以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係る浴槽洗浄装置を備えた浴槽システムを模式的に表す平面図である。
図1に表したように、浴槽システム500は、例えば、浴槽100と、浴槽洗浄装置200と、を備える。
浴槽100は、例えば、浴室の床に設置される。浴槽100は、例えば、略直方体の箱状であり、上方に向かって開放されている。浴槽100は、例えば、上面視において、長辺と短辺とを有する横長形状である。浴槽100は、内壁面110と、上面130と、を有する。内壁面110は、浴槽100の内側の面である。上面130は、内壁面110の上端から外方に拡がる面である。
内壁面110は、内壁面110の最下部に位置する内底面111と、内底面111よりも上方に位置する内側壁面112と、を有する。内側壁面112は、例えば、上面視において浴槽100の短辺側の第1内側壁面112a及び第2内側壁面112bと、上面視において浴槽100の長辺側の第3内側壁面112c及び第4内側壁面112dと、を有する。第1内側壁面112aは、例えば、第2内側壁面112bと対向する。第3内側壁面112cは、例えば、第4内側壁面112dと対向する。第3内側壁面112cは、例えば、浴室の洗い場床側に位置する。
内底面111には、浴槽100内の液体を下方に向かって排出する排水口115が設けられる。排水口115は、例えば、上面視において浴槽100の長辺の略中央に設けられる。排水口115は、例えば、上面視において浴槽100の短辺の中央よりも浴室の洗い場床側(すなわち、第3内側壁面112c側)に位置する。換言すれば、例えば、第3内側壁面112cと排水口115との間の水平方向の距離は、第4内側壁面112dと排水口115との間の水平方向の距離よりも短い。
この例では、浴槽100の上面130に洗剤投入口135が設けられている。洗剤投入口135は、例えば、浴槽100の内壁面110または第3内側壁面112cよりも洗い場床側に位置するバスエプロンに設けられてもよい。洗剤投入口135は、浴槽洗浄装置200(後述のタンク)と接続される。
また、この例では、浴槽100は、ステップ140を有する。ステップ140は、浴槽100の内部(すなわち、内壁面110よりも内側)において、内底面111よりも上、かつ、上面130よりも下に設けられた段差である。ステップ140は、短辺側の内側壁面112の一方(この例では、第1内側壁面112a)から内側に向かって延びるステップ上面141と、ステップ上面141の内側の端部から内底面111に向かって延びるステップ側面142と、を有する。ステップ上面141及びステップ側面142の一端は、第3内側壁面112cと接続される。ステップ上面141及びステップ側面142の他端は、第4内側壁面112dと接続される。ステップ140は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
浴槽洗浄装置200は、浴槽100に設けられる。より具体的には、浴槽洗浄装置200の一部(例えば、後述のノズル)は、浴槽100の内壁面110に設けられる。浴槽洗浄装置200の別の一部(例えば、後述のノズル以外の各部)は、浴槽100と浴室の側壁面との間の空間及び浴槽100の下方の空間に設けられる。
図2は、実施形態に係る浴槽洗浄装置を模式的に表す説明図である。
図3は、実施形態に係る浴槽洗浄装置を模式的に表すブロック図である。
図2及び図3に表したように、浴槽洗浄装置200は、タンク10と、洗剤混合部20と、ノズル30と、噴出制御部40と、駆動部50と、制御部60と、を備える。
タンク10は、洗剤投入口135と接続されており、洗剤投入口135から投入された洗剤を貯留する。タンク10には、例えば、フロートスイッチなどの水位検知部11が設けられる。
洗剤混合部20は、タンク10及び給水源WSの下流に設けられる。洗剤混合部20は、タンク10から供給される洗剤と給水源WSから直接、または間接的(例えば一時的に貯留された後)に供給される水とを混合して洗剤水を生成する。なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加熱されたお湯も含むものとする。つまり、給水源WSは、例えば、給湯器を有していてもよい。
洗剤混合部20は、例えば、洗剤水を貯留するタンクである。洗剤混合部20は、例えば、ノズル30から洗剤水を噴出する際には洗剤水を貯留し、ノズル30から水を噴出する際には水を貯留する。洗剤混合部20には、例えば、フロートスイッチなどの水位検知部21が設けられる。なお、洗剤混合部20は、これに限定されず、例えば、ベンチュリ管などであってもよい。
タンク10と洗剤混合部20との間には、洗剤流路15が設けられる。洗剤流路15は、タンク10と洗剤混合部20とを接続する。洗剤流路15には、例えば、開閉弁16と、流量調整部17と、ポンプ18と、が設けられる。
開閉弁16は、例えば、電磁弁である。開閉弁16は、洗剤混合部20への洗剤の供給を制御する。開閉弁16を開状態にすることで、タンク10に貯留された洗剤が洗剤混合部20に供給される。開閉弁16を閉状態にすることで、タンク10から洗剤混合部20への洗剤の供給が停止される。
流量調整部17は、例えば、開閉弁16の下流に設けられる。流量調整部17は、例えば、オリフィスである。流量調整部17は、洗剤流路15を流れる洗剤の流量を調整する。流量調整部17は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
ポンプ18は、例えば、開閉弁16及び流量調整部17の下流に設けられる。ポンプ18は、洗剤流路15内の洗剤を洗剤混合部20に送液する。
給水源WSと洗剤混合部20との間には、給水流路25が設けられる。給水流路25は、給水源WSと洗剤混合部20とを接続する。給水流路25には、例えば、開閉弁26と、流量調整部27と、が設けられる。
開閉弁26は、例えば、電磁弁である。開閉弁26は、洗剤混合部20への水の供給を制御する。開閉弁26を開状態にすることで、給水源WSからの水が洗剤混合部20に供給される。開閉弁26を閉状態にすることで、給水源WSから洗剤混合部20への水の供給が停止される。
流量調整部27は、例えば、開閉弁26の下流に設けられる。流量調整部27は、例えば、定流量弁である。流量調整部27は、給水流路25を流れる水の流量を調整する。
ノズル30は、浴槽100の内底面111に設けられる。ノズル30は、例えば、上面視において浴槽100の長辺の略中央に設けられる。ノズル30は、例えば、上面視において浴槽100の短辺の略中央に設けられる。
ノズル30は、噴出口31を有する。噴出口31は、液体(洗剤水または水)を浴槽100の内側壁面112の一部に向けて噴出する。ノズル30は、鉛直方向を軸に(すなわち、水平方向に)回転可能に設けられる。
ノズル30は、例えば、洗剤水の噴出を開始する位置において、噴出口31が浴槽100の長辺側の内側壁面112(すなわち、第3内側壁面112cまたは第4内側壁面112d)を向くように設けられる。
浴槽100の短辺側の内側壁面112は、ノズル30からの距離が比較的遠いため、洗剤水がかかる部分の密度が疎になりやすい。そのため、噴出口31からの噴出開始直後の不安定な吐水を浴槽100の短辺側の内側壁面112に向けると、さらに洗剤水がかかる部分の密度が疎になりやすい。これに対し、噴出口31が浴槽100の長辺側の内側壁面112を向くようにノズル30を設けることで、噴出口31からの噴出開始直後の不安定な吐水(所望の吐水形態になっていない吐水)であっても、浴槽100の内側壁面112において洗剤水がかかる部分の密度が疎になることを抑制できる。これにより、洗剤水が付着しない部分が生じることをさらに抑制することができる。
また、ノズル30は、例えば、洗剤水の噴出を開始する位置において、噴出口31がノズル30から排水口115に向かう第1方向D1以外の方向を向くように設けられていることが好ましい。
このような向きでノズル30を設けることで、ノズル30の回転を開始する前に噴出口31から噴出される洗剤水がそのまま排水口115に排出されてしまうことを抑制できる。換言すれば、ノズル30の回転を開始する前に噴出口31から噴出される洗剤水を浴槽100の内底面111を通って排水口115から排出させることができる。これにより、洗剤水がかからない部分が生じることを抑制するためにノズル30の回転を開始する前に噴出口31から洗剤水を噴出する構成であっても、排水口115に流れるまでの経路を延ばすことで、浴槽100の内底面111などの洗浄に有効に活用することができ、洗剤水の無駄を抑制することができる。
この例では、排水口115は、ノズル30から第3内側壁面112cに向かう方向に設けられている。したがって、この例では、ノズル30は、洗剤水の噴出を開始する位置において、噴出口31が第1内側壁面112a、第2内側壁面112b、または第4内側壁面112dを向くように設けられることが好ましい。また、この例では、第1内側壁面112a側にステップ140が設けられている。したがって、この例では、ノズル30は、洗剤水の噴出を開始する位置において、噴出口31が第1内側壁面112aを向くように設けられることがより好ましい。
噴出口31から安定して吐水されるときの液体の水平方向の吐水角度θ1(図1参照)は、例えば、噴出口31から安定して吐水されるときの液体の鉛直方向の吐水角度θ2(図2参照)よりも小さい。換言すれば、例えば、ノズル30(噴出口31)は、液体を縦長状に噴出する。このように、液体を縦長状に噴出することで、限られた量の液体をより効率良く浴槽100の内側壁面112全体に散布することができる。
水平方向の吐水角度θ1は、噴出口31から安定して吐水されるときの液体の吐水形状をノズル30の上方に設けたカメラで所定時間(例えば、1秒間)撮影し、撮影した映像から所定時間内における液体の水平方向の吐水角度φ1を求め、この吐水角度φ1と所定時間内に回転したノズル30の水平方向の回転角度φ2との差から求めることができる(θ1=φ1-φ2)。
鉛直方向の吐水角度θ2は、噴出口31から安定して吐水されるときの液体の吐水形状をノズル30の側方に設けたカメラで撮影し、撮影した画像における鉛直方向の吐水角度から求めることができる。
水平方向の吐水角度θ1は、5度以上30度以下であることが好ましい。鉛直方向の吐水角度θ2は、例えば、30度以上180度以下であることが好ましい。なお、水を噴出する場合の鉛直方向の吐水角度θ2は、洗剤水を噴出する場合の鉛直方向の吐水角度θ2よりも大きいことが好ましい。
洗剤混合部20とノズル30との間には、洗浄流路35が設けられる。洗浄流路35は、洗剤混合部20とノズル30とを接続する。洗浄流路35には、例えば、噴出制御部40と、逆流防止部36と、が設けられる。
噴出制御部40は、噴出口31からの液体の噴出を制御する。噴出制御部40は、洗剤混合部20の下流に設けられる。噴出制御部40は、例えば、ポンプである。噴出制御部40は、例えば、電磁弁などの開閉弁であってもよい。噴出制御部40は、例えば、電磁弁などの開閉弁に加えて、流量調整弁を有していてもよい。噴出制御部40は、例えば、噴出口31からの液体の噴出瞬間流量を制御する。
逆流防止部36は、例えば、噴出制御部40の下流に設けられる。逆流防止部36は、ノズル30から洗剤混合部20への洗剤水や水、排水などの逆流を抑制する。逆流防止部36は、例えば、逆止弁である。逆流防止部36は、電磁弁などの開閉弁であってもよい。逆流防止部36は、例えば、複数設けられてもよい。
駆動部50は、ノズル30を駆動させる。駆動部50は、例えば、鉛直方向を軸にノズル30を回転させる回転部51を有する。回転部51は、例えば、ステッピングモータである。回転部51は、これに限定されないが、回転速度を制御可能なものが望ましい。
制御部60は、噴出制御部40及び駆動部50(例えば、回転部51)と電気的に接続されており、噴出制御部40及び駆動部50を制御する。より具体的には、制御部60は、噴出制御部40を制御して、噴出口31からの液体の噴出の開始及び停止のタイミングや、噴出量を制御する。また、制御部60は、駆動部50を制御して、ノズル30の駆動の開始及び停止のタイミングや、駆動速度を制御する。より具体的には、制御部60は、回転部51を制御して、ノズル30の回転の開始及び停止のタイミングや、回転速度を制御する。
また、制御部60は、例えば、洗剤流路15の開閉弁16及び給水流路25の開閉弁26を制御する。制御部60は、例えば、洗剤混合部20の水位検知部21の検知結果に基づいて、開閉弁16及び開閉弁26を制御することで、洗剤混合部20において生成する洗剤水の濃度や量、水の量などを制御する。
図4(a)及び図4(b)は、実施形態に係る浴槽洗浄装置のノズル周辺を模式的に表す断面図である。
図4(a)は、ノズル30(噴出口31)から液体が噴出されていない状態(待機状態)を表している。
図4(b)は、ノズル30(噴出口31)から液体が噴出されている状態(噴出状態)を表している。
図4(a)及び図4(b)に表したように、浴槽洗浄装置200は、シャフト部70と、ケーシング80と、シール部材90と、をさらに備える。
シャフト部70は、ノズル30と回転部51との間に設けられる。シャフト部70は、回転部51(例えば、ステッピングモータ)のトルクをノズル30に伝達する。例えば、回転部51が時計回りに回転すると、シャフト部70及びノズル30は、時計回りに回転する。例えば、回転部51が反時計回りに回転すると、シャフト部70及びノズル30は、反時計回りに回転する。シャフト部70の回転軸は、例えば、回転部51の回転軸と同軸である。
ケーシング80は、中空であり、内部の空間にノズル30、回転部51、シャフト部70、及びシール部材90を収納する。この例では、ケーシング80は、第1の空間81と、第2の空間82と、を有している。第1の空間81は、浴槽100の内部側に位置し、第2の空間82は、浴槽100の外部側に位置する。ノズル30、シャフト部70、及びシール部材90は、第1の空間81に収納されており、回転部51は、第2の空間82に収納されている。ケーシング80は、第1の空間81と、第2の空間82と、に分かれていなくてもよい。
シール部材90は、ノズル30とケーシング80との間の隙間を塞ぐ。シール部材90は、例えば、パッキンである。この例では、シール部材90は、ノズル30に取り付けられている。このように、シール部材90をノズル30に取り付けることで、組立性や形状の自由度を向上させることができる。シール部材90は、例えば、ケーシング80に取り付けられていてもよい。
実施形態において、ノズル30、回転部51、シャフト部70、ケーシング80、及びシール部材90は、ケーシング80にノズル30、回転部51、シャフト部70、及びシール部材90が収納されたノズルユニット180として設けられていてもよい。ノズルユニット180は、浴槽100の内底面111に設けられたノズルユニット保持部185に対して着脱自在に取り付けられる。このような構造とすることで、ノズル30、回転部51、シャフト部70、ケーシング80、及びシール部材90のメンテナンス性を向上させることができる。
図4(a)に表したように、待機状態において、ノズル30は浴槽100の内部から後退した第1位置にある。一方、図4(b)に表したように、噴出状態において、ノズル30は浴槽100の内部に進出した第2位置にある。このように、ノズル30は、第1位置と第2位置との間で進出及び後退(進退)し、第2位置に進出した状態で内側壁面112に向けて液体を噴出する。実施形態において、ノズル30は、浴槽100の内底面111に設けられる。つまり、第2位置は、第1位置よりも高い位置である。換言すれば、ノズル30は、第1位置と第2位置との間で上下に移動する。以下、浴槽100の内部側を上方、浴槽100の外部側を下方として説明する。
駆動部50は、ノズル30を進退させる進退部(昇降部)52をさらに有する。この例では、進退部52は、ケーシング80の内部に設けられた貯留空間83及びノズル30を下方に付勢するバネ85である。貯留空間83は、ケーシング80の内部において、ノズル30の下方に設けられ、液体を貯めることができる空間である。洗浄流路35から供給される液体は、この貯留空間83を経由してノズル30に供給される。貯留空間83は、例えば、第1の空間81の一部である。
ノズル30(噴出口31)から液体を噴出させる際に、洗浄流路35から貯留空間83に液体が供給されて貯留空間83内部の圧力が大きくなると、貯留空間83からノズル30に対して上方へ押し上げる力が働く。この上方への力がバネ85による下方への力よりも大きくなると、ノズル30は、第1位置から第2位置に向かって上昇(進出)する。一方で、液体により貯留空間83内部の圧力が大きくなると、噴出口31から液体が噴出される。このとき、噴出口31からの液体の噴出は、ノズル30が第2位置に到達する前に開始される。洗浄流路35からの液体の供給が停止すると、噴出口31からの液体の噴出が停止する。貯留空間83の液体が減少して、ノズル30を押し上げる上方への力がバネ85による下方への力よりも小さくなると、ノズル30は、第2位置から第1位置に向かって下降(後退)する。
このような進退部52を用いることで、モータなどの駆動機構を設けなくても、ノズル30の進退を行うことができる。したがって、ノズル30周辺を小型化できるとともに、ノズル30周辺のメンテナンス性を向上させることができる。
なお、進退部52は、これに限定されず、ノズル30を進退させるモータやソレノイドなどのアクチュエータであってもよい。進退部52がアクチュエータの場合、進退部52は、例えば、制御部60と電気的に接続され、制御部60により制御される。
進退部52は、必要に応じて設けられ、省略可能である。つまり、駆動部50は、ノズル30を進退させずに回転させてもよい。待機状態におけるノズル30の上下方向の位置は、噴出状態におけるノズル30の上下方向の位置と同じであってもよい。
図5は、実施形態に係る浴槽洗浄装置の動作を表すフローチャートである。
図5に表したように、制御部60は、本洗浄モードと、すすぎモードとを実行可能である。
本洗浄モードは、ノズル30(噴出口31)から第1濃度の洗剤水を噴出させるモードである。本洗浄モードを実行することで、浴槽100の内壁面110に付着した皮脂や角質などの汚れを剥がれやすくすることができる。また、本洗浄モードにより、浴槽100の内壁面110に付着した皮脂や角質などの汚れや髪の毛などの付着物の一部を洗い落とすこともできる。なお、第1濃度は、界面活性剤の濃度換算で1体積%以上30体積%以下であることが好ましい。
すすぎモードは、ノズル30(噴出口31)から水を噴出させるモードである。すすぎモードは、本洗浄モードよりも後に実行される。本洗浄モードよりも後にすすぎモードを実行することで、本洗浄モードで散布した洗剤水、及び、洗剤水によって剥がれた皮脂や角質などの汚れを洗い落とすことができる。また、すすぎモードにより、浴槽100の内壁面110に付着した髪の毛などの付着物を洗い落とすことができる。
また、制御部60は、前洗浄モードをさらに実行可能である。前洗浄モードは、ノズル30(噴出口31)から水または第1濃度よりも低い第2濃度の洗剤水を噴出させるモードである。前洗浄モードは、本洗浄モードよりも前に実行される。本洗浄モードよりも前に前洗浄モードを実行することで、浴槽100の内壁面110に付着した髪の毛などの付着物を事前に洗い落とすことができるため、本洗浄モードにおける洗浄性能を向上させることができる。なお、第2濃度は、界面活性剤の濃度換算で0体積%を超え29体積%以下であることが好ましい。前洗浄モードは、必要に応じて実行され、省略可能である。
以下、図5に示した浴槽洗浄のフローについて説明する。
使用者がリモコンなどによって浴槽洗浄の操作を実行すると(ステップS101)、制御部60は、浴槽100内の水を排水口115から排水する(ステップS102)。例えば、浴槽100には、浴槽100の内部の水位を検知するための水位検知部が設けられている。例えば、水位検知部により検知可能な最低水位になってから(あるいは、水位検知部が検知しない状態になってから)所定時間経過したら、排水が終了したものとみなすことができる。
次に、制御部60は、前洗浄モードを実行する(ステップS103)。前洗浄モードにおいて、制御部60は、浴槽100の内壁面110に向けて洗剤水または水を散布する。より具体的には、制御部60は、噴出制御部40を制御して、ノズル30の噴出口31から浴槽100の内側壁面112の一部に向けて洗剤水または水を噴出させるとともに、回転部51を制御して、ノズル30を回転させる。これにより、内側壁面112の全体に洗剤水または水を散布することができる。制御部60は、例えば、内側壁面112の所定範囲に2回以上洗剤水または水がかかるように、ノズル30を複数周回転させる。
前洗浄モードにおいて、制御部60は、例えば、1000mL/分の噴出瞬間流量で洗剤水または水を噴出させながら、ノズル30を時計回りに30秒/周の回転速度で回転させる。ノズル30が1周すると、制御部60は、同じ噴出瞬間流量で洗剤水または水を噴出させながら、ノズル30を反時計回りに同じ回転速度で回転させる。この時計回りと反時計回りのセットを2回繰り返すことで、内側壁面112の所定範囲に4回洗剤水または水をかけることができる。制御部60は、洗剤水または水を噴出させた状態でノズル30を1周回転させた後、洗剤水または水を噴出させない状態でノズル30を逆向きに回転させて噴出開始位置に戻し、再び洗剤水または水を噴出させた状態でノズル30を回転させることを繰り返してもよい。また、制御部60は、洗剤水または水を噴出させながらノズル30を時計回りまたは反時計回りに連続して複数周回転させてもよい。なお、前洗浄モードにおける噴出瞬間流量、ノズル30の回転速度、及びノズル30の回転回数は、適宜調整することができる。
前洗浄モードにおいて、制御部60は、例えば、合計で2000mL程度の洗剤水または水をノズル30(噴出口31)から噴出させる。なお、前洗浄モードにおいて、制御部60は、洗剤水または水を複数回に分けて噴出させてもよい。換言すれば、前洗浄モードにおいて、制御部60は、例えば、洗剤水または水を噴出する状態(噴出状態)と洗剤水または水を噴出しない状態(待機状態)とを交互に実行してもよい。
次に、制御部60は、本洗浄モードを実行する(ステップS104)。本洗浄モードにおいて、制御部60は、浴槽100の内壁面110に向けて洗剤水を散布する。より具体的には、制御部60は、噴出制御部40を制御して、ノズル30の噴出口31から浴槽100の内側壁面112の一部に向けて洗剤水を噴出させるとともに、回転部51を制御して、ノズル30を回転させる。これにより、内側壁面112の全体に洗剤水を散布することができる。制御部60は、例えば、内側壁面112の所定範囲に2回以上洗剤水がかかるように、ノズル30を複数周回転させる。
本洗浄モードにおいて、制御部60は、例えば、洗剤水を噴出させながら、ノズル30を時計回りに回転させる。ノズル30が1周すると、制御部60は、洗剤水を噴出させない状態で、ノズル30を反時計回りに回転させて噴出開始位置に戻し、所定時間(例えば、3分間)が経過するまで待機する。制御部60は、洗剤水を噴出させない状態で、ノズル30を時計回りに回転させて噴出開始位置に戻してもよい。所定時間が経過すると、制御部60は、再度、洗剤水を噴出させながら、ノズル30を時計回りに回転させる。例えば、この時計回りと反時計回りのセットを3回繰り返すことで、内側壁面112の所定範囲に3回洗剤水をかけることができる。本洗浄モードにおける噴出瞬間流量及びノズル30の回転速度については、後述する。本洗浄モードにおけるノズル30の回転回数は、適宜調整することができる。
本洗浄モードにおいて、制御部60は、例えば、合計で500mL程度の洗剤水をノズル30(噴出口31)から噴出させる。また、上記のように、本洗浄モードにおいて、制御部60は、例えば、洗剤水を複数回に分けて噴出させてもよい。換言すれば、本洗浄モードにおいて、制御部60は、例えば、洗剤水を噴出する状態(噴出状態)と洗剤水を噴出しない状態(待機状態)とを交互に実行してもよい。
このように、本洗浄モードにおいて、噴出口31から浴槽100の内側壁面112の一部に向けて洗剤水を噴出させながら、ノズル30を回転させることで、限られた量の洗剤水を効率良く浴槽100の内側壁面112全体に散布することができる。
なお、本洗浄モードにおいて、ノズル30の回転する可動域は、360度よりも大きく390度以下が好ましい。さらに好ましくは、375度程度である。このような角度でノズル30を回転させることで、浴槽100の内側壁面112において洗剤水がかからない部分が生じることをさらに抑制できる。
次に、制御部60は、すすぎモードを実行する(ステップS105)。すすぎモードにおいて、制御部60は、浴槽100の内壁面110に向けて水を散布する。より具体的には、制御部60は、噴出制御部40を制御して、ノズル30の噴出口31から浴槽100の内側壁面112の一部に向けて水を噴出させるとともに、回転部51を制御して、ノズル30を回転させる。これにより、内側壁面112の全体に水を散布することができる。制御部60は、例えば、内側壁面112の所定範囲に2回以上水がかかるように、ノズル30を複数周回転させる。
すすぎモードにおいて、制御部60は、例えば、1000mL/分の噴出瞬間流量で水を噴出させながら、ノズル30を時計回りに30秒/周の回転速度で回転させる。ノズル30が1周すると、制御部60は、同じ噴出瞬間流量で洗剤水を噴出させながら、ノズル30を反時計回りに同じ回転速度で回転させる。例えば、この時計回りと反時計回りのセットを3回繰り返すことで、内側壁面112の所定範囲に6回水をかけることができる。制御部60は、水を噴出させた状態でノズル30を1周回転させた後、水を噴出させない状態でノズル30を逆向きに回転させて噴出開始位置に戻し、再び水を噴出させた状態でノズル30を回転させることを繰り返してもよい。また、制御部60は、水を噴出させながらノズル30を同じ向きに連続して複数周回転させてもよい。なお、すすぎモードにおける噴出瞬間流量、ノズル30の回転速度、及びノズル30の回転回数は、適宜調整することができる。
すすぎモードにおいて、制御部60は、例えば、合計で3000mL程度の水をノズル30(噴出口31)から噴出させる。なお、すすぎモードにおいて、制御部60は、例えば、水を複数回に分けて噴出させてもよい。換言すれば、すすぎモードにおいて、制御部60は、例えば、水を噴出する状態(噴出状態)と水を噴出しない状態(待機状態)とを交互に実行してもよい。
前洗浄モード及びすすぎモードにおいて、ノズル30の回転する可動域は、例えば、本洗浄モードにおいてノズル30の回転する可動域と同じである。
また、ステップS101における操作は、排水の操作であってもよい。つまり、使用者がリモコンなどによって排水の操作を実行すると(ステップS101)、制御部60は、浴槽100内の水を排水口115から排水し(ステップS102)、続けて浴槽100の洗浄(ステップS103~S105)を実行してもよい。
また、前洗浄モード及び本洗浄モードにおいて、ノズル30(噴出口31)から噴出され洗浄に使用された洗剤水は、排水口115に流れる。前洗浄モード及び本洗浄モードにおいて、排水口115に流れた洗剤水は、そのまま排水口115から排出されてもよいし、排水口115からは排出されず図示しない回収機構により回収されて洗浄に再利用されてもよい。換言すれば、浴槽洗浄装置200は、洗剤回収式であってもよいし、洗剤非回収式であってもよい。
図6は、実施形態に係る浴槽洗浄装置の噴出状態を模式的に表す平面図である。
図7は、実施形態に係る浴槽洗浄装置の本洗浄モードにおけるノズルの回転動作を表すフローチャートである。
図6に表したように、内側壁面112は、第1領域R1と第2領域R2とを有する。第1領域R1は、ノズル30までの水平方向の距離が所定距離(第1距離L1)未満の領域である。第1領域R1は、例えば、長辺側の内側壁面112(第3内側壁面112c及び第4内側壁面112d)の少なくとも一部を含む。第2領域R2は、ノズル30までの水平方向の距離が所定距離(第1距離L1)以上の領域である。第2領域R2は、例えば、短辺側の内側壁面112(第1内側壁面112a及び第2内側壁面112b)の少なくとも一部を含む。第1領域R1と第2領域R2とは、上面視において、内側壁面112に沿って交互に並ぶ。
図6に表したように、上面視において、内側壁面112のうちノズル30までの水平方向の距離が第1距離L1である位置を第1~第4点P1~P4とすると、第1領域R1は、内側壁面112のうち第1点P1と第2点P2との間の領域、及び、第3点P3と第4点P4との間の領域である。第2領域R2は、内側壁面112のうち第2点P2と第3点P3との間の領域、及び、第4点P4と第1点P1との間の領域である。
また、この例では、第1点P1と第3点P3とを結ぶ直線は、第2点P2と第4点P4とを結ぶ直線と直交する。換言すれば、第1領域R1と第2領域R2とは、ノズル30を中心に90度ずつずれた位置に交互に配置されている。
実施形態において、所定角度範囲ψにおける噴出口31からの液体の噴出量Qは、Q=qψ/ωで表すことができる。図6に表したように、qは、所定角度範囲ψにおける噴出瞬間流量を示す。なお、噴出瞬間流量は、単位時間あたりにノズル30(噴出口31)から噴出される液体の量である。ωは、所定角度範囲ψにおけるノズル30の回転速度を示す。なお、所定角度範囲ψは、例えば、90度である。
実施形態において、制御部60は、第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψ2における噴出量Q2が、第1領域R1に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψ1における噴出量Q1よりも多くなるように、噴出制御部40及び回転部51を制御する。なお、第1領域R1に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψ1における噴出量Q1は、Q1=q1ψ1/ω1で表すことができる。第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψ2における噴出量Q2は、Q2=q2ψ2/ω2で表すことができる。所定角度範囲ψ1及び所定角度範囲ψ2は、同じ角度である。
このように、ノズル30からの距離が比較的遠い内側壁面112の第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψ2における噴出量Q2を、ノズル30からの距離が比較的近い内側壁面112の第1領域R1に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψ1における噴出量Q1よりも多くすることで、例えば、第2領域R2の単位面積あたりにかかる洗剤水の量を第1領域R1の単位面積あたりにかかる洗剤水の量と同程度にすることができる。これにより、ノズル30からの距離が比較的遠い内側壁面112の第2領域R2において、洗剤水がかかる部分の密度が疎になることを抑制できる。したがって、ノズル30の回転の1周目において洗剤水が付着しない部分が生じることを抑制でき、ノズル30の回転の2周目以降においても洗剤水が付着しない部分が生じることを抑制できる。
制御部60は、例えば、第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψ2におけるノズル30の回転速度ω2が、第1領域R1に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψ1におけるノズル30の回転速度ω1よりも遅くなるように、回転部51を制御する。
より具体的には、制御部60は、例えば、第1領域R1に向けて洗剤水を噴出する際のノズル30の回転速度ω1を12秒/周程度に制御するとともに、第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際のノズル30の回転速度ω2を24秒/周程度に制御する。
また、上記のように、浴槽100の第1内側壁面112a側にステップ140が設けられている場合には、複雑な構造であるために汚れが溜まりやすい。したがって、この場合には、制御部60は、例えば、第1内側壁面112a側の第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際のノズル30の回転速度ω2が、第2内側壁面112b側の第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際のノズル30の回転速度ω2よりも遅くなるように、回転部51を制御してもよい。制御部60は、例えば、第2内側壁面112b側の第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際のノズル30の回転速度ω2を24秒/周程度に制御するとともに、第1内側壁面112a側の第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際のノズル30の回転速度ω2を45秒/周程度に制御する。
このように、第1内側壁面112a側の第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際のノズル30の回転速度ω2と、第2内側壁面112b側の第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際のノズル30の回転速度ω2と、は異なっていてもよい。同様に、第3内側壁面112c側の第1領域R1に向けて洗剤水を噴出する際のノズル30の回転速度ω1と、第4内側壁面112d側の第1領域R1に向けて洗剤水を噴出する際のノズル30の回転速度ω1と、は異なっていてもよい。
なお、ノズル30の回転速度ωを変化させる際、制御部60は、例えば、ノズル30の回転速度ωを断続的に変化させる。これに限定されず、制御部60は、例えば、ノズル30の回転速度ωを連続的に変化させてもよい。換言すれば、制御部60は、例えば、ノズル30の回転速度ω1を徐々に遅くして回転速度ω2にしてもよいし、回転速度ω2を徐々に速くして回転速度ω1にしてもよい。
回転速度ωを遅くすると、所定角度範囲ψを通過するのに要する時間が多くなる。つまり、噴出瞬間流量qが同じであれば、回転速度ωが遅いほど所定角度範囲ψに噴出される洗剤水の量(噴出量Q)は大きくなる。したがって、このように、第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψ2におけるノズル30の回転速度ω2を、第1領域R1に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψ1におけるノズル30の回転速度ω1よりも遅くすることで、第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψ2における噴出量Q2を第1領域R1に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψ1における噴出量Q1よりも多くすることができる。これにより、簡易な構成で、洗剤水が付着しない部分が生じることを抑制することができる。
以下、領域ごとにノズル30の回転速度ωを変化させる場合の一例について、図7を参照しながら、さらに詳しく説明する。
この例では、ノズル30は、噴出口31が第4内側壁面112d側の第1領域R1の中央(噴出開始方向)を向く位置から、時計回りに回転する。回転部51は、例えば、ノズル30(噴出口31)の積算回転角度を検知可能である。なお、積算回転角度は、噴出口31が噴出開始方向から回転した角度である。
ノズル30の回転を開始すると、制御部60は、例えば、12秒/周の回転速度でノズル30を回転させる(ステップS201)。制御部60は、積算回転角度が45度に達するまで、この回転速度を維持する(ステップS202:No)。換言すれば、第4内側壁面112d側の第1領域R1に向けて洗剤水を噴出させている間、制御部60は、例えば、12秒/周の回転速度でノズル30を回転させる。
積算回転角度が45度に達すると(ステップS202:Yes)、制御部60は、例えば、45秒/周の回転速度でノズル30を回転させる(ステップS203)。制御部60は、積算回転角度が135度に達するまで、この回転速度を維持する(ステップS204:No)。換言すれば、第1内側壁面112a側の第2領域R2に向けて洗剤水を噴出させている間、制御部60は、例えば、45秒/周の回転速度でノズル30を回転させる。
積算回転角度が135度に達すると(ステップS204:Yes)、制御部60は、例えば、12秒/周の回転速度でノズル30を回転させる(ステップS205)。制御部60は、積算回転角度が225度に達するまで、この回転速度を維持する(ステップS206:No)。換言すれば、第3内側壁面112c側の第1領域R1に向けて洗剤水を噴出させている間、制御部60は、例えば、12秒/周の回転速度でノズル30を回転させる。
積算回転角度が225度に達すると(ステップS206:Yes)、制御部60は、例えば、24秒/周の回転速度でノズル30を回転させる(ステップS207)。制御部60は、積算回転角度が315度に達するまで、この回転速度を維持する(ステップS208:No)。換言すれば、第2内側壁面112b側の第2領域R2に向けて洗剤水を噴出させている間、制御部60は、例えば、24秒/周の回転速度でノズル30を回転させる。
積算回転角度が315度に達すると(ステップS208:Yes)、制御部60は、例えば、12秒/周の回転速度でノズル30を回転させる(ステップS209)。制御部60は、積算回転角度が375度に達するまで、この回転速度を維持する(ステップS210:No)。換言すれば、第4内側壁面112d側の第1領域R1に向けて洗剤水を噴出させている間、制御部60は、例えば、12秒/周の回転速度でノズル30を回転させる。
積算回転角度が375度に達すると(ステップS210:Yes)、制御部60は、ノズル30の回転を停止させる。このようにしてノズル30が1周(375度回転)すると、制御部60は、洗剤水を噴出させない状態で、ノズル30を反時計回りに回転させて噴出開始位置に戻し、所定時間が経過するまで待機する。所定時間が経過すると、制御部60は、再度、洗剤水を噴出させながら、ノズル30を時計回りに回転させる。制御部60は、この時計回りと反時計回りのセットを、例えば、3回繰り返す。
なお、この例では、積算回転角度に基づいて、回転速度ωを変化させているが、例えば、ノズル30の回転を開始してからの経過時間に基づいて、回転速度ωを変化させてもよい。
また、制御部60は、例えば、第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψ2における噴出瞬間流量q2が、第1領域R1に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψ1における噴出瞬間流量q1よりも大きくなるように、噴出制御部40を制御する。例えば、噴出制御部40がポンプの場合、ポンプの出力を上げると、噴出瞬間流量qを大きくすることができる。
上記のように、浴槽100の第1内側壁面112a側にステップ140が設けられている場合には、複雑な構造であるために汚れが溜まりやすい。したがって、この場合には、制御部60は、例えば、第1内側壁面112a側の第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際の噴出瞬間流量q2が、第2内側壁面112b側の第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際の噴出瞬間流量q2よりも大きくなるように、噴出制御部40を制御してもよい。
このように、第1内側壁面112a側の第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際の噴出瞬間流量q2と、第2内側壁面112b側の第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際の噴出瞬間流量q2と、は異なっていてもよい。同様に、第3内側壁面112c側の第1領域R1に向けて洗剤水を噴出する際の噴出瞬間流量q1と、第4内側壁面112d側の第1領域R1に向けて洗剤水を噴出する際の噴出瞬間流量q1と、は異なっていてもよい。
なお、噴出瞬間流量qを変化させる際、制御部60は、例えば、噴出瞬間流量qを断続的に変化させる。これに限定されず、制御部60は、例えば、噴出瞬間流量qを連続的に変化させてもよい。換言すれば、制御部60は、例えば、噴出瞬間流量q1を徐々に大きくして噴出瞬間流量q2にしてもよいし、噴出瞬間流量q2を徐々に小さくして噴出瞬間流量q1にしてもよい。
回転速度ωが同じであれば、噴出瞬間流量qが大きいほど所定角度範囲ψに噴出される洗剤水の量(噴出量Q)は大きくなる。したがって、このように、第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψ2における噴出瞬間流量q2を、第1領域R1に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψ1における噴出瞬間流量q1よりも大きくすることで、第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψ2における噴出量Q2を第1領域R1に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψ1における噴出量Q1よりも多くすることができる。これにより、簡易な構成で、洗剤水が付着しない部分が生じることを抑制することができる。
図8は、実施形態に係る浴槽洗浄装置の変形例の噴出状態を模式的に表す平面図である。
図8に表したように、内側壁面112は、さらに細かく領域分けされてもよい。この例では、内側壁面112は、第1~第4領域R1~R4を有する。
第1領域R1及び第2領域R2は、例えば、長辺側の内側壁面112(第3内側壁面112c及び第4内側壁面112d)の少なくとも一部を含む。第1領域R1は、2つの第2領域R2の間に位置する。第3領域R3及び第4領域R4は、例えば、短辺側の内側壁面112(第1内側壁面112a及び第2内側壁面112b)の少なくとも一部を含む。第4領域R4は、2つの第3領域R3の間に位置する。
制御部60は、例えば、第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψ2における噴出量が、第1領域R1に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψ1における噴出量よりも多くなるように、噴出制御部40及び回転部51を制御する。制御部60は、例えば、第3領域R3に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψ3における噴出量が、第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψ2における噴出量よりも多くなるように、噴出制御部40及び回転部51を制御する。制御部60は、例えば、第3領域R3に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψ3における噴出量が、第4領域R4に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψ4における噴出量よりも多くなるように、噴出制御部40及び回転部51を制御する。所定角度範囲ψ1、所定角度範囲ψ2、所定角度範囲ψ3、及び所定角度範囲ψ4は、同じ角度である。所定角度範囲ψ1~ψ4は、それぞれ、第1領域R1~第4領域R4に収まる角度である。つまり、所定角度範囲ψ1~ψ4は、第1領域R1~第4領域R4のうち最も狭い領域以下の角度である。
図9(a)及び図9(b)は、実施形態に係る浴槽洗浄装置の変形例を模式的に表す平面図である。
図9(a)及び図9(b)に表したように、ノズル30は、例えば、複数の噴出口31を有していてもよい。ノズル30は、異なる領域に対応する最適な噴出口形状となるように、区分する領域の数と同じ数の噴出口31を有していてもよい。この例では、ノズル30は、第1噴出口31aと第2噴出口31bとを有する。なお、ノズル30に設けられる噴出口31の数は、3つ以上であってもよい。
ノズル30には、例えば、第1噴出口31aから液体を噴出させるための流路を開閉する電磁弁と、第2噴出口31bから液体を噴出させるための流路を開閉する電磁弁と、が設けられる。これらの電磁弁の開閉は、例えば、制御部60により制御される。制御部60は、例えば、第1領域R1に向けて洗剤水を噴出する際には、第1噴出口31aから洗剤水を噴出し、第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際には、第2噴出口31bから洗剤水を噴出するように、ノズル30を制御する。
例えば、第1噴出口31aの鉛直方向の吐水角度θ2は、第2噴出口31bの鉛直方向の吐水角度θ2よりも大きい。このような鉛直方向の吐水角度θ2が異なる複数の噴出口31を用いることで、噴出瞬間流量qを上げずに、鉛直方向の吐水角度θ2を大きくすることができる。これにより、例えば、ノズル30からの距離が比較的遠い内側壁面112の第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際には、鉛直方向の吐水角度θ2が比較的小さい第2噴出口31bを用い、噴出瞬間流量qを上げることで、遠くまで洗剤水を届かせることができる。一方、ノズル30からの距離が比較的近い内側壁面112の第1領域R1に向けて洗剤水を噴出する際には、鉛直方向の吐水角度θ2が比較的大きい第1噴出口31aを用いることで、噴出瞬間流量qを上げずに、高い位置まで洗剤水を届かせることができる。
図10は、実施形態の変形例に係る浴槽洗浄装置の動作を表すフローチャートである。
図10に表したように、この例では、制御部60は、2周目以降のいずれかの周において第1領域R1に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψにおける噴出量Qが、1周目において第1領域R1に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψにおける噴出量Qよりも多くなるように、噴出制御部40及び回転部51を制御する。また、制御部60は、2周目以降のいずれかの周において第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψにおける噴出量Qが、1周目において第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψにおける噴出量Qよりも多くなるように、噴出制御部40及び回転部51を制御する。
例えば、ノズル30が2周回転する場合には、2周目以降のいずれかの周は、2周目である。例えば、ノズル30が3周回転する場合には、2周目以降のいずれかの周は、2周目でもよいし、3周目でもよい。この場合、2周目において第1領域R1に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψにおける噴出量Qは、1周目において第1領域R1に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψにおける噴出量Qと同じであってもよい。また、2周目において第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψにおける噴出量Qは、1周目において第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψにおける噴出量Qと同じであってもよい。
また、制御部60は、第1領域R1の少なくとも一部において、2周目以降のいずれかの周における噴出量Qが1周目における噴出量Qよりも多くなるように制御すればよい。つまり、制御部60は、第1領域R1の全体において、2周目以降のいずれかの周における噴出量Qが1周目における噴出量Qよりも多くなるように制御してもよい。あるいは、制御部60は、第1領域R1の一部においては、2周目以降のいずれかの周における噴出量Qが1周目における噴出量Qよりも多くなるように制御し、第1領域R1の別の一部においては、2周目以降のいずれかの周における噴出量Qと1周目における噴出量Qとが同じになるように制御してもよい。
同様に、制御部60は、第2領域R2の少なくとも一部において、2周目以降のいずれかの周における噴出量Qが1周目における噴出量Qよりも多くなるように制御すればよい。つまり、制御部60は、第2領域R2の全体において、2周目以降のいずれかの周における噴出量Qが1周目における噴出量Qよりも多くなるように制御してもよい。あるいは、制御部60は、第2領域R2の一部においては、2周目以降のいずれかの周における噴出量Qが1周目における噴出量Qよりも多くなるように制御し、第2領域R2の別の一部においては、2周目以降のいずれかの周における噴出量Qと1周目における噴出量Qとが同じになるように制御してもよい。
このように、2周目以降のいずれかの周における第1領域R1及び第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψにおける噴出量Qを、1周目において第1領域R1及び第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψにおける噴出量Qよりも多くすることで、第1領域R1及び第2領域R2において洗剤水をより密に付着させることができ、洗剤水の流れるルートを1周目とは異ならせることができる。そのため、第1領域R1及び第2領域R2において洗剤水が付着しない部分が生じることをより確実に抑制することができる。
制御部60は、例えば、ノズル30の回転速度ωを変化させることで、噴出量Qを変化させる。より具体的には、制御部60は、例えば、2周目以降のいずれかの周において第1領域R1に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψにおけるノズル30の回転速度ωが、1周目において第1領域R1に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψにおけるノズル30の回転速度ωよりも遅くなるように、回転部51を制御する。
このように、2周目以降のいずれかの周において第1領域R1に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψにおけるノズル30の回転速度ωを、1周目において第1領域R1に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψにおけるノズル30の回転速度ωよりも遅くすることで、2周目以降のいずれかの周において第1領域R1に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψにおける噴出量Qを、1周目において第1領域R1に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψにおける噴出量Qよりも多くすることができる。これにより、簡易な構成で、第1領域R1において洗剤水が付着しない部分が生じることをより確実に抑制することができる。
また、制御部60は、例えば、2周目以降のいずれかの周において第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψにおけるノズル30の回転速度ωが、1周目において第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψにおけるノズル30の回転速度ωよりも遅くなるように、回転部51を制御する。
このように、2周目以降のいずれかの周において第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψにおけるノズル30の回転速度ωを、1周目において第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψにおけるノズル30の回転速度ωよりも遅くすることで、2周目以降のいずれかの周において第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψにおける噴出量Qを、1周目において第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψにおける噴出量Qよりも多くすることができる。これにより、簡易な構成で、第2領域R2において洗剤水が付着しない部分が生じることをより確実に抑制することができる。
以下、1周目と2周目とでノズル30の回転速度ωを変化させる場合の一例について、図10を参照しながら、さらに詳しく説明する。
この例では、制御部60は、本洗浄モードにおいて、ノズル30を2周回転させる。より具体的には、制御部60は、1周目(ステップS301~S310)の洗浄を行い、所定の待機時間が経過した(ステップS311)後、2周目(ステップS312~S321)の洗浄を行う。1周目(ステップS301~S310)の洗浄は、図7に表したフローチャートのステップS201~S210と同じであるため、説明を省略する。
1周目の洗浄が終了すると、制御部60は、所定時間が経過するまで待機する(ステップS311:No)。所定時間は、例えば、1分間である。所定時間が経過すると(ステップS311:Yes)、制御部60は、ノズル30を回転させて、2周目の洗浄を開始する。
ノズル30の回転を開始すると、制御部60は、例えば、15秒/周の回転速度でノズル30を回転させる(ステップS312)。制御部60は、積算回転角度が45度に達するまで、この回転速度を維持する(ステップS313:No)。換言すれば、制御部60は、2周目においては、第4内側壁面112d側の第1領域R1に向けて洗剤水を噴出させている間、1周目の回転速度(12秒/周)よりも遅い15秒/周の回転速度でノズル30を回転させる。
積算回転角度が45度に達すると(ステップS313:Yes)、制御部60は、例えば、60秒/周の回転速度でノズル30を回転させる(ステップS314)。制御部60は、積算回転角度が135度に達するまで、この回転速度を維持する(ステップS315:No)。換言すれば、制御部60は、2周目においては、第1内側壁面112a側の第2領域R2に向けて洗剤水を噴出させている間、1周目の回転速度(45秒/周)よりも遅い60秒/周の回転速度でノズル30を回転させる。
積算回転角度が135度に達すると(ステップS315:Yes)、制御部60は、例えば、15秒/周の回転速度でノズル30を回転させる(ステップS316)。制御部60は、積算回転角度が225度に達するまで、この回転速度を維持する(ステップS317:No)。換言すれば、制御部60は、2周目においては、第3内側壁面112c側の第1領域R1に向けて洗剤水を噴出させている間、1周目の回転速度(12秒/周)よりも遅い15秒/周の回転速度でノズル30を回転させる。
積算回転角度が225度に達すると(ステップS317:Yes)、制御部60は、例えば、30秒/周の回転速度でノズル30を回転させる(ステップS318)。制御部60は、積算回転角度が315度に達するまで、この回転速度を維持する(ステップS319:No)。換言すれば、制御部60は、2周目においては、第2内側壁面112b側の第2領域R2に向けて洗剤水を噴出させている間、1周目の回転速度(24秒/周)よりも遅い30秒/周の回転速度でノズル30を回転させる。
積算回転角度が315度に達すると(ステップS319:Yes)、制御部60は、例えば、15秒/周の回転速度でノズル30を回転させる(ステップS320)。制御部60は、積算回転角度が375度に達するまで、この回転速度を維持する(ステップS321:No)。換言すれば、制御部60は、2周目においては、第4内側壁面112d側の第1領域R1に向けて洗剤水を噴出させている間、1周目の回転速度(12秒/周)よりも遅い15秒/周の回転速度でノズル30を回転させる。
積算回転角度が375度に達すると(ステップS321:Yes)、制御部60は、ノズル30の回転を停止させる。
また、制御部60は、例えば、噴出瞬間流量qを変化させることで、噴出量Qを変化させてもよい。より具体的には、制御部60は、2周目以降のいずれかの周において第1領域R1に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψにおける噴出瞬間流量qが、1周目において第1領域R1に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψにおける噴出瞬間流量1よりも大きくなるように、噴出制御部40を制御してもよい。
このように、2周目以降のいずれかの周において第1領域R1に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψにおける噴出瞬間流量qを、1周目において第1領域R1に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψにおける噴出瞬間流量qよりも大きくすることで、2周目以降のいずれかの周において第1領域R1に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψにおける噴出量Qを、1周目において第1領域R1に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψにおける噴出量Qよりも多くすることができる。これにより、簡易な構成で、第1領域R1において洗剤水が付着しない部分が生じることをより確実に抑制することができる。
また、制御部60は、2周目以降のいずれかの周において第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψにおける噴出瞬間流量qが、1周目において第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψにおける噴出瞬間流量qよりも大きくなるように、噴出制御部40を制御してもよい。
このように、2周目以降のいずれかの周において第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψにおける噴出瞬間流量qを、1周目において第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψにおける噴出瞬間流量qよりも大きくすることで、2周目以降のいずれかの周において第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψにおける噴出量Qを、1周目において第2領域R2に向けて洗剤水を噴出する際の所定角度範囲ψにおける噴出量Qよりも多くすることができる。これにより、簡易な構成で、第2領域R2において洗剤水が付着しない部分が生じることをより確実に抑制することができる。
なお、制御部60は、ノズル30の回転速度ωの変化と噴出瞬間流量qの変化とを組み合わせて、噴出量Qを変化させてもよい。また、制御部60は、領域ごとに変化させる対象を異ならせてもよい。つまり、制御部60は、第1領域R1においては、ノズル30の回転速度ωを変化させることで噴出量Qを変化させ、第2領域R2においては、噴出瞬間流量qを変化させることで噴出量Qを変化させてもよい。あるいは、制御部60は、第1領域R1においては、噴出瞬間流量qを変化させることで噴出量Qを変化させ、第2領域R2においては、ノズル30の回転速度ωを変化させることで噴出量Qを変化させてもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、浴槽洗浄装置などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。