JP7286151B2 - 昇温脱離分析装置及び昇温脱離分析方法 - Google Patents

昇温脱離分析装置及び昇温脱離分析方法 Download PDF

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特許法第30条第2項適用 (1)平成30年12月5日、第45回炭素材料学会年会要旨集、第220頁、炭素材料学会 (2)平成30年12月7日、第45回炭素材料学会年会、国立大学法人名古屋工業大学 (3)令和1年6月27日、ウェブサイト:http://carbon2019.org/wp-content/uploads/2019/07/365-ishii.pdf (4)令和1年7月15日、Carbon2019、レキシントン(米国)
本発明は、昇温脱離分析装置及び昇温脱離分析方法に関する。
特許文献1には、1600℃まで昇温可能な昇温脱離分析装置を用いて得られた炭素触媒の脱離ガス定量結果から、当該炭素触媒の炭素エッジ面の全量を計算し、その量から平均炭素網面サイズLを算出したことが記載されている。非特許文献1及び非特許文献2には、1800℃まで昇温可能な昇温脱離分析装置が記載されている。
国際公開第2017/209244号
Takafumi Ishii et al. A quantitative analysis of carbon edge sites and an estimation of graphene sheet size in high-temperature treated, non-porous carbons. Carbon 2014; 80: 135-145 Takafumi Ishii et al. Analysis of trace amounts of edge sites in natural graphite, synthetic graphite and high-temperature treated coke for the understanding of their carbon molecular structures. Carbon 2017; 125: 146-155
一方、従来、分析開始前に固体試料を液体と混合する必要がある場合、まず昇温脱離分析装置の外で当該固体試料を乾燥させ、次いで、乾燥後の当該固体試料を当該昇温脱離分析装置内に設置し、その後、昇温脱離分析を行う必要があった。
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、液体と混合された固体試料を簡便に分析できる昇温脱離分析装置及び昇温脱離分析方法を提供することをその目的の一つとする。
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る昇温脱離分析装置は、減圧可能な内部空間を有する試料チャンバー、前記試料チャンバー内の固体試料を加熱するヒーター、及び、前記試料チャンバー内で加熱された前記固体試料から発生した脱離ガスを検出する検出器、を含み、前記試料チャンバーは、前記内部空間内に、前記固体試料と液体との混合物を収容するための試料容器、及び、前記試料容器と伝熱可能に接続された接続部分と、前記試料容器内の前記混合物を凍結するために冷却される被冷却部分とを有する伝熱部材、を含む、昇温脱離分析装置。本発明によれば、液体と混合された固体試料を簡便に分析できる昇温脱離分析装置が提供される。
また、前記伝熱部材の前記被冷却部分は、前記試料チャンバーの前記内部空間から突出して形成されていることとしてもよい。また、前記伝熱部材は、前記接続部分としての一方の端部と、前記被冷却部分としての他方の端部と、を有する棒状の部材であることとしてもよい。また、前記伝熱部材は、前記接続部分を有する炭素部材を含むこととしてもよい。また、前記伝熱部材は、前記被冷却部分を有する金属部材を含むこととしてもよい。
また、前記試料チャンバーは、前記試料容器を収容する第一部分と、前記伝熱部材を収容する第二部分とを含み、前記第一部分と前記第二部分とは分離可能に接続されていることとしてもよい。また、前記ヒーターは、前記固体試料を500℃以上に加熱するヒーターであることとしてもよい。また、前記ヒーターは、高周波誘導加熱ヒーターであることとしてもよい。また、前記試料チャンバーは、冷却器をさらに含むこととしてもよい。
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る昇温脱離分析方法は、前記いずれかの昇温脱離分析装置を用いて、昇温脱離法により、固体試料を分析する、昇温脱離分析方法である。本発明によれば、液体と混合された固体試料を簡便に分析できる昇温脱離分析方法が提供される。
前記方法は、固体試料と液体との混合物を前記試料チャンバー内の前記試料容器に収容すること、前記試料容器に接続された前記伝熱部材の前記被冷却部を冷却することにより、前記試料容器内の前記混合物を凍結すること、前記試料チャンバーの前記内部空間を減圧して、前記試料容器内の凍結した前記混合物を乾燥させること、及び、前記混合物の乾燥によって前記試料容器内に残された前記固体試料を、前記ヒーターによる加熱下で、昇温脱離法により分析すること、を含むこととしてもよい。
本発明によれば、液体と混合された固体試料を簡便に分析できる昇温脱離分析装置及び昇温脱離分析方法が提供される。
本発明の一実施形態に係る昇温脱離分析装置の一例について、その主な構成を概略的に示す説明図である。 図1に示す昇温脱離分析装置に含まれる試料チャンバーに、固体試料と液体との混合物を設置した様子を示す説明図である。 図2Aに示す試料チャンバーにおいて伝熱部材を冷却する様子を概略的に示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る昇温脱離分析方法の一例に含まれる主な工程を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る実施例において、水素-重水素置換処理が施されていない炭素材料について得られた昇温脱離スペクトルの一例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る実施例において、水素-重水素置換処理が施されていない炭素材料について得られた昇温脱離スペクトルの他の例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る実施例において、水素-重水素置換処理が施された炭素材料について得られた昇温脱離スペクトルの一例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る実施例において、水素-重水素置換処理が施された炭素材料について得られた昇温脱離スペクトルの他の例を示す説明図である。
以下に、本発明の一実施形態について説明する。なお、本発明は本実施形態で示す例に限られない。
まず、本実施形態に係る昇温脱離分析装置(以下、「本装置」という。)について説明する。図1には、本装置1の一例について、その主な構成を概略的に示す。図2Aには、図1に示す本装置1に含まれる試料チャンバー10に、固体試料Sと液体Lとの混合物Mを設置した様子を示す。図2Bには、図2Aに示す試料チャンバー10において伝熱部材50を冷却する様子を概略的に示す。
本装置1は、図1に示すように、減圧可能な内部空間11を有する試料チャンバー10、当該試料チャンバー10内の固体試料Sを加熱するヒーター20、及び、当該試料チャンバー10内で加熱された当該固体試料Sから発生した脱離ガスを検出する検出器30、を含む。
そして、本装置1の試料チャンバー10は、その内部空間11内に、固体試料Sと液体Lとの混合物Mを収容するための試料容器40、及び、当該試料容器40と伝熱可能に接続された接続部分50aと、当該試料容器40内の当該混合物Mを凍結するために冷却される被冷却部分50bとを有する伝熱部材50を含む。
本装置1の試料チャンバー10は、減圧可能な内部空間11と、当該内部空間11を囲む外壁12とを有する。試料チャンバー10の内部空間11には、試料容器40及び伝熱部材50が配置される。
試料チャンバー10は、図2Aに示すように、試料容器40を収容する第一部分10aと、伝熱部材50を収容する第二部分10bとを含み、当該第一部分10aと当該第二部分10bとは分離可能に接続されていることとしてもよい。この場合、試料チャンバー10内への混合物Mの設置を簡便に行うことができる。
具体的に、図2Aに示す例において、試料チャンバー10の第一部分10aは、当該試料チャンバー10の鉛直方向における上方側の部分を構成し、試料容器40を収容する。試料チャンバー10の第二部分10bは、当該試料チャンバー10の鉛直方向における下方側の部分を構成し、伝熱部材50を収容する。そして、第一部分10aの下方側の端部と、第二部分10bの上方側の端部とが分離可能に接続される。
より具体的に、第一部分10aは、試料チャンバー10の外壁12の一部であって、試料容器40を囲む外壁12aを有する。また、第二部分10bは、試料チャンバー10の外壁12の他の一部であって、伝熱部材50を囲む外壁12bを有する。そして、第一部分10aの外壁12aの下方側の端部と、第二部分10bの外壁12bの上方側の端部とが分離可能に接続される。
図2Aに示す例において、試料チャンバー10の第一部分10aは、伝熱部材50の一部(鉛直方向における上方側の一部)を収容し、第二部分10bは、当該伝熱部材50の他の一部(鉛直方向における下方側の一部)を収容している。
また、第一部分10aの外壁12aと、第二部分10bの外壁12bとの接続部分には、Oリング13が配置され、内部空間11の密閉性が確保されている。すなわち試料チャンバー10の第一部分10aと第二部分10bとが密着して接続されることにより、当該試料チャンバー10内に、密閉された内部空間11が形成されている。
試料チャンバー10の第一部分10aの外壁12aと、第二部分10bの外壁12bとは、同一の材料で構成されてもよいし、異なる材料で構成されてもよい。第一部分10aの外壁12aを構成する材料は、昇温脱離法による分析に適した、絶縁性と耐熱性とを有する材料であれば特に限られないが、透明性をさらに有する材料であることが好ましい。
ここで、本装置1は、試料容器40内の固体試料Sの温度を測定する温度計60をさらに含むこととしてもよい。この場合、本装置1は、温度計60による固体試料Sの温度の測定結果に基づいて、ヒーター20による当該固体試料Sの加熱強度を調節する制御装置(図示せず)をさらに含むこととしてもよい。
そして、温度計60が、試料容器40内の固体試料Sから放射される赤外線及び/又は可視光線に基づいて、当該固体試料Sの温度を測定する放射温度計(例えば、赤外線放射温度計又は可視光線放射温度計、好ましくは赤外線放射温度計)である場合、試料チャンバー10の外壁12のうち、少なくとも当該温度計60と試料容器40との間に配置される部分(特に、当該温度計60と、当該温度計60に対向する試料容器40の凹部41の開口41aとの間に配置される部分)は、当該固体試料Sから放射される赤外線及び/又は可視光線について透過性を有する材料で構成される。
具体的に、試料チャンバー10の第一部分10aの外壁12aは、石英製であることが好ましい。すなわち、例えば、試料チャンバー10の第一部分10aの外壁12aの全体が石英製であることとしてもよい。
第二部分10bの外壁12bを構成する材料は、昇温脱離法による分析に適した特性を有する材料であれば特に限られないが、当該外壁12bは、例えば、金属製であることとしてもよい。
第二部分10bの外壁12bを構成する金属は、例えば、ステンレス、アルミニウム、チタン、及び銅からなる群より選択される1以上の金属であることが好ましく、ステンレス(例えば、SUS304、SUS304L、SUS316、及びSUS316Lからなる群より選択される1以上)であることが特に好ましい。すなわち、例えば、試料チャンバー10の第二部分10bの外壁12bの全体が金属(例えば、ステンレス)製であることとしてもよい。
試料容器40は、固体試料Sと液体Lとの混合物Mを試料チャンバー10の内部空間11内で凍結乾燥する際に、当該混合物Mを保持する。また、試料容器40は、凍結乾燥後の固体試料Sを昇温脱離法により分析する際に、当該固体試料Sを保持する。
試料容器40は、液体L含む混合物Mを収容可能な凹部41を有している。凹部41の容積は、例えば、0.01mL以上、1.00mL以下であることとしてもよく、0.03mL以上、0.30mL以下であることとしてもよく、0.05mL以上、0.15mL以下であることとしてもよい。
試料容器40の凹部41は、開口41aを有している。凹部41は開口41aを介して、試料チャンバー10の内部空間11と連通している。このため、後述する凍結された混合物Mの乾燥において、当該凍結した混合物Mから発生する、液体Lの凍結物の昇華に由来するガスは、開口41aを介して、試料容器40の凹部41から、試料チャンバー10の減圧された内部空間11に排出される。
試料容器40を構成する材料は、例えば、混合物Mの凍結温度及び昇温脱離分析時の加熱温度において耐性を有すること、当該加熱温度においてガスの発生量が小さいこと、及び、当該加熱温度において固体試料Sと化学反応を起こさないこと、といった条件を満たす。
また、試料容器40内の固体試料Sを高周波誘導加熱により加熱する場合、当該試料容器40は、当該高周波誘導加熱により温度が上昇する導電性を有する材料から構成される。具体的に、試料容器40は、例えば、黒鉛製、又はガラス状炭素製であることが好ましい。
また、試料容器40は、炭素緻密膜で被覆された表面を有することが特に好ましい。炭素緻密膜は、例えば、化学気相蒸着法により形成される。また、炭素緻密膜の構造欠陥を修復するため、昇温脱離分析に先立って、試料容器40の炭素緻密膜を高温(例えば、1900℃以上の温度)で熱処理しておくことが好ましい。
伝熱部材50は、試料容器40内の混合物Mを凍結するために設けられる。伝熱部材50は、試料容器40と伝熱可能に接続された接続部分50aと、当該試料容器40内の混合物Mを凍結するために冷却される被冷却部分50bとを有する。
接続部分50aは、試料容器40と物理的に接続された伝熱部材50の一部であり、被冷却部50bは、当該試料容器40内の混合物Mを凍結する際に冷却される当該伝熱部材50の他の一部である。
伝熱部材50の被冷却部分50bは、試料チャンバー10の内部空間11から突出して形成されていることとしてもよい。この場合、伝熱部材50の被冷却部分50bを効果的に冷却することができる。
具体的に、伝熱部材50の被冷却部50bは、図2Aに示すように、試料チャンバー10の内部空間11から鉛直方向における下方に向かって突出して形成されていることとしてもよい。
この場合、図2Bに示すように、伝達部材50の被冷却部50bを、容器C内の液体冷媒R(例えば、液体窒素)中に浸漬することによる当該被冷却部50bの冷却を簡便に行うことができる。
また、伝熱部材50の被冷却部50bは、図2Aに示すように、試料チャンバー10の外壁12の一部(外壁12c)によって覆われていることとしてもよい。この場合、伝熱部材50の被冷却部50bと、当該被冷却部50bを覆う試料チャンバー10の外壁12cとは、伝熱可能に接触していることが好ましく、密着していることが特に好ましい。
伝熱部材50の被冷却部50bが試料チャンバー10の外壁12cに覆われることにより、当該被冷却部50bを突出して形成しつつ、当該試料チャンバー10内の高真空化を容易に達成することができる。
なお、伝熱部材50の被冷却部50bは、試料チャンバー10の外壁12cに覆われることなく、当該試料チャンバー10外に露出していることとしてもよい。この場合、伝熱部材50の被冷却部分50bを効果的に冷却することができる。
伝熱部材50は、接続部分50aとしての一方の端部と、被冷却部分50bとしての他方の端部と、を有する棒状の部材であることとしてもよい。
具体的に、伝熱部材50は、図2Aに示すように、鉛直方向において上下に延びる棒状の部材として形成されることとしてもよい。この場合、例えば、伝熱部材50の上方の端部が接続部分50aを構成し、下方の端部が被冷却部50bを構成する。
伝熱部材50を構成する材料は、例えば、25℃における熱伝導率が0.2W/(m・K)以上であること、混合物Mの凍結温度及び昇温脱離分析時の加熱温度において耐性を有すること、当該当該加熱温度においてガスの発生量が小さいこと、及び、当該加熱温度において固体試料Sと化学反応を起こさないこと、といった条件を満たす。
具体的に、伝熱部材50は、接続部分50aを有する炭素部材51を含むこととしてもよい。この場合、伝熱部材50の炭素部材51の一部が、接続部分50aとして、試料容器40と伝熱可能に接続される。
炭素部材51は、例えば、棒状の部材であることとしてもよい。この場合、炭素部材51は、中実の棒状部材であってもよいし、中空の棒状部材であってもよい。炭素部材51は、例えば、黒鉛製、又はガラス状炭素製であることが好ましく、黒鉛製であることが特に好ましい。
伝熱部材50は、被冷却部分50bを有する金属部材52を含むこととしてもよい。この場合、伝熱部材50の金属部材51の一部が、被冷却部分50bとして、試料容器40内の混合物Mを凍結するために冷却される。
金属部材52は、例えば、棒状の部材であることとしてもよい。この場合、金属部材52は、中実の棒状部材であってもよいし、中空の棒状部材であってもよい。金属部材52は、例えば、銅、アルミニウム、チタン、銀、金、及び白金からなる群より選択される1以上の金属製であることが好ましく、銅、アルミニウム、及びチタンからなる群より選択される1以上の金属製であることがより好ましく、銅製であることが特に好ましい。
伝熱部材50は、炭素部材51と金属部材52とを含んでもよい。すなわち、伝熱部材50は、図2Aに示すように、炭素部材51と金属部材52とから構成されてもよい。炭素部材51及び金属部材52が棒状の部材である場合、当該炭素部材51の一方の端部(例えば、鉛直方向における上方の端部)が、接続部分50aとして、試料容器40と伝熱可能に接続され、当該炭素部材51の他方の端部(例えば、鉛直方向における下方の端部)と、当該金属部材52の一方の端部(例えば、鉛直方向における上方の端部)とが伝熱可能に接続され、当該金属部材52の他方の端部(例えば、鉛直方向における下方の端部)が、被冷却部分50bとして、試料容器40内の混合物Mを凍結するために冷却される。
ヒーター20は、昇温脱離法による分析中、試料チャンバー10内で試料容器40に収容された固体試料Sを加熱する。ヒーター20は、例えば、固体試料Sを500℃以上に加熱するヒーターであることとしてもよい。この場合、ヒーター20が固体試料Sを加熱する温度は、例えば、600℃以上であることとしてもよく、700℃以上であることとしてもよく、800℃以上であることとしてもよく、900℃以上であることとしてもよい。さらに、ヒーター20が固体試料Sを加熱する温度は、例えば、1000℃以上であることとしてもよく、1100℃以上であることとしてもよく、1200℃以上であることとしてもよく、1300℃以上であることとしてもよく、1400℃以上であることとしてもよく、1500℃以上であることとしてもよく、1600℃以上であることとしてもよい。具体的に、例えば、固体試料Sが炭素材料を含み、昇温脱離法によって当該炭素材料から脱離した水素ガスを測定する場合、ヒーター20は、当該固体試料Sを1400℃以上で加熱するヒーターであることが好ましい。
ヒーター20は、例えば、高周波誘導加熱ヒーター、赤外線ヒーター、及びマイクロ波ヒーターからなる群より選択される1以上であることとしてもよく、高周波誘導加熱ヒーターであることが特に好ましい。
高周波誘導加熱ヒーターであるヒーター20は、図2Aに示すように、高周波誘導加熱用コイル21を含む。コイル21は、試料チャンバー10の外に配置される。すなわち、図2Aに示す例において、コイル21は、試料容器40を囲むように、試料チャンバー10の外周に沿って配置されている。
高周波誘導加熱用コイル21は、金属製である。コイル21を構成する金属は、高周波誘導加熱に適したものであれば特に限られないが、当該コイル21は、例えば、銅製、又はアルミニウム製であることが好ましく、銅製であることが特に好ましい。
試料チャンバー10は、冷却器70をさらに含むこととしてもよい。冷却器70は、試料チャンバー10(具体的には、試料チャンバー10の外壁12)を冷却するものであれば特に限られず、水冷式及び/又は空冷式の冷却器であることが好ましく、水冷式の冷却器であることが特に好ましい。
図2Aに示す例において、本装置1は、水冷式の冷却器70を含む。冷却器70は、冷媒(例えば、冷却水)が流通する冷却流路71を有している。この冷却流路71は、試料チャンバー10の外壁12の外周に沿って形成されている。
冷却器70は、試料チャンバー10の外壁12のうち、試料容器40を囲む部分を冷却するように配置される。すなわち、試料チャンバー10が上述した第一の部分10a及び第二の部分10bを有する場合、冷却器70は、少なくとも当該第一の部分10aの外壁12aを冷却するように配置される。
具体的に、水冷式の冷却器70の冷却流路71は、試料チャンバー10の外壁12のうち、試料容器40を囲む部分(例えば、第一の部分10aの外壁12a)の外周に沿って配置される。
また、試料チャンバー10の外周に沿って高周波誘導加熱用コイル21が配置される場合、水冷式の冷却器70の冷却流路71は、当該コイル21と、当該試料チャンバー10の外壁12との間に配置される。
すなわち、試料チャンバー10の第一部分10aの外周に沿って高周波誘導加熱用コイル21が配置される場合、冷却器70の冷却流路71は、当該コイル21と、当該第一部分10aの外壁12aとの間に配置される。
冷却器70は、試料チャンバー10の外壁12のうち、伝熱部材50の少なくとも一部を囲む部分を冷却するように配置されてもよい。すなわち、伝熱部材50が上述した炭素部材51及び金属部材52を含む場合、冷却器70は、試料チャンバー10の外壁12のうち、少なくとも当該炭素部材51を囲む部分(例えば、当該炭素部材51を囲む第一部分10aの外壁12a)を冷却するように配置される。
具体的に、水冷式の冷却器70の冷却流路71は、試料チャンバー10の外壁12のうち、少なくとも伝熱部材50の炭素部材51を囲む部分(例えば、当該炭素部材51を囲む第一部分10aの外壁12a)の外周に沿って配置される。
検出器30は、試料チャンバー10と接続され、本装置1を用いた昇温脱離分析において、当該試料チャンバー10内で加熱された固体試料Sから発生した脱離ガスを検出する。
検出器30は、固体試料Sからの脱離ガスを検出できる機器であれば特に限られないが、例えば、質量分析計であることが好ましい。質量分析計は、特に限られないが、例えば、四重極質量分析計(QMS)、又は磁場セクター型質量分析計であることが好ましく、QMSであることが特に好ましい。
本装置1は、図1に示すように、試料チャンバー10と、検出器30とを接続する配管流路80を含む。昇温脱離分析において、試料チャンバー10内で加熱された固体試料Sから発生した脱離ガスは、当該試料チャンバー10の内部空間11から、配管流路80内を通過して、検出器30に到達する。
本装置1は、図1に示すように、配管流路80を加熱する流路ヒーター81を含むこととしてもよい。流路ヒーター81は、例えば、配管流路80のうち、試料チャンバー10と、検出器30との間の部分の外周に沿って配置される。流路ヒーター81は、例えば、電熱線を含むヒーター(例えば、テープヒーター)であることが好ましい。
本装置1は、試料チャンバー10の内部空間11、及び/又は配管流路80の内部を減圧するための減圧装置を含むこととしてもよい。減圧装置は、例えば、配管流路80に接続される。この場合、減圧装置は、配管流路80の一部を介して、試料チャンバー10の内部空間11を減圧する。
減圧装置は、減圧された空間を形成できるものであれば特に限られないが、例えば、減圧ポンプであることが好ましい。減圧ポンプは、例えば、ロータリーポンプ(RP)、及び/又はターボ分子ポンプ(TMP)であることが好ましい。
具体的に、本装置1は、図1に示すように、検出器30より下流側(検出器30の試料チャンバー10と反対側)に配置された減圧ポンプ90を含むこととしてもよい。この減圧ポンプ90は、試料チャンバー10、配管流路80、及び検出器30を減圧する。減圧ポンプ90は、例えば、TMPであることが好ましい。
また、本装置1は、図1に示すように、配管流路80のうち、試料チャンバー10と検出器30との間の部分に接続された減圧ポンプ91を含むこととしてもよい。この減圧ポンプ91は、後述のとおり、試料チャンバー10内の試料容器40で凍結された混合物Mの真空乾燥に用いられる。減圧ポンプ91は、例えば、RPであることが好ましい。
また、本装置1は、図1に示すように、配管流路80のうち、減圧ポンプ91と、検出器30との間の部分に接続された減圧ポンプ92を含むこととしてもよい。この減圧ポンプ92は、試料チャンバー10の内部空間11を高真空とするために用いられる。減圧ポンプ92は、例えば、TMPであることが好ましい。
本装置1は、図1に示すように、配管流路80内の圧力を測定する圧力計P1を含むこととしてもよい。この圧力計P1によって、配管流路80内の圧力状態(例えば、ガスのリークの有無)を監視することができる。また、配管流路80は、図1に示すように、バルブV1,V2,V3,V4,V5を含んでもよい。
本装置1は、図1に示すように、配管流路80に接続された、試料チャンバー10にガスを供給するためのガス供給流路82をさらに含むこととしてもよい。ガス供給流路82には、ガス供給源(例えば、ガスボンベ)83が接続されてもよい。
この場合、ガス供給源83と配管流路80との間にはガス溜め84が配置されてもよい。また、ガス溜め84には、圧力計P2が接続されてもよい。ガス供給流路82は、図1に示すように、バルブV6,V7を含んでもよい。
次に、本実施形態に係る昇温脱離分析方法(以下、「本方法」という。)について説明する。本方法は、上述した昇温脱離分析装置(本装置1)を用いて、昇温脱離法により、固体試料を分析する、昇温脱離分析方法である。
図3には、本方法の一例に含まれる主な工程を示す。本方法は、例えば、図3に示すように、固体試料Sと液体Lとの混合物Mを試料チャンバー10内の試料容器40に収容すること(S101)、当該試料容器40に接続された伝熱部材50の被冷却部50bを冷却することにより、当該試料容器40内の当該混合物Mを凍結すること(S102)、当該試料チャンバー10の内部空間11を減圧して、当該試料容器40内の凍結した当該混合物Mを乾燥させること(S103)、及び、当該混合物Mの乾燥によって当該試料容器40内に残された当該固体試料Sを、ヒーター20による加熱下で、昇温脱離法により分析すること(S104)、を含む。
工程S101においては、まず、試料Sと液体Lとを混合して混合物Mを調製する。次いで、得られた混合物Mを、本装置1の試料チャンバー10内の試料容器40に入れる。具体的に、試料チャンバー10が、分離可能に接続された第一部分10a及び第二部分10bを含む場合、試料容器40を収容する当該第一部分10aを、当該第二部分10bと分離し、露出した当該試料容器40内に、混合物Mを収容する。
なお、試料チャンバー10の内部空間11が予め減圧されている場合、まずガス供給流路82を介して、ガス供給源83から当該内部空間11にガスを供給して昇圧した後に、第一部分10aと第二部分10bとを分離する。
すなわち、例えば、図1に示す本装置1を用いる場合、配管流路80のバルブV1を開け、バルブV2及びバルブV3を閉じた状態で、ガス供給流路82のバルブV6を開けて、ガス溜め84に保持されていたガス(ガスは予め、バルブVを開けた状態でガス供給源83からガス溜め84に導入されている)を、試料チャンバー10の内部空間11に供給して、当該内部空間11を常圧まで昇圧する。
その後、ガス供給流路82のバルブV6を閉じてガスの供給を停止するとともに、試料チャンバー10の第一部分10aを第二部分10bから分離して、試料容器40の凹部41に混合物Mを入れる。
固体試料Sは、昇温脱離法による分析の対象となる固体の試料であれば特に限られないが、例えば、炭素材料、金属材料、金属酸化物材料、有機材料(例えば、熱硬化性樹脂、フッ素樹脂及びゴム材料からなる群より選択される1以上)及び生体材料(例えば、核酸、及び生体タンパク質からなる群より選択される1以上)からなる群より選択される1種以上であることとしてもよく、炭素材料であることが好ましい。
固体試料Sが炭素材料である場合、当該炭素材料における炭素原子の含有量は、例えば、70重量%以上であってもよく、75重量%以上であってもよく、80重量%以上であってもよく、85重量%以上であってもよく、90重量%以上であってもよい。
液体Lは、固体試料Sと混合可能な液体であれば特に限られないが、例えば、水、重水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、及びプロパノールからなる群より選択される1以上)、及びアセトンからなる群より選択される1以上であることとしてもよく、水及び/又は重水であることが好ましい。
混合物Mは、固体試料Sと液体Lとを含む。混合物Mは、液体Lと、当該液体L中に分散された固体試料Sとを含む懸濁液であることとしてもよい。具体的に、混合物Mは、例えば、炭素材料と、当該炭素材料に含まれるプロトン性水素原子(例えば、当該炭素材料の炭素構造に結合した官能基に含まれるプロトン性水素原子)を重水素原子に置換するための重水と、を混合して調製された懸濁液であることとしてもよい。この場合、混合物Mは、重水と、当該重水中に分散された炭素材料とを含む。
混合物Mにおける液体Lの含有量は、特に限られないが、例えば、50重量%以上、99重量%以下であることとしてもよく、60重量%以上、99重量%以下であることとしてもよく、70重量%以上、99重量%以下であることとしてもよく、80重量%以上、99重量%以下であることとしてもよい。
工程S102においては、試料容器40に接続された伝熱部材50の被冷却部51を冷却することにより、当該伝熱部材50を介して当該試料容器40を冷却し、さらに、当該試料容器40を介して当該試料容器40内の混合物Mを冷却して、最終的に、当該試料容器40内で当該混合物Mを凍結する。
具体的に、試料チャンバー10の第一部分10aを第二部分10bと分離して、試料容器40内に混合物Mを収容した場合、まず、当該第一部分10aを当該第二部分10bに再び接続して、密閉された内部空間11を形成し、次いで、伝熱部材50の被冷却部50bを冷却することにより、当該内部空間11内で当該試料容器40内に保持された混合物Mを冷却し、凍結する。
工程S102において混合物Mが凍結するまでの冷却中、試料チャンバー10の内部空間11は、減圧しない(すなわち、混合物Mが凍結するまでの間、当該混合物Mを常圧の内部空間11内で冷却する)こととしてもよいし、減圧してもよい。
伝熱部材50の被冷却部50bを冷却する温度は、当該伝熱部材50を介して冷却された試料容器40内の混合物Mが凍結する程度に低い温度であれば特に限られず、例えば、-10℃以下であることとしてもよく、-50℃以下であることとしてもよく、-100℃以下であることとしてもよく、-150℃以下であることとしてもよい。
伝熱部材50の被冷却部50bを冷却する方法は、当該伝熱部材50を介して冷却された試料容器40内の混合物Mが凍結する方法であれば特に限られず、例えば、当該伝熱部材50の被冷却部50bを冷媒と接触させる方法が好ましく用いられる。冷媒は、流体であれば特に限られないが、例えば、液体冷媒R(例えば、液体窒素)であることが好ましい。
具体的に、伝熱部材50の被冷却部50bが突出して形成されている場合、図2Bに示すように、容器C内に収容された液体冷媒R中に、当該被冷却部50bを浸漬することで、当該被冷却部50bを冷却する。
工程S103においては、混合物Mの凍結後、試料チャンバー10の内部空間11を減圧して、当該試料容器40内の凍結した当該混合物Mを乾燥させる。すなわち、本方法においては、本装置1の試料チャンバー10の密閉された内部空間11において、固体試料S及び液体Lを含む混合物Mを凍結し、その後、そのまま当該密閉された内部空間11を減圧して、凍結した当該混合物Mを乾燥させる。
具体的に、例えば、図1に示す本装置1を用いる場合、配管流路80と減圧ポンプ91との間に配置されたバルブV2を開けるとともに、当該減圧ポンプ91を駆動させて、試料チャンバー10の内部空間11を減圧することにより、当該内部空間11内で、凍結した混合物Mを乾燥させる。
すなわち、凍結した混合物Mに含まれている液体Lの凍結成分を昇華させて、試料チャンバー10の内部空間11外に排出する。この結果、試料容器40内には混合物Mに含まれていた固体試料Sが残される。
工程S104においては、混合物Mの乾燥によって試料容器40内に残された固体試料Sを、ヒーター20による加熱下で、昇温脱離法により分析する。すなわち、本方法においては、本装置1の試料チャンバー10の密閉された内部空間11において、固体試料S及び液体Lを含む混合物Mの凍結乾燥を行い、その後、そのまま減圧された当該内部空間11において、当該固体試料Sの昇温脱離分析を行う。
具体的に、例えば、図1に示す本装置1を用いる場合、試料チャンバー10の内部空間11の圧力を、昇温脱離分析に適した値まで低減した後、配管流路80のバルブV1,V3,V4が開いた状態で、冷却器70による冷却、及び、ヒーター20による固体試料Sの加熱(例えば、高周波誘導加熱)を開始する。
なお、混合物Mの凍結乾燥後、昇温脱離分析の開始前に、配管流路80と減圧ポンプ92との間に配置されたバルブV5を開けるとともに、当該減圧ポンプ92を駆動させて、試料チャンバー10の内部空間11を高度に減圧することにより、当該内部空間11の高真空化を行うこととしてもよい。
その後、加熱された固体試料Sから発生した脱離ガスを、検出器30で検出する。すなわち、試料チャンバー10の内部空間11で発生した脱離ガスは、配管流路80内を通過して、検出器30に到達し、検出される。
なお、試料容器40内の固体試料Sの昇温脱離分析中は、伝熱部材50の被冷却部50bを冷却する必要はない。このため、本方法においては、伝熱部材50の被冷却部50bを冷却することなく、固体試料Sの昇温脱離分析を行うこととしてもよい。ただし、必要に応じて、固体試料Sの昇温脱離分析中に、伝熱部材50の被冷却部50bを冷却してもよい。
すなわち、本方法においては、本装置1の試料チャンバー10内で、試料Sを含む混合物Mの凍結乾燥と、凍結乾燥により残された当該試料Sの昇温脱離分析とを続けて行う。具体的に、試料チャンバー10内における混合物Mの凍結乾燥後、当該試料チャンバー10を開けることなく、そのまま続けて、当該試料チャンバー10内で、試料Sの昇温脱離分析を行う。
このように、本方法によれば、本装置1の試料チャンバー10の内部空間11において、固体試料Sと液体Lとを含む混合物Mの凍結乾燥と、凍結乾燥後の当該固体試料Sの昇温脱離分析とを、当該内部空間11の密閉状態を維持したまま、続けて行うことができる。
次に、本実施形態に係る具体的な実施例について説明する。
[混合物の調製]
固体試料Sとして、炭素材料を用いた。具体的に、市販の活性炭(MSC30、Kansai Coke & Chemicals Co., Ltd.)を用いた。液体Lとしては、炭素材料に、当該炭素材料の炭素構造に結合した官能基に含まれるプロトン性水素原子を、重水素原子に置換する処理(H-D置換処理)を施すことを目的として、重水(DO)を用いた。
まず、炭素材料を、真空封止可能なバイアル瓶に入れ、真空乾燥した。次いで、バイアル瓶を真空封止した状態で、シリンジを用いて、重水(DO)を当該バイアル瓶に注入した。こうして、真空封止されたバイアル瓶内で、混合物Mとして、重水と、当該重水中に分散された炭素材料とを含む懸濁液を調製した。さらに、炭素材料に含まれるプロトン性水素原子と、重水中の重水素原子との交換反応を促進するため、バイアル瓶内の懸濁液を60℃に加熱し、24時間保持した。
[混合物の凍結乾燥]
図1に示す構成を有する本装置1を用いて、炭素材料を含む懸濁液の凍結乾燥を行った。すなわち、まず、ガス供給流路82を介して、ガス供給源83から、試料チャンバー10の内部空間11にガス(アルゴン)を供給することにより、当該内部空間11を常圧まで昇圧した。次いで、石英製の第一部分10aを、ステンレス製の第二部分10bから分離し、バイアル瓶から試料容器40の凹部41内に、炭素材料を含む懸濁液を移した。
さらに、第一部分10aを第二部分10bと接続して、試料チャンバー10内に密閉された内部空間11を形成した。こうして、試料チャンバー10の内部空間11において、試料容器40に懸濁液を収容した。
その後、伝熱部材50の突出した被冷却部50bを、金属製の容器C内に収容された液体窒素に浸漬することにより、当該伝熱部材50を介して、試料容器40内の懸濁液を冷却し、最終的に、当該懸濁液を凍結した。
次いで、減圧ポンプ91(RP)を駆動させて、凍結した懸濁液が保持された試料チャンバー10の内部空間11を減圧することにより、当該内部空間11内で、凍結した当該懸濁液を乾燥させた。この結果、試料容器40には、H-D置換処理が施され、乾燥された炭素材料が残った。
[昇温脱離分析]
凍結乾燥後の炭素材料を、本装置1を用いた昇温脱離法により分析した。すなわち、上述した凍結乾燥後、試料チャンバー10の内部空間11を昇圧することなく、さらに減圧ポンプ92(TMP)を駆動させることで、1×10-3Pa以下の高真空の内部空間11を形成した。
その後、高周波誘導加熱ヒーターであるヒーター20、及び水冷式の冷却器70を作動させて、試料チャンバー10の高真空内部空間11中、0℃から1600℃まで、昇温速度10℃/分で温度を上昇させながら、当該炭素材料を加熱した。
そして、0℃から1600℃まで温度が上昇する期間に生成された脱離ガス(具体的には、CO、CO、H、HD、D、HO、DHO及びDO)を検出器30(QMS)にて測定した。また、比較のため、H-D置換処理が施されていない炭素材料についても同様に昇温脱離法による脱離ガスの測定を行った。
[結果]
図4A、及び図4Bには、H-D置換処理が施されていない炭素材料(MSC)について得られたCO及びCOの昇温脱離スペクトル、及びHの昇温脱離スペクトルをそれぞれ示す。図5A、及び図5Bには、H-D置換処理が施された炭素材料(MSC(DO))について得られたCO及びCOの昇温脱離スペクトル、及びH、HD及びDの昇温脱離スペクトルをそれぞれ示す。
図5A及び図5Bに示すように、H-D置換処理のための重水を含む炭素材料の懸濁液を本装置内で凍結乾燥し、続けて昇温脱離分析した場合でも、図4A及び図4Bに示す当該懸濁液の凍結乾燥を行うことなく乾燥した炭素材料をそのまま昇温脱離分析した場合と同様の昇温脱離スペクトルが得られた。
また、図5Bに示すように、H-D置換処理が施された炭素材料の昇温脱離スペクトルにおいては、当該H-D置換処理によってプロトン性水素原子が重水素原子に置換された官能基に由来する重水素化水素(HD)ガス及び重水素(D)ガスが検出された。

Claims (10)

  1. 減圧可能な内部空間を有する試料チャンバー、
    前記試料チャンバー内の固体試料を加熱するヒーター、及び、
    前記試料チャンバー内で加熱された前記固体試料から発生した脱離ガスを検出する検出器、
    を含み、
    前記試料チャンバーは、前記内部空間内に、
    前記固体試料と液体との混合物を収容するための試料容器、及び、
    前記試料容器と伝熱可能に接続された接続部分と、前記試料容器内の前記混合物を凍結するために冷却される被冷却部分とを有する伝熱部材、
    を含む、
    昇温脱離分析装置。
  2. 前記伝熱部材の前記被冷却部分は、前記試料チャンバーの前記内部空間から突出して形成されている、
    請求項1に記載の昇温脱離分析装置。
  3. 前記伝熱部材は、前記接続部分としての一方の端部と、前記被冷却部分としての他方の端部と、を有する棒状の部材である、
    請求項1又は2に記載の昇温脱離分析装置。
  4. 前記伝熱部材は、前記接続部分を有する炭素部材を含む、
    請求項1乃至3のいずれかに記載の昇温脱離分析装置。
  5. 前記伝熱部材は、前記被冷却部分を有する金属部材を含む、
    請求項1乃至4のいずれかに記載の昇温脱離分析装置。
  6. 前記試料チャンバーは、前記試料容器を収容する第一部分と、前記伝熱部材を収容する第二部分とを含み、
    前記第一部分と前記第二部分とは分離可能に接続されている、
    請求項1乃至5のいずれかに記載の昇温脱離分析装置。
  7. 前記ヒーターは、前記固体試料を500℃以上に加熱するヒーターである、
    請求項1乃至6のいずれかに記載の昇温脱離分析装置。
  8. 前記ヒーターは、高周波誘導加熱ヒーターである、
    請求項1乃至7のいずれかに記載の昇温脱離分析装置。
  9. 前記試料チャンバーは、冷却器をさらに含む、
    請求項1乃至8のいずれかに記載の昇温脱離分析装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれかに記載の昇温脱離分析装置を用いて、昇温脱離法により、固体試料を分析する、昇温脱離分析方法であって、
    前記固体試料と液体との混合物を前記試料チャンバー内の前記試料容器に収容すること、
    前記試料容器に接続された前記伝熱部材の前記被冷却部分を冷却することにより、前記試料容器内の前記混合物を凍結すること、
    前記試料チャンバーの前記内部空間を減圧して、前記試料容器内の凍結した前記混合物を乾燥させること、及び、
    前記混合物の乾燥によって前記試料容器内に残された前記固体試料を、前記ヒーターによる加熱下で、昇温脱離法により分析すること、
    を含む、
    昇温脱離分析方法
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