JP7265903B2 - 眼科装置 - Google Patents

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Description

本開示は、眼科装置に関する。
眼位のずれは、視機能の不良や眼精疲労等を招くことが知られており、プリズムレンズ等により矯正が行われる場合がある。このため、眼位を求めることのできる眼科装置が考えられている(特許文献1参照)。
この眼科装置は、可視光を遮蔽しかつ測定用の非可視光を透過させる波長選択特性を有し被検者の眼の前面に配置可能な遮蔽部を設けることで、両眼視と片眼視を強制的に切り換えて遮蔽眼の斜位の大きさを取得できるとともに、眼に可視光が入射していない時の調節を測定できる。
特許5011144号公報
しかしながら、上記した眼科装置は、両眼視と片眼視を強制的に切り換えることで遮蔽眼の斜位の大きさを取得している。ここで、視機能の不良や眼精疲労等の原因を正確に得るためには、両眼視している状態において輻輳と調節との関係を測定することが望ましい。このため、上記した眼科装置は、輻輳と調節との関係を適切に測定する観点から改良の余地がある。
本開示は、上記の事情に鑑みて為されたもので、輻輳と調節との関係を適切に測定することのできる眼科装置を提供することを目的とする。
上記した課題を解決するために、本開示の眼科装置は、被検者の両方の被検眼に対応して対を為して設けられ、少なくとも前記被検眼に固視画像を呈示する眼情報取得部と、2つの前記眼情報取得部の位置を調整しつつそれぞれが対応する前記被検眼の眼球回旋点を中心に回旋させる駆動機構と、前記眼情報取得部および前記駆動機構を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記固視画像を呈示しつつ前記眼情報取得部における前記固視画像の合焦距離と前記眼情報取得部の回旋角とを変化させることで、前記被検眼における輻輳と調節との関係を求めることを特徴とする。
本開示の眼科装置によれば、輻輳と調節との関係を適切に測定することができる。
本開示に係る眼科装置の一例としての実施例1の眼科装置の全体構成を示す説明図である。 眼科装置において駆動機構を介して一対の測定ヘッドが移動可能とされた構成を模式的に示す説明図である。 眼科装置の眼情報取得部の概略的な構成を示す説明図である。 眼科装置の制御系の構成を示すブロック図である。 眼情報取得部の光学系の構成を示す説明図である。 呈示位置と合焦距離と回旋角との関係を示す説明図である。 融像を刺激しない固視画像の一例としての、左の被検眼に呈示する固視画像と、右の被検眼に呈示する固視画像と、を左右に並べて示す説明図である。 融像を刺激しない一例としての固視画像を用いた場合において、左右の固視画像を適切に両眼視した様子を上方に示し、左右の固視画像を適切には両眼視できない様子を下方に示す説明図である。 融像を刺激する固視画像の一例としての、左の被検眼に呈示する固視画像と、右の被検眼に呈示する固視画像と、を左右に並べて示す説明図である。 融像を刺激する一例としての固視画像を用いた場合において、左右の固視画像が融像された様子を示す説明図である。 基準面上から変位面上へと呈示位置を変化させて調節量を求める様子を示す説明図である。 眼科装置の制御部で実行される測定制御処理(測定制御方法)を示すフローチャートである。
以下に、本開示に係る眼科装置の一実施形態としての眼科装置10の実施例1について図1から図12を参照しつつ説明する。なお、図5、図6および図11は、それぞれが示す構成や内容の理解を容易とするために、偏向部材26を省略して示している。また、図6および図11は、呈示位置と合焦距離と回旋角との関係の理解を容易とするために、正面視して、呈示位置Ppを示す縦方向での縮尺と、瞳孔間距離PDを示す横方向での縮尺と、を異なるものとしている。
眼科装置10は、図1に示すように、床面に設置された基台11と、検眼用テーブル12と、支柱13と、支持部としてのアーム14と、駆動機構15と、一対の測定ヘッド16と、を備える。この眼科装置10は、検眼用テーブル12と正対する被検者が、両測定ヘッド16の間に設けられた額当部17に額を当てた状態で、被検者の被検眼E(図3等参照)の情報を取得する。以下では、被検者から見て、左右方向をX方向とし、上下方向(鉛直方向)をY方向とし、X方向およびY方向と直交する方向(測定ヘッド16の奥行き方向(被検者側を手前側とする))をZ方向とする。
検眼用テーブル12は、後述する検者用コントローラ31や被検者用コントローラ32(図4参照)を置いたり検眼に用いるものを置いたりするための机であり、基台11により支持されている。検眼用テーブル12は、Y方向での位置(高さ位置)を調節可能に基台11に支持されていてもよい。
支柱13は、検眼用テーブル12の後端部からY方向に起立しており、上部にアーム14が設けられる。アーム14は、検眼用テーブル12上で駆動機構15を介して一対の測定ヘッド16を吊り下げるもので、支柱13から手前側へとZ方向に伸びている。アーム14は、支柱13に対してY方向に移動可能とされ、後述するアーム駆動機構34(図4参照)によりY方向での位置(高さ位置)が調節される。なお、アーム14は、支柱13に対してX方向およびZ方向に移動可能とされていてもよい。このアーム14の先端には、駆動機構15により吊り下げられて両測定ヘッド16が支持されている。
測定ヘッド16は、被検者の左右の被検眼Eに個別に対応すべく対を為して設けられ、以下では個別に述べる際には、被験者の左側の被検眼Eの情報を取得するものを左眼用測定ヘッド16Lとし、被験者の右側の被検眼Eの情報を取得するものを右眼用測定ヘッド16Rとする。左眼用測定ヘッド16Lと右眼用測定ヘッド16Rとは、X方向で双方の中間に位置する鉛直面に関して面対称な構成とされている。
各測定ヘッド16には、被検眼Eの眼情報を取得する眼情報取得部21(個別に述べる際には右眼情報取得部21Rおよび左眼情報取得部21Lとする(図2参照))が収容されている。その眼情報は、被検眼Eの屈折力を必ず含むものであって、他には、被検眼Eの画像や、被検眼Eの眼底Ef(図5参照)の画像や、被検眼Eの網膜の断層画像や、被検眼Eの角膜内皮画像や、被検眼Eの角膜形状や、被検眼Eの眼圧等が適宜組み合わされる。各眼情報取得部21は、視標を呈示する視標呈示機構を必ず含む。各眼情報取得部21は、他には、屈折力を測定する屈折力測定機構(実施例1ではレフラクトメータ)、呈示する視標を切り替えつつ視力検査を行う視力検査装置、矯正用レンズを切り換えて配置させて被検眼Eの適切な矯正屈折力を取得するフォロプタ、屈折力を測定する波面センサ、眼底の画像を撮影する眼底カメラ、網膜の断層画像を撮影する断層撮影装置(OCT(Optical Coherence Tomography))、角膜内皮画像を撮影するスペキュラマイクロスコープ、角膜形状を測定するケラトメータ、眼圧を測定するトノメータ等が適宜組み合わされて構成される。
両測定ヘッド16は、図2に示すように、アーム14の先端に設けられた取付ベース部18を介して駆動機構15により移動可能に吊り下げられている。駆動機構15は、実施例1では、左眼用測定ヘッド16Lに対応する左鉛直駆動部22Lと左水平駆動部23Lと左Y軸回旋駆動部24Lと左X軸回旋駆動部25Lと、右眼用測定ヘッド16Rに対応する右鉛直駆動部22Rと右水平駆動部23Rと右Y軸回旋駆動部24Rと右X軸回旋駆動部25Rと、を有する。この左眼用測定ヘッド16Lに対応する各駆動部の構成と、右眼用測定ヘッド16Rに対応する各駆動部の構成と、は、X方向で双方の中間に位置する鉛直面に関して面対称な構成とされており、個別に述べる時を除くと単に鉛直駆動部22と水平駆動部23とY軸回旋駆動部24とX軸回旋駆動部25と記す。駆動機構15は、アーム14側から鉛直駆動部22、水平駆動部23、Y軸回旋駆動部24、X軸回旋駆動部25の順に設けられている。
取付ベース部18は、アーム14の先端に固定され、X方向に延びるともに、一方の端部に左側の各駆動部(22L、23L、24L、25L)が吊り下げられ、他方の端部に右側の各駆動部(22R、23R、24R、25R)が吊り下げられている。また、この取付ベース部18の中央部に、額当部17が設けられている。
鉛直駆動部22は、取付ベース部18と水平駆動部23との間に設けられ、取付ベース部18に対して水平駆動部23をY方向(鉛直方向)に移動させる。水平駆動部23は、鉛直駆動部22とY軸回旋駆動部24との間に設けられ、鉛直駆動部22に対してY軸回旋駆動部24をX方向およびZ方向(水平方向)に移動させる。この鉛直駆動部22および水平駆動部23は、例えばパルスモータのような駆動力を発生するアクチュエータと、例えば歯車の組み合わせやラック・アンド・ピニオン等のような駆動力を伝達する伝達機構と、を設けて構成する。水平駆動部23は、例えば、X方向とZ方向とで個別にアクチュエータおよび伝達機構の組み合わせを設けることで、容易に構成できるとともに水平方向の移動の制御を容易なものにできる。
Y軸回旋駆動部24は、水平駆動部23とX軸回旋駆動部25との間に設けられ、水平駆動部23に対してX軸回旋駆動部25を、対応する被検眼Eの眼球回旋点を通りY方向に延びる眼球回旋Y軸を中心に回転させる。X軸回旋駆動部25は、Y軸回旋駆動部24と対応する測定ヘッド16との間に設けられ、Y軸回旋駆動部24に対して対応する測定ヘッド16を、対応する被検眼Eの眼球回旋点を通りX方向に延びる眼球回旋X軸を中心に回転させる。このY軸回旋駆動部24およびX軸回旋駆動部25は、例えば、鉛直駆動部22や水平駆動部23と同様にアクチュエータと伝達機構とを有するものとし、アクチュエータからの駆動力を受けた伝達機構が円弧状の案内溝に沿って移動する構成とする。Y軸回旋駆動部24は、案内溝の中心位置が眼球回旋Y軸と一致されることで、被検眼Eの眼球回旋Y軸を中心に測定ヘッド16を回転させることができる。また、X軸回旋駆動部25は、案内溝の中心位置が眼球回旋X軸と一致されることで、被検眼Eの眼球回旋X軸を中心に測定ヘッド16を回転させることができる。よって、測定ヘッド16は、Y軸回旋駆動部24およびX軸回旋駆動部25の各々の案内溝の中心位置が被検眼Eの眼球回旋点と一致されることで、被検眼Eの眼球回旋点を中心に左右方向(Y方向を中心とする回転方向)および上下方向(X方向を中心とする回転方向)に回転可能とされている。
なお、Y軸回旋駆動部24は、自らに設けたY軸回転軸線回りに回転可能に測定ヘッド16を支持するとともに水平駆動部23と協働してX軸回旋駆動部25を介して測定ヘッド16を支持する位置を変更しつつ回転させることで、被検眼Eの眼球回旋Y軸を中心に測定ヘッド16を回転させるものでもよい。また、X軸回旋駆動部25は、自らに設けたX軸回転軸線回りに回転可能に測定ヘッド16を支持するとともに鉛直駆動部22と協働して測定ヘッド16を支持する位置を変更しつつ回転させることで、被検眼Eの眼球回旋X軸を中心に測定ヘッド16を回転させるものでもよい。
以上の構成により、駆動機構15は、各測定ヘッド16を個別にまたは連動させて、X方向、Y方向およびZ方向に移動させることができるとともに、それぞれが対応する被検眼Eの眼球回旋点を中心に上下左右に回転させることができ、各測定ヘッド16を対応する被検眼Eの回旋に対応する位置(姿勢)に移動させることができる。駆動機構15は、各測定ヘッド16の位置を調整することで、対応する被検眼Eを開散(開散運動)させたり輻輳(輻輳運動)させたりすることができる。これにより、眼科装置10では、開散運動および輻輳運動のテストを行うことや、両眼視の状態で遠用検査や近用検査を行って両被検眼Eの各種特性を測定できる。
各測定ヘッド16では、偏向部材26が設けられ、偏向部材26を通じて眼情報取得部21により対応する被検眼Eの情報が取得される。眼科装置10は、図3に示すように、各偏向部材26が被験者の左右の被検眼Eにそれぞれ対応する位置となるように各測定ヘッド16の位置を調整することで、被検者が左右の両眼を開放した状態(両眼視の状態)で、被検眼Eの情報を両眼同時に取得できる。また、眼科装置10は、X軸回旋駆動部25により眼球回旋X軸を中心に各測定ヘッド16の回転姿勢を変化させることで、対応する被検眼Eを下方視や上方視させた状態で被検眼Eの情報を取得できる。そして、眼科装置10は、Y軸回旋駆動部24により眼球回旋Y軸を中心に各測定ヘッド16の回転姿勢を変化させることで、対応する被検眼Eを左右視させた状態で被検眼Eの情報を取得できる。
また、各測定ヘッド16は、対応する被検眼Eの眼球回旋Y軸を中心に左右対称に同時に回転姿勢を変化させることで、対応する被検眼Eが両眼視の状態で開散や輻輳により変化する視軸(視線方向)に合わせて眼情報取得部21の光学系の光軸Lの向きを変化させることができる。図3の上側は、両被検眼Eから各偏向部材26に至るまでの光軸Lが平行となるように、両眼情報取得部21の回転姿勢が調節されている状態を示す。この図3の上側の状態では、各眼情報取得部21が対応する被検眼Eに後述するように固視画像Sf等を呈示すると、被検者を両眼視の状態で無限遠を見ている状態と同様の視軸とすることができる。また、図3の下側は、両被検眼Eから各偏向部材26に至るまでの光軸Lが、それぞれ延長させた先が所定位置Pに向かうように、両眼情報取得部21の回転姿勢が調節されている状態を示す。この図3の下側の状態では、各眼情報取得部21が対応する被検眼Eに固視画像Sf等を呈示すると、被検者を両眼視の状態で所定位置Pを見ている状態と同様の視軸とすることができる。このように、眼科装置10は、各測定ヘッド16の回転姿勢を左右対称に同時に変化させることで、輻輳または開散させるように両被検眼Eの視軸を変化させた位置に固視画像Sfを呈示できる。
基台11には、眼科装置10の各部を統括的に制御する制御部27が、制御ボックスに収納されて設けられる(図1参照)。制御部27は、図4に示すように、上記した各眼情報取得部21と、駆動機構15としての各鉛直駆動部22、各水平駆動部23、各Y軸回旋駆動部24および各X軸回旋駆動部25に加えて、検者用コントローラ31と被検者用コントローラ32と記憶部33とアーム駆動機構34と、が接続されている。眼科装置10は、ケーブル28(図1、図2参照)を介して商用電源から制御部27に電力が供給され、制御部27が駆動機構15および両測定ヘッド16(両眼情報取得部21)に電力を供給する。制御部27は、駆動機構15や両測定ヘッド16(両眼情報取得部21)と情報の遣り取りが可能とされ、それらの動作を制御するとともにそれらから適宜情報を取得する。
検者用コントローラ31は、検者が眼科装置10を操作するために用いられ、制御部27と近距離無線通信によって、互いに通信可能に接続されている。なお、検者用コントローラ31は、制御部27と有線または無線の通信路を介して接続されていればよく、実施例1の構成に限定されない。実施例1の検者用コントローラ31は、タブレット端末、スマートフォンなどの携帯端末(情報処理装置)が用いられている。なお、検者用コントローラ31は、携帯端末に限定されることはなく、ノート型パーソナルコンピュータ、デスクトップ型パーソナルコンピュータ等でもよく、眼科装置10に固定されて構成されていてもよく、実施例1の構成に限定されない。
検者用コントローラ31は、液晶モニタからなる表示部35を備える。この表示部35は、画像等が表示される表示面35a(図1等参照)と、そこに重畳して配置されたタッチパネル式の入力部35bと、を有する。検者用コントローラ31は、制御部27の制御下で、後述する観察系41に設けられた撮像素子41gからの画像信号に基づく前眼部画像I(図5参照)や後述する測定リング像や眼底画像等を、適宜表示面35aに表示させる。また、検者用コントローラ31は、制御部27の制御下で入力部35b表示され、そこに入力されたアライメントの指示や測定の指示等の操作情報を制御部27に出力する。
被検者用コントローラ32は、被検眼Eの各種の眼情報の取得の際に、被検者が応答するために用いられ、有線または無線の通信路を介して制御部27と接続されている。被検者用コントローラ32は、例えばキーボード、マウス、ジョイスティック等の入力装置とされる。
制御部27は、接続された記憶部33または内蔵する内部メモリ27aに記憶したプログラムを例えばRAM(Random Access Memory)上に展開することにより、適宜検者用コントローラ31や被検者用コントローラ32に対する操作に応じて、眼科装置10の動作を統括的に制御する。実施例1では、内部メモリ27aは、RAM等で構成され、記憶部33は、ROM(Read Only Memory)やEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等で構成される。眼科装置10では、上記した構成の他に、測定完了信号や測定者からの指示に応じて測定結果を印字するプリンタや、測定結果を外部メモリやサーバーに出力する出力部が適宜設けられる。
次に、眼情報取得部21の一例としての光学的な構成を、図5を用いて説明する。上述したように、右眼情報取得部21Rおよび左眼情報取得部21Lの構成は、基本的に同一であるので、単に眼情報取得部21として説明する。
眼情報取得部21の光学系は、図5に示すように、観察系41と視標投影系42と眼屈折力測定系43とZアライメント系44とXYアライメント系45とケラト系46とを有する。観察系41は、被検眼Eの前眼部を観察し、視標投影系42は、被検眼Eに視標を呈示し、眼屈折力測定系43は、被検眼Eの眼屈折力(屈折特性)の測定を行う。Zアライメント系44およびXYアライメント系45は、被検眼Eに対する光学系の位置合わせ(アライメント)を行うために設けられている。Zアライメント系44は、観察系41の光軸Lに沿う前後方向(Z方向)のアライメント情報を生成し、XYアライメント系45は、光軸Lに直交する上下左右方向(Y方向、X方向)のアライメント情報を生成する。ケラト系46は、角膜形状の測定を行う。
観察系41は、対物レンズ41aとダイクロイックフィルタ41bとハーフミラー41cとリレーレンズ41dとダイクロイックフィルタ41eと結像レンズ41fと撮像素子41gとを有する。観察系41は、被検眼E(前眼部)で反射された光束を、対物レンズ41aを経て結像レンズ41fにより撮像素子41g(その受光面)上に結像する。このため、撮像素子41gは、後述するケラトリング光束やアライメント光源44aの光束やアライメント光源45aの光束(輝点像Br)が投光(投影)された前眼部画像Iを検出(受像)する。制御部27は、撮像素子41gから出力される画像信号に基づく前眼部画像I等を表示部35の表示面35aに表示させる。この対物レンズ41aの前方にケラト系46を設けている。
ケラト系46は、ケラト板46aとケラトリング光源46bとを有する。ケラト板46aは、観察系41の光軸Lに関して同心状のスリットが設けられた板状とされ、対物レンズ41aの近傍に設けられる。ケラトリング光源46bは、ケラト板46aのスリットに合わせて設けられる。このケラト系46は、点灯したケラトリング光源46bからの光束がケラト板46aのスリットを経ることで、被検眼E(その角膜Ec)に角膜形状の測定のためのケラトリング光束(角膜曲率測定用リング状視標)を投光(投影)する。ケラトリング光束は、被検眼Eの角膜Ecで反射されることで、観察系41により撮像素子41g上に結像され、撮像素子41gがリング状のケラトリング光束の像(画像)を検出(受像)する。制御部27は、撮像素子41gからの画像信号に基づいて、その測定パターンの像を表示面35aに表示させるとともに、角膜形状(曲率半径)を周知の手法により測定するケラト測定を行う。なお、実施例1では、角膜形状を測定する角膜形状測定系として、リングスリットが1重から3重程度で角膜の中心付近の曲率測定を行うケラト板46aを用いる例(ケラト系46)を示しているが、多重のリングを有し角膜全面の形状を測定可能なプラチド板を用いるものでもよく、他の構成でもよく、実施例1の構成に限定されない。このケラト系46(ケラト板46a)の後方にZアライメント系44を設けている。
Zアライメント系44は、一対のアライメント光源44aと投影レンズ44bとを有し、各アライメント光源44aからの光束を各投影レンズ44bで平行光束とし、ケラト板46aに設けたアライメント用孔を通して被検眼Eの角膜Ecに当該平行光束を投光(投影)する。この平行光束は、角膜Ecに投影された輝点(輝点像)のアライメント情報として検出される。これにより、Z方向のアライメントのための視標が被検眼Eの角膜Ecに投影される。この視標は、角膜表面反射による虚像(プルキンエ像)として検出される。制御部27は、撮像素子41g上のアライメント光源44aによる2個の輝点像の間隔とケラトリング像の直径との比が所定範囲内となるように、水平駆動部23により測定ヘッド16を前後方向(Z方向)に移動させることで、眼情報取得部21の光学系の光軸Lに沿う前後方向(Z方向)のアライメントを行う。ここで、制御部27は、その比率からアライメントのずれ量を求めて、このアライメントのずれ量を表示面35aに表示させてもよい。なお、前後方向のアライメントは、後述するアライメント光源45aによる輝点像のピントが合うように右眼用測定ヘッド16Rの位置を調整することで行ってもよい。また、Zアライメント系44による視標を用いたアライメントは、X方向およびY方向へのアライメントを含んでもよい。
観察系41には、XYアライメント系45が設けられている。XYアライメント系45は、アライメント光源45aと投影レンズ45bとを有し、ハーフミラー41c、ダイクロイックフィルタ41bおよび対物レンズ41aを観察系41と共用する。XYアライメント系45は、アライメント光源45aからの光束を、対物レンズ41aを経て平行光束として光軸L上で角膜Ecに投光する。この平行光束は、角膜表面反射による虚像(プルキンエ像)を描出し、この虚像である輝点像Brが観察系41(その撮像素子41g)により検出される。この輝点(輝点像Br)は、角膜頂点と、角膜Ecの曲率中心と、の略中間位置に形成される。制御部27は、輝点(輝点像Br)に基づき、鉛直駆動部22および水平駆動部23を駆動して、測定ヘッド16を左右方向(X方向)、上下方向(Y方向)に移動させることで、上下左右方向(光軸Lに直交する方向)のアライメントを行う。このとき、制御部27は、輝点像が形成された前眼部画像Iに加えて、アライメントの目安となるアライメントマークALを表示面35aに表示させる。また、制御部27は、アライメントが完了すると測定を開始するように制御する構成としてもよい。アライメント光源45aは、XYアライメント系45によるアライメント動作中に、このアライメント光源45aを被検者が視認することを抑止するために、赤外光(例えば940nm)を発光する発光ダイオードとしている。
視標投影系42は、被検眼Eを固視、雲霧させる為に視標を投影して、その視標を眼底Efに呈示する。視標投影系42は、ディスプレイ42aとロータリープリズム42b、42cと結像レンズ42dと移動レンズ42eとリレーレンズ42fとフィールドレンズ42gとミラー42hとダイクロイックフィルタ42iとを有し、ダイクロイックフィルタ41bおよび対物レンズ41aを観察系41と共用する。ディスプレイ42aは、被検眼Eの視線を固定する視標としての固視標や点状視標を呈示したり、被検眼Eの特性(視力値や矯正度数(遠用度数、近用度数)等)を自覚的に検査するための自覚検査視標を呈示したり、後述する輻輳調節測定工程や輻輳限界測定工程のための固視画像Sf(図7、図9等参照)を呈示したりする。ディスプレイ42aは、EL(エレクトロルミネッセンス)や液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display(LCD))を用いることができ、制御部27の制御下で任意の画像を表示する。ディスプレイ42aは、視標投影系42の光路上において被検眼Eの眼底Efと共役となる位置に光軸に沿って移動可能に設けられる。
ロータリープリズム42b、42cは、斜位検査においてプリズム度数およびプリズム基底方向を調整するために用いられ、パルスモータ等の駆動によってそれぞれ独立に回転される。ロータリープリズム42b、42cは、互いに逆方向に回転されるとプリズム度数が連続的に変更され、同じ方向に一体的に回転されるとプリズム基底方向が連続的に変更される。移動レンズ42eは、駆動モータにより光軸に沿って進退駆動される。視標投影系42は、移動レンズ42eを被検眼E側に移動させることで、屈折力をマイナス側に変位させることができるとともに、移動レンズ42eを被検眼Eから離反する方向に移動させることで、屈折力をプラス側に変位させることができる。これにより、視標投影系42は、移動レンズ42eの進退駆動により、ディスプレイ42aに表示された視標の呈示距離を変更可能、すなわち視標像の呈示位置を変更可能であるとともに、被検眼Eを固視、雲霧させることができる。このため、視標投影系42は、被検眼Eに対して、固視のための指標や自覚検査のための指標を、任意の呈示距離で呈示できる。
眼屈折力測定系43は、被検眼Eの眼底Efに測定光束を投影し、眼底Efで反射された測定光束(その反射光束)を後述する測定リング像として取得することで、被検眼Eの眼屈折力の測定を可能とする。実施例1の眼屈折力測定系43は、被検眼Eの眼底Efにリング状の測定パターンを投影するリング状光束投影系43Aと、眼底Efからのリング状の測定パターンの反射光を検出(受像)するリング状光束受光系43Bと、を有する。なお、眼屈折力測定系43は、上記した構成としているが、被検眼Eの眼底Efに測定光束を投影し、眼底Efで反射された測定光束を測定リング像として取得するものであれば、他の構成でもよく、実施例1の構成に限定されない。この他の構成の一例としては、測定光束として点状のスポット光を眼底Efに投影し、眼底Efで反射された測定光束(その反射光束)をリング状のスリットやレンズを通すことでリング状の光束として、測定リング像を取得するものがあげられる。
リング状光束投影系43Aは、レフ光源ユニット部43aとリレーレンズ43bと瞳リング絞り43cとフィールドレンズ43dと穴開きプリズム43eとロータリープリズム43fとを有し、ダイクロイックフィルタ42iを視標投影系42と共用し、ダイクロイックフィルタ41bおよび対物レンズ41aを観察系41と共用する。レフ光源ユニット部43aは、例えばLEDを用いたレフ測定用のレフ測定光源43gとコリメータレンズ43hと円錐プリズム43iとリングパターン形成板43jとを有し、それらが制御部27の制御下で眼屈折力測定系43の光軸上を一体的に移動可能となっている。
リング状光束受光系43Bは、穴開きプリズム43eの穴部43pとフィールドレンズ43qと反射ミラー43rとリレーレンズ43sと合焦レンズ43tと反射ミラー43uとを有し、対物レンズ41a、ダイクロイックフィルタ41b、ダイクロイックフィルタ41e、結像レンズ41fおよび撮像素子41gを観察系41と共用し、ダイクロイックフィルタ42iを視標投影系42と共用し、ロータリープリズム43fおよび穴開きプリズム43eをリング状光束投影系43Aと共用する。
眼屈折力測定系43は、眼屈折力測定モードにおいて、制御部27の制御下で、次のように動作されて被検眼Eの眼屈折力を測定する。先ず、リング状光束投影系43Aのレフ測定光源43gが点灯され、かつリング状光束投影系43Aのレフ光源ユニット部43aとリング状光束受光系43Bの合焦レンズ43tとが光軸方向に移動される。リング状光束投影系43Aでは、レフ光源ユニット部43aがリング状の測定パターンを出射し、その測定パターンをリレーレンズ43b、瞳リング絞り43cおよびフィールドレンズ43dを経て穴開きプリズム43eに進行させ、その反射面43vで反射し、ロータリープリズム43fを経てダイクロイックフィルタ42iに導く。リング状光束投影系43Aでは、その測定パターンをダイクロイックフィルタ42iおよびダイクロイックフィルタ41bを経て対物レンズ41aに導くことで、被検眼Eの眼底Efにリング状の測定パターンを投影する。
リング状光束受光系43Bでは、眼底Efに形成されたリング状の測定パターンを対物レンズ41aで集光し、ダイクロイックフィルタ41b、ダイクロイックフィルタ42iおよびロータリープリズム43fを経て穴開きプリズム43eの穴部43pに進行させる。リング状光束受光系43Bでは、その測定パターンをフィールドレンズ43q、反射ミラー43r、リレーレンズ43s、合焦レンズ43t、反射ミラー43u、ダイクロイックフィルタ41eおよび結像レンズ41fを経ることで、撮像素子41gに結像させる。これにより、撮像素子41gがリング状の測定パターンの像(以下では測定リング像ともいう)を検出し、その測定リング像が表示部35の表示面35aに適宜表示される。制御部27は、その測定リング像(撮像素子41gからの画像信号)に基づいて、眼屈折力としての球面度数S、円柱度数C(乱視度数)、軸角度Ax(乱視軸角度)を周知の手法により算出する。制御部27は、算出した眼屈折力を適宜表示面35aに表示させる。
また、眼屈折力測定モードでは、制御部27は、視標投影系42においてディスプレイ42aに固定固視標を表示させる。ディスプレイ42aからの光束は、ロータリープリズム42b、42c、結像レンズ42d、移動レンズ42e、リレーレンズ42f、フィールドレンズ42g、ミラー42h、ダイクロイックフィルタ42i、ダイクロイックフィルタ41b、対物レンズ41aを経て、被検眼Eの眼底Efに投光(投影)する。検者または制御部27は、呈示した固定固視標を被検者に固視させた状態でアライメントを行い、眼屈折力(レフ)の仮測定の結果に基づいて被検眼Eの遠点に移動レンズ42eを移動させた後に、ピントが合わない位置に移動レンズ42eを移動させて雲霧状態とする。これにより、被検眼Eは、調節休止状態(水晶体の調節除去状態)となり、その調節休止状態で眼屈折力が測定される。
なお、眼屈折力測定系43、Zアライメント系44、XYアライメント系45およびケラト系46等の構成や、眼屈折力(レフ)、自覚検査および角膜形状(ケラト)の測定原理等は、公知であるので、詳細な説明は省略する。
眼科装置10は、制御部27の制御下で、オートアライメント(自動による位置合わせ)を行いつつ眼情報取得部21を用いて被検眼Eの眼情報を取得する。詳細には、制御部27は、Zアライメント系44、XYアライメント系45からのアライメント情報に基づいて、眼情報取得部21(その光学系)の光軸Lを被検眼Eの軸に合わせつつ被検眼Eに対する眼情報取得部21の距離が所定の作動距離になる移動量(アライメント情報)を算出する。ここで、作動距離とは、ワーキングディスタンスとも呼ばれる既定値であり、眼情報取得部21を用いて特性を適切に測定するための眼情報取得部21と被検眼Eとの間の距離である。制御部27は、移動量に応じて駆動機構15を駆動して被検眼Eに対して眼情報取得部21を移動させることで、対応する被検眼Eに対する眼情報取得部21(測定ヘッド16)のXYZ方向のアライメントを行う。
その後、制御部27は、適宜眼情報取得部21を駆動して、被検眼Eの各種の眼情報を取得させる。眼科装置10では、手動すなわち検者が検者用コントローラ31を操作することで、被検眼Eに対して眼情報取得部21をアライメントし、眼屈折力測定系43を駆動して被検眼Eの各種の眼情報を取得することもできる。眼科装置10では、被検眼Eの各種の眼情報を取得する際、被検者が被検者用コントローラ32を操作することで応答することができ、被検眼Eの各種の眼情報の取得を補助する。このXYZ方向のアライメントにより、各測定ヘッド16は、Y軸回旋駆動部24およびX軸回旋駆動部25の各々の案内溝の中心位置が被検眼Eの眼球回旋点と一致され、眼球回旋点を中心に左右方向(Y方向を中心とする回転方向)および上下方向(X方向を中心とする回転方向)に回転可能とされる。そして、制御部27は、XYZ方向のアライメントが行われた各測定ヘッド16の位置に基づいて、各被検眼Eの眼球回旋点の3次元位置を取得できる。
眼科装置10は、制御部27において、輻輳と調節との関係を求める輻輳調節測定工程(輻輳調節測定モード)や輻輳限界測定工程(輻輳限界測定モード)を行うことが可能とされている。ここで、被検眼では、輻輳させるすなわち両眼視する距離を近付けるとその距離の変化に合わせて調節も変化し、逆に調節を変化させるとそれに合わせて輻輳させる等のように、輻輳と調節との双方が同時に行われることが知られており、この関係が適切であると、適切に両眼視できる。眼科装置10は、輻輳と調節との関係を求める際、固視画像Sfの呈示位置Ppに適合させて眼情報取得部21における合焦距離Dfと回旋角αとを設定した状態を基準状態Sbとする(図6等参照)。この基準状態Sbは、適切に輻輳および調節することのできる被検眼(所謂正常眼)が、呈示位置Ppに呈示した固視画像Sfを両眼視する状態となる。
そして、輻輳調節測定工程は、正常眼が呈示位置Ppに呈示した固視画像Sfを適切に両眼視するように輻輳および調節が設定された基準状態Sbからの輻輳の変化量(以下では輻輳量Cともいう)と調節の変化量(以下では調節量Aともいう)との少なくとも一方を求める。輻輳限界測定工程は、所定の呈示位置Ppにおける基準状態Sbで固視画像Sfを呈示し、その呈示位置Ppを近方へと変化させることで、所定の呈示位置Ppでの調節に対して融像できる限界位置すなわち所定の呈示位置Ppでの調節に対する輻輳の限界位置を求める。このように、輻輳調節測定工程および輻輳限界測定工程は、共に被検眼Eにおける輻輳と調節との関係を求めることとなる。
ここで、眼科装置10は、輻輳調節測定工程および輻輳限界測定工程において、基準状態Sbで呈示した固視画像Sfを被検者に両眼視させて測定を行うこととなるが、この際に固視画像Sfがはっきりと見えることを前提としている。このため、眼科装置10は、被検者が眼鏡やコンタクトレンズを使用したり、矯正レンズ(例えば各眼情報取得部21に設けたフォロプタ)を用いたりした状態で、両眼視させて輻輳調節測定工程や輻輳限界測定工程を行う。
制御部27は、図4に示すように、輻輳調節測定工程(輻輳調節測定モード)のために、測定設定部27bと輻輳取得部27cと調節取得部27dと報知設定部27eとを有する。また、制御部27は、輻輳限界測定工程(輻輳限界測定モード)のために、上記した測定設定部27bに加えて、融像限界測定部27fを有する。
測定設定部27bは、輻輳量Cと調節量Aとの測定のための設定を行うものであり、眼科装置10の各部を適宜駆動することで、図6に示すように、呈示位置Ppに応じた基準状態Sbとする。その呈示位置Ppは、輻輳量Cと調節量Aとの測定のために固視画像Sfを呈示する位置を示すもので、任意の距離とすることができる。呈示位置Ppは、実施例1では、輻輳量Cの測定のために、所定の遠方位置(遠点(呈示位置Pp1))と所定の近方位置(近点(呈示位置Pp2))との2つに設定されており、一例として、遠点を5mとしかつ近点を0.3mとしている。また、呈示位置Ppは、実施例1では、調節量Aの測定のために、基準面Pb上の呈示位置Pp1と変位面Pd上の呈示位置Pp3との2つに設定されており、一例として、呈示位置Pp1(基準面Pb)を5mとしかつ呈示位置Pp3(変位面Pd)を4mとしている(図11参照)。
基準状態Sbは、両被検眼Eから呈示位置Ppまでの間隔となる呈示距離Dpに合わせて、視標投影系42を有する眼情報取得部21(両測定ヘッド16)の回旋角αと、視標投影系42における固視画像Sfの合焦距離Dfと、を設定した状態である。その回旋角αは、視標投影系42(眼情報取得部21)の光軸Lの方向(被検眼Eから各偏向部材26に至るまでの光軸Lの方向)の、無限遠に固視画像Sfを表示する状態(互いに平行な状態)を基準とした角度である。その光軸Lの方向は、上述したように両測定ヘッド16を対応する被検眼Eの眼球回旋点を中心に回転させることで調整できる。このため、回旋角αが0(零)度であると、両光軸Lの方向が平行となり、被検眼Eの視軸が無限遠とされていることとなる。回旋角αは、両被検眼Eの間隔となる瞳孔間距離PDと、両被検眼Eから呈示位置Ppまでの間隔となる呈示距離Dpと、から求めることができる。すなわち、回旋角αは、tan-1(PD/2Dp)で求めることができる。その瞳孔間距離PDは、前眼部画像Iやアライメントの位置から求めてもよく、一般的な値(例えば、64mm)を用いてもよく、実施例1では64mmを用いる。
合焦距離Dfは、表示する固視画像Sfのピントを呈示位置Ppに合わせた状態とするもので、各被検眼Eから呈示位置Ppまでの距離で示すことができる。この合焦距離Dfは、両被検眼Eの中心位置から呈示位置Ppまでの間隔となる呈示距離Dpと、上記した回旋角αと、から求めることができる。すなわち、合焦距離Dfは、Dp/cosαで求めることができる。この合焦距離Dfは、視標投影系42における移動レンズ42eを移動させることで調整できる。
ここで、遠点(呈示位置Pp1)の5m(5000mm)の場合、回旋角α1が0.3667度となり、合焦距離Df1が5000.1024mmとなる。また、近点(呈示位置Pp2)の0.3m(300mm)の場合、回旋角α2が6.0885度となり、合焦距離Df2が301.7018mmとなる。なお、この有効桁数は、理解を容易とするために一例として記載したもので、適宜設定すればよい。
測定設定部27bは、呈示位置Ppに対応させて、両測定ヘッド16を対応する被検眼Eの眼球回旋点を中心に回転させて被検眼Eに呈示する視標投影系42(眼情報取得部21)の回旋角αを設定するとともに、視標投影系42における移動レンズ42eを移動させて合焦距離Dfを設定する。これにより、測定設定部27bは、呈示位置Ppに表示した固視画像Sfを適切に両眼視する基準状態Sbとすることができ、その基準状態Sbで左右の被検眼Eのそれぞれに固視画像Sfを呈示させることができる。
このとき、輻輳調節測定工程において輻輳量Cを測定するときは、適切に両眼視できているか否かの確認を可能とする固視画像Sfを、左右の被検眼Eに呈示する。その固視画像Sfは、基本的に、融像を刺激しにくい図柄とする。これは、融像してしまうと適切に両眼視できているか否かの確認が困難であることによる。その融像を刺激しにくい図柄とは、左右の被検眼Eに呈示する固視画像Sfにおいて、共通の箇所がない、もしくは共通の箇所ができる限り少ないものがあげられる。また、融像を刺激しにくい図柄は、左右の被検眼Eに呈示する固視画像Sfにおいて、位置や明るさや大きさ等を互いに異なるものとすることもあげられる。これは、左右の被検眼Eに呈示した双方の図柄が共通のものであると、その共通の図柄を重ね合わせようとして融像が刺激されることによる。
また、固視画像Sfは、より好適には、左右の被検眼で見ている位置が互いに等しいか否かの確認を可能とする図柄とする。これは、後述するように、輻輳量Cの測定の際に、左右の被検眼で見ている位置が互いに等しいか否かを、被検者が判断する場合があることによる。ここで、適切に両眼視できている場合、左右の各被検眼Eの視軸(視線方向)が、呈示位置Ppを通ることとなり、左右の被検眼Eに呈示した2つの固視画像Sfの見えている位置が一致することとなる。このため、左右の被検眼で見ている位置が互いに等しいか否かの確認を可能とする図柄とは、2つの固視画像Sfの見えている位置が一致しているか否かの確認を可能とするものがあげられる。そして、この一致は、融像によるものであることを回避する必要がある。
これらのことを鑑みて、実施例1では、図7に示すように、左の被検眼Eに呈示する固視画像Sf1と、右の被検眼Eに呈示する固視画像Sf2と、を設定している。この固視画像Sf1は、真っ白な背景の中に、図7を正面視して左右方向の中央位置であって上下方向の下半分で上下方向に伸びる棒状の図柄M1が描かれている。固視画像Sf2は、真っ白な背景の中に、図7を正面視して、左右方向の中央位置であって上下方向の上半分で上下方向に伸びる棒状の図柄M2が描かれている。その図柄M2は、固視画像Sf1の図柄M1と等しい太さとされている。なお、この上下は、固視画像Sf1と固視画像Sf2とで、図柄M1と図柄M2との位置が逆の関係であってもよい。また、固視画像Sf1と固視画像Sf2とは、融像を刺激し難いものであれば、背景の色や模様や描かれる図柄は適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。さらに、図柄M1と図柄M2とは、それぞれにおいて複数の文字や図形を縦に並べて構成してもよく、実施例1の構成に限定されない。
輻輳取得部27cは、測定設定部27bが設定した基準状態Sbで呈示した固視画像Sfを用いて、その呈示位置Ppにおける輻輳量Cを求める。先ず、測定設定部27bにより基準状態Sbで呈示した固視画像Sfが、どのように見えているのかを、被検者に問う。このとき、輻輳取得部27cは、被検者による被検者用コントローラ32の操作、または被検者から見え方を聞いた検者による検者用コントローラ31の操作に応じて、どのように見えているのかの情報(見え方の情報)を取得する。このように、輻輳量Cを求める最初の段階は、被検者が見え方を確認しつつ行うものであり、いわゆる自覚測定となる。
ここで、適切に両眼視できている場合、図8の上側に示すように、固視画像Sf1と固視画像Sf2との全体が重なって、正面視して左右方向の中央位置でぼやけることなく図柄M1と図柄M2とが上下方向に一直線に並んで見える。すなわち、両眼視の際に、右の被検眼Eが呈示位置Ppに対して適切に調節および輻輳していると、図柄M1がぼやけることなく左右方向の中央位置の下側にあるように見える。また、両眼視の際に、左の被検眼Eが呈示位置Ppに対して適切に調節および輻輳していると、図柄M2がぼやけることなく左右方向の中央位置の上側にあるように見える。このため、固視画像Sf1と固視画像Sf2とが重なって、図柄M1と図柄M2とが上下方向に一直線に並んで見える。輻輳取得部27cは、取得した基準状態Sbでの見え方の情報が、このように図柄M1と図柄M2とが上下方向に一直線に並ぶものであった場合、適切に輻輳しているので、基準状態Sbからの輻輳量Cを0(ゼロ)とする。
また、適切に両眼視できていない場合、図8の下側に示すように、固視画像Sf1と固視画像Sf2との全体では重ならず、正面視して固視画像Sf1と固視画像Sf2とが左右方向にずれて見える。すなわち、両眼視の際に、各被検眼Eでは輻輳できていないと、固視画像Sf1または固視画像Sf2が左右方向の中央位置に存在しない。実施例1では、固視画像Sf1および固視画像Sf2を用いているので、左右方向の中央位置に存在しないことを図柄M1または図柄M2の位置で確認することができる。その図8の下側に示す例では、右の被検眼Eが適切に輻輳しているとともに、左の被検眼Eが適切に輻輳できていないことを示しており、固視画像Sf1が左側にずれることで図柄M1が中央から左側にずれて見えているとともに固視画像Sf2がずれることなく図柄M2が中央に見えている。この図8の下側の例では、右の被検眼Eは、適切に輻輳しているので、輻輳量Cは0(ゼロ)となる。これに対して、左の被検眼Eは、固視画像Sf1が中央から左側にずれて見えているので、輻輳量Cは0(ゼロ)とはならない。
輻輳取得部27cは、取得した基準状態Sbでの見え方の情報が、このように2つの固視画像Sf1、Sf2(図柄M1、M2)の少なくとも一方がずれているものであった場合、適切に輻輳してはいないことを把握する。そして、輻輳取得部27cは、上記したように基準状態Sbで互いにずれて見えている2つの固視画像Sf1、Sf2が、適切に両眼視できる状態すなわち両固視画像Sf1、Sf2が全体で重なる状態(図8の上側参照)となるまでの各被検眼における輻輳量Cを適宜求める。ここで、実施例1では、固視画像Sf1および固視画像Sf2を用いているので、全体で重なる状態であるか否かを図柄M1と図柄M2とが上下方向に一直線に並んで見えるか否かで確認することができる。そして、輻輳取得部27cは、基準状態Sbから図柄M1と図柄M2とが一直線に並ぶ状態となるまでの各被検眼における輻輳量Cを求める。この輻輳量Cは、様々な手法で求めることができ、実施例1では4つ手法を例示している。
1つ目の手法は、ディスプレイ42aにおける固視画像Sf1(図柄M1)の表示位置を変化させることで輻輳量Cを求める。この手法では、輻輳取得部27cは、被検者が基準状態Sbでの両眼視を継続した状態(図8の下側参照)において、ディスプレイ42aでの固視画像Sf1を表示させる位置を中央側へとずらしていき、固視画像Sf1が中央に見えるようになった際の表示位置の変位量dを求める。このとき、輻輳取得部27cは、予め定められたプログラムにより表示させる位置をずらしてもよく、検者による検者用コントローラ31の操作に応じて表示させる位置をずらしてもよい。なお、実施例1では、固視画像Sf1および固視画像Sf2を上記のように設定しており、右の被検眼が適切に輻輳できているので、左右方向の中央に位置する図柄M2の真下まで図柄M1が移動して上下方向に一直線に並んで見える状態となるまで、固視画像Sf1の表示位置を変化させる。このとき、輻輳取得部27cは、被検者による被検者用コントローラ32の操作、または被検者から見え方を聞いた検者による検者用コントローラ31の操作に応じて、固視画像Sf1が中央に見えたこと旨を取得する。このため、1つ目の手法は、被検者が見え方を確認しつつ行うものであり、いわゆる自覚測定となる。
実施例1の輻輳取得部27cは、その変位量dからプリズム値Δを求め、このプリズム値Δを輻輳量Cとする。そのプリズム値は、一般に知られているように、1m(100cm)の呈示距離Dpに対して、1cmの幅で変位した状態を1Δ(プリズム)とするものである。そして、プリズム値は、変位量が0.5cmの場合には0.5Δとなり、変位量が2cmの場合には2Δとなり、呈示距離Dpが2mの場合には0.5Δとなり、呈示距離Dpが0.5mの場合には2Δとなる関係性とされている。輻輳取得部27cは、上記した定義に基づき、固視画像Sf1を呈示させた際の呈示距離Dpを用いることで上記の変位量dからプリズム値Δを算出することができ、そのプリズム値Δを輻輳量Cとする。
2つ目の手法は、図3の下側の図に二点鎖線で示すように、左の被検眼Eの手前に屈折部材51を配置することで輻輳量Cを求める。その屈折部材51は、光の進行方向を屈折させるものであって、その屈折量を調節可能とされたものであり、実施例1では、ロータリープリズムとしている。そして、この手法では、被検者が基準状態Sbでの両眼視を継続した状態において、屈折部材51の屈折量を変化させていき、固視画像Sf1が中央に見えるようになった際の屈折量を求める。輻輳取得部27cは、屈折部材51から電気的にもしくは屈折部材51の屈折量を変化させた検者による検者用コントローラ31の操作に応じて、屈折部材51の屈折量の情報を取得する。この屈折量は、上記したプリズム値Δとして表すことができるので、輻輳取得部27cは、1つ目の手法と同様に輻輳量Cを求めることができる。なお、屈折部材51は、視標投影系42におけるロータリープリズム42b、42c(図5参照)を用いてもよい。このため、2つ目の手法は、被検者が見え方を確認しつつ行うものであり、いわゆる自覚測定となる。
3つ目の手法は、視標投影系42(眼情報取得部21(両測定ヘッド16))を回旋させることで輻輳量Cを求める。この手法では、輻輳取得部27cは、被検者が基準状態Sbでの両眼視を継続した状態において、測定ヘッド16を回旋させることで、固視画像Sf1が見える位置を中央側へとずらしていき、被検者が固視画像Sf1が中央に見えるようになった際の回旋角αの変化量を求める。このとき、輻輳取得部27cは、予め定められたプログラムにより測定ヘッド16を回旋させてもよく、検者による検者用コントローラ31の操作に応じて測定ヘッド16を回旋させてもよい。そして、輻輳取得部27cは、測定ヘッド16を回旋させる駆動機構15からの信号を取得することで、回旋角αの変化量を取得する。輻輳取得部27cは、1つ目の手法と同様に、回旋角αの変化量からプリズム値Δを求め、このプリズム値Δを輻輳量Cとする。これらのように、輻輳取得部27cは、所定の呈示位置Ppにおける基準状態Sbからの輻輳量Cを求めることができる。このため、3つ目の手法は、被検者が見え方を確認しつつ行うものであり、いわゆる自覚測定となる。
また、3つ目の手法では、1つ目の手法すなわちディスプレイ42aにおける固視画像Sf1(図柄M1)の表示位置を変化させることと組み合わせるものでもよい。この場合の3つ目の手法は、例えば、ディスプレイ42aにおける固視画像Sf1の調整量がディスプレイ42aの中央から所定の範囲を超える場合には測定ヘッド16の回旋させることがあげられる。この場合の3つ目の手法は、ディスプレイ42aでの表示位置の変化のみを利用する場合と比較して大きな範囲で輻輳量Cを求めることができる。また、この場合の3つ目の手法は、輻輳量Cが大きい場合でも、視標投影系42における光軸Lを中心とする所定の範囲内で固視画像Sf1を呈示することができ、良好な状態で呈示した固視画像Sf1用いて輻輳量Cを求めることができる。
4つ目の手法は、前眼部画像Iから視線方向を求めることで、輻輳量Cを求める。この手法では、被検者が基準状態Sbでの両眼視を継続した状態において、XYアライメント系45で輝点像Brを形成した状態の前眼部画像Iを観察系41で取得する(図5参照)。輻輳取得部27cは、観察系41から前眼部画像Iを取得し、その前眼部画像Iを解析して瞳孔中心位置および輝点像Brの位置を求める。また、輻輳取得部27cは、輝点像Brが角膜頂点から内方へと角膜の曲率半径の半分の位置に形成されることに基づいて、輝点像Brの位置から角膜の曲率中心の三次元位置を求め、曲率中心と瞳孔中心位置とを結ぶ方向を求める。これにより、輻輳取得部27cは、角膜頂点から眼球回旋点までの距離を用いて眼球回旋点の3次元位置を求め、瞳孔中心位置と眼球回旋点(曲率中心)とを結ぶ方向および光軸Lの方向から、視線方向を求める。そして、輻輳取得部27cは、基準状態Sbでの回旋角αと視線方向とから、基準状態Sbに対する視線方向の差分角度を求める。輻輳取得部27cは、この差分角度と固視画像Sf1を呈示させた際の呈示距離Dpとを用いて、1つ目の手法と同様にプリズム値Δを求めて、輻輳量Cとする。このため、4つ目の手法は、被検者の見え方の確認を必要としないものであり、いわゆる他覚測定となる。
なお、4つ目の手法では、求めた視線方向となるように3つ目の手法のように測定ヘッド16を回旋させ、その状態で被検者に固視画像Sf1が中央に見えるか否かを問うものとしてもよい。この場合、測定ヘッド16の回旋を速やかに行うことができ、要する時間を短くできる。この場合の4つ目の手法は、被検者の見え方の確認を必要としないで移動させる他覚測定と、被検者が見え方を確認しつつ行う自覚測定と、を組み合わせたものとなる。
また、4つ目の手法では、1つ目の手法すなわちディスプレイ42aにおける固視画像Sf1(図柄M1)の表示位置を変化させることと組み合わせるものでもよい。この場合の4つ目の手法は、求めた視線方向となるようにディスプレイ42aにおける固視画像Sf1の表示位置を変化させ、その状態で被検者に固視画像Sf1が中央に見えるか否かを問うものとする。この場合、表示位置の変化を速やかに行うことができ、要する時間を短くできる。この場合の4つ目の手法は、被検者の見え方の確認を必要としないで移動させる他覚測定と、被検者が見え方を確認しつつ行う自覚測定と、を組み合わせたものとなる。
さらに、輻輳取得部27cは、1つ目から3つ目の手法において、4つ目の手法のように前眼部画像Iから視線方向を求めて、その視線方向を表示面35a等で検者に呈示するものとしてもよい。このような構成とすると、1つ目から3つ目の手法で自覚測定により、固視画像Sf1が中央に見えるようになったと被検者が申請した状態の実際の視線方向を検者が把握することができ、適切に両眼視した状態となったか否かを確認する判断材料とすることができる。
ここで、輻輳取得部27cは、各手法において、予め定められたプログラムと、自覚測定の場合には両眼視できたか否かを示す被検者による被検者用コントローラ32の操作と、を用いて輻輳量Cを求めることができるので、自動化することができる。特に、4つ目の手法の場合には、他覚測定となるので、より簡易に自動化することができる。このことは、遠隔地に眼科装置10を設置した場合に、特に有効となる。
調節取得部27dは、測定設定部27bが設定した基準状態Sbで呈示した固視画像Sfを用いて、呈示位置Ppにおける調節量Aを求める。この調節量Aを求めることは、所定の呈示位置Ppにおける基準状態Sbで呈示した固視画像Sfが融像できていることを前提とする。これは、後述するように、呈示位置Ppを、基準面Pbから変位面Pdへと変化させた際(図12)の調節の変化量を調節量Aとすることによる。
このため、測定設定部27bは、輻輳調節測定工程において調節量Aを測定するときは、融像し易い固視画像Sfを、左右の被検眼Eに呈示する。その固視画像Sfは、基本的に、融像を刺激し易い図柄とし、その一例として左右の被検眼Eに呈示する固視画像Sfにおいて、共通の箇所が多いもしくは同一とするものがあげられる。実施例1では、図9に示すように、左の被検眼Eに呈示する固視画像Sf3と、右の被検眼Eに呈示する固視画像Sf4と、を設定している。この固視画像Sf3は、真っ白な背景の中に、左右方向での中央に人参の図柄M3が描かれており、固視画像Sf4は、真っ白な背景の中に、左右方向での中央に人参の図柄M4が描かれている。その図柄M3と図柄M4とは、同じ図柄であって互いに等しい位置に描かれており、固視画像Sf3っと固視画像Sf4とは同一のものとされている。これにより、測定設定部27bで設定した所定の呈示位置Ppにおける基準状態Sbで両固視画像Sf3、Sf4を呈示すると、図10に示すように、図柄M3と図柄M4とが一致するように重ねられて両固視画像Sf3、Sf4が融像される。なお、固視画像Sf3と固視画像Sf4とは、融像し易いものであれば、例えば背景にも何らかの模様等を描く等により融像を刺激するものとしてもよく、背景の色や模様や描かれる図柄は適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。
加えて、実施例1では、融像の可否を確認するために、固視画像Sf3には図柄M5を設け、固視画像Sf4には図柄M6を設けている。図柄M5は、固視画像Sf3における左下の隅に描かれており、赤色の丸とされている。図柄M6は、固視画像Sf4における右下の隅に描かれており、緑色の丸とされている。この図柄M5および図柄M6は、図10に示すように、図柄M3と図柄M4とが一致するように重ねられた、すなわち単一の図柄(M3、M4)のみが見える状態であると被検者が答えたときに、それが融像によるものなのか抑制によるものなのかの判別を可能とする。すなわち、融像によるものである場合、図柄M5および図柄M6の双方が見えることとなるが、抑制がかかっている場合、図柄M5と図柄M6とのいずれか1方のみが見えることとなることによる。なお、図柄M5と図柄M6とは、融像している場合には双方が見えることと、抑制がかかっている場合には片方のみが見えることと、の両条件を満たすものであれば、色や形や場所は適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。
調節取得部27dでは、図11に示すように、呈示位置Ppを基準面Pb上から変位面Pd上へと変化させた際の調節の変化量を調節量Aとする。この調節量Aを求めるために、次のように基準面Pbおよび変位面Pdを設定する。3D映画の例で言えば、被検者に対して、映画のスクリーンが設置される面を基準面Pbとする。そして、そのスクリーンに表示した固視画像Sfを立体視(3D映像)させた場合に、スクリーンから手前側に飛び出して見せる固視画像Sfの表示面(表示位置)、もしくはスクリーンから奥側に凹んで見せる固視画像Sfの表示面(表示位置)を、変位面Pdとする。なお、図11に示す例では、変位面Pdは、基準面Pb(スクリーン)から手前側に1mだけ飛び出して見せた状態としている。
先ず、輻輳調節測定工程では、調節量Aを測定するために、測定設定部27bにより基準面Pbに合わせた呈示位置Ppとした基準状態Sbで固視画像Sfを呈示する。そして、調節取得部27dは、その測定設定部27bにより基準状態Sbで呈示した固視画像Sfが融像していることを確認する。ここで、実施例1では、固視画像Sf3と固視画像Sf4とを基準状態Sbで呈示しているので融像した状態とすることが容易であり、特に図柄M5と図柄M6とを設けているので、融像しているか否かの判断も容易としている。このとき、調節取得部27dは、被検者による被検者用コントローラ32の操作、または被検者から見え方を聞いた検者による検者用コントローラ31の操作に応じて、どのように見えているのかの情報(見え方の情報)を取得する。そして、融像している状態において、調節取得部27dは、眼屈折力測定系43を用いて各被検眼Eの眼屈折力P1(単位はディオプタ)を測定する。このように、調節量Aを求める最初の段階は、被検者が見え方を確認しつつ行ういわゆる自覚測定と、被検者の見え方の確認を必要としないで移動させる他覚測定と、を組み合わせたものとなる。
その後、調節取得部27dは、呈示位置Ppを、基準面Pb上の呈示位置Pp1から、変位面Pd上の呈示位置Pp3へと変化させるように、視標投影系42を有する各眼情報取得部21(両測定ヘッド16)の回旋角αを変化させる。すなわち、基準面Pbまでの呈示距離Dp1に合わせた回旋角α1から、変位面Pdまでの呈示距離Dp3に合わせた回旋角α3へと、各両測定ヘッド16を対応する被検眼Eの眼球回旋点を中心に回転させて、左右の回旋角αを同時に漸増させる。また、視標投影系42における固視画像Sfの合焦距離Dfは、基準面Pbまでの呈示距離Dp1に合わせた合焦距離Df3とする。このとき、調節取得部27dは、眼情報取得部21の回旋および移動レンズ42eの移動を、予め定められたプログラムにより行ってもよく、検者による検者用コントローラ31の操作に応じて行ってもよい。これにより、調節取得部27dは、変位面Pd上の呈示位置Pp3で視線を交差させるとともに、基準面Pb上の呈示位置Pp4に右の被検眼Eに呈示する固視画像Sf4を表示させ、基準面Pb上の呈示位置Pp5に左の被検眼Eに呈示する固視画像Sf3を表示させた状態とする。このとき、被検者は、固視画像Sf3と固視画像Sf4とが融像を刺激するものとしているので、両眼を調節させて図10に示すように融像させた状態となる。この状態において、調節取得部27dは、眼屈折力測定系43を用いて各被検眼Eの眼屈折力P2(単位はディオプタ)を測定する。そして、調節取得部27dは、基準状態Sbでの眼屈折力P1から、変位面Pd上で固視画像Sf3と固視画像Sf4とを融像させた状態での眼屈折力P2を減算して、各被検眼における調節量A(単位はディオプタ)を求める。このように、調節量Aを求めることは、自覚測定と他覚測定とを組み合わせたものとなる。これにより、調節取得部27dは、所定の呈示位置Pp(この例では基準面Pb上)における基準状態Sbからの調節量Aを求めることができる。
ここで、調節取得部27dは、予め定められたプログラムと、被検者による被検者用コントローラ32の操作と、を用いて調節量Aを求めることができるので、自動化することができる。このことは、遠隔地に眼科装置10を設置した場合に、特に有効となる。
報知設定部27eは、輻輳取得部27cが求めた輻輳量Cや調節取得部27dが求めた調節量Aを、表示部35で報知する態様を設定する。報知設定部27eは、その1つの態様として、AC/A比を求める。そのAC/A比(ratio of accommodative convergence to accommodation)は、単位調節当たりの調節性輻輳を示す。このAC/A比は、次のように求める。先ず、報知設定部27eは、近点(実施例1では0.3m)での輻輳量C1(プリズム値Δ)と、遠点(実施例1では5m)での輻輳量C2(プリズム値Δ)と、を輻輳取得部27cから取得する。そして、報知設定部27eは、近点での調節を示すD(ディオプタ(実施例1では3.3(1/0.3)))を求める。そして、報知設定部27eは、次式(1)または次式(2)を用いてAC/A比を求める。その式(1)はグラジエント法を用いたものであり、式(2)はヘテロフォーリア法を用いたものである。
AC/A比=(C1-C2)/D ・・・・・(1)
AC/A比=PD+(C1-C2)/D ・・・・・(2)
また、報知設定部27eは、その他の1つの態様として、CA/C比を求める。そのCA/C比(ratio of convergence accommodation to convergence)は、単位輻輳当たりの輻輳性調節を示す。このCA/C比は、次のように求める。先ず、報知設定部27eは、変位面Pd上での輻輳量C3(プリズム値Δ)と、基準面Pb上での輻輳量C1(プリズム値Δ)と、を輻輳取得部27cから取得するとともに、基準面Pb(回旋角α1)から変位面Pd(回旋角α3)に回旋角αを変化させた際の調節量Aを調節取得部27dから取得する。そして、報知設定部27eは、次式(3)を用いてCA/C比を求める。
CA/C比=A/(C3-C1) ・・・・・(3)
さらに、報知設定部27eは、その他の1つの態様として、輻輳量Cや調節量Aを用いて、グラフを作成する。報知設定部27eは、例えば、輻輳取得部27cから、複数の呈示位置Ppにおける基準状態Sbからの輻輳量Cを取得し、横軸を呈示距離Dpとしかつ縦軸を輻輳量Cとしたグラフを作成する。このグラフにより、呈示距離Dpの変化に対して輻輳量Cが変化する態様の把握を容易とする。この場合、輻輳取得部27cで上記した遠点と近点との2点以外の呈示距離Dpでも輻輳量Cを取得させ、その各輻輳量Cを報知設定部27eが取得することで、より細かなグラフを作成することができる。また、報知設定部27eは、例えば、調節取得部27dから、基準面Pb上の呈示位置Ppにおける基準状態Sbから、変位面Pd上の呈示位置Pp3に合わせて回旋角αを変化させた際の各調節量Aを取得し、横軸を変位面Pdに対応する呈示距離Dpとしかつ縦軸を調節量Aとしたグラフを作成する。このグラフにより、呈示距離Dp(変位面Pd)の変化に対して調節量Aが変化する態様の把握を容易とする。この場合、調節取得部27dで上記した変位面Pdを複数設定して調節量Aを取得させ、その各調節量Aを報知設定部27eが取得することで、より細かなグラフを作成することができる。
ついで、報知設定部27eは、その他の1つの態様として、輻輳量Cや調節量Aを数値で表示させるものとする。この場合、報知設定部27eは、輻輳量Cや調節量Aに、それぞれの呈示位置Ppを併せて表示させることで、輻輳量Cと調節量Aとの関係性を容易に把握させることができる。
制御部27は、報知設定部27eが作成した態様に従って、輻輳量Cや調節量Aを表示部35で報知させる。これにより、眼科装置10は、輻輳と調節との関係の一例として、それぞれの呈示位置Ppにおける輻輳量Cや調節量Aの数値、それらを示すグラフ、AC/A比、CA/C比の4つの項目を報知できる。以下では、輻輳量Cや調節量Aの数値を1つ目の項目とし、それらを示すグラフを2つ目の項目とし、AC/A比を3つ目の項目とし、CA/C比を4つ目の項目とする。この測定設定部27bと輻輳取得部27cと調節取得部27dと報知設定部27eとによる4つの項目の少なくとも1つを求める一連の動作が、基準状態Sbからの輻輳量Cや調節量Aを求める輻輳調節測定工程(輻輳調節測定モード)となる。
次に、融像限界測定部27fは、測定設定部27bで設定した遠方の呈示位置Ppにおける基準状態Sbで固視画像Sfを呈示し、その呈示した状態を維持しつつ呈示位置Ppを遠方から近方へと変化させることで、輻輳限界測定工程(輻輳限界測定モード)を行う。この輻輳限界測定工程は、呈示位置Ppを遠方から近方へと変化させる際に、近方側のどの位置まで融像できているのかを測定するので、遠方の呈示位置Ppにおける基準状態Sbで呈示した固視画像Sfが融像できていることを前提とする。このため、輻輳限界測定工程では、融像し易い固視画像Sfを、左右の被検眼Eに呈示するものとし、実施例1では図9に示す固視画像Sf3と固視画像Sf4とを用いるものとする。
融像限界測定部27fは、測定設定部27bで設定した遠方の呈示位置Ppにおける基準状態Sbで固視画像Sfを呈示した状態から、両測定ヘッド16を対応する被検眼Eの眼球回旋点を中心に回転させて、左右の回旋角αを同時に漸増させていく。これにより、固視画像Sfの呈示位置Ppが、図6に示す呈示位置Pp1から呈示位置Pp2へと向けて変化する。このとき、融像限界測定部27fは、予め定められたプログラムにより左右の回旋角αを同時に漸増させてもよく、検者による検者用コントローラ31の操作に応じて左右の回旋角αを同時に漸増させてもよい。また、融像限界測定部27fは、左右の回旋角αを同時に漸増させる際、視標投影系42の合焦距離Dfを遠方の呈示位置Ppに対して設定された状態を維持させており、合焦距離Dfを変化させない。これにより、固視画像Sf3と固視画像Sf4とは、融像した状態は維持されていても、漸次的にぼやけていくことが考えられるが、遠方の呈示位置Ppでの調節に対する輻輳による融像の限界を求めているので問題はない。
そして、融像限界測定部27fは、上記のように左右の回旋角αを同時に漸増させていき、被検者が融像できなくなると、左右の回旋角αの漸増を停止するとともに、その時点での左右の回旋角αを記憶する。このとき、融像限界測定部27fは、その被検者が融像できなくなった情報を、被検者による被検者用コントローラ32の操作、または被検者から見え方を聞いた検者による検者用コントローラ31の操作により取得する。そして、融像限界測定部27fは、左右の回旋角αの情報から、その回旋角αとなるプリズム値Δや呈示位置Ppを算出する。
制御部27は、融像限界測定部27fが記憶した左右の回旋角α、プリズム値Δおよび呈示位置Ppの少なくとも1つを、融像の限界地点すなわち輻輳の限界位置として表示部35で報知させる。これにより、眼科装置10は、輻輳と調節との関係の一例として輻輳の限界位置を報知できる。この測定設定部27bと融像限界測定部27fとによる一連の動作が、所定の呈示位置Ppでの調節に対する輻輳の限界位置を求める輻輳限界測定工程(輻輳限界測定モード)となる。
次に、眼科装置10を用いて、輻輳と調節との関係を求める一例としての輻輳調節測定工程(輻輳調節測定モード)または輻輳限界測定工程(輻輳限界測定モード)を行う測定制御処理(測定制御方法)について、図12を用いて説明する。この測定制御処理は、記憶部33または内蔵する内部メモリ27aに記憶されたプログラムに基づいて、制御部27が実行する。以下では、この図12のフローチャートの各ステップ(各工程)について説明する。この図12のフローチャートは、眼科装置10が起動されて、検者用コントローラ31のブラウザまたはアプリが立ち上がって表示面35aが表示され、その入力部35bで輻輳と調節との関係を求めることが選択されることにより開始される。このとき、被検者は椅子等に座っており、額当部17に額が当てられている。なお、実施例1の図12のフローチャートは、各ステップ(各工程)が一対の測定ヘッド16(両眼情報取得部21)で同時に行われるものであり、両眼視の状態で同時に測定されるものとしている。
ステップS1では、輻輳調節測定工程を行うか否かを判断し、YESの場合はステップS2へ進み、NOの場合はステップS6に進む。ステップS1では、基準状態Sbからの輻輳量Cや調節量Aを求める輻輳調節測定工程を行うのか、その他に設定された所定の呈示位置Ppでの調節に対する輻輳の限界位置を求める輻輳限界測定工程を行うのか、の判断を行う。この判断は、被検者用コントローラ32に為された操作情報から行う。ここで、実施例1では、輻輳調節測定工程として、輻輳量Cや調節量Aの取得、輻輳量Cや調節量Aのグラフの取得、AC/A比の取得、CA/C比の取得の4つの項目の実行が可能とされている。このため、ステップS1では、被検者用コントローラ32に為された操作情報により、輻輳調節測定工程としての4つの項目の少なくともいずれかが選択されると、輻輳調節測定工程を行うものと判断する。なお、ステップS1では、4つの項目のうちの複数が選択されてもよい。
ステップS2では、輻輳量Cや調節量Aの測定のための設定を行い、ステップS3へ進む。ステップS2では、先ず、オートアライメントを実行して眼情報取得部21の光学系の光軸Lを被検眼Eの視軸(視線方向)に一致させたのち、所定の呈示位置Ppに応じた基準状態Sbとする。ここで、実施例1では、上記した4つの項目で輻輳と調節との関係を求めるものである。このため、上記の1つ目の項目の場合、任意の呈示位置Ppでの輻輳量Cや調節量Aの測定を輻輳取得部27cや調節取得部27dが行うこととなり、設定された呈示位置Ppの数の測定を行う。また、上記の2つ目の項目の場合、任意の呈示位置Ppでの輻輳量Cや調節量Aの測定を輻輳取得部27cや調節取得部27dが行うこととなり、要求される細かさに応じて設定された呈示位置Ppの数の測定を行う。さらに、上記の3つ目の項目の場合、遠点および近点での輻輳量Cの測定を輻輳取得部27cが行うこととなり、輻輳量Cの測定を2回行う。上記の4つ目の項目の場合、基準面Pb上および変位面Pd上での輻輳量Cの測定を輻輳取得部27cが行うとともに、基準面Pb上から変位面Pd上とした際の調節量Aの測定を調節取得部27dが行うこととなり、輻輳量Cの測定を2回行うとともに調節量Aの測定を1回行う。このため、所定の呈示位置Ppは、選択された項目に応じて、設定される位置および個数が異なることなる。
ステップS3では、輻輳量Cや調節量Aを求めて、ステップS4へ進む。ステップS3では、ステップS1で選択された項目に応じて、輻輳取得部27cが、ステップS2で設定された呈示位置Ppにおける基準状態Sbからの輻輳量Cを求める、または調節取得部27dが、ステップS2で設定された呈示位置Ppにおける基準状態Sbからの調節量Aを求める。このステップS3では、後述するステップS4→S2→S3で繰り返された場合、先のステップS3で求めた輻輳量Cや調節量Aとは異なる呈示位置Ppで輻輳量Cや調節量Aを求める。
ステップS4では、測定が終了したか否かを判断し、YESの場合はステップS5へ進み、NOの場合はステップS2に戻る。ステップS4では、ステップS3で輻輳量Cや調節量Aを求めた回数が、ステップS2で設定された呈示位置Ppの数と、等しいか否かを判断する。そして、等しい場合には、測定が終了したものと判断し、等しくない場合すなわち輻輳量Cや調節量Aを求めた回数が設定された呈示位置Ppの数よりも少ない場合には、測定が終了していないものと判断する。
ステップS5では、報知する態様を設定して、ステップS8に進む。ステップS5では、報知設定部27eが、ステップS3で輻輳取得部27cや調節取得部27dが求めた輻輳量Cや調節量Aに基づいて、ステップS1で選択された項目に応じた報知態様を設定する。すなわち、ステップS5では、報知設定部27eが、ステップS3で求めた輻輳量Cや調節量Aを用いて、輻輳量Cや調節量Aの数値、輻輳量Cや調節量Aのグラフ、AC/A比、CA/C比(それらを示す表示)を適宜設定する。
ステップS6では、輻輳の限界位置を求めるための設定を行い、ステップS7へ進む。ステップS6では、先ず、オートアライメントを実行して眼情報取得部21の光学系の光軸Lを被検眼Eの視軸(視線方向)に一致させたのち、所定の呈示位置Ppに応じた基準状態Sbとする。ここで、実施例1では、輻輳限界測定工程として、遠点(実施例1では5m)の呈示位置Ppでの調節に対する輻輳の限界位置を求めるものとしているので、遠点の呈示位置Ppに応じた基準状態Sbとする。
ステップS7では、輻輳の限界位置を求めて、ステップS8へ進む。ステップS7では、融像限界測定部27fが、ステップS6で設定された遠点の呈示位置Ppにおける基準状態Sbから、左右の回旋角αを漸増させていき、被検者が融像できなくなった回旋角αとなる呈示位置Ppを輻輳の限界位置として取得する。このとき、ステップS7では、視標投影系42の合焦距離Dfを遠点(5m)に合わせたまま変化させない。
ステップS8では、輻輳と調節との関係を報知して、この測定制御処理を終了する。このステップS8では、制御部27が、輻輳調節測定工程の場合にはステップS5で報知設定部27eが設定した報知態様を、輻輳限界測定工程の場合にはステップS7で融像限界測定部27fが求めた輻輳の限界位置を、表示面35aに適宜表示させる。
このように、眼科装置10は、両眼視している際のそれぞれの被検眼Eの状態で、輻輳と調節との関係を求めることができる。このため、眼科装置10は、より自然の状態における輻輳と調節との関係を求めることができるので、適切な輻輳と調節との関係を求めることができ、視機能の不良や眼精疲労等の原因を正確に得ることに大きく貢献できる。
また、眼科装置10は、左右の被検眼Eに固視画像Sfを呈示する眼情報取得部21を設けた各測定ヘッド16を対応する両被検眼Eの眼球回旋点を中心に回転可能な構成とし、その眼情報取得部21における固視画像Sfの合焦距離Dfと眼情報取得部21の回旋角αとを変化させることで、輻輳と調節との関係を求めている。このため、眼科装置10は、簡易な小さな構成でかつ簡易な制御で、より自然な状態での輻輳と調節との関係を求めることができる。すなわち、眼科装置10は、両測定ヘッド16および眼情報取得部21における合焦距離Dfおよび回旋角αの変化(所謂内部視標方式)により、自然な状態で輻輳させて調節させるので、極めて小さな構成にでき、実用性を高めることができる。
さらに、眼科装置10は、上記の構成の眼情報取得部21における固視画像Sfの合焦距離Dfと眼情報取得部21の回旋角αとを適宜設定することで、AC/A比やCA/C比を求めることができる。このため、眼科装置10は、一般に正確に求めることが困難で複雑な測定を行う必要のあるAC/A比やCA/C比を、簡易にかつ適切に求めることができる。
眼科装置10は、上記の基準状態Sbから眼情報取得部21における回旋角αを変化させて固視画像Sfの呈示位置Ppを近方へと変化させることで、所定の呈示位置Ppでの調節に対する輻輳の限界位置を求めることができる。このため、眼科装置10は、両眼視している状態において、所定の呈示位置Ppでの調節に対する輻輳の限界位置を求めることができる。
本開示に係る眼科装置の実施例1の眼科装置10は、以下の各作用効果を得ることができる。
眼科装置10は、制御部27が、眼情報取得部21で固視画像Sfを呈示しつつ眼情報取得部21における固視画像Sfの合焦距離Dfと眼情報取得部21の回旋角αとを変化させることで、被検眼Eにおける輻輳と調節との関係を求める。このため、眼科装置10は、被験者が自然に両眼視している状態と極めて近い状態で輻輳と調節との関係を求めることができ、従来のように両眼視と片眼視を強制的に切り換える方法と比較して、輻輳と調節との関係を適切に測定することができる。
眼科装置10は、制御部27が、固視画像Sfの呈示位置Ppに適合させて眼情報取得部21における合焦距離Dfと回旋角αとを設定した基準状態Sbで固視画像Sfを呈示する。このため、眼科装置10は、正常眼が呈示位置Ppに呈示した固視画像Sfを両眼視する状態を基準状態Sbとして設定することができる。そして、眼科装置10は、基準状態Sbから固視画像Sfを適切に両眼視できる状態までの輻輳の変化量(輻輳量C)を求める。このため、眼科装置10は、上記の基準状態Sbを基準として輻輳量Cを求めているので、より適切に輻輳量Cを求めることができる。
眼科装置10は、制御部27が、基準面Pb上での固視画像Sfの呈示位置Ppに適合させて眼情報取得部21における合焦距離Dfと回旋角αとを設定した基準状態Sbで固視画像Sfを呈示し、固視画像Sfの呈示位置Ppを基準面Pb上から変位面Pd上に適合させて回旋角αを変化させた際の調節の変化量(調節量A)を求める。このため、眼科装置10は、上記の基準状態Sbを基準としつつ、その際の基準面Pb上に固視画像Sfを呈示しつつ回旋角αを変位面Pd上に合わせた状態で調節量Aを求めているので、より適切に調節量Aを求めることができる。
眼科装置10は、眼情報取得部21が、ディスプレイ42aに表示した固視画像Sfを視標投影系42を用いて被検眼Eに呈示した状態とする。そして、眼科装置10は、その状態において、制御部27が、ディスプレイ42aにおける固視画像Sfの表示位置を変化させることで輻輳の変化量(輻輳量C)を求める。このため、眼科装置10は、簡易な構成で適切に輻輳量Cを求めることができる。
眼科装置10は、制御部27が、眼情報取得部21の回旋角αを変化させることで、輻輳の変化量(輻輳量C)を求める。このため、眼科装置10は、簡易により大きな範囲で輻輳量Cを求めることができるとともに、良好な状態で呈示した固視画像Sf1用いて輻輳量Cを求めることができる。
眼科装置10は、制御部27が、眼情報取得部21の軸線を屈折させる屈折部材51での屈折量を変化させることで、輻輳の変化量(輻輳量C)を求める。このため、眼科装置10は、簡易に輻輳量Cを求めることができる。
眼科装置10は、制御部27が、基準状態Sbで固視画像Sfを呈示した状態における被検眼Eの視線方向から輻輳の変化量(輻輳量C)を求める。このため、眼科装置10は、簡易にかつ被検者からの応答を要することなく輻輳量Cを求めることができる。
眼科装置10は、制御部27が、呈示位置Ppを遠方とした際の輻輳の変化量と、呈示位置Ppを近方とした際の輻輳の変化量と、に基づいて、AC/A比を求める。このため、眼科装置10は、一般に正確に求めることが困難で複雑な測定を行う必要のあるAC/A比を、簡易にかつ適切に求めることができる。
眼科装置10は、制御部27が、求めた調節の変化量(調節量A)と、呈示位置Ppを基準面Pb上とした際の輻輳の変化量(輻輳量C)と、呈示位置Ppを変位面Pd上とするように回旋角αを変化させた際の輻輳の変化量(輻輳量C)と、に基づいて、CA/C比を求める。このため、眼科装置10は、一般に正確に求めることが困難で複雑な測定を行う必要のあるCA/C比を、簡易にかつ適切に求めることができる。
眼科装置10は、制御部27が、固視画像Sfの呈示位置Ppに適合させて眼情報取得部21における合焦距離Dfと回旋角αとを設定した基準状態Sbで固視画像Sfを呈示し、基準状態Sbから眼情報取得部21の回旋角αを変化させることで固視画像Sfの呈示位置Ppを近方へと変化させる。このため、眼科装置10は、所定の呈示位置Ppでの調節に対する輻輳の限界位置を、簡易にかつ適切に求めることができる。
したがって、本開示に係る眼科装置の一実施例としての眼科装置10では、輻輳と調節との関係を適切に測定することができる。
以上、本開示の眼科装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
例えば、実施例1では、上記した構成の眼情報取得部21を用いている。しかしながら、本開示の眼情報取得部は、被検者の両方の被検眼Eに対応して対を為して設けられて、被検眼Eに固視画像Sfを呈示するものであれば適用することができ、実施例1の構成に限定されない。
また、実施例1では、制御部27の輻輳取得部27cが、所定の呈示位置Ppにおける輻輳量Cを、上記の4つの手法のいずれかで求めるものとしている。しかしながら、輻輳取得部27c(制御部27)は、所定の呈示位置Ppにおける輻輳量Cを求めるものであれば、上記の4つの手法を適宜組み合わせてもよく、他の手法を用いてもよく、実施例1の構成に限定されない。
10 眼科装置 15 駆動機構 21 眼情報取得部 27 制御部 42 視標投影系 42a ディスプレイ 51 屈折部材 E 被検眼 Df 合焦距離 Pp 呈示位置 Sb 基準状態 Sf 固視画像 α 回旋角

Claims (10)

  1. 被検者の両方の被検眼に対応して対を為して設けられ、少なくとも前記被検眼に固視画像を呈示する眼情報取得部と、
    2つの前記眼情報取得部の位置を調整しつつそれぞれが対応する前記被検眼の眼球回旋点を中心に回旋させる駆動機構と、
    前記眼情報取得部および前記駆動機構を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記固視画像を呈示しつつ前記眼情報取得部における前記固視画像の合焦距離と前記眼情報取得部の回旋角とを変化させることで、前記被検眼における輻輳と調節との関係を求めることを特徴とする眼科装置。
  2. 前記制御部は、前記固視画像の呈示位置に適合させて前記眼情報取得部における前記合焦距離と前記回旋角とを設定した基準状態で前記固視画像を呈示し、前記基準状態から前記固視画像を適切に両眼視できる状態までの前記輻輳の変化量を求めることを特徴とする請求項1に記載の眼科装置。
  3. 前記制御部は、基準面上での前記固視画像の呈示位置に適合させて前記眼情報取得部における前記合焦距離と前記回旋角とを設定した基準状態で前記固視画像を呈示し、前記固視画像の呈示位置を前記基準面上から立体視させる変位面上に適合させて前記回旋角を変化させた際の前記調節の変化量を求めることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の眼科装置。
  4. 前記眼情報取得部は、ディスプレイに表示した前記固視画像を視標投影系を用いて前記被検眼に呈示し、
    前記制御部は、前記ディスプレイにおける前記固視画像の表示位置を変化させることで前記輻輳の変化量を求めることを特徴とする請求項2に記載の眼科装置。
  5. 前記制御部は、前記回旋角を変化させることで、前記輻輳の変化量を求めることを特徴とする請求項2に記載の眼科装置。
  6. 前記制御部は、前記眼情報取得部の軸線を屈折させる屈折部材での屈折量を変化させることで、前記輻輳の変化量を求めることを特徴とする請求項2に記載の眼科装置。
  7. 前記制御部は、前記基準状態で前記固視画像を呈示した状態における前記被検眼の視線方向から前記輻輳の変化量を求めることを特徴とする請求項2に記載の眼科装置。
  8. 前記制御部は、前記固視画像の呈示位置を遠方とした際の前記輻輳の変化量と、前記呈示位置を近方とした際の前記輻輳の変化量と、に基づいて、AC/A比を求めることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の眼科装置。
  9. 前記制御部は、求めた前記調節の変化量と、前記固視画像の呈示位置を前記基準面上とした際の前記輻輳の変化量と、前記呈示位置を前記変位面上とするように前記回旋角を変化させた際の前記輻輳の変化量と、に基づいて、CA/C比を求めることを特徴とする請求項3に記載の眼科装置。
  10. 前記制御部は、前記固視画像の呈示位置に適合させて前記眼情報取得部における前記合焦距離と前記回旋角とを設定した基準状態で前記固視画像を呈示し、前記基準状態から前記回旋角を変化させることで前記固視画像の呈示位置を近方へと変化させることを特徴とする請求項1に記載の眼科装置。
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