JP7273543B2 - 繊維および繊維構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、繊維および繊維構造体に関し、詳しくは、4-メチル-1-ペンテン共重合体を含み、破断が起こりにくく、毛羽立ちが少ない繊維、およびこれを含んだ繊維構造体に関する。
4-メチル-1-ペンテンを主たる構成モノマーとする4-メチル-1-ペンテン系重合体は、離型性、耐溶剤性に優れているため各種用途に広く使用されている。例えば、フィルムは良好な離型性などの特長を活かしてFPC離型フィルム、複合材料成形用・離型フィルムなどに使用され、成形体では耐熱性、耐薬品性、耐水性、透明性などの特長を活かして、ラップフィルム、実験器具、ゴムホース製造用シース、マンドレル、および繊維の原料などに使用されている。
4-メチル-1-ペンテン系重合体を含む樹脂組成物からなる繊維は、4-メチル-1-ペンテン系重合体の耐熱性の特長を活かして、高温下の使用条件での用途に好適に用いられ得る。さらには、4-メチル-1-ペンテン系重合体の耐酸性、耐アルカリ性、低汚染性、軽量性といった種々の優れた物性を活かした用途も考え得る。
特許文献1には、単糸繊度3dtex以下、U%(Normal)3未満、総繊度 500dtex以下、強度2.0cN/dtex以上のポリメチルペンテン繊維が記載され、さらに、伸度100%以下の原糸を延伸温度150~220℃で1.1~3.0倍延伸する、ポリメチルペンテン繊維の製造方法が記載されている。
特許文献2には、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)と4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)を含む、4-メチル-1-ペンテン共重合体組成物(X)が記載され、用途として繊維が記載されている。
特許文献3には、4-メチル-1-ペンテン系重合体を含む樹脂組成物からなる繊維が記載れている。
特開2017-014662号公報 特開2018-162408号公報 特開2015-183332号公報
しかし、上記従来のポリメチルペンテン繊維は、伸度が小さいため、テンションがかかる織物や編物などへの加工時に破断が起こり、毛羽立ちの原因となっていた。特にアパレル用途では毛羽立ちは外観不良になるため、伸度および強度の向上が課題である。
本発明は、破断が起こりにくく、毛羽立ちが少ない繊維を提供することを目的とする。
ポリメチルペンテンに、共重合体成分の多い柔軟なポリメチルペンテンをアロイすることにより、従来のポリメチルペンテン繊維と同程度の強度を維持しながら伸度が向上した繊維を得ることに成功し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の[1]~[5]に関する。
[1] 4-メチル-1-ペンテン共重合体を含み、下記要件(X-1)~(X-3)を満たす繊維。
(X-1) 伸度が50~300%である。
(X-2) 破断強度が2.0~7.0cN/dtexである。
(X-3) 単糸繊度が0.5~1200dtexである。
[2] 下記要件(A-a)および(A-b)を満たす4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)5.0~95.0質量部と、
下記要件(B-a)および(B-b)を満たす4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)5.0~95.0質量部と
(但し(共)重合体(A)と共重合体(B)との合計を100質量部とする)
を含む4-メチル-1-ペンテン共重合体組成物(X)を含み、
下記要件(X-1)~(X-3)を満たす繊維。
(A-a)4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U1)が96.0モル%以上100モル%以下であり、
エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)からなる群より選ばれる少なくとも一種のオレフィンから導かれる構成単位の含有量(U2)が0モル%以上4.0モル%以下である(但し、(U1)と(U2)との合計を100モル%とする)。
(A-b)DSCで測定した融点(Tm)が200~240℃である。
(B-a)4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U3)が73.0モル%以上96.0モル%未満であり、
エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)からなる群より選ばれる少なくとも一種のオレフィンから導かれる構成単位の含有量(U4)が4.0モル%より大きく27.0モル%以下である(但し、(U3)と(U4)との合計を100モル%とする)。
(B-b)DSCで測定した融点(Tm)が230℃未満であるか、またはDSC測定において融点を示すピークが出現しない。
(X-1) 伸度が50~300%である。
(X-2) 破断強度が2.0~7.0cN/dtexである。
(X-3) 単糸繊度が0.5~1200dtexである。
[3] 前記4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)および前記4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)に含まれるエチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも一種のオレフィンの構成単位が、炭素原子数10以上20以下のα-オレフィンから選ばれる少なくとも一種のα-オレフィンの構成単位である、[2]に記載の繊維。
[4] 前記共重合体組成物(X)中の重合体に含まれる全構成単位に対する、
前記4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)に含まれるエチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)からなる群より選ばれる少なくとも一種のオレフィンから導かれる構成単位と、
前記4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)に含まれるエチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)からなる群より選ばれる少なくとも一種のオレフィンから導かれる構成単位と
の合計の含有量の比率が、0.5~20モル%である、[2]または[3]に記載の繊維。
[5] [1]~[4]のいずれか一項に記載の繊維を少なくとも一部に含む繊維構造体。
本発明の繊維は、伸度が大きいので、破断が起こりにくく、毛羽立ちが少ない。本発明の繊維は、このような特徴を活かし、さまざまな繊維構造体に適用することができる。
本発明の繊維は、4-メチル-1-ペンテン共重合体を含み、下記要件(X-1)~(X-3)を満たす。
前記4-メチル-1-ペンテン共重合体は、好ましくは、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位、およびエチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)からなる群より選ばれる少なくとも一種のオレフィンから導かれる構成単位を含む。炭素原子数3~20のα-オレフィンとして具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンおよび1-エイコセンなどが挙げられる。前記エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィンのうち、特に、エチレン、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンが好ましい。これらのオレフィンは、1種単独でもよく、または2種以上の組み合わせでもよい。
要件(X-1)
前記繊維は、伸度が50~300%である。伸度は、好ましくは70~280%、より好ましくは100~260%である。繊維の伸度が前記範囲であると、毛羽立ちが少なく、耐久性が良好となるため好ましい。
伸度は、実施例に記載されている方法によって算出された値である。
要件(X-2)
前記繊維は、破断強度が2.0~7.0cN/dtexである。破断強度は、好ましくは2.0~5.0cN/dtex、より好ましくは2.0~4.0cN/dtexである。繊維の破断強度が前記範囲であると、繊維が破断しにくくなり、耐久性に優れるため好ましい。
破断強度は、実施例に記載されている方法によって算出された値である。
要件(X-3)
前記繊維は、単糸繊度が0.5~1200dtexである。単糸繊度は、好ましくは1.5~500dtex、より好ましくは4.0~500dtex、さらに好ましくは400~500dtexである。
単糸繊度とは、総繊度を繊維のフィラメント数で除算した値であり、総繊度とは一定の長さにおける繊維の質量を用いて繊維の太さを表した値である。単糸繊度および総繊度は、実施例に記載されている方法によって算出された値である。
本発明の繊維の好適な態様として、下記要件(A-a)および(A-b)を満たす4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)と、下記要件(B-a)および(B-b)を満たす4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)と(但し(共)重合体(A)および共重合体(B)の合計を100質量部とする)を含む4-メチル-1-ペンテン共重合体組成物(X)を含み、上記要件(X-1)~(X-3)を満たす繊維を挙げることができる。
[4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)]
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)は要件(A-a)および(A-b)を満たす。
(A-a)4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U1)が96.0モル%以上100モル%以下であり、エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)からなる群より選ばれる少なくとも一種のオレフィンから導かれる構成単位の含有量(U2)が0モル%以上4.0モル%以下である(但し、(U1)と(U2)の合計を100モル%とする)。
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)は、例えば、4-メチル-1-ペンテンの単独重合体(すなわち、4-メチル-1-ペンテン由来の構成単位の含有量が100モル%である重合体)、および4-メチル-1-ペンテンと他のオレフィンとの共重合体である。
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)に含まれる全構成単位に対する4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U1)は好ましくは97~100モル%、より好ましくは98.5~100モル%であり、エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも1種から導かれる構成単位の含有量(U2)は、好ましくは0~3モル%、より好ましくは0~1.5モル%である。
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)が共重合体である場合、4-メチル-1-ペンテンと共重合するエチレン及び炭素原子数3~20のα-オレフィンとして具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンおよび1-エイコセンなどが挙げられる。これらのうち好ましいのは、10以上20以下のα-オレフィンから選ばれる少なくとも一種のα-オレフィンであり、具体的には、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン等である。これらのα-オレフィンは、1種単独でもよく、または2種以上の組み合わせでもよい。
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)中の4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位、ならびに、エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から導かれる構成単位の量は、重合反応中に添加する4-メチル-1-ペンテン、ならびに、エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)の量によって調整することができる。
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)は、要件(A-a)および(A-b)を満たす限り、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン以外のモノマーから導かれる構成単位を有してもよい。他のモノマーに由来する構成単位の含有量の上限値は、(U1)と(U2)の合計100質量%に対して、例えば10質量%以下、好ましくは5質量%以下である。
(A-b)DSCで測定した融点(Tm)が200~240℃である。
融点(Tm)は、示差走査型熱量測定(昇温速度:10℃/分)によって決定される。
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)の融点(Tm)は、好ましくは225~240℃、より好ましくは230~240℃である。融点(Tm)は、コモノマー種およびその量を適宜選択することなどにより任意に調整することができる。融点(Tm)が上記範囲内にある場合、得られる共重合体組成物は耐熱性に優れる。
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)は、ASTM D1238に準拠して260℃、5kg荷重下で測定したメルトフローレート(MFR)が5~400g/10分であることが好ましく、5~180g/10分であることがより好ましい。
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)は、上記要件を満たす限り、(共)重合体が極性モノマーによりグラフト変性されて得られたグラフト変性(共)重合体であってもよい。
[4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)の製造方法]
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)の製造方法としては、例えば、国際公開第01/27124号、国際公開14/050817号等に記載の方法を採用することができる。4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)の製造方法においては、従来公知の重合触媒を用いることができる。
また、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)の製造方法として、後述の4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)の製造方法と同様の製造方法を採用することができる。
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)がグラフト変性(共)重合体である場合は、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体にエチレン性不飽和結合含有モノマーを、有機過酸化物を用いてグラフト変性することにより4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)を製造することができる。
グラフト変性に用いられる極性モノマーとしては、例えば、水酸基含有エチレン性不飽和化合物、アミノ基含有エチレン性不飽和化合物、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物、芳香族ビニル化合物、不飽和カルボン酸またはその誘導体、ビニルエステル化合物、塩化ビニル、カルボジイミド化合物が挙げられる。特に、不飽和カルボン酸またはその誘導体が好ましい。
変性体の変性量(極性モノマーのグラフト量)は、変性体を100質量%とした場合に、通常0.1~50質量%、好ましくは0.2~30質量%、さらに好ましくは0.2~10質量%である。
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)として変性体を用いると、他の樹脂との接着性、相溶性に優れ、また得られた成形体表面の濡れ性が改良される場合がある。また、変性体を用いることにより、樹脂以外の他の材料(ガラス、金属、木材など)との相溶性または接着性を付加することができる場合もある。
また、極性モノマー(例えば、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体)のグラフト量が上記範囲にあることにより、4-メチル-1-ペンテン共重合体組成物(X)は、極性基含有樹脂(例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリアミド、PMMA、ポリカーボネート等)に対して高い接着強度を示す。
[4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)]
4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)は要件(B-a)および(B-b)を満たす。
(B-a)4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U3)が73.0モル%以上96.0モル%未満であり、エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)からなる群より選ばれる少なくとも一種のオレフィンから導かれる構成単位の含有量(U4)が4.0モル%より大きく27.0モル%以下である(但し、(U3)と(U4)の合計を100モル%とする)。
4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)に含まれる全構成単位に対する4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U3)は好ましくは80~95モル%、より好ましくは85~95モル%であり、エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも1種から導かれる構成単位の含有量(U4)は、好ましくは5~20モル%、より好ましくは5~15モル%である。
本発明において、「エチレン」および「炭素数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)」を「コモノマー」とも記載する。コモノマーから導かれる構成単位は、1種のコモノマーから導かれる構成単位であってもよく、2種以上のコモノマーから導かれる構成単位であってもよい。
(U3)および(U4)が上記範囲であると、得られる組成物が高い耐衝撃性を発現する点で好ましい。
コモノマー組成は、IRまたは13C-NMRにより測定することができる。
4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)中の各構成単位の含有量は、例えば、重合反応中に添加するそれぞれのオレフィン(例えば、4-メチル-1-ペンテン、エチレン、炭素数3~20の4-メチル-1-ペンテン以外のα-オレフィン)の量によって調整することができる。
エチレン、および炭素数3~20の4-メチル-1-ペンテン以外のα-オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンおよび1-エイコセンが挙げられる。
これらのうち好ましいのは、10以上20以下のα-オレフィンから選ばれる少なくとも一種のα-オレフィンであり、具体的には、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン等である。
コモノマーは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)は、要件(B-a)および(B-b)を満たす限り、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン以外の、他のモノマーに由来する構成単位を有してもよい。他のモノマーに由来する構成単位の含有量の上限値は、(U3)と(U4)の合計100質量%に対して、例えば10質量%以下、好ましくは5質量%以下である。
(B-b)DSCで測定した融点(Tm)が230℃未満であるか、またはDSC測定において融点を示すピークが出現しない。
融点(Tm)は、示差走査型熱量測定(昇温速度:10℃/分)によって決定される。
4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)は、融点(Tm)が225℃未満であるか、またはDSC測定において融点を示すピークが出現しないことが好ましく、融点(Tm)が223℃未満であるか、またはDSC測定において融点を示すピークが出現しないことがより好ましい。
融点(Tm)は、コモノマー種およびその量を適宜選択することなどにより任意に調整することができる。融点(Tm)が上記範囲内にある場合、得られる共重合体組成物は柔軟性および耐衝撃性に優れる。
4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)は、ASTM D1238に準拠して260℃、5kg荷重下で測定したメルトフローレート(MFR)が4~400g/10分であることが好ましく、5~180g/10分であることがより好ましい。
[4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)の製造方法]
4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)は、後述するオレフィン重合用触媒の存在下、4-メチル-1-ペンテンとエチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも1種のオレフィンとを共重合することで得ることができる。
[1]オレフィン重合用触媒
オレフィン重合用触媒としては、
(A)架橋メタロセン化合物と、
(B)(b-1) 有機アルミニウムオキシ化合物、
(b-2) 前記メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、および
(b-3) 有機アルミニウム化合物
から選ばれる少なくとも1種以上の化合物と
を含む触媒が好ましい。
〈架橋メタロセン化合物(A)〉
架橋メタロセン化合物(A)は、一般式[A1]で表される化合物が好ましく、一般式[A2]で表される化合物がより好ましい。
Figure 0007273543000001
式[A1]中、Mは周期表第4族遷移金属、例えばチタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、Qはハロゲン原子、炭化水素基、炭素数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子および孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一または異なる組合せで選ばれ、jは1~4の整数であり、RAおよびRBは、互いに同一かまたは異なっていてもよく、Mと共にサンドイッチ構造を形成することができる単核または多核炭化水素残基であり、Yは炭素原子またはケイ素原子であり、RCおよびRDは、互いに同一かまたは異なっていてもよく、水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基、ハロゲン原子およびハロゲン含有炭化水素基から選ばれ、互いに結合して環を形成していてもよい。
Figure 0007273543000002
式[A2]中、R1は炭化水素基、ケイ素含有基またはハロゲン含有炭化水素基であり、R2~R10は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基、ハロゲン原子およびハロゲン含有炭化水素基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよく、それぞれの置換基は互いに結合して環を形成してもよい。Mは周期表第4族遷移金属であり、Qはハロゲン原子、炭化水素基、炭素数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子および孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一または異なる組合せで選ばれ、jは1~4の整数である。
一般式[A2]で表される架橋メタロセン化合物の中でも、重合特性、入手容易性、上記要件を満たす重合体を得る観点から、一般式[A3]で表される架橋メタロセン化合物が特に好ましい。
Figure 0007273543000003
式[A3]中、R1bは炭化水素基、ケイ素含有基またはハロゲン含有炭化水素基であり、R2b~R12bは水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基、ハロゲン原子およびハロゲン含有炭化水素基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよく、それぞれの置換基は互いに結合して環を形成してもよい。Mは周期表第4族遷移金属であり、nは1~3の整数であり、Qはハロゲン原子、炭化水素基、炭素数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子および孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一または異なる組合せで選ばれ、jは1~4の整数である。
<R 1 からR 10 、R 1b からR 12b
1からR10およびR1bからR12bにおける炭化水素基としては、例えば、直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、環状飽和炭化水素基、環状不飽和炭化水素基、飽和炭化水素基が有する1または2以上の水素原子を環状不飽和炭化水素基に置換してなる基が挙げられる。炭化水素基の炭素数は、通常1~20、好ましくは1~15、より好ましくは1~10である。
直鎖状炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デカニル基等の直鎖状アルキル基;アリル基等の直鎖状アルケニル基が挙げられる。
分岐状炭化水素基としては、例えば、イソプロピル基、tert-ブチル基、tert-アミル基、3-メチルペンチル基、1,1-ジエチルプロピル基、1,1-ジメチルブチル基、1-メチル-1-プロピルブチル基、1,1-プロピルブチル基、1,1-ジメチル-2-メチルプロピル基、1-メチル-1-イソプロピル-2-メチルプロピル基等の分岐状アルキル基が挙げられる。
環状飽和炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、メチルシクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ノルボルニル基、アダマンチル基、メチルアダマンチル基等の多環式基が挙げられる。
環状不飽和炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基等のアリール基;シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基;5-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エニル基等の多環の不飽和脂環式基が挙げられる。
飽和炭化水素基が有する1または2以上の水素原子を環状不飽和炭化水素基に置換してなる基としては、例えば、ベンジル基、クミル基、1,1-ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基等のアルキル基が有する1または2以上の水素原子をアリール基に置換してなる基が挙げられる。
1からR10およびR1bからR12bにおけるケイ素含有基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基等の式-SiR3(式中、複数あるRはそれぞれ独立に炭素数1~15のアルキル基またはフェニル基である。)で表される基が挙げられる。
1からR10およびR1bからR12bにおけるハロゲン含有炭化水素基としては、例えば、トリフルオロメチル基等の、上記炭化水素基が有する1または2以上の水素原子をハロゲン原子に置換してなる基が挙げられる。
2からR10およびR2bからR12bにおけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
2からR10およびR2bからR12bまでの置換基のうち、2つの置換基(例:R2bとR3b、R3bとR4b、R5bとR6b、R6bとR7b、R8bとR9b、R9bとR10b、R10bとR11b、R11bとR12b)が互いに結合して環を形成していてもよく、前記環形成は、分子中に2箇所以上存在してもよい。
本明細書において、2つの置換基が互いに結合して形成された環(スピロ環、付加的な環)としては、例えば、脂環、芳香環が挙げられる。具体的には、シクロヘキサン環、ベンゼン環、水素化ベンゼン環、シクロペンテン環が挙げられ、好ましくはシクロヘキサン環、ベンゼン環および水素化ベンゼン環である。また、このような環構造は、環上にアルキル基等の置換基をさらに有していてもよい。
1bは、立体規則性の観点から、炭化水素基であることが好ましく、炭素数1~20の炭化水素基であることがより好ましく、アリール基ではないことがさらに好ましく、直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基または環状飽和炭化水素基であることがとりわけ好ましく、遊離原子価を有する炭素(シクロペンタジエニル環に結合する炭素)が3級炭素である置換基であることが特に好ましい。
1bとしては、具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、tert-ペンチル基、tert-アミル基、1-メチルシクロヘキシル基、1-アダマンチル基が例示でき、より好ましくはtert-ブチル基、tert-ペンチル基、1-メチルシクロヘキシル基、1-アダマンチル基等の遊離原子価を有する炭素が3級炭素である置換基であり、特に好ましくはtert-ブチル基、1-アダマンチル基である。
一般式[A3]において、フルオレン環部分は公知のフルオレン誘導体から得られる構造であれば特に制限されないが、R4bおよびR5bは、立体規則性、分子量の観点から、好ましくは水素原子である。
2b、R3b、R6bおよびR7bは、好ましくは水素原子または炭化水素基であり、より好ましくは炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素数1~20の炭化水素基である。また、R2bとR3bが互いに結合して環を形成し、かつR6bとR7bが互いに結合して環を形成していてもよい。このような置換フルオレニル基としては、例えば、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、オクタヒドロジベンゾフルオレニル基、1,1,4,4,7,7,10,10-オクタメチル-2,3,4,7,8,9,10,12-オクタヒドロ-1H-ジベンゾ[b,h]フルオレニル基、1,1,3,3,6,6,8,8-オクタメチル-2,3,6,7,8,10-ヘキサヒドロ-1H-ジシクロペンタ[b,h]フルオレニル基、1',1',3',6',8',8'-ヘキサメチル-1'H,8'H-ジシクロペンタ[b,h]フルオレニル基が挙げられ、特に好ましくは1,1,4,4,7,7,10,10-オクタメチル-2,3,4,7,8,9,10,12-オクタヒドロ-1H-ジベンゾ[b,h]フルオレニル基である。
8bは水素原子であることが好ましい。
9bは炭化水素基であることがより好ましく、R9bは直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基等の炭素数2以上のアルキル基、シクロアルキル基またはシクロアルケニル基であることがさらに好ましく、R9bは炭素数2以上のアルキル基であることがとりわけ好ましい。また、合成上の観点からは、R10bおよびR11bは水素原子であることも好ましい。
あるいは、n=1である場合、R9bおよびR10bが互いに結合して環を形成していることがより好ましく、当該環がシクロヘキサン環等の6員環であることが特に好ましい。この場合、R11bは水素原子であることが好ましい。
12bは、炭化水素基であることが好ましく、アルキル基であることが特に好ましい。
<M、Q、nおよびjについて>
Mは第4族遷移金属であり、例えばTi、ZrまたはHfであり、好ましくはZrまたはHfであり、特に好ましくはZrである。
Qはハロゲン原子、炭化水素基、炭素数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子を示す。
Qでのハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
Qにおける炭化水素基としては、炭素数1~10のアルキル基、炭素数3~10のシクロアルキル基が好ましい。炭素数1~10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、2-メチルプロピル基、1,1-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、1,1-ジエチルプロピル基、1-エチル-1-メチルプロピル基、1,1,2,2-テトラメチルプロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,1,3-トリメチルブチル基、ネオペンチル基が例示され;炭素数3~10のシクロアルキル基としては、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシル基、1-メチル-1-シクロヘキシル基が例示される。炭化水素基の炭素数は、5以下であることがより好ましい。
炭素数10以下の中性の共役または非共役ジエンとしては、s-シス-またはs-トランス-η4-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-3-メチル-1,3-ペンタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ジベンジル-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-2,4-ヘキサジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,3-ペンタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ジトリル-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ビス(トリメチルシリル)-1,3-ブタジエンが例示される。
アニオン配位子としては、メトキシ、tert-ブトキシ等のアルコキシ基;フェノキシ等のアリールオキシ基;アセテート、ベンゾエート等のカルボキシレート基;メシレート、トシレート等のスルホネート基が例示される。
孤立電子対で配位可能な中性配位子としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン等の有機リン化合物;テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル類が例示される。
Qの好ましい態様は、ハロゲン原子または炭素数1~5のアルキル基である。
nは1~3の整数であり、好ましくは1または2であり、より好ましくは1である。nが上記値であることが、生成する重合体を効率的に得る観点から好ましい。
jは1~4の整数であり、好ましくは2である。
以上、一般式[A2]または[A3]で表される架橋メタロセン化合物の構成、すなわちR1~R10、R1b~R12b、M、n、Qおよびjについて、好ましい態様を説明した。本発明では、それぞれの好適態様の任意の組合せも好ましい態様である。このような架橋メタロセン化合物は、上記物性を有する本発明の重合体を得るために好適に使用することができる。
一般式[A3]で表される架橋メタロセン化合物としては、(8-オクタメチルフルオレン-12'-イル-(2-(アダマンタン-1-イル)-8-メチル-3,3b,4,5,6,7,7a,8-オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン))ジルコニウムジクロライドまたは(8-(2,3,6,7-テトラメチルフルオレン)-12'-イル-(2-(アダマンタン-1-イル)-8-メチル-3,3b,4,5,6,7,7a,8-オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン))ジルコニウムジクロライドが特に好ましい。ここで、上記オクタメチルフルオレンとは1,1,4,4,7,7,10,10-オクタメチル-2,3,4,7,8,9,10,12-オクタヒドロ-1H-ジベンゾ[b,h]フルオレンのことである。
〈化合物(B)〉
《有機アルミニウムオキシ化合物(b-1)》
有機アルミニウムオキシ化合物(b-1)としては、一般式[B1]で表される化合物および一般式[B2]で表される化合物等の従来公知のアルミノキサン、一般式[B3]で表される構造を有する修飾メチルアルミノキサン、一般式[B4]で表されるボロン含有有機アルミニウムオキシ化合物が例示される。
Figure 0007273543000004
式[B1]および[B2]において、Rは炭素数1~10の炭化水素基、好ましくはメチル基であり、nは2以上、好ましくは3以上、より好ましくは10以上の整数である。式[B1]および[B2]において、Rがメチル基であるメチルアルミノキサンが好適に使用される。
Figure 0007273543000005
式[B3]において、Meはメチル基であり、Rは炭素数2~10の炭化水素基であり、mおよびnはそれぞれ独立に2以上の整数である。複数あるRは相互に同一でも異なっていてもよい。修飾メチルアルミノキサン[B3]は、トリメチルアルミニウムとトリメチルアルミニウム以外のアルキルアルミニウムとを用いて調製することができる。このような修飾メチルアルミノキサン[B3]は、一般にMMAO(modified methyl aluminoxane)と呼ばれている。MMAOは、具体的には米国特許第4960878号および米国特許第5041584号で挙げられる方法で調製することが出来る。
また、東ソー・ファインケム社等からも、トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムとを用いて調製された(すなわち、一般式[B3]においてRがイソブチル基である)修飾メチルアルミノキサンが、MMAOやTMAOという商品名で商業的に生産されている。
MMAOは各種溶媒への溶解性および保存安定性が改善されたアルミノキサンである。
具体的には一般式[B1]または[B2]で表される化合物等のようなベンゼンに対して不溶性または難溶性の化合物とは異なり、MMAOは脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素および芳香族炭化水素に溶解するものである。
Figure 0007273543000006
式[B4]において、Rcは炭素数1~10の炭化水素基である。複数あるRdはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または炭素数1~10の炭化水素基である。上記オレフィン重合用触媒を用いた製法では、後述するような高温においても重合体を製造することができる。したがって、特開平2-78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性または難溶性の有機アルミニウムオキシ化合物をも使用できることができる。また、特開平2-167305号公報に記載されている有機アルミニウムオキシ化合物、特開平2-24701号公報、特開平3-103407号公報に記載されている2種以上のアルキル基を有するアルミノキサンなども好適に使用できる。
なお、上記の「ベンゼン不溶性または難溶性の」有機アルミニウムオキシ化合物とは、60℃のベンゼンに溶解する当該化合物の溶解量が、Al原子換算で通常は10質量%以下、好ましくは5質量%以下、特に好ましくは2質量%以下である、ベンゼンに対して不溶性または難溶性である有機アルミニウムオキシ化合物をいう。
上記例示の有機アルミニウムオキシ化合物(b-1)は、単独で用いてもよく2種以上を併用して用いてもよい。
《イオン性化合物(b-2)》
架橋メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(b-2)(以下、「イオン性化合物(b-2)」ともいう。)としては、特開平1-501950号公報、特開平1-502036号公報、特開平3-179005号公報、特開平3-179006号公報、特開平3-207703号公報、特開平3-207704号公報、特開2004-51676号公報、米国特許第5321106号等に記載された、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物が例示される。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も例示される。これらの中では、イオン性化合物(b-2)としては、一般式[B5]で表される化合物が好ましい。
Figure 0007273543000007
式[B5]において、Re+としては、H+、オキソニウムカチオン、カルベニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンが例示される。Rf、Rg、RhおよびRiはそれぞれ独立に有機基を示し、好ましくはアリール基またはハロゲン置換アリール基を示す。
上記カルベニウムカチオンとしては、トリフェニルカルベニウムカチオン、トリス(メチルフェニル)カルベニウムカチオン、トリス(ジメチルフェニル)カルベニウムカチオン等の三置換カルベニウムカチオンが例示される。
アンモニウムカチオンとしては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリ(n-プロピル)アンモニウムカチオン、トリイソプロピルアンモニウムカチオン、トリ(n-ブチル)アンモニウムカチオン、トリイソブチルアンモニウムカチオン等のトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N-ジメチルアニリニウムカチオン、N,N-ジエチルアニリニウムカチオン、N,N,2,4,6-ペンタメチルアニリニウムカチオン等のN,N-ジアルキルアニリニウムカチオン;ジイソプロピルアンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオン等のジアルキルアンモニウムカチオンが例示される。
ホスホニウムカチオンとしては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリス(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリス(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオン等のトリアリールホスホニウムカチオンが例示される。
e+としては、上記例示の中では、カルベニウムカチオン、アンモニウムカチオンが好ましく、トリフェニルカルベニウムカチオン、N,N-ジメチルアニリニウムカチオン、N,N-ジエチルアニリニウムカチオンが特に好ましい。
1.R e+ がカルベニウムカチオンの場合(カルベニウム塩)
カルベニウム塩としては、トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリス(4-メチルフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(3,5-ジメチルフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが例示される。
2.R e+ がアンモニウムカチオンの場合(アンモニウム塩)
アンモニウム塩としては、トリアルキルアンモニウム塩、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩が例示される。
トリアルキルアンモニウム塩としては、具体的には、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(p-トリル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(o-トリル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(2,4-ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5-ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(4-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(o-トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラフェニルボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(p-トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(o-トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(2,4-ジメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(3,5-ジメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(4-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムが例示される。
N,N-ジアルキルアニリニウム塩としては、具体的には、N,N-ジメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N,2,4,6-ペンタメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N,2,4,6-ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが例示される。
ジアルキルアンモニウム塩としては、具体的には、ジイソプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラフェニルボレートが例示される。
イオン性化合物(b-2)は、単独で用いてもよく2種以上を併用して用いてもよい。
《有機アルミニウム化合物(b-3)》
有機アルミニウム化合物(b-3)としては、一般式[B6]で表される有機アルミニウム化合物、一般式[B7]で表される周期表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物が例示される。
a mAl(ORbnpq [B6]
式[B6]において、RaおよびRbはそれぞれ独立に炭素数1~15、好ましくは1~4の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。
2AlRa 4 [B7]
式[B7]において、M2はLi、NaまたはKであり、複数あるRaはそれぞれ独立に炭素数1~15、好ましくは1~4の炭化水素基である。
有機アルミニウム化合物[B6]としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn-ブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム等のトリn-アルキルアルミニウム;トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec-ブチルアルミニウム、トリtert-ブチルアルミニウム、トリ2-メチルブチルアルミニウム、トリ3-メチルヘキシルアルミニウム、トリ2-エチルヘキシルアルミニウム等のトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウム等のトリシクロアルキルアルミニウム;トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウム等のトリアリールアルミニウム; ジイソプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド;一般式(i-C49xAly(C510z(式中、x、yおよびzは正の数であり、z≦2xである。)などで表されるイソプレニルアルミニウム等のアルケニルアルミニウム;イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシド等のアルキルアルミニウムアルコキシド;ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシド等のジアルキルアルミニウムアルコキシド;エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシド等のアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;一般式Ra 2.5Al(ORb0.5(式中、RaおよびRbは式[B6]中のRaおよびRbと同義である。)で表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6-ジtert-ブチル-4-メチルフェノキシド)等のアルキルアルミニウムアリーロキシド;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリド等のジアルキルアルミニウムハライド;エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミド等のアルキルアルミニウムセスキハライド;エチルアルミニウムジクロリド等のアルキルアルミニウムジハライド等の部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリド等のジアルキルアルミニウムヒドリド、エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリド等のアルキルアルミニウムジヒドリド等の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミド等の部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウム;が例示される。
錯アルキル化物[B7]としては、LiAl(C254、LiAl(C7154が例示される。また、錯アルキル化物[B7]に類似する化合物も使用することができ、窒素原子を介して2以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物が例示される。このような化合物としては、(C252AlN(C25)Al(C252が例示される。
有機アルミニウム化合物(b-3)としては、入手が容易な点から、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが好ましい。また、有機アルミニウム化合物(b-3)は、1種で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
〈担体(C)〉
オレフィン重合用触媒の成分として、担体(C)を用いてもよい。担体(C)は、無機化合物または有機化合物であって、顆粒状または微粒子状の固体である。
《無機化合物》
無機化合物としては、多孔質酸化物、無機ハロゲン化物、粘土鉱物、粘土(通常は該粘土鉱物を主成分として構成される。)、イオン交換性層状化合物(大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物である。)が例示される。多孔質酸化物としては、SiO2、Al23、MgO、ZrO、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2;これらの酸化物を含む複合物または混合物が例示される。複合物または混合物としては、天然または合成ゼオライト、SiO2-MgO、SiO2-Al23、SiO2-TiO2、SiO2-V25、SiO2-Cr23、SiO2-TiO2-MgOが例示される。これらの中では、SiO2およびAl23の何れか一方または双方の成分を主成分とする多孔質酸化物が好ましい。
多孔質酸化物は、種類および製法によりその性状は異なるが、粒径が好ましくは10~300μm、より好ましくは20~200μmの範囲にあり;比表面積が好ましくは50~1000m2/g、より好ましくは100~700m2/gの範囲にあり;細孔容積が好ましくは0.3~3.0cm3/gの範囲にある。このような多孔質酸化物は、必要に応じて100~1000℃、好ましくは150~700℃で焼成して使用される。無機ハロゲン化物としては、MgCl2、MgBr2、MnCl2、MnBr2が例示される。無機ハロゲン化物は、そのまま用いてもよいし、ボールミル、振動ミルにより粉砕した後に用いてもよい。また、アルコール等の溶媒に上記無機ハロゲン化物を溶解させた後、析出剤によって微粒子状に析出させた成分を用いることもできる。
粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物としては、天然産のものに限らず、人工合成物を使用することもできる。なお、イオン交換性層状化合物は、イオン結合などによって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有する化合物であり、含有されるイオンが交換可能な化合物である。
具体的には、粘土、粘土鉱物としては、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、合成雲母等のウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ヘクトライト、テニオライト、ハロイサイトが例示され;イオン交換性層状化合物としては、六方最密パッキング型、アンチモン型、CdCl2型、CdI2型等の層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物が例示される。具体的には、イオン交換性層状化合物としては、α-Zr(HAsO42・H2O、α-Zr(HPO42、α-Zr(KPO42・3H2O、α-Ti(HPO42、α-Ti(HAsO42・H2O、α-Sn(HPO42・H2O、γ-Zr(HPO42、γ-Ti(HPO42、γ-Ti(NH4PO42・H2O等の多価金属の結晶性酸性塩が例示される。
粘土、粘土鉱物には、化学処理を施すことも好ましい。化学処理としては、表面に付着している不純物を除去する表面処理、粘土の結晶構造に影響を与える処理など、何れも使用できる。化学処理としては、具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理が例示される。
また、イオン交換性層状化合物は、そのイオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと交換することにより、層間が拡大した層状化合物としてもよい。このような嵩高いイオンは、層状構造を支える支柱的な役割を担っており、通常はピラーと呼ばれる。例えば、層状化合物の層間に下記金属水酸化物イオンをインターカレーションした後に加熱脱水することにより、層間に酸化物支柱(ピラー)を形成することができる。なお、このように層状化合物の層間に別の物質を導入することをインターカレーションという。
インターカレーションするゲスト化合物としては、TiCl4、ZrCl4等の陽イオン性無機化合物;Ti(OR)4、Zr(OR)4、PO(OR)3、B(OR)3等の金属アルコキシド(Rは炭化水素基など);[Al134(OH)247+、[Zr4(OH)142+、[Fe3O(OCOCH36+等の金属水酸化物イオンが例示される。これらのゲスト化合物は、単独で用いてもよく2種以上を併用して用いてもよい。
また、ゲスト化合物をインターカレーションする際に、Si(OR)4、Al(OR)3、Ge(OR)4等の金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)を加水分解および重縮合して得た重合物、SiO2等のコロイド状無機化合物などを共存させることもできる。
無機化合物の中では、粘土鉱物および粘土が好ましく、モンモリロナイト群、バーミキュライト、ヘクトライト、テニオライトおよび合成雲母が特に好ましい。
《有機化合物》
有機化合物としては、粒径が10~300μmの範囲にある顆粒状または微粒子状の固体が例示される。具体的には、エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンを主成分として合成される(共)重合体;ビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として合成される(共)重合体;これら(共)重合体の変成体が例示される。
〈有機化合物成分(D)〉
オレフィン重合用触媒の成分として、有機化合物成分(D)を用いてもよい。有機化合物成分(D)は、必要に応じて、α-オレフィンの重合反応における重合性能およびオレフィン重合体の物性を向上させる目的で使用される。有機化合物成分(D)としては、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物、スルホン酸塩が例示される。
〈オレフィン重合用触媒の構成〉
オレフィン重合用触媒を用いてオレフィンの重合を行うに際して、オレフィン重合用触媒を構成しうる各成分の使用量は以下のとおりである。また、オレフィン重合用触媒において、各成分の含有量を以下のとおりに設定することができる。
(1)オレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンの重合を行うに際して、架橋メタロセン化合物(A)は、反応容積1リットル当り、通常は10-9~10-1モル、好ましくは10-8~10-2モルとなるような量で用いられる。
(2)オレフィン重合用触媒の成分として有機アルミニウムオキシ化合物(b-1)を用いる場合には、化合物(b-1)は、化合物(b-1)中のアルミニウム原子(Al)と架橋メタロセン化合物(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔Al/M〕が、通常は0.01~5000、好ましくは0.05~2000となるような量で用いられる。
(3)オレフィン重合用触媒の成分としてイオン性化合物(b-2)を用いる場合には、化合物(b-2)は、化合物(b-2)と架橋メタロセン化合物(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(b-2)/M〕が、通常は1~10、好ましくは1~5となるような量で用いられる。
(4)オレフィン重合用触媒の成分として有機アルミニウム化合物(b-3)を用いる場合には、化合物(b-3)は、化合物(b-3)と架橋メタロセン化合物(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(b-3)/M〕が、通常は10~5000、好ましくは20~2000となるような量で用いられる。
(5)オレフィン重合用触媒の成分として有機化合物成分(D)を用いる場合には、化合物(B)が有機アルミニウムオキシ化合物(b-1)であるときは、有機化合物成分(D)と化合物(b-1)とのモル比〔(D)/(b-1)〕が、通常は0.01~10、好ましくは0.1~5となるような量で;化合物(B)がイオン性化合物(b-2)であるときは、有機化合物成分(D)と化合物(b-2)とのモル比〔(D)/(b-2)〕が、通常は0.01~10、好ましくは0.1~5となるような量で;化合物(B)が有機アルミニウム化合物(b-3)であるときは、有機化合物成分(D)と化合物(b-3)とのモル比〔(D)/(b-3)〕が、通常は0.01~2、好ましくは0.005~1となるような量で用いられる。
[2]重合方法
4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)の製造において、重合は、溶液重合、懸濁重合等の液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できる。液相重合法において用いられる不活性炭化水素媒体としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。不活性炭化水素媒体は1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、重合に供給されうる液化オレフィン自身を溶媒として用いる、いわゆるバルク重合法を用いることもできる。
当該製造方法において、オレフィンの重合温度は、通常-50~+200℃、好ましくは0~180℃であり;重合圧力は、通常常圧~10MPaゲージ圧、好ましくは常圧~5MPaゲージ圧である。重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる二段以上に分けて行うこともできる。得られる重合体の分子量は、重合系に水素等を存在させるか、重合温度を変化させるか、または成分(B)の使用量により調節することができる。
当該製造方法は、工業的製法において有利な高温条件下であっても、高い触媒活性を維持しつつ、高立体規則性・高融点および高分子量を有する重合体を製造することが可能である。このような高温条件下では、重合温度は、通常40℃以上、好ましくは40~200℃、より好ましくは45~150℃、特に好ましくは50~150℃(換言すれば、特に好ましくは工業化可能な温度である。)である。
特に水素は、触媒の重合活性を向上させる効果や、重合体の分子量を増加または低下させる効果が得られることがあり、好ましい添加物であるといえる。系内に水素を添加する場合、その量はオレフィン1モルあたり0.00001~100NL程度が適当である。系内の水素濃度は、水素の供給量を調整する以外にも、水素を生成または消費する反応を系内で行う方法や、膜を利用して水素を分離する方法、水素を含む一部のガスを系外に放出することによっても調整することができる。
当該製造方法で得られた重合体に対しては、上記方法で合成した後に、必要に応じて公知の触媒失活処理工程、触媒残渣除去工程、乾燥工程等の後処理工程を行ってよい。
[4-メチル-1-ペンテン共重合体組成物(X)]
4-メチル-1-ペンテン共重合体組成物(X)における4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)および4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)の含有量の比率は、(共)重合体(A)および共重合体(B)の合計を100質量部として、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)が5.0~95.0質量部、好ましくは40.0~85.0質量部、より好ましくは45.0~70.0質量部であり、4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)が5.0~95.0質量部であり、好ましくは15.0~60.0質量部、より好ましくは30.0~55.0質量部である。
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)および4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)の含有量の合計は、4-メチル-1-ペンテン共重合体組成物(X)全体に対して70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)および4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)の含有量が上記範囲内であると、前記要件(X-1)~(X-3)を満たす繊維を得る上で好ましく、また、4-メチル-1-ペンテン共重合体組成物(X)が透明性および剛性を有しながら高い耐衝撃性を備え、さらに高い耐熱性を有する点で好ましい。
4-メチル-1-ペンテン共重合体組成物(X)中の重合体に含まれる全構成単位に対する、前記4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)に含まれるエチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)からなる群より選ばれる少なくとも一種のオレフィンから導かれる構成単位と、前記4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)に含まれるエチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)からなる群より選ばれる少なくとも一種のオレフィンから導かれる構成単位との含有量の合計の比率は0.5~20.0モル%であることが好ましく、0.5~11.5モル%であることがより好ましい。
4-メチル-1-ペンテン共重合体組成物(X)中の重合体に含まれる全構成単位に対する、前記4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)に含まれる4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位と、前記4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)に含まれる4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位との含有量の合計の比率は80.0~99.5モル%であることが好ましく、88.5~99.5モル%であることがより好ましい。
4-メチル-1-ペンテン共重合体組成物(X)は、ASTM D1238に準拠して260℃、5kg荷重下で測定したメルトフローレート(MFR)が5~400g/10分であることが好ましく、5~180g/10分であることがより好ましい。
4-メチル-1-ペンテン共重合体組成物(X)は、融点(Tm)が、好ましくは200~240℃であり、より好ましくは225~240℃である。
4-メチル-1-ペンテン共重合体組成物(X)は、その用途に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲で、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)および4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)とは異なる他の重合体および樹脂用添加剤から選ばれる少なくとも1種を任意に含有することができる。以下、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)および4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)とは異なる他の重合体を「他の重合体(D)」ともいい、樹脂用添加剤を「添加剤(C)」ともいう。
《他の重合体(D)》
他の重合体(D)としては、本発明の4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)および4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)とは異なる熱可塑性樹脂を広く用いることができる。他の重合体(D)の含有量は、共重合体組成物(X)の総質量に対して、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂としては、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)および4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)とは異なる限り特に制限されないが、
熱可塑性ポリオレフィン系樹脂:例えば、低密度、中密度、高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン等のポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン等のポリプロピレン、ポリ1-ブテン、ポリ4-メチル-1-ペンテン、ポリ3-メチル-1-ペンテン、ポリ3-メチル-1-ブテン、エチレン・α-オレフィン共重合体、プロピレン・α-オレフィン共重合体、1-ブテン・α-オレフィン共重合体、4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体、環状オレフィン共重合体、塩素化ポリオレフィン、およびこれらのオレフィン系樹脂を変性した変性ポリオレフィン樹脂;
熱可塑性ポリアミド系樹脂:例えば、脂肪族ポリアミド(ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612);
熱可塑性ポリエステル系樹脂:例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル系エラストマー;
熱可塑性ビニル芳香族系樹脂:例えば、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、スチレン系エラストマー(スチレン・ブタジエン・スチレンブロックポリマー、スチレン・イソプレン・スチレンブロックポリマー、スチレン・イソブチレン・スチレンブロックポリマー、これらの水素添加物);
熱可塑性ポリウレタン;塩化ビニル樹脂;塩化ビニリデン樹脂;アクリル樹脂;エチレン・酢酸ビニル共重合体等の酢酸ビニル共重合体;エチレン・メタクリル酸アクリレート共重合体;アイオノマー;エチレン・ビニルアルコール共重合体;ポリビニルアルコール;フッ素系樹脂;ポリカーボネート;ポリアセタール;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンサルファイドポリイミド;ポリアリレート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ロジン系樹脂;テルペン系樹脂および石油樹脂;
共重合体ゴム:例えば、エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体、プロピレン・α-オレフィン・ジエン共重合体、1-ブテン・α-オレフィン・ジエン共重合体、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ネオプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレンゴム、天然ゴム、シリコーンゴム;
等が例示される。上述した熱可塑性ポリオレフィン系樹脂のうち、例えばポリエチレン、ポリプロピレンは結晶核剤として用いることもでき、その場合の好ましい含有量は共重合体組成物(X)の総質量に対して、0.001~5質量%である。
熱可塑性樹脂の中でも、好ましくは、低密度、中密度、高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、ポリ1-ブテン、ポリ3-メチル-1-ペンテン、ポリ3-メチル-1-ブテン、エチレン・α-オレフィン共重合体、プロピレン・α-オレフィン共重合体、1-ブテン・α-オレフィン共重合体、スチレン系エラストマー、酢酸ビニル共重合体、エチレン・メタクリル酸アクリレート共重合体、アイオノマー、フッ素系樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂および石油樹脂であり、より好ましくは、耐熱性向上、低温耐性向上、柔軟性の点で、ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、エチレン・α-オレフィン共重合体、プロピレン・α-オレフィン共重合体、1-ブテン・α-オレフィン共重合体、酢酸ビニル共重合体、スチレン系エラストマー、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂および石油樹脂である。
他の重合体(D)の一部または全部は、重合体が極性モノマーによりグラフト変性されて得られたグラフト変性重合体であってもよい。グラフト変性については、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)について示した上記《グラフト変性》に準じる。
他の重合体(D)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
《添加剤(C)》
添加剤(C)としては、例えば、核剤、アンチブロッキング剤、顔料、染料、充填剤、滑剤、可塑剤、離型剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、界面活性剤、帯電防止剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、スリップ防止剤、発泡剤、結晶化助剤、防曇剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、衝撃改良剤、架橋剤、共架橋剤、架橋助剤、粘着剤、軟化剤、加工助剤が挙げられる。
添加剤(C)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
添加剤(C)の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で用途に応じて、特に限定されないが、共重合体組成物(X)の総質量に対して、配合される添加剤それぞれについて0.001~30質量%であることが好ましい。
核剤としては、共重合体組成物(X)の成形性をさらに改善させる、すなわち結晶化温度を高め、結晶化速度を速めるために公知の核剤が使用可能である。具体的には、ジベンジリデンソルビトール系核剤、リン酸エステル塩系核剤、ロジン系核剤、安息香酸金属塩系核剤、フッ素化ポリエチレン、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)リン酸ナトリウム、ピメリン酸やその塩、2,6-ナフタレン酸ジカルボン酸ジシクロヘキシルアミド、エチレンビスステアリン酸アマイド等が挙げられる。
核剤の配合量は、特に限定されないが、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)、4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)および他の重合体(D)の総量100質量部に対して、好ましくは0.001~5質量部である。核剤は、重合中、重合後、あるいは成形加工時など適宜添加が可能である。
アンチブロッキング剤としては、公知のアンチブロッキング剤が使用可能である。具体的には、微粉末シリカ、微粉末酸化アルミニウム、微粉末クレー、粉末状もしくは液状のシリコン樹脂、テトラフロロエチレン樹脂、微粉末架橋樹脂、例えば架橋されたアクリル、メタクリル樹脂粉末、アマイド系滑剤等が挙げられる。これらのうちでは、微粉末シリカおよび架橋されたアクリル、メタクリル樹脂粉末が好ましい。
顔料としては、無機含量(酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、硫化カドミウム等)、有機顔料(アゾレーキ系、チオインジゴ系、フタロシアニン系、アントラキノン系)が挙げられる。染料としてはアゾ系、アントラキノン系、トリフェニルメタン系等が挙げられる。これら顔料および染料の添加量は、特に限定されないが、共重合体組成物(X)の総質量に対して、合計で、通常5質量%以下、好ましくは0.1~3質量%である。
充填剤としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、シリカ繊維、金属(ステンレス、アルミニウム、チタン、銅等)繊維、カーボンブラック、シリカ、ガラスビーズ、珪酸塩(珪酸カルシウム、タルク、クレー等)、金属酸化物(酸化鉄、酸化チタン、アルミナ等)、金属の炭酸塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム)および各種金属(マグネシウム、珪素、アルミニウム、チタン、銅等)粉末、マイカ、ガラスフレークが挙げられる。
滑剤としては、例えば、ワックス(カルナバロウワックス等)、高級脂肪酸(ステアリン酸等)、高級アルコール(ステアリルアルコール等)、高級脂肪酸アミド(ステアリン酸アミド等)が挙げられる。
可塑剤としては、例えば、芳香族カルボン酸エステル(フタル酸ジブチル等)、脂肪族カルボン酸エステル(メチルアセチルリシノレート等)、脂肪族ジアルボン酸エステル(アジピン酸-プロピレングリコール系ポリエステル等)、脂肪族トリカルボン酸エステル(クエン酸トリエチル等)、リン酸トリエステル(リン酸トリフェニル等)、エポキシ脂肪酸エステル(ステアリン酸エポキシブチル等)、石油樹脂が挙げられる。
離型剤としては、例えば、高級脂肪酸の低級(C1~4)アルコールエステル(ステアリン酸ブチル等)、脂肪酸(C4~30)の多価アルコールエステル(硬化ヒマシ油等)、脂肪酸のグリコールエステル、流動パラフィンが挙げられる。
酸化防止剤としては、公知の酸化防止剤が使用可能である。具体的には、フェノール系(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール等)、多環フェノール系(2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール等)、リン系(トリ(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4-ビフェニレンジホスフォネート等)、イオウ系(チオジプロピオン酸ジラウリル等)、アミン系(N,N-ジイソプロピル-p-フェニレンジアミン等)、ラクトン系の酸化防止剤等が挙げられる。
難燃剤としては、例えば、有機系難燃剤(含窒素系、含硫黄系、含珪素系、含リン系等)、無機系難燃剤(三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、赤リン等)が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、アクリレート系の紫外線吸収剤が挙げられる。
抗菌剤としては、例えば、4級アンモニウム塩、ピリジン系化合物、有機酸、有機酸エステル、ハロゲン化フェノール、有機ヨウ素が挙げられる。
界面活性剤としては、非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性の界面活性剤を挙げることができる。非イオン性界面活性剤としては、例えば、高級アルコールエチレンオキシド付加物、脂肪酸エチレンオキシド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキシド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキシド付加物等のポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤、ポリエチレンオキシド、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビットもしくはソルビタンの脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミンの脂肪族アミド等の多価アルコール型非イオン性界面活性剤が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸のアルカリ金属塩等の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩、高級アルコールリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩が挙げられる。両性界面活性剤としては、例えば、高級アルキルアミノプロピオン酸塩等のアミノ酸型両面界面活性剤、高級アルキルジメチルベタイン、高級アルキル時ヒドロキシエチルベタイン等のベタイン型両性界面活性剤が挙げられる。
帯電防止剤としては、例えば、上記の界面活性剤、脂肪酸エステル、高分子型帯電防止剤が挙げられる。脂肪酸エステルとしては、例えば、ステアリン酸やオレイン酸のエステルが挙げられ、高分子型帯電防止剤としては、例えば、ポリエーテルエステルアミドが挙げられる。
耐熱安定剤としては、例えば、アミン系安定剤、フェノール系安定剤および硫黄系安定剤などの従来公知の安定剤が挙げられる。具体的には、フェニルブチルアミンおよびN,N'-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミンなどの芳香族2級アミン系安定剤;ジブチルヒドロキシトルエンおよびテトラキス[メチレン(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ)ヒドロシンナメート]メタン、オクタデシル3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのフェノール系安定剤;ビス[2-メチル-4-(3-n-アルキルチオプロピオニルオキシ)-5-t-ブチルフェニル]スルフィドなどのチオエーテル系安定剤;ジブチルジチオカルバミン酸ニッケルなどのジチオカルバミン酸塩系安定剤;2-メルカプトベンゾイルイミダゾールおよび2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩;ジラウリルチオジプロピオネートおよびジステアリルチオジプロピオネートなどの硫黄系安定剤などが挙げられる。これらの安定剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
架橋剤としては、例えば、有機ペルオキシドが用いられる。
有機ペルオキシドとしては、例えば、ジクミル有機ペルオキシド、ジ-tert-ブチル有機ペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイル有機ペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイル有機ペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルペルベンゾエート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチル有機ペルオキシド、ラウロイル有機ペルオキシド、tert-ブチルクミル有機ペルオキシドが挙げられる。
有機ペルオキシドは、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)、4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)および他の重合体(D)の総量100質量部に対して、好ましくは0.05~10質量部の割合で用いられる。
有機ペルオキシドによる架橋処理に際し、架橋助剤として、硫黄、p-キノンジオキシム、p,p'-ジベンゾイルキノンジオキシム、N-メチル-N-4-ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン-N,N'-m-フェニレンジマレイミドのようなペルオキシ架橋助剤、あるいはジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートのような多官能性メタクリレートモノマー、ビニルブチラート、ビニルステアレートのような多官能性ビニルモノマーを配合することができる。
上記化合物を用いることにより、均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。特に、本発明においては、ジビニルベンゼンが好適に用いられる。ジビニルベンゼンは、取扱い易く、重合体との相溶性が良好であり、かつ、有機ペルオキシドを可溶化する作用を有し、有機ペルオキシドの分散剤として働く。このため、均質な架橋効果が得られ、流動性と物性とのバランスのとれた動的熱処理物が得られる。
上記架橋助剤は、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)、4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)および他の重合体(D)の総量100質量部に対して、好ましくは0.05~10質量部の割合で用いられる。
軟化剤としては、例えば、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の鉱物油系軟化剤、コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤、ヒマシ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤、トール油、密ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類、リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸又はその金属塩、ナフテン酸又はその金属石鹸、パイン油、ロジン又はその誘導体、テルペン樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂、アタクチックポリプロピレン等の合成高分子物質、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤、ジイソドデシルカーボネート等の炭酸エステル系可塑剤、その他マイクロクリスタリンワックス、サブ(ファクチス)、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状チオコール、炭化水素系合成潤滑油などが挙げられる。これらのうちで、石油系軟化剤および炭化水素系合成潤滑油が好ましい。
軟化剤の量は、特に限定されないが、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)、4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)および他の重合体(D)のの総量100質量部に対して、1~200質量部の量であることが好ましい。軟化剤は、共重合体組成物(X)を調製する際に加工を容易にするとともにカーボンブラック等の分散を助ける。
〔4-メチル-1-ペンテン共重合体組成物(X)の製造方法〕
4-メチル-1-ペンテン共重合体組成物(X)の製造方法は特に限定されないが、例えば、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)、4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)と、必要に応じて他の任意成分とを上述の添加割合で混合したのち、溶融混練して得られる。
溶融混練の方法は、特に制限されず、一般的に市販されている押出機などの溶融混練装置を用いて行うことが可能である。
例えば、混練機にて混練を行う部分のシリンダ温度は、通常220~320℃、好ましくは250~300℃である。温度が220℃よりも低いと溶融不足により混練が不十分となり、共重合体組成物の物性の向上が見られにくい。一方、温度が320℃よりも高いと、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)および4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)等の成分の熱分解が起こる場合がある。混練時間は、通常0.1~30分間、特に好ましくは0.5~5分間である。混練時間が0.1分に満たないと十分に溶融混練が行われず、また、混練時間が30分を超えると4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)および4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)等の成分の熱分解が起こる場合がある。
[繊維]
本発明の4-メチル-1-ペンテン共重合体または4-メチル-1-ペンテン共重合体組成物(X)を含む繊維は、例えば、上述した4-メチル-1-ペンテン系重合体を含む樹脂組成物を溶融したものを紡糸口金に通して押出すことにより、モノフィラメント、マルチフィラメント、フラットヤーン、カットファイバー、不織布として製造することにより得ることができる。
モノフィラメント、マルチフィラメント、フラットヤーンを製造する際の溶融紡糸加工における溶融温度は、4-メチル-1-ペンテン系重合体の融点に応じて、適宜選択することができるが、250~320℃の範囲であることが好ましく、より好ましい範囲は、270~310℃である。溶融温度が上記の範囲内にあると、4-メチル-1-ペンテン系重合体の過度な熱分解が抑制でき、口金から吐出された繊維状ストランドの伸長粘度が十分に低下するため、機械的強度に優れ、紡糸加工性が良好な繊維を得ることができる。
このようにして得られた繊維は、さらに延伸してもよい。この延伸の程度は、例えば4-メチル-1-ペンテン系重合体に少なくとも一軸方向の分子配向が有効に付与される程度に行えば、弾性率や強度を向上させることができる。延伸倍率は通常1.05~10.0倍の範囲であり、より好ましい範囲は、1.1倍~7.0倍、さらに好ましい範囲は1.2~6.0倍である。
上記延伸操作を行う場合の延伸温度は、4-メチル-1-ペンテン系重合体のガラス転移温度および融点、あるいは延伸後に得られる繊維の強度および伸度に応じて適宜選択することができるが、35~200℃であることが好ましく、より好ましい範囲は40~180℃である。延伸温度が上記の範囲にあると糸切れが抑制され、安定して繊維を得ることができる。
上記延伸操作を行う場合は、1段延伸法あるいは2段以上の多段延伸法のいずれの方法であってもよい。
上記方法で得られた繊維を使用して、湿式抄造法、シンタリング法、ニードルパンチ法、カード法、クロスレイヤー法、ランダムウエーバー法、エアーフォーミング法等で不織布を製造することができる。
また単層繊維からなる不織布を製造する場合には、スパンボンド法、メルトブローン法、カード法等の方法に従って行うことができる。
本発明の繊維は、繊維の極細化が可能であるため、緻密な構造をもつ不織布からなる各種フィルター、マスク、バッテリーセパレータ、断熱材などの用途に好適である。
本発明の繊維は、繊維の断面形状に関して特に制限はなく、真円断面であってもよく、非円形、いわゆる異形断面であってもよい。異形断面としては、多角型形状、楕円型形状、扁平型形状、繊維表面に多数の枝状部を有する多葉型形状(具体的には3葉から32葉の多葉型形状)、星型形状、C字型形状、H字型形状、S字型形状、T字型形状、Y字型形状、W字型形状、及び井型形状が挙げられる。
さらに、本発明の繊維は、繊維断面に長さ方向に連続する空洞部分を有さない中実繊維であってよく、あるいは長さ方向に連続する1箇所以上の空洞部分を有する中空繊維であってもよい。
[繊維構造体]
本発明の繊維は、伸度が小さいため、破断が起こりにくく、毛羽立ちが少ない。この特徴を利用して、本発明の繊維を含む有用な繊維構造体を得ることができる。
本発明の繊維は、モノフィラメント、マルチフィラメント、フラットヤーンの形態にすることで、ロープ、養生ネット、漁網、釣り糸、ライフジャケット、防虫網、婦人服、紳士服、裏地、アンダーウエア、ダウン、ベスト、ウインドブレーカー、靴下、靴の中敷き、マスク、手術用ガウン、離型布、吸油布、防水布、アウトドアウエア、サポーター、包帯、寝袋用生地、テント用生地、スキーウエア、ゴルフウエア、水着などのスポーツウエア、人工芝、布団用中綿、布団用側地、布団カバー、毛布、毛布用側地、毛布カバー、シーツ、枕用中綿、枕カバー、ぬいぐるみ用中綿、紙おむつ、生理用品、衛生用品、縫糸、フィルター、バグフィルター、集塵用フィルター、エアクリーナー、中空糸フィルター、浄水フィルター、ガス分離膜、デンタルフロス、歯ブラシ、ブラシ、カツラ、ベルト、鞄、靴、テーブルクロス、カーテン、カーペット、自動車用マット、ベルトコンベア基布、光ファイバー、吸音材、断熱材などの用途に好適であり、その用途はこれらに限定されるものではない。
また、本発明の繊維は、軽量かつ高強度であるのに加えて、極細繊維の製造が可能になるため、不織布の形態にすることで、ダウン、マスク、吸油布、防水布、布団用中綿、布団用側地、布団カバー、毛布、毛布用側地、毛布カバー、シーツ、枕用中綿、枕カバー、ぬいぐるみ用中綿、不織布、紙おむつ、生理用品、衛生用品、縫糸、フィルター、バグフィルター、集塵用フィルター、エアクリーナー、中空糸フィルター、浄水フィルター、ガス分離膜、バッテリーセパレータフィルム、吸音材、断熱材などの用途に好適であり、その用途はこれらに限定されるものではない。
下記実施例および比較例において行った物性値の測定方法を以下に示す。
〔単糸繊度〕
温度20℃、湿度65%RHの環境下において、INTEC製電動検尺機を用いて繊維100mをかせ取りした。得られたかせの質量を測定し、下記式を用いて繊度(dtex)を算出した。なお、測定は1試料につき5回行い、その平均値を総繊度とした。
総繊度(dtex)=繊維100mの質量(g)×100
得られた繊度の値を繊維のフィラメント数で除算し、その値を単糸繊度とした。
〔破断強度、伸度〕
強度および伸度は、実施例によって得られたポリメチルペンテン繊維を試料とし、JIS L1013:1999(化学繊維フィラメント糸試験方法)8.5に準じて算出した。温度20℃、湿度65%RHの環境下において、島津製作所製オートグラフAG-50NISMS型を用いて、初期試料長20cm、引張速度20cm/分の条件で引張試験を行った。最大荷重を示す点の応力(cN)を繊度(dtex)で除して破断強度(cN/dtex)を算出し、最大荷重を示す点の伸び(L1)と初期試料長(L0)を用いて下記式によって伸度(%)を算出した。測定は1試料につき10回行い、その平均値を強度および伸度とした。
伸度(%)={(L1-L0)/L0}×100
〔融点(Tm)測定〕
セイコーインスツルメンツ社製DSC測定装置(DSC220C)により、発熱・吸熱曲線を求め、昇温時の最大融解ピーク位置の温度を融点Tmとした。
測定は、以下のようにして行った。試料約5mgを測定用アルミパンにつめ、10℃/分の加熱速度で20℃から280℃に昇温し、280℃で5分間保持した後、10℃/分の冷却速度で20℃まで降温し、20℃で5分間保持した後、再度10℃/分の加熱速度で20℃から280℃に昇温し、再度50℃/分の冷却速度で50℃まで降温した。2回目の昇温時に発現した融解ピークを、融点(Tm)とした。
〔メルトフローレート〕
メルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238に準拠して260℃、5kg荷重下で測定した。
[遷移金属錯体の合成]
国際公開第2014/050817号の合成例4に従い、(8‐オクタメチルフルオレン-12'-イル-(2-(アダマンタン-1-イル)-8-メチル-3,3b,4,5,6,7,7a,8-オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン))ジルコニウムジクロライドを合成した。この化合物を「メタロセン化合物(a)」とも記載する。
[製造例1]4-メチル-1-ペンテン/1-ヘキサデセン/1-オクタデセン共重合体(A1)
充分に乾燥し窒素置換したシュレンク管に磁気攪拌子を入れ、メタロセン化合物(a)5.0μmolを入れ、修飾メチルアルミノキサンの懸濁液300eq/cat.(n-ヘキサン溶媒、アルミニウム原子換算で1.50mmol)を攪拌しながら23℃で加え、メタロセン化合物(a)の濃度が1μmol/mLとなる量のヘプタンを加えて触媒液を調製した。
充分に乾燥し窒素置換した内容積1,500mlのSUS製オートクレーブに、4-メチル-1-ペンテン500mLとシクロヘキサン250mL、リニアレン168(出光興産製)(1-ヘキサデセンと1-オクタデセンとの混合物)10mLおよびトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(アルミニウム濃度:0.5mol/L)0.5mmolを装入し、水素124.3mLを加えた後、850回転/分で撹拌しながら重合温度60℃に昇温した。
このオートクレーブに上記触媒液0.1mL(メタロセン化合物(a)の濃度:0.1μmol)を装入して重合を開始し、開始から20分後にメタノールを加えて重合を停止した。
冷却/脱圧したオートクレーブから取り出した重合液を、アセトンとメタノールの1:1溶液中に投入し、ポリマーを析出させて、濾過回収した。その後回収したポリマーを80℃で12時間減圧乾燥して、4-メチル-1-ペンテン/1-ヘキサデセン/1-オクタデセン共重合体(A1)を得た。
得られた共重合体(A1)の融点(Tm)およびメルトフローレート(MFR)を測定した結果を表1に示す。表1の「コモノマー」とは、エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)を指す。
[製造例2、3、7~11]4-メチル-1-ペンテン/1-ヘキサデセン/1-オクタデセン共重合体(A2)、(A3)、(A7)、(B1)~(B4)
1-ヘキサデセンと1-オクタデセンの含有量が表1または表2に示す数値となるように、4-メチル-1-ペンテンおよびリニアレン168の装入量を変更した以外は、製造例1と同様にして、4-メチル-1-ペンテン/1-ヘキサデセン/1-オクタデセン共重合体(A2)、(A3)、(A7)および(B1)~(B4)を得た。
製造例1と同様に、共重合体(A2)、(A3)および(A7)の融点(Tm)およびメルトフローレート(MFR)を測定した結果を表1に、共重合体(B1)~(B4)の融点(Tm)およびメルトフローレート(MFR)を測定した結果を表2に示す。
[製造例4~6]4-メチル-1-ペンテン/1-デセン共重合体(A4)~(A6)
国際公開第2006/054613号の比較例7において、4-メチル-1-ペンテンと1-デセンとの割合を変更し、1-デセンの含有量が表1に示す数値となるようにすることによって、4-メチル-1-ペンテン/1-デセン共重合体(A4)~(A6)を得た。
製造例1と同様に、共重合体(A4)~(A6)の融点(Tm)およびメルトフローレート(MFR)を測定した結果を表1に示す。
[製造例12]4-メチル-1-ペンテン/1-ヘキセン共重合体(B´1)
充分に乾燥し窒素置換したシュレンク管に磁気攪拌子を入れ、メタロセン化合物(a)5.0μmolを入れ、修飾メチルアルミノキサンの懸濁液300eq/cat.(n-ヘキサン溶媒、アルミニウム原子換算で1.50mmol)を攪拌しながら23℃で加え、メタロセン化合物(a)の濃度が1μmol/mLとなる量のヘプタンを加えて触媒液を調製した。
充分に乾燥し窒素置換した内容積1,500mlのSUS製オートクレーブに、4-メチル-1-ペンテン350mLとシクロヘキサン250mL、1-ヘキセン250mLおよびトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(アルミニウム濃度:0.5mol/L)0.5mmolを装入し、水素71.0mLを加えた後、850回転/分で撹拌しながら重合温度60℃に昇温した。
このオートクレーブに上記触媒液0.1mL(メタロセン化合物(a)の濃度:0.1μmol)を装入して重合を開始し、開始から30分後にメタノールを加えて重合を停止した。
冷却/脱圧したオートクレーブから取り出した重合液を、アセトンとメタノールの1:1溶液中に投入し、ポリマーを析出させて、濾過回収した。その後回収したポリマーを80℃で12時間減圧乾燥して、4-メチル-1-ペンテン/1-ヘキセン共重合体(B´1)を得た。
製造例1と同様に、共重合体(B´1)の融点(Tm)およびメルトフローレート(MFR)を測定した結果を表2に示す。
Figure 0007273543000008
Figure 0007273543000009
[実施例1~4]
表3に記載の割合で、上記共重合体(A1)~(A3)と共重合体(B1)~(B4)とを混合して、4-メチル-1-ペンテン共重合体組成物(X)を得た。
得られた4-メチル-1-ペンテン系共重合体(X)を、東洋精機株式会社製キャピラリーレオメーター(キャピログラフ1B、バレル径10mmφ)に供し、設定温度270℃の条件で、穴径1mm(円形)、穴数1のノズルより、シリンダ-速度10mm/minで溶融ポリマーを溶融押出し、紡出糸を23℃で冷却しながら巻取速度10m/minで巻取り、未延伸糸を得た。次いで、加熱延伸機(井元製作所株式会社製)を用いて、送りライン速度0.2m/min、95~100℃の延伸温度で、延伸倍率3.0倍にて延伸し、延伸糸を得た。
得られた延伸糸の伸度、破断強度および単糸繊度を上記測定方法により測定した。測定結果を表3に示す。
[比較例1]
表3に記載の割合で、上記共重合体(A4)と共重合体(B´1)とを混合して、4-メチル-1-ペンテン共重合体組成物を得た。
得られた4-メチル-1-ペンテン共重合体組成物を用いて、実施例1と同様の方法で延伸糸を得た。
得られた延伸糸の伸度、破断強度および単糸繊度を上記測定方法により測定した。測定結果を表3に示す。
[比較例2~4]
上記共重合体(A5)~(A7)を用いて、実施例1と同様の方法で延伸糸を得た。
得られた延伸糸の伸度、破断強度および単糸繊度を上記測定方法により測定した。測定結果を表3に示す。
Figure 0007273543000010

Claims (4)

  1. 下記要件(A-a)および(A-b)を満たす4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)5.0~95.0質量部と、
    下記要件(B-a)および(B-b)を満たす4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)5.0~95.0質量部と
    (但し(共)重合体(A)と共重合体(B)との合計を100質量部とする)
    を含む4-メチル-1-ペンテン共重合体組成物(X)を含み、
    下記要件(X-1)~(X-3)を満たす繊維。
    (A-a)4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U1)が96.0モル%以上100モル%以下であり、
    エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)からなる群より選ばれる少なくとも一種のオレフィンから導かれる構成単位の含有量(U2)が0モル%以上4.0モル%以下である(但し、(U1)と(U2)との合計を100モル%とする)。
    (A-b)DSCで測定した融点(Tm)が200~240℃である。
    (B-a)4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U3)が73.0モル%以上96.0モル%未満であり、
    エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)からなる群より選ばれる少なくとも一種のオレフィンから導かれる構成単位の含有量(U4)が4.0モル%より大きく27.0モル%以下である(但し、(U3)と(U4)との合計を100モル%とする)。
    (B-b)DSCで測定した融点(Tm)が230℃未満であるか、またはDSC測定において融点を示すピークが出現しない。
    (X-1) 伸度が50~300%である。
    (X-2) 破断強度が2.0~7.0cN/dtexである。
    (X-3) 単糸繊度が0.5~1200dtexである。
  2. 前記4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)および前記4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)に含まれるエチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも一種のオレフィンの構成単位が、炭素原子数10以上20以下のα-オレフィンから選ばれる少なくとも一種のα-オレフィンの構成単位である、請求項に記載の繊維。
  3. 前記共重合体組成物(X)中の重合体に含まれる全構成単位に対する、
    前記4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)に含まれるエチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)からなる群より選ばれる少なくとも一種のオレフィンから導かれる構成単位と、
    前記4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)に含まれるエチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)からなる群より選ばれる少なくとも一種のオレフィンから導かれる構成単位と
    の合計の含有量の比率が、0.5~20.0モル%である、請求項またはに記載の繊維。
  4. 請求項1~のいずれか一項に記載の繊維を少なくとも一部に含む繊維構造体。
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