以下、添付図面を適宜参照しながら、本開示に係る捜査支援システムおよび捜査支援方法の構成および作用を具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
以下、多くの人および車両が行き交う交差点あるいはその近辺において事件等(例えば、事件または事故)を引き起こした被疑者が搭乗した車両(言い換えると、逃走車両)の追跡等を行う警察官の捜査を捜査支援システムにより支援する例を説明する。
先ず、実施の形態1に係る捜査支援システム100(図2参照)が適用される警察の事件等に対応する捜査のシナリオの一例について、図1を参照して説明する。図1は、実施の形態1に係る捜査支援システム100が適用される警察の捜査シナリオの動作手順の一例を示す動作フロー図である。
図1において、交差点で事件等(例えばひき逃げ)が発生したとする。なお、事件等はひき逃げに限定されないが、ここでは説明を分かり易くするために、事件等の被疑者が事件等を起こして車両に搭乗して逃走した例を想定して説明する。この事件等を目撃した人物(つまり目撃者)から警察署に対し、例えば白いセダンの車両が東に向かって逃走した旨の通報(つまり入電)があったとする(St1)。通報に応対する警察署のオペレータ(署内警察官)は、目撃者が事件等を目撃した日時および場所を電話で聞き取る。なおこの時、目撃者は逃走車両のLPR(License Plate Recognition)はできなかったとする。つまり、目撃者は逃走車両のライセンスプレート(つまりナンバープレート)の認識はできなかったとする(LPR不明)。逃走車両は事件現場から急いで逃走した場合、目撃者は逃走車両の色、型等の外見特徴は覚えていることがあるが、ナンバープレートの内容は覚えていないことが多い傾向がある。なお、実施の形態1に係る捜査シナリオにおいて、目撃者は逃走車両のナンバープレートの内容を覚えていても構わない。
ステップSt1の通報に対し、オペレータは、クライアント端末90(図2参照)を使用し、逃走車両の検索条件として、通報内容で得られた各種条件を入力したりチェックを入れたりすることで(図8~図10参照)、車両検索サーバ60(図2参照)に対し、白いセダンの検索を要求する(St2)。車両検索サーバ60は、クライアント端末90からの要求に従い、白いセダンの検索を行い、白いセダンの車両の外観を示すサムネイル画像と白いセダンの車両の乗員の顔およびナンバープレートを含むサムネイル画像とを、車両検索結果(被疑者の捜査情報の一例)として抽出してクライアント端末90に返送する。なお、詳細は後述するが、車両検索サーバ60からの車両検索結果には、複数種類のカメラ(具体的には、交差点カメラ10と車両撮影カメラ20)のそれぞれにより撮像された映像に対する車両検索によって得られた候補となる車両の解析結果が含まれる。クライアント端末90は、白いセダンの車両のサムネイル画像を含む車両検索結果を表示する(St3)。例えば、クライアント端末90は、交差点カメラ10の映像から得られた車両の解析結果と車両撮影カメラ20の映像から得られた車両の解析結果とを対応付けて表示する(図11参照)。
クライアント端末90は、オペレータの操作により、車両検索サーバ60から送られた車両検索結果を用いて逃走車両の候補レポートを生成する。候補レポートには、例えば、事件等の発生した日時および地点(つまり交差点)と、逃走車両の候補となる車両のサムネイル画像と該当する交差点の逃走方向との複数個の組み合わせとが掲載されている。クライアント端末90は、オペレータの操作により、例えば事件等の現場に急行した警察官(出動警察官)が所持する警察端末T10(図2参照)に、逃走車両の候補レポートを送信する(St4)。警察端末T10は、クライアント端末90から送られた逃走車両の候補レポートを表示する。現場の警察官は、逃走車両の候補レポートを目撃者に目視確認を依頼する。目撃者によりいずれか1台の候補の車両が選択された場合、警察端末T10は、現場の警察官の操作により、目撃者により選択された候補の車両を該当車両(つまり逃走車両)として確定し、逃走車両に関する情報(例えば候補レポートに掲載された車両のサムネイル画像)をクライアント端末90に送る。なお、上述の逃走車両に関する情報は、現場の警察官の操作により警察端末T10からクライアント端末90に送られる代わりに次のようにしても構わない。例えば、現場の警察官は、目撃者の目視による確認結果を口頭で聞き取り、その結果(例えば該当する逃走車両のサムネイル画像の識別情報(例えばサムネイル番号)を電話あるいはメール等の手段によってオペレータに伝達してもよい。
クライアント端末90は、目撃者の目視確認により確定された逃走車両に関する情報に基づいて、車両検索サーバ60から送られていた車両検索結果のうち逃走車両のナンバープレートおよび乗員の解析結果を特定する。これにより、オペレータは、逃走車両のナンバープレートと乗員(つまり、被疑者、あるいは被疑者とその同伴者)の顔画像とを把握できる(St5)。クライアント端末90は、逃走車両のナンバープレートおよび乗員の解析結果の特定結果を含む検索要求を、顔検索サーバ70およびLPR検索サーバ80のそれぞれに送る。また、クライアント端末90は、盗難車データベースD12および車両登録免許データベースD13のそれぞれにアクセスして逃走車両の所有者検索を行う(St6-1)。これにより、クライアント端末90は、逃走車両の所有者に関する情報(例えば、盗難車である旨の届出情報の有無、登録されている免許証、逃走車両のID情報、逃走車両の車検情報)を取得できる。また、クライアント端末90は、ブラックリスト顔データベースD11にアクセスして、逃走車両の乗員の顔画像がブラックリストに登録されているか否かを照合する(St6-3)。ブラックリストとは、例えば過去の事件等を起こした前科者の顔画像を含む個人情報が事件等ごとに区分されて登録されたデータである。なお、ステップSt6-3の処理は、クライアント端末90において行われてもよいし、顔検索サーバ70が有するデータベース71内のブラックリストを用いて顔検索サーバ70によって実行されても構わない。
LPR検索サーバ80は、クライアント端末90からの検索要求に従い、逃走車両のナンバープレートを用いた逃走車両の検索(LPR検索)を行う(St6-2、図14参照)。ステップSt6-1,St6-2,St6-3の各種検索の結果がクライアント端末90に返送される。これにより、オペレータは、事件等の被疑者が搭乗した逃走車両がその逃走車両の所有者の物あるいは盗難届が出ている物であるかを把握できるだけでなく、事件等の被疑者あるいは被疑者の顔を具体的に特定することができる(St7)。
この後、クライアント端末90は、オペレータの操作により、例えば街中を逃走する被疑者の顔画像を用いた顔検索によりリアルタイムにアラート通知を受けられるように(言い換えれば、顔検索による罠を仕込むように)、被疑者の顔画像を用いて被疑者を追跡するために被疑者の顔画像を検索するための検索要求を顔検索サーバ70に送る(St8-1)。また、クライアント端末90は、オペレータの操作により、例えば街中を逃走する被疑者の逃走車両のナンバープレートを用いたナンバープレート検索によりリアルタイムにアラート通知を受けられるように(言い換えれば、ナンバープレート検索による罠を仕込むように)、被疑者が搭乗した逃走車両のナンバープレートを用いて逃走車両を追跡するために逃走車両を検索するための検索要求をLPR検索サーバ80に送る(St8-2)。これにより、クライアント端末90は、被疑者の顔画像あるいは逃走車両のナンバープレート等の特徴情報を用いた顔検索サーバ70およびLPR検索サーバ80のそれぞれの返送結果により、被疑者あるいは逃走車両の現在位置を高精度に推定あるいは特定できる(St9)。つまり、オペレータは、現場の警察官あるいは現場に向かっている警察官に対して、被疑者あるいは逃走車両の居場所を適切に連絡でき、捜査の効率化を図ることが可能となる。
図2は、捜査支援システム100のシステム構成の一例を示すブロック図である。捜査支援システム100は、交差点カメラ10と、車両撮影カメラ20と、外部映像入力装置30と、記録サーバ50と、車両検索サーバ60と、顔検索サーバ70と、LPR検索サーバ80と、クライアント端末90と、外部データベースD10とを含む構成である。記録サーバ50と、車両検索サーバ60と、顔検索サーバ70と、LPR検索サーバ80とは、捜査支援システム100のサーバ群SVを構成し、警察署内でのオンプレミスサーバとしてもよいし、インターネット等のネットワーク網に接続されるクラウドサーバとして設けられてもよい。
なお、図2では、警察署内に設置されるサーバ群SVとクライアント端末90とはそれぞれ1台だけ示されているが、それぞれ複数台が設けられてよい。また、捜査支援システム100において、1つの警察署に限って使用されなくてもよく、例えば複数の警察署が跨って合同捜査する例に適用されてもよい。
捜査支援システム100では、交差点ごとに、複数台のカメラ(具体的には、交差点カメラ10と1台以上の車両撮影カメラ20)とがペアを構成して設置される(図3参照)。つまり、交差点カメラ10および車両撮影カメラ20のそれぞれは複数設けられる。なお、全ての交差点に複数台のカメラのペアが配置されなくてもよく、例えば国道あるいは県道等の主要幹線道路の交差点にだけ配置されても構わない。交差点カメラ10および車両撮影カメラ20のそれぞれは、ネットワークスイッチ40を介して、イントラネットの通信回線等のネットワークNW1を介して、サーバ群SVと通信可能に接続される。ネットワークNW1は、有線通信回線(例えば、光ファイバを用いた光通信網)により構成されるが、無線通信網により構成されてもよい。
交差点カメラ10および車両撮影カメラ20のそれぞれは、ネットワークスイッチ40およびネットワークNW1を介して、撮像映像をサーバ群SVに送る。以下の説明において、撮像映像には、撮像映像だけでなく、その撮像映像を撮像したカメラの識別情報(言い換えると、対応するカメラが設置された交差点の位置情報)および撮像日時の情報が含まれる。
ここで、図3を参照して、交差点ごとのカメラの配置例について簡単に説明する。図3は、交差点カメラ10および車両撮影カメラ20の配置の一例を模式的に示す図である。図3には、北側の主要幹線道路MRD1と東西に並んだ側道SRD1,SRD2,SRD3とがそれぞれ交差する交差点A,B,Cと、南側の主要幹線道路MRD2と東西に並んだ側道SRD1,SRD2,SRD3とがそれぞれ交差する交差点D,E,Fとが示されている。
カメラ(第1カメラ)の一例としての交差点カメラ10は、交差点A,B,C,D,E,Fのそれぞれに1台ずつ配置される。例えば交差点Aでは、交差点カメラ10aは、交差点Aの角部分から立設されたポール(図示略)の上方に固定的に設置され、例えば270度の画角AGa5を有して交差点Aを常時撮像している。なお、他の交差点B,C,D,E,Fについても同様に、それぞれの交差点カメラは、交差点B,C,D,E,Fの角に設置され、例えば270度の画角を有して交差点B,C,D,E,Fを常時撮像している。なお、それぞれの交差点カメラ10の向きは、図3に示す向きに限定されず、任意の方向で構わない。これにより、交差点カメラ10は、例えば交差点を撮像可能に配置されていれば、ナンバープレートが車体の前面に配置されていない場合でも適切に撮像可能となる。
カメラ(第2カメラ)の一例としての車両撮影カメラ20は、交差点A,B,C,D,E,Fのそれぞれに4台ずつ配置される。例えば交差点Aでは、車両撮影カメラ20a1は、主要幹線道路MRD1の路肩から立設されるL字状のポール(図示略)に固定的に設置され、画角AGa1を有して東方面から交差点Aに進入する車両のナンバープレートおよび乗員の顔を常時撮像している。車両撮影カメラ20a2は、側道SRD1の路肩から立設されるL字状のポール(図示略)に固定的に設置され、画角AGa2を有して南方面から北上して交差点Aに進入する車両のナンバープレートおよび乗員の顔を常時撮像している。車両撮影カメラ20a3は、側道SRD1の路肩から立設されるL字状のポール(図示略)に固定的に設置され、画角AGa3を有して西方面から交差点Aに進入する車両のナンバープレートおよび乗員の顔を常時撮像している。車両撮影カメラ20a4は、主要幹線道路MRD1の路肩から立設されるL字状のポール(図示略)に固定的に設置され、画角AGa4を有して北方面から南下して交差点Aに進入する車両のナンバープレートおよび乗員の顔を常時撮像している。なお、他の交差点B,C,D,E,Fについても同様であり、詳細については省略する。なお、それぞれの車両撮影カメラ20の向きは、図3に示す向きに限定されず、任意の方向で構わない。これにより、車両撮影カメラ20は、例えば交差点を撮像可能に配置されていれば、ナンバープレートが車体の前面に配置されていない場合でも適切に撮像可能となる。
外部映像入力装置30は、交差点カメラ10でも車両撮影カメラ20でもない外部カメラ(例えば住民が所持するスマートフォン、ビデオカメラ)の撮像映像を不定期に入力して保持している。外部映像入力装置30は、保持されている撮像映像を、ネットワークスイッチ40およびネットワークNW1を介してサーバ群SVに送る。
ネットワークスイッチ40は、ルータとしての機能を有し、複数の交差点カメラ10、複数の車両撮影カメラ20、外部映像入力装置30のそれぞれとネットワークNW1との間のデータあるいは情報の送受信を中継する。なお、図2では、ネットワークスイッチを便宜的に「SW」と表記している。
記録サーバ50は、例えば警察署内に設置され、データベース51と処理部52とを少なくとも含む構成である。記録サーバ50は、警察署の管轄地域内の全てあるいは一部の交差点に設置された交差点カメラ10および車両撮影カメラ20aのそれぞれから送られた撮像映像を受信して処理部52において取得し、バックアップ等のためにデータベース51に保存する。なお、図2では、データベースを便宜的に「DB」と表記している。記録サーバ50は、警察署内のオペレータの操作に応じてクライアント端末90から送られた要求により、データベース51に保存されている撮像映像をクライアント端末90に送ってよい。なお、警察署内に設置されるサーバ群SVの各サーバとクライアント端末90とは、警察署内のイントラネット等のネットワークを介して相互に通信可能に接続される。
サーバの一例としての車両検索サーバ60は、例えば警察署内に設置され、データベース61と処理部62とを少なくとも含む構成である。車両検索サーバ60は、警察署の管轄地域内の全てあるいは一部の交差点に設置された交差点カメラ10および車両撮影カメラ20のそれぞれから送られた撮像映像を受信して処理部62において取得する。車両検索サーバ60は、交差点カメラ10および車両撮影カメラ20のそれぞれから送られた撮像映像を受信する度に、その撮像映像中に映る車両に関する情報を抽出するための映像解析を実行し、その解析結果をデータベース61に保存する。映像解析の結果は、例えば映像内容に関わるタグ情報(例えば、撮像映像中に現れた車両の車種、型、色の情報)と映像解析に用いられた撮像映像の撮像日時およびカメラの識別情報が得られる。車両検索サーバ60は、このタグ情報を撮像映像に関連付けて付与してデータベース61に蓄積してよい。なお、データベース61に保存された解析結果は、例えば事件等が発生した場合にクライアント端末90から送られる車両情報要求に含まれる検索条件(図8~図10参照)を満たす車両の有無の検索時に参照される。
サーバの一例としての顔検索サーバ70は、例えば警察署内に設置され、データベース71と処理部72とを少なくとも含む構成である。顔検索サーバ70は、警察署の管轄地域内の全てあるいは一部の交差点に設置された交差点カメラ10および車両撮影カメラ20のそれぞれから送られた撮像映像を受信して処理部72において取得する。顔検索サーバ70は、交差点カメラ10および車両撮影カメラ20のそれぞれから送られた撮像映像を受信する度に、その撮像映像中に映る人物の顔画像を抽出するための映像解析を実行し、その解析結果をデータベース71に保存する。映像解析の結果は、例えば映像中に映る人物の顔画像と映像解析に用いられた撮像映像の撮像日時およびカメラの識別情報が得られる。顔検索サーバ70は、この解析結果を撮像映像に関連付けて付与してデータベース71に蓄積してよい。なお、データベース71に保存された解析結果は、例えば事件等が発生した場合にクライアント端末90から送られる顔情報要求に含まれる検索条件(図13参照)を満たす顔の有無の検索時に参照される。また、データベース71には、例えば過去の事件等を起こした前科者の顔画像を含む個人情報が事件等ごとに区分されて登録されたブラックリストのデータが保持されている。
サーバの一例としてのLPR検索サーバ80は、例えば警察署内に設置され、データベース81と処理部82とを少なくとも含む構成である。LPR検索サーバ80は、警察署の管轄地域内の全てあるいは一部の交差点に設置された交差点カメラ10および車両撮影カメラ20のそれぞれから送られた撮像映像を受信して処理部82において取得する。LPR検索サーバ80は、交差点カメラ10および車両撮影カメラ20のそれぞれから送られた撮像映像を受信する度に、その撮像映像中に映る車両のナンバープレート画像を抽出するための映像解析を実行し、その解析結果をデータベース81に保存する。映像解析の結果は、例えば映像中に映る車両のナンバープレート画像と映像解析に用いられた撮像映像の撮像日時およびカメラの識別情報が得られる。LPR検索サーバ80は、この解析結果を撮像映像に関連付けて付与してデータベース81に蓄積してよい。なお、データベース81に保存された解析結果は、例えば事件等が発生した場合にクライアント端末90から送られるナンバープレート情報要求に含まれる検索条件(図14参照)を満たすナンバープレートの有無の検索時に参照される。
クライアント端末90は、例えば警察署内に設置され、警察署内のオペレータ(署内警察官)により使用され、例えばラップトップ型またはデスクトップ型のPC(Personal Computer)を用いて構成される。オペレータは、例えば事件等が発生した場合、その事件等の発生を警察署に通報した通報者(例えば目撃者)からの電話により、その事件等に関する様々な情報(目撃情報)を聞き取り、クライアント端末90を操作することでデータ入力して記録する。なお、クライアント端末90は、上述したPCに限定されず、例えばスマートフォン、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant)等の通信機能を有するコンピュータであってよい。クライアント端末90は、例えば目撃情報に合致する車両(つまり、被疑者が搭乗した逃走車両)の検索を車両検索サーバ60に実行させるための車両情報要求を車両検索サーバ60に送り、その検索結果を受信して表示部93に表示する。
クライアント端末90は、通信部91と、メモリ92と、表示部93と、プロセッサPRC1とを含む構成である。なお、図2では図示が省略されているが、クライアント端末90には、オペレータの操作を受け付けるための操作部(例えばマウス、キーボード)が接続されてよい。この操作部(図示略)により、例えばオペレータが事件等の事案(case)の発生した日時および地点(交差点)の撮像映像を確認したい場合、その日時および地点、車両の特徴を含む検索条件がクライアント端末90に入力される。
通信部91は、イントラネット等のネットワークを介して接続されたサーバ群SV、あるいはインターネット等のネットワークNW2を介して接続された警察端末T10との間でそれぞれ通信を行う。
メモリ92は、例えばRAM(Random Access Memory)とROM(Read Only Memory)とを用いて構成され、クライアント端末90の動作の実行に必要なプログラム、さらには、動作中に生成されたデータあるいは情報を一時的に保存する。RAMは、例えばプロセッサPRC1の動作時に使用されるワークメモリである。ROMは、例えばプロセッサPRC1を制御するためのプログラムを予め記憶する。また、メモリ92は、例えばハードディスクドライブまたはソリッドステートドライブを含んでもよい。メモリ92は、交差点カメラ10および車両撮影カメラ20のそれぞれが設置された位置を示す道路地図情報を記録しており、例えば道路の新規建設もしくはメンテナンス工事等によって道路地図の情報更新が行われる度に、更新後の道路地図の情報を記録する。また、メモリ92は、それぞれの交差点に対応して設置された交差点カメラ10および1台以上の車両撮影カメラ20とその交差点情報との対応関係を示す交差点カメラ設置データを記録している。交差点カメラ設置データは、例えば交差点の識別情報とカメラの識別情報とが対応付けられている。従って、クライアント端末90は、サーバ群SVから送られた、撮像映像あるいは各種の検索結果に基づいて、撮像日時、カメラ情報および交差点情報を判定できる。
表示部93は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)または有機EL(Electroluminescence)等の表示デバイスを用いて構成され、プロセッサPRC1から送られた各種のデータを表示する。
プロセッサPRC1は、例えばCPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて構成され、クライアント端末90の制御部として機能し、クライアント端末90の各部の動作を全体的に統括するための制御処理、クライアント端末90の各部との間のデータの入出力処理、データの演算処理およびデータの記憶処理を行う。プロセッサPRC1は、メモリ92に記憶されたプログラムに従って動作する。プロセッサPRC1は、動作時にメモリ92を使用し、サーバ群SVから送られた検索結果あるいは撮像映像のデータを表示部93に表示する。また、プロセッサPRC1は、操作部(図示略)により入力された検索条件を含む情報取得要求を作成し、その情報取得要求を、通信部91を介してサーバ群SVの該当するサーバに送信する。
プロセッサPRC1は、メモリ92に記憶されたプログラムを読み込んで実行することで、再生部94と検索部95とを機能的に実現する。再生部94は、オペレータの操作に応じて、記録サーバ50から送られた撮像映像のデータを表示部93に出力して再生する。検索部95は、オペレータの操作により入力された検索条件を含む情報取得要求を生成する。
警察端末T10は、事件等の現場に存在するパトロール中の警察官が所持する無線通信可能な端末であり、例えばPC、スマートフォンあるいはタブレット端末を用いて構成される。警察端末T10は、インターネット等のネットワークNW2を介してクライアント端末90との間でデータあるいは情報の送受信が可能に接続される。警察端末T10は、表示デバイスを有し、クライアント端末90から送られた候補レポート(図1参照)を受信して表示デバイス上に表示する。
外部データベースD10は、例えば警察署の外部機関にて管理されているデータベースであり、警察署内のクライアント端末90からのアクセスを許可している。外部データベースD10は、ブラックリスト顔データベースD11と、盗難車データベースD12と、車両登録免許データベースD13とを含む構成である。外部データベースD10内の各種のデータベースの内容は適宜、追加あるいは削除等の更新がなされる。
ブラックリスト顔データベースD11は、例えば過去の事件等を起こした前科者の顔画像を含む個人情報が事件等ごとに区分されて登録されたブラックリストを格納している。ブラックリスト顔データベースD11は、例えば逃走車両の運転手等の乗員の顔画像がその逃走車両の所有者の顔画像と一致しないと判定された場合に、その乗員の身元を割り出すためのブラックリスト照合の際に参照される。
盗難車データベースD12は、例えば警察署に盗難届が提出されている車両(いわゆる盗難車両)の情報を保持する盗難車リストを格納している。盗難車データベースD12は、例えば逃走車両のナンバープレートが目撃者による目視確認によって明らかとなった後、その逃走車両に盗難届が提出されているか否かの特定の際に参照される。
所有者データベースの一例としての車両登録免許データベースD13は、例えば車両ごとに所有者の個人情報(例えば氏名、顔画像、住所)と車両情報(例えば車種、色、型)とを対応付けた所有者情報からなる所有者リストを格納している。車両登録免許データベースD13は、例えば逃走車両のナンバープレートが目撃者による目視確認によって明らかとなった後、その逃走車両の所有者の顔画像を含む所有者情報の特定の際に参照される。
図4は、交差点カメラ10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図4に示すように、交差点カメラ10は、4つの撮影部11a,11b,11c,11dと、プロセッサ12Pと、メモリ13と、通信部14と、記録部15とを含む構成である。交差点カメラ10は、例えば4つの撮影部11a~11dのうち撮影部11a~11cを用いて270度の画角を有して交差点を撮像可能であり、残り1つを用いて交差点カメラ10の設置位置の下部(真下)を撮像可能なマルチセンサカメラである。これは、例えば撮影部11a~11cが交差点全体を撮影可能に270度の画角を有して撮像し、撮影部11dが撮影部11a~11cの画角の死角となる範囲(例えば、交差点カメラ10の設置位置から鉛直方向下側の歩行者が歩く領域)を撮像するためである。
撮影部11a~11dはそれぞれ同一の構成であるため、撮影部11aを例示して説明する。撮影部11aは、集光用のレンズと、CCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサもしくはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型イメージセンサ等の固体撮像素子とを有する構成である。撮影部11aは、交差点カメラ10の電源がオンである間、固体撮像素子による撮像に基づいて得られた被写体の撮像映像のデータを常時プロセッサ12Pに出力する。また、撮影部11a~11dは、それぞれ撮像時のズーム倍率を変更させる機構を備えてもよい。
プロセッサ12Pは、例えばCPU、DSPもしくはFPGAを用いて構成される。プロセッサ12Pは、交差点カメラ10の制御部として機能し、交差点カメラ10の各部の動作を全体的に統括するための制御処理、交差点カメラ10の各部との間のデータの入出力処理、データの演算処理およびデータの記憶処理を行う。プロセッサ12Pは、メモリ13に記憶されたプログラムに従って動作する。プロセッサ12Pは、動作時にメモリ13を使用し、撮影部11aにより撮像された撮像映像のデータに対して各種の公知の画像処理を施した上で記録部15に記録する。なお、図4には図示を省略しているが、交差点カメラ10がGPS(Global Positioning System)受信部を有する場合、GPS受信部から現在の位置情報を取得し、撮像映像のデータに位置情報を更に対応付けて記録してよい。
ここでGPS受信部について簡単に説明する。GPS受信部は、複数のGPS発信機(例えば4個の航法衛星)から送信される、各自の信号送信時刻および位置座標を含む衛星信号を受信する。GPS受信部は、複数の衛星信号を用いて、現在のカメラの位置座標および衛星信号の受信時刻を算出する。なお、この算出は、GPS受信部ではなく、GPS受信部からの出力が入力されたプロセッサ12Pにより実行されてよい。なお、受信時刻の情報は、カメラのシステム時刻の補正のためにも使用されてよい。システム時刻は、例えば撮像映像を構成する撮像画像の撮像時刻の記録等に利用される。
プロセッサ12Pは、通信部14により受信された外部からの制御コマンドに従って、撮影部11a~11dによる撮影条件(例えば、ズーム倍率)を可変的に制御してもよい。例えば、外部からの制御コマンドがズーム倍率の変更を指示する場合、プロセッサ12Pは、その制御コマンドに従って、その制御コマンドで指定される撮影部の撮影時におけるズーム倍率を変更する。
プロセッサ12Pは、記録部15に記録された撮像映像のデータを、通信部14を介して、サーバ群SVに繰り返して送る。ここで、繰り返して送るとは、定められた一定周期の時間経過の度に送信することに限定されず、一定周期ではなく定められた不規則な時間間隔の経過の度に送信することも含まれてよく、複数回にわたって送信することを含む。
メモリ13は、例えばRAMとROMを用いて構成され、交差点カメラ10の動作の実行に必要なプログラム、さらには、動作中に生成されたデータあるいは情報を一時的に保存する。RAMは、例えばプロセッサ12Pの動作時に使用されるワークメモリである。ROMは、例えばプロセッサ12Pを制御するためのプログラムを予め記憶する。
通信部14は、プロセッサ12Pの指示に基づいて、ネットワークスイッチ40およびネットワークNW1を介して、記録部15に記録された撮像映像をサーバ群SVにそれぞれ送る。
記録部15は、交差点カメラ10に内蔵される半導体メモリ(例えばフラッシュメモリ)、または交差点カメラ11に内蔵されないメモリカード(例えばSDカード)などの外部記憶媒体を用いて構成される。記録部15は、プロセッサ12Pにより生成された撮像映像を交差点カメラ10の識別情報および撮像日時の情報と対応付けて記録する。記録部15は、所定時間(例えば30秒)分の撮像映像のデータを常時プリバッファリングして保持し、現在時刻より所定時間(例えば30秒)前までの撮像映像のデータを上書きしながら蓄積し続ける。なお、記録部15がメモリカードで構成される場合、交差点カメラ10の筐体に挿抜自在に装着される。
図5は、車両撮影カメラ20のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。車両撮影カメラ20は、プロセッサ21と、メモリ22と、撮像素子S1と、照度センサS2と、照明ドライバD1と、レンズ内フィルタ切替ドライバD2と、レンズドライバD3と、前面フィルタ切替ドライバD4と、偏光フィルタ旋回ドライバD5と、通信部24と、距離センサS3とを含む構成である。
プロセッサ21は、例えばCPU、DSPもしくはFPGAを用いて構成される。プロセッサ21は、車両撮影カメラ20の全体的な動作を司るコントローラとして機能し、車両撮影カメラ20の各部の動作を統括するための制御処理、車両撮影カメラ20の各部との間のデータの入出力処理、データの演算処理およびデータの記憶処理を行う。プロセッサ21は、メモリ22に記憶されたプログラムに従って動作する。プロセッサ21は、動作時にメモリ22を使用し、プロセッサ21が生成または取得したデータもしくは情報をメモリ22に一時的に保存する。
メモリ22は、例えばRAMとROMとを用いて構成され、車両撮影カメラ20の動作の実行に必要なプログラム、更には、動作中に生成されたデータもしくは情報を一時的に保持する。RAMは、例えば、車両撮影カメラ20の動作時に使用されるワークメモリである。ROMは、例えば、車両撮影カメラ20を制御するためのプログラムを予め記憶して保持する。
撮像素子S1は、例えば2K、4K、8K等の高精細な映像を撮像可能なイメージセンサであり、例えばCCDあるいはCMOS等の固体撮像素子で構成される。この固体撮像素子は、撮像面に結像した光学像の光電変換に基づいて、撮像画像に対応する電気信号を生成する。また、撮像素子S1は、固体撮像素子から出力される電気信号を増幅するためのアンプと、このアンプのゲイン(感度)を調整可能なゲイン調整部とを含んでよい。なお、撮像素子S1の出力は、プロセッサ21に入力されて所定の信号処理が実行された上で撮像映像のデータが生成される。
照度センサS2は、車両撮影カメラ20の周囲の環境の照度を検出する。照度センサS2には、例えばフォトダイオードあるいはフォトトランジスタが用いられる。照度センサS2は、車両撮影カメラ20の被写体としての車両が存在する方向の環境の照度を検出可能となるように、車両撮影カメラ20の筐体の前面に取り付けられる。照度センサS2で検出される照度情報(具体的には、照度値のデータ)は、プロセッサ21に入力され、プロセッサ21により、現時点が夜間あるいは日中のいずれであるかの判定に用いられる。
プロセッサ21は、照度情報が既定の閾値より高い(言い換えると、周囲が明るい)と朝方あるいは昼間と判定し、車両撮影カメラ20に日中の処理を実行させるための日中モードをセットする。また、プロセッサ21は、照度情報が既定の閾値より低い(言い換えると、周囲が暗い)と夜間あるいは夕方と判定し、車両撮影カメラ20に夜間の処理を実行させるための夜間モードをセットする。セットされた日中モードあるいは夜間モードを示す情報(例えばフラグ)は、例えばメモリ22に一時的に保持される。
通信部24は、有線LAN(Local Area Network)あるいは無線LAN等のネットワークNW1を介して、サーバ群SVとの間で通信可能である。
距離センサS3は、車両撮影カメラ20から車両までの距離を測定するセンサである。距離センサS3は、例えば赤外線、レーザ光あるいは超音波を照射し、TOF(Time Of Flight)法を用いて、その反射光を検知するまでの時間差によって距離を算出する。なお、距離センサS3を用いる代わりに、撮像素子S1を用いて車両までの距離を測定してもよい。例えば、プロセッサ21は、撮像素子S1で撮像された撮像画像に含まれる車両画像のサイズ割合を基に、予め登録された距離とサイズ割合との対応関係を表し、メモリ22等において保持されるテーブル(図示略)を参照して車両までの距離を導出してもよい。
照明ドライバD1は、複数の照明用LED28の点灯あるいは消灯を切り替えるためのスイッチング回路等を用いて構成される。照明ドライバD1は、プロセッサ21からの制御指示に従い、複数の照明用LED28を点灯または消灯に切り替える。また、照明ドライバD1は、照明用LED28の発光量を調節可能な可変増幅回路等を更に有してもよい。この場合、照明ドライバD1は、プロセッサ21からの制御指示に従い、照明用LED28の発光量を調節することで調光できる。
レンズ内フィルタ切替ドライバD2は、レンズ内フィルタ切替モジュール25を駆動するための電気回路を用いて構成される。レンズ内フィルタ切替ドライバD2は、プロセッサ21からの制御指示に従い、レンズ内フィルタ切替モジュール25を駆動し、光軸上にIRカットフィルタあるいは素ガラスのいずれかを配置する。
レンズ内フィルタ切替モジュール25は、レンズブロック26より後方(後面側)かつ撮像素子S1の前方(前面側)に配置される。レンズ内フィルタ切替モジュール25は、IRカットフィルタ(図示略)と素ガラス(図示略)とを切り替え可能に配置し、IRカットフィルタと素ガラスとを交互に切り替えて光学系の光軸上に配置する。レンズ内フィルタ切替モジュール25は、例えば昼間等に設定される日中モード時、光軸上にIRカットフィルタを配置する。これにより、日中モード時には、撮像素子S1には、IR帯域の成分が遮断されたRGB光が受光されるので、画質の良好な可視光画像が得られる。一方、レンズ内フィルタ切替モジュール25は、例えば夜間等に設定される夜間モード時、光軸上に素ガラスを配置する。これにより、夜間モード時には、撮像素子S1には、IRカットフィルタによってIR帯域の成分が遮断されないで素ガラスを通過した入射光が受光されるので、その受光された入射光に基づいて、一定の明るさを有する(言い換えると、暗くなり過ぎない)IR画像が得られる。
レンズドライバD3は、レンズブロック26内の各種のレンズの位置を調整するための電気回路を用いて構成される。レンズドライバD3は、プロセッサ21からの制御指示に従い、レンズブロック26内のフォーカスレンズの位置を調節する。なお、レンズブロック26がズームレンズを内蔵する場合、レンズドライバD3は、プロセッサ21からの制御指示に従い、ズームレンズの倍率を調節してもよい。
レンズブロック26、撮像素子S1の撮像面に被写体の光学像を結像させるフォーカスレンズを含む。なお、レンズブロック26は、フォーカスレンズの他、望遠から広角まで変倍可能なズームレンズ等を含んでもよい。
前面フィルタ切替ドライバD4は、前面フィルタ切替モジュール用モータ(図示略)を駆動させるための電気回路を用いて構成される。前面フィルタ切替ドライバD4は、プロセッサ21からの制御指示に従い、前面フィルタ切替モジュール用モータ(図示略)を駆動し、光軸上にバンドパスフィルタまたは偏光フィルタを配置する。
前面フィルタ切替モジュール27は、バンドパスフィルタと偏光フィルタとを交互に切り替えて(例えば、左右方向にスライド移動させて)、バンドパスフィルタあるいは偏光フィルタを光軸上に配置する。前面フィルタ切替モジュール27がレンズブロック26より光軸上の被写体側(前面側)に配置されることで、前面フィルタ切替モジュール27の機械的調整(例えばメンテナンス)が容易となる。
偏光フィルタ旋回ドライバD5は、偏光フィルタ回転用モータを駆動するための電気回路を用いて構成される。偏光フィルタ旋回ドライバD5は、プロセッサ21からの制御指示に従い、偏光フィルタ回転用モータを駆動し、光軸上に配置された偏光フィルタの偏光軸を、光軸を中心に所定角度(つまり偏光角)分だけ回転させる。偏光フィルタの偏光軸が傾くことで、偏光フィルタを透過する光の量は制限される。
車両撮影カメラ20は、車両を被写体とし、車両内に搭乗している被疑者あるいは被疑者と同伴者の顔とその車両のナンバープレートとの両方を鮮明に撮像し、各人物の顔およびナンバープレートの撮像画像を生成して取得する。つまり、撮像素子S1は、車両内の人物の顔とナンバープレートとの両方を撮像し、同一の車両に対応する車内の人物の顔画像が主に鮮明に映る撮像画像とナンバープレート画像が主に鮮明に映る撮像画像とを生成する。撮像素子12を用いた撮像時、プロセッサ21は、撮像条件で撮像素子S1に撮像動作を実行させる。撮像条件として、例えば標準的な露光基準時間に対し、その露光基準時間より露光時間を長くすることと、その露光基準時間より露光時間を短くすることとが挙げられる。
具体的には、車両撮影カメラ20は、長めの露光時間が設定された状態で撮像することで、フロントガラス越しの車両内の人物の顔が主に鮮明かつ明るく映る顔画像を生成できる。また、車両撮影カメラ20は、短めの露光時間が設定された状態で撮像することで、光沢性の高いナンバープレートが主に鮮明かつ明るく映るナンバープレート画像を生成できる。つまり、フロントガラスおよび車両内の人物の顔が暗くても、車両撮影カメラ20は露光時間を長くすることで明るい画像を撮像できる。ただし、露光時間が長ければ明るいナンバープレートの部分は、白飛びしてしまう。また、ナンバープレートの部分が明るくても、車両撮影カメラ20は露光時間を短くすることで白飛びすることなくナンバーを判読可能に撮像できる。ただし、露光時間が短ければフロントガラス部分および車両内の人物の顔は暗くなる。以上により、車両撮影カメラ20は、長めの露光時間が設定された状態の撮像により得られた車両内の人物の顔画像が明るい第1撮像画像と、短めの露光時間が設定された状態の撮像により得られたナンバープレート画像が明るい第2撮像画像との両方を生成できる。
図6は、各種のサーバに共通のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。ここでは、車両検索サーバ60を例示して説明するが、この説明は他のサーバ(つまり、記録サーバ50、顔検索サーバ70、LPR検索サーバ80)の構成にも同様に適用可能である。車両検索サーバ60は、データベース61と、処理部62と、通信部63と、メモリ64とを含む構成である。
データベース61は、例えばハードディスクドライブまたはソリッドステートドライブを用いて構成される。データベース61は、交差点カメラ10および車両撮影カメラ20のそれぞれから送られた撮像映像を、その撮像映像を撮像したカメラの識別情報(言い換えると、対応するカメラが設置された交差点の位置情報)および撮像日時の情報と対応付けて記録する。また、データベース61は、交差点カメラ10および車両撮影カメラ20のそれぞれが設置された位置を示す道路地図情報も記録しており、例えば道路の新規建設もしくはメンテナンス工事等によって道路地図の情報更新が行われる度に、更新後の道路地図情報を記録する。また、データベース61は、それぞれの交差点に対応して設置された交差点カメラ10および1台以上の車両撮影カメラ20とその交差点との対応関係を示す交差点カメラ設置データを記録している。交差点カメラ設置データは、例えば交差点の識別情報とカメラの識別情報とが対応付けられている。
また、データベース61は、映像解析部65による撮像映像の解析結果として得られるタグ情報(例えば、撮像映像中に現れた車両の車種、型、色の情報)と映像解析に用いられた撮像映像の日時およびカメラの識別情報とを対応付けて格納する。このタグ情報は、例えばクライアント端末90から送られる車両の情報取得要求に合致する車両情報の抽出の際に参照される。
処理部62は、例えばCPU、DSPまたはFPGAを用いて構成されるプロセッサである。処理部62は、車両検索サーバ60の制御部として機能し、車両検索サーバ60の各部の動作を全体的に統括するための制御処理、車両検索サーバ60の各部との間のデータの入出力処理、データの演算処理およびデータの記憶処理を行う。処理部62は、メモリ64に記憶されたプログラムに従って動作する。処理部62は、メモリ64に記憶されたプログラムを読み込んで実行することで、映像解析部65と映像検索部66とを機能的に実現する。映像解析部65と映像検索部66の詳細については後述する。
通信部63は、イントラネット等のネットワークNW1を介して接続された交差点カメラ10および車両撮影カメラ20のそれぞれとの間で通信を行い、それぞれのカメラから送られた撮像映像(つまり、交差点の状況を示す映像、交差点に進入する車両の状況を示す映像)を受信する。また、通信部63は、警察署内に設けられたイントラネット等のネットワークを介して、クライアント端末90との間で通信を行い、クライアント端末90から送られた情報取得要求を受信したり、その情報取得要求の応答を返送したりする。
メモリ64は、例えばRAMとROMを用いて構成され、サーバの動作の実行に必要なプログラムやデータ、さらには、動作中に生成された情報またはデータ等を一時的に保存する。RAMは、例えばプロセッサPRC1の動作時に使用されるワークメモリである。ROMは、例えばプロセッサPRC1を制御するためのプログラムおよびデータを予め記憶する。
映像解析部65は、例えば交差点カメラ10および車両撮影カメラ20のそれぞれからの撮像映像が車両検索サーバ60において受信される度に、その撮像映像を順に映像解析を行い、その映像解析結果を抽出する。例えば車両検索サーバ60の場合、映像解析部65は、映像解析結果として、撮像映像に映る車両の車種、型、色、ナンバープレート、車両内の人物(例えば事件等の被疑者、あるいは被疑者と同伴者)の顔画像、さらにその車両の交差点通過時の走行方向を取得する。映像解析部65は、例えば複数枚の撮像画像のフレームの時間的な差分に基づいて、車両の交差点通過時の走行方向を判別可能である。走行方向は、例えば車両が交差点を直進、左折、右折または転回のうちいずれの走行によって通過したかを示す。映像解析部65は、映像解析結果と映像解析に用いられた撮像映像の撮像日時および地点(つまり、交差点の位置)とを対応付けてデータベース61に記録する。これにより、車両検索サーバ60は、どの交差点のいつの時点で撮像された撮像映像にどのような車両が映っていたかを明確に判別可能となる。
映像検索部66は、クライアント端末90から送られた車両の情報取得要求に基づいて、データベース61に記録されている映像解析結果の中から、情報取得要求に合致する車両の映像解析結果(上述参照)を検索する。映像検索部66は、情報取得要求に合致する映像解析結果を車両検索結果として抽出する。映像検索部66は、車両検索結果を、通信部63を介してクライアント端末90に送る。
次に、捜査支援システム100を用いた警察捜査の際に、クライアント端末90の表示部93に表示される各種の画面例について、図7から図14を参照して説明する。図7~図14の説明において、図中に示される構成と同一の構成については同一の符号を参照して説明を簡略化あるいは省略する。
警察捜査において、クライアント端末90は、オペレータの操作により、予めインストールされている捜査支援アプリケーション(以下「捜査支援アプリ」という)を立ち上げて実行中である。捜査支援アプリは、例えばクライアント端末90のメモリ92のROMに格納され、オペレータの操作により起動されるとプロセッサPRC1により実行される。捜査支援アプリの起動中にプロセッサPRC1により生成されるデータあるいは情報は、一時的にメモリ92のRAMに保持される。
図7は、監視映像画面WD1の一例を示す図である。監視映像画面WD1は、記録サーバSv1,Sv2のそれぞれに対して予め登録されている1台以上のカメラ(具体的には、交差点カメラ10、1台以上の車両撮影カメラ20)の撮像映像を小画面に区分して表示する画面である。なお、記録サーバSv1,Sv2は記録サーバ50(図2参照)と同一構成である。図7では、記録サーバSv2に対して登録されている16台のカメラ(例えば交差点カメラ10,車両撮影カメラ20等)の撮像映像のそれぞれが示されている。
捜査支援アプリは、オペレータの操作により、例えば記録サーバSv2に対して予め登録されている1台以上のカメラの撮像映像を記録サーバSv2に要求すると、記録サーバSv2から送られた撮像映像の監視映像画面WD1を生成して表示部93に表示する。なお、どの記録サーバにどのカメラが対応付けて登録されているかは、予め捜査支援アプリにおいて設定されている。
監視映像画面WD1は、記録サーバSv2に対して予め登録されている1台以上のカメラが列挙されているカメラリストCMLT1の表示領域と、例えば最大16台のカメラの撮像映像の表示画面MV1,MV2,MV3,MV4,…,MV16の表示領域と、オペレータの操作により選択された表示画面(例えば表示画面MV2)に対する再生、早送り、早戻し等の映像操作ボタンBtn1の表示領域とを含む。オペレータの操作によりいずれかの表示画面が選択されると、捜査支援アプリは、その表示画面が選択されたことを示すフォーカス枠FCS1を識別可能に表示する。
図8は、車両検索画面WD2の一例を示す図である。図9は、車両の特徴情報の入力ウインドウDTL1が表示された車両検索画面WD2の一例を示す図である。図10は、車両および人物の特徴情報の複合入力ウインドウDTL2の一例を示す図である。図11は、車両検索結果画面WD3の一例を示す図である。捜査支援アプリは、オペレータの操作により、図8に示す車両検索画面WD2を表示部93に表示する。
車両検索画面WD2は、車両検索サーバ60に車両の検索を要求するための検索条件の入力欄と、メモリ92に記録されている道路地図情報に対応する道路地図MP1との両方を並べて表示する車両検索表示領域Var1を含む。捜査支援アプリは、オペレータの車両検索タブTB1を選択する操作に応じて、車両検索表示領域Var1を表示する。
道路地図MP1上には、複数のカメラ(具体的には、交差点カメラ10、1台以上の車両撮影カメラ20)が設置された交差点のアイコンPt1,Pt2,Pt3,Pt4,Pt5,Pt6,Pt7,Pt8,Pt9,Pt10,Pt11が、対応する交差点の位置を示すように表示されている。これにより、オペレータは、複数のカメラ(具体的には、交差点カメラ10、1台以上の車両撮影カメラ20)が設置された交差点の場所を視覚的に判別可能となる。なお、道路地図MP1は、捜査支援アプリによって、オペレータの操作により適宜スライドされて表示されてよい。
また、車両検索サーバ60により車両情報の検索がなされる場合、オペレータの操作により選択されたアイコンに対応する交差点に設置された複数のカメラ(具体的には、交差点カメラ10、1台以上の車両撮影カメラ20)の撮像映像が検索の対象となる。
検索条件の入力欄には、例えば、「Latest」アイコンLT1、日時開始入力欄FR1、日時終了入力欄TO1、地点エリア入力欄PA1、車両の特徴情報の入力ウインドウの表示起動アイコンIC1、あいまい検索バーBBR、車両検索アイコンVSH1が含まれる。
「Latest」アイコンLT1は、検索日時を最新日時に設定するためのアイコンであり、捜査中にオペレータの操作により押下されると、捜査支援アプリは、検索条件(例えば期間)として最新日時(例えば押下された時点の日時から10分前の期間)をセットする。
日時開始入力欄FR1は、被疑者の逃走車両を車両検索サーバ60に検索させるために、その検索の対象となる逃走車両の存在の開始となる日時として、オペレータの操作により入力される。日時開始入力欄FR1には、例えば事件等の発生日時またはその日時より少し前の日時が入力される。図8、図9および図11では、日時開始入力欄FR1には、「2018年8月8日の午前7時57分」が入力された例が示されている。オペレータの操作により入力されると、捜査支援アプリは、検索条件(例えば開始日時)として日時開始入力欄FR1に入力された日時をセットする。
日時終了入力欄TO1は、被疑者の逃走車両を車両検索サーバ60に検索させるために、その検索の対象となる逃走車両の存在の終了となる日時として、オペレータの操作により入力される。日時終了入力欄TO1には、例えば逃走車両の検索期間の終了日時が入力される。図8、図9および図11では、日時終了入力欄TO1には、「2018年8月9日の午前8時7分」が入力された例が示されている。オペレータの操作により入力されると、捜査支援アプリは、検索条件(例えば終了日時)として日時終了入力欄TO1に入力された日時をセットする。
地点エリア入力欄PA1は、被疑者の逃走車両を車両検索サーバ60に検索させるために、その検索の対象となる逃走車両が存在すると思われる地点としてオペレータの操作により入力される。例えば、道路地図MP1上に示されたアイコンPt1~Pt11のうちいずれかがオペレータの操作により選択されると、捜査支援アプリは、その選択されたアイコンに対応する交差点の地名を地点エリア入力欄PA1にセットする。図8および図9では、地点エリア入力欄PA1には、例えばアイコンPt7に対応する「Intersection ZW1」がセットされている例が示されている。捜査支援アプリは、地点エリア入力欄PA1に最大で4地点の入力を受け付け可能であり、例えば、4地点を超える入力を受け付けた場合にエラーメッセージをポップアップ表示してよい。
あいまい検索バーBBRには、車型(Type)のあいまい検索バーと、車色(Color)のあいまい検索バーと、時間のあいまい検索バーとが含まれる。
車型のあいまい検索バーは、オペレータの操作により、車型の検索精度として、狭い(Narrow)精度の検索と全て(All)の車型を含む精度の検索とを調整可能なスライドバーである。狭い(Narrow)側に調整された場合、捜査支援アプリは、車型入力欄SY1と同一の車型を検索条件(例えば車型)としてセットする。一方、全て(All)側に調整された場合、捜査支援アプリは、車型入力欄SY1に入力された車型に限らず、選択肢ITM1(図9,図10参照)の全ての車型を含めて検索条件(例えば車型)をセットする。
車色のあいまい検索バーは、オペレータの操作により、車色の検索精度として、狭い(Narrow)精度の検索と広い(Wide)精度の検索とを調整可能なスライドバーである。狭い(Narrow)側に調整された場合、捜査支援アプリは、車色入力欄CL1と同一の車色を検索条件(例えば車色)としてセットする。一方、広い(Wide)側に調整された場合、捜査支援アプリは、車色入力欄CL1に入力された車色と近いあるいは似たような車色を広範に含めて検索条件(例えば車色)をセットする。
時間のあいまい検索バーは、オペレータの操作により、日時の開始時刻および終了時刻の検索精度として、例えば前後30分(つまり、-30,-20,-10,-5,0,+5,+10,+20,+30分)の範囲で時刻を調整可能なスライドバーである。捜査支援アプリは、入力された日時開始入力欄FR1および日時終了入力欄TO1のそれぞれに対し、オペレータの操作により-30分側から+30分側までの間でいずれかの位置に個別にスライドされると、日時開始入力欄FR1および日時終了入力欄TO1に入力されたそれぞれの時刻から時間あいまい検索バーの調整バーの位置に応じて調整した上で検索条件(例えば日時)をセットする。
車両検索アイコンVSH1は、オペレータの操作により入力された各種の検索条件が全て適正に入力された時点で押下可能に捜査支援アプリにより表示される。オペレータの操作により車両検索アイコンVSH1が押下されると、捜査支援アプリは、その押下を検知し、入力された各種の検索条件を含む車両の情報取得要求を生成し、通信部91を介して車両検索サーバ60に送る。捜査支援アプリは、車両の情報取得要求に基づく車両検索サーバ60からの車両検索結果を、通信部91を介して受信して取得する。
また、捜査支援アプリは、オペレータの操作により、入力ウインドウの表示起動アイコンIC1の押下を検知した場合、逃走車両の型および色を詳細に選択可能な入力ウインドウDTL1を道路地図MP1上に重ねて表示する。
車型入力欄SY1は、被疑者の逃走車両を車両検索サーバ60に検索させるために、その検索の対象となる逃走車両の車型として、複数の選択肢ITM1の中からオペレータの操作により入力される。入力ウインドウDTL1において、車型の選択肢ITM1として、セダン(Sedan)、ワゴン(Van)、スポーツ用多目的車両(SUV)、トラック(Truck)、バス(Bus)、乗員が搭乗(乗車)するキャビンより後方側に開放式の荷台を有するような大型以外のトラック(Pickup Truck)のうちいずれかが選択可能である。なお、選択肢の一つとしてバイク(つまり二輪車)も含まれても構わない。少なくとも一つがオペレータの操作により選択される。図8,図9では、例えばセダンとワゴンとスポーツカーとが選択されている。
車色入力欄CL1は、被疑者の逃走車両を車両検索サーバ60に検索させるために、その検索の対象となる逃走車両の車色として、複数の選択肢ITM2の中からオペレータの操作により入力される。入力ウインドウDTL1において、車色の選択肢IMT2として、灰色(Gray/Silver)、白色(White)、赤色(Red)、黒色(Black)、青色(Blue)、緑色(Green)、茶色(Brown)、黄色(Yellow)、紫色(Purple)、ピンク色(Pink)のうちいずれかが選択可能である。少なくとも一つがオペレータの操作により選択される。図8,図9では、例えば白色が選択されている。
なお、実施の形態1では車両撮影カメラ20では車両内の人物の顔画像も撮像可能となるので、図10に示すように、捜査支援アプリは、逃走車両だけでなく被疑者(人物)の外見特徴をも検索条件としてセットできるように、車両の外見特徴の入力ウインドウVDTLと人物の外見特徴の入力ウインドウPDTLとを含む複合入力ウインドウDTL2を車両検索画面WD2に表示してもよい。入力ウインドウVDTLは、図9に示す入力ウインドウDTL1と同一のため、説明は省略する。
図10に示す複合入力ウインドウDTL2は、入力ウインドウVDTLでの検索条件の指定を可能とするためのスイッチSW1と、入力ウインドウPDTLでの検索条件の指定を可能とするためのスイッチSW2と、入力ウインドウVDTLと、入力ウインドウPDTLとを含む。捜査支援アプリは、オペレータの操作により、スイッチSW1の切替によって入力ウインドウVDTLの表示あるいは非表示を切り替えてよい。同様に、捜査支援アプリは、オペレータの操作により、スイッチSW2の切替によって入力ウインドウPDTLの表示あるいは非表示を切り替えてよい。
入力ウインドウPDTLにおいて、人物の外見特徴の要素として、特徴(Characteristics)と、服装(Decoration)とがセット可能となっている。なお、捜査支援アプリは、服装(Decoration)に対し、オペレータの操作によりカラーパレットITM5から選択された少なくとも一つの色を検索対象人物像IPS1に対して着色できる。捜査支援アプリは、オペレータの操作により特徴(Characteristics)および服装(Decoration)の指定により特定される検索対象人物像IPS1を入力ウインドウPDTL内に表示する。これにより、オペレータは、自ら設定した特徴(Characteristics)および服装(Decoration)の結果に相当する検索対象人物像IPS1を視覚的に確認でき、自らの設定の是非を簡易に判断できる。
特徴(Characteristics)には、人物の外見特徴の一部に関する選択肢ITM3が選択可能に表示される。表示される選択肢ITM3は、性別に関する選択肢(具体的には「Male」あるいは「Female」)と、年齢に関する選択肢(具体的には「Younger」、「Middle」あるいは「Older」)と、身長に関する選択肢(具体的には「Small」、「Normal」あるいは「Large」)と、体型に関する選択肢(具体的には「Slim」、「Normal」あるいは「Thick)である。これにより、オペレータは、人物の性別やサイズ等の外見的な特徴をきめ細かく選択できる。
服装(Decoration)には、人物の外見特徴の一部に関する選択肢ITM4が選択可能に表示される。表示される選択肢ITM4は、所持品に関する選択肢(具体的には「with bag」あるいは「no bag」)と、装着物に関する選択肢(具体的には「with hat」あるいは「no hat」)と、上半身の服装に関する選択肢(具体的には「Long sleeved」、「Short sleeved」あるいは「Others」)と、下半身の服装に関する選択肢(具体的には「Long Pants」、「Short Pants」、「Skirt」あるいは「Others」)と、髪型に関する選択肢(具体的には「Long Hair」、「Short Hair」、「No Hair」あるいは「Others」)である。また、服装や所持品、装着物についてはカラーパレットITM5の中から色も選択可能である。例えば、灰色(Gray)、黒色(Black)、白色(White)、赤色(Red)、緑色(Green)、青色(Blue)、黄色(Yellow)、橙色(Orange)、茶色(Brown)、紫色(Purple)、自由色(Free)から選択可能である。これにより、オペレータは、被疑者(人物)の服装等に関する外見的な特徴をきめ細かく選択できる。
捜査支援アプリは、車両検索画面WD2の車両検索アイコンVSH1を押下するオペレータの操作により、車両検索サーバ60から車両検索結果を取得すると、逃走車両の候補となる1台以上の車両に関する車両検索結果画面WD3を表示部93に表示する。車両検索結果画面WD3は、車両検索表示領域Var1において、車両検索サーバ60に車両の検索を要求するための検索条件の入力欄と、車両検索サーバ60から返送された1台以上の車両に関する車両検索結果とを表示する。
図11に示す車両検索結果は、車両特徴検索結果の表示領域CLM1と、車両ナンバーの表示領域CLM2と、車中人物顔の表示領域CLM3とのそれぞれにおいて区分されて表示部93に表示される。表示領域CLM1には、交差点カメラ10の撮像映像の解析結果に基づいて検索された逃走車両の候補となる1台以上の車両のサムネイル画像THMが表示される。
それぞれのサムネイル画像THMの中でオペレータの操作によりいずれかのサムネイル画像(例えばサムネイル画像THM1s)が選択されると、捜査支援アプリは、その選択されたサムネイル画像THM1sの車両に対応する、車両撮影カメラ20の撮像映像に基づく解析結果(例えば車両検索サーバ60による解析結果)を、逃走車両の候補として、表示領域CML2,CML3のそれぞれに表示する。
従って、図11の表示領域CLM2には、車両撮影カメラ20の撮像映像(特にナンバープレートが主に鮮明に映る撮像映像)の解析結果に基づいて車両検索サーバ60により検索された候補の車両(つまりサムネイル画像THM1sの車両)のサムネイル画像THM1cnが表示される。サムネイル画像THM1cnは、その車両のナンバープレートが鮮明に映るので、オペレータは、ナンバープレートを簡易に把握できる。なお、捜査支援アプリは、表示領域CLM2にサムネイル画像THM1cnが表示された状態でオペレータにより所定の操作(例えば右クリック)がなされたことを検知すると、サムネイル画像THM1cnのナンバープレートを読み取り、ナンバープレートの読み取り結果を用いた検索を実行可能である。
また、図11の表示領域CLM3には、車両撮影カメラ20の撮像映像(特に車両内の人物の顔が主に鮮明に映る撮像映像)の解析結果に基づいて車両検索サーバ60により検索された候補の車両(つまりサムネイル画像THM1sの車両)のサムネイル画像THM1cfが表示される。サムネイル画像THM1cfは、その車両内の人物(例えば被疑者、あるいは被疑者と同伴者)の顔が鮮明に映るので、オペレータは、その人物の顔を簡易に把握できる。なお、捜査支援アプリは、表示領域CLM3にサムネイル画像THM1cfが表示された状態でオペレータにより所定の操作(例えば右クリック)がなされたことを検知すると、サムネイル画像THM1cfの顔画像を用いた検索を実行可能である。
図12は、リアルタイムアラート画面WD4の一例を示す図である。リアルタイムアラート画面WD4は、捜査支援アプリにより表示部93に表示される。リアルタイムアラート画面WD4は、顔検索サーバ70のデータベース71に保持されているブラックリストに登録されている人物がカメラ(具体的には、交差点カメラ10、1台以上の車両撮影カメラ20)の前を通過したことの検知に基づいて生成されるアラーム通知の履歴(例えば履歴Hst1)を時系列に示す。カメラの前を通過したことの検知は、例えばそのカメラからの撮像映像を受信した顔検索サーバ70の処理部72により実行される。例えば図12では、人物「ABC太郎」の顔画像がデータベース71内のブラックリストに保持され、「ABC太郎」がカメラ「SP301」,「SP302」,「SP303」,「SP304」,「SP305」,「SP306」の順に各カメラの前を通過したことが検知された時のカメラの撮像日時が示されている。最新のアラーム通知ALM1は、「2019年1月30日の15時40分33秒」にカメラ「SP306」の前を「ABC太郎」が通過したことを示している。
このように、捜査支援システム100では、クライアント端末90は、被疑者の顔画像を含む被疑者の人物情報(個人情報)を顔検索サーバ70に送る。顔検索サーバ70は、クライアント端末90から送られた被疑者の個人情報をデータベース71に登録することで、カメラ(具体的には、交差点カメラ10、1台以上の車両撮影カメラ20)の撮像映像に基づいて、そのカメラの前を被疑者が通過したか否かをリアルタイムに判別できる。また、顔検索サーバ70は、その判別結果をクライアント端末90に返送する。クライアント端末90は、顔検索サーバ70からの判別結果に基づいてリアルタイムアラート画面WD4を生成して表示することで、オペレータに対して被疑者がどこのカメラの前を通過したかをリアルタイムかつ的確に把握できる。
図13は、顔検索表示領域Var2の一例を示す図である。顔検索表示領域Var2は、表示部93に表示される車両検索結果画面WD3内の顔検索タブTB2を選択するためのオペレータの操作に応じて、車両検索タブTB1に対応して表示される車両検索表示領域Var1から表示内容が切り替わる表示領域である。なお、顔検索タブTB2は車両検索画面WD2にも表示されるので(図8,図9参照)、顔検索表示領域Var2は車両検索画面WD2内に表示されてもよい。
顔検索表示領域Var2は、顔検索サーバ70に顔の検索を要求するための検索条件の入力欄と顔検索の結果との両方を並べて表示する顔検索結果表示領域を含む。上述したように、捜査支援アプリは、オペレータの顔検索タブTB2を選択する操作に応じて、顔検索表示領域Var2を車両検索結果画面WD3内に表示する。
検索条件の入力欄には、例えば、日時開始入力欄FR2、日時終了入力欄TO2、顔検索に用いる入力顔画像FC1の指定欄、顔検索の対象とするカメラの特定欄CM1、顔検索アイコンFSH1が含まれる。
日時開始入力欄FR2は、被疑者の顔を顔検索サーバ70に検索させるために、その検索の対象となる被疑者の顔の検索対象日時の開始日時として、オペレータの操作により入力される。オペレータの操作により入力されると、捜査支援アプリは、検索条件(例えば開始日時)として日時開始入力欄FR2に入力された日時をセットする。
日時終了入力欄TO2は、被疑者の顔を顔検索サーバ70に検索させるために、その検索の対象となる被疑者の顔の検索対象日時の終了日時として、オペレータの操作により入力される。オペレータの操作により入力されると、捜査支援アプリは、検索条件(例えば終了日時)として日時終了入力欄TO2に入力された日時をセットする。
入力顔画像FC1は、例えば特定された被疑者の顔画像がオペレータの操作により、捜査支援アプリによってセットされる。被疑者の顔画像は、例えば車両検索結果画面WD3の車両検索表示領域Var1の車両撮影カメラ20の撮像映像を対象として検索されたサムネイル画像THM1cf(図11参照)に映る顔の切り出し画像となる。
顔検索の対象となるカメラの特定欄CM1には、オペレータの操作により、被疑者が存在すると推察される場所のカメラ(例えば交差点カメラ10、1台以上の車両撮影カメラ20)が捜査支援アプリによって選択される。
顔検索アイコンFSH1は、オペレータの操作により入力された各種の検索条件が全て適正に入力された時点で押下可能に捜査支援アプリにより表示される。オペレータの操作により顔検索アイコンFSH1が押下されると、捜査支援アプリは、その押下を検知し、入力された各種の検索条件を含む顔(例えば被疑者の顔)の情報取得要求を生成し、通信部91を介して顔検索サーバ70に送る。捜査支援アプリは、顔の情報取得要求に基づく顔検索サーバ70からの顔検索結果を、通信部91を介して受信して取得する。
図13に示すように、捜査支援アプリは、顔検索の結果を、時系列的に検索された一連の顔の検索結果(具体的には、顔画像のサムネイル画像THMとその顔画像が抽出された日時情報)を並べて顔検索表示領域Var2に表示する。例えばサムネイル画像THM2sとそのサムネイル画像THM2sに映る顔画像が抽出された日時情報として「14時55分17秒」とが対応付けて表示されている。これにより、オペレータは、被疑者の顔が具体的に特定された後、顔検索サーバ70による顔検索によって、被疑者がいつどのカメラの設置位置に現れたかを特定できるので、捜査の効率性を向上できる。
図14は、LPR検索表示領域Var3の一例を示す図である。LPR検索表示領域Var3は、表示部93に表示される車両検索結果画面WD3内のLPR検索タブTB3を選択するためのオペレータの操作に応じて、車両検索タブTB1に対応して表示される車両検索表示領域Var1から表示内容が切り替わる表示領域である。なお、LPR検索タブTB3は車両検索画面WD2にも表示されるので(図8,図9参照)、LPR検索表示領域Var3は車両検索画面WD2内に表示されてもよい。
LPR検索表示領域Var3は、LPR検索サーバ80にナンバープレートの検索(LPR検索)を要求するための検索条件の入力欄とナンバープレート検索の結果との両方を並べて表示するLPR検索結果表示領域を含む。上述したように、捜査支援アプリは、オペレータのLPR検索タブTB3を選択する操作に応じて、LPR検索表示領域Var3を車両検索結果画面WD3内に表示する。
検索条件の入力欄には、例えば、日時開始入力欄FR3、日時終了入力欄TO3、LPR検索の対象とするカメラの特定欄CM2、LPR検索の対象となるナンバープレートの種別の指定欄LP1と、LPR検索アイコンLSH1が含まれる。
日時開始入力欄FR3は、逃走車両のナンバープレートをLPR検索サーバ80に検索させるために、その検索の対象となるナンバープレートの検索対象日時の開始日時として、オペレータの操作により入力される。オペレータの操作により入力されると、捜査支援アプリは、検索条件(例えば開始日時)として日時開始入力欄FR3に入力された日時をセットする。
日時終了入力欄TO3は、逃走車両のナンバープレートをLPR検索サーバ80に検索させるために、その検索の対象となるナンバープレートの検索対象日時の終了日時として、オペレータの操作により入力される。オペレータの操作により入力されると、捜査支援アプリは、検索条件(例えば終了日時)として日時終了入力欄TO3に入力された日時をセットする。
LPR検索の対象となるカメラの特定欄CM2には、オペレータの操作により、被疑者の逃走車両が存在すると推察される場所のカメラ(例えば交差点カメラ10、1台以上の車両撮影カメラ20)が捜査支援アプリによって選択される。
ナンバープレートの種別の指定欄LP1には、オペレータの操作により、LPR検索の対象となるナンバープレートの種別が捜査支援アプリによって選択される。
LPR検索アイコンLSH1は、オペレータの操作により入力された各種の検索条件が全て適正に入力された時点で押下可能に捜査支援アプリにより表示される。オペレータの操作によりLPR検索アイコンLSH1が押下されると、捜査支援アプリは、その押下を検知し、入力された各種の検索条件を含むナンバープレート(例えば被疑者の逃走車両のナンバープレート)の情報取得要求を生成し、通信部91を介してLPR検索サーバ80に送る。捜査支援アプリは、ナンバープレートの情報取得要求に基づくLPR検索サーバ80からのLPR検索結果を、通信部91を介して受信して取得する。
図14に示すように、捜査支援アプリは、LPR検索の結果を、時系列的に検索された複数の異なる車両のナンバープレートの検索結果のリストLST1と、そのリストLST1の中でカーソルCSR1によって選択された1つのナンバープレートに関する詳細な情報を並べてLPR検索表示領域Var3に表示する。ナンバープレートの検索結果のリストLST1には、ナンバープレートがLPR検索サーバ80の映像解析の際に抽出された日時と、映像解析に用いられたカメラの名称と、ナンバープレート(ライセンスプレート)の読み取り結果とを少なくとも含む検索結果が複数並べられている。
オペレータの操作により、リストLST1の中からいずれかの検索結果が選択されると、捜査支援アプリは、その検索結果のナンバープレートの車両に関する詳細情報(画像を含む)を表示する。具体的には、捜査支援アプリは、カーソルCSR1により選択されたナンバープレートがLPR検索サーバ80の映像解析の際に抽出された日時と、映像解析に用いられたカメラの名称と、そのナンバープレートが取り付けられた車両の撮像画像LPcap1と、ナンバープレートの画像LPcap2を含むナンバープレートの属性情報PL1と、その車両の属性情報VCL1と、その車両の所有者の顔画像PHT1を含む個人情報OWN1とを対応付けて表示する。なお、図14では、撮像画像LPcap1は、該当する車両を後方側から見た時の撮像画像が示されているが、上述したように車両撮影カメラ20では車両の乗員の顔およびナンバープレートを同時に撮像可能であるため、ナンバープレートの映る後方側から見た時の撮像画像でなく、乗員の顔が映る前方側から見た時の撮像画像であってもよいし、他には、前方側および後方側のそれぞれから見た時の撮像画像との両方を対比的に並べられてもよい。
ナンバープレートの属性情報PL1は、ナンバープレートの読み取り結果と、国名、州名あるいは県名と、ナンバープレートの色とを含む。車両の属性情報VCL1は、車両の製造年と、車両のメーカ名と、車両の色と、車両の車種とを含む。個人情報OWN1は、その車両の所有者の氏名と、その所有者の顔画像PHT1とを含む。これにより、オペレータは、被疑者の逃走車両のナンバープレートが具体的に特定された後、LPR検索サーバ80によるLPR検索によって、被疑者の逃走車両のナンバープレートがいつどのカメラの設置位置に現れただけでなく、その車両の所有者の顔画像を含めて個人情報を具体的に特定できるので、捜査の効率性を向上できる。
なお、クライアント端末90は、LPR検索サーバ80による検索結果として、リストLST1だけを表示してもよい。言い換えると、LPR検索サーバ80は、ナンバープレートがLPR検索サーバ80の映像解析の際に抽出された日時と、映像解析に用いられたカメラの名称と、ナンバープレート(ライセンスプレート)の読み取り結果とからなるLPR検索結果をクライアント端末90に返送してよい。この場合、クライアント端末90は、外部データベースD10にアクセスして、オペレータの操作によりカーソルCSRによって選択されたナンバープレートに関する詳細な情報(例えば、ナンバープレートが取り付けられた車両の撮像画像LPcap1と、ナンバープレートの画像LPcap2を含むナンバープレートの属性情報PL1と、その車両の属性情報VCL1と、その車両の所有者の顔画像PHT1を含む個人情報OWN1)を取得できる。
次に、実施の形態1に係る捜査支援システム100の動作手順について、図15を参照して説明する。図15は、実施の形態1に係る捜査支援システム100の動作手順を示すフローチャートである。図15の説明において、図1の説明と整合するように、交差点で事件等(例えばひき逃げ)が発生したとする。
図15において、事件等の目撃者からの緊急的な通報(入電)が警察署において受け付けられると、警察署内のオペレータにより事件等の詳細の聞き取りが開始される。この時、クライアント端末90において捜査支援アプリが起動される。先ず、被疑者の逃走車両のナンバープレートの目撃情報がない場合(St11、NO)、オペレータの操作により、捜査支援アプリは、目撃者からの通報により得られた各種の情報(例えば事件等の被疑者の逃走車両の外見特徴、逃走方向、事件等の発生した日時および場所の情報)の入力を受け付ける(St12)。
捜査支援アプリは、ステップSt12において入力された情報の一部あるいは全部を検索条件として含む逃走車両の情報取得要求を生成して車両検索サーバ60に送る。車両検索サーバ60は、捜査支援アプリ(つまりクライアント端末90)から送られた逃走車両の情報取得要求に従って、データベース61内に保持されている複数のカメラ(具体的には、全てあるいは一部の交差点カメラ10、全てあるいは一部の1台以上の車両撮影カメラ20)の解析結果を用いて、情報取得要求に含まれる検索条件を満たす車両を検索する(St13)。車両検索サーバ60は、ステップSt13での車両検索結果をクライアント端末90に送る。なお、捜査支援アプリにおいて、最大4箇所で各箇所について20台までのカメラ(交差点カメラ10、車両撮影カメラ20)の登録が可能となっている。この登録がなされていれば、そのカメラの撮像映像がサーバ群SVにおける解析処理において使用されることになる。
捜査支援アプリ(つまりクライアント端末90)は、車両検索サーバ60からの車両検索結果に検索条件を満たす車両が存在すると判定した場合(St14、YES)、逃走車両の候補となる1台以上の車両のサムネイル画像を含む車両検索結果を車両検索結果画面WD3に表示する。更に、捜査支援アプリは、上述した車両検索結果を含む候補レポート(図1参照)を生成してネットワークNW2を介して事件等の現場に存在する警察官が所持する警察端末T10に送る(St15)。事件等の現場に存在する警察官は、警察端末T10に送られた候補レポートが表示された状態で目撃者に目視確認してもらう(St15)。目撃者の証言と一致する候補の車両が存在しない場合(St16、NO)、あるいは車両検索サーバ60からの車両検索結果に検索条件を満たす車両が存在しないと判定された場合(St14、NO)、現場の警察官あるいはオペレータの操作により、その旨の情報がクライアント端末90に送られる。クライアント端末90は、オペレータの操作により、検索条件を変更して変更後の検索条件を含む逃走車両の情報取得要求を生成して車両検索サーバ60に送る(St13a)。
一方、目撃者の証言と一致する候補の車両が存在する場合(St16、YES)、現場の警察官の操作により、警察端末T10は、目撃者の証言と一致する逃走車両のサムネイル画像をクライアント端末90に送る。クライアント端末90は、警察端末T10から送られたサムネイル画像に基づいて逃走車両を具体的に特定でき、逃走車両に関する各種の情報を取得できる(St17)。具体的には、クライアント端末90は、逃走車両がカメラにより撮像された日時および場所(交差点の位置)と、逃走車両がその交差点を通過した時の進行方向と、運転者(つまり被疑者)の顔画像と、助手席の乗員(例えば同伴者)の顔画像と、逃走車両のナンバープレート画像とを取得可能である(図11参照)。この後、捜査支援システム100の処理はステップSt18に進む。なお、クライアント端末90は、現場の警察官の操作により警察端末T10から逃走車両のサムネイル画像を受信して取得する代わりに、次のようにしてもよい。例えば、現場の警察官は、目撃者の目視による確認結果を口頭で聞き取り、その結果(例えば該当する逃走車両のサムネイル画像の識別情報(例えばサムネイル番号)を電話あるいはメール等の手段によってオペレータに伝達してもよい。
被疑者の逃走車両のナンバープレートの目撃情報がある場合(St11、YES)、あるいはステップSt17の後、オペレータの操作により、捜査支援アプリ(つまりクライアント端末90)は、逃走車両のナンバープレート画像あるいはナンバープレートのテキスト情報の入力を受け付ける(St18)。この後、クライアント端末90は、ステップSt19の処理とステップSt20の処理とを並行して実行する。
具体的には、捜査支援アプリ(つまりクライアント端末90)は、盗難車データベースD12および車両登録免許データベースD13のそれぞれにアクセスし、逃走車両のナンバープレート画像あるいはナンバープレートのテキスト情報に基づいて逃走車両の所有者検索を行う(St19)。これにより、捜査支援アプリは、逃走車両の所有者情報(例えば、所有者の氏名、顔画像、住所、盗難車である旨の届出情報の有無、逃走車両の車検情報)および逃走車両の車両情報(例えば、車種、色、型)を取得できる。
また、捜査支援アプリ(つまりクライアント端末90)は、ステップSt17において得られた日時とステップSt17において得られた場所に対応する交差点のカメラ情報とを検索条件として逃走車両のナンバープレートを検索するための情報取得要求を生成する。捜査支援アプリは、その情報取得要求をLPR検索サーバ80に送る。LPR検索サーバ80は、捜査支援アプリ(つまりクライアント端末90)から送られたナンバープレートの情報取得要求に従って、データベース81内に保持されている複数のカメラ(具体的には、交差点カメラ10、1台以上の車両撮影カメラ20)の解析結果を用いて、情報取得要求に含まれる検索条件を満たすナンバープレートを検索する(St20)。LPR検索サーバ80は、ステップSt20でのナンバープレート検索結果をクライアント端末90に送る。
LPR検索サーバ80からのナンバープレート検索結果に検索条件を満たすナンバープレートが存在しないと判定された場合(St21、NO)、捜査支援システム100の処理はステップSt12に戻る。例えば、LPR検索サーバ80は、ナンバープレート検索結果に検索条件を満たすナンバープレートが存在しないと判定した場合、逃走車両の検索条件の再入力を促す指示をクライアント端末90に通知する。つまり、逃走車両のナンバープレートは正しくなかったため、逃走車両の正しいナンバープレートが特定されるまで、再度逃走車両を特定するための処理(ステップSt12~ステップSt17)の処理が繰り返される。
一方、捜査支援アプリ(つまりクライアント端末90)は、LPR検索サーバ80からのナンバープレート検索結果に検索条件を満たすナンバープレートが存在すると判定した場合(St21、YES)、ナンバープレート検索結果(図14参照)としてナンバープレートの車両(逃走車両)が車両撮影カメラ20により撮像された日時および場所と、車両撮影カメラ20により撮像された運転者(例えば被疑者)の顔画像と、車両撮影カメラ20により撮像された助手席の乗員(例えば同伴者)の顔画像とを取得する。
捜査支援アプリ(つまりクライアント端末90)は、ステップSt19において得られた逃走車両の所有者の顔画像(例えば免許証に掲載された顔画像)と、ステップSt21において得られた逃走車両の乗員(例えば運転手)の顔画像とが一致するか否かを照合する(St22)。
捜査支援アプリは、逃走車両の所有者の顔画像と逃走車両の乗員(例えば運転手)の顔画像とが一致すると判定した場合(St23、YES)、逃走車両の所有者(オーナ)による逃走事件として本事案を判定する(St24)。
一方、捜査支援アプリは、逃走車両の所有者の顔画像と逃走車両の乗員(例えば運転手)の顔画像とが一致しないと判定した場合(St23、NO)、逃走車両の所有者(オーナ)以外の第三者による逃走事件として本事案を判定する(St25)。
この後、捜査支援アプリは、ステップSt21において得られた逃走車両の乗員(例えば運転手)の顔画像をブラックリスト照合の検索条件として含む顔画像の情報取得要求を生成して顔検索サーバ70に送る。顔検索サーバ70は、捜査支援アプリ(つまりクライアント端末90)から送られた顔画像の情報取得要求に従って、データベース71内に保持されている複数のカメラ(具体的には、交差点カメラ10、1台以上の車両撮影カメラ20)の解析結果を用いて、情報取得要求に含まれる検索条件を満たす顔画像を検索する(St26、ブラックリスト照合)。顔検索サーバ70は、ステップSt26での顔画像検索結果をクライアント端末90に送る。
捜査支援アプリ(つまりクライアント端末90)は、顔検索サーバ70からの顔画像検索結果に検索条件を満たす顔画像(つまりブラックリストに登録された顔画像)が存在すると判定した場合(St27、YES)、その顔画像の人物に関する個人情報をブラックリスト顔データベースD11から取得できる。これにより、捜査支援アプリは、被疑者の身元を判明した捜査できると判定し、その判定結果を表示部93に表示する(St28)。
一方、捜査支援アプリ(つまりクライアント端末90)は、顔検索サーバ70からの顔画像検索結果に検索条件を満たす顔画像(つまりブラックリストに登録された顔画像)が存在しないと判定した場合(St27、NO)、その顔画像の人物に関する個人情報をブラックリスト顔データベースD11から取得できない。これにより、捜査支援アプリは、被疑者名が不明な状態で捜査すると判定し、その判定結果を表示部93に表示する(St29)。
ステップSt28あるいはステップSt29の後、捜査支援アプリ(つまりクライアント端末90)とLPR検索サーバ80との間で被疑者の逃走車両のナンバープレートを追跡するための検索が継続されるとともに、捜査支援アプリ(つまりクライアント端末90)と顔検索サーバ70との間で被疑者の顔画像を追跡するための検索が継続される(St30)。
以上により、実施の形態1に係る捜査支援システム100は、複数のカメラ(例えば、交差点カメラ10、1台以上の車両撮影カメラ20)と通信可能に接続されたサーバ(例えば、記録サーバ50、車両検索サーバ60、顔検索サーバ70、LPR検索サーバ80)と、サーバと通信可能に接続されたクライアント端末90とを含む。複数のカメラは、交差点を広範に撮像する交差点カメラ10と、交差点に進入する車両のナンバーおよび乗員の顔を撮像する1台以上の車両撮影カメラ20とをペアとして交差点ごとに配置される。クライアント端末90は、事件等が発生した日時および地点と事件等の被疑者が搭乗した逃走車両の外見特徴とを含む検索条件の入力に応じて、検索条件を満たす逃走車両の情報取得要求をサーバ(例えば車両検索サーバ60)に送る。サーバ(例えば車両検索サーバ60)は、情報取得要求に基づいて、検索条件に含まれる日時における地点の交差点に対応する交差点カメラ10および車両撮影カメラ20のそれぞれの撮像映像を用いた車両検索により、逃走車両の撮像画像、ナンバーおよび乗員の顔を特定し、その特定結果を被疑者の捜査情報として保持する。
これにより、捜査支援システム100は、例えば多くの人および車両が行き交う交差点近辺で事件等が発生した場合に、交差点ごとに設置された役割の異なる複数のカメラ(例えば、交差点カメラ10と1台以上の車両撮影カメラ20)の撮像映像の解析結果を組み合わせて用いるため、被疑者あるいは被疑者の逃走車両の特定を効率的かつ容易に支援できる。例えば、事件等の被疑者が搭乗した逃走車両のナンバープレートが分からない場合でも、捜査支援システム100は、その車両の外見特徴(例えば色、型、逃走方向)から逃走車両の候補を容易に絞り込むことができ、車両内の乗員の顔とナンバープレートとを同時に撮像可能な車両撮影カメラ20の撮像映像より、乗員の顔あるいはナンバープレートを手掛かりにして追跡できる。また、例えば被疑者が逃走車両から降車して徒歩で逃げたとしても、捜査支援システム100は、被疑者の顔画像を手掛かりに被疑者を追跡できるし、また仮に運転手と助手席の乗員とが途中で入れ替わったとしても逃走車両のナンバープレートを手掛かりに追跡できるので、被疑者等が途中で逃走車両から降車した可能性も把握できる。また、たとえ車両撮影カメラ20が設置されていないエリアに被疑者等が逃げたとしても、捜査支援システム100は、逃走車両の外見特徴を把握しているので、追跡を行える。従って、捜査支援システム100によれば、警察等の捜査の利便性が適格に向上する。
また、サーバ(例えば車両検索サーバ60)は、被疑者の捜査情報(例えば逃走車両の撮像画像、ナンバーおよび乗員の顔の特定結果)をクライアント端末90に送る。クライアント端末90は、被疑者の捜査情報を表示部93に表示する。これにより、警察署内のオペレータは、事件等の被疑者の捜査情報を早期かつ視覚的に把握できる。
また、クライアント端末90は、逃走車両のナンバーが検索条件に含まれない場合に、情報取得要求をサーバ(例えば車両検索サーバ60)に送る。これにより、事件等の目撃者が逃走車両のナンバープレートの内容を覚えていなくても、捜査支援システム100は、目撃者が覚えている可能性の高い逃走車両の外見特徴や事件等の発生日時、場所等の書誌的情報に基づく交差点カメラ10および車両撮影カメラ20の撮像映像の解析結果を用いた車両検索により、逃走車両の候補を高精度に絞り込むことができる。
また、クライアント端末90は、車両の所有者の顔画像を含む所有者情報を記録する車両登録免許データベースD13にアクセス可能であり、被疑者の捜査情報に含まれる逃走車両のナンバーに基づいて、車両登録免許データベースD13を用いて逃走車両の所有者情報を検索する。更に、クライアント端末90は、被疑者の捜査情報に含まれる逃走車両のナンバーに基づいて、逃走車両のナンバーを有する車両の情報取得要求をサーバ(例えばLPR検索サーバ80)に送る。これにより、捜査支援システム100は、逃走車両のナンバープレートを手掛かりに逃走車両の所有者情報を特定できるとともに、その逃走車両の行方を容易に追跡でき、捜査の効率性を向上できる。
また、クライアント端末90は、逃走車両の所有者情報に含まれる前記逃走車両の所有者の顔画像と、車両の情報取得要求に基づく逃走車両のナンバーを有する車両の検索結果に含まれる乗員の顔画像とを照合する。これにより、捜査支援システム100は、逃走車両の所有者の顔画像とナンバープレートのナンバーを有する車両の乗員の顔画像との一致性の有無により、逃走車両の所有者(オーナ)が事件等の被疑者と同一人物か否かを簡単に判別できるので、被疑者の早期特定を効果的に支援できる。
また、サーバ(例えばLPR検索サーバ80)は、前科者の顔画像を含む個人情報を記録するブラックリストをデータベース81に保持する。サーバ(例えばLPR検索サーバ80)は、逃走車両の所有者情報に含まれる逃走車両の所有者の顔画像と、逃走車両のナンバーを有する車両の検索結果に含まれる乗員の顔画像とが一致しないと判定した場合に、ブラックリストを用いて乗員の顔画像と一致する人物を検索する。これにより、捜査支援システム100は、逃走車両のナンバーを有する車両の乗員の顔画像がブラックリストに登録された人物と一致する場合には、被疑者の個人情報を容易かつ早期に特定できる。
また、サーバ(例えばLPR検索サーバ80)は、逃走車両のナンバーを有する車両が存在しない旨の検索結果が得られた場合、逃走車両の検索条件の再入力を促す指示をクライアント端末90に送る。これにより、捜査支援システム100は、逃走車両の正しいナンバープレートを特定できるまで逃走車両の特定を繰り返し行える。
また、サーバ(例えば車両検索サーバ60)は、車両検索により得られた逃走車両の撮像画像、ナンバーおよび乗員の顔の候補となる複数ペアの抽出結果をクライアント端末90に送る。クライアント端末90は、複数ペアの抽出結果の中から選択された1組の抽出結果をサーバ(例えば車両検索サーバ60)に送る。サーバ(例えば車両検索サーバ60)は、1組の抽出結果を、逃走車両の撮像画像、ナンバーおよび乗員の顔として特定する。これにより、捜査支援システム100は、逃走車両の候補となる複数ペアの抽出結果が得られた場合、目撃者からの通報内容に精通したオペレータの操作により選択された1組の抽出結果を被疑者の捜査情報として迅速に特定できるので、被疑者の追跡をスムーズに行える。
また、クライアント端末90は、事件等が発生した地点に存在する警察官が所持する警察端末T10と通信可能に接続される。クライアント端末90は、複数ペアの抽出結果を候補レポートとして警察端末T10に送るとともに、警察官の周囲にいる事件等の目撃者からの警察端末T10に対する操作により選択された1組の抽出結果を警察端末T10から受信し、警察端末T10から受信した1組の抽出結果をサーバ(例えば車両検索サーバ60)に送る。これにより、捜査支援システム100は、逃走車両を実際に目撃した目撃者の操作によって選択された最も信頼性の高い抽出結果を被疑者の捜査情報として迅速に特定できるので、被疑者の追跡をよりスムーズに行える。
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
なお、上述した実施の形態1では、交差点カメラ10,車両撮影カメラ20の撮像映像における検知対象物が車両であることを例示したが、検知対象物は車両に限定されず、その他の物体(例えば、車両等の移動体)でもよい。その他の物体は、例えば、事件等を引き起こした被疑者等の人物により操作されるドローン等の飛行物体でもよい。