JP7262920B2 - 水分散性重袋 - Google Patents
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Description
重袋には、内容物を安定して保管するための防水性、防湿性、また、古紙としてリサイクルするための易離解性が要求される(特許文献5)。ここで、易離解性とは、紙に機械的せん断をかけることによりパルプにほぐせることを意味し、本発明の水分散性とは異なる概念である。そして、水分散性を有する重袋は、本発明者らが調査した限りでは存在しない。
2.前記水分散性紙が、カルボキシアルキルセルロースのアルカリ金属塩、または、冷水可溶性ポリビニルアルコールを含むことを特徴とする1.に記載の水分散性重袋。
3.前記水分散性紙が、紙面pH6.0以上11.0以下であることを特徴とする1.または2.に記載の水分散性重袋。
4.前記水溶性または水分散性接着剤が、酢酸ビニルエマルジョン系接着剤であることを特徴とする1.~3.のいずれかに記載の水分散性重袋。
5.コンクリート用粉粒体が収容されていることを特徴とする1.~4.のいずれかに記載の水分散性重袋。
6.前記コンクリート用粉粒体が、15kg以上60kg以下収容されていることを特徴とする5.に記載の水分散性重袋。
7.前記コンクリート用粉粒体が、混和材または化学混和剤であることを特徴とする5.または6.に記載の水分散性重袋。
8.前記コンクリート用粉粒体が、加熱改質フライアッシュであることを特徴とする5.~7.のいずれかに記載の水分散性重袋。
9.5.~8.のいずれかに記載の水分散性重袋をコンクリート用粉粒体を収容したままの状態でミキサに投入して、他のコンクリート構成材料と混練することを特徴とするスラリー製造方法。
本発明の水分散性重袋は、容易に水に分散するため、リサイクルが容易である。
本発明において、水分散性紙とは、フロック状水分散時間が30秒以内であり、かつ繊維状水分散時間が60秒以内である紙を意味する。フロック状水分散時間とは、脱イオン水300mlを300mlビーカーに入れ、スターラーで650rpmに攪拌しながら、3cm角の試験片を投入し、試験片が2つ以上に千切れる時間である。また、繊維状水分散時間とは、試験片が完全に繊維一本一本にほぐれる時間である。
下記で詳述するように、本発明の水分散性重袋は、骨材等の粉粒体を含有するコンクリートスラリーやセメントスラリー中に重袋ごと添加することができる。この際、水分散性重袋は、骨材等の粉粒体の物理的抵抗を受けて分散が抑制される。また、骨材等の粉粒体が含有するカルシウムイオンやマグネシウムイオンにより、水溶性高分子が溶け難くなり、水分散性が低下する。
紙面pHを調整する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、中性領域の材料を主成分として水分散性紙を抄紙する。あるいは、アルカリ性、酸性の水分散性紙を、酸性物質、アルカリ性物質で中和して製造することができる。
本発明の水分散性紙は、平滑性を向上させて印刷用途等に供するため、マシンカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトニップカレンダー等の一般的な製紙用カレンダーを用いてカレンダー加工を施すことができる。
また、湿潤時の強度や透気抵抗度を高めるため、水分散性紙に水溶性樹脂フィルムをラミネート加工してもよい。水溶性樹脂フィルムとしては、水溶性ポリビニルアルコール、ポリアルキレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド共重合物等の水溶性樹脂をフィルム化したものを使用することができる。ラミネート加工は、可溶性袋状物とした際に、最外層または最内層となる面に施すことが好ましい。最外層にラミネート層を有する可溶性袋状物は、外部からの湿度の影響を抑えられるため、保管性が向上する。一方、最内層にラミネート層を有する可溶性袋状物は、最内層以外にラミネート層を有する可溶性袋状物と比較して、袋ごと投入した際の水分散性に優れる。
本発明の水分散性重袋は、水溶性または水分散性接着剤で封止されることを特徴とする。水溶性または水分散性接着剤としては、酢酸ビニルエマルジョン系接着剤、アクリルエマルジョン系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、でんぷんのり、セルロース系接着剤、ポリエステルエマルジョン系接着剤、水溶性ウレタン系接着剤等を用いることができる。ここで、本発明の水分散性重袋は、水分散性紙からなるため、水分量が多い接着剤を塗布すると、接着剤に含まれる水により水分散性紙がふやけてしまう。また、水溶性接着剤には水と接触した際に迅速に溶解・分散することが求められる。上記接着剤の中で、高濃度で塗布することができ、乾燥後の水分散性に優れているため、酢酸ビニルエマルジョン系接着剤を好適に利用することができる。
また、吸湿による強度低下を抑制するため、水溶性樹脂フィルムをラミネート加工してもよい。水溶性樹脂フィルムとしては、ポリビニルアルコール、ポリアルキレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド共重合物等の水溶性樹脂をフィルム化したものを使用すればよい。水溶性樹脂フィルム層は重袋の外側になるように設けることが好ましい。
本発明の水分散性重袋は、強度に優れるため、15kg以上60kg程度の内容物を収容して取り扱うことができる。本発明の水分散性重袋に、コンクリートを1m3製造する際に、15kg以上60kg程度配合されるコンクリート用粉粒体を収容すると、袋のまま1袋、2袋とミキサに投入することができ、コンクリート用粉粒体の重さを測定する必要がないため、スラリー調製作業が容易となる。したがって、本発明の水分散性重袋は、混和材、化学混和剤を収容することが好ましく、混和材を収容することがより好ましく、フライアッシュがさらに好ましい。そして、フライアッシュとして、性能が安定している未燃カーボン含有率が1重量%以下である加熱改質フライアッシュが好ましい。
JAPAN TAPPI No.26に準じて測定した。
2)水分散性
3cm角の試験片5枚を用意した。次に300mlビーカーに脱イオン水300mlを入れてスターラーで650rpmに攪拌しながら上記試験片1枚を投入した。試験片が2つ以上に千切れる時間と試験片が完全に繊維一本一本にほぐれる時間をストップウオッチで測定し、5回の測定の平均値をそれぞれフロック状水分散時間、繊維状水分散時間とした。
JIS P8124に準じて測定した。
4)比引張強さ
JIS P8113に準じて測定した。
5)比引裂強さ
JIS P8116に準じて測定した。
精製パルプとして針葉樹マーセル化パルプ(αセルロース含有率 97.5%、450mlCSFにおける保水度138%)60重量%と、無精製パルプとして針葉樹晒しクラフトパルプ(以下NBKP、αセルロース含有率 85.6%)40重量%とを配合し、濾水度650mlCSFに混合叩解した抄紙用原料を、円網ヤンキードライヤー式抄紙機で抄紙・乾燥後、サイズプレス式塗工機で低粘度のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(以下CMC-Na、商品名サンローズ、日本製紙ケミカル社製品、4重量%水溶液の粘度が15mPa・s)の水溶液(濃度5質量%)を含浸塗工して、坪量60g/m2の水分散性紙を製造した。なお、CMC-Naの含有量は3g/m2であった。
この水分散性紙は、縦方向の比引張強さが67.2N・m/g、縦方向の比引裂強さが15.1mN・m2/g、フロック状水分散時間が2.5秒、繊維状水分散時間が7秒であり、強度と迅速な水分散性を兼備するものであった。
セメントは普通ポルトランドセメントを使用し、フライアッシュは加熱改質フライアッシュ(以下、商品名:CfFA、日本製紙社製、JIS A620l コンクリート用フライアッシュ規格II種準拠品)を用いた。また、細骨材として掛川産陸砂を用いた。
モルタルはJIS A6201(コンクリート用フライアッシュ)に準じて、水粉体比50%として、CfFAをセメント質量に対して25%を内割置換した。また、基準品として、CfFA無配合のものを調合した。各調合品の配合を表1に示す。
CfFA添加品は、CfFAを収容した水分散性重袋を開封せずに重袋ごとミキサに投入して練り混ぜた。
精製パルプとして針葉樹マーセル化パルプ(αセルロース含有率 97.5%、450mlCSFにおける保水度138%)60重量%と、無精製パルプとして針葉樹晒しクラフトパルプ(以下NBKP、αセルロース含有率 85.6%)40重量%とを配合し、濾水度650mlCSFに混合叩解した抄紙用原料を円網ヤンキードライヤー式抄紙機で抄紙・乾燥後、サイズプレス式塗工機で低重合度のスルホン酸基変性ポリビニルアルコール(商品名ゴーセネックス、日本合成化学工業社製品)の水溶液(濃度5質量%)を含浸塗工して、坪量60g/m2の水分散性紙を製造した。なお、スルホン酸基変性PVAの含有量は3g/m2であった。
この水分散性紙は、縦方向の比引張強さが59.0N・m/g、縦方向の比引裂強さが15.2mN・m2/g、フロック状水分散時間が3.5秒、繊維状水分散時間が29秒であり、強度と迅速な水分散性を兼備するものであった。
針葉樹晒クラフトパルプをカナダろ水度600mlCSFまで叩解したものを80重量部と、繊維状カルボキシメチルセルロース(エーテル化度0.43)20重量部を配合した抄紙用原料を調成し、円網ヤンキードライヤー式抄紙機を用いて坪量55g/m2で水分散性を有さない基紙を製造した。
基紙に、7重量%濃度の炭酸ナトリウム水溶液を塗工量が中和当量の1.5倍以上となるようにサイズプレスを用いて含浸塗工・乾燥させ、アルカリ化剤層を基紙に含有させ、繊維状カルボキシメチルセルロースをNa塩とすることにより、坪量60g/m2の水分散性紙を製造した。
この水分散性紙は、縦方向の比引張強さが66.7N・m/g、縦方向の比引裂強さが8.1mN・m2/g、フロック状水分散時間が4.7秒、繊維状水分散時間が18秒であり、強度と迅速な水分散性を兼備するものであった。
Claims (7)
- 水分散性紙からなり、胴貼り部及び底部が酢酸ビニルエマルジョン系接着剤で封止されており、
前記水分散性紙が、含浸塗工されたカルボキシアルキルセルロースのアルカリ金属塩、または、冷水可溶性ポリビニルアルコールである水溶性高分子を含み、
前記水溶性高分子が、20℃4重量%水溶液の粘度が1mPa・s以上25mPa・s以下であることを特徴とする水分散性重袋。 - 前記水分散性紙が、紙面pH6.0以上11.0以下であることを特徴とする請求項1に記載の水分散性重袋。
- コンクリート用粉粒体が収容されていることを特徴とする請求項1または2に記載の水分散性重袋。
- 前記コンクリート用粉粒体が、15kg以上60kg以下収容されていることを特徴とする請求項3に記載の水分散性重袋。
- 前記コンクリート用粉粒体が、混和材または化学混和剤であることを特徴とする請求項3または4に記載の水分散性重袋。
- 前記コンクリート用粉粒体が、加熱改質フライアッシュであることを特徴とする請求項3~5のいずれかに記載の水分散性重袋。
- 請求項3~6のいずれかに記載の水分散性重袋をコンクリート用粉粒体を収容したままの状態でミキサに投入して、他のコンクリート構成材料と混練することを特徴とするスラリー製造方法。
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