JP3062139B2 - 積層セラミックスの製造方法 - Google Patents

積層セラミックスの製造方法

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JP3062139B2 JP9305979A JP30597997A JP3062139B2 JP 3062139 B2 JP3062139 B2 JP 3062139B2 JP 9305979 A JP9305979 A JP 9305979A JP 30597997 A JP30597997 A JP 30597997A JP 3062139 B2 JP3062139 B2 JP 3062139B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、強度等の機械的特
性に優れ、高温下での耐酸化性、耐食性も備えた構造用
材料に適した積層セラミックスの製造方法に関し、特に
高温ガスタービン用部材又は自動車エンジン用部材ある
いは超高速航空機用耐熱部材等を製造するための材料と
して好適な積層セラミックスの製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】窒化珪素(SiN)、サイアロン(Si
−Al−O−N)、炭化珪素(SiC)などの非酸化物
セラミックスは、高温における耐熱性、耐熱衝撃性及び
耐クリープ特性に優れ、このような優れた機械特性から
ガスタービン用部品などの構造部材への適用が期待され
ている。しかし、非酸化物セラミックスは、1500℃
前後もしくはそれ以上の温度になると、酸化の進行によ
る劣化が問題となるため、高温での利用には支障が生じ
る。これに対し、酸化物セラミックスは耐熱性、耐酸化
性に優れているが、高温における強度、靭性等の機械的
特性が低い。従って、非酸化物セラミックスも酸化物セ
ラミックスも、単独では耐熱性及び耐酸化性と高温下で
の使用に耐える機械特性との双方を満足させることがで
きない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、非酸化物セラ
ミックスの表面に酸化物層を形成すれば、耐酸化性及び
耐食性が改善され、高温での使用に耐える機械部品材料
となることが期待される。
【0004】しかし、一般的な酸化物セラミックスで
は、非酸化物セラミックスより酸化物セラミックスの方
が熱膨張率が大きく他の物性も異なるため、単純に積層
して焼結したのでは、焼結−冷却過程で生じる残留応力
(酸化物層側に生じる引っ張り応力)によって割れを生
じる。従って、非酸化物セラミックスと酸化物セラミッ
クスとの接合、一体化は難しい。又、特定の非酸化物セ
ラミックスと酸化物セラミックスの組合せにおける接
合、一体化が可能となっても、他の組合せにおいて同様
の処方が使用可能なわけではない。従って、実用に適し
た満足な特性を有する積層セラミックスを開発するのは
困難を極める。
【0005】本発明は、この様な従来技術の課題を解決
するためになされたもので、強度及び耐熱性に優れ、高
温下での酸化及び腐食に充分耐え長時間使用可能な機械
部品材料を簡易に提供することを目的とするものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、炭化珪素を主
成分とする非酸化物セラミックスと希土類元素珪酸化合
物:RE2 SiO5 (式中のREは、Y,Yb,Er及
びDyからなる群より選ばれる希土類元素)の層とを、
特定の状態にある酸化珪素層を用いて一体化できること
を見いだし、本発明の積層セラミックス及びその製造方
法を発明するに至った。
【0007】本発明の積層セラミックスの製造方法は、
炭化珪素を含有する第1層上に、該第1層に対して化学
結合性を有する酸化珪素を含有する第2層を形成する工
程と、一般式:RE2 SiO5 (但し、式中のREは、
Y,Yb,Er及びDyからなる群より選ばれる希土類
元素を示す)で表される希土類珪酸化合物を含有する第
3層を該第2層に接触させて加熱することによって該第
1層と該第3層とを一体化する工程とを有する。
【0008】又、本発明の積層セラミックスの製造方法
は、炭化珪素を含有する第1層の表面を酸化して酸化珪
素を含有する第2層と該第1層との複層体を形成する工
程と、一般式:RE2 SiO5 (但し、式中のREは、
Y,Yb,Er及びDyからなる群より選ばれる希土類
元素を示す)で表される希土類珪酸化合物を含有する第
3層を該複層体の該酸化珪素層に接触させて加熱するこ
とによって該第1層と該第3層とを一体化する工程とを
有する。
【0009】更に、本発明の積層セラミックスの製造方
法は、炭化珪素を含有する第1層を酸化性雰囲気中で加
熱して該第1層の表面を酸化することにより該第1層と
酸化珪素を含有する第2層とを有する複層体を形成する
工程と、一般式:RE2 SiO5 (但し、式中のRE
は、Y,Yb,Er及びDyからなる群より選ばれる希
土類元素を示す)で表される希土類珪酸化合物を含有す
る第3層を該複層体の該第2層に接触させて加熱するこ
とによって該第1層と該第3層とを一体化する工程とを
有する。
【0010】上記第1層は炭化珪素を含有する焼結体で
あり、該第1層の表面を酸化する加熱は1350〜17
00℃の温度で1〜500時間行われ、前記第1層と前
記第3層とを一体化する加熱は、1400〜1700℃
の温度で行われる。
【0011】
【発明の実施の形態】炭化珪素は、高温強度に優れるセ
ラミックスであり、高温での耐酸化性、耐食性が改善さ
れれば好適な機械部品材料となる。これは、耐酸化性、
耐食性を有する酸化物系セラミックスで炭化珪素表面を
被覆することにより実現され、このための酸化物とし
て、複合酸化物である希土類元素の珪酸化合物(RE2
SiO5又はRE2 Si27 、式中のREは、Y,Y
b,Er及びDyからなる群より選ばれる希土類元素を
示す)が適していることを本発明者らは見出している。
上記希土類元素の珪酸化合物(以下、本願においては希
土類元素の珪酸化合物を単にシリケートと称する)は耐
酸化性に優れ、熱膨張係数が炭化珪素に近く、熱膨張挙
動が類似している。但し、炭化珪素とシリケートとは直
接接触させて加熱しても接合されないため、本願出願人
は特願平8−262342号において、炭化珪素とシリ
ケートとの界面にアルミナを介在させて加熱処理するこ
とによって接合する方法を提案している。しかし、ガス
タービン等の高温で長時間使用される部材を考えると、
アルミナより酸素透過性の低い酸化珪素等の材料を接合
材として用いることが望まれる。そこで、本願出願人
は、特願平9−162900号において、炭化珪素層と
希土類元素の珪酸化合物:RE2 Si27 (式中のR
Eは、Y,Yb,Er及びDyからなる群より選ばれる
希土類元素を示す。以下、この珪酸化合物を単にジシリ
ケートと称する)の層との間に酸化珪素(SiO2)層
を介在させて加熱処理することによって炭化珪素層とジ
シリケート層とを接合して積層セラミックスを得ること
を提案している。この積層セラミックスは耐熱性及び温
度変化に対する安定性も優れた材料であるが、ジシリケ
ートの緻密化が比較的難しいことを考慮して、本願出願
人は更に、炭化珪素層と希土類元素の珪酸化合物:RE
2 SiO5 (式中のREは、Y,Yb,Er及びDyか
らなる群より選ばれる希土類元素を示す。以下、この珪
酸化合物を単にモノシリケートと称する)の層とを接合
した積層セラミックスの開発を試みた。
【0012】ところが、モノシリケートと炭化珪素との
界面に酸化珪素粉末の層を介在させて加熱しても、酸化
珪素が加熱中にモノシリケートに吸収されてしまって界
面に残らず、モノシリケートと炭化珪素とは接合されな
い。ディッピング法、電気泳動法あるいはゾル−ゲル法
を用いて酸化珪素微粉末を炭化珪素に堆積させた場合で
あってもモノシリケートとの接合は形成されない。この
ような状況において、鋭意研究が重ねられた結果、酸化
珪素がモノシリケートに吸収されるのは炭化珪素と酸化
珪素との接合が微弱であるためで、炭化珪素との接合が
強固な酸化珪素層を用いた場合には炭化珪素とモノシリ
ケートとを一体化できることが判明し、本発明に係る積
層セラミックの製造方法を提案するに至った。
【0013】即ち、本発明は、原子分子水準で炭化珪素
基材と強固に接合している酸化珪素層を介在させて炭化
珪素基材とモノシリケート層とを加熱焼結して接合する
ものであり、これにより加熱中における酸化珪素の消失
が抑制されて好適に接合された積層セラミックスが製造
される。
【0014】以下、本発明についてさらに詳細に説明す
る。
【0015】本発明において炭化珪素層とモノシリケー
ト層との接合に用いられる酸化珪素は、加熱中にモノシ
リケート層に吸収され消失するのを防止するために、炭
化珪素層と強固な接合状態にある酸化珪素層が用いられ
る。この強固な接合状態にある酸化珪素層を厳格に規定
するのは容易ではないが、本発明者は、炭化珪素層に対
して化学結合性を有する酸化珪素層が適切な規定と考え
ており、「化学結合性を有する層」とは、化学結合によ
って接合された層又は化学吸着(化学的結合力の作用に
よる吸着)による接合状態あるいはこれと同等の状態に
ある層を意味する。
【0016】本発明における「炭化珪素層に対して化学
結合性を有する酸化珪素層」の具体例としては、例え
ば、炭化珪素基材を酸化性雰囲気中で加熱して表面を酸
化することにより形成される酸化珪素層や、炭化珪素層
上に酸化珪素粉末を積層して予備焼結した酸化珪素層を
挙げることができる。あるいは、炭化珪素基材の表面を
予め清浄化処理した後にCVD製膜法により形成した酸
化珪素層も用いることができる。炭化珪素基材を酸化性
雰囲気中で加熱すると、酸素が表面から炭化珪素焼結体
に浸入して炭素との置換が進行することによって酸化珪
素が生成し、酸化珪素の層が形成された複層体が得られ
る。この結果、複層体は酸化珪素層と炭化珪素との間に
共有結合又はイオン結合が存在する状態となり、両層は
強固に接合される。他方、炭化珪素上に酸化珪素粉末を
積層して予備焼結した場合、酸化珪素粉末が溶融して炭
化珪素に融着し、冷却によって炭化珪素と強固に接合し
た緻密な酸化珪素層が形成される。又、CVD製膜法に
よって形成した酸化珪素層は、原子分子水準で酸化珪素
分子が密着堆積し、炭化珪素に強固に接合する。このよ
うにして炭化珪素上に設けられた酸化珪素層にモノシリ
ケート層を形成して加熱焼結すると、酸化珪素がモノシ
リケート層が消失せずに接着剤のように働き炭化珪素と
モノシリケート層とが良好に接合される。
【0017】炭化珪素とモノシリケートとの接合は、炭
化珪素層とモノシリケート層との間に酸化珪素薄層を介
在させて加熱することにより達成されるが、炭化珪素の
焼結温度は2000℃前後で、シリケートや酸化珪素の
焼結温度よりかなり高いため、接合する炭化珪素基材
は、炭化珪素を含有する粉末を成形し予め焼結した焼結
体であることが好ましい。
【0018】又、炭化珪素基材の表面酸化によって酸化
珪素層を形成する場合は、酸化性環境で基材の劣化等が
進行し易いことなどを考慮して、炭化珪素粉末を成形し
焼結して得られる緻密な炭化珪素焼結体を炭化珪素基材
として用い、これに酸化珪素層を形成するのが好まし
い。用いる炭化珪素焼結体は、純粋な炭化珪素である必
要はなく、不純物が混入していてもよく、又、焼結助剤
等の添加剤を用いて調製した焼結体も使用できる。又、
反応焼結法によって作製した炭化珪素焼結体のように内
部に未反応の珪素が残留するものであってもよい。ある
いは、繊維強化材のような複合材であってもよい。生成
する酸化珪素層の性状は、酸化条件、炭化珪素焼結体に
含まれる助剤の種類や添加量等によって変化し、クリス
トバライト相やアモルファス相等の酸化珪素層が形成さ
れる。純粋な炭化珪素を加熱酸化すると、結晶性クリス
トバライト相の酸化珪素層が生じ、ホウ素等の少量の不
純物等が存在すると、それらを含んだアモルファス相の
酸化珪素層が形成され易い。いずれの相の酸化珪素層で
あっても良好に炭化珪素とモノシリケートとを接合する
ことができる。
【0019】上述のような炭化珪素焼結体を酸化性雰囲
気中で加熱することにより表面が酸化される。加熱温度
が高くなると酸化速度が上昇するが、表面酸化処理を行
う温度がクリストバライト相の酸化珪素の融点(171
3℃)を越えると発泡等により良好な層が形成されず、
又、急激な腐食による劣化が進行する。この様なことを
考慮すると、加熱温度は約1350〜1700℃の範囲
が好ましい。酸化時間が長くなれば形成される酸化珪素
層の厚さが厚くなり、詳細には、生成する酸化珪素層の
厚さは加熱時間の1/2乗に比例する。炭化珪素層とモ
ノシリケート層とを良好に接合するためには、形成する
酸化珪素層の厚さは1μm以上、好ましくは約2μm以
上に調整するのがよい。厚い酸化珪素層を形成するには
高温且つ長時間での表面酸化処理を必要とするので、必
要以上に厚い層を形成するのは経済的でない。又、得ら
れる積層セラミックスの特性の点でも好ましくないの
で、約100μm以下とするのが好適である。上述した
加熱温度で1〜500時間程度加熱することにより、上
述のような好適な厚さの酸化珪素層を得ることができ
る。酸化処理温度が低く且つ処理時間が短いと、形成さ
れる酸化珪素層が充分な厚さに至らず、後のモノシリケ
ート層との加熱処理で得られる積層セラミックスにおい
てセラミックス内部及び接合界面で亀裂が生じる。尚、
炭化珪素焼結体の内部に未反応の珪素が残留する場合に
は、珪素の融点(1400℃)未満の加熱温度で表面酸
化処理を行わなければならず、所望の厚さの酸化珪素層
を得るために500時間程度の長時間の加熱が必要とな
る。表面酸化処理を行う酸化性雰囲気は、純酸素雰囲気
でも大気のような酸素を少量含有する雰囲気であっても
よい。
【0020】上述のように酸化珪素層を形成した炭化珪
素基材は、酸化珪素層とモノシリケート層とが接触する
ように重ねて加熱することによってこれらは焼結され、
酸化珪素が接着剤のように作用して、本発明の炭化珪素
基材とモノシリケート層とが接合された積層セラミック
スが得られる。
【0021】接合するモノシリケート層として、モノシ
リケート粉末を加圧圧縮により適切な形状に成形した圧
粉体、又は、希土類酸化物:RE23 (但し、式中の
REは、Y,Yb,Er及びDyからなる群より選ばれ
る希土類元素を示す)の粉末と酸化珪素粉末とが1:1
の混合比(モル比)となるように調合したモノシリケー
ト組成の混合粉末の圧粉体を用いることができ、このよ
うな圧粉体を炭化珪素基材の酸化珪素層上に重ねて加熱
する。希土類酸化物と酸化珪素との混合圧粉体をモノシ
リケートの焼結温度に加熱すると、モノシリケートが生
成すると同時に焼結が進行するので、結果的にモノシリ
ケート圧粉体を用いた場合と同じである。あるいは、電
気泳動等の手法を用いてモノシリケート粉末を炭化珪素
基材の酸化珪素層上に堆積させることにより酸化珪素層
上にモノシリケート層を積層してもよい。炭化珪素焼結
体は導電性を有するので、炭化珪素焼結体を負極として
モノシリケート懸濁液中に浸漬して直流電圧を印加する
と、電気泳動効果によりモノシリケート粒子が炭化珪素
焼結体表面の酸化珪素層上に引き付けられ、モノシリケ
ート層が形成される。電気泳動法によるモノシリケート
層の形成は、厚さ数百μm程度の薄層を形成するのに適
しており、印加する電圧や印加時間の調節によって形成
する酸化珪素層の厚さを容易に制御できる。又、接合界
面が曲面の場合にも均一なモノシリケート層を形成する
ことができるので、極めて有用である。
【0022】炭化珪素基材とモノシリケート層とを酸化
珪素によって接合する加熱処理の温度は、約1400〜
1700℃に設定するのが好ましい。加熱と同時に加圧
するホットプレス焼結を行ってもよい。酸化珪素は、加
熱によって、一部は炭化珪素及びモノシリケートと反応
もしくは固溶し、炭化珪素層及びモノシリケート層に対
して接着剤のように作用して両層を接合する。
【0023】上述の方法によって得られる積層セラミッ
クスは、モノシリケート層によって炭化珪素層の酸化に
よる劣化が防止され、高温での機械的特性と耐酸化性を
兼ね備えた構造材料となる。又、モノシリケートは緻密
な層を形成し易いので、モノシリケート層によって、強
度の低下が抑えられ酸化に対してより高い耐性をもった
積層セラミックスとなる。
【0024】接合された積層セラミックスは、熱膨張係
数の違いによる残留応力の発生が少ない安定した積層体
であるが、急激な温度変化による亀裂の発生等を防止す
るために、加熱後の冷却は穏やかに行うのが好ましい。
【0025】本発明においては、焼結助剤、潤滑剤等の
通常用いられるような添加物を一般的な手法に従って使
用することが可能であり、炭化珪素及びジシリケートを
各々主成分とする2層を良好に接合することができる。
【0026】
【実施例】以下、実験例により、本発明をさらに詳細に
説明する。
【0027】[炭化珪素焼結体の製造]炭化珪素粉末9
8重量部に、焼結助剤としてホウ素粉末1重量部及び炭
素粉末1重量部を添加し、ボールミルで湿式混合した後
乾燥して炭化珪素混合粉末を得た。この粉末をカーボン
モルドに均一に充填し、1気圧のアルゴン雰囲気中で2
000℃に保持して、40MPaのプレス圧で60分間
ホットプレス焼結を行って、寸法が30mm×40mm×5
mmの炭化珪素焼結体を得た。これを研削研磨して30mm
×40mm×3mmの炭化珪素片を得た。
【0028】[酸化珪素層の形成]アルミナ炉心管の水
平型環状炉に酸素気流を100mm/分の速度で流通さ
せ、この中に上述で得た炭化珪素片を配置して加熱する
ことにより表面を酸化し、厚さが1〜200μmの酸化
珪素層を有する炭化珪素片を作製した。生成する酸化珪
素層の厚さは加熱温度及び時間によって変化するので、
加熱温度及び時間を調節して所望の厚さに形成した。
尚、上述の操作においては、酸化珪素層の厚さは、15
00℃×1時間の加熱処理で2μm、1550℃×3時
間で20μm、1650℃×24時間で200μmとな
った。
【0029】[モノシリケート層の調製]各希土類元素
について、希土類酸化物粉末:RE23 (式中のRE
は、Y,Yb,Er及びDyからなる群より選ばれる希
土類元素を示す)と酸化珪素(SiO2 )粉末とを、混
合比(モル比)が1:1となるようにボールミル中で混
合した後乾燥して、シリケート層4種(Y2 SiO5
Yb2 SiO5 ,Er2 SiO5 ,Dy2 SiO5 )を
形成するための混合粉末を調製した。各々の混合粉末の
一部は、アルゴン雰囲気中で1300〜1500℃で仮
焼してモノシリケート化し、粒径1μm以下の微粉末と
なるように遊星ボールミルを用いて粉砕してモノシリケ
ート粉末4種を得た。
【0030】上記混合粉末4種及びモノシリケート粉末
4種の各々を金型に投入して、10MPaのプレス圧力
でコールドプレスにより加圧成形して8種類の圧粉成形
体を得た。これらを、以下の試料作製においてモノシリ
ケート層として用いた。
【0031】[試料作製]表1に従って、試料1〜20
の各試料を下記の操作によって作製した。
【0032】(試料1〜20)試料1〜20の各々につ
いて、表1に示す厚さの酸化珪素層を有する炭化珪素焼
結体をカーボンモールドに入れ、表1に示すモノシリケ
ート組成の混合粉末による圧分成形体を酸化珪素層上に
重ね、アルゴン雰囲気中で表1に記載する加熱温度に加
熱しながら30MPaのプレス圧で1時間ホットプレス
焼結した後、室温まで徐々に冷却して試料1〜20の積
層セラミックスを得た。
【0033】[評価]試料1〜20の積層セラミックス
の炭化珪素層、酸化珪素層及びシリケート層の状態につ
いて、目視及び顕微鏡による検査において以下のA〜D
のいずれに該当するかによって評価を行った。評価の結
果を表1に記載する (A) 炭化珪素層、酸化珪素層及びモノシリケート層
が良好に接合され、顕微鏡での観察でも亀裂等の欠陥が
見られない。
【0034】(B) 顕微鏡での観察において炭化珪素
層あるいはモノシリケート層の一部に微少な亀裂が認め
られるが、各層間が良好に接合され、完全に一体化した
積層体である。
【0035】(C) 酸化珪素層が消失し、炭化珪素層
とモノシリケート層との接合界面で剥離した。
【0036】(D) 酸化珪素層に亀裂が生じるか、あ
るいは、酸化珪素層の接合界面で剥離が生じ、一体化さ
れずに分離した。
【0037】
【表1】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 試料 モノシリケート 酸化珪素層 加熱温度 評価 厚さ(μm) (℃) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1 Y2 SiO5 1 1550 C 2 Y2 SiO5 20 1550 A 3 Y2 SiO5 100 1550 B 4 Y2 SiO5 200 1550 D 5 Y2 SiO5 20 1300 D 6 Y2 SiO5 20 1750 C 7 Yb2 SiO5 1 1500 C 8 Yb2 SiO5 20 1500 A 9 Yb2 SiO5 200 1500 D 10 Yb2 SiO5 20 1750 C 11 Er2 SiO5 1 1600 C 12 Er2 SiO5 20 1600 A 13 Er2 SiO5 100 1600 B 14 Er2 SiO5 200 1600 D 15 Er2 SiO5 20 1300 D 16 Er2 SiO5 20 1750 C 17 Dy2 SiO5 1 1550 C 18 Dy2 SiO5 20 1550 A 19 Dy2 SiO5 200 1550 D 20 Dy2 SiO5 20 1750 C −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 試料1〜20の結果から、炭化珪素層とモノシリケート
層との接合状態は、酸化珪素の量によって変化すること
が解る。試料1、7、11、17のように酸化珪素層の
厚さが1μm以下であるとモノシリケート層への吸収に
より充分な接合作用を果たせず、試料4、9、14、1
9のように200μm以上であると、酸化珪素層の熱挙
動に起因する剥離や亀裂が生じる。これらより、酸化珪
素層が2〜100μmの時に接合状態が良好になる。
【0038】又、試料6、10、16、20のように加
熱温度が1750℃と高い場合には酸化珪素の発泡やモ
ノシリケート層への吸収促進により残存酸化珪素層が減
少し、充分に接合しない。加熱温度が1400〜170
0℃の範囲内であると良好な接合が形成される。
【0039】尚、希土類酸化物粉末と酸化珪素粉末との
混合粉末を仮焼によりモノシリケート化した粉末の圧粉
成形体をモノシリケート層として用いて試料1〜20と
同様の積層セラミックスを作製した場合においても、上
述と同様の結果が得られた。
【0040】更に、試料2の積層セラミックスを用い、
JIS−R1601に準じて大きさが4mm×3mm×40
mmの曲げ試験片を作製した。この際、曲げ試験片の長手
方向が積層セラミックスの接合界面と平行になるように
し、モノシリケート層の厚さが異なる複数種の試験片を
準備した。そして、作製した曲げ試験片のシリケート層
側に引っ張り応力が作用し破壊時の亀裂の進展方向が積
層面に対して垂直になるように、1400℃のアルゴン
雰囲気中で破壊応力を試験片に加えて4点曲げ試験を行
った。この結果、モノシリケート層の厚さがある範囲内
であれば、強度の低下は余り認められないことがわかっ
た。
【0041】又、試料2、8、12、18について、1
400℃の大気雰囲気中で100時間の耐酸化試験を行
ったところ、組成的にも構造的にも変化はなく、安定し
ていた。更に、1500℃の大気雰囲気中での100時
間の耐酸化試験においても安定してしていた。このよう
に、炭化珪素層に強固に接合された酸化珪素層を介して
炭化珪素層とモノシリケート層とを接合することによっ
て、高温での機械特性及び耐酸化性に優れた材料を提供
することが可能である。
【0042】(炭化珪素複合基材による積層セラミック
ス)アルミナ炉心管の水平型環状炉に酸素気流を100
mm/分の速度で流通させ、この中に炭化珪素繊維で複合
化した炭化珪素複合焼結体を配置して1400℃で30
0時間加熱して表面酸化し、厚さ20μmの酸化珪素膜
を形成した。この後、試料1〜20と同様に4種類のモ
ノシリケート層の各々との接合処理を行って、得られた
積層セラミックスを同様に1400℃での4点曲げ試験
を行ったところ、試料1〜20と同様に、モノシリケー
ト層の厚さがある範囲内であれば、強度を余り低下させ
ることなく耐酸化層を積層することが可能であることが
解った。また、この積層セラミックスは複合繊維の効果
により、衝撃力にも強く、高い破壊抵抗性を有するた
め、信頼性を必要とする構造用部材に最適である。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
高温における強度及び耐酸化性に優れた積層セラミック
スが得られ、その工業的価値は極めて大である。また、
本発明によって得られる積層セラミックスは、その優れ
た耐熱性により、高温酸化性雰囲気中で使用される構造
部材用材料として適しており、高品質の機械部品等の供
給が可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 雅礼 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1 株式 会社東芝 研究開発センター内 (56)参考文献 特開 昭58−125667(JP,A) 特開 平7−277861(JP,A) 特開 平10−87364(JP,A) 特開 平10−87386(JP,A) 特開 平11−12050(JP,A) 特開 平2−296770(JP,A) 特開 平10−245288(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 37/00 B32B 18/00 C04B 41/89

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭化珪素を含有する第1層上に、該第1
    層に対して化学結合性を有する酸化珪素を含有する第2
    層を形成する工程と、一般式:RE2 SiO5 (但し、
    式中のREは、Y,Yb,Er及びDyからなる群より
    選ばれる希土類元素を示す)で表される希土類珪酸化合
    物を含有する第3層を該第2層に接触させて加熱するこ
    とによって該第1層と該第3層とを一体化する工程とを
    有することを特徴とする積層セラミックスの製造方法。
  2. 【請求項2】 炭化珪素を含有する第1層の表面を酸化
    して酸化珪素を含有する第2層と該第1層との複層体を
    形成する工程と、一般式:RE2 SiO5 (但し、式中
    のREは、Y,Yb,Er及びDyからなる群より選ば
    れる希土類元素を示す)で表される希土類珪酸化合物を
    含有する第3層を該複層体の該酸化珪素層に接触させて
    加熱することによって該第1層と該第3層とを一体化す
    る工程とを有することを特徴とする積層セラミックスの
    製造方法。
  3. 【請求項3】 炭化珪素を含有する第1層を酸化性雰囲
    気中で加熱して該第1層の表面を酸化することにより該
    第1層と酸化珪素を含有する第2層とを有する複層体を
    形成する工程と、一般式:RE2 SiO5 (但し、式中
    のREは、Y,Yb,Er及びDyからなる群より選ば
    れる希土類元素を示す)で表される希土類珪酸化合物を
    含有する第3層を該複層体の該第2層に接触させて加熱
    することによって該第1層と該第3層とを一体化する工
    程とを有することを特徴とする積層セラミックスの製造
    方法。
  4. 【請求項4】 前記第1層は炭化珪素を含有する焼結体
    であり、該第1層の表面を酸化する加熱は1350〜1
    700℃の温度で1〜500時間行われ、前記第1層と
    前記第3層とを一体化する加熱は、1400〜1700
    ℃の温度で行われることを特徴とする請求項3記載の積
    層セラミックスの製造方法。
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