JP7250243B2 - 被覆工具 - Google Patents
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Description
したがって、本発明は、耐久性に優れるAlとCrの窒化物または炭窒化物を被覆した被覆工具を得ることを目的とする。
基材表面の硬質皮膜は化学蒸着膜であり、半金属を含む金属元素の総量に対して、平均含有割合として、Alが50原子%以上、Crが10原子%以上、AlとCrの合計の含有比率が90原子%以上の窒化物または炭窒化物であり、
前記硬質皮膜は、X線回折においてfcc構造に起因する(111)面、(200)面、(220)面、(311)面、(222)面、(400)面、(331)面、(420)面および(422)面の少なくとも9面のピーク強度のいずれかが最大強度を示すfcc構造が主体の結晶構造であり、
前記基材の表面に対して膜厚方向に成長した柱状粒子の集合から構成され、
前記硬質皮膜は、
TC(hkl)={I(hkl)/I O (hkl)}/[Σ{I(hkl)/I O (hkl)}/8]
ただし、
I(hkl):実測した窒化アルミクロムニウム、炭窒化アルミクロムニウム硬質皮膜の(hkl)面のX線回折強度であり、
I O (hkl):ICDD(International Center for Dffraction Data)ファイル番号00-025-1495に記載の窒化アルミニウムの(hkl)面の標準X線回折強度で、
Σは、次の8面である、(hkl)=(111)面、(200)面、(220)面、(311)面、(222)面、(400)面、(331)面および(420)面のI(hkl)/I O (hkl)の和である、
により定義される(hkl)面におけるX線回折強度比TC(hkl)であって、
前記(hkl)面が(311)面におけるX線回折強度比TC(311)の値が1.30以上であり、
前記基材と前記硬質皮膜の間にTiの窒化物または炭窒化物を含む中間皮膜を設ける。
(1)前記X線回折強度比TC(311)が2.00以上であること。
(2)前記X線回折強度比TC(311)が、X線回折強度比TC(hkl)(但し、(hkl)面は、(111)面、(200)面、(220)面、(311)面、(222)面、(400)面、(331)面および(420)面。)よりも大きいこと。
(3)前記X線回折強度比TC(420)およびTC(200)の値が1.00未満であること。
(4)前記硬質皮膜が、X線回折におけるfcc構造の総ピーク強度をTA、(422)面に起因するピーク強度をTBとした場合、TB/TAの値が0.050以上であること。
(5)前記柱状粒子の表面側における平均幅が0.1μm以上2.0μm以下であること。
(6)前記硬質皮膜は、透過型電子顕微鏡を用いたミクロ組織において、相対的にAlの含有比率が高い単層構造の部分と、相対的にAlの含有比率が低い積層構造の部分とを有する結晶粒子が分散していること。
まず、本実施形態に係る硬質皮膜の組成について説明する。
本実施形態に係る硬質皮膜は、AlとCrをベースとする窒化物または炭窒化物である。AlとCrの窒化物または炭窒化物皮膜は耐摩耗性と耐熱性に優れる膜である。より好ましくは耐熱性に優れる前記窒化物の硬質皮膜である。硬質皮膜を炭窒化物とする場合でも、硬質皮膜の平均組成において、窒素と炭素の合計の含有比率(原子%)を100%とした場合、窒素の含有比率(原子%)が80%以上であることが好ましい。硬質皮膜が耐熱性に優れる窒化物が主体となれば、一部に炭窒化物等を含有しても被覆工具の耐久性は大幅に低下することはない。より好ましくは、窒素と炭素の合計の含有比率(原子%)を100%とした場合、窒素の含有比率(原子%)が90%以上である。なお、硬質皮膜に含まれる炭素は遊離炭素として含有される場合もある。
Alの平均含有比率が高いと硬質皮膜の耐熱性が高まるとともに工具表面に潤滑保護皮膜を形成し易くなり、被覆工具の耐久性が向上する。これらの効果を十分に再現するために、本実施形態に係る硬質皮膜は、半金属を含む金属元素(以下、金属元素と記載する。)の総量に対して、Alの平均含有比率が50原子%以上とする。更には、Alの含有比率を55原子%以上とすることが好ましい。更には、Alの含有比率を60原子%以上とすることがより好ましい。更には、Alの平均含有比率を70原子%以上とすることがより一層好ましい。但し、Alの含有比率が高くなりすぎると、脆弱なhcp(六方最密充填)構造のAlNが多くなり被覆工具の耐久性が低下する。そのため、Alの平均含有比率を90原子%以下とすることが好ましい。
Crの平均含有比率が少なすぎると脆弱なhcp構造のAlNが増加しすぎて被覆工具の耐久性が低下する。また、工具表面(切削工具の場合は刃先表面)に潤滑保護皮膜が形成され難くなり、溶着が発生し易くなる。そのため、Crの平均含有比率は10原子%以上とする。更には、Crの平均含有比率は15原子%以上とすることが好ましい。但し、Crの含有比率が高くなりすぎると相対的にAlの含有比率が低下して耐熱性が低下する。そのため、Crの含有比率は45原子%以下とすることが好ましい。
本実施形態に係る硬質皮膜は、硬質皮膜により高い耐熱性を付与するために、AlとCrの合計の平均含有比率を90原子%以上とすることが好ましい。更には、AlとCrの合計の平均含有比率を95原子%以上にすることが好ましい。本実施形態に係る硬質皮膜は、AlとCr以外の金属元素を含有してもよい。例えば、Ti、Si、Zr、B、Vを含有してもよい。これらの元素は、AlTi系の窒化物または炭窒化物やAlCr系の窒化物または炭窒化物に一般的に添加されている元素であり、少量の添加であれば被覆工具の耐久性を著しく低下させることはなく、工具の用途によっては耐久性の向上に資する。
本実施形態に係る硬質皮膜は、不可避不純物として、酸素および塩素等の成膜ガスに含まれる成分を、硬質皮膜全体を100質量%としたときに1質量%以下含有し得る。本実施形態に係る硬質皮膜は全体として窒化物または炭窒化物であるならば、これら不純物に起因するに化合物を一部に含有してもよい。
本実施形態に係る硬質皮膜は、X線回折においてfcc(面心立方格子)構造に起因するX線ピーク強度(ピーク強度)のいずれかが最大強度を示し、fcc構造が主体である。hcp構造が主体の硬質皮膜や非晶質の硬質皮膜は硬度が低く、脆弱でもあり被覆工具の耐久性が著しく低下する。fcc構造に起因するピーク強度が最大強度を示すことで、硬質皮膜の硬度と靭性が高まり、被覆工具の耐久性が向上する。
(数1)
TC(hkl)={I(hkl)/IO(hkl)}/[Σ{I(hkl)/IO(hkl)}/8]
I(hkl):実測した窒化アルミクロムニウム、炭窒化アルミクロムニウム硬質皮膜の(hkl)面のX線回折強度。
IO(hkl):ICDD(International Center for Dffraction Data)ファイル番号00-025-1495に記載の窒化アルミニウムの(hkl)面の標準X線回折強度。
Σは、次の8面についての和を意味する。
(hkl)=(111)面、(200)面、(220)面、(311)面、(222)面、(400)面、(331)面および(420)面。
更には、X線回折強度比TC(311)が他の結晶面のX線回折強度比TC(hkl)よりも大きいことがさらにより一層好ましい。
本実施形態に係る硬質皮膜は、基材の表面に対して膜厚方向に成長した柱状粒子の集合(柱状組織)から構成される。AlとCrをベースとする窒化物または炭窒化物の硬質皮膜が基材の表面に対して膜厚方向に成長した柱状粒子となることで、被覆工具の耐久性が向上する。
本実施形態に係る硬質皮膜のミクロ組織は特段限定されるものではない。すなわち、単層構造のみからなる結晶粒子を有してもよい。また、積層構造のみからなる結晶粒子を有してもよい。単層構造のみからなる結晶粒子と積層構造のみからなる結晶粒子と単層構造と積層構造が併存する結晶粒子とを有してもよい。特に、一つの粒子の中に、単層構造と積層構造が併存する結晶粒子が分散している場合が好ましい。
本実施形態に係る硬質皮膜のミクロ組織は、積層構造または単層構造のみの結晶粒子で構成されてもよい。
本実施形態に係る硬質皮膜の平均膜厚(層厚)は、1.0μm以上15.0μm以下が好ましい。その理由は、膜厚が1.0μm未満であると薄いため十分な工具寿命を与えず、一方、膜厚が15.0μmを超えると厚くなりすぎて加工精度が低下してしまう虞があるためである。膜厚の下限は2.0μmがより好ましく、更には3.0μmが好ましく、更には5.0μmがより一層好ましい。膜厚の上限は12.0μmがより好ましく、更には10.0μmがより一層好ましい。
本実施形態の被覆工具は、工具の基材と硬質皮膜との間に、Tiの窒化物または炭窒化物を含む中間皮膜を設ける。このような中間皮膜を設けることで基材と硬質皮膜の密着性がより向上して過酷な使用環境下でも耐久性が向上する。ここで、本明細書において、Tiの窒化物、炭窒化物のように化合物を化学式で表さないときは、必ずしも化学量論的範囲のものに限定されないし、Ti窒化物または炭窒化物を含むとは、Ti窒化物、Ti炭窒化物を中間層として成膜する際に不可避的に成膜される層の存在を許容すると云うことである。
また、本発明の被覆工具を金型に適用する場合には、潤滑性に優れるVの窒化物または炭窒化物等を上層に設けてもよい。
本実施形態に係る硬質皮膜は化学蒸着によって成膜されるため引張応力を有しているから、被覆後にブラスト装置等による応力解放となる被覆後の処理を行うことが好ましい。この被覆後の処理を行うことで、被覆切削工具では耐チッピング性が改善し工具寿命に優れる硬質皮膜となる。
本実施形態では、基材(被覆工具の基材)は、特に制限されるものではなく、用途や目的等に応じて適宜選択することができる。例えば、超硬合金、冷間工具鋼、高速度工具鋼、プラスチック金型用鋼、熱間工具鋼等を適用することができる。
本実施形態に係る硬質皮膜は、例えば、内部温度を後述する750℃以上に昇温させた化学蒸着装置(CVD炉)内へ、以下に述べる混合ガスAと混合ガスBを別々に導入し、該装置内で混合することにより、該装置内にあらかじめ載置してあるインサート基材等の工具基体に被覆することができる。
本実施形態において、混合ガスAは、混合ガスa1と混合ガスa2を含む。混合ガスa1は、HClガスとH2ガス(「塩化Crを生成するための混合ガス」または「混合ガスa1を得るための混合ガス」ともいう)と、この2のガスが金属Crと接触することにより生成する塩化Crガス(CrCl3で表現できる成分のみではなくCrとClとが化学的に結合したガスである)を含むガスで、代表的な組成は、体積比で塩化Cr/H2=0.008以上0.140以下である。一方、混合ガスa2は、AlCl3ガスとH2ガスとを含むガスで、代表的な組成は、体積比でAlCl3/(H2+N2)=0.0006以上0.0300以下である。
なお、塩化Crガスの体積%およびAlCl3ガスの体積%は、後述するように、これらガスを発生させるために導入するHClガス量から推定する。
混合ガスBは、H2ガス、N2ガスおよびNH3ガスを含む。この混合ガスBは、N2ガスとH2ガスの合計の体積%をb1、NH3ガスの体積%をb2とした場合、b2/b1の値が0.002以上0.020以下の組成比を有することが、本実施形態に係る硬質皮膜の組成を得るために好ましい。この組成比の範囲に混合ガスBの組成比があれば、アルカリガスであるNH3ガスと、ハロゲンガスであるCrCl3ガスやAlCl3ガスが過剰に反応することを抑制しやすい。
後述する被覆装置では、予熱チャンバー内の混合ガスBのガス流路を、予熱チャンバーの高さと同じとすることで、混合ガスBが混合ガスAのように過度に予熱されるのを防いでいる。これにより、混合ガスBに含まれるNH3と混合ガスAに含まれる塩化Crガス、AlCl3ガスとの反応速度を抑え、硬質皮膜が柱状粒子の集合から構成される組織となる。
混合ガスAと混合ガスBをあらかじめ混合して、1つのノズル穴からCVD炉内(反応容器内)に導入すると、NH3ガスとAlCl3ガスや塩化Crガスとの反応速度が速くなりすぎて、硬質皮膜において柱状粒子の集合から構成される組織が得られ難くなる。
成膜のための反応圧力は3kPa以上5kPa以下であることが好ましい。その理由は、反応圧力が低すぎると成膜速度が低下し、一方で、反応圧力が高すぎると、前記反応が促進されて、柱状粒子の集合から構成される組織が得られ難いためである。
本発明の一実施形態に用いる化学蒸着装置(CVD炉)は、上述の製造方法を実施するために、炉内(反応容器内)温度は750℃以上850℃以下、炉内(反応容器内)圧力は3kPa以上5kPa以下にできるものであって、以下の特徴的な構成を有している。具体的な構成は、後述する実施例で述べ、ここでは装置として備えるべき事項を中心に説明する。
(1)塩化Crガスを生成させるための混合ガスを金属Crに接触させて塩化Crガスを含む混合ガスa1を発生させる塩化Crガス発生部、
(2)混合ガスa2を予熱する第1予熱部、
(3)混合ガスBを予熱する第2予熱部、および、
(4)混合ガスa1と混合ガスa2とを混合し、混合ガスAとする混合部、
とを有している。
本実施例では、概略模式図として図9A、図9Bおよび図9Cに示す化学蒸着装置(CVD炉)1を用いた。この装置の概要を説明する。
CVD炉1は、円筒形のチャンバー2と、チャンバー2の周壁内部に設けられたヒータ3と、チャンバー2に多数のインサート基材(工具基材)20を設置する複数のインサート設置板4を有する反応容器5と、反応容器5の下部に設けられた接続流路11と予熱部である予熱チャンバー6を有する。
円筒状であってその下部に、ガス流路82から導入された塩化Crガス発生用の混合ガスを接続流路11を経由して予熱チャンバー6の径方向に分散させ、塩化Crガス発生室62に導入する空間と、
この空間の直上に設けられ、予熱チャンバー6の外周にその円筒の外周が一致し中心部が円筒状の空間を有し、予熱チャンバー6と同心状の塩化Crガス発生室62と、
塩化Crガス発生室62の中心部の円筒状の空間に予熱チャンバー6と同心状に形成され、ガス流路81から導入された混合ガスa2を予熱する予熱室61(第1予熱部)と、
塩化Crガス発生室62と予熱室61の上部に位置し、後述する混合ガスa1と混合ガスa2とを混合して混合ガスAとする混合室63(混合部)と、
を有している。
基材として、WC基超硬合金(10質量%のCo、0.6質量%のCr3C2、残部WCおよび不可避的不純物からなる)製のミーリング用インサート(三菱日立ツール製のWDNW14520)と、WC基超硬合金(7質量%のCo、0.6質量%のCr3C2、2.2質量%のZrC、3.3質量%のTaC、0.2質量%のNbC、残部WCおよび不可避的不純物からなる)製の物性評価用インサート(ISO規格のSNMN120408)を用意した。
実施例1~7については、中間皮膜として窒化チタン皮膜を形成した。まず、基材を、図9Aに示すCVD炉1内にセットし、H2ガスを流しながらCVD炉1内の温度を800℃に上昇させた。その後、800℃および12kPaで、予熱チャンバー6のガス導入口からガス流路81を経て、83.1体積%のH2ガス、15.0体積%のN2ガス、1.9体積%のTiCl4ガスからなる混合ガスを予熱室62に導入し、パイプ7の第1のノズル穴83a、83bから67L/分の流量で反応容器5内に流して窒化チタン皮膜を形成した。
中間皮膜の成膜条件を表1に示す。
≪混合ガスa1を得る工程≫
H2ガスを流しながらCVD炉1内の圧力を4kPaに下げた後、図9Aに示す予熱チャンバー6のガス流路82に、400℃に保温したH2ガスとHClガスの混合ガスを導入した。
予熱チャンバー6のガス導入口からガス流路81を経て、H2ガスとAlCl3ガスを混合した混合ガスa2を予熱室62に導入して予熱した。
そして、混合ガスa1と混合ガスa2を混合室63で混合して予熱室の温度である800℃近傍の温度となっている混合ガスAを得た。そして、得られた混合ガスAを、パイプ7の第1のノズル穴83a、83bから反応容器炉内に導入した。混合ガスAの合計流量は48.75L/分であった。
ガス流路91にH2ガスとN2ガスおよびNH3ガスからなる混合ガスBを導入し、パイプ7の第2のノズル穴91a、91bから炉内に導入した。混合ガスBの合計流量は30.25L/分であった。
電子プローブマイクロ分析装置(EPMA、日本電子株式会社製JXA―8500F)を用いて、加速電圧10kV、照射電流0.05A、およびビーム径0.5μmの条件で、物性評価用インサート(SNMN120408)の断面における窒化アルミクロムニウム硬質皮膜の膜厚方向中心の任意の5箇所を測定して、得られた測定値の平均から硬質皮膜の組成を求めた。測定結果を表3に示す。
X線回折装置(PANalytical社製のEMPYREAN)を用いて、管電圧45kVおよび管電流40mAでCuKα1線(波長λ:0.15405nm)を物性評価用インサート(SNMN120408)のすくい面の硬質皮膜の表面に照射して硬質皮膜の結晶構造を評価した。
(数2)
TC(hkl)={I(hkl)/IO(hkl)}/[Σ{I(hkl)/IO(hkl)}/8]
I(hkl):実測した窒化アルミクロムニウム硬質皮膜の(hkl)面のX線回折強度。
IO(hkl):ICDDファイル番号00-025-1495に記載の窒化アルミニウムの(hkl)面の標準X線回折強度。
Σは、次の8面についての和を意味する。
(hkl)=(111)面、(200)面、(220)面、(311)面、(222)面、(400)面、(331)面および(420)面。
結果を表3に示す。
被覆したミーリング用インサートを、刃先交換式回転工具(ASRT5063R-4)に止めねじで装着し、下記のミーリング条件で硬質皮膜の工具寿命を評価した。硬質皮膜の逃げ面摩耗幅は、倍率100倍の光学顕微鏡で観察することにより測定した。逃げ面の最大摩耗幅が0.350mmを超えたときの総切削長さに至る加工時間を工具寿命として5分単位で測定した。加工条件を以下に示す。試験結果を表3に示す。
加工方法: ミーリング加工
インサート形状: WDNW140520
切削速度: 150m/分
回転数: 毎分758回転
一刃当たりの送り: 2.05mm/tooth
送り速度: 1554mm/分
軸方向の切り込み量: 1.0mm
径方向の切り込み量: 40mm
切削方法: 乾式切削
2:チャンバー
3:ヒータ
4:インサート設置板
5:反応容器
5a:反応容器の開口部
6:予熱チャンバー(予熱部)
61:予熱室
62:塩化Crガス発生室
63:混合室
7:パイプ(ガス放出部)
83a、83b、91a、91b、92a、93a:ノズル穴(ガス噴出口)
81:混合ガスa2のガス流路
82:混合ガスa1となる混合ガスのガス流路
84:混合ガスのガス流路
91:混合ガスBのガス流路
92:混合ガスのガス流路
93:混合ガスのガス流路
10:排気パイプ
11:接続流路
12:成膜中回転部
13a:予熱チャンバー内の混合ガスBのガス流路
13b:接続流路内の混合ガスBのガス流路(縦方向)
13c:接続流路内の混合ガスBのガス流路(回転軸方向)
20:インサート基材
30:硬質皮膜(AlCrN皮膜)
31:積層部分
32:単層部分
40:TEM観察時の樹脂
Claims (7)
- 基材の表面に硬質皮膜を有する被覆工具であって、
前記硬質皮膜は化学蒸着膜であり、半金属を含む金属元素の総量に対して、平均含有割合として、Alが50原子%以上、Crが10原子%以上、AlとCrの合計の含有比率が90原子%以上の窒化物または炭窒化物であり、
前記硬質皮膜は、X線回折においてfcc構造に起因する(111)面、(200)面、(220)面、(311)面、(222)面、(400)面、(331)面、(420)面および(422)面の少なくとも9面のピーク強度のいずれかが最大強度を示すfcc構造が主体の結晶構造であり、
前記基材の表面に対して膜厚方向に成長した柱状粒子の集合から構成され、
前記硬質皮膜は、
TC(hkl)={I(hkl)/I O (hkl)}/[Σ{I(hkl)/I O (hkl)}/8]
ただし、
I(hkl):実測した窒化アルミクロムニウム、炭窒化アルミクロムニウム硬質皮膜の(hkl)面のX線回折強度であり、
I O (hkl):ICDD(International Center for Dffraction Data)ファイル番号00-025-1495に記載の窒化アルミニウムの(hkl)面の標準X線回折強度で、
Σは、次の8面である、(hkl)=(111)面、(200)面、(220)面、(311)面、(222)面、(400)面、(331)面および(420)面のI(hkl)/I O (hkl)の和である、
により定義される(hkl)面におけるX線回折強度比TC(hkl)であって、
前記(hkl)面が(311)面におけるX線回折強度比TC(311)の値が1.30以上であり、
前記基材と前記硬質皮膜の間にTiの窒化物または炭窒化物を含む中間皮膜を設けることを特徴とする被覆工具。 - 前記X線回折強度比TC(311)が2.00以上であること特徴とする請求項1に記載の被覆工具。
- 前記X線回折強度比TC(311)が、X線回折強度比TC(hkl)(但し、(hkl)面は、(111)面、(200)面、(220)面、(311)面、(222)面、(400)面、(331)面および(420)面。)よりも大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の被覆工具。
- 前記X線回折強度比TC(420)およびTC(200)の値が1.00未満であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の被覆工具。
- 前記硬質皮膜は、X線回折におけるfcc構造の総ピーク強度をTA、(422)面に起因するピーク強度をTBとした場合、TB/TAの値が0.050以上であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の被覆工具。
- 前記柱状粒子の表面側における平均幅が0.1μm以上2.0μm以下であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の被覆工具。
- 前記硬質皮膜は、透過型電子顕微鏡を用いたミクロ組織において、相対的にAlの含有比率が高い単層構造の部分と、相対的にAlの含有比率が低い積層構造の部分を有する結晶粒子が分散していることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の被覆工具。
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