JP7245135B2 - プレウォッシュ方法、液体吸引装置及びピペット - Google Patents

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Description

本開示は、測定対象の液体をピペットによって吸引する前にピペットを洗浄するプレウォッシュ方法、液体吸引装置及びピペットに関する。
キャピラリー内に負圧を生じさせてキャピラリー内に液体を吸引するピペットが知られている(例えば特許文献1)。特許文献1に開示のピペットは、キャピラリーと、キャピラリーと繋がっている圧力室と、圧力室の容積を変化させる駆動部と、駆動部を制御する制御部とを有している。
特許第6426882号明細書
本開示の一態様に係るプレウォッシュ方法は、長さ方向の両端である第1端及び第2端が開口しているキャピラリーと、前記第2端を介して前記キャピラリーの内部に通じている圧力室と、前記圧力室の容積を変化させる駆動部と、前記圧力室と外部とを繋ぐ開閉可能なバルブと、を有しているピペットの前記キャピラリーを洗浄するプレウォッシュ方法であって、前記第1端を容器に貯留されているプレウォッシュ用液に接触させる接液ステップと、前記接液ステップの後、前記第1端を前記プレウォッシュ用液に接触させた状態で、前記圧力室の容積を増加させるように前記駆動部を制御して前記プレウォッシュ用液を前記キャピラリーに吸引する吸引ステップと、前記吸引ステップの後、前記第1端を前記プレウォッシュ用液に接触させた状態で、前記圧力室の容積を減少させるように前記駆動部を制御して前記プレウォッシュ用液を前記キャピラリーから吐出する吐出ステップと、前記吐出ステップの後、前記キャピラリーを前記容器に貯留されている前記プレウォッシュ用液から引き上げる離液ステップと、を有している。前記吸引ステップでは、前記バルブを閉じた状態で、前記圧力室の容積を第1増加量で増加させるように前記駆動部を制御して前記プレウォッシュ用液を前記キャピラリーに吸引し、前記吐出ステップでは、前記バルブを開き、前記バルブを開いた状態で前記圧力室の容積を第2増加量で増加させるように前記駆動部を制御し、その後、前記バルブを閉じ、前記バルブを閉じた状態で前記第1増加量よりも絶対値が大きい第1減少量で前記圧力室の容積を減少させるように前記駆動部を制御して前記プレウォッシュ用液を前記キャピラリーから吐出する。
本開示の一態様に係る液体吸引装置は、ピペット構造部と、当該ピペット構造部と、当該ピペット構造部に吸引される液体を貯留する容器とを相対移動させる移動機構と、前記ピペット構造部及び前記移動機構を制御する制御部と、を有しており、前記ピペット構造部は、長さ方向の両端である第1端及び第2端が開口しているキャピラリーと、前記第2端を介して前記キャピラリーの内部に通じている圧力室と、前記圧力室の容積を変化させる駆動部と、前記圧力室と外部とを繋ぐ開閉可能なバルブと、を有しており、前記制御部は、前記第1端を前記容器内に移動させ、前記第1端を前記容器内に位置させた状態で、前記バルブを閉じた状態で前記圧力室の容積を第1増加量で増加させ、前記第1増加量での増加の後、前記バルブを開いた状態で前記圧力室の容積を第2増加量で増加させ、前記第2増加量での増加の後、前記バルブを閉じた状態で前記第1増加量よりも絶対値が大きい第1減少量で減少させ、前記第1減少量での減少の後、前記第1端を前記容器外へ移動させるように前記移動機構前記駆動部及び前記バルブを制御する。
本開示の一態様に係るピペットは、長さ方向の両端である第1端及び第2端が開口しているキャピラリーと、前記第2端を介して前記キャピラリーの内部に通じている圧力室と、前記圧力室の容積を変化させる駆動部と、前記圧力室と外部とを繋ぐ開閉可能なバルブと、前記駆動部及び前記バルブを制御する制御部と、を有しており、前記制御部は、前記駆動部の動作を規定しているタイムテーブルを記憶しており、前記タイムテーブルに従って前記駆動部及び前記バルブを制御し、前記タイムテーブルは、前記バルブを閉じた状態で前記圧力室の容積を第1増加量で増加させ、前記第1増加量での増加の後、前記バルブを開いた状態で前記圧力室の容積を第2増加量で増加させ、前記第2増加量での増加の後、前記バルブを閉じた状態で前記第1増加量よりも絶対値が大きい第1減少量で減少させる動作を規定している。
本開示のピペットの具体例を模式的に示す断面図である。 図1のピペットの制御部の構成を示すブロック図である。 図2の制御部が記憶しているタイムテーブルの一例を示す模式図である。 図2の制御部が出力する駆動信号の波形の一例を模式的に示すグラフである。 図4の続きを示すグラフである。 図1のピペットが実行する複数のステップの概要を示す一覧表である。 図7(a)、図7(b)、図7(c)及び図7(d)はプレウォッシュステップを説明するための模式的な断面図である。 図4の一部を拡大して示す図である。 図1のピペットを含む液体吸引装置の外観を示す模式的な斜視図である。 図9の液体吸引装置が実行する処理の手順の一例について要部を示すフローチャートである。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。複数の図面同士においても寸法比率等は互いに一致していないことがある。
本開示において「撥水性」又は「親水性」の用語は、特性の絶対的な評価と相対的な評価とのいずれにも用いられることがあるものとする。
例えば、「撥水性を有する」は、ピペットの吸引対象の液体の接触角が90°以上であること(絶対的な評価)を指す。また、例えば、「親水性を有する」は、ピペットの吸引対象の液体の接触角が90°未満であることを指す。なお、ピペットの吸引対象の液体が特定されない場合においては、水の接触角を用いて撥水性又は親水性の有無が判定されてよい。
一方、例えば、「撥水性が高い」、「撥水性が低い」又は「撥水性が異なる」は、ピペットの吸引対象の液体(上記のように水とされてもよい)に触れる2つの部材同士で前記液体の接触角を比較したときに、一方の接触角が他方の接触角よりも、大きいこと、小さいこと、又は異なること(相対的な評価)を指す。従って、例えば、第1部材の撥水性が第2部材の撥水性よりも高いという場合、第1部材及び第2部材の双方、又は第2部材は、撥水性を有している必要は無く、親水性を有していてもよい。
[ピペットの概要]
図1は、本開示の実施形態に係るピペット1の構成を模式的に示す断面図(一部は側面図及びブロック図)である。なお、図面には、便宜上、ピペット1に固定的な直交座標系xyを付している。+x側(紙面下方)は、ピペット1によって液体を吸引する際に下方とされる側である。なお、ピペット1は、鉛直方向に平行な姿勢で使用されるとは限らない。
ピペット1は、例えば、キャピラリー10と、キャピラリー10内の気圧を変化させるピペット本体20と、ピペット本体20の動作を制御する制御部24と、ユーザの操作に応じた信号を制御部24に入力する操作部25とを有している。なお、キャピラリー10とピペット本体20との組み合わせをピペット構造部15ということがある。
ピペット1では、例えば、キャピラリー10の+x側の先端(第1端11)が液体に触れた状態で、ピペット本体20によってキャピラリー10の後端(第2端12)からキャピラリー10内が排気されることによって、液体がキャピラリー10内に吸引される。別の観点では、液体が第1端11側から第2端12側へ移動する。逆に、ピペット本体20によって第2端12からキャピラリー10内へ給気がなされることによって、液体が第2端側から第1端11側へ移動する。
[キャピラリー]
キャピラリー10は、長さ方向(x方向)の両端である第1端11及び第2端12が開口した筒状の形状を有している。なお、「筒状の形状」とは、例えば、1方向に長く(該1方向の長さが他の方向の長さに比較して長く)、中空であり、且つ両端が開口した形状を意味するものであり、円筒形のみを意味するものではない。
キャピラリー10の概略形状は、種々の形状とされてよい。例えば、キャピラリー10の横断面(長さ方向に直交する断面。以下、同様。)において、内縁(キャピラリー10の内面)及び/又は外縁(キャピラリー10の外面)の形状は、円形、楕円、卵形又は多角形等とされてよい。また、例えば、横断面(内縁及び/又は外縁)の形状及び/又は大きさは、キャピラリー10の全長に亘って一定であってもよいし、キャピラリー10の全長の少なくとも一部において長さ方向の位置によって異なっていてもよい。また、例えば、キャピラリー10の横断面において、内縁と外縁とは、互いに相似形であってもよいし、相似形でなくてもよい。また、例えば、キャピラリー10の内部空間(流路)の中心線は、第1端11から第2端12へ直線状に延びていてもよいし、少なくとも一部において曲がっていてもよい。
なお、本実施形態の説明では、便宜上、キャピラリー10の横断面(内縁及び外縁)は、長さ方向のいずれの位置においても円形であるものとする。この場合、キャピラリー10の孔の横断面の形状は、キャピラリー10の長さ方向の互いに異なる位置同士において同一又は相似(合同含む)である。キャピラリー10の長さ方向の互いに異なる位置同士において互いに内径が異なるという場合、その互いに異なる位置同士で孔の横断面の形状が相似である態様及び相似でない態様のいずれにおいても、横断面の面積が互いに異なるという意味に捉えられてよい。
キャピラリー10の寸法は、採取する液体の量及び/又はピペット本体20への取り付け方法等の種々の事情に応じて適宜に設定されてよい。例えば、キャピラリー10の内径は、0.1mm以上0.3mm以下とされてよい。また、例えば、キャピラリー10の外径は、0.4mm以上1.2mm以下とされてよい。また、例えば、キャピラリー10の長さは、20mm以上100mm以下とされてよい。
キャピラリー10の材料は、種々のものとされてよい。例えば、当該材料としては、ガラス、樹脂、セラミックス及び金属を挙げることができる。また、例えば、キャピラリー10は、長さ方向の一部と他部とが互いに異なる材料によって構成されていてもよいし、及び/又は径方向の一部と他部とが互いに異なる材料によって構成されていてもよい。逆に、キャピラリー10は、その概ね全体が同一の材料によって一体的に構成されていてもよい。また、例えば、キャピラリー10は、一の材料からなる部材の表面の少なくとも一部に他の材料からなる膜が形成されることにより構成されていてもよい。また、例えば、キャピラリー10の少なくも一部(すなわち一部又は全部)は、透光性を有する材料(例えば樹脂又はガラス)によって構成されてよい。
キャピラリー10の表面の少なくとも一部(すなわち一部又は全部)は、撥水性を有していてよい。キャピラリー10の表面のうち撥水性を有する領域は適宜に設定されてよい。例えば、撥水性を有する領域は、第1端11の端面(+x方向に面している面)、キャピラリー10の内面のうち+x側の一部及びキャピラリー10の外面の+x側の一部を含んでいる。換言すれば、撥水性を有する領域は、液体に接触する領域を含んでいる。液体に接触する領域が撥水性を有していることにより、例えば、液体の意図されていない付着及び/又は移動が生じる蓋然性が低減され、液体の採取量の精度が向上する。撥水性は、キャピラリー10の長さ方向及び/又は軸回りの方向において、一様であってもよいし、変化してもよい。
キャピラリー10(一部又は全部)は、例えば、撥水性を有する材料からなることによって表面に撥水性を有していてもよい。また、例えば、キャピラリー10(一部又は全部)は、撥水性を有さない材料からなる部材の表面に撥水膜が形成されることによって表面に撥水性を有していてもよい。
撥水膜としては、種々のものが用いられてよく、例えば、シランカップリング剤により形成される撥水膜、金属アルコキシド含有撥水膜、シリコーン含有撥水膜及びフッ素含有撥水膜を挙げることができる。キャピラリー10の表面への撥水膜の形成方法としては、種々の方法が用いられてよく、例えば、ドライプロセス法が用いられてもよいし、ウェットプロセス法が用いられてもよい。ドライプロセス法としては、例えば、物理気相成長法及び化学気相成長法が挙げられる。前者としては、例えば、物理蒸着法及びスパッタリング法が挙げられる。後者としては、例えば、化学蒸着(CVD:chemical vapor deposition)法及び原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法が挙げられる。ウェットプロセス法としては、例えば、ゾルゲル法、ディップコーティング法、塗布法が挙げられる。
キャピラリー10は、例えば、使い捨てとされており、ピペット本体20に対して着脱可能とされている。着脱方法は、適宜な方法とされてよい。例えば、キャピラリー10は、ピペット本体20の孔に圧入されて固定されてもよいし、ピペット本体20に設けられた不図示の機構による締め付け又は係止によって固定されてもよい。ただし、キャピラリー10は、繰り返し使われるものとされてもよいし、さらには、ピペット本体20に着脱不可能に固定(例えば接着)されていてもよい。
図示の例では、キャピラリー10は、ガラス管13と、ガラス管13の先端に固定されている樹脂製のチップ部材14とを有している。樹脂は、一般的に撥水性が高く、また、ガラスよりも撥水性が高い。従って、キャピラリー10は第1端11側部分に撥水性を有するとともに、第1端11側の撥水性が第2端12側の撥水性よりも高くなっている。また、ガラス管13は、例えば、チップ部材14よりも透光性が高い。これにより、ガラス管13内の検体液に光を照射することが容易化されている。
ガラス管13及びチップ部材14の形状は適宜に設定されてよい。図示の例では、ガラス管13は、一定の径(一定の横断面)で直線状に延びている。一方、チップ部材14は、先端側ほど径が小さくなるテーパ状とされている。ガラス管13は、チップ部材14に対して後方から挿入されて固定されている。キャピラリー10の貫通孔のうち、ガラス管13によって構成されている孔10bと、チップ部材14によって構成されている孔10aとの境界においては、後者の方が大きいことによって段差が構成されている。
[ピペット本体]
ピペット本体20は、キャピラリー10の内部に通じている圧力室21(空洞)を有している。そして、ピペット本体20は、この圧力室21の容積を増加させることによってキャピラリー10内の減圧(排気)を行い、圧力室21の容積を減少させることによってキャピラリー10内の増圧(給気)を行う。これにより、例えば、キャピラリー10による液体の吸引及び吐出等が実現される。このような動作を実現するピペット本体20の構成は、適宜なものとされてよい。以下では、その一例を示す。
ピペット本体20は、例えば、キャピラリー10の内部に通じている流路(圧力室21を含む)を構成している流路部材35と、圧力室21の容積を変化させるアクチュエータ40と、流路部材35の内部(流路)と外部との連通を許容及び禁止するバルブ23とを有している。
(流路部材)
流路部材35の概略の外形及び大きさは適宜な形状とされてよい。図示の例では、流路部材35の概略の外形は、キャピラリー10に直列な軸状(x方向の長さが他の方向の長さよりも長い形状)とされている。また、その大きさは、例えば、ユーザが摘まむ、又は握ることができる大きさ(例えば最大外径が50mm以下)とされている。
流路部材35の内部空間は、例えば、上述の圧力室21と、キャピラリー10と圧力室21とを繋ぐ連通流路27と、連通流路27(別の観点では圧力室21)と外部とを繋ぐ開放流路28とを有している。
圧力室21の形状、位置及び大きさ等は適宜に設定されてよい。図示の例では、圧力室21は、流路部材35において側面に位置している。また、例えば、圧力室21の概略形状は、アクチュエータ40と重なる方向(y方向)を厚さ方向とする、概ね一定の厚さの薄型形状である。ここでの薄型形状は、y方向の長さがy方向に直交する各方向の最大長さよりも短い形状である。圧力室21の平面形状(y方向に見た形状)は、円形、楕円、矩形又は菱形等の適宜な形状とされてよい。圧力室21の厚さ(y方向)は、例えば、50μm以上5mm以下である。圧力室21の径(y方向に直交する各方向における最大長さ)は、例えば、2mm以上50mm以下である。
連通流路27及び開放流路28の形状、位置及び大きさ等も適宜に設定されてよい。例えば、流路部材35は、キャピラリー10からキャピラリー10の長さ方向(x方向)に延びている第1流路22と、第1流路22の中途から第1流路22に交差する方向に延びて圧力室21に至る第2流路26とを有している。そして、第1流路22のうちの、第2流路26との接続位置からキャピラリー10側の部分と、第2流路26とによって連通流路27が構成されている。このような流路構成によって、例えば、吸引した液体(例えばその飛沫)が圧力室21へ侵入し、アクチュエータ40に付着する蓋然性が低減される。ひいては、付着した液体に起因してアクチュエータ40の動作特性が変化する蓋然性が低減される。
また、第1流路22は、例えば、キャピラリー10とは反対側にて流路部材35の外部へ通じている。そして、第1流路22のうちの、第2流路26との接続位置からキャピラリー10とは反対側の部分によって、開放流路28が構成されている。従って、液体が圧力室21に侵入しないように液体を逃がすための流路が、圧力室21を外部へ開放するための開放流路28に兼用されており、空間効率が向上している。
第1流路22及び第2流路26の横断面の形状及び寸法は適宜に設定されてよい。例えば、第1流路22及び第2流路26の横断面は、直径が0.1mm以上1mm以下の円形である。また、第1流路22及び第2流路26の内径は、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。第1流路22及び/又は第2流路26の横断面の形状及び大きさは、長さ方向において一定であってもよいし、変化していてもよい。
流路部材35は、適宜な材料からなる適宜な形状の部材が組み合わされて構成されてよい。図示の例では、流路部材35は、互いに接合された第1パーツ30及び第2パーツ60を有している。第1パーツ30は、圧力室21となる貫通孔を有している。第2パーツ60は、第1流路22及び第2流路26を有している。圧力室21は、第1パーツ30、第2パーツ60及びアクチュエータ40によって囲まれた空間によって構成されている。なお、第1パーツ30及び第2パーツ60それぞれも、複数の部材の組み合わせによって構成されてよい。第1パーツ30及び第2パーツ60の材料は、例えば、金属、セラミック若しくは樹脂又はこれらのいずれかの組み合わせとされてよい。
(アクチュエータ)
アクチュエータ40は、例えば、圧力室21の内面の一つを構成している。具体的には、例えば、アクチュエータ40は、概略板状とされており、第1パーツ30の貫通孔を第2パーツ60とは反対側から塞ぐように第1パーツ30に接合され、連通流路27が開口する内面とは反対側の内面を構成している。そして、アクチュエータ40は、圧力室21側へ撓むことによって(換言すれば圧力室21の内面を内側へ変位させることによって)、圧力室21の容積を減少させる。逆に、アクチュエータ40は、圧力室21とは反対側に撓むことによって(換言すれば圧力室21の内面を外側へ変位させることによって)、圧力室21の容積を増加させる。
上記のような撓み変形を生じさせるアクチュエータ40の具体的構成は、適宜なものとされてよい。例えば、アクチュエータ40は、ユニモルフ型の圧電素子によって構成されている。より詳細には、例えば、アクチュエータ40は、積層された2枚の圧電セラミック層40a、40bを有している。また、アクチュエータ40は、圧電セラミック層40aを挟んで互いに対向している内部電極42及び表面電極44を有している。圧電セラミック層40aは、厚さ方向に分極されている。
そして、内部電極42及び表面電極44によって圧電セラミック層40aに分極方向と同一方向に電圧を印加すると、圧電セラミック層40aは平面方向において収縮する。一方、圧電セラミック層40bは、そのような収縮を生じない。その結果、圧電セラミック層40aは、圧電セラミック層40b側へ撓む。すなわち、アクチュエータ40は、圧力室21側へ撓む。上記とは逆向きの電圧を印加した場合は、アクチュエータ40は、圧力室21とは反対側へ撓む。
アクチュエータ40の形状及び大きさ等は適宜に設定されてよい。例えば、アクチュエータ40は、適宜な平面形状の平板状である。平面形状は、圧力室21の平面形状と相似であってもよいし、相似でなくてもよい。平面視(y方向に見て)における各方向の最大長さは、例えば、3mm以上100mm以下である。アクチュエータ40の厚さ(y方向)は、例えば、20μm以上2mm以下である。アクチュエータ40を構成する各種の部材の材料、寸法、形状及び導通方法等も適宜に設定されてよい。以下に一例を示す。
圧電セラミック層40a、40bの厚さは、例えば、10μm以上30μm以下とされてよい。圧電セラミック層40a、40bの材料は、例えば、強誘電性を有するセラミック材料とされてよい。このようなセラミック材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系、NaNbO系、KNaNbO系、BaTiO系及び(BiNa)NbO系、BiNaNb15系のものを挙げることができる。圧電セラミック層40bは、圧電体以外の材料で構成されていても構わない。
内部電極42は、例えば、圧電セラミック層40aと、圧電セラミック層40bとの間に位置しており、アクチュエータ40と略同じ大きさを有している。内部電極42の厚さは、例えば1μm以上3μm以下とされてよい。内部電極42は、例えば、圧電セラミック層40aを貫通する貫通電極48と、アクチュエータ40の表面に位置し、貫通電極48に接続されている接続電極46とによって外部から導通可能となっている。
表面電極44は、例えば、圧電セラミック層40aの圧電セラミック層40bとは反対側(圧力室21に対して外側)に位置しており、表面電極本体44aと引出電極44bとを有している。表面電極本体44aは、例えば、圧力室21と略等しい平面形状を有しており、圧力室21と厚さ方向に重なるように設けられている。引出電極44bは、表面電極本体44aから引き出されるように形成されている。表面電極44の厚さは、例えば0.1μm以上1μm以下とされてよい。
内部電極42、表面電極44、接続電極46及び貫通電極48の材料は、例えば、金属材料とされてよい。より具体的には、例えば、内部電極42及び貫通電極48の材料は、Ag-Pdとされてよい。表面電極44及び接続電極46の材料は、例えば、Auとされてよい。
なお、アクチュエータ40又はアクチュエータ40の一部(例えば表面電極本体44aに重なる部分)を駆動部50ということがある。アクチュエータは、ユニモルフ型の圧電素子に限定されない。例えば、アクチュエータは、バイモルフ型の圧電素子であってもよいし、静電アクチュエータであってもよい。
(バルブ)
バルブ23は、例えば、開放流路28が外部へ通じる位置(開口28a)に設けられている。バルブ23の開閉により、流路部材35の内部と外部との連通が許容又は禁止される。連通が禁止されている状態では、圧力室21の容積の変化によってキャピラリー10内の減圧及び増圧が行われる。一方、連通が許容されている状態では、圧力室21の容積を変化させても、キャピラリー10内の減圧及び増圧は行われない。この減圧又は増圧が行われない作用の利用例については後述する。
ここでいう外部は、例えば、端的に言えば、ピペット1の外部である。また、開口28a又はバルブ23が外部へ通じるという場合、図1から理解されるように、開口28a又はバルブ23は、直接にピペット1の外部へ露出している必要は無い。すなわち、これらは、ピペット1の流路部材35(例えばそのうちの筐体)の隙間を介して外部へ通じていてよい。
また、バルブ23の上記の作用の観点から言えば、外部は、例えば、液体に浸されていない状態の第1端11における圧力と同等の圧力を有する空間を指す。第1端11が液体に浸されている状態も考慮して換言すれば、外部は、キャピラリー10の周囲の圧力と同等の圧力を有する空間を指す。キャピラリー10の周囲の圧力は、例えば、大気圧である。ただし、当該圧力は、大気圧よりも減圧又は増圧された圧力であってもよい。
バルブ23は、例えば、外部から入力される信号に応じて開閉動作を行う。バルブ23としては、電磁式バルブ又は圧電式バルブなど、種々のバルブを用いることができる。バルブ23は、信号が入力されないことによって閉状態となり、信号が入力されることによって開状態となるものであってもよいし、信号が入力されないことによって開状態となり、信号が入力されることによって閉状態となるものであってもよいし、閉じるための信号と開くための信号とがそれぞれ入力されるものであってもよい。
図示の例では、バルブ23は、例えば、開放流路28の開口28aの開閉に直接的に寄与する閉止部品61を有しているとともに、閉止部品61を駆動するためにバルブ駆動部62を有している。
閉止部品61は、開口28aを塞ぐ閉位置(図1の位置)と、閉位置から退避した開位置(図1の位置から上方へ移動した位置)との間で移動可能である。バルブ駆動部62は、例えば、特に図示しないが、電磁式の駆動部とばね式の駆動部とを組み合わせて構成されている。そして、バルブ駆動部62は、信号(電力)が入力されていないときは、ばねの復元力によって閉止部品61を閉位置へ移動させ、信号が入力されているときは、ソレノイドによって閉止部品61を開位置へ移動させる。
[制御部]
制御部24は、アクチュエータ40と電気的に接続されており、電気信号をアクチュエータ40に与えてアクチュエータ40を変形させることにより、圧力室21の容積を変化させる。これにより、キャピラリー10への液体の吸引や、キャピラリー10からの液体の吐出などを行うことができる。圧力室21の容積が周期的に増減するようにアクチュエータ40を駆動させることにより、キャピラリー10内に吸引した液体を振動させることもできる。
また、制御部24は、バルブ23と電気的に接続されており、バルブ23に電気信号を与えることによりバルブ23を開閉する。第1流路22内に液体が流入してしまった場合に、バルブ23を開くことにより、液体をバルブ23から外部へ排出することができる。また、アクチュエータ40を変形させて液体を吸入した後に、バルブ23を開いて、その状態でアクチュエータ40の変形を元に戻し、バルブ23を閉じた後に再びアクチュエータ40を変形させることにより、多くの量の液体を吸入することができる。
図2は、制御部24の構成の一例を示すブロック図である。制御部24は、例えば、CPU(Central Processing Unit)71、ROM(Read Only Memory)72、RAM(Random Access Memory)73及び外部記憶装置74等を含んで構成されている。CPU71がROM72及び/又は外部記憶装置74に記憶されているプログラム(ここでは外部記憶装置74に記憶されている動作プログラム75を例示)を実行することによって種々の動作を行う種々の機能部が構築される。この種々の機能部の一部又は全体を制御部24と捉えてよい。以下の説明では、ROM72、RAM73及び外部記憶装置74を総称してメモリということがある。
制御部24は、例えば、1つ以上のIC(Integrated Circuit)によって構成されてよい。制御部24は、ピペット本体20に固定的に設けられていてもよいし、ピペット本体20に対して相対移動可能に設けられていてもよいし、一部(例えばドライバ)がピペット本体20に固定的に設けられ、他の部分(例えばドライバに指令を出力する部分)がピペット本体20に対して相対移動可能に設けられていてもよい。
外部記憶装置74は、駆動部50及びバルブ23の動作を規定している動作規定情報76を保持している。図示の例とは異なり、動作規定情報76の一部又は全部はROM72(又はRAM73)に記憶されていてもよい。動作規定情報76の一部又は全部は、データ(プログラムと区別される狭義のデータ)に含まれていてもよいし、CPU71に実行されるプログラムに含まれていてもよい。なお、本開示では、プログラムをデータの集まりとして表現するような広義の意味でデータの語を用いることがある。動作規定情報76は、例えば、ピペット1の製造者によって予めメモリに記憶されている。動作規定情報76は、操作部25に対する操作等によって、一部又は全部がユーザによって変更可能であってもよい。
後に図4~図6を参照して説明するように、ピペット1は、例えば、複数のステップ(SA~SK)を順次実行することができる。動作規定情報76は、例えば、その複数のステップ(SA~SK)における駆動部50及び/又はバルブ23の動作を規定している複数の情報(DA~DK)を含んでいる。一の情報は、一のステップに対応している。例えば、プレウォッシュ用情報DBは、測定対象の液体をキャピラリー10に吸引させる前に、洗浄用のプレウォッシュ用液をキャピラリー10に吸引させ、キャピラリー10から吐出させるプレウォッシュステップSBに対応している。
複数の情報(DA~DK)の少なくとも1つ(例えばDA~DKの全て)は、例えば、駆動部50及び/又はバルブ23の一連の複数の動作の順序を規定している。制御部24は、そのような情報に従って駆動部50及び/又はバルブ23に一連の複数の動作に対応する一連の複数の信号を順次駆動部50及び/又はバルブ23に出力する。
ここでいう一連の動作に含まれる複数の動作としては、例えば、駆動部50については、圧力室21の容積を増加させる動作、容積を減少させる動作、及び容積を維持する動作、並びにこれらの動作の開始、継続及び完了が挙げられる。また、例えば、バルブ23については、開動作及び閉動作が挙げられる。上記で容積を変化させる動作だけでなく、その開始、継続及び完了を挙げているように、複数の動作の一つとして概念される動作は、適宜に細分化されたものであってよい。
図3は、複数の情報(DA~DK)それぞれの構成の一例を示す概念図である。ここでは、複数の情報(DA~DK)のうち、プレウォッシュ用情報DBを例にとっている。
複数の情報(DA~DK)の少なくとも1つ(例えばDA及びDKを除く全て)は、駆動部50の動作とバルブ23の動作とを共に経過時間に対応付けたタイムテーブルによって保持されている。このような情報は、駆動部50の動作及びバルブ23の動作について、相互の順序だけでなく、それぞれのタイミング及び相互のタイミングも規定している。制御部24は、タイムテーブルに従って駆動部50及びバルブ23に一連の複数の動作に対応する一連の複数の信号を順次駆動部50及び/又はバルブ23に出力する。これにより、駆動部50及びバルブ23は、一連の動作を自動で(操作部25に対する操作を待たずに)実行する。
図示の例では、左側の欄「時点」は、タイムテーブルが保持している経過時間に対応する情報を示している。紙面上方の行から紙面下方の行へ行くほど時間が経過している。最も上の行は、例えば、当該タイムテーブルによって規定される動作の開始時点に対応している。最も下の行は、例えば、当該タイムテーブルによって規定される動作の完了時点に対応している。ここでの記号(t3~t8)は、後述する図4及び図5の横軸に示される記号と対応している。
中央の欄「駆動部」は、タイムテーブルが保持している駆動部50の動作に対応する情報を示している。具体的には、制御部24から駆動部50に入力される信号の信号レベル(例えば電圧)がタイムテーブルに保持されている。ここでの記号(Va0~Va3)は、後述する図4及び図5に示される記号と対応している。
右側の欄「バルブ」は、タイムテーブルが保持しているバルブ23の動作に対応する情報を示している。具体的には、制御部24からバルブ23に入力される信号の信号レベル(例えば電圧)がタイムテーブルに保持されている。ここでの記号(Vb0及びVb1)は、後述する図4及び図5に示される記号と対応している。
同一の行に示されている時点と、駆動部50の動作(電圧)と、バルブ23の動作(電圧)とは、例えば、時点から他の2つを特定可能に互いに対応付けられて記憶されている。制御部24は、例えば、タイムテーブルを参照して、タイムテーブルで規定されている時点が到来したと判定すると、その時点に対応付けられて記憶されている駆動部50及びバルブ23の電圧を特定する。そして、制御部24は、その特定した電圧を有する信号を生成して駆動部50及びバルブ23に出力する。
図3は、あくまで概念図であり、実際のタイムテーブルは適宜に構成されてよい。また、タイムテーブルの構成に応じて制御部24の動作も適宜に設定されてよい。
例えば、タイムテーブルは、CPU71が実行するプログラムとは別個のデータとして構成されていてもよいし、プログラム内に組み込まれていてもよい。
また、例えば、図3では、時点として、後に図4及び図5を参照して説明する動作の節目となる時点のみを挙げている。このようなタイムテーブルの場合においては、制御部24は、節目となる時点の間の時点における信号の電圧を適宜に補間計算によって特定してよい。
また、例えば、上記とは異なり、そのような節目の時点か否かに関わらず、一定の時間刻みで、各時点に対応する信号の電圧の情報が保持されていてもよい。この場合、制御部24は、例えば、各時点に対応する電圧を上記の時間刻みで順次特定し、その特定した電圧を有する信号を上記の時間刻みの間に亘って出力してよい。また、制御部24は、上記の時間刻みの間における信号の電圧を適宜に補間計算によって特定してもよい。一定の時間刻みで情報をタイムテーブルに保持させる場合においては、駆動部50の動作及びバルブ23の動作(電圧)のみを時系列順で読み出し可能に記憶させて時点の情報を記憶させないようにしてもよい。
また、例えば、タイムテーブルは、例えば、複数に分割されていてもよい。例えば、時点と駆動部50の動作とを対応付けたタイムテーブルと、時点とバルブ23の動作とを対応付けたタイムテーブルとが別々に記憶されていてもよい。そして、制御部24が両者を実質的に並列に参照して駆動部50及びバルブ23に信号を出力することによって、2つのタイムテーブルが実質的に1つのタイムテーブルのように機能してもよい。本開示において、駆動部50の動作とバルブ23の動作とを共に経過時間に対応付けているタイムテーブルという場合、このような実質的に1つとされているタイムテーブルを含む。
また、例えば、時点と、バルブ23の動作を示す記号とが対応付けられて記憶されたタイムテーブルと、上記の記号と、バルブ23に出力される信号の電圧とが対応付けられたテーブルとが用意されてもよい。そして、制御部24は、両者を参照することによって、バルブ23に信号を出力してもよい。このような場合、前者のみをタイムテーブルとして捉えてもよいし、双方の組み合わせをタイムテーブルとして捉えてもよい。バルブ23について述べたが、駆動部50についても同様である。
また、例えば、複数の情報(DA~DK)のいずれか2つ以上は、一つのタイムテーブルに保持されていてもよい。例えば、後の説明から理解されるように、残圧開放用情報DC及び事前動作用情報DDは、一つのタイムテーブルによって保持されていてもよい。そして、制御部24は、そのタイムテーブルに含まれる残圧開放用情報DC及び事前動作用情報DDを区別することなく、順次、時点に対応付けられた駆動部50及びバルブ23の電圧を特定して、信号の生成及び出力を実行してよい。残圧開放用情報DC及び事前動作用情報DDを例に挙げたが、時間経過に応じて自動で開始されてよい他のステップに対応する情報(DH~DJ)も、その前のステップの情報(DG~DI)と同一のタイムテーブルによって保持されてよい。
タイムテーブルの形式で保持されていない情報(例えばDA及びDK)は、適宜な形式のデータ(広義)に含まれてよい。例えば、そのような情報は、操作部25から所定の信号が入力されたか否か判定し、入力されたと判定したときに駆動部50及び/又はバルブ23に所定の信号を出力する動作を実現するプログラムに含まれていてもよい。
[操作部]
操作部25は、ピペット本体20に固定的に設けられていてもよいし、ピペット本体20に対して相対移動可能に設けられていてもよいし、一部がピペット本体20に固定的に設けられ、他の部分がピペット本体20に対して相対移動可能に設けられていてもよい。操作部25の構成は適宜なものとされてよい。例えば、操作部25は、1つ以上のスイッチによって構成されてよい。
操作部25が出力可能な信号の種類(別の観点では受付可能な操作の種類)の数と、制御部24が操作部25からの信号をトリガとして実行する動作の数とは、一部又は全部が対応していなくてもよいし、全部が対応していてもよい。例えば、前者について極端な例を挙げると、操作部25は、1つのスイッチのみを有するものであってよい。そして、制御部24は、スイッチから信号が入力されたときに実行している動作の種類に応じて、予め定められている次の動作に移行してよい。後者について極端な例を挙げると、操作部25からの信号をトリガとして実行される複数の動作に1対1で対応する互いに異なる複数のスイッチが操作部25に設けられてよい。そして、制御部24は、入力された信号の種類に対応する動作が、現在実行が許容されている動作である場合に、当該動作を実行してよい。なお、以下の説明では、両者を特に区別せずに、ユーザが操作部25に対して所定の操作を行う、操作部25から制御部24に所定の信号が入力される等と表現することがある。操作部25からの信号について述べたが、ピペット1の外部から入力される他の信号(例えば後述する制御部105(図9)からの信号)についても同様である。
[ピペットの動作]
ピペット1の動作の一例について説明する。以下で説明される動作は、例えば、ピペット1の周囲の雰囲気の圧力が一定の環境下で行われる。周囲の雰囲気の圧力は、例えば、大気圧である。ただし、周囲の雰囲気の圧力は、大気圧よりも低く、又は高くされても構わない。
図4及び図5は、制御部24が出力する駆動信号の波形の一例を模式的に示すグラフである。駆動信号の波形は、換言すれば、駆動信号の信号レベル(例えば電圧)の経時変化である。これらの図において、横軸tは時間を示している。横軸tから理解されるように、図5は、図4の続きを示している。縦軸Vは信号レベルとしての電圧を示している。図中の線は、制御部24がアクチュエータ40へ出力する第1駆動信号SgAの波形、及び制御部24がバルブ23へ出力する第2駆動信号SgBの波形を示している。
制御部24がアクチュエータ40へ出力する第1駆動信号SgAの信号レベルは、電圧(又は電圧と相関した物理量)である。一方、アクチュエータ40は、印加された電圧に対応した変形量で撓む。ここでいう対応は、例えば、1対1対応であり、換言すれば、電圧に対して一意に変形量が規定される関係である(変形が飽和している状態は除く。)。従って、第1駆動信号SgAが入力されたアクチュエータ40は、圧力室21の容積が第1駆動信号SgAの電圧に対応した容積になるように第1駆動信号SgAの波形(電圧の時間経過に対する変化)に追随して圧力室21の容積を変化させる。
なお、第1駆動信号SgAの電圧の変化量と圧力室21の容積の変化量との関係は比例関係とは限らない。ただし、便宜上、比例又は比例に近い関係を想定して説明する。従って、図4及び図5は、第1駆動信号SgAの電圧の経時変化だけでなく、圧力室21の容積の経時変化を示していると捉えてもよい。
内部電極42及び表面電極44は、一方に基準電位が付与され、他方に第1駆動信号SgAが入力される。そして、図4及び図5の電圧は、基準電位と第1駆動信号SgAとの電位差を示している。換言すれば、第1駆動信号SgAは、不平衡信号である。ただし、第1駆動信号SgAは、内部電極42及び表面電極44の双方において電位を変化させ、その電位差が図4及び図5に示される電圧となっている平衡信号とされても構わない。なお、本実施形態では、第1駆動信号SgAが不平衡信号である場合を例にとるから、以下では、図4及び図5の電圧を第1駆動信号SgAの電位として説明することがある。
第1駆動信号SgAの電圧の上昇(電位の正側への変化)は、圧力室21の容積の増加に対応していてもよいし、圧力室21の容積の減少に対応していてもよい。換言すれば、内部電極42及び表面電極44のうち第1駆動信号SgAが付与される電極から基準電位が付与される電極への方向と、圧電セラミック層40aの分極方向とは、逆向きであってもよいし、同一の向きであってもよい。以下では、便宜上、第1駆動信号SgAの電圧の上昇は、圧力室21の容積の増加(すなわち液体の吸引)に対応しているものとする。
制御部24がバルブ23へ出力する第2駆動信号SgBの信号レベル(例えば電圧)は、例えば、バルブ23の開状態と閉状態とに対応した2種の電圧Vb0及びVb1のいずれかとされる。2種の電圧のいずれが開状態又は閉状態に対応してもよいが、以下の説明では、電圧Vb0のときに閉状態となり、電圧Vb1のときに開状態となる場合を例にとる。第2駆動信号SgBは、第1駆動信号SgAと同様に、平衡信号であってもよいし、不平衡信号であってもよく、以下では、便宜的に、図4及び図5の電圧を第2駆動信号SgBの電位として説明することがある。電位Vb0及びVb1の一方は、基準電位とされてよい。第2駆動信号SgBの電圧は、図示の例とは異なり、バルブ23の開度を調整するように、電圧Vb0及びVb1の間の電圧とされることがあってもよい。
第1駆動信号SgAの電位と第2駆動信号SgBの電位との大きさの相対関係は、適宜に設定されてよい。以下では、便宜上、第1駆動信号SgAの時点t0のときの電位Va0と、第2駆動信号SgBの既述の電位Vb0とを同じ値として示す。実際には、両者は異なっていて構わない。第1駆動信号SgAの他の電位と、既述の電位Vb1との差についても、現実の両者の相違が図示されているわけでない。
第1駆動信号SgAの電位が所定の電位(例えば電位Va0)になっているとき、当該所定の電位は基準電位であってよい。このとき、制御部24は、第1駆動信号SgAを出力しない動作をしていてもよい。同様に、第2駆動信号SgBの電位が所定の電位(例えば電位Vb0)になっているとき、当該所定の電位は基準電位であってよい。このとき、制御部24は、第2駆動信号SgBを出力しない動作をしていてもよい。以下の説明では、電位Va0及びVb0が基準電位である態様(電位Va0及びVb0のときは信号が出力されない態様)を例にとる。ただし、便宜上、信号が出力されていない状態についても、信号が電位Va0又はVb0で出力されていると表現することがある。
下記では、ピペット1自体の動作だけでなく、ピペット1のユーザ又はピペット1を利用する装置(例えば後述する液体吸引装置101)が行う動作についても説明する。ここでは、主として、ユーザがピペット1を操作する態様を例にとって説明する。ユーザのピペット1に対する操作は、適宜に装置のピペット1に対する操作に読み替えられてよい。例えば、ユーザによるピペット1の移動は、装置(詳細には例えば後述する移動機構103)によるピペット1の移動とされてよい。また、例えば、ユーザによるピペット1の不図示のスイッチに対する操作は、装置(詳細には例えば後述する制御部105又は106)によるピペット1(詳細には例えば制御部24、又は駆動部50及びバルブ23)に対する信号の出力とされてよい。装置は、例えば、シーケンス制御によってユーザと同様の操作をピペットに対して行ってよい。
(複数のステップ)
ピペット1においては、図4及び図5に示す駆動信号が駆動部50及びバルブ23に出力されることによって、複数のステップ(SA~SK)が順次実行される。図4及び図5において、記号SA~SKが付された横軸に平行な矢印は、各ステップが行われる期間を示している。各ステップにおいては、例えば、駆動部50及び/又はバルブ23によって一連の動作が実行される。
ここでの説明では、各ステップは、基本的に、ピペット1自体の動作を基準に概念されている。例えば、容器に貯留されている液体を吸引するステップの開始は、ユーザ等がキャピラリー10の第1端11を容器に貯留されている液体に接触させたときではなく、圧力室21の容積の増加が開始されたときとされている。ただし、各ステップは、ユーザ等の動作を含んで概念されても構わない。
図6は、複数のステップ(SA~SK)の概要を示す一覧表である。「記号」の欄は、図4及び図5における複数のステップの記号SA~SKを示している。「ステップ」の欄は、そのステップの名称を示している。
「様式」の欄は、各ステップの動作様式が「自動」及び「手動」のいずれであるかを示している。ここでの「自動」は、例えば、図3のタイムテーブルを参照して説明したように、各ステップの開始後、操作部25に対する操作を待たずに各ステップの動作が最初から最後まで実行されることを意味する。一方、「手動」は、例えば、各ステップの開始後、操作部25に対する操作がなされることを条件として、各ステップ内の所定の動作が実行されることを意味している。
「開始条件」の欄は、各ステップが操作部25に対する操作によって開始されるのか、操作部25による操作によらずに自動的に開始されるのかを示している。図中、「自動(時間)」は、例えば、対象としているステップの前のステップが完了してから所定の時間が経過したときに自動で開始されることを意味している。「自動(信号)」は、後述する液体吸引装置101(図9)に関するものであり、これについては後述する。
図6の「様式」及び「開始条件」に示されている態様は、あくまで一例である。従って、例えば、「様式」において「自動」とされている箇所は「手動」とされてもよいし、その逆も可能である。同様に、「開始条件」において「自動」とされている箇所は「操作」とされてもよいし、その逆も可能である。
既に述べたように、各ステップにおける駆動部50及び/又はバルブ23の動作は、対応する情報(DA~DKのいずれか)によって規定されている。互いに対応するステップと情報とは、名称及びA~Kの符号が互いに共通している。確認的に記載すると、取付けステップSAの動作は取付け用情報DAによって規定されている。プレウォッシュステップSBの動作はプレウォッシュ用情報DBによって規定されている。残圧開放ステップSCの動作は残圧開放用情報DCによって規定されている。事前動作ステップSDの動作は事前動作用情報DDによって規定されている。第1吸引ステップSEの動作は第1吸引用情報DEによって規定されている。第2吸引ステップSFの動作は第2吸引用情報DFによって規定されている。引上げ準備ステップSGの動作は引上げ準備用情報DGによって規定されている。引上げステップSHの動作は引上げ用情報DHによって規定されている。混合ステップSIの動作は混合用情報DIによって規定されている。測定準備ステップSJの動作は測定準備用情報DJによって規定されている。取外しステップSKの動作は取外し用情報DKによって規定されている。
以下、図4~図6を参照して、各ステップについて説明する。
(時点t1~t2:取付け)
取付けステップSAは、キャピラリー10をピペット本体20に取り付けるステップである。このステップ以前(時点t1以前)において、制御部24は、例えば、駆動信号を駆動部50及びバルブ23に出力していない(信号は電位Va0及びVb0とされている。)。ユーザは、キャピラリー10をピペット本体20に取り付ける準備が整うと、操作部25に対して所定の操作を行う(時点t1)。制御部24は、操作部25から所定の信号が入力されたと判定すると、取付け用情報DAに従って、信号を生成するとともに生成した信号をバルブ23に出力する。なお、取付けステップSAでは、駆動部50への信号出力は停止されている(信号は電位Va0とされている)。
取付け用情報DAは、例えば、プログラムに組み込まれている。このプログラムを実行している制御部24は、例えば、まず、バルブ23を開くための信号(電位Vb1の信号)の出力を開始する(時点t1)。これにより、圧力室21内は開放流路28を介して大気開放される。その結果、例えば、キャピラリー10をピペット本体20に取り付ける際に、圧力室21の圧力が変動する蓋然性が低減される。ひいては、意図されていない負荷が圧力室21に付与される蓋然性が低減される。
その後、ユーザは、キャピラリー10のピペット本体20への取付けが完了すると、操作部25に対して所定の操作を行う。取付け用情報DAに従っている制御部24は、操作部25から所定の信号が入力されたと判定すると(時点t2)、バルブ23を開くための信号の出力を停止する。これにより、バルブ23は閉じられる。
(時点t3~t9:プレウォッシュ)
プレウォッシュステップSBは、プレウォッシュ用液によってキャピラリー10の内部を洗浄するステップである。プレウォッシュ用液は、適宜なものとされてよく、例えば、緩衝液とされてよい。緩衝液としては、例えば、トリス(Tris)緩衝液(tris(hydroxymethyl)aminomethane)にEDTA(Ethylenediaminetetraacetic acid)を加えたTEを挙げることができる。
ユーザは、取付けステップSAの後(バルブ23を閉じる操作の後)、キャピラリー10の第1端11を所定の容器に貯留されているプレウォッシュ用液に接触させる(接液を行う。)。そして、ユーザは、操作部25に対して所定の操作を行う(時点t3)。制御部24は、操作部25から所定の信号が入力されたと判定すると、プレウォッシュ用情報DBに従って、信号を生成するとともに生成した信号を駆動部50及びバルブ23に出力する。
プレウォッシュ用情報DBでは、以下の動作が規定されている。以下の一連の動作は、時点t3で開始された後は、図3を参照して説明したように、時間経過に応じて自動的に行われる。
まず、プレウォッシュ用液を第1端11から吸引するための動作が規定されている。具体的には、バルブ23が閉じられた状態で、圧力室21の容積を増加させる動作が規定されている。このときの第1駆動信号SgAの波形は、例えば、電位Va0から所定の電位Va1まで上昇し、次に所定の電位Va2まで下降し、当該電位Va2を維持する波形である。なお、図3では、図4の時点t3を細分化した時点t3-0、t3-1及びt3-2が示されている。
基本的には、圧力室21の容積が増加すると液体がキャピラリー10に吸引され、圧力室21の容積の増加が停止すると液体の吸引も停止される。従って、図示の例とは異なり、第1駆動信号SgAにおける吸引のための波形は、そのような圧力室21の容積の変化を実現する波形とされても構わない。すなわち、吸引のための波形は、吸引前の電位(ここではVa0)から所定の電位まで上昇し、当該所定の電位を維持する信号とされても構わない。この場合、吸引前後の電位差は、吸引量に応じて設定される。
図示の例のように、吸引のための波形が電位Va1に上昇した後に電位Va2へ下降する信号である場合においては、例えば、液体の計量の精度を向上させることができる。具体的には、以下のとおりである。
単に圧力室21の容積を一定の大きさまで増加させるだけであると、容積の増加を停止しても、液体の吸引が継続される現象が生じることがある。このような現象は、例えば、液体に作用する慣性力に起因する。そして、このような現象を無視することが難しい場合がある。例えば、微小量の液体を吸引するときは、上記のような現象によって生じる吸引量のばらつきが相対的に大きくなりやすく、ひいては、意図した精度で液体を吸引することが難しくなる。
そこで、電位Va1から電位Va2への下降に伴う圧力室21の容積の減少(キャピラリー10内の増圧)によって、慣性力に抗するブレーキ力を液体に作用させ、上記のような現象が生じる蓋然性を低減することができる。このような波形においては、例えば、電位Va0とVa1との電位差、電位Va1とVa2と電位差、並びに電位Va0から電位Va1を経由して電位Va2に至るまでの時間(パルス幅)等を調整し、任意の吸引量を実現することができる。
図4の例では、パルス幅が相対的に短く、電位Va0から電位Va1を経由して電位Va2へ至る波形はインパルス状に描かれている。なお、図4及び図5においてインパルス状に描かれている波形(時点t3、t14、t15及びt19)は、横軸方向に拡大したときに、適宜な形状を有していてよく、例えば、矩形波、三角波、のこぎり波及びsin波(曲線からなる波)のいずれとされていてもよい。また、インパルス状に描かれている波形のパルス幅(電位の上昇が開始されてから電位の下降が完了するまでの期間)は、比較的短いといっても、駆動部50が電位の変化に応じて変位可能な時間長さを有している。
次に、プレウォッシュ用情報DBでは、プレウォッシュ用液を第1端11から吐出する準備のための動作が規定されている。具体的には、バルブ23を開き(時点t4)、バルブ23が開かれた状態で、圧力室21の容積を増加させる(時点t5~t6)動作が規定されている。このときの第1駆動信号SgAは、例えば、電位Va2から所定の電位Va3まで概ね一定の変化率で上昇する。
圧力室21の容積は増加するが、圧力室21は大気開放されていることから、圧力室21の圧力は大気圧に維持される。その結果、プレウォッシュ用液のキャピラリー10内の位置は変化しない。例えば、プレウォッシュ用液は、第1端11付近に位置している状態が維持される。なお、図示の例とは異なり、このような吐出の準備の動作は省略されてもよい。
最後に、プレウォッシュ用情報DBでは、プレウォッシュ用液を第1端11から吐出するための動作が規定されている。具体的には、バルブ23を閉じ(時点t7)、バルブ23が閉じられた状態で、圧力室21の容積を減少させる(時点t8~t9)動作が規定されている。このときの第1駆動信号SgAは、例えば、電位Va3から所定の電位Va0まで概ね一定の変化率で下降する。
圧力室21の容積が減少することによってキャピラリー10内のプレウォッシュ用液が第1端11から吐出される。このときの圧力室21の容積の減少量(絶対値)は、容積の減少の開始前に容積が大きくされていたことにより、大きくされていなかった場合に比較して大きい。別の観点では、吐出における容積の減少量の絶対値(Va3-Va0を参照)は、吸引における容積の増加量(Va2-Va0又はVa1-Va0)よりも大きい。その結果、例えば、キャピラリー10内にプレウォッシュ用液が残る蓋然性が低減される。
ユーザは、例えば、目視及び/又は経過時間に基づいて、プレウォッシュ用液がキャピラリー10から吐出されたと判定すると、キャピラリー10を所定の容器に貯留されているプレウォッシュ用液から引き上げる(離液を行う。)。
(時点t10~t11:残圧開放)
残圧開放ステップSCは、バルブ23を開いて圧力室21内の圧力を大気と同等にするためのステップである。圧力室21は、プレウォッシュ用液吐出後のキャピラリー10を介して大気開放されているが、バルブ23を開くことによって速やかに圧力室21の圧力を大気圧と同等にすることができる。
ユーザは、所定の容器に貯留されているプレウォッシュ用液からキャピラリー10を引き上げると、操作部25に対して所定の操作を行う(時点t10)。制御部24は、操作部25から所定の信号が入力されたと判定すると、残圧開放用情報DCに従って、信号を生成するとともに生成した信号をバルブ23に出力する。なお、残圧開放ステップSCでは、駆動部50への信号出力は停止されている(信号は電位Va0とされている)。
残圧開放用情報DCは、例えば、タイムテーブルの形式で記憶されている。従って、残圧開放用情報DCで規定されている動作は、開始後、時間経過に応じて自動的に行われる。具体的には、まず、バルブ23を開く動作が行われる(時点t10)。その後、所定の時間が経過した後(時点t11)、バルブ23が閉じられる。
(時点t12~t13:事前動作)
事前動作ステップSDは、検査対象の液体を吸引するための準備を行うステップである。このステップは、ユーザによる操作部25に対する所定の操作がなされたことを条件として開始されてもよいし、残圧開放ステップSCが完了してから所定の時間が経過したことを条件として自動的に開始されてもよい。制御部24は、開始条件が満たされたと判定すると(時点t12)、事前動作用情報DDに従って、信号を生成するとともに生成した信号を駆動部50に出力する。なお、このステップでは、バルブ23への信号出力は停止され(信号は電位Vb0とされ)、バルブ23は閉じられている。
事前動作用情報DDは、例えば、タイムテーブルの形式で記憶されている。従って、事前動作用情報DDで規定されている動作は、開始後、時間経過に応じて自動的に行われる。具体的には、圧力室21の容積の増減が1回以上行われる。図4の例では、圧力室21の増減が3回行われている。
このときの第1駆動信号SgAの波形は適宜に設定されてよい。例えば、波形は、矩形波、三角波、のこぎり波及びsin波(曲線からなる波。図示の例)のいずれとされていてもよい。また、増加後の容積(別の観点では上昇後の電位)及び減少後の容積(別の観点では下降後の電位)の大きさは適宜に設定されてよい。この大きさは、容積の増減の繰り返しにおいて一定であってもよいし、変化してもよい。図示の例では、電位Va0と電位Va4との間で電位の変動が繰り返されている。繰り返しの周期も適宜に設定されてよい。なお、増減を繰り返すという場合、例えば、2回以上の増加及び2回以上の減少が交互に生じる場合を指してよい。他のステップ(例えばSH及びSI)においても同様である。
このように圧力室21の容積の増減を行うと、第1端11から大気がキャピラリー10内に吸引されて吐出される。これにより、例えば、キャピラリー10内の湿度及び/又は温度のばらつきを低減することができる。その結果、例えば、後述する液体の吸引において、湿度及び/又は温度のばらつきに起因する吸引量の誤差を低減することができる。
(時点t14:第1吸引)
第1吸引ステップSEは、測定対象である第1液をキャピラリー10内に吸引するステップである。ユーザは、経過時間等に基づいて事前動作ステップSDが完了したと判定すると、キャピラリー10の第1端11を所定の容器に貯留されている第1液に接触させる(接液を行う。)。そして、ユーザは、操作部25に対して所定の操作を行う(時点t14)。制御部24は、操作部25から所定の信号が入力されたと判定すると、第1吸引用情報DEに従って、信号を生成するとともに生成した信号を駆動部50に出力する。なお、このステップでは、バルブ23への信号出力は停止され(信号は電位Vb0とされ)、バルブ23は閉じられている。
第1吸引用情報DEは、例えば、タイムテーブルの形式で記憶されている。従って、第1吸引用情報DEで規定されている動作は、開始後、時間経過に応じて自動的に行われる。具体的には、バルブ23が閉じられた状態で圧力室21の容積が増加される。これにより、第1端11から第1液がキャピラリー10内に吸引される。
このときの第1駆動信号SgAの波形は、例えば、プレウォッシュステップSBにおいてプレウォッシュ用液を吸引したときの波形(時点t3)と同様とされている。すなわち、第1吸引ステップSEにおける波形は、電位Va0から所定の電位Va5まで上昇し、次に所定の電位Va6まで下降し、当該電位Va6を維持する信号である。このような波形の作用は、プレウォッシュステップSBの説明で述べたとおりである。
第1液の吸引量は、例えば、プレウォッシュ用液の吸引量と同様に、電位Va0とVa5との電位差、電位Va5とVa6と電位差、並びに電位Va0から電位Va5を経由して電位Va6に至るまでの時間(パルス幅)等を調整することによって規定される。図示の例では、パルス幅が相対的に短く、電位Va0から電位Va5を経由して電位Va6へ至る波形はインパルス状に描かれている。なお、第1吸引ステップSEにおける波形は、図示の例とは異なり、電位Va0から所定の電位まで上昇し、当該所定の電位を維持するものとされても構わない。
ユーザは、目視及び/又は時間経過によって第1液がキャピラリー10内に吸引されたと判定すると、キャピラリー10を容器に貯留されている第1液から引き上げる(離液を行う。)。第1液から第2端12側の空間(圧力室21等)は密閉されていることから、キャピラリー10に吸引されている第1液は、第1端11付近に位置する状態が維持される。
(時点t15:第2吸引)
第2吸引ステップSFは、測定対象である第2液をキャピラリー10内に吸引するステップである。ユーザは、キャピラリー10を所定の容器に貯留されている第1液から引き上げると、キャピラリー10の第1端11を別の容器に貯留されている第2液に接触させる。そして、ユーザは、操作部25に対して所定の操作を行う(時点t15)。制御部24は、操作部25から所定の信号が入力されたと判定すると、第2吸引用情報DFに従って、信号を生成するとともに生成した信号を駆動部50に出力する。なお、このステップでは、バルブ23への信号出力は停止され(信号は電位Vb0とされ)、バルブ23は閉じられている。
第2吸引用情報DFは、例えば、タイムテーブルの形式で記憶されている。従って、第2吸引用情報DFで規定されている動作は、開始後、時間経過に応じて自動的に行われる。具体的には、バルブ23が閉じられた状態で圧力室21の容積が増加される。これにより、既に第1端11付近に吸引されている第1液に続いて、第1端11から第2液がキャピラリー10内に吸引される。
このときの第1駆動信号SgAの波形は、例えば、第1吸引ステップSEの終了時の電位Va6から所定の電位Va7まで上昇し、次に所定の電位Va8まで下降し、当該電位Va8を維持する信号である。このような波形の作用は、プレウォッシュステップSBの説明で述べたとおりである。
第2液の吸引量は、例えば、プレウォッシュ用液の吸引量と同様に、電位Va6とVa7との電位差、電位Va7とVa8と電位差、並びに電位Va6から電位Va7を経由して電位Va8に至るまでの時間(パルス幅)等を調整することによって規定される。図示の例では、パルス幅が相対的に短く、電位Va6から電位Va7を経由して電位Va8へ至る波形はインパルス状に描かれている。なお、第2吸引ステップSFにおける波形は、図示の例とは異なり、電位Va6から所定の電位まで上昇し、当該所定の電位を維持するものとされても構わない。
ユーザは、目視及び/又は時間経過によって第2液がキャピラリー10内に吸引されたと判定すると、キャピラリー10を容器に貯留されている第2液から引き上げる。第1液及び第2液から第2端12側の空間(圧力室21等)は密閉されていることから、キャピラリー10に吸引されている第1液及び第2液は、第1端11付近に位置する状態が維持される。
(時点t16~t18:引上げ準備)
引上げ準備ステップSGは、第1液及び第2液をキャピラリー10内において第1端11側から第2端12側へ移動させるための準備を行うステップである。ユーザは、キャピラリー10を容器に貯留されている第2液から引き上げると、操作部25に対して所定の操作を行う(時点t16)。制御部24は、操作部25から所定の信号が入力されたと判定すると、引上げ準備用情報DGに従って、信号を生成するとともに生成した信号を駆動部50及びバルブ23に出力する。
引上げ準備用情報DGは、例えば、タイムテーブルの形式で記憶されている。従って、引上げ準備用情報DGで規定されている動作は、開始後、時間経過に応じて自動的に行われる。ここで行われる動作は、具体的には、例えば、以下のとおりである。
まず、バルブ23が開かれる(時点t16)。そのバルブ23が開かれた状態で、圧力室21の容積が減少される(時点t17)。圧力室21は、バルブ23を介して大気開放されていることから、圧力室21の容積が減少しても、圧力室21の圧力は増加せず、圧力室21の圧力は大気圧に維持される。ひいては、第1液及び第2液は第1端11から吐出されず、現在の位置が維持される。その後、バルブ23が閉じられる(時点t18)。このような動作により、この後、第1液及び第2液を引き上げるために圧力室21の容積を大きくするときに、その増加量を大きくすることができる。時点t17における減少後の圧力室21の容積(第1駆動信号SgAの降下後の電位)は適宜な大きさとされてよい。図4の例では、第1駆動信号SgAの電位はVa0とされている。
(時点t19~t21:引上げ)
引上げステップSHは、第1液及び第2液をキャピラリー10内において第1端11側から第2端12側へ移動させるステップである。これにより、例えば、第1液及び第2液は、キャピラリー10内で、後のステップに都合のよい位置まで移動する。引上げステップSHは、ユーザによる操作部25に対する所定の操作がなされたことを条件として開始されてもよいし、引上げ準備ステップSGが完了してから所定の時間が経過したことを条件として自動的に開始されてもよい。制御部24は、開始条件が満たされたと判定すると(時点t19)、引上げ用情報DHに従って、信号を生成するとともに生成した信号を駆動部50に出力する。なお、このステップでは、バルブ23への信号出力は停止され(信号は電位Vb0とされ)、バルブ23は閉じられている。
引上げ用情報DHは、例えば、タイムテーブルの形式で記憶されている。従って、引上げ用情報DHで規定されている動作は、開始後、時間経過に応じて自動的に行われる。規定されている動作は、具体的には、例えば、以下のとおりである。
まず、引上げ用情報DHでは、第1液及び第2液を比較的速い速度で第1端11側から第2端12側へ移動させる動作が規定されている(時点t19)。具体的には、例えば、バルブ23が閉じられた状態で、圧力室21の容積を増加させ、その後、減少させる。このときの第1駆動信号SgAの波形は、例えば、比較的短い時間(パルス幅)で電位が上昇して電位Va9となり、その後、電位が下降するものとなっている。すなわち、当該波形は、パルス状(さらにはインパルス状)とされている。
上記のような波形は、プレウォッシュステップSBの時点t3における波形と同様の作用を奏する。すなわち、圧力室21の容積の増加によって、キャピラリー10内の液体よりも第2端12側が減圧され、液体は、第2端12側へ流れる。その後の圧力室21の容積の減少によって、キャピラリー10内の液体よりも第2端12側が増圧され、液体に作用する第2端12側への慣性力に抗するブレーキ力が液体に作用する。ブレーキ力の作用によって、液体の停止位置の精度が向上する。
時点t3では、降下後の電位Va2は、上昇前の電位Va0よりも高い。一方、時点t19では、降下後の電位は、上昇前の電位Va0と同等とされている。時点t19では、時点t3とは異なり、第1端11が液体に接しておらず、第1端11が液体に接している場合に比較して、電位の上昇に対して液体が第2端12へ移動しやすいことからである。ただし、時点t19においても、降下後の電位は、電位Va0よりも高くされて構わない。
第1液及び第2液の移動量は、例えば、電位Va0とVa9との電位差、電位Va0から電位Va9を経由して電位Va0に至るまでの時間(パルス幅)等を調整することによって規定できる。なお、時点t19における波形は、図示の例とは異なり、電位Va0から所定の電位まで上昇し、当該所定の電位を維持するものとされても構わない。
次に、引上げ用情報DHでは、第1液及び第2液を比較的遅い速度で第1端11側から第2端12側へ移動させる動作が規定されている(時点t20~21)。具体的には、バルブ23が閉じられた状態で、圧力室21の容積の増減を繰り返す動作が規定されている。
このときの第1駆動信号SgAの波形は適宜に設定されてよい。例えば、波形は、矩形波、三角波、のこぎり波及びsin波(曲線からなる波。図示の例)のいずれとされていてもよい。また、増加後の容積(別の観点では上昇後の電位)及び減少後の容積(別の観点では下降後の電位)の大きさは適宜に設定されてよい。この大きさは、容積の増減の繰り返しにおいて一定であってもよいし、変化してもよい。図示の例では、開始時(時点t20)及び終了時(時点t21)を除いて、電位Vb10と電位Vb11との間で電位の変動が繰り返されている。繰り返しの周期も適宜に設定されてよい。
このように圧力室21の容積の増減を繰り返すと、液体は、第1端11側から第2端12側への移動と、その反対側への移動とを繰り返しつつ、徐々に第2端12側へ移動する。通常、圧力室21の容積の増減を繰り返しても、液体は、同一の範囲で振動し、移動しない。ただし、適宜な条件を満たすことによって、液体は、圧力室21の容積の増減によって第1端11側から第2端12側へ移動する。
例えば、図1において示されているように、チップ部材14の孔10aは、第1端11側ほど径が小さくなるテーパ状とされている。この孔10aに位置している液体が第1端11へ向かって流れるときの流路抵抗は、液体が第2端12へ向かって流れるときの流路抵抗よりも大きい。ひいては、液体の第1端11側への移動量は、液体の第2端12側への移動量よりも小さい。その結果、液体は、振動を繰り返しながら、徐々に第2端12側へ移動する。
また、例えば、ガラス管13の孔10bは、チップ部材14の孔10aに比較して、径が小さく、かつ内面の親水性が高い。従って、孔10bと孔10aとの境界に位置していると、第1端11側から第2端12側へ液体を流れさせる毛管力が生じる。その結果、液体は、振動を繰り返しながら、徐々に第2端12側へ移動する。
(時点t22~t23:混合)
混合ステップSIは、第1液及び第2液をキャピラリー10内で混合するステップである。混合ステップSIは、ユーザによる操作部25に対する所定の操作がなされたことを条件として開始されてもよいし、引上げステップSHが完了してから所定の時間が経過したことを条件として自動的に開始されてもよい。制御部24は、開始条件が満たされたと判定すると(時点t22)、混合用情報DIに従って、信号を生成するとともに生成した信号を駆動部50に出力する。なお、このステップでは、バルブ23への信号出力は停止され(信号は電位Vb0とされ)、バルブ23は閉じられている。
混合用情報DIは、例えば、タイムテーブルの形式で記憶されている。従って、混合用情報DIで規定されている動作は、開始後、時間経過に応じて自動的に行われる。具体的には、圧力室21の容積の増減が適宜な回数(図示の例では4回)で繰り返される。これにより、第1液及び第2液は、第2端12側への移動と、第1端11側への移動とを交互に繰り返す。ひいては、両液体が攪拌され、両液体の混合が進む。
このときの第1駆動信号SgAの波形は適宜に設定されてよい。例えば、波形は、矩形波、三角波、のこぎり波及びsin波(曲線からなる波。図示の例)のいずれとされていてもよい。また、増加後の容積(別の観点では上昇後の電位)及び減少後の容積(別の観点では下降後の電位)の大きさは適宜に設定されてよい。この大きさは、容積の増減の繰り返しにおいて一定であってもよいし、変化してもよい。図示の例では、開始時(時点t22)及び終了時(時点t23)を除いて、電位Vb13と電位Vb14との間で電位の変動が繰り返されている。繰り返しの周期も適宜に設定されてよい。
(時点t24~t27:測定準備)
測定準備ステップSJは、混合後の液体の性質及び/又は成分を測定するための準備を行うステップである。このステップは、ユーザによる操作部25に対する所定の操作がなされたことを条件として開始されてもよいし、混合ステップSIが完了してから所定の時間が経過したことを条件として自動的に開始されてもよい。制御部24は、開始条件が満たされたと判定すると(時点t24)、測定準備用情報DJに従って、信号を生成するとともに生成した信号を駆動部50及びバルブ23に出力する。
測定準備用情報DJは、例えば、タイムテーブルの形式で記憶されている。従って、測定準備用情報DJで規定されている動作は、開始後、時間経過に応じて自動的に行われる。規定されている動作は、例えば、引上げ準備用情報DGで規定されている動作と同様である。具体的には、以下のとおりである。
まず、バルブ23が開かれる(時点t24)。そのバルブ23が開かれた状態で、圧力室21の容積が減少される(時点t25~t26)。圧力室21は、バルブ23を介して大気開放されていることから、圧力室21の容積が減少しても、圧力室21の圧力は増加せず、圧力室21の圧力は大気圧に維持される。ひいては、キャピラリー10内の液体は、現在の位置が維持される。その後、バルブ23が閉じられる(時点t27)。
第1駆動信号SgAにおいて、圧力室21の容積の減少が完了した以後の電位は、例えば、基準電位であるVa0とされる。すなわち、駆動部50への信号の出力は停止される。従って、例えば、液体の位置を維持したまま、駆動部50の駆動を停止して、消費電力を低減することができる。
(時点t27~t28:測定)
測定ステップ(符号省略)は、キャピラリー10内の液体(第1液及び第2液の混合物)の性質及び/又は成分を測定するステップである。この測定は、例えば、キャピラリー10内(例えばガラス管13内)の液体に光が照射されることによって行われる。このような測定としては、例えば、蛍光測定、散乱測定、吸光測定及び分光測定を挙げることができる。この測定の間、第1駆動信号SgA及び第2駆動信号SgBの電位は、例えば、電位Va0及びVb0とされている。すなわち、信号は出力されていない。
(時点t28~t29:取外し)
取外しステップSKは、キャピラリー10をピペット本体20から取り外すステップである。ユーザは、キャピラリー10内の液体の測定が完了すると、操作部25に対して所定の操作を行う(時点t28)。制御部24は、操作部25から所定の信号が入力されたと判定すると(時点t28)、取外し用情報DKに従って取外しステップSKを実行する。
取外し用情報DKは、取付け用情報DAと同様のものとされてよい。従って、取外し用情報DKに従っている制御部24は、例えば、まず、バルブ23を開くための信号(電位Vb1の信号)の出力を開始する(時点t28)。これにより、圧力室21内は開放流路28を介して大気開放される。その結果、例えば、キャピラリー10をピペット本体20から取り外す際に、圧力室21の圧力が変動する蓋然性が低減される。ひいては、意図されていない負荷が圧力室21に付与される蓋然性が低減される。
その後、ユーザは、キャピラリー10のピペット本体20からの取外しが完了すると、操作部25に対して所定の操作を行う。取外し用情報DKに従っている制御部24は、操作部25から所定の信号が入力されたと判定すると(時点t29)、バルブ23を開くための信号の出力を停止する。これにより、バルブ23は閉じられる。なお、取外しステップSKを省略して、次の取付けステップSAでキャピラリー10が取り外されてもよい。すなわち、キャピラリー10の交換が行われてもよい。
(プレウォッシュにおける吸引量)
図7(a)~図7(d)は、プレウォッシュを説明するための模式的な断面図である。ここでの説明では、接液及び離液もプレウォッシュに含まれるものとする。
図7(a)は、キャピラリー10の第1端11を容器151に貯留されているプレウォッシュ用液LWに接触させる接液ステップを示している。図7(b)は、接液ステップの後、第1端11をプレウォッシュ用液LWに接触させた状態で、圧力室21の容積を増加させるように駆動部50を制御してプレウォッシュ用液LWをキャピラリー10に吸引する吸引ステップを示している(時点t3~t4)。図7(c)は、吸引ステップの後、第1端11をプレウォッシュ用液LWに接触させた状態で、圧力室21の容積を減少させるように駆動部50を制御してプレウォッシュ用液LWをキャピラリー10から吐出する吐出ステップを示している(時点t4~t9)。図7(d)は、吐出ステップの後、キャピラリー10を容器151に貯留されているプレウォッシュ用液LWから引き上げる離液ステップを示している。
ここで、吸引ステップ(図7(b))において、プレウォッシュ用液LWの吸引量は、例えば、ガラス管13の孔10b及びチップ部材14の孔10aのうち孔10aのみにプレウォッシュ用液LWが位置するような量とされてよい。このとき、プレウォッシュ用液LWは、図示の例のように、孔10aと孔10bとの境界に到達していなくてもよいし、図示の例とは異なり、境界に到達していてもよい(孔10aと孔10bとの段差面に接していてもよい。)。既に述べたように、孔10aは、例えば、孔10bよりも撥水性が高く、ひいては、吐出後にプレウォッシュ用液が付着しにくい(残りにくい。)。なお、図示の例とは異なり、プレウォッシュ用液は、孔10bまで吸引されても構わない。
(プレウォッシュにおける変化率)
図8は、図4の一部(プレウォッシュステップSB:時点t3~t9)を横軸方向に拡大して示す図である。
既述のように、プレウォッシュステップSBでは、プレウォッシュ用液の吸引後、バルブ23を開いた状態で(時点t4~)、圧力室21の容積を増加させる(時点t5~t6)。その後、バルブ23を閉じた状態で(時点t7~)、圧力室21の容積を減少させる(時点t8~t9)。この一連の動作において、圧力室21の容積を増加させるときの電位の変化率((Va3-Va2)/(t6-t5))の絶対値は、圧力室21の容積を減少させるときの電位の変化率((Va0-Va3)/(t9-t8)))の絶対値よりも小さくされてよい。なお、図示の例とは異なり、前者が後者以上であっても構わない。
図示の例では、圧力室21の容積を増加させるときの電位の変化率は、増加の期間(時点t5~t6)に亘って一定であり、第1駆動信号SgAを示す直線の傾きと同じである。同様に、圧力室21の容積を減少させるときの電位の変化率は、減少の期間(時点t8~t9)に亘って一定であり、第1駆動信号SgAを示す直線の傾きと同じである。なお、圧力室21の容積を増加又は減少させるときの電位の変化率が増加又は減少の期間に亘って一定でない場合においては、各期間の平均の変化率によって比較がなされてよい。
[ピペットの応用例]
上記の説明では、基本的に、ユーザがピペット1を操作する態様を例にとって説明した。ただし、既に言及したように、ピペット1は、ユーザに代わる装置によって操作されても構わない。以下に、その一例を示す。
図9は、ピペット1を含む液体吸引装置101の外観を示す模式的な斜視図である。ここでは、便宜上、ピペットに対して、これまでの説明と同一の符号を付すが、以下の説明から理解されるように、ピペットは、液体吸引装置101に組み込むために適宜に変形されてよい。
液体吸引装置101は、例えば、ピペット1(ピペット構造部15)と、ピペット1を保持している移動機構103と、これらを制御する制御部105と、ユーザの操作に応じた信号を制御部105に出力する操作部119とを有している。
移動機構103は、ユーザに代わって、ピペット1と、液体が貯留されている容器107とを相対移動させる。すなわち、移動機構103は、容器107に貯留されている液体に対してキャピラリー10の接液及び離液を行うことができる。
移動機構103の構成は、適宜なものとされてよい。図示の例では、移動機構103は、ピペット本体20を保持する保持部109と、保持部109が固定されている可動部111と、可動部111を上下に移動可能に保持しているコラム113とを有している。コラム113は、例えば、不図示のリニアモータを内蔵しており、制御部105からの信号に基づいて可動部111を上下に駆動する。容器107は、ピペット1の下方に配置されている。ピペット1が下方に駆動されることによって接液が行われる。ピペット1が上方へ駆動されることによって離液が行われる。図示の例とは異なり、移動機構は、容器107を上下に駆動することによって接液及び離液を行うように構成されてもよい。
ピペット本体20は、例えば、移動機構103(保持部109)に対して着脱可能とされている。その着脱方法は、適宜なものとされてよい。例えば、ねじ、係合、圧入及び/又は締め付けが利用されてよい。ここでは、移動機構103とピペット本体20とを別個のものとして説明している。ただし、ピペット本体20は、当初から液体吸引装置101に組み込まれることが想定されて設計され、移動機構103に対して着脱可能でない構成とされていてもよい。別の観点では、ピペット本体20と移動機構103との境界は必ずしも明瞭でなくてもよい。
可動部111には、カメラ115も固定されている。このカメラ115は、例えば、キャピラリー10を撮像し、撮像した画像のデータを制御部105に出力する。制御部105は、入力された画像に基づいて、例えば、吸引量の誤差が許容範囲内か否か判定することができる。
容器107は、例えば、所定の中心線CLを中心とする円周上に配置された複数(図示の例では4つ)の凹部107aを有している。複数の凹部107aは、中心線CLに沿う方向(上方)に開口している。複数の凹部107aには、ピペット1に吸引される互いに異なる種類の液体(プレウォッシュ用液、第1液及び第2液)が個別に貯留されている。
移動機構103は、容器107を保持するステージ117を有している。ステージ117は、中心線CLがキャピラリー10から偏心した位置でキャピラリー10に概ね平行になるように容器107を保持する。また、ステージ117は、例えば、モータを内蔵しており、制御部105からの信号に基づいて容器107を中心線CL回りに回転可能である。ステージ117によって容器107が回転されることによって、ピペット1の下方に位置する凹部107aが入れ替わる。ひいては、ピペット1を下方に移動させたときに接液される液体が変更される。
制御部105は、特に図示しないが、制御部24と同様に、例えば、CPU、ROM、RAM及び外部記憶装置等を含んで構成されている。CPUがメモリに記憶されているプログラムを実行することによって、種々の動作を行う種々の機能部が構築される。制御部105は、移動機構103(その固定的部分)に固定的に設けられていてもよいし、一部又は全部が移動機構103に対して相対移動可能に設けられていてもよい。
制御部105及び制御部24は、ハードウェア的に分かれていてもよいし、一部又は全部が統合されていてもよい。前者の場合、例えば、制御部24を構成するIC等がピペット本体20に設けられ、制御部105を構成するIC等がピペット本体20の外部に設けられ、両者はケーブル等によって電気的に接続されていてよい。また、後者の場合、例えば、制御部105及び制御部24を構成するIC等がピペット本体20の外部に設けられ、これらがケーブル等によって駆動部50及びバルブ23と接続されてよい。
上記のいずれの場合についても、制御部105及び制御部24は、液体吸引装置101が有している制御部106として概念されてよい。制御部105及び制御部24がハードウェア的に統合されている場合についても、本開示の説明では、便宜上、制御部105が制御部24に信号を出力するということがある。
操作部119の構成は適宜なものとされてよく、例えば、操作部25の構成についての既述の説明は、ピペット本体20を移動機構103に置き換えて援用されてよい。操作部119は、操作部25が受け付ける操作として説明されたいずれかの操作を操作部25に代わって受け付けてよい。液体吸引装置101に用いられるピペット1は、操作部25を有していなくてもよいし、有していてもよい。
液体吸引装置101は、例えば、既述の種々のステップのうち、いずれのステップを行ってもよい。例えば、液体吸引装置101は、全てのステップを実行してもよいし、一部のステップを実行してもよい。例えば、液体吸引装置101は、プレウォッシュステップSBから測定準備ステップSJまでを実行してよい。
図6の「開始条件」の欄において、「操作or自動(信号)」と記載されているステップは、操作部25(又は119)から制御部24への信号に代えて、制御部105から制御部24への信号がステップ開始のトリガとなり得ることを示している。従って、例えば、プレウォッシュステップSBの開始後は、測定準備ステップSJの完了まで、操作部25(及び119)に対する操作を待たずに、自動で行われてよい。プレウォッシュステップSBの開始も何らかのステップ完了後に自動的に行われてよい。
図10は、液体吸引装置101が実行する処理の手順の一例について要部を示すフローチャートである。図中の左側のフローは、制御部105がユーザ(操作部25)に代わって実行する処理を示している。図中の右のフローは、制御部24が実行する処理を示している。この制御部24が実行する処理は、ユーザがピペット1を操作する態様においても実行されるものである。
ここでは、プレウォッシュステップSBと、第1吸引ステップSEとに着目している。それ以外のステップについては基本的に図示を省略している。また、以下の説明では、便宜上、残圧開放ステップSC及び事前動作ステップSDが行われない態様について説明している。
ステップST1の前までに、移動機構103によって保持されているピペット1の下方には、プレウォッシュ用液が貯留されている凹部107aが位置している。そして、ステップST1では、制御部105は、コラム113のモータを駆動してピペット1を所定位置まで下降させる。これにより、キャピラリー10の第1端11が凹部107a内に移動する。ひいては、第1端11がプレウォッシュ用液に接触する。制御部105は、ピペット1の下降が完了すると、そのことを知らせる信号を制御部24に出力する。
ステップST11では、制御部24は、制御部105からピペット1の下降の完了を知らせる信号が入力されたか否か判定する。そして、制御部24は、否定判定の場合は、ステップST11を繰り返し(待機し)、肯定判定の場合はステップST12に進む。
ステップST12では、制御部24は、図4~図6を参照して説明したように、プレウォッシュ用情報DBに従って駆動部50及びバルブ23を制御する。そして、制御部24は、プレウォッシュ用情報DBに規定されている動作が完了すると、そのことを知らせる信号を制御部105に出力する。
ステップST2では、制御部105は、制御部24からプレウォッシュ用情報DBに規定されている動作の完了を知らせる信号が入力されたか否か判定する。そして、制御部105は、否定判定の場合は、ステップST2を繰り返し(待機し)、肯定判定の場合はステップST3に進む。
ステップST3では、制御部105は、コラム113のモータを駆動してピペット1を所定位置まで上昇させる。これにより、キャピラリー10の第1端11が凹部107aに貯留されているプレウォッシュ用液から引き上げられ、さらには、凹部107aの外部へ移動する。
ステップST4では、制御部105は、ステージ117のモータを駆動して容器107を所定角度だけ回転させる。これにより、ピペット1の下方には、第1液が貯留されている凹部107aが位置する。
ステップST5は、基本的にステップST1と同様のものである。すなわち、制御部105は、コラム113のモータを駆動してピペット1を所定位置まで下降させる。これにより、キャピラリー10の第1端11が凹部107aに貯留されている第1液に接触する。制御部105は、ピペット1の下降が完了すると、そのことを知らせる信号を制御部24に出力する。
ステップST13は、基本的にステップST11と同様のものである。すなわち、制御部24は、制御部105からピペット1の下降の完了を知らせる信号が入力されたか否か判定する。そして、制御部24は、否定判定の場合は、ステップST13を繰り返し(待機し)、肯定判定の場合はステップST14に進む。
ステップST14では、制御部24は、図4~図6を参照して説明したように、第1吸引用情報DEに従って駆動部50及びバルブ23を制御する。そして、制御部24は、第1吸引用情報DEに規定されている動作が完了すると、そのことを知らせる信号を制御部105に出力する。
ステップST6では、制御部105は、制御部24から第1吸引用情報DEに規定されている動作の完了を知らせる信号が入力されたか否か判定する。そして、制御部105は、否定判定の場合は、ステップST6を繰り返し(待機し)、肯定判定の場合は次のステップ(不図示)に進む。
ここまでの説明から類推されるように、その後、ステップST3~ST5及びステップST13及びST14と基本的に同様の処理が実行されることによって、第2液の吸引が行われる。さらに、ステップST3と基本的に同様の処理が実行されることによって、キャピラリー10が第2液から引き上げられる。
このように液体吸引装置101にピペット1を組み込んだ場合においては、図6の「開始条件」の欄において「自動(信号)」によって示されているように、ユーザの操作部25に対する操作をトリガとしていたステップも自動で開始することができる。その結果、例えば、操作部25に対する操作が低減若しくは無くされ、ユーザの負担が軽減される。また、ピペット1が比較的小さい場合においては、ユーザが接液及び離液を行うと、接液及び離液におけるピペット1の位置及び速度のばらつきが吸引量に及ぼす影響が相対的に大きくなる。このような観点からもユーザの負担が軽減される。別の観点では、吸引量の精度を向上させることができる。さらに、ユーザがピペット1を持つと、ユーザの体温がピペット1の内部の湿度及び/又は温度に影響を及ぼす。液体吸引装置101を用いることによって、このような影響も低減することができ、吸引量の精度を向上させることができる。
以上のとおり、本実施形態では、ピペット1のキャピラリー10を洗浄するプレウォッシュ方法において、ピペット1は、キャピラリー10と、圧力室21と、駆動部50とを有している。キャピラリー10は、長さ方向の両端である第1端11及び第2端12が開口している。圧力室21は、第2端12を介してキャピラリー10の内部に通じている。駆動部50は、圧力室21の容積を変化させる。そして、プレウォッシュ方法は、接液ステップ(図7(a))と、吸引ステップ(図7(b))と、吐出ステップ(図7(c))と、離液ステップ(図7(d))とを有している。接液ステップでは、第1端11を容器151(又は107)に貯留されているプレウォッシュ用液LWに接触させる。吸引ステップでは、接液ステップの後、第1端11をプレウォッシュ用液LWに接触させた状態で、圧力室21の容積を増加させるように駆動部50を制御してプレウォッシュ用液LWをキャピラリー10に吸引する。吐出ステップでは、吸引ステップの後、第1端11をプレウォッシュ用液LWに接触させた状態で、圧力室21の容積を減少させるように駆動部50を制御してプレウォッシュ用液LWをキャピラリー10から吐出する。離液ステップでは、吐出ステップの後、キャピラリー10を容器151に貯留されているプレウォッシュ用液LWから引き上げる。
従って、例えば、キャピラリー10内のプレウォッシュ用液は、圧力室21の容積の減少によって吐出される。比較例としては、例えば、第1端11にウエスを押し当てて、プレウォッシュ用液をウエスに浸み込ませることによって、キャピラリー10内の液体を排出させる方法が挙げられる。このような比較例に比較して、例えば、第1端11に加えられる荷重を小さくしやすいことから、キャピラリー10に変形が生じる蓋然性が低減される。また、例えば、上記の比較例に比較して、プレウォッシュ液の排出不足が生じる蓋然性を低減することが容易である。キャピラリー10の変形及びプレウォッシュ用液の排出不足の蓋然性が低減されることによって、例えば、その後の液体の吸引量の精度を向上させることができる。
また、例えば、本実施形態では、プレウォッシュ用液の吐出は、第1端11をプレウォッシュ用液に接触させた状態で行われる。比較例としては、例えば、第1端11を容器151(又は107)のプレウォッシュ用液から引き上げた後に、プレウォッシュ用液を吐出する方法が挙げられる。このような比較例に比較して、例えば、プレウォッシュ用液が第1端11に付着する(残る)蓋然性を低減しやすい。具体的には、例えば、比較例においては、プレウォッシュ用液が第1端11の開口から第1端11の外面及びその周囲の外面に回り込んで付着する(落下しない)ことがある。一方、本実施形態では、第1端11を容器内のプレウォッシュ用液から引き上げたときに、容器内のプレウォッシュ用液が第1端11の周囲のプレウォッシュ用液を引き寄せる。その結果、プレウォッシュ用液の付着が低減される。当該効果は、キャピラリー10の径等が比較的小さいときに生じやすい。
別の観点では、本実施形態において、液体吸引装置101は、ピペット構造部15と、移動機構103と、制御部106とを有している。移動機構103は、ピペット構造部15と、ピペット構造部15に吸引される液体を貯留する容器107とを相対移動させる。制御部106は、ピペット構造部15及び移動機構103を制御する。ピペット構造部15は、キャピラリー10と、圧力室21と、駆動部50とを有している。キャピラリー10は、長さ方向の両端である第1端11及び第2端12が開口している。圧力室21は、第2端12を介してキャピラリー10の内部に通じている。駆動部50は、圧力室21の容積を変化させる。制御部106は、以下の動作が順になされるように移動機構103及び駆動部50を制御する。まず、第1端11を容器107内に移動させる(図7(a))。その後、第1端11を容器107内に位置させた状態で、圧力室21の容積を第1増加量(電位Va2-Va0、又は電位Va3-Va0を参照)で増加させる(図7(b):時点t3~t4)。その後、圧力室21の容積を第1増加量以上の絶対値を有する第1減少量(電位Va0-Va3を参照)で減少させる(図7(c):時点t8~t9)。その後、第1端11を容器外へ移動させる(図7(d))。
この場合、例えば、第1端11が容器内に位置した状態のまま、液体の吸入と、吸入量以上の吐出量での吐出とがなされる。従って、例えば、容器内にプレウォッシュ用液を配置することによって、上述したプレウォッシュ方法を実現することができる。また、既に述べたように、ユーザが操作する場合に比較して、ユーザの負担を軽減したり、ユーザの体温がキャピラリー10内の湿度及び/又は温度に及ぼす影響を低減できる。
さらに別の観点では、本実施形態では、ピペット1は、キャピラリー10と、圧力室21と、駆動部50と、制御部24とを有している。キャピラリー10は、長さ方向の両端である第1端11及び第2端12が開口している。圧力室21は、第2端12を介してキャピラリー10の内部に通じている。駆動部50は、圧力室21の容積を変化させる。制御部24は、駆動部50を制御する。さらに、制御部24は、駆動部50の動作を規定しているタイムテーブル(プレウォッシュ用情報DB)を記憶しており、タイムテーブルに従って駆動部50を制御する。プレウォッシュ用情報DBは、圧力室21の容積を第1増加量(電位Va2-Va0、又は電位Va3-Va0を参照)で増加させてから第1増加量以上の絶対値を有する第1減少量(電位Va0-Va3を参照)で減少させる動作(時点t3~t9)を規定している。
従って、例えば、ユーザの操作を待たずに、自動でプレウォッシュ用液の吸引及び吐出が行われ、ユーザの負担が軽減される。また、このような制御は、接液したまま吐出するプレウォッシュ方法に利用可能である。ここで、既述の比較例のように、ユーザが第1端11を容器内のプレウォッシュ用液から引き上げた後に、キャピラリー10内のプレウォッシュ用液を吐出する場合を考える。この場合の制御部24の制御としては、第1端11が容器内のプレウォッシュ用液から引き上げられた後、ユーザの操作部25に対する所定の操作をトリガとして圧力室21の容積の減少を開始するものが考えられる。換言すれば、本実施形態のように、制御部24がタイムテーブルに従って吸引と吐出とを自動的に行う制御が行われる態様において、比較例のプレウォッシュを実現するためには、ユーザがタイミングよくピペットを引き上げるか、容積の増加完了から容積の減少開始までの期間を長くしなければならない。従って、本実施形態におけるピペット1の制御は、比較例のプレウォッシュ方法との関連性が低い。
本実施形態では、プレウォッシュの吸引ステップ(図7(b):時点t3~t4)において、圧力室21の容積を初期容積(電位Va0を参照)から第1容積(電位Va1を参照)まで増加させ、当該第1容積から初期容積よりも大きい第2容積(電位Va2を参照)まで減少させ、当該第2容積を維持するように駆動部50を制御する。
この場合、例えば、既述のように、プレウォッシュ用液にブレーキ力を作用させ、吸引量の精度を向上させることができる。その結果、例えば、プレウォッシュ後におけるキャピラリー10内の湿度及び/又は温度のばらつきを低減することができる。ひいては、これらの湿度及び/又は温度のばらつきに起因する第1液(計測対象の液体)の吸引量のばらつきを低減できる。また、吸引量の精度が向上することから、例えば、ガラス管13の孔10bとチップ部材14の孔10aのうち孔10aのみにプレウォッシュ用液を吸引する場合において、孔10aと孔10bとの境界近くまでプレウォッシュ用液を吸引することが容易化される。
また、本実施形態では、ピペット1は、圧力室21と外部とを繋ぐ開閉可能なバルブ23を有している。プレウォッシュの吸引ステップ(図7(b):時点t3~t4)では、バルブ23を閉じた状態で、圧力室21の容積を第1増加量(電位Va2-Va0又は電位Va1-Va0を参照)で増加させるように駆動部50を制御してプレウォッシュ用液をキャピラリー10に吸引する。プレウォッシュの吐出ステップ(図7(c):時点t4~t9)では、バルブ23を開き(時点t4)、バルブ23を開いた状態で圧力室21の容積を第2増加量(電位Va3-Va2を参照)で増加させるように駆動部50を制御する。その後、バルブ23を閉じ(時点t7)、バルブ23を閉じた状態で第1増加量よりも絶対値が大きい第1減少量(電位Va0-Va3を参照)で圧力室21の容積を減少させるように駆動部50を制御してプレウォッシュ用液をキャピラリー10から吐出する。
この場合、例えば、例えば、プレウォッシュ用液を吸引するときの圧力室21の容積の増加量に対して、プレウォッシュ用液を吐出するときの圧力室21の容積の減少量の絶対値を十分に大きくし、確実にプレウォッシュ用液を吐出させることができる。その結果、例えば、残ったプレウォッシュ用液が第1液(測定対象の液体)の吸引量に及ぼす影響が低減される。
また、本実施形態では、駆動部50は、付与された電圧に応じた容積に圧力室21の容積を変化させる構成を有している。プレウォッシュにおいて、圧力室21の容積を第2増加量で増加させるときに駆動部50に付与される電圧の変化率((Va3-Va2)/(t6-t5))の絶対値は、圧力室21の容積を第1減少量で減少させるときに駆動部50に付与される電圧の変化率((Va0-Va3)/(t9-t8)))の絶対値よりも小さい。
ここで、圧力室21の容積を減少させる期間(時点t8~t9)においてはバルブ23が閉じられている。従って、圧力室21及びキャピラリー10内の気体の流出口は第1端11に限られているから、電圧の変化率の絶対値を大きくしても、駆動部50の急激な変形は気体の圧力によって抑制されやすい。一方、圧力室21の容積を増加させる期間(時点t5~t6)においてはバルブ23が開かれている。従って、上記のような気体の圧力によって駆動部50の急激な変形が抑制される効果は低減される。このような事情から、増加させるときの電圧の変化率の絶対値を減少させるときの電圧の変化率の絶対値よりも小さくすることによって、増加させるときに駆動部50に加えられる負荷が低減される。別の観点では、駆動部50の負荷を軽減しつつも、増減のそれぞれにおいて駆動部50を速やかに変形させることができる。
また、本実施形態では、キャピラリー10の、第1端11から第2端12へ貫通している貫通孔(10a及び10b)は、第1端11に開口している第1孔(チップ部材14の孔10a)と、孔10aに対して第2端12側に位置している第2孔(ガラス管13の孔10b)とを有している。孔10bの内面は、孔10aの内面よりも撥水性が低い。プレウォッシュの吸引ステップ(図7(b))では、孔10a及び孔10bのうち孔10aにのみプレウォッシュ用液を吸引する。
従って、例えば、キャピラリー10内にプレウォッシュ用液が残りにくい。その結果、その後の第1液(測定対象の液体)の吸引量の精度を向上させることができる。
なお、以上の実施形態において、時点t3-0における電位Va0に対応する容積は初期容積の一例である。時点t3-1における電位Va1に対応する容積は第1容積の一例である。時点t3-2における電位Va2に対応する容積は第2容積の一例である。電位Va0からVa2までの上昇(時点t3)に対応する圧力室21の容積の増加量は、第1増加量の一例である。電位Va2からVa3までの上昇(時点t5~t6)に対応する圧力室21の容積の増加量は、第2増加量の一例である。電位Va3からVa0までの下降(時点t8~t9)に対応する圧力室21の容積の減少量は、第1減少量の一例である。チップ部材14の孔10aは第1孔の一例である。ガラス管13の孔10bは第2孔の一例である。
本開示に係る技術は、以上の実施形態及び変形例に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
図4及び図5に示したステップは、全てが実行される必要は無い。例えば、極端な例を挙げれば、プレウォッシュステップSB及び第1吸引ステップSEを除く全てのステップが省略されても構わない。逆に、図4及び図5に示したステップに加えて、他のステップが加えられても構わない。例えば、第2液に続いて第3液体を吸引するステップが追加されてもよい。別の観点では、ピペットは、2液を混合することが可能なものに限定されない。例えば、ピペットは、1液を吸引するだけのものであってもよい。逆に、ピペットは、3液以上を吸引可能なものであってもよい。
制御部は、適宜な情報に基づいて駆動部及びバルブを制御してよい。実施形態では、制御部24は、操作部25からの信号、時間経過及び/又は制御部105からの信号に基づいて駆動部及びバルブを制御した。この他、例えば、適宜なセンサからの信号に基づいて制御が実行されてもよい。
1…ピペット、10…キャピラリー、11…第1端、12…第2端、21…圧力室、23…バルブ、24…制御部、50…駆動部、107…容器、151…容器、LW…プレウォッシュ用液。

Claims (6)

  1. 長さ方向の両端である第1端及び第2端が開口しているキャピラリーと、
    前記第2端を介して前記キャピラリーの内部に通じている圧力室と、
    前記圧力室の容積を変化させる駆動部と、
    前記圧力室と外部とを繋ぐ開閉可能なバルブと、
    を有しているピペットの前記キャピラリーを洗浄するプレウォッシュ方法であって、
    前記第1端を容器に貯留されているプレウォッシュ用液に接触させる接液ステップと、
    前記接液ステップの後、前記第1端を前記プレウォッシュ用液に接触させた状態で、前記圧力室の容積を増加させるように前記駆動部を制御して前記プレウォッシュ用液を前記キャピラリーに吸引する吸引ステップと、
    前記吸引ステップの後、前記第1端を前記プレウォッシュ用液に接触させた状態で、前記圧力室の容積を減少させるように前記駆動部を制御して前記プレウォッシュ用液を前記キャピラリーから吐出する吐出ステップと、
    前記吐出ステップの後、前記キャピラリーを前記容器に貯留されている前記プレウォッシュ用液から引き上げる離液ステップと、
    を有しており、
    前記吸引ステップでは、前記バルブを閉じた状態で、前記圧力室の容積を第1増加量で増加させるように前記駆動部を制御して前記プレウォッシュ用液を前記キャピラリーに吸引し、
    前記吐出ステップでは、前記バルブを開き、前記バルブを開いた状態で前記圧力室の容積を第2増加量で増加させるように前記駆動部を制御し、その後、前記バルブを閉じ、前記バルブを閉じた状態で前記第1増加量よりも絶対値が大きい第1減少量で前記圧力室の容積を減少させるように前記駆動部を制御して前記プレウォッシュ用液を前記キャピラリーから吐出する
    プレウォッシュ方法。
  2. 前記吸引ステップにおいて、前記圧力室の容積を初期容積から第1容積まで増加させ、当該第1容積から前記初期容積よりも大きい第2容積まで減少させ、当該第2容積を維持するように前記駆動部を制御する
    請求項1に記載のプレウォッシュ方法。
  3. 前記駆動部は、付与された電圧に応じた容積に前記圧力室の容積を変化させる構成を有しており、
    前記圧力室の容積を前記第2増加量で増加させるときに前記駆動部に付与される電圧の変化率の絶対値は、前記圧力室の容積を前記第1減少量で減少させるときに前記駆動部に付与される電圧の変化率の絶対値よりも小さい
    請求項1又は2に記載のプレウォッシュ方法。
  4. 前記キャピラリーの、前記第1端から前記第2端へ貫通している貫通孔は、
    前記第1端に開口している第1孔と、
    前記第1孔に対して前記第2端側に位置しており、前記第1孔の内面よりも撥水性が低い内面を有している第2孔と、を有しており、
    前記吸引ステップでは、前記第1孔及び前記第2孔のうち前記第1孔にのみ前記プレウォッシュ用液を吸引する
    請求項1~のいずれか1項に記載のプレウォッシュ方法。
  5. ピペット構造部と、
    当該ピペット構造部と、当該ピペット構造部に吸引される液体を貯留する容器とを相対移動させる移動機構と、
    前記ピペット構造部及び前記移動機構を制御する制御部と、
    を有しており、
    前記ピペット構造部は、
    長さ方向の両端である第1端及び第2端が開口しているキャピラリーと、
    前記第2端を介して前記キャピラリーの内部に通じている圧力室と、
    前記圧力室の容積を変化させる駆動部と、
    前記圧力室と外部とを繋ぐ開閉可能なバルブと、を有しており、
    前記制御部は、
    前記第1端を前記容器内に移動させ、前記第1端を前記容器内に位置させた状態で、 前記バルブを閉じた状態で前記圧力室の容積を第1増加量で増加させ
    前記第1増加量での増加の後、前記バルブを開いた状態で前記圧力室の容積を第2増加量で増加させ、
    前記第2増加量での増加の後、前記バルブを閉じた状態で前記第1増加量よりも絶対値が大きい第1減少量で減少させ、
    前記第1減少量での減少の後、前記第1端を前記容器外へ移動させるように前記移動機構前記駆動部及び前記バルブを制御する
    液体吸引装置。
  6. 長さ方向の両端である第1端及び第2端が開口しているキャピラリーと、
    前記第2端を介して前記キャピラリーの内部に通じている圧力室と、
    前記圧力室の容積を変化させる駆動部と、
    前記圧力室と外部とを繋ぐ開閉可能なバルブと、
    前記駆動部及び前記バルブを制御する制御部と、
    を有しており、
    前記制御部は、前記駆動部の動作を規定しているタイムテーブルを記憶しており、前記タイムテーブルに従って前記駆動部及び前記バルブを制御し、
    前記タイムテーブルは、
    前記バルブを閉じた状態で前記圧力室の容積を第1増加量で増加させ
    前記第1増加量での増加の後、前記バルブを開いた状態で前記圧力室の容積を第2増加量で増加させ、
    前記第2増加量での増加の後、前記バルブを閉じた状態で前記第1増加量よりも絶対値が大きい第1減少量で減少させる動作を規定している
    ピペット。
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