JP7239076B1 - 硬化性組成物、硬化物、繊維強化複合材料、及び、繊維強化樹脂成形品 - Google Patents

硬化性組成物、硬化物、繊維強化複合材料、及び、繊維強化樹脂成形品 Download PDF

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Abstract

エポキシ樹脂(A)、脂肪族アミン化合物及び/又は脂環式アミン化合物(B)、コアシェル粒子(C)、及び、イミダゾール化合物(D)を含有し、前記エポキシ樹脂(A)中のエポキシ基のモル数Eと前記脂肪族アミン化合物及び/又は脂環式アミン化合物(B)の活性水素のモル数Hの比率H/Eが、0.3~0.9である硬化性組成物を提供する。この硬化性組成物は、速硬化性であり、硬化物における耐熱性、及び、靭性が良好であることから、それ自体を硬化させて用いる用途の他、繊維強化複合材料や繊維強化樹脂成形品等にも好適に用いることができる。

Description

本発明は、速硬化性であり、硬化物における耐熱性、及び、靭性が良好である硬化性組成物とその硬化物、繊維強化複合材料、及び、繊維強化樹脂成形品に関する。
炭素繊維やアラミド繊維などを強化繊維として用いた繊維強化複合材料は、高い比強度および比弾性率を活かし、自動車や風車などの一般産業用途、航空宇宙産業用途、スポーツ用途に広く利用されており、近年では、金属の軽量化として繊維強化複合材料の開発が盛んに行われている。
この繊維強化複合材料用のマトリクス樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が主に使用されている。その中でも、エポキシ樹脂を含む硬化性組成物から得られる硬化物には、優れた耐熱性、高強度、高弾性率、密着性、耐薬品性を有し、成形性も良好である点から、繊維強化複合材料として、様々な用途において実用化が進んでいる。
繊維強化複合材料の製造方法としては、オートクレーブ法、フィラメントワインディング法、プルトルージョン法、レジントランスファーモールディング(RTM)法、プレス成形法等が適宜選択される。これら製造方法のうち、液状樹脂を用いるRTM法は自動車、航空機等の産業用途への実用化が活発化している。
特に航空機分野において使用される芳香族アミン系硬化成分を使用したエポキシ樹脂組成物は、得られる硬化物の耐熱性等がより優れる観点から、エポキシ樹脂、特定の芳香族ジアミン、単環多価フェノール化合物、及び、炭素原子数2~6で構成される主鎖と2個以上の水酸基を有するアルコール化合物とを特定割合で配合したエポキシ樹脂組成物の使用が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、高度化する要求、特に速硬化性と、硬化物の耐熱性と強靭性(高靭性)をバランスよく兼備するという要求に対し、十分に応えられるものではなく、さらなる改良が求められている。
特開2014-227473号公報
従って、本発明が解決しようとする課題は、速硬化性であり、硬化物における耐熱性、及び、靭性が良好である硬化性組成物とその硬化物、繊維強化複合材料、及び、繊維強化樹脂成形品を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、エポキシ樹脂を含有する硬化性組成物において、硬化剤として、特定のアミン化合物とイミダゾール化合物を併用し、更にコアシェル粒子を含有し、前記エポキシ樹脂中のエポキシ基と、前記特定のアミン化合物中の活性水素を、特定割合(モル比)で配合することで、前記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、エポキシ樹脂(A)、脂肪族アミン化合物及び/又は脂環式アミン化合物(B)、コアシェル粒子(C)、及び、イミダゾール化合物(D)を含有し、前記エポキシ樹脂(A)中のエポキシ基のモル数Eと前記脂肪族アミン化合物及び/又は脂環式アミン化合物(B)の活性水素のモル数Hの比率H/Eが、0.3~0.9である硬化性組成物に関する。
本発明の硬化性組成物は、前記エポキシ樹脂(A)が、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を含有することが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、前記エポキシ樹脂(A)、及び、前記コアシェル粒子(C)の混合物の25℃における粘度が、1,000~100,000mPa・sであることが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、前記脂肪族アミン化合物及び/又は脂環式アミン化合物(B)が、トリエチレンテトラミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、及び、イソホロンジアミンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、前記硬化組成物の全量100質量部に対して、前記コアシェル粒子(C)を1~10質量部含有することが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、前記コアシェル粒子(C)の体積平均粒子径が、50~1,000nmであることが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、前記エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、前記イミダゾール化合物(D)を0.2~4質量部含有することが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、前記イミダゾール化合物(D)が、イミダゾール、1-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、及び、2-エチル-4-メチルイミダゾールからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、前記エポキシ樹脂(A)が、ナフタレン型エポキシ樹脂、及び/又は、ビフェニル型エポキシ樹脂を含有することが好ましい。
本発明は、前記硬化性組成物の硬化物に関する。
本発明は、前記硬化性組成物と、強化繊維とを含有する繊維強化複合材料に関する。
本発明は、前記硬化物と、強化繊維とを含有する繊維強化樹脂成形品に関する。
本発明によれば、速硬化性であり、硬化物における耐熱性、及び、強靭性に優れる硬化性組成物とその硬化物、繊維強化複合材料、及び、繊維強化樹脂成形品を提供することができる。
本発明は、エポキシ樹脂(A)、脂肪族アミン化合物及び/又は脂環式アミン化合物(B)、コアシェル粒子(C)、及びイミダゾール化合物(D)を含有し、前記エポキシ樹脂(A)中のエポキシ基のモル数Eと前記脂肪族アミン化合物及び/又は脂環式アミン化合物(B)の活性水素のモル数Hの比率H/Eが、0.3~0.9である硬化性組成物に関する。
[エポキシ樹脂(A)]
本発明で用いるエポキシ樹脂(A)は、分子内に2個以上のエポキシ基を有しているエポキシ樹脂であれば、特に制限なく使用できるが、前記エポキシ樹脂(A)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;ナフタレン型エポキシ樹脂;トリフェニルメタン型エポキシ樹脂;グリシジルアミン型エポキシ樹脂;フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型ノボラック等のノボラック型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエンと各種フェノール類と反応させて得られる各種ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のエポキシ化物;フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂;10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-10H-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド等を用いて合成されるリン含有エポキシ樹脂;ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ樹脂;3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス-(3,4-エポキヒシクロヘキシル)アジペート等の脂環式エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート等のごときヘテロ環含有エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種のエポキシ樹脂が、得られる硬化物が、機械強度に優れる硬化性組成物が得られることから好ましく、特に、低粘度と強靭性の観点から、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を含有することがより好ましく、更に、前記ビスフェノールF型エポキシ樹脂に加えて、強靭性の観点から、ビフェニル型エポキシ樹脂、及び/又は、ナフタレン型エポキシ樹脂を含有することが更に好ましい。
前記ビスフェノールF型エポキシ樹脂は、低粘度と強靭性の観点から、前記エポキシ樹脂(A)に含有することが好ましい。前記ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、例えば、商品名「EPICLON 830-S」(DIC社製、エポキシ当量:165~180g/当量、粘度(25℃):3,000~4,500mPa・s)、商品名「JER 807」(三菱ケミカル社製、エポキシ当量:160~175g/当量)、商品名「YDF-170」(日鉄ケミカル&マテリアル社製、エポキシ当量:160~180g/当量)などが挙げられる。
前記ナフタレン型エポキシ樹脂は、強靭性の観点から、前記エポキシ樹脂(A)に含有することが好ましい。前記ナフタレン型エポキシ樹脂としては、例えば、商品名「EPICLON HP-4032D」(DIC社製、エポキシ当量:136~150g/当量、粘度(50℃):250~850mPa・s)、商品名「EPICLON HP-4700」(DIC社製、エポキシ当量:155~170g/当量)、商品名「EPICLON HP-4710」(DIC社製、エポキシ当量:160~180g/当量)、商品名「EPICLON HP-4770」(DIC社製、エポキシ当量:195~210g/当量)などが挙げられる。
前記ビフェニル型エポキシ樹脂は、強靭性の観点から、前記エポキシ樹脂(A)に含有することが好ましい。前記ビフェニル型エポキシ樹脂としては、例えば、商品名「XY4000」(三菱ケミカル社製、エポキシ当量:180~192g/当量)、商品名「NC-3000」(日本化薬社製、エポキシ当量:265~285g/当量)などが挙げられる。
前記エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量としては、硬化性組成物の硬化性の観点から、160~200g/当量であることが好ましく、160~195g/当量であることがより好ましく、160~190g/当量であることが更に好ましい。
前記前記エポキシ樹脂(A)、及び、前記コアシェル粒子(C)の混合物の25℃における粘度としては、1,000~100,000mPa・sであることが好ましく、1,000~50,000mPa・sであることがより好ましく、1,000~15,000mPa・sであることが更に好ましい。前記範囲内であることで、硬化性組成物の流動性や強化繊維などへの含浸性の観点から好ましい。
[アミン化合物(B)]
前記脂肪族アミン化合物及び/又は脂環式アミン化合物(B)(以下、「アミン化合物(B)」という場合がある。)は、前記エポキシ樹脂(A)の硬化剤として用いるものである。なお、本発明における脂肪族アミン化合物、及び、脂環式アミン化合物は、アミノ基が結合する炭素原子が芳香族性を有さないものであり、構造中に芳香環を有する化合物であってもよい。
前記脂肪族アミン化合物及び/又は脂環式アミン化合物(B)は、1分子中に1個以上の活性水素を有するアミンであり、速硬化性の観点から脂肪族あるいは脂環式のアミンを用いる。特に硬化物の耐熱性の観点からは、1分子中に2個以上の活性水素を有するポリアミンであることが好ましい。
前記脂肪族アミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノブタン、1,4-ジアミノブタン等のアルキレンジアミン類;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等のポリアルキルポリアミン類;N,N-ジメチルアミノプロピルアミン、N,N-ジエチルアミノプロピルアミン、N,N-ジイソプロピルアミノプロピルアミン、N,N-ジアリルアミノプロピルアミン、N,N-ビスアミノプロピルアリルアミン、ビス〔3-(N,N-ジメチルアミノプロピル)〕アミン、ビス〔3-(N,N-ジエチルアミノプロピル)〕アミン、ビス〔3-(N,N-ジイソプロピルアミノプロピル)〕アミン、ビス〔3-(N,N-ジブチルアミノプロピル)〕アミン、N,N-ジメチルアミノエチルアミン、N,N-ジエチルアミノエチルアミン、N,N-ジイソプロピルアミノエチルアミン、N,N-ジアリルアミノエチルアミン、N,N-(ビスアミノプロピル)-N-メチルアミン、N,N-ビスアミノプロピルエチルアミン、N,N-ビスアミノプロピルプロピルアミン、N,N-ビスアミノプロピルブチルアミン、N,N-ビスアミノプロピルペンチルアミン、N,N-ビスアミノプロピルヘキシルアミン、N,N-ビスアミノプロピル-2-エチルヘキシルアミン、N,N,N’-トリメチルエチレンジアミン、N’-エチル-N,N-ジメチルエチレンジアミン、N’-エチル-N,N-ジメチルプロパンジアミン;N,N-ベンジルメチルアミノエチルアミン、N,N-ジベンジルアミノエチルアミン、N,N-ベンジルメチルアミノプロピルアミン、N,N-ジベンジルアミノプロピルアミン、4-(N,N-ジメチルアミノ)ベンジルアミン、4-(N,N-ジエチルアミノ)ベンジルアミン、4-(N,N-ジイソプロピルアミノ)ベンジルアミン、N’-エチル-N,N-ジベンジルアミノプロピルアミン、N,N-ビスアミノプロピルベンジルアミン等が挙げられ、単独でも2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、エポキシ樹脂(A)と組み合わせた場合の組成物の粘度や、速硬化性、得られる硬化物における機械強度の観点から、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンを用いることが好ましく、トリエチレンテトラミンを用いることが特に好ましい。
前記脂環式アミン化合物としては、例えば、N,N-ジメチルビスアミノシクロヘキサン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-3,6-ジエチルシクロヘキサン、N,N-シクロヘキシルメチルアミノエチルアミン、N,N-ジシクロヘキシルアミノエチルアミン、N,N-シクロヘキシルメチルアミノプロピルアミン、N,N-ジシクロヘキシルアミノプロピルアミン、N,N-ビスアミノプロピルシクロヘキシルアミン、イソホロンジアミン、N,N,-ジメチルイソホロンジアミン等が挙げられ、単独でも2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、前記エポキシ樹脂(A)と組み合わせた場合の硬化性組成物の粘度や、速硬化性、得られる硬化物の機械強度の観点から、前記アミン化合物(B)として、トリエチレンテトラミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、及び、イソホロンジアミンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを用いることがより好ましい。
また、前記アミン化合物(B)と、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ビスフェノールA-ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF-ジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類又はカルボン酸のグリシジルエステル類等の各種エポキシ樹脂とを反応させることによって製造されるポリエポキシ付加変性物;これらの有機ポリアミン類と、フタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸等のカルボン酸類とを反応させることによって製造されるアミド化変性物;前記ポリアミン類と、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類とを反応させることによって製造されるマンニッヒ化変性物;及び、フェノール、クレゾール、キシレノール、第三ブチルフェノール、レゾルシン等の、核に少なくとも一個の、アルデヒド化が可能な反応性の箇所を有するフェノール類と前記アミン化合物とを反応させることによって製造されるマンニッヒ化変性物等も前記アミン化合物(B)として使用することができる。
本発明の硬化性組成物において、前記エポキシ樹脂(A)とアミン化合物(B)との配合割合は、前記エポキシ樹脂(A)中のエポキシのモル数Eと前記脂肪族アミン化合物及び/又は脂環式アミン化合物(B)の活性水素のモル数Hの比率H/Eが、0.3~0.9であることを特徴とする。前記比率H/Eが前記範囲内にあることで、前記エポキシ樹脂(A)に由来するエポキシ基が過剰となることにより、前記エポキシ基と前記アミン化合物(B)由来のアミノ基との付加反応と、後述するイミダゾール化合物(D)由来のイミダゾール基とのアニオン重合反応の2種の硬化反応が並行して進行し、硬化性組成物の速硬化性を向上させ、得られる硬化物の芳香環濃度が高くなり、硬化物の高耐熱性の効果がより発現しやすく、好適である。一方、前記H/Eが0.9を超える場合、前記イミダゾール化合物(D)に基づき、速硬化性を発揮するが、耐熱性が下がり、好ましくない。特に前記比率H/Eが0.3~0.8であることが好ましい。
[コアシェル粒子(C)]
前記コアシェル粒子(C)とは、具体的には、コアシェル型ゴム粒子を指し、架橋されたゴム状ポリマーを主成分とする粒子状コア成分の表面に、前記コア成分とは異なるポリマーをグラフト重合することで粒子状コア成分表面の一部または全部をシェル成分で被覆したゴム粒子をいう。
前記コア成分としては、例えば、架橋ゴム粒子が挙げられる。前記架橋ゴム粒子としては、ゴムの種類は制限されず、例えば、ブタジエンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、スチレンゴム、合成天然ゴム、エチレンプロピレンゴム等が挙げられる。
前記シェル成分としては、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル及び芳香族ビニル化合物からなる群より選ばれ1種または複数種のモノマーから重合された重合体等が挙げられる。なお、前記シェル成分は、前記コア成分にグラフト重合されており、前記コア成分を構成するポリマーと化学結合していることが好ましい。なお、前記コア成分として、スチレンとブタジエンの重合体から構成される架橋ゴム状ポリマーを使用する場合、シェル成分としては、メタクリル酸エステルであるメタクリル酸メチルと芳香族ビニル化合物であるスチレンの重合体を用いることが好ましい。
前記コアシェル型ゴム粒子の市販品としては、例えば、ブタジエン・メタクリル酸アルキル・スチレン共重合物からなる“パラロイド(登録商標)”EXL-2655(呉羽化学工業株式会社製)、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体からなる“スタフィロイド(登録商標)”AC-3355、TR-2122(武田薬品工業株式会社製)、アクリル酸ブチル・メタクリル酸メチル共重合物からなる“PARALOID(登録商標)”EXL-2611、EXL-3387(Rohm&Haas社製)、“カネエース(登録商標)”MXシリーズ(株式会社カネカ製)等が挙げられる。
また、前記コアシェル粒子(C)の体積平均粒子径は、低粘度で繊維への良好な含浸性を有しており、優れた耐熱性及び機械特性を有する硬化物を形成可能なエポキシ樹脂組成物が得られることから、50~1,000nmの範囲が好ましく、50~500nmであることがより好ましい。
本発明の硬化性組成物は、前記硬化組成物の全量100質量部に対して、前記コアシェル粒子(C)を1~10質量部含有することが好ましく、2~9質量部であることがより好ましく、3~8質量部が更に好ましい。前記範囲内で使用することで、低粘度で、強化繊維への良好な含浸性を有した硬化性組成物が得られ、優れた耐熱性、及び、機械特性(靭性など)を有する硬化物を形成することが可能な硬化性組成物が得られ、有用である。
また、前記コアシェル粒子(C)と共に、前記エポキシ樹脂(A)が前記ビスフェノールF型エポキシ樹脂を含有し、これらをと共に使用することで、高靭性の硬化物が得られ、上記高耐熱性を得る処方(前記エポキシ樹脂(A)と前記アミン化合物(B)を使用)と併用することで、高靭性と高耐熱性を兼備した硬化物となる硬化性組成物が得られ、有用である。
[イミダゾール化合物(D)]
本発明で用いるイミダゾール化合物(D)は、前記エポキシ樹脂(A)の硬化剤として用いるものである。前記イミダゾール化合物(D)としては、特に限定されるものではなく、例えば、イミダゾール、1-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-イソプロピルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-アミノプロピルイミダゾール等が挙げられ、単独でも、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、硬化性組成物の速硬化性と硬化物の耐熱性とのバランスにより優れる観点からは、イミダゾール、1-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、及び、2-エチル-4-メチルイミダゾールからなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、前記エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、前記イミダゾール化合物(D)を0.2~4質量部含有することが好ましく、0.3~3質量部であることがより好ましく、0.4~2質量部含有することが更に好ましい。前記範囲内で使用することで、速硬化性を発現できる硬化性組成物が得られ、有用である。
[その他の成分]
本発明の硬化性組成物は、前記エポキシ樹脂(A)、前記脂肪族アミン化合物及び/又は脂環式アミン化合物(B)を特定割合で用い、前記コアシェル粒子(C)に加えて、前記イミダゾール化合物(D)を含有することを特徴とするものであり、更に、その他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、酸変性ポリブタジエン、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、アクリル樹脂などを挙げることができる。
前記酸変性ポリブタジエンは、エポキシ樹脂(A)との反応性を有する成分であり、酸変性ポリブタジエンを併用することにより、得られる硬化物において優れた機械強度、耐熱性、および、耐湿熱性を発現させることができる。
前記酸変性ポリブタジエンとしては、ブタジエン骨格に、1,3-ブタジエンや、2-メチル-1,3-ブタジエン由来の骨格を有するものが挙げられる。1,3-ブタジエン由来のものとしては、1,2-ビニル型、1,4-トランス型、1,4-シス型のいずれかの構造を有するものやこれらの構造を2種以上有するものが挙げられる。2-メチル-1,3-ブタジエン由来のものとしては、1,2-ビニル型、3,4-ビニル型、1,4-シス型、1,4-トランス型のいずれかの構造を有するものや、これらの構造を2種以上有するものが挙げられる。
前記酸変性ポリブタジエンの酸変性成分としては、特に限定されないが、不飽和カルボン酸を挙げることができる。不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸が好ましく、反応性の点から無水イタコン酸、無水マレイン酸が好ましく、無水マレイン酸がさらに好ましい。
前記酸変性ポリブタジエン中の不飽和カルボン酸の含有量は、前記エポキシ樹脂(A)との反応性の観点から、酸変性ポリブタジエンが1,3-ブタジエン由来のものから構成される場合には、その酸価は5~400mgKOH/gであることが好ましく、20~300mgKOH/gであることがより好ましく、50~200mgKOH/gであることがさらに好ましい。また、不飽和カルボン酸成分は、酸変性ポリブタジエン中に共重合されていればよく、その形態は限定されない。例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合(グラフト変性)等が挙げられる。酸変性ポリブタジエンの重量平均分子量(Mw)は1,000~100,000であることが好ましい。
前記酸変性ポリブタジエンは、ポリブタジエンを不飽和カルボン酸変性して得られるが、市販のものをそのまま用いてもよい。市販のものとしては、例えば、エボニック・デグサ社製無水マレイン酸変性液状ポリブタジエン(polyvest MA75、Polyvest EP MA120等)、クラレ社製無水マレイン酸変性ポリイソプレン(LIR-403、LIR-410)などを使用することができる。
硬化性組成物中の前記酸変性ポリブタジエンの含有量は、得られる硬化物の伸び、耐熱性、耐湿熱性が良好となる点から、硬化性組成物の樹脂成分の合計質量を100質量部としたとき、1~40質量部の割合で含まれていることが好ましく、3~30質量部の割合で含まれていることがより好ましい。
前記ポリエーテルスルホン樹脂は、熱可塑性樹脂であり、硬化性組成物の硬化反応において、架橋ネットワークには含まれないが、高Tgを有する優れた改質剤効果により、得られる硬化物において、さらに優れた機械強度と耐熱性を発現させることができる。
硬化性組成物中の前記ポリエーテルスルホン樹脂の含有量は、得られる硬化物の機械強度と、耐熱性が良好となる点から、硬化性組成物の樹脂成分の合計質量を100質量部としたとき、1~30質量部の割合で含まれていることが好ましく、3~20質量部の割合で含まれていることがより好ましい。
前記ポリカーボネート樹脂は、例えば、2価又は2官能型のフェノールとハロゲン化カルボニルとの重縮合物、或いは、2価又は2官能型のフェノールと炭酸ジエステルとをエステル交換法により重合させたものが挙げられる。
前記2価又は2官能型のフェノールとして、例えば、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール等が挙げられる。これら2価又は2官能型のフェノールの中でも、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、さらに、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料としたものが特に好ましい。
他方、2価又は2官能型のフェノールと反応させるハロゲン化カルボニル又は炭酸ジエステルは、例えば、ホスゲン;二価フェノールのジハロホルメート、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m-クレジルカーボネート等のジアリールカーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジアミルカーボネート、ジオクチルカーボネート等の脂肪族カーボネート化合物などが挙げられる。
また、前記ポリカーボネート樹脂は、そのポリマー鎖の分子構造が直鎖構造であるもののほか、これに分岐構造を有していてもよい。かかる分岐構造は、原料成分として、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、α,α’,α”-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリイソプロピルベンゼン、フロログルシン、トリメリット酸、イサチンビス(o-クレゾール)等を用いることにより導入することができる。
前記ポリフェニレンエーテル樹脂は、例えば、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メチル-6-エチル-14-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジエチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-エチル-6-n-プロピル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジ-n-プロピル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メチル-6-n-ブチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-エチル-6-イソプロピル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メチル-6-ヒドロキシエチル-1,4-フェニレン)エーテル等が挙げられる。
この中でも、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレン)エーテルが好ましく、2-(ジアルキルアミノメチル)-6-メチルフェニレンエーテルユニットや2-(N-アルキル-N-フェニルアミノメチル)-6-メチルフェニレンエーテルユニット等を部分構造として含むポリフェニレンエーテルであってもよい。
前記ポリフェニレンエーテル樹脂は、その樹脂構造にカルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、シリル基、水酸基、及び、無水ジカルボキル基等の反応性官能基を、グラフト反応や、共重合等の何らかの方法で導入した変性ポリフェニレンエーテル樹脂も本発明の目的を損なわない範囲で使用できる。
前記アクリル樹脂は、硬化物における機械強度、特に破壊靭性を向上させる目的で添加することができる。
前記アクリル樹脂の構成モノマーや重合方式等は所望の性能によって適宜選択される。構成モノマーの具体例の一部としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等の脂環構造を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸ベンジル等の芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸2-トリフルオロエチル等の(メタ)アクリル酸(フルオロ)アルキルエステル;(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、無水マレイン酸等の酸基含有モノマー;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等の水酸基含有モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート等のエポキシ基含有モノマー;スチレン等の芳香族ビニル化合物;ブタジエン、イソプレン等のジエン化合物等が挙げられる。中でも、硬化物における機械強度に一層優れる硬化性組成物となることから、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするアクリル樹脂が好ましい。
前記アクリル樹脂は、異なるモノマー構成のブロック重合体が複数共重合したブロック共重合体であることが好ましい。ブロック共重合体としては、A-B型のジブロック型、A-B-A型或いはA-B-C型のトリブロック型等が挙げられる。中でも、硬化物における機械強度に一層優れる硬化性組成物となることから、(メタ)アクリル酸メチルを主成分とするブロックと、(メタ)アクリル酸ブチルを主成分とするブロックの両方を有することが好ましい。より具体的には、ポリメチルメタクリレートブロック-ポリブチルアクリレートブロック-ポリメチルメタクリレートブロックからなるトリブロック型アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレートブロック-ポリブチルアクリレートブロックからなるジブロック型アクリル樹脂が好ましく、ジブロック型アクリル樹脂が特に好ましい。アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は1,000~500,000であることが好ましい。
硬化性組成物中の前記アクリル樹脂の含有量は特に限定されず、所望の硬化物性能等に応じて適宜調整される。中でも、硬化物における機械強度に一層優れる硬化性組成物となることから、硬化性組成物の樹脂成分の合計質量を100質量部としたとき、前記アクリル樹脂を0.1~20質量部含有することが好ましく、0.5~10質量部含有することがより好ましい。
本発明の硬化性組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、難燃剤、充填材、添加剤、有機溶剤等を含有することができる。硬化性組成物を製造する際の配合順序は、本発明の効果が達成できる方法であれば特に限定されない。すなわち、すべての成分を予め混合して用いてもよいし、適宜順番に混合して用いてもよい。また、配合方法は、例えば、押出機、加熱ロール、ニーダー、ローラミキサー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練製造することができる。以下で、本発明の硬化性組成物に含有可能な各種部材・原料について説明する。
[難燃剤]
本発明の硬化性組成物は、難燃性を発揮させるために、実質的にハロゲン原子を含有しない非ハロゲン系難燃剤を含有していてもよい。
前記非ハロゲン系難燃剤としては、例えば、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、シリコーン系難燃剤、無機系難燃剤、有機金属塩系難燃剤等が挙げられ、それらの使用に際しても何等制限されるものではなく、単独で使用しても、同一系の難燃剤を複数用いても良く、また、異なる系の難燃剤を組み合わせて用いることも可能である。
前記リン系難燃剤としては、無機系、有機系のいずれも使用することができる。無機系化合物としては、例えば、赤リン、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等のリン酸アンモニウム類、リン酸アミド等の無機系含窒素リン化合物が挙げられる。
また、前記赤リンは、加水分解等の防止を目的として表面処理が施されていることが好ましく、表面処理方法としては、例えば、(i)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン、酸化ビスマス、水酸化ビスマス、硝酸ビスマス又はこれらの混合物等の無機化合物で被覆処理する方法、(ii)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン等の無機化合物、及びフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂の混合物で被覆処理する方法、(iii)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン等の無機化合物の被膜の上にフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂で二重に被覆処理する方法等が挙げられる。
前記有機リン系化合物としては、例えば、リン酸エステル化合物、ホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、ホスフィンオキシド化合物、ホスホラン化合物、有機系含窒素リン化合物等の汎用有機リン系化合物の他、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン=10-オキシド、10-(2,5―ジヒドロオキシフェニル)-10H-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン=10-オキシド、10-(2,7-ジヒドロオキシナフチル)-10H-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン=10-オキシド等の環状有機リン化合物が挙げられる。
また、前記リン系難燃剤を使用する場合、該リン系難燃剤にハイドロタルサイト、水酸化マグネシウム、ホウ化合物、酸化ジルコニウム、黒色染料、炭酸カルシウム、ゼオライト、モリブデン酸亜鉛、活性炭等を併用してもよい。
前記窒素系難燃剤としては、例えば、トリアジン化合物、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物、フェノチアジン等が挙げられ、トリアジン化合物、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物が好ましい。
前記トリアジン化合物としては、例えば、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メロン、メラム、サクシノグアナミン、エチレンジメラミン、ポリリン酸メラミン、トリグアナミン等の他、例えば、硫酸グアニルメラミン、硫酸メレム、硫酸メラムなどの硫酸アミノトリアジン化合物、前記アミノトリアジン変性フェノール樹脂、及び該アミノトリアジン変性フェノール樹脂を更に桐油、異性化アマニ油等で変性したもの等が挙げられる。
前記シアヌル酸化合物の具体例としては、例えば、シアヌル酸、シアヌル酸メラミン等を挙げることができる。
前記窒素系難燃剤の配合量としては、窒素系難燃剤の種類、硬化性組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、硬化性組成物の樹脂成分の合計100質量部に対し、0.05~10質量部の範囲で配合することが好ましく、特に0.1~5質量部の範囲で配合することが好ましい。
また前記窒素系難燃剤を使用する際、金属水酸化物、モリブデン化合物等を併用してもよい。
前記シリコーン系難燃剤としては、ケイ素原子を含有する有機化合物であれば特に制限がなく使用でき、例えば、シリコーンオイル、シリコーンゴム、シリコーン樹脂等が挙げられる。
前記シリコーン系難燃剤の配合量としては、シリコーン系難燃剤の種類、硬化性組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、硬化性組成物の樹脂成分の合計100質量部に対し、0.05~20質量部の範囲で配合することが好ましい。また前記シリコーン系難燃剤を使用する際、モリブデン化合物、アルミナ等を併用してもよい。
前記無機系難燃剤としては、例えば、金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩化合物、金属粉、ホウ素化合物、低融点ガラス等が挙げられる。
前記金属水酸化物の具体例としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ジルコニウム等を挙げることができる。
前記金属酸化物の具体例としては、例えば、モリブデン酸亜鉛、三酸化モリブデン、スズ酸亜鉛、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マンガン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化銅、酸化タングステン等を挙げることができる。
前記金属炭酸塩化合物の具体例としては、例えば、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸鉄、炭酸コバルト、炭酸チタン等を挙げることができる。
前記金属粉の具体例としては、例えば、アルミニウム、鉄、チタン、マンガン、亜鉛、モリブデン、コバルト、ビスマス、クロム、ニッケル、銅、タングステン、スズ等を挙げることができる。
前記ホウ素化合物の具体例としては、例えば、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸、ホウ砂等を挙げることができる。
前記低融点ガラスの具体例としては、例えば、シープリー(ボクスイ・ブラウン社)、水和ガラスSiO-MgO-HO、PbO-B系、ZnO-P-MgO系、P-B-PbO-MgO系、P-Sn-O-F系、PbO-V-TeO系、Al-HO系、ホウ珪酸鉛系等のガラス状化合物を挙げることができる。
前記無機系難燃剤の配合量としては、無機系難燃剤の種類、硬化性組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、硬化性組成物の樹脂成分の合計100質量部に対し、0.05~20質量部の範囲で配合することが好ましく、特に0.5~15質量部の範囲で配合することが好ましい。
前記有機金属塩系難燃剤としては、例えば、フェロセン、アセチルアセトナート金属錯体、有機金属カルボニル化合物、有機コバルト塩化合物、有機スルホン酸金属塩、金属原子と芳香族化合物又は複素環化合物がイオン結合又は配位結合した化合物等が挙げられる。
前記有機金属塩系難燃剤の配合量としては、有機金属塩系難燃剤の種類、硬化性組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、硬化性組成物の樹脂成分の合計100質量部に対し、0.005~10質量部の範囲で配合することが好ましい。
[充填材]
本発明の硬化性組成物は、充填材を含有していてもよい。本発明の硬化性組成物が充填材を含有すると、得られる硬化物において優れた機械特性を発現させることができるようになる。
充填材としては、例えば、酸化チタン、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス繊維、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、チタン酸カリウム、硼酸アルミニウム、硼酸マグネシウム、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、水酸化アルミや、ケナフ繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、石英繊維等の繊維状補強剤や、非繊維状補強剤等が挙げられる。これらは1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。また、これらは、有機物や無機物等で被覆されていてもよい。
また、充填材としてガラス繊維を用いる場合、長繊維タイプのロービング、短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバー等から選択して用いることが出来る。ガラス繊維は使用する樹脂用に表面処理した物を用いるのが好ましい。充填材は配合されることによって、燃焼時に生成する不燃層(又は炭化層)の強度を一層向上させることができる。燃焼時に一度生成した不燃層(又は炭化層)が破損しにくくなり、安定した断熱能力を発揮できるようになり、より大きな難燃効果が得られる。さらに、材料に高い剛性も付与することができる。
[添加剤]
本発明の硬化性組成物は、添加剤を含有していてもよい。本発明の硬化性組成物が添加剤を含有すると、得られる硬化物において、剛性や寸法安定性等、他の特性が向上する。添加剤としては、例えば、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の安定剤、帯電防止剤、導電性付与剤、応力緩和剤、離型剤、結晶化促進剤、加水分解抑制剤、潤滑剤、衝撃付与剤、摺動性改良剤、相溶化剤、核剤、強化剤、補強剤、流動調整剤、染料、増感材、着色用顔料、ゴム質重合体、増粘剤、沈降防止剤、タレ防止剤、消泡剤、カップリング剤、防錆剤、抗菌・防カビ剤、防汚剤、導電性高分子等を添加することも可能である。
[有機溶剤]
本発明の硬化性組成物は、フィラメントワインディング法にて、繊維強化樹脂成形品を製造する場合などには、有機溶剤を含有していてもよい。ここで使用し得る有機溶剤としては、メチルエチルケトンアセトン、ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン、メトキシプロパノール、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、エチルジグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられ、その選択や適正な使用量は用途によって適宜選択し得る。
本発明の硬化性組成物は、硬化速度が非常に高く、硬化物における耐熱性や機械強度(高靭性など)に優れる特徴を生かし、塗料や電気・電子材料、接着剤、成型品等、様々な用途に用いることができる。また、前記硬化性組成物は、それ自体を硬化させて用いる用途の他、繊維強化複合材料や繊維強化樹脂成形品等にも好適に用いることができる。以下にこれらについて説明する。
[硬化物]
本発明は、前記硬化性組成物の硬化物に関する。前記硬化性組成物を用いて得られる硬化物は、高耐熱性で、高靭性となり、有用である。
前記硬化物を得る方法としては、一般的なエポキシ樹脂組成物の硬化方法に準拠すればよく、例えば、加熱温度条件は、組み合わせる硬化剤の種類や用途等によって、適宜選択すればよい。例えば、硬化性組成物を、室温(25℃)~250℃程度の温度範囲で加熱する方法が挙げられる。成形方法なども硬化性組成物の一般的な方法が用いること可能であり、特に本発明の硬化性組成物に特有の条件は不要である。
[繊維強化複合材料]
本発明は、前記硬化性組成物と、強化繊維とを含有する繊維強化複合材料に関する。前記硬化性組成物を用いて前記繊維強化複合材料を作製することにより、強化繊維への含侵性に優れ、速硬化性となり、有用である。なお、前記繊維強化複合材料とは、硬化性組成物を強化繊維に含浸させた後の硬化前の状態の材料のことである。
前記強化繊維は、有撚糸、解撚糸、又は無撚糸などいずれでも良いが、解撚糸や無撚糸が、繊維強化複合材料において優れた成形性を有することから、好ましい。さらに、強化繊維の形態は、繊維方向が一方向に引き揃えたものや、織物が使用できる。織物では、平織り、朱子織りなどから、使用する部位や用途に応じて自由に選択することができる。具体的には、機械的強度や耐久性に優れることから、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維などが挙げられ、これらの2種以上を併用することもできる。これらの中でもとりわけ成形品の強度が良好なものとなる点から炭素繊維が好ましく、かかる、炭素繊維は、ポリアクリロニトリル系、ピッチ系、レーヨン系などの各種のものが使用できる。
本発明の硬化性組成物から繊維強化複合材料を得る方法としては、特に限定されないが、例えば、硬化性組成物を構成する各成分を均一に混合してワニスを製造し、次いで、前記で得られたワニスに強化繊維を一方向に引き揃えた一方向強化繊維を浸漬させる方法(プルトルージョン法やフィラメントワインディング法での硬化前の状態)や、強化繊維の織物を重ねて凹型にセットし、その後、凸型で密閉してから樹脂を注入し圧力含浸させる方法(RTM法での硬化前の状態)等が挙げられる。
本発明の繊維強化複合材料は、前記硬化性組成物が必ずしも繊維束の内部まで含浸されている必要はなく、繊維の表面付近に該硬化性組成物が局在化している態様であっても良い。
さらに、本発明の繊維強化複合材料は、繊維強化複合材料の全体積に対する強化繊維の体積含有率が40~85%であることが好ましく、強度の点から50~70%であることがさらに好ましい。体積含有率が40%未満の場合、前記硬化性組成物の含有量が多すぎて得られる硬化物の難燃性が不足したり、比弾性率と比強度に優れる繊維強化複合材料に要求される諸特性を満たすことができなかったりする場合がある。また、体積含有率が85%を超えると、強化繊維と樹脂組成物の接着性が低下してしまう場合がある。
[繊維強化樹脂成形品]
本発明は、前記硬化物と、強化繊維とを含有する繊維強化樹脂成形品に関する。前記硬化成物を用いて前記繊維強化樹脂成形品を作製することにより、強化繊維への含侵性優れ、速硬化性を有する。更には、繊維強化複合材料は高耐熱性で機械強度(高靭性など)に優れ、に優れ、有用である。なお、前記繊維強化樹脂成形品とは、強化繊維と硬化性組成物の硬化物とを有する成形品であり、繊維強化複合材料を熱硬化させて得られるものである。
本発明の繊維強化樹脂成形品として、具体的には、繊維強化成形品における強化繊維の体積含有率が40~85%であることが好ましく、強度の観点から、50~70%であることがより好ましい。そのような繊維強化樹脂成形品としては、例えば、フロントサブフレーム、リアサブフレーム、フロントピラー、センターピラー、サイドメンバー、クロスメンバー、サイドシル、ルーフレール、プロペラシャフトなどの自動車部品、電線ケーブルのコア部材、海底油田用のパイプ材、印刷機用ロール・パイプ材、ロボットフォーク材、航空機の一次構造材、二次構造材などを挙げることができる。
本発明の硬化性組成物から繊維強化成形品を得る方法としては、特に限定されないが、引き抜き成形法(プルトルージョン法)、フィラメントワインディング法、RTM法などを用いることが好ましい。引き抜き成形法(プルトルージョン法)とは、繊維強化複合材料を金型内へ導入して、加熱硬化したのち、引き抜き装置で引き抜くことにより繊維強化樹脂成形品を成形する方法であり、フィラメントワインディング法とは、繊維強化複合材料(一方向繊維を含む)を、アルミライナーやプラスチックライナー等に回転させながら巻きつけたのち、加熱硬化させて繊維強化樹脂成形品を成形する方法であり、RTM法とは、凹型と凸型の2種類の金型を使用する方法であって、前記金型内で繊維強化複合材料を加熱硬化させて繊維強化樹脂成形品を成形する方法である。なお、大型製品や複雑な形状の繊維強化樹脂成形品を成形する場合には、RTM法を用いることが好ましい。
前記繊維強化樹脂成形品の成形条件としては、繊維強化複合材料を50~250℃の温度範囲で熱硬化させて成形することが好ましく、70~220℃の温度範囲で成形することがより好ましい。かかる成形温度が低すぎると、十分な速硬化性が得られない場合があり、逆に高すぎると、熱歪みによる反りが発生しやすくなったりする場合があるためである。他の成形条件としては、繊維強化複合材料を50~100℃で予備硬化させ、タックフリー状の硬化物にした後、更に、120~200℃の温度条件で処理するなど、2段階で硬化させる方法などを挙げることができる。
本発明の硬化性組成物から繊維強化成形品を得る他の方法としては、金型に繊維骨材を敷き、前記ワニスや繊維骨材を多重積層してゆくハンドレイアップ法やスプレーアップ法、オス型・メス型のいずれかを使用し、強化繊維からなる基材にワニスを含浸させながら積み重ねて成形、圧力を成形物に作用させることのできるフレキシブルな型をかぶせ、気密シールしたものを真空(減圧)成型する真空バッグ法、あらかじめ強化繊維を含有するワニスをシート状にしたものを金型で圧縮成型するSMCプレス法などが挙げられる。
次に、本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、これらに限定解釈されるものではない。また、以下において「部」及び「%」は特に断わりのない限り質量基準である。
[実施例1~9、及び、比較例1~7]
下記表1、及び、表2に示す配合に従って、各成分を配合し、均一に撹拌混合して硬化性組成物を得た。更に、前記硬化性組成物を用いて硬化物を得た。前記硬化性組成物、及び、硬化物について、下記の要領で各種評価試験を行った。評価結果を表1及び表2に示した。
なお、実施例、及び、比較例で使用した硬化性組成物の成分は、以下の通りである。
<エポキシ樹脂>
830S:DIC株式会社製「EPICLON 830S」、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量:168g/当量
840S:DIC株式会社製「EPICLON 840S」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:184g/当量
HP-4032D:DIC株式会社製「EPICLON HP-4032D」、ナフタレン型エポキシ樹脂、エポキシ当量:140g/当量
A-1:ビフェニル型エポキシ樹脂、エポキシ当量:230g/当量(なお、以下に、ビフェニル型エポキシ樹脂であるエポキシ樹脂(A-1)に製造方法を記載した。)
S-720:SYNASYA社製「S-720」、4,4’-メチレンビス[N,N-ジグリシジルアニリン]、エポキシ当量:113g/当量
ビフェニル型エポキシ樹脂(A-1)の製造
温度計、冷却管、分留管、窒素ガス導入管、撹拌器を取り付けたフラスコに、オルソクレゾール432.4質量部(4.00モル)、2-メトキシナフタレン158.2質量部(1.00モル)、41%パラホルムアルデヒド179.3質量部(2.45モル)を仕込み、シュウ酸9.0質量部を加えて、100℃まで昇温し、100℃で3時間反応させた。ついで、水を分留管で捕集しながら、41%ホルムアルデヒド水溶液73.2質量部(1.00モル)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、150℃まで1時間かけて昇温し、同温度で2時間反応させた。反応終了後、メチルイソブチルケトン1500質量部を加え、分液ロートに移し水洗した。洗浄水が中性を示すまで水洗し、未反応原料及びメチルイソブチルケトンを加熱減圧条件化で除去し、ノボラック樹脂中間体を得た。得られたノボラック樹脂中間体の水酸基当量は164g/当量であった。
続いて、温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌機を取り付けたフラスコに、窒素ガスパージを施しながら、得られたノボラック樹脂中間体113.8質量部(水酸基当量0.69当量)、4,4’-ビフェノール28.5質量部(水酸基当量0.31当量)、エピクロルヒドリン463質量部(5.00モル)、n-ブタノール139質量部、テトラエチルベンジルアンモニウムクロライド2質量部を仕込み溶解させた。これらを70℃に昇温した後、共沸する圧力まで減圧して、20%水酸化ナトリウム水溶液220質量部(1.10モル)を5時間かけて滴下した。その後、同温度条件で0.5時間撹拌を続けた。その後、未反応のエピクロルヒドリンを減圧蒸留によって留去し、粗成生物にメチルイソブチルケトン1,000質量部とn-ブタノール350質量部とを加え溶解した。更にこの溶液に10%水酸化ナトリウム水溶液10質量部を添加して80℃で2時間反応させた。反応混合物を3回水洗し、洗浄水のpHが中性となったことを確認した。次いで反応混合物を共沸させて脱水し、精密濾過を経た後に、溶媒を減圧下で留去し、ビフェニル型エポキシ樹脂(A-1)を得た。得られたエポキシ樹脂(A-1)のエポキシ当量は230g/当量であった(表1及び表2中のエポキシ樹脂「A-1」)。
<アミン化合物>
TETA:トリエチレンテトラミン
1,3-BAC:1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン
IPDA:イソホロンジアミン
DETDA:ジエチルトルエンジアミン
<コアシェル粒子>
MX-154:株式会社カネカ社製「カネエース MX-154」、コアシェル型
ゴム粒子(40%)/ビスフェノール型エポキシ樹脂(60%)、エポキシ当量:302g/当量
<イミダゾール化合物>
1,2-DMZ:1,2-ジメチルイミダゾール
2E4MZ:2-エチル-4-メチルイミダゾール
<ゲルタイムの測定>
表1に示す割合で各成分を配合した直後の硬化性組成物を、120℃に熱したホットプレート上に0.15gを載せ、スパチュラで撹拌しながらゲル状になるまでの時間(秒)を測定した。同操作を3回繰り返し、その平均値でゲルタイムを評価した。ゲルタイムとしては、速硬化性の観点から、より短い時間(例えば、180秒未満)であることが好ましい。
A:180秒未満
B:180~360秒未満
C:360秒以上
<ガラス転移温度の測定>
先で得た硬化性組成物を厚さ2mmの型枠内に流し込み、120℃で5分加熱して硬化物を得た。得られた硬化物をダイヤモンドカッターで幅5mm、長さ50mmに切り出し、これを試験片とした。
次に、粘弾性測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製「DMS6100」)を用いて、試験片の両持ち曲げによる動的粘弾性を測定し、tanδが最大となる値の温度をガラス転移温度(Tg)(℃)として評価した。なお、動的粘弾性測定の測定条件としては、温度条件が室温(25℃)~ガラス転移温度+50℃、昇温速度が3℃/分、周波数が1Hz、歪振幅を25μmとして、測定した。ガラス転移温度としては、硬化性組成物を硬化させる温度である120℃を超えることが好ましく、耐熱性の観点から、より高温であることが好ましい。
<破壊靭性の測定>
先で得た硬化性組成物を厚さ6mmの型枠内に流し込み、120℃で5分加熱して硬化物を得た。得られた硬化物をダイヤモンドカッターで幅12mm、長さ55mmに切り出し、ASTM D-5045に準拠した試験片を作成した。
次に、上記試験片を用いて、ASTM D-5045に準拠し、破壊靭性試験を行った。具体的には、スパン48mm、ヘッドスピード10mm/minの条件で、3点曲げ試験を実施し、荷重-変位曲線が線形内であることを確認の上、破壊靭性値KIC(MPa・m1/2)を測定し、破壊靭性を評価した。破壊靭性値としては、靭性の観点から、より高い破壊靭性値であることが好ましい。
<粘度の測定>
E型粘度計「TV-20」(東機産業株式会社製)を用いて、アミン化合物とイミダゾール以外を配合した状態(エポキシ樹脂及びコアシェル粒子の混合物)で、25℃の粘度を測定した。
Figure 0007239076000001
Figure 0007239076000002

注)比較例7については、脂肪族アミン化合物及び/又は脂環式アミン化合物(B)を使用するものではないため、上記表2中の「活性水素のモル数H」と、「活性水素/エポキシ基(H/E)」は、その他の実施例及び比較例のように「脂肪族アミン化合物及び/又は脂環式アミン化合物(B)」に基づく値ではない。
上記表1の評価結果より、全ての実施例において、前記エポキシ樹脂(A)中のエポキシ基のモル数Eと前記脂肪族アミン化合物及び/又は脂環式アミン化合物(B)の活性水素のモル数Hの比率H/Eが、0.3~0.9の範囲内、かつ、イミダゾール(D)を含有することで、ゲルタイムが短く、速硬化性であることが確認でき、得られる硬化物のガラス転移温度が高く、高耐熱性あり、破壊靭性値も高く、高靭性であることが確認できた。特に、高耐熱性と高靭性の両立が図れ、優れた効果を発現し、有用であることが確認できた。
一方、比較例においては、所望の原料を用いた硬化性組成物を使用しなかったり、前記比率H/Eが所望の範囲から外れることで、実施例と比較して、速硬化性が得られなかったり、ガラス転移温度が低く耐熱性に劣ったり、破壊靭性とが低く、靭性に劣ることが確認された。特に比較例7では、脂肪族アミン化合物及び/又は脂環式アミン化合物を使用せず、前記比率H/Eも所望の範囲に含まれなかったため、ゲルタイムが長くなり、硬化物自体も得ることができなかった。

Claims (10)

  1. エポキシ樹脂(A)、脂肪族アミン化合物及び/又は脂環式アミン化合物(B)、コアシェル粒子(C)、及び、イミダゾール化合物(D)を含有し、前記エポキシ樹脂(A)が、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を含有し、前記脂肪族アミン化合物及び/又は脂環式アミン化合物(B)が、トリエチレンテトラミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、及び、イソホロンジアミンからなる群より選択される少なくとも1種であり、前記エポキシ樹脂(A)中のエポキシ基のモル数Eと前記脂肪族アミン化合物及び/又は脂環式アミン化合物(B)の活性水素のモル数Hの比率H/Eが、0.3~0.9であり、前記コアシェル粒子(C)がコアシェル型ゴム粒子である硬化性組成物。
  2. 前記エポキシ樹脂(A)、及び、前記コアシェル粒子(C)の混合物の25℃における粘度が、1,000~100,000mPa・sである請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
  3. 前記硬化組成物の全量100質量部に対して、前記コアシェル粒子(C)を1~10質量部含有する請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
  4. 前記コアシェル粒子(C)の体積平均粒子径が、50~1,000nmである請求項1~3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  5. 前記エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、前記イミダゾール化合物(D)を0.2~4質量部含有する請求項1~4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  6. 前記イミダゾール化合物(D)が、イミダゾール、1-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、及び、2-エチル-4-メチルイミダゾールからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1~5のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  7. 前記エポキシ樹脂(A)が、ナフタレン型エポキシ樹脂、及び/又は、ビフェニル型エポキシ樹脂を含有する請求項1~6のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の硬化性組成物の硬化物。
  9. 請求項1~7のいずれか1項に記載の硬化性組成物と、強化繊維とを含有する繊維強化複合材料。
  10. 請求項8に記載の硬化物と、強化繊維とを含有する繊維強化樹脂成形品。
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