JP7247141B2 - 蓄熱体及び蓄熱体の製造方法 - Google Patents

蓄熱体及び蓄熱体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ガスの流路に配置されてガスと熱交換する蓄熱体、及び、該蓄熱体の製造方法に関するものである。
ガスの流路に配置されてガスと熱交換する蓄熱体の例として、蓄熱式バーナ(リジェネバーナ)の熱交換部に配される蓄熱体を挙げることができる。蓄熱式バーナは、鍛造炉、熱処理炉、溶解炉、焼成炉などの工業炉において使用されているバーナであり、バーナの燃焼により高温となった排ガスと、バーナの燃焼のために新たに供給されるガスとを、交互に熱交換部に流通させるべく、ガスの流通方向が所定時間間隔で切り換えられる。熱交換部には多数の蓄熱体が充填されており、排ガスの熱は蓄熱体によって回収され、回収された熱によって、新たに供給されるガスが予熱される。
蓄熱体としては、従前よりアルミナ製の中実ボールが多用されている。一方、アルミナ、コージェライト、ムライト等のセラミックスのハニカム構造体を、蓄熱体として使用する技術も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、本出願人は、炭化珪素質セラミックス焼結体を基体とする蓄熱体を提案している(特許文献2参照)。炭化珪素は、セラミックスの中では熱伝導率が高い材料である。具体的には、アルミナ、コージェライト、及び、ムライトの熱伝導率は、それぞれ9~30W/m・K、0.6W/m・K、及び、1.5W/m・Kであるのに対し、炭化珪素の熱伝導率は75~130W/m・Kと高い。そのため、炭化珪素質セラミックス焼結体を基体とする蓄熱体は、熱交換の効率が高い。
加えて、炭化珪素の熱膨張率は、4.0~4.5(×10-6K)と小さい。すなわち、炭化珪素は、熱伝導率が高いと共に熱膨張率が小さいため、耐熱衝撃性に優れている。従って、炭化珪素質セラミックス焼結体を基体とする蓄熱体は、蓄熱と放熱との繰り返しに伴う温度変化を受け続ける蓄熱体として適している。
ところが、炭化珪素は酸素が存在する雰囲気において高温下で使用されると、酸化してしまうという問題がある。そこで、特許文献2の技術では、炭化珪素質セラミックス焼結体である基体の表面に、珪酸系ガラスの酸化防止層を形成させるという手段を採用した。この珪酸系ガラスの層によって、基体の炭化珪素と酸素との接触が妨げられるため、炭化珪素の酸化が有効に抑制される。
加えて、本出願人の検討の結果、珪酸系ガラスの酸化防止層を備えることによって、もともと耐熱衝撃性の高い炭化珪素より更に、耐熱衝撃性が高められることが判明した。これは、珪酸系ガラスが高温下で軟化し塑性変形する性質のために、亀裂の伸展が抑制されると共に、炭化珪素質セラミックス焼結体の脆性的な破壊が抑制されるためと考えられた。
しかしながら、珪酸系ガラスが高温下で軟化する性質は、上記のように利点である反面、軟化したガラスによって、蓄熱体同士、あるいは蓄熱体とケーシングとが付着してしまうことがあった。そのような付着が生じると、蓄熱体を交換したり、蓄熱体を蓄熱部から取り出して洗浄したりするメンテナンスが行いにくいという不具合が生じる。また、蓄熱体が中実ボールである場合は、上記の付着によって、ガスを通過させるべき空隙が閉塞してしまい、熱交換率が低下するという問題がある。
特開2003-287379号公報 特許第5709007号公報
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、珪酸系ガラスの酸化防止層を備えていると共に、蓄熱体同士の付着、または蓄熱体とケーシングとの付着が抑制されている蓄熱体、及び、該蓄熱体の製造方法の提供を、課題とするものである。
上記の課題を解決するため、本発明にかかる蓄熱体は、
「炭化珪素質セラミックス焼結体の基体と、
該基体の表面を被覆している珪酸系ガラスの酸化防止層と、
該酸化防止層の少なくとも一部を外側から被覆している付着防止層と、を備え、
該付着防止層は、融点が1600℃以上の酸化物セラミックスである高耐火性材料を含んでいる」ものである。
本構成の蓄熱体は、次の蓄熱体の製造方法により製造することができる。すなわち、
「炭化珪素質セラミックス焼結体で形成された基体の表面に、二酸化珪素を含有する酸化防止剤を被覆する第一コーティング工程と、
該第一コーティング工程を経た前記基体を加熱し、二酸化珪素を溶融してから冷却することにより前記酸化防止剤を珪酸系ガラスの酸化防止層とする第一熱処理工程と、
該第一熱処理工程を経た前記基体の表面の少なくとも一部を、融点が1600℃以上の酸化物セラミックスである高耐火性材料を含む付着防止剤で、前記酸化防止層の外側から被覆する第二コーティング工程と、
該第二コーティング工程を経た前記基体を加熱し、前記酸化防止層の珪酸系ガラスを軟化させて前記高耐火性材料を接着し、その後の冷却により珪酸系ガラスを固化させることにより、前記酸化防止層に付着防止層を固着する第二熱処理工程と、
を具備する」ものである。
融点が1600℃以上の酸化物セラミックスである高耐火性材料は、珪酸系ガラスが軟化する温度で軟化することはない。従って、蓄熱体の表面において、隣接する蓄熱体と接触する表面やケーシングと接触する表面において、珪酸系ガラスの酸化防止層を外側から高耐火性材料を含む付着防止層で被覆することにより、珪酸系ガラスの軟化に起因する蓄熱体同士の付着や、蓄熱体とケーシングとの付着を、有効に抑制することができる。
本発明にかかる蓄熱体は、上記構成に加え
「前記高耐火性材料は、ジルコン、ムライト、または、ジルコンとムライトとの混合物である」ものとすることができる。
ジルコン及びムライトは、珪素(Si)成分を含むため、珪酸系ガラスの酸化防止層と親和性が高い利点がある。また、ジルコン及びムライトは、熱膨張率の値が炭化珪素と近いため、蓄熱体が加熱(蓄熱)と冷却(放熱)とを繰り返して使用される際に、基体と付着防止層との熱膨張の差異が小さく、付着防止層に亀裂が生じにくい利点がある。
本発明にかかる蓄熱体は、上記構成に加え、
「前記基体は、単一の方向に延びて列設された隔壁により区画された複数のセルを備えるハニカム構造体であり、
前記酸化防止層は、前記セルの内表面を被覆しているのに対し、
前記付着防止層は、前記セルの内表面では前記酸化防止層を被覆していない」ものである。
本構成では、基体はハニカム構造体である。ハニカム構造体は、多数の隔壁により区画されたセルを備え、セルは単一の方向に延びているため、ガス流通に伴う圧力損失が小さいという利点がある。また、ハニカム構造体は、中実ボールに比べて表面積が非常に大きいため、中実ボールに比べて熱交換に寄与する面積が大きいという利点も有している。
そして、本構成では、基体の表面のうちセルの内表面は、酸化防止層は有するものの、付着防止層は有していない。これは、蓄熱体同士の付着や、蓄熱体とケーシングとの付着を防止するためには、セルの内表面に付着防止層は必要ないためである。また、ハニカム構造の蓄熱体の場合、蓄熱体と熱交換するガスが流通するのはセルの内部空間である。そのため、セルの内表面に付着防止層が形成されていないことにより、高耐火性材料の層の存在によって、蓄熱体による熱交換の作用が損なわれるおそれのないものとなっている。
以上のように、本発明によれば、珪酸系ガラスの酸化防止層を備えていると共に、蓄熱体同士の付着、または蓄熱体とケーシングとの付着が抑制されている蓄熱体、及び、該蓄熱体の製造方法を、提供することができる。
本発明の一実施形態である蓄熱体の斜視図である。 図1の蓄熱体の横断面図(セルの軸方向に直交する面で切断した断面図)である。 他の実施形態である蓄熱体を中央で切断した断面図である。
以下、本発明の具体的な実施形態である蓄熱体1、及び、その製造方法について説明する。本実施形態の蓄熱体1の基体10は、単一の方向に延びて列設された隔壁11により区画された複数のセル15を備えるハニカム構造体であり、炭化珪素質セラミックス焼結体で形成されている。
基体10の表面、すなわち、セル15が開口している両方の端面S1、外周面S2(セル15が開口していない面)、及び、セル15の内表面は、酸化防止層21で被覆されている。酸化防止層21は、珪酸系ガラスの層である。そして、基体10の表面のうち、両方の端面S1及び外周面S2では、酸化防止層21の外側に付着防止層22が積層されている。付着防止層22は、融点が1600℃より高い酸化物セラミックスである高耐火性材料を含む層である。
このような構成の蓄熱体1は、ハニカム構造に形成された炭化珪素質セラミックス焼結体の基体10の表面に、酸化防止剤を被覆する第一コーティング工程と、酸化防止剤を珪酸系ガラスとする第一熱処理工程と、基体10の表面のうち両方の端面S1及び外周面S2に、付着防止剤を被覆する第二コーティング工程と、付着防止剤を乾燥させると共に高耐火性材料を酸化防止層21に固着させる第二熱処理工程と、を具備する製造方法によって製造される。
より具体的には、第一コーティング工程は、酸化防止剤を基体10の表面に塗布またはスプレーする工程、基体10を酸化防止剤に浸漬する工程、或いは、酸化防止剤を基体10に含浸させる工程とすることができる。
酸化防止剤は、加熱により珪酸系ガラスとなるスラリーであり、二酸化珪素の供給源を、水などの液媒体やバインダと混合したものである。二酸化珪素の供給源としては、シリカ粉末、ガラス粉末(ガラスフリット)、粘土を単独で使用し、或いは、複数を併用することができる。また、酸化防止剤の原料には、上記の成分に加えて、他の成分を含有させることができる。酸化ホウ素(B)の添加により、ガラスの粘性(流動性)や耐久性を調整することができる。アルカリ金属の酸化物(NaO、KO、LiOなど)は、ガラスの粘性を低下させると共に、ガラス転移点を低下させる。アルカリ土類金属の酸化物(CaO、MgO、BaO、SrOなど)は、ガラスの化学的耐久性を高めると共に、ガラスの非結晶化・結晶化に影響を及ぼす。酸化アルミニウムは、ガラスの化学的耐久性を高める効果がある。
第一熱処理工程は、二酸化珪素を加熱により溶融させてから、ガラス転移点より低い温度まで冷却することにより、珪酸系ガラスとする工程である。第一熱処理工程では、酸化防止剤で被覆した基体10を、空気雰囲気において約100℃の温度で加熱して酸化防止剤中の液媒体を除去する乾燥処理を行った後、1000℃~1200℃まで昇温して所定時間加熱し、その後冷却する。この処理によって、酸化防止剤に含まれる二酸化珪素が溶融して基体10の表面に拡がった後、固化して珪酸系ガラスとなることより、緻密で気密性が高い酸化防止層21が、基体10の表面に密着して形成される。
第二コーティング工程は、基体10の表面のうち、両方の端面S1及び外周面S2に付着防止剤を塗布またはスプレーする工程とすることができる。
付着防止剤は、高耐火性材料の粉末を、水などの液媒体やバインダと混合したスラリーである。高耐火性材料は融点が1600℃以上の酸化物セラミックスであり、ジルコン(ZrSiO)、ムライト(3Al・2SiO)、ジルコニア(ZrO)、アルミナ(Al)、これらのうちの二以上の混合物、を例示することができる。以下に、上記の酸化物セラミックスの融点を示す。
ジルコン:2430℃
ムライト:1850℃
ジルコニア:2715℃
アルミナ:1840℃
第二熱処理工程は、高耐火性材料の粒子を珪酸系ガラスの酸化防止層21に固着することによって、酸化防止層21の上に付着防止層22を積層する工程である。第二熱処理工程は、酸化防止層21で被覆された基体10を、空気雰囲気において約100℃の温度で加熱して付着防止剤中の液媒体を除去する乾燥処理を行った後、800℃~1000℃まで昇温して所定時間加熱し、その後冷却する。この処理によって、酸化防止層21の珪酸系ガラスが多少軟化して、高耐火性材料の粒子が接着された後、その状態で珪酸系ガラスが固化することにより、酸化防止層21の外側に高耐火性材料の付着防止層22が積層される。
以上の工程を経て、次の構成の蓄熱体1を得ることができる。すなわち、炭化珪素質セラミックス焼結体で形成されたハニカム構造体である基体10と、基体10の表面を被覆している珪酸系ガラスの酸化防止層21と、酸化防止層21で被覆された基体10の表面のうちセル15が開口している端面S1と外周面S2において、高耐火性材料を含む付着防止層22が酸化防止層21に積層されている構成である。
このような構成により、蓄熱体1が酸素の存在する雰囲気において高温下で使用されても、基体10の表面を気密に被覆している珪酸系ガラスの酸化防止層21によって、炭化珪素質セラミックスである基体10が酸化することが防止される。
また、ハニカム構造の蓄熱体1は、使用現場において、蓄熱部の内部に縦横に積み重ねられた状態で使用されるのが一般的である。珪酸系ガラスの酸化防止層21は、高温下で軟化するが、積み重ねられた状態で使用されている蓄熱体1の表面において、隣接する蓄熱体1やケーシングと接触する端面S1及び外周面S2では、酸化防止層21の外側に高耐火性材料の付着防止層22が積層されている。高耐火性材料は蓄熱体1が使用される高温下でも軟化することはないため、付着防止層22の存在によって、蓄熱体1同士の付着や蓄熱体1とケーシングの付着が防止される。
そして、蓄熱体1が熱交換するガスが流通するのはセル15の内部空間であり、セル15の内表面には高耐火性材料の層は積層されていないため、高耐火性材料の層の存在によって、蓄熱体1による熱交換の作用が損なわれるおそれのないものとなっている。
次に、実施例1~7の蓄熱体について、酸化防止効果、及び、付着防止効果を検討した結果を示す。
実施例1~7の試料には、同一条件で作製した基体を使用した。この基体は、骨材としての炭化珪素、及び、炭化珪素を反応生成する珪素源と炭素源とを含む原料を成形し、非酸化性雰囲気で焼成した後、過剰の炭素分を酸化雰囲気下で加熱除去したものである。基体のハニカム構造は、隔壁厚さ0.65mm、セル密度50セル/inchとし、外形は50mm×50mm×50mmの立方体とした。炭素源として使用した炭素質物質の消失跡に気孔が形成されており、隔壁は多孔質である。
上記の実施形態の基体の表面を酸化防止剤で被覆するために、同一組成の酸化防止剤を同一条件で基体に含浸させた(第一コーティング工程)。含浸処理では、まず、密閉できる容器内に基体を収容し、容器内の空気を真空ポンプ等で吸引する。これにより、多孔質の基体の開気孔が脱気される。次に、開閉弁付きのパイプやホースを介して、酸化防止剤のスラリーを、基体が収容されている密閉容器内に導入する。これにより、基体の外表面が酸化防止剤によって被覆されると共に、脱気された開気孔の内部まで酸化防止剤が浸入する。その後、基体から余剰の酸化防止剤を除去した。例えば、基体に連続して振動を与えることにより、或いは、圧縮空気を基体に吹き付けることにより、余剰の酸化防止剤を除去することができる。
酸化防止剤によって表面が被覆された実施例1~7の基体を、約100℃の温度で加熱して乾燥させたのち、1000℃の温度で一定時間加熱し、その後室温まで冷却することにより、酸化防止剤を珪酸系ガラスの酸化防止層とした(第一熱処理工程)。
次に、酸化防止層で被覆された実施例1~7の基体の外周面に、付着防止剤を塗布した(第二コーティング工程)。付着防止剤は、次のように実施例ごとに耐火性材料の種類または平均粒子径を異ならせ、それ以外の条件は同一として調製した。
実施例1:ジルコン、平均粒子径45μm
実施例2:ムライト、平均粒子径400μm
実施例3:ムライト、平均粒子径20μm
実施例4:ジルコンとムライトとを質量比1対1で混合した混合物:平均粒子径35μm
実施例5:ジルコニア、平均粒子径1μm
実施例6:アルミナ、平均粒子径120μm
実施例7:アルミナ、平均粒子径20μm
付着防止剤によって外周面が被覆された実施例1~7の基体を、約100℃の温度で加熱して乾燥させたのち、1000℃の温度で一定時間加熱し、その後室温まで冷却することにより、高耐火性材料を酸化防止層に固着させ付着防止層とした(第二熱処理工程)。
比較例として、酸化防止層のみを有する比較例1と、付着防止層のみを有する比較例2の蓄熱体を作製した。比較例1の蓄熱体は、実施例の基体と同一条件で作製した基体の表面を、実施例と同一の酸化防止剤で被覆し、実施例と同一の条件で第一熱処理工程を行って酸化防止層を形成したが、付着防止層は積層しなかったものである。比較例2の蓄熱体は、実施例の基体と同一条件で作製した基体の外周面に、酸化防止剤を塗布することなく、実施例1と同一の付着防止剤(高耐火性材料:ジルコン)を直接塗布した後、実施例の第二熱処理工程と同一の条件で熱処理を行って付着防止層を形成した。
実施例1~7、及び、比較例1,2の蓄熱体について、耐酸化性を評価する酸化試験、及び、付着性を評価する付着試験を行った。
炭化珪素の分子量は40であり、二酸化珪素の分子量は60であるため、1モルの炭化珪素が酸化して1モルの二酸化珪素となると質量は20g増加する。酸化試験は、このことを利用し、空気雰囲気下での加熱処理の前後の質量変化によって、酸化の度合いを評価するものである。具体的には、温度1300℃まで所定速度で昇温し、その温度にて50時間保持した後、室温まで降温するという操作を1回として、この操作を6回繰り返して加熱時間を計300時間とすることにより、酸化試験を行った。酸化試験の開始前の質量(初期質量)を基準とし、酸化試験後の質量の増加率が1%以下であった場合に耐酸化性を有するとして「〇」で評価し、質量の増加率が1%を超えた場合に耐酸化性に劣るとして「×」で評価した。
付着試験は、各試料について、二つの蓄熱体を互いの外周面が当接するように重ね合わせ、1300℃の温度で12時間保持した後、室温まで降温することにより行った。試験後に、二つの蓄熱体が溶着することなく分離できた場合を、付着が抑制されているとして「〇」で評価し、二つの蓄熱体が溶着していた場合を、付着があるとして「×」で評価した。
また、酸化試験の後に、各試料の蓄熱体の外観を肉眼で観察し、外表面(最外層)に亀裂が殆どない場合を「〇」で、亀裂が僅かに観察される場合を「△」で、亀裂が明確に観察される場合を「×」で評価した。上記の試験及び観察結果を、表1に示す。
Figure 0007247141000001
表1に示すように、これまで得ていた知見の通り、酸化防止層を有する実施例1~7、及び比較例1は耐酸化性を有しており、酸化防止層を備えない比較例2は、耐酸化性に劣っていた。また、付着防止層がなく最外層が酸化防止層である比較例1の外表面は、これまで得ていた知見の通り、亀裂がなく緻密な層であった。
そして、高耐火性材料を含む付着防止層を有する実施例1~7、及び比較例2では、蓄熱体同士の付着が有効に抑制されており、この抑制作用は、高耐火性材料の種類や平均粒子径にはよらないものであった。
ただし、蓄熱体同士の付着が抑制されている試料の一部は、外表面に僅かに亀裂が確認された。具体的には、高耐火性材料がジルコニアである実施例5と、高耐火性材料が共にアルミナであるが平均粒子径が相違する実施例6,実施例7である。このことから、外表面における亀裂の発生には、高耐火性材料の粒子径よりも高耐火性材料の種類が大きく影響するものと考えられた。外表面に亀裂が殆ど観察されなかった実施例1の高耐火性材料はジルコンであり、実施例2,実施例3の高耐火性材料はムライトであり、実施例4の高耐火性材料はジルコンとムライトとの混合物であり、何れも珪素(Si)成分を含んでいる。そのため珪素系ガラスの酸化防止層との親和性が高いことにより、高耐火性材料の付着防止層と酸化防止層との密着性が高く、亀裂の発生が抑制されているものと考えられた。
加えて、ジルコニアやアルミナは、炭化珪素と熱膨張率の差が大きい。具体的には、炭化珪素の熱膨張率が4.0~4.5(×10-6K)であるのに対し、ジルコニア及びアルミナの熱膨張率は、それぞれ10.5(×10-6K)及び7.2(×10-6K)である。そのため、蓄熱体が高温下におかれたときの基体(炭化珪素質セラミックス焼結体)と付着防止層の熱膨張率の差異も、付着防止層における亀裂の発生の一因であると考えられた。一方、亀裂が殆ど発生しなかった試料の高耐火性材料であるジルコン及びムライトの熱膨張率は、それぞれ4.5(×10-6K)及び5.0(×10-6K)であり、炭化珪素の熱膨張率と値が近い。そのため、蓄熱体が高温下におかれたとき、基体と付着防止層が同程度に熱膨張し、冷却されるときも同程度に熱収縮するため、付着防止層における亀裂の発生が抑制されていると考えられた。なお、酸化防止層の珪酸系ガラスは、加熱により軟化して延びるため、基体の熱膨張に追従すると考えられる。
付着防止層の表面に亀裂が生じていると、蓄熱体の使用に伴い付着防止層が剥離しやすく、付着防止の効果が低減するおそれがある。そのため、付着防止層に含める高耐火性材料としては、融点が1600℃以上の酸化物セラミックスのうち、珪素成分を含む材料が好適である。また、付着防止層に含める高耐火性材料としては、融点が1600℃以上の酸化物セラミックスのうち、熱膨張率が炭化珪素の熱膨張率と近い材料が好適である。これら二つの条件の両方を満たす材料として、ジルコン及びムライトは、付着防止層に含める高耐火性材料として特に好適であり、それぞれ単独で、或いは混合して使用することができる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
例えば、実施例の蓄熱体では、酸化防止層で被覆された基体の表面のうち、外周面にのみ付着防止層を形成したが、これは付着試験に必要な面を考慮したものであり、実際の使用現場で蓄熱部に縦横に積み重ねられる蓄熱体に対しては、外周面に加えてセルが開口する端面にも付着防止層が形成される。
また、実施例の蓄熱体について、その断面を走査型顕微鏡で観察したところ、酸化防止層は緻密な層であるのに対し、付着防止層は多孔質層であることが確認された。このことから、炭化珪素質セラミックス焼結体を基体とする蓄熱体の酸化を抑制するためには、基体を気密に被覆する珪酸系ガラスの酸化防止層が必須であることが明らかであると共に、蓄熱体と熱交換するガスが、付着防止層の気孔を介して基体にアクセスすることができると考えられる。
そのため、ハニカム構造体である基体では、セルの内表面において酸化防止層の外側に付着防止層を積層しても、高耐火性材料の層の存在によって蓄熱体による熱交換の作用が損なわれる程度はさほど大きくないとも考えられる。セルの内表面においても付着防止層が積層されていることにより、熱を回収する排ガスにダスト等の異物が含まれていた場合に、軟化した珪酸系ガラスに異物が付着することによってセルが目詰まりしてしまうおそれを、防止することができる。
また、同様の考え方に基づき、図3に示すように、炭化珪素質セラミックス焼結体で形成された中実ボールの基体10bに、酸化防止層21と付着防止層22が積層されている蓄熱体2とすることができる。高耐火性材料の付着防止層22が多孔質層であることにより、付着防止層22の存在によって蓄熱体2による熱交換の作用が損なわれることを懸念することなく、酸化防止層21によって基体の酸化を抑制し、且つ、付着防止層22の存在によって蓄熱体同士の付着、蓄熱体とケーシングとの付着、蓄熱体への異物の付着を抑制することができる。
1 蓄熱体
2 蓄熱体
10 基体
11 隔壁
15 セル
21 酸化防止層
22 付着防止層
S1 端面
S2 外周面

Claims (3)

  1. 炭化珪素質セラミックス焼結体の基体と、
    該基体の表面を被覆している珪酸系ガラスの酸化防止層と、
    該酸化防止層の少なくとも一部を外側から被覆している付着防止層と、を備え、
    該付着防止層は、融点が1600℃以上の酸化物セラミックスである高耐火性材料を含んでおり、
    前記基体は、単一の方向に延びて列設された隔壁により区画された複数のセルを備えるハニカム構造体であり、
    前記酸化防止層は、前記セルの内表面を被覆しているのに対し、
    前記付着防止層は、前記セルの内表面では前記酸化防止層を被覆していない
    ことを特徴とする蓄熱体。
  2. 前記高耐火性材料は、ジルコン、ムライト、または、ジルコンとムライトとの混合物である
    ことを特徴とする請求項1に記載の蓄熱体。
  3. 炭化珪素質セラミックス焼結体で形成された基体の表面に、二酸化珪素を含有する酸化防止剤を被覆する第一コーティング工程と、
    該第一コーティング工程を経た前記基体を加熱し、二酸化珪素を溶融してから冷却することにより前記酸化防止剤を珪酸系ガラスの酸化防止層とする第一熱処理工程と、
    該第一熱処理工程を経た前記基体の表面の少なくとも一部を、融点が1600℃以上の酸化物セラミックスである高耐火性材料を含む付着防止剤で、前記酸化防止層の外側から被覆する第二コーティング工程と、
    該第二コーティング工程を経た前記基体を加熱し、前記酸化防止層の珪酸系ガラスを軟化させて前記高耐火性材料を接着し、その後の冷却により珪酸系ガラスを固化させることにより、前記酸化防止層に付着防止層を固着する第二熱処理工程と、を具備し、
    前記基体、単一の方向に延びて列設された隔壁により区画された複数のセルを備えるハニカム構造体とし
    前記酸化防止層、前記セルの内表面を被覆るのに対し、
    前記付着防止層は、前記セルの内表面で前記酸化防止層を被覆しな
    ことを特徴とする蓄熱体の製造方法
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