JP7254693B2 - 積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、積層体に関する。
車両の運転支援技術を実現するためには、当該車両の外部の情報を検出するためのセンサーを車体に搭載する必要がある。そのようなセンサーとしては、特許文献1に記載されるような、LiDAR(Light Detection and Ranging)システムが挙げられる。
特開2010-185769号公報
上記のようなLiDARシステムにおいては、通常、波長905nmのような赤外光を出射して、被対象物である走行車両にて反射した赤外光が戻ってくるまでの時間から距離を算出している。そのため、被対象物での赤外光の反射特性が悪い場合、上記算出が困難となる。上記問題に対しては、赤外光の再帰反射性に優れた部材を車両に貼り付ける方法が考えられる。
ただし、上記部材を車両に貼り付ける際には、意匠性の点から、車両自体の色を損なわないようにする必要がある。また、車両の窓に上記部材を貼り付ける際には、透明であることが必要である。
また、車両に適用する場合には、耐傷性に優れることも求められる。
つまり、耐傷性に優れ、赤外光の再帰反射性に優れ、かつ、ヘイズが低い部材を開発できれば、上記問題を解決することが可能となる。
本発明は、上記実情に鑑みて、耐傷性に優れ、赤外光の再帰反射性に優れ、かつ、ヘイズが低い積層体を提供することを課題とする。
本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
(1) 保護層と、
保護層側とは反対側の表面に凹凸構造を有する基材と、
基材の凹凸構造を有する表面上に配置され、凹凸構造に追従した凹凸構造の表面形状を有する反射層と、
反射層上に配置され、反射層の凹凸構造を埋める屈折率調整層と、
接着層と、をこの順に有し、
基材と屈折率調整層との波長550nmにおける屈折率の差が0.20以下であり、
波長500~600nmの領域における各波長での透過率に対する反射率の比を測定した際の比の最大値が0.20以下であり、
波長850~950nmの領域における各波長での透過率に対する反射率の比を測定した際の比の最大値が0.40以上である、積層体。
(2) 保護層の弾性率をE1、基材の弾性率をE2、屈折率調整層の弾性率をE3、及び、接着層の弾性率をE4とした場合、以下の式(1)及び式(2)の関係を満たす、(1)に記載の積層体。
式(1) E1>E2>E4
式(2) E1>E3>E4
(3) 反射層が、コレステリック液晶層、及び、平板状銀粒子を含む層からなる群から選択される層である、(1)又は(2)に記載の積層体。
(4) 凹凸構造が、コーナーキューブ形状、ピラミッド形状、又は、半球形状である、(1)~(3)のいずれかに記載の積層体。
(5) 凹凸構造の深さが、1μm以上である、(1)~(4)のいずれかに記載の積層体。
(6) 積層体の法線方向から45°傾いた方向から波長850~950nmの光を入射させた際の各波長での再帰反射率のうちの最大値が10%以上である、(1)~(5)のいずれかに記載の積層体。
本発明によれば、耐傷性に優れ、赤外光の再帰反射性に優れ、かつ、ヘイズが低い積層体を提供することができる。
本発明の積層体の一実施形態の断面図である。 一方の表面に半球形状の凸凹構造を有する基材の上面図である。 図2中のA-A線での断面図である。 一方の表面にプリズム形状の凸凹構造を有する基材の上面図である。 図4中のB-B線での断面図である。 一方の表面にコーナーキューブ形状の凸凹構造を有する基材の上面図である。 図6中のC-C線での断面図である。 一方の表面にピラミッド形状の凸凹構造を有する基材の上面図である。 図8中のD-D線での断面図である。 平板状金属粒子の主平面と、凸凹構造の表面とのなす角(θ)を説明する図である。
以下において、本開示の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、数値範囲を示す「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
更に、本明細書において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する該当する複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において「全固形分」とは、組成物の全組成から溶剤を除いた成分の総質量をいう。また、「固形分」とは、上述のように、溶剤を除いた成分であり、例えば、25℃において固体であっても、液体であってもよい。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書において、(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルを含む総称であり、(メタ)アクリロキシとは、アクリロキシ及びメタクリロキシを含む総称である。
更に、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
また、本開示における重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に断りのない限り、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置により、溶剤THF(テトラヒドロフラン)、示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。
以下、本開示を詳細に説明する。
図1に、本発明の積層体(以下、単に「積層体」とも記載する)の一実施形態の断面図を示す。
積層体10は、保護層12と、基材14と、反射層16と、屈折率調整層18と、接着層20とをこの順に有する。
基材14は、保護層12側とは反対側の表面14aに凹凸構造を有する。図1に示す凹凸構造は、ピラミッド形状に該当する。後述するように、凹凸構造は、ピラミッド形状以外の形状であってもよい。
反射層16は、基材14の凹凸構造を有する表面14a上に配置され、凹凸構造に追従した凹凸構造の表面形状を有する。つまり、反射層16は、基材14の凹凸構造に沿って形成された所定の厚みを有する層である。反射層16の一方の表面には、基材14の表面に形成された凹凸構造と同様の凹凸構造が形成されている。
屈折率調整層18は、反射層16の凹凸構造を埋めるように、反射層16上に配置される層である。つまり、屈折率調整層18の反射層16側とは反対側の表面は、平坦面であることが好ましい。
本発明の積層体においては、基材と屈折率調整層との波長550nmにおける屈折率の差が0.20以下である。中でも、積層体のヘイズがより低い点で、上記屈折率の差は、0.10以下が好ましく、0.01以下がより好ましい。下限は特に制限されないが、0が挙げられる。
上記屈折率の測定方法は、以下の通りである。
屈折率調整層の屈折率の測定方法としては、Si基板上に厚み200~800nmの範囲の屈折率調整層を形成し、エリプソメーター(日本分光社製、M150)で屈折率調整層の波長550nmの屈折率を測定する方法が挙げられる。
基材の屈折率の測定方法としては、基材を溶媒に溶解させて得られた溶液を、Si基板上にスピンコートして、厚み200~800nmの範囲の屈折率測定用膜を形成し、エリプソメーター(日本分光社製、M150)で屈折率測定用膜(基材)の波長550nmの屈折率を測定する方法が挙げられる。
本発明の積層体においては、波長500~600nmの領域における各波長での透過率に対する反射率の比(反射率/透過率)(以下、単に「第1比」ともいう。)を測定した際の第1比の最大値が、0.20以下である。中でも、積層体の可視光透過性がより優れる点で、上記第1比は、0.15以下が好ましく、0.12以下がより好ましい。第1比の下限は特に制限されないが、0が挙げられる。
本発明の積層体においては、波長850~950nmの領域における各波長での透過率に対する反射率の比(反射率/透過率)(以下、単に「第2比」ともいう。)を測定した際の第2比の最大値が、0.40以上である。中でも、積層体の赤外光反射性がより優れる点で、上記第2比は、0.60以上が好ましく、0.80以上がより好ましい。第2比の上限は特に制限されないが、100が挙げられる。
上記第1比及び第2比の測定方法は、紫外線可視近赤外分析光度計(島津製作所製、UV-3100PC)を用いて、所定の波長域での透過率及び反射率を算出して、上記比を算出する方法が挙げられる。
保護層の弾性率をE1、基材の弾性率をE2、屈折率調整層の弾性率をE3、及び、接着層の弾性率をE4とした場合、耐傷性がより優れる点から、式(1)及び式(2)の関係を満たすことが好ましい。
式(1) E1>E2>E4
式(2) E1>E3>E4
保護層の弾性率E1は、積層体の耐傷性がより優れる点で、1~25GPaが好ましく、3~15GPaがより好ましい。
基材の弾性率E2は、積層体の耐傷性がより優れる点で、0.1~10GPaが好ましく、0.3~5GPaがより好ましく、0.5~3GPaが更に好ましい。
屈折率調整層の弾性率E3は、積層体の耐傷性がより優れる点で、0.1~5GPaが好ましく、0.3~1GPaがより好ましい。
接着層の弾性率E4は、積層体の耐傷性がより優れる点で、0.0001GPa~0.1GPaが好ましく、0.0002GPa~0.01GPaがより好ましい。
各層の弾性率の測定方法は、ダイナミック超微小硬度計(DUH-201S、(株)島津製作所製)を用いて、各層の弾性率を測定する。
測定の条件は、以下の通りとする。
・圧子の種類:Vickers
・試験モード:負荷-除荷試験
・試験力:40mN
・負荷速度:1.3239mN/sec
・保持時間:5sec
なお、各層の測定は、積層体の切断した断面において測定してもよいし、切削等により測定する層を露出させ測定してもよいし、上記積層体の上記保護層及び接着層については表面において測定してもよい。
また、積層体の法線方向から45°傾いた方向から波長850~950nmの光を入射させた際の各波長での再帰反射率のうちの最大値は特に制限されないが、10%以上であることが好ましい。上限は特に制限されないが、50%以下の場合が多い。
上記再帰反射率の測定方法は、以下の通りである。
積層体の表面の法線方向から45°傾いた方向から波長850~950nmの光を入射したときに、光の入射方向へ反射する光の強度(Is)を測定する。
上記積層体の代わりに、硫酸バリウム製の白色拡散板を用いて、上記と同様の測定を行い、強度(Ii)を測定する。
各波長での再帰反射率(%)を、Is/Ii×100と定義して、算出する。各波長での再帰反射率の値のうち、最大値を選択する。
なお、上記測定においては、光源(OceanOptics社製、HL-2000-HP-FHSA)から光ファイバー(OceanOptics社製、VIS/NIR 200μm Q/BIF)を通して積層体に光を照射し、同じ角度で反射した光を再び光ファイバーで検出器(浜松ホトニクス社製、Photonic Multi-Channel Analyzer C7473-36)に導き、光量を測定する。
以下、積層体を構成する各部材について詳述する。
<保護層>
積層体は、保護層を有する。
上記保護層は、反射層等を保護する十分な強度を有する層であればよいが、光、熱、及び、湿度等に対する耐久性に優れる樹脂を含む層であることが好ましい。
また、保護層は、後述する材質を含む層を硬化してなる層であることが好ましく、成型加工した後に後述する材質を含む層を硬化してなる層であることがより好ましい。
保護層としては、耐久性の点から、樹脂を含むことが好ましい。
樹脂としては、シロキサン樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、及び、オレフィン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましく、シロキサン樹脂、フッ素樹脂、及び、ウレタン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種がより好ましい。
フッ素樹脂としては、特に制限されないが、特開2009-217258号公報の段落0076~0106、及び、特開2007-229999号公報の段落0083~0127に記載のもの等が挙げられる。
フッ素樹脂としては、オレフィン中の水素をフッ素に置換したフッ化アルキル樹脂が挙げられ、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、パーフルオロアルコキシアルカン、パーフルオロエチレンプロペン、及び、エチレンテトラフルオロエチレンが挙げられる。上記以外にも、フッ素樹脂としては、乳化剤又は水との親和性を高める成分と共重合体化した、水分散可能なフッ素樹脂が挙げられる。フッ素樹脂の具体例としては、旭硝子(株)製のルミフロン及びオブリガート、ダイキン工業(株)製のゼッフル及びネオフロン、デュポン社製のテフロン(登録商標)、並びに、アルケマ社製のカイナーが挙げられる。
保護層は、シロキサン化合物又はその加水分解縮合物を含むことが好ましい。
特に、シロキサン化合物としては、下記式1で表されるシロキサン化合物、及び、下記式1で表されるシロキサン化合物の加水分解縮合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物(以下、特定シロキサン化合物ともいう。)が好ましい。
Figure 0007254693000001
式1中、R、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1~6のアルキル基、又は、アルケニル基を表し、Rはそれぞれ独立に、アルキル基、ビニル基、エポキシ基、ビニルフェニル基、(メタ)アクリロキシ基、(メタ)アクリルアミド基、アミノ基、イソシアヌレート基、ウレイド基、メルカプト基、スルフィド基、ポリオキシアルキル基、カルボキシ基及び第四級アンモニウム基からなる群から選ばれる基を有するアルキル基を表し、mは、0~2の整数を表し、nは1~20の整数を表す。
式1で表されるシロキサン化合物の加水分解縮合物とは、式1で表されるシロキサン化合物と、式1で表されるシロキサン化合物におけるケイ素原子上の置換基の少なくとも一部が加水分解して、シラノール基となっている化合物とが縮合した化合物をいう。
式1におけるR、R及びRにおける炭素数1~6のアルキル基、又は、アルケニル基は、直鎖状であっても、分岐を有していても、環構造を有していてもよい。R、R及びRとしては、保護層の強度、光透過性及びヘイズの点から、炭素数1~6のアルキル基が好ましい。
炭素数1~6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、及び、シクロヘキシル基が挙げられ、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
式1におけるRとしては、保護層の強度、光透過性及びヘイズの点から、アルキル基が好ましく、炭素数1~8のアルキル基がより好ましい。
また、式1におけるRの炭素数としては、1~40が好ましく、1~20がより好ましく、1~8が更に好ましい。
式1におけるmとしては、保護層の強度、光透過性及びヘイズの点から、1又は2が好ましく、2がより好ましい。
式1におけるnとしては、保護層の強度、光透過性及びヘイズの点から、2~20の整数が好ましい。
特定シロキサン化合物としては、信越化学工業(株)製のKBE-04、KBE-13、KBE-22、KBE-1003、KBM-303、KBE-403、KBM-1403、KBE-503、KBM-5103、KBE-903、KBE-9103P、KBE-585、KBE-803、KBE-846、KR-500、KR-515、KR-516、KR-517、KR-518、X-12-1135、X-12-1126、X-12-1131;エボニックジャパン(株)製のDynasylan4150;三菱ケミカル(株)製のMKCシリケートMS51、MS56、MS57、MS56S;コルコート(株)製のエチルシリケート28、N-プロピルシリケート、N-ブチルシリケート、SS-101;等が挙げられる。
ウレタン樹脂は、ジイソシアネート化合物とポリオールとの反応、又は、ウレタンアクリレート化合物の重合反応により得ることができる。
上記ウレタン樹脂の合成にいるポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、及び、ポリアクリルポリオールが挙げられる。中でも、耐衝撃性の点から、ポリエステルポリオール、又は、ポリアクリルポリオールが好ましい。
ポリエステルポリオールは、多塩基酸及び多価アルコールを使用するエステル化反応を用いた公知の方法によって得ることが可能である。
ポリエステルポリオールの多塩基酸成分としてポリカルボン酸を使用するが、必要であれば、一塩基脂肪酸等も一緒に用いてよい。ポリカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、及び、他のこのような芳香族ポリカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、アゼライン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、及び、他のこのような脂肪族ポリカルボン酸、並びに、それらの無水物が挙げられる。
これらの多塩基酸は単独で使用してもよく、又は、それらの2つ以上の組合せを用いることも可能である。
ポリエステルポリオールの多価アルコール成分、及び、同様に、ウレタン樹脂の合成で使用する多価アルコールとしては、グリコール及び三価以上の多価アルコールが挙げられる。
グリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、メチルプロパンジオール、シクロヘキサンジメタノール、及び、3,3-ジエチル-1,5-ペンタンジオールが挙げられる。
三価以上の多価アルコールとしては、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、及び、ジペンタエリトリトールが挙げられる。
これらの多価アルコールは単独でも使用可能であり、又は、それらの2つ以上の組合せを用いることも可能である。
アルカン酸ジメチロールとしては、プロピオン酸ジメチロール、ブタン酸ジメチロール、ペンタン酸ジメチロール、ヘプタン酸ジメチロール、オクタン酸ジメチロール、及び、ノナン酸ジメチロールが挙げられる。
これらのアルカン酸ジメチロールは単独でも使用可能であり、又は、それらの2つ以上の組合せを用いることも可能である。
ポリアクリルポリオールとしては、イソシアネート基と反応可能なヒドロキシ基を有する種々の、公知のポリアクリルポリオールが挙げられる。
ポリイソシアネート化合物としては、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-又は2,6-トリレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、p-又はm-フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、及び、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、及び、水素化トリレンジイソシアネート等の脂環式ジ-イソシアネート、並びに、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。
これらのジイソシアネート化合物は単独で用いてもよく、又は、それらの2つ以上の組合せを使用することも可能である。
上記ウレタン(メタ)アクリレートについて説明する。上記ウレタン(メタ)アクリレートの製造方法としては、例えば、ヒドロキシ基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物とポリイソシアネート化合物とをウレタン化反応させる方法が挙げられる。
上記ヒドロキシ基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシ-n-ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-n-ブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-n-ブチル(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタレート、及び、末端にヒドロキシ基を有するラクトン変性(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基を有する単官能(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド(EO)変性ジアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、及び、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基を有する多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。中でも、保護層の耐傷性が向上する点から、ペンタエリスリトールトリアクリレート、又は、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートが好ましい。
なお、これらのヒドロキシ基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、単独で使用してもよく、又は、それらの2つ以上の組合せを用いることも可能である。
上記ポリイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、及び、m-フェニレンビス(ジメチルメチレン)ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2-メチル-1,3-ジイソシアナトシクロヘキサン、2-メチル-1,5-ジイソシアナトシクロヘキサン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、及び、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式ジイソシアネート化合物が挙げられる。
上記ウレタン(メタ)アクリレートは、活性光線を照射することで硬化することができる。この活性光線とは、紫外線、電子線、α線、β線、及び、γ線等の電離放射線をいう。成型後に、活性光線として紫外線を照射して保護層を硬化する場合には、保護層に光重合開始剤を添加し、硬化性を向上することが好ましい。また、必要であれば、光増感剤を更に添加して、硬化性を向上することもできる。
保護層は、紫外線吸収剤を含んでいてもよい。
紫外線吸収剤は、紫外線吸収性能を有する分子量が5,000未満の化合物である。上記分子量は、紫外線吸収剤が分子量分布を有する場合には、上述の方法により測定された重量平均分子量をいう。分子量分布を有しない場合、分子量は、例えばエレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS)を用いて測定される。
紫外線吸収剤としては、極大吸収波長を380nm以下に有する化合物が好ましく、極大吸収波長を250~380nm(好ましくは270~380nm)に有する化合物がより好ましい。
紫外線吸収剤としては、トリアジン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、サリチル酸化合物、及び、金属酸化物粒子が挙げられる。
紫外線吸収剤は、紫外線吸収性能の点から、トリアジン化合物又はベンゾトリアゾール化合物を含むことが好ましく、トリアジン化合物を含むことがより好ましい。
紫外線吸収剤におけるトリアジン化合物及びベンゾトリアゾール化合物の総含有量は、紫外線吸収剤の全量に対し、80質量%以上であることが好ましい。
保護層は、界面活性剤を含んでいてもよい。
界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、並びに、イオン性界面活性剤であるアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、及び、両性界面活性剤が挙げられる。
中でも、ノニオン界面活性剤、及び、カチオン界面活性剤からなる群から選ばれた少なくとも1種の界面活性剤が好ましく、カチオン界面活性剤がより好ましい。
保護層は、既述の成分に加え、目的に応じて他の成分を含んでいてもよい。
他の成分としては、公知の添加剤を用いることができ、例えば、帯電防止剤、シロキサン化合物の縮合触媒、及び、防腐剤等が挙げられる。
保護層は、帯電防止剤を含んでいてもよい。
帯電防止剤は、保護層に帯電防止性を付与し、汚染物質の付着を抑制する目的で用いられる。
帯電防止性を付与するための帯電防止剤としては、特に制限されない。
帯電防止剤としては、金属酸化物粒子、金属ナノ粒子、導電性高分子、及び、イオン液体からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
帯電防止剤は2種以上を併用してもよい。
金属酸化物粒子は、特に制限されないが、酸化スズ粒子、アンチモンドープ酸化スズ粒子、スズドープ酸化インジウム粒子、酸化亜鉛粒子、及び、シリカ粒子が挙げられる。
金属酸化物粒子の平均一次粒子径は、100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、30nm以下が更に好ましい。また、下限としては、2nm以上が好ましい。
粒子の形状は特に制限されず、球状であっても、板状であっても、針状であってもよい。
金属酸化物粒子の平均一次粒子径は、分散した粒子を透過型電子顕微鏡により観察し、得られた写真から求めることができる。写真の画像より、粒子の投影面積を求め、そこから円相当径を求め平均粒子径(平均一次粒子径)とする。本明細書における平均一次粒子径は、300個以上の粒子について投影面積を測定して、円相当径を求めて算出した値を用いている。
なお、金属酸化物粒子の形状が球状ではない場合にはその他の方法、例えば動的光散乱法を用いて求めてもよい。
帯電防止剤は単独で使用してもよく、又は、それらの2つ以上の組合せを用いることも可能である。
保護層において、帯電防止剤の含有量は特に制限されないが、保護層全質量に対して、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
また、帯電防止剤として金属酸化物粒子を用いる場合の帯電防止剤の含有量は、保護層全質量に対して、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましい。
保護層は、シロキサン化合物の縮合を促進する縮合触媒を含んでいてもよい。
保護層が縮合触媒を含有することにより、より耐久性に優れた保護層を形成することができる。
(保護層の形成方法)
保護層の形成方法は、特に制限されないが、所定の成分を含む保護層形成用塗布液を塗布し、乾燥させて、保護層を形成する方法が好ましい。
保護層形成用塗布液は、上述した各種成分(例えば、シロキサン化合物、界面活性剤)を含んでいてもよい。
また、保護層形成用塗布液は、溶媒(例えば、水及び有機溶媒)を含んでいてもよい。
保護層形成用塗布液の調製方法は、特に制限されず、公知の方法を用いることができる。例えば、上述した各種成分(例えば、シロキサン化合物、界面活性剤、及び、溶媒)を混合して製造する方法等が挙げられる。
保護層形成用塗布液を塗布する方法は特に制限されず、スプレー塗布、刷毛塗布、ローラー塗布、バー塗布、及び、ディップ塗布が挙げられる。
また、保護層形成用塗布液を塗布する前に、保護層形成用塗布液が塗布される被対象物に対し、コロナ放電処理、グロー処理、大気圧プラズマ処理、火炎処理、及び、紫外線照射処理等の表面処理を施してもよい。
保護層形成用塗布液の乾燥は、室温(25℃)で行ってもよく、加熱して行ってもよい。加熱温度としては、40~200℃が好ましく、40~120℃がより好ましい。
また、加熱時間としては、1~30分間が好ましい。
保護層形成用塗布液中に硬化性成分が含まれる場合、保護層形成用塗布液より形成される塗布膜に対して硬化処理(例えば、光照射処理及び加熱処理)を実施してもよい。
光照射処理の際の光源としては、上記保護層を硬化しうる波長域の光(例えば、365nm、405nm)を照射できる光源であれば適宜選定して用いることができる。
具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。
露光量としては、特に制限されず、5~2,000mJ/cmが好ましく、10~1,000mJ/cmがより好ましい。
また、保護層形成用塗布液としては、中空粒子を含む保護層形成用塗布液が好適に挙げられる。
ここで、中空粒子としては、マトリックスを構成するシロキサン樹脂との親和性の点から、シリカを主成分とする中空シリカ粒子が好ましい。
中空シリカ粒子としては、特開2013-237593号公報、及び、国際公開第2007/060884号等に記載される中空粒子等が挙げられる。
また、中空シリカ粒子としては、表面が未修飾の中空シリカ粒子であっても、表面が変性されている中空シリカ粒子であってもよい。
また、中空粒子は、保護層形成用塗布液中で、分散安定化を図るために、又はシロキサン樹脂との親和性及び結合性を高めるために、プラズマ放電処理及びコロナ放電処理等の物理的表面処理、並びに、界面活性剤及びカップリング剤等による化学的表面処理がなされていてもよい。
上記保護層における空隙率は、光透過性、及び、耐傷性の点から、10~80%が好ましく、15~75%がより好ましく、20~55%が更に好ましい。
上記保護層における空隙の径(以下、「空隙径」ともいう)は、強度、光透過性、及びヘイズの点から、25nm以上が好ましく、30nm以上がより好ましい。空隙径の上限は、耐傷性の点から、80nm以下が好ましく、70nm以下がより好ましい。
上記保護層の空隙径、空隙率及び空隙径の変動係数の測定方法は、以下の通りである。
上記保護層を含む積層体の表面と直交する方向に切断し、切断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより、空隙径及び空隙率を測定する。
切断面のSEM画像(倍率50,000倍)において、任意に選択した200個の空隙に対して、それぞれ円相当径を算出し、その平均値を空隙径とする。
また、空隙率は、切断面のSEM画像(倍率50,000倍)について、画像処理ソフト(ImageJ)を用いて、空隙部分とマトリックス部分(即ち、樹脂を含む空隙以外の部分)とを画像処理(二値化)を行い分離し、空隙部分の割合を算出して空隙率とする。
なお、空隙の径に異方性がない場合、空隙率は樹脂中における空隙の体積分率として求められる。
保護層の屈折率は、視認性、及び、反射防止性の点から、1.05~1.6が好ましく、1.2~1.5がより好ましく、1.2~1.4が更に好ましい。
屈折率は、25℃における550nmの波長の光に対する屈折率である。
また、自動車等の外装に用いられる際には、ワックスやガソリン等の汚染を目立たなくさせるため、屈折率はそれらの屈折率に近い範囲、すなわち、1.4~1.5の範囲に設定すると、汚れが目立ちにくくなり、好ましい。
また、保護層の屈折率は、無アルカリガラスOA-10G上に形成した保護層の単独膜に対して、分光光度計で透過スペクトルを測定し、上記測定で得られた透過率と、光干渉法により計算で算出した透過率と、を用い、フィッティング解析を行うことにより、各層の厚さ及び屈折率を求めるものとする。また、カルニュー精密屈折計(KPR-3000、(株)島津製作所製)を用いて測定することもできる。
保護層の厚さは特に制限されないが、1~25μmが好ましく、2~20μmがより好ましく、3~15μmが更に好ましい。上記保護層の厚さが1μm以上であると、十分な硬度が得られ、衝撃を面内方向に分散する効果が得られ、25μm以下であると、保護層自身へのクラック発生、破損を抑制することができ、耐傷性により優れる。
<基材>
積層体は、基材を有する。
基材は特に制限されず、公知の基材を用いることができる。基材としては、樹脂基材が好ましい。
基材が樹脂基材の場合、基材に含まれる樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ウレタン-(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、アクリル-ポリカーボネート樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、及び、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)が挙げられる。
中でも、基材としては、成型加工性、及び、強度の点から、(メタ)アクリル樹脂基材、ポリカーボネート基材、又は、ポリプロピレン基材が好ましく、(メタ)アクリル樹脂基材、又は、ポリカーボネート基材がより好ましい。
基材は、必要に応じ、添加物を含んでいてもよい。
添加物としては、鉱油、炭化水素、脂肪酸、アルコール、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、金属石けん、天然ワックス、シリコーン等の潤滑剤、水酸化マグネシウム、及び、水酸化アルミニウム等の無機難燃剤、ハロゲン系、及び、リン系等の有機難燃剤、金属粉、タルク、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、ガラス繊維、カーボン繊維、及び、木粉等の有機又は無機の充填剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、滑剤、分散剤、カップリング剤、発泡剤、及び、着色剤等の添加剤、並びに、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、及び、ポリフェニレンエーテル樹脂等であって、上述した樹脂以外のエンジニアリングプラスチックが挙げられる。
基材は、市販品を用いてもよい。
市販品としては、テクノロイ(登録商標)シリーズ(アクリル樹脂フィルム又はアクリル樹脂/ポリカーボネート樹脂積層フィルム、住友化学(株)製)ABSフィルム(オカモト(株)製)、ABSシート(積水成型工業(株)製)、テフレックス(登録商標)シリーズ(PETフィルム、帝人フィルムソリューション(株)製)、ルミラー(登録商標)易成型タイプ(PETフィルム、東レ(株)製)、及び、ピュアサーモ(ポリプロピレンフィルム、出光ユニテック(株)製)が挙げられる。
基材は、保護層側とは反対側の表面に凹凸構造を有する。
上記凹凸構造は、凸部のみを複数含んでいても、凹部のみを複数含んでいても、凸部及び凹部をそれぞれ複数含んでいてもよい。凸部のみを複数含む凹凸構造としては、半球形状の凸部が形成された構造が挙げられる。凸部及び凹部をそれぞれ複数含む凹凸構造としては、プリズム形状、ピラミッド形状、及び、コーナーキューブ形状が挙げられる。
上記凹凸構造としては、プリズム形状、ピラミッド形状、半球形状、又は、コーナーキューブ形状が好ましい。
また、上記凹凸構造は、凸部及び凹部をそれぞれ複数含むことが好ましく、プリズム形状、ピラミッド形状、又は、コーナーキューブ形状がより好ましく、コーナーキューブ形状が更に好ましい。
本明細書中、コーナーキューブ形状とは、3つの平面を互いに直交するように組み合わせた形状のことを言うが、更に3つの平面を互いに直交するように組み合わせた形状から光学的に許容できる範囲で変形された形状も含まれる。
上記凹凸構造として、凸部及び凹部のうち少なくとも一方を周期的なピッチで有することが好ましい。
凸部又は凹部の幅は、凸部の場合、面方向に垂直で凸部の最高点と最低点を通る平面で切ったときの最低点間の距離のことをいい、凹部の場合、面方向に垂直で凹部の最高点と最低点を通る平面で切ったときの最高点間の距離のことをいい、個々のピッチのサイズが異なる場合は上述の最低点間又は最高点間の距離の平均値である。ピッチは、凸部の場合、最高点間の距離のことをいい、凹部の場合、最低点間の距離である。
図2及び3においては、基材の表面の凹凸構造が半球形状の凸部を有する態様の概略図であり、図2は上面図であり、図3は図2中のA-A線での断面図である。
凸凹構造が、図2及び3に示した半球形状である場合、ピッチは、最近接する2つの半球形状の凸部の頂点間距離Pであり、半球形状の凸部の幅は、半球形状部分の直径Rに相当する。また、上記凹凸構造が、半球形状である場合、ピッチと凸部の幅とは一致しないでもよい。
図4及び5においては、基材の表面の凹凸構造がプリズム形状である態様の概略図であり、図4は上面図であり、図5は図4中のB-B線での断面図である。
凸凹構造が、図4及び5に示したプリズム形状である場合、ピッチは図5のPに相当し、凸部の幅は図5のRに相当する。凸凹構造が、プリズム形状である場合、ピッチと凸部の幅とは一致することが好ましい。
図6及び7においては、基材の表面の凹凸構造がコーナーキューブ形状である態様の概略図であり、図6は上面図であり、図7は図6中のC-C線での断面図である。
凸凹構造が、図6及び7に示したコーナーキューブ形状である場合、ピッチは図7のP(最近接する2つのコーナーキューブ形状の凸部の頂点間距離P)に相当し、凸部の幅は図7のRに相当する。
図8及び9においては、基材の表面の凹凸構造がピラミッド形状である態様の概略図であり、図8は上面図であり、図9は図8中のD-D線での断面図である。
凸凹構造が、図8及び9に示したピラミッド形状である場合、ピッチは図9のP(最近接する2つのピラミッド形状の凸部の頂点間距離P)に相当し、凸部の幅は図9のRに相当する。
上記凹凸構造の深さ(又は高さ)は、反射性及び再帰反射性の点から、1μm以上が好ましく、1~200μmがより好ましく、1~100μmが更に好ましく、3~80μmが特に好ましい。
上記凹凸構造の幅は、反射性及び再帰反射性の点から、1~100μmが好ましく、3~80μmがより好ましい。
また、上記凹凸構造における幅に対する深さの比は、幅/深さ=100/1~1/2が好ましく、50/1~1/1がより好ましい。
凹凸構造の形成方法としては、特に制限されないが、予め凹凸構造に対応する形状が形成された型を作製し、凹凸構造を有しない基材に対し、上記凹凸構造を転写する方法が挙げられる。
なお、後述する反射層を基材の表面の凹凸構造に追従させるために、基材と基材上に配置された反射層とを有する積層体を用意し、積層体の反射層側に凹凸構造を転写してもよい。
転写方法は、型を直接基材に加圧する方法や、真空ラミネーターを用いて、加圧する方法等が挙げられる。
基材の厚さは特に制限されないが、1μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、20μm以上が更に好ましく、50μm以上が特に好ましい。上限としては、500μm以下が好ましく、450μm以下がより好ましく、200μm以下が特に好ましい。
<反射層>
積層体は、反射層を有する。反射層は、基材の凹凸構造を有する表面上に配置され、凹凸構造に追従した凹凸構造の表面形状を有する。
上記反射層としては、コレステリック液晶層、平板状金属粒子を含む層、光学多層膜(誘電体多層膜)、及び、クロミック材料を含む層が挙げられる。
中でも、コレステリック液晶層、又は、平板状金属粒子を含む層が好ましく、コレステリック液晶層がより好ましい。
(コレステリック液晶層)
上記反射層は、再帰反射性及び意匠性の点から、コレステリック液晶層であることが好ましい。
コレステリック液晶層においては、螺旋構造のピッチ、屈折率及び厚みからなる群より選択される少なくとも1種を変えることにより、視認される角度による色の変化及び視認される色自体を調整できる。上記螺旋構造のピッチは、カイラル剤の添加量を変えることによって容易に調整可能である。螺旋構造のピッチの調整については、富士フイルム研究報告No.50(2005年)p.60-63に詳細に記載されており、この記載は本明細書に包含される。また、上記螺旋構造のピッチは、コレステリック配向状態を固定するときの温度、照度及び照射時間等の条件を変えることによっても調整できる。
コレステリック液晶層は、コレステリック配向状態で固定した液晶化合物で構成されることが好ましい。つまり、コレステリック液晶層は、コレステリック液晶相を固定しなる層であることが好ましい。液晶化合物のコレステリック配向状態は、右円偏光を反射する配向状態であってもよく、左円偏光を反射する配向状態であってもよい。液晶化合物は特に制限されず、各種公知のものが使用できる。
上記コレステリック液晶層は、液晶組成物を硬化してなる層であることが好ましい。
上記コレステリック液晶層を形成するための液晶組成物は、例えば、液晶化合物、並びに、カイラル剤、配向制御剤、重合開始剤及び配向助剤を含んでいてもよい。
以下、液晶組成物に含まれてもよい成分について詳述する。
-液晶化合物-
液晶化合物はその形状から、棒状タイプ及び円盤状タイプが挙げられる。更にそれぞれ低分子と高分子タイプとが挙げられる。本開示において、液晶化合物における“高分子”とは、重合度が100以上のものを指すものとする(高分子物理・相転移ダイナミクス,土井 正男 著,2頁,岩波書店,1992)。
液晶化合物としては、棒状液晶化合物が好ましい。
また、液晶化合物としては、2種以上の棒状液晶化合物、2種以上の円盤状液晶化合物、又は、棒状液晶化合物と円盤状液晶化合物との混合物を用いてもよい。温度変化及び湿度変化を小さくできることから、反応性基を有する棒状液晶化合物又は円盤状液晶化合物を用いて形成することがより好ましく、少なくとも1つは1液晶分子中の反応性基が2以上あることが更に好ましい。2種以上の液晶化合物の混合物の場合、少なくとも1つが2以上の反応性基を有していることが好ましい。
なお、本明細書において、液晶化合物を含む組成物から形成された層について記載されるとき、この形成された層において液晶性を有する化合物が含まれなくともよい。例えば、上記低分子液晶化合物が熱及び光等で反応する基を有しており、結果的に熱及び光等で反応により重合又は架橋し、高分子量化し液晶性を失ったものが含まれる層であってもよい。
また、架橋機構の異なる2種類以上の反応性基を有する液晶化合物を用いることが好ましい。上記化合物を用いる場合、条件を選択して2種類以上の反応性基の一部の種類のみを重合させることにより、未反応の反応性基を有するポリマーを含む反射層を作製することが好ましい。
架橋機構は特に制限されないが、縮合反応、水素結合、及び、重合が挙げられる。
架橋機構としては、2種の機構を利用してもよく、この場合、2種以上のうち少なくとも一方は重合が好ましく、2種類以上の異なる重合を用いることがより好ましい。
架橋反応に用いられる基としては、ビニル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、及び、アミノ基が挙げられる。
架橋機構の異なる2種類以上の反応性基を有する化合物とは、段階的に異なる架橋反応工程を用いて架橋可能な化合物であり、各段階の架橋反応工程では、それぞれの架橋機構に応じた反応性基が官能基として反応する。また、例えば、側鎖にヒドロキシ基を有するポリビニルアルコールのようなポリマーの場合で、ポリマーを重合する重合反応を行った後、側鎖のヒドロキシ基をアルデヒド等で架橋させた場合は2種類以上の異なる架橋機構を用いたことになるが、本開示において2種類以上の異なる反応性基を有する化合物という場合は、反射層を形成した時点において層中で2種類以上の異なる反応性基を有する化合物であって、その後にその反応性基を段階的に架橋させることができる化合物であることが好ましい。
また、上記反応性基としては、重合性基であることが好ましい。重合性基としては、ラジカル重合性基、及び、カチオン重合性基が挙げられる。
中でも、2種以上の重合性基を有する液晶化合物が好ましい。
段階的に架橋させる反応条件として、温度の違い、光(照射線)の波長の違い、及び、重合機構の違いのいずれでもよいが、反応を分離しやすい点から重合機構の違いを用いることが好ましく、用いる重合開始剤の種類によって制御することがより好ましい。
重合性基の組み合わせとしては、ラジカル重合性基とカチオン重合性基との組み合わせが好ましい。中でも、上記ラジカル重合性基がビニル基又は(メタ)アクリル基であり、かつ、上記カチオン重合性基がエポキシ基、オキセタニル基又はビニルエーテル基である組み合わせが反応性を制御しやすく特に好ましい。
中でも、液晶化合物は、反応性、及び、螺旋構造のピッチの固定容易性の点から、ラジカル重合性基を有することが好ましい。
以下に反応性基の例を示す。なお、Etはエチル基を表し、n-Prはn-プロピル基を表す。
Figure 0007254693000002
棒状液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、及び、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が挙げられる。
上記高分子液晶化合物は、低分子の反応性基を有する棒状液晶化合物が重合した高分子化合物である。棒状液晶化合物の例としては特開2008-281989号公報、特表平11-513019号公報(国際公開第97/00600号)、及び、特表2006-526165号公報に記載のものが挙げられる。
以下に、棒状液晶化合物の具体例を示すが、これらに制限されるものではない。なお、下記に示す化合物は、特表平11-513019号公報(国際公開第97/00600号)に記載の方法で合成できる。
Figure 0007254693000003
Figure 0007254693000004
Figure 0007254693000005
Figure 0007254693000006
Figure 0007254693000007
円盤状液晶化合物としては、モノマー等の低分子量の円盤状液晶化合物、又は、重合性の円盤状液晶化合物が挙げられる。
円盤状液晶化合物としては、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physicslett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系又はフェニルアセチレン系マクロサイクルが挙げられる。
上記円盤状液晶化合物は、上記各種構造を分子中心の円盤状の母核とし、直鎖のアルキル基、アルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基等の基(L)が放射線状に置換された構造であり、液晶性を示し、一般的に円盤状液晶とよばれるものが含まれる。
ただし、このような分子の集合体が一様に配向した場合は負の一軸性を示すが、この記載に限定されるものではない。円盤状液晶化合物としては、特開2008-281989号公報の段落0061~0075に記載のものも挙げられる。
液晶化合物は単独で使用してもよく、又は、それらの2つ以上の組合せを用いることも可能である。
液晶組成物中における液晶化合物の含有量は、液晶組成物の全固形分に対して、意匠性の点から、30~99質量%が好ましく、40~99質量%がより好ましく、60~99質量%が更に好ましく、70~98質量%が特に好ましい。
-カイラル剤(光学活性化合物)-
液晶組成物は、コレステリック液晶層形成の容易性、及び、螺旋構造のピッチの調整容易性の点から、カイラル剤(光学活性化合物)を含むことが好ましい。
カイラル剤は、コレステリック液晶層における螺旋構造を誘起する機能を有する。
カイラル剤は、液晶化合物によって誘起する螺旋のよじれ方向又は螺旋ピッチが異なるため、目的に応じて選択すればよい。
カイラル剤としては、特に制限されず、公知の化合物(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4-3項、TN(twisted nematic)、STN(Super-twisted nematic)用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載)、イソソルビド、及び、イソマンニド誘導体が挙げられる。
カイラル剤は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物又は面性不斉化合物もカイラル剤として用いることができる。
軸性不斉化合物又は面性不斉化合物の例には、ビナフチル化合物、ヘリセン化合物、又は、パラシクロファン化合物が好ましく挙げられる。
上記液晶組成物は、成型後における反射率変化抑制の点から、カイラル剤として、重合性基を有するカイラル剤を含むことが好ましく、重合性基を含むカイラル剤、及び、重合性基を有しないカイラル剤を含むことがより好ましい。
上記重合性基としては、重合可能な基であれば特に制限されないが、反応性の点から、エチレン性不飽和基、又は、環状エーテル基が好ましく、エチレン性不飽和基がより好ましい。
カイラル剤におけるエチレン性不飽和基及び環状エーテル基の好ましい態様は、ビニル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、オキセタニル基、及び、ビニルエーテル基が挙げられる。
更に、重合性基を有するカイラル剤は、反応性の点から、2つ以上の重合性基を有するカイラル剤であることが好ましく、2つ以上のエチレン性不飽和基を有するカイラル剤、又は、2つ以上の環状エーテル基を有するカイラル剤であることがより好ましく、2つ以上のエチレン性不飽和基を有するカイラル剤であることが更に好ましい。
また、カイラル剤は、液晶化合物であってもよい。
なお、後述するように、コレステリック液晶層を製造する際に、光照射によってコレステリック液晶層の螺旋ピッチの大きさを制御する場合、光に感応しコレステリック液晶層の螺旋ピッチを変化させ得るカイラル剤(以下、「感光性カイラル剤」ともいう。)を含むことが好ましい。
感光性カイラル剤とは、光を吸収することにより構造が変化し、コレステリック液晶層の螺旋ピッチを変化させ得る化合物である。このような化合物としては、光異性化反応、光二量化反応、及び、光分解反応の少なくとも1つを起こす化合物が好ましい。
光異性化反応を起こす化合物とは、光の作用で立体異性化又は構造異性化を起こす化合物をいう。光異性化化合物としては、例えば、アゾベンゼン化合物、及び、スピロピラン化合物が挙げられる。
また、光二量化反応を起こす化合物とは、光の照射によって、二つの基の間に付加反応を起こして環化する化合物をいう。光二量化化合物としては、桂皮酸誘導体、クマリン誘導体、カルコン誘導体、及び、ベンゾフェノン誘導体が挙げられる。
また、上記光としては、特に制限されず、紫外光、可視光、及び、赤外光が挙げられる。
上記感光性カイラル剤としては、以下の下記式(CH1)で表されるカイラル剤が好ましい。下記式(CH1)で表されるカイラル剤は、光照射時の光量に応じてコレステリック液晶相の螺旋ピッチ(螺旋周期、ねじれ周期)等の配向構造を変化させ得る。
Figure 0007254693000008
式(CH1)中、ArCH1及びArCH2はそれぞれ独立に、アリール基又は複素芳香環基を表し、RCH1及びRCH2はそれぞれ独立に、水素原子又はシアノ基を表す。
式(CH1)におけるArCH1及びArCH2はそれぞれ独立に、アリール基であることが好ましい。
式(CH1)のArCH1及びArCH2におけるアリール基は、置換基を有していてもよく、総炭素数6~40であることが好ましく、総炭素数6~30であることがより好ましい。置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルボキシ基、シアノ基、又は、複素環基が好ましく、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、又は、アリールオキシカルボニル基がより好ましい。
式(CH1)におけるRCH1及びRCH2はそれぞれ独立に、水素原子であることが好ましい。
中でも、ArCH1及びArCH2としては、下記式(CH2)又は式(CH3)で表されるアリール基が好ましい。
Figure 0007254693000009
式(CH2)及び式(CH3)中、RCH3及びRCH4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルボキシ基、又は、シアノ基を表し、LCH1及びLCH2はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、又は、ヒドロキシ基を表し、nCH1は0~4の整数を表し、nCH2は0~6の整数を表し、*は式(CH1)におけるエチレン不飽和結合との結合位置を表す。
式(CH2)及び式(CH3)におけるRCH3及びRCH4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、又は、アシルオキシ基が好ましく、アルコキシ基、ヒドロキシ基、又は、アシルオキシ基がより好ましく、アルコキシ基が更に好ましい。
式(CH2)及び式(CH3)におけるLCH1及びLCH2はそれぞれ独立に、炭素数1~10のアルコキシ基、又は、ヒドロキシ基が好ましい。
式(CH2)におけるnCH1は、0又は1が好ましい。
式(CH3)におけるnCH2は、0又は1が好ましい。
式(CH1)のArCH1及びArCH2における複素芳香環基は、置換基を有していてもよく、総炭素数4~40が好ましく、総炭素数4~30がより好ましい。置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、又は、シアノ基が好ましく、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、又は、アシルオキシ基がより好ましい。
複素芳香環基としては、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、又は、ベンゾフラニル基が好ましく、ピリジル基、又は、ピリミジニル基がより好ましい。
カイラル剤は単独で使用してもよく、又は、それらの2つ以上の組合せを用いることも可能である。
カイラル剤の含有量は、使用する液晶化合物の構造や螺旋構造の所望のピッチに応じ適宜選択することができるが、コレステリック液晶層形成の容易性、及び、螺旋構造のピッチの調整容易性の点から、上記液晶組成物の全固形分に対して、1~20質量%が好ましく、2~15質量%がより好ましく、3~10質量%が更に好ましい。
また、カイラル剤として重合性基を有するカイラル剤を使用する場合、重合性基を有するカイラル剤の含有量は、上記液晶組成物の全固形分に対し、0.2~15質量%が好ましく、0.5~10質量%がより好ましく、1~8質量%が更に好ましく、1.5~5質量%が特に好ましい。
更に、カイラル剤として重合性基を有しないカイラル剤を使用する場合、重合性基を有しないカイラル剤の含有量は、上記液晶組成物の全固形分に対し、0.2~20質量%が好ましく、0.5~15質量%がより好ましく、1.5~10質量%が更に好ましい。
また、コレステリック液晶層におけるコレステリック液晶の螺旋構造のピッチ、並びに、後述する選択反射波長及びその範囲は、使用する液晶化合物の種類だけでなく、カイラル剤の含有量を調製することによっても、容易に変化させることができる。一概には言えないが、液晶組成物におけるカイラル剤の含有量が2倍になると、上記ピッチが1/2、及び、上記選択反射波長の中心値も1/2となる場合がある。
-重合開始剤-
上記液晶組成物は、重合開始剤を含むことが好ましく、光重合開始剤を含むことがより好ましい。
また、重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤、及び、カチオン重合開始剤が挙げられる。
重合開始剤としては、公知の重合開始剤を用いることができる。
また、重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であることが好ましい。
光重合開始剤としては、α-カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル化合物(米国特許第2448828号明細書記載)、α-炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp-アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジン化合物及びフェナジン化合物(特開昭60-105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)、及び、オキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)等が挙げられる。
また、光ラジカル重合開始剤としては、公知のものを用いることができる。
光ラジカル重合開始剤としては、α-ヒドロキシアルキルフェノン化合物、α-アミノアルキルフェノン化合物、及び、アシルホスフィンオキサイド化合物が挙げられる。
更に、光カチオン重合開始剤としては、公知のものを用いることができる。
光カチオン重合開始剤としては、ヨードニウム塩化合物、及び、スルホニウム塩化合物が挙げられる。
重合開始剤は単独で使用してもよく、又は、それらの2つ以上の組合せを用いることも可能である。
重合開始剤の含有量は、使用する液晶化合物の構造や螺旋構造の所望のピッチに応じ適宜選択することができるが、コレステリック液晶層形成の容易性、螺旋構造のピッチの調整容易性、重合速度、及び、コレステリック液晶層の強度の点から、上記液晶組成物の全固形分に対し、0.05~10質量%が好ましく、0.05~5質量%がより好ましく、0.1~2質量%が更に好ましく、0.2~1質量%が特に好ましい。
-架橋剤-
上記液晶化合物は、硬化後のコレステリック液晶層の強度向上及び耐久性向上のため、架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤としては、紫外線、熱、及び、湿気等で硬化するものが好適に使用できる。
架橋剤としては、特に制限されず、目的に応じて適宜選択できる。架橋剤としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及び、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、及び、エチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;2,2-ビスヒドロキシメチルブタノール-トリス[3-(1-アジリジニル)プロピオネート]、及び、4,4-ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等のアジリジン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、及び、ビウレット型イソシアネート等のイソシアネート化合物;オキサゾリン基を側鎖に有するポリオキサゾリン化合物;ビニルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物が挙げられる。
また、架橋剤の反応性に応じて公知の触媒を用いることができ、コレステリック液晶層の強度及び耐久性向上に加えて生産性を向上させることができる。
架橋剤は単独で使用してもよく、又は、それらの2つ以上の組合せを用いることも可能である。
架橋剤の含有量は、コレステリック液晶層の強度及び耐久性の点から、上記液晶組成物の全固形分に対し、1~20質量%が好ましく、3~15質量%がより好ましい。
-多官能重合性化合物-
上記液晶組成物は、官能重合性化合物を含むことが好ましく、同種の重合性基を有する多官能重合性化合物を含むことがより好ましい。
多官能重合性化合物としては、2つ以上のエチレン性不飽和基を有し、かつ環状エーテル基を有しない液晶化合物、2つ以上の環状エーテル基を有し、かつエチレン性不飽和基を有しない液晶化合物、及び、2つ以上のエチレン性不飽和基及び2つ以上の環状エーテル基を有する液晶化合物、2つ以上の重合性基を有するカイラル剤、並びに、上記架橋剤が挙げられる。
中でも、多官能重合性化合物としては、2つ以上のエチレン性不飽和基を有し、かつ環状エーテル基を有しない液晶化合物、2つ以上の環状エーテル基を有し、かつエチレン性不飽和基を有しない液晶化合物、及び、2つ以上の重合性基を有するカイラル剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含むことが好ましく、2つ以上の重合性基を有するカイラル剤を含むことがより好ましい。
多官能重合性化合物は単独で使用してもよく、又は、それらの2つ以上の組合せを用いることも可能である。
多官能重合性化合物の含有量は、成型後における反射率変化抑制の点から、上記液晶組成物の全固形分に対し、0.5~70質量%が好ましく、1~50質量%がより好ましく、1.5~20質量%が更に好ましく、2~10質量%が特に好ましい。
-その他の添加剤-
上記液晶組成物は、必要に応じて、上述した以外のその他の添加剤を含んでいてもよい。
その他の添加剤としては、公知の添加剤を用いることができ、界面活性剤、重合禁止剤、酸化防止剤、水平配向剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、着色剤、及び、金属酸化物粒子が挙げられる。
また、上記液晶組成物は、溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、有機溶媒が好ましい。
有機溶媒としては、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチルエチルケトン、及び、メチルイソブチルケトン等のケトン類、アルキルハライド類、アミド類、スルホキシド類、ヘテロ環化合物、炭化水素類、エステル類、並びに、エーテル類が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、又は、それらの2つ以上の組合せを用いることも可能である。
これらの中でも、環境への負荷を考慮した場合にはケトン類が好ましい。また、上述の成分が溶媒として機能していてもよい。
上記液晶組成物における溶媒の含有量は、特に制限されず、所望の塗布性が得られる溶媒の含有量に調整すればよい。
上記液晶組成物の全質量に対する固形分の含有量は、特に制限されないが、1~90質量%が好ましく、5~80質量%がより好ましく、10~80質量%が更に好ましい。
-液晶組成物の塗布及び硬化-
上記液晶組成物の塗布方法は特に制限されず、ロールコーティング法、グラビア印刷法、スピンコート法、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、及び、ダイコーティング法が挙げられる。また、インクジェット装置を用いて、上記液晶組成物をノズルから吐出して、塗布膜を形成することもできる。
その後、上記液晶組成物の硬化により、上記コレステリック液晶層を形成する。上記硬化により、上記液晶化合物を含む液晶化合物の分子の配向状態を維持して固定する。硬化は、液晶化合物、重合性化合物等が有するエチレン性不飽和基又は環状エーテル基等の重合性基の重合反応により実施することが好ましい。
上記溶媒を使用した場合、上記液晶組成物の塗布後であって、硬化のための重合反応前に、塗布膜は、公知の方法で乾燥することが好ましい。例えば、放置によって乾燥してもよく、加熱によって乾燥してもよい。
なお、必要に応じて、得られた塗布膜を加熱して、液晶化合物を配向させてもよい。
上記の方法で形成された液晶組成物の塗布膜を硬化することにより、コレステリック液晶層を形成する。硬化により、液晶化合物の分子の配向状態を維持して固定する。
硬化処理としては、光照射処理及び加熱処理が挙げられる。
露光の光源としては、光重合開始剤の種類に応じて適宜選択でき、可視光波長域の光(例えば、365nm及び405nm)を照射できる光源が好ましい。そのような光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯及びメタルハライドランプが挙げられる。
露光量としては、特に制限されないが、5~2,000mJ/cmが好ましく、10~1,000mJ/cmがより好ましい。
また、露光による硬化の際に、液晶化合物の配列を容易にするため、加熱することが好ましい。加熱温度としては、使用する液晶化合物及び液晶組成物の組成に応じて選択すればよいが、例えば、60~120℃が挙げられる。
上記コレステリック液晶層は、特定の波長域に選択反射性を有することが好ましい。
本明細書において、選択反射波長とは、対象となる物(部材)における透過率の極小値をTmin(%)とした場合、下記の式で表される半値透過率:T1/2(%)を示す2つの波長の平均値のことをいい、選択反射性を有するとは、選択反射波長を満たす特定の波長域を有することをいう。
半値透過率を求める式:T1/2=100-(100-Tmin)÷2
上記コレステリック液晶層における選択反射波長は、特に制限されず、例えば、可視光(380~780nm)及び近赤外光(780nmを超え2,000nm以下)のいずれの範囲にも設定することが可能である。
中でも、上記コレステリック液晶層は、近赤外光の少なくとも一部の波長域に選択反射性を有することが好ましい。
上記コレステリック液晶層の厚さは、耐傷性、反射性及び再帰反射性の点から、0.05~20μmが好ましく、0.3~15μmがより好ましく、0.5~9μmが更に好ましく、0.6~3μm以下が特に好ましい。
上記コレステリック液晶層を2層以上有する場合は、各反射層がそれぞれ独立に、上記厚さの範囲であることが好ましい。
(平板状金属粒子を含む層)
上記反射層は、反射性及び再帰反射性の点から、平板状金属粒子を含む層であることが好ましい。
平板状金属粒子としては、2つの主面からなる粒子であれば特に制限されず、目的に応じて適宜選択でき、例えば、三角形状及び六角形状等の多角形状、並びに、円形状が挙げられる。中でも、六角形状以上の多角形状又は円形状が好ましく、六角形状又は円形状がより好ましい。
本明細書中、円形状とは、後述する平板状金属粒子の平均円相当径の10%以下の凹凸を無視したときに、主面上において、平均円相当径の50%以上の長さを有する辺の個数が1個の平板状金属粒子当たり0個である形状のことをいう。円形状の平板状金属粒子としては、透過型電子顕微鏡(TEM:TransmissionElectronMicroscope)を用いて平板状金属粒子を主面の法線方向から観察した際に、外周に角が無く、丸い形状であれば特に制限されず、目的に応じて適宜選択できる。
本明細書中、六角形状とは、後述する平板状金属粒子の平均円相当径の10%以下の凹凸を無視したときに、主面上において、平均円相当径の20%以上の長さを有する辺の個数が1個の平板状金属粒子当たり6個である形状のことをいう。六角形状の平板状金属粒子としては、TEMで平板状金属粒子を主面の法線方向から観察した際に、六角形状を有する金属粒子であれば特に制限されず、目的に応じて適宜選択できる。六角形状の平板状金属粒子としては、その六角形状の角が鋭角のものでも、鈍角のものでもよいが、可視光域の吸収を軽減し得る点で、六角形状の角がいずれも鈍角であることが好ましい。鈍角の程度としては、特に制限されず、目的に応じて適宜選択できる。
平板状金属粒子の材料としては、特に制限されず、少なくとも、銀、金、アルミニウム、銅、ロジウム、ニッケル、又は白金を含むことが好ましく、少なくとも銀を含むことがより好ましい。
平板状金属粒子を含む層は、平板状金属粒子以外の他の金属粒子を含んでいてもよい。他の金属粒子の形状としては、粒状、立方体状、六面体状、八面体状、及びロッド状が挙げられる。他の金属粒子の材料としては、特に制限されず、目的に応じて適宜選択できるが、銀、金、アルミニウム、銅、ロジウム、ニッケル、又は白金が好ましく、銀がより好ましい。
平板状金属粒子を含む層において、平板状金属粒子の個数は、金属粒子の全個数に対して60個数%以上が好ましく、65個数%以上がより好ましく、70個数%以上が更に好ましい。上限は特に制限されないが、100個数%以下が好ましい。
上記の平板状金属粒子の個数の割合は、電子顕微鏡(例えば、TEM及びSEM)を用いて平板状金属粒子を含む層中の金属粒子を少なくとも200個観察して、平板状金属粒子の個数を計測し、金属粒子の全個数に対する割合を算出することにより得られる。
平板状金属粒子の平均粒子径(平均円相当径)は、特に制限されないが、10~500nmが好ましく、20~300nmがより好ましく、50~200nmが更に好ましい。
平均粒子径(平均円相当径)は、粒子の投影面積を電子顕微鏡写真上での面積を測定し、撮影倍率を補正する公知の方法により得ることができる。円相当径は、この方法により得られた個々の粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径で表される。任意に選んだ500個の平板状金属粒子の円相当径Dを算術平均することで、平均粒子径(平均円相当径)を求めることができる。
平板状金属粒子の厚みは、特に制限されないが、14nm以下が好ましく、5~14nmがより好ましく、5~12nmが更に好ましく、5~10nmが特に好ましい。
平板状金属粒子のアスペクト比は、特に制限されないが、6~40が好ましく、10~35がより好ましい。
アスペクト比は、平板状金属粒子の平均粒子径(平均円相当径)を平板状金属粒子の平均粒子厚みで除算した値を意味する。粒子厚みは、平板状金属粒子の主平面間距離に相当し、原子間力顕微鏡(AFM)やTEMにより測定することができる。
平板状金属粒子の合成方法は、特に制限されず、例えば、化学還元法、光化学還元法、及び、電気化学還元法等の液相法が挙げられる。これらの中でも、形状とサイズ制御性の点で、化学還元法、及び、光化学還元法が好ましい。
六角形~三角形状の平板状金属粒子を合成後、例えば、硝酸、亜硫酸ナトリウム等の銀を溶解する溶解種によるエッチング処理、加熱によるエージング処理等を行うことにより、六角形~三角形状の平板状金属粒子の角を鈍らせて、六角形状乃至円形状の平板状金属粒子を得てもよい。
平板状金属粒子を含む層は、ポリマーを含むことが好ましく、透明ポリマーを含むことがより好ましい。
ポリマーとしては、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、(飽和)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゼラチンやセルロース等の天然高分子が挙げられる。
平板状金属粒子を含む層に含まれる金属粒子に対するポリマーの含有量は、1~10000質量%が好ましく、10~1000質量%がより好ましく、20~500質量%が更に好ましい。
平板状金属粒子の主平面と、平板状金属粒子に最も近い凸凹構造の表面とのなす角が0°~±30°の範囲で面配向している平板状金属粒子は、全平板状金属粒子に対して、50個数%以上であることが好ましい。中でも、上記なす角が0~±20°の範囲で面配向している平板状金属粒子が、全平板状金属粒子に対して、50個数%以上であることが好ましく、上記なす角が0~±10°の範囲で面配向している平板状金属粒子が、全平板状金属粒子に対して、50個数%以上であることが特に好ましい。
図10は、平板状金属粒子の主平面(円相当径Dを決める面)と、平板状金属粒子に最も近い前述の凸凹構造の表面とのなす角(±θ)を説明する図である。図10は、基材14と平板状金属粒子を含む層である反射層16Aとの一部拡大図であり、平板状金属粒子22が反射層16A内で傾いて配置されており、平板状金属粒子22の主平面と、反射層16Aの凹凸構造の表面とのなす角をθとして示す。
平板状金属粒子の主平面から前述の平板状金属粒子に最も近い前述の凸凹構造の表面とは、平板状金属粒子の主平面から平板状金属粒子に最も近い前述の凸凹構造の表面に向けて下した垂線と直交する平面のことを言う。上述した、プリズム形状のように凸凹構造の表面が平面の場合は、前述の平板状金属粒子の主平面と、前述の平板状金属粒子に最も近い前述の凸凹構造の表面とのなす角は、平板状金属粒子の主平面から前述の平板状金属粒子に最も近い前述の凸凹構造の表面に向けて下した垂線の足を含む凸凹構造の表面となる。上述した、半球形状のように凸凹構造の表面が曲面の場合は、前述の平板状金属粒子の主平面と、前述の平板状金属粒子に最も近い前述の凸凹構造の表面とのなす角は、平板状金属粒子の主平面から前述の平板状金属粒子に最も近い前述の凸凹構造の表面に向けて下した垂線と凸凹構造の表面の接平面となる。
上記なす角の測定方法としては、ミクロトーム又は集束イオンビーム(FIB)を用いて積層体の断面サンプル又は断面切片サンプルを作製し、これを、各種顕微鏡(例えば、電界放射型走査電子顕微鏡(FE-SEM)、TEM等)を用いて観察して得た画像から評価する方法が挙げられる。
平板状金属粒子を含む層の厚みは特に制限されないが、5~120nmが好ましく、7~80nmがより好ましい。
(光学多層膜)
上記反射層は、光学多層膜(誘電体多層膜)であってもよい。
上記光学多層膜は、特定波長帯域(第1の波長帯域)の光を反射し特定波長帯域以外(第2の波長帯域)の光を透過させる光学多層膜を含む、波長選択反射層である。例えば、第1の屈折率層(低屈折率層)と、第1の屈折率層よりも高い屈折率を有する第2の屈折率層(高屈折率層)とを交互に複数積層してなる積層膜から形成される。又は、上記光学多層膜は、赤外光を選択的に反射する場合においては、赤外光領域で反射率の高い金属層と、可視光領域において屈折率が高く反射防止層として機能する光学透明層又は透明導電層とを、交互に積層してなる積層膜から形成される。
赤外光領域において反射率の高い金属層の材料としては、Au、Ag、Cu、Al、Ni、Cr、Ti、Pd、Co、Si、Ta、W、Mo、及び、Ge等の単体、並びに、これらの単体を2種以上含む合金が挙げられる。
また、金属層の材料として合金を用いる場合には、金属層の材料としては、AlCu、AlTi、AlCr、AlCo、AlNdCu、AlMgCu、AgBi、AgPdCu、AgPdTi、AgCuTi、AgPdCa、AgPdMg、及び、AgPdFeが挙げられる。
上記光学透明層は、酸化ニオブ、酸化タンタル、及び、酸化チタン等の高誘電体を主成分とすることが好ましい。
上記透明導電層の材料としては、酸化錫、酸化亜鉛、インジウムドープ酸化錫(ITO)、カーボンナノチューブ含有体、インジウムドープ酸化亜鉛、及び、アンチモンドープ酸化錫が挙げられる。上記以外にも、透明導電層としては、上記材料のナノ粒子、又は、金属等の導電性を持つ材料のナノ粒子、ナノロッド、もしくは、ナノワイヤーを樹脂中に高濃度に分散させた層が挙げられる。
なお、これらの光学透明層又は透明導電層は、Al及びGa等のドーパントを含んでいてもよい。例えば、ZnO系酸化物の場合、Ga及びAlをドープした酸化亜鉛(GAZO)、Alをドープした酸化亜鉛(AZO)、並びに、Gaをドープした酸化亜鉛(GZO)よりなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
また、積層膜に含まれる高屈折率層の屈折率は、1.7~2.6が好ましく、1.8~2.6がより好ましく、1.9~2.6が更に好ましい。これにより、クラックが発生しない程度の薄い膜で可視光領域での反射防止を実現できる。ここで、屈折率は、25℃、かつ波長550nmにおけるものである。
高屈折率層としては、金属の酸化物を主成分とする層が挙げられる。
金属の酸化物としては、層の応力を緩和し、クラックの発生を抑制する点から、酸化亜鉛以外の金属酸化物が好ましく、酸化ニオブ(例えば、五酸化ニオブ)、酸化タンタル(例えば、五酸化タンタル)、及び、酸化チタンよりなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
高屈折率層の厚さは、10~120nmが好ましく、10~100nmがより好ましく、10~80nmが更に好ましい。上記範囲であると、可視光の反射を抑制でき、透過率に優れ、クラックの発生が抑制される傾向がある。
光学多層膜は、無機材料からなる薄膜の多層膜に限定されるものではなく、高分子材料からなる薄膜や高分子中に粒子等を分散した層が積層された膜でもよい。
光学多層膜の形成方法としては、スパッタ法、及び、真空蒸着法等のドライプロセス、並びに、ディップコーティング法、及び、ダイコーティング法等のウェットプロセスが挙げられる。
(クロミック材料を含む層)
上記反射層は、クロミック材料を含む層であってもよい。
上記クロミック材料は、外部刺激により反射性能等が可逆的に変化する機能層であり、上記クロミック材料を含む層を単層又は複層で用いてもよいし、上述した積層膜、透明導電層と組み合わせて用いてもよい。
クロミック材料は、例えば、熱、光、及び、侵入分子等の外部刺激により構造を可逆的に変化させる材料である。
クロミック材料としては、フォトクロミック材料、サーモクロミック材料、ガスクロミック材料、及び、エレクトロクロミック材料が挙げられる。
積層体は、反射層を2層以上有していてもよい。
また、2層以上の各反射層はそれぞれ、組成が同じ層であっても、異なる層であってもよい。
<屈折率調整層>
積層体は、反射層上に屈折率調整層を有する。屈折率調整層は、反射層の表面形状の凹凸構造を埋めるように、反射層上に配置される。
屈折率調整層は、上述したように、基材との波長550nmにおける屈折率の差が0.20以下となる層である。
屈折率調整層を構成する材料は、基材との間の屈折率の差を満たす材料が適宜選択される。屈折率調整層に含まれる材料としては、樹脂が挙げられる。樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、及び、メラミン樹脂が挙げられる。
屈折率調整層は、上述した樹脂以外にも他の材料を含んでいてもよい。他の材料としては、屈折率調整層の屈折率の調整がしやすい点で、金属酸化物粒子が挙げられる。金属酸化物微粒子を構成する材料としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化インジウム、スズドープ酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及び、酸化アンチモンが挙げられる。
屈折率調整層の形成方法は特に制限されず、公知の方法が挙げられる。
例えば、モノマーを含む屈折率調整層形成用塗布液を塗布して、塗膜に対して硬化処理(例えば、光照射処理及び加熱処理)を施して、屈折率調整層を形成する方法、及び、樹脂を含む屈折率調整層形成用塗布液を塗布して、塗膜に乾燥処理を施して、屈折率調整層を形成する方法が挙げられる。
屈折率調整層の厚みは、上述したように、反射層の表面形状の凹凸構造を埋めるように、適宜選択される。中でも、屈折率調整層の厚みは、0.1~1000μmが好ましく、0.5~700μmがより好ましく、1~500μmが更に好ましい。
<接着層>
積層体は、屈折率調整層上に、接着層を有する。
接着層に含まれる材料は特に制限されず、粘着剤及び接着剤が挙げられる。
粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、及び、シリコーン系粘着剤が挙げられる。また、粘着剤としては、「剥離紙・剥離フィルム及び粘着テープの特性評価とその制御技術」、情報機構、2004年、第2章に記載のアクリル系粘着剤、紫外線(UV)硬化型粘着剤、及び、シリコーン粘着剤が挙げられる。なお、アクリル系粘着剤とは、(メタ)アクリルモノマーの重合体((メタ)アクリルポリマー)を含む粘着剤をいう。
粘着剤を用いる場合には、更に、粘着付与剤を併用してもよい。
接着剤としては、ウレタン樹脂接着剤、ポリエステル接着剤、(メタ)アクリル樹脂接着剤、エチレン酢酸ビニル樹脂接着剤、ポリビニルアルコール接着剤、ポリアミド接着剤、及び、シリコーン接着剤が挙げられる。接着強度がより高いという点から、ウレタン樹脂接着剤又はシリコーン接着剤が好ましい。
接着層の形成方法は、特に制限されず、仮支持体上に接着層が形成された転写フィルムを用いて、接着層と屈折率調整層とが接触するように貼り合わせて、仮支持体を剥離する方法、接着層を屈折率調整層上にラミネートする方法、接着層形成用塗布液を屈折率調整層上に塗布して接着層を形成する方法が挙げられる。
接着層の厚さは特に制限されず、15~150μmが好ましく、20~120μmがより好ましく、24~80μmが更に好ましい。
<その他の層>
上記積層体は、上述した層(保護層、基材、反射層、屈折率調整層、及び、接着層)以外の他の層を含んでいてもよい。
(紫外線吸収層)
積層体は、紫外線吸収剤を含む紫外線吸収層を有していてもよい。
紫外線吸収剤の種類は特に制限されず、上述した保護層で例示した紫外線吸収剤が挙げられる。
紫外線吸収層は、バインダーを含んでいてもよい。バインダーとしては、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、シロキサン樹脂、及び、フッ素樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましく、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、及び、オレフィン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種がより好ましく、(メタ)アクリル樹脂が更に好ましい。
(配向層)
積層体は反射層としてコレステリック液晶層を有する場合、積層体は、コレステリック液晶層に隣接して配置される配向層を有していてもよい。
配向層は、液晶化合物を含む層の形成の際、液晶組成物中の液晶化合物の分子を配向させるために用いられる。
配向層は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、SiO等の無機化合物の斜方蒸着、及び、マイクログルーブを有する層の形成等の手段で設けることができる。更に、配向層としては、電場の付与、磁場の付与、及び、光照射により配向機能が生じる配向層も挙げられる。
なお、積層体においては、基材に直接配向処理(例えば、ラビング処理)することで、配向層として機能させることもできる。そのような基材の一例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられる。
また、コレステリック液晶層の上に直接、コレステリック液晶層を積層する場合、下層のコレステリック液晶層が配向層として振舞い上層の作製のための液晶化合物を配向させることができる場合もある。このような場合、配向層を設けなくても、また、特別な配向処理(例えば、ラビング処理)を実施しなくても上層の液晶化合物を配向することができる。
配向層の厚さは、特に制限されず、0.01~10μmが好ましい。
以下、好ましい例として表面をラビング処理して用いられるラビング処理配向層及び光配向層を説明する。
ラビング処理配向層に用いることができるポリマーとしては、特開平8-338913号公報の段落0022に記載のメタクリレート系共重合体、スチレン系共重合体、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコール、ポリ(N-メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、並びに、ポリカーボネートが挙げられる。また、シランカップリング剤をポリマーとして用いることができる。
上記ポリマーとしては、水溶性ポリマー(例、ポリ(N-メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、又は、変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコール、又は、変性ポリビニルアルコールがより好ましく、ポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールが更に好ましい。
ラビング処理は、一般にはポリマーを主成分とする膜の表面を、紙又は布で一定方向に擦ることにより実施できる。ラビング処理の一般的な方法については、例えば、「液晶便覧」(丸善社発行、平成12年10月30日)に記載されている。
ラビング密度を変える方法としては、「液晶便覧」(丸善社発行)に記載されている方法を用いることができる。ラビング密度(L)は、下記式(A)で定量化されている。
式(A) L=Nl(1+2πrn/60v)
式(A)中、Nはラビング回数、lはラビングローラーの接触長、rはローラーの半径、nはローラーの回転数(rpm、revolutions per minute)、vはステージ移動速度(秒速)である。
ラビング密度を高くするためには、ラビング回数を増やす、ラビングローラーの接触長を長く、ローラーの半径を大きく、ローラーの回転数を大きく、ステージ移動速度を遅くすればよく、一方、ラビング密度を低くするためには、この逆にすればよい。また、ラビング処理の際の条件としては、特許第4052558号公報の記載を参照することもできる。
光照射により形成される光配向層に用いられる光配向材料としては、多数の文献等に記載がある。例えば、特開2006-285197号公報、特開2007-76839号公報、特開2007-138138号公報、特開2007-094071号公報、特開2007-121721号公報、特開2007-140465号公報、特開2007-156439号公報、特開2007-133184号公報、特開2009-109831号公報、特許第3883848号公報、及び、特許第4151746号公報に記載のアゾ化合物、特開2002-229039号公報に記載の芳香族エステル化合物、特開2002-265541号公報、及び、特開2002-317013号公報に記載の光配向性単位を有するマレイミド及び/又はアルケニル置換ナジイミド化合物、特許第4205195号、及び、特許第4205198号公報に記載の光架橋性シラン誘導体、特表2003-520878号公報、特表2004-529220号公報、及び、特許第4162850号公報に記載の光架橋性ポリイミド、光架橋性ポリアミド、又は、光架橋性ポリエステルが挙げられる。
中でも、アゾ化合物、光架橋性ポリイミド、光架橋性ポリアミド、又は、光架橋性ポリエステルが好ましい。
上記材料から形成した光配向層に、直線偏光又は非偏光照射を施し、光配向層を製造する。
本明細書において、「直線偏光照射」とは、光配向材料に光反応を生じせしめるための操作である。直線偏光照射に用いる光の波長は、用いる光配向材料により異なり、その光反応に必要な波長であれば特に制限されない。中でも、光照射に用いる光のピーク波長が200~700nmが好ましく、光のピーク波長が400nm以下の紫外光がより好ましい。
光照射に用いる光源は、公知の光源を用いることができる。例えば、タングステンランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、キセノンフラッシュランプ、水銀ランプ、水銀キセノンランプ、及び、カーボンアークランプ等のランプ、各種のレーザー(例、半導体レーザー、ヘリウムネオンレーザー、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムカドミウムレーザー、YAGレーザー)、発光ダイオード、並びに、陰極線管が挙げられる。
直線偏光を得る手段としては、偏光板(例、ヨウ素偏光板、二色色素偏光板、及び、ワイヤーグリッド偏光板)を用いる方法、プリズム系素子(例、グラントムソンプリズム)、ブリュースター角を利用した反射型偏光子を用いる方法、又は、偏光を有するレーザー光源から出射される光を用いる方法が挙げられる。また、フィルター又は波長変換素子等を用いて必要とする波長の光のみを選択的に照射してもよい。
照射する光は、直線偏光の場合、光配向層に対して上面又は裏面から光配向層表面に対して垂直、又は、斜めから光を照射する方法が例示される。光の入射角度は、光配向材料によって異なるが、光配向層に対して、0~90°(垂直)が好ましく、40~90°がより好ましい。
非偏光を利用する場合には、斜めから非偏光を照射する。その入射角度は、10~80°が好ましく、20~60°がより好ましく、30~50°が更に好ましい。
照射時間は、1~60分間が好ましく、1~10分間がより好ましい。
本開示に係る積層体は、上述した以外のその他の層を有していてもよい。
その他の層としては、例えば、加飾フィルム等の積層体において公知の層である、自己修復層、帯電防止層、防汚層、防電磁波層、及び、導電性層が挙げられる。
<積層体の製造方法>
積層体の製造方法は、特に制限はなく、公知の方法を用いることができ、また、上述した各層の形成方法により好適に製造することができる。
例えば、基材上に保護層を形成した後、保護層側とは反対側の表面に、反射層、屈折率調整層、及び、接着層を順次形成する方法が挙げられる。
なお、上述したように、基材の一方の表面に所定の凹凸構造を形成するためには、予め凹凸構造に対応する形状が形成された型を用いて、型を転写する方法が挙げられる。より具体的には、基材上に保護層形成用塗布液の塗布膜を形成した後、塗布膜が形成された側とは反対側の表面に反射層を形成して、反射層が形成された面に上記予め凹凸構造に対応する形状が形成された型を用いて、基材の一方の表面及び反射層に凹凸構造を転写する。その後、反射層上に、屈折率調整層及び接着層を形成し、更に、基材上の塗布層に対して硬化処理を施して、保護層を形成して、積層体を形成する方法が挙げられる。
また、保護層形成用塗布液に硬化性成分が含まれる場合、保護層形成用塗布液を基材上に塗布した後、塗布膜に硬化処理を施してもよいし、各種層を形成し、最後に、保護層形成用塗布液の塗布膜に対して硬化処理を施してもよい。
上記積層体は、必要に応じて、公知の方法により所定の形状に成型されてもよい。なお、上記成型としては、立体成型、及び、インサート成型よりなる群から選ばれた少なくとも1種の成型が好適である。
上記のようにして得られた積層体の用途としては、特に制限はなく、種々の物品に用いることができるが、自動車の内外装、電気製品の内外装、及び、包装容器等が特に好適に挙げられる。中でも、自動車内外装部材が好ましく、自動車外装部材がより好ましい。
以下、実施例により本開示を詳細に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。なお、本実施例において、「%」、「部」とは、特に断りのない限り、それぞれ「質量%」、「質量部」を意味する。
<製造例1:金属粒子含有層用塗布液の調製>
(銀平板粒子分散液Aの調製)
高Cr-Ni-Moステンレス鋼(NTKR-4、日本金属工業(株)製)製の反応容器にイオン交換水13Lを計量した。SUS316L製のシャフトにNTKR-4製のプロペラ4枚及びNTKR-4製のパドル4枚を取り付けた撹拌機を備えるチャンバーを用いて撹拌しながら、反応容器に10g/Lのクエン酸三ナトリウム(無水物)水溶液1.0Lを添加して、35℃に液温を保持した。上記溶液に8.0g/Lのポリスチレンスルホン酸水溶液0.68Lを添加し、更に、0.04mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いて濃度を23g/Lに調整した水素化ホウ素ナトリウム水溶液0.041Lを、上記溶液に添加した。反応容器中の上記溶液に、0.10g/Lの硝酸銀水溶液13Lを5.0L/minで添加し、種溶液を調製した。
上記種溶液に、10g/Lのクエン酸三ナトリウム(無水物)水溶液1.0Lとイオン交換水11Lを添加して、更に80g/Lのヒドロキノンスルホン酸カリウム水溶液0.68Lを添加した。撹拌の速度を800rpm(round per minutes)に上げて、0.10g/Lの硝酸銀水溶液8.1Lを0.95L/minで反応容器に添加した後、30℃に降温した。
44g/Lのメチルヒドロキノン水溶液8.0Lを反応容器に添加し、次いで、後述する40℃のゼラチン水溶液の全量を反応容器に添加した。撹拌の速度を1,200rpmに上げて、後述する亜硫酸銀白色沈澱物混合液の全量を反応容器に添加した。
調製液のpH変化が止まった段階で、調製液に1mol/Lの水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液5.0Lを0.33L/minで添加した。その後、2.0g/Lの1-(m-スルホフェニル)-5-メルカプトテトラゾールナトリウム水溶液(NaOHとクエン酸(無水物)とを用いてpH=7.0±1.0に調節して溶解した。)0.18Lを添加して、更に70g/Lの1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン(NaOHで水溶液をアルカリ性に調節して溶解した。)0.078Lを調製液に添加し、銀平板粒子分散液Aを調製した。
(ゼラチン水溶液の調製)
SUS316L(オーステナイト系ステンレス鋼)製の溶解タンクにイオン交換水16.7Lを計量した。SUS316L製の撹拌機で低速撹拌を行いながら、脱イオン処理を施したアルカリ処理牛骨ゼラチン(GPCによる重量平均分子量:20万)1.4kgを上記溶解タンクに添加した。更に、脱イオン処理、蛋白質分解酵素処理、及び過酸化水素による酸化処理を施したアルカリ処理牛骨ゼラチン(GPCによる重量平均分子量:2.1万)0.91kgを上記溶解タンクに添加した。その後、40℃に昇温し、ゼラチンの膨潤と溶解を同時に行って完全に溶解させ、ゼラチン水溶液を調製した。
(亜硫酸銀白色沈澱物混合液の調製)
SUS316L製の溶解タンクにイオン交換水8.2Lを計量し、100g/Lの硝酸銀水溶液8.2Lを上記溶解タンクに添加した。SUS316L製の撹拌機で高速撹拌を行いながら、140g/Lの亜硫酸ナトリウム水溶液2.7Lを短時間で上記溶液に添加して、亜硫酸銀の白色沈澱物を含む混合液を調製した。この混合液は、使用する直前に調製した。
銀平板粒子分散液Aをイオン交換水で希釈し、分光光度計((株)日立製作所製U-3500)を用いて分光吸収を測定したところ、吸収ピーク波長は900nmであり、半値全幅は270nmであった。
銀平板粒子分散液Aの物理特性は、25℃においてpH=9.4(アズワン(株)製KR5Eで測定)、電気伝導度8.1mS/cm(東亜ディーケーケー(株)製CM-25Rで測定)、粘度2.1mPa・s((株)エー・アンド・デイ製SV-10で測定)であった。得られた銀平板粒子分散液Aは、ユニオンコンテナーII型(低密度ポリエチレン製、販売元:アズワン(株))の20Lの容器に収納し、30℃で貯蔵した。
(銀平板粒子分散液Bの調製)
上記の銀平板粒子分散液Aを遠沈管(遠心分離機用容器)に800g採取し、1N(mol/L)のNaOH及び/又は1N(mol/L)の硫酸を用いて、上記分散液Aの25℃におけるpHが9.2±0.2になるように調整した。遠心分離機(himacCR22GIII、アングルローターR9A、日立工機(株)製)を用いて、35℃に設定して9,000rpm、60分間の遠心分離操作を行った後、上澄液を784g捨てた。沈澱した平板粒子に0.2mmol/LのNaOH水溶液を加えて合計400gとし、撹拌棒を用いて撹拌して粗分散液を調製した。これと同様の操作で遠沈管24本分の粗分散液を調製して、合計9,600gの粗分散液をSUS316L製のタンクに添加して混合した。更に、ノニオン界面活性剤(BASF社製「Pluronic31R1」)の10g/L溶液(メタノール:イオン交換水=1:1(体積比)の混合液で希釈)10mlをタンクに添加した。オートミキサー20型(プライミクス(株)製、撹拌部はホモミキサーMARK II)を用いて、タンク中の粗分散液混合物に9,000rpmで120分間のバッチ式分散処理を施した。分散中の粗分散液混合物の液温は50℃に保持した。次に、得られた分散液を25℃に降温してから、プロファイルIIフィルター(日本ポール(株)製、製品型式MCY1001Y030H13)を用いてシングルパスの濾過を行った。
このようにして、銀平板粒子分散液Aに脱塩処理及び再分散処理を施して、銀平板粒子分散液Bを調製した。
銀平板粒子分散液Bの分光透過率を、銀平板粒子分散液Aと同様の方法で測定したところ、吸収ピーク波長及び半値幅は銀平板粒子分散液Aとほぼ同じ結果であった。
銀平板粒子分散液Bの物理特性は、25℃においてpH=7.6、電気伝導度0.37mS/cm、粘度1.1mPa・sであった。得られた銀平板粒子分散液Bは、ユニオンコンテナーII型の20Lの容器に収納し、30℃で貯蔵した。
(平板状金属粒子の評価)
銀平板粒子分散液Aの中には、六角形状乃至円形状及び三角形状の平板状金属粒子が生成していることを銀平板粒子分散液AのTEM観察により得られた像を用いて確認した。また、六角形状乃至円形状の平板状金属粒子の個数を、銀平板粒子分散液Aを観察したSEM画像から任意に抽出した200個の平板状金属粒子の形状をもとに、六角形状乃至円形状の平板状金属粒子をA、三角形状の平板状金属粒子をBとして画像解析を行い、Aに当たる六角形状乃至円形状の平板状金属粒子の個数の割合(個数%)を求めた。その結果、全平板状金属粒子(六角形状乃至円形状の平板状金属粒子及び三角形状の平板状金属粒子)の個数に対して、80個数%以上であった。
銀平板粒子分散液AのTEM観察により得られた像を、画像処理ソフトImageJに取り込み、画像処理を施した。数視野のTEM像から任意に抽出した500個の粒子に関して画像解析を行い、同面積円相当直径を算出した。これらの母集団に基づき統計処理した結果、平均直径は120nmであった。
レーザー回折・散乱式の粒子径・粒度分布測定装置マイクロトラックMT3300II(日機装(株)製、粒子透過性は反射に設定)を用いて銀平板粒子分散液Aを測定して、平均粒径(体積加重)51nmの結果を得た。
銀平板粒子分散液Bを同様に測定したところ、平板状金属粒子の全金属粒子に対する割合、平板状金属粒子の粒度分布及び形状は、銀平板粒子分散液Aにおける平板状金属粒子の全金属粒子に対する割合、平板状金属粒子の粒度分布及び形状とほぼ同じ結果を得た。
銀平板粒子分散液Bをシリコン基板上に滴下して乾燥し、銀平板粒子の個々の厚みをFIB-TEM法により測定した。銀平板粒子分散液B中の銀平板粒子10個を測定して平均厚みは8nmであった。
(金属粒子含有層形成用塗布液の調製)
下記に示す組成を有する金属粒子含有層形成用塗布液を調製した。
・水性ウレタン樹脂:ハイドランHW350(DIC(株)製、固形分30質量%):0.27質量部
・銀平板粒子分散液B:17.85質量部
・1-(メチルウレイドフェニル)-5-メルカプトテトラゾール(和光純薬工業(株)製、固形分2質量%のアルカリ性水溶液を調製):0.61質量部
・界面活性剤A(リパール870P(ライオン(株)製、固形分1質量%イオン交換水希釈)):0.96質量部
・界面活性剤B(ナロアクティーCL-95(三洋化成工業(株)製、固形分1質量%イオン交換水希釈)):1.19質量部
・メタノール:30.00質量部
・蒸留水:49.12質量部
<製造例2:配向層形成用塗布液の調製>
下記に示す組成を有する配向層形成用塗布液を調製した。
・下記式で表される変性ポリビニルアルコール(下記式中の各構成単位の右下の数字は、モル比を表す。):28質量部
・クエン酸エステル(AS3、三共化学(株)製):1.2質量部
・光重合開始剤(IRGACURE 2959、BASF社製):0.84質量部
・グルタルアルデヒド:2.8質量部
・水:699質量部
・メタノール:226質量部
Figure 0007254693000010
<製造例3:コレステリック液晶層形成用塗布液の調製>
下記に示す組成を有するコレステリック液晶層形成用塗布液を調製した。
・メチルエチルケトン:150.6質量部
・液晶化合物1(棒状液晶化合物):100.0質量部
・光重合開始剤A(IRGACURE 907、BASF社製):0.50質量部
・カイラル剤A:4.00質量部
・下記界面活性剤F1:0.027質量部
液晶化合物1(単官能):下記棒状液晶化合物。なお、ラジカル重合系の場合、オキセタニル基(カチオン重合性官能基)がついていても、アクリロキシ基(ラジカル重合性基)が1つのみ有するため、単官能と定義する。カチオン重合系であっても同様である。
Figure 0007254693000011
カイラル剤A(2官能):下記化合物
Figure 0007254693000012
界面活性剤F1:下記化合物
Figure 0007254693000013
<製造例4:保護層形成用塗布液の調製>
メタクリル酸メチル75質量部と、メタクリル酸グリシジル88質量部とをラジカル重合開始剤V-601(2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、富士フイルム和光純薬(株)製)を用いて共重合させた。得られたポリマー50質量部を、テトラエチルアンモニウムクロリド存在下、19.2質量部のアクリル酸と反応させることで、アクリレート変性アクリル樹脂Aを得た。重量平均分子量は、20,000であった。アクリレート官能量(メタクリル酸グリシジル由来の構成単位にアクリル酸が反応してなるアクリロキシ基を有する構成単位の樹脂全体に対する量)は、30質量%であった。
下記素材を25℃で24時間撹拌し混合することにより、アクリレート変性シロキサンオリゴマーの加水分解物1を得た。
-組成-
・アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製):15.0質量部
・メチルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製):6.0質量部
・エタノール(富士フイルム和光純薬(株)製):17.5質量部
・酢酸(富士フイルム和光純薬(株)製):3.6質量部
・水:11.7質量部
更に、下記を25℃で24時間撹拌し混合することにより、保護層形成用塗布液を得た。
・加水分解物1:8.0質量部
・エタノール:8.0質量部
・アクリレート変性アクリル樹脂A(重量平均分子量=20,000):11質量部
・紫外線(UV)吸収剤(Tinuvin479-DW、BASF社製、固形分40質量%):1質量部
・アクリル樹脂(メタクリル酸メチル(MMA)/メタクリル酸(MAA)=60/40(質量比)、アルドリッチ社製、Mn=32,000):6質量部
・IRGACURE 127(光ラジカル重合開始剤、BASF社製):0.1質量部
・F-553(DIC(株)製フッ素系界面活性剤):0.02質量部
<製造例4:屈折率調整層形成用塗布液1の調製>
下記に示す組成を有する屈折率調整層形成用塗布液1を調製した。
・アクリルポリマー水分散物(AS-563A(ダイセルファインケム(株)製、固形分27.5質量%)):20質量部
・架橋剤(カルボジライトV-02-L2(日清紡ケミカル(株)製、固形分濃度20質量%蒸留水希釈)):0.46質量部
・界面活性剤A(リパール870P(ライオン(株)製、固形分1質量%蒸留水希釈)):0.63質量部
・界面活性剤B(ナロアクティーCL-95(三洋化成工業(株)製、固形分1質量%蒸留水希釈)):0.87質量部
・ウレタンポリマー水溶液(オレスターUD350(三井化学(株)製、固形分38質量%)):0.13質量部
・蒸留水:77.91質量部
<製造例5:屈折率調整層形成用塗布液2の調製>
屈折率調整層形成用塗布液1に酸化チタン分散液(日産化学(株)製、スノーテックスST-50-T)を0.17質量部加えて、屈折率調整層形成用塗布液2を調製した。
<製造例6:屈折率調整層形成用塗布液3の調製>
屈折率調整層形成用塗布液1に酸化チタン分散液(日産化学(株)製、スノーテックスST-50-T)を3.07質量部加えて、屈折率調整層形成用塗布液3を調製した。
<製造例7:屈折率調整層形成用塗布液4の調製>
屈折率調整層形成用塗布液1に酸化チタン分散液(日産化学(株)製、スノーテックスST-50-T)を7.24質量部加えて、屈折率調整層形成用塗布液4を調製した。
<実施例1>
アクリル樹脂基材(住友化学社、テクノロイS001G)の片面上に、ワイヤーバーコーターを用いて保護層形成用塗布液を塗布して、塗膜を120℃で2分間乾燥することにより、厚み15μmの塗布膜を形成した。次に、UV露光装置(GSユアサ社、窒素パージUV照射機、メタルハライドランプ、出力120W/cm)を用いて、得られた塗布膜に対して1,000mJ/cmの積算露光量を与えることで、保護層を得た。
上記アクリル樹脂基材の保護層側とは反対側の表面上に、ワイヤーバーを用いて、金属粒子含有層形成用塗布液を10.6ml/mとなるように塗布し、塗膜に対して80℃で乾燥処理を施して、平板状金属粒子を含む層(以下、単に「金属粒子含有層」ともいう。)を設けた。塗布乾燥後の金属粒子含有層の膜厚は、20nmであった。
アクリル樹脂基材の金属粒子含有層側に、図2及び図3に示すような、半球形状の凸部の深さが25μmである型をあてて、ホットプレス機(ミニテストプレスMP-SNL(株)東洋精機社製)を使用して、140℃、10MPaでホットプレスすることにより、アクリル樹脂基材の一方の表面側に凹凸構造を有するアクリル樹脂基材と、凹凸構造に追従して配置された金属粒子含有層とを有する積層体を得た。
なお、平板状金属粒子の主平面と、平板状金属粒子に最も近い凸凹構造の表面とのなす角が0°~±30°の範囲で面配向している平板状金属粒子の全平板状金属粒子に対する割合は、95個数%であった。
次に、得られた積層体の金属粒子含有層側に、ワイヤーバーを用いて凸凹構造が埋まるように屈折率調整層形成用塗布液1を塗布し、塗膜に対して80℃で乾燥処理を施して、屈折率調整層1を設けた。屈折率調整層1とアクリル樹脂基材との屈折率差は、0.01であった。
次に、屈折率調整層1上に、コンマコーターを用いてアクリル系粘着剤液(綜研化学社、SKダインSG-50Y)で塗布し、塗膜を120℃で2分間乾燥することで、層厚25μmの接着層を形成した。
<実施例2>
金属粒子含有層を用いる代わりに、後述する(コレステリック液晶層の形成方法)を実施して形成されるコレステリック液晶層を用い、図2及び図3に示すような、半球形状の凸部の深さが25μmである型の代わりに、図6及び図7に示すような、コーナーキューブ型の型(深さ:100μm)を用い、更に、屈折率調整層形成用塗布液1の代わりに屈折率調整層形成用塗布液3を用いた以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体2を得た。
(コレステリック液晶層の形成方法)
実施例1の手順によって得られるアクリル樹脂基材の保護層側とは反対側の表面上に、ワイヤーバーを用いて配向層形成用塗布液と塗布して、塗膜を100℃で120秒間乾燥して、層厚1.5μmの配向層を形成した。
次に、配向膜上に、短辺方向を基準に反時計回りに31.5°回転させた方向にラビング処理(レーヨン布、圧力:0.1kgf(0.98N)、回転数:1,000rpm、搬送速度:10m/min、回数:1往復)を施した。
上記作製したラビング処理された配向層の表面に、ワイヤーバーコーターを用いて調製したコレステリック液晶層形成用塗布液を塗布して、塗布膜を85℃で120秒間乾燥した。更に、UV露光装置(GSユアサ社、窒素パージUV照射機、メタルハライドランプ、出力120W/cm)を用いて、塗布膜の温度を80℃に保持して、塗布膜に対して500mJ/cmの積算露光量を与えることで、硬化させて、コレステリック液晶層を得た。
<実施例3>
コーナーキューブ型の代わりに、図2及び図3に示すような、半球形状の凸部の深さが25μmである型を用い、更に、屈折率調整層形成用塗布液3の代わりに屈折率調整層形成用塗布液2を用いた以外は、実施例2と同様の手順に従って、積層体2を得た。
<実施例4>
屈折率調整層形成用塗布液1の代わりに保護層形成用塗布液を用いた以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体4を得た。
<実施例5>
コレステリック液晶層を用いる代わりに、後述する(誘電体多層膜の形成方法)を実施して形成される誘電体多層膜を用い、図2及び図3に示すような、半球形状の凸部の深さが25μmである型の代わりに、図6及び図7に示すような、コーナーキューブ型の型(深さ:100μm)を用いた以外は、実施例と同様の手順に従って、積層体5を得た。
(誘電体多層膜の形成方法)
実施例1の手順によって得られるアクリル樹脂基材の保護層側とは反対側の表面上に、スパッタ法によりNb(115nm)、SiO(175nm)、Nb(115nm)、SiO(175nm)、及び、Nb(115nm)を順次成膜して、誘電体多層膜を形成した。
<実施例6>
半球形状の凸部の深さが25μmである型の代わりに、図8及び図9に示すような、ピラミッド型プリズム形状の型を用いた以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体6を得た。
<比較例1>
屈折率調整層形成用塗布液1の代わりに屈折率調整層形成用塗布液4を用いた以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体C1を得た。
<比較例2>
金属粒子含有層を設けなかった以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体C2を得た。
<比較例3>
保護層を設けなった以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体C3を得た。
<評価>
(再帰反射率)
得られた積層体の表面の法線方向から45°傾いた方向から波長850~950nmの光を入射したときに、光の入射方向へ反射する光の強度(Is)を測定した。
上記積層体の代わりに、硫酸バリウム製の白色拡散板を用いて、上記と同様の測定を行い、強度(Ii)を測定した。
各波長での再帰反射率(%)を、Is/Ii×100と定義して、算出する。各波長での再帰反射率の値のうち、最大値を選択した。
なお、上記測定においては、より具体的には、光源(OceanOptics社製、HL-2000-HP-FHSA)から光ファイバー(OceanOptics社製、VIS/NIR 200μm Q/BIF)を通して積層体に光を照射し、同じ角度で反射した光を再び光ファイバーで検出器(浜松ホトニクス社製、Photonic Multi-Channel Analyzer C7473-36)に導き、光量を測定した。
(LiDAR検出)
まず、LiDARセンサーとして、triMATIZ社製のLiDARキット905nmタイプを用意した。
次に、得られた積層体から、1.4cm四方の測定サンプル1、及び、縦1.4cm、横2.0cmの測定サンプル2を切り出した。
LiDARセンサーと測定サンプル1とを5m離して配置した。その際、LiDARから出射される光が、測定サンプル1の表面の法線方向から、測定サンプル1に入射されるように、LiDARセンサーを配置した。この状態でスキャンし、LiDARセンサーで測定サンプル1が検出できるか否かの測定を10回行い、以下の基準に従って評価した。
また、LiDARセンサーと測定サンプル2とを5m離して配置した。その際、LiDARから出射される光が、測定サンプル2の表面の法線方向から45°傾いた方向から、測定サンプル2に入射されるように、LiDARセンサーを配置した。この状態でスキャンし、LiDARセンサーで測定サンプル2が検出できるか否かの測定を10回行い、以下の基準に従って評価した。
A:10回測定して10回検出できる。
B:10回測定して1~9回以上検出できる。
C:10回測定して検出できない。
(弾性率)
各層の弾性率の測定方法は、ダイナミック超微小硬度計(DUH-201S、(株)島津製作所製)を用いて、各層の弾性率を測定した。なお、各層の測定に際しては、保護層及び接着層については、各層の表面に対して上記測定を実施した。また、それ以外の層に対しては、積層体を切断した断面に対して行うか、切削等により測定する層を露出させて測定を行った。
測定の条件は、以下の通りとする。
・圧子の種類:Vickers
・試験モード:負荷-除荷試験
・試験力:40mN
・負荷速度:1.3239mN/sec
・保持時間:5sec
(光学特性)
得られた積層体の各波長域における反射率及び透過率は、紫外線可視近赤外分析光度計(島津製作所製、UV-3100PC)で測定した。
(ヘイズ)
得られた積層体のヘイズは、日本電色工業社のNDH5000で測定した。
(耐傷性)
得られた積層体から厚さ7cm、幅5cmの試験片を切り出し、試験片の表面の反射率(以下、単に「試験前の反射率」ともいう。)を、上記反射特性評価と同様な方法により測定した。
次に、得られた試験片の保護層側の表面に対して、グラベロメーター(スガ試験機(株)製、JA-400S型)を用い、試験温度0℃の環境下、圧力0.3MPaで7号砕石100gを衝突させた。その後、試験片の表面の反射率(以下、単に「試験後の反射率」ともいう。)を、上記反射特性評価と同様な方法により測定した。
次に、試験前の反射率に対する、試験前の反射率と試験後の反射率との差の絶対値の割合(%)[{(試験前の反射率-試験後の反射率)/(試験前の反射率)}×100]を求めて、以下の基準に基づいて、積層体の耐傷性について評価した。
A:反射率の低下が、試験前の30%未満
B:反射率の低下が、試験前の30%以上50%未満
C:反射率の低下が、試験前の50%以上
屈折率調整層の屈折率は、Si基板上に厚み200~800nmの範囲の屈折率調整層を形成し、エリプソメーター(日本分光社製、M150)で屈折率調整層の波長550nmの屈折率を測定した。
基材(アクリル樹脂基材)の屈折率は、基材を溶媒に溶解させて得られた溶液を、Si基板上にスピンコートして、厚み200~800nmの範囲の屈折率測定用膜を形成し、エリプソメーター(日本分光社製、M150)で屈折率測定用膜(基材)の波長550nmの屈折率を測定した。
表1中、「R/T」欄の「500~600nm」欄は、波長500~600nmの領域における各波長での透過率に対する反射率の比を測定した際の比の最大値を表す。
表1中、「850~950nm」欄は、波長850~950nmの領域における各波長での透過率に対する反射率の比を測定した際の比の最大値を表す。
表1中、「屈折率差」は、基材と屈折率調整層との波長550nmにおける屈折率の差を表す。
表1中、「反射層」欄において、「粒子層」は平板状金属粒子を含む層を表し、「CL層」はコレステリック液晶層を表す。
表1中、「透過率@550nm」欄は、波長550nmにおける積層体の透過率を表す。
表1中、「反射率@905nm」欄は、波長905nmにおける積層体の反射率を表す。
Figure 0007254693000014
表1に示すように、本発明の積層体であれば、所望の効果が得られた。
10 積層体
12 保護層
14 基材
16,16A 反射層
18 屈折率調整層
20 接着層
22 平板状金属粒子

Claims (5)

  1. 保護層と、
    前記保護層側とは反対側の表面に凹凸構造を有する基材と、
    前記基材の前記凹凸構造を有する表面上に配置され、前記凹凸構造に追従した凹凸構造の表面形状を有する反射層と、
    前記反射層上に配置され、前記反射層の前記凹凸構造を埋める屈折率調整層と、
    接着層と、をこの順に有し、
    前記基材と前記屈折率調整層との波長550nmにおける屈折率の差が0.20以下であり、
    波長500~600nmの領域における各波長での透過率に対する反射率の比を測定した際の前記比の最大値が0.20以下であり、
    波長850~950nmの領域における各波長での透過率に対する反射率の比を測定した際の前記比の最大値が0.40以上である、積層体であって、
    前記保護層の弾性率をE1、前記基材の弾性率をE2、前記屈折率調整層の弾性率をE3、及び、前記接着層の弾性率をE4とした場合、以下の式(1)及び式(2)の関係を満たし、
    前記保護層の弾性率E1は、3~15GPaであり、
    前記基材の弾性率E2は、0.3~5GPaであり、
    前記屈折率調整層の弾性率E3は、0.3~1GPaであり、
    前記接着層の弾性率E4は、0.0002GPa~0.01GPaであり、
    前記保護層の厚みは、1~25μmである、積層体。
    式(1) E1>E2>E4
    式(2) E1>E3>E4
  2. 前記反射層が、コレステリック液晶層、及び、平板状銀粒子を含む層からなる群から選択される層である、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記凹凸構造が、コーナーキューブ形状、ピラミッド形状、又は、半球形状である、請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記凹凸構造の深さが、1μm以上である、請求項1~のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 前記積層体の法線方向から45°傾いた方向から波長850~950nmの光を入射させた際の各波長での再帰反射率のうちの最大値が10%以上である、請求項1~のいずれか1項に記載の積層体。
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