本開示の実施形態の回路基板および電子装置について図面を参照して説明する。各図面には、説明の便宜上、xyz直交座標を付しており、以下、z方向の正側を上方として上面等の語を用いて説明する場合がある。なお、以下の説明における上下の区別は便宜的なものであり、実際に回路基板および電子装置等が使用される際の上下を限定するものではない。
図1は回路基板の一例を示す斜視図であり、図1(a)は絶縁基板の第1面側(上面側)からの斜視図で、図1(b)は絶縁基板の第1面側(下面側)からの斜視図である。図2(a)は図1に示す回路基板の上面図であり、図2(b)は図2(a)のB-B線における断面図であり、図2(c)は下面図である。図3は図2(b)のA部を拡大して示す断面図である。図4は回路基板の他の一例を示す斜視図であり、図4(a)は絶縁基板の第1面側(上面側)からの斜視図で、図4(b)は絶縁基板の第1面側(下面側)からの斜視図である。図5(a)は図4に示す回路基板の上面図であり、図5(b)は図5(a)のB-B線における断面図であり、図5(c)は下面図である。図6は図5(b)のA部を拡大して示す断面図である。図7は回路基板の他の一例を示す斜視図であり、図7(a)は絶縁基板の第1面側(上面側)からの斜視図で、図7(b)は絶縁基板の第1面側(下面側)からの斜視図である。図8(a)は図7に示す回路基板の上面図であり、図8(b)は図8(a)のB-B線における断面図であり、図8(c)は下面図である。図9は図8(b)のA部を拡大して示す断面図である。図10(a)は回路基板の他の一例の上面図であり、図10(b)は図10(a)のB-B線における断面図であり、図10(c)は放熱部材の上面図である。図11は図10(b)のA部を拡大して示す断面図である。図12(a)は回路基板の他の一例の上面図であり、図12(b)は放熱部材の上面図である。図13(a)は図12(a)のB-B線における断面図であり、図13(b)は図12(a)のC-C線における断面図である。図14(a)は図13(a)のA部を拡大して示す断面図であり、図14(b)は図13(b)のB部を拡大して示す断面図である。図15(a)は回路基板の他の一例の上面図であり、図15(b)は図15(a)のB-B線における断面図であり、図15(c)は放熱部材の上面図である。図16は電子装置の一例を示す斜視図である。図17(a)は図16に示す電子装置の上面図であり、図17(b)は図17(a)のB-B線における断面図である。図18は電子装置の他の一例を示す斜視図である。図19(a)は図18に示す電子装置の上面図であり、図19(b)は図19(a)のB-B線における断面図である。図20は電子装置の他の一例を示す断面図である。
回路基板100は、図1~図15に示す例のように、絶縁基板1と、絶縁基板1の第1面11にろう材3で接合されている金属板2と、絶縁基板1の第2面12にろう材3で接合されている放熱部材4とを備えている。放熱部材4は、絶縁基板1に接合されている接合面の平面視の寸法が絶縁基板1よりも大きく、平面透視で絶縁基板1の外縁部と重なる溝41を有している。そして、絶縁基板1の第2面12と、放熱部材4の接合面における溝41より内側の内側領域42および溝41の内面とがろう材3によって接合されている。
本開示の回路基板100によれば、放熱部材4は平面透視で絶縁基板1の外縁部と重なる溝41を有しており、絶縁基板1の第2面12と溝41の内面とがろう材3によって接合されていることから、熱応力が大きくなる絶縁基板1の外縁部と放熱部材4との間のろう材3の厚みが大きくなる。この厚みの厚いろう材3によって絶縁基板1に加わる熱応力が緩和されて絶縁基板1と放熱部材4との間の接合信頼性に優れた回路基板100となる。絶縁基板1に加わる熱応力は、絶縁基板1と放熱部材4とをろう材3で接合した際、より具体的には、高温でろう材3を溶融させて接合して降温した際に発生する。また、回路基板100に電子部品200を搭載して電子装置300を作動・停止させた際に、電子部品200の発熱の繰り返しによる昇温・降温の繰り返し時にも繰り返し発生する。例えば、放熱部材4には熱伝導率が大きく低コストである銅(Cu)を用いて、ろう材3にはセラミック焼結体からなる絶縁基板1に直接接合することができるように活性金属を含む銀-銅(Ag-Cu)ろうが用いられる。このときろう材3のヤング率は放熱部材4のヤング率より小さく軟質であるので、厚みの厚いろう材3によって応力を緩和することができる。
ここで、図1~図15に示す例においては、絶縁基板1の第1面11上面には大きさの大きい金属板2(21)と小さい金属板2(22)が接合されている。例えば、このような回路基板100を用いた電子装置300では、図16および図17に示す例のように、大きさの大きい金属板2(21)には電子部品200が搭載され、電子部品200の電極(不図示)と小さい金属板2(22)とがボンディングワイヤ210で電気的に接続される。
上述したように、放熱部材4の溝41は平面透視で絶縁基板1の外縁部と重なっている。これは、溝41は絶縁基板1の外縁に沿った形状であり、溝41の内側の側面41bは絶縁基板1の外縁よりも内側に位置するということである。言い換えれば、溝41の内側の内側領域42は、平面視の大きさが絶縁基板1より小さく、内側領域42の外縁は絶縁基板1の外縁よりも内側に位置しているということである。回路基板100の上面図においては、内側領域42の外縁を破線で示している。
図1~図15に示す例においては、内側領域42の外縁は平面透視で金属板2(21,22)と重なる位置にある。内側領域42の外縁(溝41の内側の側面41b)の位置がより内側にあると、絶縁基板1の外縁部における応力緩和の効果を高めることができる。しかしながら、内側領域42の外縁が、絶縁基板1の第1面11の中央部に位置する大きい金属板21の外側に位置する小さい金属板22よりも内側に位置すると、2つの金属板21,22の間に熱応力による曲げ応力が集中して絶縁基板1にクラックが発生する可能性が高まる。また、内側領域42の外縁をより内側にして溝41の幅が大きくなりすぎると、放熱部材4の剛性が低下して、熱応力によって反りなどの変形が起こりやすくなる。放熱部材4が変形すると外部の冷却器等との熱的な接続が損なわれて、電子装置300の放熱性が低下する可能性がある。そのため、内側領域42の外縁(溝41の内側の側面41bの上端)の位置は絶縁基板1の外縁に近い位置にある金属板2より内側に位置せず、平面透視で金属板2と重なる位置にあるとよい。
図1~図3に示す例の回路基板100においては、放熱部材4の絶縁基板1に接合されている接合面(上面)とは反対の放熱面(下面)は平坦であり、放熱部材4は全体として平板状である。また、絶縁基板1の第2面12と放熱部材4とは、内側領域42および溝41の内面の全面(底面41a,内側の側面41b,外側の側面41c)とがろう材3によって接合されている。溝41を有さない場合に比較して、絶縁基板1の外縁部の下および絶縁基板1よりも外側において、溝41の深さの分だけろう材3の厚みが大きくなっている。
これに対して、図4~図6に示す例の回路基板100においては、絶縁基板1の第2面12と放熱部材4とは、内側領域42および溝41の内面のうちの底面41aおよび内側の側面41bとがろう材3によって接合されている。このように、溝41の内面のうち、底面41aおよび内側の側面41bのみがろう材3によって接合されている回路基板100とすることができる。このようにすると、ろう材3は絶縁基板1から溝41の底面41aにかけてメニスカス形状のフィレット部を有するものとなる。ろう材3のフィレット部、すなわち、ろう材3の側面が凹曲面状であるので、熱応力を分散することができる。図1~図3に示す例の回路基板100においてもわずかではあるが傾斜したフィレット部が形成されるが、絶縁基板1の第2面12(下面)と放熱部材4の上面との間の間隔が小さいため、ろう材3のフィレット部(側面)は平坦に近いものとなる。これに対して、絶縁基板1から溝41の底面41aにかけて形成されたフィレット部はある程度の曲率を有する凹曲面となるので、より応力を緩和することができる。図5(b)および図6に示す例のように、ろう材3が溝41の内側の側面41bおよび底面41aの全面に接合されていると、フィレット部が大きくなるので、応力緩和の効果が大きいものとなる。
また、図4~図6に示す例の回路基板100においては、放熱部材4は、絶縁基板1に接合されている接合面(上面)とは反対の放熱面(下面)にフィン43が設けられている。円柱状のフィン43が放熱部材4の下面に配列されている。フィン43が配列されている領域は、絶縁基板1と重なる部分から絶縁基板1の外縁よりも外側、溝41よりもさらに少し外側までの領域である。これは、金属板22上に搭載された電子部品200で発生した熱が、金属板22、ろう材3、絶縁基板1、ろう材3、放熱部材4の上面および溝41の底面41aを通って放熱部材4の下面へと厚み方向(z方向)に伝導するとともに、平面方向(xy方向)にも伝導するためである。放熱部材4にCuを用いてろう材3にAg-Cuろうを用いた場合には、溝41内に熱伝導率の高いろう材3が厚く配置されているので、絶縁基板1より外側の溝41内まで熱が拡散しながら放熱部材4の下面へ伝導しやすい。溝41の底面41aから放熱部材4の下面への熱伝導の際にさらに外側にも熱が拡散するので、平面透視で溝41の外側の領域までフィン43を配置すると放熱効率が向上する。なお、回路基板100の下面図において溝41の底面41aを破線で示している。
絶縁基板1の第2面12と放熱部材4とは、内側領域42および溝41の内面のうちの絶縁基板1の外縁よりも内側の部分とがろう材3によって接合されている。このように、溝41の内面のうち、絶縁基板1の外縁よりも内側の部分のみがろう材3によって接合されている回路基板100とすることができる。さらには、図7~図9に示す例の回路基板100のように、溝41の内面のうち内側の側面41bのみがろう材3によって接合されている回路基板100とすることができる。
絶縁基板1、ろう材3および放熱部材4それぞれの熱膨張係数の差異により発生する熱応力は、接合長さが長いほど大きくなる。従来の溝を有していない放熱部材においては、ろう材が絶縁基板の外側まで広がってもその広がりの大きさは大きくないので、絶縁基板と放熱部材との接合長さは絶縁基板の長さと同程度である。最大の接合長さは、絶縁基板が方形状である場合には対角長さと同程度である。これに対して、溝41の内面のうち、絶縁基板1の外縁よりも内側の部分のみがろう材3によって接合されている回路基板100においては、接合長さが絶縁基板1の長さよりも短くなるので熱応力が小さくなる。そのため、絶縁基板1の外縁部にある厚みの厚いろう材3による応力緩和だけでなく、接合長さが短いことによる熱応力そのものの大きさが小さくなることで、熱応力によって絶縁基板1にクラックが発生する可能性がより低減される。よって、絶縁基板1と放熱部材4との間の接合信頼性がより優れた回路基板100となる。このとき、溝41の内面のうちの内側の側面41bのみがろう材3によって接合されていると、絶縁基板1から溝41の内面(内側の側面41b)にかけて形成されるろう材3のフィレット部がより大きい凹曲面となり、フィレット部による応力緩和の効果がより高いものとなる。そのため、絶縁基板1と放熱部材4との間の接合信頼性がさらに優れた回路基板100となる。
さらには、図7~図9に示す例の回路基板100における溝41の外側の側面41cの位置は、図1~図6に示す例の回路基板100における溝41の外側の側面41cの位置よりも内側にある。溝41の内側の側面41bの位置は同じであるので、溝41の幅が小さくなっている。そのため、上述した溝41による放熱部材4の剛性低下が抑えられる。また、溝41の外側の側面41cの位置は、絶縁基板1の外縁より少し外側に位置している。溝41の外側の側面41cの位置を絶縁基板1の外縁より内側にして、溝41の幅をより小さくすることもできる。溝41の外側の側面41cの位置が絶縁基板1の外縁より少し外側であると、ろう材ペーストを用いて絶縁基板1と放熱部材4とを接合する場合に、ろう材ペースト中の有機成分が抜けやすくなる。
図4~図6に示す例の回路基板100における放熱部材4のフィン43の形状が円柱であるのに対して、図7~図9に示す例の回路基板100における放熱部材4のフィン43の形状は角柱である。最外周は三角柱のフィン43が配列され、内側には四角柱のフィン43が配列されている。フィン43が配列されている領域は、図4~図6に示す例と同様に、溝41の少し外側までの領域である。溝41の外側の側面41cの位置が図4~図6に示す例のそれよりも内側であるので、図4~図6に示す例よりもフィン43が配列されている領域は小さくなっている。これにより回路基板100全体の大きさがより小型になっている。
図10および図11に示す例の回路基板100においても、絶縁基板1の第2面12と放熱部材4とは、内側領域42および溝41内面のうち内側の側面41bのみがろう材3によって接合されている。図7~図9に示す例の溝41においては、内側の側面41bおよび外側の側面41cと放熱部材4の上面(接合面)および溝41の底面41aとは直交している。これに対して、図10および図11に示す例の溝41においては、外側の側面41cと放熱部材4の上面(接合面)および底面41aとは直交しているが、内側の側面41bと放熱部材4の上面および溝41の底面41aとの間は鈍角になっている。すなわち、内側の側面41bが内側に傾斜している回路基板100とすることができる。
このような構成の回路基板100によれば、絶縁基板1の第2面12の外縁部と放熱部材4の上面との間に位置するろう材3が増えるので、熱応力をより低減することができる。また、放熱部材4のろう材3に接合されている部分の体積が小さくなるので、絶縁基板1に加わる熱応力も低減される。内側の側面41bと内側領域42の上面とが直交した状態で内側の側面41bを内側にする(内側領域42を小さくする)ことでも同様の効果は得られるが、内側の側面41bを内側に傾斜させることで以下のような効果も奏するものとなる。すなわち、溝41と内側領域42との境界においてろう材3の厚みが急激に変化しないので、熱応力も急激に変化せず、絶縁基板1に応力が集中し難くなる。また、溝41の幅は大きくなるが、溝41の開口幅だけが大きくなり底面41aの幅は同じであるので、溝41による放熱部材4の剛性低下が抑えられる。なお、放熱部材4の上面図において絶縁基板1の外縁の位置を破線で示している。このような効果は、図10および図11に示す例のように、ろう材3が溝41の内面のうちの内側の側面41bのみと接合されている場合に限られるものではない。このような効果は、ろう材3が内側の側面41bおよび底面41aと接合されている場合、溝41の内面の全て(底面41a、内側の側面41bおよび外側の側面41c)と接合されている場合も同様に奏するものである。
図12~図14に示す例の回路基板100における放熱部材4の溝41は、図7~図9に示す例と同様に、内側の側面41bおよび外側の側面41cと放熱部材4の上面(接合面)および溝41の底面41aとは直交している。しかしながら、図7~図9に示す例の放熱部材4の内側領域42の平面視の形状よりも角の丸みが大きい。これにより平面視で枠形状の溝41の幅は、角部において大きくなっている。そして、平面透視において絶縁基板1の外縁から放熱部材4の内側領域42の外縁までの距離は、絶縁基板1および内側領域42の角部における距離は絶縁基板1および内側領域42の辺部における距離よりも大きい。このように、絶縁基板1の外縁と内側領域42の外縁との距離が絶縁基板1の角部において他の部分よりも大きい回路基板100とすることができる。
図12(a)におけるB-B線は絶縁基板1および内側領域42の辺部を通っており、図12(a)におけるC-C線は絶縁基板1および内側領域42の角部を通っている。B―B線における断面図である図13(a)およびその部分拡大図である図14(a)と、C―C線における断面図である図13(b)およびその部分拡大図である図14(b)とを比較すると、角部における内側の側面41bおよび内側領域42の外縁は、辺部におけるこれらより内側に位置している。これにより、辺部よりも角部の方が、ろう材3の絶縁基板1の外縁から内側の側面41bまでの間に位置する部分の長さが長く、体積が大きくなっている。このような構成の回路基板100によれば、絶縁基板1の第2面12の外縁部のうち加わる熱応力が特に大きくなる角部と放熱部材4の上面との間に位置するろう材3が増えるので、熱応力によって絶縁基板1にクラックが発生する可能性がより低減される。よって、絶縁基板1と放熱部材4との接合信頼性がより優れた回路基板100となる。このような効果は、ろう材3が内側の側面41bおよび底面41aと接合されている場合、溝41の内面の全て(底面41a、内側の側面41bおよび外側の側面41c)と接合されている場合も同様に奏するものである。
図15に示す例の回路基板100における放熱部材4の溝41は、上記の図10および図11に示す例における溝41の形状と図12~図14に示す例の溝41の形状とを組み合わせた形状を有している。溝41の内側の側面41bが内側に傾斜しており、かつ絶縁基板1の外縁と放熱部材4の内側領域42の外縁との距離が絶縁基板1の角部において他の部分よりも大きい回路基板100である。溝41の内側の側面41bが内側に傾斜していることによる上記のような効果と、角部における絶縁基板1の外縁と内側領域42の外縁との距離が大きいことによる上記のような効果の両方を奏するものとなる。そのため、熱応力によって絶縁基板1にクラックが発生する可能性がより一層低減され、絶縁基板1と放熱部材4との接合信頼性がより一層優れた回路基板100となる。
電子装置300は、図16および図17に示す例のように、上述したような回路基板100と、回路基板100の金属板2(21)上に搭載された電子部品200とを備える。このような電子装置300によれば、上記構成の回路基板100を備えていることから、金属板2と絶縁基板1との接合信頼性が向上したものとなる。
図16および図17に示す例の電子装置300における回路基板100は、図7および図8に示す例の回路基板100と同じであり、絶縁基板1の上面(第1面11)に1つの大きい金属板2(21)と、これを挟むように配置された2つの小さい金属板2(22)とを備えている。大きい金属板2(21)に1つの電子部品200が搭載されており、電子部品200と小さい金属板2(22)とは、ボンディングワイヤ210等の接続材によって電気的に接続されている。このような例においては、例えば、金属板21は、電子部品200の搭載用かつ放熱用として機能し、金属板22は、電子部品200を外部電気回路(図示せず)に電気的に接続するための接続する端子として機能する。電子部品200で発生した熱は、金属板2(22)および絶縁基板1を介して絶縁基板1の下面(第2面12)に接合された放熱部材4に伝導し、放熱部材4から外部へ放熱される。つまり、放熱部材4は、電子部品200で発生した熱を電子装置300外に放出する機能を有する。これによって、電子装置300としての放熱性が向上し、電子部品200の長期の作動信頼性が向上する。
図18および図19に示す例の電子装置301は、図16および図17に示す例の電子装置300が、電子部品200および絶縁基板1の上から放熱部材4の溝41内にかけて封止樹脂220で覆われて、電子部品200が封止されているものである。端子として機能する金属板2(22)は、その一部が絶縁基板1からはみ出す形状となっており、封止樹脂220からもはみ出している。これによって、端子として機能する金属板2(22)と外部の電気回路との電気的に接続が容易に可能となっている。また、この例における回路基板100においては、絶縁基板1と放熱部材4とは、溝41の内面のうち内側の側面41bのみがろう材3によって接合されている。そして封止樹脂220は、溝41内に入り込み、絶縁基板1の外縁部およびその下のろう材3の下に入り込んでいる。そのため、封止樹脂220が回路基板100から剥がれ難く、封止信頼性の高い電子装置301となる。
図20に示す例の電子装置302は、封止樹脂220によって電子部品200が封止されている点では図18および図19に示す例の電子装置301と同じであるが、封止樹脂220の適用形態が異なっている。この例では、放熱部材4の上面に、絶縁基板1、金属板2および電子部品200等を取り囲む枠体230が取り付けられている。この枠体230の内部と放熱部材4とで囲まれた内側空間に封止樹脂220が充填されて電子部品200等が封止されている。枠体230は内側空間から外部へ導出されたリード端子231を備えている。そして、リード端子231の内側空間内の端部と回路基板100の金属板2(22)とがボンディングワイヤ210で接続されている。これにより、電子部品200と外部の電気回路とが電気的に接続可能となっている。冷却器240は内部に流路241を有しており、放熱部材4のフィン43は流路241内に位置し、流路241内の冷媒流体によって冷却される。冷媒流体は、例えば空気等の気体あるいは水などの液体を用いることができる。また、放熱部材4は冷却器240に接続固定されている。放熱部材4は貫通孔44内に挿入されたねじ(ボルト)242で冷却器240に固定されている。放熱部材4と冷却器240との間には冷媒流体が漏れないようにパッキンを設けることができる。
図18~図20に示す例のように、電子部品200、金属板2および絶縁基板1を覆う封止樹脂220を備える電子装置301,302とすることができる。封止樹脂220によって電子部品200の耐環境性が向上し、また隣接する金属板21,22間の絶縁性が向上したものとなる。
絶縁基板1は、回路基板100において、金属板2を固定して支持するための基体部分である。また、絶縁基板1は、絶縁基板1の上面における金属板21と金属板22あるいは絶縁基板1の第1面11(上面)の金属板2(21,22)と絶縁基板1の第2面12(下面)の放熱部材4とを互いに電気的に絶縁させるための絶縁部材として機能する。
絶縁基板1は、セラミック焼結体からなり、高い機械的強度および高い伝熱特性(冷却特性)などの特性を有するものがよい。セラミック焼結体としては、公知の材料を用いることができ、例えば、アルミナ(Al2O3)質焼結体、窒化アルミニウム(AlN)質焼結体、窒化ケイ素(Si3N4)質焼結体および炭化珪素(SiC)質焼結体などを用いることができる。本開示の回路基板100のように大型の放熱部材4が接合される場合には、絶縁基板1として強度の高い窒化珪素を用いるとより信頼性の高いものとなる。絶縁基板1は、例えば、縦が10~500mm、横が10~500mmの方形状で、厚さが0.2~3.0mmの板状のものを用いることができる。ここでいう方形状とは、厳密な方形だけでなく、例えば図1および図2に示す例のように角部を面取りしたものあるいは丸めたものを含むことを意味している。このような絶縁基板1は、公知の製造方法によって製造することができ、例えば、窒化ケイ素粉末に焼結助剤等を添加した原料粉末に有機バインダー等を加えて混練して、基板状に成形したのち、焼成することで製造することができる。
金属板2は、上述したように、電子装置300,301,302において、電子部品200が搭載され、電子部品200を外部電気回路に電気的に接続するための回路導体として、あるいは電子部品200に発生する熱を放熱する機能する。そのため、その大きさや形状は特に定まったものはなく、電子装置300,301,302における配線設計に応じて設定されるものである。金属板2の厚みは、電気抵抗や強度、放熱性を考慮して、例えば、0.2mm~2.0mmに設定することができる。また、金属板2の数および配置もまた図1および図2に示す例に限られるものではない。
金属板2は、例えば銅(Cu)または銅合金等の金属材料によって形成されている。いわゆる99%以上の純銅であると電気抵抗が小さく、熱伝導性にも優れている。また金属板2の成分として酸素が含有される場合には、金属板2における含有量が少ない方が、ボンディングワイヤ210と金属板2との接合強度の向上に関して有利である。
金属板2は、ろう材3によって絶縁基板1に接合(ろう付け)されている。ろう材3としては、例えば、銀―銅(Ag-Cu)合金ろうに、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)等の活性金属を含む活性金属ろうを用いることができる。
金属板2は、打ち抜き加工等であらかじめ所定形状に加工したものをろう付けしてもよいし、絶縁基板1と同程度の大きさの金属素板を絶縁基板1にろう付けした後にエッチング等で所定形状の金属板2に加工してもよい。絶縁基板1に上記ろう材を含むろう材ペーストを塗布し、その上に金属板2(金属素板)を載置して加圧した状態で加熱することによってろう付けされる。このときのろう材ペーストはスクリーン印刷等で塗布することができるが、絶縁基板1の全面にろう材ペーストを塗布してもよいし、所定形状に塗布してもよい。絶縁基板1の全面に塗布する場合は、金属板2(金属素板)をろう付けした後に、エッチング等によって金属板2間の不要な部分を除去すればよい。
放熱部材4は、金属板2と同様に熱伝導性に優れている金属材料で形成されている。金属板2がCuからなる場合であれば、放熱部材4もCuからなるものとすることができる。金属板2と放熱部材4とが同じ材料であると、ろう材3の種類や加熱温度等の接合条件を同じにすることができるので、金属板2と放熱部材4とを同時に絶縁基板1に接合することができる。また、例えば、放熱部材4がCuからなり、ろう材3がJIS規格の銀ろう材であるBAg-8に活性金属を含ませたものである場合には、ろう材3は放熱部材4のCuよりヤング率の小さいAgが主成分であるので、放熱部材4よりもろう材3の方が軟質になり、上記のような効果を奏するものとなる。
放熱部材4は、図1および図2に示す例のような平板状である場合は、平面視形状が上記絶縁基板1よりも大きい板状のものであり、その寸法は絶縁基板1の寸法および放熱部材4を接続する冷却器240等の外部装置等に応じて設定することができる。
放熱部材4が図4~図15に示す例のようにフィン43を有している場合は、この平板状のものの下面にフィン43が立設された形状となる。フィン43の形状は、図4および図5に示す例のような円柱状、図7および図8に示す例のような角柱状等の柱状以外に、板状のものであってもよい。フィン43の形状、寸法および配置は必要とされる冷却性能等に応じて設定される。
図1~図15に示す例の放熱部材4は四隅に貫通孔44を有しているが、貫通孔44は必ずしも必要ではない。また、貫通孔44内にねじ切りをしておき、外部の冷却器240等をねじ242で放熱部材4に固定することもできる。
金属板2(21,22)および放熱部材4の表面には、その表面の保護のため、あるいはろう材3またはボンディングワイヤ210等の接合性の向上のためにめっき層をもうけてもよい。めっき層は、パラジウム、ニッケル、銀等の金属めっき層とすることができる。
なお、回路基板100は、放熱部材4を除いた部分をあらかじめ作製して、放熱部材4を後から接合して作製することもできる。また、この場合の放熱部材4を除いた部分は、いわゆる多数個取りの形態で作製してこれを分割することで作製することもできる。
上記のような回路基板100に電子部品200を搭載することで、図16~図20に示す例のような電子装置300,301,302となる。電子装置300等は、例えば、自動車などに用いられ、ECU(engine control unit)およびパワーアシストハンドル、モータドライブなどの各種制御ユニットに使用される。電子装置300等は、このような車載の制御ユニットに限られるものではなく、例えば、その他の各種インバータ制御回路、電力制御回路、パワーコンディショナー等に用いられる。電子部品200の数、大きさおよび搭載位置等については、図16~図20に示す例に限られるものではない。
電子部品200は、例えばパワー半導体であり、上記のような各種制御ユニットにおいて、電力制御のために用いられる。例えばSiを用いたMOS-FET(Metal Oxide Semiconductor-Field Effect Transistor)やIGBTといったトランジスタ、あるいはSiCやGaNを用いたパワー素子があげられる。
電子部品200は、不図示の接合材によって回路基板100の金属板2に接合されて固定される。接合材は、例えば、はんだまたは銀ナノペーストを用いることができる。
ボンディングワイヤ210は、電子部品200の端子電極(不図示)と金属板2とを電気的に接続する、接続部材である。ボンディングワイヤ210としては、例えば、銅もしくはアルミニウム製のものを用いることができる。
封止樹脂220には、熱伝導性、絶縁性、耐環境性および封止性の点から、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、イミド樹脂などの熱硬化性樹脂を使用することができる。
枠体230は、樹脂材料、金属材料またはこれらの混合材料からなり、放熱部材4により一方の開口が塞がれて絶縁基板1、金属板2および電子部品200等を収納する内側空間を形成している。枠体230に用いられる材料としては、放熱性、耐熱性、耐環境性および軽量性の点から、銅、アルミニウムなどの金属材料またはポリブチルテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイト(PPS)などの樹脂材料を使用することができる。樹脂材料の場合には、ガラス繊維等を添加して繊維強化樹脂として機械的強度を向上させたものを用いることができる。
リード端子231は、内側空間から枠体230を貫通して外部へ導出するように取り付けられている、導電性の端子である。このリード端子231の内側空間側の端部は回路基板100の金属板2と電気的に接続され、外部側の端部は外部の電気回路(図示せず)または電源装置(図示せず)などと電気的に接続される。このリード端子231は、導電性端子に用いられる各種の金属材料は、例えばCuおよびCu合金、AlおよびAl合金、FeおよびFe合金、ステンレススチール(SUS)等を用いることができる。
枠体230が金属材料である場合には、リード端子231間の絶縁性を確保するために、リード端子231と枠体230との間は絶縁体を介在させる。この絶縁体は、例えば、ガラスあるいは樹脂からなり、リード端子231と枠体230との接合材を兼ねることができる。枠体230が上記のような絶縁性の樹脂材料からなる場合には、枠体230を成型する際にリード端子231と一体的に成型することができる。
冷却器240は金属等のブロック体に水等の冷媒流体を通過させる流路を設けたものである。例えば、冷却器240は冷媒流体の流入口および流出口を備え、外部の循環装置等に接続され、放熱部材4から冷媒流体に伝導した熱は冷却器240の外部へ放出される。このような冷却器240は、図16~図19に示す例の電子装置300,301にも適用することができる。また、図1および図2に示す例のような平板状の放熱部材4を有する回路基板100を備える電子装置にも適用することもできる。
なお、回路基板100および電子装置300等は、上記実施形態に記載された例に限定されるものではなく、本開示の要旨の範囲内で種々の変更は可能である。