JP7298188B2 - 積層体及び壁紙 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば建造物の内装等に用いられる壁紙の下層に設けられる積層体、又は積層体を備える壁紙に関する。
従来、建物の老朽化や居住者の生活状況によって室内に強い臭いや異臭が発生することがある。このような臭いは、例えば、建物の床や壁の内部に用いられる建材に含まれる各種化学物質や建材に染み込んだ室内の臭いが室内に拡散することにより生じる。このような場合、住宅の居住性や快適性が低下してしまう。
そこで、壁紙に臭気が染み込むことを防止するために、壁紙に貼り付けるフィルムであって、アミノ基を有する化合物を担持する粒子状吸着剤を含む層と、アミノ基を有する化合物を担持しない粒子状吸着剤を含む層とが積層されたフィルムが提案されている(特許文献1)。
特開2012-210718号公報
高い意匠性を有する一般的な壁紙や壁紙の下地となる建物の壁面に付着した臭気は、一般的なクリーニングや修繕で消すことが難しい場合がある。しかしながら、一般的な壁紙に代えてこのようなフィルムを壁材表面に貼り付けた場合、壁紙の質感や意匠性が低下するおそれがある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、壁紙の意匠性を低下させることなく、建物への臭気の付着を抑制することが可能な積層体及び壁紙を得ることにある。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る積層体は、樹脂材料で構成され、厚さが9μm以上である基材層と、基材層の一方の面側に設けられ、厚さが5nm以上である無機酸化物層と、無機酸化物層の上に設けられ、樹脂材料で構成された保護層と、保護層の上に設けられた接着性を高めるアンカー層と、アンカー層の上に設けられ、厚さが5μm以上30μm以下である樹脂層と、基材層の他方の面側に設けられたプライマー層と、プライマー層の基材層と反対側の面に設けられた接着層と、を備えることを特徴とする。
上記課題を解決するために、本発明の他の態様に係る壁紙は、上述した積層体と、積層体の表面に積層された表面基材と、を備えることを特徴とする。
本発明の態様によれば、建物への臭気の付着を抑制することが可能な積層体及び壁紙を得ることができる。
本発明の第一実施形態に係る積層体の一構成例を示す断面図である。 本発明の第二実施形態に係る積層体の一構成例を示す断面図である。 本発明の第一実施形態に係る積層体を有する壁紙の一構成例を示す断面図である。
以下、実施形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、図面は特許請求の範囲にかかる発明を模式的に示すものであり、各部の幅、厚さ等の寸法は現実のものとは異なり、これらの比率も現実のものとは異なる。
以下、図面を参照して本発明の各実施形態の各態様について説明する。
1.第一実施形態
以下、本発明の第一実施形態に係る積層体について、図1を用いて説明する。本発明の実施形態に係る積層体は、例えば、建物の壁面に貼り付ける壁紙の下層に施工される。なお、以下の説明では、積層体が壁紙と対向する側を積層体の「上」とし、積層体が壁紙と対向しない側(建造物の下側)を「下」として説明する場合がある。
[積層体の基本構成]
図1は、本発明の実施形態に係る積層体100の一構成例を説明するための断面図である。本実施形態に係る積層体100は、例えば、建物の壁面に貼り付ける壁紙の下層に施工される建材用防臭シートである。
積層体100は、バリア層10と、バリア層10の下側の面(他方の面の一例)側に設けられたプライマー層20と、プライマー層20のバリア層10と反対側の面に設けられた接着層30とを備えている。また、積層体100は、バリア層10の上側の面(一方の面の一例)側に設けられたアンカー層40と、アンカー層40のバリア層10と反対側の面に設けられた樹脂層50とを備えている。
バリア層10は、室内の臭いや臭いの原因となる液体等が壁紙の下層となる建造物壁面のコンクリートや板(以下、下地と記載する場合がある)に透過したり、下地から室内に各種化学物質が拡散することを防止する機能を有する層である。プライマー層20は、バリア層10と接着層30との接着性を向上させるために設けられた層である。接着層30は、積層体100を下地(建造物壁面のコンクリートや板)に接着するために設けられた層である。すなわち、積層体100は、バリア層10が壁紙(図示せず)と対向し、接着層30が建造物の壁面と対向するように施工され、建造物の壁面に固定される。
また、樹脂層50は、積層体100の切削性を向上させるために設けられる層である。アンカー層40は、バリア層10と後述する樹脂層50との間の接着強度を向上させる目的で設けられる層である。
以下、バリア層10、プライマー層20及び接着層30、アンカー層40及び樹脂層50の各層について詳細に説明する。
<バリア層>
バリア層10は、基材層11、無機酸化物層12及び保護層13を備える積層構造を有している。
基材層11は、樹脂材料で構成されており、無機酸化物層12が一方の面に設けられる基材となる層である。無機酸化物層12は、臭気の透過を防止する層である。保護層13は、無機酸化物層12の基材層11と反対側の面に設けられ、無機酸化物層12を保護するとともに、無機酸化物層12のガスバリア性を向上させるために設けられた層である。
(基材層)
基材層11は、機械的強度が強く、寸法安定性に優れるなどの理由から二軸方向に延伸した樹脂シートであることが好ましい。基材層11の厚さは、例えば9μm以上100μm以下の範囲であることが好ましい。
基材層11の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、あるいは、これらの混合物等のオレフィン系熱可塑性樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート-イソフタレート共重合体、ポリカーボネート、ポリアリレート等のエステル系熱可塑性樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系熱可塑性樹脂、あるいは、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂等の非ハロゲン系熱可塑性樹脂などを挙げることができる。基材層11は、特に、ポリエチレンテレフタレート及びナイロンの少なくとも一方を含むことが好ましい。
基材層11は、例えば、二軸延伸樹脂シートであることが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであることがより好ましい。
(無機酸化物層)
無機酸化物層12は、基材層11の一方の面側に設けられ、無機酸化物を含んで構成される。無機酸化物層12は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素及び酸化マグネシウムの少なくとも一つを含む薄膜層である。無機酸化物層12には、無機酸化物とともに、微量の不純物が含まれていても良い。
無機酸化物層12は、用いられる無機化合物の種類・構成により厚さの最適条件が異なるが、一般的には5nm以上300nm以下の範囲内の厚みで形成されることが望ましく、10nm以上150nm以下の範囲内の厚みで形成されることがより望ましい。無機酸化物層12の膜厚が5nm以上である場合、積層体100が防臭機能を十分に果たすことができ、また無機酸化物層12が均一な厚みとなって品質が安定するため好ましい。また、無機酸化物層12の膜厚が300nm以下である場合、無機酸化物層12の残留応力が小さく柔軟性が高いため、外的要因によって無機酸化物層12に亀裂が発生しにくくなるため好ましい。
無機酸化物層12は、基材層11に対して、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などにより形成される。なかでも、生産性を考慮すると、真空蒸着法により形成されることがより好ましい。真空蒸着法における加熱手段としては、電子線加熱方式、抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかの方式を用いることが好ましく、蒸発材料の選択性の幅広さを考慮すると電子線加熱方式又は抵抗加熱方式を用いることがより好ましい。また、無機酸化物層12と基材層11との密着性及び無機酸化物層12の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いて蒸着することも可能である。また、無機酸化物層12を構成する蒸着膜の透明性を向上させるために、蒸着の際、酸素等の各種ガスなど吹き込む反応蒸着を用いてもよい。
無機酸化物層12は、例えば、加熱手段として電子線加熱方式を用いた真空蒸着法により、厚さ150nmで形成される。このとき、無機酸化物層12と基材層11との密着性及び無機酸化物層12の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法を用いつつ、無機酸化物層12を構成する蒸着膜の透明性を上げるために、酸素ガスを吹き込んで反応蒸着を行う。以上により、水蒸気透過度が1.0g/m・day以下であり、且つシート表面側からシート裏面側が視認可能な透明度を有する建材用防臭シートを形成する事が可能となる。
(保護層)
保護層13は、主成分としてポリビニルアルコールを含む樹脂材料で構成される。ここで、「主成分」とは、保護層13を構成する樹脂材料全体を100質量部とした場合に70質量部以上含まれる樹脂材料をいう。
保護層13は、ポリビニルアルコール等の樹脂材料とともに、無機酸化物をさらに含んでいても良い。保護層13に用いられる無機酸化物としては、例えば酸化アルミニウム、酸化ケイ素及び酸化マグネシウムの少なくとも一つが用いられる。
保護層13は、例えば無機酸化物層12上にポリビニルアルコール等の樹脂材料、又は無機酸化物が添加された樹脂材料を周知の方法で塗布し、固化することにより形成される。周知の塗布方法としては、ロールコート法、グラビアコート法等が挙げられる。
バリア層10は、無機酸化物層12により臭気透過を防止し、室内への臭気の拡散を防止することができる。また、保護層13は、無機酸化物層12を保護しかつ無機酸化物層12のガスバリア性を向上させることができ、積層体100の施工時や積層体100の使用時(積層体100を施工した住居で賃借人が生活する際)においてもバリア層10の防臭機能が維持されやすくなる。
<プライマー層>
プライマー層20は、バリア層10の基材層11側の面と密着して設けられ、バリア層10と接着層30との接着性を向上させるために設けられている。
プライマー層20を構成するプライマーとしては、例えばエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール系樹脂、ニトロセルロース系樹脂等の樹脂材料を単独又は混合して用いることができる。プライマー層20は、これらの樹脂材料をロールコート法やグラビア印刷法等の適宜の塗布手段を用いてバリア層10に塗布することにより形成される。
プライマー層20を構成するプライマーとしては、アクリル樹脂とウレタン樹脂との共重合体とイソシアネートとからなる樹脂で形成するのが特に好ましい。アクリル樹脂とウレタン樹脂との共重合体は、末端に水酸基を有するアクリル重合体成分(成分A)、両末端に水酸基を有するポリエステルポリオール成分(成分B)、ジイソシアネート成分(成分C)を配合して反応させてプレポリマーとし、このプレポリマーにさらにジアミンなどの鎖延長剤(成分D)を添加して鎖延長することで得られる。この反応によりポリエステルウレタンが形成されると共に、アクリル重合体成分が分子中に導入され、末端に水酸基を有するアクリル-ポリエステルウレタン共重合体が形成される。プライマー層20を構成するプライマーは、このアクリル-ポリエステルウレタン共重合体の末端の水酸基をイソシアネートと反応させて硬化させることにより形成される。
成分Aとしては、末端に水酸基を有する直鎖状のアクリル酸エステル重合体が用いられる。特に、成分Aとして、末端に水酸基を有する直鎖状のポリメチルメタクリレート(PMMA)を用いることが、耐候性(特に光劣化に対する特性)に優れウレタンと共重合させて相溶化するのが容易である点から好ましい。成分Aは、共重合体においてアクリル樹脂成分となり、分子量5000~7000(重量平均分子量)であることが耐候性、接着性の観点からさらに好ましい。また、成分Aは、両末端に水酸基を有する重合体のみを用いてもよいが、片末端に共役二重結合が残っている重合体と、両末端に水酸基を有する重合体とを混合して用いてもよい。
成分Bとしては、成分C(ジイソシアネート成分)と反応してポリエステルウレタンを形成し、共重合体においてウレタン樹脂成分を構成する材料が用いられる。成分Bは、両末端に水酸基を有するポリエステルジオールが用いられる。ポリエステルジオールとしては、芳香族又はスピロ環骨格を有するジオール化合物とラクトン化合物もしくはその誘導体、又はエポキシ化合物との付加反応生成物、二塩基酸とジオールとの縮合生成物、および環状エステル化合物から誘導されるポリエステル化合物等を挙げることができる。ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、メチルペンテンジオール等の短鎖ジオール、1,4-シクロへキサンジメタノール等の脂環族短鎖ジオール等を挙げることができる。また、塩基酸としては、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等を挙げることができる。ポリエステルポリオールとして好ましいのは、酸成分としてアジピン酸ないしアジピン酸とテレフタル酸の混合物を用い、ジオール成分として3-メチルペンテンジオールおよび1,4-シクロへキサンジメタノールを用いたアジペート系ポリエステルである。
成分Bと成分Cとが反応して形成されるウレタン樹脂成分は、プライマー層20に柔軟性を与え、接着性向上に寄与する。また、アクリル重合体からなるアクリル樹脂成分は、プライマー層20の耐候性および耐ブロッキング性に寄与する。ウレタン樹脂における成分Bの分子量は、プライマー層20に柔軟性を十分に発揮可能なウレタン樹脂が得られる範囲であればよい。例えば、成分Bがアジピン酸又はアジピン酸とテレフタル酸の混合物と、3-メチルペンテンジオールおよび1,4-シクロへキサンジメタノールからなるポリエステルジオールの場合、成分Bの分子量が500~5000(重量平均分子量)であることが好ましい。
成分Cとしては、1分子中に2個のイソシアネート基を有する脂肪族又は脂環族のジイソシアネート化合物が用いられる。このジイソシアネート化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4(2,4,4)-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4’-シクロヘキシルジイソシアネート等を挙げることができる。ジイソシアネート成分としては、イソホロンジイソシアネートが物性およびコストが優れる点で好ましい。成分A~Cを反応させる場合のアクリル重合体、ポリエステルポリオールおよび後述する鎖延長剤の合計の水酸基(アミノ基の場合もある)と、イソシアネート基は、イソシアネート基が過剰となるように双方の当量比を調整する。
三成分A、B、Cを60℃~120℃の環境下で2時間~10時間程度反応させる。ジイソシアネートのイソシアネート基がポリエステルポリオール末端の水酸基と反応してポリエステルウレタン樹脂成分が形成されると共に、アクリル重合体末端の水酸基にジイソシアネートが付加した化合物も混在する。これにより、過剰のイソシアネート基および水酸基が残存した状態のプレポリマーが形成される。形成されたプレポリマーに、鎖延長剤として例えばイソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のジアミンを加えてイソシアネート基を鎖延長剤と反応させ、鎖延長する。これにより、アクリル重合体成分がポリエステルウレタンの分子中に導入され、末端に水酸基を有するアクリル-ポリエステルウレタン共重合体を得ることができる。
アクリル-ポリエステルウレタン共重合体にイソシアネートを加えると共に、塗布法、乾燥後の塗布量を考慮して必要な粘度に調節して塗布液を調整する。調整した塗布液を、グラビアコート法、ロールコート法等の周知の塗布法でバリア層10に塗布することにより、プライマー層20が形成される。
イソシアネートとしては、アクリル-ポリエステルウレタン共重合体の水酸基と反応して架橋硬化させることが可能なものであればよく、例えば、2価以上の脂肪族又は芳香族イソシアネートが用いられる。特に、熱変色防止、耐候性の点から脂肪族イソシアネートを用いることが望ましい。脂肪族イソシアネートとしては、具体的に、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートの単量体、又はこれらの2量体、3量体などの多量体、あるいはこれらのイソシアネートをポリオールに付加した誘導体(アダクト体)のようなポリイソシアネートなどを挙げることができる。
プライマー層20の乾燥後の塗布量は、1g/m以上20g/m以下であることが好ましく、1g/m以上10g/m以下であることがより好ましい。また、プライマー層20は、必要に応じてシリカ粉末などの無機質微粉末である充填剤、光安定剤、着色剤等の添加剤が添加されていてもよい。
<接着層>
接着層30は、例えば、接着基材31と粘着層32とを備えた、例えばシート状の接着層(すなわち接着シート)である。
接着基材31は、網状シート材等で構成された支持体であることが好ましい。支持体としては、例えば、不織布、織布、樹脂製クロスが用いられる。また、接着基材31は、上述した支持体が例えば樹脂フィルムで貼り合わされたラミネートクロス、又は支持体の表面が樹脂材料で覆われたコーティングクロスであってもよい。
粘着層32は、接着基材31に含浸されて形成された層、または接着基材31の表面に形成された層であり、従来公知の樹脂材料により形成することができる。粘着層32を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリスチレン、ポリα-メチルスチレン等のスチレン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル等のアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール等のビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、石油樹脂、アイオノマー、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体等の合成樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体、ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、エステルガム、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ブタジエン-アクリロニトリルゴム、ポリ塩素化オレフィン等の天然樹脂や合成ゴムの誘導体を用いることが可能である。これらの樹脂は単独、あるいは2種以上を混合して使用しても良い。
粘着層32の形成量(塗布液を塗布、乾燥した後に残った固形分量)は、0.1g/m以上2.0g/m以下であることが好ましい。
また、粘着層32には、上述した性能を損なわない範囲内で、樹脂以外の公知の添加剤を用いることが可能である。添加剤としては、例えば、無機顔料微粒子、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、分散剤、粘度調整剤、離型剤、ワックス・樹脂フィラーに代表される滑り剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、帯電防止剤等を用いることが可能である。
接着層30を設けることにより、積層体100はいわゆるタック加工された建材用防臭シートとなる。このため、積層体100を施工する際に、容易に下地へ貼り付け可能となり、積層体100の施工性を向上させることができる。
<アンカー層>
アンカー層40としては、例えばアクリル系樹脂を主鎖とするウレタン系アンカー剤を採用する。アクリル系樹脂を主鎖とするウレタン系アンカー剤としてはアクリルポリオールとヘキサメチレンジイソシアネートとからなる2液硬化型ウレタン樹脂からなるものが用いられる。
2液硬化型ウレタン樹脂としては、アクリルポリオール系樹脂を主成分とする主剤100質量部に対して、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアネート化合物を3質量部以上10質量部以下の範囲で添加したものが好適である。アクリル系樹脂を主成分とする2液硬化型ウレタン樹脂を用いることにより、バリア層10と樹脂層50との密着性を向上させ、また耐候性向上に寄与する。ウレタン架橋をすることにより、アンカー層40自体とバリア層10との密着性が向上するとともに、耐熱性が向上する。
アクリルポリオール系樹脂としては、密着性及び耐熱性の観点から、ガラス転移温度が95℃以上105℃以下の材料が好ましい。ガラス転移温度が低すぎる場合には耐熱性が劣り、温水に浸漬されることにより接着性樹脂層内にて接着性樹脂に空隙が発生し、密着力が低下するためである。
アンカー層40には、目的とする壁紙の用途により必要に応じて、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤等の従来公知の各種の添加剤の1種以上が添加されていても良い。
アンカー層40の厚さは、後述する樹脂層50の材料や構成に応じて適宜選択することができる。
<樹脂層>
樹脂層50は、積層体100の切削加工性を向上するために設けられる層である。
樹脂層50を構成する樹脂材料としては、変形性、耐亀裂性、復元性等の所謂ヒンジ性に優れたポリオレフィン系樹脂を使用することが望ましい。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)等が挙げられ、ポリエチレン(PE)を用いることが特に好ましい。
また、樹脂層50は、切削加工性に優れたポリオレフィン系樹脂層の表面に、例えば表面硬度に優れたアクリル系樹脂層等の他の層を積層して形成しても良い。
樹脂層50は、厚さが5μm以上30μm以下であることが好ましく、10μm以上15μm以下であることがより好ましい。樹脂層50の厚さが5μm以上の場合、積層体100の切削性が向上する。また、樹脂層50の厚さが30μm以下の場合、積層体100の厚みが大きくなって積層体100が全体として切削しにくくなることを抑制することができる。
<第一実施形態の効果>
以上のような積層体100は、以下の効果を有する。
(1)積層体100は、無機酸化物層12により臭気透過を防止し、室内への臭気の拡散を防止することができる。このため、積層体100は、高い防臭機能を発揮することができる。
(2)積層体100は、バリア層10の保護層13によって無機酸化物層12が保護され、ガスバリア性が向上する。このため、積層体100は、施工時や使用時において無機酸化物層12の損傷が抑制され、防臭機能が維持されやすくなる。
(3)積層体100は、接着層30が設けられることにより、いわゆるタック加工された建材用防臭シートとなる。このため、積層体100は、容易に施工可能となり、高い施工性を有する。
(4)積層体100は、無機酸化物層12の柔軟性が高く、全体として薄型である。このため、積層体100の上から表面基材である壁紙や化粧材の施工が可能となる。
(5)積層体100は、樹脂層50を有しているため、積層体100の切削加工が容易となる。
2.第二実施形態
以下、本発明の第二実施形態に係る積層体について、図2を用いて説明する。
図2は、本発明の第二実施形態に係る積層体110の一構成例を説明するための断面図である。本実施形態に係る積層体110は、積層体100と同様に、建物の壁面に貼り付ける壁紙の下層に施工される建材用防臭シートである。
積層体110は、バリア層10と、バリア層10の下側の面(他方の面の一例)側に設けられたプライマー層20と、プライマー層20のバリア層10と反対側の面に設けられた接着層30とを備えている。また、積層体110は、バリア層10の上側の面(一方の面の一例)側に設けられたアンカー層40と、アンカー層40の上側の面に設けられた樹脂層50と、樹脂層50の上側の面に設けられた原紙層60とを備えている。すなわち、積層体110は、原紙層60が設けられている点で、積層体100と異なる。
以下、積層体110の原紙層60について詳細に説明する。なお、原紙層60以外の各層(バリア層10、プライマー層20、接着層30、アンカー層40及び樹脂層50)については、積層体100の各層と同様の構成であるため説明を省略する。
<原紙層>
原紙層60は、紙基材61を含み、紙基材61の単層構造、または紙基材61と樹脂層との積層構造であっても良い。図2では、紙基材61の両面(一方の面及び他方の面の一例)に積層樹脂層62,63(第1の積層樹脂層及び第2積層樹脂層の一例)がそれぞれ設けられた積層構造の原紙層60を示しているが、積層樹脂層62,63の一方のみが設けられていても良い。
積層体110の表面に原紙層60を設けることにより、積層体110の上面(すなわち原紙層60の上面)から糊を塗布して後述する表面基材(壁紙等)を施工することが可能となる。表面基材に接着層が設けられている場合には原紙層60は必須ではないが、糊付けによる表面基材(壁紙等)の施工には原紙層60が必須となる。
(紙基材)
紙基材61としては、例えば上質紙、コート紙、合成紙、裏打ち紙が挙げられる。
(積層樹脂層)
積層樹脂層62,63としては、例えばポリオレフィン系樹脂等の樹脂材料を用いることが好ましい。積層樹脂層62,63は、紙基材61とともに樹脂材料が例えば押出ラミネート加工されることにより形成される。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)等が挙げられる。中でも、安価で加工性に優れる点から、ポリオレフィン系樹脂としてポリエチレン(PE)を用いることが特に好ましい。
紙基材61と積層樹脂層62,63との積層構造である原紙層60は、例えば、紙基材61に対してポリエチレン等の樹脂材料を押出ラミネートすることにより形成される。積層構造である原紙層60は、例えば15μm以上30μm以下の厚みとされることが好ましい。原紙層60の厚さが15μm以上の場合、表面基材である壁紙や化粧材を剥がすことができる、原紙層60の厚さが30μm以下の場合、コストが低く製造可能であるため好ましい。
<第二実施形態の効果>
第二実施形態の積層体110は、第一実施形態の効果(1)~(5)に加えて、以下の効果を有する。
(6)積層体110は、原紙層60を設けることにより、糊付けによる表面基材(壁紙等)の施工が可能となる。
3.第三実施形態
第三実施形態では、防臭シートとして第一実施形態に係る積層体100又は第二実施形態に係る積層体110を有する壁紙の構成例について、図1又は図2を参照しつつ、図3を用いて説明する。図3は、一例として、積層体110を有する壁紙200の構成を示す断面図である。
壁紙200は、積層体110と、積層体110の表面上(すなわち原紙層60)に積層された表面基材210とを備えている。積層体110は、前述した積層体110と同様の構成を有するため、説明を省略する。
なお、壁紙200は積層体110に代えて積層体100を有していても良い。
<表面基材>
表面基材210は、壁紙や化粧材として一般的に用いられるシート体であれば特に限定されない。積層体110と表面基材210とは貼り合わされることが好ましい。
壁紙用途としての表面基材210としては、例えば原紙(裏打ち紙)や、原紙と例えば樹脂層等の他の層とを有する積層体が挙げられる。表面基材210が原紙と原紙表面に設けられた樹脂層とを含む積層体である場合、樹脂層は気泡を有する発泡体であってもよい。樹脂層が発泡体である場合、軽量性、断熱性、意匠性、質感に優れる点で好ましい。
また、表面基材210は、化粧基材の上面に化粧シートが積層された化粧材であっても良い。化粧材は、例えば、基材の表面に化粧シートが積層された化粧材であっても良い。化粧シートの基材は、例えば木質系、金属系、合成樹脂系等、従来の壁紙における基材(層)と同様の材質を任意に採用可能である。また、化粧シートは、例えば、ポリオレフィン系樹脂シートの表面側に絵柄模様層を印刷し、絵柄模様層の表面側に透明樹脂層と表面保護層とをこの順に積層してなる。絵柄模様層は、化粧シートに所望の絵柄による意匠性を付与するものである。絵柄の種類等は特に限定的ではないが、例えば、木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。また、絵柄模様層は、絵柄模様のない単色の層であっても良い。
以下、表面基材210が積層構造を有する発泡壁紙210aである場合について説明する。
<発泡壁紙>
図3に示すように、発泡壁紙210aは、積層体110の原紙層60側の面上に設けられる。発泡壁紙210aは、基材220と、基材220の上面に積層された発泡樹脂層230とを少なくとも有している。
(基材)
基材220の材料としては、壁紙用の裏打紙等、紙基材として通常使用されている材料であれば、特に限定されずに使用可能である。基材220の材料としては、例えば水溶性難燃剤を含浸させたパルプ主体の難燃紙や、無機質剤を混抄した無機質紙等を用いることが可能である。特に、基材220の材料として繊維質の材料を用いることにより、基材220の構成が発泡壁紙210aに適切な構成となるとともに、基材220を形成する材料の入手が容易となる。
また、基材220の秤量は、50g/m以上70g/m以下であることが好ましい。
水溶性難燃剤としては、例えば、スルファミン酸グアニジン、リン酸グアニジン等を用いることが可能である。
無機質剤としては、例えば、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等を用いることが可能である。
ここで、基材220の表面のうち、発泡樹脂層230を積層する側の面(図1中において、基材220の上側の面)には、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の易接着処理を施してもよい。また、発泡樹脂層230を積層する側の面には、アクリル-ブチル共重合体や、イソシアネートとポリオールとからなるポリウレタン等により易接着処理層を設けてもよい。
(発泡樹脂層)
発泡樹脂層230は、基材220上(図1中において、基材220の上側の面)に積層されている。
発泡樹脂層230は、樹脂組成物を含んで形成されている。また、発泡樹脂層230は、樹脂組成物とともに、充填剤、発泡剤、発泡助剤、樹脂分及び添加剤等を有している。
充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、二酸化チタン等の無機充填剤や、メラミンシアヌレート、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、木粉、セルロース及びその誘導体等の有機充填剤を用いることが可能である。
発泡剤としては、例えば、アゾ系発泡剤、ヒドラジド系発泡剤、ニトロソ系発泡剤等の熱分解型発泡剤を、一種を単独で又は二種類以上を併用して用いることが可能である。
発泡助剤としては、例えば、脂肪族系化合物、脂肪酸アミド系化合物、ビウレア等の尿素系化合物、ヒドラジン系化合物等の非金属系化合物、塩化亜鉛等の金属塩化物、酸化亜鉛等の金属酸化物等の有機または無機金属系化合物等を用いることが可能である。
以上のような、壁紙200は、例えば基材220の発泡樹脂層230とは逆側の面に緩衝層を設けていても良い。
以上のような積層体110と表面基材210とを有する壁紙200は、壁紙200の施工と同時に積層体110を施工することが可能となるため好ましい。
<第三実施形態の効果>
以上のような積層体100又は積層体110を有する壁紙200は、第一実施形態の効果(1)~(5)、第二実施形態の効果(6)に加えて、以下の効果を有する。
(7)壁紙200は、壁紙200の施工と同時に積層体110(又は積層体100)を施工することが可能となる。このため、作業工程を増やすことなく積層体100を施工することが可能となる。
以下、本実施形態に係る積層体について、実施例を挙げて説明する
実施例では、本実施形態に係る積層体を用いて壁紙を施工した室内と、本実施形態に係る積層体を用いずに壁紙を施工した室内において、臭気の評価を行った。
<実施例1>
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを基材層とし、基材層の一方の面に酸化ケイ素を蒸着して無機酸化物層を形成した。続いて、無機酸化物層の表面にポリビニルアルコール溶液を塗布して保護層を形成し、基材層、無機酸化物層及び保護層が積層されたバリア層を形成した。このとき、ポリビニルアルコール溶液は、乾燥後のポリビニルアルコール(PVA)が0.5g/mとなるようにグラビア印刷法により塗布した。
次に、基材層の他方の面に、主剤としてウレタン樹脂/ニトロセルロース系樹脂に硬化剤としてイソシアネートを添加した2液硬化型樹脂を、固形分としての塗布量が1g/mとなるようにグラビア印刷法にて塗布した。次に、2液硬化型樹脂の表面に、接着層として接着基材であるラミネートクロスの表面にアクリル樹脂を塗布、乾燥させて粘着層とした接着シートを貼り付けた。続いて、2液硬化型樹脂を乾燥させることにより、基材層と接着層との間にプライマー層を形成した。
次に、バリア層のプライマー層形成側面と反対側の面に、コート紙の両面がポリエチレンによりサンドラミネートされた厚さ22μmの原紙層が対向するように配置し、バリア層と原紙層との間にアンカー剤を塗工して押出ラミネートを行った。このとき、アンカー剤として、ポリエステルポリオールと硬化剤としてイソホロンジイソシアネートとを含む2液ウレタン樹脂系接着剤を用い、バリア層と原紙層との間に乾燥後の塗布量が1g/mになるようにアンカー剤を塗工した。以上により、バリア層の一方の面にアンカー層と原紙層とが設けられ、バリア層の他方の面にプライマー層と接着層とが設けられた実施例1の積層体を形成した。
<比較例1>
アンカー層と原紙層との間に、厚さ12μmのポリエチレン樹脂で構成された樹脂層を形成した。これ以外は実施例1と同様にして、バリア層の一方の面にアンカー層と樹脂層と原紙層とが設けられ、バリア層の他方の面にプライマー層と接着層とが設けられた比較例1の積層体を形成した。
<比較例2>
厚さ12μmの二軸延伸エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)フィルムを基材層とし、無機酸化物層及び保護層を形成しなかった。これ以外は実施例1と同様にして比較例2の積層体を形成した。
<比較例3>
厚さ12μmの二軸延伸エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)フィルムを基材層とし、無機酸化物層及び保護層を形成しなかった。これ以外は比較例1と同様にして比較例3の積層体を形成した。
<比較例4>
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを基材層とし、無機酸化物層及び保護層を形成しなかった。これ以外は実施例1と同様にして比較例4の積層体を形成した。
<比較例5>
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを基材層とし、無機酸化物層及び保護層を形成しなかった。これ以外は比較例1と同様にして比較例4の積層体を形成した。
<評価方法>
実施例1、比較例1の積層体をそれぞれ壁紙の下層に施工した室内Aと、比較例1、比較例2、比較例3、比較例4及び比較例5の積層体をそれぞれ壁紙の下層に施工した室内B、室内C、室内D、室内E及び室内Fのそれぞれにおいて、以下の各評価を行った。
(臭気抑制機能の評価)
室内A~室内Fにおいて、複数の測定日において室内空気質の測定を行い、臭気の抑制効果を確認した。臭気抑制機能の評価では、臭気が観測される室内A~室内Eにおいて、積層体及び壁紙の施工前における臭気と、積層体及び壁紙の施工を行った後所定期間経過した後の臭気とを、7人の評価者が各室内の臭いをかぐことにより確認し、臭気抑制効果を評価した。
7人の観測者全員が積層体の施工前後で臭気の抑制を確認できた場合を「○」、観測者全員が積層体の施工前後で臭気の抑制を確認できなかった場合を「×」と評価した。
(施工性の評価)
実施例1、比較例1~比較例5の積層体をそれぞれハサミ又はカッターにて切削した。このとき、積層体を容易に切削できた場合を「○」、積層体を切削できたものの困難を伴った場合を「△」、積層体の切削ができなかったものを「×」と評価した。
以下の表1に、臭気抑制機能、施工性の評価結果を示す。
なお、表1において、「○」「△」「×」のいずれかの評価結果を示した。各評価における評価基準は上述したとおりである。
Figure 0007298188000001
表1に示すように、実施例1及び比較例1のバリア層が無機酸化物層を有する積層体を用いた室内では、評価者全員が積層体の施工前後で臭気の抑制を確認できた。一方、比較例2~3のバリア層が無機酸化物層を有していない積層体を用いた室内では、評価者全員が積層体の施工前後で臭気の抑制を確認することができなかった。
また、表1に示すように、実施例1、並びに比較例2及び比較例4のポリエチレン樹脂層を有する積層体は、ハサミやカッターで容易に切削できた。一方、比較例1及び比較例3のポリエチレン樹脂層を有していない積層体は、ハサミやカッターで切削することは可能であったが、積層体にコシがなく切削に困難を伴った。
以上の評価結果から、無機酸化物層を有するバリア層を備える積層体は、無機酸化物層を有さないバリア層を備える積層体と比較して、臭気抑制効果が高いことが確認された。また、アンカー層と原紙層との間に樹脂層を備える積層体は、切削性が高いことが確認された。したがって、無機酸化物層を有するバリア層を備える積層体では、臭気抑制効果を実現することができるとともに、アンカー層と原紙層との間に樹脂層を備えることにより、臭気抑制効果とともに切削性も備えより好ましい積層体となることが確認された。
本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらす全ての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、全ての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
10 バリア層
11 基材層
12 無機酸化物層
13 保護層
20 プライマー層
30 接着層
31 接着基材
32 粘着層
40 アンカー層
50 樹脂層
60 原紙層
61 紙基材
62,63 積層樹脂層
100,110 積層体
200 壁紙
210 表面基材
210a 発泡壁紙
220 基材
230 発泡樹脂層

Claims (12)

  1. 樹脂材料で構成され、厚さが9μm以上である基材層と、
    前記基材層の一方の面側に設けられ、厚さが5nm以上である無機酸化物層と、
    前記無機酸化物層の上に設けられ、樹脂材料で構成された保護層と、
    前記保護層の上に設けられた接着性を高めるアンカー層と、
    前記アンカー層の上に設けられ、厚さが5μm以上30μm以下である樹脂層と、
    前記基材層の他方の面側に設けられたプライマー層と、
    前記プライマー層の前記基材層と反対側の面に設けられた接着層と、
    を備える積層体。
  2. 前記基材層は、二軸延伸樹脂シートで構成されている
    請求項1に記載の積層体。
  3. 前記基材層は、ポリエチレンテレフタレート及びナイロンの少なくとも一方を含む
    請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 前記無機酸化物層は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素及び酸化マグネシウムの少なくとも一つを含む
    請求項1から3のいずれか一項に記載の積層体。
  5. 前記保護層は、主成分としてポリビニルアルコールを含む
    請求項1から4のいずれか一項に記載の積層体。
  6. 前記保護層は、無機酸化物をさらに含む
    請求項5に記載の積層体。
  7. 紙基材を含み、前記樹脂層の前記アンカー層とは反対側の面上に設けられた原紙層をさらに備える
    請求項1から6のいずれか一項に記載の積層体。
  8. 前記原紙層は、
    前記紙基材と、
    前記紙基材の一方の面に設けられた第1の積層樹脂層及び前記紙基材の他方の面に設けられた第2の積層樹脂層の少なくとも一方と、
    を備える請求項7に記載の積層体。
  9. 前記接着層は、接着基材と粘着層とを備え、
    前記接着基材は、網状シート材であり、
    前記粘着層は、前記網状シート材に含浸されたアクリル系樹脂である
    請求項1から8のいずれか一項に記載の積層体。
  10. 前記無機酸化物層は、前記酸化ケイ素の蒸着膜である
    請求項1から9のいずれか一項に記載の積層体。
  11. 前記無機酸化物層の水蒸気透過度は、1.0g/m 2 ・day以下である
    請求項1から10のいずれか一項に記載の積層体。
  12. 請求項1から11のいずれか一項に記載の積層体と、
    前記積層体の表面に積層された表面基材と、
    を備える壁紙。
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