JP7286953B2 - 積層体、包装体及び包装物品 - Google Patents

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Description

本発明は、積層体、包装体及び包装物品に関する。
包装された内容物の酸化劣化を防ぐには、包装内の酸素を除去すること及び包装外の酸素が内部に侵入しないよう遮断することが有効である。ところが、一般的には大気中で包装作業を行うことになるため、包装内に酸素を含んだ状態で包装される。
包装内に酸素が残らないように包装する手段として、脱気包装、真空包装、ガス置換包装などの手段を用いることがある。しかし、このような特別の包装手段を用いる場合、特別な充填包装設備を用意する必要があり、高額な設備費用が生じる、あるいは充填包装速度が上がらず、生産効率が低下するといった不利益がある。また、上記のような手段で包装時に酸素が残らないように包装したとしても、包装後に包装材を通して外部の酸素が侵入してしまえば、酸素を遮断したことにならない。
そこで、酸素吸収性を有する薬剤を包装内に同封することで、包装内に残った酸素及び包装後に浸入してくる酸素を除去する手段が用いられる場合がある。この方法では、一定期間、すなわち酸素吸収薬剤の能力が維持される期間内では酸素を除去及び遮断することが可能であり、非常に有効な手段である。しかし、この手段を用いる場合、酸素吸収薬剤が入った小袋、いわゆる脱酸素剤を、内容物とは別に充填する必要があり、その手間が問題となる。
この欠点も解消して、一定期間包装内の酸素を除去及び遮断する手段として、包装材を構成するフィルム自体に酸素吸収性能を持たせる手段が考案され、一部実用化もされている。
酸素吸収性能を有する包装材は、現状では食品包装分野で用いられるケースが多い。特にレトルト食品(高温高圧殺菌食品)などの長期保存食品や、カビの発生しやすい高水分含有食品の包装に用いられることが多い。
レトルト食品などの長期保存食品は、包装形態が缶詰及び瓶詰めの場合には、外からの酸素の透過はほとんどないため、充填包装時の酸素の残存のみ注意すればよく、真空包装や窒素ガス置換包装が用いられている。しかしながら、近年輸送コストや容器の廃棄処理の問題などから、缶や瓶の使用は減少し、一方で、包装材の一部に酸素吸収フィルムを設けたレトルトパウチ包装材の形態が主流となっている。
酸素吸収性を有する包装材は、酸素バリア基材層、酸素吸収層、及びシーラント層を主たる構成要素として含み、酸素バリア性、酸素吸収性、及びヒートシール性といった機能を併せ持つ。酸素バリア基材層としては、アルミ箔やアルミ蒸着層を有するアルミ基材や、透明性を有する酸素バリア基材である無機酸化物蒸着フィルムなどが用いられる。
酸素吸収層には、ベース樹脂やバインダーに、主剤として酸素吸収物質、助剤としてアルカリ物質及び酸化反応触媒などが添加される。現在実用化されている酸素吸収包装材では、通常、鉄系の酸素吸収物質が添加されている。鉄系の酸素吸収物質が使用されるのは、その酸素吸収能力の高さと安全性の点で優れているからである。
しかし、食品を充填包装した後、金属などの異物混入の有無を検査するために、金属探知機を用いる場合が増えており、その場合鉄系の酸素吸収物質を添加した酸素吸収包装材を使用することはできない。この問題に対処するために、有機系の酸素吸収物質を用いた酸素吸収包装材の開発が進められている。
有機系の酸素吸収物質として、アスコルビン酸類、グルコース等の還元糖類、グリセリン等の多価アルコール類、カテコールなどのフェノール類、ヒドロキシ安息香酸などのフェノールカルボン酸類などがある。これら有機系の物質は、脱酸素剤の酸素吸収物質として長い間検討されてきた物質であり、コストも安価で安全である。
例えば、酸素吸収物質としてフェノールカルボン酸類の中でも没食子酸(3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸)を使用した酸素吸収包装材として、特許文献1には、熱可塑性樹脂中に没食子酸、アルカリ物質、酸化反応触媒を添加してなる樹脂組成物から形成された酸素吸収フィルムが開示されている。また、特許文献2には、基材、没食子酸含有層、アルカリ物質含有層及びシーラント層がこの順で積層されてなる酸素吸収フィルムが開示されている。
特開2011-92921号公報 特開平10-138410号公報
本発明者らは、酸素バリア基材フィルム上に、没食子酸などの有機系の酸素吸収物質を配合した酸素吸収層を形成し、これにシーラント層を積層して酸素吸収フィルムを作製し、鋭意研究を重ねた。その結果、このような構成の酸素吸収フィルムは、酸素吸収性能には優れるものの、ラミネート強度は必ずしも十分でなく、特に基材と酸素吸収層との間でデラミネーションを発生しやすいことがわかった。
酸素吸収物質を含有する上記酸素吸収層の形成においては、膜形成を担うベースとなるバインダー塗液として、一般的なポリエステル系の2液硬化型の塗工液を用いた。この塗工液は、没食子酸などの酸素吸収物質を含有しない場合には、基材との十分なラミネート強度を有する酸素吸収層を形成することが可能なバインダー塗液であった。
従って、塗工液に没食子酸などの酸素吸収物質を添加したことで、ラミネート強度が低下したことは明らかである。また、没食子酸などの酸素吸収物質の添加量を減らせば、ラミネート強度は改善することも確認できているが、それでは酸素吸収性能が低下してしまう。したがって、ラミネート強度を維持しつつ、酸素吸収性能を向上させることが可能な技術が求められる。
そこで、本発明は、包装材として実用化するのに十分なラミネート強度を維持しつつ、より優れた酸素吸収性能を発揮できる積層体、それを含む包装体及び包装物品を提供することを課題とする。
本発明の第1側面によると、2層以上からなる第1の最外層と、2層以上からなる中間層と、単層又は2層以上からなる第2の最外層とをこの順序で備える積層体であり、上記第1の最外層は、一方の主面が上記積層体の最表面を構成する基材と、上記中間層に隣接する金属含有層とを含み、上記中間層は、酸素吸収物質を含有する酸素吸収層を含み、且つ、上記金属含有層に隣接する層にシランカップリング剤を含有する積層体が提供される。
一形態において、上記金属含有層に隣接するシランカップリング剤を含有する層は、上記酸素吸収層であってよい。
他の形態において、上記金属含有層は、蒸着層又はアルミ箔であってよい。
他の形態において、上記第1の最外層は、上記基材と、蒸着層又はアルミ箔と、オーバーコート層とをこの順序で備え、上記金属含有層は上記オーバーコート層であってよい。
他の形態において、上記オーバーコート層はシランカップリング剤を更に含有してよい。
他の形態において、上記中間層は上記金属含有層と上記酸素吸収層との間にアンカーコート層を含み、上記金属含有層に隣接するシランカップリング剤を含有する層が上記アンカーコート層であってよい。
他の形態において、上記金属含有層は、金属を含有するオーバーコート層、金属を含有する蒸着層又はアルミ箔であってよい。
他の形態において、上記酸素吸収層はシランカップリング剤を更に含有してよい。
他の形態において、上記積層体は、上記酸素吸収物質を上記酸素吸収層の全質量に対し20質量%以上含有してよい。
他の形態において、シランカップリング剤を含有する上記層の少なくとも1層は、ポリオール系化合物とイソシアネート系化合物との反応物であるポリウレタン系樹脂を含有し、上記シランカップリング剤としてイソシアネート系官能基を有する化合物を含有してよい。
他の形態において、上記積層体は、上記酸素吸収物質として、没食子酸及び没食子酸エステルから選択される少なくとも一種を含有してよい。
他の形態において、上記積層体は、上記酸素吸収層と上記第2の最外層との間に、アルカリ物質含有層を更に備えてよい。
他の形態において、上記酸素吸収層はアルカリ物質を更に含有してよい。
他の形態において、上記積層体は、上記アルカリ物質として、炭酸ナトリウムを少なくとも含有してよい。
他の形態において、上記第2の最外層はシーラント層を含んでよい。
本発明の第2側面によると、上記積層体を含む包装体が提要される。
本発明の第3側面によると、上記包装体と、これに収容された内容物とを含んだ包装物品が提供される。
本発明によると、包装材として実用化するのに十分なラミネート強度を維持しつつ、より優れた酸素吸収性能を発揮できる包装材となり得る積層体、それを含む包装体及び包装物品が提供される。
本発明の一実施形態に係る積層体を概略的に示す断面図。 本発明の他の実施形態に係る積層体を概略的に示す断面図。
本実施形態に係る積層体は、酸素吸収フィルムとしてシート状で使用してもよいし、包装材として例えば袋状体にして使用してもよく、例えば、食品、薬剤、医薬品、化粧品、電子部品等に好適に用いられる。
<積層体>
以下に、本実施形態に係る積層体について、図面を参照しながら説明する。なお、同様又は類似した機能を有する要素については、同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施形態に係る積層体は、第1の最外層に含まれる層であって、中間層に隣接する層が金属含有層であり、この金属含有層に隣接する中間層がシランカップリング剤を含有する。代表的な構成例を図1及び図2に示す。
図1は、第一の実施形態に係る積層体1を概略的に示す断面図であり、金属含有層であるオーバーコート層10cに隣接する酸素吸収層22がシランカップリング剤を含有する形態を示す。すなわち、この積層体1は、第1の最外層10と中間層20と第2の最外層30とを備えている。第1の最外層10は、基材10aと、蒸着層又はアルミ箔10bと、オーバーコート層10cとを備えている。オーバーコート層10cは、金属を含有する金属含有層である。中間層20は、酸素吸収層22と、アルカリ物質含有層23とを備えている。中間層20において、金属含有層であるオーバーコート層10cに隣接する酸素吸収層22は、シランカップリング剤を含有している。
第一の実施形態に係る積層体1は、好ましい変形例として、シランカップリング剤含有層である酸素吸収層22に加え、更にオーバーコート層10cにシランカップリング剤を含有してもよい。
図2は、第二の実施形態に係る積層体1を概略的に示す断面図であり、金属含有層である蒸着層又はアルミ箔10bに隣接するアンカーコート層21が、シランカップリング剤を含有する形態を示す。すなわち、この積層体1は、第1の最外層10と中間層20と第2の最外層30とを備えている。第1の最外層10は、基材10aと、蒸着層又はアルミ箔10bとを備えている。蒸着層又はアルミ箔10bは、金属を含有する金属含有層である。中間層20は、アンカーコート層21と、酸素吸収層22と、アルカリ物質含有層23とを備えている。中間層20において、金属含有層である蒸着層又はアルミ箔10bに隣接するアンカーコート層21は、シランカップリング剤を含有している。
第二の実施形態に係る積層体1は、好ましい変形例として、シランカップリング剤含有層であるアンカーコート層21に加え、更に酸素吸収層22にシランカップリング剤を含有してもよい。
また、第二の実施形態に係る積層体1は、他の変形例として、第1の最外層10が備える金属含有層であって、中間層20に隣接する層が、金属を含有するオーバーコート層であってもよい。
なお、図1及び図2に示す積層体1では、何れの層間においても接着層(図示せず)が設けられていてもよい。
以下に、各層の材料や機能等について説明する。なお、以下において、「金属含有層」とは、第1の最外層10が備える金属含有層であって、中間層20に隣接する層を意味する。例えば、図1に示される積層体1において、「金属含有層」はオーバーコート層10cを意味し、蒸着層又はアルミ箔10bを意味しない。図2に示される積層体1において、「金属含有層」は蒸着層又はアルミ箔10bを意味する。
(第1の最外層)
第1の最外層は、2層以上からなる酸素バリア性を有する基材であり、一方の主面が積層体の最表面を構成する基材と、中間層に隣接する金属含有層とを少なくとも含む。金属含有層は、例えば、金属を含有する蒸着層であってもよいし、アルミ箔であってもよいし、金属を含有するオーバーコート層であってもよい。
図1に示される第一の実施形態では、第1の最外層10は、一方の主面が積層体の最表面を構成する基材10aと、中間層20に隣接する金属含有層として金属を含有するオーバーコート層10cと、基材10aとオーバーコート層10cとの間に介在する蒸着層又はアルミ箔10bとを備える。
図2に示される第二の実施形態では、第1の最外層10は、一方の主面が積層体の最表面を構成する基材10aと、中間層20に隣接する金属含有層として金属を含有する蒸着層又はアルミ箔10bとを備える。
基材10aとしては、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロン(登録商標))、ポリエチレンナフタレートなど、あるいはこれら高分子の共重合体など通常包装材料として用いられるものが使用できる。また、樹脂フィルムの中で比較的バリア性の高いポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデンなどの樹脂フィルムや、これらの塗液をプラスチック基材上にコーティングしたものを用いることもできる。基材10aは用途や第1の最外層の層構造等に応じて上記材料から適宜選択される。
基材10aは、必要に応じて、可塑剤、酸化防止剤、着色剤、充填材、紫外線吸収剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤などの公知の添加剤を含有してもよい。
蒸着層又はアルミ箔10bにおける蒸着層は、アルミ蒸着フィルムであってもよいし、例えば、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、錫、又はマグネシウムなどの酸化物、窒化物、もしくは弗化物の単体、或いはそれらの複合物であってもよい。背景技術の項でも述べたように、異物検査として金属探知機を使用可能とするためには、酸化ケイ素蒸着層や酸化アルミニウム蒸着層などの無機酸化物蒸着層を用いるのが望ましい。
これら蒸着層は、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ化学気相成長法(Chemical vapor deposition;CVD法)などの真空プロセスにより形成される。第1の最外層10が蒸着層又はアルミ箔10bを含むことにより、酸素バリア性を更に高めることができる。
オーバーコート層10cは、例えば、蒸着層10bを被覆することで、クラックの発生を防止したり、発生したクラックを修復する効果を発揮することができる。このため、第1の最外層10がオーバーコート層10cを含むことにより、酸素バリア性を更に高めることができる。
オーバーコート層10cは、少なくとも金属成分とバインダーを含有する。オーバーコート層10cに含有される金属成分は金属アルコキシド及びその加水分解物であることが好ましく、オーバーコート層10cに含有されるバインダーは、一形態において水酸基を有する水溶性高分子であることが好ましい。水溶性高分子としては、例えば、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル・アルキド樹脂、アミノ樹脂等が挙げられる。
金属アルコキシドとしては、例えば、テトラエトキシシラン〔Si(OC〕、トリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O-i-C〕など、一般式:
M(OR)
(M:Si、Ti、Ai、Zr等の金属,R:CH、C等のアルキル基)で表せるものが挙げられる。なかでもテトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムが加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。
オーバーコート層10cは、例えば、水溶性高分子を水系溶媒(水或いは水/アルコール混合液)で溶解させた溶液に金属アルコキシドを直接、或いは予め加水分解させるなど処理を行ったものを混合した溶液を、基材10a上の蒸着層10b上にコーティングし、これを加熱乾燥して形成することができる。
オーバーコート層10cは、シランカップリング剤を含有していてもよい。特に、図1に示す第一の実施形態のように、金属含有層であるオーバーコート層10cに隣接する酸素吸収層22がシランカップリング剤を含有する場合には、オーバーコート層10cもまたシランカップリング剤を含有することが密着性の観点から好ましい。
オーバーコート層10cがシランカップリング剤を含有する場合、シランカップリング剤の含有率は、オーバーコート層10cの全質量を基準として0.1質量%~5質量%であってよく、0.5質量%~2.0質量%であってよい。
第1の最外層10の膜厚は適宜設定することができる。良好な加工性、取り扱い性の観点からは、10μm以上50μm以下の膜厚であってよい。
以下において、第1の最外層10を「基材層」又は「基材フィルム」ということがある。基材10a、蒸着層又はアルミ箔10b、及びオーバーコート層10cを備える基材フィルムからなる第1の最外層としては、例えば、商品名「GL-AE」(凸版印刷株式会社製)等の市販品を使用することができる。
(中間層)
中間層は2層以上からなる。図1に示される第一の実施形態において、中間層20は、酸素吸収層22とアルカリ物質含有層23とを備える。図2に示される第二の実施形態において、中間層20は、アンカーコート層21と酸素吸収層22とアルカリ物質含有層23とを備える。
(酸素吸収層)
酸素吸収層22は、少なくとも酸素吸収物質とバインダーを含有し、必要に応じて更にシランカップリング剤を含有する。すなわち、図1に示す第一の実施形態のように、金属含有層(オーバーコート層10c)と隣接する中間層が酸素吸収層22の場合には、酸素吸収層22は更にシランカップリング剤を含有する。また、図2に示す第二の実施形態のように、金属含有層(蒸着層又はアルミ箔10b)と隣接する中間層がアンカーコート層21であり、当該層がシランカップリング剤を含有する場合には、酸素吸収層22は、好ましい形態として更にシランカップリング剤を含有してよい。
酸素吸収層22中の酸素吸収物質の含有率は、高いほど酸素吸収性能は向上するが、酸素吸収層22の製膜性や基材との密着性を阻害するため、酸素吸収物質の含有率を上げることは困難であった。本実施形態に係る積層体において、金属含有層に隣接する中間層がシランカップリング剤を含有することにより、基材と中間層との間の密着性が改善できたことで、酸素吸収物質の含有率を高めることが可能となった。例えば、酸素吸収層22の全質量を基準として30質量%以上の酸素吸収物質を添加した場合にも高いラミネート強度を維持することができるため、ラミネート強度と酸素吸収性能を高いレベルでバランスよく満たす酸素吸収性フィルムを提供することができる。
酸素吸収層22における酸素吸収性物質の好ましい含有率は、酸素吸収性能とラミネート強度とのバランス、並びに成膜性の観点から適宜設定される。例えば、酸素吸収性物質の含有率は、酸素吸収層22の全質量を基準として20質量%以上であってよく、25質量%以上であってよく、30質量%以上であってよい。また、酸素吸収層22の全質量を基準として65質量%以下であってよく、60質量%以下であってよく、55質量%以下であってよい。
酸素吸収層22に含有される酸素吸収物質は、金属探知機での異物検査を考慮すると有機系の材料が望ましく、アスコルビン酸類、グルコース等の還元糖類、グリセリン等の多価アルコール類、カテコールなどのフェノール類、ヒドロキシ安息香酸などのフェノールカルボン酸類などが具体例として挙げられる。コーティング液を乾燥する際の耐熱性や、製造工程で塗膜中の酸素吸収成分が大気中の水分を吸湿して潮解するなどの悪影響も考慮すると、フェノール類やヒドロキシ安息香酸が望ましい。1モル当りの酸素吸収性能を考慮すると、3つのヒドロキシ基を有するトリヒドロキシ安息香酸(没食子酸)、及び没食子酸エステル(例えば、没食子酸プロピル、没食子酸エチル、没食子酸オクチル等)などが好ましい。
酸素吸収層22に含有されるバインダーとしては、特に限定されるものではなく、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、エチレン-酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂、ゴム系樹脂等が挙げられる。酸素吸収層22がシランカップリング剤を含有する場合において、イソシアネート系のシランカップリング剤を使用するとき、イソシアネート系シランカップリング剤との組み合わせにおいて、ポリウレタン系樹脂をバインダーとして使用することが好ましい。
酸素吸収層22がシランカップリング剤を含有する場合、シランカップリング剤の含有率は、酸素吸収層22の全質量を基準として0.1質量%~5.0質量%であってよく、0.5質量%~2.0質量%であってよい。
酸素吸収層22は、更にアルカリ物質を含有してもよい。図1及び図2に示される第一の実施形態及び第二の実施形態に係る積層体1は、いずれも後述するアルカリ物質含有層23を酸素吸収層22と第2の最外層30との間に備えるが、他の実施形態として、アルカリ物質含有層23を備えず、酸素吸収層22内に酸素吸収物質とアルカリ物質とが混在する形態でアルカリ物質を積層体中に含有していてもよい。
積層体1において、アルカリ物質は、酸素吸収物質による酸素吸収を促進する助剤として機能する。例えば、没食子酸類は、アルカリ物質と水が存在する環境下で酸素と反応することで、優れた酸素吸収機能を発現することが知られている。没食子酸類の反応は、pH8以上で十分に進行する。
酸素吸収層22がアルカリ物質を含有する場合、アルカリ物質は、酸素吸収層22中に含有される酸素吸収物質100質量部に対し、40質量部~100質量部であってよく、50質量部~100質量部であってよい。
さらに酸素吸収層22は、必要に応じて、可塑剤、酸化防止剤、着色剤、充填材、紫外線吸収剤などの任意の添加剤を含有してもよい。
酸素吸収層22は、配合する酸素吸収物質の耐熱性を考慮すると、樹脂に練り込んで押出し製膜するよりも、塗液に配合してコーティングによる塗膜として形成する方が望ましい。コーティング方式は、ディピング方式、スクリーン印刷方式、スプレー方式、ダイコート方式、ロールコート方式など特に限定されることなく公知の方法を用いることができる。実用上はフィルムへの巻取り塗工となることから、かかる観点からはロールコート方式が望ましく、ロールコート方式の中でも、比較的厚膜塗工も可能なグラビアコート方式が適する。酸素吸収層22の膜厚は、酸素吸収性能の観点からは厚ければ厚いほど望ましいが、コストや塗工方式で限定され、乾燥後膜厚で1μm~10μm程度が現実的な膜厚範囲である。
(アンカーコート層)
図2に示す第二の実施形態に係る積層体1は、金属含有層(蒸着層又はアルミ箔10b)と酸素吸収層22との密着性を向上させるために、これらの層間にアンカーコート層21を備える。この積層体1のように、金属含有層(蒸着層又はアルミ箔10b)と隣接する中間層がアンカーコート層21である場合、アンカーコート層21は、少なくともシランカップリング剤とバインダーを含有する。シランカップリング剤の配合によりアンカーコート層21と酸素吸収層22との間の密着性が改善され、酸素吸収層における酸素吸収物質の含有率を高めることが可能となるため、ラミネート強度と酸素吸収性能を高いレベルでバランスよく満たす酸素吸収性フィルムを得ることができる。更に好ましい形態として、上述した通り、アンカーコート層21に隣接する酸素吸収層22もシランカップリング剤を含有してよい。
アンカーコート層21に含有されるバインダーとしては、特に限定されるものではないが、酸素吸収層22との密着性の観点から、酸素吸収層22と同系の樹脂を用いることが好ましい。また、イソシアネート系のシランカップリング剤を使用するとき、イソシアネート系シランカップリング剤との組み合わせにおいて、ポリウレタン系樹脂をバインダーとして使用することが好ましい。
アンカーコート層21におけるシランカップリング剤の含有率は、アンカーコート層21の全質量を基準として0.1質量%~5.0質量%であってよく、0.5質量%~2.0質量%であってよい。
(アルカリ物質含有層)
図1に示す第一の実施形態に係る積層体1、及び図2に示す第二の実施形態に係る積層体1は、いずれも酸素吸収層22と第2の最外層30との間にアルカリ物質含有層23を備える。上述したように、酸素吸収層22がアルカリ物質を含有する場合には、積層体1はアルカリ物質含有層23を備えなくてもよい。
ただし、酸素吸収層22中に酸素吸収物質とアルカリ物質とが混在する場合、酸素吸収性能は発揮されるが、塗液の作製段階で酸素吸収物質による酸素吸収が始まる。このため、第一の実施形態及第二の実施形態に係る積層体1のように、酸素吸収層22とアルカリ物質含有層23が別の層として存在する場合と比較して、積層体の作製後における酸素吸収性能が低下するという問題がある。このため、積層体は、図1及び図2に示すように、酸素吸収層22とアルカリ物質含有層23とを別の層として備えることが好ましい。
アルカリ物質含有層23は、少なくともアルカリ物質とバインダーを含有する。このアルカリ物質含有層23に含有されるアルカリ物質が直接接している酸素吸収層22に移行し、その作用により酸素吸収層22のpHを調整することで、酸素吸収物質のヒドロキシ基などから水素を引き抜き易くなり、酸素吸収が促進される。
アルカリ物質含有層23に含有されるアルカリ物質としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ルビジウム、水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウムカリウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウムカリウム、リン酸カリウム、リン酸水素カリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられるが、安全面から食品添加物であることが好ましい。
特に、単体でpH8以上を示す炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、炭酸水素カリウム、ピロリン酸カリウム、焼成カルシウム、リン酸カリウム、酒石酸ナトリウムを用いると、アルカリ物質の含有率を少なくしてコストを下げられる点でより好ましい。
また、酸素吸収物質として没食子酸を用いる場合、アルカリ物質として炭酸ナトリウムを使用することが好ましい。
アルカリ物質含有層23に含有されるバインダーは、特に限定されないが、耐湿性の観点からは溶剤系が望ましい。樹脂系を例示すると、ポリエステル系、ポリウレタン系、およびポリエーテル系、アクリル系、エポキシ系、塩化ビニル系、シリコーン系、ゴム系剤等が挙げられる。また、酸素吸収層22との密着性を考慮すると、酸素吸収層22と同じバインダーを用いることが望ましい。
アルカリ物質含有層23に含有されるアルカリ物質の添加量は、酸素吸収層22に含有される酸素吸収物質100質量部に対し、40質量部~100質量部であってよく、50質量部~100質量部であってよい。アルカリ物質の添加量が40質量部未満では、没食子酸等の酸素吸収物質における酸素吸収反応を進行させるにはpHが必ずしも十分でなく、酸素吸収量が少なくなる場合がある。一方で、アルカリ物質の添加量が100質量部を超えpHが増加しても、酸素吸収量の増加はあまり期待できない。
アルカリ物質含有層23は、必要に応じて、接着促進剤、可塑剤、酸化防止剤、着色剤、充填材、紫外線吸収剤などの当該技術において知られている任意の添加剤を含有してもよい。
アルカリ物質含有層23の厚みは、例えば0.1μm以上20μm以下であってよい。この範囲内の膜厚を有することにより、良好な密着強度と、コート層自体の強度を得ることができる。
(シランカップリング剤含有層)
本実施形態に係る積層体は、上掲で詳述した通り、少なくとも1層のシランカップリング剤含有層を含み、好ましい形態として、少なくとも2層のシランカップリング剤含有層を含む。
本実施形態に係る積層体が含有するシランカップリング剤としては、公知の化合物を用いることができ、例えば、エポキシ系シランカップリング剤、イソシアネート系シランカップリング剤、アミン系シランカップリング剤等が挙げられる。一形態において、シランカップリング剤が添加される層に含有されるバインダー樹脂と同系統の有機官能基を有するシランカップリング剤を用いることが好ましい。例えば、酸素吸収層22又はアンカーコート層21に含有されるバインダーがポリウレタン系樹脂である場合には、イソシアネート系のシランカップリング剤を用いることが好ましい。
シランカップリング剤含有層の形成において、塗液にシランカップリング剤を添加する方法は特に限定されるものではない。層間の密着強度をより向上させるには、バインダー樹脂と溶剤からなるベース塗液にシランカップリング剤を添加し、一定時間攪拌してバインダー樹脂とシランカップリング剤を反応させてから塗工するのが望ましい。また、シランカップリング剤含有層が酸素吸収層である場合には、バインダー樹脂とシランカップリング剤を反応させた後に酸素吸収物質を添加するのが望ましい。シランカップリング剤の添加量は特に限定されるものではなく、適宜設定することができるが、例えば、塗液濃度で0.1~3質量%の範囲が好ましい。
(第2の最外層)
図1に示す第一の実施形態及び図2に示す第二の実施形態に係る積層体1は、第2の最外層30を備える。第2の最外層30は、積層体1において、基材フィルムとしての第1の最外層10とは反対側の表面を構成する層である。
積層体1の用途が包装材であり、袋状体等にして使用される場合には、第2の最外層30はシーラント層を含むことが好ましい。シーラント層は積層体1にヒートシール性を付与する。この場合、例えば積層体1を、第2の最外層13であるシートランと層を内側にして重ね合わせ、周縁部等をヒートシールすることによって容易に袋状に加工することができる。
シーラント層としては熱可塑性の汎用的な樹脂を用いればよく、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン-酢酸ビニル共重合体、非晶質ポリエステル、環状ポリオレフィンなどが挙げられるが、ヒートシール可能な樹脂であれば特に限定されない。
<包装体>
本実施形態に係る包装体は、上記の積層体を含む。具体的には、包装体の少なくとも一部が、上記の積層体で形成される。なお本実施形態に係る包装体には、印刷層、バリア層、表面保護層などの機能層を更に設けてもよい。
本実施形態の包装体の応用例は、たとえば袋、MA包材、蓋材(トップ材)、シート、チャック付き袋、カバーフィルムを含む。また、袋状体の包装体は、2枚の上述した積層体を、第2の最外層13としてのシーラント層が内側となるよう配置した状態で周縁部を加熱して貼り合わせることによって形成してもよい。さらに、貼り合わせを行う周縁部に第3のフィルムを介在させて、いわゆる「マチ」付きの袋を形成してもよい。
袋状体の包装体は、矩形、円形、三角形を含む任意の形状を有してもよい。またチャック付き袋として、機械加工によって、袋状体の包装体の開口部に開閉自在の嵌合部を設けたものでもよい。
<包装物品>
本実施形態に係る包装物品は、上記の包装体と、これに収容された内容物とを含む。上記の包装体に収容される内容物の例は、特に限定しないが、例えば食品、飲料、化粧品、医薬品、産業資材、医療器具、電子機器、文化財を含む。本実施形態に係る包装物品において、包装体に収容された内容物が食品であるとき、当該食品は、水分活性が高い食品であってよい。水分活性が高い食品として、例えば、水分活性0.8~0.87の小麦粉、米、豆類、フルーツケーキ等、水分活性0.87~0.91のシラス干し、塩鮭、スポンジケーキ等、水分活性0.91~0.95のチーズ、果汁等、水分活性0.95~1.0の肉、ハム、ベーコン、ソーセージ、鮮魚、卵、果実等が挙げられる。
以下、本発明を実施例によって具体的に述べるが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
<実施例1>
酸素バリア性を有する基材フィルムとして、酸化ケイ素蒸着層を有するポリエステルフィルム(膜厚12μm)を用いた。蒸着層上に、テトラエチルオルソシリケート(TEOS)とポリビニルアルコールを主成分とするコート剤をグラビア塗工してオーバーコート層(膜厚1μm)を形成した。
オーバーコート層(以下において、「OC層」という。)上に、イソシアネート基を有機官能基として有するシランカップリング剤を添加したポリウレタン系アンカーコート剤をグラビア塗工してアンカーコート層(以下において、「AC層」という。)(膜厚1μm)を形成した。AC層中のシランカップリング剤の含有率は、AC層の全質量に対し1質量%とした。
次いで、ウレタン系バインダーに没食子酸と、AC層に添加した上記シランカップリング剤と同じシランカップリング剤を添加してなる組成物を、上記AC層上にグラビア塗工し、膜厚5μmの酸素吸収層を形成した。酸素吸収層の全質量を基準とした没食子酸の含有率は30質量%、シランカップリング剤の含有率は1質量%とした。
さらに、ウレタン系バインダーに炭酸ナトリウムを添加してなる組成物を、上記酸素吸収層上にグラビア塗工し、膜厚5μmのアルカリ物質含有層を形成した。アルカリ物質含有層の全質量を基準とした炭酸ナトリウムの含有率は30質量%とした。
次いで、上記アルカリ物質含有層上にウレタン系接着剤をグラビア塗工し、これにシーラント層としてポリエチレンフィルム(膜厚60μm)を貼り合せることにより、酸素吸収フィルム1aを作製した。酸素吸収フィルム1aは、AC層と酸素吸収層にシランカップリング剤を含有する。
<実施例2>
酸素バリア性を有する基材フィルムとして、酸化ケイ素蒸着層を有するポリエステルフィルム(膜厚12μm)を用意した。蒸着層上に、テトラエチルオルソシリケート(TEOS)とポリビニルアルコールを主成分とするコート剤に、イソシアネート基を有機官能基として有するシランカップリング剤を添加したコート剤をグラビア塗工してオーバーコート層(膜厚1μm)を形成した。OC層中のシランカップリング剤の含有率は、OC層の全質量に対し1質量%とした。
次いで、ウレタン系バインダーに没食子酸と、OC層に添加した上記シランカップリング剤と同じシランカップリング剤とを添加してなる組成物を、上記OC層上にグラビア塗工し、膜厚5μmの酸素吸収層を形成した。酸素吸収層の全質量を基準とした没食子酸の含有率は30質量%、シランカップリング剤の含有率は1質量%とした。
さらに、ウレタン系バインダーに炭酸ナトリウムを添加してなる組成物を、上記酸素吸収層上にグラビア塗工し、膜厚5μmのアルカリ物質含有層を形成した。アルカリ物質含有層の全質量を基準とした炭酸ナトリウムの含有率は30質量%とした。
次いで、上記アルカリ物質含有層上にウレタン系接着剤をグラビア塗工し、これにシーラント層としてポリエチレンフィルム(膜厚60μm)を貼り合せることにより、酸素吸収フィルム1bを作製した。酸素吸収フィルム1bは、酸素吸収層とOC層にシランカップリング剤を含有する。
<実施例3>
酸素吸収層に添加する没食子酸の含有率を50質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様の条件及び手順により、酸素吸収フィルム1cを作製した。酸素吸収フィルム1cは、AC層と酸素吸収層にシランカップリング剤を含有する。
<実施例4>
酸素吸収層の形成において、シランカップリング剤を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の条件及び手順により、酸素吸収フィルム1dを作製した。酸素吸収フィルム1dは、AC層のみにシランカップリング剤を含有する。
<実施例5>
酸素吸収層に添加する没食子酸の含有率を60質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様の条件及び手順により、酸素吸収フィルム1eを作製した。酸素吸収フィルム1eは、AC層と酸素吸収層にシランカップリング剤を含有する。
<比較例1>
AC層及び酸素吸収層の何れにもシランカップリング剤を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の条件及び手順により、酸素吸収フィルム1fを作製した。酸素吸収フィルム1fは、シランカップリング剤を含有する層を含まない。
<比較例2>
AC層の形成において、シランカップリング剤を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の条件及び手順により、酸素吸収フィルム1gを作製した。酸素吸収フィルム1gは、酸素吸収層のみにシランカップリング剤を含有する。
<比較例3>
酸素吸収層に添加する没食子酸の含有率を20質量%に変更したこと以外は、比較例1と同様の条件及び手順により、酸素吸収フィルム1hを作製した。酸素吸収フィルム1hは、シランカップリング剤を含有する層を含まない。
<比較例4>
酸素吸収層に添加する没食子酸の含有率を10質量%に変更したこと以外は、比較例1と同様の条件及び手順により、酸素吸収フィルム1iを作製した。酸素吸収フィルム1iは、シランカップリング剤を含有する層を含まない。
<比較例5>
酸素吸収層に没食子酸を添加しなかったこと以外は、比較例1と同様の条件及び手順により、対照用フィルム1jを作製した。
<評価方法>
(酸素吸収性能)
上記で作製したフィルム1a~1j各々について、全体寸法が横10cm×縦10cmの包装袋を作製し、袋内に80ccの空気を注入した。50℃の恒温槽で一定期間保管後、酸素濃度を測定し、初期酸素濃度との差から、それぞれの酸素吸収量を確認した。残存酸素量が1%以下の場合を「A」、1%超20%以下の場合を「B」、20%超の場合を「C」と評価した。各積層体の評価結果を表1に示す。
(密着強度)
上記で作製したフィルム1a~1j各々について、15mm巾に切り出し、引っ張り試験機を用いて、300mm/分のスピードで90℃剥離をして、基材と酸素吸収層間の強度を評価した。基材切れとなり、強度なラミネート強度を示した場合を「A」、基材切れにはならなかったが、3N以上の実用上十分な密着強度が出ている場合を「B」、1N以上3N未満の実用上問題ない密着強度の場合を「C」、1N未満の未接着又は実用上問題が発生する密着強度を「D」と評価した。各フィルムの評価結果を表1に示す。
Figure 0007286953000001
実施例1乃至実施例5では、酸素吸収性能及びラミネート強度の双方が良好であった。特にAC層と酸素吸収層、あるいは酸素吸収層とOC層の双方にシランカップリング剤を添加した実施例1~3では、没食子酸の配合比が30質量%又は50質量%と高いにもかかわらず、ラミネート強度測定時に基材切れとなるような高いラミネート強度を示した。
シランカップリング剤をAC層のみに添加した実施例4では基材切れにならず、実施例1~3に比べるとラミネート強度は若干低下したが、実用上十分な強度は維持していた。
また、没食子酸の配合比を60質量%に更に挙げた実施例5では、実施例1~3に比べラミネート強度は若干低下したが、実用上十分な強度は維持していた。
一方、シランカップリング剤を全く添加していない比較例1では、没食子酸の配合比が30質量%の場合、ラミネート強度が大きく低下し、ほとんど接着していなかった。
また、シランカップリング剤を蒸着層に隣接するAC層に添加せず、酸素吸収層にのみ添加した比較例2においても、実施例1~5に比べるとラミネート強度が大きく低下していた。
没食子酸の配合比を減らした比較例3、4では、シランカップリング剤を添加しなくて比較例1に比べラミネート強度は回復するが、酸素吸収性能が低下した。没食子酸を全く添加しない比較例5では当然ながら酸素吸収性能は全くないが、ラミネート強度は十分であった。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
1 積層体
10 第1の最外層
10a 基材
10b 蒸着層
10c オーバーコート層
20 中間層
21 アンカーコート層
22 酸素吸収層
23 アルカリ物質含有層
30 第2の最外層

Claims (13)

  1. 2層以上からなる第1の最外層と、2層以上からなる中間層と、単層又は2層以上からなる第2の最外層とをこの順序で備える積層体であり、前記第1の最外層は、一方の主面が前記積層体の最表面を構成する基材と、前記中間層に隣接する金属含有層とを含み、前記中間層は、酸素吸収物質を含有する酸素吸収層を含み、且つ、前記金属含有層に隣接する層にシランカップリング剤を含有する積層体であって、
    前記金属含有層に隣接するシランカップリング剤を含有する層が前記酸素吸収層であり、前記酸素吸収層は前記酸素吸収物質として没食子酸及び没食子酸エステルから選択される少なくとも一種を含有し、
    前記第1の最外層は、前記基材と、蒸着層又はアルミ箔と、オーバーコート層とをこの順序で備え、前記金属含有層は前記オーバーコート層であり、前記オーバーコート層はシランカップリング剤を更に含有する積層体。
  2. 2層以上からなる第1の最外層と、2層以上からなる中間層と、単層又は2層以上からなる第2の最外層とをこの順序で備える積層体であり、前記第1の最外層は、一方の主面が前記積層体の最表面を構成する基材と、前記中間層に隣接する金属含有層とを含み、前記中間層は、酸素吸収物質を含有する酸素吸収層を含み、且つ、前記金属含有層に隣接する層にシランカップリング剤を含有する積層体であって、
    前記中間層は、前記金属含有層と前記酸素吸収層との間にアンカーコート層を含み、前記金属含有層に隣接するシランカップリング剤を含有する層が前記アンカーコート層であり、前記酸素吸収層は前記酸素吸収物質として没食子酸及び没食子酸エステルから選択される少なくとも一種を含有し、
    前記金属含有層は、オーバーコート層、蒸着層又はアルミ箔である積層体。
  3. 前記酸素吸収層はシランカップリング剤を更に含有する、請求項に記載の積層体。
  4. 前記酸素吸収層と前記第2の最外層との間に、アルカリ物質含有層を更に備える、請求項1~のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 前記酸素吸収層はアルカリ物質を更に含有する、請求項1~のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 2層以上からなる第1の最外層と、2層以上からなる中間層と、単層又は2層以上からなる第2の最外層とをこの順序で備える積層体であり、前記第1の最外層は、一方の主面が前記積層体の最表面を構成する基材と、前記中間層に隣接する金属含有層とを含み、前記中間層は、酸素吸収物質を含有する酸素吸収層を含み、且つ、前記金属含有層に隣接する層にシランカップリング剤を含有する積層体であって、
    前記酸素吸収物質として、没食子酸及び没食子酸エステルから選択される少なくとも一種を含有し、
    前記酸素吸収層と前記第2の最外層との間に、アルカリ物質含有層を更に備える積層体。
  7. 前記金属含有層は蒸着層又はアルミ箔である、請求項に記載の積層体。
  8. 前記アルカリ物質として、炭酸ナトリウムを少なくとも含有する、請求項のいずれか1項に記載の積層体。
  9. 前記酸素吸収物質を、前記酸素吸収層の全質量に対し20質量%以上含有する、請求項1~のいずれか1項に記載の積層体。
  10. シランカップリング剤を含有する前記層の少なくとも1層は、ポリオール系化合物とイソシアネート系化合物との反応物であるポリウレタン系樹脂を含有し、前記シランカップリング剤としてイソシアネート系官能基を有する化合物を含有する、請求項1~のいずれか1項に記載の積層体。
  11. 前記第2の最外層はシーラント層を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の積層体。
  12. 請求項1~11のいずれか1項に記載の積層体を含む包装体。
  13. 請求項12に記載の包装体と、これに収容された内容物とを含んだ包装物品。
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