JP7259219B2 - 樹脂組成物及びその硬化物、並びに半導体装置の製造方法 - Google Patents

樹脂組成物及びその硬化物、並びに半導体装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂組成物及びその硬化物、並びに半導体装置の製造方法に関する。
従来、半導体チップと基板との接続には、金ワイヤ等の金属細線を用いるワイヤーボンディング接続方式が広く適用されている。一方、半導体装置に対する高機能化、高集積化、高速化等の要求に対応するため、半導体チップ又は基板にバンプと呼ばれる導電性突起を形成して、半導体チップと基板とを直接接続するフリップチップ接続方式(FC接続方式)が広まりつつある。
フリップチップ接続方式としては、例えば、ハンダバンプを用いる方式、金バンプと導電性接着剤とを用いる方式、熱圧着方式、超音波方式等が知られている。これらの方式では、チップと基板との熱膨張係数差に由来する熱ストレスが接続部に集中して接続信頼性が低下するという問題がある。このような問題を防ぐために、一般に、チップと基板との間隙を充填するアンダーフィルが樹脂組成物によって形成される。アンダーフィルへの分散によって熱ストレスが緩和されるため、接続信頼性を向上させることが可能である。
アンダーフィルを形成する方法としては、一般に、チップと基板とを接続した後に液状樹脂をチップと基板との間隙に注入する方法が知られている(特許文献1参照)。また、チップと基板とを接続する工程において、フィルム状樹脂を用いてアンダーフィルを形成する方法も知られている(特許文献2参照)。
ところで、上記接続部(バンプ又は配線)に用いられる主な金属としては、例えば、はんだ、スズ、金、銀、銅、ニッケル等が挙げられ、これらの複数種を含む導電材料も用いられている。接続部に用いられる金属は、表面が酸化して酸化膜が生成してしまうこと、表面に酸化物等の不純物が付着してしまうこと等によって、接続部の接続面に不純物が生じる場合がある。このような不純物が残存すると、半導体チップ及び基板間又は2つの半導体チップ間における接続性及び絶縁信頼性が低下し、上述した接続方式を採用するメリットが損なわれてしまうことが懸念される。
これらの不純物の発生を抑制するために、例えば、接続部を酸化防止膜でコーティングするOSP(Organic Solderbility Preservatives)処理が知られている。この酸化防止膜は、接続プロセス時のはんだ濡れ性の低下、接続性の低下等の原因となる場合がある。そのため、上述の酸化防止膜及び不純物を除去する方法として、アンダーフィル材料にフラックス剤を含有させる方法が提案されている(例えば、特許文献3~5参照)。
特開2000-100862号公報 特開2003-142529号公報 特開2002-283098号公報 特開2005-272547号公報 特開2006-169407号公報
フリップチップ接続方式を用いたフリップチップパッケージでは、高機能化、高集積化、立体化等が検討されている。このようなフリップチップパッケージで使用されるアンダーフィル材料には、信頼性の観点から、耐マイグレーション性、接続性等に優れることが求められる。
そこで、本発明は、マイグレーションを抑制することができ、接続性に優れる樹脂組成物及びその硬化物を提供することを主な目的とする。
上記課題を達成するために本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、樹脂組成物の硬化物を高温で煮沸して得られる抽出水において、塩素イオン(塩化物イオン)濃度及びpH(水素イオン指数)が特定の範囲にあることによって、樹脂組成物がマイグレーションを抑制することができ、接続性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[6]に示す樹脂組成物、[7]に示す樹脂組成物の硬化物、及び[8]に示す半導体装置の製造方法を提供する。
[1]エポキシ樹脂、熱可塑性樹脂、硬化剤、フラックス剤、及び無機フィラーを含有し、下記条件(A)を満たす、樹脂組成物。
条件(A):樹脂組成物からなる厚さ20μmの樹脂フィルムを空気雰囲気下、240℃、60分間加熱して樹脂フィルムの硬化物を作製し、当該樹脂フィルムの硬化物1gとイオン交換水40gとの混合物を密閉容器内で121℃、2気圧下で96時間煮沸し、細孔径0.45μmメッシュを通過させることによって得られる抽出水の塩素イオン濃度が1質量ppm以下であり、かつpH値が3.5~7.0である。
[2]エポキシ樹脂が、下記条件(B)を満たす、[1]に記載の樹脂組成物。
条件(B):エポキシ樹脂1gとイオン交換水40gとのエポキシ樹脂混合物を密閉容器内で121℃、2気圧下で96時間煮沸し、細孔径0.45μmメッシュを通過させることによって得られる抽出水の塩素イオン濃度が0.3質量ppm以下である。
[3]熱可塑性樹脂が、下記条件(C)を満たす、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
条件(C):熱可塑性樹脂1gとイオン交換水40gとの熱可塑性樹脂混合物を密閉容器内で121℃、2気圧下で96時間煮沸し、細孔径0.45μmメッシュを通過させることによって得られる抽出水の塩素イオン濃度が0.3質量ppm以下である。
[4]無機フィラーの含有量が、樹脂組成物全量を基準として、20~70質量%である、[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5]フラックス剤が、ジカルボン酸である、[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6]フィルム状である、[1]~[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7][1]~[6]のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物。
[8]半導体チップ及び配線回路基板のそれぞれの接続部が互いに電気的に接続された半導体装置、又は、複数の半導体チップのそれぞれの接続部が互いに電気的に接続された半導体装置の製造方法であって、[1]~[6]のいずれかに記載の樹脂組成物を用いて、接続部を封止する工程を備える、半導体装置の製造方法。
本発明によれば、マイグレーションを抑制することができ、接続性に優れる樹脂組成物が提供される。いくつかの形態に係る樹脂組成物は、フラックス活性(充分に金属表面の酸化膜を還元除去して、金属が容易に溶融できるようにし、溶融した金属が濡れ広がるのを阻害せず、金属接合部が形成される状態を達成できる性能)の点においても優れる。また、本発明によれば、樹脂組成物を用いた半導体装置の製造方法が提供される。
半導体装置の一実施形態を示す模式断面図である。 半導体装置の製造方法の一実施形態を模式的に示す工程断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
[樹脂組成物]
一実施形態に係る樹脂組成物は、エポキシ樹脂、熱可塑性樹脂、硬化剤、フラックス剤、及び無機フィラーを含有する。
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂は、分子内にエポキシ基を有するものであれば特に制限されないが、分子内に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を好ましく用いることができる。このようなエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;これらの多官能エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、エポキシ樹脂は、ビスフェノール型エポキシ樹脂又はトリフェノールメタン型エポキシ樹脂を含むことが好ましい。
エポキシ樹脂は、高温での接続時に分解して揮発成分が発生することを抑制できるものが好ましい。そのため、接続時の加熱条件における質量減少率が5質量%以下であるエポキシ樹脂を用いることが好ましい。例えば、接続時の加熱温度が250℃の場合は、250℃における質量減少率が5質量%以下のエポキシ樹脂を用いることが好ましく、300℃の場合は、300℃における質量減少率が5質量%以下のエポキシ樹脂を用いることが好ましい。
エポキシ樹脂の含有量は、樹脂組成物全量を基準として、好ましくは5~75質量%、より好ましくは10~55質量%、さらに好ましくは20~50質量%である。エポキシ樹脂の含有量がこのような範囲にあると、硬化性により優れ、かつ接着性により優れる傾向にある。
エポキシ樹脂は、下記条件(B)を満たすことが好ましい。このような条件(B)を満たすと、マイグレーションをより抑制することができる傾向にある。
条件(B):エポキシ樹脂1gとイオン交換水40gとのエポキシ樹脂混合物を密閉容器内で121℃、2気圧下で96時間煮沸し、細孔径0.45μmメッシュを通過させることによって得られる抽出水の塩素イオン濃度が0.3質量ppm以下である。抽出水の塩素イオン濃度は、より好ましくは0.2質量ppm以下である。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂は、特に制限されないが、優れた耐熱性、フィルム形成性及び接続信頼性が得られる観点から、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカルボジイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ウレタン樹脂及びアクリルゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。耐熱性及びフィルム形成性により一層優れる観点から、熱可塑性樹脂は、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリルゴム、アクリル樹脂、シアネートエステル樹脂及びポリカルボジイミド樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましく、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリルゴム及びアクリル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、好ましくは10000以上、より好ましくは20000以上、さらに好ましくは30000以上である。熱可塑性樹脂の重量平均分子量が10000以上であると、樹脂組成物の耐熱性及びフィルム形成性を一層向上させることができる傾向にある。熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、好ましくは1000000以下、より好ましくは500000以下である。熱可塑性樹脂の重量平均分子量が1000000以下であると、高耐熱性という効果が得られる傾向にある。
なお、重量平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー、Gel Permeation Chromatography)を用いて測定し、標準ポリスチレンによる検量線を用いて換算した値を意味する。重量平均分子量の測定条件の一例を以下に示す。
装置名:HCL-8320GPC、UV-8320(東ソー株式会社製)、又はHPLC-8020(東ソー株式会社製)
カラム:TSKgel superMultiporeHZ-M×2、又は2pieces of GMHXL+1piece of G-2000XL(いずれも東ソー株式会社製)
検出器:RI又はUV検出器
カラム温度:25~40℃
溶離液:測定対象が溶解する溶媒を選択することができる。溶媒としては、例えば、THF(テトラヒドロフラン)、DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)、DMA(N,N-ジメチルアセトアミド)、NMP(N-メチル-2-ピロリドン)、トルエン等が挙げられる。なお、極性を有する溶剤を選択する場合は、リン酸の濃度を0.05~0.1mol/L(通常は0.06mol/L)、LiBrの濃度を0.5~1.0mol/L(通常は0.63mol/L)と調整してもよい。
流速:0.30~1.5mL/分
標準物質:ポリスチレン
樹脂組成物全量を基準としたときの、熱可塑性樹脂の含有量に対するエポキシ樹脂の含有量の質量比(エポキシ樹脂の含有量/熱可塑性樹脂の含有量)は、好ましくは0.01~20、より好ましくは0.05~15、さらに好ましくは0.1~10である。
熱可塑性樹脂は、下記条件(C)を満たすことが好ましい。このような条件(C)を満たすと、マイグレーションをより抑制することができる傾向にある。
条件(C):熱可塑性樹脂1gとイオン交換水40gとの熱可塑性樹脂混合物を密閉容器内で121℃、2気圧下で96時間煮沸し、細孔径0.45μmメッシュを通過させることによって得られる抽出水の塩素イオン濃度が0.3質量ppm以下である。抽出水の塩素イオン濃度は、より好ましくは0.2質量ppm以下である。
(硬化剤)
硬化剤は、特に制限されないが、例えば、イミダゾール系硬化剤、フェノール樹脂系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤、ホスフィン系硬化剤等が挙げられる。これらの中でも、良好なフラックス性能を示し、保存安定性及び樹脂組成物の硬化物の耐熱性により優れる観点から、硬化剤は、イミダゾール系硬化剤を含むことが好ましい。
イミダゾール系硬化剤としては、例えば、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノ-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾールトリメリテート、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンのイソシアヌル酸付加体、2-フェニルイミダゾールのイソシアヌル酸付加体、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、エポキシ樹脂とイミダゾール類との付加体等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、硬化性、保存安定性及び接続信頼性により優れる観点から、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノ-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾールトリメリテート、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンのイソシアヌル酸付加体、2-フェニルイミダゾールのイソシアヌル酸付加体、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール及び2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾールから群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。また、これらをマイクロカプセル化し、潜在性硬化剤として用いてもよい。
硬化剤の含有量は、エポキシ樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1~20質量部、より好ましくは0.1~10質量部である。硬化剤の含有量がエポキシ樹脂100質量部に対して0.1質量部以上であると、硬化性をより向上させることができる傾向にあり、20質量部以下であると、金属結合が形成される前に樹脂組成物が硬化することなく、接続不良が発生し難くなる傾向にある。
(フラックス剤)
フラックス剤は、カルボキシル基を有する化合物であれば特に制限なく使用することができるが、ジカルボン酸(カルボキシル基を2つ有する化合物)であることが好ましい。ジカルボン酸は、モノカルボン酸(カルボキシル基を1つ有する化合物)と比較して、接続時の高温によっても揮発し難く、ボイドの発生を一層抑制することができる傾向にある。また、ジカルボン酸を用いると、カルボキシル基を3つ以上有する化合物を用いた場合と比較して、保管時、接続作業時等における樹脂組成物の粘度上昇をより一層抑制することができ、半導体装置の接続性をより一層向上させることができる傾向にある。
フラックス剤は、例えば、直鎖状又は分岐状のアルキレン基を有するジカルボン酸であってよい。このようなジカルボン酸としては、例えば、コハク酸(融点:184℃)、グルタル酸(融点:95~98℃)、アジピン酸(融点:152℃)、ピメリン酸(融点:103~105℃)、スベリン酸(融点:141~144℃)、アゼライン酸(融点:109℃)、セバシン酸(融点:133~137℃)、ウンデカン二酸(融点:28~31℃)、ドデカン二酸(融点:127~129℃)等の直鎖状のアルキレン基を有するジカルボン酸;これらの直鎖状のアルキレン基を有するジカルボン酸の2位又は3位の水素原子が1以上アルキル基に置換された分岐状のアルキレン基を有するジカルボン酸等が挙げられる。分岐状のアルキレン基を有するジカルボン酸としては、例えば、2-メチルグルタル酸(融点:80~82℃)等が挙げられる。フラックス剤は、2-メチルグルタル酸又はグルタル酸を含むことが好ましい。
フラックス剤の融点は、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下、さらに好ましくは130℃以下である。このようなフラックス剤は、エポキシ樹脂と硬化剤との硬化反応が生じる前にフラックス性能が充分に発現し易い傾向にある。そのため、このようなフラックス剤を含有する樹脂組成物を用いることがよって、接続信頼性に一層優れる半導体装置を作製することができる。また、フラックス剤は室温(25℃)で固形であるものが好ましく、フラックス剤の融点は、好ましくは25℃以上、より好ましくは50℃以上である。
フラックス剤の含有量は、例えば、樹脂組成物全量を基準として、0.5~10質量%であってよい。
(無機フィラー)
樹脂組成物は、無機フィラーを含有することによって、接続時にボイドの発生をより抑制し、樹脂組成物の硬化物の吸湿性をより低減できる傾向にある。
無機フィラーは、絶縁信頼性(特にHAST耐性)に優れる観点から、絶縁性物質であることが好ましい。このような無機フィラーとしては、例えば、ガラス、シリカ、アルミナ、酸化チタン、カーボンブラック、マイカ、窒化ホウ素等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、無機フィラーは、好ましくはシリカ、アルミナ、酸化チタン、及び窒化ホウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種、より好ましくはシリカ、アルミナ、及び窒化ホウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種である。これらの形状及び粒径は特に制限されない。また、無機フィラーは、表面処理が施されていてもよい。
無機フィラーの含有量は、樹脂組成物全量を基準として、好ましくは20~70質量%、より好ましくは25~65質量%、さらに好ましくは30~60質量%である。無機フィラーの含有量がこのような範囲にあると、樹脂組成物をフィルム状に成形したときの外観が滑らかになり、各成分の分散が容易となる傾向にある。
(樹脂フィラー)
樹脂組成物は、樹脂フィラーをさらに含有していてもよい。樹脂フィラーとしては、例えば、ポリウレタン、ポリイミド等の樹脂からなるフィラーが挙げられる。樹脂フィラーの含有量は、樹脂組成物全量を基準として、好ましくは1~30質量%、より好ましくは2~30質量%、さらに好ましくは3~15質量%である。
(その他の成分)
樹脂組成物は、その他の成分として、硬化促進剤、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、酸化防止剤、レベリング剤、イオントラップ剤等をさらに含有していてもよい。その他の成分の含有量は、各成分が効果を発現するように適宜調整することができ、例えば、樹脂組成物全量を基準として、0.1~20質量%であってよい。
樹脂組成物は、下記条件(A)を満たす。
条件(A):樹脂組成物からなる厚さ20μmの樹脂フィルムを空気雰囲気下、240℃、60分間加熱して樹脂フィルムの硬化物を作製し、当該樹脂フィルムの硬化物1gとイオン交換水40gとの混合物を密閉容器内で121℃、2気圧下で96時間煮沸し、細孔径0.45μmメッシュを通過させることによって得られる抽出水の塩素イオン濃度が1質量ppm以下であり、かつpH値が3.5~7.0である。
抽出水の塩素イオン濃度は、マイグレーションを抑制する観点から、好ましくは0.8質量ppm以下、より好ましくは0.7質量ppmである。なお、抽出水の塩素イオンは、主にエポキシ樹脂、熱可塑性樹脂に含まれ得る塩素イオンである。そのため、抽出水の塩素イオン濃度は、これら成分の種類、含有量等を変動させることによって調整することができる。なお、本明細書において、抽出水の塩素イオン濃度は、抽出水をイオンクロマトグラフィー法で測定して得られる濃度を意味する。
抽出水のpH値(水素イオン指数)は、マイグレーションを抑制する観点から、好ましくは3.5~6.0、より好ましくは3.6~5.5、さらに好ましくは3.8~5.0である。なお、抽出水のpH値は、主にフラックス剤に含まれ得る水素イオンである。そのため、抽出水のpH値(水素イオン指数)は、フラックス剤の種類、含有量等を変動させることによって調整することができる。なお、本明細書において、抽出水のpH値(水素イオン指数)は、抽出水をガラス電極法で測定して得られるpH値(水素イオン指数)を意味する。
樹脂組成物は、フィルム状であってよい。本明細書において、フィルム状の樹脂組成物を「樹脂フィルム」という場合がある。
樹脂フィルムは、例えば、樹脂組成物に必要に応じて有機溶剤を加え、撹拌混合、混錬等によって得られた樹脂組成物ワニスを、離型処理を施した基材フィルム上に、ナイフコーター、ロールコーター、アプリケーター等を用いて塗布する。その後、塗布された樹脂組成物ワニスを加熱によって有機溶剤を除去することによって、基材フィルム上に樹脂フィルムを形成することができる。
樹脂組成物ワニスの調製に用いる有機溶剤としては、各成分を均一に溶解又は分散し得る特性を有するものであれば特に制限されないが、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トルエン、ベンゼン、キシレン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブ、ジオキサン、シクロヘキサノン、酢酸エチル等が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、有機溶剤は、メチルエチルケトンを含むことが好ましい。
樹脂組成物ワニスの調製における撹拌混合、混錬等は、例えば、撹拌機、らいかい機、3本ロール、ボールミル、ビーズミル、ホモディスパー等を用いて行うことができる。
基材フィルムは、有機溶剤を乾燥させる際の加熱条件に耐え得る耐熱性を有するものであれば特に制限されない。基材フィルムとしては、例えば、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルムなどが挙げられる。基材フィルムは、1種単独の単層フィルムであっても、2種以上を組み合わせた多層フィルムであってもよい。
得られる樹脂フィルムの厚さは、例えば、接続前のバンプの高さを基準として調整することができ、接続前のバンプの高さを基準として、好ましくは0.5~1.5倍、より好ましくは0.6~1.3倍、さらに好ましくは0.7~1.2倍である。樹脂フィルムの厚さがバンプの高さの0.5倍以上であると、樹脂フィルムの未充填によるボイドの発生を充分に抑制することができ、接続信頼性をより一層向上させることができる。また、樹脂フィルムの厚さが1.5倍以下であると、接続時にチップ接続領域から押し出される樹脂フィルムの量を充分に抑制することができ、さらに不要な部分への樹脂フィルムの付着を充分に防止することができる。そのため、樹脂フィルムをバンプから排除する必要がなくなり、導通不良を防ぐとともに、狭ピッチ化及び多ピン化によるバンプの弱化(バンプ径の微小化)に対してダメージを低減することができる。一般にバンプの高さが5~100μmであることから、樹脂フィルムの厚さは、好ましくは2.5~150μm、より好ましくは3.5~120μmである。
基材フィルムへ塗布した樹脂組成物ワニスから有機溶剤を揮発させる際の乾燥条件は、有機溶剤が充分に揮発させる条件であれば特に制限されないが、50~200℃、0.1~90分間の加熱であることが好ましい。有機溶剤は、樹脂フィルム全量に対して1.5質量%以下まで除去されることが好ましい。
樹脂フィルムは、ウエハ上に直接形成してもよい。具体的には、例えば、樹脂組成物ワニスをウエハ上に直接スピンコートした後、有機溶剤を除去することによって、ウエハ上に直接樹脂フィルムを形成してもよい。
<半導体装置>
本実施形態に係る樹脂組成物は、半導体装置に好適に用いられ(半導体用接着剤として好適であり)、半導体チップ及び配線回路基板のそれぞれの接続部が互いに電気的に接続された半導体装置、又は複数の半導体チップのそれぞれの接続部が互いに電気的に接続された半導体装置において接続部の封止に特に好適に用いられる。
本実施形態に係る樹脂組成物を用いた半導体装置について説明する。半導体装置における接続部は、バンプと配線との金属接合、及び、バンプとバンプとの金属接合のいずれでもよい。半導体装置では、例えば、接着剤を介して電気的な接続を得るフリップチップ接続が用いられてよい。
図1は、半導体装置の一実施形態を示す模式断面図である。図1に示すように、半導体装置100は、互いに対向する半導体チップ10及び基板(回路配線基板)20と、半導体チップ10及び基板20の互いに対向する面にそれぞれ配置された配線15と、半導体チップ10及び基板20の配線15を互いに接続する接続バンプ30と、半導体チップ10及び基板20間の空隙に隙間なく充填された樹脂フィルム40とを有している。半導体チップ10及び基板20は、配線15及び接続バンプ30によりフリップチップ接続されている。配線15及び接続バンプ30は、樹脂フィルム40により封止されており外部環境から遮断されている。
<半導体装置の製造方法>
一実施形態の半導体装置の製造方法は、例えば、半導体チップ及び配線回路基板のそれぞれの接続部が互いに電気的に接続された半導体装置、又は、複数の半導体チップのそれぞれの接続部が互いに電気的に接続された半導体装置の製造方法であって、上記樹脂組成物を用いて、接続部の少なくとも一部を封止する工程を備える。本実施形態の半導体装置の製造方法について、図2を用いて以下説明する。図2は、半導体装置の製造方法の一実施形態を模式的に示す工程断面図である。
まず、図2(a)に示すように、配線(例えば、金バンプ)15を有する基板20上に、接続バンプ30を形成する位置に開口を有するソルダーレジスト60を形成する。このソルダーレジスト60は必ずしも設ける必要はない。しかしながら、基板20上にソルダーレジストを設けることによって、配線15間のブリッジの発生を抑制し、接続信頼性・絶縁信頼性を向上させることができる。ソルダーレジスト60は、例えば、市販のパッケージ用ソルダーレジスト用インキを用いて形成することができる。市販のパッケージ用ソルダーレジスト用インキとしては、具体的には、SRシリーズ(日立化成株式会社製、商品名)、PSR4000-AUSシリーズ(太陽インキ製造株式会社製、商品名)等が挙げられる。
次に、図2(a)に示すように、ソルダーレジスト60の開口に接続バンプ(例えば、ハンダバンプ)30を形成する。そして、図2(b)に示すように、接続バンプ30及びソルダーレジスト60が形成された基板20上に、樹脂フィルム40を貼付する。樹脂フィルム40の貼付は、加熱プレス、ロールラミネート、真空ラミネート等によって行うことができる。樹脂フィルム40の供給面積及び厚さは、半導体チップ10及び基板20のサイズ、接続バンプ30の高さ等によって適宜設定される。
上記のとおり、樹脂フィルム40を基板20に貼り付けた後、半導体チップ10の配線15と接続バンプ30とをフリップチップボンダー等の接続装置を用いて、位置合わせする。続いて、半導体チップ10と基板20とを接続バンプ30の融点以上の温度で加熱しながら圧着し、図2(c)に示すように、半導体チップ10と基板20とを接続すると共に、樹脂フィルム40によって半導体チップ10及び基板20間の空隙を封止充填する。以上により、半導体装置600が得られる。
本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、位置合わせをした後に仮固定し、リフロー炉で加熱処理することによって、接続バンプ30を溶融させて半導体チップ10と基板20とを接続してもよい。仮固定の段階では、金属接合を形成することが必ずしも必要ではないため、上記の加熱しながら圧着する方法に比べて低荷重、短時間、低温度による圧着でよく、生産性が向上すると共に接続部の劣化を抑制することができる。
また、半導体チップ10と基板20とを接続した後、オーブン等で加熱処理を行って、さらに接続信頼性・絶縁信頼性を高めてもよい。加熱温度は、樹脂フィルムの硬化が進行する温度が好ましく、完全に硬化する温度がより好ましい。加熱温度、加熱時間は適宜設定される。
本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、樹脂フィルム40を半導体チップ10に貼付した後に基板20を接続してもよい。また、半導体チップ10及び基板20を配線15及び接続バンプ30によって接続した後、半導体チップ10及び基板20間の空隙にペースト状の半導体封止用接着剤を充填してもよい。
接続荷重は、接続バンプ30の数及び高さのばらつき、加圧による接続バンプ30、又は接続部のバンプを受ける配線の変形量を考慮して設定される。接続温度は、接続部の温度が接続バンプ30の融点以上であることが好ましいが、それぞれの接続部(バンプ及び配線)の金属接合が形成される温度であればよい。接続バンプ30がハンダバンプである場合は、約240℃以上であればよい。
接続時の接続時間は、接続部の構成金属によって異なるが、生産性が向上する観点から短時間であるほど好ましい。接続バンプ30がハンダバンプである場合、接続時間は、好ましくは20秒以下、より好ましくは10秒以下、さらに好ましくは5秒以下である。銅-銅、銅-金等の金属接続の場合は、接続時間は60秒以下が好ましい。
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1~3及び比較例1~5>
表1に示す種類及び含有量のエポキシ樹脂、硬化剤、フラックス剤、無機フィラー、樹脂フィラー、及びカップリング剤をボールミル容器に加え、さらに固形分量が50質量%となるようにメチルエチルケトンを加えた。このボールミル容器に、直径0.8mmのビーズ及び直径2.0mmのビーズを固形分と同質量分加えて、ボールミル装置(株式会社レッチェ製、商品名「遊星ボールミルPM400」)を用いて30分間撹拌した。その後、ボールミル容器に表1に示す種類及び含有量の熱可塑性樹脂を加え、再度ボールミルで30分間撹拌した。撹拌に用いたビーズをろ過によって除去することによって樹脂組成物ワニスを得た。
得られた樹脂組成物ワニスを、基材フィルム(帝人フィルムソリューション株式会社製、商品名「ピューレックスA70」)上に、小型精密塗工装置(株式会社廉井精機)で塗工し、クリーンオーブン(エスペック株式会社製)で乾燥(70℃/10min)して、実施例1~3及び比較例1~5の樹脂フィルム(厚さ:20μm)を得た。
実施例及び比較例で使用した材料は以下のとおりである。
(エポキシ樹脂)
EP1032:トリフェノールメタン骨格含有多官能固形エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、商品名「EP1032H60」、塩素イオン濃度(実測値):0.17質量ppm)
YL983U:ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、商品名「YL983U」、塩素イオン濃度(実測値):0.16質量ppm)
YX-7110:長鎖ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、商品名「YX-7110」、塩素イオン濃度(実測値):0.80質量ppm)
(熱可塑性樹脂)
FX-293:フルオレン骨格含有フェノキシ樹脂(新日化エポキシ製造株式会社製、商品名「FX-293」、塩素イオン濃度(実測値):0.21質量ppm)
LA2250:ポリメチルメタクリレートとポリブチルアクリレートとのトリブロック共重合体(株式会社クラレ製、商品名「クラリティLA2250」、塩素イオン濃度(実測値):0.10質量ppm)
ZX-1356-2:ビスフェノールA/F共重合型フェノキシ樹脂(新日化エポキシ製造株式会社、商品名「ZX1356」、塩素イオン濃度(実測値):0.82質量ppm)
(硬化剤)
2P4MHZ:2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製、商品名「2P4MHZ-PW」)
(フラックス剤)
グルタル酸(東京化成工業株式会社製、融点約98℃)
(無機フィラー)
SE2050:シリカフィラー(株式会社アドマテックス製、商品名「SE2050」、平均粒径0.5μm)
(樹脂フィラー)
EXL-2655:有機フィラー(コアシェルタイプ有機微粒子)(ダウ・ケミカル日本株式会社製、商品名「EXL-2655」)
(カップリング剤)
SH6040:シランカップリング剤(東レ・ダウコーニング株式会社、商品名「SH6040」)
なお、エポキシ樹脂及び熱可塑性樹脂の塩素イオン濃度(実測値)は、それぞれの樹脂1gとイオン交換水40gとの混合物を密閉容器内で121℃、2気圧下で96時間煮沸し、細孔径0.45μmメッシュ(アドバンテック東洋株式会社製、商品名:メンブレンフィルター)を通過させることによって得られる抽出水の塩素イオン濃度をイオンクロマトグラフィー法によって測定した値である。
<樹脂フィルム(樹脂組成物)の硬化物の抽出水の塩素イオン濃度及びpH値の測定>
実施例1~3及び比較例1~5の樹脂フィルム(厚さ:20μm)をそれぞれ空気雰囲気下、240℃、60分間加熱して樹脂フィルムの硬化物を得た。得られた樹脂フィルムの硬化物を密閉容器内に適宜切断して、樹脂フィルムの硬化物1gとイオン交換水40gとの混合物を調製した。調製した混合物を容器に入れて密栓し、密閉容器内で121℃、2気圧下で96時間煮沸し、細孔径0.45μmメッシュ(アドバンテック東洋株式会社製、商品名:メンブレンフィルター)を通過させた。このようにして得られた抽出水の塩素イオン濃度をイオンクロマトグラフィー法によって測定した。また、得られた抽出水のpH値をガラス電極法によって測定した。塩素イオン濃度及びpH値の結果を表1に示す。
<耐マイグレーション性評価(絶縁信頼性試験(HAST試験)>
実施例1~3及び比較例1~5の樹脂フィルム(厚さ:20μm)を、くし型電極評価TEG(日立化成株式会社製、配線ピッチ:40μm)に貼付し、クリーンオーブン(エスペック株式会社製)中で、175℃で2時間硬化させた。硬化後の樹脂フィルムを、高加速寿命試験装置(株式会社平山製作所製、商品名「PL-422R8」に設置し、130℃/85%RH/100時間で5V印加することによって、絶縁抵抗を測定した。100時間後の絶縁抵抗が1.0×10Ω以上であった場合を良好として「A」と評価し、1.0×10Ω未満であった場合を「B」と評価した。結果を表1に示す。
<接続性>
耐マイグレーション性評価で「A」であった実施例又は比較例の樹脂フィルムを、所定のサイズ(縦8mm×横8mm×厚さ0.040mm)に切り抜き、ガラスエポキシ基板(ガラスエポキシ基材:420μm厚、銅配線:9μm厚)上に貼付し、はんだバンプ付き半導体チップ(チップサイズ:縦7.3mm×横7.3mm×厚さ0.15mm、バンプ高さ:銅ピラーとはんだとの合計の高さ約40μm、バンプ数328)をフリップ実装装置(パナソニック株式会社製、商品名「FCB3」)で実装した(実装条件:圧着ヘッド温度350℃、圧着時間5秒、圧着圧力0.5MPa)。これによって、ガラスエポキシ基板とはんだバンプ付き半導体チップとがデイジーチェーン接続された半導体装置(図1を参照)を作製した。
作製した半導体装置の接続抵抗値を、マルチメータ(株式会社エーディーシー製、商品名「R6871E」)を用いて測定することによって、実装後の初期導通を評価した。接続抵抗値が10.0Ω以上13.5Ω以下の場合を接続性良好として「A」と評価し、接続抵抗値が13.5Ωを超え20Ω以下の場合を「B」と評価し、接続抵抗値が20Ωより大きい場合、若しくは接続抵抗値が10Ω未満の場合及び接続不良によるOpenの場合(抵抗値が表示されない場合)を「C」と評価した。結果を表1に示す。
<フラックス活性評価>
接続性評価で接続性良好であった実施例について、接続部の断面を観察し、Cu配線の上面のはんだ濡れが90%以上である場合を良好として「A」と評価し、はんだ濡れが90%未満である場合を「B」と評価した。結果を表1に示す。
Figure 0007259219000001
実施例1~3の樹脂組成物は、マイグレーションの発生を抑制することができ、接続性に優れていた。さらに、実施例1~3の樹脂組成物は、フラックス活性にも優れていた。比較例1、2の樹脂組成物は、塩素イオン濃度が条件(A)を満たしておらず、耐マイグレーション性が充分でなかった。比較例3の樹脂組成物は、無機フィラーを含んでおらず、相対的にエポキシ樹脂及び熱可塑性樹脂の含有量が増え、塩素イオン濃度が条件(A)を満たしておらず、耐マイグレーション性が充分でなかった。比較例4の樹脂組成物は、pH値が3.5未満であることから条件(A)を満たしておらず、耐マイグレーション性が充分でなかった。比較例5の樹脂組成物は、フラックス剤を含んでおらず、接続性が充分でなかった。
10…半導体チップ、15…配線(接続部)、20…基板(回路配線基板)、30…接続バンプ、40…樹脂フィルム、60…ソルダーレジスト、100,600…半導体装置。

Claims (4)

  1. エポキシ樹脂、熱可塑性樹脂、硬化剤、フラックス剤、及び無機フィラーを含有し、
    下記条件(A)を満たす、樹脂組成物であって、
    前記エポキシ樹脂が、ビスフェノール型エポキシ樹脂又はトリフェノールメタン型エポキシ樹脂を含み、
    前記エポキシ樹脂が、下記条件(B)を満たし、
    前記熱可塑性樹脂が、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリルゴム、及びアクリル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含み、
    前記熱可塑性樹脂が、下記条件(C)を満たし、
    前記フラックス剤が、ジカルボン酸であり、
    前記エポキシ樹脂の含有量が、樹脂組成物全量を基準として、20~50質量%であり、
    樹脂組成物全量を基準としたときの、前記熱可塑性樹脂の含有量に対する前記エポキシ樹脂の含有量の質量比が、0.1~10であり、
    前記硬化剤の含有量が、前記エポキシ樹脂100質量部に対して、0.1~10質量部であり、
    前記フラックス剤の含有量が、樹脂組成物全量を基準として、0.5~10質量%であり、
    前記無機フィラーの含有量が、樹脂組成物全量を基準として、30~60質量%である、樹脂組成物。
    条件(A):樹脂組成物からなる厚さ20μmの樹脂フィルムを空気雰囲気下、240℃、60分間加熱して樹脂フィルムの硬化物を作製し、当該樹脂フィルムの硬化物1gとイオン交換水40gとの混合物を密閉容器内で121℃、2気圧下で96時間煮沸し、細孔径0.45μmメッシュを通過させることによって得られる抽出水の塩素イオン濃度が1質量ppm以下であり、かつpH値が3.8~5.0である。
    条件(B):エポキシ樹脂1gとイオン交換水40gとのエポキシ樹脂混合物を密閉容器内で121℃、2気圧下で96時間煮沸し、細孔径0.45μmメッシュを通過させることによって得られる抽出水の塩素イオン濃度が0.3質量ppm以下である。
    条件(C):熱可塑性樹脂1gとイオン交換水40gとの熱可塑性樹脂混合物を密閉容器内で121℃、2気圧下で96時間煮沸し、細孔径0.45μmメッシュを通過させることによって得られる抽出水の塩素イオン濃度が0.3質量ppm以下である。
  2. フィルム状である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 請求項1に記載の樹脂組成物の硬化物。
  4. 半導体チップ及び配線回路基板のそれぞれの接続部が互いに電気的に接続された半導体装置、又は、複数の半導体チップのそれぞれの接続部が互いに電気的に接続された半導体装置の製造方法であって、
    請求項1に記載の樹脂組成物を用いて、前記接続部を封止する工程を備える、半導体装置の製造方法。
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