JP7291494B2 - 成形容器用積層体、成形容器および包装体 - Google Patents

成形容器用積層体、成形容器および包装体 Download PDF

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Description

この発明は、食品等を密封包装するための成形容器の材料として用いられる積層体、同積層体を成形してなる成形容器、および内容物が充填された同成形容器に蓋を施してなる包装体に関し、より詳細には、マット調の外表面を有する成形容器用積層体、成形容器および包装体に関する。
例えば水羊羹、ゼリー、離乳食、介護用食品等を長期保存可能に包装するための容器として、アルミニウム箔等よりなる金属箔層と、金属箔層の両面のうち容器の外側となる面に積層されている単層または複数層の外側樹脂フィルム層とを備えた積層体を、カップ状に成形してなる成形容器が知られている(下記の特許文献1等参照)。
ここで、包装分野においては、外観に高級感を持たせるために、マット調(艶消し)の外表面を有する容器が使用される場合がある。
例えば下記の特許文献2には、エンボス加工されたポリプロピレン樹脂フィルムを使用することにより、マット調の外表面を有する文具用ファイル等を製作することが開示されている。
下記の特許文献3には、最外層にマット調の外表面を有するハードコート層を形成した成型用ハードコートフィルムが開示されている。
また、下記の特許文献4には、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂およびエラストマーを配合してなる表面が艶消し状態のポリプロピレン系シートが開示されている。
特開平6-345123号公報 特開平5-320376号公報 特開2011-148301号公報 特開平2-92944号公報
しかしながら、上記特許文献2のようなエンボス加工フィルムによって外側樹脂フィルム層が構成された積層体をカップ状に成形すると、成形時にエンボス加工フィルムが延ばされてマット調の外表面に斑が生じ、外観が損なわれるおそれがあった。また、エンボス加工フィルムを使用すると、コストが嵩むという問題があった。
また、上記特許文献3のようなマット調のコート層を有するフィルムによって外側樹脂フィルム層が構成された積層体をカップ状に成形した場合、コート層にクラックが発生する、或いは、コート層が剥がれるという問題があった。加えて、マット調のコート層を形成する場合も、コストが嵩むという問題があった。
また、上記特許文献4のような艶消し状態のシートで表面層が構成された積層体をカップ状に成形した場合、ポリプロピレン樹脂に対するポリエチレン樹脂およびエラストマーの相溶性が低いため、成形体の表面に白化が生じるという問題があった。
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、金属箔層および外側樹脂フィルム層を備えた積層体を成形してなる容器として、外観が良好なマット調の外表面を有するものを安価に提供することを目的としている。
この発明は、上記の目的を達成するために、以下の態様からなる。
1)金属箔層と、前記金属箔層の両面のうち容器の外側となる面に積層されてマット調の外表面層を構成している外側樹脂フィルム層とを備えている成形容器用積層体であって、
前記外側樹脂フィルム層が、融点が155℃以上でありかつ結晶融解エネルギーが50J/g以上である第1エラストマー変性オレフィン系樹脂と、融点が135℃以上でありかつ結晶融解エネルギーが30J/g以下である第2エラストマー変性オレフィン系樹脂と、オレフィン系エラストマーとを含む樹脂組成物からなり、
前記第1エラストマー変性オレフィン系樹脂および前記第2エラストマー変性オレフィン系樹脂は、それぞれエラストマー変性ホモポリプロピレン樹脂からなり、
前記外側樹脂フィルム層において、前記第1エラストマー変性オレフィン系樹脂の含有率と前記第2エラストマー変性オレフィン系樹脂の含有率との合計値が50質量%以上である、成形容器用積層体。
2)金属箔層と、前記金属箔層の両面のうち容器の外側となる面に積層されてマット調の外表面層を構成している外側樹脂フィルム層とを備えている成形容器用積層体であって、
前記外側樹脂フィルム層が、融点が155℃以上でありかつ結晶融解エネルギーが50J/g以上である第1エラストマー変性オレフィン系樹脂と、融点が135℃以上でありかつ結晶融解エネルギーが30J/g以下である第2エラストマー変性オレフィン系樹脂と、オレフィン系エラストマーとを含む樹脂組成物からなり、
前記第1エラストマー変性オレフィン系樹脂および前記第2エラストマー変性オレフィン系樹脂は、それぞれエラストマー変性ランダム共重合体からなり、
前記エラストマー変性ランダム共重合体は、共重合成分の1つとしてプロピレンを含有するランダム共重合体のエラストマー変性体であり、
前記外側樹脂フィルム層において、前記第1エラストマー変性オレフィン系樹脂の含有率と前記第2エラストマー変性オレフィン系樹脂の含有率との合計値が50質量%以上である、成形容器用積層体。
3)金属箔層と、前記金属箔層の両面のうち容器の外側となる面に積層されてマット調の外表面層を構成している外側樹脂フィルム層とを備えている成形容器用積層体であって、
前記外側樹脂フィルム層が、融点が155℃以上でありかつ結晶融解エネルギーが50J/g以上である第1エラストマー変性オレフィン系樹脂と、融点が135℃以上でありかつ結晶融解エネルギーが30J/g以下である第2エラストマー変性オレフィン系樹脂と、オレフィン系エラストマーとを含む樹脂組成物からなり、
前記第1エラストマー変性オレフィン系樹脂および前記第2エラストマー変性オレフィン系樹脂は、それぞれエラストマー変性ホモポリプロピレン樹脂およびエラストマー変性ランダム共重合体からなり、
前記エラストマー変性ランダム共重合体は、共重合成分の1つとしてプロピレンを含有するランダム共重合体のエラストマー変性体であり、
前記外側樹脂フィルム層において、前記第1エラストマー変性オレフィン系樹脂の含有率と前記第2エラストマー変性オレフィン系樹脂の含有率との合計値が50質量%以上である、成形容器用積層体。
4)前記外側樹脂フィルム層において、前記第2エラストマー変性オレフィン系樹脂の含有率が1~50質量%である、上記1)~3)のいずれか1つの成形容器用積層体。
5)前記外側樹脂フィルム層において、前記第1エラストマー変性オレフィン系樹脂の含有率が49~98質量%である、上記1)~4)のいずれか1つの成形容器用積層体。
6)前記外側樹脂フィルム層において、前記オレフィン系エラストマーの含有率が1~30質量%である、上記1)~5)のいずれか1つの成形容器用積層体。
7)前記外側樹脂フィルム層の表面の光沢度が0.5~12%である、上記1)~6)のいずれか1つの成形容器用積層体。
8)前記第1エラストマー変性オレフィン系樹脂および前記第2エラストマー変性オレフィン系樹脂のエラストマー成分が、それぞれ、エチレン-プロピレンエラストマー、エチレン-1-ブテンエラストマー、エチレン-プロピレン-1-ブテンエラストマーのうち少なくともいずれか1つである、上記1)~7)のいずれか1つの成形容器用積層体。
9)前記オレフィン系エラストマーが、エチレン-プロピレンエラストマー、エチレン-1-ブテンエラストマー、エチレン-プロピレン-1-ブテンエラストマーのうち少なくともいずれか1つである、上記1)~8)のいずれか1つの成形容器用積層体。
10)前記外側樹脂フィルム層は、さらに、無機系微粒子、有機系微粒子およびスリップ剤のうち少なくともいずれか1つを含んでいる、上記1)~9)のいずれか1つの成形容器用積層体。
11)前記第2エラストマー変性オレフィン系樹脂は、示差走査熱量測定グラフにおいて2つ以上の結晶化ピークを有するものである、上記1)~10)のいずれか1つの成形容器用積層体。
12)前記金属箔層の両面のうち容器の外側となる面に複数層の外側樹脂フィルム層が積層されており、前記複数層の外側樹脂フィルム層のうち最も外側のものによって、前記外表面層が構成されている、上記1)~11)のいずれか1つの成形容器用積層体。
13)前記金属箔層と前記外側樹脂フィルム層との間に印刷層が形成されるか、または、前記外側樹脂フィルム層に着色成分が添加されることによって、前記外側樹脂フィルム層の表面に所定の表示または装飾が表れている、上記1)~12)のいずれか1つの成形容器用積層体。
14)上記1)~13)のいずれか1つの成形容器用積層体をカップ状に成形してなり、開口周縁にフランジを有している、成形容器。
15)内容物が充填された上記14)の成形容器のフランジに、成形容器の開口を覆うように蓋が接合されてなる、包装体。
なお、この明細書および特許請求の範囲において、「融点」は、JIS K7121-1987に準拠して示差走査熱量測定(DSC)により測定された融解ピーク温度(Tmp)である。
同様に、「結晶融解エネルギー」は、JIS K7122-1987に準拠して示差走査熱量測定(DSC)により測定された融解熱(結晶融解エネルギー、△H)である。なお、結晶融解ピーク曲線が2つ以上存在していて、結晶融解エネルギーが2つ(△H1、△H2)または3つ以上存在する場合には、最も高い結晶融解エネルギーの値を指すものとする。
上記1)~3)の成形容器用積層体にあっては、マット調の外表面層を構成する外側樹脂フィルム層が、融点が155℃以上でありかつ結晶融解エネルギーが50J/g以上である第1エラストマー変性オレフィン系樹脂と、融点が135℃以上でありかつ結晶融解エネルギーが30J/g以下である第2エラストマー変性オレフィン系樹脂と、オレフィン系エラストマーとを組み合わせた樹脂組成物からなるので、上記樹脂組成物の第1および第2エラストマー変性オレフィン系樹脂におけるエラストマー成分とオレフィン系樹脂との相溶性が良く、エラストマー成分の分散性も良好なものとなり、オレフィン系樹脂相とエラストマー成分との界面の接合強度が高くなる。したがって、上記1)~3)の積層体の成形時に、応力によってオレフィン系樹脂相とエラストマー成分との界面が剥離してボイドと呼ばれる空隙が発生するのが防止され、樹脂とボイドの屈折率の違いによる透明性の悪化、すなわち、白化現象が防止される。そして、上記1)~3)の積層体の場合、エンボス加工フィルムによってマット調の外表面が構成された積層体のように、成形時に延ばされて外表面に斑が生じることがなく、また、マット調のコート層を有するフィルムによって外側樹脂フィルム層の外表面が構成された積層体のように、コート層にクラックが発生したり、コート層が剥がれたりすることもない上、コストもかからない。
従って、上記1)~3)の成形容器用積層体によれば、外観が良好なマット調の外表面を有する成形容器が安価に得られる。
また、上記1)~3)の成形容器用積層体によれば、外表面層を構成する樹脂組成物中の第1エラストマー変性オレフィン系樹脂の融点が155℃以上であるので、例えば同積層体を成形してなる容器のフランジに蓋をヒートシールする際に、外表面層が潰れ難くなり、十分な形状保持性が確保される。
上記4)の成形容器用積層体によれば、上記1)~3)の積層体について上述した諸効果を十分に確保することができ、特に、例えば同積層体を成形してなる容器のフランジに蓋をヒートシールする時に、外表面層がより一層潰れ難くなり、より確実に白化現象を抑制することができる。
上記5)の成形容器用積層体によれば、上記1)~3)の積層体について上述した諸効果をより十分に確保することができる。
上記6)の成形容器用積層体によれば、上記1)~3)の積層体について上述した諸効果をより十分に確保することができる。
上記7)の成形容器用積層体によれば、上記1)~3)の積層体について上述した諸効果をより十分に確保することができる。
上記8)の成形容器用積層体によれば、上記1)~3)の積層体について上述した諸効果をより十分に確保することができる。
上記9)の成形容器用積層体によれば、上記1)~3)の積層体について上述した諸効果をより十分に確保することができる。
上記10)の成形容器用積層体によれば、積層体の外表面のマット調(凹凸)の微妙な調整をすることができ、より優れた意匠性が得られるとともに、積層体の外表面に優れた滑り性が付与されて、成形深さがより深い成形を良好に行うことができ、さらに成形時の白化も十分に抑制される。
上記11)の成形容器用積層体によれば、上記1)~3)の積層体について上述した諸効果をより十分に確保することができる。
上記12)の成形容器用積層体によれば、上記1)~3)の積層体について上述した諸効果をより十分に確保することができる。
上記13)の成形容器用積層体によれば、金属箔層と外側樹脂フィルム層との間に印刷層が形成されるか、または、外側樹脂フィルム層に着色成分が添加されることによって、外表面層の表面に所定の表示または装飾が表れているので、同積層体を成形してなる成形容器がより優れた外観のものとなる。
上記14)の成形容器によれば、外観が良好なマット調の外表面を有するものであるので、高級感を持たせることができる。
上記15)の包装体によれば、生産性が良好であって、コストを抑えることができる上、成形時の白化が抑えられて外観が良好なマット調の外表面を有する容器によって、高級感を持たせることができる。
この発明の実施形態に係る成形容器用積層体の2つの態様の層構造を示す部分拡大断面図である。 この発明の実施形態に係る包装体の製造方法を工程順に示す垂直断面図である。 同方法によって製造された包装体の斜視図である。
この発明の実施形態を、図1~図3を参照して、以下に説明する。
図1は、この発明の実施形態に係る成形容器用積層体の層構造を示したものである。図示の積層体(10)は、金属箔層(11)と、金属箔層(11)の両面のうち容器(2)の外側となる面に積層されている外側樹脂フィルム層(12):(12A)(12B)とを備えている。また、この実施形態の積層体(10)は、金属箔層(11)の両面のうち容器(2)の内側となる面に積層されている内側樹脂層(13)を備えている。
より詳しく言うと、図1(a)に示す積層体(10)では、外側樹脂フィルム層(12)が単層構造であり、同層(12)によって積層体(10)のマット調の外表面層(120)が構成されている。また、図1(b)に示す積層体(10)では、外側樹脂フィルム層が、積層体(10)のマット調の外表面層(120)を構成する第1外側樹脂フィルム層(12A)と、第1外側樹脂フィルム層(12A)と金属箔層(11)との間に介在された第2外側樹脂フィルム層(12B)とよりなる2層構造である。
金属箔層(11)は、成形容器用積層体(10)に対して、酸素や水分の侵入を阻止するバリア性を付与する役割を担うものである。
金属箔層(11)を構成する金属箔としては、アルミニウム箔、鉄箔、ステンレス鋼箔、銅箔などを使用することができるが、好適にはアルミニウム箔が用いられる。アルミニウム箔の場合、純アルミニウム箔、アルミニウム合金箔のいずれでもよく、また、軟質、硬質のいずれでもよいが、例えば、鉄の含有量が0.3~1.5質量%であるJIS H4160で分類されるA8000系(特に、A8079HやA8021H)の焼鈍処理済の軟質材(O材)であれば、成形性に優れているので、好適に用いることができる。
金属箔層(11)の片面または両面には、必要に応じて、化成処理などの下地処理を行う。具体的には、例えば、脱脂処理を行った金属箔の表面に、
1)リン酸と、
クロム酸と、
フッ化物の金属塩およびフッ化物の非金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含む混合物の水溶液
2)リン酸と、
アクリル系樹脂、キトサン誘導体樹脂およびフェノール系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂と、
クロム酸およびクロム(III)塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含む混合物の水溶液
3)リン酸と、
アクリル系樹脂、キトサン誘導体樹脂およびフェノール系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂と、
クロム酸およびクロム(III)塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、
フッ化物の金属塩およびフッ化物の非金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含む混合物の水溶液
上記1)~3)のうちのいずれかの水溶液を塗工した後、乾燥することにより、化成処理を施して、皮膜を形成する。
上記化成処理により金属箔層(11)表面に形成される皮膜は、クロム付着量(片面当たり)を0.1mg/m~50mg/mとするのが好ましく、特に、2mg/m~20mg/mとするのが好ましい。
金属箔層(11)の厚さは、30~200μmとするのが好ましく、50~150μmとするのがより好ましい。上記範囲とすることによって、十分なバリア性と成形加工性を得ることができる。
外側樹脂フィルム層(12):(12A)(12B)は、成形容器(1)の外表面にマット調の意匠性を持たせると共に、成形容器用積層体(10)に深絞り成形性や張出成形性を付与する役割を担うものである。
マット調の外表面層(120)を構成する外側樹脂フィルム層(12)または第1外側樹脂フィルム層(12A)は、融点(Tmp)が155℃以上でありかつ結晶融解エネルギー(△H)が50J/g以上である第1エラストマー変性オレフィン系樹脂と、融点(Tmp)が135℃以上でありかつ結晶融解エネルギー(△H)が30J/g以下である第2エラストマー変性オレフィン系樹脂と、オレフィン系エラストマーとを含有する樹脂組成物からなる。そして、上記の層(12):(12A)によって構成される外表面層(120)は、その表面(120a)の光沢度(グロス値)が、0.5~30%、好ましくは0.5~12%、より好ましくは0.5~9%となされている。ここで、「光沢度」は、JIS Z8741-1997(鏡面光沢度-測定方法、方法3(入射角度60度))に準拠して測定された光沢度(グロス値)である。
上記の第1エラストマー変性オレフィン系樹脂および第2エラストマー変性オレフィン系樹脂は、それぞれ、エラストマー変性ホモポリプロピレンおよび/またはエラストマー変性ランダム共重合体からなる。上記のエラストマー変性ランダム共重合体は、共重合成分としてプロピレンとプロピレン以外のモノマーを含有するランダム共重合体(ランダムポリプロピレン)のエラストマー変性体である。プロピレン以外の共重合成分(モノマー)としては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-ペンテン、4メチル-1-ペンテン等のオレフィン成分の他、ブタジエン等が挙げられる。エラストマー成分としては、特に限定されるものではないが、エチレン-プロピレンエラストマー(EPR)、エチレン-1-ブテンエラストマー(EBR)、エチレン-プロピレン-1-ブテンエラストマー(EPBR)のうち少なくともいずれか1つを用いるのが好ましい。
上記のオレフィン系エラストマーとしては、特に限定されるものではないが、エチレン-プロピレンエラストマー(EPR)、エチレン-1-ブテンエラストマー(EBR)、エチレン-プロピレン-1-ブテンエラストマー(EPBR)のうち少なくともいずれか1つを用いるのが好ましい。
外表面層(120)を、融点(Tmp)が155℃以上でありかつ結晶融解エネルギー(△H)が50J/g以上である第1エラストマー変性オレフィン系樹脂と、融点(Tmp)が135℃以上でありかつ結晶融解エネルギー(△H)が30J/g以下である第2エラストマー変性オレフィン系樹脂とを含んだ樹脂組成物によって構成するのは、以下の理由による。
すなわち、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂の融点が155℃未満では、積層体(10)を成形した時に白化が顕著に生じる上、容器(2)のフランジ(23)に蓋(3)をヒートシールする時に外表面層(120)が潰れ易くなる(比較例5参照)。
また、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂の融点が135℃未満では、積層体(10)の成形時に白化が顕著に生じる(比較例6参照)。
また、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂の結晶融解エネルギー(△H)が50J/g未満では、上記ヒートシール時に外表面層(120)が潰れ易くなる(比較例7参照)。 また、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂の結晶融解エネルギー(△H)が30J/gを超えると、積層体(10)の成形時に白化がある程度生じる(比較例8参照)。
また、融点(Tmp)が155℃以上でありかつ結晶融解エネルギー(△H)が50J/g以上である第1エラストマー変性オレフィン系樹脂を非含有とすると、成形時に白化がある程度生じる上に、外表面層(120)が潰れ易く、形状保持性が不十分になりやすい(比較例3参照)。
また、融点(Tmp)が135℃以上でありかつ結晶融解エネルギー(△H)が30J/g以下である第2エラストマー変性オレフィン系樹脂を非含有とすると、成形時に白化が顕著に生じる(比較例4参照)。
前記第1エラストマー変性オレフィン系樹脂の融点は、155℃以上かつ185℃以下であるのが好ましい。前記第1エラストマー変性オレフィン系樹脂の結晶融解エネルギーは、50J/g以上かつ75J/g以下であるのが好ましく、53J/g以上かつ70J/g以下であるのがより好ましい。
前記第2エラストマー変性オレフィン系樹脂の融点は、135℃以上かつ175℃以下であるのが好ましい。前記第2エラストマー変性オレフィン系樹脂の結晶融解エネルギーは、5J/g以上かつ30J/g以下であるのが好ましく、中でも10J/g以上かつ25J/g以下であるのがより好ましく、10J/g以上かつ20J/g以下であるのが特に好ましい。
第1エラストマー変性オレフィン系樹脂および第2エラストマー変性オレフィン系樹脂に関して、エラストマー変性態様としては、グラフト重合が挙げられるが、その他の変性態様であってもよい。
第1エラストマー変性オレフィン系樹脂および第2エラストマー変性オレフィン系樹脂は、例えば、次のようなリアクターメイド法により製造することができる。
すなわち、まず、第1リアクターに、チーグラーナッタ触媒、助触媒、プロピレンおよび水素を供給して、ホモポリプロピレンを重合する。
次いで、得られたホモポリプロピレンを、未反応のプロピレンとチーグラーナッタ触媒とを含んだ状態で、第2リアクターに移動させる。第2リアクターにおいて、さらにプロピレンと水素を加えて、ホモポリプロピレンを重合する。
そして、得られたホモポリプロピレンを、未反応のプロピレンとチーグラーナッタ触媒とを含んだ状態で、第3リアクターに移動させる。第3リアクターにおいて、さらにエチレン、プロピレンおよび水素を加えて、エチレンとプロピレンとを共重合させたエチレン-プロピレンエラストマー(EPR)を重合する。
こうして、前記第1エラストマー変性オレフィン系樹脂または第2エラストマー変性オレフィン系樹脂が生成される。
前記第1エラストマー変性オレフィン系樹脂は、例えば、溶媒を添加して液相で製造することができる。また、前記第2エラストマー変性オレフィン系樹脂は、例えば溶媒を使用せず気相で反応を行わせることで製造することができる。
但し、上記は製法の一例を示したものに過ぎず、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂および第2エラストマー変性オレフィン系樹脂は、このような製法で製造されたものには限定されない。
積層体(10)の外表面層(120)において、前記第2エラストマー変性オレフィン系樹脂の含有率は1~50質量%であるのが好ましく、中でも5~30質量%であるのがより好ましく、10~25質量%であるのが特に好ましい。第2エラストマー変性オレフィン系樹脂の含有率が1質量%未満であると、積層体(10)を成形した際に白化が生じるおそれがある。一方、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂の含有率が50質量%を超えると、耐熱性が低下する。
前記外表面層(120)において、前記第1エラストマー変性オレフィン系樹脂の含有率は49~98質量%であるのが好ましく、中でも70~95質量%であるのがより好ましく、75~90質量%であるのが特に好ましい。第1エラストマー変性オレフィン系樹脂の含有率が98質量%を超えると、積層体(10)を成形した際に白化が生じるおそれがある。一方、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂の含有率が49質量%未満であると、耐熱性が低下する。
前記外表面層(120)において、前記オレフィン系エラストマーの含有率は、1~30質量%であるのが好ましく、中でも3~20質量%であるのがより好ましく、5~15質量%であるのが特に好ましい。オレフィン系エラストマーの含有率が1質量%未満であると、マット調の外観が得られないおそれがある。一方、オレフィン系エラストマーの含有率が30質量%を超えると、耐熱性が不十分となり、成形容器(2)のフランジ(23)に蓋(3)をヒートシールした際、フランジ(23)の外表面層(120)に潰れが生じるおそれがある。
前記外表面層(120)は、海島構造の形態になっているのが好ましい。このような海島構造になっていることで、外表面層(120)の表面に適度に凹凸が形成されて、光が乱反射することによって光沢が抑えられ、優れたマット調の外観が得られる。前記海島構造において、エラストマー成分が島を形成する形態が好ましい。
前記第2エラストマー変性オレフィン系樹脂は、示唆走査熱量(DSC)測定グラフにおいて2つ以上の結晶化ピークを有するものであるのが好ましい。2つの結晶化ピークを有するものである場合には、高温側の結晶化ピーク(結晶化温度)が90℃以上であり、低温側の結晶化ピーク(結晶化温度)が80℃以下であるのが好ましい。また、3つ以上の結晶化ピークを有するものである場合には、最も高温側の結晶化ピーク(結晶化温度)が90℃以上であり、最も低温側の結晶化ピーク(結晶化温度)が80℃以下であるのが好ましい。
外表面層(120)は、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂およびオレフィン系エラストマーに加えて、無機系微粒子、有機系微粒子およびスリップ剤のうち少なくともいずれか1つを含有するのが好ましい。外表面層(120)への無機系微粒子や有機系微粒子の添加によって、積層体(10)の外表面のマット調(凹凸)の微妙な調整をすることができ、より優れた意匠性が得られる。また、外表面層(120)にスリップ剤を添加することで、積層体(10)の外表面に優れた滑り性が付与されて、成形深さがより深い成形を良好に行うことができ、さらに、成形時の白化も十分に抑制されるという効果が得られる。
前記無機系微粒子としては、特に限定されるものではないが、例えば、シリカ、ケイ酸アルミニウム、硫酸バリウム等が挙げられる。前記有機系微粒子としては、特に限定されるものではないが、例えば、アクリル樹脂ビーズ、ポリスチレン樹脂ビーズ等が挙げられる。前記スリップ剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、エルカ酸アマイド、ステアリン酸アマイド、オレイン酸アマイド等の脂肪酸アマイド、クリスタリンワックス、ポリエチレンワックス等のワックス類等が挙げられる。また、スリップ剤の添加に代えて若しくはそれに加えて、成形時に積層体(10)の表面にシリコーンオイル、菜種油等の潤滑オイルを塗布してもよい。
図1(b)に示すように2層構造の外側樹脂フィルム層(12A)(12B)を有する積層体(10)において、金属箔層(11)側に配される第2外側樹脂フィルム層(12B)は、共重合成分の1つとしてプロピレンを含有するランダム共重合体を50質量%以上含有する樹脂組成物からなるのが好ましい。プロピレン以外の共重合成分(モノマー)としては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-ペンテン、4メチル-1-ペンテン等のオレフィン成分の他、ブタジエン等が挙げられる。前記ランダム共重合体の含有率が50質量%以上であることで、十分なヒートシール強度を確保することができる。より好ましくは、第2外側樹脂フィルム層(12B)における前記ランダム共重合体の含有率は、70質量%以上に設定される。また、共重合成分の1つとしてプロピレンを含有する前記ランダム共重合体は、2つ以上の融点を有するランダム共重合体であるのが好ましい。この場合、低融点のランダム共重合体成分により、金属箔層(11)との接着強度をより一層増大させて、接着性能をさらに向上させることができると共に、高融点のランダム共重合体成分により、積層体(10)を成形してなる容器(2)のフランジ(23)に蓋(3)をヒートシールする際(図2参照)に第2外側樹脂フィルム層(12B)が潰れ難くなり、より十分な容器(2)の形状保持性を確保することができる。
また、第2外側樹脂フィルム層(12B)は、海島構造の形態になっていない構成であるのが好ましい。このような構成とすれば、積層体(10)を深絞り成形して、成形容器(2)を形成する際に、第2外側樹脂フィルム層(12B)においてオレフィン樹脂相とエラストマー相との界面にボイド(空間)が生じるのを十分に抑制することができる利点がある。特に、第2外側樹脂フィルム層(12B)が、金属箔層(11)に隣接する位置に配置されている場合には、前記効果が顕著なものとなる。
外側樹脂フィルム層(12):(12A)(12B)を構成するフィルムは、多層押出成形、インフレーション成形、Tダイキャストフィルム成形等の成形法により製造されるのが好ましい。
外側樹脂フィルム層(12):(12A)(12B)の厚さ(2層以上の場合は合計厚さ)は、20~80μmに設定されるのが好ましい。上記厚さを20μm以上とすることで、ピンホールの発生を十分に防止することができ、また、上記厚さを80μm以下に設定することで、樹脂使用量が低減され、コスト低減を図ることができる。より好ましくは、外側樹脂フィルム層(12),(12A)(12B)の厚さは、30~50μmに設定される。
外側樹脂フィルム層が、第1外側樹脂フィルム層(12A)および第2外側樹脂フィルム層(12B)からなる2層構造である場合(図1(b)参照)において、第1外側樹脂フィルム層(12A)の厚さと第2外側樹脂フィルム層(12B)の厚さとの比は、9:1~4:6の範囲であるのが好ましい。第1外側樹脂フィルム層(12A)の厚さの比が9を超えると、両層(12A)(12B)間のラミネート強度が低下して剥離が生じるおそれがある。一方、第1外側樹脂フィルム層(12A)の厚さの比が4未満であると、マット調の外表面層が得られないおそれがある。
単層の外側樹脂フィルム層(12)または2層のうち内側に位置する第2外側樹脂フィルム層(12B)を構成するフィルムを、金属箔層(11)を構成する金属箔に積層する手法としては、特に限定されるものではないが、ドライラミネート法、サンドイッチラミネート法(酸変性ポリプロピレン樹脂等よりなる接着フィルムを押し出し、これを金属箔と前記フィルムとの間にサンドラミネートした後、熱ロールでヒートラミネートする方法)等が挙げられる。ドライラミネート法の場合、例えば、二液硬化型のポリエステル-ポリウレタン樹脂系接着剤やポリエーテル-ポリウレタン樹脂系接着剤等よりなる接着剤層(14)を介して行われる(図1参照)。接着剤層(14)の厚さは、1~5μmに設定されるのが好ましく、より好ましくは、成形容器用積層体(10)の薄膜化や軽量化の観点から1~3μmに設定される。
外側樹脂フィルム層(12)または第2外側樹脂フィルム層(12B)の内表面には、グラビア印刷等によって、印刷層(15)が全面的または部分的に形成されている。この印刷層(15)により、成形容器(2)の外表面に、所定の表示または装飾が表れる。印刷層(15)は、特に限定されないが、マット調の外表面(12a)を強調して高級感を持たせる意味では、地色を黒等の濃色とするのが好ましい。
なお、印刷層(15)に代えて、外側樹脂フィルム層(12),(12A)(12B)に顔料等の着色成分を添加してもよい。
内側樹脂層(13)は、成形容器(2)の内面(フランジ部(23)の上面を含む)を構成するものであって、例えば、熱融着性を有するポリプロピレン樹脂(PP)フィルムやポリエチレン樹脂(PE)フィルム等の汎用性フィルム、または、これらを貼り合わせた複合シートによって構成される。
内側樹脂層(13)を構成するフィルムまたは複合シートの厚さは、100~500μmとするのが好ましく、200~400μmがより好ましい。
金属箔層(11)を構成する金属箔と、内側樹脂層(13)を構成するフィルムまたは複合シートとの積層は、例えば、接着剤層(16)を介してドライラミネート法により行われる。接着剤層(16)には、例えば、二液硬化型のポリエステル-ポリウレタン樹脂系接着剤やポリエーテル-ポリウレタン樹脂系接着剤が用いられる。接着剤層(16)の厚さは、1~5μmに設定されるのが好ましく、より好ましくは、成形容器用積層体(10)の薄膜化や軽量化の観点から1~3μmに設定される。
また、内側樹脂層(13)は、上記フィルムまたは複合シートに代えて、エポキシ樹脂やシェラック樹脂等のコート層により形成されていてもよい。
図2は、上記積層体(10)から成形された成形容器(2)と、蓋(3)とを用いて、食品等の内容物(C)を密封包装してなる包装体(4)の製造方法を工程順に示したものである。
まず、上記の積層体(10)を所定の形状および寸法にカットして、これをカップ状に成形する。積層体(10)の成形は、深絞り成形や張出し成形等の冷間成形により行われる。こうして、図2(a)に示すような成形容器(2)が得られる。
成形容器(2)は、底壁(21)と、底壁(21)の周縁から立ち上がった周壁(22)と、周壁(22)の上端縁から径方向外方にのびた水平環状のフランジ(23)とを備えている。
成形容器(2)の形状としては、円形、楕円形、長円形、略正方形、略長方形等の横断面を有し、上方に向かうにつれて次第に径が大きくなるテーパ筒状のものや、垂直筒状のもの等が挙げられる。
また、成形容器(2)の深さは、通常15~50mmとなされる。
上記の積層体(10)から形成された成形容器(2)の外表面には、白化はほとんど見られない。これは、積層体(10)の外表面層(120)を構成する外側樹脂フィルム層(12)または第1外側樹脂フィルム層(12A)の樹脂組成を前述の通りとすることで、成形時の応力によってオレフィン系樹脂相とエラストマー成分との界面が剥離してボイド(空隙)が発生するのが効果的に抑制されるからである。
次いで、図2(b)に示すように、成形容器(2)に食品等の内容物(C)を充填した後、成形容器(2)のフランジ(23)の上面に、蓋(3)の下面の周縁部をヒートシール(熱融着)する。
ここで、蓋(3)としては、例えば、アルミニウム箔等よりなる金属箔層と、ポリプロピレン樹脂(PP)フィルムやポリエチレン樹脂(PE)フィルム等よりなりかつ金属箔層の下面に積層されている熱融着性樹脂フィルム層と、ポリエステル樹脂(PEs)フィルムやポリアミド樹脂(PA)フィルム等よりなりかつ金属箔層の上面に積層されている外側樹脂フィルム層とを備えたものが用いられる。また、蓋(3)には、その外周縁の一部に、成形容器(2)のフランジ(23)よりも外方に突出するように、開封用タブ(31)が一体に形成されている(図3参照)。
成形容器(2)のフランジ(23)に蓋(3)をヒートシール(熱融着)する手段は、特に限定されないが、例えばフランジ(23)の上面に蓋(3)の下面周縁部を重ね合わせ、これら重合部分を、所定温度(例えば180℃程度)に加熱された熱板によって、所定圧力を加えながら所定時間加熱することにより行われる。
次いで、上記工程で得られた包装体(4)を、レトルト殺菌装置(5)内に導入し、レトルト殺菌処理を行う。
このレトルト殺菌処理工程は、成形容器(2)の外表面の一部に生じた白化を消失させるための加熱処理工程を兼ねることができる。すなわち、この発明による積層体(10)をカップ状に成形してなる成形容器(2)では、前述した通り、積層体(10)の外表面層(120)の特有の樹脂組成によって、外表面に白化が生じるのが抑制されているが、万が一、外表面の一部、特に、成形による変形の度合いが大きい底壁と周壁との境界のコーナー部分等において、オレフィン系樹脂のマトリックスとオレフィン系エラストマーとの界面に生成したボイド(空隙)により、僅かな白化が生じた場合であっても、この加熱処理を行うことによって白化を完全に消失させることができる。
この工程における包装体(4)の加熱温度は、積層体(10)の外表面層(120)、すなわち、単層の外側樹脂フィルム層(12)または複数層の外側樹脂フィルム層のうち最外層のもの(図1(b)の場合、第1外側樹脂フィルム層(12A))の樹脂の軟化点以上の温度とする。より好ましくは、加熱温度は、前記樹脂の軟化点以上かつ融解点未満の温度とする。加熱温度を前記樹脂の軟化点以上の温度とすることで、成形による積層体(10)のひずみが緩和されて、ボイドが埋まりやすくなる。また、加熱温度を前記樹脂の融解点未満の温度とすることで、加熱後も成形容器(2)の形状を保つことができる。具体的には、約80℃以上、好ましくは約100~180℃となされる。加熱時間は、5分~3時間程度となされる。
なお、加熱処理工程は、レトルト殺菌処理によるもの以外でも勿論よく、例えば、オーブンによる加熱処理や、温水への浸漬処理等によっても行うことができる。レトルト殺菌処理以外の加熱処理の場合、包装体(4)となされる前の工程において、成形容器(2)のみを加熱処理するようにしてもよい。
図3は、レトルト殺菌処理後の包装体(4)を示すものである。
図示の包装体(4)は、成形による白化が見られず、全体の外観が良好なマット調の外表面を有する成形容器(2)を備えたものであって、需要者に対して高級感をもたらしうるものである。
次に、この発明の実施例について説明する。但し、この発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
金属箔層として、JIS H4160で分類されたA8021H-Oよりなり、両面にポリアクリル酸、三価クロム化合物、水およびアルコールからなる化成処理液を塗布し、180℃で乾燥を行って、片面当たりクロム付着量が5mg/mの化成処理皮膜を形成した、厚さ120μmのアルミニウム箔を用意した。
外側樹脂フィルム層として、厚さ30μmの2層構造の無延伸ポリプロピレン樹脂フィルム(CPP)を用意した。同フィルムは、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP1)として、融点が163℃でありかつ結晶融解エネルギーが58J/gであるエチレンとプロピレンを共重合したエチレン-プロピレンエラストマー変性ホモポリプロピレン樹脂94質量%、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP2)として、融点が144℃でありかつ結晶融解エネルギーが19J/gであるエチレンとプロピレンを共重合したエチレン-プロピレンエラストマー変性ランダム共重合体1質量%、オレフィン系エラストマーとして、エチレン-1-ブテンエラストマー(EBR)5重量%の樹脂組成物からなり、外表面層を構成する厚さ27μmの第1樹脂フィルム層と、エチレン-プロピレンランダム共重合体(R-PP、融点155℃)からなる厚さ3μmの第2樹脂フィルム層とが形成されるように、Tダイを用いて共押出することにより形成したものである。また、第1樹脂フィルム層には、エルカ酸アミド1500ppm、およびシリカ5000ppmを添加した。
ここで、上記各樹脂の融点(Tmp)および結晶融解エネルギー(△H)は、下記の測定条件で測定されたものである。
・昇降温スピード:23℃から210℃までの間を10℃/分の昇降温速度
・サンプル料:5mgを調量
・容器:アルミニウムパンを使用
・装置:島津製作所製「DSC-60A」
次に、無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの両面のうち第2樹脂フィルム層側の面の全体に、グラビア印刷機を用いて、黒色インキ(DICグラフィックス社製、品名:パナシアCVL-SP特墨805)による無地の印刷層を形成した。
また、内側樹脂層として、厚さ300μmの高密度ポリエチレン樹脂フィルム(HDPE)とポリプロピレン樹脂フィルム(PP)の複合シート(層比:50μm/250μm)を用意した。
そして、アルミニウム箔の片面に、無延伸ポリプロピレン樹脂フィルム(CPP)を、印刷層が内側となるように、二液硬化型のポリエステル-ポリウレタン樹脂系接着剤を用いてドライラミネートするとともに、アルミニウム箔の他面に、前記複合シートを、高密度ポリエチレン樹脂フィルム側が内側となるように、二液硬化型のポリエステル-ポリウレタン樹脂系接着剤を用いてドライラミネートし、40℃の環境下で5日間養生することにより、実施例1の成形容器用積層体を作製した。
実施例1の積層体について、外表面層の表面の光沢度(グロス値)を、光沢度測定器(BYKガードナー社製 マイクロトリグロスS)により測定したところ(以下の実施例および比較例も同様)、28%であった。
<実施例2>
外表面層を構成する第1樹脂フィルム層の樹脂組成を、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP1)として、融点が163℃でありかつ結晶融解エネルギーが58J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ホモポリプロピレン樹脂85質量%、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP2)として、融点が144℃でありかつ結晶融解エネルギーが19J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ランダム共重合体10質量%、オレフィン系エラストマーとして、エチレン-1-ブテンエラストマー(EBR)5重量%とした以外は、実施例1と同様にして、成形容器用積層体を作製し、これを実施例2とした。
実施例2の積層体において、外表面層の表面の光沢度は、12%であった。
<実施例3>
外表面層を構成する第1樹脂フィルム層の樹脂組成を、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP1)として、融点が155℃でありかつ結晶融解エネルギーが51J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ランダム共重合体80質量%、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP2)として、融点が144℃でありかつ結晶融解エネルギーが19J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ランダム共重合体10質量%、オレフィン系エラストマーとして、エチレン-1-ブテンエラストマー(EBR)10重量%とした以外は、実施例1と同様にして、成形容器用積層体を作製し、これを実施例3とした。
実施例3の積層体において、外表面層の表面の光沢度は、8%であった。
<実施例4>
外表面層を構成する第1樹脂フィルム層の樹脂組成を、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP1)として、融点が163℃でありかつ結晶融解エネルギーが58J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ホモポリプロピレン樹脂75質量%、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP2)として、融点が136℃でありかつ結晶融解エネルギーが18J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ランダム共重合体10質量%、オレフィン系エラストマーとして、エチレン-1-ブテンエラストマー(EBR)15重量%とした以外は、実施例1と同様にして、成形容器用積層体を作製し、これを実施例4とした。
実施例4の積層体において、外表面層の表面の光沢度は、9%であった。
<実施例5>
外表面層を構成する第1樹脂フィルム層の樹脂組成を、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP1)として、融点が163℃でありかつ結晶融解エネルギーが58J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ホモポリプロピレン樹脂70質量%、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP2)として、融点が144℃でありかつ結晶融解エネルギーが19J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ランダム共重合体20質量%、オレフィン系エラストマーとして、エチレン-1-ブテンエラストマー(EBR)10重量%とした以外は、実施例1と同様にして、成形容器用積層体を作製し、これを実施例5とした。
実施例5の積層体において、外表面層の表面の光沢度は、7%であった。
<実施例6>
外表面層を構成する第1樹脂フィルム層の樹脂組成を、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP1)として、融点が163℃でありかつ結晶融解エネルギーが58J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ホモポリプロピレン樹脂60質量%、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP2)として、融点が144℃でありかつ結晶融解エネルギーが19J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ランダム共重合体30質量%、オレフィン系エラストマーとして、エチレン-プロピレンエラストマー(EPR)10重量%とした以外は、実施例1と同様にして、成形容器用積層体を作製し、これを実施例6とした。
実施例6の積層体において、外表面層の表面の光沢度は、4%であった。
<実施例7>
外表面層を構成する第1樹脂フィルム層の樹脂組成を、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP1)として、融点が166℃でありかつ結晶融解エネルギーが65J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ホモポリプロピレン樹脂65質量%、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP2)として、融点が144℃でありかつ結晶融解エネルギーが19J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ランダム共重合体20質量%、オレフィン系エラストマーとして、エチレン-プロピレンエラストマー(EPR)15重量%とした以外は、実施例1と同様にして、成形容器用積層体を作製し、これを実施例7とした。
実施例7の積層体において、外表面層の表面の光沢度は、5%であった。
<実施例8>
外表面層を構成する第1樹脂フィルム層の樹脂組成を、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP1)として、融点が166℃でありかつ結晶融解エネルギーが65J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ホモポリプロピレン樹脂60質量%、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP2)として、融点が144℃でありかつ結晶融解エネルギーが19J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ランダム共重合体30質量%、オレフィン系エラストマーとして、エチレン-プロピレンエラストマー(EPR)10重量%とした以外は、実施例1と同様にして、成形容器用積層体を作製し、これを実施例8とした。
実施例8の積層体において、外表面層の表面の光沢度は、4%であった。
<実施例9>
外側樹脂フィルム層として、厚さ30μmの単層構造の無延伸ポリプロピレン樹脂フィルム(CPP)を用意した。同フィルムは、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP1)として、融点が163℃でありかつ結晶融解エネルギーが58J/gであるエチレンとプロピレンを共重合したエチレン-プロピレンエラストマー変性ホモポリプロピレン樹脂94質量%、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP2)として、融点が144℃でありかつ結晶融解エネルギーが19J/gであるエチレンとプロピレンを共重合したエチレン-プロピレンエラストマー変性ランダム共重合体1質量%、オレフィン系エラストマーとして、エチレン-1-ブテンエラストマー(EBR)5重量%の樹脂組成物からなり、Tダイを用いて押出成形したものである。また、上記外側樹脂フィルム層には、エルカ酸アミド1500ppm、およびシリカ5000ppmを添加した。
そして、上記以外は、実施例1と同様にして、成形容器用積層体を作製し、これを実施例9とした。
実施例9の積層体において、外表面層の表面の光沢度は、28%であった。
<比較例1>
外側樹脂フィルム層として、ランダムポリプロピレン樹脂(R-PP)フィルム(=外表面層、融点155℃、結晶融解エネルギーが57J/g)、融点が163℃でありかつ結晶融解エネルギーが58J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ホモポリプロピレン樹脂(B-PP)フィルム、およびランダムポリプロピレン樹脂(R-PP)フィルム(融点155℃、結晶融解エネルギーが57J/g)をこの順番で積層してなる厚さ30μmの3層構造の無延伸ポリプロピレン樹脂フィルム(CPP)を使用した以外は、実施例1と同様にして、成形容器用積層体を作製し、これを比較例1とした。
比較例1の積層体において、外表面層の表面の光沢度は、102%であった。
<比較例2>
外表面層を構成する外側樹脂フィルム層を、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP1)として、融点が163℃でありかつ結晶融解エネルギーが58J/gであるエチレンとプロピレンを共重合したエチレン-プロピレンエラストマー変性ホモポリプロピレン樹脂90質量%、オレフィン系エラストマーとして、エチレン-1-ブテン共重合体(EBR)10質量%の樹脂組成物からなるものとした以外は、実施例1と同様にして、成形容器用積層体を作製し、これを比較例2とした。
比較例2の積層体において、外表面層の表面の光沢度は、10%であった。
<比較例3>
外表面層を構成する第1樹脂フィルム層を、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP2)として、融点が144℃でありかつ結晶融解エネルギーが19J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ランダム共重合体90重量%、オレフィン系エラストマーとして、エチレン-プロピレンエラストマー(EPR)10重量%の樹脂組成物からなるものとした以外は、実施例1と同様にして、成形容器用積層体を作製し、これを比較例3とした。
比較例3の積層体において、外表面層の表面の光沢度は、22%であった。
<比較例4>
外表面層を構成する第1樹脂フィルム層を、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP1)として、融点が163℃でありかつ結晶融解エネルギーが58J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ホモポリプロピレン樹脂100質量%からなるものとした以外は、実施例1と同様にして、成形容器用積層体を作製し、これを比較例4とした。
比較例4の積層体において、外表面層の表面の光沢度は、72%であった。
<比較例5>
外表面層を構成する第1樹脂フィルム層の樹脂組成を、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP1)として、融点が145℃でありかつ結晶融解エネルギーが50J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ランダム共重合体80質量%、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP2)として、融点が144℃でありかつ結晶融解エネルギーが19J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ランダム共重合体10質量%、オレフィン系エラストマーとして、エチレン-プロピレンエラストマー(EPR)10重量%とした以外は、実施例1と同様にして、成形容器用積層体を作製し、これを比較例5とした。
比較例5の積層体において、外表面層の表面の光沢度は、19%であった。
<比較例6>
外表面層を構成する第1樹脂フィルム層の樹脂組成を、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP1)として、融点が163℃でありかつ結晶融解エネルギーが58J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ホモポリプロピレン樹脂80質量%、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP2)として、融点が130℃でありかつ結晶融解エネルギーが14J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ランダム共重合体10質量%、オレフィン系エラストマーとして、エチレン-プロピレンエラストマー(EPR)10重量%とした以外は、実施例1と同様にして、成形容器用積層体を作製し、これを比較例6とした。
比較例6の積層体において、外表面層の表面の光沢度は、13%であった。
<比較例7>
外表面層を構成する第1樹脂フィルム層の樹脂組成を、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP1)として、融点が155℃でありかつ結晶融解エネルギーが49J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ランダム共重合体75質量%、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP2)として、融点が144℃でありかつ結晶融解エネルギーが19J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ランダム共重合体10質量%、オレフィン系エラストマーとして、エチレン-プロピレンエラストマー(EPR)15重量%とした以外は、実施例1と同様にして、成形容器用積層体を作製し、これを比較例7とした。
比較例7の積層体において、外表面層の表面の光沢度は、12%であった。
<比較例8>
外表面層を構成する第1樹脂フィルム層の樹脂組成を、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP1)として、融点が163℃でありかつ結晶融解エネルギーが58J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ホモポリプロピレン樹脂80質量%、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP2)として、融点が158℃でありかつ結晶融解エネルギーが44J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ランダム共重合体10質量%、オレフィン系エラストマーとして、エチレン-プロピレンエラストマー(EPR)10重量%とした以外は、実施例1と同様にして、成形容器用積層体を作製し、これを比較例8とした。
比較例8の積層体において、外表面層の表面の光沢度は、15%であった。
<比較例9>
外表面層を構成する第1樹脂フィルム層の樹脂組成を、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP1)として、融点が163℃でありかつ結晶融解エネルギーが58J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー変性ホモポリプロピレン樹脂90質量%、オレフィン系エラストマーとして、融点が40~70℃でありかつ結晶融解エネルギーが15J/gであるエチレン-プロピレンエラストマー(EPR)10重量%とした以外は、実施例1と同様にして、成形容器用積層体を作製し、これを比較例9とした。
比較例9の積層体において、外表面層の表面の光沢度は、15%であった。
[容器の作製]
次に、実施例1~9および比較例1~9の成形容器用積層体をそれぞれ所定の形状およびサイズにカットしてブランクを作製し、各ブランクの両面に微量のシロキサンを塗布しておいてから、雄型および雌型からなる金型(株式会社アマダ製)を用いて深絞り加工することにより、フランジを有する丸型カップ状の容器(底径52mmφ、開口径65mmφ、高さ30mm、フランジ幅8mm)を作製した。
[蓋の作製]
一方、JIS H4160で分類されたA1N30H-Oよりなる厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に、外側樹脂層として厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)フィルムを、二液硬化型のポリエステル-ポリウレタン樹脂系接着剤を用いてドライラミネートするとともに、アルミニウム箔の他面に、熱融着性樹脂層として厚さ30μmの直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)フィルムを二液硬化型のポリエステル-ポリウレタン樹脂系接着剤を用いてドライラミネートし、40℃の環境下で5日間養生することにより、蓋用積層体を作製した。
得られた積層体をフランジに合わせて所要の形状およびサイズにカットすることにより、開封用タブ付きの蓋を作製した。
[包装体の作製]
上記の各容器に70mlの水を入れてから、容器のフランジ上面に、上記蓋を無延伸ポリプロピレン樹脂フィルム(CPP)面が接するように重ね、これらの重合面に、200℃に加熱したドーナツ状の熱板(外径90mmφ、内径74mmφ)を、150kgfの加圧力で3秒間押し当てることにより、ヒートシール(熱融着)を行った。
こうして、包装体を得た。
[包装体の外観の検証]
得られた各包装体の容器を目視で観察することにより、その外表面に白化が生じているか否か、およびフランジの外表面層に潰れが生じているか否かを検証した。検証結果を、各容器の成形材料である積層体の外表面層の組成および光沢度と共に、以下の表1に示す。
なお、表1の「容器の外表面の白化」の欄において、容器の外表面に白化が認められないかまたは白化が殆どなかったものを「◎」、白化が少なかったものを「○」、白化がある程度生じていたものを「△」、白化が顕著に生じていたものを「×」とした。また、表1の「フランジの潰れ」の欄において、容器のフランジの外表面層に、蓋のヒートシールに伴い潰れの発生が認められないものを「◎」、潰れが殆どなかったものを「〇」、潰れがある程度生じていたものを「△」、潰れが顕著に生じていたものを「×」とした。また、表1において、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂を「B-PP1」、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂を「B-PP2」と表示した。
Figure 0007291494000001
表1から明らかなように、実施例1~9の積層体は、光沢度が低く、成形時の白化現象が改善されていることが判る。また、実施例1~9の場合、蓋をヒートシールした後の容器のフランジの外表面層に潰れが生じていなかった。
一方、比較例1、4は、外表面層の組成が本発明とは異なるため、光沢度が十分下がらず、マット調の積層体が得られなかった。
比較例2、6、8、9の積層体は、光沢度が十分低下したが、成形後の容器の底のR部に強い白化現象が認められた。
比較例3、5、7の積層体は、成形による白化は抑えられたものの、蓋をヒートシールした後の容器のフランジの外表面層が潰れており、形状保持性が不十分であった。
以上の検証結果から見て、容器のフランジの外表面層の潰れについては、樹脂成分の融点および結晶融解エネルギーの双方の影響を受けると考えられ、融点(B-PP1およびB-PP2を含有する場合は高い方の融点)が155℃以上であり、かつ結晶融解エネルギー(B-PP1およびB-PP2を含有する場合は両者の結晶融解エネルギーを含有量比で加重平均した値)が40J/g以上(より好ましくは50J/g以上)である場合に、潰れが生じ難いことがわかる。
この発明は、食品等を密封包装するためのものであって外観が良好なマット調の外表面を有する成形容器およびその成形材料とされる積層体について、好適に使用することができる。
(2):成形容器
(23):フランジ
(3):蓋
(4):包装体
(5):レトルト殺菌処理装置
(10):成形容器用積層体
(11):金属箔層
(12):外側樹脂フィルム層
(12A):第1外側樹脂フィルム層
(12B):第2外側樹脂フィルム層
(120):外表面層
(120a):外表面層の表面
(15):印刷層
(C):内容物

Claims (12)

  1. 金属箔層と、前記金属箔層の両面のうち容器の外側となる面に積層されてマット調の外表面層を構成している外側樹脂フィルム層とを備えている成形容器用積層体であって、
    前記外側樹脂フィルム層が、融点が155℃以上でありかつ結晶融解エネルギーが50J/g以上である第1エラストマー変性オレフィン系樹脂と、融点が135℃以上でありかつ結晶融解エネルギーが30J/g以下である第2エラストマー変性オレフィン系樹脂と、オレフィン系エラストマーとを含む樹脂組成物からなり
    前記第1エラストマー変性オレフィン系樹脂および前記第2エラストマー変性オレフィン系樹脂は、それぞれ、エラストマー変性ホモポリプロピレン樹脂および/またはエラストマー変性ランダム共重合体からなり、
    前記エラストマー変性ランダム共重合体は、共重合成分の1つとしてプロピレンを含有するランダム共重合体のエラストマー変性体であり、
    前記外側樹脂フィルム層において、前記第1エラストマー変性オレフィン系樹脂の含有率と前記第2エラストマー変性オレフィン系樹脂の含有率との合計値が50質量%以上であるとともに、前記オレフィン系エラストマーの含有率が1~30質量%である、成形容器用積層体。
  2. 前記外側樹脂フィルム層において、前記第2エラストマー変性オレフィン系樹脂の含有率が1~50質量%である、請求項1に記載の成形容器用積層体。
  3. 前記外側樹脂フィルム層において、前記第1エラストマー変性オレフィン系樹脂の含有率が49~98質量%である、請求項1または2に記載の成形容器用積層体。
  4. 前記外側樹脂フィルム層の表面の光沢度が0.5~12%である、請求項1~のいずれか1つに記載の成形容器用積層体。
  5. 前記第1エラストマー変性オレフィン系樹脂および前記第2エラストマー変性オレフィン系樹脂のエラストマー成分が、それぞれ、エチレン-プロピレンエラストマー、エチレン-1-ブテンエラストマー、エチレン-プロピレン-1-ブテンエラストマーのうち少なくともいずれか1つである、請求項1~のいずれか1つに記載の成形容器用積層体。
  6. 前記オレフィン系エラストマーが、エチレン-プロピレンエラストマー、エチレン-1-ブテンエラストマー、エチレン-プロピレン-1-ブテンエラストマーのうち少なくともいずれか1つである、請求項1~のいずれか1つに記載の成形容器用積層体。
  7. 前記外側樹脂フィルム層は、さらに、無機系微粒子、有機系微粒子およびスリップ剤のうち少なくともいずれか1つを含んでいる、請求項1~のいずれか1つに記載の成形容器用積層体。
  8. 前記第2エラストマー変性オレフィン系樹脂は、示差走査熱量測定グラフにおいて2つ以上の結晶化ピークを有するものである、請求項1~のいずれか1つに記載の成形容器用積層体。
  9. 前記金属箔層の両面のうち容器の外側となる面に複数層の外側樹脂フィルム層が積層されており、前記複数層の外側樹脂フィルム層のうち最も外側のものによって、前記外表面層が構成されている、請求項1~のいずれか1つに記載の成形容器用積層体。
  10. 前記金属箔層と前記外側樹脂フィルム層との間に印刷層が形成されるか、または、前記外側樹脂フィルム層に着色成分が添加されることによって、前記外側樹脂フィルム層の表面に所定の表示または装飾が表れている、請求項1~のいずれか1つに記載の成形容器用積層体。
  11. 請求項1~10のいずれか1つに記載の成形容器用積層体をカップ状に成形してなり、開口周縁にフランジを有している、成形容器。
  12. 内容物が充填された請求項11記載の成形容器のフランジに、成形容器の開口を覆うように蓋が接合されてなる、包装体。
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