JP7259764B2 - 5-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタンの製造方法及び1-クロロ-2,3,3,4,4,5,5-ヘプタフルオロペンテンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、5-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタンの製造方法及び1-クロロ-2,3,3,4,4,5,5-ヘプタフルオロペンテンの製造方法に関する。
1-クロロ-2,3,3,4,4,5,5-ヘプタフルオロ-1-ペンテン(CHCl=CFCFCFCFH;HCFO-1437dycc)は、新しい洗浄剤、冷媒、発泡剤、溶剤、及びエアゾール、又はそれらの合成原料として用いられるものである。例えば、5-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタン(CFHCFCFCFCClH、HCFC-448occc)は、HCFO-1437dyccを製造するための合成原料として用いられる。
HCFC-448occcを製造する方法として、非特許文献1には、ポリフッ素化アルコールのトリエチルアミン錯体を塩化チオニルと反応させて、ポリフルオロアルキルクロロサルファイトを得たのち、ポリフルオロアルキルクロロサルファイトをジエチレングリコールの存在下でLiCl等のアルカリ金属ハロゲン化物と反応させて、HCFC-448occcを得る方法が開示されている。この方法では、ポリフッ素化アルコールからポリフルオロアルキルクロロサルファイトを得る反応において、トリエチルアミン塩酸塩が析出するため、析出した塩を除去するためのろ過処理が必要になる。また、ポリフルオロアルキルクロロサルファイトからHCFC-448occcを得る反応においては、ジエチレングリコールを使用するため、容積効率が悪く、結果として生産性が低くなるという問題がある。
また、非特許文献2には、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンタノールをトリフェニル塩化リンと反応させて、HCFC-448occcを得る方法が開示されている。上記した製造方法において、トリフェニル塩化リンは、反応後に固形分となって残るため、後処理工程が複雑化するという問題がある。
さらに、非特許文献2には、上記でHCFC-448occcを得たのち、HCFC-448occcをナトリウムメトキシドと反応させることにより、HCFC-448occcを脱フッ化水素させてHCFO-1437dyccを得る方法が開示されている。しかし、上記の方法では、目的物であるHCFO-1437dyccとナトリウムメトキシドが反応すると考えられるため、結果としてHCFO-1437dyccの収率が50%程度と低く、工業的に有用な製法であるとは言い難い。
Polyfluoroalkyl Chlorosulfites as New Polyfluorinating Agents,(ロシア),2002年,75巻,7号,1162-1165頁 Zhurnal Organicheskoi Khimii, (ロシア),1988年,24巻,8号,1626-1633頁
本発明は、複雑な後処理工程が不要で、高選択率で5-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタン(HCFC-448occc)を製造することのできる効率的な製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、入手容易な原料を用いて、工業的に有利な方法で、1-クロロ-2,3,3,4,4,5,5-ヘプタフルオロペンテン(HCFO-1437dycc)を高選択率かつ高収率で製造できる効率的なHCFO-1437dyccの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の[1]~[12]に記載の構成を有する5-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタンの製造方法及び[12]に記載の構成を有する1-クロロ-2,3,3,4,4,5,5-ヘプタフルオロペンテンの製造方法を提供する。
[1]N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ピリジン及びテトラメチル尿素からなる群より選ばれる少なくとも1種の含窒素有機化合物の存在下、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンタノールと塩化チオニルを反応させて2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトを製造する第1の工程と、前記2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトを熱分解することにより、5-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタンを得る第2の工程とを有することを特徴とする5-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタンの製造方法。
[2] 前記第1の工程において、反応温度が0~70℃である請求項[1]に記載の5-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタンの製造方法。
[3] 前記第1の工程において、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンタノールに対する塩化チオニルのモル比(塩化チオニル/2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンタノール)が0.1~5である[1]又は[2]に記載の5-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタンの製造方法。
[4]前記第1の工程において、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンタノールと塩化チオニルの一方の所定量を被供給物とし、他方を被供給物の単位モル量あたりの添加量として0.0015~5mol/mol・minの速度で添加する[1]~[3]のいずれかに記載の5-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタンの製造方法。
[5]前記第1の工程において、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンタノールと塩化チオニルの接触時間を1~8時間とする[1]~[4]のいずれかに記載の5-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタンの製造方法。
[6]前記第1の工程において、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンタノールに対する含窒素有機化合物の質量比(含窒素有機化合物/2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンタノール)が0.001~1である[1]~[5]のいずれかに記載の5-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタンの製造方法。
[7]前記第2の工程において、熱分解の反応温度が70~170℃である[1]~[6]のいずれかに記載の5-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタンの製造方法。
[8]前記第2の工程において、溶媒中で熱分解反応を行う[1]~[7]のいずれかに記載の5-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタンの製造方法。
[9]前記第2の工程において、前記溶媒が含窒素有機化合物である[8]に記載の5-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタンの製造方法。
[10]前記第2の工程において、前記溶媒がN,N-ジメチルホルムアミドである[8]又は[9]に記載の5-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタンの製造方法。
[11]前記第2の工程において、前記2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトに対する前記溶媒の質量比(溶媒/2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイト)が0.01~1である[8]~[10]のいずれかに記載の5-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタンの製造方法。
[12][1]~[11]のいずれかに記載の製造方法により、5-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタンを得、得られた5-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタンを、塩基水溶液中で脱フッ化水素反応させることにより、1-クロロ-2,3,3,4,4,5,5-ヘプタフルオロペンテンを得ることを特徴とする、1-クロロ-2,3,3,4,4,5,5-ヘプタフルオロペンテンの製造方法。
なお、本明細書において、ハロゲン化炭化水素については、化合物名の後の括弧内にその化合物の略称を記すが、必要に応じて化合物名に代えてその略称を用いる。また、略称として、ハイフン(-)より後ろの数字およびアルファベット小文字部分だけ(例えば、「HCFC-448occc」においては「448occc」、「HCFO-1437dycc」においては「1437dycc」)を用いることがある。
また、1437dyccは、二重結合を有する炭素に結合された置換基の位置により、幾何異性体であるZ体とE体が存在する。本明細書中で、Z体とE体が存在する化合物について、特に断らずに化合物名や化合物の略称を用いた場合には、Z体もしくはE体、またはZ体とE体の任意の割合の混合物を示す。化合物名や化合物の略称の後ろに(Z)または(E)を付した場合には、それぞれの化合物のZ体またはE体であることを示す。
本発明の448occcの製造方法によれば、複雑な後処理工程が不要で、高選択率で448occcを効率的に製造することができる。
本発明の1437dyccの製造方法によれば、入手容易な原料を用いて、工業的に有利な方法で、1437dyccを高選択率かつ高収率で製造できる。
実施形態の448occcの製造方法に使用される装置の一例を示す図である。 実施形態の448occcの製造方法に使用される他の装置の一例を示す図である。 実施形態の1437dyccの製造方法に使用される反応装置の一例を示す図である。
<448occcの製造方法>
以下、本実施形態の5-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタン(CFHCFCFCFCClH)の製造方法について具体的に説明する。
本実施形態の448occcの製造方法は、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ピリジン及びテトラメチル尿素からなる群より選ばれる少なくとも1種の含窒素有機化合物(以下、単に「含窒素有機化合物」とも記す。)の存在下、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンタノール(CFHCFCFCFCHOH、以下「OFPO」と記す。)と塩化チオニル(SOCl)とを反応させて2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイト(CFHCFCFCFCHOSOCl)を製造する第1の工程と、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトを熱分解することにより、448occcを得る第2の工程と、を有する。
第1の工程におけるOFPOと塩化チオニルの反応は、下記式(1)で表される。
Figure 0007259764000001
なお、上記反応においては、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトとともに、副生成物として、下記式(2)に示される1-ペンタノール-2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1,1-サルファイトが生成することがある。そのため、上記反応の生成物は、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトと、上記反応で副生物が生成する場合にはその副生物を含む組成物として得られる。ここで、1-ペンタノール-2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1,1-サルファイトは、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトにさらにOFPOが1分子付加したものである。以下、1-ペンタノール-2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1,1-サルファイトを「OFPO二付加体」とも記す。
Figure 0007259764000002
第1の工程は、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ピリジン及びテトラメチル尿素からなる群より選ばれる少なくとも1種の含窒素有機化合物の存在下で行う。含窒素有機化合物は、式(1)の反応において触媒作用を有し、OFPOと塩化チオニルの反応を促進させることができる。含窒素有機化合物としては、十分な反応速度を得る点から、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)が好ましい。含窒素有機化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
第1の工程において、OFPOに対する含窒素有機化合物の質量比(含窒素有機化合物/OFPO)は、0.001~1であることが好ましい。質量比(含窒素有機化合物/OFPO)が上記範囲内であると、十分な反応速度を得ることができる。また、副生成物であるOFPO二付加体等の生成が抑制され、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトの選択率が増加する。質量比(含窒素有機化合物/OFPO)は、OFPO二付加体等の生成をさらに抑制できる点から、0.002以上がより好ましく、0.005以上がさらに好ましい。また、質量比(含窒素有機化合物/OFPO)は、0.5以下がより好ましく、0.1以下がさらに好ましい。
第1の工程において、OFPOに対する塩化チオニルのモル比(塩化チオニル/OFPO)は、0.1~5であることが好ましい。モル比(塩化チオニル/OFPO)が上記範囲内であると、副生成物であるOFPO二付加体等の生成が抑制され、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトの選択率が増加する。モル比(塩化チオニル/OFPO)は、原料の転化率を高くできる点から0.3以上がより好ましく、0.5以上がさらに好ましく、0.8以上が特に好ましい。また、モル比(塩化チオニル/OFPO)は、4以下がより好ましい。
第1の工程において、反応温度は70℃以下であることが好ましい。反応温度は70℃以下であれば、OFPOの転化率及び2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトの選択率が向上する。
また、第1の工程において、反応温度は0℃以上となるように行うことが好ましい。反応温度が0℃以上であると、十分な反応速度を得ることができる。第1の工程における反応温度は、反応を有効に進行させ、さらに反応速度を大きくできる点から、20℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましい。
反応が急激に進行すると、塩化水素ガスが多量に発生して、反応器内の圧力が上昇して反応器が破損するおそれがある。また、塩化水素ガスが多量に発生すると、OFPO、塩化チオニル等の原料、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトが塩化水素ガスとともに反応器外に排出されるおそれがある。
以上のことから、第1の工程は、反応温度が0℃~70℃で行うことが好ましく、30℃~70℃で行うことがより好ましい。この範囲であれば、反応を有効に進行させ、高選択率で2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトが得られる。
第1の工程は、バッチ式で行ってもよく、連続式で行ってもよい。第1の工程は、バッチ式で行う場合、OFPOと塩化チオニルの一方の所定量を被供給物として反応器内に収容し、他方を反応器内の被供給物に徐々に添加することにより行うことができる。第1の工程は、例えば、塩化チオニルを被供給物としてその所定量を反応器内に収容し、OFPOを塩化チオニルに徐々に添加するか、又は、OFPOを被供給物としてその所定量を反応器内に収容し、塩化チオニルをOFPOに徐々に添加することにより行うことができる。このとき、含窒素有機化合物は、OFPO又は塩化チオニルにあらかじめ混合することが好ましい。含窒素有機化合物は、所定量の全部をOFPOと塩化チオニルのいずれに混合してもよい。また、含窒素有機化合物は、所定量をOFPOと塩化チオニルに分割して混合してもよい。
また、第1の工程は、上記のようにバッチ式で行う場合、OFPOと塩化チオニルのいずれか一方の所定量からなる被供給物に添加する、OFPOと塩化チオニルのうちの他方の化合物の添加速度は、被供給物の単位モル(1mol)あたりの添加量として、0.0015~5mol/mol・minであることが好ましい。添加速度が0.0015mol/mol・min以上であれば、反応を十分に進めることができ、添加速度が5mol/mol・min以下であれば、副生成物であるOFPO二付加体等の生成を抑制することができる。添加速度は、0.0125mol/mol・min以上であることがより好ましく、1.5mol/mol・min以下であることがより好ましい。
第1の工程は、連続式で行う場合、所定のモル比でOFPO、塩化チオニル及び含窒素有機化合物を所定の供給速度で連続的に反応器内へ供給し、これらを反応器内において所定の時間、接触させて行うことができる。この場合、含窒素有機化合物は、OFPO又は塩化チオニルとあらかじめ混合して反応器内へ供給することが、操作効率の点で好ましい。第1の工程を連続式で行う場合、OFPO、塩化チオニル及び含窒素有機化合物の反応器への供給速度は、各化合物の供給流量によって調節される。
第1の工程を連続式で行う場合、反応器内へのOFPOの供給速度を、塩化チオニルの1分あたりの供給量(モル量)に対して、0.0015~5mol/mol・minとなるように供給するか、あるいは、塩化チオニルの供給速度を、OFPOの1分あたりの供給量(モル量)に対して、0.0015~5mol/mol・minとなるように供給するか、のいずれかが好ましい。
第1の工程における反応時間は、OFPO及び塩化チオニルの量にもよるが、例えば1~8時間である。第1の工程における反応時間は、OFPOと塩化チオニルの接触時間で表される。例えば、上記したように、第1の工程をバッチ式で行い、OFPOと塩化チオニルの一方の所定量を被供給物として反応器内に収容し、他方を反応器内の被供給物に徐々に添加することにより行う場合には、OFPOと塩化チオニルの一方を被供給物として、他方の供給開始から、塩化水素ガスの発生が収まって反応が終了するまでの時間である。第1の工程を連続式で行う場合、反応時間は、反応器内でのOFPOと塩化チオニルの滞留時間である。
なお、OFPOと塩化チオニルとの反応系に水が存在する場合、塩化チオニルと水との反応により、塩化チオニルが二酸化硫黄と塩化水素とに分解する。また、反応系に水が存在する場合、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトがOFPOと二酸化硫黄と塩化水素とに分解する。したがって、これらの分解を抑制するために、反応系内の水は極力低減することが好ましい。水を低減する方法として、例えば、乾燥ガスにより反応系の雰囲気を置換する方法が挙げられる。水分量は、OFPOの全量に対して、1000質量ppm以下であることが好ましく、500質量ppm以下がより好ましく、100質量ppm以下がさらに好ましい。
また、OFPOと塩化チオニルとの反応において、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトの選択率を高める点から、OFPO以外のアルコールを含まないことが好ましい。OFPO以外のアルコールの量はOFPOの全量に対して1000質量ppm以下であることが好ましく、500質量ppm以下がより好ましく、100質量ppm以下がさらに好ましい。
OFPOや含窒素有機化合物は、例えば保存中に、大気中の水分(湿気)などが混合されて、OFPOと水の混合物あるいは含窒素有機化合物と水の混合物の状態で存在する場合がある。このような場合にも、上記と同様の理由により、OFPOと水の混合物あるいは含窒素有機化合物と水の混合物に含まれる水を極力低減してから、OFPOや含窒素有機化合物を反応器に供給することが好ましい。水を低減する方法として、例えば、OFPOと水の混合物又は含窒素有機化合物と水の混合物をゼオライトやシリカなどの乾燥剤に接触させて水を除去するか、又はOFPOと水の混合物及び含窒素有機化合物と水の混合物を混合した後に、ゼオライトやシリカなどの乾燥剤に接触させて水を除去する方法が挙げられる。
OFPOと水の混合物及び含窒素有機化合物と水の混合物からそれぞれ水を除去する場合は、OFPOと水の混合物又は含窒素有機化合物と水の混合物中の水分量はOFPO又は含窒素有機化合物各々の量(OFPOの量又は含窒素有機化合物の量)に対して、1000質量ppm以下であることが好ましく、500質量ppm以下がより好ましく、100質量ppm以下がさらに好ましい。また、OFPOと水の混合物及び含窒素有機化合物と水の混合物を混合して水を除去する場合は、OFPOと含窒素有機化合物と水の混合物中の水分量はOFPO及び含窒素有機化合物の総量(OFPOの量及びDMFの量の総量)に対して、1000質量ppm以下であることが好ましく、500質量ppm以下がより好ましく、100質量ppm以下がさらに好ましい。
第1の工程において、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトを含む組成物が得られる。2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトを含む組成物は、例えば、含窒素有機化合物、未反応原料であるOFPO及び塩化チオニルを含んでいてもよく、副生物としてOFPO二付加体を含んでいてもよい。
また、第1の工程において含窒素有機化合物としてDMFを用いる場合、第1の工程で得られる2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトを含む組成物は2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトの一部又は全部がDMFと反応して得られる下記式(3)に示される化合物を含むことがある。以下、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトを「中間体」とも記す。また、式(3)に示される化合物を「中間体-DMF付加体」とも記す。第2の工程において、該中間体-DMF付加体が熱分解されることにより448occcが生成すると推定される。
Figure 0007259764000003
第2の工程では、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトを熱分解することにより、448occcを得る。
第2の工程では、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトのみを熱分解してもよく、第1の工程において得られる、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトを含む組成物の状態で熱分解してもよい。
第2の工程において、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトを熱分解することにより、下記式(4)に示すように448occcを生成する。具体的には、脱二酸化硫黄反応により448occcを生成する。
Figure 0007259764000004
熱分解の温度は、70℃以上が好ましい。温度が70℃以上であると、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトの熱分解が促進される。熱分解がさらに促進される点から、80℃以上がより好ましく、100℃以上がさらに好ましく、反応速度と中間体の転化率を高くできる点から110℃超が特に好ましく、115℃以上が最も好ましい。また、熱分解の温度は、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトが熱分解する前に揮発することを抑えられ、448occcの収率を向上させることができる点から170℃以下が好ましい。なお、熱分解の温度とは、熱分解を行う反応器内の温度、より具体的には反応器内の液相の温度のことをいう。
さらに、含窒素有機化合物としてDMFを用いる場合、反応温度を170℃以上にすると、DMFが分解してギ酸となり、ギ酸が2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトと反応することにより下記式(5)に示される2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルホルメートが副生する。この副生物の生成を抑制できる点からも、反応温度は170℃以下が好ましい。以下、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルホルメートを「中間体-ギ酸付加体」と記す。
Figure 0007259764000005
第2の工程において、熱分解は、溶媒の存在下で行うことが好ましい。溶媒を用いることで、448occcの生成を促進することができる。溶媒は、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトと448occcを溶解することができ、上記式(4)の反応において不活性な化合物である。溶媒としては、前述の含窒素有機化合物を使用することができ、具体的には、DMF、テトラメチル尿素、ジメチルアセトアミド、ピリジンなどを使用することができる。なかでも、448occcを効率的に得ることができる点から、DMFが特に好ましい。溶媒は、第1の工程で使用した含窒素有機化合物と同じ化合物を用いることが好ましい。
第2の工程において、熱分解を溶媒の存在下で行う場合、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトに対する溶媒の質量比(溶媒/2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイト)は、0.01~1であることが好ましい。溶媒の量が上記範囲内であれば、448occcの生成をさらに促進することができ、高い収率で448occcが得られる。
第2の工程における熱分解は、バッチ式で行っても連続式で行ってもよい。製造効率の点で、連続式で行うのが好ましい。第2の工程における熱分解の圧力は、常圧、減圧又は加圧でもよい。
第2の工程をバッチ式で実施する場合、熱分解に供される2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトの量や供給速度にもよるが、例えば、1~40時間で熱分解を行うことが好ましい。
第2の工程においては448occcを含む組成物を得ることができる。得られた448occcを含む組成物には、目的物である448occcのほか、未反応の2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイト、OFPO、OFPO二付加体、塩化水素及び二酸化硫黄等が含まれることがある。含窒素有機化合物又は溶媒としてDMFを使用した場合には、448occcを含む組成物には、DMF、中間体-DMF付加体、中間体-ギ酸付加体等が含まれることがある。
448occcを含む組成物中の塩化水素及び二酸化硫黄を中和するために、448occcを含む組成物をアルカリ水溶液に接触させることが好ましい。このとき使用されるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等が挙げられる。アルカリ水溶液との接触後、448occcを含む組成物を、有機相と水相とに分離する。448occcは有機相に含まれるため、有機相を分離して回収することにより448occcを得ることができる。
なお、不純物の中和のために、448occcを含む組成物を、上記のようにアルカリ水溶液に接触させる方法としては、相関移動触媒や水溶性有機溶媒の非存在下で、短時間で行うことが好ましい。これにより、448occc自体がアルカリ水溶液と十分に接触することがなく、後述するようなアルカリ水溶液と接触させることで、448occcから1437dyccが生成する脱フッ化水素反応を抑制できる。
第2の工程において2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトを熱分解することにより、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトの転化率を50%以上とすることができる。
また、本発明によれば、第2の工程を経ることにより、448occcの選択率を50%以上にすることができる。ここで、448occcの選択率(%)とは、第2の工程で消費された中間体のモル量に対する第2の工程で得られた448occcを含む組成物中の448occcのモル量の割合((生成した448occcのモル量)/(消費された中間体のモル量)×100)である。
なお、448occcを含む組成物をアルカリ水溶液に接触させる場合、448occcの選択率は、第2の工程で消費された中間体のモル量に対する留出液をアルカリ水溶液に接触させて得られる有機相中の448occcのモル量の割合((448occcのモル量)/(消費された中間体のモル量)×100)として求められる。
有機相に含まれる448occ以外の化合物、例えば、OFPO、OFPO二付加体、含窒素有機化合物、溶媒、DMF、中間体-DMF付加体、中間体-ギ酸付加体は通常の蒸留によって分離することができ、これにより、高純度の448occcが得られる。448occcを含む組成物の蒸留は常圧、減圧、加圧のいずれ実施してもよく、減圧で行うのが好ましい。
また、第2の工程は、蒸留塔を備えた反応器を用いて反応蒸留によって実施してもよい。反応蒸留によって蒸留塔のトップから高純度の448occcを留分として抜き出すことで、後の蒸留工程の負荷を低減することができる。反応蒸留を行う反応器内および蒸留塔内の圧力は、高純度の448occcを得る、そして448occcの回収量を増加させるという点で30~2000hPaが好ましく、100~1500hPaがより好ましく、200~1100hPaがさらに好ましい。また、釜残液として残った448occcを含む組成物を抜き出して、蒸留することにより、さらに448occcの回収量を高めることができる。
第1の工程、第2の工程及び蒸留を経ることにより、448occcを含む組成物中のOFPO二付加体の含有量を10質量%未満にすることができる。OFPO二付加体の含有量は、7質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
また、本発明によれば、第1の工程、第2の工程及び蒸留を経ることにより、得られる448occcを含む組成物中における448occcの含有量を80質量%以上にすることができる。448occcの含有量は85質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。
第1の工程、第2の工程は、同一の反応装置を用いてもよいし、異なる反応装置を用いてもよい。第1の工程及び第2の工程の双方に用いることができる反応装置としては、例えば、反応器及び温度調整器等を有するものが挙げられる。
反応器としては、OFPOと塩化チオニルとを導入して反応させることができ、かつ2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトを熱分解させることができるものであればよい。このような反応器の材質としては、ガラス、SUS等のステンレス鋼、ガラスライニング材、樹脂ライニング材等が挙げられる。
温度調整部としては、OFPOと塩化チオニルとの反応温度を調整することができ、かつ2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトの熱分解時の温度を調整することができるものであればよい。このようなものとしては、オイルバスや加熱ヒーター等が挙げられる。なお、温度調整部は、反応器に一体的に設けられていてもよい。
一方、第1の工程と第2の工程とに異なる反応装置を用いる場合、各工程に使用される反応装置は、その工程に必要な機能のみを備えればよい。第1の工程と第2の工程とに異なる反応装置を用いることにより、例えば、工業的に用いられる装置を用いることができ、448occcの量産化等が容易となる。
図1は、第1の工程を上記バッチ式で行い、第2の工程を連続式で行う場合に用いられる装置であって、工業的に用いられる装置の一例を示したものである。
図1では、第1の工程で、被供給物として所定量の塩化チオニルを反応器11内に収容し、ここに、OFPOと含窒素有機化合物の混合液を所定の供給速度で連続的に供給して行う装置を例に説明するがこれに限定されない。反応装置10は、反応器11と、反応器11にOFPOと含窒素有機化合物の混合液を供給する原料供給手段12と、反応器11から反応後の液相を取り出し、第2の工程を行う反応器14に供給する給液手段13とを備えている。反応装置10は、さらに反応器14から反応後の液相を取り出す手段15を備えている。
また、反応器11及び反応器14は図示しない温度調節器によって反応器内の温度を調節するように構成されている。反応装置10は、反応器14から取り出した反応後の液相をアルカリ水溶液と接触させるアルカリ洗浄手段16及びアルカリ水溶液と接触させた後の上記液相を有機相と水相に分離する分離手段17を備えている。
反応装置10においては、塩化チオニルが反応器11内に収容された状態で、原料供給手段12からOFPOと含窒素有機化合物の混合液が所定の供給流量で反応器11内に供給され、塩化チオニルに添加される。OFPOと含窒素有機化合物の混合液の供給流量は例えばマスフローコントローラー等を設置して自動で制御することができる。反応器11内で、含窒素有機化合物の存在下、塩化チオニルとOFPOが反応して、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトが生成する。生成した2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトを含む組成物からなる液相は、次いで、給液手段13によって、反応器14に供給される。
反応器14内で、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトを含む組成物が図示しない温度調節器によって所定の温度に加熱され、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトが熱分解されて、448occcが生成する。生成した448occcを含む組成物からなる液相は、送液手段15によって、反応器14から取り出され、アルカリ洗浄手段16を通過されてアルカリ水溶液と接触され、その後、分離手段17によって有機相と水相に分離される。このようにして分離された有機相内に目的物である448occcを得ることができる。
図2は、第1の工程及び第2の工程をいずれも連続式で行う場合に用いられる装置であって、工業的に用いられる装置の一例を示したものである。
図2に示す反応装置20は、第1の工程を行う反応器21と、反応器21に塩化チオニルを供給する原料供給手段22aと、OFPOを供給する原料供給手段22bと、含窒素有機化合物を供給する原料供給手段22cとを供えている。また、反応装置20は、反応器21から反応後の液相を取り出し、第2の工程を行う反応器24に供給する給液手段23を備えている。反応装置20は、さらに反応器24から反応後の液相を取り出す手段25を備えている。
また、反応器21及び反応器24は図示しない温度調節器によって反応器内の温度を調節するように構成されている。反応装置20は、反応器24から取り出した反応後の液相をアルカリ水溶液と接触させるアルカリ洗浄手段26及びアルカリ水溶液と接触された後の上記液相を有機相と水相に分離する分離手段27を備えている。
塩化チオニル、OFPO及び含窒素有機化合物が原料供給手段22a~22cによって所定の供給流量で反応器21内に供給される。この際、含窒素有機化合物は塩化チオニル又はOFPOの任意の一方に混合されて、反応器21に供給されてもよい。塩化チオニル、OFPO及び含窒素有機化合物の反応器21への供給流量は例えばマスフローコントローラー等を設置して自動で制御することができる。反応器21内で、含窒素有機化合物の存在下、塩化チオニルとOFPOが反応して、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトが生成する。生成した2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトを含む組成物からなる液相は、次いで、給液手段23によって、反応器24に供給される。
反応器24内で、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトを含む組成物が図示しない温度調節器によって所定の温度に加熱され、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトが熱分解されて、448occcが生成する。生成した448occcを含む組成物からなる液相は、送液手段25によって、反応器24から取り出され、アルカリ洗浄手段26を通過してアルカリ水溶液と接触した後、分離手段27によって有機相と水相に分離される。
この様にして分離された有機相内に目的物である448occcを得ることができる。
<1437dyccの製造方法>
本発明の1-クロロ-2,3,3,4,4,5,5-ヘプタフルオロペンテン(1437dycc)の製造方法は、上記した本発明の方法で、5-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタン(448occc)を得、得られた448occcを塩基の水溶液中で、脱フッ化水素反応させ、1437dyccを得るものである。
本実施形態の1437dyccの製造方法に係る反応は、以下の式(6)で示される。
Figure 0007259764000006
本実施形態の製造方法で得られる1437dyccは、燃焼性を抑えるハロゲンの割合が高いうえに、大気中のOHラジカルによって分解され易い炭素-炭素二重結合を分子内に有しており、燃焼性が低く、オゾン層への影響が少なく、かつ地球温暖化への影響が少ない。したがって、溶剤や、作動媒体(熱交換等に用いる熱媒体、熱サイクルシステム等に用いる作動媒体等)としての有用性が高い。
本実施形態の製造方法で得られる1437dyccは、Z体のみであってもE体のみであってもZ体とE体の混合物であってもよい。Z体である1437dycc(Z)は、E体である1437dycc(E)よりも化学的安定性が高く、溶剤や作動媒体としてより好ましい。そして、本実施形態の製造方法によれば、1437dycc(Z)を含む1437dyccを効率的に製造できる。さらに、本実施形態の製造方法によれば、1437dycc(E)に比べて1437dycc(Z)の含有割合が高い1437dyccを得ることができる。
本実施形態の1437dyccの製造方法は、上記のように、式(6)で示される反応(以下、反応(6)と記す。)に従い、塩基の水溶液中で448occcを脱フッ化水素反応させるものである。
反応(6)の出発原料としては、448occcを含有するものであればよく、例えば、上記実施形態の448occcの製造方法で得られた448occcを使用することができる。上記実施形態の448occcの製造方法により得られる448occcを含む粗液をそのまま用いてもよく、該粗液を公知の方法により精製してから用いてもよい。反応(6)の出発原料としては、経済性の観点からは、448occcの製造方法における448occc以外の副生物や未反応原料などの不純物を含んでもよいが、448occcの他に不純物を含まないものが概念上は好ましい。不純物は、448occcの脱フッ化水素反応を阻害しないような化合物が好ましい。不純物としては、1437dycc、OFPO、DMF等が例示できる。
出発原料が不純物を含む場合の、不純物と448occcの総量に対する448occcの割合は、85質量%以上100質量%未満が好ましく、90質量%以上99質量%以下がより好ましい。
また、反応(6)の出発原料が1437dycc、OFPO及びDMFから選ばれる少なくとも1種の化合物を含む場合、1437dycc、OFPO及びDMFの総量の割合は、効率よく1437dyccを製造するために、出発原料の総量に対して、0質量%を超え15質量%以下が好ましく、0.1質量%以上7質量%以下がより好ましい。
反応(6)の出発原料がOFPOを含む場合、OFPOの含有割合は出発原料の総量に対して0質量%超3質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上1質量%以下がより好ましい。OFPOの含有量が上記範囲内であれば、製造コストを抑えられ、かつ1437dyccの選択率がさらに向上する。
反応(6)における塩基としては、反応(6)の脱フッ化水素反応が実行可能な塩基であれば、特に限定されない。塩基は、金属水酸化物、金属酸化物及び金属炭酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
金属水酸化物としては、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属水酸化物などが挙げられる。アルカリ土類金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムが好ましく、アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。金属水酸化物は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
金属酸化物としては、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物などが挙げられる。アルカリ金属酸化物としては、酸化ナトリウムが好ましく、アルカリ土類金属酸化物としては、酸化カルシウムが好ましい。また金属酸化物は、1種であってもよく、2種以上であってもよく、さらには、2種以上の金属の複合酸化物であってもよい。
金属炭酸塩としては、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩などが挙げられる。アルカリ金属炭酸塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムまたはフランシウムの炭酸塩が挙げられる。アルカリ土類金属炭酸塩としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム又はラジウムの炭酸塩が挙げられる。金属炭酸塩は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
上記した塩基のうち、金属水酸化物を用いることが好ましい。金属水酸化物としては、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムから選ばれる少なくとも1種が好ましい。水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムを単独で用いてもよく、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムを併用してもよい。
448occcに対する塩基の量は、448occcの転化率及び1437dyccの選択率を向上させる観点から、448occcの1モルに対して0.5~10モルが好ましく、0.5~5.0モルがより好ましく、0.5~2.5モルがさらに好ましく、0.5~2.0モルが最も好ましい。
反応(6)において、塩基は、塩基の水溶液として用いられる。塩基の水溶液としては、アルカリ金属水酸化物水溶液が好ましく、水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液がより好ましい。
塩基の水溶液の総量に対する塩基の量は、0.5~40質量%が好ましく、10~40質量%がより好ましい。塩基の水溶液の総量に対する塩基の量が上記下限値以上であれば、十分な反応速度が得られやすく、2層分離による目的物の分離を行いやすい。上記上限値以下であれば、塩基が十分に溶解されやすく、金属塩が析出しにくいため、工業的なプロセスにおいて有利になりやすい。また、塩基の水溶液の総量に対する塩基の量は、20~38質量%がさらに好ましく、20~35質量%が最も好ましい。塩基の水溶液の総量に対する塩基の量が20質量%以上であれば、448occcの転化率がより高くなり、反応速度が速くなる。
図3は、本実施形態の1437dycc製造方法に工業的に用いられる装置の一例(反応装置30)を示したものである。
本実施形態の製造方法においては、図3に示すように、原料タンク(符号32で示す。)に収容された塩基水溶液及び必要に応じて用いる他の反応に関与する化合物を、あらかじめ448occcを収容した反応器31に供給し、反応させる。生成した1437dyccを含む組成物は、反応器31から回収するが、必要に応じて、冷却器33を経由して冷却する。さらに、必要に応じて脱水塔34に通して水分を取り除いた生成物を収容する回収タンク35内から回収するのが好ましい。
反応器31としては、液相反応での脱フッ化水素反応に用いる公知の反応器が好ましい。反応器31の材質としては、鉄、ニッケル、これらを主成分とする合金、ガラス等が挙げられる。必要に応じて、樹脂ライニング、ガラスライニング等のライニング処理を反応器31に行ってもよい。また、反応系において原料や生成物、塩基、溶媒等が均一に分布している状態で反応が行われるように、反応器31に撹拌手段を設け、撹拌しながら反応を行うことが好ましい。
ここで、反応(6)における反応温度は、0~80℃が好ましく、0~60℃がより好ましく、10~50℃がさらに好ましく、20~40℃が特に好ましい。反応温度を上記範囲にすることにより、副生物の生成を抑制でき、448occcの転化率を向上させ、1437dyccの収率及び選択率を向上させることができる。さらに、1437dyccの異性体のうち、Z体を選択的に得ることもできる。ここで、反応温度とは、反応器内の温度であり、より具体的には反応器内の液相の温度のことである。図3に示す装置においては、反応器31内の温度が反応温度である。
反応中の反応器内の圧力は、特に限定されないが、-0.1~10MPaが好ましく、0~5MPaがより好ましく、0~1MPaがさらに好ましい。反応器内の圧力は、反応温度における448occcの蒸気圧以上であることが好ましい。
反応(6)は、半連続式、バッチ式、連続式のいずれの方法でも実行可能である。なお、反応時間は各方式により一般的な方法で適宜調整することができる。反応時間は、原料である448occcの転化率及び1437dyccの選択率を制御しやすいため、バッチ式であれば1~50時間が好ましく、連続式であれば1~20時間が好ましい。なお、連続式の場合は、反応器内での原料の滞留時間を反応時間とみなす。
反応(6)は、原料である448оcccと塩基の水溶液とが効率よく接触できるようにするために、相間移動触媒の存在下で行うことが好ましい。また、反応に影響を与えない範囲で、テトラグライム等の水溶性有機溶媒の存在下で行ってもよい。反応速度を上げるために、相間移動触媒を用いることが好ましい。
相間移動触媒としては、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、第4級アルソニウム塩、スルホニウム塩、クラウンエーテルなどが挙げられ、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、第4級アルソニウム塩、スルホニウム塩が好ましく、第4級アンモニウム塩がより好ましい。
第4級アンモニウム塩としては、下式(i)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007259764000007
(ただし、式(i)中、R11~R14は、それぞれ独立して、1価の炭化水素基、又は反応に不活性な官能基が結合した1価の炭化水素基を表し、Y1-は、1価の陰イオンを表す。)
11~R14が炭化水素基である場合、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基などが挙げられ、アルキル基、アリール基が好ましい。R11~R14の各炭素原子数は、1~100が好ましく、4~30がより好ましい。R11~R14は、それぞれ同じ基であってもよいし、異なる基であってもよい。
11~R14が、反応に不活性な官能基が結合した1価の炭化水素基である場合の官能基は、反応条件に応じて適宜選択されるが、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、ニトリル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシル基などが挙げられる。
上記式(i)における第4級アンモニウム(R11121314)としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラ-n-プロピルアンモニウム、テトラ-n-ブチルアンモニウム、メチルトリ-n-オクチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウム、セチルベンジルジメチルアンモニウム、セチルピリジニウム、n-ドデシルピリジニウム、フェニルトリメチルアンモニウム、フェニルトリエチルアンモニウム、N-ベンジルピコリニウム、ペンタメトニウム、ヘキサメトニウムなどが挙げられる。
上記式(i)におけるY1-としては、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、過塩素酸イオン、硫酸水素イオン、水酸化物イオン、酢酸イオン、安息香酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p-トルエンスルホン酸イオンなどが挙げられ、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硫酸水素イオン、水酸化物イオンが好ましく、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、水酸化物イオンがより好ましく、塩素イオン又は臭素イオンがさらに好ましい。
上記式(i)で表される化合物としては、汎用性及び反応性の観点から、下記第4級アンモニウム(R11121314)と、下記Y1-との組合せが好ましい。
第4級アンモニウム(R11121314):テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラ-n-プロピルアンモニウム、テトラ-n-ブチルアンモニウム、メチルトリ-n-オクチルアンモニウム。
1-:フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、水酸化物イオン。
第4級アンモニウム塩としては、工業的入手容易さや価格、扱いやすさの点から、テトラ-n-ブチルアンモニウムクロリド(TBAC)、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロミド(TBAB)、メチルトリ-n-オクチルアンモニウムクロリド(TOMAC)からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
第4級ホスホニウム塩としては、下式(ii)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007259764000008
(ただし、式(ii)中、R21~R24は、それぞれ独立して、1価の炭化水素基を表し、Y2-は、1価の陰イオンを表す。R21~R24は、それぞれ同じ基であってもよいし、異なる基であってもよい。)
21~R24における炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基などが挙げられ、アルキル基、アリール基が好ましい。
上記式(ii)における第4級ホスホニウム(R21222324)としては、テトラエチルホスホニウム、テトラ-n-ブチルホスホニウム、エチルトリ-n-オクチルホスホニウム、セチルトリエチルホスホニウム、セチルトリ-n-ブチルホスホニウム、n-ブチルトリフェニルホスホニウム、n-アミルトリフェニルホスホニウム、メチルトリフェニルホスホニウム、ベンジルトリフェニルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウムなどが挙げられる。
2-としては、塩素イオン、フッ素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、過塩素酸イオン、硫酸水素イオン、水酸化物イオン、酢酸イオン、安息香酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p-トルエンスルホン酸イオンなどが挙げられ、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオンが好ましい。
第4級ホスホニウム塩としては、工業的入手容易さの点からテトラ-n-ブチルホスホニウムクロライド、テトラ-n-ブチルホスホニウムフルオリドからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
第4級アルソニウム塩としては、下式(iii)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007259764000009
ただし、式(iii)中、R31~R34は、式(ii)におけるR21~R24と同様であり、好ましい態様も同様である。Y3-は1価の陰イオンを表す。Y3-としては、ハロゲンイオンが好ましく、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオンがより好ましい。
上記式(iii)で表わされる第4級アルソニウム塩としては、トリフェニルメチルアルソニウムフロライド、テトラフェニルアルソニウムフロライド、トリフェニルメチルアルソニウムクロライド、テトラフェニルアルソニウムクロライド、テトラフェニルアルソニウムブロマイドなどが挙げられる。
第4級アルソニウム塩としては、トリフェニルメチルアルソニウムクロライドが好ましい。
スルホニウム塩としては、下式(iv)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007259764000010
(ただし、式(iv)中、R41~R43及びY4-は、式(iii)におけるR31~R34及びY3-と同様であり、好ましい態様も同様である。)
上記式(iv)で表されるスルホニウム塩としては、ジ-n-ブチルメチルスルホニウムアイオダイド、トリ-n-ブチルスルホニウムテトラフルオロボレート、ジヘキシルメチルスルホニウムアイオダイド、ジシクロヘキシルメチルスルホニウムアイオダイド、ドデシルメチルエチルスルホニウムクロライド、トリス(ジエチルアミノ)スルホニウムジフルオロトリメチルシリケートなどが挙げられる。
スルホニウム塩としては、ドデシルメチルエチルスルホニウムクロライドが好ましい。
クラウンエーテルとしては、18-クラウン-6、ジベンゾ-18-クラウン-6、ジシクロヘキシル-18-クラウン-6などが挙げられる。
上記した相間移動触媒のうち、工業的入手容易さや価格、扱いやすさの点から、TBAC、TBAB、TOMACが好ましい。
相間移動触媒の量は、448occcの100質量部に対して、0.01~10質量部が好ましく、0.05~5.0質量部がより好ましく、0.1~2.0質量部がさらに好ましく、0.1~1.5質量部が特に好ましい。相間移動触媒の量が上記範囲内であると、十分な反応速度が得られやすい。上記範囲外であると反応促進効果は得られにくく、コスト面で不利になりやすい。相間移動触媒を使用する場合、予め相間移動触媒を448occcに混合しておき、448occcとの混合液の状態で反応器に供給することが好ましい。また、相間移動触媒の量は、448occcの100質量部に対して0.1~1.0質量部であると、1437dyccの選択率及び収率が高いため、最も好ましい。
相間移動触媒を使用する場合の、反応工程、反応装置、及び反応器の材質は、相間移動触媒を使用しない場合と同様であってよい。また、塩基の濃度、使用量、及び反応温度などの反応条件も、相間移動触媒を使用しない場合と同様であってよい。
反応(6)は、例えば、448occc、塩基の水溶液、必要に応じて水溶性有機溶媒及び/又は相間移動触媒などの反応に関与する化合物を反応器に供給し、これらが均一になるように撹拌し、所望の温度条件、圧力条件にすることで進行させうる。
反応(6)において、相間移動触媒の代わりに水溶性有機溶媒を用いて、水相と有機相とを相溶化することにより、反応(6)を行ってもよい。水溶性有機溶媒を用いる場合は、反応系中の反応に関与する化合物を均一な状態にするために、撹拌を十分に行うのが好ましい。水溶性有機溶媒としては、ジメチルスルホキシド、テトラグライム、アセトニトリル等が挙げられる。なかでも、反応(6)に適した沸点を有する点から、ジメチルスルホキシドやテトラグライムが好ましい。また、反応(6)において相間移動触媒と水溶性有機溶媒とを併用してもよい。
反応終了後の反応液を静置すると、有機相と水相に分離する。有機相中には、未反応の448occc、目的生成物の1437dycc以外に、副生物が含まれ得る。副生物としては、1-クロロ-3,3,4,4,5,5-ヘキサフルオロペンチン、5-クロロ-1,1,2,3,3,4,4-へプタフルオロペンテン(HCFO-1437cycc、以下「1437cycc」とも記す。)が挙げられる。また、原料として、448occcと不純物を含む組成物を使用した場合は、副生物として、下記化学式(v)に示される2,3,3,4,4,5,5-ヘプタフルオロ-1-(2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペントキシ)ペンテン等が含まれる場合がある。
Figure 0007259764000011
目的生成物である1437dycc以外は、蒸留による分離等の公知の方法により、反応(6)の反応生成物から、容易に除去することができる。未反応の448occcは再度反応(6)の出発原料として再利用することができる。その際、反応生成物から1437dyccを分離した後の粗液をそのまま使用してもよいし、粗液から未反応の448occcを精製して用いてもよい。
なお、上記のように副生成物として1437cyccを挙げているが、この反応(6)における脱フッ化水素反応では、1437cyccの副生が十分に抑制されており、例えば、反応生成物中に含まれる1437cyccを100ppm以下とできる。そのため、本実施形態の製造方法は目的化合物である1437dyccを選択的に生成できる優れた方法である。
本実施形態の製造方法によれば、工業的に実施可能な経済的に有利な方法で、448occcから、地球温暖化係数の小さい溶剤及び作動媒体として有用な1437dyccを、高選択率かつ高収率で得られる。
以下に、本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
<448occcの製造方法>
(第1の工程;中間体の製造工程)
[例1-1]
撹拌機及びジムロート冷却器を備える四つ口フラスコ(反応器)をオイルバスに浸して反応装置とした。そして、四つ口フラスコに塩化チオニルを収容した後、OFPOとDMFとからなる混合溶液を四つ口フラスコ内に滴下した。混合溶液の滴下中、反応温度が50℃となるように、オイルバスの温度を調節した。
混合溶液の滴下が終了した後、塩化水素ガスの発生が収まるまで撹拌を続け、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトを含む中間体粗液を得た。その後、1H-NMR及び19F-NMR(日本電子株式会社製、JNM-ECP400)により、中間体粗液の組成を分析した。表1に、反応条件、中間体粗液の組成をまとめて示す。
なお、表中、OFPO転化率(%)とは、第1の工程において投入されたOFPOのモル量に対する第1の工程において消費したOFPOのモル量の割合((消費されたOFPOのモル量)/(投入されたOFPOのモル量)×100)である。
また、表中、中間体選択率(%)とは、第1の工程において消費されたOFPOのモル量に対する第1の工程において生成した中間体(2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイト)のモル量の割合((生成した中間体のモル量)/(消費されたOFPOのモル量)×100)である。
その他の化合物の選択率も、各化合物について同様に計算される。
なお、「有効成分」とは中間体、中間体―DMF付加体を表し、「有効成分選択率」は有効成分の合計のモル量で算出した。
また、中間体収率(%)とは、第1の工程において投入されたOFPOのモル量に対する第1の工程において生成した中間体のモル量の割合((生成した中間体のモル量)/(投入されたOFPOのモル量)×100)である。反応時間とは、OFPOの滴下開始時から撹拌終了時まで、すなわち、塩化水素ガスの発生が収まって反応が終了するまでの経過時間である。
[例1-2~1-7]
反応条件を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の反応器及び手順で行った。表1に、反応条件、中間体粗液の組成及び分析結果をまとめて示す。
Figure 0007259764000012
(第2の工程;448occcの製造工程)
[例2-1]
撹拌機及び蒸留塔を備える四つ口フラスコに、DMFの存在下、OFPOと塩化チオニルを反応温度30~70℃で反応させて得られた中間体粗液及び溶媒としてDMFを入れ、130℃に加熱するとともに、留出ライン(ジムロート冷却器)を-20℃に冷却した。これにより、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトの熱分解を行った。用いた中間体粗液の組成及び中間体粗液の量を表2に示す。中間体粗液のモル量は、中間体粗液に含まれる化合物のモル量の合計で表した。
その後、留分を20質量%水酸化カリウム水溶液に接触させて中和し、中和後の留分から有機相の部分を回収してその組成を分析した。分析は、ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて行った。カラムには、DB-1301(長さ60m×内径250μm×厚さ1μm、アジレント・テクノロジー株式会社製)を用いた。表2に、留分中に得られた448occcの量を示す。
また、1H-NMR及び19F-NMR(日本電子株式会社製、JNM-ECP400)により、四つ口フラスコに残った釜残液の組成を分析した。さらに、上記留分中の448occcの量と、釜残液の組成から、第2の工程で回収された各化合物の量を算出した。結果を表2に示す。
なお、表2中、中間体転化率(%)とは、第2の工程において用いた中間体のモル量(中間体粗液中の中間体のモル量)に対する第2の工程において消費した中間体のモル量の割合((消費された中間体のモル量)/(投入された中間体のモル量)×100)である。
また、表2中、OFPO二付加体選択率(%)とは、第2の工程において消費された中間体のモル量に対する第2の工程において生成したOFPO二付加体のモル量の割合((生成したOFPO二付加体のモル量)/(消費された中間体のモル量)×100)である。その他の化合物の選択率も、各化合物について同様に計算される。
また、448occc選択率(%)とは、第2の工程において消費された中間体のモル量に対する第2の工程において生成した448occcのモル量の割合((生成した448occcのモル量)/(消費された中間体のモル量)×100)である。
[例2-2]
反応条件を表2に示すように変更した以外は、例2-1と同様の反応器及び手順で第2の工程を行った。表2に、反応条件、反応の結果等をまとめて示す。
[例2-3]
撹拌機及び蒸留塔を備える四つ口フラスコに、DMFの存在下、OFPOと塩化チオニルを反応温度30~70℃で反応させて得られた中間体粗液及び溶媒としてDMFを入れ、110℃に加熱するとともに、留出ライン(ジムロート冷却器)を-20℃に冷却した。これにより、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトの熱分解を行った。用いた中間体粗液の組成及び中間体粗液の量を表2に示す。中間体粗液のモル量は、中間体粗液に含まれる化合物のモル量の合計で表した。
1H-NMR及び19F-NMR(日本電子株式会社製、JNM-ECP400)により、四つ口フラスコに残った釜残液の組成を分析した。さらに、釜残液の組成から、第2の工程で回収された各化合物の量を算出した。結果を表2に示す。
[例2-4]
反応条件を表2に示すように変更した以外は、例2-1と同様の反応器及び手順で第2の工程を行った。表2に、反応条件、反応の結果等をまとめて示す。
[例2-5]
反応条件を表2に示すように変更した以外は、例2-3と同様の反応器及び手順で第2の工程を行った。表2に、反応条件、反応の結果等をまとめて示す。
Figure 0007259764000013
上記実施例に示されるように、DMFの存在下、OFPOと塩化チオニルとを反応させて2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトを製造した後、この2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトの熱分解を行って448occcを含む反応液を得ることにより、複雑な後処理工程が不要で、高選択率で448occcを製造することが可能となり、448occcを効率的に製造することができる。
[例2-6]
反応条件を表3に示すように変更した以外は、例2-1と同様の反応器及び手順で第2の工程を行った。ただし、例2-6においては、留出ラインを使用しなかった。1H-NMR及び19F-NMR(日本電子株式会社製、JNM-ECP400)により、四つ口フラスコに残った釜残液の組成を分析した。さらに、釜残液の組成から、第2の工程で回収された各化合物の量を算出した。表3に、反応条件、反応の結果等をまとめて示す。
[例2-7~2-8]
反応条件を表3(表2)に示すように変更した以外は、例2-1と同様の反応器及び手順で第2の工程を行い、第2の工程で回収された各化合物の量を算出した。表3に、反応条件、反応の結果等をまとめて示す。
Figure 0007259764000014
<1437dyccの製造方法>
[例3-1]
撹拌機、ジムロート冷却器を設置した0.2リットル四つ口フラスコに448occcの100.7g、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロミド(TBAB)の1.0gを入れ、フラスコを10℃に冷却した。反応温度を10℃に維持し、34質量%水酸化カリウム(KOH)水溶液の153.9gを30分かけて滴下した。その後、38時間撹拌を続け、有機層を回収した。上記で使用した448occcは、DMFの存在下、OFPOと塩化チオニルとを反応させて2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトを製造した後、この2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトの熱分解を行って製造した。
回収した有機層を水洗した後、ガスクロマトグラフィーを用いて分析した結果を表4に示す。表中、448occcの転化率は、反応器に供給した448occcの総量に対する、反応で消費された448occcの量の割合(モル%)である。また、各化合物の選択率は、転化した448occcに対する、生じた各成分の割合(モル%)であり、GC分析結果から算出した。また、表4には、実仕込み量、反応条件も併せて示した。なお、表4中、「TBAB/448occc」は、448occcの100質量部に対する、TBABの仕込み量(質量部)を表している。
[例3-2~3-4]
表4に示したように、実仕込み量、反応温度をそれぞれ変更した以外は、例3-1と同様の操作により反応させ、1437dyccを含む組成物を得た。なお、例3-3、例3-4では、固体析出量が多く、また、反応開始時間による448occcの転化率の変動が見られなくなったところで操作を終了した。ちなみに、反応終点は448occcの転化率が99%以上となったところであった。
Figure 0007259764000015
表4からわかるように、例3-1~3-4によれば、固形分の生成量を抑制しながら、高選択率かつ高収率で、目的とする1437dyccを製造できた。なお、反応温度が低いほど、固形分の生成量が少なく、1437dyccの選択率及び収率を共に高めることができることもわかった。
[例3-5]
表5に示したように、実仕込み量、TBABの仕込み量をそれぞれ変更した以外は、例3-1と同様の操作により反応させ、1437dyccを含む組成物を得た。
なお、例3-5では、反応開始時間による448occcの転化率の変動が見られなくなったところで操作を終了した。ちなみに、反応終点は448occcの転化率が97%以上となったところであった。また、表5には、参考のため反応温度が同一の例3-3を併せて示した。
[例3-6、3-7]
表5に示したように、実仕込み量、KOHの仕込み量をそれぞれ変更した以外は、例3-1と同様の操作により反応させ、1437dyccを含む組成物を得た。反応終点は448occcの転化率が99%以上となったところであった。
[例3-8]
表5に示したように、実仕込み量、KOHの濃度をそれぞれ変更した以外は、例3-1と同様の操作により反応させ、1437dyccを含む組成物を得た。反応開始時間による448occcの転化率の変動が見られなくなったところで操作を終了した。
Figure 0007259764000016
表5の例3-5からわかるように、TBABの仕込み量が多い方が反応時間を短縮できることがわかる。なお、TBABの仕込み量が少ない場合でも反応時間を十分に確保することで、1437dyccの選択率及び収率に変化なく1437dyccを製造できることもわかった。
表5の例3-6~3-7からわかるように、KOHの仕込み量を減らすことで、固形分の生成量を抑制しながら、高選択率かつ高収率で目的とする1437dyccを製造できた。また、KOHの仕込量が減ることによって、容積効率も向上するため、結果として生産性が向上することがわかる。
表5の例3-7からわかるように、KOH濃度が高い方が、より448оcccの転化率が高く、反応速度が速くなることがわかる。
以上より、本実施例における1437dyccの製造方法は、1437dyccを効率的に製造できる。
10,20,30…反応装置、11,21…反応器、12,22a,22b,22c…原料供給手段、13,23…給液手段、14,24…反応器、15,25…送液手段、16,26…アルカリ洗浄手段、17,27…分離手段、31…反応器、32…原料タンク、33…冷却器、34…脱水塔、35…回収タンク。

Claims (12)

  1. N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ピリジン及びテトラメチル尿素からなる群より選ばれる少なくとも1種の含窒素有機化合物の存在下、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンタノールと塩化チオニルを反応させて2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトを製造する第1の工程と、
    前記2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトを熱分解することにより、5-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタンを得る第2の工程と、
    を有することを特徴とする5-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタンの製造方法。
  2. 前記第1の工程において、反応温度が0~70℃である請求項1に記載の5-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタンの製造方法。
  3. 前記第1の工程において、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンタノールに対する塩化チオニルのモル比(塩化チオニル/2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンタノール)が0.1~5である請求項1又は2に記載の5-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタンの製造方法。
  4. 前記第1の工程において、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンタノールと塩化チオニルの一方を被供給物とし、他方を被供給物の単位モル量あたりの添加量として0.0015~5mol/mol・minの速度で添加する請求項1~3のいずれか1項に記載の5-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタンの製造方法。
  5. 前記第1の工程において、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンタノールと塩化チオニルの接触時間を1~8時間とする請求項1~4のいずれか1項に記載の5-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタンの製造方法。
  6. 前記第1の工程において、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンタノールに対する含窒素有機化合物の質量比(含窒素有機化合物/2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンタノール)が0.001~1である請求項1~5のいずれか1項に記載の5-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタンの製造方法。
  7. 前記第2の工程において、熱分解の反応温度が70~170℃である請求項1~6のいずれか1項に記載の5-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタンの製造方法。
  8. 前記第2の工程において、溶媒中で熱分解反応を行う請求項1~7のいずれか1項に記載の5-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタンの製造方法。
  9. 前記第2の工程において、前記溶媒が含窒素有機化合物である請求項8に記載の5-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタンの製造方法。
  10. 前記第2の工程において、前記溶媒がN,N-ジメチルホルムアミドである請求項8又は9に記載の5-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタンの製造方法。
  11. 前記第2の工程において、前記2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイトに対する前記溶媒の質量比(溶媒/2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルクロロサルファイト)が0.01~1である請求項8~10のいずれか1項に記載の5-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタンの製造方法。
  12. 請求項1~11のいずれか一項に記載の製造方法により、5-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタンを得、得られた5-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタンを、塩基水溶液中で脱フッ化水素反応させることにより、1-クロロ-2,3,3,4,4,5,5-ヘプタフルオロペンテンを得ることを特徴とする、1-クロロ-2,3,3,4,4,5,5-ヘプタフルオロペンテンの製造方法。
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