JP7292538B1 - 健全性評価装置、健全性評価方法、および健全性評価プログラム - Google Patents
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Abstract
Description
前記複数のノードのうち依存する下位ノードが存在しない末端のノードについて、健全性を表す健全性評価値を算出する機器評価部と、
前記車両編成を頂点とし、前記複数のノードの各ノード同士の依存関係が設定された依存関係情報を格納する依存関係データベースから前記依存関係情報を取得し、前記複数のノードのうち評価対象の評価対象ノードであって依存する下位ノードが存在する評価対象ノードについて、前記下位ノードの健全性評価値と複数の閾値の各々との大小関係に応じて、前記下位ノードの健全性評価値を統合する統合処理を動的に決定し、動的に決定される統合処理により前記評価対象ノードの健全性評価値を算出する編成評価部と
を備える。
***構成の説明***
図1は、本実施の形態に係る健全性評価システム700の構成例を示す図である。
健全性評価システム700は、複数のノード11から構成される車両編成10の健全性を評価するシステムである。ノード11は、車両編成10を構成する構成機器、あるいは単に機器とも称される。
以下において、健全性評価システム700の各装置が備える各機能要素の機能を簡単に説明する。
車両外観検査装置200は、評価対象の車両編成10の各部の外部状態を検査する。
健全性評価装置300は、車両編成10に対する健全性評価を行う。健全性評価装置300は、複数のノード11から構成される車両編成10の健全性を評価する装置である。
健全性監視装置500は、健全性評価で用いるノードの依存関係情報33あるいはノードの物理構成情報36といった各種定義情報の設定あるいは変更を行う。また、健全性監視装置500は、健全性評価装置300が算出した健全性評価情報34を確認および監視する。
設定情報受信部306は、健全性監視装置500において設定された各種定義情報を受信する。
機器健全性推定部321は、車両編成10における末端のノード11に対する健全性を健全性評価値31として推定する。
機器運用期限推定部322は、健全性評価値31から当該ノードの運用期限32を推定する。
機器健全性データベース323は、推定した健全性評価値31と運用期限32を格納する。
編成健全性推定部331は、閾値データベース311、判定部312、および評価値算出部313を備える。
閾値データベース311は、下位ノードの健全性評価値との大小関係を判定するための複数の閾値を格納する。例えば、閾値データベース311には、第1の閾値th1と第2の閾値th2とが格納される。
判定部312および評価値算出部313の機能については、後述する。
期限推定部333は、車両編成10における健全性評価値31から車両編成10の運用期限32を推定する。
編成健全性データベース334は、推定した車両編成10の健全性評価値31と車両編成10の運用期限32を格納する。
健全性評価値31と運用期限32とを含む情報を、健全性評価情報34とする。
物理構成データベース336は、可視化情報35の生成に必要なノード、すなわち機器の物理構成情報36を格納する。
可視化情報受信部501は、健全性評価装置300が算出した車両編成10の健全性評価情報34を可視化する可視化情報35を受信する。
情報可視化部502は、受信した健全性評価情報34を可視化する。
情報設定部503は、健全性評価で用いるノードの依存関係情報33あるいはノードの物理構成情報36といった各種定義情報の設定を行う。
設定情報送信部504は、設定したノードの依存関係情報33あるいはノードの物理構成情報36といった各種定義情報を健全性評価装置300に送信する。
健全性評価システム700のハードウェア構成は、車両編成装置100、車両外観検査装置200、健全性評価装置300、計画生成装置400、および、健全性監視装置500からなる。健全性評価システム700の各装置はネットワークを介して通信する。
健全性評価装置300と計画生成装置400は、オンプレミスなサーバでもよいしクラウド上に構成されたサーバでもよい。
以下では、健全性評価システム700の各装置が備える、演算装置、主記憶装置、外部記憶装置、通信装置、入力インタフェース、出力インタフェース、および通信装置について説明する。入力インタフェースは入力装置に接続される。出力インタフェースは表示装置に接続される。
車両外観検査装置200は、機能要素として、外観検査部201と検査データ送信部202を備える。
健全性評価装置300は、機能要素として、車両データ受信部301と機器評価部302と編成評価部303と情報設定部304と評価情報送信部305と設定情報受信部306を備える。
計画生成装置400は、機能要素として、健全性評価情報受信部401と計画部402を備える。
健全性監視装置500は、機能要素として、可視化情報受信部501と情報可視化部502と情報設定部503と設定情報送信部504を備える。
演算装置は、健全性評価プログラムを実行する装置である。例えば、健全性評価装置300では、健全性評価プログラムは、車両データ受信部301と機器評価部302と編成評価部303と情報設定部304と評価情報送信部305と設定情報受信部306の機能を実現するプログラムである。
演算装置は、演算処理を行うICである。演算装置の具体例は、CPU、DSP、GPUである。ICは、Integrated Circuitの略語である。CPUは、Central Processing Unitの略語である。DSPは、Digital Signal Processorの略語である。GPUは、Graphics Processing Unitの略語である。
外部記憶装置は、データを保管する記憶装置である。外部記憶装置の具体例は、HDDである。また、外部記憶装置は、SD(登録商標)メモリカード、CF、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVDといった可搬の記憶媒体であってもよい。なお、HDDは、Hard
Disk Driveの略語である。SD(登録商標)は、Secure Digitalの略語である。CFは、CompactFlash(登録商標)の略語である。DVDは、Digital Versatile Diskの略語である。
Networkの略語である。
健全性評価プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に格納されて提供されてもよい。また、健全性評価プログラムは、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
次に、本実施の形態に係る健全性評価システム700の動作について説明する。健全性評価システム700の動作手順は、健全性評価方法に相当する。また、健全性評価システム700の動作を実現するプログラムは、健全性評価処理をコンピュータに実行させる健全性評価プログラムに相当する。健全性評価システム700の動作とは、健全性評価システム700の各装置の動作である。
健全性評価装置300は、複数のノード11から構成される車両編成10の健全性を評価する装置である。
図4は、本実施の形態に係る健全性評価装置300による健全性評価処理の全体フロー図である。
健全性評価処理は健全性評価装置300にて実行される。健全性評価処理は、例えば日毎あるいは週毎といった定期的なタイミングで実行しても、任意のタイミングで実行してもよい。
機器評価部302は、複数のノードのうち、自ノードが依存するノードが存在しない末端のノードについて、健全性評価値と運用期限とを算出する。自ノードが依存するノードを下位ノードという。
編成評価部303は、依存関係データベース332から依存関係情報33を取得する。編成評価部303は、依存関係情報33を用いて、複数のノードのうち評価対象ノード20について、評価対象ノード20の下位ノードの健全性評価値と複数の閾値の各々との大小関係に応じて、下位ノードの健全性評価値を統合する統合処理を動的に決定する。そして、編成評価部303は、動的に決定される統合処理を用いて下位ノードの健全性評価値を情報統合することにより評価対象ノード20の健全性評価値を算出する。
なお、評価対象ノード20とは、複数のノードのうちの評価対象のノードであり、依存する下位ノードが存在するノードである。
ステップS105において、編成評価部303は、評価情報送信部305により、車両編成における健全性評価情報を計画生成装置400に送信する。
さらに、ステップS106において、編成評価部303は、車両編成における健全性評価情報を可視化する可視化情報を生成する。
最後に、ステップS107において、編成評価部303は、可視化情報を健全性監視装置500に送信する。
依存関係データベース332は、車両編成10を頂点とし、複数のノードの各ノード同士の依存関係が設定された依存関係情報33を格納する。また、依存関係データベース332は、依存関係情報33に、依存関係の強さを表す重要度が設定されている。
依存関係データベース332は、依存関係が有向グラフ(矢印)により定義され、有向グラフに依存関係の重要度が対応付けられている。
例えば、ルートノードは、車両編成10である。ミドルノード1,2,3,4の各々は、車両編成10が機能的に依存する車両である。ノード1,2,3,4の各々は、車両に搭載され、車両が機能的に依存するSIVあるいは蓄電池といった機器である。
末端のノードとは、依存するノードが存在しないノード、すなわち、自ノードに向かう有向グラフが存在しないノードである。
なお、図5において、wは、重要度を表している。例えば、ノード4について、重要度w=0.5である。重要度wは、あるノードに向かう全ての依存関係に対して、その合計値が1となるように設定されている。
図6の比較例では、複数のノードの依存関係と、各ノードの重要度wと、算出後の健全性評価値Hとが設定されている。
例えば、健全度評価値Hは、100が最も健全であり、0が最も異常、すなわち危険な状態を示す。
図7は、本実施の形態に係る機器評価部302による機器健全性評価処理のフロー図である。
機器健全性評価処理は、健全性評価装置300の機器評価部302にて実行される。また、機器健全性評価処理は、図3の全体フロー図におけるステップS102の一部の詳細フローに相当する。
機器健全性評価処理は、評価対象の車両編成における末端のノードに対する健全性評価を行う処理である。図5の例では、ノード1、ノード2、ノード3、およびノード4が末端のノードとなる。
次に、ステップS202において、機器運用期限推定部322は、末端のノードの健全性評価値に基づいて末端のノードの運用期限を算出する。
ステップS203において、健全性評価値と運用期限との各情報が機器健全性データベースに格納される。
図8は、本実施の形態に係る編成評価部303による編成健全性評価処理のフロー図である。
編成健全性評価処理は、編成評価部303にて実行される、車両編成に対する健全性評価の処理である。また、編成健全性評価処理は、図3の全体フロー図におけるステップS102の一部とステップS104との詳細フローに相当する。
図5の例では、ノード1、ノード2、ノード3、およびノード4といった、依存する下位ノードが存在しない末端のノードの健全性評価が完了している。一方、依存する下位ノードが存在するミドルノード1の健全性評価は完了していない。編成健全性評価処理は、これらのミドルノードの健全性評価と車両編成の健全性評価とを行う処理である。
評価対象ノード20には、自評価対象ノードが依存するノードが存在する。すなわち、評価対象ノード20には、自評価対象ノードに向かう有向グラフが存在する。
評価対象ノード20が依存するノードを、評価対象ノードの下位ノード21と称する。
具体的には、編成評価部303は、ステップS302からステップS307の処理を繰り返す。
ステップS303において、編成健全性推定部331は、評価対象ノード20が依存する下位ノード21の健全性評価値と運用期限を取得する。また、編成健全性推定部331は、評価対象ノード20と下位ノード21との間の依存関係の重要度を取得する。
編成健全性推定部331は、下位ノード21の健全性評価値および運用期限を含む健全性評価情報を、機器健全性データベース323、あるいは、編成健全性データベース334から取得する。
下位ノード21が末端のノードの場合、健全性評価情報は、機器健全性データベース323から取得される。下位ノード21が車両あるいは電源といった中間要素のノードの場合、健全性評価情報は、編成健全性データベース334から取得する。
図5の具体例では、ミドルノード1の下位ノード21であるノード1,2,3,4について、健全性評価値、運用期限、および依存関係の重要度が取得される。
図9は、本実施の形態に係る評価対象ノード20の健全性評価値を算出する統合処理のフロー図である。図9のフロー図は、ステップS304の詳細フローに相当する。
編成健全性推定部331は、評価対象ノード20について、下位ノード21の健全性評価値と複数の閾値の各々との大小関係に応じて、下位ノードの健全性評価値を統合する統合処理を動的に決定する。そして、編成健全性推定部331は、動的に決定される統合処理により評価対象ノード20の健全性評価値を算出する。
具体的には、編成健全性推定部331により、下位ノード21の健全性評価値と、閾値データベース311に格納されている第1の閾値th1と第2の閾値th2の各々との大小関係に応じて、統合処理が動的に決定される。
具体的には、以下の通りである。
図5の例では、ミドルノード1を評価対象ノード20とすると、ノード1,2,3,4の各々における健全性評価値Hと対応重要度wとが取得される。
具体的には、判定部312は、全下位ノードの健全性評価値Hnode_x(x={1,…,N})について、Hnode_x>th2か否かを判定する。
下位ノードの健全性評価値の全てが第2の閾値th2より大きい場合、ステップS344に進む。
一方、下位ノードの健全性評価値のうち第2の閾値th2以下のものがある場合、ステップS349に進む。
ステップS349において、評価値算出部313は、統合処理として、複数の下位ノードの各々の健全性評価値うち、最も小さい健全性評価値を評価対象ノード20の健全性評価値とする統合処理を行う。その後、処理はステップS348に進む。
ステップS344からステップS346の処理は、全下位ノードの各々において、健全性評価値と第1の閾値th1との大小関係に応じた統合重要度w’が算出される。
そして、ステップS347において、全下位ノードの各々について、健全性評価値と統合重要度w’とを乗算した値を加算することにより、評価対象ノード20の健全性評価値が算出される。
ステップS344からステップS347の処理の概要は、以下の通りである。
具体的には、以下の通りである。
ステップS344において、評価値算出部313は、処理対象の下位ノードについて、複数の閾値の中で最も大きい第1の閾値th1以上の健全性評価値を有するか否かを判定する。すなわち、評価値算出部313は、下位ノードxの健全性評価値Hnode_xについて、Hnode_x≧th1か否かを判定する。
第1の閾値th1以上の健全性評価値ではない場合、ステップS350に進む。
この処理により、健全性評価値が比較的小さい下位ノードについては、重要度を高くすることにより、一部の下位ノードの劣化をより大きく評価対象ノード20の健全性評価値に反映させることができる。
全下位ノードについて統合重要度w’を取得した場合は、ステップS347に進む。
評価対象ノード20が依存する各ノードの健全性評価値をHi(i=1,・・・,N)、依存する各ノードの統合重要度をw’i(i=1,・・・,N)、全下位ノードの統合重要度w’の総和をWとする。このとき、評価値算出部313は、次の数1のように重み付き加算する。
(数1)健全性評価値Hp=(w’1・H1+・・・+w’N・HN)/W
図5に示すようにミドルノード1が、ノード1,2,3,4に依存するものとする。ミドルノード1の健全性評価値Hpを算出する。
th1=50,th2=25とする。
α=5とする。
ノード1は、H1=100およびw1=0.2とする。
ノード2は、H2=70およびw2=0.3とする。
ノード3は、H3=40およびw3=0.3とする。
ノード4は、H4=20およびw4=0.2とする。
本実施の形態に係る健全性評価装置300によれば、H4=20がth2=25より小さいため、ミドルノード1の健全性評価値Hpは、下位ノードの中で一番小さい20となる(ステップS349)。
図5に示すようにミドルノード1が、ノード1,2,3,4に依存するものとする。ミドルノード1の健全性評価値Hpを算出する。
th1=50,th2=25とする。
α=5とする。
ノード1は、H1=100およびw1=0.2とする。
ノード2は、H2=70およびw2=0.3とする。
ノード3は、H3=40およびw3=0.3とする。
ノード4は、H4=30およびw4=0.2とする。
本実施の形態に係る健全性評価装置300によれば、th2以下の健全性評価値は無い。
H1=100はth1=50以上である。よって、w’1は、w1=0.2の据置きである。
H2=70はth1=50以上である。よって、w’2は、w2=0.3の据置きである。
H3=40はth2=20より大きく、th1=50より小さい。よって、w’3=α×w3=5×0.3=1.5である。
H4=30はth2=20より大きく、th1=50より小さい。よって、w’4=α×w4=5×0.2=1.0である。
ミドルノード1の健全性評価値Hp=(0.2×100+0.3×70+1.5×40+1.0×30)/(0.2+0.3+1.5+1.0)=37となる。
また、ノード1,2,3,4の健全性評価値と重要度を、図6におけるノード1,2,3,4と同様とする。
本実施の形態に係る健全性評価装置300によれば、H4=20がth2=25より小さいため、ミドルノード1の健全性評価値Hpは、下位ノードの中で一番小さい20となる。
図6の比較例では、ミドルノード1の健全性評価値は60であり、情報統合により、危険な状態のノード4の情報が丸められてしまっている。
一方、本実施の形態に係る健全性評価装置300によれば、ミドルノード1の健全性評価値Hpは20となり、ノード4の情報が適切にミドルノード1の健全性評価値に反映される。
ステップS305において、期限推定部333は、依存関係情報33と下位ノードにおける運用期限とに基づいて、評価対象ノード20の運用期限32を算出する。編成評価部303は、評価対象ノード20の健全性評価値31と運用期限32とを編成健全性データベース334に格納する。
なお、下位ノードにおける運用期限には、末端のノードの運用期限が含まれる。
つまり、期限推定部333は、評価対象ノード20の下位ノードの運用期限のうち、最も早く到来する運用期限を評価対象ノード20の運用期限32とする。
図10は、本実施の形態に係る可視化情報生成部335による可視化情報生成処理のフロー図である。
可視化情報生成処理は、可視化情報生成部335にて実行される。また、本処理は、図4の全体フロー図におけるステップS106の詳細フローに相当する。
可視化情報生成部335は、車両編成について健全性評価値と運用期限との算出が完了すると、各ノードの運用期限に基づいて、車両編成と各ノードとのそれぞれの検査の期限を表す検査期限を算出する。そして、可視化情報生成部335は、車両編成と各ノードとのそれぞれの健全性と検査期限とを可視化するための可視化情報35を生成する。
また、可視化情報生成部335は、車両編成と各ノードとのそれぞれの検査期限に基づいて、車両編成と各ノードとのそれぞれの検査の開始を推奨する推奨検査期限を算出する。そして、可視化情報生成部335は、車両編成と各ノードとのそれぞれの推奨検査期限を可視化するための情報も可視化情報35に含める。
ステップS402において、可視化情報生成部335は、編成健全性データベース334に格納されている車両編成および車両編成を構成する全ノードの健全性評価情報を取得する。
ステップS403において、可視化情報生成部335は、健全性評価情報のうち運用期限をもとに、各ノードの検査期限と推奨検査期限の各情報を算出する。
最後に、ステップS403において、可視化情報生成部335は、取得した物理構成情報に沿って、取得した全ノードの健全性評価情報をソートする。
図11は、健全性監視装置500において、評価対象の車両編成、および、車両編成を構成する複数のノードのそれぞれの健全性評価情報を可視化した表示例を示している。
図11では、ステップS404の処理により、車両編成におけるノードの物理構成に基づいてソートした順に車両編成および各ノードが並ぶ。また、その右隣の列には、評価時点(現在)の健全性評価値が設定される。さらにその右隣には機器の検査期限に関する情報(推奨検査期限/検査期限/運用期限)が設定される。そしてその横、図の最右側には、過去から現在、さらには将来に至る健全性評価値の時系列変化の様子が表示される。
図12では、車両編成健全性評価に必要な、機器依存関係情報および機器物理構成情報の定義に係る処理フローが示されている。
健全性評価装置300の情報設定部304は、複数のノードの依存関係および物理構成の情報を、評価対象の車両編成の制御装置から取得し、データベースに格納する。
情報設定部304は、複数のノードの依存関係および物理構成の情報を修正あるいは変更する情報を取得し、データベースを修正あるいは変更する。複数のノードの依存関係および物理構成の情報を修正あるいは変更する情報は、例えば、健全性監視装置500の入力装置を介して、保守者から取得してもよい。
ステップS502において、情報設定部304は、車両編成を構成する各ノードの依存関係を依存関係情報33として構築する。
ステップS503において、情報設定部304は、設定情報受信部306が取得した情報をもとに構築済の依存関係情報33を修正・変更する。
ステップS504において、情報設定部304は、修正・変更した依存関係情報33を依存関係データベース332に格納する。
ステップS505において、情報設定部304は、車両編成を構成する各ノードの物理構成を物理構成情報36として構築する。
ステップS506において、情報設定部304は、設定情報受信部306が取得した情報をもとに構築済の物理構成情報36を修正・変更する。
ステップS507において、情報設定部304は、修正・変更した物理構成情報36を物理構成データベース336に格納する。
Management Systemの略語である。
本実施の形態では、健全性評価システム700の各装置の機能がソフトウェアで実現される。変形例として、健全性評価システム700の各装置の機能がハードウェアで実現されてもよい。
具体的には、健全性評価システム700の各装置は、演算装置に替えて電子回路を備える。
以上のように、本実施の形態に係る健全性評価システム700によれば、評価対象ノードが依存する各下位ノードの情報統合を行う編成評価部における編成健全性推定部が、各下位ノードの健全性評価値と複数の閾値に応じて場合分けする。そして、編成評価部における編成健全性推定部が、それぞれの場合に適した情報統合ロジックを動的に当てはめて、情報統合処理をする。複数の閾値として、例えば、第1の閾値th1と第2の閾値th2(th1>th2)を用いる。
これにより、本実施の形態に係る健全性評価システム700によれば、情報の丸めの影響を受けにくくなり、一部の異常あるいは劣化状態を全体の健全性評価値に伝搬可能となる。
また、本実施の形態に係る健全性評価システム700によれば、車両編成の健全性評価値から搭載機器の異常・劣化状態を認識しやすくなる。とくに重要度が高い下位要素の健全性評価値はより確実に上位に伝搬されるため、全体(車両編成)の健全性評価が高度化するという効果がある。
本実施の形態では、主に、実施の形態1と異なる点および実施の形態1に追加する点について説明する。
本実施の形態において、実施の形態1と同様の機能を有する構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態では、下位ノードの健全性評価値を統合する統合処理において、複数の閾値として、第1の閾値th1と第2の閾値th2に加え、第1の閾値th1より小さく第2の閾値th2より大きい第3の閾値th3を用いる態様について説明する。
本実施の形態に係る健全性評価システム700の構成は、実施の形態1と同様である。
ただし、図2の閾値データベース311には、第1の閾値th1と第2の閾値th2に加え、第1の閾値th1より小さく第2の閾値th2より大きい第3の閾値th3が格納されている。
また、本実施の形態では、重み付け係数αとして、第1の重み付け係数α1と第2の重み付け係数α2とがある。第2の重み付け係数α2は、第1の重み付け係数α1より大きい、すなわちα2>α1とする。
第2の重み付け係数α2は、第1の重み付け係数α1より大きい値をとるため、健全性評価値がより小さい下位ノードについては、その健全性評価値を評価対象ノード20の健全性評価値により大きく反映させることができる。
本実施の形態では、実施の形態1で説明した図9の評価対象ノード20の健全性評価値を算出する処理のフロー図が実施の形態1と異なる。
ステップS344aからステップS346の処理では、全下位ノードの各々について、健全性評価値と第1の閾値th1および第3の閾値th3との大小関係に応じた統合重要度w’が算出される。
そして、ステップS347において、全下位ノードの各々について、健全性評価値と統合重要度w’とを乗算した値を加算することにより、評価対象ノード20の健全性評価値が算出される。
具体的には、以下の通りである。
第3の閾値th3以上の健全性評価値ではない場合、ステップS350bに進む。
評価値算出部313は、第3の閾値th3より小さく、かつ、第2の閾値th2より大きい健全性評価値を有する下位ノードについては、対応重要度wに第2の重み付け係数α2を乗算した値を統合重要度w’として算出する。すなわち、評価値算出部313は、下位ノードxの対応重要度wnode_xをα2倍、すなわちw’node_x=α2×wnode_xとする。
第1の閾値th1以上の健全性評価値ではない場合、ステップS350aに進む。
ステップS350aにおいて、評価値算出部313は、第1の閾値th1より小さく、かつ、第3の閾値th3以上の健全性評価値を有する下位ノードについては、対応重要度wに第1の重み付け係数α1を乗算した値を統合重要度w’として算出する。すなわち、評価値算出部313は、下位ノードxの対応重要度wnode_xをα1倍、すなわち、w’node_x=α1×wnode_xとする。
この処理により、健全性評価値が比較的小さい下位ノードについては、重要度を高くすることができ、より大きく評価対象ノード20の健全性評価値に反映させることができる。
ミドルノード1が、ノード1,2,3,4に依存するものとする。ミドルノード1の健全性評価値Hpを算出する。
th1=75,th3=50,th2=25とする。
α1=3、α2=6とする。
ノード1は、H1=100およびw1=0.2とする。
ノード2は、H2=70およびw2=0.3とする。
ノード3は、H3=40およびw3=0.3とする。
ノード4は、H4=30およびw4=0.2とする。
本実施の形態に係る健全性評価装置300によれば、th2以下の健全性評価値は無い。
H1=100は、th1=75以上である。よって、w’1は、w1=0.2の据置きである。
H2=70は、th3=50以上、th1=75より小さい。よって、w’2は、w2=α1×0.3=0.9である。
H3=40は、th2=25より大きく、th3=50以下である。よって、w’3は、w3=α2×0.3=1.8である。
H4=30は、th2=25より大きく、th3=50以下である。よって、w’4は、w4=α2×0.2=1.2である。
ミドルノード1の健全性評価値Hp=(0.2×100+0.9×70+1.8×40+1.2×30)/(0.2+0.9+1.8+1.2)≒46.6となる。
実施の形態1では、統合処理の動的な決定の判定に、2つの閾値th1,th2を用いた。また、本実施の形態では、統合処理の動的な決定の判定に、3つの閾値th1,th2,th3を用いた。上述した実施の形態の方式を採用することにより、4つ以上の閾値を用いて統合処理の動的な決定の判定を実行してもよい。
以上のように、本実施の形態に係る健全性評価システム700によれば、3つの閾値により、依存する各下位ノードの健全性評価値に応じて情報統合ロジックを動的に変更することができる。2つの閾値による情報統合ロジックの判定と比較して、閾値前後の下位ノードが存在するときの上位ノードの健全性評価値について、閾値を超えた前後の健全性評価値のギャップをより滑らかにできる。
よって、本実施の形態に係る健全性評価システム700によれば、情報丸めの影響の軽減による全体の健全性評価値算出の高度化効果に加え、閾値(場合分け)の数を増やすことで、閾値前後の評価値の変化をより滑らかにつなぐ効果も得られる。
また、実施の形態1および2のうち、複数の部分を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらの実施の形態のうち、1つの部分を実施しても構わない。その他、これらの実施の形態を、全体としてあるいは部分的に、どのように組み合わせて実施しても構わない。
すなわち、実施の形態1および2では、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
健全性監視装置、501 可視化情報受信部、502 情報可視化部、503 情報設定部、504 設定情報送信部、700 健全性評価システム。
Claims (9)
- 複数のノードから構成される車両編成の健全性を評価する健全性評価装置において、
前記複数のノードのうち依存する下位ノードが存在しない末端のノードについて、健全性を表す健全性評価値を算出する機器評価部と、
前記車両編成を頂点とし、前記複数のノードの各ノード同士の依存関係と前記依存関係の強さを表す重要度とが設定された依存関係情報を格納する依存関係データベースから前記依存関係情報を取得し、前記複数のノードのうち評価対象の評価対象ノードであって依存する複数の下位ノードが存在する評価対象ノードについて、前記下位ノードの健全性評価値と複数の閾値の各々との大小関係に応じて、前記下位ノードの健全性評価値を統合する統合処理を動的に決定し、動的に決定される統合処理により前記評価対象ノードの健全性評価値を算出する編成評価部と
を備え、
前記編成評価部は、
前記複数の下位ノードの中に、前記複数の閾値の中で最も小さい第2の閾値以下の健全性評価値を有する下位ノードがあるか否かを判定する判定部と、
前記複数の下位ノードの中に前記第2の閾値以下の健全性評価値を有する下位ノードがなければ、前記複数の下位ノードの各下位ノードについて前記複数の閾値の中で最も大きい第1の閾値以上の健全性評価値を有するか否かを判定し、前記統合処理として、前記第1の閾値より小さい健全性評価値を有する下位ノードについては前記依存関係情報から当該下位ノードに対応する重要度を対応重要度として取得し、前記対応重要度に対して当該下位ノードの健全性評価値と複数の閾値の各々との大小関係に応じて定められる重み付け係数を乗じた統合重要度を算出し、前記第1の閾値以上の健全性評価値を有する下位ノードについては前記対応重要度を前記統合重要度として取得し、各下位ノードの健全性評価値に前記統合重要度を乗算し、乗算により得られた値を加算し、加算により得られた値を前記評価対象ノードの健全性評価値とする処理を行う評価値算出部と
を備える健全性評価装置。 - 前記複数の閾値には、前記第1の閾値より小さく前記第2の閾値より大きい第3の閾値が含まれており、
前記重み付け係数には、第1の重み付け係数と第2の重み付け係数とが含まれており、
前記評価値算出部は、
前記第1の閾値より小さく、かつ、前記第3の閾値以上の健全性評価値を有する下位ノードについては前記対応重要度に前記第1の重み付け係数を乗算した値を前記統合重要度として算出し、前記第3の閾値より小さく、かつ、前記第2の閾値より大きい健全性評価値を有する下位ノードについては前記対応重要度に前記第2の重み付け係数を乗算した値を前記統合重要度として算出する請求項1に記載の健全性評価装置。 - 前記第2の重み付け係数は、前記第1の重み付け係数より大きい請求項2に記載の健全性評価装置。
- 前記評価値算出部は、
前記複数の下位ノードの中に前記第2の閾値以下の健全性評価値を有する下位ノードがあれば、前記統合処理として、前記複数の下位ノードの各々の健全性評価値うち、最も小さい健全性評価値を前記評価対象ノードの健全性評価値とする処理を行う請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の健全性評価装置。 - 前記依存関係データベースは、
前記依存関係が有向グラフにより定義され、前記有向グラフに前記依存関係の重要度が対応付けられた前記依存関係情報を格納する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の健全性評価装置。 - 前記編成評価部は、
前記複数のノードのうち、自ノードが依存するノードが存在するノードを順に評価対象ノードとして、前記評価対象ノードの健全性評価値を算出し、前記車両編成が依存するノードの全てについて健全性評価値の算出が完了すると、前記車両編成の健全性評価値を算出する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の健全性評価装置。 - 前記編成評価部は、
前記車両編成について健全性評価値と運用期限とを算出すると、前記複数のノードの各ノードの運用期限に基づいて、前記車両編成と前記複数のノードの各ノードとのそれぞれの検査の期限を表す検査期限を算出し、前記車両編成と前記複数のノードの各ノードとのそれぞれの健全性と検査期限とを可視化するための可視化情報を生成する請求項2に記載の健全性評価装置。 - 複数のノードから構成される車両編成の健全性を評価する健全性評価装置に用いられる健全性評価方法において、
コンピュータが、前記複数のノードのうち依存する下位ノードが存在しない末端のノードについて、健全性を表す健全性評価値を算出し、
コンピュータが、前記車両編成を頂点とし、前記複数のノードの各ノード同士の依存関係と前記依存関係の強さを表す重要度とが設定された依存関係情報を格納する依存関係データベースから前記依存関係情報を取得し、前記複数のノードのうち評価対象の評価対象ノードであって依存する複数の下位ノードが存在する評価対象ノードについて、前記下位ノードの健全性評価値と複数の閾値の各々との大小関係に応じて、前記下位ノードの健全性評価値を統合する統合処理を動的に決定し、動的に決定される統合処理により前記評価対象ノードの健全性評価値を算出する処理であって、前記複数の下位ノードの中に、前記複数の閾値の中で最も小さい第2の閾値以下の健全性評価値を有する下位ノードがあるか否かを判定し、前記複数の下位ノードの中に前記第2の閾値以下の健全性評価値を有する下位ノードがなければ、前記複数の下位ノードの各下位ノードについて前記複数の閾値の中で最も大きい第1の閾値以上の健全性評価値を有するか否かを判定し、前記統合処理として、前記第1の閾値より小さい健全性評価値を有する下位ノードについては前記依存関係情報から当該下位ノードに対応する重要度を対応重要度として取得し、前記対応重要度に対して当該下位ノードの健全性評価値と複数の閾値の各々との大小関係に応じて定められる重み付け係数を乗じた統合重要度を算出し、前記第1の閾値以上の健全性評価値を有する下位ノードについては前記対応重要度を前記統合重要度として取得し、各下位ノードの健全性評価値に前記統合重要度を乗算し、乗算により得られた値を加算し、加算により得られた値を前記評価対象ノードの健全性評価値とする処理を行う健全性評価方法。 - 複数のノードから構成される車両編成の健全性を評価する健全性評価装置に用いられる健全性評価プログラムにおいて、
前記複数のノードのうち依存する下位ノードが存在しない末端のノードについて、健全性を表す健全性評価値を算出する機器評価処理と、
前記車両編成を頂点とし、前記複数のノードの各ノード同士の依存関係と前記依存関係の強さを表す重要度とが設定された依存関係情報を格納する依存関係データベースから前記依存関係情報を取得し、前記複数のノードのうち評価対象の評価対象ノードであって依存する複数の下位ノードが存在する評価対象ノードについて、前記下位ノードの健全性評価値と複数の閾値の各々との大小関係に応じて、前記下位ノードの健全性評価値を統合する統合処理を動的に決定し、動的に決定される統合処理により前記評価対象ノードの健全性評価値を算出する編成評価処理と
をコンピュータに実行させる健全性評価プログラムであって、
前記編成評価処理は、
前記複数の下位ノードの中に、前記複数の閾値の中で最も小さい第2の閾値以下の健全性評価値を有する下位ノードがあるか否かを判定する判定処理と、
前記複数の下位ノードの中に前記第2の閾値以下の健全性評価値を有する下位ノードがなければ、前記複数の下位ノードの各下位ノードについて前記複数の閾値の中で最も大きい第1の閾値以上の健全性評価値を有するか否かを判定し、前記統合処理として、前記第1の閾値より小さい健全性評価値を有する下位ノードについては前記依存関係情報から当該下位ノードに対応する重要度を対応重要度として取得し、前記対応重要度に対して当該下位ノードの健全性評価値と複数の閾値の各々との大小関係に応じて定められる重み付け係数を乗じた統合重要度を算出し、前記第1の閾値以上の健全性評価値を有する下位ノードについては前記対応重要度を前記統合重要度として取得し、各下位ノードの健全性評価値に前記統合重要度を乗算し、乗算により得られた値を加算し、加算により得られた値を前記評価対象ノードの健全性評価値とする処理を行う評価値算出処理と
を備える健全性評価プログラム。
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