JP7248226B2 - 流動性低下剤、及び流動性低下方法 - Google Patents

流動性低下剤、及び流動性低下方法 Download PDF

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Description

本発明は、流動性が高い泥土(含水率15%以上の泥土)の性状を改質し、流動性を低下させる流動性低下剤、及び当該流動性低下剤を用いた流動性低下方法に関する。
建設工事、及びトンネル工事等の工事現場においては、地盤の掘削に伴い大量の泥土が発生する。発生した泥土は、流動性が高く静置しても広がってしまうため、運搬する際には、バキューム車、及び大型ベッセル車等の特殊車両が必要となる他、産業廃棄物として処理する際には、乾燥させ難い問題があった。
このため、発生した泥土の性状を改質し、泥土の流動性を低下させる試みとして、様々な形態の方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、建設汚泥(含水汚泥)にアルカリ性物質を混合した後、該汚泥混合物に高分子化合物を混合することを特徴とする建設汚泥の固化処理方法が開示されている。
また、特許文献2には、高含水率泥土、泥水又は汚泥に、含水率が50重量%以下の土又は砂を添加して調泥、前処理することを特徴とする高含水率泥土、泥水又は汚泥の改質固化方法が開示されている。
また、特許文献3には、発生直後は流動性が高い自硬性汚泥に対し、W/O型エマルジョン系水溶性高分子化合物を添加し、混合すること、及び、当該混合後に、無機粉末系固化材及び/又はカチオン性水溶性化合物を添加し、混合して造粒すること、を含む、造粒固化処理土の製造方法が開示されている。
特開平11-10197号公報 特開平11-188392号公報 特開2013-202563号公報
しかしながら、特許文献1では、建設汚泥にアルカリ性物質を混合するため、処理対象となる建設汚泥の流動性を低下させる効果は得られても、当該建設汚泥がアルカリ性を呈することから、環境への負荷が懸念される。
また、特許文献2では、高含水率泥土等に更に砂等を添加するため、処理対象となる高含水率泥土等の流動性を低下させる効果は得られても、当該高含水率泥土等の他に砂等の容積も加わり、運搬費用の増大が懸念される。
また、特許文献3では、自硬性汚泥に添加する水溶性高分子化合物がW/O型エマルジョンであるため、固液分離が進行し貯蔵性安定性に劣る懸念や、CODの値が高くなり環境への負荷が大きくなる懸念がある。
そこで本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、流動性が高い泥土(含水率15%以上の泥土)の性状を改質し、流動性を低下させる効果に優れ、貯蔵安定性が良好で、環境への負荷が小さい流動性低下剤、及び流動性低下方法を提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記課題に鑑みて鋭意検討した結果、水溶液中のポリマーを構成する必須のモノマー成分を特定のモル比(A/B)(20/80~85/15)とし、水溶液中のポリマーの固有粘度を特定の値(1.9dL/g以上)とすることで、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]含水率15質量%以上の泥土の流動性を低下させる流動性低下剤であって、前記流動性低下剤が、(メタ)アクリルアミド(A)と、(メタ)アクリル酸及びその塩から選ばれる1種以上の化合物(B)とをモノマー成分として含むポリマーを含む水溶液であり、前記(メタ)アクリル酸及びその塩から選ばれる1種以上の化合物(B)に対する前記(メタ)アクリルアミド(A)のモル比(A/B)が、20/80~85/15であり、前記ポリマーを含む水溶液中のポリマー濃度が1~30質量%であり、前記ポリマーの1N硝酸ナトリウム水溶液における30℃での固有粘度が1.9dL/g以上である、流動性低下剤。
[2]前記泥土に、請求項1に記載の流動性低下剤を添加して泥土の流動性を低下させる、流動性低下方法。
[3]前記流動性低下剤の純分添加量が0.5~5.0kg/mである、前記[2]に記載の流動性低下方法。
[4]前記泥土に、請求項1に記載の流動性低下剤を2種以上添加して泥土の流動性を低下させる、前記[2]又は[3]に記載の流動性低下方法。
[5]前記泥土に、更に凝集剤を添加して泥土の流動性を低下させる、前記[2]~[4]のいずれか1つに記載の流動性低下方法。
[6]前記泥土に、更に土壌固化材を添加して泥土の流動性を低下させる、前記[2]~[5]のいずれか1つに記載の流動性低下方法。
本発明によれば、流動性が高い泥土(含水率15%以上の泥土)の性状を改質し、流動性を低下させる効果に優れ、貯蔵安定性が良好で、環境への負荷が小さい流動性低下剤、及び流動性低下方法を提供することができる。
以下、本発明の流動性低下剤、及び本発明の流動性低下剤を用いた流動性低下方法を詳細に説明する。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び/又は「
メタクリル」を意味するものである。
[流動性低下剤]
本発明の流動性低下剤は、含水率15質量%以上の泥土の流動性を低下させる流動性低下剤であって、前記流動性低下剤が、(メタ)アクリルアミド(A)と、(メタ)アクリル酸及びその塩から選ばれる1種以上の化合物(B)とをモノマー成分として含むポリマーを含む水溶液であり、前記(メタ)アクリル酸及びその塩から選ばれる1種以上の化合物(B)に対する前記(メタ)アクリルアミド(A)のモル比(A/B)が、20/80~85/15であり、前記ポリマーを含む水溶液中のポリマー濃度が1~30質量%であり、前記ポリマーの1N硝酸ナトリウム水溶液における30℃での固有粘度が1.9dL/g以上である。
このような流動性低下剤によれば、流動性が高い泥土(含水率15%以上の泥土)の性状を改質し、流動性を低下させる効果に優れ、貯蔵安定性が良好で、環境への負荷を小さくすることができる。
(泥土)
本発明の流動性低下剤は、流動性が高い泥土(含水率15%以上の泥土)の性状を改質し、流動性を低下させる目的で用いられるものである。
なお、泥土とは、一般には、コーン指数が200kN/m未満となるものをいう。
(流動性低下剤を構成するポリマー)
本発明の流動性低下剤を構成するポリマーは、必須のモノマー成分として、(メタ)アクリルアミド(A)と、(メタ)アクリル酸及びその塩から選ばれる1種以上の化合物(B)とを含む共重合体である。
(必須のモノマー成分)
本発明の流動性低下剤を構成するポリマーは、必須のモノマー成分として、(メタ)アクリルアミド(A)と、(メタ)アクリル酸及びその塩から選ばれる1種以上の化合物(B)とを含むが、その他のモノマー成分を含んでもよい。
なお、前記ポリマーが、その他のモノマー成分を含有する場合、前記(A)及び前記(B)の合計含有割合は、全モノマー成分100モル%中、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、更に好ましくは98モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
<(メタ)アクリルアミド(A)>
モノマー成分となる(メタ)アクリルアミド(A)は、アクリルアミド、及びメタクリルアミドから選ばれる少なくとも1種である。これらは、1種単独で用いても、2種以上の併用であってもよい。
(メタ)アクリルアミド(A)としては、流動性低下剤に含まれる有機物の量を少なくして環境への負荷を低減する観点から、アクリルアミドが好ましく用いられる。
<(メタ)アクリル酸及びその塩から選ばれる1種以上の化合物(B)>
モノマー成分となる(メタ)アクリル酸及びその塩から選ばれる1種以上の化合物(B)は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸塩、及びメタクリル酸塩から選ばれる少なくとも1種である。これらは、1種単独で用いても、2種以上の併用であってもよい。
(メタ)アクリル酸の塩としては、ナトリウム、カリウム、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム等の金属塩が挙げられる。
(メタ)アクリル酸及びその塩から選ばれる1種以上の化合物(B)としては、流動性低下剤に含まれる有機物の量を少なくして環境への負荷を低減する観点から、アクリル酸、及びアクリル酸塩から選ばれる少なくとも1種が好ましく、アクリル酸塩がより好ましく、中でも、アクリル酸ナトリウム、及びアクリル酸カリウムが好適に用いられる。
<モル比(A/B)>
(メタ)アクリル酸及びその塩から選ばれる1種以上の化合物(B)に対する(メタ)アクリルアミド(A)のモル比(A/B)は、含水率15%以上の泥土の性状を改質し、流動性を低下させる効果を好適に得る観点から、20/80~85/15であり、好ましくは30/70~75/25、より好ましくは30/70~50/50である。
上記(メタ)アクリル酸及びその塩から選ばれる1種以上の化合物(B)のモル比率が高すぎる場合、コロイドが多く含有される泥土に対してはアクリル酸の泥土に対する吸着力が弱まり、流動性を低下できないおそれがある。
一方、上記(メタ)アクリル酸及びその塩から選ばれる1種以上の化合物(B)のモル比率が低すぎる場合、コロイドを含有しない泥土に対してはアクリル酸の分散作用が強くなり、流動性を低下できないおそれがある。
(その他のモノマー成分)
本発明の流動性低下剤を構成するポリマーは、前記した必須のモノマー成分以外に、その他のモノマー成分を含んでもよい。
なお、前記ポリマーが、その他のモノマー成分を含有する場合、その他のモノマー成分の合計含有割合は、全モノマー成分100モル%中、好ましくは10モル%未満、より好ましくは5モル%未満、更に好ましくは2モル%未満、特に好ましくは0モル%である。
その他のモノマー成分としては、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシ基含有モノマー、また、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸等の不飽和スルホ基含有モノマー等のアニオン性モノマーが挙げられる。また、これらのモノマーのナトリウム、カリウム、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム等の金属塩も挙げられる。
(ポリマー水溶液)
本発明の流動性低下剤の形態は、前記した必須のモノマー成分を含むポリマーを含む水溶液(以下「ポリマー水溶液」と称す)である。
ポリマー水溶液は、固体ポリマーを粉砕し粉末状にしたポリマーを、水に溶解又は分散させて製造することもできる。しかし、この場合、粉末状ポリマーは固有粘度が非常に高いため、水に溶解又は分散させることが可能なポリマーの量は0.1~1質量%程度であるため、ポリマー濃度(純分濃度)を高めることが困難になるおそれがある。
このため、本発明のポリマー水溶液は、流動性が高い泥土(含水率15%以上の泥土)の流動性を好適に低下させ、処理対象泥土の容積を抑える観点から、水溶液重合法により製造されることが好ましい。
(水溶液重合法)
水溶液重合法としては、特に限定されず公知の方法を採用できるが、例えば、前記した必須のモノマー成分を含むポリマー水溶液に、窒素ガスを吹き込みながら、撹拌し、水溶性重合開始剤を添加してポリマー水溶液を製造する方法が挙げられる。
ここで、水溶性重合開始剤がアゾ系重合開始剤であれば、加熱を行い、アゾ系化合物が分解する温度に達した時点でラジカルが発生し重合が開始される。
一方、水溶性重合開始剤がレドックス系重合開始剤であれば、酸化剤と還元剤の組合せで用いられ、酸化剤と還元剤が混合された時点でラジカルが発生し重合が開始される。
なお、本発明の流動性低下剤は、水溶液の形態であるため、架橋剤を用いず、直鎖状等の非架橋型のポリマーを合成することが好ましい。
(ポリマー濃度)
前記したポリマーを含む水溶液中のポリマー濃度(純分濃度)は、含水率15%以上の泥土の性状を改質し、流動性を低下させる効果を好適に得る観点から、1~50質量%であり、好ましくは5~40質量%、より好ましくは5~30質量%である。
上記ポリマー濃度(純分濃度)が、上記範囲未満である場合、純分濃度が低すぎ、流動性が高い泥土(含水率15%以上の泥土)の性状を改質し、流動性を低下させる効果が十分得られないおそれがある。
一方、上記ポリマー濃度(純分濃度)が、上記範囲を超える場合、純分濃度が高すぎ、水溶液中に特定の固有粘度(1.9dL/g以上)を有するポリマーを含むことからポリマー水溶液としての状態を維持できず、ゲル化するおそれがある。
前記したポリマー濃度(純分濃度)とは、前記したポリマー水溶液の蒸発残留分(不揮発分)のことをいう。
ポリマー水溶液の蒸発残留分は、具体的には、前記したポリマー水溶液約5gを蒸発皿に入れた重量(W1)と、更に、当該ポリマー水溶液約5gを105℃で蒸発乾固させたときの残分の重量(W2)とをそれぞれ秤量し、下記数式1より純分濃度(質量%)が算出される。
Figure 0007248226000001
前記したポリマー水溶液、すなわち本発明の流動性低下剤は、W/Oエマルションの形態とは異なり、水溶液中のポリマーを均質な状態に長期間保つことができ、固液分離が生じ難く、分離界面は認められず、貯蔵安定性に優れる。
この理由は、水溶液中においてすでに高分子鎖が溶媒中に溶解しており、分散状態にあるためであると考えられる。
また、前記したポリマー水溶液、すなわち本発明の流動性低下剤は、希釈せずそのまま泥土に添加して用いることができる点で取り扱い性に優れる。
更に、本発明の流動性低下剤は、当初のポリマー濃度(純分濃度)よりも低くしたい場合には、水を追加して数分以内の短時間による撹拌混合で均一なポリマー水溶液が得られ、ポリマー濃度(純分濃度)の希釈が簡便である点でも、取り扱い性に優れる。
(その他の成分)
前記したポリマー水溶液、すなわち本発明の流動性低下剤は、必須のモノマー成分として、(メタ)アクリルアミド(A)と、(メタ)アクリル酸及びその塩から選ばれる1種以上の化合物(B)、及び必要に応じてその他のモノマー成分とを含むポリマー、を含む他に、本発明の目的効果を損なわない範囲で、その他の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、例えば、ポリマー合成の際に添加される添加剤(例えば、重合開始剤、連鎖移動剤等)が挙げられ、具体的には、2,2'-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、4,4'-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、過酸化水素と塩化第一鉄、塩過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウム、チオフェノール、1-ブタンチオール、シクロヘキサンチオール、3-メルカプトプロピオン酸シクロヘキシル、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン、1-ドデカンチオール、1-ドデカンチオール、メルカプト酢酸2-エチルヘキシル、3-メルカプトプロピオン酸2-エチルヘキシル、3-メルカプトプロピオン酸ヘキシル、メルカプト酢酸エチル、2-メルカプトエタノール、2-メルカプトエタノール、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール、メルカプト酢酸、2-メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム、3-メルカプトプロピオン酸、メルカプト酢酸メチル、3-メルカプトプロピオン酸メチル等が挙げられる。
なお、その他の成分の含有量は、流動性低下剤100質量%中、好ましくは0~10質量%、より好ましくは0~5質量%、更に好ましくは0%である。
(固有粘度)
前記したポリマーの1N硝酸ナトリウム水溶液における30℃での固有粘度は、含水率15%以上の泥土の性状を改質し、流動性を低下させる効果を好適に得る観点から、1.9dL/g以上であり、好ましくは2.0~5.0dL/g、より好ましくは2.0~4.0dL/gである。
上記ポリマーの固有粘度が、上記範囲未満である場合、固有粘度が低すぎ、流動性が高い泥土(含水率15%以上の泥土)の性状を改質し、流動性を低下させる効果が得られないおそれがある。
一方、上記ポリマーの固有粘度が、上記範囲を超える場合、固有粘度が高すぎ、ポリマーを含む水溶液を好適に製造することができず、ポリマー濃度(純分濃度)を高めることが困難になるおそれがある。
固有粘度は[η]で表され、下記のHugginsの式を用いて算出された値とする。
Hugginsの式:ηSP/C=[η]+k’[η]
上記式において、ηSP:比粘度(=ηrel-1)、k’:Huggins定数、C:ポリマー溶液濃度、ηrel:相対粘度を表す。
異なる濃度のポリマー溶液を調製し、各濃度の溶液に対して比粘度ηSPを求めて、ηSP/C対Cの関係をプロットし、Cを0に外挿した切片の値が固有粘度([η])である。
固有粘度は、分子量の指標ともなり、ポリマーの分子量が小さいほど、固有粘度が低い傾向にある。ただし、固有粘度は、前記したモル比(A/B)やポリマーの重合条件等による影響も受けるため、必ずしも分子量の大小に対応するとは限らない。
なお、固有粘度の調整は、ポリマーを合成する際の反応温度、反応系のモノマー濃度、重合開始剤の種類や濃度、及び連鎖移動剤の濃度等を調整することにより行うことができる。一般的に、反応温度を高く、また、反応系のモノマー濃度を小さく、また、重合開始剤の濃度を大きく、また、連鎖移動剤の濃度を大きくすると、固有粘度が低くなる傾向にある。
(流動性低下剤の粘度)
前記したポリマー水溶液、すなわち本発明の流動性低下剤の粘度(製品粘度)は、含水率15%以上の泥土の性状を改質し、流動性を低下させる効果を好適に得られ易くする観点から、好ましくは1500~25000mPa・s、より好ましくは2000~20000mPa・s、更に好ましく2300~18000mPa・sである。
なお、流動性低下剤の粘度は、B型回転粘度計(BROOKFIELD社製、「LV型」)を用いて測定される値で、より具体的な測定方法は、後述の実施例の方法に基づく。
上記流動性低下剤の粘度が、上記範囲未満である場合、流動性低下剤の製品の濃度が少ない、又は流動性低下剤自体の分子量が低い、ということにつながる為、流動性が高い泥土(含水率15%以上の泥土)の性状を改質し、流動性を低下させる効果が得られないおそれがある。
一方、上記流動性低下剤の粘度が、上記範囲を超える場合、流動性低下剤の粘度が高すぎ、流動性が高い泥土との混合性が悪く、反応効率が低下するおそれがある。
(流動性低下剤のpH)
前記したポリマー水溶液、すなわち本発明の流動性低下剤のpHは、含水率15%以上の泥土の性状を改質し、流動性を低下させる効果を好適に得られ易くする観点から、好ましくはpH2.0~10.0、より好ましくはpH2.5~9.0、更に好ましくはpH3.0~8.0である。
上記流動性低下剤のpHが、上記範囲にあることで、流動性低下剤を添加した後の流動性が低下した泥土は、アルカリ性を呈さず、環境への負荷が小さく、建設資材として再利用することも可能となる。
なお、流動性低下剤のpHは、JIS Z 8802:2011に準拠して求められる値で、より具体的な測定方法は、後述の実施例の方法に基づく。
[流動性低下方法]
本発明の流動性低下方法は、含水率15%以上の泥土に、前述した本発明の流動性低下剤を添加して泥土の流動性を低下させる。
このような流動性低下方法によれば、流動性が高い泥土(含水率15%以上の泥土)の性状を改質し、流動性を低下させる効果に優れ、貯蔵安定性が良好で、環境への負荷を小さくすることができる。
(流動性低下剤の純分添加量)
本発明においては、前記したポリマー水溶液、すなわち本発明の流動性低下剤の純分添加量は、いくつかの要因により変動するが、目安としては、好ましくは0.5~5.0kg/m、より好ましくは0.5~4.0kg/m、更に好ましくは0.8~3.0kg/mである。
前記した流動性低下剤の純分添加量とは、下記数式2より算出される値である。
Figure 0007248226000002
上記流動性低下剤の純分添加量の好ましい範囲(0.5~5.0kg/m)は、ポリマーを構成する必須のモノマー成分のモル比(A/B)、流動性低下剤を構成するポリマーの固有粘度、及び泥土の含水率等の要因により変動する。
(2種以上の流動性低下剤との併用)
本発明の流動性低下方法は、流動性が高い泥土(含水率15%以上の泥土)に、前述した本発明の流動性低下剤を2種以上併用して、これらの剤を添加して泥土の流動性を低下させてもよい。
ここで、本発明の2種以上の流動性低下剤とは、互いに物性が異なる流動性低下剤のことを指していい、例えば、以下の3つの形態を例示できるが、これらの組合せであってもよい。
・ポリマーを構成する必須のモノマー成分のモル比(A/B)において、本発明で規定する範囲(20/80~85/15)を満たすが、互いに異なるモル比(A/B)を有する2種以上の流動性低下剤
・流動性低下剤を構成するポリマーの固有粘度において、本発明で規定する範囲(1.9dL/g以上)を満たすが、互いに異なる固有粘度を有する2種以上の流動性低下剤
2種以上の流動性低下剤を添加する方法は、特に限定されないが、例えば、泥土に2種以上の流動性低下剤を別々のタイミングで添加混合してもよいし、泥土に2種以上の流動性低下剤をほぼ同じタイミングで添加混合してもよい。2種以上の流動性低下剤を予め混合したものも用いることもできる。
本発明の2種以上の流動性低下剤を併用した場合、泥土の性状に応じて、流動性を低下させる効果を好適に発揮され易くすることができる。
(凝集剤との併用)
本発明の流動性低下方法は、流動性が高い泥土(含水率15%以上の泥土)に、前述した本発明の流動性低下剤と凝集剤とを併用して、両剤を添加して泥土の流動性を低下させてもよい。
両剤を添加する方法は、特に限定されないが、例えば、泥土に流動性低下剤と凝集剤とを別々のタイミングで添加混合してもよいし、泥土に流動性低下剤と凝集剤とをほぼ同じタイミングで添加混合してもよい。
本発明の流動性低下剤と凝集剤とを併用した場合、流動性が非常に高い泥土に対しても、流動性を低下させる効果を好適に発揮され易くすることができる。
併用する凝集剤としては、例えば、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、硫酸アルミニウム、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、硫酸第一鉄、ポリシリカ鉄等が挙げられる。
併用する凝集剤の純分添加量は、流動性低下剤100質量部に対して、好ましくは1~30質量部、より好ましくは1~20質量部、更に好ましくは1~10質量部である。
(土壌固化材との併用)
本発明の流動性低下方法は、流動性が高い泥土(含水率15%以上の泥土)に、前述した本発明の流動性低下剤と土壌固化材とを併用して、両剤を添加して泥土の流動性を低下させてもよい。
両剤を添加する方法は、特に限定されないが、例えば、泥土に流動性低下剤と土壌固化材とを別々のタイミングで添加混合してもよいし、泥土に流動性低下剤と土壌固化材とをほぼ同じタイミングで添加混合してもよい。
本発明の流動性低下剤と土壌固化材とを併用した場合、泥土の流動性を低下させる効果の他に、泥土を固化させる効果も付与することができる。
併用する土壌固化材としては、例えば、生石灰、石膏、セメント、酸化マグネシウム等が挙げられる。
併用する土壌固化材の純分添加量は、流動性低下剤100質量部に対して、好ましくは1000~30000質量部、より好ましくは2000~25000質量部、更に好ましくは3000~25000質量部である。
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(I)流動性低下剤の準備
実施例1~4及び比較例1~4の各流動性低下剤を、表1に示すとおり準備した。
実施例1、2、4、及び比較例1~4の各流動性低下剤を構成するポリマーは、アクリルアミド-アクリル酸ナトリウム共重合体である。一方、実施例3の流動性低下剤を構成するポリマーは、アクリルアミド-アクリル酸共重合体である。
なお、比較例4のW/Oエマルションの油相は、炭化水素系溶剤(鉱物油)である。
流動性低下剤を構成するポリマーの固有粘度、流動性低下剤の粘度、及び流動性低下剤のpHは、以下に示す方法で測定し、その結果を表1に示した。
(ポリマーの固有粘度)
以下の手順にて、各流動性低下剤を構成する成分となるポリマーの固有粘度を求めた。
〔1〕キャノンフェンスケ粘度計(株式会社草野化学製No.75)5本をガラス器具用中性洗剤に1日以上浸漬後、脱イオン水で十分洗浄し、乾燥させた。
〔2〕各流動性低下剤をポリマー純分換算で約0.3g(例えば、純分濃度10質量%の水溶液タイプ(実施例1)の場合は約3.0g)となるように採取して精秤し、脱イオン水に、マグネティックスターラーにて500rpmでの撹拌下で加え、2時間撹拌した後、15~24時間静置した。再び500rpmで30分間撹拌した後、ガラスフィルター3G2で全量ろ過し、0.2質量%ポリマー水溶液を調製した。
なお、W/Oエマルションタイプ(比較例4)は、大過剰のアセトンに添加して析出精製を行い、この析出物を真空乾燥して粉体として、固有粘度測定に供した。
〔3〕前記0.2質量%ポリマー水溶液50mLに2N硝酸ナトリウム水溶液50mLを加え、マグネティックスターラーにて500rpmで20分間撹拌した後、ポリマー濃度0.1質量%の1N硝酸ナトリウム水溶液を得た。これを1N硝酸ナトリウム水溶液で希釈して0.02、0.04、0.06、0.08、0.1質量%の5段階の濃度のポリマー試料溶液を調製した。なお、1N硝酸ナトリウム水溶液(1N-NaNO3)をブランク液とした。
〔4〕温度30℃(±0.02℃内)に調整した恒温水槽内に、前記粘度計5本を垂直に取り付けた。各粘度計にホールピペットにてブランク液10mLを入れた後、温度を一定にするために約30分間静置した。その後、スポイト栓を用いて液を吸い上げ、自然落下させて、標線を通過する時間をストップウォッチで1/100秒単位まで測定した。この測定を、各粘度計について5回繰り返し、平均値をブランク値tとした。
〔5〕上記で調製した5段階の濃度のポリマー試料溶液各10mLを、ブランク液の測定を行った粘度計5本に入れ、温度を一定にするために約30分間静置した。その後、ブランク液の測定と同様の操作を3回繰り返し、濃度ごとの通過時間の平均値を測定値tとした。
〔6〕上記のブランク値t、測定値t、及びポリマー試料溶液の濃度C[質量/体積%](=C[g/dL])から、相対粘度ηrel、比粘度ηSP、及び還元粘度ηSP/C[dL/g]を下記の関係式にて求めた。
ηrel=t/t
ηSP=(t-t)/t=ηrel-1
これらの値から、上述したHugginsの式に基づく固有粘度の求め方に従って、各ポリマーの固有粘度([η])を算出した。
(流動性低下剤の粘度)
表1に示すとおり準備した実施例1~4及び比較例1~4の各流動性低下剤の粘度は、25℃で24時間静置後、B型回転粘度計(BROOKFIELD社製、「LV型」)を用い、下記に示す条件で測定した。
・ローター:S64スピンドル
・回転数:6rpm
・測定温度:25℃
Figure 0007248226000003
(II)泥土の調製
後述する各流動性低下剤の各種評価試験に用いた泥土1~5は、以下に示す方法で調製した。泥土の含水率、及び泥土のpHは、以下に示す方法で測定し、その結果を表2に示した。
(泥土1)
原料泥土として笠岡粘土(カサネン工業株式会社販売)を用い、原料泥土の配合量が330g/Lとなるように、水道水を用いて、流動性が高い泥土1(比重:1.442t/m)を調製した。
(泥土2)
原料泥土として笠岡粘土(カサネン工業株式会社販売)を用い、原料泥土の配合量が380g/Lとなるように、水道水を用いて、流動性が高い泥土2(比重:1.606t/m)を調製した。
(泥土3)
原料泥土として、川砂(中目)(埼玉県児玉郡上里町産)(ビバホーム株式会社販売)、珪砂(6号)(JFEミネラル株式会社販売)、及び粘土(トチクレー)(大竹工業株式会社販売)を用い、川砂の配合量が1500g/L、珪砂の配合量が400g/L、粘土の配合量が100g/Lとなるように、水道水を用いて、流動性が高い泥土3(比重:1.860t/m)を調製した。
(泥土4)
原料泥土として笠岡粘土(カサネン工業株式会社販売)を用い、原料泥土の配合量が300g/Lとなるように、市水を用いて、流動性が高い泥土4(比重:1.327t/m)を調製した。
(泥土5)
原料泥土として笠岡粘土(カサネン工業株式会社販売)を用い、原料泥土の配合量が300g/Lとなるように、水道水を用いて、流動性が高い泥土5(比重:1.325t/m)を調製した。
(泥土の含水率)
泥土の含水率は、JIS A 1203:2009に準拠して測定した。
(泥土のpH)
泥土のpHは、JIS Z 8802:2011に準拠してガラス電極法の操作に基づいて測定した。なお、pHの校正には、市販のフタル酸塩、中性りん酸塩、及び炭酸塩の各pH標準液を用いた。
Figure 0007248226000004
(III)流動性効果の各種評価試験
(1)目視観察による評価試験
上記の表1に示す実施例1~4及び比較例1~4の各流動性低下剤を対象として、泥土を改質させ流動性を低下させる効果に関する目視観察による評価試験を以下に示す方法で行い、その結果を表3に示した。
上記の表2に示す泥土1(含水率52.0%、pH8.32)1Lを、3L程度のボウルに採取した。
この泥土1に対して、上記の表1に示す実施例1~4及び比較例1~4の各流動性低下剤を、表3に示す添加量X(kg/m)で添加し、60秒間撹拌して混合した。
その後、各流動性低下剤が有する、泥土を改質させ流動性を低下させる効果を以下に示す4段階の基準で目視による評価を行った。
A:泥土の性状の改質が観察され、流動性を低下させる効果も確認された。
B:泥土の性状の改質が観察されたものの、流動性を低下させる効果は不十分であった。
C:泥土の性状の改質が若干観察され、流動性も若干低下したがその効果は不十分であった。
D:泥土の性状の改質は観察されず、流動性を低下させる効果も得られなかった。
Figure 0007248226000005
(結果のまとめ1)
表3に記載されている評価結果より、以下のことが分かる。
比較例1~3は、流動性低下剤を構成する成分となるポリマーの固有粘度が、1.9dL/g未満である流動性低下剤を用いたことに起因し、泥土の性状の改質は観察されず、流動性を低下させる効果は得られなかった。
これに対して、実施例1~4は、本願で規定する流動性低下剤を用いたことに起因し、泥土の性状の改質が観察され、流動性を低下させる効果が確認された。
実施例1~4と従来品である比較例4とを比べると、実施例1~4の流動性低下効果は、比較例4と同等レベル得られることが確認された。
(2)広がり性評価試験
上記の表1に示す実施例4及び比較例4の各流動性低下剤を対象として、泥土を改質させ流動性を低下させる効果に関する広がり性評価試験を以下に示す方法で行った。
上記の表2に示す泥土2(含水率38.7%、pH8.11)200mLを300ccビーカーに採取した。
この泥土2に対して、上記の表1に示す実施例4及び比較例4の各流動性低下剤を、表4に示す添加量X(kg/m)で添加し、2回/1秒間の頻度で、60秒間スパーテルを用いて撹拌して混合した。
その後、泥土2を金属製パレットに広げ、泥土2が広がった後の径を最大と認める方向の長さ(L)と、この方向に直角な方向の長さ(L)とをそれぞれ測定し、その結果を表4に示した。
Figure 0007248226000006
(結果のまとめ2)
表4に記載されている評価結果より、以下のことが分かる。
比較例5は、流動性添加剤を用いなかったことに起因し、泥土2の広がり(L×L)は8cm×8cmであった。
これに対して、実施例4は、本願で規定する流動性低下剤を用いたことに起因し、泥土2の広がり(L×L)は、比較例5よりも広がりが抑えられ、流動性を低下させる効果が確認された。
実施例4と従来品である比較例4とを比べると、実施例4の流動性低下効果は、比較例4と同等レベル得られることが確認された。
(3)テーブルフロー値による評価試験
上記の表1に示す実施例3及び比較例2の各流動性低下剤を対象として、泥土を改質させ流動性を低下させる効果に関するテーブルフロー値による評価試験を以下に示す方法で行った。
上記の表2に示す泥土3(含水率17.0%、pH未測定)500mLを2000ccプラスチックビーカーに採取した。
この泥土3に対して、上記の表1に示す実施例3及び比較例2の各流動性低下剤を、表5に示す添加量X(kg/m)で添加し、60秒間撹拌して混合した。
その後、前記で撹拌混合した泥土3を対象として、JIS R 5201:2015(セメントの物性試験方法)に準拠し、以下に示すテーブルフロー試験を行った。
前記で撹拌混合した泥土3を、フローテーブル上の中央に正しく置いたフローコーンの半分の深さまで詰め、突き棒の先端がその層の約1/2の深さまで入るよう、全面にわたり15回突いて一層目を詰めた。次に、一層目の泥土3と同じ量の泥土3を二層目としてフローコーンに詰め、一層目と同様にして突き棒の先端がその層の約1/2の深さまで入るよう、全面にわたり15回突いて二層目を詰めた。そして、フローコーンの上面まで満たすように、必要に応じて不足分を補い表面をならした。
そして、直ちにフローコーンを垂直方向に取り去り、泥土3がフローテーブル上に広がった後の径を最大と認める方向の長さと、この方向に直角な方向の長さとをそれぞれ1mm単位まで測定し、その平均値を算出した(n=0)。
次いで、フローテーブル上に広がった泥土3に対して、フローテーブルのハンドルを回転させ15秒間に15回の落下運動を与え、泥土3がフローテーブル上に更に広がった後の径を最大と認める方向の長さと、この方向に直角な方向の長さとをそれぞれ1mm単位まで測定し、その平均値を算出した(n=15)。
このようなテーブルフロー試験を2回行い、その平均値をテーブルフロー値とした。なお、ここで「n」は、落下運動の回数を表す。
このテーブルフロー値(n=15)が150mm以下である場合、泥土の性状の改質がなされ、流動性を低下させる効果が得られたと評価できる。
Figure 0007248226000007
(結果のまとめ3)
表5に記載されている評価結果より、以下のことが分かる。
比較例5は、流動性低下剤を用いなかったことに起因し、テーブルフロー値(n=15)が150mmを超えてしまい、流動性を低下させる効果は確認されなかった。
また、比較例2は、流動性低下剤を構成する成分となるポリマーの固有粘度が、1.9dL/g未満である流動性低下剤を用いたことに起因し、純分添加量が0.20kg/mでは泥土の性状の改質は観察されず、純分添加量が0.40kg/mであってもテーブルフロー値(n=15)が150mmを超えてしまい、流動性を低下させる効果は確認されなかった。
これに対して、実施例3は、本願で規定する流動性低下剤を用いたことに起因し、純分添加量が0.15kg/mでも0.30kg/mでもテーブルフロー値(n=15)が150mm未満となり、流動性を低下させる効果が確認された。
(4)分離抵抗性評価試験、及びCOD評価試験
上記の表1に示す実施例4及び比較例4の各流動性低下剤を対象として、泥土を改質させ流動性を低下させる効果に関する分離抵抗性評価試験及びCOD評価試験を以下に示す方法で行い、その結果を表6に示した。
<分離抵抗性評価試験>
上記の表1に示す実施例4及び比較例4の各流動性低下剤90mLを、100mLガラス製サンプル瓶(胴内径40mm)に投入して密閉し、室温(20~25℃)にて静置した。
その後、ガラス製サンプル瓶に投入された各流動性低下剤の状態を、3日、7日、及び14日の各経過時点で観察し、固液分離が生じ分離界面が認められた場合には、液面と分離界面との距離(分離距離)を直線定規で測定した。
この液面と分離界面との距離(分離距離)が長いほど、固液分離が進行し貯蔵性安定性に劣る流動性低下剤であると評価できる。
<CODMn評価試験>
上記の表1に示す実施例4及び比較例4の各流動性低下剤のCODMn(100℃における過マンガン酸カリウムによる酸素消費量)は、JIS K 0102:2016に準拠して測定した。
このCODMnの値が高いほど、有機物を多く含む流動性低下剤であるといえ、環境への負荷が大きいと評価できる。
Figure 0007248226000008
(結果のまとめ4)
表6に記載されている評価結果より、以下のことが分かる。
<分離抵抗性評価試験>
比較例4は、流動性低下剤の形態がW/Oエマルションであったことに起因し、3日経過時点で固液分離が生じ分離界面が認められ、14日経過時点で底部に沈殿が認められたが、撹拌により再分散させることは可能であった。
これに対して、実施例4は、流動性低下剤の形態が水溶液であったことに起因し、14日経過時点においても固液分離が生じなかった。このことから、実施例4の流動性低下剤は、比較例4と比べて貯蔵性に優れることが確認された。
<CODMn評価試験>
比較例4は、流動性低下剤の形態がW/Oエマルションであったことに起因し、CODMnの値が実施例4の約3倍も高いことが確認された。このことから、比較例4の流動性低下剤は、有機物を多く含む流動性低下剤であるといえ、環境への負荷が大きいことが確認された。
これに対して、実施例4は、流動性低下剤の形態が水溶液であったことに起因し、実施例4の流動性低下剤は、比較例4よりも有機物を含む量が少ないといえ、環境への負荷が小さいことが確認された。
(5)流動性低下剤の初期形態の違いによる評価
実施例4(表1の実施例4と同じ)及び比較例6の各流動性低下剤を、表7に示すとおり準備した。
実施例4及び比較例6の各流動性低下剤を構成するポリマーは、組成は異なるが共にアクリルアミド-アクリル酸ナトリウム共重合体である。
流動性低下剤を構成するポリマーの固有粘度、流動性低下剤の粘度、及び流動性低下剤のpHは、上述した方法で測定し、その結果を表7に示した。
Figure 0007248226000009
上記の表7に示す比較例6の粉末状のポリマーが0.1質量%水溶液となるように、純水を用いて、比較例6を水溶液形態に調製した。
上記の表7に示す実施例4の水溶液形態の流動性低下剤、及び上記の表7に示す比較例6を水溶液の形態に調製した流動性低下剤を対象として、流動性低下剤の初期形態の違いによる評価試験を以下に示す方法で行った。
上記の表2に示す泥土1(含水率52.0%、pH8.32)200mLを300ccビーカーに採取した。
この泥土1に対して、上記の表7に示す実施例4の水溶液形態の流動性低下剤、及び上記の表7に示す比較例6を水溶液形態に調製した流動性低下剤を、表8に示す添加量X(kg/m)で添加し、60秒間撹拌して混合した。
その後、実施例4及び比較例6の各流動性低下剤の初期形態の違いによる効果を、以下に示す5段階の基準で目視による評価を行った。
A:泥土の性状の改質が観察され、流動性を低下させる効果も確認された。
B:泥土の性状の改質が観察されたものの、流動性を低下させる効果は不十分であった。
C:泥土の性状の改質が若干観察され、流動性も若干低下したがその効果は不十分であった。
D:泥土の性状の改質は観察されず、流動性を低下させる効果も得られなかった。
E:処理対象汚泥の含水率が増大し、泥土そのものが比重が高いため下方に沈殿し、水分が上方に浮き、泥土の性状の改質は観察されなかった。
Figure 0007248226000010
(結果のまとめ5)
表7、8に記載されている評価結果より、以下のことが分かる。
比較例6の粉末状ポリマーは、固有粘度が実施例4と比べて10倍近く高い値であった。このことに起因して、比較例6の粉末状ポリマーを水に溶解してポリマー水溶液とした場合、ポリマー濃度(純分濃度)を0.1~1質量%程度までしか高めることができなかった。
このため、泥土1に対して、比較例6のポリマー水溶液を流動性低下剤として添加する純分添加量を、実施例4と同等にするためには、流動性低下剤の添加量Xは比較例6-3に示されるように100倍以上必要となることが確認された。
その結果、比較例6の粉末状ポリマーは、処理対象汚泥の含水率が増大し、泥土そのものが比重が高いため下方に沈殿し、水分が上方に浮き、泥土の性状の改質は観察されなかった。
(6)2種以上の流動性低下剤との併用
上記の表1に示す実施例1、4の流動性低下剤を対象として、2種以上の流動性低下剤との併用効果の評価試験を以下に示す方法で行った。
上記の表2に示す泥土4(含水率60.9%、pH7.88)200mLを300ccビーカーに採取した。
この泥土4に対して、上記の表1に示す実施例1、4の流動性低下剤を、表9に示す添加量X(kg/m)で添加し、60秒間撹拌して混合した。
その後、実施例1又は4の流動性低下剤単独による効果、及び実施例1及び4の流動性低下剤併用による効果を以下に示す4段階の基準で目視による評価を行った。
A:泥土の性状の改質が観察され、流動性を低下させる効果も確認された。
B:泥土の性状の改質が観察されたものの、流動性を低下させる効果は不十分であった。
C:泥土の性状の改質が若干観察され、流動性も若干低下したがその効果は不十分であった。
D:泥土の性状の改質は観察されず、流動性を低下させる効果も得られなかった。
Figure 0007248226000011
(結果のまとめ6)
表9に記載されている評価結果より、以下のことが分かる。
実施例1の流動性低下剤と実施例4の流動性低下剤との併用で、泥土の性状の改質が観察され、流動性を低下させる効果も確認された。
(7)凝集剤との併用
上記の表1に示す実施例3の流動性低下剤を対象として、凝集剤との併用効果の評価試験を以下に示す方法で行った。
上記の表2に示す泥土5(含水率61.2%、pH8.01)200mLを300ccビーカーに採取した。
この泥土5に対して、上記の表1に示す実施例3の流動性低下剤を、表10に示す添加量X(kg/m)で添加し、60秒間撹拌して混合した。次いで、凝集剤であるポリ塩化アルミニウム(PAC)を、表9に示す添加量b(kg/m)で添加し、60秒間撹拌して混合した。
その後、実施例3の流動性低下剤単独による効果、及び実施例3の流動性低下剤と凝集剤との併用による効果を以下に示す4段階の基準で目視による評価を行った。
A:泥土の性状の改質が観察され、流動性を低下させる効果も確認された。
B:泥土の性状の改質が観察されたものの、流動性を低下させる効果は不十分であった。
C:泥土の性状の改質が若干観察され、流動性も若干低下したがその効果は不十分であった。
D:泥土の性状の改質は観察されず、流動性を低下させる効果も得られなかった。
Figure 0007248226000012
(結果のまとめ8)
表10に記載されている評価結果より、以下のことが分かる。
実施例3の流動性低下剤と凝集剤であるポリ塩化アルミニウム(PAC)との併用で、泥土の性状の改質が観察され、流動性を低下させる効果も確認された。
(8)土壌固化材との併用
上記の表1に示す実施例3の流動性低下剤を対象として、土壌固化材との併用効果の評価試験を以下に示す方法で行った。
上記の表2に示す泥土1(含水率52.0%、pH8.32)200mLを300ccビーカーに採取した。
この泥土1に対して、上記の表1に示す実施例3の流動性低下剤を、表11に示す添加量X(kg/m)で添加し、60秒間撹拌して混合した。次いで、土壌固化材である生石灰を、表10に示す添加量b(kg/m)で添加し、60秒間撹拌して混合し、24時間静置した。
その後、泥土の性状の改質が観察され、流動性が低下し泥土の固化も観察された。この固化した泥土1を対象として、山中式土壌硬度計を用いてコーン指数(kN/m)を測定し、その結果を表10に示した。
このコーン指数の値が高いほど、泥土の固化の程度が大きいと評価できる。
Figure 0007248226000013
(結果のまとめ7)
表10に記載されている評価結果より、以下のことが分かる。
実施例3の流動性低下剤と土壌固化材である生石灰との併用で、泥土の流動性を低下させる効果の他に、泥土を固化させる効果も確認された。

Claims (6)

  1. 含水率15質量%以上の泥土の流動性を低下させる流動性低下剤であって、
    前記流動性低下剤が、(メタ)アクリルアミド(A)と、(メタ)アクリル酸及びその塩から選ばれる1種以上の化合物(B)とをモノマー成分として含むポリマーを含む水溶液であり、
    前記(メタ)アクリル酸及びその塩から選ばれる1種以上の化合物(B)に対する前記(メタ)アクリルアミド(A)のモル比(A/B)が、20/80~85/15であり、
    前記ポリマーを含む水溶液中のポリマー濃度が1~30質量%であり、
    前記ポリマーの1N硝酸ナトリウム水溶液における30℃での固有粘度が1.9~5.0dL/gである、流動性低下剤。
  2. 前記泥土に、請求項1に記載の流動性低下剤を添加して泥土の流動性を低下させる、流動性低下方法。
  3. 前記流動性低下剤の純分添加量が0.5~5.0kg/mである、請求項2に記載の流動性低下方法。
  4. 前記泥土に、請求項1に記載の流動性低下剤を2種以上添加して泥土の流動性を低下させる、請求項2又は3に記載の流動性低下方法。
  5. 前記泥土に、更に凝集剤を添加して泥土の流動性を低下させる、請求項2~4のいずれか1項に記載の流動性低下方法。
  6. 前記泥土に、更に土壌固化材を添加して泥土の流動性を低下させる、請求項2~5のいずれか1項に記載の流動性低下方法。
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