JP7292843B2 - 噴霧熱分解装置又は噴霧乾燥装置 - Google Patents
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Description
本発明の課題は、ミストの乾燥ムラや焼成ムラを抑制し、密度のばらつきが抑えられた粒子を簡便に製造可能な噴霧熱分解装置又は噴霧乾燥装置を提供することにある。
〔1〕加熱炉と、加熱炉の端部にノズルを配置した噴霧熱分解装置又は噴霧乾燥装置であって、
加熱炉の端面に脱着可能な一枚のプレートを備え、
プレートには、ノズルを装着するための複数のノズルホルダ設置用穴が設けられており、
ノズルホルダ設置用穴には、ノズルホルダ又は蓋部品が装着され、
ノズルホルダ内には、1又は2以上のノズルが設置されている、
噴霧熱分解装置又は噴霧乾燥装置。
〔2〕ノズルホルダ内のノズル設置数が1~4基である、〔1〕記載の装置。
〔3〕ノズル1基当たりの被噴霧液体の流量が1~200L/hである、〔1〕又は〔2〕記載の装置。
〔4〕中空粒子を製造するための装置である、〔1〕~〔3〕のいずれか一に記載の装置。
図1は、本発明の噴霧熱分解装置の一例を示す模式図である。
噴霧熱分解装置10は、図1(a)に示されるように、加熱炉1と、加熱炉1の端部に配置されたノズル2を備えており、ノズル2はノズルホルダ5内に設置されている。ノズルホルダ5は、プレート3に設けられたノズルホルダ設置用穴4に装着されており、プレート3は、加熱炉1の端面に固定されている。噴霧熱分解装置10は、図1(c)に示されるように、プレート3に設けられた9個のノズルホルダ設置用穴4に、ノズルホルダ5が9個装着されており、各ノズルホルダ5にはノズル2が1基設置されている。
加熱炉1の形状は、加熱炉内に旋回流を発生させることができる点で、堅型円筒状が好ましい。
無機化合物としては、例えば、無機塩、金属アルコキシドを挙げられる。より具体的には、アルミニウム塩、チタン塩、マグネシウム塩、アルミノケイ酸塩、アルミニウムアルコキシド、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン等のケイ酸アルコキシドが挙げられる。また、アルミニウム酸化物、ケイ素酸化物、アルミナ、シリカ、アルミニウム及びケイ素からなる酸化物、チタン酸化物、マグネシウム酸化物、ジルコニウム酸化物、バリウム酸化物、セリウム酸化物、イットリウム酸化物等が挙げられ、これら酸化物を組みあわせた複合酸化物も挙げられる。
有機化合物としては、例えば、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂等を挙げることができる。
被噴霧液体の濃度は、乾燥ムラ及び焼成ムラ、並びに密度のばらつきの抑制の観点から、0.01mol/L~飽和濃度が好ましく、0.1mol/L~0.5mol/Lが更に好ましい。
ノズルとしては、2流体ノズル、3流体ノズル、4流体ノズルが挙げられる。なお、流体ノズルの方式には、空気と被噴霧液体とをノズル内部で混合する内部混合方式と、ノズル外部で空気と被噴霧液体を混合する外部混合方式があるが、いずれも採用できる。
また、1つのノズルホルダ内に複数のノズルを設置する場合、各ノズルは同一でも異なっていてもよい。更に、ノズルホルダごとに異種のノズルを設置することも可能である。
ノズルホルダの径は、ノズルの径、収容数に応じて適宜選択することが可能であり、特に限定されない。
ノズルホルダの長さは、ノズルのミスト噴霧口が燃焼ガスの吐出口よりも低い位置にある場合、ミストがフレームに直接当たりやすくなり、ミストが局所的に加熱される問題が生じる。このため、ノズルのミスト噴霧口は、燃焼ガスの吐出口よりも高い位置にあるのが好ましい。
例えば円筒形の場合、ノズルホルダの径は、φ50mm~φ180mmが好ましく、ノズルホルダの長さは100mm~1500mmが好ましい。
ノズルホルダの材質は、耐熱性及び耐久性を有すれば特に限定されないが、例えば、金属、鋳物が挙げられる。中でも、耐熱性、耐久性の観点から、金属が好ましい。
プレートの材質は、耐熱性及び耐久性を有すれば特に限定されないが、例えば、金属、鋳物を挙げることができる。中でも、耐熱性、耐久性の観点から、金属が好ましい。
プレートの上側(熱分解炉内側)には、耐熱性を向上させるために、断熱材を取り付けることができる。断熱材としては、例えば、セラミック繊維、ガラス繊維、キャスタブルが挙げられ、プレートの大きさ、ノズルホルダの大きさなどに応じて適宜選択することができる
プレートの大きさ及び厚みは、複数のノズルホルダを装着可能であり、かつ複数のノズルホルダ及びノズルの重量に耐え得る強度を有すれば、適宜設定することができる。
ノズルホルダ設置用穴4の大きさは、ノズルホルダの大きさに応じて適宜選択可能であり、特に限定されない。
ノズルホルダ設置用穴4の数は特に限定されないが、噴霧熱分解装置10の断面積やノズルホルダの大きさにより適宜選択することができる。例えば、実施例で使用した装置(炉の内径φ800mm)の場合、1~24個の穴を設置することができる。
ノズルホルダ設置用穴4は、図4(a)に示されるように、十字中心線上に対象に配置してもよい。また、図4(b)に示されるように、プレート3の平面形状が円形である場合、その外周と同心円上に均等に配置してもよい。このように、ノズルホルダ設置用穴の位置は適宜選択可能であるが、生産性の観点から、対象となるように均等に配置することが好ましい。
蓋部品6を装着する場合、図6(a)に示されるように、プレート3に蓋部品6を装着しても、図6(b)に示されるように、ノズルホルダ設置用穴4にノズルホルダ5を装着し、ノズルホルダ5の端部に蓋部品6を装着してもよい。また、ノズルホルダ5の端部に蓋部品6を装着する場合、ノズルホルダ5の代わりにノズルホルダ5内のノズルを設置する穴のないものも使用することができる。
蓋部品の形状及び大きさは、ノズルホルダ設置用穴やノズルホルダの形状、大きさに応じて適宜選択可能であり、特に限定されない。蓋部品の材質は、耐熱性及び耐久性を有すれば特に限定されないが、例えば、金属、鋳物が挙げられる。中でも、耐熱性、耐久性の観点から、金属が好ましい。
ノズルホルダ設置用穴にノズルホルダを固定する場合には、ボルト、ピン、L字金具等の金具で固定することができる。また、蓋部品をプレートやノズルホルダに固定する場合には、プレートに設けられた穴の外周面やノズルホルダの端部の外周面に溝を設けてネジ式としても、ボルト、ピン、L字金具等の金具で固定してもよい。
加熱手段7の温度は、被噴霧液体の噴霧液滴から溶媒が蒸発する温度であれば特に限定されないが、加熱炉1内で粒子が析出する必要性から、室温~1300℃の範囲内であって、0.1秒から1分程度で当該蒸発及び析出が生じる温度であるのが好ましい。加熱手段7の温度は、より好ましくは100℃~1200℃であり、更に好ましくは150℃~1100℃であり、より更に好ましくは200~1100℃である。
加熱手段8の温度は、乾燥された液滴及び粒子の熱分解反応が進行する温度であれば特に限定されないが、600℃以上が好ましい。また、0.1秒~1分程度で熱分解反応が終了する必要性から、700℃以上が好ましく、800℃以上がより好ましく、900℃以上が更に好ましく、1000℃以上がより更に好ましい。なお、経済性の点から、1500℃以下が好ましい。
このバグフィルターの前段に、バグフィルターの負荷低減、粗粒や異物回収のため、サイクロンを配置してもよく、この他に熱交換器を配置すると、余熱利用や排ガス量の低減ができるため好ましい。
また、微粒子の回収は、高性能サイクロン粉体回収機やバグフィルターを用いた粉体回収装置を用いることができる。この後段に、必要に応じて、スクラバーなどの除塵、浄化設備を配置してもよい。回収した微粒子は、ふるいを通過させる等の分級操作を行うことにより調整をすることができる。
粒子密度は、0.1~2.5g/cm3が好ましく、0.2~1.0g/cm3がより好ましく、0.3~0.6g/cm3が更に好ましい。なお、粒子密度は、JIS R 1620「ファインセラミックス粉末の粒子密度測定方法」の気体置換法により測定できる。
また、粒子の50%残存強度は、1~1000MPaが好ましく、2~250MPaがより好ましく、4~50MPaが更に好ましい。なお、本明細書において「50%残存強度」とは、後掲の実施例に記載の方法により測定されるものをいう。
図1(b)に示す噴霧熱分解装置20は、加熱手段7として燃焼バーナー7aが設けられている。燃焼バーナー7aは、燃焼バーナーの火炎がミストに直接接触することを防止するために、燃焼バーナーの火炎が炉内に入らないように配置されており、燃焼バーナー7aから発生した燃焼ガスにより加熱炉1内に強力な旋回流が生じる。この旋回流は、加熱炉の下方から上方に進行するため、ノズルから噴霧されたミストもこの旋回流により旋回しながら上昇する。このように、ミストは、燃焼バーナーから生じた火炎に直接接触することなく、炉の長さよりも長い距離、炉内に滞留し、長時間の熱分解反応を受けることができるため、乾燥ムラ及び焼成ムラをより一層抑制することができる。
このような構成を採用することで、均質な中空粒子を高収率で得ることの可能な内燃焼式の噴霧熱分解装置20とすることができる。なお、加熱炉1、ノズル2、プレート3、ノズルホルダ設置用穴4、ノズルホルダ5、蓋部品6及び加熱手段8の具体的構成は、噴霧熱分解装置10において説明したとおりである。
図2は、本発明の噴霧乾燥装置の一例を示す模式図であり、図2(b)は、図2(a)の下方から見た噴霧乾燥装置の平面図である。
噴霧乾燥装置30は、図2(a)に示されるように、加熱炉1と、加熱炉1の端部に配置されたノズル2を備え、ノズル2はノズルホルダ5内に収容され、ノズルホルダ5にはプレート3に設けられたノズルホルダ設置用穴4に装着され、プレート3は加熱炉1の端面に固定されている点において、噴霧熱分解装置10と同様の構成を有している。また、噴霧乾燥装置30は、図2(b)に示されるように、プレート3に設けられた9個のノズルホルダ設置用穴4に、ノズルホルダ5が9個装着されており、各ノズルホルダ5にはノズル2が1基収容されている点でも、噴霧熱分解装置10と同様である。即ち、噴霧乾燥装置30は、加熱手段7の上方に更に加熱手段8を有しない点で、噴霧熱分解装置10と相違する。なお、加熱炉1、ノズル2、プレート3、ノズルホルダ設置用穴4、ノズルホルダ5、蓋部品6及び加熱手段7の具体的構成は、前述の噴霧熱分解装置において説明したとおりである。
図1(b)に示す噴霧熱分解装置において、プレートのノズルホルダ設置用穴の中央にノズルホルタ1本を装着し、このノズルホルダ内にノズル1基を設置した。なお、残りのノズルホルダ設置用穴には、蓋部品を装着した。次いで、ノズルホルダ内にノズルを収容したプレートを加熱炉(炉の内径φ800mm、有効高さ4,000mm)に固定した。次いで、蒸留水1L当たり硝酸アルミニウムを0.04mol、オルトケイ酸テトラエチルを0.16mol溶解したアルミニウム及びケイ素の混合水溶液を溶液タンクに投入した。投入された水溶液をポンプでノズルに送液し、250L/hの流量でノズルからミスト状に噴霧した。また、ミストは、フレームと接触しないように噴霧した。ミストが通過する加熱炉の内部温度は1000℃とした。その後、バグフィルターを用いて粒子を回収した。得られた粒子は、ミストとフレームを接触させなかったため、中空形状を有していた。得られた中空粒子について、粒子密度及び50%残存強度を測定した。
表1に示す本数のノズルをノズルホルダに1本ずつ設置し、各ノズルから表1に示す流量で混合水溶液を噴霧したこと以外は、比較例1と同様の操作により中空粒子を回収した。得られた中空粒子について、粒子密度及び50%残存強度を測定した。
表1に示すノズルをノズルホルダに設置し、ノズルから表1に示す流量で混合水溶液を噴霧したこと以外は、比較例1と同様の操作により中空粒子を回収した。得られた中空粒子について、粒子密度及び50%残存強度を測定した。
粒子密度は、乾式自動密度計「アキュピック(島津製作所製)」により測定した。
得られた中空粒子を用いて、以下の操作を行った。
(1)サンプル:エタノール=4:1で混合する(サンプルのみでは、加圧によるペレット成形が困難なため、エタノールを混合した)。
(2)混合したサンプルを冶具へ一定量投入する。
(3)圧力成形機へ載せ、油圧で所定の圧力をかける(図8)。
(4)所定の圧力にて1分間、静置する。
(5)成形機からサンプル(ペレット)を取り外す。
80℃で2時間以上乾燥する(熱風乾燥機で、(1)で混合したエタノールを除去)。
(6)密度を測定する。
質量をm、破壊前の体積をV、破壊後の体積をvとする。このとき、破壊前の密度(見かけ密度)x=m/V、破壊後の密度(真密度)y=m/vとなる。中空構造残存率をpとすると、見掛け密度ρは以下で表される。
m/((V×p+v×(1-p))=ρ・・・(a)
これをpについて解くと、以下のようになる。
p=(1-ρ/y)/ρ×(1/x-1/y)・・・(b)
また、実施例3~6は、参考例1の噴霧量(6L/h)の10倍に相当する噴霧量(60L/h)であるが、粒子密度、50%残存強度ともに、参考例1と同程度であった。この結果から、実施例3~6は、噴霧量が多くても、ノズルを複数基設置することにより、ミストの乾燥ムラや焼成ムラが抑制されたといえる。
2 ノズル
3 プレート
4 ノズルホルダ設置用穴
5 ノズルホルダ
6 蓋備品
7、8 加熱装置
7a 燃焼バーナー
9 断熱材
10、20 噴霧熱分解装置
30 噴霧乾燥装置
Claims (4)
- 加熱炉と、加熱炉の端部にノズルを配置した噴霧熱分解装置又は噴霧乾燥装置であって、
加熱炉の端面に脱着可能な一枚のプレートであって、ノズル設置数に応じて交換可能なプレートを備え、
プレートには、ノズルを装着するための複数のノズルホルダ設置用穴が設けられており、
ノズルホルダ設置用穴には、ノズルホルダ又は蓋部品が装着され、
ノズルホルダ内には、1又は2以上のノズルが設置されている、
粒子を製造するための噴霧熱分解装置又は噴霧乾燥装置。 - ノズルホルダ内のノズル設置数が1~4基である、請求項1記載の装置。
- ノズル1基当たりの被噴霧液体の流量が1~200L/hである、請求項1又は2記載の装置。
- 中空粒子を製造するための装置である、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
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