JP7279990B2 - レール破断検知装置 - Google Patents
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Description
詳しくは、レール対からなる鉄道の軌道における通電区間の通電状態に基づいて該当区間のレール破断状態を示す情報を取得するレール破断検知装置に関する。
なお、レール破断状態を示す情報としては、左右のレール(海側レール/山側レール,)に係る二つの測定値について「差を和で割った不平衡率」や「電圧比をデシベルで表した平衡度」が典型的であるが、軌道回路の平衡状態・不平衡状態の具合・程度を表す物理量・数値であれば例えば両測定値の差など他の算出値であっても良いので、それらを総称して本願では「平衡状態値」と呼ぶ。
このように受電が無いときには列車検知とレール破断検知とが優劣の無い同格で行われるうえ両検知の切り分けを単独で行うことができないが、検知対象区間への列車進入を防止するという安全確保の観点からは単独でも役目を果たすことができることや、列車追跡機能などを具備した他の装置も使えば曖昧性が解消されることから、軌道回路を使用した上記の列車検知装置兼用レール破断検知装置は広く用いられている。
そして、そのような列車制御システムでは、車軸でのレール短絡による列車検知が行われないことから、列車検知の観点からは、レールに列車検知信号を流す必要が無くて、レールに列車検知信号を流すのを止めることができるため、コスト削減が進む。
とはいえ、列車検知信号を利用してレール破断をも検出することができるという機能は失われるため、レール破断検知機能の具現化や実装には他の手段や設備を要する。
そのため、その方式のレール破断検知装置には、帰線電流の流れていない夜間や架線停電時などにはレール破断を検出することができない、という不満がある。
そのため、無線の使用等にて軌道回路を用いないで列車検知を行う列車制御システムを導入する際には、インピーダンスボンドの無い又は不要な無絶縁軌道回路に対しても使用することができるレール破断検知装置が望ましい。
鉄道の軌道をなすレール対の複数箇所に付設されて夫々の付設箇所で前記レール対の左右レールについて帰線電流を短絡させる複数の区間端短絡ラインと、前記区間端短絡ラインに接続されて前記レール対と共に巡回する電路を形成する巡回電路形成部材と、前記巡回電路形成部材に対して帰線電流とは異なる検査信号を送出する送信部と、前記区間端短絡ラインのうち前記巡回電路形成部材を接続された部材についてその接続箇所の両側で前記検査信号に係る一対の分流信号を測定する計測部と、その測定値に基づいてレール破断に係る判定を行う判定部とを備えている。
前記判定部が、対をなす前記分流信号について平衡状態にあるのか不平衡状態にあるのかを判別して、不平衡状態と判別したときには直ちにレール破断が有ると決定するようになっていることを特徴とする。
前記判定部が、平衡状態と判別したときには、レール破断が無いか列車が在線しているか何れかの状態であると決定するようになっていることを特徴とする。
対をなす前記分流信号に係る不平衡状態をレール破断の無い状態では平衡状態に近づける又は平衡状態にする平衡化手段が設けられていることを特徴とする。
前記平衡化手段が、前記区間端短絡ラインにおける前記巡回電路形成部材の接続箇所が前記区間端短絡ラインの中央位置から外れていることと、前記検査信号にはインピーダンスが大きくなるが前記帰線電流にはインピーダンスが小さくなるインピーダンス部が前記区間端短絡ラインに介挿されていることと、前記左右レールに対する前記区間端短絡ラインの接続位置がずれていることとのうち、何れか一つ又は複数のことからなることを特徴とする。
前記レール対と並んだ別レールが前記巡回電路形成部材に含まれていることを特徴とする。
前記別レールが前記レール対とは別のレール対を構成しており、この別レール対にもその左右レールについて帰線電流を短絡させる区間端短絡ラインが付設されており、この区間端短絡ラインのうち前記巡回電路形成部材を接続された部材についてその接続箇所の両側で前記検査信号に係る一対の分流信号を測定するようになっていることを特徴とする。
しかも、それらの区間端短絡ラインに巡回電路形成部材を接続して巡回電路を形成したうえで巡回電路形成部材に対して検査信号が送出されるようにもしたことにより、検査信号が左右レールに分かれて同じ方向へ流れてから合流して戻るので、対をなす分流信号について平衡しているか否かを調べることで、左右レールに係るインピーダンス値の釣り合い状態が分かり、ひいてはレール破断の有無が分かる。
したがって、この発明によれば、インピーダンスボンドを不要にした軌道回路に対して帰線電流とは異なる信号を流してレール破断状態を検出しうるレール破断検知装置を実現することができる。
図1~2に示した実施例1は、上述した解決手段1~3(出願当初の請求項1~3)を具現化したものであり、図3に示した実施例2は、上述した解決手段4~5(出願当初の請求項4~5)を具現化したものであり、図4に示した実施例3は、上述した解決手段6(出願当初の請求項6)を具現化したものであり、図5の実施例4や図6の実施例5は、上述した解決手段7(出願当初の請求項7)を具現化したものである。
なお、それらの図示に際しては、詳細で煩雑な回路の図示は割愛し、簡明化等のため、ブロック図を多用して、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示した。
また、巡回電路形成部材30の一方31と区間端短絡ライン21の部分ライン21bとレール12と区間端短絡ライン22の部分ライン22bと巡回電路形成部材30の他方32とによって、検査信号i0のうち分流信号i2を流す一巡電路が形成されて、レール12のうち区間端12a,12bの間に位置する部分が検査区間12cになる。
架線は直流電化か交流電化(商用周波数)しかないため、帰線電流には直流や商用周波数(50Hz,60Hz)の交流が用いられるので、それよりも周波数が高くて周波数弁別が容易な交流信号が検査信号i0に適しているが、検査信号i0は、それに限定される訳でなく、帰線電流から弁別可能に異なるものであれば良い。
図2(a)~(e)は、その動作状態を列車在線の有無とレール破断の有無とで場合分けして示している。
また、レールが完全に破断しても交流信号は完全に遮断される訳でなく、例えばレール破断抵抗を100Ωと仮定すると、軌道回路の不平衡率は40%程度となるため、レール破断状態でも平衡状態値k0=[|k1-k2|/(k1+k2)]が0.4程度になるので、閾値α0は0.4以下に設定すべきことになる。
レール破断時のインピーダンス変化割合はレールの長さや材質の違いなどの影響で変動するため、本例では、閾値α0の設定値として、上述した0.1と0.4との間の値であってレール破断が無い正常状態をレール破断と誤検知しない値たとえば0.2が採用されるものとする。
そのため、平衡状態値k0が0.1未満の値になって0.2の閾値αより小さいことから、平衡状態にあると判別されるので、この場合、「レール破断が無いか列車が在線しているか何れかの状態」であるとの決定がなされる。
そのため、平衡状態値k0が0.1未満の値になって0.2の閾値αより小さいことから、平衡状態にあると判別されるので、この場合も、「レール破断が無いか列車が在線しているか何れかの状態」であるとの決定がなされる。
平衡化手段25は、対をなす分流信号i1,i2に係る不平衡状態をレール破断の無い状態では平衡状態に近づけておくためのものであり、本例では、レール11の検査区間11cとレール12の検査区間12cとのうち検査信号に係るインピーダンス値の小さい方を仮に検査区間11cとして具体的に説明する。
更に、図示の煩雑化を避けるべく、電流プローブ51,52が取り付けられる区間端短絡ライン22側でなく、そのような部材装着の無い区間端短絡ライン21側に平衡化手段25が設けられた場合について、三つの態様25a,25b,25cを説明する。
そのため、巡回電路形成部材30に要するコストを削減することができる。
そして、それに要する設備については、計測部と判定部はレール対11&12用の一セット(50&60)と別レール対13&14用の一セット(50a&60a)とで計二セット設置されるが、送信部40については送信パワーが足りれば一台だけで済む。
そのため、設備費も設置作業費も節約することができる。
そのような信号伝達状態において、レール破断がどこにも無ければ、分流信号i1と分流信号i2とが釣り合い、分流信号i3と分流信号i4も釣り合い、分流信号i5と分流信号i6も釣り合い、分流信号i7と分流信号i8も釣り合う。
そして、分流信号i1,i5の和電流(i1+i5)と分流信号i2,i6の和電流(i2+i6)も釣り合い、分流信号i3,i7の和電流(i3+i7)と分流信号i4,i8の和電流(i4+i8)も釣り合う。
また、和電流(i3+i7)の測定値k3と和電流(i4+i8)の測定値k4とにも大差が生じないので、判定部60aによって、レール13の検査区間13c,13e及びレール14の検査区間14c,14eについても、平衡状態にあると判別され、「レール破断が無いか列車が在線しているか何れかの状態」であると決定される。
また、レール対13&14に係る何れかの検査区間13c,13e,14c,14eにレール破断が生じると、測定値k3と測定値k4とから求めた平衡状態値k0’=[|k3-k4|/(k3+k4)]が大きくなるので、判定部60aによって直ちに「レール破断が有る状態」であるとの決定がなされる。
また、レール破断検知装置90は、検査信号i0の送受信に直接的に関わる巡回電路形成ライン31,32と区間端短絡ライン21,23とが検査区間の外端(11bや11dなど)でなく内側(11aなど)に位置しているので、レール長手方向へ繋げて設置するのが容易なものにもなっている。
また、図2(d)を参照した説明に関しても、列車が進行して、図2(d)の状態から図2(c)の状態になると、軌道回路の状態が不平衡状態から平衡状態へ変化するので、列車在線を明確に検出することができる。
11&12 レール対(左右レール,軌道)
11,12 レール
12x レール破断
13&14 別レール対(左右レール,軌道)
13,14 レール(別レール)
11a,12a,13a,14a 区間端
11b,12b,13b,14b 区間端
11c,12c,13c,14c 検査区間
11d,12d,13d,14d 区間端
11e,12e,13e,14e 検査区間
15 列車
20 レール破断検知装置
21,22,23,24,26,27 区間端短絡ライン(接続線)
21a,21b,22a,22b 部分ライン
21c,22c,23c,24c,26c,27c 接続箇所(分流点・合流点)
25,25a,25b,25c 平衡化手段
30 巡回電路形成部材
31,32,33,34 巡回電路形成ライン(接続線)
40 送信部
50,50a 計測部
51,52 電流プローブ
53 加算部
54 減算部
55,56 受信部
57 平衡状態値算出部
58,59 電流プローブ
60,60a 判定部
61 状態判別部
62 決定部
70,80,90 レール破断検知装置
i0 検査信号
i1,i2,i3,i4,i5,i6,i7,i8 分流信号
k0 平衡状態値(算出値)
k1,k2,k3,k4 測定値(測定信号)
Claims (7)
- 鉄道の軌道をなすレール対の複数箇所に付設されて夫々の付設箇所で前記レール対の左右レールについて帰線電流を短絡させる複数の区間端短絡ラインと、前記区間端短絡ラインに接続されて前記レール対と共に巡回する電路を形成する巡回電路形成部材と、前記巡回電路形成部材に対して帰線電流とは異なる検査信号を送出する送信部と、前記区間端短絡ラインのうち前記巡回電路形成部材を接続された部材についてその接続箇所の両側で前記検査信号に係る一対の分流信号を測定する計測部と、その測定値に基づいてレール破断に係る判定を行う判定部とを備えていることを特徴とするレール破断検知装置。
- 前記判定部が、対をなす前記分流信号について平衡状態にあるのか不平衡状態にあるのかを判別して、不平衡状態と判別したときには直ちにレール破断が有ると決定するようになっていることを特徴とする請求項1記載のレール破断検知装置。
- 前記判定部が、平衡状態と判別したときには、レール破断が無いか列車が在線しているか何れかの状態であると決定するようになっていることを特徴とする請求項2記載のレール破断検知装置。
- 対をなす前記分流信号に係る不平衡状態をレール破断の無い状態では平衡状態に近づける又は平衡状態にする平衡化手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載されたレール破断検知装置。
- 前記平衡化手段が、前記区間端短絡ラインにおける前記巡回電路形成部材の接続箇所が前記区間端短絡ラインの中央位置から外れていることと、前記検査信号にはインピーダンスが大きくなるが前記帰線電流にはインピーダンスが小さくなるインピーダンス部が前記区間端短絡ラインに介挿されていることと、前記左右レールに対する前記区間端短絡ラインの接続位置がずれていることとのうち、何れか一つ又は複数のことからなることを特徴とする請求項4記載のレール破断検知装置。
- 前記レール対と並んだ別レールが前記巡回電路形成部材に含まれていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載されたレール破断検知装置。
- 前記別レールが前記レール対とは別のレール対を構成しており、この別レール対にもその左右レールについて帰線電流を短絡させる区間端短絡ラインが付設されており、この区間端短絡ラインのうち前記巡回電路形成部材を接続された部材についてその接続箇所の両側で前記検査信号に係る一対の分流信号を測定するようになっていることを特徴とする請求項6記載のレール破断検知装置。
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