JP7256768B2 - 潤滑油添加剤及び潤滑油組成物 - Google Patents
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この問題を解決するには、一般に潤滑油の油膜厚を向上させることや、金属表面の摩耗を防止することが必要とされ、従来からシクロヘキシル(メタ)アクリレートと直鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートの共重合体である油膜向上剤(特許文献1)や、油性向上剤としての長鎖脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、摩耗防止剤としてのリン酸エステル、ジチオリン酸亜鉛、極圧剤としての有機硫黄、有機ハロゲン化合物、摩擦制御剤としては有機モリブデン化合物等の各種の添加剤が使用されている。
しかしながら、上記の潤滑油添加剤では油膜向上能及び摩耗特性が十分ではないという問題があった。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される単量体(a1)、下記一般式(2)で表される単量体(a2)、下記一般式(3)又は一般式(3’)で表される単量体(a3)、下記一般式(4)で表される単量体(a4)及び下記一般式(5)で表される単量体(a5)からなる群より選ばれる1種以上の脂環構造を有する単量体(a)、並びに一般式(6)で表される単量体(b)を必須構成単量体とする共重合体(A)を含有する潤滑油添加剤であって、共重合体(A)の構成単量体中の前記単量体(a)及び前記単量体(b)の合計重量割合が共重合体(A)の構成単量体の合計重量に基づいて80重量%以上である潤滑油添加剤;並びにこの潤滑油添加剤を含有する潤滑油組成物である。
一般式(1)中のX1は-O-又は-NH-で表される基を表す。
R1は水素原子又はメチル基を表し、R2はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表し、複数個あるR2は同一でも異なっていてもよい。nは0~3の整数である。
mは0~2の整数であり、m=0のときは5員環、m=1の時は6員環、m=2の時は7員環を表す。
単量体(a1)の具体例としては、m=0のもの{シクロペンチル(メタ)アクリレート等}、m=1のもの[n=0のものシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-、3-又は4-メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,2-、2,3-、2,4-、2,5-、2,6-、3,4-又は3,5-ジメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,2,3-、2,2,4-、2,2,5-、2,2,6-、3,3,4-又は3,3,5-、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ペンタメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-、3-又は4-t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、N-シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド等}、n=1のもの{(メタ)アクリル酸シクロヘキシルメチル等}、n=2のもの{(メタ)アクリル酸2-シクロヘキシルエチル等}、n=3のもの{(メタ)アクリル酸3-シクロヘキシルプロピル等}等]、m=2のもの{(メタ)アクリル酸シクロヘプチル等}等が挙げられる。
これらのうち、油膜厚形成能の観点から、好ましくはシクロヘキシル(メタ)アクリレート及び4-t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートである。
なお、単量体(a1)としては、シクロヘキシルメタクリレート(共栄社化学(株)製、「ライトエステルCH」)、シクロヘキシルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、「ビスコート#155,CHA」)、4-t-ブチルシクロヘキシルメタクリレート(MCCユニテック(株)製、東京化成工業(株)製)、4-t-ブチルシクロヘキシルアクリレート(東京化成工業(株)製)等が市販されており、入手可能である。
一般式(2)中のX2は-O-又は-NH-で表される基を表す。
R3は水素原子又はメチル基を表し、R4はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表し、複数個あるR4は同一でも異なっていてもよい。jは0~3の整数である。
単量体(a2)の具体例としては、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、イソボルニルアクリレート(東京化成工業(株)製)、イソボルニルメタクリレート(東京化成工業(株)製)等が市販されており、入手可能である。
一般式(3)及び一般式(3’)中のX3は-O-又は-NH-で表される基を表す。
R5は水素原子又はメチル基を表し、R6はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表し、複数個あるR6は同一でも異なっていてもよい。kは0~3の整数である。
単量体(a3)の具体例としては、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、ジシクロペンタニルアクリレート(東京化成工業(株)製)、ジシクロペンタニルメタクリレート(東京化成工業(株)製)等が市販されており、入手可能である。
一般式(4)中のX4は-O-又は-NH-で表される基を表す。
R7は水素原子又はメチル基を表し、R8はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表し、複数個あるR8は同一でも異なっていてもよい。pは0~3の整数で、qは0~3の整数であり、q=0のときは3員環、q=1の時は4員環、q=2の時は5員環、q=3の時は6員環を表す。
単量体(a4)の具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、グリシジルアクリレート(東京化成工業(株)製)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート(東京化成工業(株)製)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(東京化成工業(株)製)等が市販されており、入手可能である。
一般式(5)中のX5は-O-又は-NH-で表される基を表す。
R9は水素原子又はメチル基を表し、R10はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表し、複数個あるR10は同一でも異なっていてもよい。rは1~3の整数で、sは0~1の整数でありs=0の時はジオキソを含めて5員環、s=1の時は6員環を表す。
単量体(a5)の具体例としては、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸(5-エチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチル等が挙げられる。
なお、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、「MEDOL-10」)、アクリル酸(5-エチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチル(東京化成工業(株)製)、アクリル酸(5-エチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチル(大阪有機化学工業(株)製、「ビスコート#200」)等が市販されており、入手可能である。
R13において、炭素数1~20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基及びn-エイコシル基等の直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、2-エチルヘキシル基、イソノニル基及びイソデシル基等の分岐アルキル基等が挙げられる。
R14において、炭素数1~20のアルキル基としては、上記炭素数1~20のアルキル基のうち炭素数1~20のものが挙げられる。
R13としては、油膜厚形成能、摩耗特性、低温粘度特性及び摩擦低減効果の観点から、炭素数が1~15のアルキル基が好ましい。
R14としては、油膜厚形成能、摩耗特性、低温粘度特性及び摩擦低減効果の観点から、炭素数が7~20のアルキル基が好ましい。
R13の炭素数とR14の炭素数との合計は、油膜厚形成性、摩耗特性、低温粘度特性及び摩擦低減効果の観点から、8~32が好ましく、更に好ましくは20~24である。
共重合体(A)において、単量体(b)として1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
共重合体(A)の構成単量体のうち、単量体(a)の含有量は、油膜厚形成能、摩耗特性及び低温粘度特性の観点から、単量体(a)と単量体(b)の合計重量に基づいて、好ましくは1~40重量%であり、更に好ましくは1~25重量%である。
共重合体(A)の構成単量体のうち、単量体(a)の含有量は、油膜厚形成能、摩耗特性及び摩擦低減効果の観点から、単量体(a)と単量体(b)の合計重量に基づいて、好ましくは10~90重量%であり、更に好ましくは30~70重量%である。
共重合体(A)の構成単量体のうち、単量体(b)の含有量は、油膜厚形成能及び摩耗特性の観点から、単量体(a)と単量体(b)の合計重量に基づいて、好ましくは10~99重量%であり、更に好ましくは30~99重量%である。
共重合体(A)の構成単量体のうち、単量体(b)の含有量は、油膜厚形成能、摩耗特性及び低温粘度特性の観点から、単量体(a)と単量体(b)の合計重量に基づいて、好ましくは60~99重量%であり、更に好ましくは75~99重量%である。
共重合体(A)の構成単量体のうち、単量体(b)の含有量は、油膜厚形成能、摩耗特性、摩擦低減効果及び(A)の基油への溶解性の観点から、単量体(a)と単量体(b)の合計重量に基づいて、好ましくは10~90重量%であり、更に好ましくは30~70重量%である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(d)中の炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基及びn-ブチル基等の直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基及びt-ブチル基等の分岐アルキル基等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(d)としては、低温粘度特性の観点から、好ましくは(メタ)アクリル酸メチルである。
炭素数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(d)は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
共重合体(A)の構成単量体のうち、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(d)の含有量は、共重合体(A)の重量に基づいて、好ましくは1~20重量%であり、更に好ましくは1~10重量%である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(d)の含有量は、共重合体(A)を熱分解ガスクロマトグラフィーによって分析することで定量測定できる。
Mwは、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーによるものであり、ポリスチレンに換算して求めたものである。
共重合体(A)のMwの測定条件は以下の通りである。
装置 :「HLC-802A」[東ソー(株)製]
カラム :「TSK gel GMH6」[東ソー(株)製]2本
測定温度 :40℃
試料溶液 :0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量:100μl
検出装置 :屈折率検出器
基準物質 :標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量:500、1,050、2,800、5,970、9,100、18,100、37,900、96,400、190,000、355,000、1,090,000、2,890,000)[東ソー(株)製]
共重合体(A)のMwは、重合時の温度、単量体濃度(溶媒濃度)、触媒量又は連鎖移動剤量等により調整できる。
溶剤としては、トルエン、キシレン、炭素数9~10のアルキルベンゼン、メチルエチルケトン、酢酸エチル及び2-プロパノール等の有機溶媒;
鉱物油(溶剤精製油、パラフィン油、イソパラフィンを含有する高粘度指数油、イソパラフィンの水素化分解による高粘度指数油及びナフテン油等)及び合成潤滑油[炭化水素系合成潤滑油(ポリα-オレフィン系合成潤滑油等)及びエステル系合成潤滑油等]等の基油等が挙げられる。
溶媒としては、好ましくは基油であり、さらに好ましくは鉱物油である。
重合触媒としては、アゾ系触媒(アゾビスイソブチロニトリル及びアゾビスバレロニトリル等)、過酸化物系触媒(ベンゾイルパーオキサイド、クミルパーオキサイド及びラウリルパーオキサイド等)及びレドックス系触媒(ベンゾイルパーオキサイドと3級アミンの混合物等)が挙げられる。更に必要により、公知の連鎖移動剤(炭素数2~20のアルキルメルカプタン等)を使用することもできる。
重合温度は、好ましくは25~140℃であり、更に好ましくは50~120℃である。また、上記の溶液重合の他に、塊状重合、乳化重合又は懸濁重合により(A)を得ることができる。
(A)が共重合体である場合の重合形態としては、ランダム重合体又は交互共重合体のいずれでもよく、また、グラフト共重合体又はブロック共重合体のいずれでもよい。
なお、基油(I)は1種を用いてもよく、2種以上併用してもよい。
基油の粘度指数(JIS-K2283で測定したもの)は、好ましくは90以上であり、更に好ましくは100以上である。
本発明の潤滑油組成物における共重合体(A)の含有量は、油膜厚形成能、摩耗特性、低温粘度特性及び摩擦低減効果の観点から、潤滑油組成物の重量に基づいて、好ましくは0.1~20重量%であり、更に好ましくは0.5~15重量%であり、特に好ましくは1~10重量%である。
本発明の潤滑油組成物の粘度指数は、好ましくは90以上であり、更に好ましくは100以上である。
なお、2種以上の基油(I)を併用した場合は、混合物としての基油のSP値は、そのそれぞれの重量比率による相加平均の計算値を用いる。
(1)粘度指数向上剤:
C(以下、炭素数をCと略称する)1~7のアルキル(メタ)アクリレート/C8~40の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート共重合体、分散モノマー(アミンモノマー等)/C1~7のアルキル(メタ)アクリレート/C8~40の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート共重合体、ヒドロキシ基含有モノマー/(C1~7の)アルキル(メタ)アクリレート/C8~40の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート共重合体、櫛形ポリマー[C1~7のアルキル(メタ)アクリレート/C8~40の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート/ポリオレフィンマクロモノマー]、エチレン/C1~18のアルキル(メタ)アクリレート共重合体、ポリイソブチレン、ポリアルキルスチレン、エチレン/プロピレン共重合体、スチレン/マレイン酸エステル共重合体、スチレン/イソプレン水素化共重合体等;
(2)清浄剤:
塩基性、過塩基性又は中性の金属塩[スルフォネート(石油スルフォネート、アルキルベンゼンスルフォネート及びアルキルナフタレンスルフォネート等)の過塩基性又はアルカリ土類金属塩等]、サリシレート類、フェネート類、ナフテネート類、カーボネート類、フォスフォネート類及びこれらの混合物;
(3)分散剤:
コハク酸イミド類(ビス-又はモノ-ポリブテニルコハク酸イミド類)、マンニッヒ縮合物及びボレート類等;
(4)酸化防止剤:
ヒンダードフェノール類及び芳香族2級アミン類等;
(5)油性向上剤:
長鎖脂肪酸及びそれらのエステル(オレイン酸及びオレイン酸エステル等)、長鎖アミン及びそれらのアミド(オレイルアミン及びオレイルアミド等)等;
(6)摩擦摩耗調整剤:
モリブデン系及び亜鉛系化合物(モリブデンジチオフォスフェート、モリブデンジチオカーバメート及びジンクジアルキルジチオフォスフェート等)等;
(7)極圧剤:
硫黄系化合物(モノ又はジスルフィド、スルフォキシド及び硫黄フォスファイド化合物)、フォスファイド化合物及び塩素系化合物(塩素化パラフィン等)等;
(8)消泡剤:
シリコン油、金属石けん、脂肪酸エステル及びフォスフェート化合物等;
(9)抗乳化剤:
4級アンモニウム塩(テトラアルキルアンモニウム塩等)、硫酸化油及びフォスフェート(ポリオキシエチレン含有非イオン性界面活性剤のフォスフェート等)等;
(10)腐食防止剤:
窒素原子含有化合物(ベンゾトリアゾール及び1,3,4-チオジアゾリル-2,5-ビスジアルキルジチオカーバメート等)等;
(11)流動点降下剤:
ポリアルキルメタクリレート、ポリアルキルアクリレート、ポリアルキルスチレン、ポリビニルアセテート等。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器に、鉱物油(I-1)(S-Oil社製「Ultra S-2」、100℃の動粘度:2.3mm2/s、粘度指数:103)40部、表1に記載した各種単量体(a)~(d)の配合物60部、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.5重量部及び2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.2重量部を投入し、窒素置換(気相の酸素濃度100ppm)を行った後、密閉下、撹拌しながら76℃に昇温し、同温度で5時間重合反応を行った。その後、さらに90℃まで昇温し、1時間熟成した。120℃に昇温後、同温度で減圧下(0.027~0.040MPa)、未反応の単量体を2時間かけて除去し、本発明の潤滑油添加剤(R-1)~(R-9)、および比較のための潤滑油添加剤(R’-1)~(R’-4)を製造した。
(a1-1):シクロヘキシルメタクリレート
(a1-2):4-t-ブチルシクロヘキシルメタクリレート
(a2-1):イソボルニルメタクリレート
(a3-1):ジシクロペンタニルメタクリレート
(a4-1):テトラヒドロフルフリルメタクリレート
(a5-1):アクリル酸(5-エチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチル(大阪有機工業社製「ビスコート#200」
(b-1):一般式(6)のR13がメチル基、R14が炭素数8~10の直鎖アルキル基の脂肪族アルコールと、一般式(6)のR13がエチル基、R14が炭素数8~10の直鎖アルキル基の脂肪族アルコールとの混合物[Shell Chemicals社の高級アルコール「NEODOL 23」]とメタクリル酸とのエステル)
(b-2):一般式(6)のR13がメチル基、R14が炭素数10~12の直鎖アルキル基の脂肪族アルコールと、一般式(6)のR13がエチル基、R14が炭素数10~12の直鎖アルキル基の脂肪族アルコールとの混合物[Shell Chemicals社の高級アルコール「NEODOL 45」]とメタクリル酸とのエステル
(b-3):メタクリル酸2-ドデシルヘキサデシル
(b-4):メタクリル酸2-テトラデシルオクタデシル
(b-5):一般式(6)のR13が炭素数10の直鎖アルキル基、R14が炭素数12の直鎖アルキル基の脂肪族アルコール[Sasol社の高級アルコール「ISOFOL 24」]とメタクリル酸とのエステル
(b’-1):n-ドデシルメタクリレート
(b’-2):n-ヘキサデシルメタクリレート
(d-1):メタクリル酸メチル
(I-1):S-Oil社製「Ultra S-2」
(I-2):SK社製「YUBASE4」
なお、共重合体(A)のSP値及び重量平均分子量(Mw)を表1、表3に記載した。
実施例1~9で得られた潤滑油添加剤(R-1)~(R-9)、及び比較例1~4で得られた比較のための潤滑油添加剤(R’-1)~(R’-4)を、鉱物油(I-2)(SK社製「YUBASE3」、100℃動粘度3.1mm2/s、粘度指数:112)で、100℃動粘度が5.4mm2/sになるように希釈し、本発明の潤滑油組成物(V―1)~(V―9)、比較のための潤滑油組成物(V’―1)~(V’―4)を得た。
EHD試験機(PCSインスツルメント社製)を用いた光干渉法により、一定の荷重・滑り率での油膜厚さ(nm)を算出し、各潤滑油組成物の油膜厚形成能を評価した。
EHD試験機の試験条件を以下に示す。
ディスク:EHD Silica Spacer Layer Disc
ボール:3/4’’Plain Steel Ball
荷重:30N
ボールの速度:10mm~3,000mm/s温度 :100℃
すべり率:50%
10mm~3,000mm/sの範囲の各速度における油膜厚さから曲線が得られ、10mm/sでの油膜厚さ(nm)を測定結果とする。
◎:6nm以上
○:4~6nm
△:2~4nm
×:2nm未満
以下の条件で高周波往復動リグ試験を行い、摩耗痕径から摩耗特性を評価した。
装置としてはHigh-Frequency-Reciprocating-Rig(HFRR;PCSインスツルメント社製)を、試験鋼球の材質はSUJ2を、試験鋼球の直径は6mmを、試験円盤の材質はSUJ2を用いた。荷重3.92N(400g)、ストローク1000μm、周波数20Hz、試験時間60分、温度100℃にて試験を行い、摩耗痕径を測定した。
◎:摩耗痕径が180μm以下
○:摩耗痕径が180~200μm
△:摩耗痕径が200~230μm
×:摩耗痕径が230μm超え
ASTM D2983-2001の方法に準拠して、-40℃におけるブルックフィールド粘度(BF)(mPa・s)を測定した。
◎:5000mPa・s以下
○:5000~7000mPa・s
△:7000~10000mPa・s
×:10000mPa・s超え
一方、単量体(a)を構成単量体として含まない共重合体を含む比較例5の潤滑油組成物は油膜形成能と摩耗特性が不良であることがわかる。また、実施例11と単量体(b)を用いていない(一般式(6)のR13がアルキル基ではなく水素原子である単量体(b’-1)及び/又は(b’-2)を用いた)以外は同じ比較例6~8とを比較すると、比較例6(n-ドデシルメタクリレートを用いたもの)は、実施例11と比較して油膜厚形成能及び摩耗特性が共に劣っていることがわかる。また、比較例6よりも炭素数の長いものを用いた比較例7(n-ヘキサデシルメタクリレートを用いたもの)は、油膜厚形成能は実施例11と同程度で良好であるものの、摩耗特性が極めて劣ることがわかる。また、炭素数の異なるものを併用した比較例8は、実施例11と比較して油膜厚形成能も摩耗特性も劣っていることがわかる。つまり、一般式(6)のR13がアルキル基ではなく水素原子である単量体(b’)を用いた場合は、油膜厚形成能と摩耗特性とが優れた潤滑油組成物を得ることが困難であることがわかる。さらに、比較例6~8は低温粘度特性が極めて劣ることがわかる。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器に、鉱物油(I-2)(SK社製「YUBASE3」、100℃動粘度3.1mm2/s、粘度指数:112)50部、表3に記載した各種単量体(a)~(d)の配合物50部、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.5重量部及び2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.2重量部を投入し、窒素置換(気相の酸素濃度100ppm)を行った後、密閉下、撹拌しながら76℃に昇温し、同温度で5時間重合反応を行った。その後、さらに90℃まで昇温し、1時間熟成した。120℃に昇温後、同温度で減圧下(0.027~0.040MPa)、未反応の単量体を2時間かけて除去し、本発明の潤滑油添加剤(R-10)~(R-19)、及び比較のための潤滑油添加剤(R’-5)~(R’-7)を製造した。
撹拌装置を備えたステンレス製容器に、エンジン油用添加剤パッケージ(インフィニアム製)10重量部と、鉱物油[SP値:8.3(cal/cm3)1/2、100℃の動粘度:4.2mm2/s、粘度指数:122]90重量部とを加え、実施例10~19で得られた潤滑油添加剤(R-10)~(R-19)、及び比較例9~11で得られた比較のための潤滑油添加剤(R’-5)~(R’-7)を共重合体(A)の含有量が1重量%となるようにそれぞれ加えさらに得られる潤滑油組成物の150℃のHTHS粘度が2.60±0.05(mm2/s)になるように、粘度指数向上剤(ポリアルキルメタクリレート、Mw500,000、樹脂分21重量%)を加えて混合し、本発明の潤滑油組成物(V―10)~(V―19)、比較のための潤滑油組成物(V’―5)~(V’―7)を得た。
<転がり摩擦特性-MTM(摩擦係数)>
機器:PCS Instruments MTM-2
ディスク:MTM polished disc(standard)(0.01micron)
ボール:Drilled 3/4 AISI52100precision steel ball
速度 :10mm/s~3,000mm/s
温度 :40℃、60℃、80℃
スライディング/ローリング比:50%
負荷 :30N
摩擦評価の結果としてストライベック曲線が得られ、各温度における速度:10mm/s、100mm/s、1,000mm/sの摩擦係数を測定結果とした。
一方、単量体(a)を構成単量体として含まない共重合体を含む比較例12の潤滑油組成物は油膜形成能及び摩耗特性が不良であることがわかる。また、実施例33と単量体(b)を用いていない(一般式(6)のR13がアルキル基ではなく水素原子である単量体(b’-1)及び/又は(b’-2)を用いた)以外は同じ比較例13及び14とを比較すると、比較例13(n-ドデシルメタクリレートを用いたもの)は、実施例33と比較して油膜厚形成能及び摩耗特性が共に劣っていることがわかる。また、比較例13よりも炭素数の長いものを用いた比較例14(n-ヘキサデシルメタクリレートを用いたもの)は、油膜厚形成能は実施例33と同程度で良好であるものの、摩耗特性が劣っていることがわかる。つまり、一般式(6)のR13がアルキル基ではなく水素原子である単量体(b’)を用いた場合は、油膜厚形成能と摩耗特性とが優れた潤滑油組成物を得ることが困難であることがわかる。さらに、比較例13~14は摩擦低減効果が極めて劣ることがわかる。
Claims (5)
- 下記一般式(1)で表される単量体(a1)、下記一般式(2)で表される単量体(a2)、下記一般式(3)又は一般式(3’)で表される単量体(a3)、下記一般式(4)で表される単量体(a4)及び下記一般式(5)で表される単量体(a5)からなる群より選ばれる1種以上の脂環構造を有する単量体(a)、並びに一般式(6)で表される単量体(b)を必須構成単量体とする共重合体(A)を含有する潤滑油添加剤であって、共重合体(A)の構成単量体中の前記単量体(a)及び前記単量体(b)の合計重量割合が共重合体(A)の構成単量体の合計重量に基づいて80重量%以上である潤滑油添加剤。
- 共重合体(A)の重量平均分子量が1,000~500,000である請求項1に記載の潤滑油添加剤。
- さらに基油(I)を含む請求項1又は2に記載の潤滑油添加剤。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の潤滑油添加剤を含有する潤滑油組成物。
- さらに粘度指数向上剤、清浄剤、分散剤、酸化防止剤、油性向上剤、極圧剤、消泡剤、抗乳化剤、腐食防止剤及び流動点降下剤からなる群より選ばれる1種以上の添加剤を含有してなる請求項4に記載の潤滑油組成物。
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