(本開示の基礎となった知見)
複数の液晶パネル(例えば、第1液晶パネル及び第2液晶パネル)を重ね合わせると、第1液晶パネルと第2液晶パネルとの間隔に応じて視差が発生して画像品位が低下する。視差による画像品位の低下を抑制するには、複数の液晶パネルの間隔を狭くすることが考えられるが、第1液晶パネルと第2液晶パネルとを接着するための接着部材(例えば、OCA:Optical Clear Adhesive)、各液晶パネルの基板(ガラス基板など)、及び、偏光板などの部材があるので、第1液晶パネルと第2液晶パネルとの間隔を狭くすることは困難である。第1液晶パネルと第2液晶パネルとの間隔は、使用される部材の厚みにより決定されるが、例えば、0.4mm~1.0mm程度である。
ここで、液晶表示装置に表示される画像と、視差との関係について、図14A~図14Bを参照しながら説明する。
図14Aは、従来例に係る液晶表示装置において視認される2重像の一例を示す図である。図14Aの(a)は、液晶表示装置に表示される画像の一例であり、背景が黒色(ドット部)でありオブジェクト「A」が白色である画像を示す。図14Aの(b)は、図14Aの(a)に示す画像を斜め視野から見た場合を示している。図14Aの(b)は、ドット部が黒色を表示する画素であり、ドットが形成されていない部分は、白色を表示する画素を示している。図14Aの(a)が示す1マスは、1画素を示す。
図14Aの(a)は、明暗の差又は比が大きい(例えば、コントラストが高い)画像を示している。図14Aの(a)の場合、液晶表示装置を斜め視野から見ると、白色のオブジェクトと黒色の背景との境界に、薄暗い領域(2重像)が形成される。
図14Aの(b)に示すように、液晶表示装置は、第1液晶パネル1000と第2液晶パネル1010とを有する。第1液晶パネル1000は、第2液晶パネル1010より観察者に近い位置に配置される。つまり、監視者は、第1液晶パネル1000側から画像を見る。また、「M表示」は、第1液晶パネル1000(メインパネル)の表示を示しており、「S表示」は、第2液晶パネル1010(サブパネル)の表示を示している。
例えば、光L101は、第1液晶パネル1000及び第2液晶パネル1010とも白色の画素を透過した光である。このとき、観察者は、光L101が白く見える。光L101は、観察者が第1液晶パネル1000を正面から見た場合に、第2液晶パネル1010の白色の画素から出た光と同様の見栄えとなる。つまり、光L101は正面から見た場合と斜めから見た場合とで同様に画像に見える(つまり、同様の明るさである)ので、画質品位の低下には影響しない。図中において、「OK」と示す。
なお、白色の画素とは、例えば、明るさが明るい画素を意味する。つまり、必ずしも白色を表示していることに限定されない。また、以降に示す黒色の画素とは、例えば、白色の画素より明るさが暗い画素を意味する。
また、例えば、光L100は、第1液晶パネル1000の白色の画素及び第2液晶パネル1010の黒色の画素を透過した光である。このとき、観察者は、光L100が薄暗く見える。光L100は、観察者が第1液晶パネル1000を正面から見た場合に、第2液晶パネル1010の黒色の画素から出た光と見栄えが異なる。具体的には、光L100は、第1液晶パネル1000を正面から見た場合に比べ、明るく見える(例えば、薄暗く見える)。つまり、光L100により2重像が見えており、図中において、「NG」と示す。
また、例えば、光L102の光は、第1液晶パネル1000の黒色の画素及び第2液晶パネル1010の白色の画素を透過した光である。このとき、観察者は、光L102が薄暗く見える。光L102は、観察者が第1液晶パネル1000を正面から見た場合に、第2液晶パネル1010の白色の画素から出た光と見栄えが異なる。具体的には、光L102は、第1液晶パネル1000を正面から見た場合に比べ、暗く見える(例えば、薄暗く見える)。つまり、光L102により2重像が見えており、図中において、「NG」と示す。
図14Bは、従来例に係る液晶表示装置において視認される2重像の他の一例を示す図である。図14Bの(a)は、液晶表示装置に表示される画像の他の一例であり、背景が白色でありオブジェクト「A」が黒色(ドット部)である画像を示す。図14Bの(b)は、図14Bの(a)に示す画像を斜め視野から見た場合を示している。
図14Bの(a)は、明暗の差又は比が大きい(例えば、コントラストが高い)画像を示している。図14Bの(a)の場合、液晶表示装置を斜め視野から見ると、黒色のオブジェクトと白色の背景との境界に、薄暗い領域(2重像)が形成される。
図14Bの(b)に示すように、図14Aの(b)と同様に光L103及びL104により2重像が見えてしまう。
上記のように、液晶表示装置がコントラストの高い画像を表示している場合、観察者が第1液晶パネル1000を正面から見ると2重像は見えないが、斜めから見ると視差により2重像(薄暗く見える領域)が見えてしまう。
図14Cは、従来例に係る液晶表示装置において2重像が視認されにくい一例を示す図である。図14Cの(a)は、液晶表示装置に表示される画像の一例であり、背景が灰色(ドット部)でありオブジェクト「A」が白色である画像を示す。図14Cの(b)は、図14Cの(a)に示す画像を斜め視野から見た場合を示している。
図14Cの(a)は、明暗の差又は比が図14A及び図14Bに示す画像に比べ小さい(例えば、コントラストが低い)画像を示している。図14Cの(a)の場合、液晶表示装置を斜め視野から見ると、白色のオブジェクトと灰色の背景との境界に、薄暗い領域(2重像)が形成されにくい。
図14Cの(b)に示すように、図14Aの(b)及び図14Bの(b)と異なり、光L105及びL106による2重像が見えにくい。
上記のように、液晶表示装置がコントラストの低い画像を表示している場合、観察者が第1液晶パネル1000を正面から見ても斜めから見ても、2重像は見えない。
上記特許文献1に記載の液晶表示装置においては、上記の画像による2重像の見え方の違いについては考慮されておらず、斜め視野から映像を見たときに2重像が見えて画像品位の低下することが起こりうる。
本願発明者は、上記の検証により、明暗の差又は比が大きい画像において2重像が発生しやすく、明暗の差又は比が大きい画像において2重像の発生を抑制することで、効果的に液晶表示装置の画像品位を向上させることを見出した。
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
また、本明細書及び図面において、X軸、Y軸及びZ軸は、三次元直交座標系の三軸を表しており、X軸及びY軸は、互いに直交し、かつ、いずれもZ軸に直交する軸である。説明の便宜上、前後方向をX軸方向と一致させ、左右方向をY軸方向と一致させ、上下方向をZ軸方向と一致させ、重力方向(下方向)をZ軸マイナス方向と一致させているが、この対応付けは、本開示に係る液晶表示装置の製造時又は使用時における姿勢を限定するものではない。また、例えば、以下の実施の形態において、「平面視」とは、X軸方向から見ることを意味する。
また、本明細書において、平行などの要素間の関係性を示す用語、および、矩形などの要素の形状を示す用語、並びに、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
(実施の形態)
以下、本実施の形態に係る液晶表示装置について、図1~図11を参照しながら説明する。
[1.液晶表示装置の構成]
まずは、本実施の形態に係る液晶表示装置10の構成について、図1~図10を参照しながら説明する。液晶表示装置10は、静止画及び動画(以下、これらをまとめて画像とも記載する)を表示する表示装置である。液晶表示装置10は、例えば、液晶テレビであるがこれに限定されない。また、液晶表示装置10は、複数の液晶パネルが重ね合わせられた表示部を備え、複数の液晶パネルのそれぞれに画像を表示することで液晶表示装置10として1つの画像(表示画像)を表示する表示装置である。なお、液晶表示装置は、画像表示装置の一例である。
図1は、本実施の形態に係る液晶表示装置10の外観斜視図である。図2は、図1のII-II線における、本実施の形態に係る液晶表示装置10の断面図である。図3は、本実施の形態に係る液晶表示装置10の概略構成を示す模式図である。
図1~図3に示すように、液晶表示装置10は、液晶表示部100と、信号処理部220と、パネルホルダ230と、バックライトユニット240と、筐体250と、スタンド260とを備える。
図2に示すように、液晶表示部100は、第1液晶表示モジュール110と、第2液晶表示モジュール160とを有する。第1液晶表示モジュール110は、第1液晶表示部120と、第1タイミングコントローラ151とを有する。第2液晶表示モジュール160は、第2液晶表示部170と第2タイミングコントローラ201とを有する。本開示における液晶表示装置10は、2枚の液晶パネルが貼り合わされて構成される液晶表示部100を備える。なお、液晶表示装置10が備える液晶パネルは、2枚に限定されず、3枚以上であってもよい。液晶表示部100は、表示部の一例である。
第1液晶表示部120は、第1液晶パネル130と、第1ソースFPC141と、第1ソースドライバ142と、第1ソース基板143と、第1制御FPC144と、第1ゲートドライバ145と、第1制御基板150とを有する表示モジュールである。第1液晶パネル130は、第2液晶パネル180より観察者に近い位置(前側)に配置されたメインパネルであり、ユーザが視認する画像を表示する。なお、第1液晶表示部120は、上記の構成要素を全て有することに限定されず、少なくとも第1液晶パネル130を有していればよい。また、第1液晶パネル130は、第1表示パネルの一例である。
第1液晶パネル130は、ユーザが視認する画像としてカラー画像を表示する。第1液晶パネル130は、液晶が封入された液晶セルを備える液晶パネルである。第1液晶パネル130には、第1ソースFPC141及び第1ゲートFPC(図示しない)が接続されている。第1ソースFPC141及び第1ゲートFPCは、例えば、異方性導電性フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)を用いた熱圧着によって第1液晶パネル130の各種信号線の電極端子と接続されている。
第1ソースFPC141には、第1ソースドライバ142が実装されており、第1ゲートFPCには、第1ゲートドライバ145が実装されている。また、第1ソースFPC141には、第1ソース基板143が接続されている。第1ソース基板143は、複数の電子部品が実装されたプリント基板(PCB:Printed Circuit Board)であり、第1制御基板150に実装された第1タイミングコントローラ151から出力された各種信号を第1ソースFPC141の第1ソースドライバ142に伝達する機能を有する。なお、第1液晶パネル130の駆動方式は、例えばIPS方式等の横電界方式であるが、これに限るものではなく、VA(Vertical Alignment)方式又はTN(Twisted Nematic)方式等であってもよい。
第1タイミングコントローラ151は、信号処理部220から出力される画像データ(例えば、第1出力画像データ)と制御信号とに基づいて、第1ソースドライバ142及び第1ゲートドライバ145に出力する各種信号(画像データ信号及び第1ソースドライバ142及び第1ゲートドライバ145の駆動を制御するためのタイミング信号)を生成する。第1タイミングコントローラ151は、画像データ及びタイミング信号を第1ソースドライバ142に出力し、タイミング信号を第1ゲートドライバ145に出力する。第1ソースドライバ142には、第1ソース基板143を介して各種信号が入力される。
第1ソースドライバ142は、入力されたタイミング信号に基づいて、画像データ信号に応じたデータ電圧(データ信号)を第1液晶パネル130のソース配線(図示しない)に出力する。また、第1ゲートドライバ145は、タイミング信号に基づいて、ゲート電圧(ゲート信号)を第1液晶パネル130のゲート配線(図示しない)に出力する。これにより、カラー画像が第1液晶パネル130に表示される。
第2液晶表示部170は、第2液晶パネル180と、第2ソースFPC191と、第2ソースドライバ192と、第2ソース基板193と、第2制御FPC194と、第2ゲートドライバ195と、第2制御基板200とを有する表示モジュールである。第2液晶パネル180は、第1液晶パネル130よりも観察者から遠い位置(後側)に配置されたサブパネルである。具体的には、第2液晶パネル180は、第1液晶パネル130よりも観察者から遠い位置に配置される。なお、第2液晶表示部170は、上記の構成要素を全て有することに限定されず、少なくとも第2液晶パネル180を有していればよい。また、第2液晶パネル180は、第2表示パネルの一例である。
第2液晶パネル180は、第1液晶パネル130に表示されるカラー画像に対応した画像のモノクロ画像(白黒画像)を、そのカラー画像に同期させて表示する。第2液晶パネル180は、液晶が封入された液晶セルを備える液晶パネルである。第2液晶パネル180は、第2ソースFPC191及び第2ゲートFPC(図示しない)が接続されている。第2ソースFPC191及び第2ゲートFPCは、例えば、異方性導電性フィルムを用いた熱圧着によって第2液晶パネル180の各種信号線の電極端子と接続されている。
第2ソースFPC191には、第2ソースドライバ192が実装されており、第2ゲートFPCには、第2ゲートドライバ195が実装されている。また、第2ソースFPC191には、第2ソース基板193が接続されている。第2ソース基板193は、複数の電子部品が実装されたプリント基板(PCB)であり、第2制御基板200に実装された第2タイミングコントローラ201から出力された各種信号を第2ソースFPC191の第2ソースドライバ192に伝達する機能を有する。
第2タイミングコントローラ201は、信号処理部220から出力される画像データ(例えば、第2出力画像データ)と制御信号とに基づいて、第2ソースドライバ192及び第2ゲートドライバ195に出力する各種信号(画像データ信号及び第2ソースドライバ192及び第2ゲートドライバ195の駆動を制御するためのタイミング信号)を生成する。第2タイミングコントローラ201は、画像データ及びタイミング信号を第2ソースドライバ192に出力し、タイミング信号を第2ゲートドライバ195に出力する。第2ソースドライバ192には、第2ソース基板193を介して各種信号が入力される。
第2ソースドライバ192は、入力されたタイミング信号に基づいて、画像データ信号に応じたデータ電圧(データ信号)を第2液晶パネル180のソース配線(図示しない)に出力する。また、第2ゲートドライバ195は、タイミング信号に基づいて、ゲート電圧(ゲート信号)を第2液晶パネル180のゲート配線(図示しない)に出力する。これにより、モノクロ画像が第2液晶パネル180に表示される。
第1液晶パネル130及び第2液晶パネル180は、マトリクス状に区画された複数の画素によって構成されている。第1液晶パネル130の画素数と第2液晶パネル180の画素数とは同じであってもよいし異なっていてもよいが、メインパネルである第1液晶パネル130における画素数と、サブパネルである第2液晶パネル180における画素数とを同じにするとよい。例えば、第1液晶パネル130における画素と第2液晶パネル180における画素とは、一対一に設けられてもよい。例えば、第1液晶パネル130における画素と第2液晶パネル180における画素とが重なるように配置され、画素の大きさは互いに等しい。以降においては、第1液晶パネル130における画素と第2液晶パネル180における画素とが重なるように配置される例について説明する。なお、第1液晶パネル130が有する画素は第1画素の一例であり第2液晶パネル180が有する画素は第2画素の一例である。
また、第1液晶パネル130を構成する複数の画素のそれぞれは、複数のサブ画素を有する。例えば、複数のサブ画素はそれぞれ、異なる色の光を出射する。本実施の形態では、複数の画素のそれぞれは3つのサブ画素を有する。具体的には、複数の画素のそれぞれは、赤色を出射するサブ画素(R画素)、緑色を出射するサブ画素(G画素)、及び、青色を出射するサブ画素(B画素)を有する。
第1液晶パネル130と第2液晶パネル180とは接着層210によって貼り合わされている。つまり、第2液晶パネル180は、第1液晶パネル130に重ね合わせられる。具体的には、第1液晶パネル130の裏面側の偏光板(図4に示すX軸マイナス側の第1偏光板133)と第2液晶パネル180の前面側の偏光板(図4に示すX軸プラス側の第2偏光板183)とが接着層210によって接着されている。接着層210としては、例えば、OCA等の透明接着剤を用いることができる。なお、第1液晶パネル130と第2液晶パネル180とが所定の空間を開けて固定されている場合も、第1液晶パネル130と第2液晶パネル180とが重ね合わされていることに含まれる。
ここで、図4を用いて、液晶表示装置10の詳細な構成を説明する。図4は、本実施の形態に係る液晶表示装置10の拡大断面図である。図4は、図3の破線で囲まれる領域IVを拡大して示している。
まず、第1液晶パネル130について説明する。図4に示すように、第1液晶パネル130は、一対の第1透明基板131と、第1液晶層132と、一対の第1偏光板133とを有する。
一対の第1透明基板131の各々は、例えばガラス基板であり、互いに対面するように配置されている。本実施の形態において、一対の第1透明基板131のうち第2液晶パネル180側の位置する第1透明基板131がTFT(Thin Film Transistor)等を形成するためのTFT基板である第1TFT基板131aであり、一対の第1透明基板131のうち第2液晶パネル180側とは反対側に位置する第1透明基板131が第1対向基板131bである。
第1TFT基板131aの第1液晶層132側の面には、TFT又は配線等が設けられた第1TFT層134が形成されている。また、第1TFT層134の平坦化層上には、第1液晶層132に電圧を印加するための画素電極が形成されている。本実施の形態では第1液晶パネル130がIPS方式により駆動されるので、第1TFT基板131aには、画素電極だけではなく、対向電極も形成されている。TFT、画素電極及び対向電極等は、画素ごとに形成されている。また、画素電極及び対向電極を覆うように配向膜が形成されている。
第1対向基板131bは、カラーフィルタ135bが形成されたカラーフィルタ基板(CF基板)であり、第1対向基板131bの第1液晶層132側の面には、第1ブラックマトリクス135a及びカラーフィルタ135bを有する第1画素形成層135が形成されている。
第1液晶層132は、一対の第1透明基板131の間に封止されている。第1液晶層132の液晶材料は、駆動方式に応じて適宜選択することができる。第1液晶層132の厚さは、例えば、2.5μm~6μmであるが、これに限るものではない。
第1画素形成層135は、一対の第1透明基板131の間に配置されている。つまり、第1ブラックマトリクス135a及びカラーフィルタ135bは、一対の第1透明基板131の間に配置されている。第1ブラックマトリクス135aには、画素を構成するマトリクス状の複数の第1開口部が形成されている。つまり、複数の第1開口部の各々は、複数の画素の各々に対応している。第1ブラックマトリクス135aは、例えば、各第1開口部の平面視形状が矩形状となるように、格子状に形成されている。
カラーフィルタ135bは、第1ブラックマトリクス135aの第1開口部の内部に形成されている。カラーフィルタ135bは、例えば、赤色用のカラーフィルタ、緑色用のカラーフィルタ、及び、青色用のカラーフィルタによって構成されている。各色のカラーフィルタは、各画素に対応している。
第1液晶層132の液晶材料は、駆動方式に応じて適宜選択することができる。第1液晶層132の厚さは、例えば、2.5μm~6μmであるが、これに限るものではない。
一対の第1偏光板133は、樹脂材料からなるシート状の偏光フィルムであり、一対の第1透明基板131を挟むように配置されている。一対の第1偏光板133は、偏光方向が互いに直交するように配置されている。つまり、一対の第1偏光板133は、クロスニコルで配置されている。一対の第1偏光板133の各々の厚さは、例えば、0.05mm~0.5mmであるが、これに限るものではない。
次に、第2液晶パネル180について説明する。第2液晶パネル180は、一対の第2透明基板181と、第2液晶層182と、一対の第2偏光板183とを有する。
一対の第2透明基板181の各々は、例えばガラス基板であり、互いに対面するように配置されている。本実施の形態において、一対の第2透明基板181のうちバックライトユニット240側に位置する第2透明基板181が第2TFT基板181aであり、一対の第2透明基板181のうち第1液晶パネル130側に位置する第2透明基板181が第2対向基板181bである。第2TFT基板181aは、第1液晶パネル130の第1TFT基板131aと同様の構成である。したがって、第2TFT基板181aの第2液晶層182側の面には第2TFT層184が形成されており、第2TFT層184の平坦化層上には画素ごとに画素電極及び対向電極が形成されている。
第2対向基板181bの第2液晶層182側の面には、第2ブラックマトリクス185aを有する第2画素形成層185が形成されている。第2画素形成層185は、一対の第2透明基板181の間に配置されている。つまり、第2ブラックマトリクス185aは、一対の第2透明基板181の間に配置されている。
第2液晶層182は、一対の第2透明基板181の間に封止されている。第2液晶層182の厚さは、例えば、2.5μm~6μmであるが、これに限るものではない。
第2ブラックマトリクス185aには、画素を構成するマトリクス状の複数の第2開口部が形成されている。つまり、複数の第2開口部の各々は、複数の画素の各々に対応している。第2ブラックマトリクス185aは、例えば、各第2開口部の平面視形状が矩形状となるように、格子状に形成されている。
一対の第2偏光板183は、樹脂材料からなるシート状の偏光フィルムであり、一対の第2透明基板181を挟むように配置されている。一対の第2偏光板183は、クロスニコルで配置されている。一対の第2偏光板183の各々の厚さは、例えば、0.05mm~0.5mmであるが、これに限るものではない。
第1液晶パネル130と第2液晶パネル180との間隔dは、例えば、第1液晶パネル130の第1画素形成層135と第2液晶パネル180の第2画素形成層185との距離として定義される。間隔dは、例えば、第1画素形成層135、第1液晶層132、第1TFT層134、第1TFT基板131a、第1偏光板133、接着層210、第2偏光板183、第2対向基板181bなどの厚みにより決定される。間隔dは、例えば、0.4mm~1.0mm程度である。
図3を再び参照して、信号処理部220は、外部のシステム(図示せず)から送信された入力画像データ(例えば、入力画像信号)を取得し、所定の画像処理を実行した後、第1タイミングコントローラ151にカラー画像を表示するための画像データ(第1出力画像データの一例)を出力するとともに、第2タイミングコントローラ201にモノクロ画像を表示するための画像データ(第2出力画像データの一例)を出力する。つまり、信号処理部220は、取得した入力画像データに基づいて、第1液晶パネル130に対応する第1出力画像データと第2液晶パネル180に対応する第2出力画像データとを生成し、生成した第1出力画像データを第1液晶パネル130に出力し、かつ生成した第2出力画像データを第2液晶パネル180に出力する。詳細は後述するが、本開示は、信号処理部220の処理に特徴を有する。
第1液晶パネル130が第1出力画像データにより表示する画像は、第1画像であり、第2液晶パネル180が第2出力画像データにより表示する画像は、第2画像である。第1画像と第2画像とで、表示画像が生成される。
また、信号処理部220は、第1タイミングコントローラ151と第2タイミングコントローラ201とに、第1液晶パネル130で表示させるカラー画像と第2液晶パネル180で表示させるモノクロ画像とを同期させるための同期信号を含む制御信号を出力する。
信号処理部220は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理回路と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリとを備える制御装置である。信号処理部220は、CPUがメモリに格納されたプログラムを読み出して実行することにより、後述する各種の処理を実行する。
パネルホルダ230は、液晶表示部100を支持し、かつ、光学シート241及び基板242を、バックライトシャーシ244とで挟持する。
バックライトユニット240は、液晶表示装置10が備える光源である。バックライトユニット240は、第2液晶パネル180に対して第1液晶パネル130と反対側(X軸マイナス側)に配置される。つまり、バックライトユニット240は、第2液晶パネル180より観察者から遠い位置に配置され、第1液晶パネル130及び第2液晶パネル180に向けて光を出射する。図2に示すように、バックライトユニット240は、光学シート241と、基板242と、発光素子243と、バックライトシャーシ244とを有する。
光学シート241は、例えば、複数種類の光学特性の異なるシートを重ねて構成される。光学特性の異なるシートとは、例えば、縦方向のプリズムシート、横方向のプリズムシート、及び拡散シートである。これにより、点光源である発光素子243(例えば、LED:Light Emitting Diode)の配光を変えて第1液晶パネル130及び第2液晶パネル180全体にほぼ均一な配光で光を照射することができる。
基板242は、液晶表示装置10のバックライトの光源である複数の発光素子243が配置される基板である。基板242は、例えば、メタルベース基板、セラミック基板、又は、樹脂基板であってもよい。本実施の形態では、基板242は、第2液晶パネル180の後側に配置される。
発光素子243は、バックライトユニット240の光源であり、光を発する素子である。発光素子243は、例えば、青色光を発する青色LEDチップである。発光素子243としては、例えば、InGaN系の材料によって構成された、中心波長(発光スペクトルのピーク波長)が430nm以上480nm以下の窒化ガリウム系のLEDチップが採用される。
バックライトシャーシ244は、上述のパネルホルダ230とで、光学シート241及び基板242を挟持する。
なお、本実施の形態において、バックライトユニット240は、発光素子243としてLEDチップを光源とするLEDバックライトであるが、これに限るものではない。また、バックライトユニット240は、液晶表示部100に対面するように発光素子243が基板242上に二次元状に配列された直下型のLEDバックライトであるが、エッジ型であってもよい。
筐体250は、液晶表示部100(具体的には、第1液晶パネル130)の前面以外の部分を覆う。筐体250は、ポリカーボネートやポリスチレン等の樹脂やアルミニウム合金等の金属が用いられる。
スタンド260は、各構成要素が収容された筐体250を支持する。
ここで、信号処理部220の構成について、さらに図5を参照しながら説明する。図5は、本実施の形態に係る信号処理部220の機能構成を示すブロック図である。
図5に示すように、信号処理部220は、特徴量取得部221とサイズ計算部222と、輝度情報取得部223と、ガンマ補正部224と、拡張部225と、除算処理部226と、乗算器227とを備える。
特徴量取得部221は、取得した入力画像データが示す画像を互いに重ならない複数の仮想ブロックに分割し、複数の仮想ブロックそれぞれについて当該仮想ブロック内の画像における明暗の差又は比を示す特徴量を取得する処理部である。図6は、本実施の形態に係る信号処理部220が画像を複数の仮想ブロックに分割した様子を示す模式図である。
図6は、画像が複数の仮想ブロック270に分割された様子を示している。図6では、1画像が縦4分割、横4分割された例を示しているが、分割数は特に限定されない。また、図6では、複数の仮想ブロック270のそれぞれが同じ形状である例を示しているが、これに限定されない。特徴量取得部221は、画像の中央部と周辺部とで、仮想ブロック270の大きさを変えてもよい。特徴量取得部221は、例えば、人が注視しやすい画像の中央部の仮想ブロック270の大きさを画像の周辺部の仮想ブロック270の大きさより小さく設定してもよい。また、仮想ブロック270の形状は、矩形であることに限定されず、正方形であってもよいし、多角形であってもよいし、円形であってもよい。また、1画像において、異なる形状の仮想ブロック270が混在していてもよい。なお、複数の仮想ブロック270のそれぞれは、2以上の画素130a(画素群)を含んで構成される。仮想ブロック270は、以下に示す第2液晶パネル180が表示する画像にフィルタ処理(例えば、後述する第3領域R3を拡張する処理)を行うために設定される仮想的な領域である。
特徴量は、例えば、画像の明暗の差又は比であり、コントラスト又はコントラストに相当する値である。特徴量は、例えば、仮想ブロック270それぞれに当該仮想ブロック270に含まれる2以上の画素130aの最大輝度と最小輝度との比であってもよいし、最大輝度と最小輝度との差であってもよい。特徴量取得部221は、仮想ブロック270に含まれる2以上の画素130aの最大輝度と最小輝度との差又は比を算出することで明暗の差又は比を示す特徴量を取得する。
なお、特徴量を算出するために用いられる輝度は、当該仮想ブロック270内における最大輝度と最小輝度とに限定されない。特徴量取得部221は、当該仮想ブロック270における画像の明暗の差又は比がわかれば、上記輝度以外の輝度を用いて特徴量を算出してもよい。明るい方の輝度は、最大輝度に限定されず、2番目に明るい輝度であってもよいし、3番目に明るい輝度であってもよいし、複数の明るい輝度(例えば、1つの仮想ブロック270内における明るさが高い上位5つの輝度)の平均値又は中央値などであってもよい。また、最小輝度においても同様である。
特徴量取得部221は、例えば入力画像データ(RGB画像信号)を輝度信号及び色差信号に変換することで、複数の画素130aそれぞれの輝度値を取得する。特徴量取得部221は、入力画像データを、YUV信号、YCbCr信号又はYPbPr信号に変換することで輝度値を取得する。特徴量取得部221は、取得した複数の仮想ブロック270それぞれの特徴量をサイズ計算部222に出力する。以降において、特徴量は、最大輝度と最小輝度との差分である例を説明する。
なお、特徴量取得部221は、例えば、従来から行われている画質調整処理を行ってから特徴量を算出してもよい。特徴量取得部221は、例えば、色(色相、彩度、明度)調整、階調補正、輪郭強調補正、ノイズ除去などの処理を行ってもよい。また、特徴量取得部221が取得する入力画像データは、画質調整処理が行われた画像データであってもよい。なお、特徴量取得部221は、取得部の一例である。
サイズ計算部222は、拡張部225のフィルタサイズを複数の仮想ブロック270それぞれについて決定する処理部である。サイズ計算部222は、例えば、拡張部225における第2液晶パネル180の画像の白表示領域又は黒表示領域を膨らませるときの膨らませ量を決定する決定部である。白表示領域又は黒表示領域を膨らませる処理は、視差による2重像が見えることを抑制するための処理である。なお、以下においては、第3領域R3が白表示領域であり、当該白表示領域を拡張する例について説明する。また、膨らませ量とは、第2液晶パネル180において、後述する注目画素(図9に示す注目画素180aを参照)を周囲画素(図9に示す周囲画素180b)に拡張するときの画素数又は範囲である。
白表示領域は、第2液晶パネル180が所定値以上の透過率で表示を行っている領域、つまり明るい領域である。白表示領域は、例えば、後述する第4輝度より輝度値が高い領域であり、例えば、図10の(a)に示す第3領域R3である。また、黒表示領域は、第2液晶パネル180が所定値より低い透過率で表示を行っている領域、つまり暗い領域である。黒表示領域は、例えば、第4輝度より輝度値が低い領域であり、例えば、図10の(a)に示す第4領域R4である。
なお、詳細は後述するが、サイズ計算部222は、特徴量取得部221から取得した複数の仮想ブロック270それぞれの特徴量に基づいて、複数の仮想ブロック270それぞれの膨らませ量を取得する。図7は、本実施の形態に係る特徴量と膨らませ量との関係の一例を示す図である。具体的には、最大輝度と最小輝度との差(以降において、輝度差とも記載する)と、膨らませ量との関係を示す図である。
図7に示すように、サイズ計算部222は、特徴量が閾値以上である仮想ブロック270において、当該仮想ブロック270内における白表示領域を増加させるように、フィルタサイズを大きくする膨らませ量を決定する。サイズ計算部222は、特徴量(例えば、輝度差)と図7に示す関係とから、当該特徴量に対応する膨らませ量を計算することで、膨らませ量を決定する。また、サイズ計算部222は、例えば、特徴量が高いほど、白表示領域を大きく増加させる。つまり、サイズ計算部222は、特徴量が高いほど、仮想ブロック270において後述する拡張フィルタ処理を行うときのフィルタサイズを大きく決定することで、第3領域R3を広く拡張させる。また、サイズ計算部222は、例えば、特徴量が閾値未満である場合、白表示領域を増加させない。
なお、図7に示す特徴量と膨らませ量との関係は一例であり、これに限定されない。例えば、特徴量と膨らませ量との関係は折れ線ではなく直線であってもよいし、右上がりの曲線であってもよい。また、閾値は、設けられなくてもよい。
サイズ計算部222は、複数の仮想ブロック270それぞれに算出した膨らませ量(例えば、フィルタを膨らませる量であり、図5に示すフィルタサイズ情報)を拡張部225に出力する。なお、サイズ計算部222は、特徴量が閾値未満である場合、例えば、当該仮想ブロック270において白表示領域を増加させない(膨らませ量がゼロである)ことを示す情報を出力してもよい。
輝度情報取得部223は、入力画像データに基づいて、複数の画素それぞれのRGBの最大値から1枚のモノクロ画像(例えば、グレースケール画像)を生成する。輝度情報取得部223は、モノクロ画像データ(モノクロ画像信号)をガンマ補正部224に出力する。モノクロ画像データは、第2出力画像データを生成するための画像データの一例である。
ガンマ補正部224は、モノクロ画像データを、第2液晶パネル180のガンマ特性に合うようにガンマ補正を行い、ガンマ補正したモノクロ画像データを拡張部225に出力する。図8は、入力輝度と出力輝度との関係の一例を示す図である。横軸は、入力データ(ここでは、モノクロ画像データ)の輝度を正規化した入力正規化輝度を示している。入力正規化輝度は、例えば、入力データとして想定される輝度の最小値を0、最大値を1として規定されてもよい。縦軸は、出力データ(ここでは、拡張部225に出力する信号)の輝度を正規化した出力正規化輝度を示している。出力正規化輝度は、例えば、出力データとして想定される輝度の最小値を0、最大値を1として算出される。また、入力データの輝度とは、当該入力データの画像の輝度であり、例えば、画素値である。
図8に示すように、ガンマ補正部224は、第2液晶パネル180に対応するガンマ特性(図中に示す破線)に基づいてモノクロ画像データをガンマ補正する。液晶表示装置10が備える記憶部(図示しない)が図8の「第2液晶パネル」が示す特性に対応するガンマ変換テーブルを記憶しており、ガンマ補正部224は、当該ガンマ変換テーブルを記憶部から読み出し、モノクロ画像の各画素の輝度値(画素値)を入力値として取得し、ガンマ変換テーブルを参照して当該入力値に対応する出力値を取得することでガンマ変換を実行する。ガンマ補正テーブルは、ガンマ補正するためのLUT(ルックアップテーブル)の一例である。なお、図8の例では、第1液晶パネル130に対応するガンマ値は0.2である。また、ガンマ補正されたモノクロ画像データは、中間画像データの一例である。
図5を再び参照して、拡張部225は、特徴量が閾値以上である仮想ブロック270において、第2出力画像データを生成するための、入力画像データに基づくモノクロ画像データに基づいて第2出力画像データを生成する処理部である。具体的には、拡張部225は、サイズ計算部222から取得した膨らませ量及びガンマ補正部224から取得したモノクロ画像データに基づいて、第2出力画像データを生成する。
拡張部225は、後述する拡張フィルタ処理を行うフィルタ処理部225aを有する。具体的には、拡張部225は、仮想ブロック270において、注目画素(図9に示す注目画素180a参照)と当該注目画素の周囲の画素(図9に示す周囲画素180b参照)とからなる領域をフィルタサイズとして、当該フィルタサイズ内で輝度の最大値を注目画素の輝度に設定する処理を実行する。または、拡張部225は、仮想ブロック270において、注目画素と当該注目画素の周囲の画素とからなる領域をフィルタサイズとして、当該フィルタサイズ内の画素の輝度を注目画素の輝度に設定する処理を実行する。以降において、これらの処理を、拡張フィルタ処理とも記載する。また、上記のように、フィルタ処理部225aは、例えば、いわゆるMAXフィルタにより実現される。
拡張部225の処理について図9を参照しながら説明する。図9においては、注目画素180aが白表示を行っている場合について説明する。なお、注目画素180aが黒表示である場合についても同様の処理が行われる。
図9は、本実施の形態に係る特徴量によるフィルタサイズを説明するための図である。図9の(a)は、拡張部225に入力されるモノクロ画像データが示す画像P1である。画像P1は、拡張部225による処理が行われる前の画像である。なお、図9において、便宜上、1つの仮想ブロック270に含まれる複数の画素が25個である場合を図示している。また、注目画素180aは、白表示を行う画素であり、周囲画素180bは、注目画素180aの周囲の画素である。図9の例では、周囲画素180bの数は、24個である。図9の(b)~図9の(d)は、図9の(a)の注目画素180aの明るさを周囲画素180bに広げるときのバリエーションを示している。また、周囲画素180bには、モノクロ画像データに示される明るさ(輝度)とは関係なく、予め定められた明るさが設定されていてもよい。例えば、周囲画素180bには、最低輝度となる明るさが設定される。また、サイズ計算部222は、仮想ブロック270の特徴量と、当該特徴量における膨らませ量(図7参照)とに基づいて、以下に示すフィルタサイズ280を決定する。
図9の(b)は、特徴量が低い(例えば、図7に示す輝度差a1である)場合の画像P2を示す。サイズ計算部222は、フィルタサイズ280を最も狭い範囲に決定する。図9の(b)の例では、フィルタサイズ280は、注目画素180aのみを含む範囲である。
拡張部225は、仮想ブロック270における特徴量が低い場合、例えば、サイズ計算部222から当該仮想ブロック270において、白表示領域を増加させないことを示す情報(フィルタサイズ情報の一例)を取得するので、仮想ブロック270内の画素において、注目画素180aのみが白表示を行うようにフィルタ処理部225aのフィルタサイズを設定する。この場合、フィルタサイズ280は、注目画素180aの輝度値を周囲画素180bに拡張しない。この場合、膨らませ量は、0画素である。
図9の(c)は、特徴量が中間(例えば、図7に示す輝度差a2(>a1))である場合の画像P3を示す。サイズ計算部222は、フィルタサイズ280を特徴量が低い場合より広い範囲に決定する。図9の(c)の例では、フィルタサイズ280は、注目画素180a及び上下左右のそれぞれ1画素ずつを含む範囲である。この場合、膨らませ量は、上下左右の各1画素である。
拡張部225は、仮想ブロック270における特徴量が中間である場合、例えば、サイズ計算部222から当該仮想ブロック270において、白表示領域を1画素増加させることを示す情報を取得するので、注目画素180a及び注目画素180aの上下左右の1画素を白表示とする。言い換えると、拡張部225は、注目画素180aの上下左右の4個の周囲画素180bの明るさを注目画素180aの明るさとするようにフィルタサイズ280を決定する。
図9の(d)は、特徴量が高い(例えば、図7に示す輝度差a3(>a2))である場合の画像P4を示す。サイズ計算部222は、フィルタサイズ280を特徴量が中間である場合より広い範囲に決定する。図9の(d)の例では、フィルタサイズ280は、注目画素180a、上下左右それぞれ2画素ずつ及び斜めそれぞれ1画素ずつを含む範囲である。この場合、膨らませ量は、上下左右それぞれ2画素ずつ及び斜めそれぞれ1画素ずつである。
拡張部225は、仮想ブロック270における特徴量が高い場合、例えば、サイズ計算部222から当該仮想ブロック270においては、白表示領域を特徴量が中間である場合より多い2画素増加させることを示す情報を取得するので、注目画素180aと注目画素180aの上下左右のそれぞれ2画素ずつ及び斜めそれぞれ1画素ずつを白表示とする。言い換えると、拡張部225は、注目画素180aの上下左右及び斜めの合計12個の周囲画素180bの明るさを注目画素180aの明るさとする。
拡張部225は、上記の処理を仮想ブロック270に含まれる複数の画素の全てについて行う。図9の例では、25個の画素の全てについて行う。つまり、1つの画素について、25個の明るさの情報が付与される。拡張部225は、例えば、当該25個の明るさの情報に基づいて当該画素の明るさを決定する。拡張部225は、例えば、当該25個の明るさの最大値、最小値、平均値、又は中央値を当該画素の明るさとしてもよいし、当該25個の明るさの合計値(例えば、輝度信号に基づく輝度値の合計値)に対応する明るさとしてもよい。
なお、拡張部225は、注目画素180aを中心とする矩形領域(例えば、図9の(b)の例では、注目画素180aと当該注目画素180aの上下左右のそれぞれ1画素ずつを含む8個の周囲画素180bとから形成される矩形領域)の画素の明るさを注目画素180aの明るさとしてもよい。
なお、上記では、注目画素180aの明るさを拡張する画素数が異なる例を示したが、拡張部225の処理は、これに限定されない。拡張部225は、例えば、周囲画素180bの明るさを、注目画素180aの明るさに所定の係数をかけることで算出してもよい。所定の係数は、周囲画素180bそれぞれに設けられ、例えば、注目画素180aに近い周囲画素180bほど高い値が設定される。所定の係数は、例えば0以上1以下の値である。拡張部225は、例えば、サイズ計算部222から取得した膨らませ量に応じて周囲画素180bそれぞれの所定の係数を変更してもよい。拡張部225は、例えば、膨らませ量が大きいほど、周囲画素180bそれぞれの所定の係数を高く設定してもよい。
以上のように、本実施の形態に係る拡張部225は、注目画素180aの明るさを周囲画素180bに広げることが可能なフィルタ回路(例えば、2次元フィルタ回路)により形成される。そして、拡張部225は、仮想ブロック270における特徴量に応じて注目画素180aの明るさを広げる範囲を変更する点に特徴を有する。なお、拡張部225は、注目画素180aの明るさを周囲画素180bに広げることができるものであれば、上記のフィルタに限定されない。
図5を再び参照して、拡張部225は、上記の処理を行ったモノクロ画像データを第2液晶パネル180及び除算処理部226に出力する。第2液晶パネル180は、拡張部225から取得したモノクロ画像データに基づいて表示を行う。上記の処理を行ったモノクロ画像データは、第2出力画像データの一例である。
除算処理部226は、取得したモノクロ画像データに基づいて第1液晶パネル130に出力される画像データに所定の処理を行うための情報を乗算器227に出力する処理部である。所定の処理とは、例えば、モノクロ画像データの各画素の輝度値(つまり、ガンマの補正後の輝度値)に対応する、入力画像データの輝度値の補正を行うための情報である。除算処理部226は、除算部の一例である。
図8に示すように、除算処理部226は、第1液晶パネル130に対応するガンマ特性(図中に示す一点鎖線線)に基づいて入力画像データの各画素の輝度値を補正する。液晶表示装置10が備える記憶部(図示しない)が図8の「第1液晶パネル」が示す特性に対応する輝度補正テーブル(ガンマ特性テーブル)を記憶しており、除算処理部226は、当該輝度補正テーブルを記憶部から読み出し、入力画像の各画素の輝度値を入力値として、輝度補正テーブルを参照して入力値に対応する出力値を取得することで輝度補正を実行する。輝度補正テーブルは、輝度補正するためのLUT(ルックアップテーブル)の一例である。
第2液晶パネル180に対応するガンマ値は、例えば、第1液晶パネル130に対応するガンマ値(例えば、0.2)と第2液晶パネル180に対応するガンマ値との合計が1となるように決定されるとよい。図8の例では、第2液晶パネル180に対応するガンマ値は、0.8である。これにより、第1液晶パネル130に表示される画像(例えば、カラー画像)と第2液晶パネル180に表示される画像(例えば、モノクロ画像)とを合成した表示画像(液晶表示装置10として表示する画像)の各画素の輝度値を、入力画像データが示す画像の各角度の輝度値と等しくすることができる(図8に実線で示す「合成」を参照)。つまり、液晶表示装置10は、所望の表示画像を出力することができる。
なお、第1液晶パネル130のガンマ値は、例えば、第2液晶パネル180のガンマ値より大きくてもよい。また、第1液晶パネル130及び第2液晶パネル180のガンマ特性は、図8に示す特性に限定されない。また、第1液晶パネル130に対応するガンマ値は、入力画像データの特性に応じて決定されてもよいし、第1液晶パネル130の表示特性に応じて決定されてもよい。また、第2液晶パネル180に対応するガンマ値は、入力画像データの特性に応じて決定されてもよいし、第2液晶パネル180の表示特性に応じて決定されてもよい。
乗算器227は、入力画像データと、除算処理部226の出力データとを乗算し、乗算したデータを、第1液晶パネル130に出力する演算器である。これにより、第2領域(例えば、図10の(a)に示す第2領域R2)のうち、第3領域R3が拡張された拡張領域に対応する対応領域の明るさを拡張領域の明るさに応じて変更することができる。具体的には、乗算器227は、対応領域の明るさを拡張領域の明るさの変化と逆方向に変化させる。本実施の形態では、拡張領域の明るさは拡張部225により明るくなる方向に変化するので、対応領域の明るさは、乗算器227により暗くなる方向に変化する。乗算器227により乗算された入力画像データは、第1出力画像データの一例である。第1出力画像データは、カラー画像を表示するための画像データである。
ここで、液晶表示装置10が表示する画像について図10を参照しながら説明する。図10は、液晶表示装置10が表示する画像を説明するための図である。図10は、拡張部225が図9の(b)~図9の(d)に示す拡張フィルタ処理を行った場合の第1液晶パネル130及び第2液晶パネル180の表示を示している。また、図10は、1つの仮想ブロック270内の一部の画素のみを図示している。
図10の(a)は、拡張部225による拡張フィルタ処理が行われていない場合の表示を示している。なお、ドットハッチがない画素は、明るい表示(例えば白表示)を行っていることを示しており、ドットハッチがある画素は白表示を行っている画素より暗い表示を行っていることを示している。また、ドットハッチの密度が高いほど暗い表示(輝度が低い表示)を行っていることを示している。液晶表示装置10は、例えば、表示画像として、オブジェクトを白表示(明るい表示)で表示し、背景を黒表示(暗い表示)で表示する画像を表示する。
第1領域R1は、第1液晶パネル130において、第1輝度より明るい第1画素又は第1輝度より暗い第1画素の一方で形成される領域であり、本実施の形態では、第1輝度より明るい第1画素により形成される。第2領域R2は、第1液晶パネル130において、第1領域R1の周囲の領域であって第1輝度より明るい第1画素及び第1輝度より暗い第1画素の他方で形成される領域であり、本実施の形態では、第1輝度より明るい第1画素により形成される。
なお、第1輝度は、予め設定された輝度値であってもよいし、表示する画像ごとに決定されてもよい。また、第1輝度は、複数の仮想ブロック270それぞれに決定されてもよい。例えば、第1輝度は、仮想ブロック270それぞれにおいて当該仮想ブロック270の表示画像における各画素の輝度値に応じて決定されてもよい。第1輝度は、例えば、各画素の輝度値の平均値、中央値などの統計値に応じて決定されてもよいし、当該平均値又は中央値に所定の係数を演算することで決定されてもよい。第1輝度は、例えば、信号処理部220によって決定される。
第3領域R3は、第2液晶パネル180において、表示したときに第1領域R1と重なり、第1領域R1の明るさに応じた明るさを有する領域である。第3領域R3は、第4輝度より明るい第2画素又は第4輝度より暗い第2画素の一方で形成される領域であり、本実施の形態では、第4輝度より明るい第2画素により形成される。第1領域R1が第1輝度より明るい第1画素で形成される場合、第3領域R3が第4輝度より明るい第2画素で形成されることは、第1領域R1の明るさに応じた明るさを有することの一例である。平面視において、第1領域R1と第3領域R3とは、重なっている。
第4領域R4は、第2液晶パネル180において、表示したときに第2領域R2と重なり、第2領域R2の明るさに応じた明るさを有する領域である。第4領域R4は、第4輝度より明るい第2画素又は第4輝度より暗い第2画素の他方で形成される領域であり、本実施の形態では、第4輝度より暗い第2画素により形成される。第2領域R2が第1輝度より暗い第1画素で形成される場合、第4領域R4が第4輝度より暗い第2画素で形成されることは、第2領域R2の明るさに応じた明るさを有することの一例である。平面視において、第2領域R2と第4領域R4とは、重なっている。
なお、第4輝度は、予め設定された輝度値であってもよいし、表示する画像ごとに決定されてもよい。また、第4輝度は、複数の仮想ブロック270それぞれに決定されてもよい。例えば、第4輝度は、仮想ブロック270それぞれにおいて当該仮想ブロック270の表示画像における各画素の輝度値に応じて決定されてもよい。
なお、第1輝度及び第4輝度は、予め設定された輝度値であってもよいし、表示する画像ごとに決定されてもよい。また、第1輝度及び第4輝度は、複数の仮想ブロック270それぞれに決定されてもよい。例えば、第1輝度及び第4輝度は、仮想ブロック270それぞれにおいて当該仮想ブロック270の表示画像における各画素の輝度値に応じて決定されてもよい。第1輝度及び第4輝度は、例えば、各画素の輝度値の平均値、中央値などの統計値に応じて決定されてもよいし、当該平均値又は中央値に所定の係数を演算することで決定されてもよい。第1輝度及び第4輝度は、例えば、信号処理部220によって決定される。第1輝度と第4輝度とは、同じ値に決定されてもよいし、異なる値に決定されてもよい。
図10の(b)は、特徴量が低い場合の(例えば、図7に示す輝度差a1である)場合の表示を示す。つまり、図10の(b)は、図9の(b)に示すように拡張フィルタ処理が行われていない場合の第1液晶パネル130及び第2液晶パネル180の表示を示している。拡張部225は、特徴量が閾値未満である場合に、第3領域R3の拡張を禁止することで、図10の(b)に示す画像を実現する。この場合、拡張部225による拡張フィルタ処理が行われないので、中間画像データが第2出力画像データとして第2液晶パネル180に出力される。
図10の(c)は、特徴量が中間である場合の(例えば、図7に示す輝度差a2である)場合の表示を示す。つまり、図10の(c)は、図9の(c)に示す拡張フィルタ処理が行われた場合の第1液晶パネル130及び第2液晶パネル180の表示を示している。拡張部225が拡張フィルタ処理により第4領域R4の一部の明るさを第3領域R3の明るさに近づけることで第3領域R3が拡張した第2出力画像データを生成する。生成された第2出力画像データが第2液晶パネル180に出力されることで、図10の(c)に示す画像が実現される。図10の(c)の例では、第2出力画像データは、中間画像データから第3領域R3が左右にそれぞれ1画素ずつ拡張した画像データである。つまり、上記の拡張フィルタ処理を行うことで、結果として第3領域R3が左右にそれぞれ1画素ずつ拡張される。第3領域R3が拡張された拡張領域R5は、図10の(c)においては左右各1画素の領域である。拡張部225は、第3領域R3が拡張領域R5だけ拡張された第2出力画像データを第2液晶パネル180に出力する。
サイズ計算部222は、拡張フィルタ処理を行うフィルタサイズを特徴量が低い場合に比べて多い画素数(第2画素の数)に決定する。拡張部225は、当該画素数からなるフィルタサイズで拡張フィルタ処理を行うことで、第3領域R3を拡張する。
また、液晶表示装置10は、除算処理部226を備えているので、第1液晶パネル130に表示される画像の明るさが第2液晶パネル180に表示される画像の明るさに応じて補正される。言い換えると、第1出力画像データは、第2出力画像データの拡張領域R5の明るさに応じて補正される。
除算処理部226は、第2領域R2のうち第3領域R3を拡張した拡張領域R5に対応する対応領域R6の明るさを、拡張領域R5における明るさの変化と逆方向に変化させる。図10の例では、拡張領域R5内の画素の明るさは、図10の(a)及び図10の(c)に示すように明るく変化している。そのため、除算処理部226は、対応領域R6内の画素の明るさを暗くなるように補正する。具体的には、除算処理部226は、対応領域R6の明るさを入力画像データに基づく明るさ(図10の(a)に示す明るさ)より暗くする。
また、除算処理部226は、拡張領域R5内の画素の明るさの変化量に応じて対応領域R6内の画素の明るさを補正してもよい。除算処理部226は、拡張領域R5内の画素の明るさの変化量が大きいほど、対応領域R6内の画素の明るさを大きく変化させる。除算処理部226は、例えば、対応領域R6及び拡張領域R5における入力画像データに基づく第2輝度と、対応領域R6の第1出力画像データ及び拡張領域R5における第2出力画像データに基づく表示画像においてオブジェクトを白表示(明るい表示)で表示し、背景を黒表示(暗い表示)で第4輝度とが等しくなるように、対応領域R6の明るさを変化させる。
図10の(d)は、特徴量が高い場合の(例えば、図7に示す輝度差a3である)場合の表示を示す。つまり、図10の(d)は、図9の(d)に示す拡張フィルタ処理が行われた場合の第1液晶パネル130及び第2液晶パネル180の表示を示している。拡張部225が拡張フィルタ処理により第4領域R4の一部の明るさを第3領域R3の明るさに近づけることで、特徴量が中間の場合より第3領域R3が拡張した第2出力画像データを生成する。生成された第2出力画像データが第2液晶パネル180に出力されることで、図10の(d)に示す画像が実現される。図10の(d)の例では、第2出力画像データは、中間画像データから第3領域R3が左右にそれぞれ2画素ずつ拡張した画像データである。第3領域R3が拡張された拡張領域R5は、図10の(d)においては左右各2画素の領域である。
サイズ計算部222は、拡張フィルタ処理を行うフィルタサイズを特徴量が中間である場合に比べて多い画素数(第2画素の数)に決定する。拡張部225は、当該画素数からなるフィルタサイズで拡張フィルタ処理を行うことで、第3領域R3を拡張する。
また、除算処理部226により、対応領域R6内の画素の明るさは、特徴量が中間である場合と同様に、拡張領域R5内の画素の明るさの変化に応じて補正される。
[2.液晶表示装置の画像表示方法]
次に、上記の液晶表示装置10の画像表示方法について、図11を参照しながら説明する。図11は、本実施の形態に係る液晶表示装置10の画像表示方法を示すフローチャートである。
図11に示すように、まず、特徴量取得部221は、入力画像データを取得する(S10)。特徴量取得部221が入力画像データを取得する取得経路は、特に限定されない。特徴量取得部221は、デジタル放送波などの放送波の受信及びデコード等の信号処理を行う取得部(例えば、少なくとも1つのチューナを有する取得部)から入力画像データを取得してもよい。また、特徴量取得部221は、インターネット等のネットワークと通信する取得部(例えば、通信モジュール)から入力画像データを取得してもよいし、光ディスクなどの記録媒体から読み出すことで入力画像データを取得してもよい。ステップS10は、第1取得ステップの一例である。
次に、特徴量取得部221は、取得した入力画像データを、入力画像データから第2出力画像データを生成するために複数の仮想ブロック270に分割し(S20)、分割した複数の仮想ブロック270それぞれに当該仮想ブロック270内の画像における明暗の差又は比を示す特徴量を取得する(S30)。特徴量取得部221は、例えば、仮想ブロック270内の複数の画素それぞれの画素値に基づいて、当該画素の明るさ(輝度値)を算出する。そして、特徴量取得部221は、仮想ブロック270内の複数の画素それぞれの明るさに基づいて特徴量を算出する。特徴量取得部221は、例えば、仮想ブロック270内の複数の画素の輝度値のうち最大輝度と最小輝度との差分から特徴量を算出する。特徴量取得部221は、複数の仮想ブロック270それぞれの特徴量をサイズ計算部222に出力する。なお、ステップS20及びS30は、第2取得ステップの一例である。
次に、サイズ計算部222は、取得した複数の仮想ブロック270それぞれの特徴量に基づいて、複数の仮想ブロック270それぞれに第3領域R3の膨らませ量を決定する(S40)。サイズ計算部222は、拡張部225における拡張フィルタ処理を行うフィルタサイズを複数の仮想ブロック270ごとに計算することで、複数の仮想ブロック270それぞれの第3領域R3の膨らませ量を決定する。サイズ計算部222は、1つの仮想ブロック270に1つのフィルタサイズを決定する。サイズ計算部222は、仮想ブロック270それぞれの膨らませ量に応じたフィルタサイズを拡張部225に出力する。
次に、拡張部225は、取得した膨らませ量に応じて第2液晶パネル180の第3領域を拡張する(S50)。具体的には、拡張部225は、フィルタサイズに応じて第2出力画像データを生成するためのモノクロ画像データ(中間画像データの一例)の第3領域R3を拡張する。拡張部225は、特徴量が閾値以上である仮想ブロック270において、表示したときに第1領域R1と重なり、第1領域R1の明るさに応じた明るさを有する第3領域R3、及び、表示したときに第2領域R2と重なり、第2領域R2の明るさに応じた明るさを有する第4領域R4を有するモノクロ画像データの、第4領域R4の明るさを第3領域R3の明るさに近づけて第3領域R3を拡張することで第2出力画像データを生成する。なお、モノクロ画像データは、ガンマ補正部224から取得する。
拡張部225は、取得したフィルタサイズに応じて、複数の仮想ブロック270ごとに当該仮想ブロック270に対応するフィルタサイズで拡張フィルタ処理を行う。これにより、モノクロ画像データの第3領域R3が拡張されて第2出力画像データが生成される。拡張部225は、第2出力画像データを第2液晶パネル180及び除算処理部226に出力する。なお、ステップS50は、拡張ステップの一例である。また、ステップS30~S50は、取得した入力画像データに基づいて、第1液晶パネル130に対応する第1出力画像データと、第2液晶パネル180に対応する第2出力画像データとを生成する生成ステップの一例である。
次に、除算処理部226は、第3領域R3の拡張に応じて、第2領域R2の明るさを調整する(S60)。除算処理部226は、第2領域R2のうち第3領域R3を拡張した拡張領域R5に対応する対応領域R6の明るさを、拡張領域R5における明るさの変化と逆方向に変化させる。除算処理部226は、例えば、拡張領域R5及び対応領域R6における入力画像データに基づく輝度(第2輝度の一例)と、対応領域R6における第1出力画像データ及び拡張領域R5における第2出力画像データに基づく輝度(第3輝度の一例)とが等しくなるように、対応領域R6の明るさを変化させてもよい。
除算処理部226は、入力画像データにおける各画素(第1液晶パネル130における各画素)の画素値を補正するための情報(例えば、係数)を、乗算器227に出力する。除算処理部226は、例えば、モノクロ画像データと輝度補正テーブルとから、上記の情報を生成する。また、上記情報は、拡張領域R5内の画素の輝度値(つまり、拡張フィルタ処理が行われた後の輝度値)に基づいて決定されるので、拡張領域R5内の画素の明るさの変化に応じた情報(係数)である。除算処理部226は、上記の情報を乗算器227に出力する。
乗算器227は、入力画像データと当該係数とを乗算することで、対応領域R6内の画素の明るさを補正した第1出力画像データを第1液晶パネル130に出力する。これにより、液晶表示装置10は、高いコントラストを維持したまま、2重像の発生を抑制した表示画像を表示することができる。
なお、ステップS60の処理は、行われなくてもよい。この場合であっても、液晶表示装置10は、特徴量に応じて2重像の発生を抑制した表示画像を表示することができる。
[3.効果など]
以上のように、本実施の形態に係る液晶表示装置10は、複数の第1画素を有する第1液晶パネル130(第1表示パネルの一例)と、第1液晶パネル130と重ね合わせて配置され、複数の第2画素を有する第2液晶パネル180(第2表示パネルの一例)と、入力画像データに基づいて、第1液晶パネル130に対応する第1出力画像データと、第2液晶パネル180に対応する第2出力画像データとを生成する信号処理部220とを備える。第1出力画像データが示す画像は、第1輝度より明るい第1画素又は第1輝度より暗い第1画素の一方で形成される第1領域R1、及び、第1領域R1の周囲の領域であって第1輝度より明るい第1画素及び前記第1輝度より暗い第1画素の他方で形成される第2領域R2を有する。そして、信号処理部220は、入力画像データが示す画像を複数の仮想ブロック270に分割し、複数の仮想ブロック270それぞれにおいて当該仮想ブロック270内の画像における明暗の差又は比を示す特徴量を取得する特徴量取得部221(取得部の一例)と、特徴量が閾値以上である仮想ブロック270において、第2出力画像データを生成するための入力画像データに基づく中間画像データであって、表示したときに第1領域R1と重なり、第1領域R1の明るさに応じた明るさを有する第3領域R3、及び、表示したときに第2領域R2と重なり、第2領域R2の明るさに応じた明るさを有する第4領域R4を有する中間画像データの、第4領域R4の明るさを第3領域R3の明るさに近づけることで第3領域R3が拡張した第2出力画像データを生成する拡張部225とを有する。
これにより、特徴量が高い場合に、第3領域R3が拡張される。例えば、第1領域が第1輝度より明るい第1画素で形成され、第3領域R3がその明るさに対応した明るさである場合、第3領域R3が拡張されることで、第2液晶パネル180において明るい領域が拡張される。これにより、オブジェクトを白表示(明るい表示)で表示し、背景を黒表示(暗い表示)で表示している(例えば、ネガ表示している)場合に、視差により2重像が発生することを抑制することができる。
また、例えば、第1領域が第1輝度より暗い第1画素で形成され、第3領域R3がその明るさに対応した明るさである場合、第3領域R3が拡張されることで、第2液晶パネル180において暗い領域が拡張される。これにより、オブジェクトを黒表示(暗い表示)で表示し、背景を白表示(明るい表示)で表示している(例えば、ポジ表示している)場合に、2重像が発生することを抑制することができる。
よって、第3領域R3が拡張されることで、第1領域R1と第2領域R2との間における2重像の発生を抑制することができる。また、特徴量が閾値以上である場合、つまり2重像が見えやすい場合に、第3領域R3が拡張されるので、2重像の発生を効果的に抑制することができる。
また、拡張部225は、注目画素180aと当該注目画素180aの周囲の画素とからなる領域をフィルタサイズ280として、当該フィルタサイズ280内の画素の輝度を注目画素180aの輝度に設定する拡張フィルタ処理を実行するフィルタ処理部225aを有する。そして、フィルタ処理部225aは、特徴量が閾値以上である仮想ブロック270において、特徴量が閾値未満である仮想ブロック270に比べて多い画素数からなるフィルタサイズ280で拡張フィルタ処理を行うことで、第3領域R3を拡張する。
これにより、拡張部225による拡張フィルタ処理により、第3領域R3を容易に拡張することができる。
また、フィルタ処理部225aのフィルタサイズ280を複数の仮想ブロック270それぞれにおいて決定するサイズ計算部222(決定部の一例)をさらに備える。そして、サイズ計算部222は、特徴量が高いほど、当該仮想ブロック270において拡張フィルタ処理を行うときのフィルタサイズ280を大きく決定することで、第3領域R3を広く拡張させる。
これにより、特徴量に応じてフィルタサイズ280を決定することができる。つまり、特徴量に応じて第3領域R3の拡張範囲を決定することができる。よって、特徴量が高いとき、すなわち2重像が見えやすいときであっても、フィルタサイズ280が大きく決定されることで、2重像が見えることを抑制することができる液晶表示装置10を実現することができる。
また、拡張部225は、さらに、特徴量が閾値未満である場合に、第3領域R3の拡張を禁止する。
これにより、拡張部225は、液晶表示装置10が2重像の見えにくい表示画像を表示している場合、第3領域R3の拡張する処理を行わない。つまり、拡張部225の処理量を低減することができる。よって、液晶表示装置10は、効果的に2重像の発生を抑制することができる。
また、信号処理部220は、第2領域R2のうち第3領域R3を拡張した拡張領域R5に対応する対応領域R6の明るさを、拡張領域R5における明るさの変化と逆方向に変化させる除算処理部226(除算部の一例)を、さらに備える。
これにより、液晶表示装置10は、当該液晶表示装置10が表示する表示画像を正面から見た場合の画像品位の低下を抑制しつつ、視差による2重像が見えることを抑制することができる。
また、除算処理部226は、対応領域R6及び拡張領域R5における入力画像データに基づく第2輝度と、対応領域R6における第1出力画像データ及び拡張領域における第2出力画像データに基づく第3輝度とが等しくなるように、対応領域R6の明るさを変化させる。
これにより、液晶表示装置10が表示する表示画像を正面から見た場合の画像品位の低下をさらに抑制しつつ、視差による2重像が見えることを抑制することができる。つまり、高コントラスト表示と2重像見えの低減とを両立した液晶表示装置10を実現することができる。
また、第1領域R1は、第1輝度より明るい第1画素で形成され、第3領域R3は、第4輝度より明るい第2画素又は第4輝度より暗い第2画素のうち、第4輝度より明るい第2画素で形成される。
これにより、表示画像においてオブジェクトを白表示(明るい表示)で表示し、背景を黒表示(暗い表示)で表示している場合に、オブジェクトと背景との境界に2重像が発生することを抑制することができる。つまり、ネガ表示を行っている表示画像において、2重像の見えを抑制することができる。
また、特徴量は、当該仮想ブロック270内における最大輝度と最小輝度との差である。
これにより、輝度差が閾値以上である場合に、第3領域R3の拡張が行われる。コントラスト比が同じであっても輝度差が異なる表示画像を各仮想ブロック270が表示する場合、各仮想ブロック270それぞれで輝度差に応じて第3領域R3が拡張される。よって、コントラスト比に応じて第3領域R3の拡張を判定する場合に比べ、より適正に第3領域R3を拡張することができる。
また、複数の第2画素のそれぞれは、複数の第1画素のそれぞれと一対一となるように配置される。
これにより、液晶表示装置10は、第2画素が複数の第1画素に対して1つ設けられている場合に比べ、2重像の発生を抑制することができる。
また、以上のように、本実施の形態に係る液晶表示装置10の画像表示方法は、複数の第1画素を有する第1液晶パネル130と、第1液晶パネル130と重ね合わせて配置され、複数の第2画素を有する第2液晶パネル180とを備える液晶表示装置10の画像表示方法である。画像表示方法は、入力画像データを取得する第1取得ステップ(S10)と、取得した入力画像データに基づいて、第1液晶パネル130に対応する第1出力画像データと、第2液晶パネルに対応する第2出力画像データとを生成する生成ステップ(S30~S50)とを含む。第1出力画像データが示す画像は、第1輝度より明るい第1画素又は第1輝度より暗い第1画素の一方で形成される第1領域R1、及び、第1領域R1の周囲の領域であって第1輝度より明るい第1画素及び第1輝度より暗い第1画素の他方で形成される第2領域R2を有する。そして、生成ステップは、入力画像データが示す画像を複数の仮想ブロック270に分割し、複数の仮想ブロック270それぞれにおいて当該仮想ブロック270内の画像における明暗の差又は比を示す特徴量を取得する第2取得ステップ(S20及びS30)と、特徴量が閾値以上である仮想ブロック270において、第2出力画像データを生成するための入力画像データに基づく画像データであって、表示したときに第1領域R1と重なり、第1領域R1の明るさに応じた明るさを有する第3領域R3、及び、表示したときに第2領域R2と重なり、第2領域R2の明るさに応じた明るさを有する第4領域R4を有する画像データの、第4領域R4の明るさを第3領域R3の明るさに近づけて第3領域R3を拡張することで第2出力画像データを生成する拡張ステップ(S50)とを含む。
これにより、上記の液晶表示装置10と同様の効果を奏する。
(実施の形態の変形例1)
上記実施の形態で説明したように、第1液晶パネル130及び第2液晶パネル180の間隔dにより、2重像の見え方が異なる。具体的には、第1液晶パネル130及び第2液晶パネル180の間隔dが広いと、2重像は見えやすくなる。例えば、液晶表示装置が表示する画像を斜め方向から見た場合、間隔dが狭い場合は2重像が目立たないときでも間隔dが広いと目立って見える。そのため、本変形例では、フィルタサイズを第1液晶パネル130及び第2液晶パネル180の間隔dにより変更する例について説明する。本変形例に係る液晶表示装置は、上記実施の形態の液晶表示装置10が行う処理に加えて、又は、替えて第1液晶パネル130及び第2液晶パネル180の間隔dによりフィルタサイズを変更する処理を行う。なお、本変形例に係る液晶表示装置の構成は、上記実施の形態と同様であり、説明を省略する。以下、本変形例に係る液晶表示装置について、図12A及び図12Bを参照しながら説明する。
図12Aは、本変形例に係る第1間隔d1である液晶表示装置を第1角度θ1から見た場合の様子を示す図である。図12Aに示すように、第3領域R3が拡張しており、かつ対応領域R6の明るさが調整されているので、観察者が第1角度θ1で液晶表示装置を見た場合、2重像は見えにくい。なお、第1液晶パネル130と第2液晶パネル180との間隔は、間隔d1であり、そのときの膨らませ量は膨らませ量w1(図12Aでは、左右各1画素)であるとする。また、左右の各1画素は、拡張領域R5の一例である。
図12Bは、本変形例に係る第2間隔d2である液晶表示装置を第2角度θ2から見た様子を示す図である。図12Bの(a)は、膨らませ量w1である液晶表示装置を第2角度θ2から見た様子を示す図である。また、図12Bの(b)は、膨らませ量w1より大きい膨らませ量w2(図12Bの(b)では、左右各2画素)である液晶表示装置を第2角度θ2から見た様子を示している。なお、以下において、第1間隔d1及び第2間隔d2を区別しない場合は、間隔dとも記載する。
図12Bの(a)に示すように、第2角度θ2から液晶表示装置を見た場合、第1角度θ1では見えていなかった2重像が見えるようになる。つまり、第1液晶パネル130と第2液晶パネル180との間隔dが大きいと、2重像が見えやすくなる。そこで、本変形例に係る液晶表示装置は、第1液晶パネル130と第2液晶パネル180との間隔dに応じて、膨らませ量を変更する点に特徴を有する。
図12Bの(b)に示すように、間隔が間隔d2(>d1)である場合は、膨らませ量を膨らませ量w2(>w1)とする。サイズ計算部222は、例えば、膨らませ量w1であるときのフィルタサイズより大きなフィルタサイズを膨らませ量w2のフィルタサイズに決定する。間隔d2は固定値(例えば、設計値)であり経時的に変化しないので、記憶部が間隔d2に応じたLUTを記憶しており、サイズ計算部222は、当該LUTを用いてフィルタサイズを計算することで、間隔d2に応じた膨らませ量を決定する。これにより、間隔が間隔d2(>d1)である液晶表示装置を第2角度θ2から見たときに、2重像を見えにくくすることができる。
上記のように、本変形例に係る液晶表示装置は、間隔dが大きいほど、膨らませ量を大きくする。つまり、本変形例に係る液晶表示装置は、間隔dが大きいほど、第3領域R3を広く拡張する。これは、本変形例に係るサイズ計算部222が、間隔dが大きいほど、フィルタサイズを大きく決定することで実現される。なお、間隔dは、第1液晶パネル130及び第2液晶パネル180の仕様により決定される。
以上のように、本変形例に係る液晶表示装置の拡張部225は、第1液晶パネル130(第1表示パネルの一例)と第2液晶パネル180(第2表示パネルの一例)との間隔dが大きいほど、第3領域R3を広く拡張する。具体的には、サイズ計算部222(決定部の一例)は、さらに、第1液晶パネル130及び第2液晶パネル180の間隔dが大きいほど、フィルタサイズを大きく決定することで、第3領域R3を広く拡張する。
これにより、第1液晶パネル130と第2液晶パネル180との間隔が広い設計の液晶表示装置であっても、2重像が見えることを抑制することができる。
(実施の形態の変形例2)
上記実施の形態及び変形例1では、仮想ブロック270それぞれの膨らませ量wは、当該仮想ブロック270における特徴量によって決定される例について説明したが、これに限定されない。当該仮想ブロック270の膨らませ量wは、さらに当該仮想ブロック270以外の少なくとも1つの仮想ブロック270(例えば、当該仮想ブロック270と隣接する仮想ブロック270)の膨らませ量wによって決定されてもよい。具体的には、当該仮想ブロック270に含まれる複数の画素それぞれの膨らませ量wは、当該仮想ブロック270以外の少なくとも1つの仮想ブロック270の膨らませ量wを用いて決定されてもよい。言い換えると、当該仮想ブロック270に含まれる複数の画素それぞれの膨らませ量wは、当該仮想ブロック270以外の少なくとも1つの仮想ブロック270の膨らませ量wを用いて個々に決定されてもよい。以下、本変形例に係る液晶表示装置について、図13A及び図13Bを参照しながら説明する。なお、本変形例に係る液晶表示装置の構成は、実施の形態と同様であり、説明を省略する。
図13Aは、本変形例に係る仮想ブロック270の頂点における膨らませ量p00~p44を説明するための図である。図13Aは、図6と同様、1画像が縦4分割、横4分割された例を示している。図13Aに示すp00~p44は、仮想ブロック270それぞれの頂点における膨らませ量を示している。また、図13Aに示すb00~b33は、仮想ブロック270それぞれの膨らませ量を示している。膨らませ量b00~b33は、実施の形態及び変形例1と同様に決定される。なお、複数の仮想ブロック270のそれぞれは、例えば、矩形状であり4つの頂点を含んで形成される。
サイズ計算部222は、複数の仮想ブロック270それぞれに膨らませ量b00~b33を決定した後、さらに仮想ブロック270を形成する複数の頂点それぞれの膨らませ量p00~p44を決定する。サイズ計算部222は、例えば、膨らませ量b00~b33を用いて、膨らませ量p00~p44を算出することで、頂点における膨らませ量を決定する。
膨らませ量p11を例に説明すると、膨らませ量p11に対応する頂点は、膨らませ量b00、b01、b10及びb11に対応する仮想ブロック270それぞれに共通して含まれる頂点である。サイズ計算部222は、例えば、膨らませ量p11に対応する頂点を含む複数の仮想ブロック270(図13Aでは、膨らませ量b00、b01、b10及びb11である4つの仮想ブロック270)のうちの少なくとも1つを用いて当該頂点における膨らませ量p11を決定する。サイズ計算部222が仮想ブロック270の膨らませ量b00、b01、b10及びb11の4つの膨らませ量を用いて頂点の膨らませ量p11を算出する場合、膨らませ量p11は、
p11=(b00+b01+b10+b11)/4 ・・・(式1)
により算出される。つまり、サイズ計算部222は、膨らませ量p11に対応する頂点を含む複数の仮想ブロック270それぞれの膨らませ量の平均値を、膨らませ量p11として決定する。なお、サイズ計算部222は、その他の計算により膨らませ量p11を決定してもよい。サイズ計算部222は、例えば、仮想ブロック270の膨らませ量b00、b01、b10及びb11のうちの最大値と最小値との中央値を頂点の膨らませ量p11として決定してもよいし、平均値又は中央値に所定の演算を行った値(例えば、所定の係数をかけた値)を膨らませ量p11に決定してもよい。
上記の計算により、サイズ計算部222は、頂点における膨らませ量p00~p44のそれぞれを決定する。なお、複数の頂点のうち、外周に位置する頂点における膨らませ量は、上記のように4つの仮想ブロック270の膨らませ量を用いて計算されなくてもよい。例えば、膨らませ量p00に対応する頂点は、膨らませ量b00に対応する仮想ブロック270のみの頂点を形成する。そのため、膨らませ量p00を例に説明すると、膨らませ量p00は、
p00=b00 ・・・(式2)
により算出される。つまり、1画像の四隅における頂点の膨らませ量p00、p04、p40及びp44は、当該膨らませ量に対応する頂点が含まれる1つの仮想ブロック270の膨らませ量に決定される。なお、サイズ計算部222は、膨らませ量b00に所定の演算を行った値を膨らませ量p00に決定してもよい。
また、外周におけるその他の頂点の膨らませ量は、当該頂点が含まれる2つの仮想ブロック270の膨らませ量の平均値に決定されてもよい。例えば、膨らませ量p01を例に説明すると、膨らませ量p01は、
p01=(b00+b01)/2 ・・・(式3)
により算出されてもよい。
次に、サイズ計算部222による仮想ブロック270間の膨らませ量の補完について、図13Bを参照しながら説明する。図13Bは、本変形例に係る、膨らませ量の仮想ブロック間の補完を説明するための図である。図13Bでは、一例として膨らませ量p22、p23、p32及びp33に対応する頂点で構成される仮想ブロック270を図示している。仮想ブロック270の大きさは、横D1であり、縦D2である。膨らませ量p22に対応する頂点(図13Bに示す仮想ブロック270の左上の頂点)の座標を(0、0)としたときの画素位置(x、y)における膨らませ量wxyは、例えば、
wxy=((p22-p23+p32-p33)×x×y+(p23-p22)×x×D2+(p33-p22)×y×D1+p22×D1×D2)/(D1×D2)・・・(式4)
により算出される。式4により、(x、y)に位置する画素における膨らませ量wxyが算出される。サイズ計算部222は、例えば、仮想ブロック270に含まれる複数の画素それぞれにおいて、式4により当該画素の膨らませ量を決定する。
また、膨らませ量wxyは、図13Bに示す膨らませ量p22x及びp32xを用いると、
wxy=(p22x×(D2-y)+p32x×y)/D2 ・・・(式5)
により算出されてもよい。なお、膨らませ量p22xは、膨らませ量p22に対応する頂点と膨らませ量p23に対応する頂点との間であって、膨らませ量p22に対応する頂点から位置xだけ膨らませ量p23に対応する頂点に移動した位置における膨らませ量を示している。膨らませ量p22xは、例えば、
p22x=(p22×(D1-x)+p23×x)/D1 ・・・(式6)
により算出される。
膨らませ量p32xは、膨らませ量p32に対応する頂点と膨らませ量p33に対応する頂点との間であって、膨らませ量p32に対応する頂点から位置xだけ膨らませ量p33に対応する頂点に移動した位置における膨らませ量を示している。膨らませ量p32xは、例えば、
p32x=(p33×(D1-x)+p32×x)/D1 ・・・(式7)
により算出される。
式6及び式7を式5に代入してまとめると、膨らませ量wxyは、
wxy=(p22×D1×D2-p22×x×D2+p23×x×D2-p22×D1×y+p22×x×y-p23×x×y+p33×D1×y-p33×x×y+p32×x×y)/(D1×D2) ・・・(式8)
により算出されてもよい。なお、膨らませ量wxyは、各頂点の膨らませ量(p22、p23、p32及びp33)と、膨らませ量wxyを算出する位置(例えば、膨らませ量p22に対応する頂点の座量を(0,0)としたときの位置であり、図13Bに示す(x,y))と、仮想ブロック270大きさ(横D1及び縦D2)とを用いて算出されていれば上記の式に限定されない。
サイズ計算部222は、図11に示すステップS40において、さらに上記の処理を行うことで、複数の仮想ブロック270それぞれに膨らませ量を決定する。具体的には、サイズ計算部222は、複数の仮想ブロック270内の複数の画素それぞれに膨らませ量を決定する。
拡張部225は、複数の画素それぞれの膨らませ量に応じて、当該画素に対して拡張フィルタ処理を行うときのフィルタのサイズを決定する。
以上のように、本変形例に係る液晶表示装置10のサイズ計算部222は、複数の仮想ブロック270それぞれの頂点における膨らませ量に基づいて、当該仮想ブロック270内の複数の画素それぞれの膨らませ量を線形補間で算出する。隣り合う仮想ブロック(例えば、膨らませ量b00及びb01に対応する仮想ブロック)に共通して含まれる頂点(例えばあ、p01及びp11)における膨らませ量は、当該頂点を含む2以上の仮想ブロック270のうち少なくとも2つの仮想ブロックにおける膨らませ量に基づいて算出される。
これにより、隣り合う仮想ブロック270間の膨らませ量同士を線形補間することができるので、隣り合う仮想ブロック270の境界において膨らませ量が大きくなることを抑制することができる。つまり、サイズ計算部222は、仮想ブロック270間における膨らませ量の変化を滑らかにすることができる。
(その他の実施の形態)
以上、実施の態様に係る液晶表示装置及び液晶表示装置の画像表示方法について、実施の形態及び変形例(以降において、実施の形態等とも記載する)に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態等に限定されるものではない。
したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
例えば、上記実施の形態等における液晶表示装置は、テレビ装置に限定されず、取得した入力画像データを表示する機能を有するあらゆる装置に適用可能である。例えば、液晶表示装置は、デジタル放送受信機能及び受信したデジタル放送の番組を再生する機能を有するタブレット端末、据え置き型及び/又は携帯型のパーソナルコンピュータ、ゲーム機等に適用されてもよい。
また、上記実施の形態等では、画像表示装置として液晶パネルを備える液晶表示装置について説明したが、これに限定されない。本開示は、複数枚の表示パネルが重ね合わされて構成される表示部を備える表示装置に適用可能である。
また、上記実施の形態等におけるフィルタ処理部は、さらに仮想ブロックの位置に応じて第3領域を拡張する領域を変更してもよい。例えば、液晶表示装置は、観察者がいる位置を取得し、取得した観察者の位置に応じて第3領域を拡張する領域を仮想ブロックごとに決定してもよい。例えば、サイズ計算部は、特徴量が同じ2つの仮想ブロックがあった場合、観察者から遠い仮想ブロックにおいて第3領域を拡張する拡張領域を観察者から近い仮想ブロックにおいて第3領域を拡張する領域より広くなるようにフィルタサイズを決定してもよい。
また、上記実施の形態等では、ガンマ補正部及び除算処理部は、ルックアップテーブルを用いて各画素の輝度値に対する処理を行う例について説明したが、これに限定されない。ガンマ補正部及び除算処理部は、所定の演算式を用いて各画素の輝度値を補正してもよい。
また、上記実施の形態等において、第1液晶パネルがカラー画像を表示し、第2液晶パネルがモノクロ画像を表示する構成としたが、これに限らない。例えば、第1液晶パネルがモノクロ画像を表示し、第2液晶パネルがカラー画像を表示する構成であってもよい。
また、上記実施の形態等では、第2領域は、第1領域が第1輝度より明るい第1画素で形成される場合、第1輝度より暗い第1画素で形成される例について説明したが、これに限定されない。第2領域は、例えば、第1輝度より低い第3輝度より暗い第1画素で形成されていてもよい。つまり、第1領域と第2領域とは、異なる輝度値を基準に形成される領域であってもよい。また、第3領域と第4領域とにおいても、同様である。
また、上記実施の形態等のフローチャートで説明された処理の順序は、一例である。複数の処理の順序は変更されてもよいし、複数の処理は並行して実行されてもよい。
その他、上記実施の形態等に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。