以下、本開示における植物栽培装置および反射シートについて、詳細に説明する。
A.植物栽培装置
本開示における植物栽培装置について、図を用いて説明する。図1は栽培ラックの一例を示す概略正面図であり、図2は図1の概略側面図である。また、図3は植物栽培装置の一例を示す概略斜視図であり、図4は図3における符号Rで示す領域を拡大した拡大図である。
図1および図2に示すように、栽培ラック10は、栽培槽11を載置可能な第一部材12と、第一部材12に対して空間を設けて配置された第二部材13と、第一部材12に対して空間を設けて配置され、かつ、第二部材13よりも第一部材12側に配置された照明部材14と、第一部材12および第二部材13の位置を固定する複数の柱部材15とを有する構造体16を有する。図1および図2における栽培ラック10は、構造体16が4段積層された構造を有する。なお、特に図示しないが、栽培ラック10には、栽培槽11に培養液を供給する培養液供給装置が設けられていてもよい。
また、図3および図4に示すように、植物栽培装置100は、栽培ラック10と、栽培ラック10の長手方向LDの側面に配置され、可視光反射性を有する反射シート20と、反射シート20を栽培ラック10に固定するための固定具30と、を備える。固定具30は、栽培ラック10に対して着脱可能であり、かつ、反射シート20を挟み込むことにより固定する挟み込み構造を有する。
本開示によれば、特定の固定具を用いることで、反射シートに加工を行うことなく、栽培ラックの側面に反射シートを容易に配置することができる。上述したように、栽培ラックの側面に反射シートを配置する方法として、例えば、反射シートにハトメ加工を行い、栽培ラックに設けられたフックに引掛ける方法が想定される。あるいは、ハトメ加工の代わりに、面ファスナーまたはマグネットを設ける加工を行うことが想定される。しかしながら、これらの加工を行うと、例えば、反射シートの製造コストが増加する。これに対して、本開示においては、反射シートに加工を行う必要がないため、反射シートの製造コストを抑制することができる。また、栽培ラックの側面に配置される反射シートは、培養液の付着により汚れる場合がある。反射シートにハトメ加工等の加工が存在すると、反射シートの汚れを洗浄する際に、洗浄の障害になりやすい。これに対して、本開示においては、反射シートに加工を行う必要がなく、着脱が容易なため、反射シートの洗浄を行いやすいという利点がある。
また、本開示によれば、栽培ラックの長手方向の側面に反射シートを配置することで、LED等の人工光を効率良く植物に照射することができる。特に、乱反射性が良好な反射シートを用いることで、人工光を効率良く植物に照射することができる。これにより、照明装置の光源の数を低減でき、その結果、設備費用の削減およびランニングコストの削減を図ることができる。
1.固定具
本開示における固定具は、反射シートを栽培ラックに固定するための部品である。図5(a)は、本開示における固定具を例示する概略斜視図である。図5(b)は、図5(a)における平面Pによる概略断面図である。図5(a)、(b)に示すように、固定具30は、基板31と、可動板32と、サイドカバー33とを有する。また、固定具30の形状は特に限定されないが、細長い長方形であるバナー形状を有することが好ましい。また、固定具30は、例えばマグネット、面ファスナー等の着脱部34を有しており、着脱部34により栽培ラックに対して着脱可能である。さらに、図5(a)、(b)における固定具30は、基板31および可動板32を含む挟み込み構造を有しており、反射シートを挟み込むことができる。
本開示における固定具について、図6を用いて詳細に説明する。図6は、本開示における固定具の一例を示す概略断面図であり、図6(a)は反射シートを固定する前の状態を示しており、図6(b)は反射シートを固定した後の状態を示している。図6(a)に示すように、固定具30は、基板31および可動板32を有する。また、固定具30は、基板31の可動板32とは反対の面側に、栽培ラックに対する着脱を可能とする着脱部34を有する。一方、可動板32は、基板31の回転中心Cにおいて回転可能であり、回転角θは、例えば60°以下であり、45°以下であってもよく、40°以下であってもよい。図6(a)では、基板31の固定部31aと、可動板32の固定部32aとの間に大きな空隙があるため、反射シート20は固定されていない。これに対して、図6(b)では、可動板32が、基板31の回転中心Cにおいて回転することで、基板31の固定部31aと、可動板32の固定部32aとが近接し、その間に配置された反射シート20が固定される。
固定具の材料は、特に限定されないが、例えば、プラスチック樹脂;アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等の金属材料が挙げられる。人工光植物工場では、通常では数年に渡り使用することが想定される。そのため、固定具の材料は、金属材料であることが好ましい。耐久性が高いからである。さらに、人工光植物工場では湿度が高いため、金属材料については防錆加工または防水加工が施こされていることが好ましい。また、作業性の観点に基づくと、固定具の材料は軽量であることが好ましい。金属材料の中では、アルミニウムおよびアルミニウム合金が軽量である。特に、アルミニウムおよびアルミニウム合金を選択する場合、その表面に、防水加工として塗装が施されていることが好ましい。塗装の色は特に限定されないが、反射率の高い白色が好ましい。
図6に示すように、固定具30は、基板31と、可動板32とを有することが好ましい。また、基板および可動板の材料は、金属材料であることが好ましい。基板は、可動板とは反対側の面が面一であることが好ましい。人工光が漏れることを抑制できるからである。また、可動板は、例えば前面カバーとして機能させることもできる。固定具は、バナー形状を有することが好ましい。バナー形状とは、後述するL/Hが1よりも大きいことをいう。ここで、図7は、本開示における固定具を例示する説明図であり、図5(b)における方向Aから固定具を見た場合の概略平面図である。図7に示すように、固定具30の長さをLとした場合、Lは、例えば30cm以上であり、45cm以上であってもよい。一方、Lは、例えば4m以下である。図7に示すように、固定具30の高さをHとした場合、Hは、例えば2cm以上8cm以下である。高さHに対する長さLの値(L/H)は、通常、1より大きく、3以上であってもよく、25以上であってもよい。一方、L/Hは、例えば200以下である。また、図5(b)に示すように、固定具30の幅をWとした場合、Wは、例えば5mm以上30mm以下であり、10mm以上20mm以下が好ましい。
一方、固定具は、プラスチック樹脂の可撓性を利用して、反射シートを挟み込み、固定するものであってもよい。図8(a)は、本開示における固定具の一例を示す概略平面図であり、図8(b)は、図8(a)のA-A線断面図である。図8(a)、(b)に示すように、固定具30は、反射シート(図示せず)を固定するための一対の固定部(36a、36b)を有するプラスチック樹脂の成形品36である。このような固定具として、例えば、一般的な壁掛けカレンダーで使用されているものを用いることができる。このような固定具としては、例えば、特開平9-305111に記載された構造が挙げられる。すなわち、下端に係止縁を設けた二枚の挟持板を上記係止縁が内向きに対向するように連結してなる挟持部材の上面に穴の空いた吊下部材を取付けた構造が考えられる。樹脂材料としては、例えば、可撓性がある硬質塩ビ、GPPSにゴムを加え耐衝撃性を持たせた耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)が挙げられる。
また、本開示における固定具は、栽培ラックに対する着脱を可能とする着脱部を有する。着脱部は、特に、栽培ラックの第二部材に対して着脱可能であることが好ましい。着脱部としては、例えば、ハトメ、面ファスナー、マグネットが挙げられる。固定具は、着脱部を1つのみ有していてもよく、複数有していてもよい。複数の着脱部は、固定具の長手方向に沿って位置していることが好ましい。
図9(a)は、本開示における固定具の一例を示す概略平面図であり、図9(b)は、図9(a)のA-A線断面図である。図9(a)、(b)に示すように、固定具30は、着脱部34として、貫通穴を有している。一方、例えば図10に示すように、栽培ラック10は、貫通穴を引掛けるための部材として、フック17を有している。貫通穴を栽培ラックのフックに引掛けることで、固定具を栽培ラックに装着することができ、また、容易に脱着することもできる。貫通穴は、例えば、基板31を打ち抜くことにより形成することができる。固定具は、貫通穴を1つのみ有していてもよく、複数有していてもよい。複数の貫通穴は、固定具の長手方向に沿って位置していることが好ましい。貫通穴の形状としては、例えば、円状、矩形状が挙げられる。
また、図11に示すように、固定具30は、着脱部34として、リングを有していてもよい。貫通穴と同様に、リングを栽培ラックのフックに引掛けることで、固定具30を栽培ラックに装着することができ、また、容易に脱着することもできる。リングの材料としては、例えば金属が挙げられる。なお、図11において、着脱部34(リング)は、連結部35により基板(図示せず)と連結している。固定具は、リングを1つのみ有していてもよく、複数有していてもよい。複数のリングは、固定具の長手方向に沿って位置していることが好ましい。また、リングの形状としては、例えば、円状、矩形状が挙げられる。
一方、貫通穴またはリングを引掛けるための部材は、特に限定されないが、例えばフックが挙げられる。フックとしては、例えばU字フック、S字フックが挙げられる。栽培ラックは、フックを1つのみ有していてもよく、複数有していてもよい。複数のフックは、栽培ラックの長手方向に沿って位置していることが好ましい。
また、着脱部の他の例として、面ファスナーが挙げられる。例えば図5(b)において、固定具30は、着脱部34として面ファスナーを有していてもよい。一方、図示しないが、栽培ラックも、通常は、着脱部34(面ファスナー)と着脱可能な面ファスナーを有する。面ファスナーとしては、例えば、フック状の起毛を有する面ファスナー、ループ状の起毛を有する面ファスナーが挙げられる。通常、フック状の起毛を有する面ファスナーと、ループ状の起毛を有する面ファスナーとを組み合せて用いることで、着脱可能となる。なお、面ファスナーとしては、一般的な面ファスナーを用いることができる。
固定具は、面ファスナーを1つのみ有していてもよく、複数有していてもよい。複数の面ファスナーは、固定具の長手方向に沿って位置していることが好ましい。また、面ファスナーの形状としては、例えば、正方形、長方形が挙げられる。また、面ファスナーは、固定具の長手方向に沿うバナー状の面ファスナーであってもよい。
固定具に面ファスナーを装着する方法としては、例えば、接着剤を用いて面ファスナーを基板に貼り付ける方法が挙げられる。
また、着脱部のさらに他の例として、マグネットが挙げられる。例えば図5(b)において、固定具30は、着脱部34としてマグネットを有していてもよい。なお、マグネットとしては、一般的なマグネットを用いることができる。一方、図示しないが、栽培ラックも、通常は、磁性を有する部材を有する。磁性を有する部材は、マグネットであってもよく、金属シートであってもよい。また、例えば栽培ラックの構造体(例えば第二部材)が金属製であれば、構造体自体が、磁性を有する部材として機能する。
固定具は、マグネットを1つのみ有していてもよく、複数有していてもよい。複数のマグネットは、固定具の長手方向に沿って位置していることが好ましい。また、マグネットの形状としては、例えば、正方形、長方形が挙げられる。また、固定具の長手方向に沿うバナー状のマグネットであってもよい。
固定具にマグネットを装着する方法としては、例えば、接着剤を用いてマグネットを基板に貼り付ける方法が挙げられる。
2.反射シート
本開示における反射シートは、栽培ラックの長手方向の側面に配置される。「栽培ラックの長手方向の側面」とは、栽培ラックの側面のうち、栽培ラックの長手方向に位置する側面をいう。「栽培ラックの側面」とは、第一部材、第二部材および柱部材により特定される面をいう。例えば、栽培ラックの形状が、直方体である場合には、六面の中で、頂面および底面を除く四面が、栽培ラックの側面に該当する。また、「栽培ラックの長手方向」とは、第一部材および第二部材の長さ方向をいう。反射シートは、栽培ラックの長手方向の側面において、第一部材および第二部材の両端部を覆うように配置されていることが好ましい。
本開示における反射シートは、栽培ラックの長手方向の側面に配置されていればよく、例えば、図3に示すように、栽培ラック10の長手方向の側面の二面に配置されていることが好ましい。なお、図示しないが、栽培ラックの長手方向の側面のいずれか一面のみに反射シートが配置されていてもよい。また、本開示における反射シートは、栽培ラックの長手方向の側面の他に、栽培ラックの短手方向の側面に配置されていてもよい。反射シートの形状は特に限定されないが、例えば、正方形、長方形が挙げられる。特に、反射シートは長方形(例えば長尺シート)であることが好ましい。
本開示における反射シートは、特に限定されないが、ポリオレフィン系樹脂を含有する基材シートを少なくとも有することが好ましい。基材シートは、反射機能を主に担うシートである。また、反射シートは、基材シートの一方の面側に、補強シートを有することが好ましい。図12は、本開示における反射シートを示す概略断面図である。図12(a)に示すように、反射シート20は、ポリオレフィン系樹脂を含有する基材シート21を少なくとも有することが好ましい。また、図12(b)に示すように、反射シート20は、基材シート21の一方の面側に、補強シート22を有することが好ましい。
(1)基材シート
基材シートは、ポリオレフィン系樹脂を少なくとも含有することが好ましい。さらに、基材シートは、無機充填剤を含有することが好ましい。また、基材シートは、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を含有していてもよい。基材シートは、無延伸シートであってもよく、延伸シート(一軸延伸シート、二軸延伸シート等)であってもよい。
(ポリオレフィン系樹脂)
基材シートは、ポリオレフィン系樹脂を含有することが好ましい。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、オレフィンの単独重合体、2種類以上のオレフィンの共重合体、1種類以上のオレフィンと、オレフィンと重合可能な1種類以上の重合性モノマーとの共重合体等が挙げられる。上記オレフィン(モノマー単位)としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン等が挙げられる。また、共重合体は、2元系でも3元系でも4元系でもよい。また、共重合体は、ランダム共重合体でもブロック共重合体であってもよい。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。ポリエチレン系樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
これらのなかでは、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましく、高密度ポリエチレンがより好ましい。高密度ポリエチレンは、耐候性および引張強度に優れ、さらに高密度ポリエチレンを含有するシートは、長尺の巻物にしても弛みがなく折り曲げ加工時に白化による外観不良が発生しにくいからである。また、高密度ポリエチレンは不透明であり、酸化チタン、炭酸カルシウムを添加することで、フィルムの白色度を増し、結果的に高反射性をもたらすことに寄与する。
特に、樹脂成分がポリエチレン系樹脂のみである場合は、高密度ポリエチレンおよび直鎖状低密度ポリエチレンの少なくとも一方を用いることが好ましい。また、高密度ポリエチレンは、加工時の耐熱性および加工性に優れるため、カレンダー加工によるシート成形に特に適している。
ポリエチレン系樹脂は、JIS K 7210に準拠して測定されたメルトフローレート(温度230℃、荷重2.16kg)が、0.1g/10min以上、4.0g/10min以下であることが好ましく、0.4g/10min以上、2.0g/10min以下であることがより好ましい。メルトフローレート(MFR)が上記範囲にあると、カレンダー加工によるシート成形に特に適している。
基材シートは、ポリエチレン系樹脂を樹脂成分の主成分として含有していてもよい。樹脂成分の合計量に対するポリエチレン系樹脂の割合は、例えば50質量%以上であり、70質量%以上であってもよい。
一方、ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、単独重合ポリプロピレン(h-PP)、ランダム共重合ポリプロピレン(r-PP)、ブロック共重合ポリプロピレン(b-PP)、メタロセンポリプロピレン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。これらのなかでは、ランダム共重合ポリプロピレンが好ましい。ランダム共重合ポリプロピレンは、単独重合ポリプロピレンやブロック共重合体ポリプロピレンに比べて、フレキシビリティがあるからである。
ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンと、他のαオレフィンとの共重合体であってもよい。他のαオレフィンとしては、例えば、エチレン、ブテン-1、ヘキセン-1、ヘプテン-1,4-メチルペンテン-1の少なくとも一種等が挙げられる。ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンをモノマー単位の主成分とすることが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂は、JIS K 7210に準拠して測定されたメルトフローレート(温度230℃、荷重2.16kg)が、例えば、0.1g/10min以上、4.0g/10min以下であることが好ましく、0.4g/10min以上、2.0g/10min以下であることがより好ましい。メルトフローレート(MFR)が上記範囲にあると、カレンダー加工によるシート成形に特に適している。
基材シートは、ポリプロピレン系樹脂を樹脂成分の主成分として含有していてもよい。樹脂成分の合計量に対するポリプロピレン系樹脂の割合は、例えば50質量%以上であり、70質量%以上であってもよい。基材シートは、樹脂成分として、ポリプロピレン系樹脂およびポリエチレン系樹脂の両方を含有していてもよい。
他のポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン-プロピレン共重合体成分およびポリブチレン成分の少なくとも一方と、ポリプロピレン成分とを有する共重合体(所謂、リアクターTPO)等が挙げられる。
(無機充填剤)
基材シートは、無機充填剤を含有することが好ましい。無機充填剤としては、炭酸カルシウム、酸化チタン、タルク、酸化チタン、酸化チタン・酸化アンチモン・酸化ニッケル固溶体等が挙げられる。基材シートは、無機充填剤として、炭酸カルシウムおよび酸化チタンの少なくとも一方を含有することが好ましい。
基材シートにおける無機充填剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂に対して、例えば30質量%以上であり、40質量%以上であってもよく、50質量%以上であってもよい。無機充填剤の含有量が少なすぎると、基材シートの白色度および光反射性が低くなる可能性がある。一方、無機充填剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂に対して、例えば80質量%以下であり、75質量%以下であってもよく、70質量%以下であってもよい。無機充填剤の含有量が多すぎると、基材シートの可とう性が低くなる可能性がある。
(添加剤)
基材シートは、添加剤として、光安定剤、酸化防止剤および紫外線吸収剤の少なくとも一種を含有することが好ましい。
光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤が挙げられ、中でも、NOR型ヒンダードアミン光安定剤が好ましい。NOR型ヒンダードアミン光安定剤は耐酸性が良好であり、耐候性が大幅に向上する。
NOR型ヒンダードアミン系光安定剤の具体例としては、例えば、アデカ社製アデカスタブLA-81、BASF社製チヌビン123(デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)-4-ピペリジニル)エステル)等が挙げられる。
基材シートにおける光安定剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂に対して、例えば0.05質量%以上であり、0.1質量%以上であってもよく、0.4質量%以上であってもよい。光安定剤の含有量が少なすぎると、基材シートの耐候性が向上しない可能性がある。一方、基材シートにおける光安定剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂に対して、例えば3.0質量%以下であり、1.0質量%以下であってもよく、0.5質量%以下であってもよい。光安定剤の含有量が多すぎると、製造単価が高くなる可能性がある。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が挙げられる。フェノール系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピネート〕、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、4,4’-メチレン-ビス(2,6-ジ-t-ブチル)フェノール、4,4’-ブチリデン-ビス(6-t-ブチル-3-メチル)フェノール、2,2-メチレン-ビス(6-t-ブチル-3-メチル)フェノール、2,2-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチル)フェノール、4,4’-チオビス(2-メチル-6-t-ブチル)フェノール、4,4’-チオビス(3-メチル-2-t-ブチル)フェノール、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-α-ヒドロキシベンゼン、n-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等が挙げられる。
一方、リン系酸化防止剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4-ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス〔2-第三ブチル-4-(3-第三ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニルチオ)-5-メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ第三ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6-トリ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)-4,4’-n-ブチリデンビス(2-第三ブチル-5-メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)-1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4-ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10-ジハイドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナンスレン-10-オキサイド、トリス(2-〔(2,4,8,10-テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン-6-イル)オキシ〕エチル)アミン等が挙げられる。
基材シートにおける酸化防止剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂に対して、例えば0.05質量%以上であり、0.1質量%以上であってもよく、0.4質量%以上であってもよい。酸化防止剤の含有量が少なすぎると、基材シートの耐候性が向上しない可能性がある。一方、基材シートにおける酸化防止剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂に対して、例えば5.0質量%以下であり、3.0質量%以下であってもよく、1.0質量%以下であってもよい。酸化防止剤の含有量が多すぎると、ブリードアウトによる外観不良につながる可能性がある。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。さらに、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ第三ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ第三ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-第三ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-第三ブチル-5-カルボオクトキシエチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス(4-第三オクチル-6-ベンゾトリアゾリルフェノール)等の2-ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール化合物等が挙げられる。
基材シートにおける紫外線吸収剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂に対して、例えば0.05質量%以上であり、0.1質量%以上であってもよく、0.4質量%以上であってもよい。紫外線吸収剤の含有量が少なすぎると、基材シートの耐候性が向上しない可能性がある。一方、基材シートにおける紫外線吸収剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂に対して、例えば5.0質量%以下であり、3.0質量%以下であってもよく、1.0質量%以下であってもよい。紫外線吸収剤の含有量が多すぎると、ブリードアウトによる外観不良、紫外線吸収剤の種類によっては着色による外観不良につながる可能性がある。
基材シートは、重金属不活性剤を含有していてもよい。基材シートが、例えば鉄パイプ等に接した場合、鉄パイプに含まれる重金属元素(例えばFe元素)の影響により、ポリオレフィン系樹脂が分解される可能性がある。具体的には、重金属元素が酸化物を形成し、その酸化物の触媒作用により、ポリオレフィン系樹脂が分解される可能性がある。重金属元素としては、例えば、Fe元素、Cu元素、Mn元素、Zn元素等が挙げられる。
重金属不活性剤は銅害防止剤として知られている。重金属不活性剤は、特に限定されないが、例えば、シュウ酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒドラジド誘導体等が挙げられ、より具体的には、商品名Eastman InhibitorOAB H(イーストマンコダック社製)、アデカスタブ CDA-1,CDA-6(以上アデカ社製)、Chel-180、Inganox MD 1024(以上BASF社製)等が例示できる。また、特公昭37-14484号公報、特公昭39-9072号公報、特公昭39-12454号公報、特公昭39-19541号公報、特公昭40-12293号公報、特公昭40-18852号公報、特公昭42-4356号公報、特公昭42-4596号公報、特公昭42-13247号公報、特公昭43-6538号公報、特公昭43-18606号公報、特公昭47-27624号公報、特公昭48-36837号公報、特公昭49-15466号公報、特公昭52-22834号公報、特公昭54-43537号公報、特公昭54-90143号公報、米国特許第3357944号明細書、米国特許第3367907号明細書、仏国特許第1481105号明細書、仏国特許第1495830号明細書等に例示されているものでもよい。
基材シートにおける重金属不活性剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂に対して、例えば0.05質量%以上であり、0.1質量%以上であってもよく、0.4質量%以上であってもよい。重金属不活性剤の含有量が少なすぎると、銅害を十分に抑制できない可能性がある。一方、基材シートにおける重金属不活性剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂に対して、例えば5.0質量%以下であり、3.0質量%以下であってもよく、1.0質量%以下であってもよい。重金属不活性剤の含有量が多すぎると、分散不良による外観不良につながる可能性がある。
基材シートは、例えば、滑剤、熱安定剤、顔料、改質剤、難燃剤、帯電防止剤、補強剤、防カビ剤等の公知の添加剤を適量含有していてもよい。
(基材シート)
基材シートは、内部に空隙を有しないシートであってもよく、内部に空隙を有するシート(多孔質基材シート)であってもよい。また、基材シートは、単層構造を有していてもよく、複層構造を有していてもよい。基材シートが複層構造を有する場合、各層に含まれる樹脂成分は、同一であってもよく、異なっていてもよい。複層構造の基材シートの一例としては、内層と、上記内層の両面に位置する2つの外層とを有し、2つの外層に含まれる樹脂成分が同一であり、外層に含まれる樹脂成分と内層に含まれる樹脂成分が異なる基材シートが挙げられる。
基材シートは可視光反射率が高いことが好ましい。可視光(波長380nm以上780nm以下)の平均反射率は、例えば、70%以上であり、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。可視光反射率は、紫外・可視・近赤外分光光度計(島津製作所UV-3600)および積分球付属装置(ISR-3100)を用いて、入射角8°で可視領域380nm以上780nm以下での反射率(全反射率)を測定し、その平均反射率を求めることにより得られる。
基材シートの厚さは、特に限定されないが、例えば25μm以上であり、30μm以上であってもよく、40μm以上であってもよい。一方、基材シートの厚さは、例えば90μm以下であり、80μm以下であってもよい。基材シートの厚さが上記範囲内にあることで、例えばカレンダー加工により基材シートを作製した場合に、優れた表面平滑性および高い厚さ精度を有するシートを得ることができる。
(基材シートの製造方法)
基材シートの製造方法は、目的とする基材シートが得られる方法であれば特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂を少なくとも含有する樹脂組成物を作製する工程と、上記樹脂組成物をシート化(フィルム化)し、基材シートを作製する工程とを有する製造方法が挙げられる。
樹脂組成物の作製方法は、特に限定されないが、所定量の各原料を溶融混練して樹脂組成物を作製する方法が好ましい。溶融混練に用いられる装置としては、例えば、連続混練機、バンバリーミキサー、ニーダー、押出機等が挙げられる。溶融混練する際の加熱温度は、例えば、150℃以上200℃以下である。
樹脂組成物をシート化する方法としては、カレンダー加工、押出成形等の公知の成形方法が挙げられ、特に、カレンダー加工が好ましい。例えばシートの厚さが薄い場合、厚さの均一なシートを製造するのに適しているからである。また、カレンダー成形は、成形機の構造上、サイズ、樹脂の種類に対応し易く、小ロットにも対応し易い点でも好適である。さらに、本開示において、無機充填剤の含有量が高い樹脂組成物を用いる場合、カレンダー加工により成形することが好ましい。無機充填剤を多量に含有させる場合、例えば、押出成形によって成形すると、得られるシートの表面が荒れ、シートが裂け易くなるが、カレンダー加工による成形では、このような不都合が発生せず、表面の平滑なシートを製造することができる。さらに、無機充填剤の含有量が高い樹脂組成物を用いる場合のカレンダー加工の優位性は、基材シートの厚さが、例えば30μm以上70μm以下程度と薄い場合に特に顕著に認められる。
カレンダー加工では、例えば、溶融混練して得られた樹脂組成物を、加熱したカレンダーロールに供給し、圧延することにより、基材シートを得ることができる。カレンダーロールの加熱温度は、例えば、150℃以上220℃以下であり、160℃以上190℃以下であることが好ましい。カレンダー装置としては、3本型、4本L型、4本逆L型、4本Z型、6本型等、適宜のものを使用すればよい。
樹脂組成物をシート化した後に、必要に応じて、各種表面処理を施してもよい。表面処理としては、例えば、コロナ処理(コロナ放電処理)、プラズマ処理、紫外線処理、電子線処理(電子線放射処理)等が挙げられる。
(2)補強シート
反射シートは、基材シートの一方の面側に補強シートを有していてもよい。補強シートは、基材シートを補強するシートである。反射シートは、基材シートおよび補強シートの間に他の層を有していてもよく、他の層を有さなくてもよい。
補強シートとしては、例えば、不織布および織布等が挙げられる。不織布または織布の材料は、熱可塑性樹脂の中でも、ポリオレフィン系樹脂、エステル系樹脂またはアミド系樹脂であることが好ましい。また、不織布としては、例えば、繊維直交不織布、長繊維不織布、短繊維不織布、湿式不織布、乾式不織布、エアレイド不織布、カード式不織布、パラレル式不織布、クロス式不織布、ランダム不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、フラッシュ紡糸不織布、ケミカルボンド不織布、水流交絡不織布、ニードルパンチ不織布、ステッチボンド不織布、サーマルボンド不織布、バーストファイバー不織布、トウ開繊不織布、スプリットファイバー不織布、複合不織布、積層不織布、コーテッド不織布、ラミネート不織布等が挙げられる。
繊維直交不織布は、2枚以上の延伸フィルムを、延伸方向が直交するように積層した不織布であり、例えば、JX ANCI株式会社製ワリフ(登録商標)等が挙げられる。繊維直交不織布の目付は、5g/m2以上100g/m2以下であることが好ましく、中でも20g/m2以上50g/m2以下であることが好ましい。繊維直交不織布の目付が上記下限を有することにより、十分な強度を有する補強シートとすることができる。また、長繊維不織布の繊維径は、例えば3μm以上20μm以下であることが好ましい。一方、短繊維不織布の繊維径は、例えば3μm未満であることが好ましい。
一方、補強シートの他の例としては、クロス式不織布が挙げられる。クロス式不織布としては、例えば特開2007-259734号公報に開示されたポリオレフィンメッシュクロスが挙げられる。ポリオレフィンメッシュクロスは、ポリエチレンメッシュクロスであることが好ましい。ポリエチレンメッシュクロスは、例えば押出し成形での接着性を考慮して好適に使用される。クロス式不織布は、厚さが30μm以上100μm以下であることが好ましく、中でも50μm以上80μm以下であることが好ましい。
クロス式不織布は、引裂強度等の機械的特性に優れ、補強シートとして好適に用いられるとともに、例えばRoll to Roll法によるラミネート時のテンションコントロールがしやすく、カールが少ないという利点がある。さらに、クロス式不織布は、縁加工を施すことが可能な程度の強度を有し、例えば縁加工部に鳩目を設けることが可能である。
クロス式不織布の織組織としては、例えば、平織、綾織、絡み織、模紗織等の種々の形状が使用されるが、平滑性の観点から平織が好ましい。
クロス式不織布は、延伸糸条を経緯糸に用いて織成して形成することができる。本開示においては、クロス式不織布が、1インチ平方の領域において、第一繊維方向に沿って5本以上の繊維を有し、第一繊維方向と交差する第二繊維方向に沿って5本以上の繊維を有することが好ましい。これを打込密度で表現すると、「5×5本/インチ以上」と表現できる。打込密度は、例えば、5×5本/インチ以上とすることができ、中でも6×5本/インチ以上であることが好ましく、特に8×8本/インチ以上であることが好ましい。また、打込密度は、例えば、10×10本/インチ以下とすることができる。打込密度が上記上限を有することにより、製造コストの増大を抑制し、ラミネート製品のカールが大きくなり過ぎるといった不具合を抑制することができる。
クロス式不織布における目合いは、第一繊維方向(例えば縦方向)、第二繊維方向(例えば横方向)ともに、例えば0.3mm以上であることが好ましく、中でも0.4mm以上であることが好ましい。また、クロス式不織布における目合いは、第一繊維方向(例えば縦方向)、第二繊維方向(例えば横方向)ともに、例えば3mm以下であることが好ましく、中でも2mm以下であることが好ましい。ここで目合いとは、メッシュの第一繊維方向又は第二繊維方向において隣接する繊維相互間の空間の幅のことをいう。クロス式不織布における目合いが上記下限を有することにより、遮光率の増大を抑制することができる。また、クロス式不織布における目合いが上記上限を有することにより、クロス式不織布の強度の低下を抑制することができる。
クロス式不織布は、例えば、モノフィラメントやフラットヤーンを用いて製造することができる。モノフィラメントを用いて得られたクロス式不織布は強度が高いとともに通気性が良好であり、フラットヤーンを用いて得られたクロス式不織布は平滑な表面を有するクロスを形成しやすく被覆性が良い。また、クロス式不織布は、好適には芯鞘複合モノフィラメントまたは多層複合フラットヤーンを熱接着処理することで得ることができる。芯鞘複合モノフィラメントまたは多層複合フラットヤーンを用いて得られるクロス式不織布は、例えば、表面を被覆している比較的温度の低いポリオレフィンが、加熱により軟化溶融されて、経緯糸の交差接着部において互いに熱融着されることにより得られる。このような目止め処理により耐久性を有する目ズレ防止が可能である。
芯鞘複合モノフィラメントは、比較的融点の高い高融点ポリオレフィンを芯層とし、これより融点の低いポリオレフィンを芯層の表面に被覆して鞘層とした構造を有することが好ましい。芯鞘複合モノフィラメントの芯層/鞘層の組み合わせとして、プロピレン単独重合体/プロピレン-エチレンブロック共重体、プロピレン単独重合体/プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン単独重合体/高密度ポリエチレン、プロピレン単独重合体/低密度ポリエチレン、プロピレン単独重合体層/直鎖状低密度ポリエチレン、プロピレン-エチレンブロック共重体/直鎖状低密度ポリエチレン、プロピレン-エチレンランダム共重合体/低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン/低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン/直鎖状低密度ポリエチレン等が挙げられる。芯層/鞘層のより好ましい組み合わせとしては、熱融着性、強度およびリサイクル等の観点から、例えば、高密度ポリエチレン/低密度ポリエチレン、および高密度ポリエチレン/直鎖状低密度ポリエチレンの組み合わせが挙げられる。
芯鞘複合モノフィラメントは、例えば、芯層および鞘層の各層のポリオレフィン系樹脂を押出機で溶融混練し、例えば160℃以上300℃以下の溶融温度で高融点ポリオレフィンからなる芯層を供給するとともに、その外表面に低融点ポリオレフィンからなる鞘層を被覆して冷却固化した後に延伸処理を行い、さらに弛緩熱処理を行うことにより製造することができる。延伸倍率は、例えば3倍以上12倍以下とすることができ、好ましくは5倍以上10倍以下とすることができる。
芯鞘複合モノフィラメントの繊度は、例えば30dt以上であることが好ましく、中でも50dt以上であることが好ましい。また、芯鞘複合モノフィラメントの繊度は、例えば3000dt以下であることが好ましく、中でも2000dt以下であることが好ましい。芯鞘複合モノフィラメントの繊度が上記下限を有することにより、繊維が細くなりすぎて耐久性が低下するといった不具合の発生を抑制することができる。また、補強シートとしての引裂強度等の機械的特性の低下を抑制することができる。一方、芯鞘複合モノフィラメントの繊度が上記上限を有することにより、良好な製織が可能となる。また、良好な柔軟性が得られ、接着層との十分な接着が可能となる。
芯鞘複合フィラメントの鞘層と芯層との断面積比(鞘層/芯層)は、例えば1/9以上であることが好ましく、中でも2/8以上であることが好ましい。また、芯鞘複合フィラメントの鞘層と芯層との断面積比(鞘層/芯層)は、例えば6/4以下であることが好ましく、中でも5/5以下であることが好ましい。芯鞘複合フィラメントの鞘層と芯層との断面積比が上記下限を有することにより、鞘成分が芯層全断面を覆うことが可能となり、また、接着強度の低下を抑制することができる。一方、芯鞘複合フィラメントの鞘層と芯層との断面積比が上記上限を有することにより、フィラメント糸の引張強度の低下を抑制することができる。
多層複合フラットヤーンは、高融点ポリオレフィンを内層の基材層として、これより融点の低い低融点ポリオレフィンを外層の表面層でサンドイッチした多層構造を有することが好ましい。多層複合フラットヤーンの組み合わせとしては、例えば、低密度ポリエチレン層/高密度ポリエチレン層/低密度ポリエチレン層の複合体、直鎖状低密度ポリエチレン層/高密度ポリエチレン層/直鎖状低密度ポリエチレン層の複合体、プロピレン-エチレンランダム共重合体層/ポリプロピレン単独重合体層/プロピレン-エチレンランダム共重合体層の複合体の組み合わせ等が挙げられる。より好ましい多層複合フラットヤーンの組み合わせとしては、リサイクル等の観点から、低密度ポリエチレン層/高密度ポリエチレン層/低密度ポリエチレン層の複合体、直鎖状低密度ポリエチレン層/高密度ポリエチレン層/直鎖状低密度ポリエチレン層の複合体等が挙げられる。
多層複合フラットヤーンは、例えば、内層の基材層および外層の表面層の各層のポリオレフィン系樹脂を押出機で溶融混練し、例えば160℃以上300℃以下の溶融温度で高融点ポリオレフィンからなる基材層を供給するとともに、基材層の上下両面に低融点ポリオレフィンからなる表面層を被覆して冷却固化した後にスリットし、さらに延伸処理を行い、続いて弛緩熱処理を行うことにより製造することができる。延伸倍率は、例えば3倍以上12倍以下とすることが好ましい。
多層複合フラットヤーンの繊度は、例えば100dt以上であることが好ましく、中でも200dt以上であることが好ましい。また、多層複合フラットヤーンの繊度は、例えば4000dt以下であることが好ましく、中でも3000dt以下であることが好ましい。多層複合フラットヤーンの繊度が上記下限を有することにより、繊維が細くなりすぎて耐久性が低下するといった不具合の発生を抑制することができる。一方、多層複合フラットヤーンの繊度が上記上限を有することにより、良好な製織が可能となる。
また、多層複合フラットヤーンの表面層と基材層との断面積比(表面層/基材層)は、例えば1/9以上であることが好ましく、中でも2/8以上であることが好ましい。また、多層複合フラットヤーンの表面層と基材層との断面積比は、例えば6/4以下であることが好ましく、中でも5/5以下であることが好ましい。多層複合フラットヤーンの表面層と基材層との断面積比が上記下限を有することにより、表面層が基材層を十分に覆うことが可能となり、また、接着強度の低下を抑制することができる。一方、多層複合フラットヤーンの表面層と基材層との断面積比が上記上限を有することにより、フィラメント糸の引張強度の低下を抑制することができる。ここで、上記断面積比における表面層の断面積は、両側の表面層の断面積の和である。
補強シートは、樹脂を含有することが好ましい。上記樹脂は、熱可塑性樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂であってもよいが、前者が好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、フッ化ビニル系樹脂、アミド系樹脂、飽和エステル系樹脂等が挙げられ、中でも、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。本開示においては、補強シートは、ポリオレフィン系樹脂を含有する繊維直交不織布であることが好ましい。耐熱性、耐水性、耐薬品性、コスト面が優れるからである。
ポリオレフィン系樹脂の具体例としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等が挙げられ、中でも、ポリエチレン系樹脂が好ましい。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、上記「(1)基材シート」に記載したポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
また、上述したように、熱可塑性樹脂として、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、フッ化ビニル系樹脂、アミド系樹脂、エステル系樹脂等を用いることができる。アクリル系樹脂としては、例えば、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、エチレン-エチルアクリレート共重合体等が挙げられる。スチレン系樹脂としては、例えば、ブタジエン-スチレン共重合体、アクリロニトリル-スチレン共重合体、ポリスチレン、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体、スチレン-アクリル酸共重合体等が挙げられる。フッ化ビニル系樹脂としては、例えば、塩化ビニル系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。アミド系樹脂としては、例えば、6-ナイロン、6,6-ナイロン、12-ナイロン等が挙げられる。エステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプリブチレンテレフタレート等が挙げられる。また、熱可塑性樹脂として、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリフェニレンスルフィド、シリコーン樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、熱可塑性エラストマー等を用いてもよい。
また、補強シートおよび基材シートの両方が、ポリエチレン系樹脂を含有することが好ましい。例えば、後述する接着層を設けた場合、ポリエチレン系樹脂は接着剤に対する接着性が共通するため、強固に接着した反射シートが得られるからである。また、熱や水分などによる膨張や収縮の程度が近いため、反りが発生し難く接着が剥がれ難いからである。その結果、耐久性が高い反射シートとなる。また、ポリエチレン系樹脂を用いることで、耐水性が高い反射シートとなる。また、補強シートおよび基材シートの両方がポリエチレン系樹脂を含有する場合、リサイクル性のある反射シートとなり、廃棄時の環境負荷が少ない。特に、反射シート全層がポリエチレン系樹脂を含有することが好ましい。
また、補強シートがポリプロピレン系樹脂を含有し、基材シートがポリエチレン系樹脂を含有することが好ましい。反射シートの加工性が向上するからである。具体的には、ポリプロピレン系樹脂は比較的硬い樹脂であるため、加工が難しい。これに対して、ポリエチレン系樹脂は比較的柔らかい樹脂であるため、ポリエチレン系樹脂を組み合わせることで、反射シートの加工性が向上する。
また、補強シートは、単層構造であってもよく、複層構造であってもよい。単層構造の補強シートを有する反射シートとしては、例えば、基材シートと、接着層と、単層構造の補強シートと、をこの順に有する反射シートが挙げられる。
一方、複層構造の補強シートを有する反射シートとしては、例えば、基材シートと、接着層と、複層構造の補強シートと、をこの順に有する反射シートが挙げられる。複層構造の補強シートは、第一の補強シート層と、補強シート用接着層と、第二の補強シート層と、をこの順に有することが好ましい。なお、複数の補強シート層は、接着層を介さずに接触(例えば融着)していてもよい。また、補強シート用接着層の種類は特に限定されない。
補強シートは、多孔質補強シートであってもよい。また、補強シートが複層構造である場合、補強シートを構成する少なくとも一層が、多孔質補強層であってもよい。
補強シートの厚さは、特に限定されないが、例えば10μm以上150μm以下であり、20μm以上100μm以下であることが好ましい。なお、補強シートが複層構造である場合、補強シートを構成する各層の厚さが、上述した範囲内であることが好ましい。また、反射シートは、補強シートを最表面に有していてもよく、内部に有していてもよい。
(3)接着層
反射シートが基材シートの一方の面側に補強シートを有する場合、反射シートは、基材シートおよび補強シートの間に接着層を有していてもよく、接着層を有しなくてもよい。後者の場合、基材シートおよび補強シートが直接接触していることが好ましい。また、接着層は、例えば、ポリオレフィン系樹脂等の樹脂を含有することが好ましい。このような接着層は、例えば、樹脂を押出コーティングすることにより得ることができる。
押出コーティングでは、熱によって溶融し相互に融着し得る樹脂を使用することができる。このような樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン等のポリプロピレン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂を使用することができる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。これらのなかでは、ポリエチレン系樹脂が適し、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましく、低密度ポリエチレンがより好ましい。低密度ポリエチレンは、加工適性に優れ、ポリエチレン製不織布への接着性に優れており、安価である。
ポリエチレン系樹脂は、JIS K 7210に準拠して測定されたメルトフローレート(温度230℃、荷重2.16kg)が、0.1g/10min以上、4.0g/10min以下であることが好ましく、0.4g/10min以上、2.0g/10min以下であることがより好ましい。メルトフローレート(MFR)が上記範囲にあると、押出コーティングに特に適している。
また、基材シートとの補強シートとの接着性を強化するため、例えば基材シート上にアンカーコーティング剤をコーティングしてアンカーコート剤層を設けてもよい。アンカーコート剤層を形成するアンカーコート剤としては、例えば、アルキルチタネート等の有機チタン系アンカーコート剤、イソシアネート系アンカーコート剤、ポリエチレンイミン系アンカーコート剤、ポリブタジエン系アンカーコート剤が挙げられる。本開示においては、上記と同様に、アンカーコート剤を、例えば、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート、その他のコーティング法でコーティングし、溶剤、希釈剤等を乾燥させることで、アンカーコート剤層を形成することができる。上記において、アンカーコート剤の塗布量としては、0.1g/m2以上5g/m2以下(乾燥状態)とすることが好ましい。
本開示において、アンカーコート剤を形成するラミネート用接着剤としては、例えば、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアナート等の芳香族ポリイソシアナート、あるいは、ヘキサメチレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート等の脂肪族ポリイソシアナート等の多官能イソシアネートと、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリアクリレートポリオール等のヒドロキシル基含有化合物との反応により得られるポリエーテルポリウレタン系樹脂、ポリエステル系ポリウレタン系樹脂、または、ポリアクリレートポリウレタン系樹脂を主成分とするラミネート用接着剤を用いることが好ましい。
アンカーコート剤層は、柔らかく、柔軟性に富み、かつ、屈曲性に富む薄膜を形成することができ、その引っ張り伸長度を向上させることができる。また、基材シートに対し柔軟性、屈曲性等を有する被膜として作用し、ラミネート加工時における基材シート加工適性を向上させ、利用時剥離不良等を防止することができる。
なお、本開示におけるアンカーコート剤層は、JIS規格K7113に基づいて、100%以上300%以下の引張伸度を有することが好ましい。アンカーコート剤層の引張伸度により、基材シートと、補強シートとの密接着性を向上させることができる。したがって、基材シートと、補強シートとのラミネート強度等を高めることができる。
一方、本開示における接着層は、接着剤を含有する層であってもよい。このような接着層は、例えば、接着剤を含有する接着剤組成物を塗布することにより得ることができる。接着剤の種類は、特に限定されないが、例えば、ポリエーテル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、ビニル系接着剤、(メタ)アクリル系接着剤、ポリアミド系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤等が挙げられる。接着剤は、一液硬化型であってもよく、二液硬化型であってもよい。
(4)反射シート
反射シートは、光反射層を有していてもよく、有していなくてもよい。光反射層を設ける場合、可視光反射率をより高くできる。光反射層は、例えば、白色粉末および樹脂成分を含有する。白色粉末としては、例えば、アナターゼ型またはルチル型の酸化チタン、これらの表面をAl、Si等の金属酸化物で処理した酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。樹脂成分としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。また、ポリウレタン系樹脂としては、例えば、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリカプロラクタムポリウレタン等が挙げられる。光反射層の配置場所は、特に限定されず、反射シートの最表面であってもよく、内部であってもよい。また、光反射層は、基材シートを基準として、補強シートとは反対側に設けられていることが好ましい。光反射層の厚みは、例えば、0.5μm以上4μm以下である。
反射シートは、可視光反射率が高いことが好ましい。可視光(波長380nm以上780nm以下)の平均反射率は、例えば、70%以上であり、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。また、反射シートは、波長600nmでの全反射率が、例えば70%以上であり、80%以上であってもよく、90%以上であってもよい。
反射シートの厚みは、特に限定されないが、例えば50μm以上300μm以下であり、80μm以上250μm以下であることが好ましい。反射シートの透湿度は、例えば、10g/m2・day以上であってもよく、20g/m2・day以上であってもよい。
3.栽培ラック
本開示における栽培ラックは、栽培槽を載置可能な第一部材と、上記第一部材に対して空間を設けて配置された第二部材と、上記第一部材に対して空間を設けて配置され、かつ、上記第二部材よりも上記第一部材側に配置された照明部材と、上記第一部材および上記第二部材の位置を固定する複数の柱部材とを有する構造体を有する。なお、「栽培槽を載置可能」とは、第一部材に対して、直接または他の部材を介して載置可能なことをいう。また、第一部材は、必ずしも単独で栽培槽を載置可能である必要はない。例えば、栽培槽は柱部材等に連結可能であり、上記連結により栽培槽の重さを分散させることで、第一部材が栽培槽を載置可能な状態となってもよい。
(1)第一部材、第二部材および柱部材
第一部材、第二部材および複数の柱部材により、栽培ラックの骨格が形成される。第一部材、第二部材および複数の柱部材の材料は、特に限定されないが、例えば、ステンレス鋼、鉄、アルミニウム等の金属が挙げられる。第一部材および第二部材は、例えば、板状であってもよく、メッシュ状であってもよい。また、第一部材および第二部材の平面視形状は、特に限定されないが、例えば、正方形、長方形等が挙げられる。柱部材の断面形状は、例えば、円形、正方形、長方形等が挙げられる。柱部材の数は、第一部材および第二部材を安定的に固定できる程度であることが好ましく、例えば3以上であり、4以上であってもよく、8以上であってもよい。第一部材および第二部材と、柱部材とは、公知の連結具を用いて連結されていることが好ましい。
第一部材に載置される栽培槽の形状は、特に限定されないが、ポット状、バッグ状、ベッド状等が挙げられる。また、栽培槽を用いて水耕栽培(湛液型水耕栽培、NFT型水耕栽培)を行ってもよく、土耕栽培を行ってもよい。また、第一部材の上にロックウールマ
ットを敷き、その上にロックウールポットを置いてロックウール栽培を行ってもよい。ま
た、ロックウールの代わりに使用後の廃棄がしやすいココピートを培地に利用したココバッグ栽培でもよい。
(2)照明部材
照明部材は、第一部材に対して空間を設けて配置され、かつ、第二部材よりも第一部材側に配置される。照明部材は、第二部材の表面上に直接配置されていてもよく、他の部材を介して、第二部材に対して空間を設けて配置されていてもよい。また、照明部材は第二部材の機能を兼ね備えていてもよい。その場合、照明部材は、第一部材に対して空間を設けて配置される。
照明部材は、少なくとも光源を有する。光源としては、例えば、LEDおよび蛍光灯等が挙げられ、中でもLEDが好ましい。消費電力が少ないからである。光源の色は、特に限定されず、栽培する植物に合わせて適宜選択する。また、光源は、基体に直接または他の層を介して配置されていることが好ましい。基体には、冷媒管が接続されていてもよい。光源から発生する熱を除去できるからである。基体の材料としては、アルミニウム、銅等が挙げられる。冷媒としては、例えば、アンモニア、水等が挙げられる。
また、光源および基体の間には、反射板が配置されていてもよい。光源から照射された光が栽培槽の培地表面で反射して光源に戻ってきた場合であっても、反射板を設けることで、反射光を再び植物に照射することができるからである。
また、植物の成長に応じて、光源の数を変えてもよい。植物は、成長段階によって必要とする光量が異なるからである。すなわち、葉が生い茂り、収穫時期に近い植物は、光量を多く、芽が出たてで、まだ葉が小さい植物は、光量を少なくすることが好ましい。このように適切な光量にすることで、結果的に光源の数を減らすことができ、設備費用の削減およびランニングコストの削減を図ることができる。
(3)栽培ラック
栽培ラックは、第一部材、第二部材、照明部材および複数の柱部材を有する構造体を有する。栽培ラックは、上記構造体を一つ有していてもよく、複数有していてもよい。例えば、図1および図2における栽培ラック10は、構造体16が4段積層された構造を有する。栽培ラックが複数の構造体を有する場合、第二部材は、第一部材の機能を兼ね備えていてもよい。例えば図2において、上から二番目の構造体16の第二部材13は、一方の面側において照明部材14が配置され、他方の面側において、栽培槽11を載置している。すなわち、第二部材13は、第一部材12の機能を兼ね備えている。
栽培ラックは、固定型であってもよく、移動可能型であってもよい。また、栽培ラックは吊り下げ式であってもよい。
4.植物栽培装置
本開示における植物栽培装置は、上述した栽培ラックおよび反射シートを少なくとも備える。植物栽培装置は、栽培槽に培養液を供給する培養液供給装置を有していてもよい。培養液供給装置としては、例えば、培養液を貯留する貯留部と、貯留部の培養液を循環させる配管部およびポンプ部と、各々の栽培槽に接続され配管部の培養液を栽培槽に供給する供給部とを有する装置を挙げることができる。また、植物栽培装置は、必要に応じて、栽培ラック内のCO2濃度を高めるCO2供給装置、送風機、空気清浄機、除湿器、加湿器、ヒーター、クーラーの少なくとも一つをさらに有していてもよい。
植物栽培装置の用途は、特に限定されないが、太陽光を利用しない人工光型栽培に用いることが好ましい。また、植物栽培装置を育苗装置として用いてもよい。植物栽培装置により栽培する植物は、長日植物(長日に反応して花芽形成を調節する植物)であってもよく、短日植物(短日に反応して花芽形成を調節する植物)であってもよく、中性植物(光周期に反応しない植物)であってもよい。具体的には、葉菜類、果菜類、花き類等が挙げられる。葉菜類としては、例えば、レタス、チンゲンサイ、ルッコラ、コリアンダー、バジル、セロリ、ケール、エゴマ、アイスプラント、サフラン等が挙げられる。果菜類としては、例えば、トマト、オクラ、南瓜、キュウリ等が挙げられる。
B.反射シート
本開示における反射シートは、栽培ラックの側面に配置されるために用いられ、可視光反射性を有する反射シートであって、上記反射シートを上記栽培ラックに固定するための固定具を有し、上記固定具が、上記栽培ラックに対して着脱可能であり、かつ、上記反射シートを挟み込むことにより固定する挟み込み構造を有する。
本開示によれば、特定の固定具を用いることで、反射シートに加工を行うことなく、栽培ラックの側面に反射シートを容易に配置することができる。反射シートは、栽培ラックの長手方向の側面に配置されてもよく、栽培ラックの短手方向の側面に配置されてもよいが、前者が好ましい。また、本開示に反射シートは、固定具を有する。これらの詳細については、上記「A.植物栽培装置」に記載した内容と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示における特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示における技術的範囲に包含される。
[実施例1]
(基材シートの作製)
ポリエチレン系樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン(L-LDPE、融点125℃、MFR(190℃、2160g):2.0g/10min)100質量部、紫外線吸収剤として2(2’-ヒドロキシ-5’-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール0.1質量部、NOR型ヒンダードアミン系光安定剤(アデカ社製、アデカスタブLA-81)(ビス(1-ウンデカンオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)カーボネート)0.4質量部、フェノール系酸化防止剤として、ペンタエリスリトールテトラキス〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピネート〕0.1質量部、無機充填剤1として炭酸カルシウム20質量部(重質炭酸カルシウム(充填率60%のPEマスターバッチ):PEの含有量8質量部)、無機充填剤2としてチタン顔料40質量部(充填率80%のPEマスターバッチ:PEの含有量8質量部)を混合し、バンバリーミキサーを用いて、180℃で溶融混練した。
なお、得られた混練物中に含まれるポリエチレン系樹脂の合計量は116質量部であり、ポリエチレン系樹脂に対する、NOR型ヒンダードアミン系光安定剤の含有量は0.34質量%である。また、ポリエチレン系樹脂に対する、無機充填剤1、2の含有量は51.7質量%である。
次に、得られた混錬物を、直径12インチ×30Lコモンヘッド型ミキシングロール(回転速度:18rpm)に供給し、ロール温度165℃以上190℃以下で圧延し、厚さ60μmの基材シート(ポリエチレンシート)を得た。
(反射シートの作製)
基材シートおよび補強シートを準備した。補強シートとして、ポリエチレン樹脂製のポリエチレンクロスを用意し、次に、基材シート上にウレタン系のアンカーコーティング剤をコーティングして、厚さ0.5g/m2(乾燥状態)のアンカーコート剤層を形成した。さらに、上記のアンカーコート剤層の上に、低密度ポリエチレン(LDPE、MI=8.0、密度=0.92)を、オゾン処理を施しながら厚さ15μmで溶融押出(押出コーティング)して、補強シートと貼り合せ、反射シートを作製した。LDPEの溶融樹脂温度は320℃であった。
得られた反射シートに対して、可視光反射率測定、平滑性評価および防汚性評価を行った。可視光反射率測定では、紫外・可視・近赤外分光光度計(島津製作所UV-3600)および積分球付属装置(ISR-3100)を用いて、入射角8°で可視領域380nm以上780nm以下での反射率(全反射率)を測定し、その平均反射率を求めた。なお、標準板として、米国ラブスフェア社製スペクトラロン(テフロン(登録商標)製)を用いた。また、測定面は、反射シートの基材シートの面とした。その結果、可視光反射率は94%であった。また、防汚性評価では、JIS-L-1919に基づいて、汚染等級を評価した。その結果、汚染等級は3.0であった。
(固定具の装着)
得られた反射シートに、図5に示すような固定具(着脱部としてマグネットを有する固定具)を装着した。その後、固定具のマグネットを、栽培ラックの第二部材に取付けることにより、栽培ラックの長手方向の側面に反射シートを配置した。このように、固定具を用いることで、反射シートに加工を行うことなく、栽培ラックの側面に反射シートを容易に配置することができた。
[実施例2]
得られた反射シートに、図9に示すような固定具(着脱部として貫通穴を有する固定具)を装着した。その後、固定具の貫通穴を、栽培ラックの第二部材に取付けられたフックに引掛けることにより、栽培ラックの長手方向の側面に反射シートを配置した。このように、固定具を用いることで、反射シートに加工を行うことなく、栽培ラックの側面に反射シートを容易に配置することができた。
[実施例3]
得られた反射シートに、図11に示すような固定具(着脱部としてリングを有する固定具)を装着した。その後、固定具のリングを、栽培ラックの第二部材に取付けられたフックに引掛けることにより、栽培ラックの長手方向の側面に反射シートを配置した。このように、固定具を用いることで、反射シートに加工を行うことなく、栽培ラックの側面に反射シートを容易に配置することができた。