JP7279990B2 - レール破断検知装置 - Google Patents

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Description

この発明は、列車が走行するためのレールについてその破断状態を検知するレール破断検知装置に関する。
詳しくは、レール対からなる鉄道の軌道における通電区間の通電状態に基づいて該当区間のレール破断状態を示す情報を取得するレール破断検知装置に関する。
なお、レール破断状態を示す情報としては、左右のレール(海側レール/山側レール,)に係る二つの測定値について「差を和で割った不平衡率」や「電圧比をデシベルで表した平衡度」が典型的であるが、軌道回路の平衡状態・不平衡状態の具合・程度を表す物理量・数値であれば例えば両測定値の差など他の算出値であっても良いので、それらを総称して本願では「平衡状態値」と呼ぶ。
軌道回路を使用した従来の検知装置は(例えば非特許文献1参照)、二本のレールが列車の車輪と車軸とで電気的に短絡することを利用して送電端(一端,始端)から送電した電力が受電端(他端,終端)に届くか否かに応じて列車の在線/非在線を検出する列車検知機能を発揮するものであるが、その機能だけでなく、次のレール破断検知機能も発揮する。即ち、列車の走行等による過大な応力を軌道が受けて亀裂・破断・折損といったレール破断障害が発生したときも、そこの通電状態が悪化して、列車非在線状態であっても受電側の電圧や電流が低下したり更には途絶するといった状況に至るため、受電信号からレール破断状態の情報を得るというレール破断検知機能も発揮することができる。
但し、そのような検知装置だけでは、受電が有るときには列車非在線かつレール破断無しの状態であることが判明し、受電が無いときには列車在線かレール破断有りか何れか曖昧な状態であることが判明するにとどまる。
このように受電が無いときには列車検知とレール破断検知とが優劣の無い同格で行われるうえ両検知の切り分けを単独で行うことができないが、検知対象区間への列車進入を防止するという安全確保の観点からは単独でも役目を果たすことができることや、列車追跡機能などを具備した他の装置も使えば曖昧性が解消されることから、軌道回路を使用した上記の列車検知装置兼用レール破断検知装置は広く用いられている。
これに対し、近年は、列車検知機能の具現化に際して、上述の軌道回路を使用した方式でなく、無線を使用した列車制御システムを採用することが増えている。
そして、そのような列車制御システムでは、車軸でのレール短絡による列車検知が行われないことから、列車検知の観点からは、レールに列車検知信号を流す必要が無くて、レールに列車検知信号を流すのを止めることができるため、コスト削減が進む。
とはいえ、列車検知信号を利用してレール破断をも検出することができるという機能は失われるため、レール破断検知機能の具現化や実装には他の手段や設備を要する。
具体的には、左右のレールに流れる電気車電流について差電流と和電流とを検出し更に除算も行って電気車電流の不平衡率を得て表示するものや(例えば特許文献1参照)、左右の軌条に流れる電車電流の差である不平衡電流を検出してそれが一定値や一定時間を超えたときに警報を発するもの(例えば特許文献2参照)、左右のレールに流れる帰線電流を車上や地上で測定して不平衡率を求めるもの(例えば特許文献3参照)、左右のレールに設定した検知区間における帰線電流による電圧降下を測定して不平衡率を求めるもの(例えば特許文献4参照)、等が知られている。
実開昭55-068068号公報 実公平02-005616号公報 特開平06-321110号公報 特開2012-91671号公報
鉄道技術者のための信号概論「軌道回路」 社団法人「日本鉄道電気技術協会」出版、平成17年5月20日 改訂版2刷発行、p.3~5
このような謂わば帰線電流検知方式では(例えば既述の特許文献1~4参照)、帰線電流(電車電流,電気車電流)を測定してその流れ方に基づいてレール破断が検出されることから、レール破断状態を監視できる時間帯が帰線電流の流れている電車走行可能時に限定される。
そのため、その方式のレール破断検知装置には、帰線電流の流れていない夜間や架線停電時などにはレール破断を検出することができない、という不満がある。
これに対し、軌道回路を使用した従来のレール破断検知装置は(既述の非特許文献1参照)、帰線電流の有無に束縛されないという利点があるものの、軌道の検知対象区間に対して一方の区間端から信号を送信して該信号を左右レールで一巡的に伝達させながら他方の区間端で受信することで軌間電圧の有無すなわち左右レール間の電圧の有無を調べてレール破断検知を行うものなので、左右のレールを単純に短絡することが出来ないという制約がある。そのため、軌道の区間端にインピーダンスボンドを設置した有絶縁軌道回路には適用しやすいが、無絶縁軌道回路への適用に際しては、共振子等を用いた境界短絡式や、軌道境界が不明確となる非共振式の場合は、隣接軌道回路の列車検知信号が漏れてくるため、多くの周波数を使い分ける多周波式を用いることになる。
もっとも、無絶縁軌道回路でも、左右のレールを短絡しない状態では、レール破断時に帰線電流による不所望なレール電位上昇が発生するので、その影響を回避・緩和するために、例えば数km毎に平衡用インピーダンスボンドを設けて、帰線電流に対して左右のレール間を短絡しておくことで、左右レール間の電圧上昇を抑制することが必要である。インピーダンスボンドは重量物で設置負担が大きいうえ定期的な保守も要する。
そのため、無線の使用等にて軌道回路を用いないで列車検知を行う列車制御システムを導入する際には、インピーダンスボンドの無い又は不要な無絶縁軌道回路に対しても使用することができるレール破断検知装置が望ましい。
そこで、左右のレールを帰線電流に対して適宜短絡してインピーダンスボンドを不要にした軌道回路に帰線電流とは異なる検査信号を流してレール破断状態を検出しうるレール破断検知装置を実現することが技術的な課題となる。
本発明のレール破断検知装置は(解決手段1)、このような課題を解決するために創案されたものであり、
鉄道の軌道をなすレール対の複数箇所に付設されて夫々の付設箇所で前記レール対の左右レールについて帰線電流を短絡させる複数の区間端短絡ラインと、前記区間端短絡ラインに接続されて前記レール対と共に巡回する電路を形成する巡回電路形成部材と、前記巡回電路形成部材に対して帰線電流とは異なる検査信号を送出する送信部と、前記区間端短絡ラインのうち前記巡回電路形成部材を接続された部材についてその接続箇所の両側で前記検査信号に係る一対の分流信号を測定する計測部と、その測定値に基づいてレール破断に係る判定を行う判定部とを備えている。
また、本発明のレール破断検知装置は(解決手段2)、上記解決手段1のレール破断検知装置であって、
前記判定部が、対をなす前記分流信号について平衡状態にあるのか不平衡状態にあるのかを判別して、不平衡状態と判別したときには直ちにレール破断が有ると決定するようになっていることを特徴とする。
さらに、本発明のレール破断検知装置は(解決手段3)、上記解決手段2のレール破断検知装置であって、
前記判定部が、平衡状態と判別したときには、レール破断が無いか列車が在線しているか何れかの状態であると決定するようになっていることを特徴とする。
また、本発明のレール破断検知装置は(解決手段4)、上記解決手段1~3のレール破断検知装置であって、
対をなす前記分流信号に係る不平衡状態をレール破断の無い状態では平衡状態に近づける又は平衡状態にする平衡化手段が設けられていることを特徴とする。
また、本発明のレール破断検知装置は(解決手段5)、上記解決手段4のレール破断検知装置であって、
前記平衡化手段が、前記区間端短絡ラインにおける前記巡回電路形成部材の接続箇所が前記区間端短絡ラインの中央位置から外れていることと、前記検査信号にはインピーダンスが大きくなるが前記帰線電流にはインピーダンスが小さくなるインピーダンス部が前記区間端短絡ラインに介挿されていることと、前記左右レールに対する前記区間端短絡ラインの接続位置がずれていることとのうち、何れか一つ又は複数のことからなることを特徴とする。
また、本発明のレール破断検知装置は(解決手段6)、上記解決手段1~5のレール破断検知装置であって、
前記レール対と並んだ別レールが前記巡回電路形成部材に含まれていることを特徴とする。
また、本発明のレール破断検知装置は(解決手段7)、上記解決手段6のレール破断検知装置であって、
前記別レールが前記レール対とは別のレール対を構成しており、この別レール対にもその左右レールについて帰線電流を短絡させる区間端短絡ラインが付設されており、この区間端短絡ラインのうち前記巡回電路形成部材を接続された部材についてその接続箇所の両側で前記検査信号に係る一対の分流信号を測定するようになっていることを特徴とする。
このような本発明のレール破断検知装置にあっては(解決手段1)、区間端短絡ラインを適宜な間隔でレール対に付設したことにより、インピーダンスボンドの設置が必須では無くなり、コストダウンが図れるとともに無絶縁軌道回路への適用が容易になる。
しかも、それらの区間端短絡ラインに巡回電路形成部材を接続して巡回電路を形成したうえで巡回電路形成部材に対して検査信号が送出されるようにもしたことにより、検査信号が左右レールに分かれて同じ方向へ流れてから合流して戻るので、対をなす分流信号について平衡しているか否かを調べることで、左右レールに係るインピーダンス値の釣り合い状態が分かり、ひいてはレール破断の有無が分かる。
したがって、この発明によれば、インピーダンスボンドを不要にした軌道回路に対して帰線電流とは異なる信号を流してレール破断状態を検出しうるレール破断検知装置を実現することができる。
また、本発明のレール破断検知装置にあっては(解決手段2)、対をなす分流信号に基づいてレール破断に係る判定を行うに際して、それらの分流信号が平衡状態にあるのか不平衡状態にあるのかを判別して不平衡状態と判別したときには直ちにレール破断が有ると決定するようにしたことにより、レール破断の検知を単独で完了しうる場合があるので、既述した従来の検知装置と同様に帰線電流とは異なる検査信号を送出する方式のものでありながら、レール破断検知と列車検知とが同格である従来の検知装置とは異なり、レール破断検知が列車検知よりも優先するという更なる効果も奏する。
さらに、本発明のレール破断検知装置にあっては(解決手段3)、対をなす分流信号に基づいてレール破断に係る判定を行うに際して、それらの分流信号が平衡状態にあるのか不平衡状態にあるのかを判別して平衡状態にあると判別したときには、レール破断が無いか列車が在線しているか何れかの状態であると決定するようにしたことにより、レール破断検知の判定を優先させられない場合でも、既述した従来のレール破断検知装置と同程度の曖昧性を持った判定を下すことができる。
また、本発明のレール破断検知装置にあっては(解決手段4,5)、一般にレールにはレールの長さや材質違いによりインピーダンスの値に或る程度のバラツキが有るため、レール破断の無い状態でも一対の分流信号に小さいながらもそれなりの不平衡が生じるのは避け難いことから、平衡状態と不平衡状態とを切り分ける閾値等に余裕を持たせざるを得ないので、小さな不平衡状態ひいては小さなレール破断を検出し難かったが、平衡化手段を設けたことにより、レール破断の無いときには一対の分流信号のバラツキが十分に小さくなるため、小さなレール破断でも的確に検出することができる。
また、本発明のレール破断検知装置にあっては(解決手段6)、レール対に加えてそれと並んでいる別レールが存在しているときには、その別レールを巡回電路形成部材に含めることにより、追加すべき巡回電路形成部材が少なくて済むので、巡回電路形成部材の付設によるコストアップを抑制することができる。
また、本発明のレール破断検知装置にあっては(解決手段7)、レール対に加えてそれと並んでいる別のレール対が存在しているときには、その別レール対についてもその左右レールについて帰線電流を短絡させる区間端短絡ラインを付設したうえで、その区間端短絡ラインについても検査信号に係る一対の分流信号を測定するようにしたことにより、送信部の付設されたレール対に加えて別のレール対についても分流信号が測定される。そのため、計測部が送信部より多くても、言い換えると巡回電路形成部材に含められた多数の検出対象区間より送信部が少なくても、それらの検出対象区間についてレール破断状態が検査されるので、検査信号の送受信によるコストアップをも抑制することができる。
本発明の実施例1について、(a)が鉄道の軌道の典型例である複線におけるレールの配置例を示し、(b)が単線部分に設置されたレール破断検知装置に係る概要ブロック図であり、(c)が計測部と判定部とに係る詳細ブロック図である。 (a)~(e)何れも動作状態を示す概略図である。 本発明の実施例2について、(a)が平衡化手段を付設したレール破断検知装置に係る概要ブロック図であり、(b)~(d)が平衡化手段の具体例である。 本発明の実施例3について、レール破断検知装置の構造を示すブロック図である。 本発明の実施例4について、レール破断検知装置の構造を示すブロック図である。 本発明の実施例5について、レール破断検知装置の構造を示すブロック図である。
このような本発明のレール破断検知装置について、これを実施するための具体的な形態を、以下の実施例1~5により説明する。
図1~2に示した実施例1は、上述した解決手段1~3(出願当初の請求項1~3)を具現化したものであり、図3に示した実施例2は、上述した解決手段4~5(出願当初の請求項4~5)を具現化したものであり、図4に示した実施例3は、上述した解決手段6(出願当初の請求項6)を具現化したものであり、図5の実施例4や図6の実施例5は、上述した解決手段7(出願当初の請求項7)を具現化したものである。
なお、それらの図示に際しては、詳細で煩雑な回路の図示は割愛し、簡明化等のため、ブロック図を多用して、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示した。
本発明のレール破断検知装置の実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図1(a)は、鉄道の軌道の典型例である複線10における四本のレール11~14の配置例を示している。また、図1(b)は、下りの単線部分(11&12)に設置されたレール破断検知装置20に係る概要ブロック図であり、図1(c)は、その計測部50と判定部60とに係る詳細ブロック図である。
レール破断検知装置20の設置先である鉄道の軌道は、下り線と上り線とが少し離れて並走する複線10が典型的なものであり(図1(a)参照)、そのうち下り線は、山側(進行列車からは左側)のレール11と海側(進行列車からは右側)のレール12とが並走するレール対11&12からなり、上り線は、山側(進行列車からは右側)のレール13と海側(進行列車からは左側)のレール14とが並走する別レール対13&14からなる。なお、単線では、何れか一方のレール対だけが設けられていて、それが上り下りに共用され、複々線等ではより多くのレール対が設けられていて、それらが使い分けられる。
レール破断検知装置20は(図1(b)参照)、複線10のうちレール対11&12に対して適用された基本構成のものであり、レール対11&12の複数箇所に例えば1kmといった適宜距離だけ離れて付設された複数の区間端短絡ライン21,22と、一端が区間端短絡ライン21に接続され他端が区間端短絡ライン22に接続された巡回電路形成部材30と、この巡回電路形成部材30に対して検査信号i0を送出する送信部40と、巡回電路形成部材30を接続された区間端短絡ライン22のうち巡回電路形成部材30の接続箇所22cで両側に分けられる部分ライン22a,22bそれぞれについて検査信号i0に係る一対の分流信号i1,i2を測定する計測部50と、それらの測定値k1,k2に基づいてレール破断に係る判定を行う判定部60とを備えている。
区間端短絡ライン21は(図1(b)参照)、電線や銅板などの良導体からなり、絶縁被覆はされていてもいなくても良く、一端が区間端11aの所でレール11に接続され、他端が区間端12aの所でレール12に接続されていて、区間端11a,12aの所で左右レール11,12を短絡するものとなっている。この区間端短絡ライン21には接続箇所21cの所で巡回電路形成部材30の一端が接続されていて、区間端短絡ライン21は、レール11の区間端11a寄りの部分ライン21aと、レール12の区間端12a寄りの部分ライン21bとに分けられる。
区間端短絡ライン22は(図1(b)参照)、これも良導体からなり、一端が区間端11bの所でレール11に接続され、他端が区間端12bの所でレール12に接続されていて、区間端11b,12bの所で左右レール11,12を短絡するものとなっている。この区間端短絡ライン22には接続箇所22cの所で巡回電路形成部材30の他端が接続されていて、区間端短絡ライン22は、レール11の区間端11b寄りの部分ライン22aと、レール12の区間端12b寄りの部分ライン22bとに分けられる。
巡回電路形成部材30は(図1(b)参照)、絶縁被覆された電線からなり、中間部位に送信部40の出力部が接続されている。その接続箇所で巡回電路形成部材30を二つの巡回電路形成ライン31,32に分けて、巡回電路形成部材30の両端部の接続状態を説明し直すと、一方の巡回電路形成ライン31は、上述した接続箇所21cの所で区間端短絡ライン21に接続され、他方の巡回電路形成ライン32は、上述した接続箇所22cの所で区間端短絡ライン22に接続されている。
そして、巡回電路形成部材30の一方31と区間端短絡ライン21の部分ライン21aとレール11と区間端短絡ライン22の部分ライン22aと巡回電路形成部材30の他方32とによって、検査信号i0のうち分流信号i1を流す一巡電路が形成されて、レール11のうち区間端11a,11bの間に位置する部分が検査区間11cになる。
また、巡回電路形成部材30の一方31と区間端短絡ライン21の部分ライン21bとレール12と区間端短絡ライン22の部分ライン22bと巡回電路形成部材30の他方32とによって、検査信号i0のうち分流信号i2を流す一巡電路が形成されて、レール12のうち区間端12a,12bの間に位置する部分が検査区間12cになる。
送信部40は(図1(b)参照)、帰線電流とは異なる検査信号i0を巡回電路形成部材30に対して送出するものであるが、検査信号i0が巡回電路形成部材30の先で二つの分流信号i1,i2に分かれるので、レール11側の一巡電路(31,21a,11c,22a,32)に分流信号i1を流すとともに、レール12側の一巡電路(31,21b,12c,22b,32)に分流信号i2を流すものとなっている。
架線は直流電化か交流電化(商用周波数)しかないため、帰線電流には直流や商用周波数(50Hz,60Hz)の交流が用いられるので、それよりも周波数が高くて周波数弁別が容易な交流信号が検査信号i0に適しているが、検査信号i0は、それに限定される訳でなく、帰線電流から弁別可能に異なるものであれば良い。
計測部50は(図1(b),(c)参照)、巡回電路形成部材30を接続された区間端短絡ライン22のうち接続箇所22cからレール11へ至る側の部分ライン22aに付設されていて部分ライン22aひいてはレール11側の一巡電路(31,21a,11c,22a,32)を流れる分流信号i1を測定する電流プローブ51と、区間端短絡ライン22のうち接続箇所22cからレール12へ至る側の部分ライン22bに付設されていて部分ライン22bひいてはレール12側の一巡電路(31,21b,12c,22b,32)を流れる分流信号i2を測定する電流プローブ52と、電流プローブ51の測定値k1(測定信号)と電流プローブ52の測定値k2(測定信号)とから平衡状態値k0(算出値k0=[|k1-k2|/(k1+k2)])を求める算出部53~57を具備したものである。
さらに、それらのうち算出部53~57は(図1(c)参照)、測定信号の状態で即ち検波等で交流を直流化する前のアナログ信号のまま処理することで測定値k1,k2の和電流を生成する加算部53と(例えば特許文献1参照)、やはり測定信号の状態で測定値k1,k2の差電流を生成する減算部54と、加算部53の和電流から検波等の処理を行って測定値k1,k2の加算値である和(k1+k2)を得る受信部55と、減算部54の差電流から検波等の処理を行って測定値k1,k2の減算値の絶対値である差|k1-k2|を得る受信部56と、上記の差|k1-k2|を上記の和(k1+k2)で割るという演算を行って平衡状態値k0(不平衡率・平衡度)を算出する平衡状態値算出部57とを具備している。
判定部60は(図1(c)参照)、それらの測定値k1,k2から得られた平衡状態値k0を用いてレール破断に係る判定を行うために、分流信号i1,i2に基づく平衡状態値k0により軌道回路が平衡状態にあるのか不平衡状態にあるのかを判別する状態判別部61と、不平衡状態と判別したときには直ちに「レール破断が有る状態」と決定するが平衡状態と判別したときには「レール破断が無いか列車が在線しているか何れかの状態」であると決定する決定部62とを具備している。これらの決定部62や状態判別部61さらには上述の平衡状態値算出部57の具現化は、アナログ回路でもデジタル回路でもマイクロプロセッサ組込回路でも良い。
また、上述の判別についてシンプルな具体例を挙げると、予め定めておいた或いは設定しておいた閾値α0と上述の平衡状態値k0とを比較して、平衡状態値k0が閾値α0より小さければ(k0<α0)、測定値k1,k2ひいては分流信号i1,i2に大差が無いので、分流信号i1,i2が平衡状態にあると判別する。これに対し、平衡状態値k0が閾値α0より大きければ(k0>α0)、測定値k1,k2ひいては分流信号i1,i2に大きな差が有るので、分流信号i1,i2が不平衡状態にあると判別する。なお、k0=α0のときは、平衡状態か不平衡状態か何れかの状態と判別する。
この実施例1のレール破断検知装置20について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。
図2(a)~(e)は、その動作状態を列車在線の有無とレール破断の有無とで場合分けして示している。
レール破断の無い正常状態でも、軌道回路の不平衡状態は10%程度あるため、平衡状態値k0=[|k1-k2|/(k1+k2)]が0.1程度になるので、閾値α0は、0.1以上に設定すべきことになる。
また、レールが完全に破断しても交流信号は完全に遮断される訳でなく、例えばレール破断抵抗を100Ωと仮定すると、軌道回路の不平衡率は40%程度となるため、レール破断状態でも平衡状態値k0=[|k1-k2|/(k1+k2)]が0.4程度になるので、閾値α0は0.4以下に設定すべきことになる。
レール破断時のインピーダンス変化割合はレールの長さや材質の違いなどの影響で変動するため、本例では、閾値α0の設定値として、上述した0.1と0.4との間の値であってレール破断が無い正常状態をレール破断と誤検知しない値たとえば0.2が採用されるものとする。
そうすると(図2(a)参照)、レール破断の無い正常状態であり更に検査区間11c,12cに列車が在線していないときには、分流信号i1と分流信号i2とに大差が無く、ひいては測定値k1,k2にも大差が無い。
そのため、平衡状態値k0が0.1未満の値になって0.2の閾値αより小さいことから、平衡状態にあると判別されるので、この場合、「レール破断が無いか列車が在線しているか何れかの状態」であるとの決定がなされる。
また(図2(b)参照)、レール破断の無い正常状態であり更に検査区間11c,12cに列車15が在線しているときには、列車15の車軸によって検査区間11c,12cで左右レール11,12が短絡されるので、分流信号i1と分流信号i2との差が減ることはあっても増えることはなく、測定値k1,k2にも大差は生じない。
そのため、平衡状態値k0が0.1未満の値になって0.2の閾値αより小さいことから、平衡状態にあると判別されるので、この場合も、「レール破断が無いか列車が在線しているか何れかの状態」であるとの決定がなされる。
さらに(図2(c)参照)、レール対11&12の何れか一方たとえばレール12にレール破断12xが生じたレール破断状態であり更に列車15が検査区間11c,12cのうちレール破断12xよりも分流信号i1,i2検出対象の区間端短絡ライン22寄りのところに在線しているときには、列車15の車軸によって検査区間11c,12cで左右レール11,12が短絡されて、分流信号i2がレール破断12xに至る前にレール12からレール11へ流れて分流信号i1へ合流する。このように分流信号i1がレール破断12xを迂回して流れるので、分流信号i1と分流信号i2とに大差は生じず、ひいては測定値k1,k2にも大差が無い。そのため、平衡状態値k0が0.1未満の値になって0.2の閾値αより小さいことから、平衡状態にあると判別されるので、この場合も、「レール破断が無いか列車が在線しているか何れかの状態」であるとの決定がなされる。なお、ここの「列車が在線している」状態は、直前の「レール破断が無い」状態との論理和が採られる関係から、「レール破断が発生かつ列車が在線している」状態でも良い。
これに対し(図2(d)参照)、レール対11&12の何れか一方たとえばレール12にレール破断12xが生じたレール破断状態であっても列車15が検査区間11c,12cのうちレール破断12xよりも分流信号i1,i2検出対象外の区間端短絡ライン21寄りのところに在線しているときには、列車15の車軸によって検査区間11c,12cで左右レール11,12が短絡されても、それは分流信号i2の迂回路にならなくて、分流信号i2がレール破断12xによって大きく減じられるので、分流信号i1と分流信号i2とに大差が生じ、ひいては測定値k1,k2にも同程度の大差が生じる。
そのときの平衡状態値k0は、上述した正常時の0.1未満を超えてレール破断状態が悪化するほど増加して0.4程度へ近づくが、その途中状態である閾値α0=0.2を超過することで不平衡状態にあると判別されるので、この場合は、直ちに「レール破断が有る状態」であるとの決定がなされる。当然、完全破断状態でも同じ決定がなされる。こうして、この場合には(図2(d)参照)、レール破断が明確に検出される。
また(図2(e)参照)、レール対11&12の何れか一方たとえばレール12にレール破断12xが生じたレール破断状態であって検査区間11c,12cには列車が在線していないときにも、分流信号i2がレール破断12xによって大きく減じられて、上述したのと同程度(軌道回路の不平衡率が40%程度)発生する。そのため、平衡状態値k0が0.2より大きくなって上述の閾値αを超えることから、不平衡状態にあると判別されるので、この場合も、直ちに「レール破断が有る状態」であるとの決定がなされる。
このようにレール破断検知装置20が設置されたレール対11&12は、列車が非在線のときにはレール破断状態を単独でも直ちに検出することができ(図2(e)参照)、列車が在線のときにもレール破断状態を単独でも直ちに検出できる場合があり(図2(d)参照)、それ以外の場合は(図2(a)~(c)参照)、軌道回路を使用した従来の検知装置と同様に曖昧性を含んだ判定が下される。また、検査区間11c,12cの両端では区間端短絡ライン21,22によって左右レール11,12が短絡されているので、そことその近傍では平衡用インピーダンスボンドの設置を省くことができる。
本発明のレール破断検知装置の実施例2について、その具体的な構成を、図3を引用して説明する。
このレール破断検知装置は上述した実施例1のレール破断検知装置20に平衡化手段25を追加したものであり、混乱のおそれが無いので、レール破断検知装置20と呼ぶ。
平衡化手段25は、対をなす分流信号i1,i2に係る不平衡状態をレール破断の無い状態では平衡状態に近づけておくためのものであり、本例では、レール11の検査区間11cとレール12の検査区間12cとのうち検査信号に係るインピーダンス値の小さい方を仮に検査区間11cとして具体的に説明する。
また、インピーダンス値の小さいレール11の検査区間11cを含んだ一巡電路(すなわち巡回電路形成部材30と区間端短絡ライン21の部分ライン21aとレール11と区間端短絡ライン22の部分ライン22aとを連ねた電路)のインピーダンスを増すことで、検査区間11cを含んだ一巡電路のインピーダンスを、検査区間12cを含んだ他の一巡電路のインピーダンスに近づける遣り方を説明する。
更に、図示の煩雑化を避けるべく、電流プローブ51,52が取り付けられる区間端短絡ライン22側でなく、そのような部材装着の無い区間端短絡ライン21側に平衡化手段25が設けられた場合について、三つの態様25a,25b,25cを説明する。
第1態様の平衡化手段25aは(図3(b)参照)、区間端短絡ライン21における巡回電路形成部材30の巡回電路形成ライン31の接続箇所21cが区間端短絡ライン21の中央位置から外れていることである。具体的には、接続箇所21cがレール12に寄せられて及び/又は部分ライン21aが延長されてレール11から遠くなったことにより、区間端短絡ライン21において部分ライン21aのインピーダンスが部分ライン21bのインピーダンスより大きくなっている。そして、その部分ライン21aと検査区間11cを含んだ一巡電路のインピーダンスが少し増えて分流信号i1が少し減るとともに、部分ライン21bと検査区間12cとを含んだ他の一巡電路のインピーダンスが少し減って分流信号i2が少し増えるので、対をなす分流信号i1,i2を近づけてその平衡状態を改善することができる。
第2態様の平衡化手段25bは(図3(c)参照)、検査信号i0ひいては分流信号i1にはインピーダンスを示すが帰線電流(電車電流,電気車電流)は良く通すインピーダンス部を部分ライン21aに介挿接続しておくことである。インピーダンス部は、帰線電流が大きいので、コイル主体のローパスフィルタに準じた構成のものが使いやすく、コイルだけで足りることも多い。そして、例えば、帰線電流の周波数より十分に高い周波数の信号を検査信号i0に採用するとともに、遮断周波数・カットオフ周波数が両周波数の間に来るインピーダンス部を採用するといったことで、対をなす分流信号i1,i2を近づけてその平衡状態を改善することができる。
第3態様の平衡化手段25cは(図3(d)参照)、左右のレール11,12に対する区間端短絡ライン21の接続位置(区間端11a,12a)がレール方向・軌道方向においてずれていることである。具体的には、レール11に対する区間端短絡ライン21の接続箇所である区間端11aの位置が検査区間11cの延長側に位置するとともに、レール12に対する区間端短絡ライン21の接続箇所である区間端12aの位置が検査区間12cの短縮側に位置するように、区間端11aと区間端12aとの相対位置が調整されて、インピーダンス値の小さい方のレール11の検査区間11cの長さがインピーダンス値の大きい方のレール12の検査区間12cの長さより距離Lだけ大きくなっている。そして、そのような検査区間11c,12cの延長,短縮によって、そして、検査区間11cを含んだ一巡電路のインピーダンスが少し増え、検査区間12cとを含んだ他の一巡電路のインピーダンスが少し減るので、対をなす分流信号i1,i2を近づけてその平衡状態を改善することができる。
これらの態様については、第1態様の平衡化手段25a(図3(b)参照)と第2態様の平衡化手段25b(図3(c)参照)には、区間端11a,12aの位置に制約が無くて検査区間11c,12cを揃え易いという利点があり、第1態様の平衡化手段25a(図3(b)参照)と第3態様の平衡化手段25c(図3(d)参照)には、区間端短絡ライン21の接続の仕方で済ますことができて安価に実施できるという利点があり、第2態様の平衡化手段25b(図3(c)参照)には、調整幅が広いという利点がある。そのため、平衡化が必要であれば、希望の閾値α0と平衡化手段25の設置前の不平衡の程度と平衡化手段25の設置コストとを比較勘案して、上述の平衡化手段25a,25b,25cや他の平衡化手段から何れか一つ又は複数の手段が選出されて設置される。
本発明のレール破断検知装置の実施例3について、その具体的な構成を、図4を引用して説明する。
このレール破断検知装置70が上述した実施例1,2のレール破断検知装置20と相違するのは(図4参照)、レール対11&12と概ね平行に並んで設置されている別レール対13&14の一方のレール13のうち検査区間13cが巡回電路形成部材30に組み込まれている点である。具体的には、巡回電路形成部材30のうち上述した巡回電路形成ライン32が、区間端短絡ライン22から離れて、それより近いレール13の検査区間13cの区間端13aに接続されるとともに、巡回電路形成部材30に巡回電路形成ライン33が追加されて、巡回電路形成ライン33の一端が接続箇所22cで区間端短絡ライン22に接続され、巡回電路形成ライン33の他端が区間端13bの所でレール13に接続されている。これにより、巡回電路形成部材30の両端部31,32,33を除く大部分がレール13の検査区間13cによって代用される。
そのため、巡回電路形成部材30に要するコストを削減することができる。
本発明のレール破断検知装置の実施例4について、その具体的な構成を、図5を引用して説明する。
このレール破断検知装置80が上述した実施例3のレール破断検知装置70と相違するのは、別レール対13&14の一方のレール13の検査区間13cに加えて他方のレール14の検査区間14cも巡回電路形成部材30に組み込まれている点と、別レール対13&14について計測部50及び判定部60と同様の計測部50a及び判定部60aが設置されている点である。
詳述すると、区間端短絡ライン21と同様の区間端短絡ライン23が区間端短絡ライン21の近くで別レール対13&14に対して接続されて、レール13の区間端13aとレール14の区間端14aとが区間端短絡ライン23によって短絡されるとともに、巡回電路形成ライン32の接続先が区間端13aから区間端短絡ライン23の中間の接続箇所23cに変更されている。しかも、区間端短絡ライン22と同様の区間端短絡ライン24が区間端短絡ライン22の近くで別レール対13&14に対して接続されて、レール13の区間端13bとレール14の区間端14bとが区間端短絡ライン24によって短絡されるとともに、巡回電路形成ライン33の接続先が区間端13bから区間端短絡ライン24の中間の接続箇所24cに変更されている。これにより、レール14の検査区間14cもレール13の検査区間13cと並列状態で巡回電路形成部材30に組み込まれるとともに、別レール対13&14の左右レールについても帰線電流が短絡されることになる。
また、区間端短絡ライン23のうち巡回電路形成ライン32の接続箇所23cよりもレール13の区間端13a寄り部分には電流プローブ58が付設されて、レール13の検査区間13cを流れる分流信号i3が測定されるとともに、区間端短絡ライン23のうち接続箇所23cよりもレール14の区間端14a寄り部分には電流プローブ59が付設されて、レール14の検査区間14cを流れる分流信号i4が測定されるようになっている。更に、分流信号i3の測定値k3や分流信号i4の測定値k4に基づき計測部50aと判定部60aによって別レール対13&14の破断に係る判定を行うようになっている。
この場合、レール対11&12の検査区間11c,12cについてレール破断の有無検出が行えるのに加えて別レール対13&14の検査区間13c,14cについてもレール破断の有無検出が行える。
そして、それに要する設備については、計測部と判定部はレール対11&12用の一セット(50&60)と別レール対13&14用の一セット(50a&60a)とで計二セット設置されるが、送信部40については送信パワーが足りれば一台だけで済む。
そのため、設備費も設置作業費も節約することができる。
本発明のレール破断検知装置の実施例5について、その具体的な構成を、図6を引用して説明する。
このレール破断検知装置90が上述した実施例4のレール破断検知装置80と相違するのは、レール対11&12に係る検査区間11c,12cに検査区間11e,12eが加えられた点と、別レール対13&14に係る検査区間13c,14cに検査区間13e,14eが加えられた点である。
詳述すると、レール11については、区間端11aを挟んで区間端11bと検査区間11cとの反対側に区間端11dと検査区間11eとが設定され、レール12については、区間端12aを挟んで区間端12bと検査区間12cとの反対側に区間端12dと検査区間12eとが設定され、レール13については、区間端13aを挟んで区間端13bと検査区間13cとの反対側に区間端13dと検査区間13eとが設定され、レール14については、区間端14aを挟んで区間端14bと検査区間14cとの反対側に区間端14dと検査区間14eとが設定される。
また、区間端11dと区間端12dとが区間端短絡ライン26にて接続されてそこでも左右レール11,12が短絡されるとともに、区間端13dと区間端14dとが区間端短絡ライン27にて接続されてそこでも左右レール13,14が短絡され、更に巡回電路形成ライン33と同様のラインで足りるが別の巡回電路形成ライン34の一端が接続箇所26cの所で区間端短絡ライン26に接続され他端が接続箇所27cの所で区間端短絡ライン27に接続されている。
この場合、説明の明瞭化や簡素化のため検査信号i0等の伝達を双方向の片側だけ述べると、送信部40から巡回電路形成部材30に送出された検査信号i0が、巡回電路形成ライン31と区間端短絡ライン21を経て、レール11の検査区間11cの分流信号i1とレール12の検査区間12cの分流信号i2の組と、レール11の検査区間11eの分流信号i5とレール12の検査区間12eの分流信号i6の組とに分かれる。それから分流信号i1,i2の組が巡回電路形成ライン33で合わさってから再びレール13の検査区間13cの分流信号i3とレール14の検査区間14cの分流信号i4とに分かれ、分流信号i5,i6の組が巡回電路形成ライン34で合わさってから再びレール13の検査区間13eの分流信号i7とレール14の検査区間14eの分流信号i8とに分かれる。
それから、それらi3,i4,i7,i8は、区間端短絡ライン23で合わさり、電路形成ライン32では検査信号i0になって送信部40に戻る。
そのような信号伝達状態において、レール破断がどこにも無ければ、分流信号i1と分流信号i2とが釣り合い、分流信号i3と分流信号i4も釣り合い、分流信号i5と分流信号i6も釣り合い、分流信号i7と分流信号i8も釣り合う。
そして、分流信号i1,i5の和電流(i1+i5)と分流信号i2,i6の和電流(i2+i6)も釣り合い、分流信号i3,i7の和電流(i3+i7)と分流信号i4,i8の和電流(i4+i8)も釣り合う。
そうすると、和電流(i1+i5)の測定値k1と和電流(i2+i6)の測定値k2とに大差は生じないので、判定部60によって、レール11の検査区間11c,11e及びレール12の検査区間12c,12eについては、平衡状態にあると判別され、「レール破断が無いか列車が在線しているか何れかの状態」であると決定される。
また、和電流(i3+i7)の測定値k3と和電流(i4+i8)の測定値k4とにも大差が生じないので、判定部60aによって、レール13の検査区間13c,13e及びレール14の検査区間14c,14eについても、平衡状態にあると判別され、「レール破断が無いか列車が在線しているか何れかの状態」であると決定される。
これに対し、レール対11&12に係る何れかの検査区間11c,11e,12c,12eにレール破断が生じると、測定値k1と測定値k2とから求めた平衡状態値k0が大きくなるので、判定部60によって直ちに「レール破断が有る状態」であるとの決定がなされる。
また、レール対13&14に係る何れかの検査区間13c,13e,14c,14eにレール破断が生じると、測定値k3と測定値k4とから求めた平衡状態値k0’=[|k3-k4|/(k3+k4)]が大きくなるので、判定部60aによって直ちに「レール破断が有る状態」であるとの決定がなされる。
このようにレール破断検知装置90にあっては、複線10の検査区間11c,11e,12c,12e,13c,13e,14c,14eについてレール破断の存在を明確に検出することができる。
また、レール破断検知装置90は、検査信号i0の送受信に直接的に関わる巡回電路形成ライン31,32と区間端短絡ライン21,23とが検査区間の外端(11bや11dなど)でなく内側(11aなど)に位置しているので、レール長手方向へ繋げて設置するのが容易なものにもなっている。
[その他]
上記の実施例では、平衡状態値の具体例として『両測定値k1,k2の差|k1-k2|を和(k1+k2)で割った不平衡率』を挙げたが、例えば送信部40の出力段に定電流回路を組み込んでおくといったことで検査信号i0の電流値が一定になるようにしておけば、分流信号i1,i2の和ひいては測定値k1,k2の和は予め判明している一定値になるので、それらのレベル(例えば検査信号i0が交流でその波形が係数kと角周波数ωと時刻tとを用いてk×sin(ω・t)と表されるものであればkやk/√2など)の差が不平衡率の定数倍になるので、そのようなレベル差も、状態判別の閾値を定数倍にしておくといったことで、不平衡率と同様の平衡状態値として状態判別に用いることができる。
上記の実施例では、平衡状態値を求めるのに用いる「測定値k1,k2の差」として、両値k1,k2の減算値の絶対値を挙げたが、絶対値を採ることは必須でなく、単に(k1-k2)を用いても良い。その場合、左右レールの何れが破断したのかによって平衡状態値の変動方向が正負に分かれるので、閾値α0として正負の二つを採用して使い分けるようにしても良い。その場合、平衡状態値の変動方向の正負に応じてレール破断が左右レールの何れに生じたのかまで判定するように判定部60を拡張することができる。
上記実施例では、計測部50が測定値k1,k2の加算や減算を測定信号の状態で専用回路にて行ってから受信するようになっていたが(図1(c)参照)、それらの測定信号をそれぞれ先に受信し、その後に適宜な専用演算回路や汎用プロセッサ等にて処理するようにしても良い。また、計測部50と判定部60が別ブロックになっていたが、両部の機能を発揮することができれば、ハードウェアが分かれている必要は無く、例えば判定部60と平衡状態値算出部57とが一プロセッサで具現化されていても良く、それら60,57に加えて加算部53や減算部54さらには受信部55,56まで一プロセッサで具現化されていても良い。
上記実施例では、図2(c)を参照した説明において、「レール破断が無いか列車が在線しているか何れかの状態」であるとの決定がなされることまでしか説明しなかったが、列車が在線したときには、不平衡状態から平衡状態になるため、不平衡状態から平衡状態への状態変化を検出することで列車在線を検出することが可能である。
また、図2(d)を参照した説明に関しても、列車が進行して、図2(d)の状態から図2(c)の状態になると、軌道回路の状態が不平衡状態から平衡状態へ変化するので、列車在線を明確に検出することができる。
10 複線(鉄道)
11&12 レール対(左右レール,軌道)
11,12 レール
12x レール破断
13&14 別レール対(左右レール,軌道)
13,14 レール(別レール)
11a,12a,13a,14a 区間端
11b,12b,13b,14b 区間端
11c,12c,13c,14c 検査区間
11d,12d,13d,14d 区間端
11e,12e,13e,14e 検査区間
15 列車
20 レール破断検知装置
21,22,23,24,26,27 区間端短絡ライン(接続線)
21a,21b,22a,22b 部分ライン
21c,22c,23c,24c,26c,27c 接続箇所(分流点・合流点)
25,25a,25b,25c 平衡化手段
30 巡回電路形成部材
31,32,33,34 巡回電路形成ライン(接続線)
40 送信部
50,50a 計測部
51,52 電流プローブ
53 加算部
54 減算部
55,56 受信部
57 平衡状態値算出部
58,59 電流プローブ
60,60a 判定部
61 状態判別部
62 決定部
70,80,90 レール破断検知装置
i0 検査信号
i1,i2,i3,i4,i5,i6,i7,i8 分流信号
k0 平衡状態値(算出値)
k1,k2,k3,k4 測定値(測定信号)

Claims (7)

  1. 鉄道の軌道をなすレール対の複数箇所に付設されて夫々の付設箇所で前記レール対の左右レールについて帰線電流を短絡させる複数の区間端短絡ラインと、前記区間端短絡ラインに接続されて前記レール対と共に巡回する電路を形成する巡回電路形成部材と、前記巡回電路形成部材に対して帰線電流とは異なる検査信号を送出する送信部と、前記区間端短絡ラインのうち前記巡回電路形成部材を接続された部材についてその接続箇所の両側で前記検査信号に係る一対の分流信号を測定する計測部と、その測定値に基づいてレール破断に係る判定を行う判定部とを備えていることを特徴とするレール破断検知装置。
  2. 前記判定部が、対をなす前記分流信号について平衡状態にあるのか不平衡状態にあるのかを判別して、不平衡状態と判別したときには直ちにレール破断が有ると決定するようになっていることを特徴とする請求項1記載のレール破断検知装置。
  3. 前記判定部が、平衡状態と判別したときには、レール破断が無いか列車が在線しているか何れかの状態であると決定するようになっていることを特徴とする請求項2記載のレール破断検知装置。
  4. 対をなす前記分流信号に係る不平衡状態をレール破断の無い状態では平衡状態に近づける又は平衡状態にする平衡化手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載されたレール破断検知装置。
  5. 前記平衡化手段が、前記区間端短絡ラインにおける前記巡回電路形成部材の接続箇所が前記区間端短絡ラインの中央位置から外れていることと、前記検査信号にはインピーダンスが大きくなるが前記帰線電流にはインピーダンスが小さくなるインピーダンス部が前記区間端短絡ラインに介挿されていることと、前記左右レールに対する前記区間端短絡ラインの接続位置がずれていることとのうち、何れか一つ又は複数のことからなることを特徴とする請求項4記載のレール破断検知装置。
  6. 前記レール対と並んだ別レールが前記巡回電路形成部材に含まれていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載されたレール破断検知装置。
  7. 前記別レールが前記レール対とは別のレール対を構成しており、この別レール対にもその左右レールについて帰線電流を短絡させる区間端短絡ラインが付設されており、この区間端短絡ラインのうち前記巡回電路形成部材を接続された部材についてその接続箇所の両側で前記検査信号に係る一対の分流信号を測定するようになっていることを特徴とする請求項6記載のレール破断検知装置。
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