JP7260283B2 - 直動案内ユニット - Google Patents

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Description

この発明は,例えば,半導体製造装置,各種組立装置,測定・試験装置等の摺動部に適用され,軌道レールに対して長手方向に沿って相対移動するスライダを備えた直動案内ユニットに関する。
従来,直動案内ユニットは,半導体製造装置,各種の組立装置等の往復運動機構の各種装置の摺動部へ適用されている。これらの各種の装置については,省エネであり,装置そのものの構造をシンプルな構造に作製し,低コストであると共に,設備維持コストを削減することが要望されおり,それと共に,それらの装置に使用される直動案内ユニットについても潤滑のメンテナンスフリーを達成し,低コストで軽量で小形化を実現することが望まれている。
また,直動転がり案内ユニットとして,ケーシングに形成されたリターン孔に嵌挿したスリーブによってリターン路を形成し,スリーブを弾性変形可能に構成して転動体の摺動抵抗を吸収し,転動体のスムーズな転走を確保するものが知られている。該直動転がり案内ユニットは,ケーシングのリターン孔にはその全長にわたって延び且つ円筒ころのリターン路を形成するスリーブが嵌挿され,リターン孔の壁面とスリーブの小径部の外面との間にはスリーブが弾性変形できる隙間が設けられている。スリーブにはその長手方向にスリットが形成され,スリーブの両端部がケーシングのリターン孔に保持されている。スリーブは,合成樹脂製の半割スリーブで構成されている(例えば,特許文献1参照)。
また,潤滑剤含有ポリマを使用して転動体の潤滑を行う潤滑リニアガイド装置が知られている。該潤滑リニアガイド装置は,スライダ本体の各転動体戻り路に転動体循環チューブを挿通し,この転動体循環チューブを軸方向に長孔を形成して籠状円筒体に形成されたポリエチレン製の補強材とその長孔内に一体成形されたパラフィン系鉱油,低分子量ポリエチレン及び高分子ポリエチレンの組成を有する潤滑剤含有ポリマとからなる潤滑剤含有ポリマ部材として構成することにより,補強材と潤滑剤含有ポリマとを両者間で剥離を生じることなく強固に接合し,潤滑剤含有ポリマ部材の強度を向上させる(例えば,特許文献2参照)。
また,スライダに形成されるリターン通路孔が多孔質構造からなる焼結樹脂部材によって形成したものが知られている。軌道レールに対して転動体を介して摺動自在なスライダには,転動体を無限循環させるため,嵌挿孔に多孔質構造のスリーブ状の焼結樹脂部材が嵌挿され,焼結樹脂部材の内部にボールが通るリターン通路孔が形成されている。多孔質構造の内部には潤滑剤やグリースを長期にわたって供給し続け,ボールを介して軌道路を潤滑し,耐久性を向上し,スライダの摺動抵抗を軽減する。また,スリーブ状の焼結樹脂部材には,潤滑剤溜まりとなる凹部やスリットが形成されている(例えば,特許文献3参照)。
特開平9-72335号公報 特開平10-78032号公報 特開2001-82469号公報
ところで,従来の直動案内ユニットは,ケーシングに形成した嵌挿孔にリターン路を形成するスリーブを嵌挿し,該スリーブに嵌挿孔とスリーブの外面との間にはスリット等による隙間を設けて潤滑剤溜まりを形成し,転動体に対して潤滑を行っている。しかしながら,従来の直動案内ユニットは,高温の環境下で使用するということについては考慮されていないものであった。例えば,上記特許文献1には,スリーブを作製する合成樹脂の種類を配慮した記載がなく,また,上記特許文献2,3では,リターン路を形成するスリーブがポリエチレン製の潤滑剤含有ポリマで作製されており,そのため潤滑リニアガイドを80℃超えの高温の環境下で使用した場合に,スリーブを構成している潤滑剤含有ポリマが高温軟化して使用に耐えることができなくなるという問題があった。そこで,直動案内ユニットにおいて,リターン路を形成するスリーブが熱変形しないため,スリーブをポリエチレン樹脂より熱変形温度が高い合成樹脂で形成することが望まれていた。
この発明の目的は,上記の課題を解決することであり,直動案内ユニットを高温環境下で使用してもリターン路を形成するスリーブが軟化即ち熱変形しない耐高温樹脂材料,例えば,常時の温度が100℃,最高温度が120℃の環境下で使用できる樹脂材料,例えば,ポリアミド合成樹脂,ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)で等で作製して高温環境で使用可能にすると共に,これらの樹脂が多孔質成形体でないためそれ自体では潤滑性能を維持できないので,転動体に対して潤滑剤性能を向上させるため,スリーブ自体を潤滑剤を供給保持させる潤滑剤溜まり即ちグリース溜まりとなる溝,スリット等の隙間を持つ構造に形成し,スリーブを転走する転動体に潤滑剤を供給して潤滑寿命を向上させ,長寿命化も実現させることを特徴とする直動案内ユニットを提供することである。
この発明は,長手方向両側面に沿って形成された第1軌道溝を備えた長尺状の軌道レール及び前記軌道レールの前記長手方向に摺動自在なスライダを有し,
前記スライダは,前記軌道レールの前記第1軌道溝に対向して延びる第2軌道溝と前記第2軌道溝に沿って延びる嵌挿孔が形成されたケーシング,前記嵌挿孔に挿通されてリターン路を形成するスリーブ,前記ケーシングの両端面にそれぞれ取り付けられ且つ前記第1軌道溝と前記第2軌道溝との間に形成される軌道路と前記リターン路とに連通する方向転換路が形成された一対のエンドキャップ,前記軌道路と前記リターン路と一対の前記方向転換路とで構成される循環路を転走する複数の転動体を有することから成る直動案内ユニットにおいて,
前記スリーブは,熱変形温度が80℃を超える熱可塑性樹脂で形成され,前記スリーブには,グリース溜まりの空間が形成されていることを特徴とする直動案内ユニットに関する。
また,前記スリーブの前記熱変形温度は,80℃~300℃の範囲内である。
また,前記熱可塑性樹脂は,ポリイミド樹脂,ポリアミドイミド樹脂,ABS樹脂,ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂,ポリアミド樹脂,ポリアセタール樹脂,ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂,ポリフェニルサルファイド樹脂,又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂である。特に,前記熱可塑性樹脂の前記ポリアミド樹脂は,具体的には,ポリアミド66樹脂である。
また,前記スリーブは,円筒状の部材を長手方向に沿って少なくとも2つに分割した分割円部材を組み合わせて形成されており,前記グリース溜まりの前記空間を形成するため,前記分割円部材の分割面に垂直に切り込まれた複数の溝,又は複数のスリットが形成されている。
また,前記エンドキャップは,熱変形温度が80℃を超える熱可塑性樹脂で形成されている。特に,前記エンドキャップの熱変形温度は,詳細には,80℃~300℃の範囲内である。
この発明による直動案内ユニットは,上記のように,ケーシングに形成された嵌挿孔にスリーブを嵌挿し,該スリーブによってリターン路が形成されており,該スリーブを,ポリエチレンの熱変形温度である80℃を超える熱変形温度の熱可塑性樹脂で形成し,かつ,潤滑剤溜まり即ちグリース溜まりの空間を形成したことを特徴としている。ケーシング,軌道レール等はマルテンサイト系ステンレス鋼材を使用している。この直動案内ユニットでは,スリーブを上記熱可塑性樹脂で作製したので,本直動案内ユニットを高速,高加速度のもとで使用しても,また,高温雰囲気の環境で使用しても,スリーブが熱変形をすることがなく,スリーブを通じて転動体に十分な潤滑剤即ちグリースを供給することができ,潤滑性能を向上させることができる。また,少なくとも2つに分割した分割円部材(半円部材)を組み合わせたスリーブには,複数の溝又はスリットが分割面に垂直に切り込まれているので,スリーブの分割円部材を成形加工する場合に,成形型の上型及び下型の形状がシンプルに形成できるので,スリーブの成形後に,上型と下型を分割面に対して垂直方向に移動させれば,加工品のスリーブから上型と下型を容易に取り外すことができ,製造コストを低減できる。
ここで,材料の熱変形温度とは,ASTM D648(曲げ応力4.6kgf/cm2 )で規定される温度である。また,スリーブを作製する熱可塑性樹脂としては,例えば,ポリイミド樹脂,ポリアミドイミド樹脂,ABS樹脂,PET樹脂,ポリアミド樹脂,ポリアセタール樹脂,PTFE樹脂,ポリフェニルサルファイド樹脂,或いはポリエーテルエーテルケトン樹脂を使用することができる。上記熱可塑性樹脂の熱変形温度を例示すると,ポリアミドイミド樹脂(282℃),ABS樹脂(82~122℃),ポリアミド66樹脂(208~239℃),ポリアミド6樹脂(144~208℃),ポリアセタール樹脂(158~170℃),或いはPTFE(121℃)を挙げることができる。なお,スリーブの熱変形温度の上限は,成形時の溶融のし易さ等に応じて適宜選択でき,例えば,上限温度が300℃以下の熱可塑性樹脂を用いることができる。
この発明による直動案内ユニットの一実施例を示す斜視図である。 図1の直動案内ユニットにおけるスライダを示す分解斜視図である。 図1の直動案内ユニットにおけるスリーブを示す斜視図である。 図3のスリーブを示し,(a)はスリーブの側面図であり,(b)は(a)の線分A-Aにおける断面図である。 図1の直動案内ユニットにおけるケーシングに形成した嵌挿孔にスリーブを嵌挿した状態のケーシングを部分的に示す断面図である。 図3に示すスリーブにグリースを充填した断面状態を示す説明図である。 この発明による直動案内ユニットに用いられるスリーブの別の例を示す斜視図である。 図7のスリーブを示し,(a)はスリーブの側面図であり,(b)は(a)の線分B-Bの位置における断面図である。 図7に示すスリーブにグリースを充填した断面状態を示す説明図である。 直動案内ユニットに用いられる各種のスリーブにおけるグリース中のオイル残存量の経時変化を,FTIRによって測定した結果を示すグラフである。
以下,図面を参照して,この発明による直動案内ユニットの実施例を説明する。この直動案内ユニットは,例えば,半導体製造装置,各種組立装置,NC加工機,測定・試験装置等の各種の装置の摺動部に適用でき,軌道レール1に対して長手方向に沿って相対移動するスライダ2を備えている。
まず,図1~図6を参照して,この発明による直動案内ユニットの第1実施例について説明する。この直動案内ユニットは,長手方向両側面29に沿って軌道溝11(第1軌道溝)が形成された軌道レール1,及び軌道レール1の軌道溝11に対向して軌道溝12(第2軌道溝)を備え且つ軌道レール1に対して複数の転動体であるボール9を介して相対摺動するスライダ2を有している。スライダ2は,軌道レール1に跨架するように上部と該上部の側部から垂下した袖部から構成されている。スライダ2は,概して,軌道溝12と該軌道溝12に沿って延びるリターン路15が形成されたケーシング3,ケーシング3の両端面19にそれぞれ配設されたスペーサ7を備え且つ軌道溝11と軌道溝12とで構成される軌道路13とリターン路15とを連通する円弧状の方向転換路14が形成されたエンドキャップ4,及びエンドキャップ4の端面に配設されたエンドシール6から構成されている。ケーシング3には,軌道溝12に沿って延びる嵌挿孔10が形成されており,嵌挿孔10にはリターン路15を形成するスリーブ5が嵌挿即ち挿入されている。この直動案内ユニットでは,軌道路13は,負荷軌道路であって,例えば,軌道レール1の軌道溝11とケーシング3の軌道溝12とに対して転動体であるボール9が四点接触するゴシックアーチ溝形式に形成されている。この直動案内ユニットでは,軌道路13,リターン路15及び一対の方向転換路14によって,ボール9が無限循環する循環路が形成される。ケーシング3には,ワーク,機器等の相手部材を取り付けるための取付け用ねじ孔が複数個形成されている。軌道レール1は,長手方向両側面29に沿って延びる軌道溝11に逃げ溝28が形成されており,逃げ溝28には,スライダ2に転動体のボール9を保持する保持バンド8が挿通している。軌道レール1には,ベッド,機器等のベースに取り付けるための取付け用孔が形成されている。また,エンドキャップ4の取付け用孔及びエンドシール6の取付け用孔に挿通した固定ボルト18を,ケーシング3の取付け用ねじ孔30に螺入することにによって,ケーシング3にスペーサ7,エンドキャップ4及びエンドシール43が固定される。方向転換路14は,エンドキャップ4に形成された外周側方向転換路とスペーサ7に形成された内周側方向転換路とが整合して形成されている。
この直動案内ユニットは,特に,ケーシング3の嵌挿孔10に挿通されるリターン路15を形成するスリーブ5が,熱変形温度が80℃を超える熱可塑性樹脂で形成されていることを特徴としている。また,スリーブ5には,その内周面16に潤滑溜まり即ちグリース溜まり27の空間22である溝20が形成されている。スリーブ5の熱変形温度は,特に,80℃を超え300℃以下即ち80℃~300℃の温度範囲内の材質が選定されている。具体的には,スリーブ5を形成する熱可塑性樹脂は,ポリイミド樹脂,ポリアミドイミド樹脂,ABS樹脂,ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂,ポリアミド樹脂,ポリアセタール樹脂,ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂,ポリフェニルサルファイド樹脂,ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂等の合成樹脂である。特に,前記熱可塑性樹脂として,ポリアミド樹脂は,ポリアミド66樹脂が好ましいものである。
また,この直動案内ユニットは,例えば,常時の温度で100℃,最高温度で120℃の高温環境下で使用されるものであるため,スライダ2を構成するエンドキャップ4を構成するエンドキャップ本体とスペーサ7とは,スリーブ5と同様に,熱変形温度が80℃を超える熱可塑性樹脂で形成されている。エンドキャップ4を構成する熱可塑性樹脂は,耐熱,耐摩耗性が高いポリアミド66で作製されてことが好ましく,例えば,「トレカ」(登録商標,東レ株式会社製の炭素繊維配合ポリアミド66)で形成されている。また,エンドシール6は,耐熱性が高いフッ素ゴムで形成されている。エンドキャップ4とスペーサ7の材料は,「トレカ」に限定されず,スリーブ5と同程度の熱変形温度の樹脂を用いることができる。
図3~図6に示すように,第1実施例のスリーブ5は,円筒状の部材を長手方向に沿った分割面26で2つに分割した一対の分割スリーブである分割円部材25(図では半円部材)を組み合わせて形成されている。分割円部材25の内周面16には,グリース溜まり27を形成する空間22を形成するため,分割面26に垂直に切り込まれた複数の溝20が形成されている。スリーブ5は,融点が265℃のポリアミド66即ちナイロン66(登録商標,東レ株式会社製,アミラン)を押出成形により形成することが好ましい。スリーブ5の内周面16には,長手方向に延在し且つ分割面26に垂直に延びる溝20が複数形成されている。スリーブ5の分割面26に垂直に延びる複数の溝20を形成しているため,金型(図示せず)からスリーブ5の分割円部材25を外す際に,径方向に容易に外すことができる。これらの溝20は,グリース溜まり27になり,リターン路15を転走するボールである転動体9に潤滑剤を供給することができるように形成されている。
次に,図7~図9を参照して,この発明による直動案内ユニットの第2実施例について説明する。第2実施例は,第1実施例と比較して,スリーブ5Aが異なる以外は同様の構成を有しているので,同様の点は同一符号を付して説明と図示を省略する。第2実施例は,スリーブ5Aを二分割したものであるが,三分割や四分割することもできる。第1実施例のスリーブ5は,その内周面16の一方の端部23から中間部24を通って他方に端部23まで延びる溝20を形成しているのに対して,第2実施例のスリーブ5Aは,長手方向に延在するスリット21を複数形成している点で異なっており,その点に特徴を有している。スリーブ5Aは,グリース溜まり27の空間22となる分割面26に垂直に切り込まれた複数のスリット21を有している。複数のスリット21は,スリーブ5Aの中間部24に形成されている。スリーブ5Aに形成されたスリット21は,グリース溜まり27となり,リターン路15を転走する転動体9に潤滑剤を供給できるように構成されている。この直動案内ユニットでは,グリースの充填状態は,例えば,図9に示すように,転動体9とグリース17の間に隙間31が形成されるように充填することができる。
この直動案内ユニットについて,120℃の環境下で耐久試験を行った結果について説明する。
第1実施例のスリーブ5を用いた試料1-1,試料1-2,及び第2実施例のスリーブ5Aを用いた試料2を用いた場合の高温環境下耐久試験を行った。比較例1,及び比較例2は,スリーブを用いない直接ケーシングにリターン路を形成したタイプの直動案内ユニットを試料とした。
なお,エンドキャップ4及びスペーサ7は,上述のトレカ製を用い,潤滑剤(グリース)の種類を変えて試験を行った。また,本試験に使用したグリースの使用上限温度はいずれも200℃である。また,試験に用いたステンレス鋼製の直動案内ユニットは,日本トムソン株式会社製 LWLF 18C1R・・・BHであり,レール幅18mm,基本動定格荷重(C)2280N,基本静定格荷重(Co)3810Nのものである。
<試験条件>
☆雰囲気温度:120℃
☆直動案内ユニットへの負荷:114N(下方向き荷重)
☆直動案内ユニットにおけるスライダ2のストローク:300mm
☆スライダ2の最高速度:60m/min
☆スライダ2の平均速度:34.7m/min
ここで.スライダ2の軌道レール1上の走行距離は,試験中の直動案内ユニットの振動値が設定値を超えた場合,又は摩耗粉の異常発生等の潤滑不良を確認した時点で試験を停止し,その時点の走行距離を測定した。直動案内ユニットについての高温環境下耐久試験の結果は,表1に示すとおりである。
Figure 0007260283000001
表1に示すように,第1実施例及び第2実施例のスリーブ5,5Aを用いた試料1-1,試料1-2,及び試料2は,スリーブを用いない比較例1,及び比較例2よりも走行距離が10~20倍程度に向上したことが分かる。これにより,第1実施例と第2実施例のスリーブ5を用いることにより,直動案内ユニットが潤滑不良で停止するまでの走行距離,いわゆる潤滑寿命が向上したと言える。なお,上記試験後に,スリーブ5,5A,エンドキャップ4,スペーサ7に摩耗等の異常は認められなかった。
ここで,第1実施例のスリーブ5がが潤滑寿命を向上した原理を説明する。
図6に示すように,グリース17を封入し,表1の試料1-1と同一条件で走行開始前(0hr),開始後24hr,104hr経過後の溝位置のグリース17を下記の測定条件でFTIR(ATR法,フーリエ変換赤外分光光度計)で測定した。その測定結果を,図10に示す。図10は,縦軸を吸光度(A),横軸を波数(cm-1)としたグラフである。なお,図10は,測定結果を見やすくするため,各時間のグリースに含まれている増ちょう剤(波数:3296cm-1)のピーク強度(吸光度)の値を揃えたときの基油(波数:2922cm-1)のピーク強度(吸光度)を比較したグラフである。
図10から明らかなように,直動案内ユニットの走行時間経過に伴い溝20位置の基油の吸光度が低下している。これにより,潤滑に寄与するグリース17中の基油が,溝20から転動体9へ徐々に供給されていると推察される。また,第2実施例のスリーブ5Aについても,スリット21のグリース17中の基油が転動体9へ徐々に供給されて,第1実施例と同様に潤滑寿命が向上したと推察される。したがって,溝20の深さの分だけ,グリース17の封入量を増加でき,かつ,増加したグリース17中の基油が転動体9へ徐々に供給された結果,表1のように,潤滑寿命を向上できたと推察される。なお,スリーブ5の材質は,上記のポリアミド66に限定されるものではなく,一般的なポリエチレンの熱変形温度を超える熱変形温度の熱可塑性樹脂,例えば,ポリイミド樹脂,ポリアミドイミド樹脂,ABS樹脂,PET樹脂,ポリアミド樹脂,ポリアセタール樹脂,PTFE樹脂,ポリフェニルサルファイド樹脂,ポリエーテルエーテルケトン樹脂等を用いることができる。
この直動案内ユニットについて,PTFE製のスリーブ5を使用する場合,PTFEになじみやすいフッ素系のグリース17を使用することになる。これに対し,ポリアミド66は使用できるグリースの選択肢が多いため,ポリアミド66(=ナイロン66:登録商標)でスリーブ5を形成することが好ましい。また,スリーブ5の形状は2分割に限定されるものではなく,一体に成形した円筒部材に溝,スリットを設ける構成を採用することができることは勿論である。なお,寸法が小さい直動案内ユニットを用いる場合には,溝やスリットを形成しやすい第1実施例及び第2実施例の2分割スリーブ25を用いることが好ましい。なお,スリーブ5,5Aに形成されるグリース溜まり27となる空間22は.溝20やスリット21に限定されるものではなく,複数の凹み,孔などに形成することができることは勿論である。また,スリーブ5,5Aの成形方法は,押出成形に限定されるものではなく,射出成形等を適宜選択することができる。また,第1実施例と第2実施例は,スリーブ5,5A,エンドキャップ4,スペーサ7をそれぞれ別々に形成したが,例えば,スリーブと同一の樹脂を用いて,スリーブの一端にスペーサを一体に形成することもできる。なお,スリーブ5,5A,エンドキャップ4,スペーサ7には,耐摩耗性を有する熱可塑性樹脂を用いることはいうまでもない。また,この発明による直動案内ユニットの用途としては,ワイヤボンディング装置等の高温の熱源を有する装置にも用いることができる。
この発明による直動案内ユニットは,例えば,各種の組立装置,各種の産業ロボット,精密機械,医療機器等の各種の装置における摺動部に組み込んで利用して好ましいものである。
1 軌道レール
2 スライダ
3 ケーシング
4 エンドキャップ
5,5A スリーブ
9 転動体(ボール)
10 嵌挿孔
11 軌道溝(第1軌道溝)
12 軌道溝(第2軌道溝)
13 軌道路
14 方向転換路
15 リターン路
16 内周面
17 グリース
19 端面
20 溝
21 スリット
22 空間
23 端部
24 中間部
25 分割円部材
26 分割面
27 グリース溜まり
29 側面

Claims (7)

  1. 長手方向両側面に沿って形成された第1軌道溝を備えた長尺状の軌道レール及び前記軌道レールの前記長手方向に摺動自在なスライダを有し,
    前記スライダは,前記軌道レールの前記第1軌道溝に対向して延びる第2軌道溝と前記第2軌道溝に沿って延びる嵌挿孔が形成されたケーシング,前記嵌挿孔に挿通されてリターン路を形成するスリーブ,前記ケーシングの両端面にそれぞれ取り付けられ且つ前記第1軌道溝と前記第2軌道溝との間に形成される軌道路と前記リターン路とに連通する方向転換路が形成された一対のエンドキャップを備え、
    前記軌道路と前記リターン路と一対の前記方向転換路とで構成される循環路を転走する複数の転動体であるボールを有することから成る直動案内ユニットにおいて,
    前記スリーブは,熱変形温度が80℃を超える熱可塑性樹脂で形成され,前記スリーブには,グリース溜まりの空間が形成されており、
    前記スリーブは,円筒状の部材を長手方向に沿って少なくとも2つに分割した半円部材を組み合わせて形成されており,前記グリース溜まりの前記空間を形成するため,前記半円部材の分割面から離れた位置において前記分割面対して垂直に切り込まれ、前記分割面に対して平行に伸びる底面を有する複数の溝が形成されており、
    前記複数の溝の前記底面は前記分割面を通過しない位置に形成されていることを特徴とする直動案内ユニット。
  2. 長手方向両側面に沿って形成された第1軌道溝を備えた長尺状の軌道レール及び前記軌道レールの前記長手方向に摺動自在なスライダを有し,
    前記スライダは,前記軌道レールの前記第1軌道溝に対向して延びる第2軌道溝と前記第2軌道溝に沿って延びる嵌挿孔が形成されたケーシング,前記嵌挿孔に挿通されてリターン路を形成するスリーブ,前記ケーシングの両端面にそれぞれ取り付けられ且つ前記第1軌道溝と前記第2軌道溝との間に形成される軌道路と前記リターン路とに連通する方向転換路が形成された一対のエンドキャップを備え、
    前記軌道路と前記リターン路と一対の前記方向転換路とで構成される循環路を転走する複数の転動体であるボールを有することから成る直動案内ユニットにおいて,
    前記スリーブは,熱変形温度が80℃を超える熱可塑性樹脂で形成され,前記スリーブには,グリース溜まりの空間が形成されており、
    前記スリーブは,円筒状の部材を長手方向に沿って少なくとも2つに分割した半円部材を組み合わせて形成されており,前記グリース溜まりの前記空間を形成するため,前記半円部材の分割面に対して垂直に切り込まれた複数のスリットが形成されており、
    前記複数のスリットのそれぞれは、前記分割面から連続して延びる前記スリーブの内周面を介して前記分割面から離れた位置にあり前記分割面に対して垂直な面であるスリット壁面によって規定され、
    前記分割面に対して垂直方向に前記スリーブの壁面を貫通して延在し、前記スリット壁面は前記分割面から離隔した位置に形成されていることを特徴とする直動案内ユニット。
  3. 前記スリーブの前記熱変形温度は,80℃~300℃の範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の直動案内ユニット。
  4. 前記熱可塑性樹脂は,ポリイミド樹脂,ポリアミドイミド樹脂,ABS樹脂,ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂,ポリアミド樹脂,ポリアセタール樹脂,ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂,ポリフェニルサルファイド樹脂,又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
  5. 前記熱可塑性樹脂の前記ポリアミド樹脂は,ポリアミド66樹脂であることを特徴とする請求項に記載の直動案内ユニット。
  6. 前記エンドキャップは,熱変形温度が80℃を超える熱可塑性樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
  7. 前記エンドキャップの熱変形温度は,80℃~300℃の範囲内であることを特徴とする請求項に記載の直動案内ユニット。
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