JP7236613B1 - 複合体粒子、その製造方法およびその用途 - Google Patents

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Abstract

[課題]本発明は、高いシリコン利用率と、水分散時の酸化の抑制を両立することが可能な複合体粒子を提供することを課題としている。
[解決手段]本発明の複合体粒子は、炭素材料とシリコンを含む粒子、および前記粒子の表面に、炭素と酸素を含むコート層を有する複合体粒子であって、真密度が1.80~1.99g/cm3であり、ラマンスペクトルにおいて、ピークが450~495cm-1に存在し、前記ピークの強度をISiとし、Gバンドの強度をIGすると、ISi/IGが1.3以下であり、X線光電子分光法において、Si、OおよびCの原子数比率をそれぞれASi、AO、およびACとし、SiO2およびSiOの比率をそれぞれBSiO2、BSiOとすると、ASiが0.05以上であり、ISi/IGとAC/(AC+ASi×(BSiO2+BSiO)とが所定の関係を有する複合体粒子である。

Description

本発明は、複合体粒子、その製造方法、およびその用途に関する。
スマートフォンおよびタブレットPCなどのIT機器、掃除機、電動工具、電気自転車、ドローン、自動車に使用されるリチウムイオン二次電池には、高容量および高出力を兼ね備えた負極活物質が必要とされる。負極活物質として、現在使用されている黒鉛(理論比容量:372mAh/g)よりも高い理論比容量を有するシリコン(理論比容量:4200mAh/g)が注目されている。
しかし、シリコン(Si)は電気化学的なリチウム挿入・脱離に伴って、膨張・収縮し、その膨張時の体積は収縮時の体積に対して最大で約3~4倍となる。これによりシリコン粒子が自壊したり、電極から剥離したりするため、シリコンを用いたリチウムイオン二次電池はサイクル特性が著しく低いことが知られている。このため、シリコンを単に黒鉛から置き換えて使うのではなく、負極活物質全体として膨張・収縮の程度を低減させた構造にして用いることが、現在盛んに研究されている。中でも炭素質材料との複合化が多く試みられている。
高容量かつ長寿命な負極活物質としては、例えば特許文献1には、高温下で多孔質炭素粒子とシランガスとを接触させることによって、多孔質炭素の細孔内にケイ素を生成させる方法によって得られた、シリコン-カーボン複合材料(Si-C複合材料)が開示されている。特許文献1には、前記Si-C複合材料を、さらに化学気相成長(CVD)法により、炭素層で被覆した材料についても開示されている。
特表2018-534720号公報
従来負極活物質として使用されている黒鉛などの炭素材料と異なり、シリコンは酸素や水のような酸化剤に接触すると酸化される。この酸化により生成する酸化ケイ素を含有したシリコンを負極活物質として用いた場合、酸化ケイ素はリチウムと反応しリチウムシリケートを生成する。リチウムシリケートは不可逆容量の原因となる。一般的に負極活物質は電極を作製する際に空気や水と接触する。また、負極活物質やそれを用いた電極を空気中で保管することもある。したがって、シリコンの酸化を抑制した負極活物質を用いることが好ましい。
特許文献1に開示された、Si-C複合材料にCVD法により炭素被覆した材料を負極活物質に用いた場合、本発明者らの検討によると、酸化劣化は抑制できるがシリコン利用率とクーロン効率が低下する。シリコン利用率とは、負極活物質におけるシリコンの含有量当たりの容量の、シリコンの理論比容量(4200mAh/g)に対する比率を示す。シリコン利用率が低いと、容量を大きくするためにはより多くのSi-C複合材料が必要となってしまうため、シリコン利用率は出来るだけ高い方が好ましい。シリコン利用率が低くなるのは、炭素被覆する際の熱処理温度が高温であると、Si-C複合材料中のシリコンと炭素が反応し炭化ケイ素が生成されるためと考えられる。CVD法により製膜する際の温度を低くした場合、シリコン利用率の低下を抑制できるが、炭素化が十分ではなく、被覆層が厚いため抵抗が大きくなる懸念がある。
炭素被覆を実施しない場合は、シリコン利用率の低下は回避できるが、前述した酸化を抑制することができない。Si-C複合材料はリチウムイオン二次電池の負極活物質として使用でき、負極の作製方法としては負極活物質を含む水性スラリーを集電体に塗工乾燥する方法が一般的である。実験室的に電池を評価する場合は、少量の水性スラリーを調製し、比較的短時間で塗工して電極を作製するため、Si-C複合材料は水中でほとんど酸化せず、電池性能への悪影響は小さい。しかしながら、実際の電池製造において、多量に水性スラリーを作製して大面積の電極を塗工する場合は、水性スラリー中でSi-C複合材料の酸化が進み、例えば塗工初期と塗工終了時で酸化の度合いが異なってしまい、塗工終了時の方が電極の容量が低下する問題が想定できる。また、水中での酸化時には水素が発生するので、この水素が塗工層に残り、ピンホール等の塗工不良の要因になる問題も想定できる。
本発明では、リチウムイオン二次電池において高いシリコン利用率を達成し、同時に、Si-C複合材料を水に分散したときに酸化を抑制することが可能な複合体粒子を提供すること、すなわちSi-C複合材料からなる複合体粒子であって、リチウムイオン二次電池において高いシリコン利用率を達成し、かつ水に分散したときに酸化され難い複合体粒子を提供することを課題とする。
特許文献1では炭素被覆の質に関する議論はされていない。特許文献1には、550℃での炭素被覆について、炭素被覆の前後でSi-C複合材料の容量の低下を抑えたという実験例の開示はあるが、4.6%の重量増があることから、被膜層が厚く、リチウムイオン二次電池にしたときに抵抗が高くなる恐れがある。また、特許文献1には、水分散時の酸化の抑制という効果については記載がない。水や酸素のバリア性という意味で良質な炭素層を形成するためには、一般的には高温で炭素CVD法を行う必要がある。
一方、炭素とシリコンが接触している状態で高温にさらされると、炭化ケイ素(SiC)が生成すると考えられる。炭化ケイ素にはリチウム挿入・脱離反応が起こらないため、Si-C複合材料中で炭化ケイ素の割合が増えると、シリコン利用率が低下する。
本発明者らは、SiCの生成を抑え、良質な被覆層を得るために、被覆原料、被覆方法について検討を行った。その結果、Si-C複合材料の表面に炭素と酸素を含む薄いコート層を有することによって、シリコン利用率を高くし、水分散時の酸化を抑制することができる、新たな複合体粒子を見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は例えば以下の構成からなる。
〔1〕
炭素材料とシリコンを含む粒子、および前記粒子の表面に、炭素と酸素を含むコート層を有する複合体粒子であって、
ヘリウムガスを用いた乾式密度測定による真密度が1.80g/cm3以上1.99g/cm3以下であり、
前記複合体粒子のラマンスペクトルにおいて、
ピークが450~495cm-1に存在し、
前記ピークの強度をISiとし、Gバンドの強度(1580cm-1付近のピーク強度)をIGとすると、ISi/IGが1.3以下であり、
前記複合体粒子のX線光電子分光法のSi、OおよびCのNarrowスペクトルによる原子数比率をそれぞれ、ASi、AO、およびACとし、Si2pスペクトル状態分析によるSi種比率のうち、SiO2とSiOの比率をそれぞれBSiO2、BSiOとすると、
Siが0.05以上であり、
下記式(1)および(2)の少なくとも一方が満たされる、
複合体粒子。
Y≧0.75 …(1)
Y≧-0.32X+0.81 …(2)
〔式(1)および(2)において、X=ISi/IGであり、Y=AC/(AC+ASi×(BSiO2+BSiO))である。〕
〔2〕
前記ISi/IGが0.64以下であり、前記式(1)が満たされる、前記〔1〕の複合体粒子。
〔3〕
前記炭素材料が多孔質炭素であり、シリコンが前記多孔質炭素の細孔内の少なくとも一部に含まれている、前記〔1〕または〔2〕の複合体粒子。
〔4〕
コート層の厚さが、電子顕微鏡による断面観察では実質的に測定できない程度に薄い、前記〔1〕~〔3〕のいずれかの複合体粒子。
〔5〕
Cu-Kα線を用いた粉末XRDによるXRDパターンにおいて、Si(111)面のピークの半値幅が3.0°以上であり、(SiC(111)面のピーク強度)/(Si(111)面のピーク強度)が0.01以下であり、ラマンスペクトルによるR値が0.26以上、1.34未満である、前記〔1〕~〔4〕のいずれかの複合体粒子。
〔6〕
疎水性である、前記〔1〕~〔5〕のいずれかの複合体粒子。
〔7〕
複合体粒子内部に実質的に黒鉛を含まない、前記〔1〕~〔6〕のいずれかの複合体粒子。
〔8〕
体積基準の累積粒度分布における50%粒子径DV50が1.0~30.0μmである、前記〔1〕~〔7〕のいずれかの複合体粒子。
〔9〕
シリコン含有率が30質量%以上80質量%以下であり、酸素含有率が4.0質量%以下である、前記〔1〕~〔8〕のいずれかの複合体粒子。
〔10〕
多孔質炭素にシリコン含有ガスを接触させて、炭素材料の細孔内および表面にシリコンを堆積させ、Si/C粒子を得る工程(A)、および
不飽和結合を有する炭化水素を含むガスを、400℃以下で前記Si/C粒子に接触させる工程(B)、および
工程(B)で得られた炭化水素を含む層を酸化工程(C)
を有する、複合体粒子の製造方法。
〔11〕
前記工程(A)と、前記工程(B)とを、連続して行う、前記〔10〕の複合体粒子の製造方法。
〔12〕
〔1〕~〔9〕のいずれかの複合体粒子を製造する、前記〔10〕または〔11〕の複合体粒子の製造方法。
〔13〕
前記〔1〕~〔9〕の複合体粒子と、その表面の少なくとも一部に形成された、黒鉛およびカーボンブラックから選択される1種以上からなる無機粒子と、ポリマー成分とを含み、ポリマー成分の含有率が0.1~10.0質量%である無機粒子含有ポリマー成分コート層を有する、ポリマーコート複合体粒子。
〔14〕
前記〔1〕~〔9〕の複合体粒子または前記〔13〕のポリマーコート複合体粒子を含む、負極活物質。
〔15〕
前記〔14〕の負極活物質を含む、負極合剤層。
〔16〕
前記〔15〕の負極合剤層を含む、リチウムイオン二次電池。
本発明によれば、シリコン利用率が高く、水分散時に酸化され難い複合体粒子、これを用いたリチウムイオン二次電池用負極活物質、およびリチウムイオン二次電池を提供することができる。
次に本発明について具体的に説明する。特に断らない限り、「リチウムイオン二次電池」を単に「電池」と称することがある。
[1]複合体粒子
本発明に係る複合体粒子は、炭素材料とシリコンを含む粒子、および前記粒子の表面に、炭素と酸素を含むコート層を有する複合体粒子である。すなわち、本発明に係る複合体粒子は、表面に炭素と酸素を含むコート層を有し、前記コート層の内側に炭素材料とシリコンを含む粒子状の物質を有する、粒子状の物質である。
前記「炭素材料とシリコンを含む粒子状の物質」(以下「Si/C粒子」とも称する)とは、炭素材料の表面および内部に、シリコン(Si)を含む粒子状の物質である。前記炭素材料は多孔質炭素であることが好ましく、シリコンが前記多孔質炭素の少なくとも細孔内に含まれていることが好ましい。「多孔質炭素」とは細孔を有する炭素のことである。炭素材料の内部に微細なSiドメインが均一に形成されていることが好ましい。「Siドメイン」とは、シリコンが存在している領域のことである。Si/C粒子がこの構造を有することによって、充放電に伴う膨張・収縮が等方的に生じるため、充放電サイクル耐久性が向上する。この構造は複合体粒子の断面SEM-EDSの観察を実施することによって判別できる。シリコンと炭素の分布が複合体粒子内部で重なっていれば、SEM-EDSの空間分解能以下の微細なSiドメインが均一に分散していることが分かる。
前記Si/C粒子は、粒子状の多孔質炭素に例えばシラン(SiH4)等のケイ素源を接触させて、多孔質炭素内の細孔内にシリコン(通常はアモルファス状である。)を析出させることにより得ることができる。このときに、微細な細孔を有する多孔質炭素を用いることによって、粒子内に微細なSiドメインを均一に形成することができる。
本発明に係る複合体粒子は、ラマンスペクトルにおいて、ピークがラマンシフト=450~495cm-1、1350cm-1付近、1580cm-1付近に少なくとも存在する。通常、シリコンウェハ、粒子状のシリコンや熱処理したSiOxなどの結晶性のシリコンは520cm-1付近にピークが現れる。アモルファス状のシリコンはそれよりも低いラマンシフトにピークが現れることから、450~495cm-1にピークが存在する場合、前記複合体粒子はアモルファス状のシリコンを有することを示す。シリコンがアモルファス状であると、充放電時の膨張・収縮が比較的等方的に行われるので、サイクル特性を高くすることができる。
この、450~495cm-1におけるピーク強度をIsiとし、Gバンドの強度(1580cm-1付近のピーク強度)IGとしたときの比率Isi/IGは1.3以下、好ましくは0.94以下、さらに好ましくは0.64以下であり、最も好ましくは0.54以下である。
ラマンスペクトルにおいてシリコンのピークが現れていることは、複合体粒子の表面、および/またはSi/C粒子の表面近傍の細孔内等に、シリコンが存在していることを示している。後述するXPSでは物質の表面から数nmの深さまでの情報が得られるが、ラマンスペクトルでは炭素材料において表面から約1μm~サブマイクロメートルの深さの情報が得られることが知られている(以下、ラマンスペクトルで得られる情報の位置を「表面近傍」ともいう。)。
複合体粒子のISi/IGが1.3以下であることは、Si/C粒子表面がシリコンを含む成分で厚く覆われていないことを示し、シリコンと炭素を含む構成になっていることを示す。一方、シリコンの割合が非常に高い場合にはISi/IGは、上記範囲よりも非常に大きな値となる。ISi/IGが上記範囲内にあることにより、充放電時にはSi/C粒子表面もSi/C粒子内部と同程度の膨張・収縮が起こり、膨張・収縮の応力がSi/C粒子表面に集中することを避けることができて、サイクル特性の向上につながる。
Si/IGの下限は、好ましくは0.01である。より好ましくは0.02である。0.01未満であると、コート層の厚さが大きくなり、抵抗上昇の要因になる。
なお、「ピーク強度」はベースラインを補正した後の、ベースラインからピーク頂点までの高さとする。
Si/IGの値は、たとえば、後述複合体粒子の製造方法において、工程(A)の反応条件(ガス組成比、ガス流量、温度プログラム、反応時間)を調整することにより変えることができる。
本発明の一実施形態に係る複合体粒子は、Cu-Kα線を用いた粉末X線回折測定(粉末XRD)によるXRDパターンにおいて、Si(111)面のピークの半値幅が3.0°以上であることが好ましい。前記半値幅が3.0°以上であることは、前記複合体粒子中のシリコンの結晶子サイズが小さいことを意味し、このことは充放電に伴うシリコンの破壊の抑制につながる。同様の観点から、前記半値幅は4.0°以上であることが好ましく、5.0°以上であることがより好ましい。また、前記半値幅は10.0°以下であることが好ましく、8.0°以下であることがより好ましい。なお、Si(111)面のピークとは、Siに由来する、2θで28°付近に現れるピークを意味する。また、半値幅を求める際の「ピーク強度」はベースラインを補正した後の、ベースラインからピーク頂点までの高さとする。
本発明の一実施形態に係る複合体粒子は、ラマンスペクトルによるDバンドの強度(1350cm-1付近のピーク強度)をIDとしたときの、Gバンドの強度IGとの比であるR値(ID/IG)が、0.26以上、1.34未満であることが好ましい。R値が0.26以上であると、この複合体粒子を用いた負極は反応抵抗が十分に低いので、電池のクーロン効率の向上につながる。一方、R値が1.34未満であることは、炭素材料に欠陥が少ないことを意味する。R値が1.34未満であることにより、電池の内部抵抗が下がり、レート特性が向上する。同様の観点からR値は、0.45以上であることがより好ましく、0.65以上であることがさらに好ましい。また、R値は、1.30以下であることがより好ましく、1.20以下であることがさらに好ましい。
本発明に係る複合体粒子は、表面に炭素と酸素を含むコート層を有している。この複合体粒子の構造は以下の特徴を有している。
複合体粒子のX線光電子分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)のSi、OおよびCのNarrowスペクトルによる原子数比率をそれぞれASi、AO、およびACとし、Si2pスペクトル状態分析によるSi種比率のうち、SiO2とSiOの比率をBSiO2、BSiOとすると、
Siが0.05以上であり、下記式(1)および(2)のうちの少なくとも一方が満たされる。
Y≧0.75 …(1)
Y≧-0.32X+0.81 …(2)
〔式(1)および(2)において、X=ISi/IGであり、Y=AC/(AC+ASi×(BSiO2+BSiO))である。〕
なお、ASi+AO+AC=1.00である。
XPSは物質表面に存在する元素の種類・存在量・化学結合状態に関する知見を得る手法であり、物質の表面から数nmの深さまでの情報が得られることが知られている。
<1>ASi
Siが0.05未満であることは、コート層が厚すぎることを意味する。コート層が厚すぎると、複合体粒子の抵抗が上がってしまう。ASiは好ましくは0.15以上、さらに好ましくは0.25以上である。XPSの分析深さは数nmと非常に浅いため、Siがある程度観測できることは、前記コート層が極めて薄い層であることを意味する。
前記コート層は炭素と酸素を含むので、炭素被覆に比べて電子伝導性は低い。コート層は厚すぎると抵抗が上がってしまうため、薄い層であることが必要である。
<2>AC/(AC+ASi×(BSiO2+BSiO))
C/(AC+ASi×(BSiO2+BSiO))の値は、複合体粒子の、表面から深さ数nmまでの位置(XPSでの空間分解能の深さ)における炭素の濃度の指標である。複合体粒子表面ではSiはSiO2やSiOなどの酸化物として存在していると考えられ、複合体粒子表面のほとんどは炭素とSiO2やSiOなどのシリコン酸化物で形成されていると考えられるためである。ただし、ACには表面だけでなくSi/C粒子中の炭素についての情報も含まれているので、この指標はコート層についてのみの炭素濃度を反映しているわけではない。
C/(AC+ASi×(BSiO2+BSiO))の値が小さいことは、複合体粒子表面の炭素濃度が低いことを表す。この炭素濃度が低くなると酸化抑制能力が低下する。すなわち、複合体粒子が酸化され易くなる。
ただし、複合体粒子表面近傍のシリコン濃度が高くなるにつれて、複合体粒子表面の炭素濃度が低くなっても、酸化抑制能力は十分に発揮される。これは、複合体粒子表面近傍のシリコン濃度が高くなるにつれて、すなわちISi/IGが大きくなるにつれて、酸化され得るシリコンが、炭化水素由来の炭素とシリコン酸化物との複合物の存在によって酸化され難くなるためではないかと考えられる。すなわち、AC/(AC+ASi×(BSiO2+BSiO))で表される炭素濃度の指標は、複合体粒子表面近傍のシリコン濃度により影響を受ける。
したがって、本発明に係る複合体粒子は、下記式(1)を満たす。
Y≧0.75 …(1)
〔式(1)において、Y=AC/(AC+ASi×(BSiO2+BSiO))である。〕
を満たす。
ただし、複合体粒子表面近傍のシリコン濃度が比較的高い場合(具体的には、ISi/IGが0.2を超える場合)は、下記式(2)を満たせばよく、必ずしも上記式(1)を満たさなくてもよい。
Y≧-0.32X+0.81 …(2)
〔式(2)において、X=ISi/IGであり、Y=AC/(AC+ASi×(BSiO2+BSiO))である。〕
上記式(1)および(2)のいずれも満たされない場合は、複合体粒子の酸化抑制能力が低くなる。
Y、すなわちAC/(AC+ASi×(BSiO2+BSiO))は、好ましくは0.85以上である。
Y、すなわちAC/(AC+ASi×(BSiO2+BSiO))は、好ましくは0.98以下である。
コート層の構造の特定はできないが、表面の炭素とシリコン酸化物が複合化した薄膜層であることが好ましい。
C/(AC+ASi×(BSiO2+BSiO))の値は、たとえば、後述複合体粒子の製造方法において、工程(B)での反応温度、反応時間、反応圧力、または炭化水素の種類もしくは濃度を調整することにより変えることができる。
コート層は炭化水素由来の化合物を含むことが好ましい。このコート層が炭化水素由来の化合物を含むことは、複合体粒子の熱分解GC-MC測定を行い、200℃~600℃の間で複合体粒子から発生するガスに炭化水素由来の化合物が含まれることから判別できる。
前記コート層は、Si/C粒子に低温で、不飽和結合を有する炭素源を接触させ、その後得られた物質を酸化することにより製造することができる。詳しくは後述する。
本発明の一実施形態に係る複合体粒子においては、コート層が、電子顕微鏡による断面観察では実質的に測定できない程度に薄いことが好ましい。コート層が上記のように薄いと、複合体粒子は抵抗が低い。走査型電子顕微鏡(SEM)は、数nmの厚さを判別するできるほどの分解能を有していないため、それよりも薄いコート層の厚さを測定できない。透過型電子顕微鏡(TEM)は、分解能としては十分であり、数nmの厚さであっても観察可能であるが、複合体粒子からコート層を含む薄膜のTEM観察用試料を作製する際に、加工により複合体粒子のコート層はダメージを受け、破壊されてしまうので、実際にはTEMではコート層の厚さを観察できない。「実質的に測定できない」とはこのような状態を指す。しかしながら、電子顕微鏡による断面観察では実質的に測定できない薄膜であっても、上記のXPSや後述する表面の疎水性の試験から、コート層の存在を確かめることができる。
本発明に係る複合体粒子の真密度は1.80g/cm3以上である。この値は、ヘリウムガスを用いた乾式密度測定で算出される。
真密度が1.80g/cm3未満であることは、複合体粒子中の炭素の細孔へのシリコンの充填量が少ないことや、コート層がタール成分やポリマーなどの低密度の有機物の厚い層であることを意味する。
真密度が1.80g/cm3以上であると、複合体粒子中炭素の細孔へのシリコンの充填量が十分であること、コート層が薄いことを示しており、複合体粒子の比容量を高くしたり、抵抗を低くしたりすることができる。同様の観点から、真密度は1.85g/cm3以上であることが好ましく、1.88g/cm3以上であることがより好ましい。
本発明に係る複合体粒子の真密度は1.99g/cm3以下である。真密度が1.99g/cm3以下であると、複合体粒子中の炭素材料がアモルファスであり、炭素材料の組織がより等方的である。真密度は炭素やシリコンの密度の文献値より低いので、複合体粒子中にはヘリウムガスが粒子外部から侵入できない空孔が存在すると考えられることから、真密度が上記範囲にあるとサイクル特性を高くすることができる。また、複合体粒子中の炭化ケイ素の量が少ないので、シリコン利用率の低下を抑制できる。炭化ケイ素は炭素やSiに比べて密度が高いため、炭化ケイ素が複合体粒子中に含まれていると真密度が高くなる。この観点から、真密度は1.98/cm3以下であることが好ましく、1.96g/cm3以下であることがより好ましい。
乾式密度測定による真密度は、気相置換法により測定することができる。気相置換法とは、一定温度に保たれた環境内で、予めヘリウムガスにより容積を測定しておいた容器に試料とヘリウムガスを入れ、試料が押しのけたヘリウムガスの体積、および試料の質量から真密度を算出する方法である。気相置換法の装置としては、例えばmicromeritics社製のAccuPyc(登録商標)II 1340 Gas Pycnometerを使用することができる。
本発明の一実施形態に係る複合体粒子は、Cu-Kα線を用いた粉末X線回折測定(粉末XRD)によるXRDパターンにおいて、(SiC(111)面のピーク強度)/(Si(111)面のピーク強度)が0.01以下であることが好ましい。これにより、複合体粒子中にはSiC(炭化ケイ素)が含まれていない、あるいはSiCの含有量が極めて低いことになるため、シリコンの電池活物質としての利用率が向上し、初回放電容量を高くできる。なお、前記(SiC(111)面のピーク強度)/(Si(111)面のピーク強度)を、ISiC(111)/ISi(111)とも表記する。ISiC(111)/ISi(111)の下限は0.00である、すなわち、SiC(111)面のピーク強度が観察されないことがより好ましい。なお、SiC(111)面のピークは、SiCに由来する、2θで35°付近に現れるピークである。また、Si(111)面のピークは、Siに由来する、2θで28°付近に現れるピークである。
本発明の一実施形態に係る複合体粒子は、疎水性であることが好ましい。疎水性であると、水に対する保護効果が向上する。また、負極合剤層にはバインダーとなるポリマーが含まれている。ポリマーは疎水性粒子へのなじみが良いので、負極塗工用のスラリーを作製する際により均一に分散することができる。
疎水性の複合体粒子は、たとえば後述の工程(B)で不飽和結合を有する炭化水素を用いることにより製造できる。
疎水性の測定方法については、複合体粒子をペレット状に形成した後に水の接触角を測定するなどの複合体粒子に対する水の接触角を測定する方法や、複合体粒子に対する水蒸気の吸着量を測定し、それを同じ複合体粒子の窒素吸着量や窒素吸着法で求めたBET比表面積で除する方法などが挙げられる。
疎水性の測定方法としては、粉体の水への浸透挙動を観察する方法が、簡便で判別し易い。この測定は、例えば、実施例に記載の方法で行うことができる。
本発明の一実施形態に係る複合体粒子は、複合体粒子内部に黒鉛を含まないことが好ましい。複合体粒子内部の黒鉛の存在はCu-Kα線を用いた粉末X線回折測定(粉末XRD)によるXRDパターンで判別する。複合体粒子内に黒鉛が有意に存在する場合は、黒鉛に由来する、2θで26°付近に鋭いピークが観測できる。この付近には炭素やシリコン酸化物由来のハローも同時に観測されるが、これらのパターンの強度は低く、一方黒鉛は強度の高い非常に鋭いピークとして観測されるので、黒鉛のピークが観測されないときは、黒鉛は複合体粒子内に実質的には含まれていないものと考えられる。
多孔質の黒鉛を得ることは難しく、黒鉛粒子内に均一な細孔を分布させることも困難である。本発明の複合体粒子は、粒子内に微細なSiドメインを均一に形成していることが好ましい。複合体粒子内部に黒鉛が含まれていると充放電時の膨張・収縮が粒子内で不均一になり、サイクル特性が低下する。
上述のように、充放電時の膨張・収縮が粒子内で均一であることが好ましいので、本発明の一実施形態に係る複合体粒子の形状は、平均アスペクト比が1.25以下であることが好ましく、粒子の一部に角が無いことがより好ましい。前記複合体粒子は、球形(複合体粒子の断面が円形)であることがさらに好ましい。アスペクト比は粒子の長径を短径で除した数値ある。アスペクト比が1.00であることは長径と短径が等しいことを示すので、平均アスペクト比は1.00に近いほどより好ましい。
球形の度合いは、断面形状から算出する平均円形度で判断できる。平均円形度は0.95以上1.00以下が好ましい。円形度は以下の式で表される。
(円形度)=4π×(S/L2
ここで、Sは粒子断面積[m2]、Lは粒子周囲長[m]である。
上記平均アスペクト比や平均円形度は走査型電子顕微鏡(SEM)による像を画像解析ソフトで解析して算出できる。解析はSEM写真においてランダムに選び出した100個の複合体粒子に対して行い、100個の平均値(個数平均)を用いて判断する。画像解析ソフトとしては、例えばImageJなどがある。
本発明の一実施形態に係る複合体粒子は、BET比表面積が0.1m2/g以上であることが好ましい。BET比表面積が0.1m2/g以上であることで電極作製時のスラリー粘度を好適にすることができ、良好な電極を製造することができる。同様の観点から、BET比表面積は0.5m2/g以上であることがより好ましく、0.9m2/g以上であることがさらに好ましい。
本発明の一実施形態に係る複合体粒子は、BET比表面積が100.0m2/g以下であることが好ましい。100.0m2/g以下であることで、電解液との副反応を低減できる。同様の観点から、BET比表面積は50.0m2/g以下であることがより好ましく、25.0m2/g以下であることがさらに好ましい。
BET比表面積は通常当該技術分野で知られる専用の測定装置によって測定される、吸着等温線からBET法を用いて算出される。吸着ガスとして通常は窒素が用いられる。
本発明の一実施形態に係る複合体粒子は、体積基準の累積粒度分布における50%粒子径DV50が1.0μm以上であることが好ましい。DV50が1.0μm以上であることにより、電解液との副反応を低減できるからである。さらに粉体がハンドリング性に優れ、塗工に適した粘度や密度のスラリーを調製しやすく、また電極とした際の密度を上げやすい。この観点から、DV50は2.0μm以上であることがより好ましく、3.0μm以上であることがさらに好ましく、3.5μm以上であることが最も好ましい。
本発明の一実施形態に係る複合体粒子は、前記DV50が30.0μm以下であることが好ましい。DV50が30.0μm以下であることにより、1つ1つの粒子におけるリチウムの拡散長が短くなるためリチウムイオン電池のレート特性が優れるほか、スラリーとして集電体に塗工する際に筋引きや異常な凹凸を発生しない。この観点から、DV50は20.0μm以下であることがより好ましく、15.0μm以下であることがさらに好ましい。
本発明の一実施形態に係る複合体粒子は、体積基準の累積粒度分布における90%粒子径、DV90が50.0μm以下であることが好ましい。DV90が50.0μm以下であることにより、1つ1つの粒子におけるリチウムの拡散長が短くなるため、リチウムイオン電池のレート特性が優れるほか、スラリーとして集電体に塗工する際に筋引きや異常な凹凸を発生しない。この観点から、DV90は40.0μm以下がより好ましく、30.0μm以下であることがさらに好ましく、20.0μm以下であることが最も好ましい。
これらの体積基準の累積粒度分布は、例えばレーザー回折式粒度分布計によって測定される。
本発明の一実施形態に係る複合体粒子は、シリコン含有率が30質量%以上であることが好ましい。ここで、複合体粒子の「シリコン含有率」とは、複合体粒子に含まれるシリコン単体および化合物の、シリコン元素としての含有率である。シリコン含有率が30質量%以上であると、複合体粒子中のシリコンの量が十分であり、放電容量を高くすることができる。同様の観点から、シリコン含有率は35質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましい。
本発明の一実施形態に係る複合体粒子は、シリコン含有率が80質量%以下であることが好ましい。80質量%以下であると、複合体粒子中のシリコンの量が過剰でないため、炭素によってその膨張・収縮による体積変化を吸収させることができる。同様の観点から、シリコン含有率は75質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることがさらに好ましい。
複合体粒子中のシリコン含有率は、蛍光X線分析測定を行い、ファンダメンタル・パラメーター法(FP法)等を用いて解析することによって得ることができる。また複合体粒子を燃焼して炭素分を除去し、燃え残り灰分を酸やアルカリに完全に溶解させたのち、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP-AES)ことによって定量することもできる。
本発明の一実施形態に係る複合体粒子は、酸素含有率が4.0質量%以下であることが好ましい。酸素含有率が4.0質量%以下であれば、リチウムイオン二次電池の負極の不可逆容量を減らすことができる。同様の観点から、前記酸素含有率は2.0質量%以下であることがより好ましく、1.0質量%以下であることがさらに好ましい。前記酸素含有率の下限としては、好ましくは0.2質量%である。酸素含有率が0.2質量%以上の場合、高い酸化抑制能力が発現する。
複合体粒子中の酸素含有率は、例えば酸素窒素同時測定装置によって測定することができる。
本発明において、複合体粒子の酸素含有率は、特別な記載の無い限り、製造後2日以内あるいは非酸化性雰囲気下で保管したものの酸素含有率のことを指す。工程の都合上等で製造後2日以内に測定できない場合には、例えばアルゴン等の不活性雰囲気下で保管しておき、後日に測定しても、その値は製造後2日以内と同等としてよい。これは不活性雰囲気下で保管した場合は、酸化が進まないためである。
[2]複合体粒子の製造方法
本発明に係る複合体粒子の製造方法は、以下の工程(A)、工程(B)、工程(C)を有する。本発明の複合体粒子の製造方法によって、前述の本発明の複合体粒子、すなわち、前記[1]で述べた複合体粒子を得ることができる。
工程(A):多孔質炭素にシリコン含有ガスを接触させて(すなわち、反応させて)、多孔質炭素の細孔内および表面にシリコンを堆積させ、Si/C粒子を得る工程
工程(B):不飽和結合を有する炭化水素を含むガスを、400℃以下で前記Si/C粒子に接触させる工程
工程(C):工程(B)で得られた物質を酸化する工程
細孔を有する炭素材料を、本明細書では「多孔質炭素」と呼ぶ。複合体粒子はシリコンが粒子内に含まれている構造を有していることが好ましいので、多孔質炭素は、内部にシリコンを担持できる細孔容積を有することが好ましい。また、炭素材料(多孔質炭素)の窒素吸着試験において、相対圧P/P0が0.99のときの細孔容積をV0.99としたとき、V0.99は0.25cc/g以上1.50cc/g以下であることがより好ましい。
また、シリコンは微細なドメインとして複合体粒子内に含まれていることが好ましいので、多孔質炭素内には微細な細孔が多いことがさらに好ましい。具体的には、多孔質炭素の窒素吸着試験において、相対圧P/P0が0.01のときの細孔容積をV0.01としたとき、V0.01/V0.99は0.45以上であることがさらに好ましく、0.55以上であることが最も好ましい。窒素吸着試験は公知の方法を用いることができる。
多孔質炭素としては、例えば活性炭、活性炭素繊維、モレキュラーシービングカーボン、または無機テンプレートカーボンを用いることができる。また、ハードカーボンを水蒸気または二酸化炭素で賦活することによって得られる多孔質炭素を用いることができる。前記条件に合致する多孔質炭素を選択して使用することが好ましい。活性炭素繊維は、粉砕された粒子状の活性炭素繊維であってもよく、シリコンを担持した後に粉砕して粒子状としてもよい。
ハードカーボンは、例えばフェノール樹脂を不活性雰囲気中、600℃~1400℃、好ましくは800~1400℃で熱処理することによって得ることができる。
多孔質炭素を所望の複合体粒子の形状または粒度分布に調整してから、工程(A)を実施することが好ましい。これは工程(A)、工程(B)および工程(C)で粒子の形状および粒度はほとんど変化しないため、複合体粒子の形状および粒度分布は多孔質炭素の形状および粒度分布と変わらないためである。そのために、工程(A)に使用する多孔質炭素は、解砕や粉砕し、篩掛けを実施してもよい。
工程(A)、工程(B)および工程(C)を経て複合体粒子を製造した後に、粒子同士が凝集する場合がある。その場合は解砕を行い、原料の多孔質炭素の形状や粒度分布に戻すことが好ましい。ただし、その際に過剰のエネルギーを加え、複合体粒子を粉砕して粒子形状を変えると、複合体粒子の表面にコート層のない部分が増加し、酸化抑制能力が低くなるので、好ましくない。
多孔質炭素は球形であることが好ましい。球形の多孔質炭素は球形のフェノール樹脂を炭化し、賦活したものがより好ましい。また、球形の多孔質炭素は、粉砕工程を経ていないものが、球形を保つことができるのでさらに好ましい。
シリコン含有ガスとしては、好ましくはシランガスを使用することができる。シランガスをヘリウムまたはアルゴンなどの不活性ガス、あるいは水素などの還元性ガスと混合して使用してもよい。
工程(A)は多孔質炭素を反応器内に設置し、多孔質炭素にシリコン含有ガスを接触させて多孔質炭素の細孔内および表面にシリコンを堆積させ、Si/C粒子を得る工程である。
反応器の形態は制限されない。反応器として、静置炉、流動層炉やロータリーキルンのような粉体の撹拌機能を有する炉、ローラーハースキルンやプッシャー炉のような連続炉を用いることができる。
反応温度は、シランガスなどのシリコン含有ガスが分解し、多孔質炭素の細孔内でシリコンが析出する温度であれば制限はないが、300℃以上450℃以下が好ましい。300℃未満ではシランガスの分解が十分に生じないため、シリコンの析出が不十分となる。450℃を超えるとシランガスの分解が多孔質炭素の細孔内で生じ細孔内でシリコンが析出するよりも、多孔質炭素の表面(細孔の開口部分も含む)でシリコンが析出することが顕著になり、細孔の開口部が析出したシリコンで塞がれるため、細孔内での析出が不十分となる。
450℃以下であっても、多孔質炭素の表面においてシランの分解は起き、シリコンは析出する。一般に、多孔質炭素の細孔の表面積は外部の表面積よりもはるかに大きいため、多孔質炭素の細孔内に析出するシリコンが圧倒的に多くなる。シリコンは多孔質炭素の外表面よりも細孔内に存在している方が、電池の充放電に伴うシリコンの膨張・収縮に伴う複合体粒子内の応力への複合体粒子の耐久性が高くなるので好ましい。より高温での処理においては、多孔質炭素の表面での析出が顕著になり、細孔の開口部が塞がれた部位が増える。
ガス組成比、ガス流量、温度プログラム、といった条件は、複合体粒子の性状を見ながら、適宜調整される。
工程(B)は、工程(A)で得られたSi/C粒子を反応器内に設置し、不飽和結合を有する炭化水素を含むガスを、400℃以下で前記Si/C粒子に接触させる工程である。本発明に係る複合体粒子のコート層は薄い。炭素CVDのように炭素を表面に堆積させる方法は、厚い炭素被覆が形成されるため、適していない。Si/C粒子の表面のSi-H基と不飽和結合を有する炭化水素とを反応させて、Si/C粒子の表面に炭化水素を含む層を形成することが好ましい。この炭化水素を含む層には、炭化水素同士が反応した物質が含まれていてもよい。不飽和結合を有する炭化水素のガスとしては、二重結合や三重結合を有する炭化水素のガスを用いることができる。炭化水素が、蒸気圧が低く常圧でガス化しない化合物である場合は、常圧より低い圧力で炭化水素を用いればよい。好ましくは常圧でガスであるアセチレン、エチレン、プロピレン、および1,3-ブタジエンが挙げられ、アセチレン、エチレンがより好ましい。このとき、複数種類の炭化水素を用いてもかまわない。また、ヘリウムまたはアルゴンなどの不活性ガス、あるいは水素などの還元性ガスを混合して使用してもよい。
工程(B)においては、Si-H基と不飽和結合を反応させるために、400℃以下の低温での処理が必要である。この温度を超えると分解するSi-H基の量が増えて、目的とする反応、すなわち、Si/C粒子の表面のSi-H基と炭化水素の不飽和結合との反応が生じにくくなる。また、Si/C粒子中のシリコンの反応性は非常に高いので、400℃を超える高温下では多孔質炭素とシリコンの反応が生じ、炭化ケイ素が生成するためシリコンの容量が低下してしまう。
反応温度の下限は、不飽和結合を有する炭化水素がSi/C粒子表面で反応する温度であれば制限はないが、反応温度が低いと反応速度が低いので、100℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましい。
炭化水素を含む層の厚さは、炭化水素の分子層に相当する厚さであってもよく、数分子層に相当する厚さでもよい。また、炭化水素の一部が分解していてもよい。炭化水素の一部が分解して炭素になったとしても、炭化水素を含む層は、炭素被覆と異なり抵抗が高い材質なので、薄膜であることが好ましい。したがって工程(B)の前後で重量変化は小さい方が好ましい。工程(B)前のSi/C粒子の質量に対しての工程(B)で得られた炭化水素を含む層を有するSi/C粒子の質量の増加量は1.0質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。
工程(C)は工程(B)で得られた物質を酸化する工程である。この工程(C)はコート層(正確には、工程(B)でSi/C粒子表面に形成された炭化水素を含む層)に、酸素を導入する工程である。コート層の構造は明らかではないが、コート層に酸素が含まれていることによって、酸化抑制能力が向上し、抵抗が低くなる。酸化は、コート層を、酸素を含むガス(より詳細には、酸化性のガス)に接触させることによって行うことができる。酸素を含むガスは、酸素濃度が1~25体積%であることが好ましく、1~20体積%であることがより好ましく、5~20体積%であることがさらに好ましい。その場合、酸素はアルゴンや窒素で希釈されている。酸素を含むガスとして空気を用いてもよいが、安定的に酸化を行うためには、空気の湿度を調整し、一定に保つ方が好ましい。
反応温度、すなわちコート層を、酸素を含むガスと接触させる際の温度は、室温以上、200℃以下が好ましい。200℃を超えるとコート層の分解または必要以上のシリコンの酸化が生じるため好ましくない。
反応時間、すなわちコート層を、酸素を含むガスと接触させる時間は、たとえば0.1~120時間である。
工程(C)は酸素濃度を変えて酸化処理をしてもよい。
コート層を、酸素を含むガスに接触させた後、不活性雰囲気下または低圧下で熱処理することが好ましい。熱処理時の温度は400℃以下が好ましい。400℃以下で熱処理をすることにより未反応のSi-H基を分解し、シリコンに変換することによって、コート層への酸素複合化を安定的に実施できると考えられる。熱処理時間は、たとえば0.1~100時間である。
工程(A)と工程(B)は連続で行うことが好ましい。工程(A)で得られた、Si/C粒子表面のシリコンの活性は高いため、大気に触れると酸化が進み、表面のSi-H基が低減する。したがって、大気(空気)に触れずに工程(A)と(B)を連続で行うことが好ましい。工程(A)と工程(B)の間の時間は、Si/C粒子が大気に触れていなければ制限されない。例えば工程(A)の後、不活性雰囲気下で保管した後に工程(B)を行ってもよい。また、工程(A)で得られたSi/C粒子が大気に接触しなければ、工程(A)と工程(B)は別の装置を用いてもよい。
工程(B)と工程(C)は別の装置を用いてもよい。また、工程(B)と工程(C)を複数回実施してもよい。例えば、工程(C)を実施した後に工程(B)を実施する、あるいは工程(C)を実施した後に工程(B)を実施し、引き続き工程(C)を実施する方法などが挙げられる。
[3]さらに表面コート層を有する複合体粒子
本発明に係る複合体粒子は、上述した、Si/C粒子とSi/C粒子表面のコート層とを有する複合体粒子(以下「複合体粒子本体」ともいう。)のさらに外側に層を有していてもよい。前出の『コート層』と区別するため、複合体粒子本体のさらに外側に配置される層をここでは『表面コート層』と記すことにする。
表面コート層の形成方法として、複合体粒子の表面の少なくとも一部に、具体的には、炭素コーティング、無機酸化物コーティングまたはポリマーコーティングにより層を形成する方法が挙げられる。炭素コーティングの手法としては、化学気相成長法(CVD)や物理気相成長法(PVD)等が挙げられる。無機酸化物コーティングの手法としては、化学気相成長法(CVD)、物理気相成長法(PVD)、原子層堆積法(ALD)や湿式法等が挙げられる。湿式法は、無機酸化物の前駆体を溶媒に溶解および/または分散させた液体を用いて複合体粒子本体にコーティングし、熱処理等で溶媒を除去する方法を含む。ポリマーコーティングの種類としては、ポリマー溶液を用いてコーティングする方法、モノマーを含むポリマー前駆体を用いてコーティングし、温度や光などを作用させてポリマー化する方法、またはそれらの組み合わせでもよい。
複合体粒子の表面コート層は、複合体粒子の表面分析を実施することによって分析することができる。表面分析としては、例えば、SEM-EDS、オージェ電子分光法、XPS、顕微赤外分光法、顕微ラマン法などが挙げられる。
表面コート層を形成する際は、複合体粒子に含まれるシリコンが炭素と反応して炭化ケイ素が生成するのを避けるために、コーティング時に温度を上げる場合は500℃未満までとすること、あるいはPVDまたはALDなどの、複合体粒子本体にエネルギーがかかる時間が一瞬であり、複合体粒子本体の温度を長時間上昇させない方法を用いることが好ましい。
さらに表面コート層を有する複合体粒子としては、以下のポリマーコート複合体粒子が好ましい。すなわち、ポリマーコート複合体粒子は、複合体粒子本体の表面の少なくとも一部に、黒鉛およびカーボンブラックから選択される1種以上からなる無機粒子と、ポリマー成分とを含み、ポリマー成分の含有率が0.1~10.0質量%である無機粒子含有ポリマー成分コート層を、表面コート層として有している。
ポリマーコート複合体粒子の製造は湿式法で行うことが好ましい。具体的には、溶媒中で、黒鉛およびカーボンブラックから選択される1種以上からなる無機粒子、ポリマー成分と複合体粒子本体とを混合し、乾燥して溶媒を除去する方法である。
この際に、あらかじめ、それぞれの成分を溶解または分散させた液体を準備してから混合を行ってもよい。無機粒子は複合体粒子本体より小さい方が好ましいので、あらかじめ無機粒子を分散した液を用いることが好ましい。無機粒子を分散させた液体を調製する際には、ボールミルやビーズミルなどを用いてせん断力を掛けると、微粒子を均一に分散することができるのでより好ましい。無機粒子を分散させる際には、分散助剤を適宜加えてもよい。分散助剤は公知の物から自由に選択して用いることができる。
ポリマー成分の種類は、特に制限されない。例えば、多糖、セルロース誘導体、動物性水溶性ポリマー、リグニンの誘導体および水溶性合成ポリマー、単糖、二糖、オリゴ糖、アミノ酸、没食子(もっしょくし)酸、タンニン、サッカリン、サッカリンの塩およびブチンジオール、ソルビトール等の糖アルコール類、グリセリン、1,3-ブタンジオール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
溶媒は上記材料を溶解、分散可能な溶媒であれば特に制限はないが、水が好ましい。複数種類の溶媒を混合してもよい。混合時の温度は50℃~200℃が好ましい。
乾燥時の温度はポリマー成分が分解して留去しない限りは特に制限されず、例えば50℃~200℃から選択することができる。不活性雰囲気での乾燥や、真空下での乾燥を実施してもよい。
得られたポリマーコート複合体粒子は必要に応じて、解砕工程や、篩工程を行い、粗大な凝集粒を取り除いてもよい。
ポリマー成分の含有率は、例えば、充分に乾燥させたポリマーコート複合体粒子をポリマー成分が分解する温度以上、かつシリコンや炭素が酸化する温度よりも低い温度(例えば300℃)に加熱して、ポリマー成分が分解した後の複合材料の質量を測定することで確認することができる。具体的には、加熱前のポリマーコートした複合体粒子の質量をAg、加熱後の複合体粒子の質量をBgとした場合に(A-B)がポリマー成分の含有量である。含有率は{(A-B)/A}×100で算出できる。
上記測定は熱重量測定(TG:Thermogravimetry)を用いて実施できる。使用するサンプル量が少量で高精度に測定できるので好ましい。
本発明に係る複合体粒子は、水中でのコート処理中、すなわち水を用いて湿式法により表面コート層を形成する際に酸化され難い。複合体粒子本体の表面には、均一にコートすることができる
表面コート層の効果としては、例えば、(i)複合体粒子内部のシリコンの経時酸化の抑制、(ii)初回クーロン効率の改善、(iii)サイクル特性の改善が挙げられる。
(i)複合体粒子内部のシリコンの経時酸化の抑制とは、複合体粒子を空気または酸素含有ガス雰囲気に曝した際に、時間の経過と共にシリコンが酸化することを抑制することを意味する。複合体粒子表面に表面コート層が存在することにより、複合体粒子内部への空気や酸素含有ガスの侵入をより抑制することができる。
(ii)初回クーロン効率の改善とは、リチウムイオン電池内部において、複合体粒子への初回リチウムイオン挿入時に、複合体粒子にトラップされるリチウムイオンの量を低減することを意味する。複合体粒子内部にリチウムイオンが挿入された後、複合体粒子表面、あるいは複合体粒子へのリチウムイオン侵入口に電解液分解物被膜(SEI<Solid Electrolyte Interface>被膜)が形成されると、複合体粒子中の閉塞した細孔から脱離できないリチウムイオンの割合が増加し、初回クーロン効率が低下する。2回目の以降のリチウムイオン挿入時にはSEI被膜が存在するので、複合体粒子にトラップされるリチウムイオンの比率は大きく低下する。このように、問題は初回リチウムイオン挿入時のリチウムイオンのトラップであるため、複合体粒子表面に表面コート層が存在すると、SEI被膜で閉塞しやすい細孔へのリチウムイオン挿入を防ぐことができ、初回クーロン効率が改善する。
(iii)サイクル特性の改善とは、複合体粒子をリチウムイオン電池に適用して、充放電を繰り返したときの、容量低下を抑制することを意味する。リチウムイオン電池において、充電および放電を繰り返すと、複合体粒子中のシリコンは電解液の成分元素であるフッ素と反応し、フッ化シリコン化合物として溶出すると考えられる。シリコンが溶出すると複合体粒子の比容量が低下する。複合体粒子表面に表面コート層が存在すると、シリコンの溶出が抑制され、複合体粒子の容量低下が抑制される。また、表面コート層により抵抗が低減し、クーロン効率が向上し、サイクル特性が改善する。
[4]負極活物質
本発明の一実施形態に係る負極活物質は、本発明に係る複合体粒子を含む。本発明に係る複合体粒子は二種以上を混合して使用してもよい。負極活物質は、さらに他の成分を含むことができる。他の成分としては、リチウムイオン二次電池の負極活物質として一般的に用いられるものが挙げられる。例えば黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン、チタン酸リチウム(Li4Ti512)や、シリコン、スズなどの合金系活物質およびその複合材料等が挙げられる。これらの成分は通常粒子状のものが用いられる。複合体粒子以外の成分としては、一種を用いても、二種以上を用いてもよい。その中でも特に黒鉛粒子やハードカーボンが好ましく用いられる。
他の成分を含ませて負極活物質とする場合は、複合体粒子が負極活物質中に1~50質量%となるように調整する。好ましくは2~25質量%となるように調整する。前記他の成分を混合して用いることにより、複合体粒子の優れた特性を維持した状態で、他の炭素材料が有する優れた特性も兼ね備えた負極活物質とすることが可能である。負極活物質として複数種類の材料を用いる場合は、あらかじめ混合してから用いてもよく、後述する負極合剤形成用のスラリーを調製する際に順次添加してもよい。
複合体粒子と他の材料を混合するための装置としては、市販の混合機、攪拌機を用いることができる。具体的な例としては乳鉢、リボンミキサー、V型混合機、W型混合機、ワンブレードミキサー、ナウターミキサー等の混合機を挙げることができる。
[5]負極合剤層
本発明の一実施形態に係る負極合剤層は、前記[4]で述べた負極活物質を含む。
本発明の負極合剤層は、リチウムイオン二次電池用の負極合剤層として用いることができる。負極合剤層は一般に、負極活物質、バインダー、任意成分としての導電助剤とからなる。
負極合剤層の製造方法は例えば以下に示すような公知の方法を用いることができる。負極活物質、バインダー、任意成分としての導電助剤および、溶媒を用い、負極合剤形成用のスラリーを調製する。スラリーを銅箔などの集電体に塗工し、乾燥させる。これをさらに真空乾燥させて溶媒を除去する。得られたものを負極シートと呼ぶことがある。負極シートは、負極合剤層と集電体からなる。負極シートは必要な形状および大きさに裁断し、あるいは打ち抜いたのち、プレスして電極合剤層の密度(電極密度と呼ぶことがある)を向上させる。電極密度を向上させると、電池のエネルギー密度が向上する。プレス方法は、所望の電極密度に加工することができれば特に限定しないが、一軸プレスやロールプレス等が挙げられる。後述する実施例では、形状加工の後にプレスを行う工程を例示しているが、プレス後に形状加工を行ってもよい。この所望の形状・電極密度になっているものを本発明では負極と呼ぶ。負極にはさらに必要に応じて、集電体に集電タブを取り付けた状態のものも含まれる。
バインダーとしては、リチウムイオン二次電池の負極合剤層において一般的に用いられるバインダーであれば自由に選択して用いることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンターポリマー、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム、アクリルゴム、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)、ポリエチレンオキサイド、ポリエピクロルヒドリン、ポリフォスファゼン、ポリアクリロニトリル、カルボキシメチルセルロース(CMC)およびその塩、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。バインダーは一種を用いても、二種以上を用いてもよい。バインダーの量は、負極材料100質量部に対して、好ましくは0.5~30質量部である。
導電助剤は、電極に対し電子伝導性や寸法安定性(リチウムの挿入・脱離に伴う体積変化を吸収する作用)を付与する役目を果たすものであれば特に限定されない。例えば、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、気相法炭素繊維(例えば、「VGCF(登録商標)-H」昭和電工株式会社製)、導電性カーボンブラック(例えば、「デンカブラック(登録商標)」デンカ株式会社製、「SUPER C65」イメリス・グラファイト&カーボン社製、「SUPER C45」イメリス・グラファイト&カーボン社製、導電性黒鉛(例えば、「KS6L」イメリス・グラファイト&カーボン社製、「SFG6L」イメリス・グラファイト&カーボン社製)などが挙げられる。これらを複数種類用いてもよい。
前記導電助剤としては、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーまたは気相法炭素繊維を含むことが好ましく、これらの導電助剤の繊維長は、複合体粒子のDV50の1/2以上であることが好ましい。この長さであると、複合体粒子を含む負極活物質間にこれらの導電助剤が橋掛けし、サイクル特性を向上することができる。さらに、繊維径が15nm以下のシングルウォールタイプまたはマルチウォールタイプの導電助剤の方が、他の導電助剤よりも、同量の添加量で、より橋掛けの数が増えるので好ましい。また、より柔軟であるので電極密度を向上する観点からもより好ましい。
導電助剤の量は、負極材料100質量部に対して、好ましくは1~30質量部である。
電極塗工用のスラリーを調製する際の溶媒としては、特に制限はなく、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、イソプロパノール、テトラヒドロフラン(THF)、水などが挙げられる。溶媒として水を使用するバインダーの場合は、増粘剤を併用することも好ましい。溶媒の量はスラリーが集電体に塗工しやすい粘度となるように調整することができる。
[6]リチウムイオン二次電池
本発明に係るリチウムイオン二次電池は、前記負極合剤層を含む。前記リチウムイオン二次電池は、通常は前記負極合剤層および集電体からなる負極と、正極合剤層および集電体からなる正極、その間に存在する非水系電解液および非水系ポリマー電解質の少なくとも一方、並びにセパレータ、そしてこれらを収容する電池ケースを含む。前記リチウムイオン二次電池は、前記負極合剤層を含んでいればよく、それ以外の構成としては、従来公知の構成を含め、特に制限なく採用することができる。
正極合剤層は通常、正極材、導電助剤、バインダーからなる。前記リチウムイオン二次電池における正極は、通常のリチウムイオン二次電池における一般的な構成を用いることができる。
正極活物質としては、電気化学的なリチウム挿入・脱離が可逆的に行えて、これらの反応が負極反応の標準酸化還元電位よりも十分に高い材料であれば特に制限されない。例えばLiCoO2、LiNiO2、LiMn24、LiCo1/3Mn1/3Ni1/32、LiCo0.6Mn0.2Ni0.22、LiCo0.8Mn0.1Ni0.12、炭素被覆されたLiFePO4、またはこれらの混合物を好適に用いることができる。
導電助剤、バインダー、スラリー調製用の溶媒としては、負極の項で挙げたものを用いられる。集電体としては、アルミニウム箔が好適に用いられる。
リチウムイオン電池に用いられる非水系電解液および非水系ポリマー電解質は、リチウムイオン二次電池の電解液として公知であるものが使用できる。例えば、LiClO4、LiPF6、LiAsF6、LiBF4、LiSO3CF3、CH3SO3Liなどのリチウム塩を、以下の溶媒やポリマーに溶解したものを使用する。溶媒としては、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、アセトニトリル、プロピオニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、γ-ブチロラクトンなどの非水系溶媒;ポリエチレンオキシド、ポリアクリルニトリル、ポリフッ化ビリニデン、およびポリメチルメタクリレートなどを含有するゲル状のポリマー;エチレンオキシド結合を有するポリマーなどが挙げられる。
また、前記非水系電解液には、リチウムイオン電池の電解液に一般的に用いられる添加剤を少量添加してもよい。該物質としては、例えば、ビニレンカーボネート(VC)、ビフェニール、プロパンスルトン(PS)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、エチレンサルトン(ES)などが挙げられる。好ましくはVCおよびFECが挙げられる。添加量としては、前記非水電解液100質量%に対して、0.01~20質量%が好ましい。
セパレータとしては、一般的なリチウムイオン二次電池において用いることのできる物
から、その組み合わせも含めて自由に選択することができ、ポリエチレンあるいはポリプ
ロピレン製の微多孔フィルム等が挙げられる。またこのようなセパレータに、SiO2
Al23などの粒子をフィラーとして混ぜたもの、表面に付着させたセパレータも用いる
ことができる。
電池ケースとしては、正極および負極、そしてセパレータおよび電解液を収容できるものであれば、特に制限されない。通常市販されている電池パックや18650型の円筒型セル、コイン型セル等、業界において規格化されているもののほか、アルミ包材でパックされた形態のもの等、自由に設計して用いることができる。
各電極は積層したうえでパックして用いることができる。また、単セルを直列につなぎ、バッテリーやモジュールとして用いることができる。
以下に実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
物性値の測定および電池評価は下記のように行った。
[1]物性値の測定
[1-1]X線光電子分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)
小型スパチュラを用いて、Si基板上に貼り付けた両面テープの粘着面にサンプルを乗せ、下地の両面テープが露出しない様に均一に広げ、測定面がある程度平坦になるように小型スパチュラを用いて軽く押さえつけた。サンプルを広げる範囲は測定範囲(約100μmφ)より広くした。これは、測定範囲内には複合体粒子のみが敷き詰められているようにするためであった。このサンプルについて、以下の方法で測定を行った。
[測定装置]
装置装置:PHI QuanteraII(アルバックファイ社製)
X線源:Alモノクロ(25W、15kV)
分析範囲:φ100μm
電子、イオン中和銃:ON
光電子検出角度:45度
Narrow scan
Pass Energy:55eV Step:0.2eV Dwell:20ms
Sweep time:O(25) C,Si(50)
[解析方法]
[エネルギー補正]
Narrowスペクトルについて、炭素の1sのピークが284.6eVになるように補正を行った。
[C、O、Si原子数比AC、AO、ASi
C、O、SiのNarrowスペクトルの面積比を原子数比として算出した。C、OとSiすべての原子数比AC、AO、ASiの合計は1.00とした。
[Si種状態比率BSiO2、BSiO、BSi
Siの2p Narrowスペクトルについて、以下の方法を用いてピークフィッテングを行い、Si種の状態比率BSiO2、BSiO、BSiを算出した。
(化学シフト)Si 0価=99eV、Si 2価=101eV、Si 4価=103eV
(ピークフィッテング方法)ピークフィッテング結果と測定結果の残差が最小になるように解析ソフトウェアで半値幅とピークトップを自動調整した。なお、ピークトップの調整は幅3成分ともに±0.5eVの幅で行った。解析ソフトウェアは上記測定装置付属のソフトウェアを用いた。
・バックグラウンドの差し引き方法:Shirley法
・関数:Gauss-Lorentz
Si 0価はいわゆる単体のSiを意味する。Si 2価はSiOを意味する。Si 4価はSiO2を意味する。Siの1価と3価は強度が小さいため、ピークフィッテングの精度が逆に低くなるので除外した。Si 2価には一般的には炭化ケイ素も含まれるが、C 1s Narrowスペクトルのピーク形状を見ると、炭化ケイ素に由来する282.5~283.0eVの化学シフトに関与するピーク形状の乱れ(ショルダーピークやテーリングなど)が観測されないので、炭化ケイ素の存在量は検出下限以下と考えられた。そのため、Si 2価のピークはSiOのみを意味していると考えられた。
[1-2]疎水性
20mLのガラス製のサンプル瓶(胴径×高さ:φ28mm×61mm)に室温と同じ温度の純水を約1cmの深さまで投入した。ここに、薬包紙上に0.05gの複合体粒子を測り取り、前記サンプル瓶に複合体粒子をゆっくり投入した。このとき複合体粒子の投入高さは水面から0.5~3.0cm以内とした。投入後サンプル瓶はそのまま静置し、複合体粒子の水への浸透挙動を観察した。目視で確認して、5分間静置しても複合体粒子がサンプル瓶の底まで到達しないときを疎水性とする。同一の条件で5分以内に粉体が水中に沈む場合を親水性のサンプルとした。
[1-3]真密度測定
サンプルを180℃で12時間真空乾燥した後、乾燥アルゴン雰囲気下のグローブボックス内にてサンプルを測定セルの4~6割になるように充填し、セルを100回以上タッピングした後サンプルの重量を測定した。その後試料を大気下に取り出し、以下の方法でヘリウムガスを用いた定容積膨張法による乾式密度測定を行い、真密度を算出した。
装置:Micromeritics製 AccuPyc(登録商標)II 1340 Gas Pycnometer
測定セル:アルミニウム製 深さ39.3mm、内径18mm
キャリアガス:ヘリウムガス
ガス圧:19.5psiG(134.4kPaG)
測定時パージ回数:200回
温度:25℃±1℃
[1-4]ラマンSiピーク、ISi/IG、ラマンR値(ID/IG
以下の条件で測定を行った。
顕微ラマン分光測定装置:株式会社堀場製 LabRAM(登録商標) HR Evolution
励起波長:532nm
露光時間:10秒
積算回数:2回
回折格子:300本/mm(600nm)
測定サンプル:小型スパチュラを用いて複合体粒子をガラスプレパラート上に乗せ、粉体が均一になるようにした。下記の測定範囲より広くした。
測定範囲:縦80μm×横100μm。測定範囲内には複合体粒子のみが敷き詰められていた。
ポイント数:縦送り17.8μm、横送り22.2μmで100ポイント測定を実施し、
それらを平均化したスペクトルを取得して、以下の解析を実施した。
ラマンスペクトルにおける450~495cm-1のSiピークを観察した。
このSiピークの強度をIsiとし、1580cm-1付近のピーク強度(IG)の比を(ISi/IG)とした。
1350cm-1付近のピーク強度(ID)と(IG)の比をR値(ID/IG)とした。
なお、ベースラインを補正した後の、ベースラインからピークトップの高さをピークの強度とした。
[1-5]粉末X線回折測定(粉末XRD)
サンプルをガラス製試料板(窓部縦×横:18mm×20mm、深さ:0.2mm)に充填し、以下の方法で測定を行った。
XRD装置:株式会社リガク製 SmartLab(登録商標)
X線源:Cu-Kα線
Kβ線除去方法:Niフィルター
X線出力:45kV、200mA
測定範囲:10.0~80.0°
スキャンスピード:10.0°/min
得られたXRDパターンに対し、解析ソフト(PDXL2、株式会社リガク製)を用い、バックグラウンド除去、Kα2成分の除去を行い、スムージングを行った後に、プロファイルフィッティングを行い、ピーク位置、強度と半値幅を求めた。
なお、Si(111)面は2θ=28°付近の回折ピークであり、SiC(111)面は2θ=35°付近の回折ピークである。
[1-6]粒度分布測定
サンプルを極小型スパチュラ1杯分と、非イオン性界面活性剤(SARAYA株式会社製 ヤシの実洗剤ハイパワー)32質量%の原液を100倍希釈した液2滴とを水15mLに添加し、3分間超音波分散させた。この分散液について以下の方法で測定を行った。
装置:セイシン企業社製レーザー回折式粒度分布測定器(LMS-2000e)
解析:体積基準累積粒度分布を算出し、50%粒子径DV50(μm)、90%粒子径DV90(μm)を求めた。
[1-7]シリコン含有率
以下の条件でサンプルのシリコン含有率の測定を行った。
蛍光X線装置:株式会社リガク製 NEX CG
管電圧:50kV
管電流:1.00mA
サンプルカップ:φ32 12mL CH1530
サンプル重量:2~3g
サンプル高さ:5~18mm
サンプルカップにサンプルを充填し、上記方法で測定を行い、ファンダメンタル・パラメーター(FP法)を用いて複合体粒子中のシリコン含有率を質量%の単位で算出した。
[1-8]酸素含有率
サンプル20mgをニッケルカプセルに秤量し、酸素・窒素分析装置EMGA(登録商標)-920(株式会社堀場製作所製)により複合体粒子中の酸素含有率を質量%の単位で算出した。キャリアガスはアルゴンを用いた。この複合体粒子中の酸素含有率を前記シリコン含有率で割ることで、複合体粒子中のシリコン含有率を100質量%としたときの酸素含有率を質量%の単位で得た。
酸素含有率の測定は複合体粒子の製造後2日以内に実施した。
[1-9]走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)、エネルギー分散型X線分析装置(Energy Dispersive x-ray Spectroscopy:EDS)
サンプルをカーボンテープ上に担持し、粒子の観察の場合はそのまま観察を実施した。断面の観察の場合は、日本電子株式会社製クロスセクションポリッシャ(登録商標)を用いて断面加工したものを観察した。以下の方法で観察・測定を行った。
SEM:走査型電子顕微鏡装置:Regulus(登録商標)8220(株式会社日立ハイテク製)
EDS:XFlash(登録商標)5060FlatQUAD(ブルカー株式会社製)
加速電圧:1~20kV
観察倍率:500~5000倍(粒子の大きさに合わせて適宜選択)
[1-10]BET比表面積・細孔容積(窒素吸着試験)
測定装置としてカンタクローム(Quantachrome)社製NOVA(登録商標) 4200eを用い、サンプルセル(9mm×135mm)にサンプルの合計表面積が2~60m2となるようにサンプルを入れ、300℃、真空条件下で1時間乾燥後、サンプル重量を測定し、測定を行った。測定用のガスには窒素を用いた。
測定時の設定最低相対圧は0.005であり、設定最高相対圧は0.995とした。多孔質炭素材のBET比表面積は、相対圧0.005近傍から0.08未満の吸着等温線データからBET多点法にて算出した。複合体粒子のBET比表面積は、相対圧0.1近傍、0.2近傍と0.3近傍の3点の吸着等温線データからBET多点法にて算出した。全細孔容積V0.99は、相対圧0.99前後2点の吸着等温線データから、直線近似で相対圧0.99での吸着量を算出して求めた。相対圧が0.01のときの細孔容積をV0.01は、相対圧0.01前後2点の吸着等温線データから、直線近似で相対圧0.01での吸着量を算出して求めた。
このとき、窒素液体の密度を0.808(g/cm3)、窒素の標準状態の1モルの体積を22.4133L、窒素の原子量を14.0067として計算した。
[1-11]ポリマー成分含有率の測定
以下の方法で測定を行った。
TG-DTA用装置 :NETZSCH JAPAN製 TG-DTA2000SE
サンプル重量 :10~20mg
サンプル用パン:アルミナ製
リファレンス用パン:アルミナ製
ガス雰囲気:Ar
ガス流量:100mL/min
昇温測度:10℃/min
測定温度範囲:室温~1000℃
200℃から350℃の熱分解による減量をポリマー成分の量として、ポリマー成分含有率を算出した。
[2]サンプル水分散液による複合体粒子の耐酸化性の測定
20mLのガラス製サンプル瓶に撹拌子と純水2gを仕込んだ。ここにサンプルを0.05g投入し、シリコーンゴム製のセプタムで蓋をした。室温下(20~26℃)でマグネティックスターラーにて撹拌しながら、サンプル瓶内の気相の水素ガス濃度を測定した。
水素は、複合体粒子中のシリコンが水により酸化されて発生する。したがって、気相の水素ガス濃度が高い場合は複合体粒子が酸化されやすいことを意味し、水素ガス濃度が低い場合は複合体粒子が酸化され難いことを意味する。
水素ガス濃度の測定はリアルタイム質量分析計を用いた。水素ガス濃度は窒素ガス濃度で感度補正した。また、サンプルを投入しない状態でも同様な測定を実施し、そのときに算出されている水素ガス濃度を0体積%として補正した。
サンプル瓶内部のガスのサンプリングはセプタムを貫通したキャピラリーを用いてリアルタイム質量分析計にて行った。サンプル瓶内部の気圧を一定にするため、セプタムにはリアルタイム質量分析計のキャピラリーのほかに注射針を刺して、室内の空気を導入できるようにした。
水素ガス発生濃度の比較は、測定開始後50分から60分にかけての平均水素ガス濃度を用いて行った。測定開始直後はサンプル瓶内のほぼ空気を測定していることになるため、測定開始から時間をおいた値を用いた。なお、リアルタイム質量分析計のサンプリング流量は1sccmであった。また、サンプルの水分散液をリアルタイム質量分析計が吸い込まないように、液面にキャピラリーが接触しないようにサンプル瓶を設置した。
リアルタイム質量分析計:ファイファー・バキューム(PFEIFER VACUUM)社製、OMNISTAR(登録商標) GSD350
[3]電池評価
[3-1]負極シートの作製
バインダーとしてスチレンブタジエンゴム(SBR)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)を用いた。
具体的には、固形分40質量%のSBRを分散したSBR水分散液、およびCMC粉末を溶解した2質量%のCMC水溶液を得た。
混合導電助剤として、カーボンブラック(SUPER C 45(登録商標)、イメリス・グラファイト&カーボン社製)およびシングルウォールタイプのカーボンナノチューブ(TUBALL(登録商標)WPB-030、OCSiAl社製)を5:1の質量比で混合したものを調製した。
負極活物質総量におけるシリコン濃度が5.9質量%となるように、複合体粒子と黒鉛粒子を混合し、負極活物質を得た。負極活物質96.4質量部、混合導電助剤0.6質量部、CMC固形分1.5質量部分のCMC水溶液、SBR固形分1.5質量部分のSBR水分散液、を混合し、これに粘度調整のための水を適量加え、自転・公転ミキサー(株式会社シンキー製)にて混練し、負極合剤層形成用スラリーを得た。スラリー濃度は45~55質量%であった。
黒鉛粒子として、BET=2.7m2/g、DV10=7μm、DV50=14μm、DV90=27μm、タップ密度=0.98g/cm3、初回放電比容量360mAh/g、初回クーロン効率92%の人造黒鉛を使用した。
前記負極合剤層形成用スラリーを、集電箔である厚さ20μmの銅箔上にギャップ150μmのドクターブレードを用いて均一に塗布し、ホットプレートにて乾燥後、70℃で12時間真空乾燥させて、集電箔上に負極合剤層を形成した。これを負極シート(負極合剤層と集電箔からなるシート)と呼ぶ。
前記負極シートから16mmφに打ち抜き、一軸プレス機により加圧成形し、負極合剤層密度を1.6g/cm3となるように調整して負極を得た。
負極の電極密度(負極密度)は以下の様に計算した。前述の方法で得られた負極の質量と厚さを測定し、そこから別途測定しておいた16mmφに打ち抜いた集電体箔の質量と厚さを差し引いて負極合剤層の質量と厚さを求め、その値から電極密度(負極密度)を計算した。
[3-2]コイン電池(リチウム対極セル)の作製
ポリプロピレン製の絶縁ガスケット(内径約18mm)内において、前述した負極と17.5mmφに打ち抜いた厚さ1.7mmの金属リチウム箔で電解液を含浸させたセパレータ(ポリプロピレン製マイクロポーラスフィルム)を挟み込んで積層した。この際、負極の負極合剤層の面はセパレータを挟んで金属リチウム箔と対向するように積層した。これを2320コイン型セルに設置し、カシメ機で封止して試験用セル(リチウム対極セル)とした。
リチウム対極セルにおける電解液は、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、およびジエチルカーボネートが体積比で3:5:2の割合で混合した溶媒100質量部に、ビニレンカーボネート(VC)を1質量部混合し、さらにこれに電解質六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1mol/Lの濃度になるように溶解させて得られた液を用いた。
[3-3]初回充電比容量、初回放電比容量
リチウム対極セルを用いて試験を行った。OCV(Open Circuit Voltage)から0.005Vまで、0.1C相当の電流値で定電流(コンスタントカレント:CC)充電を行った。0.005Vに到達した時点で定電圧(コンスタントボルテージ:CV)充電に切り替えた。カットオフ条件は、電流値が0.005C相当まで減衰した時点とした。このときの比容量を初回充電比容量とする。次に、上限電圧1.5Vとして0.1C相当の電流値で定電流放電を行った。このときの比容量を初回放電比容量とする。
試験は25℃に設定した恒温槽内で行った。この際、「比容量」とは容量を負極活物質の質量で除した値である。また、本試験において「1C相当の電流値」とは、負極に含まれる負極活物質のSiと炭素(黒鉛を含む)の質量、および理論比容量(それぞれ、4200mAh/gと372mAh/g)から見積もられる負極の容量を、1時間で放電し終えることのできる電流の大きさである。
[3-4]初回クーロン効率
初回放電比容量を初回充電比容量で割った値を百分率で表した数値、(初回放電比容量)/(初回充電比容量)×100を初回クーロン効率(%)とした。
[3-5]シリコン利用率
複合体粒子中のシリコンの比容量を初回放電比容量と負極活物質の組成から計算し、その値をシリコン理論比容量(4200mAh/g)で除した値を百分率で表した数値を、シリコン利用率(%)とした。この値が100%に近いほど、複合体粒子中のシリコンの容量をより有効に使用できていると考えられる。
複合体粒子中のシリコンの比容量の計算は、負極活物質中のシリコン濃度(すなわち、シリコンの割合(質量%))および炭素濃度(すなわち、炭素の割合(質量%))(黒鉛と複合体粒子に含まれる炭素の割合(質量%))、炭素の理論比容量(372mAh/g)および初回放電比容量から以下の式を用いて行った。
複合体粒子中のシリコンの比容量=(初回放電比容量-(炭素濃度/100)×炭素の理論比容量)/(シリコン濃度/100)
なお、上記式の炭素濃度とシリコン濃度は、負極活物質組成と複合体粒子の組成から算出した。また、複合体粒子中の炭素材料における炭素含有率は100質量%とした。
[実施例1、2、4、5、7~11]
表1に記載の物性を有する多孔質炭素を管状炉内部に仕込み、管状炉内をアルゴンで置換した後に、管状炉内に表1に記載の工程(A)の条件に従いシリコン含有ガスを流し、反応を行った。
次に、管状炉内を、アルゴンで置換した後に、減圧し、表1に記載の工程(B)で使用するガス(炭化水素のガスおよび希釈ガス)を300sccm流して大気圧(760torr)にした。その後、表1に記載の工程(B)の条件に従い反応を行った。
続いて、管状炉内をアルゴンで置換した後に、管状炉内に表1に記載の工程(C)の条件に従ってガスを流し(工程C-1およびC-3)または充填し(工程C-4)、反応を行い、複合体粒子を得た。工程(C)は工程C-1、工程C-2、工程C-3、工程C-4の順序で実施した。実施していない工程は表1に「―」を記入してある。得られた複合体粒子の構造・物性値を表2に示す。評価結果を表3に示す。
[実施例3]
表1に記載の物性を有する多孔質炭素を管状炉内部に仕込み、管状炉内をアルゴンで置換した後に、管状炉内に表1に記載の工程(A)の条件に従いシリコン含有ガスを流し、反応を行った。
次に、管状炉内をアルゴンで置換した後に、管状炉内に表1に記載の工程(B)の条件に従いガス(炭化水素のガスおよび希釈ガス)を流し、反応を行った。
続いて、管状炉内をアルゴンで置換した後に、管状炉内に表1に記載の工程(C)の条件に従いガスを流し(工程C-1およびC-3)または充填し(工程C-4)、反応を行い、複合体粒子を得た。工程(C)は工程C-1、工程C-2、工程C-3、工程C-4の順序で実施した。実施していない工程は表1に「―」を記入してある。得られた複合体粒子の構造・物性値を表2に示す。評価結果を表3に示す。
[実施例6]
[無機粒子分散液の製造]
無機粒子として、平均粒子径DV50が3μmの鱗片状黒鉛(KS-6、Timcal製)およびアセチレンブラック(HS100、デンカ株式会社製)を準備した。水800gに対して、鱗片状黒鉛156g、アセチレンブラック40g、カルボキシメチルセルロース4g入れ、ビーズミルで分散および混合し、無機粒子分散液(固形分20質量%)を得た。
[ポリマーコート複合体粒子の製造]
実施例1で得た複合体粒子7g、水1.98g、2.5質量%のタマリンシードガム水溶液3.84g、2.5質量%のソルビトール水溶液0.43g、無機粒子分散液1.60gを用意した。
容量内容量105mLのポリエチレン製の蓋つきボトルに水と前述したタマリンシードガム水溶液を投入し、自転公転ミキサー(株式会社シンキー製)にて1000rpmで2分間混合した。複合体粒子を追加し、1000rpmで2分間混合した。前述した無機粒子分散液を加え、1000rpmで2分間混合した。前述したソルビトール水溶液を加え1000rpmで2分間混合した。得られたスラリーをSUS製のトレイに広げ、熱風乾燥機にて150℃で5時間乾燥した。乾燥後の固形物を回収し、メノウ製乳鉢にて凝集粒を解砕した。得られた複合体粒子をSEM観察したところ、コア粒子の表面に、鱗片状黒鉛とアセチレンブラックが存在しており、鱗片状黒鉛が突起構造をなしていることを確認した。ポリマー成分の含有率は1.5質量%だった。
ポリマーコート複合体粒子の評価結果を表3に示す。ポリマーコートを行った複合体粒子では、サンプル水分散液容器中の気相の水素濃度が実施例1よりも低く、実施例1の複合体粒子に比べて、耐酸化耐性が向上したことが分かる。ポリマーコートにより複合体粒子の酸素含有率が若干上がるため、初回クーロン効率がわずかに低下するが、耐酸化性が向上する効果がある。
[比較例1、4]
表1に記載の物性を有する多孔質炭素を管状炉内部に仕込み、管状炉内をアルゴンで置換した後に、管状炉内に表1に記載の工程(A)の条件に従いシリコン含有ガスを流し、反応を行った。
次に、管状炉内をアルゴンで置換した後、工程(B)を実施せずに、表1に記載の工程(C)の条件に従ってガスを流し(工程C-1およびC-3)または充填し(工程C-4)、反応を行い、複合体粒子を得た。工程(C)は工程C-1、工程C-2、工程C-3、工程C-4の順序で実施した。実施していない工程は「―」を記入してある。複合体粒子の構造・物性値を表2に示す。評価結果を表3に示す。
[比較例2]
表1に記載の物性を有する多孔質炭素を管状炉内部に仕込み、管状炉内をアルゴンで置換した後に、管状炉内に表1に記載の工程(A)の条件に従いシリコン含有ガスを流し、反応を行った。
次に、管状炉内をアルゴンで置換した後に、減圧し、表1に記載の工程(B)で使用するガス(炭化水素のガスおよび希釈ガス)を300sccm流して大気圧(760torr)にした。その後、表1に記載の工程(B)の条件に従い反応を行った。
続いて、管状炉内をアルゴンで置換した後、管状炉内に表1に記載の工程(C)の条件に従ってガスを流し(工程C-1およびC-3)または充填し(工程C-4)、反応を行い、複合体粒子を得た。工程(C)は工程C-1、工程C-2、工程C-3、工程C-4の順序で実施した。実施していない工程は「―」を記入してある。複合体粒子の構造・物性値を表2に示す。評価結果を表3に示す。
[比較例3]
表1に記載の物性を有する多孔質炭素を管状炉内部に仕込み、管状炉内をアルゴンで置換した後に、管状炉内に表1に記載の工程(A)の条件に従いシリコン含有ガスを流し、反応を行った。
次に、管状炉内をアルゴンで置換した後、管状炉内に表1に記載の工程(B)の条件に従いガス(炭化水素のガスおよび希釈ガス)を流し、反応を行った。
続いて、生成物を室温まで冷却し、複合体粒子を得た。複合体粒子の構造・物性値を表2に示す。断面SEM観察により表面炭素被覆が確認でき、その平均厚さは21nmであった。評価結果を表3に示す。
Figure 0007236613000001
Figure 0007236613000002
Figure 0007236613000003
Figure 0007236613000004
Figure 0007236613000005
Figure 0007236613000006
Figure 0007236613000007
ここでは、各サンプルを水に浸漬した際の平均水素ガス濃度を測定するとともに、水に浸漬していない複合体粒子およびポリマーコート複合体粒子の電池特性を評価した。
また、『発明が解決しようとする課題』の冒頭に述べたように、酸化されたSi/C粒子では不可逆容量が大きくなり、初回クーロン効率が低くなることは自明であるため、そのことを改めて示すための実験は行わなかった。
実施例1~5、7~11の複合体粒子および実施例6のポリマーコート複合体粒子では、比較例1、2、4の生成物に比べて、サンプル水分散液容器中の気相の水素濃度は低く、耐酸化性が高い。
実施例5は工程(C)に熱処理工程を含んでいる(工程C-2)。そのためサンプル水分散液容器中の気相の水素濃度は工程C-2を含まない実施例4より低くなっている。AC/(AC+ASi×(BSiO2+BSiO))の値は実施例5の方が実施例4より小さいので、実施例5ではコート層中の酸素含有率が多いと考えられる。比較例1、2、4は前記水素濃度が高く、耐酸化性が低い。これはコート層がないか不十分であるためである。
実施例における複合体粒子およびポリマーコート複合体粒子は、水分散時の酸化を抑制できていることから、空気中保管時の耐酸化性もあると考えられる。
また、電池特性については、実施例1~5、7~11の複合体粒子および実施例6のポリマーコート複合体粒子は、比較例2、3での生成物に比べて、シリコン利用率が高く、複合体粒子中のシリコンを有効に使用できる。比較例2、3は工程(B)での反応温度が高く炭化ケイ素が生成したため、充放電することができるシリコンが減ったことで、シリコン利用率が低くなったものと考えられる。
本発明の複合体粒子は、たとえば、リチウムイオン二次電池などの負極合剤層を構成する負極活物質として好適に使用できる。本発明のリチウムイオン二次電池は、スマートフォンおよびタブレットPCなどのIT機器、掃除機、電動工具、電気自転車、ドローン、自動車等、高容量および高出力が求められる用途に好適に使用できる。

Claims (14)

  1. 炭素材料とシリコンを含む粒子、および前記粒子の表面に、炭素と酸素を含むコート層を有する複合体粒子であって、
    ヘリウムガスを用いた乾式密度測定による真密度が1.80g/cm3以上1.99g/cm3以下であり、
    前記複合体粒子のラマンスペクトルにおいて、
    ピークが450~495cm-1に存在し、
    前記ピークの強度をISiとし、Gバンドの強度(1580cm-1付近のピーク強度)をIGとすると、ISi/IGが1.3以下であり、
    前記複合体粒子のX線光電子分光法のSi、OおよびCのNarrowスペクトルによる原子数比率をそれぞれ、ASi、AO、およびACとし、Si2pスペクトル状態分析によるSi種比率のうち、SiO2とSiOの比率をそれぞれBSiO2、BSiOとすると、
    Siが0.05以上であり、
    下記式(1)および(2)の少なくとも一方が満たされる、
    複合体粒子。
    Y≧0.75 …(1)
    Y≧-0.32X+0.81 …(2)
    〔式(1)および(2)において、X=ISi/IGであり、Y=AC/(AC+ASi×(BSiO2+BSiO))である。〕
  2. 前記ISi/IGが0.64以下であり、前記式(1)が満たされる、請求項1に記載の複合体粒子。
  3. 前記炭素材料が多孔質炭素であり、シリコンが前記多孔質炭素の細孔内の少なくとも一部に含まれている、請求項1に記載の複合体粒子。
  4. Cu-Kα線を用いた粉末XRDによるXRDパターンにおいて、Si(111)面のピークの半値幅が3.0°以上であり、(SiC(111)面のピーク強度)/(Si(111)面のピーク強度)が0.01以下であり、ラマンスペクトルによるR値が0.26以上、1.34未満である、請求項1に記載の複合体粒子。
  5. 疎水性である、請求項1に記載の複合体粒子。
  6. 体積基準の累積粒度分布における50%粒子径DV50が1.0~30.0μmである、請求項1に記載の複合体粒子。
  7. シリコン含有率が30質量%以上80質量%以下であり、酸素含有率が4.0質量%以下である、請求項1に記載の複合体粒子。
  8. 多孔質炭素にシリコン含有ガスを接触させて、前記多孔質炭素の細孔内および表面にシリコンを堆積させ、Si/C粒子を得る工程(A)、
    不飽和結合を有する炭化水素を含むガスを、400℃以下で前記Si/C粒子に接触させる工程(B)、および
    工程(B)で得られた炭化水素を含む層を酸化する工程(C)
    を有する、複合体粒子の製造方法。
  9. 前記工程(A)と、前記工程(B)とを、連続して行う、請求項に記載の複合体粒子の製造方法。
  10. 請求項1に記載の複合体粒子を製造する、請求項に記載の複合体粒子の製造方法。
  11. 請求項1に記載の複合体粒子と、その表面の少なくとも一部に形成された、黒鉛およびカーボンブラックから選択される1種以上からなる無機粒子と、ポリマー成分とを含み、ポリマー成分の含有率が0.1~10.0質量%である無機粒子含有ポリマー成分コート層を有する、ポリマーコート複合体粒子。
  12. 請求項1に記載の複合体粒子または請求項11に記載のポリマーコート複合体粒子を含む、負極活物質。
  13. 請求項12に記載の負極活物質を含む、負極合剤層。
  14. 請求項13に記載の負極合剤層を含む、リチウムイオン二次電池。
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