JP7232726B2 - 監視システムおよび判定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ベントの状態を監視する監視システム等に関する。
橋梁等の架設や修理において、ベントと呼ばれる仮設備を用いたベント工法が従来から用いられている。ベント工法で橋梁を架設する場合には、まず橋梁の支柱と支柱との間に所定間隔でベントを立設する。次に、立設したベントを仮の支柱として、その上に架設桁(橋梁の架設の場合には橋桁)を順次載置する。そして、ベント上の架設桁を連結した後、ベントを解体する。これにより、連結された架設桁が支柱に支えられた状態となり、橋梁が完成する。
ベント工法には、他の架設工法と比べて少ない仮設備で架設でき、また、工期も比較的短く済むという利点がある。ただし、ベント工法では、架設桁の連結が完了するまでの期間は、架設桁の状態が比較的不安定であるため、架設桁が落下することのないように、十分な安全管理が必要である。
特開2017-161482号公報(2017年9月14日公開)
上述のように、ベント工法による施工を行う場合には十分な安全管理が必要であるが、ベント工法の安全管理に適したシステムは現時点で提供されていないという問題がある。例えば、上記特許文献1には、建築物を建設する際に基準点にセンサを設置し、基準点の位置座標の変化を観測することにより、建築物の健全度を診断するシステムが開示されている。
しかし、上記特許文献1のシステムのように、基準点の位置座標の変化を観測するだけでは、ベント工法の安全管理には十分とはいえない。ベントは仮設備であり、架橋桁の載置や連結などの作業時には、その傾きや沈下量が変化することが通常であるためである。加えて、ベントは、一般的な建築物と比較して長尺であり、基準点をベントの上部とした場合と、下部とした場合とでその位置の変動の仕方が大きく異なってしまう。このため、上記特許文献1のシステムでベントの健全度を診断した場合、ベントに異常がない場合にも不健全であるとの診断結果が出る可能性が高く、このような誤診断が工事の円滑な進行の妨げとなる可能性もある。
本発明の一態様は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ベントに異常が生じているか否かを従来と比べてより正確に判定することができる、ベントの監視システム等を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る監視システムは、架設桁を支持する仮設備であるベントの監視システムであって、上記ベントの上部に設置した上部センサと、上記ベントの下部に設置した下部センサと、上記上部センサの検出値と上記下部センサの検出値とに基づいて上記ベントに異常が生じているか否かを判定する判定装置と、を含む。
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る判定装置は、架設桁を支持する仮設備であるベントに異常が生じているか否かを判定する判定装置であって、上記ベントの上部に設置された上部センサの検出値と、上記ベントの下部に設置された下部センサの検出値とに基づいて、上記ベントに異常が生じているか否かを判定する。
本発明の一態様によれば、ベントに異常が生じているか否かを従来と比べてより正確に判定することができる。
本発明の実施形態1に係る監視システムの概要の説明図である。 上記監視システムに含まれる判定装置の要部構成の一例を示すブロック図である。 上記判定装置が実行する処理の例を説明する図である。 本発明の実施形態2に係る監視システムに含まれる判定装置が実行する処理の例を示すフローチャートである。 本発明の実施形態3に係る監視システムに含まれる判定装置が実行する処理の例を説明する図である。
〔実施形態1〕
(システム概要)
図1に基づいて本実施形態に係る監視システム300の概要を説明する。図1は、監視システム300の概要の説明図である。監視システム300は、架設桁(図示せず)を支持する仮設備であるベント500に異常が生じていないかを監視するシステムである。なお、図1において、Z方向が垂直方向であり、X方向およびY方向は水平方向であって、X、Y、Zの各方向は互いに直交する。また、図1におけるX方向は架橋桁の幅方向であり、Y方向は架橋桁の延伸方向である。
監視システム300は、ベント500の上部に設置した上部センサ2と、ベント500の下部に設置した下部センサ3とを含む。また、監視システム300は、上部センサ2の検出値と、下部センサ3の検出値とに基づいて、ベント500に異常が生じているか否かを判定する判定装置1を含む。
この構成によれば、上部センサ2の検出値と、下部センサ3の検出値とに基づいてベント500に異常が生じているか否かを判定するので、監視対象のベント500が長尺であっても、異常の有無を正確に判定することが可能になっている。また、ベント500に異常が生じているか否かを、上部センサ2と下部センサ3の検出値から即時に判定することができるため、異常が生じている場合には安全確保に必要な措置を早期に実施することが可能になる。
なお、ベント500の上部とは、立設した状態のベント500における高さ方向(鉛直方向)における中央位置よりも上方(ベント500の頂部側)である。同様に、ベント500の下部とは、上記中央位置よりも下方(ベント500の底部側)である。また、上記「異常」は、ベント500に関して何らかの注意喚起が必要な、ベント500が正常ではない状態を意味する。例えば、ベント500が傾く等の姿勢の異常や、ベント500の一部が破損や劣化している等の異常も上記「異常」の範疇に含まれる。
また、図1の監視システム300は、上記の構成に加えて、ベント500の沈下量を測定する沈下量測定器4と、ベント500に異常が発生したこと等を所定の報知先に報知する報知装置5と、ベント500を撮影するための撮影装置6とを含む。これらの構成については後述する。
(ベントの構成)
一般に、ベントは、複数のベント柱を水平材で固定した構造体を含む。図1のベント500は、4本×2列の計8本のベント柱501が、4組の水平材502A~502Dで固定された構造体を含む。なお、水平材502A~502Dを区別する必要がないときには、単に水平材502と記載する。水平材502は、強度の高い例えばH型鋼等で構成することが好ましい。また、補強のため、垂直方向(図1のZ方向)に隣接する水平材502間には、斜材503が設けられている。
上記の構造体は、上段基礎梁504と下段基礎梁505からなる基礎梁上に設けられている。図示の例では、Y方向に延在する4本の上段基礎梁504と、X方向に延在する2本の下段基礎梁505を井桁状に組み上げることによって、基礎梁が形成されている。また、上記の構造体の上部には、上段頂部梁506と下段頂部梁507からなる頂部梁が設けられている。図示の例では、Y方向に延在する4本の下段頂部梁507のY方向における中央部に、X方向に延在する1本の上段頂部梁506を接続することによって、頂部梁が形成されている。さらに、上段頂部梁506の上部には、架設桁(図示せず)の受け台であるサンドル508が設けられている。
ベント工法においては、ベント500を架設桁の延伸方向(Y方向)に複数並べて、その上に架設桁を架設する。そして、ベント500上で架設桁の高さ調節や隣接する架設桁の接続を行い、架設終了後にベント500を解体する。ベント工法は、橋梁の建設や修繕等に用いられる工法である。橋梁の建設や修繕の場合、上記架設桁は橋桁である。
なお、監視システム300が監視対象とするベント500は、架設桁を支持するものであればよく、図1に示す構成のものに限られない。また、図1ではベント500を一基のみ示しているが、監視システム300は複数のベント500の監視を行うことも可能である。この場合、各ベント500に上部センサ2および下部センサ3を配置する。また、必要に応じて、沈下量測定器4等も各ベント500に配置してもよい。
(上部センサと下部センサ)
上部センサ2は、主としてベント500の垂直方向の中心位置よりも上方の状態を検出するためのものである。上部センサ2は、ベント500の頂部付近に配置することが好ましい。図1の例では、上部センサ2を最上段の水平材502Aに取り付けている。上部センサ2は、風雨や直射日光を避けることができるように、水平材502Aの下面に配置することが好ましい。水平材502AをH型鋼とした場合、上方に位置するフランジの下面に上部センサ2を配置してもよい。また、水平材502Aには、図1のX方向に延在する部分と、Y方向に延在する部分があるが、架橋桁はY方向に動きやすいため、上部センサ2は、図1の例のように、X方向に延在する部分の端部付近に設けることが好ましい。また、上部センサ2に不要な振動が伝わりにくくするために、上部センサ2と水平材502Aとの間に緩衝材を配置してもよい。
下部センサ3は、主としてベント500の垂直方向の中心位置よりも下方の状態を検出するためのものである。下部センサ3は、ベント500の底部付近に配置することが好ましい。図1の例では、下部センサ3を最下段の水平材502Dに取り付けている。下部センサ3も上部センサ2と同様に、水平材502Dの下面、あるいはH型鋼である水平材502Dにおける上方に位置するフランジの下面に配置することが好ましい。また、下部センサ3は、図1の例のように、水平材502DのX方向に延在する部分の端部付近に設けることが好ましい。また、下部センサ3は、上部センサ2の真下に配置してもよい。また、下部センサ3と水平材502Dとの間に緩衝材を配置してもよい。
上部センサ2と下部センサ3のそれぞれには、1または複数のセンサが含まれている。上部センサ2と下部センサ3のそれぞれには、ベント500の傾きを検出する傾きセンサが含まれていることが好ましい。この場合、判定装置1は、上部センサ2に含まれる傾きセンサの検出値と、下部センサ3に含まれる傾きセンサの検出値とに基づいてベント500の姿勢に異常が生じているか否かを判定する。これにより、傾きセンサを1つのみ用いる場合と比べて、ベント500の姿勢の異常をより正確に判定することができる。
また、上部センサ2と下部センサ3のそれぞれには、重力加速度を検出する加速度センサが含まれていてもよい。本実施形態では、上部センサ2と下部センサ3のそれぞれに、図1のX方向に対する傾きとY方向に対する傾きとをそれぞれ検出する2軸の傾きセンサ(傾斜計)と、重力加速度、すなわちZ方向の加速度を検出する加速度センサが含まれている例を説明する。なお、検出精度等の観点から、これらのセンサは、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスとすることが好ましい。
ベント500が剛体であるとすれば、上部センサ2と下部センサ3に含まれる傾きセンサおよび加速度センサの検出値は同様の値になるはずである。しかしながら、本願発明者らの研究により、実際には、上部センサ2と下部センサ3に含まれる傾きセンサおよび加速度センサの検出値は、ベント500の状態に応じて異なった挙動を示すことが分かった。監視システム300は、このような知見に基づいて構成されたものである。
なお、上部センサ2と下部センサ3をどのようなセンサとするかは、ベント500のどの様な状態を検出するか等に応じて適宜変更することができる。例えば、上部センサ2と下部センサ3の少なくとも何れかに温度センサが含まれていてもよい。また、上部センサ2と下部センサ3に複数のセンサを含める(複数のセンサを1つのユニットとして構成する)代わりに、独立した複数のセンサをベント500の上部および下部にそれぞれ配置してもよい。
ベント500に異常が生じたときにその異常を速やかに検出できるように、上部センサ2と下部センサ3は、常時稼働させておくことが好ましい。また、上部センサ2と下部センサ3は、センシングデータのノイズを除去する機能を備えていてもよい。なお、ノイズ除去は、判定装置1が行う構成としてもよい。
また、上部センサ2と下部センサ3は、検出値を判定装置1に送信することができるように、通信機能を備えているか、または判定装置1と通信可能な通信装置と接続されている。通信態様は有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。沈下量測定器4、報知装置5、および撮影装置6も同様であり、これらの装置も通信機能を備えているか、または判定装置1と通信可能な通信装置と接続されている。
さらに、図1には示していないが、上部センサ2と下部センサ3は、上部センサ2と下部センサ3の動作に必要な電力を供給する電源に接続されている。電源は、無停電電源であることが好ましいが、商用電源、蓄電池、または発電機を電源としてもよい。また、無停電電源と上記のような各種電源の両方を用いてもよい。また、判定装置1を工事現場やその周囲に設置する場合には、判定装置1も上述のような電源に接続しておく。沈下量測定器4、報知装置5、および撮影装置6も同様である。
(沈下量測定器)
沈下量測定器4は、ベント500の沈下量、すなわち図1のZ方向への移動量を測定する装置である。図1に示す沈下量測定器4は、水平方向にレーザ光線を発するレーザ発光器41と、レーザ発光器41が発するレーザ光線を検出する受光器42とを含む。レーザ発光器41はレーザ光線の発光部が地面から所定の高さとなるように配置し、受光器42は、レーザ発光器41が発するレーザ光線を受光できるベント500上の位置に配置する。ベント500が沈下したときには、その沈下量分だけ受光器42におけるレーザ光線の受光位置がZ方向にずれるので、受光器42はそのずれ量を示す信号を生成し、沈下量を示す情報として出力する。
なお、沈下量測定器4による測定は、後述するように判定装置1の制御により行ってもよいし。手動で行ってもよい。手動で測定する場合、判定装置1には沈下量計測制御部110(図2に基づいて後述)を設ける必要はない。また、手動で測定する場合、受光器42をベント500に常設しておき、測定時にレーザ発光器41を設置してもよい。これにより、光学機器であるレーザ発光器41の汚損や盗難を防止することができる。
(報知装置)
報知装置5は、判定装置1がベント500に異常が生じていると判定したときに、その旨を所定の報知対象に報知する装置である。報知装置5は、その設置場所や、報知対象等に応じたものとすればよい。例えば、ベント500を使用している工事現場に報知装置5を配置する場合、工事現場にいる報知対象は作業中の作業員や現場監督者等となるから、報知装置5はサイレンやパトランプ等の音や光によって報知を行う装置とすればよい。これにより、500に異常が生じているときや、異常が生じているおそれがあるときに、作業員を退避させる、あるいは保全等の措置を速やかにとることが可能になり、作業現場の安全確保に寄与することができる。
また、工事現場から離れた例えば現場事務所等に報知装置5を配置する場合、表示装置を報知装置5としてもよい。この場合、上部センサ2と下部センサ3の検出値を常時、報知装置5に出力させてもよい。これにより、例えば現場代理人等に、ベント500の状態をモニタリングさせることができる。また、これにより、現場代理人等は、異常発生時には、速やかに交通規制などの二次災害防止策を講じることができる。
また、上部センサ2と下部センサ3の検出値や、異常の有無の判定結果は、インターネット等のネットワークを介してアクセス可能なサーバにアップロードしてもよい。この場合、各種端末装置を用いて上記サーバにアクセスすることにより、上部センサ2と下部センサ3の検出値や異常の有無の判定結果を確認することができる。なお、この場合、データのアップロードは判定装置1が行えばよく、各種端末装置が報知装置5として機能することになる。また、報知装置5は、判定装置1がベント500に異常が生じていると判定したときに、電子メール等によって、予め登録された登録者にその旨を報知してもよい。これらの構成によれば、遠隔地でも上部センサ2と下部センサ3の検出値や、異常の有無の判定結果を確認することができるので、作業現場に立ち入ることなく、異常が発生したベント500を特定して、対策を検討することができる。
また、異常が発生した場合には、異常の解消のための対策が行われるが、報知装置5が報知する上部センサ2と下部センサ3の検出値は、その対策の有効性の判断材料として利用することもできる。なお、危険度に応じて報知先や報知内容を変更あるいは追加してもよい。この場合、報知装置5を複数設けてもよい。例えば、異常が発生していないときには、ある報知装置5が上部センサ2と下部センサ3の検出値を表示し、その値を常時または所定時間毎に更新してもよい。そして、異常が発生したときには、他の報知装置5がその旨を現場代理人にメール等で通知する特徴とすると共に、さらに他の報知装置5が作業場所で作業員に退避を促す、といった構成としてもよい。
(撮影装置)
撮影装置6は、ベント500を撮影する装置である。撮影装置6は、判定装置1の制御に従って動作する。例えば、判定装置1は、ベント500に異常が生じていると判定したときに、撮影装置6にベント500を撮影させ、撮影された画像を取得することができる。撮影された画像を、ベント500を使用している工事現場から離れた場所で閲覧できるようにすることにより、工事現場から離れた場所でベント500の状態を確認させることも可能である。なお、撮影する画像は、静止画像であってもよいし、動画像であってもよい。
(判定装置)
判定装置1の構成を図2に基づいて説明する。図2は、判定装置1の要部構成の一例を示すブロック図である。判定装置1は、判定装置1の各部を統括して制御する制御部10、判定装置1が使用する各種データを記憶する記憶部11、および判定装置1が他の装置と通信するための通信部12を備えている。
通信部12は、上部センサ2と下部センサ3から検出値を取得する、報知装置5に報知動作を行わせる、および撮影装置6に撮影を行わせて撮影された画像を取得する等の処理に用いられる。通信部12は、有線通信を行うものであってもよいし、無線通信を行うものであってもよい。また、通信相手機器ごとに異なる通信部12を設けてもよい。例えば、判定装置1と報知装置5が近接して配置されている場合、上部センサ2および下部センサ3との通信用に無線通信が可能な通信部12を設け、報知装置5との通信用に有線通信が可能な通信部12を設けてもよい。
制御部10には、上部傾斜特定部101、上部加速度特定部102、下部傾斜特定部103、下部加速度特定部104、沈下量特定部105、異常判定部106、報知処理部107、データ記録部108、撮影制御部109、および沈下量計測制御部110が含まれている。
上部傾斜特定部101は、ベント500の上部における傾斜度を特定する。具体的には、上部傾斜特定部101は、上部センサ2に含まれる傾きセンサの検出値を、上部センサ2から取得することにより、ベント500の上部における傾斜度を特定する。そして、上部傾斜特定部101は、特定した傾斜度を示す情報を異常判定部106に出力する。上部傾斜特定部101は、傾きセンサの検出値をそのまま傾斜度を示す情報としてもよいし、傾きセンサの検出値からノイズを除去したものを、傾斜度を示す情報としてもよい。
また、上部傾斜特定部101は、傾きセンサの検出値を用いて傾斜度を算出してもよい。例えば、傾きセンサの検出値が、ベント500の水平材502の水平方向に対する傾き角度θを示す値である場合、上部傾斜特定部101は、a×tanθの値を傾斜度として算出してもよい。なお、aは定数(例えばa=100)である。
上部加速度特定部102は、ベント500の上部における加速度を特定する。具体的には、上部加速度特定部102は、上部センサ2に含まれる加速度センサの検出値を、上部センサ2から取得することにより、ベント500の上部における加速度を特定する。そして、上部加速度特定部102は、特定した加速度を示す情報を異常判定部106に出力する。上部加速度特定部102は、加速度センサの検出値をそのまま加速度を示す情報としてもよいし、加速度センサの検出値からノイズを除去したものを、加速度を示す情報としてもよい。
下部傾斜特定部103と下部加速度特定部104は、検出値の取得先が下部センサ3である点を除けば上部傾斜特定部101および上部加速度特定部102と同様である。なお、上部傾斜特定部101および下部傾斜特定部103は、傾きセンサの検出値の初期時(ベント500への設置時)からの変化量を、ベント500の傾斜度と特定してもよい。同様に、上部加速度特定部102および下部加速度特定部104は、加速度センサの検出値の初期時からの変化量を、ベント500の加速度と特定してもよい。
沈下量特定部105は、ベント500の沈下量を特定する。具体的には、沈下量特定部105は、沈下量測定器4からその検出値を取得することにより、ベント500の沈下量を特定する。沈下量特定部105は、特定した沈下量を示す情報を異常判定部106に出力する。沈下量特定部105は、沈下量測定器4の検出値をそのまま沈下量を示す情報としてもよいし、沈下量測定器4の検出値からノイズを除去したものを、沈下量を示す情報としてもよい。
異常判定部106は、上部センサ2の検出値と、下部センサ3の検出値とに基づいてベント500に異常が生じているか否かを判定する。具体的には、異常判定部106は、上部傾斜特定部101および上部加速度特定部102の特定結果の少なくとも一方と、下部傾斜特定部103および下部加速度特定部104の特定結果の少なくとも一方に基づいて上記判定を行う。
ここで、ベント工法では、架設桁をベント500に載置する際や、ベント500上の架設桁を連結あるいは位置合わせする際には、ベント500に短期的に大きい傾きが生じたり、ベント500に短期的な強い加速度が生じたりすることがある。このような場合、上部センサ2に含まれる傾きセンサや加速度センサは、過大な検出値(変化量)を示す。詳細は図3に基づいて後述するが、本実施形態の異常判定部106は、このような場合には、下部センサ3の検出値(変化量)から、上部センサ2の検出値が異常値であるとみなして、ベント500に異常は生じていないと判定する。
報知処理部107は、異常判定部106がベント500に異常が生じていると判定したときに、その旨を所定の報知先に報知する。具体的には、報知処理部107は、報知装置5に指示して報知を行わせる。また、報知処理部107は、上部センサ2と下部センサ3の検出値や、撮影装置6が撮影した画像等についても報知の対象としてもよい。また、上述のように、報知装置5や報知先は複数存在してもよく、この場合、報知処理部107は、状況に応じて報知先や報知内容を変更してもよい。
例えば、報知処理部107は、ベント500に異常が生じていないときには、所定のサーバに上部センサ2と下部センサ3の検出値をアップロードして、それらの検出値を各種端末装置(報知装置5)からウェブ経由で閲覧できるようにしてもよい。そして、報知処理部107は、ベント500に異常が生じたときには、工事現場の報知装置5を動作させて現場の作業員に退避を促してもよい。
データ記録部108は、上部センサ2と下部センサ3の検出値を記録する。また、データ記録部108は、異常判定部106がベント500に異常が生じていると判定した場合には、その旨および判定時刻等についても記録してもよい。
撮影制御部109は、撮影装置6を制御してベント500の画像を撮影させる。具体的には、撮影制御部109は、異常判定部106がベント500に異常が生じていると判定したときに、撮影装置6にベント500を撮影させる。撮影された画像は、判定装置1に送信させて、報知処理部107が報知する情報の一部としてもよいし、送信等は行わせず、撮影装置6に記憶させておいてもよい。
沈下量計測制御部110は、沈下量測定器4を制御してベント500の沈下量を測定させる。具体的には、沈下量計測制御部110は、上部センサ2の検出値と下部センサ3の検出値が、所定の条件を充足する場合に沈下量を測定させる。例えば、上部センサ2の検出値と下部センサ3の検出値が何れも所定の閾値以上であれば、異常判定部106が異常発生と判定する場合、沈下量計測制御部110は、異常判定部106が異常発生と判定したときに、ベント500の沈下量を測定させてもよい。この他にも、沈下量計測制御部110は、例えば、上部センサ2と下部センサ3の検出値の変化量が所定の閾値(異常判定の閾値よりも小さい値の閾値)以上となったとき等にもベント500の沈下量を測定させてもよい。これにより、ベント500に異常が生じたとき、あるいは生じている可能性があるときに、ベント500の沈下量を測定し、その測定結果を異常の原因の究明等の一助とすることができる。なお、沈下量の測定結果は、判定装置1に送信させて、報知処理部107が報知する情報の一部としてもよいし、送信等は行わせず、沈下量測定器4に記憶させておいてもよい。
(処理の流れ)
判定装置1が実行する処理の流れを図3に基づいて説明する。図3は、判定装置1が実行する処理の例を説明する図である。図3のフローチャート1301のS1では、上部センサ2の検出値が取得される。具体的には、上部傾斜特定部101が上部センサ2に含まれる傾きセンサの検出値を取得する。
S2では、下部センサ3の検出値が取得される。具体的には、下部傾斜特定部103が下部センサ3に含まれる傾きセンサの検出値を取得する。なお、S1よりも先にS2の処理を行ってもよいし、S1とS2の処理を並行して行ってもよい。また、S1およびS2の処理の際に、必要に応じてノイズ除去処理を行ってもよい。
S3では、異常判定部106が、S1とS2で取得された検出値に異常値が含まれているか否かを判定する。正常値と異常値とを区分する閾値は、センサごとに予め定めておけばよい。S3において異常判定部106が異常値ありと判定した場合(S3でYES)にはS4の処理に進み、異常値なしと判定した場合(S3でNO)にはS1の処理に戻る。
S4では、異常判定部106は、S3において上部センサ2の検出値のみに異常値が検出されたか否かを判定する。S4において異常判定部106が異常値は上部センサ2の検出値のみであったと判定した場合(S4でYES)にはS1の処理に戻り、異常値は上部センサ2の検出値のみではないと判定した場合(S4でNO)にはS5の処理に進む。
S5では、報知処理部107が、報知装置5に指示して、ベント500に異常が発生している旨を報知させる。これにより、フローチャート1301の処理は終了する。なお、S5において、撮影制御部109は、撮影装置6にベント500の画像を撮影させてもよい。また、データ記録部108は、異常発生と判定されたことを判定時刻と共に記憶部11に記録してもよい。さらに、沈下量計測制御部110は、沈下量測定器4に沈下量を計測させてもよい。
なお、沈下量計測制御部110は、S4でYESと判定されたときに沈下量の計測を行わせてもよい。そして、沈下量が閾値以上であった場合には、異常判定部106は、異常が発生していると判定してもよい。言い換えれば、S4でYESと判定されたときに、異常の有無の判定条件に、沈下量が閾値以上であるという条件を追加してもよい。これにより、異常の見逃しを防ぐことができる。
上述のように、図3のフローチャート1301では、上部センサ2の検出値が、ベント500の異常の有無を判定するための閾値を超えた場合であっても、下部センサ3の検出値が閾値を超えていない場合には、ベント500に異常が生じていないと判定する。以下説明するように、この構成によれば、異常の有無を正しく判定することができる。
ベント工法では、架設桁のベント500への載置時等には、ベント500に短期的に大きい傾きや加速度が生じたりすることがあるが、このような傾きや加速度の変化は、特にベント500の上部で大きく、ベント500の下部では小さい。そして、このような傾きや加速度の変化は、載置や連結が終了すると解消されるため、危険なものではない。上記の構成によれば、施工に伴って上部センサ2の値が大きくなったり、計測レンジを超えたりした場合であっても、異常が生じていないと正しく判定することができる。
例えば、図3には、ベント500上に架設桁を載置したときの上部センサ2の検出値の時系列変化を示すグラフ1302と、下部センサ3の検出値の時系列変化を示すグラフ1303を示している。なお、これらのグラフに示される検出値は、何れも傾きセンサの検出値であり、ベント500の傾斜度を示している。
グラフ1302に示すように、上部センサ2の検出値(傾きセンサの検出値)は、X方向およびY方向の何れにおいても計測レンジを超える程の大きい値となった。このような大きい値は、当然、異常の有無を判定するための閾値を超える異常値である。ベント500と架設桁が接触するタイミング等には、上部センサ2において、このように大きい傾きが検出される。
一方、グラフ1303に示すように、下部センサ3の検出値(傾きセンサの検出値)は、上部センサ2の検出値が大きく変動したタイミングで変動しているものの、X方向およびY方向の何れにおいても、異常値は検出されなかった。特に、X方向についてはほとんど変動がなかった。このように、ベント500と架設桁が接触してベント500の上部が大きく傾いたときにも、下部センサ3では大きい傾きは検出されなかった。
よって、フローチャート1301の処理によれば、グラフ1302および1303に示されるような場合に、ベント500に異常が生じていないと正しく判定することができる。なお、グラフ1302および1303には、傾きセンサの検出値の時系列変化を示したが、ベント500と架設桁が接触する等の衝撃発生時には、加速度センサの検出値も、上部センサ2において過大な値となる一方、下部センサ3では大きな変動はなかった。このため、加速度センサの検出値を用いた場合も上記と同様の処理が適用できる。この場合、S1とS2では、加速度センサの検出値を取得する。
また、フローチャート1301において、S1とS2で取得された検出値は、記憶部11に記憶してもよい。また、これらの検出値を表示装置に表示させてもよい。これにより、検出値の値をユーザにモニタリングさせることができる。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。これは実施形態3以降も同様である。
本実施形態では、判定装置1が、上部センサ2に含まれる傾きセンサの検出値と、下部センサ3に含まれる傾きセンサの検出値との差が所定値以上である状態が所定時間以上継続している場合に、ベント500の姿勢に異常が生じていると判定する例を説明する。
ベント500は、強い外力や老朽化等の要因で曲がることがある。ベント500が曲がってしまった場合、ベント500の上部と下部で傾きが異なった状態となるため、センサを一か所のみに設けた場合には、ベント500が曲がった状態を検出できない可能性がある。これに対し、本実施形態の判定装置1によれば、このような危険な状態となっていることを自動で判定することができる。
(処理の流れ)
本実施形態の判定装置1が実行する処理の流れを図4に基づいて説明する。図4は、判定装置1が実行する処理の例を説明する図である。なお、S11およびS12の処理は、図3のS1およびS2の処理と同様であるから説明は繰り返さない。ただし、S11とS12では、加速度センサの検出値は取得してもよいし、取得しなくてもよい。
S13では、異常判定部106が、S11とS12で取得された検出値から、ベント500の上部と下部の傾きの差が所定値以上であるか否かを判定する。所定値は予め定めておけばよい。S13において異常判定部106が所定値以上であると判定した場合(S13でYES)にはS14の処理に進み、所定値未満であると判定した場合(S13でNO)にはS11の処理に戻る。
S14では、異常判定部106は、ベント500の上部と下部の傾きの差が所定値以上である状態が所定時間以上継続しているか否かを判定する。S14において異常判定部106が継続していると判定した場合(S14でYES)にはS15の処理に進み、継続していないと判定した場合(S14でNO)にはS11の処理に戻る。
S15では、図3のS5と同様に、報知処理部107が、報知装置5に指示して、ベント500に異常が発生している旨を報知させ、これにより図4の処理は終了する。なお、報知処理部107は、ベント500が曲がっている可能性がある旨を音声や表示などによって報知させてもよい。これにより、ベント500が曲がっている可能性があることを報知先に認識させて、適切な対応策を講じる一助とすることができる。
〔実施形態3〕
本実施形態では、判定装置1が、上部センサ2と上記下部センサ3の検出値が所定のパターンに該当すると判定した場合には、ベント500の姿勢に異常は生じていないと判定する例を説明する。なお、上記所定のパターンとは、架設桁が温度変化によって伸長または収縮したときに特有の、上部センサ2と下部センサ3の検出値の変動のパターンである。
架設桁は、その材質にもよるが日射等により加熱されると伸長することがあり、架設桁が伸長した場合、それを支持するベント500に傾きが生じることがある。同様に、架設桁の温度が低下することにより収縮し、ベント500に傾きが生じることもある。このような傾きは架設桁の温度が戻ると解消される場合があり、架設桁の温度が戻ると解消されるような架橋桁の伸縮によるベント500の傾きは危険なものではない。本実施形態の構成によれば、架橋桁の伸縮に伴ってベント500が傾いた場合には、異常が生じていないことを正しく判定することができる。
(処理の流れ)
本実施形態の判定装置1が実行する処理の流れを図5に基づいて説明する。図5は、判定装置1が実行する処理の例を説明する図である。なお、図5のフローチャート1501におけるS21、S22、およびS25の処理は、図3のS1、S2、およびS5の処理と同様であるから説明は繰り返さない。
S23では、異常判定部106が、S21とS22で取得された傾きの検出値に所定値以上のものが含まれているか否かを判定する。所定値は予め定めておけばよい。例えば、実施形態1のように正常値と異常値とを区分する閾値を上記所定値としてもよいし、当該閾値よりも小さい値を上記所定値としてもよい。S23において異常判定部106が、所定値以上の傾きを示す検出値があると判定した場合(S23でYES)にはS24の処理に進み、所定値以上の傾きを示す検出値はないと判定した場合(S23でNO)にはS21の処理に戻る。
S24では、異常判定部106は、ベント500の傾きが架橋桁の伸縮による傾きであるか否かを判定する。具体的には、異常判定部106は、上部センサ2と下部センサ3の検出値の変動のパターンが、架設桁が温度変化によって伸長または収縮したときに特有のパターンに該当すれば架橋桁の伸縮による傾きであると判定する。S24において異常判定部106が架橋桁の伸縮による傾きであると判定した場合(S24でYES)にはS1の処理に戻り、架橋桁の伸縮による傾きでではないと判定した場合(S24でNO)にはS25の処理に進む。
架設桁が温度変化によって伸長または収縮したときに特有のパターンの例を図5の1502~1503のグラフに示している。グラフ1502は、架設桁を載置したベント500に取り付けられた上部センサ2における傾きセンサの検出値の一日の時系列変化を示す。また、グラフ1503は、架設桁を載置したベント500に取り付けられた下部センサ3における傾きセンサの検出値の一日の時系列変化を示す。そして、グラフ1504は、架設桁を載置したベント500に取り付けられた上部センサ2および下部センサ3における加速度センサの検出値の一日の時系列変化を示す。
グラフ1502に示すように、上部センサ2における傾きセンサの検出値は、架橋桁の幅方向であるX方向にはほとんど変化がなかった。一方、架橋桁の延伸方向であるY方向には、架橋桁に日光が当たる昼間の期間において継続的に傾きが大きくなった。また、グラフ1503に示すように、下部センサ3における傾きセンサの検出値においても、架橋桁の幅方向であるX方向にはほとんど変化がなかった。一方、架橋桁の延伸方向であるY方向には、架橋桁に日光が当たる昼間の期間において傾きが大きくなる傾向が見られた。ただし、傾きの方向は、上部センサ2で検出した傾きの方向とは逆である。また、グラフ1504に示すように、上部センサ2と下部センサ3における加速度センサの検出値は、何れもほとんど変化がなかった。
以上の結果から、異常判定部106は、例えば、(1)傾きが変化しているのが架橋桁の延伸方向(Y方向)のみであって架橋桁の幅方向(X方向)の傾きは有意な変化をしておらず、かつ、(2)ベント500の上部および下部において加速度が有意な変化をしていない場合に、ベント500の傾きが架橋桁の伸縮による傾きであると判定してもよい。
なお、異常判定部106は、上記傾きの変化を示す情報として、グラフ1502および1503の傾きを算出してもよい。この場合、異常判定部106は、算出した傾きが閾値以上であれば有意な変化と判定し、閾値未満であれば有意な変化はないと判定すればよい。同様に、異常判定部106は、上記加速度の変化を示す情報として、グラフ1504の傾きを算出してもよい。また、異常判定部106は、所定期間(例えば直近の数十分間)におけるグラフ(グラフ1502、1503、1504)の傾きの平均値を算出してもよい。
また、上記の条件に加えて、(3)傾きが変化している時間帯が日射のある時間帯(架橋桁が伸長する時間帯)であるか、または日射がなくなってから所定時間が経過した後、日射が始まるまでの時間帯(架橋桁が収縮する時間帯)であるとの条件を用いてもよい。上記時間帯は、例えば、特に架橋桁の伸長が著しい午前中(より詳細には日の出から正午頃まで)としてもよい。
ただし、傾きの変化量がある程度大きくなった場合、ベント500に異常が生じている可能性も考えられる。このため、異常判定部106は、ベント500の傾きが架橋桁の伸縮による傾きであると判定した場合であっても、傾きの変化量が所定の閾値以上となったときには、異常ありと判定してもよい。
なお、架橋桁の伸縮は、温度を主因とするものであるから、上部センサ2および下部センサ3の少なくとも何れかに温度センサを含めておいてもよい。この場合、上記(3)の条件の代わりに、(4)気温(あるいはベント500または架橋桁の表面温度)が、架橋桁が伸長または伸縮する可能性のある温度帯であるとの条件を用いてもよい。
また、異常判定部106は、上部センサ2と下部センサ3に含まれる温度センサの検出値が、架設桁が温度変化によって伸長または収縮したときの温度の変動のパターンに該当すると判定した場合には、ベント500の姿勢に異常は生じていないと判定してもよい。この場合、異常判定部106は、温度変化を示す情報として、温度センサの検出値を示すグラフの傾きまたは所定期間の傾きの平均値を算出してもよい。そして、異常判定部106は、例えば、算出した傾きまたはその平均値が閾値以上であれば、ベント500の姿勢に異常が生じていると判定し、閾値未満であれば異常は生じていないと判定すればよい。
〔変形例〕
異常判定部106は、ベント500の異常の有無を複数段階で判定してもよい。例えば、異常判定部106は、ベント500が、(1)異常なし、(2)危険があるとまではいえないが何れかの検出値に比較的大きい変化があった、および(3)ベント500の倒壊等の危険がある、の何れの状態に該当するかを判定してもよい。
上部センサ2と下部センサ3の検出値に基づいて、ベント500に異常が生じているか否かを判定する処理は、上述の各実施形態で説明した例に限られない。上部センサ2および下部センサ3の検出値と、ベント500の状態との関係を予めモデル化しておけば、異常判定部106は、上部センサ2および下部センサ3の検出値から、上記モデルを用いてベント500の状態を判定することができる。
例えば、上部センサ2および下部センサ3の検出値と、ベント500の状態との関係を機械学習した学習済みモデルを構築しておけば、異常判定部106は、この学習済みモデルを用いてベント500の状態を判定することができる。なお、上部センサ2または下部センサ3の検出値は、例えば傾きセンサや加速度センサの検出値であってもよいし、沈下量測定器4や温度センサ等の他の種類のセンサの検出値であってもよく、それらの両方であってもよい。
また、上部センサ2の検出値と下部センサ3の検出値とに基づいて判定可能なベント500の状態は、上記実施形態で説明した屈曲等の例に限られない。例えば、異常判定部106は、ベント500が地震により振動したか否かを判定することも可能である。地震が発生した場合、P波(primary wave)に基づく振動がベント500に伝わり、その後S波(secondary wave)に基づく振動がベント500に伝わる。P波とS波の振動に起因して傾くベント500の傾斜角度は、ベント500の上部と下部とで異なると考えられる一方、S波の振動に起因してベント500に生じる加速度はベント500の上部と下部とで同じ傾向となると考えられる。よって、このような傾きと加速度の変動のパターンが観測されたときに、ベント500が地震により振動したと判定することができる。
また、地震発生時には、ベント500が沈下する等の問題が発生する可能性もある。このため、沈下量計測制御部110は、地震が発生したと判定されたときに、ベント500の沈下量を計測させてもよく、異常判定部106は、沈下量の計測結果に基づいてベント500に異常が生じているか否かを判定してもよい。
〔ソフトウェアによる実現例〕
判定装置1の制御ブロック(特に制御部10に含まれる各部)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、判定装置1は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
1 判定装置
2 上部センサ
3 下部センサ
4 沈下量測定器
300 監視システム
500 ベント

Claims (8)

  1. 架設桁を支持する仮設備であるベントの監視システムであって、
    上記ベントの上部に設置した上部センサと、
    上記ベントの下部に設置した下部センサと、
    上記上部センサの検出値と、上記下部センサの検出値とに基づいて、上記ベントに異常が生じているか否かを判定する判定装置と、を含み、
    上記上部センサと上記下部センサのそれぞれには、上記ベントの傾きを検出する傾きセンサが含まれており、
    上記判定装置は、上記上部センサに含まれる傾きセンサの検出値と、上記下部センサに含まれる傾きセンサの検出値とに基づいて上記ベントの姿勢に異常が生じているか否かを判定し、
    上記判定装置は、上記上部センサに含まれる傾きセンサの検出値と、上記下部センサに含まれる傾きセンサの検出値との差が所定値以上である状態が所定時間以上継続している場合に、上記ベントの姿勢に異常が生じていると判定する、ことを特徴とする監視システム。
  2. 架設桁を支持する仮設備であるベントの監視システムであって、
    上記ベントの上部に設置した上部センサと、
    上記ベントの下部に設置した下部センサと、
    上記上部センサの検出値と、上記下部センサの検出値とに基づいて、上記ベントに異常が生じているか否かを判定する判定装置と、を含み、
    上記判定装置は、上記上部センサと上記下部センサの検出値が、上記架設桁が温度変化によって伸長または収縮したときの上記上部センサと上記下部センサの検出値の変動のパターンに該当すると判定した場合には、上記ベントの姿勢に異常は生じていないと判定する、ことを特徴とする監視システム。
  3. 架設桁を支持する仮設備であるベントの監視システムであって、
    上記ベントの上部に設置した上部センサと、
    上記ベントの下部に設置した下部センサと、
    上記上部センサの検出値と、上記下部センサの検出値とに基づいて、上記ベントに異常が生じているか否かを判定する判定装置と、を含み、
    上記上部センサおよび上記下部センサのそれぞれには、上記ベントの傾きを検出する傾きセンサと、重力加速度を検出する加速度センサの少なくとも何れかが含まれており、
    上記判定装置は、上記上部センサの検出値が、上記ベントの異常の有無を判定するための所定の閾値を超えた場合であっても、上記下部センサの検出値が、上記所定の閾値を超えていない場合には、上記ベントに異常が生じていないと判定する、ことを特徴とする監視システム。
  4. 架設桁を支持する仮設備であるベントの監視システムであって、
    上記ベントの上部に設置した上部センサと、
    上記ベントの下部に設置した下部センサと、
    上記上部センサの検出値と、上記下部センサの検出値とに基づいて、上記ベントに異常が生じているか否かを判定する判定装置と、
    上記ベントの沈下量を測定する沈下量測定器と、を含み、
    上記判定装置は、上記沈下量測定器に沈下量を測定させる沈下量計測制御部を備え、
    上記沈下量計測制御部は、上記上部センサの検出値と上記下部センサの検出値が、所定の条件を充足する場合に、上記沈下量測定器に沈下量を測定させる、ことを特徴とする監視システム。
  5. 架設桁を支持する仮設備であるベントに異常が生じているか否かを判定する判定装置であって、
    上記ベントの上部に設置された上部センサの検出値と、上記ベントの下部に設置された下部センサの検出値とに基づいて、上記ベントに異常が生じているか否かを判定するものであり、
    上記上部センサと上記下部センサのそれぞれには、上記ベントの傾きを検出する傾きセンサが含まれており、
    上記判定を、上記上部センサに含まれる傾きセンサの検出値と、上記下部センサに含まれる傾きセンサの検出値とに基づいて行い、
    上記上部センサに含まれる傾きセンサの検出値と、上記下部センサに含まれる傾きセンサの検出値との差が所定値以上である状態が所定時間以上継続している場合に、上記ベントの姿勢に異常が生じていると判定する、ことを特徴とする判定装置。
  6. 架設桁を支持する仮設備であるベントに異常が生じているか否かを判定する判定装置であって、
    上記ベントの上部に設置された上部センサの検出値と、上記ベントの下部に設置された下部センサの検出値とに基づいて、上記ベントに異常が生じているか否かを判定するものであり、
    上記上部センサと上記下部センサの検出値が、上記架設桁が温度変化によって伸長または収縮したときの上記上部センサと上記下部センサの検出値の変動のパターンに該当すると判定した場合には、上記ベントの姿勢に異常は生じていないと判定する、ことを特徴とする判定装置。
  7. 架設桁を支持する仮設備であるベントに異常が生じているか否かを判定する判定装置であって、
    上記ベントの上部に設置された上部センサの検出値と、上記ベントの下部に設置された下部センサの検出値とに基づいて、上記ベントに異常が生じているか否かを判定するものであり、
    上記上部センサおよび上記下部センサのそれぞれには、上記ベントの傾きを検出する傾きセンサと、重力加速度を検出する加速度センサの少なくとも何れかが含まれており、
    上記上部センサの検出値が、上記ベントの異常の有無を判定するための所定の閾値を超えた場合であっても、上記下部センサの検出値が、上記所定の閾値を超えていない場合には、上記ベントに異常が生じていないと判定する、ことを特徴とする判定装置。
  8. 架設桁を支持する仮設備であるベントに異常が生じているか否かを判定する判定装置であって、
    上記ベントの上部に設置された上部センサの検出値と、上記ベントの下部に設置された下部センサの検出値とに基づいて、上記ベントに異常が生じているか否かを判定するものであり、
    上記ベントの沈下量を測定する沈下量測定器に沈下量を測定させる沈下量計測制御部を備え、
    上記沈下量計測制御部は、上記上部センサの検出値と上記下部センサの検出値が、所定の条件を充足する場合に、上記沈下量測定器に沈下量を測定させる、ことを特徴とする判定装置。
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