JP7228381B2 - 軸封装置およびこれを備えるポンプ - Google Patents

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Description

本発明は、ポンプ等の流体機器の軸封部に用いられる軸封装置に関する。
ポンプ等の流体機器では、駆動軸の軸封部に、メカニカルシール機構を備える軸封装置が用いられる(例えば特許文献1参照)。
ここで、ポンプ等の流体機器は、被送流体として、非溶解性の固形粒子を液体中に含むスラリを移送する場合、固形粒子との衝突によって接液部の内面に摩耗が進行する。
そのため、この種のスラリを移送する用途では、軸封装置の摺動するシール摺動部には、硬度の高いセラミックス(例えばSiC)や超硬合金材料等が摺動材として用いられる。流体機器の稼動時には、シール摺動部の摺動面同士の間に薄い液膜が形成され、これにより、シール摺動部の温度上昇を抑制してメカニカルシール機構として成立する。
特開2017-78460号公報
しかし、軸封装置のシール摺動部に形成された液膜に、固形粒子中の硬い微粒子が混入すると、シール摺動部の摺動面に早期摩耗が生じ、シール寿命が著しく低下するという問題がある。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、シール機能を長寿命化し得る軸封装置およびこれを備えるポンプを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る軸封装置は、流体機器の回転軸の軸封部に用いられる軸封装置であって、前記流体機器のケーシングに固定されるスタフィングボックスと、該スタフィングボックスに収容されるメカニカルシール機構と、被送流体中の固形粒子を前記軸封部とは反対のケーシング側に戻す粒子排除機構と、を備え、前記メカニカルシール機構は、前記スタフィングボックスの軸方向外部側の位置に前記回転軸と同軸に固定される静止環と、前記スタフィングボックスの軸方向内部側の位置に前記静止環に対向配置されて前記回転軸とともに回転する回転環と、該回転環よりも前記スタフィングボックスの軸方向内部側の位置に設けられて前記回転軸と一体で回転するとともに前記回転環を保持する保持器と、を有し、前記静止環と前記回転環とは、対向配置された相互の径方向に沿った面同士が互いに摺動されるシール摺動部を形成して前記流体機器の内部から外部または外部から内部への被送流体の漏れを防止するように構成され、前記粒子排除機構は、前記保持器が、接液部である自身の前縁外周部に、前記スタフィングボックスの軸方向内部側に向けて張り出す円環状の突起部を有する構成である第一の粒子排除機構を備えることを特徴とする。
本発明の一態様に係る軸封装置によれば、回転環を保持する保持器が、保持器の接液部である前縁外周部に、スタフィングボックスの内部側に向けて張り出す円環状の突起部を有する第一の粒子排除機構を備えるので、その円環状の突起部が、いわば「ねずみ返し」として、被送流体中の固形粒子を軸封部とは反対の側に戻す粒子排除機構として機能する。そのため、回転環と静止環とのシール摺動部に到達する固形粒子の量を抑制できる。よって、メカニカルシール機構のシール機能の長寿命化を図ることができる。
ここで、本発明の一態様に係る軸封装置において、前記粒子排除機構は、前記第一の粒子排除機構に替えてまたは前記第一の粒子排除機構と共に、前記保持器の外周面に円環溝状に形成された単列または複列のラビリンス溝を有する構成である第二の粒子排除機構を備えることは好ましい。
このような構成であれば、円環溝状に形成されたラビリンス溝によっても、被送流体中の固形粒子を軸封部とは反対の側に戻すことができる。つまり、ラビリンス溝が第二の粒子排除機構として機能する。
そのため、第一の粒子排除機構に替えて第二の粒子排除機構を設ければ、これにより、メカニカルシール機構のシール機能の長寿命化を図ることができる。また、第一の粒子排除機構と共に第二の粒子排除機構を設ければ、第一の粒子排除機構の作用効果に第二の粒子排除機構による作用効果が加わるので、回転環と静止環とのシール摺動部に到達する固形粒子の量を抑制する上でより好適である。
また、本発明の一態様に係る軸封装置において、前記粒子排除機構は、前記第一若しくは第二の粒子排除機構に替えてまたは前記第一および第二の粒子排除機構に替えてまたは前記第一および第二の粒子排除機構と共に、前記保持器の外周面に、前記保持器の後縁部から前縁部に向けて拡径する円錐台状の勾配面を形成するとともに、前記スタフィングボックスの内周面に、前記スタフィングボックスの後縁部から前縁部に向けて拡径する円錐台状の勾配面を、径方向で対向する前記保持器の外周面に対して所定のクリアランスを隔てて形成してなる構成である第三の粒子排除機構を備えることは好ましい。
このような構成であれば、所定のクリアランスを隔てて対向する一対の勾配面による遠心力の作用によって、固形粒子を軸封部とは反対のケーシング側に戻す第三の粒子排除機構とすることができる。
そのため、第一および第二の粒子排除機構に替えて第三の粒子排除機構を設ければ、これにより、メカニカルシール機構のシール機能の長寿命化を図ることができる。また、第一若しくは第二の粒子排除機構と共に第三の粒子排除機構を設ければ、第一若しくは第二の粒子排除機構の作用効果に加え、第三の粒子排除機構による作用効果が協働するので、回転環と静止環とのシール摺動部に到達する固形粒子の量を抑制する上でより好適である。さらに、第一、第二および第三の粒子排除機構を全て設ければ、回転環と静止環とのシール摺動部に到達する固形粒子の量を抑制する上でより一層好適である。
また、本発明の一態様に係るポンプは、ケーシングと、該ケーシング内に回転自在に支持されるインペラと、該インペラを回転自在に支持する回転軸と、該回転軸の軸封部に装備された、本発明のいずれか一の態様に係る軸封装置と、を備えることを特徴とする。
本発明の一態様に係るポンプによれば、本発明のいずれか一の態様に係る軸封装置を軸封部に備えるので、メカニカルシール機構のシール機能を長寿命化できる。よって、ポンプをより長期に亘って安定して稼動できる。
上述のように、本発明によれば、軸封装置のシール機能を長寿命化できる。
本発明に係る軸封装置を備える流体機器の第一実施形態であるポンプの軸封部を示す縦断面図である。 図1に示す軸封部の要部拡大図である。 本発明に係る軸封装置を備える流体機器の第二実施形態であるポンプの軸封部を示す縦断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
(第一実施形態)
第一実施形態は、流体機器として、スラリポンプやサンドポンプ等のポンプに、本発明に係る軸封装置を適用した例である。この種のポンプは、微粒懸濁物や、土砂、砂、小石等の固形物粒子を含むスラリを被送流体として輸送するものである。
図1に示すように、第一実施形態のポンプ100は、ケーシング1と、ケーシング1内に突設するシャフト3の先端に支持されたインペラ2と、を備える。インペラ2の背面には、複数の裏羽根7が設けられている。複数の裏羽根7は、インペラ2の背面側に浸入したスラリを、裏羽根7による遠心力の作用で軸封部5とは反対の側に戻すことにより、軸封部5へのスラリの浸入を防止または抑制するようになっている。
ケーシング1の接液面には、耐食性に優れたライナを設けることが好ましい。これに対し、本実施家板の例では、ケーシング1の背面側の接液面に、芯金1cが埋入されたゴムライナ1dが、ボルト・ナットによって着脱可能に装着されている。
本実施形態のゴムライナ1dは、ライナ先端1sが、インペラ2のボス部1jに対向して張り出しており、ライナ先端1sとボス部1jとの間に僅かな対向隙間Sが設けられている。
シャフト3は、基端側がケーシング1の後方を貫通しており、不図示の軸支装置によってシャフト(回転軸)3の基端側が、軸封部5よりも後方の位置で不図示の軸支部により回転自在に支持されている。シャフト3の基端部には、モータの出力軸が駆動力を伝達可能に接続される。
ここで、第一実施形態のポンプ100は、シャフト3の軸封部5に、メカニカルシール機構を有する軸封装置10が装備されている。軸封装置10は、ポンプ100のケーシング1の背面と、シャフト3の上記軸支部(不図示)との間に装着される。
第一実施形態の軸封装置10は、ケーシング1の背面にスタフィングボックス50が固定される。スタフィングボックス50の内部には、メカニカルシール機構が収容されている。本実施形態に係るポンプ100は、メカニカルシール機構が、回転環20と静止環30とのシール摺動部12に到達する固形粒子の量を低減させる複数段階の粒子排除機構を備える。
詳しくは、第一実施形態のスタフィングボックス50は、ケーシング1の背面に前端部が固定される円筒状のベース部53と、ベース部53の内周面に嵌め込まれた状態で保持されて液接部を内面に有するボディ部54と、ボディ部54の後端面に装着されるシールカバー57と、を有する。ボディ部54は、耐摩耗性および耐食性に優れた金属ないし合金(例えばチタン合金やステンレス合金)を用いている。
ボディ部54の大気側には、ボディ部54の後端に設けられたシール装着部54bにオイルシール70が装着され、オイルシール70は、オイルシール70の外側に装着されたシールカバー57によって軸方向の位置が保持されている。シールカバー57は、複数の固定ボルト58によって、ボディ部54の後端側の開口部分を覆うようにボディ部54の後端面に固定されている。
ボディ部54の前端面は、ケーシング背面側のゴムライナ1dの背面と圧接され、ボディ部54とゴムライナ1dの背面との間がシールされている。本実施形態の例では、ボディ部54の前端面には、ゴムライナ1dの背面との圧接部分に、シール用の円環状凸部54tが形成されている。
また、本実施形態では、この円環状凸部54tがゴムライナ1dの背面にめり込むように軸方向に押圧され、これにより、確実なシール性能が発揮されるようになっている。なお、この例では、シール用の円環状凸部54tをボディ部54の側に設けた例を示しているが、これに限定されない。
例えば、シール用の円環状凸部をゴムライナ1dの背面に形成してもよい。また、この例では、金属製のボディ部54とゴム製のゴムライナ1dとの間のシール手段としての例を示したが、これに限らず、例えばゴムライナとゴムライナ同士の合わせ面に、このようなシール用の円環状凸部を適用してもよい。
なお、本実施形態では、ゴムライナ1dを有する例を示したが、これに限らず、例えばゴムライナ1dに替えて、金属ライナを有する構成としてもよい。金属ライナを有する構成の場合、Oリングを挿入することが好ましい。また、ライナ構造に限定されず、一体型ケーシングのポンプに対しても本発明を適用し得る。
本実施形態のメカニカルシール機構は、ボディ部54の軸方向外部側の位置に、シャフト3と同軸に静止環30が固定される。ボディ部54の軸方向内部側の位置には、静止環30に対向配置されてシャフト3とともに回転する回転環20が装着される。回転環20および静止環30には、硬度の高いセラミックス(例えばSiC)や超硬合金材料等を用いることが好ましい。
さらに、シャフト3には、回転環20よりもボディ部54の軸方向内部側の位置に、保持器40が設けられている。保持器40には、耐摩耗性および耐食性に優れた金属ないし合金(例えばチタン合金やステンレス合金)を用いることが好ましい。
回転環20は、基部24の前側が、回転環支持ピン22を介して保持器40に連結される。静止環30は、基部34の後側が静止環支持ピン32を介してスタフィングボックス50のボディ部54に連結される。静止環30は、静止環30側に装着されたサポートシール60により弾性的に支持されている。
より詳しくは、図2に要部を拡大図示するように、シャフト3の外周面には、シャフトスリーブ4が装着されている。シャフトスリーブ4と同軸に、インペラ2の裏面側の基部後端面にワッシャ6が介装されている。
保持器40の中心部には、円筒状のボス部47が設けられ、ボス部47の内周面がシャフト3の外周面に直接外嵌している。また、ボス部47の後端面がシャフトスリーブ4の前端面に当接している。そして、ワッシャ6に続いて、保持器40がシャフトスリーブ4との間に設けられ、インペラ2を軸方向前方からシャフト3先端に締めこむことにより、保持器40の軸方向の位置が固定される。
保持器40の後部側内周には、円筒状段部49が形成されている。そして、回転環20は、円筒状段部49に嵌合する円筒状の基部24と、基部24から径方向外側に立ち上がるように形成された円環状の腕部23と、を有する。基部24の前側端面には、回転環支持ピン22が挿入される挿入溝24mが、軸方向に沿って形成されている。
保持器40は、円筒状段部49の内周面が、基部24の外周面に嵌め合わされるとともに、保持器40の前端面49rが、腕部23の前面25に当接する状態で装着される。
腕部23の後方を向く面の先端が後方に張り出した摺動面21になっている。回転環20は、基部24が円筒状段部49に嵌合した状態で、回転環支持ピン22を介して保持器40に連結される。
これにより、保持器40は、シャフト3と一体で回転するとともに回転環20を保持する。なお、この例では、保持器40とワッシャ6との間をシールするようにOリング91が介装されている。また、保持器40と回転環20の間をシールするようにOリング92が介装されている。
スタフィングボックス50を構成するボディ部54には、ボディ部54の内面の軸方向略中央に、サポートシール60を装着するための円環状の装着溝54aが形成されている。サポートシール60は、装着溝54aに嵌め込まれる基部63と、基部63から斜め前方に張り出す腕部62と、腕部62の先端から後方に向けて軸線に沿って円環状に延びる保持リップ部61と、を有する。
そして、静止環30は、保持リップ部61に嵌合する円筒状の基部34と、基部34から径方向外側に立ち上がるように形成された円環状の腕部33と、を有する。基部34の後側端面には、静止環支持ピン32が挿入される挿入溝34mが、軸方向に沿って形成されている。保持リップ部61は、その内周面が、基部34の外周面に嵌め合わされるとともに、保持リップ部61の前端面が、腕部33の後面35に当接する状態で装着される。
腕部33の前方を向く面の先端が、前方に張り出した摺動面31になっている。静止環30は、その基部34が、保持リップ部61に嵌合した状態で静止環支持ピン32を介してボディ部54に連結されてボディ部54に保持される。
これにより、静止環30と回転環20とは、シャフトスリーブ4の外周上に、メカニカルシールを構成するように軸方向に対向して装着される。換言すれば、本実施形態では、メカニカルシールとして、シャフト3とともに回転する回転環20と、回転環20の摺動面21と摺接する摺動面31が対向配置される静止環30と、を有する。
そして、静止環30と回転環20とは、対向配置された相互の径方向に沿った摺動面31,21同士が、互いに摺動されるシール摺動部12を形成する。シール摺動部12は、ポンプ100の内部(軸封部5の軸方向前方の接液部側)から外部(軸封部5の軸方向後方の大気側)または外部から内部へのスラリの漏れを防止するように構成される。これにより、回転環20と静止環30は、スタフィングボックス50に供給される加圧流体が接液部側から大気側に漏洩しないようにシール摺動部12で保持可能になっている。
つまり、このシール摺動部12は、回転環20側の付勢手段が保持器40であり、保持器40により軸方向後方に向けて回転環20が付勢されている。そして、静止環30側の付勢手段はサポートシール60であり、サポートシール60により軸方向前方に向けて静止環30が付勢されている。
これにより、回転環20と静止環30との摺動面21,31同士が互いに所定の押圧力で摺接されるメカニカルシール機構のシール摺動部12を形成し、ポンプ100の内部から外部および外部から内部への流体の漏れを防止可能になっている。
また、本実施形態のスタフィングボックス50には、シール摺動部12の大気側であってサポートシール60とオイルシール70との間の位置に、二次流体供給部52が設けられている。軸封部5には、スタフィングボックス50の外部から、二次流体供給部52を用いて、水、オイル、グリスなどの二次流体が連続的または間欠的に供給される。これにより、大気側の内部空間Aには二次流体が充填されてパージングされる。
大気側の内部空間Aへの二次流体のパージングにより、シール摺動部12とサポートシール60の間から接液側に微量ずつ二次流体が押し出され、これにより、被送流体内の固形物粒子等がスタフィングボックス50内に侵入するのを防止するとともに、侵入した固形物粒子等の異物を被送流体側に押し戻す作用がある。
なお、二次流体供給部の構成もこれに限定されず、例えば二次流体供給部52の回転対称位置に二次流体の排出口を設け、二次流体供給部52からクエンチング液として例えば水を注水し、回転対称位置にある排出口から排水するクエンチングを行うことができる。
ここで、本実施形態の軸封装置10は、上述した構成に加え、更に、スラリ中の固形粒子を軸封部5とは反対のケーシング1側に戻すための複数段階の粒子排除機構を備えている。
すなわち、本実施形態の軸封装置10は、第一の粒子排除機構として、回転環20を保持する保持器40の前縁外周部に円環状の突起部46を有する。突起部46が保持器40の前縁外周部に形成されることにより、保持器40の前面の径方向内側には円環状の凹部45が形成される。
これにより、インペラ2の裏羽根7による遠心力でスラリを戻す作用を逃れて裏羽根7の背面側に浸入したスラリが、ボス部1jに対向して張り出すライナ先端1sとの対向隙間Sを回り込んで軸封部5の側まで入り込んでしまっても、円環状の凹部45と突起部46とが、いわば「ねずみ返し」として、スラリ中の固形粒子を軸封部5とは反対の側に戻すようになっている。
さらに、本実施形態の軸封装置10は、第二の粒子排除機構として、保持器40の外周面に、単列または複列のラビリンス溝41,42,43を有する。この例では、それぞれ円環状をなす3列のラビリンス溝41,42,43が、軸方向に所定の離隔距離を隔てて形成されている。
さらにまた、本実施形態の軸封装置10は、第三の粒子排除機構として、保持器40の外周面には、保持器40の後縁部から前縁部に向けて拡径する勾配面44が形成される一方、当該軸封装置10のメカニカルシール構造を収容するスタフィングボックス50の内周面には、径方向で対向する保持器40の勾配面44に対して所定のクリアランスを設けた勾配面51が形成されている。
次に、このポンプ100の作用・効果について説明する。
第一実施形態のポンプ100は、ポンプ100の運転時には、不図示のモータの駆動によりシャフト3が回転駆動される。これにより、ケーシング1内でインペラ2が回転すると、被送流体であるスラリを昇圧してケーシング1の吸込口1aから吐出口1bに向けてスラリを輸送できる。
そして、第一実施形態のポンプ100は、軸封部5に、上述したメカニカルシール構造を有する軸封装置10を備えるので、ケーシング1内でインペラ2によって昇圧されたスラリがシャフト3の周囲から外部に漏れるのを防止できる。
特に、本実施形態の軸封装置10によれば、回転環20を保持する保持器40の前縁外周部に、第一の粒子排除機構として、円環状の突起部46を有するので、固形粒子が回転による遠心力で外周方向に飛び出そうとする動きを抑制できる。そのため、シール摺動部12に到達する固形粒子の量を抑制できる。よって、軸封装置10のシール機能の長寿命化を図ることができる。
さらに、本実施形態の軸封装置10によれば、保持器40の外周面に、第二の粒子排除機構として、単列または複列のラビリンス溝41,42,43を設けているので、ラビリンス溝41,42,43内で生じた渦流によって、スラリ中の固形粒子を捕捉(トラップ)できる。そのため、シール摺動部12に到達する固形粒子の量を抑制する上で好適であり、軸封装置10の長寿命化を図る上で優れている。
さらにまた、本実施形態の軸封装置10によれば、第三の粒子排除機構として、保持器40の外周面には、後縁部から前縁部に向けて拡径する勾配面44が形成され、スタフィングボックス50の内周面には、保持器40の勾配面44に対して所定のクリアランスを設けた勾配面51が形成されている。
そのため、第二の粒子排除機構である、複列のラビリンス溝41,42,43でトラップされた固形粒子が旋回運動を行う際に、第三の粒子排除機構の勾配に沿った遠心力のベクトル方向成分により、保持器40の前縁方向へと固形粒子を戻す効果を奏する。
これにより、第二の粒子排除機構と第三の粒子排除機構との協働作用によって、シール摺動部12に到達する固形粒子の量を抑制する相乗効果が生まれる。そのため、軸封装置10の長寿命化を図る上で極めて優れている。
以上説明したように、この軸封装置10を備えるポンプ100によれば、上述した第一から第三の粒子排除機構を備えるので、これら複数段階の粒子排除機構による相互作用および相乗効果により、シール摺動部12でのスラリ濃度が低下し、シール摺動部12での摺動面21,31の摩耗速度が緩和され、シール機能を長寿命化できるのである。
なお、本発明に係る軸封装置およびこれを備えるポンプは、上記第一実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
例えば、上記第一実施形態では、スラリ中の固形粒子を軸封部5とは反対のケーシング1側に戻す粒子排除機構として、第一、第二および第三の粒子排除機構の全てを備える例を示したが、これに限定されず、第一、第二および第三の粒子排除機構のうちのいずれか一つまたは二つを備える粒子排除機構としてもよい。
但し、スラリ中の固形粒子を軸封部5とは反対のケーシング1側により確実に戻す上では、複数段階の粒子排除機構を備えることが好ましい。特に、上記第一実施形態のように、第一、第二および第三の粒子排除機構を全て設ければ、これら複数段階の粒子排除機構による相互作用および相乗効果により、回転環20と静止環30とのシール摺動部12に到達する固形粒子の量を抑制する上で極めて優れた構成となる。
また、例えば上記第一実施形態では、スタフィングボックス50が、円筒状のベース部53と、液接部を内面に有するボディ部54と、ボディ部の後端面に装着されるシールカバー57と、を有する例を示したが、これに限定されず、更に、スタフィングボックス50を複数の部品に分割した構造としてもよい。
(第二実施形態)
例えば、図3に示すように、第二実施形態のスタフィングボックス50は、円筒状のベース部53と、液接部を内面に有するボディ部54と、ボディ部54の後端面に装着されるシールカバー57と、を有する。さらに、第二実施形態のボディ部54は、液接部を内面に有する第一ボディ55と、第一ボディの後部に接続されて液接部を有しない第二ボディ56と、を有して構成されている。
第一ボディ55は、接液する面に沿って各種ゴム材料やコーティング被膜によるゴムライニングとして形成された液接部55aと、液接部55aの接液する面とは反対側に装着されたブロック状の基部55bとを有する。第一ボディ55と第二ボディ56とは、連結ボルト59によって相互に連結され、これにより、第一実施形態のボディ部54と同様の形態とされている。なお、第二実施形態の他の構成については、上記第一実施形態同様なので、同一符号を付すとともにその説明は省略する。
この第二実施形態のような構成であれば、第一実施形態のボディ部54のように、ボディ部54の全体を、耐摩耗性および耐食性に優れた金属ないし合金を用いて製造する場合に比べて、各種ゴム材料やコーティング被膜を形成することにより、強酸、強アルアリなどへの耐薬性を向上させることができる。
そして、このような構成であっても、上記第一実施形態同様に、複数段階の粒子排除機構を備えているので、これらの相互作用および相乗効果により、シール摺動部12でのスラリ濃度を低下させ、シール摺動部12での摺動面21,31の摩耗速度を緩和することができるため、シール機能を長寿命化できる。
1 ケーシング
2 インペラ
3 シャフト(回転軸)
4 シャフトスリーブ
5 軸封部
6 ワッシャ
7 裏羽根
10 軸封装置
12 シール摺動部
20 回転環
21 摺動面
22 回転環支持ピン
30 静止環
31 摺動面
32 静止環支持ピン
40 保持器
41 第一ラビリンス溝
42 第二ラビリンス溝
43 第三ラビリンス溝
44 勾配面
45 凹部
46 突起部
50 スタフィングボックス
51 勾配面
52 二次流体供給部
53 ベース部
54 ボディ部
55 第一ボディ
56 第二ボディ
57 シールカバー
58 固定ボルト
59 連結ボルト
60 サポートシール
70 オイルシール
91、92 Oリング
100 ポンプ(流体機器)

Claims (4)

  1. ケーシングと、該ケーシング内に回転自在に支持されるインペラと、前記ケーシングの背面からケーシング内に突設されて前記インペラを回転自在に支持する回転軸と、を備えるポンプに用いられ、前記ケーシングの背面側に設けられて前記回転軸の軸封部に装備される軸封装置であって、
    前記回転軸の軸方向を前後とするとき、
    前記ケーシングの背面自身前面が固定されるスタフィングボックスと、該スタフィングボックスに収容されるメカニカルシール機構と、被送流体中の固形粒子を前記軸封部とは反対の前記ケーシング側に戻す粒子排除機構と、を備え、
    前記メカニカルシール機構は、前記スタフィングボックスの収容空間での前記軸方向後側の位置に前記回転軸と同軸に他の部材に固定される静止環と、前記スタフィングボックスの収容空間での前記軸方向前側の位置に前記静止環に対向配置されて前記回転軸とともに回転する回転環と、該回転環よりも前記スタフィングボックスの収容空間での前記軸方向前側の位置に設けられて前記回転軸と一体で回転するとともに前記回転環を保持する保持器と、を有し、
    前記静止環と前記回転環とは、対向配置された相互の径方向に沿った面同士が互いに摺動されるシール摺動部を形成して前記ケーシングの内部から外部への被送流体の漏れを防止するように構成され、
    前記粒子排除機構は、前記保持器が、接液部である自身の前縁外周部に、前記スタフィングボックスの収容空間での前記軸方向前側に向けて張り出す円環状の突起部を有する構成である第一の粒子排除機構を備えることを特徴とする軸封装置。
  2. 前記粒子排除機構は前記保持器の外周面に円環溝状に形成された単列または複列のラビリンス溝を有する構成である第二の粒子排除機構を更に備える請求項1に記載の軸封装置。
  3. 前記粒子排除機構は前記保持器の外周面に、前記保持器の後縁部から前縁部に向けて拡径する円錐台状の勾配面を形成するとともに、前記スタフィングボックスの内周面に、前記スタフィングボックスの後縁部から前縁部に向けて拡径する円錐台状の勾配面を、径方向で対向する前記保持器の外周面に対して所定のクリアランスを隔てて形成してなる構成である第三の粒子排除機構を更に備える請求項2に記載の軸封装置。
  4. ケーシングと、該ケーシング内に回転自在に支持されるインペラと、前記ケーシングの背面からケーシング内に突設されて前記インペラを回転自在に支持する回転軸と、前記ケーシングの背面側に設けられて前記回転軸の軸封部に装備された、請求項1~3のいずれか一項に記載の軸封装置と、を備えることを特徴とするポンプ。
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