣がん、および外陰がん); 肺がん(例えば、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、中皮腫、カルチノイド腫瘍、肺腺がん); 胃がん(gastric cancer)(例えば、胃がん(stomach cancer))、結腸直腸がん、消化管間質腫瘍(GIST)、消化管カルチノイド腫瘍、結腸がん、直腸がん、肛門がん、胆管がん、小腸がん、および食道がんのような消化器がんおよび消化管がん; 甲状腺がん; 胆嚢がん; 肝臓がん; 膵臓がん; 虫垂がん; 腎臓がん(例えば、腎細胞がん); 中枢神経系のがん(例えば、神経膠芽腫、神経芽細胞腫); 皮膚がん(例えば黒色腫); 骨および軟部組織肉腫(例えば:ユーイング肉腫); リンパ腫; 絨毛がん; 泌尿器がん(例えば、尿路上皮膀胱がん); 頭頸部がん; ならびに骨髄および血液のがん(例えば、慢性リンパ性白血病、リンパ腫)が挙げられるが、これらに限定されることはない。本明細書において用いられる場合、「腫瘍」は1つまたは複数のがん性細胞を含む。
本明細書において使用される場合、「前立腺がん」および「前立腺がん細胞」という用語は、前立腺組織に存在するかまたは前立腺組織に由来するがん細胞(cell)または細胞群(cells)をいう。前立腺がんは良性、悪性、または転移性であり得る。前立腺がんは、アンドロゲン非感受性、ホルモン耐性、または去勢抵抗性であり得る。前立腺がんは「進行期前立腺がん」または「進行前立腺がん」であり得る。進行期前立腺がんには、疾患の初期段階を超えて進行した前立腺がんのクラスが含まれる。典型的には、進行期前立腺がんは予後不良と関連している。進行期前立腺がんの種類には、転移性前立腺がん、抗アンドロゲン耐性前立腺がん(例えば、エンザルタミド耐性前立腺がん、アパルタミド耐性前立腺がん、アビラテロン耐性前立腺がん、ビカルタミド耐性前立腺がんなど)、タキサン耐性前立腺がん、ホルモン抵抗性前立腺がん、去勢抵抗性前立腺がん、転移性去勢抵抗性前立腺がん、およびそれらの組み合わせのような薬物耐性前立腺がんが含まれるが、これらに限定されることはない。いくつかの場合には、進行期前立腺がんは一般に、以下の従来の前立腺がん治療のうちの1つまたは複数による処置に応答しないか、または耐性である: エンザルタミド、アビラテロン、ビカルタミド、またはアパルタミド。本発明の化合物、組成物、および方法は、任意の1つまたは複数の種類(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10種、またはそれ以上)の本明細書において開示される進行期前立腺がんを含む、進行期前立腺がんのような、前立腺がんを処置するために提供される。
本明細書において使用される場合、「治療効果を増強する」という語句は、本明細書において論じられるように処置されている状態の有益な応答または改善を示す、いくつかの主観的または客観的要因のいずれかを含む。例えば、抗アンドロゲン薬(例えば、エンザルタミド、アパルタミド、酢酸アビラテロン、ビカルタミド、またはそれらの組み合わせ)の治療効果を増強することは、抗アンドロゲン耐性がん(例えば、抗アンドロゲン耐性前立腺がんまたは乳がん)を抗アンドロゲン療法に対して再感受性化することを含む。また、例えば、抗アンドロゲン薬(例えば、エンザルタミド、アパルタミド、酢酸アビラテロン、ビカルタミド、またはそれらの組み合わせ)の治療効果を増強することは、抗アンドロゲン薬(例えば、エンザルタミド、アパルタミド、酢酸アビラテロン、ビカルタミド、またはそれらの組み合わせ)に対して耐性がないように抗アンドロゲン耐性がん細胞(例えば、抗アンドロゲン耐性前立腺がん細胞または乳がん細胞)を変化させることを含む。また、例えば、抗アンドロゲン薬(例えば、エンザルタミド、アパルタミド、酢酸アビラテロン、ビカルタミド、またはそれらの組み合わせ)の治療効果を増強することは、抗アンドロゲン薬の活性を相加的または相乗的に改善または増大させることを含む。いくつかの態様において、増強は、がん(例えば、前立腺がんもしくは乳がん)を処置するために使用される抗アンドロゲン薬の治療活性の約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、もしくは1000倍の増加を含むか、またはがん(例えば、前立腺がんもしくは乳がん)を処置するために使用される抗アンドロゲン薬の治療活性の少なくとも約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、もしくは1000倍の増加を含む。いくつかの態様において、増強は、がん(例えば、前立腺がんもしくは乳がん)を処置するために使用される抗アンドロゲンの治療活性(例えば、有効性)の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、90%、もしくは100%の増加を含むか、またはがん(例えば、前立腺がんもしくは乳がん)を処置するために使用される抗アンドロゲンの治療活性(例えば、有効性)の少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、90%、もしくは100%の増加を含む。
本明細書において使用される場合、化合物または薬物に対して「がん細胞抵抗性を反転する」、「がん細胞抵抗性を低減する」または「がん細胞抵抗性を再感受性化する」という用語は、抗アンドロゲン療法にもはや耐性ではないか、または抗アンドロゲン療法に耐性が低いように抗アンドロゲン療法(例えば、エンザルタミド、アビラテロン、ビカルタミド、またはアパルタミド)のような治療に耐性であるがん細胞を変化させるか、または改変することを含む。したがって、本明細書において使用される場合、抗アンドロゲンに対して「前立腺がん細胞抵抗性を反転させる」という語句は、抗アンドロゲン療法にもはや耐性ではないか、または抗アンドロゲン療法に耐性が低いように抗アンドロゲン(例えば、エンザルタミド、アビラテロン、ビカルタミド、またはアパルタミド)療法に耐性である前立腺がん細胞を変化させるか、または改変することを含む。
本明細書において使用される場合、「抗アンドロゲン薬」または「抗アンドロゲン」という語句は、アンドロゲン受容体を遮断すること、細胞表面上の結合部位について競合すること、またはアンドロゲン産生に影響を及ぼすもしくはアンドロゲン産生を媒介することによってアンドロゲン経路を変化させる抗アンドロゲン化合物を含む。抗アンドロゲンは、がん(例えば、前立腺がんまたは乳がん)を含むが、これらに限定されない、いくつかの疾患を処置するのに有用である。抗アンドロゲン薬には、非ステロイド性アンドロゲン受容体(AR)アンタゴニストおよびCYP17A1阻害剤(すなわち、チトクロームP450 17A1の阻害剤であるアンドロゲン合成阻害剤)が含まれるが、これらに限定されることはない。非ステロイド性ARアンタゴニストは、非限定的な例として、第一世代薬(例えば、ビカルタミド、フルタミド、およびニルタミド)、第二世代薬(例えば、アパルタミド、ダロルタミド、およびエンザルタミド)、ならびにシメチジンおよびトピルタミドのような他のものを含む。典型的には、非ステロイド性ARアンタゴニストは選択的ARアンタゴニストであり、そして抗ゴナドトロピン活性をほとんどまたは全く有しない。CYP17A1阻害剤の非限定的な例としては、酢酸アビラテロン、ケトコナゾール、およびセビテロネルが挙げられる。
本明細書において使用される場合、「AR変種」という用語は、完全長ARのスプライス変種または変異体変種を含む。ヒトARのアイソフォーム1のアミノ酸配列は、NCBI Reference Sequence NP_000035.2 (SEQ ID NO:1)に記載されている。さまざまなARスプライス変種が知られている。Guo et al., Cancer Res. 2009 Mar 15;69(6):2305-13を参照されたい。例示的なARスプライス変種としては、AR-V1、AR-V3、AR-V7、AR-V9、およびAR-V12、ならびに機能的リガンド結合ドメイン(LBD)を欠く変種が挙げられるが、これらに限定されることはない。LBDを欠くARスプライス変種の例はAR-V7である。「AR-V7」は、機能的LBDを欠くARの構成的に活性な変種であるアンドロゲン受容体スプライス変種7を含む。例えば、Hu et al., Cancer Research, 69(1):16-22 (2009)を参照されたい。さまざまなAR変異体変種も知られている。例えば、Marcelli et al., Cancer Research 60(4):944-949 (2000)およびBrooke et al., Curr. Genomics, 10(1):18-25 (2009)を参照されたい。AR変異は、とりわけ、補因子結合の変化および/またはリガンド特異性の低下をもたらすことができ、このどちらもがん細胞に成長上の利点を与え得る。変異は、AR内の任意の数の位置で起こり得る。AR変異体変種の非限定的な例としては、SEQ ID NO:1に記載されているアミノ酸配列と比べて、K581、L702、V716、T878位、またはそれらの任意の組み合わせの位置にアミノ酸置換を有するものが挙げられる。所与の位置の野生型アミノ酸を他の任意のアミノ酸と置き換えることができる。いくつかの場合には、AR変異体変種は、K581R、L702H、V716M、およびT878Aからなる群より選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を含む。
AR-V1、AR-V3、AR-V7、およびAR-V12のヒトアミノ酸配列の非限定的な例は、それぞれ、NCBI Reference Sequences ACN39560.1、ACN39563.1、ACN39559.1、およびACZ81436.1の下に記載されている。AR-V9アミノ酸配列の非限定的な例は、SEQ ID NO:2の下に記載されている。
本明細書において用いられる場合、「アルキル」という用語は、示された数の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の飽和脂肪族基をいう。アルキルはC1~2、C1~3、C1~4、C1~5、C1~6、C1~7、C1~8、C2~3、C2~4、C2~5、C2~6、C3~4、C3~5、C3~6、C4~5、C4~6およびC5~6のような、任意の数の炭素を含むことができる。例えば、C1~6アルキルはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルなどを含むが、これらに限定されることはない。アルキルは、限定されるものではないが、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなどのような、20個までの炭素原子を有するアルキル基をいうことができる。アルキル基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アルコキシ、ハロアルキル、カルボキシ、アミド、ニトロ、オキソ、およびシアノから選択される1つまたは複数の部分で置換されていてもよい。
本明細書において使用される場合、「アルケニル」という用語は、少なくとも2個の炭素原子および少なくとも1個の二重結合を有する直鎖または分枝鎖の炭化水素をいう。アルケニルは、C2、C2~3、C2~4、C2~5、C2~6、C2~7、C2~8、C2~9、C2~10、C3、C3~4、C3~5、C3~6、C4、C4~5、C4~6、C5、C5~6、およびC6のような、任意の数の炭素を含むことができる。アルケニル基は、1、2、3、4、5個またはそれ以上を含むが、これらに限定されない、任意の適当な数の二重結合を有することができる。アルケニル基の例としては、ビニル(エテニル)、プロペニル、イソプロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、イソブテニル、ブタジエニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、イソペンテニル、1,3-ペンタジエニル、1,4-ペンタジエニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、1,3-ヘキサジエニル、1,4-ヘキサジエニル、1,5-ヘキサジエニル、2,4-ヘキサジエニル、または1,3,5-ヘキサトリエニルが挙げられるが、これらに限定されることはない。アルケニル基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アルコキシ、ハロアルキル、カルボキシ、アミド、ニトロ、オキソ、およびシアノから選択される1つまたは複数の部分で置換されていてもよい。
本明細書において使用される場合、「アルキニル」という用語は、少なくとも2個の炭素原子および少なくとも1個の三重結合を有する直鎖または分枝鎖のいずれかの炭化水素をいう。アルキニルは、C2、C2~3、C2~4、C2~5、C2~6、C2~7、C2~8、C2~9、C2~10、C3、C3~4、C3~5、C3~6、C4、C4~5、C4~6、C5、C5~6、およびC6のような、任意の数の炭素を含むことができる。アルキニル基の例としては、アセチレニル、プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、イソブチニル、sec-ブチニル、ブタジイニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、イソペンチニル、1,3-ペンタジイニル、1,4-ペンタジイニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、1,3-ヘキサジイニル、1,4-ヘキサジイニル、1,5-ヘキサジイニル、2,4-ヘキサジイニル、または1,3,5-ヘキサトリイニルが挙げられるが、これらに限定されることはない。アルキニル基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アルコキシ、ハロアルキル、カルボキシ、アミド、ニトロ、オキソ、およびシアノから選択される1つまたは複数の部分で置換されていてもよい。
本明細書において使用される場合、「ハロ」および「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素をいう。
本明細書において使用される場合、「アルコキシ」という用語は、アルキル基を結合点に結び付ける酸素原子を有するアルキル基、すなわちアルキル-O-をいう。アルキル基に関しては、アルコキシ基は、C1~6またはC1~4のような、任意の適当な数の炭素原子を有することができる。アルコキシ基は、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、2-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシなどを含む。アルコキシ基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アルコキシ、ハロアルキル、カルボキシ、アミド、ニトロ、オキソ、およびシアノから選択される1つまたは複数の部分で置換されていてもよい。
本明細書において使用される場合、「オキソ」という用語は、化合物に二重結合している酸素原子(すなわちO=)をいう。
本明細書において使用される場合、「ハロアルキル」という用語は、少なくとも1個のハロゲン原子で置換されている上記で定義されたようなアルキル部分をいう。
本明細書において使用される場合、「カルボキシ」という用語は、部分-C(O)OHをいう。カルボキシ部分をイオン化してカルボキシレートアニオンを形成させることができる。
本明細書において使用される場合、「アミノ」という用語は、各R基がHまたはアルキルである部分-NR3をいう。
本明細書において使用される場合、「アミド」という用語は、部分-NRC(O)Rまたは-C(O)NR2をいい、式中で各R基はHまたはアルキルである。
「相乗作用」または「相乗効果」という用語は、個々の化合物の効果の合計によって生じる効果よりも大きい、2つまたはそれ以上の化合物(例えば、抗アンドロゲン薬またはニクロサミド類似体)によって生じる効果(すなわち、加算効果よりも大きい効果)をいう。薬物の組み合わせが相乗効果を生み出すかどうかを決定するためのいくつかの方法が利用可能である。非限定的な例として、最高単一薬剤(Highest Single Agent)アプローチは、薬物の組み合わせの結果的な効果(EAB)が、個々の薬物の効果(EAおよびEB)よりも大きいという事実を単純に反映している。組み合わせインデックス(CI)は、次の式:
Figure 0007300386000011
によって計算することができる。
別の非限定的な例として、応答加法(Response Additivity)アプローチによれば、EABが個々の薬物の予想される相加効果(EAおよびEB)より大きい場合に相乗的な薬物併用効果が生じる。ここで、CIは次の式:
Figure 0007300386000012
を使用して計算される。
さらに別の非限定的な例として、Bliss独立モデルは、薬物効果が確率的プロセスの結果であるという原則に基づいており、薬物が互いに干渉しないように独立して作用する(すなわち、作用部位が異なる)と仮定している。しかしながら、このモデルでは、各薬物が共通の結果の生成に寄与することも想定している。この方法によれば、観測された組み合わせ効果は確率(0≦EAB≦1)として表され、以下の:
EA + EB (1-EA) = EA + EB - EAEB
として表される予想される相加効果と比較され、ここで0 ≦ EA ≦ 1および0 ≦ EB ≦ 1である。この方法のCIは次の式:
Figure 0007300386000013
を使用して計算される。
相乗効果を同定する方法は、全ての目的のために全体が参照により本明細書に組み入れられるFoucquier J. and Guedj M. Pharmacology Research & Perspectives (2015) (3)3:e00149にさらに論じられている。
III. 態様の説明
A. 組成物
本発明は、抗アンドロゲン薬およびニクロサミド類似体を含む組成物を提供する。ニクロサミド((5-クロロ-N-2-クロロ-4-ニトロ-フェニル)-2-ヒドロキシベンズアミド)は、ヒトサナダムシに対して有効な食品医薬品局(FDA)承認薬である。ニクロサミドの化学構造は以下:
Figure 0007300386000014
に示される。
本明細書において使用される場合、「ニクロサミド類似体」という用語は、構造類似体(すなわち、ニクロサミドと構造類似性を有する化合物)を含む。ニクロサミドの構造類似体は、1つもしくは複数の原子、官能基、または部分構造がニクロサミドと異なり得る。この用語はまた、ニクロサミド類似体の誘導体、ならびにニクロサミド類似体およびその誘導体に変換されるプロドラッグを含む。ニクロサミド類似体の薬学的に許容される塩のような、塩も含まれる。
いくつかの態様において、ニクロサミド類似体は式(I)の化合物:
Figure 0007300386000015
である。
いくつかの態様において、R1は、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; R2は、H、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; R3は、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; かつR4は、HおよびC(O)R5からなる群より選択され、ここでR5は、H、置換されていてもよいC1~18アルキル、置換されていてもよいC2~18アルケニル、および置換されていてもよいC2~18アルキニルからなる群より選択され; かつここで各Xは独立して選択されるハロゲンである。いくつかの場合には、R1はCX3またはNO2である。他の場合には、R2はHまたはXである。いくつかの他の場合には、R3はXである。他の場合には、R5はC2アルキルまたはC2アルケニルである。特定の場合には、Xは、FおよびClからなる群より独立して選択される。
いくつかの態様において、R1はCX3 (例えば、CF3)であり、かつR2はHまたはX (例えば、Cl)である。いくつかの態様において、R1はCX3であり、R3はX (例えば、Cl)であり、かつR4はHである。いくつかの態様において、R1はCX3 (例えば、CF3)であり、R2はHまたはX (例えば、Cl)であり、R3はX (例えば、Cl)であり、かつR4はHである。いくつかの態様において、R1はNO2であり、かつR4
Figure 0007300386000016
である。いくつかの態様において、R2はX (例えば、Cl)であり、かつR4
Figure 0007300386000017
である。いくつかの態様において、R3はX (例えば、Cl)であり、かつR4
Figure 0007300386000018
である。いくつかの態様において、R1はNO2であり、R2はX (例えば、Cl)であり、R3はX (例えば、Cl)であり、かつR4
Figure 0007300386000019
である。
いくつかの態様において、R2がClであり、R3がClであり、かつR4がHである場合、R1はNO2ではない。いくつかの態様において、R1がNO2であり、R3がClであり、かつR4がHである場合、R2はClではない。いくつかの態様において、R1がNO2であり、R2がClであり、かつR4がHである場合、R3はClではない。いくつかの態様において、R1がNO2であり、R2がClであり、かつR3がClである場合、R4はHではない。
特定の態様において、式(I)の化合物は、
Figure 0007300386000020
およびその組み合わせからなる群より選択される。
いくつかの態様において、ニクロサミド類似体は式(II)の化合物:
Figure 0007300386000021
である。
いくつかの態様において、R6およびR7は、H、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より独立して選択され; R8は、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; かつR9は、HおよびC(O)R10からなる群より選択され、ここでR10は、H、置換されていてもよいC1~18アルキル、置換されていてもよいC2~18アルケニル、および置換されていてもよいC2~18アルキニルからなる群より選択され; かつここで各Xは独立して選択されるハロゲンである。いくつかの場合には、R6および/またはR7はCX3である。いくつかの他の場合には、R8はXである。いくつかの場合には、R9はHである。特定の場合において、Xは、FおよびClからなる群より独立して選択される。
いくつかの態様において、R6およびR7はCX3 (例えば、CF3)である。いくつかの態様において、R6およびR7はCX3 (例えば、CF3)であり、かつR8はX (例えば、Cl)である。いくつかの態様において、R6およびR7はCX3 (例えば、CF3)であり、かつR9はHである。いくつかの態様において、式(II)の化合物は
Figure 0007300386000022
である。
いくつかの態様において、R7がFであり、R8がClであり、かつR9がHである場合、R6はFではない。いくつかの態様において、R6がFであり、R8がClであり、かつR9がHである場合、R7はFではない。
いくつかの態様において、式(I)または(II)の化合物は、ニクロサミドまたは化合物1、2、8、17、29、34、もしくは35ではない。
いくつかの態様において、ニクロサミド類似体は、式(I)の化合物および式(II)の化合物である。
いくつかの態様において、本発明の組成物は、約0.1 μM~10 μM (例えば、約0.1 μM、0.2 μM、0.3 μM、0.4 μM、0.5 μM、0.6 μM、0.7 μM、0.8 μM、0.9 μM、1 μM、1.1 μM、1.2 μM、1.3 μM、1.4 μM、1.5 μM、1.6 μM、1.7 μM、1.8 μM、1.9 μM、2 μM、2.1 μM、2.2 μM、2.3 μM、2.4 μM、2.5 μM、2.6 μM、2.7 μM、2.8 μM、2.9 μM、3 μM、3.5 μM、4 μM、4.5 μM、5 μM、5.5 μM、6 μM、6.5 μM、7 μM、7.5 μM、8 μM、8.5 μM、9 μM、9.5 μM、または10 μM)の濃度で、1つまたは複数のニクロサミド類似体を含む。特定の態様において、濃度は約0.1 μM、0.11 μM、0.12 μM、0.13 μM、0.14 μM、0.15 μM、0.16 μM、0.17 μM、0.18 μM、0.19 μM、0.2 μM、0.21 μM、0.22 μM、0.23 μM、0.24 μM、0.25 μM、0.26 μM、0.27 μM、0.28 μM、0.29 μM、0.3 μM、0.31 μM、0.32 μM、0.33 μM、0.34 μM、0.35 μM、0.36 μM、0.37 μM、0.38 μM、0.39 μM、または0.4 μMである。他の態様において、1つまたは複数のニクロサミド類似体は約10 μM~1,000 μM (例えば、約10 μM、11 μM、12 μM、13 μM、14 μM、15 μM、16 μM、17 μM、18 μM、19 μM、20 μM、25 μM、30 μM、35 μM、40 μM、45 μM、50 μM、55 μM、60 μM、65 μM、70 μM、75 μM、80 μM、85 μM、90 μM、95 μM、100 μM、150 μM、200 μM、250 μM、300 μM、350 μM、400 μM、450 μM、500 μM、550 μM、600 μM、650 μM、700 μM、750 μM、800 μM、850 μM、900 μM、950 μM、または1,000 μM)の濃度で存在する。いくつかの例では、ニクロサミド類似体またはそれらの組み合わせは、約0.25 μMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの他の例では、ニクロサミド類似体またはそれらの組み合わせは、約0.5 μMの濃度で組成物中に存在する。他の例では、ニクロサミド類似体またはそれらの組み合わせは、約1.0 μMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの他の例では、ニクロサミド類似体またはそれらの組み合わせは、約1.5 μMの濃度で組成物中に存在する。
本発明の組成物は、ニクロサミド類似体および抗アンドロゲン薬を含む。抗アンドロゲン薬は、非ステロイド性アンドロゲン受容体(AR)アンタゴニストおよびCYP17A1阻害剤を含む。適当な非ステロイド性ARアンタゴニストは、ビカルタミド(カソデックス(Casodex)、コスデックス(Cosudex)、カルチド(Calutide)、カルミド(Kalumid))、フルタミド、ニルタミド、アパルタミド(ARN-509、JNJ-56021927)、ダロルタミド、エンザルタミド(イクスタンジ(Xtandi))、シメチジンおよびトピルタミドを含む。適当なCYP17A1阻害剤は、酢酸アビラテロン(ザイティガ(Zytiga))、ケトコナゾール、およびセビテロネルを含む。抗アンドロゲン薬の任意の組み合わせを本発明の組成物において使用することができる。
いくつかの態様において、本発明の組成物は、約0.1 μM~10 μM (例えば、約0.1 μM、0.2 μM、0.3 μM、0.4 μM、0.5 μM、0.6 μM、0.7 μM、0.8 μM、0.9 μM、1 μM、1.1 μM、1.2 μM、1.3 μM、1.4 μM、1.5 μM、1.6 μM、1.7 μM、1.8 μM、1.9 μM、2 μM、2.1 μM、2.2 μM、2.3 μM、2.4 μM、2.5 μM、2.6 μM、2.7 μM、2.8 μM、2.9 μM、3 μM、3.5 μM、4 μM、4.5 μM、5 μM、5.5 μM、6 μM、6.5 μM、7 μM、7.5 μM、8 μM、8.5 μM、9 μM、9.5 μM、または10 μM)の濃度で、1つまたは複数の抗アンドロゲン薬を含む。他の態様において、1つまたは複数の抗アンドロゲン薬は、約10 μM~100 μM (例えば、約10 μM、11 μM、12 μM、13 μM、14 μM、15 μM、16 μM、17 μM、18 μM、19 μM、20 μM、25 μM、30 μM、35 μM、40 μM、45 μM、50 μM、55 μM、60 μM、65 μM、70 μM、75 μM、80 μM、85 μM、90 μM、95 μM、または100 μM)の濃度で存在する。いくつかの他の態様において、1つまたは複数の抗アンドロゲン薬は、約100 μM~1,000 μM (例えば、約100 μM、150 μM、200 μM、250 μM、300 μM、350 μM、400 μM、450 μM、500 μM、550 μM、600 μM、650 μM、700 μM、750 μM、800 μM、850 μM、900 μM、950 μM、または1,000 μM)の濃度で組成物中に存在する。いくつかの例では、抗アンドロゲン薬またはそれらの組み合わせは、約5 μMの濃度で存在する。他の例では、抗アンドロゲン薬またはそれらの組み合わせは、約20 μMの濃度で存在する。
本発明の組成物は、変異体変種およびスプライス変種を含む、アンドロゲン受容体(AR)変種を阻害するのに有用である。特に、多くのARスプライス変種および変異体変種は、アンドロゲン非依存性がんおよびホルモン耐性がんと関連している。AR変異体変種のうち、本発明の組成物は、T878A、K581R、L702HおよびV716M AR変異体変種、ならびにそれらの組み合わせを阻害するのに有用である。ARスプライス変種のうち、本発明の組成物は、AR-V1、AR-V3、AR-V7、AR-V9、およびAR-V12スプライス変種阻害剤として有用である。本発明の1つの局面において、AR-V1、AR-V3、AR-V7、AR-V9、および/またはAR-V12の阻害は、薬物耐性がん細胞(例えば、前立腺がん細胞)を抗アンドロゲン薬(例えば、ビカルタミド、エンザルタミド、アパルトミドおよび酢酸アルビラテロン)のようながん治療薬に再感受性化することができる。本発明の別の局面において、AR-V1、AR-V3、AR-V7、AR-V9、および/またはAR-V12の阻害は、抗アンドロゲン薬(例えば、ビカルタミド、エンザルタミド、アパルタミド、および酢酸アルビラテロン)、ならびにそれらの組み合わせの有効性を増強することができる。
本発明の化合物は、AR-V1、AR-V3、AR-V7、AR-V9、および/またはAR-V12の転写、翻訳、安定性、または活性を阻害することができる。AR-V1、AR-V3、AR-V7、AR-V9、および/またはAR-V12活性の阻害は、アンドロゲン応答エレメント(ARE)へのAR-V1、AR-V3、AR-V7、AR-V9、および/またはAR-V12の動員の阻害を含むことができる。いくつかの態様において、AR-V1、AR-V3、AR-V7、AR-V9、および/またはAR-V12活性の阻害は、PSAプロモーターへのAR-V1、AR-V3、AR-V7、AR-V9、および/またはAR-V12の動員の阻害を含むことができる。いくつかの態様において、AR-V1、AR-V3、AR-V7、AR-V9、および/またはAR-V12活性の阻害は、PSAプロモーターのAR-V1-、AR-V3-、AR-V7-、AR-V9-、および/またはAR-V12-誘導活性化の阻害を含むことができる。いくつかの態様において、AR-V1、AR-V3、AR-V7、AR-V9、および/またはAR-V12活性の阻害は、AR-V1-、AR-V3-、AR-V7-、AR-V9-、および/またはAR-V12-誘導PSA産生の阻害を含むことができる。例えば、AR-V1、AR-V3、AR-V7、AR-V9、および/またはAR-V12の阻害は、DHTの非存在下でのPSAの産生の阻害を含むことができる。
本発明は同様に、薬物耐性がん、転移性がん、去勢抵抗性がん、またはそれらの組み合わせのような、進行期がんを有する患者に合わせたそのような組成物を提供する。いくつかの例では、進行期がんは、薬物耐性前立腺がん、転移性前立腺がん、去勢抵抗性前立腺がん、またはそれらの組み合わせのような進行期前立腺がんである。他の例では、進行期がんは、薬物耐性乳がん、転移性乳がん、またはそれらの組み合わせのような、進行期乳がんである。
B. 薬学的組成物
本発明の薬学的組成物は、ニクロサミド類似体(例えば、化合物5、7、11、30、31、またはそれらの組み合わせ)、抗アンドロゲン薬(例えば、ビカルタミド、アパルタミド、エンザルタミド、酢酸アビラテロン、またはそれらの組み合わせ)、ならびに薬学的に許容される担体および/または賦形剤もしくは希釈剤を含む組成物を包含する。そのような組成物は動物またはヒトにおける薬学的使用に適している。
本発明の薬学的組成物は、製薬分野において周知の方法のいずれかによって調製され得る。本発明での使用に適した薬学的に許容される担体には、リン酸緩衝生理食塩水、水、および乳濁液(油/水型または水/油型乳濁液のような)、ならびにさまざまなタイプの湿潤剤および/または補助剤を含めて、標準的な薬学的担体、緩衝液ならびに賦形剤のいずれかが含まれる。適当な薬学的担体およびそれらの製剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Co., Easton, 19th ed. 1995)に記述されている。好ましい薬学的担体は、活性剤の意図された投与方法に依存する。
本発明の薬学的組成物は、活性成分として薬物の組み合わせ(例えば、化合物5、7、11、30、および/または31のようなニクロサミド類似体ならびにエンザルタミド、アビラテロン、ビカルタミド、および/またはアパルタミドのような抗アンドロゲン薬)、または薬学的に許容されるその塩ならびに薬学的に許容される担体および/もしくは賦形剤または希釈剤の組み合わせを含むことができる。薬学的組成物は他の治療成分を任意で含有してもよい。
本発明の組成物(すなわち、ニクロサミド類似体および抗アンドロゲン薬の組み合わせ)は、従来の薬学的配合技法によって適当な薬学的担体および/または賦形剤と緊密に混合した活性成分として組み合わせることができる。投与に望ましい調製物の形態に適した任意の担体および/または賦形剤は、本明細書において開示されている化合物とともに使用するために企図されている。
薬学的組成物は、局所投与、非経口投与、肺投与、経鼻投与、直腸投与、または経口投与に適したものを含む。任意の所与の場合における最も適当な投与経路は、部分的には、がん(例えば、前立腺がんまたは乳がん)状態の性質および重症度、また任意で、がんの病期に依存するであろう。
他の薬学的組成物には、全身(経腸または非経口)投与に適したものが含まれる。全身投与には、経口投与、直腸投与、舌下投与、または唇下投与が含まれる。非経口投与には、例えば、静脈内、筋肉内、細動脈内、皮内、皮下、腹腔内、脳室内、および頭蓋内が含まれる。他の送達様式には、リポソーム製剤、静脈内注入、経皮パッチなどの使用が含まれるが、これらに限定されることはない。特定の態様において、本発明の薬学的組成物は腫瘍内に投与され得る。
経肺投与用の組成物には、本明細書において記述される化合物またはその塩の粉末、ならびに適当な担体および/または滑沢剤の粉末からなる乾燥粉末組成物が含まれるが、これらに限定されることはない。経肺投与用の組成物は、当業者に公知の任意の適当な乾燥粉末吸入具装置から吸入することができる。
全身投与用の組成物には、本明細書において記載の組成物ならびに適当な担体および/または賦形剤の粉末からなる乾燥粉末組成物が含まれるが、これらに限定されることはない。全身投与用の組成物は、錠剤、カプセル、ピル、シロップ、液体および懸濁液によって表すことができるが、これらに限定されることはない。
いくつかの態様において、本発明は、薬学的界面活性剤をさらに含む組成物を提供する。他の態様において、本発明は、抗凍結剤をさらに含む組成物を提供する。いくつかの態様において、抗凍結剤は、グルコース、スクロース、トレハロース、ラクトース、グルタミン酸ナトリウム、PVP、HPβCD、CD、グリセロール、マルトース、マンニトール、およびサッカロースからなる群より選択される。
本発明で使用するための薬学的組成物または医薬は、1つまたは複数の生理学的に許容される担体または賦形剤を用いて標準的な技法によって製剤化することができる。適当な薬学的担体は、本明細書においておよびRemington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Ed., University of the Sciences in Philadelphia, Lippencott Williams & Wilkins (2005)に記述されている。
本発明の組成物の制御放出非経口製剤は、インプラント、油性注射液として、または微粒子系として作製することができる。送達システムの広範な概説については、参照により本明細書に組み入れられるBanga, A.J., THERAPEUTIC PEPTIDES AND PROTEINS: FORMULATION, PROCESSING, AND DELIVERY SYSTEMS, Technomic Publishing Company, Inc., Lancaster, PA, (1995)を参照されたい。微粒子系には、ミクロスフェア、ミクロ粒子、マイクロカプセル、ナノカプセル、ナノスフェア、およびナノ粒子が含まれる。
ポリマーは本発明の組成物のイオン制御放出のために使用することができる。制御薬物送達に使用するためのさまざまな分解性および非分解性ポリマーマトリックスが、当技術分野において公知である(Langer R., Accounts Chem. Res., 26:537-542 (1993))。例えば、ブロックコポリマー、ポロキサマー 407は、低温で粘性であるが流動性の液体として存在するものの、体温では半固体のゲルを形成する。それは、組み換えインターロイキン2およびウレアーゼの製剤化および持続送達のための有効な媒体であることが示されている(Johnston et al., Pharm. Res., 9:425-434 (1992); およびPec et al., J. Parent. Sci. Tech., 44(2):58 65 (1990))。あるいは、タンパク質の制御放出のためのマイクロキャリアとしてヒドロキシアパタイトが使用されている(Ijntema et al., Int. J. Pharm., 112:215-224 (1994))。さらに別の局面において、脂質カプセル化薬物の制御放出および薬物標的化のためにリポソームが使用される(Betageri et al., LIPOSOME DRUG DELIVERY SYSTEMS, Technomic Publishing Co., Inc., Lancaster, PA (1993))。治療用タンパク質の制御送達のための多数のさらなる系が知られている。例えば、米国特許第5,055,303号、同第5,188,837号、同第4,235,871号、同第4,501,728号、同第4,837,028号、同第4,957,735号および同第5,019,369号、同第5,055,303号; 同第5,514,670号; 同第5,413,797号; 同第5,268,164号; 同第5,004,697号; 同第4,902,505号; 同第5,506,206号、同第5,271,961号; 同第5,254,342号、および同第5,534,496号を参照されたく、これらの各々が参照により本明細書に組み入れられる。
C. がんを予防および処置するための方法
いくつかの態様において、本発明は、患者におけるがん(例えば、前立腺がん、乳がん、またはアンドロゲン非依存性がん)を予防または処置する方法であって、有効量のニクロサミド類似体および抗アンドロゲン薬を患者に投与する段階を含む、該方法、を提供する。
いくつかの態様において、ニクロサミド類似体は式(I)の化合物:
Figure 0007300386000023
である。
いくつかの態様において、R1は、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; R2は、H、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; R3は、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; かつR4は、HおよびC(O)R5からなる群より選択され、ここでR5は、H、置換されていてもよいC1~18アルキル、置換されていてもよいC2~18アルケニル、および置換されていてもよいC2~18アルキニルからなる群より選択され; かつここで各Xは独立して選択されるハロゲンである。いくつかの場合には、R1はCX3またはNO2である。他の場合には、R2はHまたはXである。いくつかの他の場合には、R3はXである。他の場合には、R5はC2アルキルまたはC2アルケニルである。特定の場合には、Xは、FおよびClからなる群より独立して選択される。
いくつかの態様において、R1はCX3 (例えば、CF3)であり、かつR2はHまたはX (例えば、Cl)である。いくつかの態様において、R1はCX3であり、R3はX (例えば、Cl)であり、かつR4はHである。いくつかの態様において、R1はCX3 (例えば、CF3)であり、R2はHまたはX (例えば、Cl)であり、R3はX (例えば、Cl)であり、かつR4はHである。いくつかの態様において、R1はNO2であり、かつR4
Figure 0007300386000024
である。いくつかの態様において、R2はX (例えば、Cl)であり、かつR4
Figure 0007300386000025
である。いくつかの態様において、R3はX (例えば、Cl)であり、かつR4
Figure 0007300386000026
である。いくつかの態様において、R1はNO2であり、R2はX (例えば、Cl)であり、R3はX (例えば、Cl)であり、かつR4
Figure 0007300386000027
である。
いくつかの態様において、R2がClであり、R3がClであり、かつR4がHである場合、R1はNO2ではない。いくつかの態様において、R1がNO2であり、R3がClであり、かつR4がHである場合、R2はClではない。いくつかの態様において、R1がNO2であり、R2がClであり、かつR4がHである場合、R3はClではない。いくつかの態様において、R1がNO2であり、R2がClであり、かつR3がClである場合、R4はHではない。
特定の態様において、式(I)の化合物は、
Figure 0007300386000028
およびその組み合わせからなる群より選択される。
いくつかの態様において、ニクロサミド類似体は式(II)の化合物:
Figure 0007300386000029
である。
いくつかの態様において、R6およびR7は、H、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より独立して選択され; R8は、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; かつR9は、HおよびC(O)R10からなる群より選択され、ここでR10は、H、置換されていてもよいC1~18アルキル、置換されていてもよいC2~18アルケニル、および置換されていてもよいC2~18アルキニルからなる群より選択され; かつここで各Xは独立して選択されるハロゲンである。いくつかの場合には、R6および/またはR7はCX3である。いくつかの他の場合には、R8はXである。いくつかの場合には、R9はHである。特定の場合において、Xは、FおよびClからなる群より独立して選択される。
いくつかの態様において、R6およびR7はCX3 (例えば、CF3)である。いくつかの態様において、R6およびR7はCX3 (例えば、CF3)であり、かつR8はX (例えば、Cl)である。いくつかの態様において、R6およびR7はCX3 (例えば、CF3)であり、かつR9はHである。いくつかの態様において、式(II)の化合物は
Figure 0007300386000030
である。
いくつかの態様において、R7がFであり、R8がClであり、かつR9がHである場合、R6はFではない。いくつかの態様において、R6がFであり、R8がClであり、かつR9がHである場合、R7はFではない。
いくつかの態様において、式(I)または(II)の化合物はニクロサミドまたは化合物1、2、8、17、29、34、もしくは35ではない。
いくつかの態様において、ニクロサミド類似体は、式(I)の化合物および式(II)の化合物である。
いくつかの態様において、抗アンドロゲン薬は、非ステロイド性ARアンタゴニスト、CYP17A1阻害剤、またはそれらの組み合わせである。適当な非ステロイド性ARアンタゴニストは、ビカルタミド(カソデックス(Casodex)、コスデックス(Cosudex)、カルチド(Calutide)、カルミド(Kalumid))、フルタミド、ニルタミド、アパルタミド(ARN-509、JNJ-56021927)、ダロルタミド、エンザルタミド(イクスタンジ(Xtandi))、シメチジンおよびトピルタミドを含む。適当なCYP17A1阻害剤は、酢酸アビラテロン(ザイティガ(Zytiga))、ケトコナゾール、およびセビテロネルを含む。抗アンドロゲン薬の任意の組み合わせを本発明の方法において使用することができる。
これらの態様のいくつかにおいて、がんは進行期がんである。これらの態様のいくつかにおいて、がんは薬物耐性である。これらの態様のいくつかにおいて、がんは抗アンドロゲン薬耐性またはアンドロゲン非依存性である。これらの態様のいくつかにおいて、がんは転移性である。これらの態様のいくつかにおいて、がんは転移性かつ薬物耐性(例えば、抗アンドロゲン薬耐性)である。これらの態様のいくつかにおいて、がんは去勢抵抗性である。これらの態様のいくつかにおいて、がんは転移性かつ去勢抵抗性である。これらの態様のいくつかにおいて、がんはエンザルタミド耐性である。これらの態様のいくつかにおいて、がんはエンザルタミドおよびアルビラテロン耐性である。これらの態様のいくつかにおいて、がんはエンザルタミド、アルビラテロン、およびビカルタミド耐性である。これらの態様のいくつかにおいて、がんはエンザルタミド、アルビラテロン、ビカルタミド、およびアパルタミド耐性である。他の態様において、がんは(例えば、ドセタキセル、カバジタキセル、パクリタキセル)耐性である。がん(例えば、前立腺がんまたは乳がん)はこれらの薬物の任意の組み合わせに対して抵抗性であり得る。
いくつかの態様において、処置は、がん細胞(例えば、前立腺がん細胞もしくは乳がん細胞)成長の阻害、がん細胞増殖の阻害、がん細胞遊走の阻害、がん細胞浸潤の阻害、がんの症状の改善、がん腫瘍のサイズの低減、がん腫瘍の数の低減、がん細胞の数の低減、がん細胞の壊死、ピロトーシス、腫瘍症、アポトーシス、自食作用、もしくは他の細胞死の誘導、またはニクロサミド類似体および抗アンドロゲン薬を含む組成物もしくは薬学的組成物の治療効果の増強を含む。特定の場合において、対象はがんを有していない。
本明細書において記述されるがん(例えば、前立腺がん、乳がん、アンドロゲン非依存性がん、または薬物耐性がん)を処置する特定の方法において、処置は、抗アンドロゲン薬(例えば、非ステロイド性アンドロゲン受容体アンタゴニストまたはCYP17A1阻害剤)の治療効果の増強を含む。ある種の態様において、処置はエンザルタミドの治療効果の増強を含む。ある種の他の態様において、処置はアビラテロンの治療効果の増強を含む。さらに他の態様において、処置はアパルタミドの治療効果の増強を含む。いくつかの他の態様において、処置はビカルタミドの治療効果の増強を含む。増強は相乗的または相加的であることができる。
本明細書において記載される方法のある種の態様において、処置は、抗アンドロゲン薬に対するがん細胞(例えば、前立腺がん細胞または乳がん細胞)耐性の反転、低減、または低下を含む。本明細書において記載される方法のある種の態様において、処置は、抗アンドロゲン薬へのがん細胞(例えば、前立腺がん細胞または乳がん細胞)の再感受性化を含む。本明細書において記述される方法のいずれにおいても、抗アンドロゲン薬は、非ステロイド性アンドロゲン受容体アンタゴニスト、CYP17A1阻害剤、およびその組み合わせからなる群より選択される化合物である。ある種の態様において、抗アンドロゲン薬は、エンザルタミド、アパルタミド、ビカルタミド、および/または酢酸アビラテロンである。
前述の方法のいずれにおいても、処置は、抗アンドロゲン薬(例えば、非ステロイド性アンドロゲン受容体アンタゴニストもしくはCYP17A1阻害剤)に対するがん細胞(例えば、前立腺もしくは乳がん細胞)耐性の反転; 抗アンドロゲン薬に対するがん細胞耐性の低減もしくは低下; または抗アンドロゲン薬へのがん細胞の再感受性化を含み得る。いくつかの態様において、処置は、エンザルタミド、アパルタミド、ビカルタミド、酢酸アビラテロン、またはそれらの組み合わせに対するがん細胞(例えば、前立腺がん細胞または乳がん細胞)耐性の反転を含む。いくつかの他の態様において、処置は、エンザルタミド、アパルタミド、ビカルタミド、酢酸アビラテロン、またはそれらの組み合わせに対するがん細胞耐性の低減または低下を含む。本発明のさらに他の態様において、処置は、エンザルタミド、アパルタミド、ビカルタミド、酢酸アビラテロン、またはそれらの組み合わせへのがん細胞の再感受性化を含む。
本明細書において記述される方法のいずれにおいても、がんは、去勢抵抗性がん、転移性去勢抵抗性がん、進行期がん、薬物耐性がん、抗アンドロゲン抵抗性がん、ビカルタミド耐性がん、エンザルタミド耐性がん、酢酸アビラテロン耐性がん、アパルタミド耐性がん、AR-V1-、AR-V3-、AR-V7-、AR-V9-、および/またはAR-V12-誘導薬物耐性がん、AR-V1-、AR-V3-、AR-V7-、AR-V9-、および/またはAR-V12-誘導抗アンドロゲン薬耐性がん、AR-V1-、AR-V3-、AR-V7-、AR-V9-、および/またはAR-V12-誘導エンザルタミド耐性がん、AR-V1-、AR-V3-、AR-V7-、AR-V9-、および/またはAR-V12-誘導酢酸アビラテロン耐性がん、AR-V1-、AR-V3-、AR-V7-、AR-V9-、および/またはAR-V12-誘導アパルタミド耐性がん、AR-V1-、AR-V3-、AR-V7-、AR-V9-、および/またはAR-V12-誘導ビカルタミド耐性がん、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される。
特定の態様において、試験サンプルは対象から得られる。試験サンプルは、ニクロサミド類似体および抗アンドロゲン薬が対象に投与される前および/または後に得ることができる。適当なサンプルの非限定的な例としては、血液、血清、血漿、脳脊髄液、組織、唾液、および尿が挙げられる。いくつかの場合には、サンプルは正常組織を含む。他の場合には、サンプルはがん組織を含む。サンプルはまた、正常細胞およびがん細胞の組み合わせから構成されることもできる。
いくつかの態様において、参照サンプルが得られる。参照サンプルは、例えば、対象から得ることができ、正常組織を含むことができる。参照サンプルはまた、異なる対象および/または対象の集団からも得ることができる。いくつかの場合には、参照サンプルは、ニクロサミド類似体および抗アンドロゲン薬が対象に投与される前および/または後に対象、異なる対象、または対象の集団から得られ、正常組織を含む。しかしながら、いくつかの場合には、参照サンプルはがん組織を含み、対象からおよび/または異なる対象もしくは対象の集団から得られる。
いくつかの態様において、1つまたは複数のバイオマーカーのレベルが試験サンプルおよび/または参照サンプルにおいて決定される。適当なバイオマーカーの非限定的な例としては、前立腺特異的抗原(PSA)、α-メチルアシル-CoAラセマーゼ(AMACR)、エンドグリン(CD105)、エングレイルド(engrailed)2 (EN-2)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、カベオリン-1、インターロイキン-6 (IL-6)、CD147、S100タンパク質ファミリーのメンバー(例えば、S100A2、S100A4、S100A8、S100A9、S100A11)、アネキシンA3 (ANXA3)、ヒトカリクレイン-2 (KLK2)、TGF-β1、β-マイクロセミノプロテイン(MSMB)、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PgR)、HER2、Ki67、サイクリンD1、およびサイクリンEが挙げられる。
前立腺特異的抗原(PSA)は、主に前立腺細胞によって産生されるタンパク質である。ほとんどのPSAは***中に放出されるが、PSAの中には血中にも放出されるものがある。血中で、PSAは非結合かつ複合(cPSA)形態で存在する。従来の実験室試験は、非結合PSAおよび/または全(非結合および複合)PSAを測定することができる。PSAレベルの上昇は、良性前立腺肥大症(BPH)および前立腺の炎症によって引き起こされ得るが、前立腺がんによっても引き起こされ得る。PSAレベルを決定することはまた、PSA速度(すなわち、経時的なPSAレベルの変化)、PSA倍加時間(すなわち、どのくらいの速さでPSAレベルが2倍になるか)、PSA密度(すなわち、PSA濃度および前立腺容積(これは、例えば、超音波によって評価することができる)の比較)、ならびに年齢特異的PSA範囲の1つまたは複数の決定を含み得る。
典型的には、1つまたは複数の試験サンプル中の1つまたは複数のバイオマーカーのレベルは、1つまたは複数の参照サンプル中の1つまたは複数のバイオマーカーのレベルと比較される。バイオマーカーに応じて、正常対照または参照サンプルと比べた増加または減少は、がんの存在またはより高いがんのリスクを示すことができる。非限定的な例として、ニクロサミド類似体および抗アンドロゲン薬が対象に投与される前および後に採取された試験サンプルにおける1つまたは複数のバイオマーカーのレベルが、対象から得られた正常組織、または異なる対象もしくは対象の集団から得られる正常組織のいずれかである参照サンプルにおける1つまたは複数のバイオマーカーのレベルと比較される。いくつかの場合には、バイオマーカーは血清であり、ニクロサミド類似体および抗アンドロゲン薬が対象に投与される前に対象から採取された試験サンプルにおけるPSAのレベルは、参照サンプルにおけるPSAのレベルより高い。他の場合において、ニクロサミド類似体および抗アンドロゲン薬の投与後に対象から得られる試験サンプルにおけるPSAのレベルは、投与の前に得られる試験サンプルにおけるPSAのレベルと比べて減少する。あるいは、別の非限定的な例として、投与後に対象から得られるサンプルと参照サンプルとの間のPSAレベルの差異は、投与の前に対象から得られるサンプルと参照サンプルにおけるPSAレベル間の差異よりも小さい(すなわち、試験サンプルにおいて測定されたレベルと参照サンプルにおいて測定されたレベルとの間の差異が減少または排除されるように、投与が試験サンプルにおけるPSAの減少をもたらす)。
参照サンプルまたは値と試験サンプルとの間の差異は、検出されるのに十分であるだけでよい。いくつかの態様において、試験サンプルにおけるバイオマーカー(例えばPSA)のレベルの増加、ゆえにがんの存在またはがんのリスクの増加は、バイオマーカーレベルが陰性対照と比較して少なくとも、例えば、約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、または20倍高い場合に決定される。他の態様において、試験サンプルにおけるバイオマーカーのレベルの減少、ゆえにがんの存在またはがんのリスクの増加は、バイオマーカーレベルが陰性対照と比較して少なくとも、例えば、約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、または20倍低い場合に決定される。
バイオマーカーレベルは、バイオマーカーに特異的な抗体の使用を含む、当技術分野において公知の任意の方法を用いて検出することができる。例示的な方法としては、非限定的に、PCR、ウエスタンブロット、ドットブロット、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)法、ラジオイムノアッセイ(RIA)法、免疫沈降、免疫蛍光、FACS分析、電気化学発光、および多重ビーズアッセイ法(例えば、Luminexまたは蛍光マイクロビーズを用いた)が挙げられる。いくつかの場合には、核酸配列決定が利用される。
ある種の態様において、1つまたは複数のバイオマーカーのレベルの減少または増加の存在は、免疫アッセイ法またはPCR反応(例えば、定量的PCR)における検出可能なシグナル(例えば、ブロット、蛍光、化学発光、色、放射能)によって示される。この検出可能なシグナルを、対照サンプルからのシグナルまたは閾値と比較することができる。いくつかの態様において、試験サンプルにおけるバイオマーカーの検出可能なシグナルが参照サンプルにおける抗体のシグナルまたは所定の閾値と比較して少なくとも、例えば、約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、または20倍低い場合に、存在の減少が検出され、がんの存在またはリスクの増加が示される。他の態様において、試験サンプルにおけるバイオマーカーの検出可能なシグナルが参照サンプルにおける抗体のシグナルまたは所定の閾値と比較して少なくとも、例えば、約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、または20倍大きい場合に、存在の増加が検出され、がんの存在またはリスクの増加が示される。
いくつかの態様において、バイオマーカーレベル決定の結果は有形的表現媒体に記録される。例えば、診断アッセイ法(例えば、1つまたは複数のバイオマーカーの存在または存在の減少もしくは増加の観察)の結果およびがんのリスクの増加または存在があるかどうかの診断を、例えば、紙にまたは電子媒体(例えば、オーディオテープ、コンピュータディスク、CD、フラッシュドライブなど)に記録することができる。
他の態様において、本方法は、患者(すなわち、対象)に診断結果および/または処置の結果を提供する段階をさらに含む。
D. がん細胞を阻害するための方法
いくつかの態様において、本発明は細胞におけるアンドロゲン受容体(例えば、完全長アンドロゲン受容体、野生型アンドロゲン受容体、アンドロゲン受容体変種、アンドロゲン受容体変異体変種、またはアンドロゲン受容体スプライス変種)の発現および/または活性を阻害するための方法であって、細胞またはアンドロゲン受容体を、本明細書において記述されるニクロサミド類似体および本明細書において記述される抗アンドロゲン薬の組み合わせ(例えば、ニクロサミド類似体および抗アンドロゲン薬を含む組成物)と接触させる段階を含む、該方法、を提供する。
いくつかの態様において、ニクロサミド類似体は式(I)の化合物:
Figure 0007300386000031
である。
いくつかの態様において、R1は、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; R2は、H、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; R3は、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; かつR4は、HおよびC(O)R5からなる群より選択され、ここでR5は、H、置換されていてもよいC1~18アルキル、置換されていてもよいC2~18アルケニル、および置換されていてもよいC2~18アルキニルからなる群より選択され; かつここで各Xは独立して選択されるハロゲンである。いくつかの場合には、R1はCX3またはNO2である。他の場合には、R2はHまたはXである。いくつかの他の場合には、R3はXである。他の場合には、R5はC2アルキルまたはC2アルケニルである。特定の場合には、Xは、FおよびClからなる群より独立して選択される。
いくつかの態様において、R1はCX3 (例えば、CF3)であり、かつR2はHまたはX (例えば、Cl)である。いくつかの態様において、R1はCX3であり、R3はX (例えば、Cl)であり、かつR4はHである。いくつかの態様において、R1はCX3 (例えば、CF3)であり、R2はHまたはX (例えば、Cl)であり、R3はX (例えば、Cl)であり、かつR4はHである。いくつかの態様において、R1はNO2であり、かつR4
Figure 0007300386000032
である。いくつかの態様において、R2はX (例えば、Cl)であり、かつR4
Figure 0007300386000033
である。いくつかの態様において、R3はX (例えば、Cl)であり、かつR4
Figure 0007300386000034
である。いくつかの態様において、R1はNO2であり、R2はX (例えば、Cl)であり、R3はX (例えば、Cl)であり、かつR4
Figure 0007300386000035
である。
いくつかの態様において、R2がClであり、R3がClであり、かつR4がHである場合、R1はNO2ではない。いくつかの態様において、R1がNO2であり、R3がClであり、かつR4がHである場合、R2はClではない。いくつかの態様において、R1がNO2であり、R2がClであり、かつR4がHである場合、R3はClではない。いくつかの態様において、R1がNO2であり、R2がClであり、かつR3がClである場合、R4はHではない。
特定の態様において、式(I)の化合物は、
Figure 0007300386000036
およびその組み合わせからなる群より選択される。
いくつかの態様において、ニクロサミド類似体は式(II)の化合物:
Figure 0007300386000037
である。
いくつかの態様において、R6およびR7は、H、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より独立して選択され; R8は、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; かつR9は、HおよびC(O)R10からなる群より選択され、ここでR10は、H、置換されていてもよいC1~18アルキル、置換されていてもよいC2~18アルケニル、および置換されていてもよいC2~18アルキニルからなる群より選択され; かつここで各Xは独立して選択されるハロゲンである。いくつかの場合には、R6および/またはR7はCX3である。いくつかの他の場合には、R8はXである。いくつかの場合には、R9はHである。特定の場合において、Xは、FおよびClからなる群より独立して選択される。
いくつかの態様において、R6およびR7はCX3 (例えば、CF3)である。いくつかの態様において、R6およびR7はCX3 (例えば、CF3)であり、かつR8はX (例えば、Cl)である。いくつかの態様において、R6およびR7はCX3 (例えば、CF3)であり、かつR9はHである。いくつかの態様において、式(II)の化合物は
Figure 0007300386000038
である。
いくつかの態様において、R7がFであり、R8がClであり、かつR9がHである場合、R6はFではない。いくつかの態様において、R6がFであり、R8がClであり、かつR9がHである場合、R7はFではない。
いくつかの態様において、式(I)または(II)の化合物はニクロサミドまたは化合物1、2、8、17、29、34、もしくは35ではない。
いくつかの態様において、ニクロサミド類似体は、式(I)の化合物および式(II)の化合物である。
いくつかの態様において、抗アンドロゲン薬は、非ステロイド性ARアンタゴニスト、CYP17A1阻害剤、またはそれらの組み合わせである。適当な非ステロイド性ARアンタゴニストは、ビカルタミド(カソデックス(Casodex)、コスデックス(Cosudex)、カルチド(Calutide)、カルミド(Kalumid))、フルタミド、ニルタミド、アパルタミド(ARN-509、JNJ-56021927)、ダロルタミド、エンザルタミド(イクスタンジ(Xtandi))、シメチジンおよびトピルタミドを含む。適当なCYP17A1阻害剤は、酢酸アビラテロン(ザイティガ(Zytiga))、ケトコナゾール、およびセビテロネルを含む。抗アンドロゲン薬の任意の組み合わせを本発明の方法において使用することができる。
ある種の態様において、変種は、AR-V1、AR-V3、AR-V7、AR-V9、および/またはAR-V12スプライス変種である。いくつかの場合には、変種はAR-V7スプライス変種である。ある種の他の態様において、変種は、SEQ ID NO:1に記載のアミノ酸配列と比べて、K581R、L702H、T878A、およびV716Mからなる群より選択される1つまたは複数の変異を含む変異体変種である。ある種の態様において、その量は有効量または治療有効量である。ある種の態様において、細胞は、去勢抵抗性がん細胞、アンドロゲン非依存性もしくは抗アンドロゲン抵抗性(例えば、エンザルタミド抵抗性、アパルタミド抵抗性、ビカルタミド抵抗性、もしくは酢酸アビラテロン抵抗性)がん細胞、またはそれらの組み合わせのような、がん細胞である。がん細胞は前立腺がん細胞、乳がん細胞、または他の関連するがん細胞であり得る。
いくつかの態様において、本発明は、がん細胞(例えば、前立腺がん細胞または乳がん細胞)成長を阻害するための方法であって、がん細胞を、化合物5、7、11、30、および/もしくは31のような本明細書において記述されるニクロサミド類似体ならびにエンザルタミド、酢酸アビラテロン、アパルタミド、および/もしくはビカルタミドのような本明細書において記述される抗アンドロゲン薬と接触させる段階を含む、該方法、を提供する。
いくつかの他の態様において、本発明は、がん細胞(例えば、前立腺がん細胞または乳がん細胞)遊走を阻害するための方法であって、がん細胞を、化合物5、7、11、30、および/もしくは31のような本明細書において記述されるニクロサミド類似体ならびにエンザルタミド、酢酸アビラテロン、アパルタミド、および/もしくはビカルタミドのような本明細書において記述される抗アンドロゲン薬と接触させる段階を含む、該方法、を提供する。
いくつかの態様において、本発明は、がん細胞(例えば、前立腺がん細胞または乳がん細胞)浸潤を阻害するための方法であって、がん細胞を、化合物5、7、11、30、および/もしくは31のような本明細書において記述されるニクロサミド類似体ならびにエンザルタミド、酢酸アビラテロン、アパルタミド、および/もしくはビカルタミドのような本明細書において記述される抗アンドロゲン薬と接触させる段階を含む、該方法、を提供する。
いくつかの態様において、本発明は、抗アンドロゲン薬(エンザルタミド、アパルタミド、ビカルタミド、酢酸アビラテロン、またはそれらの組み合わせのような)に対するがん細胞(例えば、前立腺がん細胞または乳がん細胞)耐性を反転させるための方法であって、がん細胞を、化合物5、7、11、30、および/もしくは31のような本明細書において記述されるニクロサミド類似体ならびにエンザルタミド、酢酸アビラテロン、アパルタミド、および/もしくはビカルタミドのような本明細書において記述される抗アンドロゲン薬と接触させる段階を含む、該方法、を提供する。ある種の態様において、その量は有効量または治療有効量である。
いくつかの態様において、本発明は、エンザルタミド、ビカルタミド、アパルタミド、酢酸アビラテロン、またはそれらの組み合わせのような抗アンドロゲン薬にがん細胞(例えば、前立腺がん細胞または乳がん細胞)を再感受性化するための方法であって、がん細胞を、化合物5、7、11、30、および/もしくは31のような本明細書において記述されるニクロサミド類似体ならびにエンザルタミド、酢酸アビラテロン、アパルタミド、および/もしくはビカルタミドのような本明細書において記述される抗アンドロゲン薬と接触させる段階を含む、該方法、を提供する。ある種の態様において、その量は有効量または治療有効量である。
いくつかの態様において、本発明は、エンザルタミド、ビカルタミド、アパルタミド、酢酸アビラテロン、またはそれらの組み合わせのような抗アンドロゲン薬に対するがん細胞(例えば、前立腺がん細胞)耐性を低減または低下させるための方法であって、がん細胞を、化合物5、7、11、30、および/もしくは31のような本明細書において記述されるニクロサミド類似体ならびにエンザルタミド、酢酸アビラテロン、アパルタミド、および/もしくはビカルタミドのような本明細書において記述される抗アンドロゲン薬と接触させる段階を含む、該方法、を提供する。
本明細書において記載されるいくつかの態様において、抗アンドロゲン薬に対するがん細胞(例えば、前立腺がん細胞または乳がん細胞)耐性の低減、反転、もしくは低下、または抗アンドロゲン薬へのがん細胞の再感受性化は、アンドロゲン非依存性がんを含む、任意の数の他の感受性のがんが本発明の方法に適しているが、がん(例えば、前立腺がんまたは乳がん)を有する患者において行われる。
いくつかの態様において、本発明は同様に、がん(例えば、前立腺がんまたは乳がん)を有する患者における抗アンドロゲン薬(例えば、エンザルタミド、アパルタミド、ビカルタミド、酢酸アビラテロン、またはそれらの組み合わせ)の治療効果を増強するための方法であって、化合物5、7、11、30、および/もしくは31のような本明細書において記述されるニクロサミド類似体ならびにエンザルタミド、酢酸アビラテロン、アパルタミド、および/もしくはビカルタミドのような本明細書において記述される抗アンドロゲン薬とがん細胞を接触させる段階または化合物5、7、11、30、および/もしくは31のような本明細書において記述されるニクロサミド類似体ならびにエンザルタミド、酢酸アビラテロン、アパルタミド、および/もしくはビカルタミドのような本明細書において記述される抗アンドロゲン薬を患者に投与する段階を含む、該方法、を提供する。
他の態様において、本発明は、ARスプライス変種を、化合物5、7、11、30、および/もしくは31のような本明細書において記述されるニクロサミド類似体ならびにエンザルタミド、酢酸アビラテロン、アパルタミド、および/もしくはビカルタミドのような本明細書において記述される抗アンドロゲン薬と接触させる段階を含む、アンドロゲン受容体(AR)スプライス変種を阻害するための方法を提供する。これらの態様のいくつかにおいて、ARスプライス変種はAR-V1、AR-V3、AR-V7、AR-V9、および/またはAR-V12である。いくつかの場合には、ARスプライス変種はAR-V7である。
他の態様において、本発明は、AR変異体変種を、化合物5、7、11、30、および/もしくは31のような本明細書において記述されるニクロサミド類似体ならびにエンザルタミド、酢酸アビラテロン、アパルタミド、および/もしくはビカルタミドのような本明細書において記述される抗アンドロゲン薬と接触させる段階を含む、アンドロゲン受容体(AR)変異体変種を阻害するための方法を提供する。いくつかの態様において、AR変異体変種は、SEQ ID NO:1に記載されるアミノ酸配列と比べてK581、L7602、T878、V716、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される位置に1つまたは複数の変異を含む。いくつかの場合には、AR変異体変種は、SEQ ID NO:1に記載されるアミノ酸配列と比べてK581R、L702H、T878A、V716M、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される1つまたは複数の変異を含む。
ある種の他の態様において、本発明は、ARトランス活性化の阻害、AR発現(例えば、mRNA発現および/またはタンパク質発現)の阻害、AR媒介転写活性の阻害、AR媒介細胞遊走の阻害、がん細胞におけるAR媒介細胞浸潤の阻害、がん細胞コロニー形成の阻害、ならびに前立腺特異的抗原(PSA)プロモーターへのAR変種の動員の阻害のための方法を提供する。ある種の場合には、この阻害方法は、がん細胞を、化合物5、7、11、30、および/もしくは31のような本明細書において記述されるニクロサミド類似体ならびにエンザルタミド、酢酸アビラテロン、アパルタミド、および/もしくはビカルタミドのような本明細書において記述される抗アンドロゲン薬と接触させる段階を含む。
本発明は同様に、AR完全長、AR-V1、AR-V3、AR-V7、AR-V9、および/またはAR-V12発現(例えば、mRNAおよび/またはタンパク質発現)を阻害するための方法であって、ARまたはがん細胞を、化合物5、7、11、30、および/もしくは31のような本明細書において記述されるニクロサミド類似体ならびにエンザルタミド、酢酸アビラテロン、アパルタミド、および/もしくはビカルタミドのような本明細書において記述される抗アンドロゲン薬と接触させる段階を含む、該方法、を提供する。
本発明はさらに、AR完全長、AR-V1-、AR-V3-、AR-V7-、AR-V9-、および/またはAR-V12-媒介転写活性を阻害するための方法であって、ARまたはがん細胞を、化合物5、7、11、30、および/もしくは31のような本明細書において記述されるニクロサミド類似体ならびにエンザルタミド、酢酸アビラテロン、アパルタミド、および/もしくはビカルタミドのような本明細書において記述される抗アンドロゲン薬と接触させる段階を含む、該方法、を提供する。
ある種の他の態様において、本発明は、アンドロゲン非依存性または抗アンドロゲン薬耐性CRPC細胞成長、遊走または浸潤を阻害するための方法であって、前立腺がん細胞を、化合物5、7、11、30、および/もしくは31のような本明細書において記述されるニクロサミド類似体ならびにエンザルタミド、酢酸アビラテロン、アパルタミド、および/もしくはビカルタミドのような本明細書において記述される抗アンドロゲン薬と接触させる段階を含む、該方法、を提供する。いくつかの態様において、前立腺がん細胞はCRPC細胞である。
E. 投与
本発明のいくつかの態様において、ニクロサミド類似体および抗アンドロゲン薬の組み合わせが、がんを有する患者に投与される。がんは任意の感受性がんであることができる。いくつかの場合には、がんはアンドロゲン非依存性がん、前立腺がん、または乳がんである。いくつかの態様において、ニクロサミド類似体は式(I):
Figure 0007300386000039
を有する。
いくつかの態様において、R1は、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; R2は、H、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; R3は、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; かつR4は、HおよびC(O)R5からなる群より選択され、ここでR5は、H、置換されていてもよいC1~18アルキル、置換されていてもよいC2~18アルケニル、および置換されていてもよいC2~18アルキニルからなる群より選択され; かつここで各Xは独立して選択されるハロゲンである。いくつかの場合には、R1はCX3またはNO2である。他の場合には、R2はHまたはXである。いくつかの他の場合には、R3はXである。他の場合には、R5はC2アルキルまたはC2アルケニルである。特定の場合には、Xは、FおよびClからなる群より独立して選択される。
いくつかの態様において、R1はCX3 (例えば、CF3)であり、かつR2はHまたはX (例えば、Cl)である。いくつかの態様において、R1はCX3であり、R3はX (例えば、Cl)であり、かつR4はHである。いくつかの態様において、R1はCX3 (例えば、CF3)であり、R2はHまたはX (例えば、Cl)であり、R3はX (例えば、Cl)であり、かつR4はHである。いくつかの態様において、R1はNO2であり、かつR4
Figure 0007300386000040
である。いくつかの態様において、R2はX (例えば、Cl)であり、かつR4
Figure 0007300386000041
である。いくつかの態様において、R3はX (例えば、Cl)であり、かつR4
Figure 0007300386000042
である。いくつかの態様において、R1はNO2であり、R2はX (例えば、Cl)であり、R3はX (例えば、Cl)であり、かつR4
Figure 0007300386000043
である。
いくつかの態様において、R2がClであり、R3がClであり、かつR4がHである場合、R1はNO2ではない。いくつかの態様において、R1がNO2であり、R3がClであり、かつR4がHである場合、R2はClではない。いくつかの態様において、R1がNO2であり、R2がClであり、かつR4がHである場合、R3はClではない。いくつかの態様において、R1がNO2であり、R2がClであり、かつR3がClである場合、R4はHではない。
特定の態様において、ニクロサミド類似体は、
Figure 0007300386000044
およびその組み合わせからなる群より選択される。
いくつかの態様において、ニクロサミド類似体は式(II)の化合物:
Figure 0007300386000045
である。
いくつかの態様において、R6およびR7は、H、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より独立して選択され; R8は、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; かつR9は、HおよびC(O)R10からなる群より選択され、ここでR10は、H、置換されていてもよいC1~18アルキル、置換されていてもよいC2~18アルケニル、および置換されていてもよいC2~18アルキニルからなる群より選択され; かつここで各Xは独立して選択されるハロゲンである。いくつかの場合には、R6および/またはR7はCX3である。いくつかの他の場合には、R8はXである。いくつかの場合には、R9はHである。特定の場合において、Xは、FおよびClからなる群より独立して選択される。
いくつかの態様において、R6およびR7はCX3 (例えば、CF3)である。いくつかの態様において、R6およびR7はCX3 (例えば、CF3)であり、かつR8はX (例えば、Cl)である。いくつかの態様において、R6およびR7はCX3 (例えば、CF3)であり、かつR9はHである。いくつかの態様において、式(II)の化合物は
Figure 0007300386000046
である。
いくつかの態様において、R7がFであり、R8がClであり、かつR9がHである場合、R6はFではない。いくつかの態様において、R6がFであり、R8がClであり、かつR9がHである場合、R7はFではない。
いくつかの態様において、式(I)または(II)の化合物はニクロサミドまたは化合物1、2、8、17、29、34、もしくは35ではない。
いくつかの態様において、ニクロサミド類似体は、式(I)の化合物および式(II)の化合物である。
いくつかの態様において、抗アンドロゲン薬は、非ステロイド性ARアンタゴニスト、CYP17A1阻害剤、またはそれらの組み合わせである。適当な非ステロイド性ARアンタゴニストは、ビカルタミド(カソデックス(Casodex)、コスデックス(Cosudex)、カルチド(Calutide)、カルミド(Kalumid))、フルタミド、ニルタミド、アパルタミド(ARN-509、JNJ-56021927)、ダロルタミド、エンザルタミド(イクスタンジ(Xtandi))、シメチジンおよびトピルタミドを含む。適当なCYP17A1阻害剤は、酢酸アビラテロン(ザイティガ(Zytiga))、ケトコナゾール、およびセビテロネルを含む。抗アンドロゲン薬の任意の組み合わせを本発明の方法において使用することができる。
本明細書において記載される前立腺がんを処置するある種の方法において、該方法は、最初にがんを有する患者にニクロサミド類似体を投与する段階、次いで患者に抗アンドロゲン薬を投与する段階を含む。本明細書において記載されるがんを処置するある種の方法において、該方法は、最初にがんを有する患者に抗アンドロゲン薬を投与する段階、次いで患者にニクロサミド類似体を投与する段階を含む。
いくつかの態様において、本発明は、がんを有する患者に有効量または治療有効量のニクロサミド類似体および抗アンドロゲン薬を送達する方法を提供する。
本発明のニクロサミド類似体および抗アンドロゲン薬製剤は、薬学的組成物または医薬の製造において有用である。薬学的組成物または医薬は、それを必要とする対象、例えばがんを有するまたはがんのリスクがある患者に投与することができる。
前述の態様のいずれかにおいて、がんは、去勢抵抗性がん、転移性去勢抵抗性がん、進行期がん、アンドロゲン非依存性がん、抗アンドロゲン抵抗性前立腺がん(例えば、エンザルタミド抵抗性がん、アビラテロン抵抗性がん、ビカルタミド抵抗性がん、酢酸アビラテロン抵抗性がんなど)のような薬物抵抗性がん、AR-V1-、AR-V3-、AR-V7-、AR-V9-およびAR-V12-誘導エンザルタミド抵抗性がん、アパルタミド抵抗性がん、ビカルタミド抵抗性がん、もしくは酢酸アビラテロン抵抗性がんのようなAR-V1-、AR-V3-、AR-V7-、AR-V9-および/もしくはAR-V12-誘導抗アンドロゲン抵抗性がん、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される。
本発明で使用するための薬学的組成物または医薬は、1つまたは複数の生理学的に許容される担体または賦形剤を用いて標準的な技法により製剤化することができる。適当な薬学的担体は本明細書におよびE.W. Martinによる「Remington's Pharmaceutical Sciences」に記述されている。本発明の化合物および薬剤ならびにそれらの生理学的に許容される塩および溶媒和物は、吸入により、局所的に、経鼻的に、経口的に、静脈内に、非経口的に、直腸にまたは腫瘍内になど、任意の適当な経路による投与のために製剤化することができる。
1. 投与経路
局所投与用の典型的な製剤は、クリーム、軟膏、スプレー、ローション、およびパッチを含む。しかしながら、薬学的組成物は、任意の種類の投与、例えば、注射器または他の装置を用いた、皮内、皮下、静脈内、筋肉内、鼻腔内、脳内、気管内、動脈内、腹腔内、膀胱内、胸膜内、冠動脈内または腫瘍内注射のために製剤化することができる。吸入(例えば、エアロゾル)による投与のための、または経口もしくは直腸投与のための製剤も企図される。
経皮用途に適した製剤は、任意で担体とともに、本明細書において記述される1つまたは複数の化合物の有効量を含む。好ましい担体は、宿主の皮膚の通過を補助するための、吸収性の薬理学的に許容される溶媒を含む。例えば、経皮装置は、裏当て部材、任意で担体とともに化合物を含有するリザーバ、任意で、長期間にわたって制御された所定の速度で化合物を宿主の皮膚に送達するための速度制御障壁、および装置を皮膚に固定するための手段を含む包帯の形態である。マトリックス経皮製剤も使用され得る。
経口投与の場合、薬学的組成物または医薬は、例えば、薬学的に許容される担体または賦形剤を用いて従来の手段により調製された錠剤またはカプセルの形態をとることができる。本発明は、(a) 希釈剤もしくは増量剤、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース(例えば、エチルセルロース、微結晶セルロース)、グリシン、ペクチン、ポリアクリレートおよび/またはリン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、(b) 滑沢剤、例えばシリカ、タルカム、ステアリン酸、マグネシウムもしくはカルシウム塩、ステアリン酸金属塩、コロイド状二酸化ケイ素、硬化植物油、コーンスターチ、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウムおよび/またはポリエチレングリコール; 錠剤の場合にはまた(c) 結合剤、例えばケイ酸アルミニウム・マグネシウム、デンプンペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドンおよび/またはヒドロキシプロピルメチルセルロース; 所望ならば(d) 崩壊剤、例えばデンプン(例えば、ジャガイモデンプンおよびナトリウムデンプン)、グリコレート、寒天、アルギン酸もしくはそのナトリウム塩、または発泡性混合物; (e) 湿潤剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ならびに/あるいは(f) 吸収剤、着色料、風味料および甘味料とともに、ニクロサミド類似体および抗アンドロゲン薬、またはこれらの薬物の乾燥固体粉末を含む錠剤およびゼラチンカプセルを提供する。
錠剤は、当技術分野において公知の方法によりフィルムコーティングまたは腸溶コーティングされ得る。経口投与用の液体調製物は、例えば、溶液、シロップ、もしくは懸濁液の形態をとることができ、またはそれらは使用前に水もしくは他の適当な媒体で構成するための乾燥製品として供与することができる。そのような液体調製物は、薬学的に許容される添加剤、例えば、懸濁化剤、例えばソルビトールシロップ、セルロース誘導体、または食用硬化脂肪; 乳化剤、例えば、レシチンまたはアカシア; 非水性媒体、例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコール、または分別植物油; および保存料、例えば、メチルもしくはプロピル-p-ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸で従来の手段により調製することができる。調製物はまた、緩衝塩、香味剤、着色剤、および/または甘味剤を必要に応じて含有することができる。所望ならば、経口投与用の調製物は、活性化合物の制御放出をもたらすように適当に製剤化することができる。
本明細書において記載される組成物および製剤は、注射による、例えばボーラス注射または持続注入による非経口投与用に製剤化することができる。注射用製剤は、保存料を添加した単位投与量形態中で、例えばアンプル中でまたは多用量容器中で供与することができる。注射用組成物は好ましくは、等張水溶液または懸濁液であり、坐薬は好ましくは、脂肪乳濁液または懸濁液から調製される。組成物は滅菌されてもよく、ならびに/あるいは保存剤、安定化剤、湿潤剤もしくは乳化剤、溶解促進剤、浸透圧を調節するための塩および/または緩衝液のような、補助剤を含有してもよい。あるいは、活性成分は、使用前に、適当な媒体、例えば、無菌発熱物質不含水で構成するための粉末形態であることができる。さらに、それらはまた、他の治療的に有益な物質を含有し得る。組成物は、それぞれ、従来の混合、造粒またはコーティング方法によって調製される。
吸入による投与の場合、本発明の組成物は、適当な高圧ガス、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または適当なガスを使用して、加圧パックまたは噴霧器からのエアロゾルスプレー提示の形態で都合よく送達され得る。加圧エアロゾルの場合、投与量単位は、定量を送達するための弁を設けることによって決定することができる。化合物および適当な粉末基剤、例えば、ラクトースまたはデンプンの粉末混合物を含有する、吸入具または吸入器で使用するための、例えばゼラチンのカプセルおよびカートリッジを製剤化することができる。
本明細書において記載される組成物はまた、例えば従来の坐剤基剤、例えばカカオ脂または他のグリセリドを含有する、直腸用組成物、例えば坐剤または停留浣腸剤として製剤化することができる。
さらに、活性成分はデポー調製物として製剤化することができる。そのような長時間作用型製剤は、移植により(例えば、皮下にもしくは筋肉内に)または筋肉内注射により投与することができる。したがって、例えば、本明細書において記述される1つまたは複数の化合物を適当なポリマー材料もしくは疎水性材料(例えば許容される油中の乳濁液として)またはイオン交換樹脂とともに、あるいは難溶性誘導体として、例えば、難溶性塩として製剤化することができる。
特定の態様において、本発明の薬学的組成物または医薬は、(i) 有効量のニクロサミド類似体、および(ii) 抗アンドロゲン薬を含むことができる。治療剤は逐次的に、または同時に使用され得る。投与は、同じもしくは異なる投与経路によっても、または同じ薬学的製剤中で一緒であってもよい。
2. 投与量
薬学的組成物または医薬は、本明細書において記述されるようにがんを予防、処置、再感受性化、または制御するために治療有効用量で対象に投与することができる。薬学的組成物または医薬は、対象において有効な治療応答を引き出すのに十分な量で対象に投与される。
いくつかの態様において、投与される活性剤の投与量は、対象の体重、年齢、個体の状態、処置される領域の表面積または体積に依存し、投与の形態に依存する。用量の大きさはまた、特定の対象における特定の製剤の投与に伴う任意の有害作用の存在、性質、および程度によっても決定され得る。約50~約70 kgの哺乳動物への経口投与のための単位投与量は、約5~約500 mg、約25~約200 mg、約100~約1000 mg、約200~約2000 mg、約500~約5000 mg、または約1000~約2000 mgの1つまたは複数の活性成分を含有し得る。約50~約70 kgの哺乳動物への経口投与のための単位投与量は、約5 mg、10 mg、15 mg、20 mg、25 mg、30 mg、35 mg、40 mg、45 mg、50 mg、55 mg、60 mg、65 mg、70 mg、75 mg、80 mg、85 mg、90 mg、95 mg、100 mg、110 mg、120 mg、130 mg、140 mg、150 mg、160 mg、170 mg、180 mg、190 mg、200 mg、210 mg、220 mg、230 mg、240 mg、250 mg、260 mg、270 mg、280 mg、290 mg、300 mg、350 mg、400 mg、450 mg、500 mg、550 mg、600 mg、650 mg、700 mg、750 mg、800 mg、850 mg、900 mg、950 mg、1,000 mg、1,050 mg、1,100 mg、1,150 mg、1,200 mg、1,250 mg、1,300 mg、1,350 mg、1,400 mg、1,450 mg、1,500 mg、1,550 mg、1,600 mg、1,650 mg、1,700 mg、1,750 mg、1,800 mg、1,850 mg、1,875 mg、1,900 mg、1,950 mg、2,000 mg、2,050 mg、2,100 mg、2,150 mg、2,200 mg、2,250 mg、2,300 mg、2,350 mg、2,400 mg、2,450 mg、2,500 mg、2,550 mg、2,600 mg、2,650 mg、2,700 mg、2,750 mg、2,800 mg、2,850 mg、2,900 mg、2,950 mg、3,000 mg、4,000 mg、4,500 mg、5,000、5,500 mg、6,000 mg、6,500 mg、7,000 mg、7,500 mg、8,000 mg、8,500 mg、9,000 mg、9,500 mg、10,000 mgまたはそれ以上の1つまたは複数の活性成分(例えば、ニクロサミド類似体、抗アンドロゲン薬、またはさらなる活性成分)を含有し得る。典型的には、本発明の活性化合物の投与量は、所望の効果を達成するのに十分な投与量である。最適な投薬スケジュールは、対象の体内での活性剤蓄積の測定から計算することができる。一般に、投与量は、毎日、毎週、または毎月1回または複数回与えられてもよい。当業者は最適な投与量、投与方法および反復を容易に決定することができる。
いくつかの態様において、組成物は、約0.1 mg/kg~約500 mg/kgまたはそれ以上(例えば、約0.1 mg/kg、0.2 mg/kg、0.3 mg/kg、0.4 mg/kg、0.5 mg/kg、0.6 mg/kg、0.7 mg/kg、0.8 mg/kg、0.9 mg/kg、1 mg/kg、1.1 mg/kg、1.2 mg/kg、1.3 mg/kg、1.4 mg/kg、1.5 mg/kg、1.6 mg/kg、1.7 mg/kg、1.8 mg/kg、1.9 mg/kg、2 mg/kg、2.5 mg/kg、3 mg/kg、3.5 mg/kg、4 mg/kg、4.5 mg/kg、5 mg/kg mg/kg、5.5 mg/kg、6 mg/kg、6.5 mg/kg、7 mg/kg、7.5 mg/kg、8 mg/kg、8.5 mg/kg、9 mg/kg、9.5 mg/kg 10 mg/kg、15 mg/kg、20 mg/kg、25 mg/kg、30 mg/kg、35 mg/kg、40 mg/kg、45 mg/kg、50 mg/kg、55 mg/kg、60 mg/kg、65 mg/kg、70 mg/kg、75 mg/kg、80 mg/kg、85 mg/kg、90 mg/kg、95 mg/kg、100 mg/kg、110 mg/kg、120 mg/kg、130 mg/kg、140 mg/kg、150 mg/kg、160 mg/kg、170 mg/kg、180 mg/kg、190 mg/kg、200 mg/kg、210 mg/kg、220 mg/kg、230 mg/kg、240 mg/kg、250 mg/kg、260 mg/kg、270 mg/kg、280 mg/kg、290 mg/kg、300 mg/kg、310 mg/kg、320 mg/kg、330 mg/kg、340 mg/kg、350 mg/kg、360 mg/kg、370 mg/kg、380 mg/kg、390 mg/kg、400 mg/kg、410 mg/kg、420 mg/kg、430 mg/kg、440 mg/kg、450 mg/kg、460 mg/kg、470 mg/kg、480 mg/kg、490 mg/kg、500 mg/kgまたはそれ以上)のニクロサミド類似体を含有する。
他の態様において、組成物は、約0.1 mg/kg~約500 mg/kgまたはそれ以上(例えば、約0.1 mg/kg、0.2 mg/kg、0.3 mg/kg、0.4 mg/kg、0.5 mg/kg、0.6 mg/kg、0.7 mg/kg、0.8 mg/kg、0.9 mg/kg、1 mg/kg、1.1 mg/kg、1.2 mg/kg、1.3 mg/kg、1.4 mg/kg、1.5 mg/kg、1.6 mg/kg、1.7 mg/kg、1.8 mg/kg、1.9 mg/kg、2 mg/kg、2.5 mg/kg、3 mg/kg、3.5 mg/kg、4 mg/kg、4.5 mg/kg、5 mg/kg mg/kg、5.5 mg/kg、6 mg/kg. 6.5 mg/kg、7 mg/kg、7.5 mg/kg、8 mg/kg、8.5 mg/kg、9 mg/kg、9.5 mg/kg 10 mg/kg、15 mg/kg、20 mg/kg、25 mg/kg、30 mg/kg、35 mg/kg、40 mg/kg、45 mg/kg、50 mg/kg、55 mg/kg、60 mg/kg、65 mg/kg、70 mg/kg、75 mg/kg、80 mg/kg、85 mg/kg、90 mg/kg、95 mg/kg、100 mg/kg、110 mg/kg、120 mg/kg、130 mg/kg、140 mg/kg、150 mg/kg、160 mg/kg、170 mg/kg、180 mg/kg、190 mg/kg、200 mg/kg、210 mg/kg、220 mg/kg、230 mg/kg、240 mg/kg、250 mg/kg、260 mg/kg、270 mg/kg、280 mg/kg、290 mg/kg、300 mg/kg、310 mg/kg、320 mg/kg、330 mg/kg、340 mg/kg、350 mg/kg、360 mg/kg、370 mg/kg、380 mg/kg、390 mg/kg、400 mg/kg、410 mg/kg、420 mg/kg、430 mg/kg、440 mg/kg、450 mg/kg、460 mg/kg、470 mg/kg、480 mg/kg、490 mg/kg、500 mg/kgまたはそれ以上)の抗アンドロゲン薬を含有する。
他の態様において、組成物は、約0.1 mg/kg~約500 mg/kgまたはそれ以上(例えば、約0.1 mg/kg、0.2 mg/kg、0.3 mg/kg、0.4 mg/kg、0.5 mg/kg、0.6 mg/kg、0.7 mg/kg、0.8 mg/kg、0.9 mg/kg、1 mg/kg、1.1 mg/kg、1.2 mg/kg、1.3 mg/kg、1.4 mg/kg、1.5 mg/kg、1.6 mg/kg、1.7 mg/kg、1.8 mg/kg、1.9 mg/kg、2 mg/kg、2.5 mg/kg、3 mg/kg、3.5 mg/kg、4 mg/kg、4.5 mg/kg、5 mg/kg mg/kg、5.5 mg/kg、6 mg/kg. 6.5 mg/kg、7 mg/kg、7.5 mg/kg、8 mg/kg、8.5 mg/kg、9 mg/kg、9.5 mg/kg 10 mg/kg、15 mg/kg、20 mg/kg、25 mg/kg、30 mg/kg、35 mg/kg、40 mg/kg、45 mg/kg、50 mg/kg、55 mg/kg、60 mg/kg、65 mg/kg、70 mg/kg、75 mg/kg、80 mg/kg、85 mg/kg、90 mg/kg、95 mg/kg、100 mg/kg、110 mg/kg、120 mg/kg、130 mg/kg、140 mg/kg、150 mg/kg、160 mg/kg、170 mg/kg、180 mg/kg、190 mg/kg、200 mg/kg、210 mg/kg、220 mg/kg、230 mg/kg、240 mg/kg、250 mg/kg、260 mg/kg、270 mg/kg、280 mg/kg、290 mg/kg、300 mg/kg、310 mg/kg、320 mg/kg、330 mg/kg、340 mg/kg、350 mg/kg、360 mg/kg、370 mg/kg、380 mg/kg、390 mg/kg、400 mg/kg、410 mg/kg、420 mg/kg、430 mg/kg、440 mg/kg、450 mg/kg、460 mg/kg、470 mg/kg、480 mg/kg、490 mg/kg、500 mg/kgまたはそれ以上)のニクロサミド類似体および抗アンドロゲン薬の組み合わせを含有する。
単位投与量は、約5 mg、10 mg、15 mg、20 mg、25 mg、30 mg、35 mg、40 mg、45 mg、50 mg、55 mg、60 mg、65 mg、70 mg、75 mg、80 mg、85 mg、90 mg、95 mg、100 mg、110 mg、120 mg、130 mg、140 mg、150 mg、160 mg、170 mg、170 mg、180 mg、190 mg、200 mg、210 mg、220 mg、230 mg、240 mg、250 mg、260 mg、270 mg、280 mg、290 mg、300 mg、350 mg、400 mg、450 mg、500 mg、550 mg、600 mg、650 mg、700 mg、750 mg、800 mg、850 mg、900 mg、950 mg、1,000 mg、1,050 mg、1,100 mg、1,150 mg、1,200 mg、1,250 mg、1,300 mg、1,350 mg、1,400 mg、1,450 mg、1,500 mg、1,550 mg、1,600 mg、1,650 mg、1,700 mg、1,750 mg、1,800 mg、1,850 mg、1,875 mg、1,900 mg、1,950 mg、2,000 mg、2,050 mg、2,100 mg、2,150 mg、2,200 mg、2,250 mg、2,300 mg、2,350 mg、2,400 mg、2,450 mg、2,500 mg、2,550 mg、2,600 mg、2,650 mg、2,700 mg、2,750 mg、2,800 mg、2,850 mg、2,900 mg、2,950 mg、3,000 mg、4,000 mg、4,500 mg、5,000、5,500 mg、6,000 mg、6,500 mg、7,000 mg、7,500 mg、8,000 mg、8,500 mg、9,000 mg、9,500 mg、10,000 mgまたはそれ以上の1つまたは複数の活性成分を含有し得る。
いくつかの場合には、単位投与量は、少なくとも約1~約2,000 mg (例えば、約1 mg、2 mg、3 mg、4 mg、5 mg、6 mg、7 mg、8 mg、9 mg、10 mg、11 mg、12 mg、13 mg、14 mg、15 mg、16 mg、17 mg、18 mg、19 mg、20 mg、25 mg、30 mg、35 mg、40 mg、45 mg、50 mg、55 mg、60 mg、65 mg、70 mg、75 mg、80 mg、85 mg、90 mg、95 mg、100 mg、110 mg、120 mg、130 mg、140 mg、150 mg、160 mg、170 mg、180 mg、190 mg、200 mg、225 mg、250 mg、275 mg、300 mg、325 mg、350 mg、375 mg、400 mg、425 mg、450 mg、475 mg、500 mg、525 mg、550 mg、575 mg、600 mg、625 mg、650 mg、675 mg、700 mg、725 mg、750 mg、775 mg、800 mg、825 mg、850 mg、875 mg、900 mg、925 mg、950 mg、975 mg、1,000 mg、1,025 mg、1,050 mg、1,075 mg、1,100 mg、1,125 mg、1,150 mg、1,175 mg、1,200 mg、1,225 mg、1,250 mg、1,275 mg、1,300 mg、1,325 mg、1,350 mg、1,375 mg、1,400 mg、1,425 mg、1,450 mg、1,475 mg、1,500 mg、1,525 mg、1,550 mg、1,575 mg、1,600 mg、1,625 mg、1,650 mg、1,675 mg、1,700 mg、1,725 mg、1,750 mg、1,775 mg、1,800 mg、1,825 mg、1,850 mg、1,875 mg、1,900 mg、1,925 mg、1,950 mg、1,975 mgもしくは2,000 mg、またはそれ以上)のニクロサミド類似体を含有する。多用量を1日に1回もしくは複数回(例えば、1日に1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10用量)与え、または1週間に1回もしくは複数回(例えば、1週間に1、2、3、4、5、6もしくは7回)、1日に1回もしくは複数回の用量を与えてもよい。
いくつかの場合には、単位投与量は、少なくとも約1~約2,000 mg (例えば、約1 mg、2 mg、3 mg、4 mg、5 mg、6 mg、7 mg、8 mg、9 mg、10 mg、11 mg、12 mg、13 mg、14 mg、15 mg、16 mg、17 mg、18 mg、19 mg、20 mg、25 mg、30 mg、35 mg、40 mg、45 mg、50 mg、55 mg、60 mg、65 mg、70 mg、75 mg、80 mg、85 mg、90 mg、95 mg、100 mg、110 mg、120 mg、130 mg、140 mg、150 mg、160 mg、170 mg、180 mg、190 mg、200 mg、225 mg、250 mg、275 mg、300 mg、325 mg、350 mg、375 mg、400 mg、425 mg、450 mg、475 mg、500 mg、525 mg、550 mg、575 mg、600 mg、625 mg、650 mg、675 mg、700 mg、725 mg、750 mg、775 mg、800 mg、825 mg、850 mg、875 mg、900 mg、925 mg、950 mg、975 mg、1,000 mg、1,025 mg、1,050 mg、1,075 mg、1,100 mg、1,125 mg、1,150 mg、1,175 mg、1,200 mg、1,225 mg、1,250 mg、1,275 mg、1,300 mg、1,325 mg、1,350 mg、1,375 mg、1,400 mg、1,425 mg、1,450 mg、1,475 mg、1,500 mg、1,525 mg、1,550 mg、1,575 mg、1,600 mg、1,625 mg、1,650 mg、1,675 mg、1,700 mg、1,725 mg、1,750 mg、1,775 mg、1,800 mg、1,825 mg、1,850 mg、1,875 mg、1,900 mg、1,925 mg、1,950 mg、1,975 mgもしくは2,000 mgまたはそれ以上)の抗アンドロゲン薬を含有する。多用量を1日に1回もしくは複数回(例えば、1日に1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10用量)与え、または1週間に1回もしくは複数回(例えば、1週間に1、2、3、4、5、6もしくは7回)、1日に1回もしくは複数回の用量を与えてもよい。
例えば、動物試験(例えばげっ歯類およびサル)から得られたデータを使用して、ヒトにおける使用のための投与量範囲を策定することができる。本発明の化合物の投与量は、ほとんどまたは全く毒性のないED50を含む循環濃度の範囲内にあることが好ましい。投与量は、利用される投与量形態および投与経路に応じてこの範囲内で変わり得る。本発明の方法で使用するための任意の組成物について、治療有効用量は最初に細胞培養アッセイ法から推定することができる。細胞培養において決定されるIC50 (症状の最大半減阻害を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するために動物モデルにおいて用量を処方することができる。そのような情報を使用して、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定することができる。血漿中のレベルは、例えば、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定することができる。
さらに、組成物の適切な用量は、達成されるべき所望の効果に関する組成物の効力に依存すると理解される。これらの組成物の1つまたは複数が哺乳動物に投与される場合、医師、獣医師、または研究者は、例えば、最初は比較的低用量を処方し、続いて適切な応答が得られるまで用量を増やしてもよい。さらに、任意の特定の哺乳動物対象についての特定の用量レベルは、利用される特定の組成物の活性、対象の年齢、体重、全般的な健康状態、性別、および食事、投与時間、投与経路、***速度、任意の薬物の組み合わせ、ならびに調節されるべき発現または活性の程度を含む種々の要因に依存するものと理解される。
いくつかの態様において、ニクロサミド類似体と抗アンドロゲン薬の両方が同時に投与される。他の態様において、ニクロサミド類似体および抗アンドロゲン薬は同時に投与されるのではなく、1日に同じ回数、または1週間に同じ回数、または1ヶ月にいくつかの回数投与される(例えば、両方とも1日に1回、1日に2回、1週間に1回、1週間に2回などのように投与される)。いくつかの他の態様において、ニクロサミド類似体および抗アンドロゲン薬は異なる投薬スケジュールにて投与される。非限定的な例として、ニクロサミド類似体は1日1回投与され、抗アンドロゲン薬は1日2回投与され、またはその逆である。別の非限定的な例として、ニクロサミド類似体は1日1回投与され、抗アンドロゲン薬は2、3、4、5、6日もしくはそれ以上の日数ごとに1回投与され、またはその逆である。当業者はまた、ある種の要因が、疾患または悪性状態の重症度、前処置、対象の全般的な健康状態および/または年齢、ならびに存在する他の疾患を含むがこれらに限定されない、対象を効果的に処置するために必要とされる投与量およびタイミングに影響を及ぼし得ることを理解するであろう。さらに、治療有効量の組成物による対象の処置は、単回の処置を含むことができ、または、好ましくは、一連の処置を含むことができる。
本発明の組成物の最適な投与量、毒性、および治療効果は、投与される組成物の相対的な効力に応じて変わることがあり、細胞培養または実験動物における標準の薬学的手順により、例えば、LD50 (集団の50%に致死的な用量)およびED50 (集団の50%において治療的に有効な用量)を決定することにより決定することができる。毒性効果と治療効果の間の用量比が治療指数であり、比LD50/ED50として表すことができる。大きな治療指数を示す薬剤が好ましい。有毒な副作用を示す薬剤を使用することができるが、正常細胞への潜在的な損傷を最小限にし、それによって副作用を軽減するためにそのような薬剤を患部組織の部位に標的化する送達システムをデザインするように注意するべきである。
最適な投薬スケジュールは、対象の体内での活性成分蓄積の測定から計算することができる。一般に、投与量は体重1 kgあたり約1 ngから約1,000 mgであり、毎日、毎週、毎月または毎年1回または複数回与えられ得る。当業者は最適な投与量、投薬方法および反復率を容易に決定することができる。当業者は、当技術分野において公知の確立されたプロトコルおよび本明細書における開示にしたがって、ヒトへのニクロサミド類似体および抗アンドロゲン薬の組み合わせの投与のために最適な投薬を決定することができるであろう。
本発明のいくつかの態様において、薬学的組成物または医薬は、がん(例えば、前立腺がん、乳がん、アンドロゲン非依存性がん、薬物耐性がん)を予防、処置、または制御するために治療的に有効な用量で患者に投与される。薬学的組成物または医薬は、患者において有効な治療的または診断的応答を引き出すのに十分な量で患者に投与される。有効な治療的または診断的応答は、がんの症状または合併症を少なくとも部分的に阻止または遅延させる応答である。これを達成するのに十分な量は、「治療有効用量」と定義される。
成功裏の処置後、がん(例えば、前立腺がん、乳がん、アンドロゲン非依存性がん、薬物耐性がん)の再発を予防するために対象に維持療法を受けさせることが望ましい場合がある。
有効量の決定は、特に本明細書において提供される詳細な開示に照らして、十分に当業者の能力の範囲内である。一般に、効果的または有効な量の組成物は、最初に低用量または少量の組成物を投与し、次いで有害な副作用が最小限でまたは全くなしに処置対象において所望の効果が観察されるまで、投与用量または投与量を徐々に増加させることにより決定される。
組成物の単回または複数回投与は、必要に応じて患者により容認される投与量および頻度に応じて投与される。いずれにせよ、患者を効果的に処置するのに十分な量の本発明の組成物を提供すべきである。一般に、用量は、患者に対して許容できない毒性を生じることなく、疾患の症状または兆候を予防、処置、または改善するのに十分である。
F. キット
別の局面において、本発明は、対象におけるがんを予防または処置するためのキットを提供する。キットは任意のがんを処置するのに有用であり、そのうちのいくつかの非限定的な例としては、前立腺がん、乳がん、子宮がん、卵巣がん、結腸直腸がん、胃がん、膵臓がん、肺がん(例えば、中皮腫、肺腺がん)、食道がん、頭頸部がん、肉腫、黒色腫、甲状腺がん、CNSがん(例えば、神経芽細胞腫、神経膠芽腫)、慢性リンパ性白血病、および本明細書において記述される任意の他のがんが挙げられる。キットは同様に、アンドロゲン非依存性、去勢抵抗性、去勢再発性、ホルモン耐性、薬物耐性、および転移性去勢抵抗性がんを処置するのに適している。
いくつかの態様において、キットは、ニクロサミド類似体および抗アンドロゲン薬を含む。いくつかの他の態様において、キットは薬学的に許容される担体をさらに含む。特定の態様において、ニクロサミド類似体は式(I)の化合物:
Figure 0007300386000047
である。
いくつかの態様において、R1は、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; R2は、H、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; R3は、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; かつR4は、HおよびC(O)R5からなる群より選択され、ここでR5は、H、置換されていてもよいC1~18アルキル、置換されていてもよいC2~18アルケニル、および置換されていてもよいC2~18アルキニルからなる群より選択され; かつここで各Xは独立して選択されるハロゲンである。いくつかの場合には、R1はCX3またはNO2である。他の場合には、R2はHまたはXである。いくつかの他の場合には、R3はXである。他の場合には、R5はC2アルキルまたはC2アルケニルである。特定の場合には、Xは、FおよびClからなる群より独立して選択される。
いくつかの態様において、R1はCX3 (例えば、CF3)であり、かつR2はHまたはX (例えば、Cl)である。いくつかの態様において、R1はCX3であり、R3はX (例えば、Cl)であり、かつR4はHである。いくつかの態様において、R1はCX3 (例えば、CF3)であり、R2はHまたはX (例えば、Cl)であり、R3はX (例えば、Cl)であり、かつR4はHである。いくつかの態様において、R1はNO2であり、かつR4
Figure 0007300386000048
である。いくつかの態様において、R2はX (例えば、Cl)であり、かつR4
Figure 0007300386000049
である。いくつかの態様において、R3はX (例えば、Cl)であり、かつR4
Figure 0007300386000050
である。いくつかの態様において、R1はNO2であり、R2はX (例えば、Cl)であり、R3はX (例えば、Cl)であり、かつR4
Figure 0007300386000051
である。
いくつかの態様において、R2がClであり、R3がClであり、かつR4がHである場合、R1はNO2ではない。いくつかの態様において、R1がNO2であり、R3がClであり、かつR4がHである場合、R2はClではない。いくつかの態様において、R1がNO2であり、R2がClであり、かつR4がHである場合、R3はClではない。いくつかの態様において、R1がNO2であり、R2がClであり、かつR3がClである場合、R4はHではない。
いくつかの態様において、式(I)の化合物は、
Figure 0007300386000052
およびその組み合わせからなる群より選択される。
いくつかの態様において、ニクロサミド類似体は式(II)の化合物:
Figure 0007300386000053
である。
いくつかの態様において、R6およびR7は、H、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より独立して選択され; R8は、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; かつR9は、HおよびC(O)R10からなる群より選択され、ここでR10は、H、置換されていてもよいC1~18アルキル、置換されていてもよいC2~18アルケニル、および置換されていてもよいC2~18アルキニルからなる群より選択され; かつここで各Xは独立して選択されるハロゲンである。いくつかの場合には、R6および/またはR7はCX3である。いくつかの他の場合には、R8はXである。いくつかの場合には、R9はHである。特定の場合において、Xは、FおよびClからなる群より独立して選択される。
いくつかの態様において、R6およびR7はCX3 (例えば、CF3)である。いくつかの態様において、R6およびR7はCX3 (例えば、CF3)であり、かつR8はX (例えば、Cl)である。いくつかの態様において、R6およびR7はCX3 (例えば、CF3)であり、かつR9はHである。いくつかの態様において、式(II)の化合物は
Figure 0007300386000054
である。
いくつかの態様において、R7がFであり、R8がClであり、かつR9がHである場合、R6はFではない。いくつかの態様において、R6がFであり、R8がClであり、かつR9がHである場合、R7はFではない。
いくつかの態様において、式(I)または(II)の化合物はニクロサミドまたは化合物1、2、8、17、29、34、もしくは35ではない。
いくつかの態様において、ニクロサミド類似体は、式(I)の化合物および式(II)の化合物である。
いくつかの態様において、抗アンドロゲン薬は、非ステロイド性アンドロゲン受容体アンタゴニスト、CYP17A1阻害剤、またはそれらの組み合わせである。適当な非ステロイド性ARアンタゴニストは、ビカルタミド(カソデックス(Casodex)、コスデックス(Cosudex)、カルチド(Calutide)、カルミド(Kalumid))、フルタミド、ニルタミド、アパルタミド(ARN-509、JNJ-56021927)、ダロルタミド、エンザルタミド(イクスタンジ(Xtandi))、シメチジンおよびトピルタミドを含む。適当なCYP17A1阻害剤は、酢酸アビラテロン(ザイティガ(Zytiga))、ケトコナゾール、およびセビテロネルを含む。抗アンドロゲン薬の任意の組み合わせを本発明のキットにおいて使用することができる。
本発明のさまざまな方法を実行するための材料および試薬は、方法の実行を容易にするためにキットで提供することができる。本明細書において使用される場合、「キット」という用語は、プロセス、アッセイ、分析、または操作を容易にする物品の組み合わせを含む。特に、本発明のキットには、例えば、診断、予後診断、治療などを含む広範囲の用途における有用性が見出される。
キットは化学試薬および他の成分を含むことができる。さらに、本発明のキットは、非限定的に、キット使用者への説明書、サンプル収集および/もしくは精製のための装置および試薬、産物収集および/もしくは精製のための装置および試薬、ニクロサミド類似体および/もしくは抗アンドロゲン薬を投与するための装置および試薬、バイオマーカーのレベルを決定するための装置および試薬、サンプルチューブ、ホルダ、トレイ、ラック、ディッシュ、プレート、溶液、緩衝液または他の化学試薬、標準化、正規化のために使用される適当なサンプル、および/または対照サンプルを含むことができる。本発明のキットは同様に、好都合な保管および安全な輸送のために、例えば、蓋を有する箱の中に包装することもできる。
いくつかの態様において、キットは同様に、バイオマーカーの検出のための陰性および陽性対照サンプルも含む。適当なバイオマーカーの非限定的な例としては、前立腺特異的抗原(PSA)、α-メチルアシル-CoAラセマーゼ(AMACR)、エンドグリン(CD105)、エングレイルド(engrailed)2 (EN-2)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、カベオリン-1、インターロイキン-6 (IL-6)、CD147、S100タンパク質ファミリーのメンバー(例えば、S100A2、S100A4、S100A8、S100A9、S100A11)、アネキシンA3 (ANXA3)、ヒトカリクレイン-2 (KLK2)、TGF-β1、β-マイクロセミノプロテイン(MSMB)、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PgR)、HER2、Ki67、サイクリンD1、およびサイクリンEが挙げられる。いくつかの場合には、1つまたは複数のバイオマーカーはPSAを含む。いくつかの態様において、陰性対照サンプルは、がんを有しない個体または個体群から得られる。他の態様において、陽性対照サンプルは、がんを有する個体または個体群から得られる。いくつかの態様において、キットは、試験生物学的サンプルにおける1つまたは複数のバイオマーカーの定量化レベルの評価を補助するために、サンプルにおける1つまたは複数のバイオマーカーの滴定曲線の作成用のサンプルを含む。
IV. 実施例
本発明を特定の実施例によってさらに詳細に記述する。以下の実施例は例示の目的のためだけに与えられ、いかなる方法によっても本発明を限定することが意図されない。当業者は、本質的に同じ結果を得るために変更または修正することができる種々の重要でないパラメータを容易に認識するであろう。
実施例1. アンドロゲン受容体変種の小分子阻害剤
本実施例では、小分子アンドロゲン受容体(AR)モジュレータとして機能したいくつかのニクロサミド類似体の同定について記述する。化合物は有意に、インビトロでおよびインビボでAR-V7発現を阻害し、エンザルタミド/アビラテロン耐性腫瘍の成長を抑制し、耐性前立腺がん細胞のアポトーシスを誘導した。さらに、エンザルタミドのような抗アンドロゲン療法に対する耐性を付与するK581R、L702H、T878A、およびV716M変種を含めて、一部の化合物は変異ARの活性を遮断した。さらに、一部の化合物はエンザルタミド、アビラテロン、ビカルタミドと相乗作用を示し、治療活性を改善することができた。
導入
前立腺がんは、がんに関連した死亡原因の第2位であり、男性において最も一般的に診断されているがんであり、米国だけで年間推定220,800例の新しい症例がある(1,2)。前立腺がんに対する第一選択処置は、アンドロゲン除去療法(ADT)の使用により循環アンドロゲンレベルを低減させることを目的としている。これは、精巣によるアンドロゲン合成を阻害する外科的両側精巣摘出術、または去勢誘発薬を使用してアンドロゲンレベルとアンドロゲン受容体(AR)活性化を低減させる2つの方法のうちの1つを使用して達成される。ADTは、当初は前立腺がんの成長を低減するのに効果的であるが、2~3年の処置後に患者の大多数は去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)に進行し、腫瘍増殖は去勢レベルのアンドロゲンの存在下でも進行する。この疾患進行の時点で、治療選択肢の数は、現在は限られているが、患者の転帰を改善するための集中的な研究の焦点である(3)。
臨床的に、CRPCは、去勢レベルの循環テストステロンの存在下での前立腺がんの進行と定義される(4,5)。多くの場合、ARは過剰発現され、過剰活性化されるか、またはその両方のいずれかであり、下流の標的遺伝子の転写をもたらし、患者に存在するアンドロゲンのレベルが無視できるにもかかわらず腫瘍の進行を最終的に促進する。ホルモン感受性前立腺がんからCRPCの開発につながる機構は、広く研究されている。同定された機構には、AR増幅および変異、ARコアクチベータおよびコリプレッサ修飾、異常な活性化および/または翻訳後修飾、ARスプライス変種、ならびにステロイド生成の変化が含まれ、このそれぞれがAR活性化およびシグナル伝達の増加をもたらす。これは、他の方法の中でも、アンドロゲンの量の増加、既存のアンドロゲンに対する応答の増強、および非古典的リガンド、または全くリガンドのないことによるARの活性化による可能性がある(6-10)。
CRPCの処置は現在、微小管機能の破壊により、速やかに***する細胞の成長を妨げるドセタキセルおよびカバジタキセルのようなタキサンの投与、またはエンザルタミドおよびアビラテロンを含む次世代抗アンドロゲン療法で達成される。抗アンドロゲンの主な機構は、受容体に拮抗することによって直接的に、またはアンドロゲン合成を遮断することによって間接的にAR活性化を阻害することである。残念なことに、アビラテロンを投与された患者の3分の1およびエンザルタミドを投与された患者の4分の1がこれらの薬物による初期処置に応答しないと推定されている(11,12)。さらに、処置を開始してから12~24ヶ月以内に、当初は薬物に応答した者でさえも耐性を生じることが多い。
エンザルタミドおよびアビラテロンのような抗アンドロゲン薬に対する耐性の発現は、耐性のいくつかの潜在的な経路を考えると、実際には避けられない(13,14)。最近の研究では、AR選択的スプライシング、特にスプライス変種AR-V7をエンザルタミド/アビラテロン耐性の発現に関連付けている(15~18)。ARスプライス変種は、hnRNPAのようなスプライシング因子を伴うゲノム再編成と選択的スプライシングによって形成され得る(19,20)。最も一般的には、AR変種にはC末端リガンド結合ドメインがなく、これらの切断型のARは、多くの場合、リガンド非依存性であり、構成的活性化および制御されない下流ARシグナル伝達をもたらす(21~25)。これらのAR変種の発現は、アビラテロンとエンザルタミドの両方に対する耐性と強く関連しており、よく研究されていないが、同様にドセタキセル耐性に強く関連している。変種のうち、AR-V7は特に重要であるものと思われる。エンザルタミドまたはアビラテロンで処置された患者におけるAR-V7発現は、AR-V7を発現しない男性と比較して、有意に低いPSA応答、短い無増悪期間、および低い全生存期間と相関することが示されている(26)。ARシグナル伝達、特にAR変種の標的化は、進行性前立腺がんに対する現在の抗アンドロゲン療法を改善するであろう。
小分子モジュレータ: ニクロサミド類似体の合成
条虫感染症の処置のためにFDAによって承認された駆虫剤であるニクロサミドは、AR-V7発現のようなAR変種を阻害し、エンザルタミドおよびアビラテロンに対する耐性を克服することが、以前に同定された(27)。本研究では、進行性前立腺がんの処置のためにさらに効果的なAR変種阻害剤を同定するため、いくつかのニクロサミド類似体が合成された。
化合物7および30の合成を図1Aに示す。両化合物は、1段階反応を使用して合成された。化合物7の合成の場合、2 M三塩化リンのジクロロメタン溶液を使用して、市販の5-クロロサリチル酸を2-クロロ-4-トリフルオロメチルアニリンとカップリングした。キシレンを反応の溶媒として使用し、反応混合物を5時間(または反応物が消失するまで)還流した。熱い溶液を移し、生成物を溶液から沈殿させるために室温にした。次いで沈殿物を酢酸エチルに再溶解し、再結晶化して、純粋な化合物7を得た。
化合物30の合成のため、ニクロサミドを無水CH3CNに溶解した。DIPEA (N,N-ジイソプロピルエチルアミン)およびDMAP (4-ジメチルアミノピリジン)を-10℃で添加した。30分間撹拌した後、塩化プロピオニルを添加し、反応混合物を0℃で2時間撹拌した。次に、反応混合物に水を添加し、混合物を酢酸エチルで抽出した。次いで、有機相を合わせ、水および塩水で連続して洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、次に減圧下で蒸発させて淡黄色の固体を得た。化合物をカラムクロマトグラフィーで精製して化合物30を得た。化合物5および11を化合物7と同じ手順で合成し、化合物31を化合物30と同様の方法で得た。新たに合成された化合物の化学構造を、図1Bおよび1Cに例示する。
AR変種の強力な阻害剤としての小分子モジュレータの同定
ARおよびAR変種の発現に及ぼす合成小分子モジュレータの効果を決定した。CWR22Rv1前立腺がん細胞を異なる化合物で処置した。タンパク質溶解物をARおよびAR変種の発現について分析した。図2Aは、化合物5、7、11、30、および31がARおよびAR-V7発現を阻害したことを示している。対照的に、化合物1、2、8、17、29、34、および35は、ARおよびAR変種の発現レベルに影響を示さなかった。さらなる研究により、化合物7、30、および31が用量依存的にARおよびAR-V7発現を阻害したことが示された(図2B)。
小分子モジュレータはAR-V7媒介転写活性を阻害した
AR-V7転写活性に及ぼすこれらの化合物の効果を決定するために、ニクロサミド類似体で処理した、AR-V7(C4-2-V7)を過剰発現するC4-2前立腺がん細胞においてPSAタンパク質発現のレベルを測定した。図3に示されるように、化合物7、30、および31はPSA発現を阻害し、化合物31が最も強い効果を示した。さらに、化合物7、30、および31は、エンザルタミド媒介PSA阻害をさらに増強した(図3)。さらに、レポーターとしてPSA-lucを使用してAR転写活性に及ぼす効果を決定した。LNCaP細胞をAR-V7とともにまたはそれなしにPSA-lucと同時トランスフェクションし、化合物で処理した。図4に示されるように、エンザルタミドおよびさまざまなニクロサミド類似体は、AR-V7の非存在下でアンドロゲン(DHT)誘発PSA-luc活性を阻害した。しかしながら、エンザルタミドではなく、化合物7、30、および31のみがAR-V7を介したPSA-luc活性を阻害した。これらのデータは、エンザルタミドではなく、化合物7、30、および31がAR-V7を介した転写活性を阻害したことを示す。
小分子モジュレータは変異体AR転写活性を遮断した
ARにおける変異の出現は、抗アンドロゲン療法に対する耐性を促進することが示されている。変異体ARに及ぼす抗アンドロゲンおよびニクロサミド類似体の効果を、対応する変異体ARおよびアンドロゲン応答性ルシフェラーゼレポーター遺伝子構築体をコードする発現ベクターで一時的にトランスフェクションされたHEK 293細胞におけるトランス活性化アッセイ法で研究した。ビカルタミド(Bica)、エンザルタミド(Enza)、ARN509 (ARN)、ニクロサミド(Nic)、ならびに化合物7および31は、野生型ARトランス活性化を遮断した。T878A、K581R、L702HおよびV716M AR変異は、ビカルタミドをアンタゴニストからアゴニストに切り替えたが、エンザルタミドおよびARN509は、これらの変異体ARの転写活性を遮断するうえで効果がなかった。しかしながら、ニクロサミドならびに化合物7および31は、試験した全ての変異体ARおよびAR-V7のトランス活性化を有意に遮断した(図5)。
ニクロサミド類似体は、インビトロで前立腺がん細胞の成長を阻害し、細胞アポトーシスを誘導した
耐性前立腺がん細胞の成長に及ぼすこれらの同定された低分子モジュレータの効果を調べるため、CWR22Rv1およびC4-2B MDVR細胞をアビラテロン、エンザルタミド、ARN509、または漸増用量の、ニクロサミド、化合物7、もしくは化合物31で48時間処理し、その時間の後に細胞数をカウントした。図6に示されるように、アビラテロン(AA)、エンザルタミド(Enza)およびARN509 (ARN)はいずれの細胞株でも細胞成長を阻害しなかった。しかしながら、ニクロサミド(NIC)ならびに化合物7および31は、用量依存的に細胞成長を阻害することができた。下パネルは、アビラテロン、エンザルタミド、ARN509、ニクロサミド、ならびに化合物7および31の時間依存性の成長効果を示している。
これらの化合物が前立腺がん細胞の成長に影響を与えたかどうかをさらに調べるために、CWR22Rv1、C4-2B MDVR、C4-2B AbiR、およびC4-2-V7細胞をDMSOまたは0.5 μMのニクロサミドもしくはニクロサミド類似体の1つで48時間処理し、その時間の後に細胞数を決定した。図7に示されるように、0.5 μMのニクロサミドおよびニクロサミド類似体は、前立腺がん細胞の細胞成長を有意に阻害した。さらに、エンザルタミド(MDV)とニクロサミドまたは類似体化合物7、30、および31のいずれかとの組み合わせは、細胞増殖をさらに阻害した。これらの化合物の抗がん効果をさらに調べるために、ELISA細胞死アッセイ法を実施した。図8に示されるように、ニクロサミドは前立腺がん細胞において細胞アポトーシスを有意に誘導し、化合物7、30、および31はアポトーシスの誘導をさらに増強した。エンザルタミド(MDV)とこれらの化合物の組み合わせは、アポトーシス細胞死をさらに増加させた。まとめると、これらの結果は、化合物7、30、および31が前立腺がん細胞の成長を阻害し、細胞アポトーシスを誘導し、耐性前立腺がん細胞におけるエンザルタミドの活性をさらに増強したことを示している。
抗アンドロゲン薬と相乗作用したニクロサミド類似体の同定
AR-V7はエンザルタミドおよびアビラテロンのような抗アンドロゲンに対する耐性の促進に大いに関与しているので、AR-V7を阻害する能力を有する化合物は抗アンドロゲンと相乗作用し、耐性前立腺がんにおいてその治療活性を改善するものと仮定された。この仮説を試験するために、エンザルタミドおよびアビラテロンのような抗アンドロゲンと組み合わせた、細胞成長に及ぼすニクロサミド類似体の効果を決定した。化合物30および31 (そのどちらもAR-V7発現を阻害する)を化合物1および34 (そのどちらもAR-V7発現を阻害しない)と、耐性前立腺がん細胞の成長に及ぼすその効果について比較した。図9に示されるように、CWR22Rv1細胞はエンザルタミドとアビラテロンの両方に対して耐性であった。化合物1または34単独では、CWR22Rv1細胞の細胞成長を阻害するこはできず、これらの化合物とエンザルタミドまたはアビラテロンとの組み合わせも、CWR22Rv1細胞の成長を阻害することができなかった。対照的に、化合物30または31のいずれかとエンザルタミドまたはアビラテロンとの組み合わせは、CWR22Rv1細胞の成長を有意に阻害した(図9)。耐性C4-2BMDVR細胞においてエンザルタミドでも同様の結果が観察され、このなかで化合物30および31はエンザルタミドまたはアビラテロンと相乗作用することができたが、化合物1も化合物34もエンザルタミドまたはアビラテロンと相乗作用することができなかった(図10)。これらの結果は、化合物30および31を抗アンドロゲン薬(例えば、エンザルタミド、アビラテロン)と組み合わせるように特異的に利用して、抗アンドロゲン療法に対する耐性を克服することができることを示す。また、エンザルタミド/アビラテロン耐性CWR22Rv1細胞においてエンザルタミドまたはアビラテロンのいずれかと組み合わせて化合物7および11 (そのどちらもAR-V7発現を阻害する) 対 化合物2および17 (そのどちらもAR-V7発現を阻害しない)を試験した。図11に示されるように、化合物2も化合物17も単独ではCWR22Rv1細胞の成長を阻害することができず、これらの化合物のいずれかとエンザルタミドまたはアビラテロンとの組み合わせもCWR22Rv1細胞の成長を阻害することができなかった。対照的に、化合物7または11のいずれかとエンザルタミドまたはアビラテロンとの組み合わせは、CWR22Rv1細胞の成長を有意に阻害することができた。まとめると、AR-V7発現を阻害する能力を有した化合物(例えば、化合物7、11、30、および31)はエンザルタミドまたはアビラテロンと相乗作用することができたが、AR-V7発現を阻害することができなかった化合物(例えば、化合物1、2、17、および34)は、エンザルタミドまたはアビラテロンのいずれとも相乗作用することができなかったことが実証された。
次に、エンザルタミドおよびアビラテロンと相乗作用することができる選択的化合物がビカルタミドとも相乗作用することができるかどうかを決定した。化合物1、7、30、31、または34のいずれも単独では、CWR22Rv1細胞の成長を阻害することができなかった(図12)。化合物1および34とビカルタミドとの組み合わせは、細胞成長を阻害することができなかった。しかしながら、化合物7、30、または31とビカルタミドとの組み合わせは、CWR22Rv1細胞の成長を有意に阻害することができた(図12)。これらの結果は、選択的化合物をビカルタミドと組み合わせて、進行性耐性前立腺がん細胞を処置できることを示している。
ニクロサミド類似体はインビボで前立腺がん腫瘍の成長を阻害した
ニクロサミド類似体がインビボでエンザルタミド/アビラテロン耐性腫瘍細胞成長を阻害できるかどうかを決定するために、CWR22Rv1腫瘍異種移植片を化合物7で処理した。図13A~13Cに示されるように、化合物7は体重の阻害なしに腫瘍成長を有意に阻害した。タンパク質溶解物を単離し、ウエスタンブロットによりARおよびAR-V7発現について分析した。図13Dに示されるように、ARタンパク質発現もAR-V7タンパク質発現もともに対照と比較して、化合物7での処理によって有意に阻害された。これらの結果は、化合物7がARおよびAR-V7発現の抑制によりエンザルタミド/アビラテロン耐性腫瘍成長を阻害したことを示している。
概要
これらの実験により、ARおよびAR-V7の小分子モジュレータとして機能し、耐性前立腺がん腫瘍成長を阻害し、アポトーシスを誘導したいくつかのニクロサミド類似体が同定された。さらに、化合物30および31は、エンザルタミド、アビラテロン、およびビカルタミドと相乗作用し、進行性前立腺がんのその治療活性を改善し得るものと同定された。
参考文献
Figure 0007300386000055
Figure 0007300386000056
Figure 0007300386000057
実施例2. ニクロサミド類似体および抗アンドロゲン薬による完全長アンドロゲン受容体およびアンドロゲン受容体変種の阻害
本実施例では、完全長アンドロゲン受容体(AR-FL)およびさまざまなアンドロゲン受容体(AR)変種(ARV)の発現および活性を阻害するニクロサミド類似体および抗アンドロゲン薬の能力をさらに特徴付けるために行われた一連の実験について記述する。
小分子モジュレータは完全長アンドロゲン受容体(AR-FL)媒介性およびアンドロゲン受容体変種(ARV)媒介性の転写活性を阻害する
PSA-lucをレポーターとして使用してAR-FLならびにいくつかのARV (すなわち、AR-V1、AR-V3、AR-V7、AR-V9、およびAR-V12)を評価した。C4-2B細胞をpcDNAで、AR-V1、AR-V3、AR-V7、AR-V9またはAR-V12とともにまたはそれなしに、およびFBS条件においてPSA-E/P-ルシフェラーゼプラスミドと同時トランスフェクションした。DMSO、10 μMアビラテロン(Abi)、20 μMエンザルタミド(Enza)、20 μMアパルタミド(ARN)、1 μMニクロサミド(Nic)、1 μM化合物7、または1 μM化合物31で終夜処理した後に、PSAルシフェラーゼ活性を調べた。
図14に示されるように、ニクロサミド、化合物7、および化合物31は、ARV媒介性PSA-luc活性を阻害した。特に、これらのデータは、ニクロサミドおよびその類似体がAR-FL媒介性およびARV媒介性の両方の転写活性を阻害したことを示している。
小分子モジュレータはAR-V7タンパク質発現を低下させる
小分子モジュレータがタンパク質分解を介してAR-V7タンパク質発現に影響を与えるかどうかを決定するために、CWR22Rv1およびC4-2B MDVR細胞をシクロヘキシミド(CHX)で処理し、AR-V7タンパク質の半減期を測定した。
図15Aに示されるデータの場合、CWR22Rv1細胞を50 μg/mLのシクロヘキシミド(CHX)で、ニクロサミド(Nic)、化合物7、または化合物31とともにまたはそれなしで処理した。0、2、4、および8時間後に、全細胞溶解物を収集し、ウエスタンブロットに供した。次いでAR-V7の半減期を計算した。
図15Bに示されるデータの場合、CWR22Rv1細胞をニクロサミド、化合物7、または化合物31で、プロテアソーム阻害剤MG132とともにまたはそれなしで処理した。その後、全細胞溶解物を収集し、ウエスタンブロットに供した。
図15Cに示されるデータの場合、CWR22Rv1細胞をNic、化合物7、または化合物31で処理した。その後、全細胞溶解物をAR抗体で免疫沈降し、ユビキチンおよびAR抗体でブロットした。
図16Aに示されるデータの場合、C4-2B MDVR細胞を50 μg/mLのシクロヘキシミドで、ニクロサミド、化合物7、または化合物31とともにまたはそれなしで処理した。0、2、4、および8時間後に、全細胞溶解物を収集し、ウエスタンブロットに供した。次いでAR-V7の半減期を計算した。
図16Bに示されるデータの場合、C4-2B MDVR細胞をニクロサミド、化合物7、または化合物31で、MG132とともにまたはそれなしで処理した。全細胞溶解物をその後、収集し、ウエスタンブロットに供した。
図16Cに示されるデータの場合、C4-2B MDVR細胞をニクロサミド、化合物7、または化合物31で処理した。全細胞溶解物をAR抗体で免疫沈降し、ユビキチンおよびAR抗体でブロットした。
図15および16に示されるように、ニクロサミドならびにその類似体の化合物7および化合物31は、プロテアソーム-ユビキチン化システムを介してAR変種を分解した。
小分子モジュレータは耐性前立腺がんにおけるアビラテロンおよびアパルタミド(ARN509)処置を増強する
ニクロサミドならびにその類似体がアビラテロンおよびアパルタミド処置を増強するかどうかを決定するために、CWR22Rv1細胞を化合物7の存在下または非存在下でアビラテロンまたはアパルタミドのいずれかの組み合わせで処理した。図17Aに示されるデータの場合、CWR22Rv1細胞をDMSO、20 μMアパルタミド(ARN)、0.5 μM化合物7、またはアパルタミドと化合物7の組み合わせで処理した。細胞成長を3、5日の時点で決定した。図17Bに示されるデータの場合、CWR22Rv1細胞をDMSO、5 μMアビラテロン(ABI)、0.5 μM化合物7、またはアビラテロンと化合物7の組み合わせで処理した。細胞成長を3、5日の時点で決定した。
図17に示されるように、化合物7はアビラテロンおよびアパルタミド処置を有意に増強した。
ラットにおける経口投与後に、血漿中で、小分子モジュレータはニクロサミドよりも良好な生物学的利用能を示した
化合物7および化合物31の生物学的利用能をニクロサミドと比較するために、体重約300グラム~約350グラムを有する雄性Sprague-Dawley (SD)ラットにニクロサミド、化合物7、または化合物31を200 mg/kgの用量で経口的に(p.o.)投与した。血液サンプルを図18に示された時点(0分、15分、30分、1時間、1.5時間、2時間、4時間、6時間、8時間、および24時間)で得て、LC-MS分析のために血漿を単離した。図18に示されるように、1556 nMのニクロサミドのCmaxと比較して、化合物7および化合物31のCmax値は、それぞれ9038 nMおよび2685 nMに達した。化合物7、化合物31、およびニクロサミドの薬物動態(PK)分析の結果を表1に示す。これらのデータは、化合物7および化合物31がニクロサミドよりもはるかに良好な生物学的利用能を示したことを示す。
(表1)ラット血漿中の小分子AR阻害剤のノンコンパートメントPK分析
Figure 0007300386000058
小分子モジュレータは経口投与によりインビボで前立腺がん腫瘍成長を阻害する
ニクロサミドおよびその類似体の化合物7が経口投与により腫瘍成長を阻害するかどうかを決定するために、前立腺がん患者由来異種移植片(PDX)担持マウスモデル(LuCaP 35CR)腫瘍をニクロサミドまたは化合物7でp.o処置した。
図19Aに示されるデータの場合、LuCaP 35CR PDXモデルを、雄性去勢SCIDマウスにおいて確立した。腫瘍体積が50~100 mm3前後に達したとき、マウスを無作為に3群に分け、対照(0.5%重量/体積(w/v)のメトセル(Methocel) A4M)、ニクロサミド(Nic; 150 mg/kg)、または化合物7 (150 mg/kg)の経口投与によって4週間処置し、その時間の間に腫瘍成長をモニターした。腫瘍および体重をそれぞれ、図19Bおよび19Cに示す。マウス血清中のPSAレベルを決定したが、これを図19Dに示す。
図19に示されるように、化合物7は、体重の阻害なしに腫瘍成長を有意に阻害した。マウスから得られた血清のPSA分析は、PSAタンパク質発現が化合物7によって阻害されたことを示した。
小分子モジュレータは乳がん細胞の成長を阻害する
ニクロサミドならびにその類似体の化合物7および化合物31が、乳がん細胞の成長を阻害するかどうかを決定するために、MDA-MB-468およびMCF-7細胞をニクロサミド、化合物7または化合物31で3日間処理し、細胞成長を決定した。図20に示されるように、両方の類似体は乳がん細胞成長を阻害した。
要約すると、ニクロサミドならびにその類似体の化合物7および化合物31は、AR-FLおよびAR変種のタンパク質発現、ならびにAR-FL媒介性およびARV媒介性の転写活性を阻害した。しかしながら、類似体は、ニクロサミドと比較して優れた生物学的利用能を示し、腫瘍細胞成長の阻害でさらに効果的であった。特に、化合物7は、ニクロサミドよりいっそうPDXモデルの腫瘍体積および血清PSAレベルを低減させ、抗アンドロゲン薬と大きく相乗作用して腫瘍細胞成長を阻害した。
V. 例示的態様
現在開示されている主題にしたがって提供される例示的な態様には、特許請求の範囲および以下の態様が含まれるが、これらに限定されることはない。
1.
抗アンドロゲン薬および式(I)の化合物:
Figure 0007300386000059
を含む組成物であって、
式中:
R1が、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され;
R2が、H、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され;
R3が、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; かつ
R4が、HおよびC(O)R5からなる群より選択され、
ここでR5が、H、置換されていてもよいC1~18アルキル、置換されていてもよいC2~18アルケニル、および置換されていてもよいC2~18アルキニルからなる群より選択され; かつ
ここで各Xが独立して選択されるハロゲンである、該組成物。
2.
R1がCX3またはNO2である、態様1の組成物。
3.
R2がHまたはXである、態様1または2の組成物。
4.
R3がXである、態様1~3のいずれかの組成物。
5.
R5がC2アルキルまたはC2アルケニルである、態様1~4のいずれかの組成物。
6.
Xが、FおよびClからなる群より独立して選択される、態様1~5のいずれかの組成物。
7.
式(I)の化合物が、
Figure 0007300386000060
およびその組み合わせからなる群より選択される、態様1~6のいずれかの組成物。
8.
抗アンドロゲン薬が、非ステロイド性アンドロゲン受容体アンタゴニスト、CYP17A1阻害剤、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、態様1~7のいずれかの組成物。
9.
抗アンドロゲン薬が、ビカルタミド、アパルタミド、エンザルタミド、酢酸アビラテロン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、態様8の組成物。
10.
アンドロゲン受容体またはその変種の発現および/または活性を阻害する、態様1~9のいずれかの組成物。
11.
アンドロゲン受容体変種が、スプライス変種、変異体変種、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、態様10の組成物。
12.
スプライス変種が、AR-V1、AR-V3、AR-V7、AR-V9、および/またはAR-V12スプライス変種である、態様11の組成物。
13.
スプライス変種がAR-V7スプライス変種である、態様12の組成物。
14.
変異体変種が、SEQ ID NO:1にのアミノ酸配列と比べてK581R、L702H、T878A、V716M、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される1つまたは複数の変異を含む、態様11の組成物。
15.
がん細胞増殖の有効な阻害剤である、態様1~14のいずれかの組成物。
16.
がん細胞が前立腺がん細胞または乳がん細胞である、態様15の組成物。
17.
がん細胞が、アンドロゲン非依存性がん細胞、転移性がん細胞、去勢抵抗性がん細胞、去勢再発性がん細胞、ホルモン耐性がん細胞、転移性去勢抵抗性がん細胞、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、態様15または16の組成物。
18.
薬学的に許容される担体をさらに含む、態様1~17のいずれかの組成物。
19.
対象におけるがんを予防または処置するための方法であって、抗アンドロゲン薬および式(I)の化合物:
Figure 0007300386000061
を含む治療有効量の組成物を対象に投与する段階を含み、
式中:
R1が、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され;
R2が、H、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され;
R3が、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; かつ
R4が、HおよびC(O)R5からなる群より選択され、
ここでR5が、H、置換されていてもよいC1~18アルキル、置換されていてもよいC2~18アルケニル、および置換されていてもよいC2~18アルキニルからなる群より選択され; かつ
ここで各Xが独立して選択されるハロゲンである、該方法。
20.
R1がCX3またはNO2である、態様19の方法。
21.
R2がHまたはXである、態様19または20の方法。
22.
R3がXである、態様19~21のいずれかの方法。
23.
R5がC2アルキルまたはC2アルケニルである、態様19~22のいずれかの方法。
24.
Xが、FおよびClからなる群より独立して選択される、態様19~23の方法。
25.
式(I)の化合物が、
Figure 0007300386000062
およびその組み合わせからなる群より選択される、態様19~24のいずれかの方法。
26.
抗アンドロゲン薬が、非ステロイド性アンドロゲン受容体アンタゴニスト、CYP17A1阻害剤、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、態様19~25のいずれかの方法。
27.
抗アンドロゲン薬が、ビカルタミド、アパルタミド、エンザルタミド、酢酸アビラテロン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、態様26の組成物。
28.
アンドロゲン受容体またはその変種の発現および/または活性が阻害される、態様19~27のいずれかの方法。
29.
アンドロゲン受容体変種が、スプライス変種、変異体変種、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、態様28の方法。
30.
スプライス変種が、AR-V1、AR-V3、AR-V7、AR-V9、および/またはAR-V12スプライス変種である、態様29の方法。
31.
スプライス変種がAR-V7スプライス変種である、態様30の方法。
32.
変異体変種が、SEQ ID NO:1にのアミノ酸配列と比べてK581R、L702H、T878A、V716M、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される1つまたは複数の変異を含む、態様29の方法。
33.
がんが前立腺がんまたは乳がんである、態様19~32のいずれかの方法。
34.
がんが、アンドロゲン非依存性がん、転移性がん、去勢抵抗性がん、去勢再発性がん、ホルモン耐性がん、転移性去勢抵抗性がん、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、態様19~33のいずれかの方法。
35.
がんのアンドロゲン非依存性、去勢抵抗性、またはホルモン耐性が低下または反転される、態様34の方法。
36.
組成物が薬学的に許容される担体をさらに含む、態様19~35のいずれかの方法。
37.
抗アンドロゲン薬および式(I)の化合物が同時に与えられる、態様19~36のいずれかの方法。
38.
抗アンドロゲン薬および式(I)の化合物が逐次的に与えられる、態様19~36のいずれかの方法。
39.
対象ががんを有していない、態様19~38のいずれかの方法。
40.
対象を処置することが、がんの1つまたは複数の症状の改善をもたらす、態様19~38のいずれかの方法。
41.
抗アンドロゲン薬および式(I)の化合物を対象に投与する前および/または後に、試験サンプルを対象から得る、態様19~40のいずれかの方法。
42.
試験サンプルが組織、血液、またはそれらの組み合わせを含む、態様41の方法。
43.
試験組織サンプルががん組織を含む、態様42の方法。
44.
1つまたは複数のバイオマーカーのレベルがサンプルにおいて決定される、態様41~43のいずれかの方法。
45.
1つまたは複数のバイオマーカーが前立腺特異的抗原(PSA)を含む、態様44の方法。
46.
試験サンプルにおける1つまたは複数のバイオマーカーのレベルが、参照サンプルにおける1つまたは複数のバイオマーカーのレベルと比較される、態様44または45の方法。
47.
参照サンプルが、抗アンドロゲン薬および式(I)の化合物が対象に投与される前および/または後に同じ対象から得られた正常な血液または組織である、態様46の方法。
48.
参照サンプルが異なる対象または対象集団から得られる、態様46の方法。
49.
試験サンプルにおけるPSAのレベルが参照サンプルにおけるPSAのレベルよりも高く、抗アンドロゲン薬および式(I)の化合物を対象に投与する前に試験サンプルを得る、態様46または48の方法。
50.
抗アンドロゲン薬および式(I)の化合物を対象に投与すると、投与前に対象から得られた試験サンプルと比較して、投与後に対象から得られた試験サンプルにおけるPSAレベルの低下がもたらされる、態様45~49のいずれかの方法。
51.
細胞におけるアンドロゲン受容体の発現および/または活性を阻害するための方法であって、抗アンドロゲン薬および式(I)の化合物:
Figure 0007300386000063
を含む治療有効量の組成物とアンドロゲン受容体または細胞を接触させる段階を含み、
式中:
R1が、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され;
R2が、H、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され;
R3が、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; かつ
R4が、HおよびC(O)R5からなる群より選択され、
ここでR5が、H、置換されていてもよいC1~18アルキル、置換されていてもよいC2~18アルケニル、および置換されていてもよいC2~18アルキニルからなる群より選択され; かつ
ここで各Xが独立して選択されるハロゲンである、該方法。
52.
R1がCX3またはNO2である、態様51の方法。
53.
R2がHまたはXである、態様51または52の方法。
54.
R3がXである、態様51~53のいずれかの方法。
55.
R5がC2アルキルまたはC2アルケニルである、態様51~54のいずれかの方法。
56.
Xが、FおよびClからなる群より独立して選択される、態様51~55のいずれかの方法。
57.
式(I)の化合物が、
Figure 0007300386000064
およびその組み合わせからなる群より選択される、態様51~56のいずれかの方法。
58.
抗アンドロゲン薬が、非ステロイド性アンドロゲン受容体アンタゴニスト、CYP17A1阻害剤、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、態様51~57のいずれかの方法。
59.
抗アンドロゲン薬が、ビカルタミド、アパルタミド、エンザルタミド、酢酸アビラテロン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、態様58の方法。
60.
アンドロゲン受容体トランス活性化が阻害される、態様51~59のいずれかの方法。
61.
アンドロゲン受容体発現が阻害される、態様51~60のいずれかの方法。
62.
アンドロゲン受容体媒介転写活性が阻害される、態様51~61のいずれかの方法。
63.
アンドロゲン受容体変種の発現および/または活性が阻害される、態様51~62のいずれかの方法。
64.
アンドロゲン受容体変種の前立腺特異的抗原(PSA)プロモーターへの動員が阻害される、態様63の方法。
65.
アンドロゲン受容体変種が、スプライス変種、変異体変種、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、態様63または64の方法。
66.
スプライス変種が、AR-V1、AR-V3、AR-V7、AR-V9、および/またはAR-V12スプライス変種である、態様65の方法。
67.
スプライス変種がAR-V7スプライス変種である、態様66の方法。
68.
変異体変種が、SEQ ID NO:1に記載されるアミノ酸配列と比べてK581R、L702H、T878A、V716M、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される1つまたは複数の変異を含む、態様65の方法。
69.
細胞ががん細胞である、態様51~68のいずれかの方法。
70.
がん細胞が転移性がん細胞である、態様69の方法。
71.
がん細胞が前立腺がん細胞または乳がん細胞である、態様69または70の方法。
72.
がん細胞が、アンドロゲン非依存性がん細胞、去勢抵抗性がん細胞、ホルモン耐性がん細胞、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、態様69~71のいずれかの方法。
73.
がん細胞のアンドロゲン非依存性、去勢抵抗性、および/またはホルモン耐性が低減、低下、または反転される、態様72の方法。
74.
がん細胞が抗アンドロゲン薬に再感受性化される、態様69~73のいずれかの方法。
75.
抗アンドロゲン薬に対するがん細胞の耐性が低減、低下、または反転される、態様69~73のいずれかの方法。
76.
がん細胞の浸潤能および/またはがん細胞の遊走能が阻害される、態様69~75のいずれかの方法。
77.
がん細胞が成長するおよび/またはコロニーを形成する能力が阻害される、態様69~76のいずれかの方法。
78.
組成物が薬学的に許容される担体をさらに含む、態様51~77のいずれかの方法。
79.
抗アンドロゲン薬および式(I)の化合物:
Figure 0007300386000065
を含む、対象におけるがんを予防または処置するためのキットであって、
式中:
R1が、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され;
R2が、H、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され;
R3が、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; かつ
R4が、HおよびC(O)R5からなる群より選択され、
ここでR5が、H、置換されていてもよいC1~18アルキル、置換されていてもよいC2~18アルケニル、および置換されていてもよいC2~18アルキニルからなる群より選択され; かつ
ここで各Xは独立して選択されるハロゲンである、該キット。
80.
R1がCX3またはNO2である、態様79のキット。
81.
R2がHまたはXである、態様79または80のキット。
82.
R3がXである、態様79~81のいずれかのキット。
83.
R5がC2アルキルまたはC2アルケニルである、態様79~82のいずれかのキット。
84.
Xが、FおよびClからなる群より独立して選択される、態様79~83のいずれかのキット。
85.
式(I)の化合物が、
Figure 0007300386000066
およびその組み合わせからなる群より選択される、態様79~84のいずれかのキット。
86.
抗アンドロゲン薬が、非ステロイド性アンドロゲン受容体アンタゴニスト、CYP17A1阻害剤、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、態様79~85のいずれかのキット。
87.
抗アンドロゲン薬が、ビカルタミド、アパルタミド、エンザルタミド、酢酸アビラテロン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、態様86のキット。
88.
薬学的に許容される担体をさらに含む、態様79~87のいずれかのキット。
89.
がんが前立腺がんまたは乳がんである、態様79~88のいずれかのキット。
90.
がんが、アンドロゲン非依存性がん、転移性がん、去勢抵抗性がん、去勢再発性がん、ホルモン耐性がん、転移性去勢抵抗性がん、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、態様79~89のいずれかのキット。
91.
使用説明書をさらに含む、態様79~90のいずれかのキット。
92.
抗アンドロゲン薬および/または式(I)の化合物を対象に投与するための道具および/または1つもしくは複数の試薬をさらに含む、態様79~91のいずれかのキット。
93.
対象からサンプルを得るための道具および/または1つもしくは複数の試薬をさらに含む、態様79~92のいずれかのキット。
94.
サンプルにおける1つまたは複数のバイオマーカーのレベルを決定するための道具および/または1つもしくは複数の試薬をさらに含む、態様93のキット。
95.
1つまたは複数のバイオマーカーが前立腺特異的抗原(PSA)を含む、態様94のキット。
96.
陰性および/または陽性対照サンプルをさらに含む、態様79~95のいずれかのキット。
97.
抗アンドロゲン薬および式(II)の化合物:
Figure 0007300386000067
を含む組成物であって、
式中:
R6およびR7が、H、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より独立して選択され;
R8が、X、CX3、NO2、OH、およびアルコキシからなる群より選択され; かつ
R9が、HおよびC(O)R10からなる群より選択され、
ここでR10が、H、置換されていてもよいC1~18アルキル、置換されていてもよいC2~18アルケニル、および置換されていてもよいC2~18アルキニルからなる群より選択され; かつ
ここで各Xが独立して選択されるハロゲンである、該組成物。
98.
R6および/またはR7がCX3である、態様97の組成物。
99.
R8がXである、態様97または98の組成物。
100.
R9がHである、態様97~99のいずれかの組成物。
101.
Xが、FおよびClからなる群より独立して選択される、態様97~100のいずれかの組成物。
102.
式(II)の化合物が
Figure 0007300386000068
である、態様97~101のいずれかの組成物。
103.
抗アンドロゲン薬が、非ステロイド性アンドロゲン受容体アンタゴニスト、CYP17A1阻害剤、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、態様97~102のいずれかの組成物。
104.
抗アンドロゲン薬が、ビカルタミド、アパルタミド、エンザルタミド、酢酸アビラテロン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、態様103の組成物。
105.
アンドロゲン受容体またはその変種の発現および/または活性を阻害する、態様97~104のいずれかの組成物。
106.
アンドロゲン受容体変種が、スプライス変種、変異体変種、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、態様105の組成物。
107.
スプライス変種が、AR-V1、AR-V3、AR-V7、AR-V9、および/またはAR-V12スプライス変種である、態様106の組成物。
108.
スプライス変種がAR-V7スプライス変種である、態様107の組成物。
109.
変異体変種が、SEQ ID NO:1に記載されるアミノ酸配列と比べてK581R、L702H、T878A、V716M、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される1つまたは複数の変異を含む、態様106の組成物。
110.
がん細胞増殖の有効な阻害剤である、態様97~109のいずれかの組成物。
111.
がん細胞が前立腺がん細胞または乳がん細胞である、態様110の組成物。
112.
がん細胞が、アンドロゲン非依存性がん細胞、転移性がん細胞、去勢抵抗性がん細胞、去勢再発性がん細胞、ホルモン耐性がん細胞、転移性去勢抵抗性がん細胞、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、態様110または111の組成物。
113.
薬学的に許容される担体をさらに含む、態様97~112のいずれかの組成物。
114.
対象におけるがんを予防または処置するための方法であって、治療有効量の態様97~113のいずれかの組成物を対象に投与する段階を含む、該方法。
115.
細胞におけるアンドロゲン受容体の発現および/または活性を阻害するための方法であって、治療有効量の態様97~113のいずれかの組成物とアンドロゲン受容体または細胞を接触させる段階を含む、該方法。
116.
態様97~113のいずれかの組成物を含む、対象におけるがんを予防または処置するためのキット。
本明細書において記述される実施例および態様は、例示の目的のためだけであることや、それを考慮したさまざまな修正または変更が当業者に示唆され、かつ本出願の趣旨および範囲ならびに添付の特許請求の範囲のなかに含まれることが理解される。本明細書において引用される全ての刊行物、特許、特許出願、および配列アクセッション番号は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
非公式な配列表
Figure 0007300386000069

Claims (14)

  1. 抗アンドロゲン薬および式(I)の化合物:
    Figure 0007300386000070
    を含む組成物であって、
    式中:
    R1が、CX3、およびNO2からなる群より選択され;
    R2が、H、およびXからなる群より選択され;
    R3が、Xであり; かつ
    R4が、HおよびC(O)R5からなる群より選択され、
    ここでR5が、H、置換されていてもよいC1~18アルキル、置換されていてもよいC2~18アルケニル、および置換されていてもよいC2~18アルキニルからなる群より選択され;
    ここで各Xが独立して選択されるハロゲンであり;
    ここでR2がClであり、R3がClであり、かつR4がHである場合、R1はNO2ではなく;かつ、
    該抗アンドロゲンが、ダロルタミド、ビカルタミド、アパルタミド、エンザルタミド、酢酸アビラテロン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、
    該組成物。
  2. (a) R5がC2アルキルまたはC2アルケニルであるか;または
    (b) Xが、FおよびClからなる群より独立して選択されるか;または
    (c) 式(I)の化合物が、
    Figure 0007300386000071
    およびその組み合わせからなる群より選択されるか;または
    (d)アンドロゲン受容体またはその変種の発現および/または活性を阻害し、任意でアンドロゲン受容体変種が、スプライス変種、変異体変種、およびそれらの組み合わせからなる群より選択され、任意で
    (i)スプライス変種が、AR-V1、AR-V3、AR-V7、AR-V9、および/またはAR-V12スプライス変種であるか;または
    (ii) 変異体変種が、SEQ ID NO:1に記載のアミノ酸配列と比べて、K581R、L702H、T878A、V716M、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される1つまたは複数の変異を含む、
    請求項1記載の組成物。
  3. がん細胞増殖の有効な阻害剤であり、任意で:
    (a) がん細胞が前立腺がん細胞または乳がん細胞であるか;または
    (b) がん細胞が、アンドロゲン非依存性がん細胞、転移性がん細胞、去勢抵抗性がん細胞、去勢再発性がん細胞、ホルモン耐性がん細胞、転移性去勢抵抗性がん細胞、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、
    請求項1記載の組成物。
  4. 薬学的に許容される担体をさらに含む、請求項1記載の組成物。
  5. 対象におけるがんを処置するための薬学的組成物であって、治療有効量の式(I)の化合物:
    Figure 0007300386000072
    を含み、
    式中:
    R1が、CX3、およびNO2からなる群より選択され;
    R2が、H、およびXからなる群より選択され;
    R3が、Xであり; かつ
    R4が、HおよびC(O)R5からなる群より選択され、
    ここでR5が、H、置換されていてもよいC1~18アルキル、置換されていてもよいC2~18アルケニル、および置換されていてもよいC2~18アルキニルからなる群より選択され;
    ここで各Xが独立して選択されるハロゲンであり;
    ここでR2がClであり、R3がClであり、かつR4がHである場合、R1はNO2ではなく、
    ダロルタミド、ビカルタミド、アパルタミド、エンザルタミド、酢酸アビラテロン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される抗アンドロゲン薬と組み合わせて投与される、該薬学的組成物。
  6. (a) R5がC2アルキルまたはC2アルケニルであるか;または
    (b) Xが、FおよびClからなる群より独立して選択されるか;または
    (c)式(I)の化合物が、
    Figure 0007300386000073
    およびその組み合わせからなる群より選択されるか;または
    (d) アンドロゲン受容体またはその変種の発現および/または活性が阻害され、任意でアンドロゲン受容体変種が、スプライス変種、変異体変種、およびそれらの組み合わせからなる群より選択され、任意で:
    (i) スプライス変種が、AR-V1、AR-V3、AR-V7、AR-V9、および/またはAR-V12スプライス変種であるか;または
    (ii) 変異体変種が、SEQ ID NO:1に記載のアミノ酸配列と比べて、K581R、L702H、T878A、V716M、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される1つまたは複数の変異を含むか;または
    (e) がんが前立腺がんまたは乳がんであるか;または
    (f) がんが、アンドロゲン非依存性がん、転移性がん、去勢抵抗性がん、去勢再発性がん、ホルモン耐性がん、転移性去勢抵抗性がん、およびそれらの組み合わせからなる群より選択され、任意でがんのアンドロゲン非依存性、去勢抵抗性、またはホルモン耐性が低下または反転されるか;または
    (g) 抗アンドロゲン薬と薬学的に許容される担体をさらに含むか;または
    (h) 抗アンドロゲン薬および式(I)の化合物が同時に投与されるか;または
    (i) 抗アンドロゲン薬および式(I)の化合物が逐次的に投与されるか;または
    (i) 対象を処置することが、がんの1つまたは複数の症状の改善をもたらす、
    請求項5記載の薬学的組成物。
  7. 抗アンドロゲン薬および式(I)の化合物を対象に投与する前および/または後に、試験サンプルを対象から得、任意で:
    (a) 試験サンプルが組織、血液、またはそれらの組み合わせを含み、任意で試験組織サンプルががん組織を含むか;または
    (b) 1つまたは複数のバイオマーカーのレベルが試験サンプルにおいて決定される、
    請求項5記載の薬学的組成物。
  8. (a) 1つまたは複数のバイオマーカーが前立腺特異的抗原(PSA)を含み、任意で抗アンドロゲン薬および式(I)の化合物を対象に投与すると、投与前に対象から得られた試験サンプルと比較して、投与後に対象から得られた試験サンプルにおけるPSAレベルの低下がもたらされるか:または、
    (b) 試験サンプルにおける1つまたは複数のバイオマーカーのレベルが、参照サンプルにおける1つまたは複数のバイオマーカーのレベルと比較され、任意で:
    (i) 参照サンプルが、抗アンドロゲン薬および式(I)の化合物が対象に投与される前および/または後に同じ対象から得られた正常な血液または組織であるか:または
    (ii) 参照サンプルが異なる対象または対象集団から得られるか:または
    (iii) 試験サンプルにおけるPSAのレベルが参照サンプルにおけるPSAのレベルよりも高く、抗アンドロゲン薬および式(I)の化合物を対象に投与する前に試験サンプルが得られる、
    請求項7記載の薬学的組成物。
  9. 細胞におけるアンドロゲン受容体の発現および/または活性を阻害するための薬学的組成物であって、治療有効量の式(I)の化合物:
    Figure 0007300386000074
    を含み、
    式中:
    R1が、CX3、およびNO2からなる群より選択され;
    R2が、H、およびXからなる群より選択され;
    R3が、Xであり; かつ
    R4が、HおよびC(O)R5からなる群より選択され、
    ここでR5が、H、置換されていてもよいC1~18アルキル、置換されていてもよいC2~18アルケニル、および置換されていてもよいC2~18アルキニルからなる群より選択され;
    ここで各Xが独立して選択されるハロゲンであり;
    ここでR2がClであり、R3がClであり、かつR4がHである場合、R1はNO2ではなく、
    ダロルタミド、ビカルタミド、アパルタミド、エンザルタミド、酢酸アビラテロン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される抗アンドロゲン薬と組み合わせて投与される、該薬学的組成物。
  10. (a) R5がC2アルキルまたはC2アルケニルであるか;または
    (b) Xが、FおよびClからなる群より独立して選択されるか;または
    (c) 式(I)の化合物が、
    Figure 0007300386000075
    およびその組み合わせからなる群より選択されるか;または
    (d) アンドロゲン受容体トランス活性化が阻害されるか;または
    (e) アンドロゲン受容体発現が阻害されるか;または
    (f) アンドロゲン受容体媒介転写活性が阻害されるか;または
    (g) 抗アンドロゲン薬と薬学的に許容される担体をさらに含む、
    請求項9記載の薬学的組成物。
  11. アンドロゲン受容体変種の発現および/または活性が阻害され、任意で:
    (a) アンドロゲン受容体変種の前立腺特異的抗原(PSA)プロモーターへの動員が阻害されるか:または
    (b) アンドロゲン受容体変種が、スプライス変種、変異体変種、およびそれらの組み合わせからなる群より選択され、任意で:
    (i) スプライス変種が、AR-V1、AR-V3、AR-V7、AR-V9、および/またはAR-V12スプライス変種であるか:または
    (ii) 変異体変種が、SEQ ID NO:1に記載されるアミノ酸配列と比べてK581R、L702H、T878A、V716M、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される1つまたは複数の変異を含む、
    請求項9記載の薬学的組成物。
  12. 細胞ががん細胞であり、任意で:
    (a) がん細胞が転移性がん細胞であるか:または
    (b) がん細胞が前立腺がん細胞または乳がん細胞であるか:または
    (c) がん細胞が、アンドロゲン非依存性がん細胞、去勢抵抗性がん細胞、ホルモン耐性がん細胞、およびそれらの組み合わせからなる群より選択され、任意でがん細胞のアンドロゲン非依存性、去勢抵抗性、および/またはホルモン耐性が低減、低下、または反転されるか:または
    (d) がん細胞が抗アンドロゲン薬に再感受性化されるか:または
    (e) 抗アンドロゲン薬に対するがん細胞の耐性が低減、低下、または反転されるか:または
    (f) がん細胞の浸潤能および/またはがん細胞の遊走能が阻害されるか:または
    (g) がん細胞が成長するおよび/またはコロニーを形成する能力が阻害される、
    請求項9記載の薬学的組成物。
  13. 抗アンドロゲン薬および式(I)の化合物:
    Figure 0007300386000076
    を含む、対象におけるがんを予防または処置するためのキットであって、
    式中:
    R1が、CX3、およびNO2からなる群より選択され;
    R2が、H、およびXからなる群より選択され;
    R3が、Xであり; かつ
    R4が、HおよびC(O)R5からなる群より選択され、
    ここでR5が、H、置換されていてもよいC1~18アルキル、置換されていてもよいC2~18アルケニル、および置換されていてもよいC2~18アルキニルからなる群より選択され;
    ここで各Xが独立して選択されるハロゲンであり; かつ、
    ここでR2がClであり、R3がClであり、かつR4がHである場合、R1はNO2ではなく、かつ、
    該抗アンドロゲンが、ダロルタミド、ビカルタミド、アパルタミド、エンザルタミド、酢酸アビラテロン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、
    該キット。
  14. (a) R5がC2アルキルまたはC2アルケニルであるか:または
    (b) Xが、FおよびClからなる群より独立して選択されるか:または
    (c) 式(I)の化合物が、
    Figure 0007300386000077
    およびその組み合わせからなる群より選択されるか:または
    (d) 薬学的に許容される担体をさらに含むか:または
    (e) がんが前立腺がんまたは乳がんであるか:または
    (f) がんが、アンドロゲン非依存性がん、転移性がん、去勢抵抗性がん、去勢再発性がん、ホルモン耐性がん、転移性去勢抵抗性がん、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるか:または
    (g) 使用説明書をさらに含むか:または
    (h) 抗アンドロゲン薬および/または式(I)の化合物を対象に投与するための道具および/または1つもしくは複数の試薬をさらに含むか:または
    (i) 対象からサンプルを得るための道具および/または1つもしくは複数の試薬をさらに含み、任意でサンプルにおける1つまたは複数のバイオマーカーのレベルを決定するための道具および/または1つもしくは複数の試薬をさらに含み、任意で1つまたは複数のバイオマーカーが前立腺特異的抗原(PSA)を含むか:または
    (j) 陰性および/または陽性対照サンプルをさらに含む、
    請求項13記載のキット。
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