JP7253954B2 - 加熱調理方法及び加工食品 - Google Patents
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Description
80℃以上の溶媒中でチロシンを含有する食材を茹でることにより当該チロシンを含有する食材からチロシンを抽出するチロシン抽出工程と、
70℃以下の溶媒中でチロシナーゼを含有する食材を茹でることにより当該チロシナーゼを含有する食材からチロシナーゼを抽出するチロシナーゼ抽出工程と、
前記チロシン抽出工程で抽出した前記チロシンを含む溶媒と、前記チロシナーゼ抽出工程で抽出した前記チロシナーゼを含む溶媒とを混ぜ合わせて、反応時間の当初から10~60℃の範囲内の温度条件を10~25分の範囲内で維持して反応させる反応工程とを実施する点にある。
シンを抽出するとともに、チロシナーゼ抽出工程において、チロシナーゼを含有する食材
からチロシナーゼを抽出する。その後、反応工程において、抽出したチロシンとチロシナ
ーゼとを反応させることで、L-DOPAが生成する。
このように、チロシンを含有する食材とチロシナーゼを含有する食材とを調理に用い、
上記各工程を実施することによって、L-DOPAを含む料理を作ることができ、当該料
理を人が日常的に摂取することで、脳内の神経伝達物質の異常に起因する疾患の発症を予
防することができる。
ここで、チロシン抽出工程においてチロシンを効率良く抽出し、抽出したチロシンを可
能な限り回収するという観点から、チロシン抽出工程は、80℃以上の溶媒中でチロシン
を含有する食材を茹でる工程である。
上記特徴構成によれば、チロシンを含有する食材を80℃以上の溶媒中で茹でることで
、当該溶媒中にチロシンが効率よく溶出し、茹で汁を回収することで、食材から抽出した
チロシンを可能な限り回収することができる。
一方、チロシナーゼ抽出工程においては、抽出するチロシナーゼが酵素であることから
、チロシナーゼが変性して失活するのを防止しつつ、チロシナーゼを効率よく抽出し、抽
出したチロシナーゼを可能な限り回収するという観点から、チロシナーゼ抽出工程は、7
0℃以下の溶媒中でチロシナーゼを含有する食材を茹でる工程である。
上記特徴構成によれば、チロシナーゼを含有する食材を70℃以下の溶媒中で茹でるこ
とで、チロシナーゼの変性を抑えながら、溶媒中にチロシンを効率良く抽出することがで
き、茹で汁を回収することで、食材から抽出したチロシナーゼを可能な限り回収すること
ができる。
また、上記特徴構成によれば、10~60℃の範囲内の温度条件下でチロシンとチロシナーゼとを反応させることにより、チロシナーゼの変性が抑えられつつ、酵素反応によってチロシンからL-DOPAが生成するため、L-DOPAをより多く生成することができる。
また、本願発明者は、反応工程におけるチロシンとチロシナーゼとの反応時間とL-D
OPAの生成量との間に非線形の関係があり、反応時間が所定範囲内である場合に、L-
DOPAの生成量が多くなることを見出した。
上記特徴構成によれば、反応時間を10~25分の範囲内とすることにより、反応時間
が上記の範囲外である場合よりもL-DOPAをより多く生成することができる。
本発明の実施形態に係る加熱調理方法は、L-DOPA(L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン)を生成する加熱調理方法であって、チロシンを含有する食材(チロシン含有食材)からチロシンを抽出するチロシン抽出工程と、チロシナーゼを含有する食材(チロシナーゼ含有食材)からチロシナーゼを抽出するチロシナーゼ抽出工程と、チロシン抽出工程で抽出したチロシンとチロシナーゼ抽出工程で抽出したチロシナーゼとを反応させる反応工程とを実施する。
チロシン抽出工程においては、具体的に、一般の調理において使用される水や食用油などに、チロシン含有食材を浸漬させて常温下で放置したり、チロシン含有食材を水や食用油の存在下で、蒸す、茹でる、炒めるといった手法で加熱したりすることで、溶媒としての水や食用油中にチロシンを抽出する。
チロシナーゼ抽出工程においては、具体的に、水や食用油などにチロシナーゼ含有食材を浸漬させて常温下で放置したり、チロシン含有食材を水や食用油の存在下で蒸す、茹でる、炒めるといった手法で加熱したりすることで、チロシナーゼを抽出する。
反応工程においては、具体的に、抽出したチロシンと同じく抽出したチロシナーゼとを調理容器内で混ぜ合わせるとともに、必要に応じて、チロシン抽出工程後のチロシン含有食材やチロシナーゼ抽出工程後のチロシナーゼ含有食材、これら以外の食材を加え、チロシンとチロシナーゼとを反応させてL-DOPAを生成する。
本発明の加熱調理方法によれば、L-DOPAを含んだ加工食品を製造することができる。この加工食品中に有効成分として含まれるL-DOPAの量は、0.2~1mMであることが好ましく、0.2~0.6mMであることがより好ましい。また、L-DOPAを含んだ加工食品を製造することができる。この加工食品としては、パスタ製品類や、タケノコなどを利用した惣菜製品類、うどん製品類などが考えられる。
以下、L-DOPAを生成するための条件を検証するために実食材を用いて行った試験の方法及び結果について説明する。尚、以下で説明する試験においては、チロシン含有食材として「タケノコ」、チロシナーゼ含有食材として「マッシュルーム」を使用した。
市販品のタケノコの水煮を5mm四方程度の大きさに細断し、細断後のタケノコ0.5gを、2.5mlの蒸留水に添加したサンプルを2つ、2.5mlの0.1%酢酸に添加したサンプルを2つ作成し、溶媒の異なる各サンプルのうちの一方を常温下で30分放置し、他方を100℃に加熱した状態で30分放置した。その後、各サンプル中のチロシンの濃度を測定した。
表1は、上記各サンプルの中のチロシンの濃度の測定結果をまとめたものである。表1に示すように、サンプル中のチロシンの濃度は、溶媒として蒸留水を用いて常温下に放置したサンプルでは120mg/L、100℃に加熱したサンプルでは508mg/L、溶媒として酢酸を用いて常温下に放置したサンプルでは80mg/L、100℃に加熱した場合には390mg/Lであった。溶媒の種類にかかわらず、高温である方が溶媒中にチロシンを抽出し易いことが分かる。また、中性に近い蒸留水を使用した場合の方が酢酸(即ち、弱酸性)を使用した場合よりもチロシンを抽出し易いことが分かる。この結果から、中性に近い溶媒を用いて高温に加熱して行うことで、効率良くチロシンを抽出できることが確認できた。
市販品のタケノコの水煮を5mm四方程度の大きさに細断し、細断後のタケノコ0.6gを3mlの蒸留水に添加して、100℃に加熱した状態で30分間放置したものを抽出液とした。また、常温下において、マッシュルーム1gを10mlの蒸留水に添加した後にミキサーで粉砕して懸濁液とし、この懸濁液の上清を酵素液とした。そして、抽出液3mlと酵素液1mlをネジ蓋付ガラスチューブに入れた10個のサンプル(サンプル1~10)を作製した。
次に、サンプル1は10℃、サンプル2は25℃、サンプル3は30℃、サンプル4は40℃、サンプル5は50℃、サンプル6は60℃、サンプル7は70℃、サンプル8は80℃、サンプル9は100℃にそれぞれ加熱し維持した状態で放置し、適宜高速液体クロマトグラフィーにてL-DOPAの濃度を測定した。尚、10℃に加熱したサンプル1と40℃に加熱したサンプル4については、各温度に維持した状態で15分間放置し、25℃に加熱したサンプル2、30℃に加熱したサンプル3、50℃に加熱したサンプル5、60℃に加熱したサンプル6、70℃に加熱したサンプル7、80℃に加熱したサンプル8及び100℃に加熱したサンプル9については、各温度に維持した状態で30分間放置した。
また、サンプル10は、温度が100℃となるように5分間加熱処理した上で、温度を40℃まで下げた状態で15分間放置し、その後、高速液体クロマトグラフィーにてL-DOPAの濃度を測定した。
更に、サンプル2,3及び5~8については、30分間放置した後、続けて100℃に加熱し維持した状態で5分間放置し、その後、高速液体クロマトグラフィーにてL-DOPAの濃度を測定した。
図1は、サンプル1,2,4,6及び9についての反応時間(放置時間)とL-DOPAの濃度との関係を示すグラフである。また、図2は、サンプル4及び10についての反応時間とL-DOPAの濃度との関係を示すグラフであるが、サンプル10の反応時間には100℃となるように加熱した5分間は含まれていない。更に、図3は、サンプル2,3及び5~8についての30分間放置後のL-DOPAの濃度をまとめたグラフであり、図4は、サンプル2,3及び5~8についての100℃で5分間放置した後のL-DOPAの濃度をまとめたグラフである。
また、図1に示すように、サンプル1,2及び4(即ち、加熱温度が10~40℃)において、L-DOPA濃度が高くなっていることから、加熱温度が10~40℃である場合に、特に有意なL-DOPAの生成が認められる。
更に、図1に示すように、サンプル1,2,4,6及び9についてみると、時間経過とともに徐々にL-DOPA濃度が高くなり、15分の時点でL-DOPA濃度が最も高くなった。更に、サンプル2,6及び9についてみると、30分経過時において、15分の時点よりもL-DOPA濃度が低くなっており、チロシンとチロシナーゼとの反応時間が10~20分程度である場合に、有意なL-DOPAの生成が認められ、また、反応時間が長すぎると逆にL-DOPAが減少することが分かった。
更に、図3及び図4に示すように、比較的高温に加熱した状態で30分間放置したサンプル7及び8については、その後に100℃まで加熱してもL-DOPA濃度の減少は見られない。これに対して、比較的低温に加熱した状態で30分間放置したサンプル2,3,5及び6については、その後に100℃まで加熱することによって、100℃に加熱する前と比較して、サンプル2は77%、サンプル3は78%、サンプル5は86%、サンプル6は90%までL-DOPA濃度が減少した。
Claims (3)
- L-DOPAを生成する加熱調理方法であって、
80℃以上の溶媒中でチロシンを含有する食材を茹でることにより当該チロシンを含有する食材からチロシンを抽出するチロシン抽出工程と、
70℃以下の溶媒中でチロシナーゼを含有する食材を茹でることにより当該チロシナーゼを含有する食材からチロシナーゼを抽出するチロシナーゼ抽出工程と、
前記チロシン抽出工程で抽出した前記チロシンを含む溶媒と、前記チロシナーゼ抽出工程で抽出した前記チロシナーゼを含む溶媒とを混ぜ合わせて、反応時間の当初から10~60℃の範囲内の温度条件を10~25分の範囲内で維持して反応させる反応工程とを実施する加熱調理方法。 - 前記チロシン抽出工程における溶媒のpHが6以上である請求項1に記載の加熱調理方法。
- 前記溶媒は、水又は食用油である請求項1又は2に記載の加熱調理方法。
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JP2020162418A JP2020162418A (ja) | 2020-10-08 |
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基本の筑前煮 | レシピサイトNadia | ナディア - プロの料理家のおいしいレシピ[online],2019年3月2日,[検索日:2022年9月8日],https://oceans-nadia.com/user/10254/recipe/373064 |
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