JP7227707B2 - 揮散性成分の揮散方法 - Google Patents

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Description

本発明は、揮散性成分の揮散方法に関する。
従来、芳香消臭剤などの揮散性を有する組成物において、使用初期から終期まで香質や香りの強度はほとんど変化せずに一定である。近年、使用中に香質を変化させたり、色調などの外観を変化させたりすることによって、変化を楽しむ芳香消臭剤(組成物)が報告されている。
このような変化を楽しむことができる組成物として、例えば、揮散性成分の濃度が異なる2層のゲル状領域を含む組成物(特許文献1)、揮散性成分を含むゲル層を上層に配置し、揮散性成分を含む液状またはゾル状の流動層を下層に配置した組成物(特許文献2)、および水層および油層の2層分離型の液状芳香消臭組成物(特許文献3)が開示されている。しかし、これらの組成物では、十分に満足できるような変化は発揮されない。
特開平10-127743号公報 特開2003-102822号公報 特開2014-195572号公報
本発明の課題は、芳香消臭剤などの揮散性を有する組成物において、揮散性成分の香質や香りの強度などの意図的な変化、あるいは色調などの外観の意図的な変化を生じさせることができる揮散性成分の揮散方法、およびこのような揮散方法に使用されるキットを提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、以下の構成からなる解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。
(1)フィルムに少なくとも第1の揮散性成分が内包された内包体を、第1の揮散性成分とは異なる第2の揮散性成分を含む液相に浸漬させる工程を含み、フィルムが、第1の揮散性成分を透過させないフィルムであり、液相がフィルムに対して浸食性を有する溶剤を主として含有し、浸食されたフィルムを介して溶剤が内包体に浸入して第1の揮散性成分を溶解し、第1の揮散性成分が、溶剤および第2の揮散性成分の少なくとも一方により浸食されたフィルムを透過して液相に移動する揮散性成分の揮散方法。
(2)溶剤が、アルコール類、グリコール類、炭化水素類および水からなる群より選択される少なくとも1種を含む溶剤である上記(1)に記載の揮散性組成物。
(3)内包体および液相のうち、少なくとも内包体に着色剤がさらに含まれる上記(1)または(2)に記載の揮散性組成物。
(4)フィルムに少なくとも第1の揮散性成分が内包された内包体と、フィルムに対して浸食性を有する溶剤および第1の揮散性成分とは異なる第2の揮散性成分を含む容器とを備え、フィルムが、第1の揮散性成分を透過させないフィルムであり、内包体を容器内の溶剤に浸漬させることにより、内包体を構成するフィルムが溶剤および第2の揮散性成分の少なくとも一方により浸食され、溶剤が、浸食されたフィルムを介して内包体に浸入し、第1の揮散性成分を溶解して容器内に移動させる、揮散性成分を揮散させるためのキット。
本発明に係る揮散性成分の揮散方法によれば、芳香消臭剤などの揮散性を有する組成物において、揮散性成分の香質や香りの強度などの意図的な変化、あるいは色調などの外観の意図的な変化を生じさせることができる。
(A)~(C)は、本発明に係る揮散性成分の揮散方法で使用される内包体の形状の一例を示す説明図である。 (A)~(C)は、本発明に係る揮散性成分の揮散方法の種々の実施形態を示す説明図である。 (A)は、容器に内包体、液相および吸液芯を入れた直後の状態を示す説明図であり、(B)は、内包体に含まれる溶剤が容器中に流出してこの内包体由来の溶剤と液相とが分離し、着色剤で吸液芯が着色している状態を示す説明図である。
本発明に係る揮散性成分の揮散方法は、フィルムに少なくとも第1の揮散性成分が内包された内包体を、第1の揮散性成分とは異なる第2の揮散性成分を含む液相に浸漬させる工程を含む。
第1および第2の揮散性成分としては、例えば香料成分、害虫忌避成分、殺虫成分、除菌成分、消臭成分などが挙げられる。このような成分としては、具体的には、ピネン、リモネン、リナロール、ゲラニオール、テルピネオール、シトロネロール、メントール、ボルネオール、ベンジルアルコール、アニスアルコール、フェニルエチルアルコール、ジヒドロミルセノール、アネトール、オイゲノール、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、シトラール、シトロネラール、ベンズアルデヒド、ヘキシルシンナミックアルデヒド、カルボン、メントン、樟脳、アセトフェノン、イオノン、γ-ブチルラクトン、クマリン、シネオール、オクチルアセテート、ベンジルアセテート、シンナミルアセテート、プロピオン酸ブチル、安息香酸メチル、ブチルシクロヘキシルアセテート、リナリルアセテート、ガラクソリド、p-メンタン-3,8-ジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、ジ-n-プロピルイソシンコメロネート、ジ-n-ブチルサクシネート、カラン-3,4-ジオール、1-メチルプロピル-2-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペリジンカルボキシレート、3-[アセチル(プロピルアミノ)]プロピオン酸エチル、イソチオシアン酸アリル、酢酸メンチル、酢酸ブチルシクロヘキシル、酢酸ブチルシクロヘプチルなどの精油成分が挙げられる。
これらの精油成分を含む精油を使用してもよく、精油としては、例えば、ハッカ油、月桃油、ヒノキ油、ワサビ油、ローズマリー油、ヨモギ油、オレンジ油、ラベンダー油、ペパーミント油、アビエス油、アクジョン油、アーモンド油、アンゲリカルート油、ページル油、ベルガモット油、パーチ油、ボアドローズ油、カヤブチ油、ガナンガ油、カプシカム油、キャラウェー油、カルダモン油、カシア油、セロリー油、シナモン油、シトロネラ油、コニャック油、コリアンダー油、クミン油、樟脳油、ジル油、エストゴラン油、ユーカリ油、フェンネル油、ガーリック油、ジンジャー油、グレープフルーツ油、ホップ油、レモン油、レモングラス油、ナツメグ油、マンダリン油、セージ油、スターアニス油、テレピン油、ローズマリー油などが挙げられる。
害虫忌避成分や殺虫成分としては、例えば、N,N-ジエチル-m-トルアミド、2-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペリジンカルボン酸1-メチルプロピル、N-アセチル-N-ブチル-β-アラニンエチル、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、p-ジクロロベンゼンなどの害虫忌避成分や、エムペントリン、トランスフルトリン、メトフルトリン、プロフルトリン、メパフルトリン、ジメフトリンなどの常温揮散性を有するピレスロイド系化合物などが挙げられる。
除菌成分としては、例えば、ヒノキチオール、フェノキシエタノール、イソプロピルメチルフェノール、チアベンダゾール、p-クロロ-m-キシレノール、チモール、イソチオシアン酸アリル、ゲラニオール、シトラール、カルバクロール、桂皮酸アルデヒドなどの抗菌性香料などが挙げられる。
消臭成分としては、例えば、緑茶乾留エキス(例えば、カテキン、タンニン、ポリフェノールなど)、グレープフルーツエキス、柿抽出エキス、シソ抽出エキス、マッシュルームエキス、竹抽出エキス、シャンピニオンエキスなどの植物抽出エキス、メタクリル酸ラウリル、ゲラニルクロトネート、メチル化サイクロデキストリンなどが挙げられる。
第1の揮散性成分と第2の揮散性成分とは、異なる成分が使用される。例えば、第1の揮散性成分がメントールの場合、第2の揮散性成分としてはメントール以外の成分が使用され、第1の揮散性成分がテルピネオールの場合、第2の揮散性成分としてはテルピネオール以外の成分が使用される。
内包体は、内包している第1の揮散性成分を透過させないフィルムで形成されている。このようなフィルムとしては、細孔を有さないフィルム、使用する第1の揮散性成分の分子よりも小さい細孔を有するフィルムなどが挙げられる。このようなフィルムで内包体を形成することによって、液相への浸漬前には内包体から第1の揮散性成分が揮散しない。
フィルムの素材としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、多糖類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどが挙げられる。フィルムの厚みは特に限定されず、例えば、後述の液相に含まれる溶剤や、第1の揮散性成分と第2の揮散性成分とをどの程度時間差を設けて揮散させるかを考慮して適宜設定すればよい。1~1000μm程度の厚みを有するフィルムが好ましく、10~100μm程度の厚みを有するフィルムがより好ましく、10~50μm程度の厚みを有するフィルムがさらに好ましい。
内包体には、本発明の効果を阻害しない範囲で、第1の揮散性成分以外に、添加剤、賦形剤、フィルムを溶解または浸食しない溶剤などが含まれていてもよい。第1の揮散性成分以外の成分を使用する場合、フィルムはこのような成分も透過しないことが必要である。添加剤としては、例えば、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、殺菌剤、防カビ剤などが挙げられる。特に、着色剤が含まれる場合には、色調の変化によって揮散性組成物の外観を変化させることができる。賦形剤としては、例えば、単糖類(グルコース、ガラクトースなど)、二糖類(スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロースなど)、多糖類(デンプン、デキストリン、セルロースなど)、無水ケイ酸、紙パルプ、パルプ製の揮散紙などが挙げられる。
フィルムを溶解または浸食しない溶剤としては、例えば、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなど)、グリコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなど)、アセトン、炭化水素類(パラフィン系溶剤、イソパラフィン系溶剤など)、グリコールエーテル類(プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルなど)などが挙げられ、使用するフィルムの素材に応じて適宜選択され、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。フィルムを溶解または浸食する溶剤を使用すると、内包体を液相に浸漬させる前にフィルムが溶解または浸食され、第1の揮散性成分が内包体から流出することになる。
内包体の形状は、第1の揮散性成分(必要に応じて添加剤など)が上述のフィルムに内包されていれば、特に限定されない。内包体の形状として、例えば、図1(A)~(C)に示すような形状が挙げられる。第1の揮散性成分あるいは第1の揮散性成分と添加剤や溶剤などとの混合物を、便宜的に「第1の揮散性成分を含む組成物」と記載する場合がある。
図1(A)に示す内包体は、シームレスカプセルのような形状を有しており、第1の揮散性成分を含む組成物1が継ぎ目のないフィルム2に内包されている。シームレスカプセル状の内包体は継ぎ目を有さない。したがって、フィルム2が細孔を有さないフィルム、あるいは使用する第1の揮散性成分の分子よりも小さい細孔を有するフィルムであれば、第1の揮散性成分を含む組成物1は、フィルム2を介してのみ後述の液相と接触することができる。
図1(B)に示す内包体は、フィルム2で第1の揮散性成分を含む組成物1を包み、接着した形状を有している。図1(B)に示す内包体は、図1(A)に示す内包体と異なり、継ぎ目2’を有している。この形状の場合は、内包体を液相に浸漬させる前に、継ぎ目2’の僅かな隙間から第1の揮散性成分を含む組成物1に含まれる成分が流出する可能性はある。そのため、継ぎ目2’は十分に密閉されている必要がある。
図1(A)および(B)の形状は、第1の揮散性成分を含む組成物1をフィルム2に封入する形状であるのに対して、図1(C)に示す内包体は、第1の揮散性成分を含む組成物1がフィルム2に内包されているものの、図1(B)に示すように、封止されていない。すなわち、図1(C)に示すように、第1の揮散性成分を含む組成物1が液相3と直接接触しないように、袋状にフィルム2が固定されていれば、内包体は必ずしも封止された形状でなくてもよい。
液相は、内包体の外部に存在し、内包体が浸漬され得る形態であれば、構造などは特に限定されない。本明細書において「浸漬」とは、内包体が液相に完全に浸っている場合に限らず、浮力などの影響によって内包体が液相に浮いている、すなわち内包体の一部が液相に浸かっているような場合も意図している。このように内包体を液相に浸漬させることによって、液相に含まれる溶剤が内包体を形成しているフィルムを介して、内包体の内外に移動することができる。
液相に含まれる溶剤は、使用するフィルムに対して浸食性を有する溶剤を主として含有し、かつ使用する第1の揮散性成分を溶解するものである。このような溶剤としては、例えば、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなど)、グリコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなど)、アセトン、炭化水素類(パラフィン系溶剤、イソパラフィン系溶剤など)、グリコールエーテル類(プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルなど)などが挙げられる。溶剤は、使用するフィルムや使用する第1の揮散性成分に応じて適宜選択され、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
例えば、フィルムとしてポリビニルアルコール製のフィルムを使用した場合、ポリビニルアルコール製のフィルムを浸食する溶剤としては、水、無水エタノールや含水エタノールなどのアルコール類、ジプロピレングリコールなどのグリコール類が挙げられる。一方、ポリエチレン製のフィルムを使用した場合、ポリエチレン製のフィルムを浸食する溶剤としては、例えば、イソパラフィンなどの炭化水素類が挙げられる。
液相には、溶剤以外に第2の揮散性成分が含まれる。第2の揮散性成分については上述のとおりであり、詳細な説明は省略する。第2の揮散性成分は、第1の揮散性成分と異なる成分が使用される。第1の揮散性成分と第2の揮散性成分とが同じ成分、例えばいずれの揮散性成分もメントールの場合、香気の強弱が生じる可能性はあるものの、使用初期から終期までメントールの香りしかしない。すなわち、第1の揮散性成分と第2の揮散性成分とが同じ場合、使用中に変化が生じないためである。
液相には、さらに他の添加剤が含まれていてもよい。他の添加剤としては、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、殺菌剤、防カビ剤など上述の添加剤が挙げられる。
本発明に係る揮散性成分の揮散方法は、内包体が液相に浸漬していれば、実施形態については特に限定されない。図2(A)に示すように、内包体10の一部が液相13に浸かっているような実施形態であってもよく、図2(B)に示すように、内包体10の全体が液相13に浸かっているような実施形態であってもよい。あるいは、図2(C)に示すように、複数の内包体10が存在するような実施形態であってもよく、この場合、液相13に浮かんでいる内包体10と液相13に完全に浸かっている内包体10とが混在していてもよい。図1(C)に示すように、袋状の内包体が液相3に浸かっていてもよい。
本発明に係る揮散性成分の揮散方法において、揮散性成分が揮散するメカニズムは次のとおりと推察される。まず、内包体を液相に浸漬させる。この時点(使用開始時)では、第1の揮散性成分は内包体から外部に流出していない。そのため、使用開始時には、液相に含まれる第2の揮散性成分が揮散し始める。同時に、液相に含まれる溶剤および第2の揮散性成分の少なくとも一方が内包体を形成しているフィルムを浸食し始める。内包体を形成しているフィルムには、経時的に浸食され細孔が形成されると推察される。その後、浸食されたフィルムを介して液相に含まれる溶剤は内包体に浸入し、内包体に含まれる第1の揮散性成分を溶解する。浸透圧や拡散によって、第1の揮散性成分を溶解した溶剤が、内包体から液相に流出し、第1の揮散性成分が揮散し始める。このように、第2の揮散性成分と第1の揮散性成分とを時間差で揮散させるために、例えば、第2の揮散性成分の濃度を調節したり、フィルムの厚みを調節したり、液相に含まれる溶剤を調節したりされている。
このように、本発明に係る揮散性成分の揮散方法は、液相に含まれる第2の揮散性成分と内包体に含まれる第1の揮散性成分とを、時間差を設けて揮散させることができる。どの程度の時間差を設けて揮散させるかは、第1および第2の揮散性成分の種類などを考慮して適宜設定すればよい。例えば、第1および第2の揮散性成分が芳香成分の場合、使用開始から使用中期までは液相に含まれる第2の揮散性成分に由来する芳香成分が揮散し、その後使用終期までは内包体に含まれる第1の揮散性成分に由来する芳香成分が揮散する。さらに、内包体に着色剤が含まれていると、経時的に液相の色調が変化するため、液相の色調変化によって、揮散している成分が変化したことを目視で認識することができる。
本発明に係る揮散性成分の揮散方法によって、第1および第2の揮散性成分を揮散させる期間は、用途に応じて用途に応じて適宜設定され、例えば5時間~1年程度である。揮散させる期間は、フィルムの素材や厚み、液相に含まれる溶剤、内包体や液相に含まれる揮散性成分の量などを適宜変更することによって、調節することができる。
本発明に係る揮散性成分を揮散させるためのキットは、第1の揮散性成分が内包された内包体と、内包体を形成しているフィルムに対して浸食性を有する溶剤および第2の揮散性成分を含む容器とを備えている。本発明に係るキットは、使用する際に内包体を容器内に存在する溶剤(液相)に浸漬させる。本発明に係るキットは、内包体と液相とが分離した状態であれば特に限定されず、例えば、内包体と液相を有する容器とが個別に包装されたような形態であってもよく、隔壁を有する容器に、内包体と液相とが隔壁を介して含むような形態であってもよい。隔壁を用いた形態の場合、使用時に隔壁を除去あるいは壊すことによって、内包体を液相に浸漬させることができる。
本発明に係るキットは、芳香剤、害虫忌避剤、殺虫剤、除菌剤、消臭剤など種々の用途で好適に使用される。本発明に係るキットに含まれる容器の形状は特に限定されず、例えば、本発明に係るキットを芳香剤として使用する場合、一般的な芳香剤などに使用される容器でもよく、意匠性を考慮した容器であってもよい。本発明に係るキットは、リードスティック(吸液芯)をさらに含んでいてもよく、リードスティックを用いたリードディフューザーのような形態で使用してもよい。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
フィルムとしてポリビニルアルコール製のフィルム(水溶性ポバールVF-H#3500、厚さ35μm、(株)クラレ製)を使用した。このフィルムを縦10cmおよび横5cmに切断し、l-メントールの結晶(鈴木薄荷(株)製)1.0gを包んで密閉して内包体を得た。得られた内包体からl-メントールの香りが漏れていないことを確認した。50mL容量のガラス瓶容器(口部径32mm×胴径45mm×高さ78mm)に得られた内包体とエタノール(無水エタノール)35.0gを入れ、内包体とエタノールとを接触させて静置した。静置してから1日後には、容器からl-メントールの香りが発生していた。
(実施例2)
エタノールの代わりにジプロピレングリコールを用いた以外は、実施例1と同様の手順で内包体とエタノールとを接触させて静置した。静置してから約1ヶ月後には、容器からl-メントールの香りが発生していた。
(実施例3)
フィルムとしてポリエチレン製のフィルム(厚さ40μm、(株)生産日本社製)を使用した。このフィルムを縦10cmおよび横5cmに切断し、テルピネオール(長谷川香料(株)製)1.0gを包んで密閉して内包体を得た。得られた内包体からテルピネオールの香りが漏れていないことを確認した。50mL容量のガラス瓶容器(実施例1と同サイズ)に得られた内包体とイソパラフィン(IP1620、出光興産(株)製)を入れ、内包体とイソパラフィンとを接触させて静置した。静置してから5時間後には、容器からテルピネオールの香りが発生していた。
(実施例4)
l-メントールの結晶の代わりに、シトラス系の香料(長谷川香料(株)製)を1.0g用いた以外は実施例1と同様の手順で、内包体とエタノールとを接触させて静置した。静置してから1日後に、容器からシトラス系の香りが発生した。
(実施例5)
l-メントールの結晶の代わりに、テルピネオール(長谷川香料(株)製)を1.0g用いた以外は実施例1と同様の手順で、内包体とエタノールとを接触させて静置した。静置してから1日後には、容器からテルピネオールの香りが発生していた。
(実施例6)
無水ケイ酸(カープレックス#80、エボニックジャパン(株)製)0.2gにテルピネオール1.0gを含浸させて香料組成物を得た。l-メントールの結晶の代わりに、得られた香料組成物を用いた以外は実施例1と同様の手順で、内包体とエタノールとを接触させて静置した。静置してから1日後には、容器からテルピネオールの香りが発生していた。
(実施例7)
粒状パルプ(LBKP(L-材漂白クラフトパルプ)/シリカ(SiO2)、北上製紙(株)製)0.5gにテルピネオール1.0gを含浸させて香料組成物を得た。l-メントールの結晶の代わりに、得られた香料組成物を用いた以外は実施例1と同様の手順で、内包体とエタノールとを接触させて静置した。静置してから1日後には、容器からテルピネオールの香りが発生していた。
(実施例8)
揮散紙(ティッシュ/パルプ繊維/ティッシュ不織布、王子キノクロス(株)製)を2cm×2cm×4mmの大きさに切断した。切断した揮散紙にテルピネオール(長谷川香料(株)製)1.0gを含浸させて香料組成物を得た。l-メントールの結晶の代わりに、得られた香料組成物を用いた以外は実施例1と同様の手順で、内包体とエタノールとを接触させて静置した。静置してから1日後には、容器からテルピネオールの香りが発生していた。
(実施例9)
l-メントールの結晶1.0gおよび0.05gの着色剤(青色1号)を4.0gのエタノール(無水エタノール)に溶解させて溶液を得た。l-メントールの結晶の代わりに、得られた溶液を用いた以外は実施例1と同様の手順で、内包体とエタノールとを接触させて静置した。静置してから1日後には、容器中のエタノールが透明から青色に変色し始め、容器からl-メントールの香りが発生していた。
(実施例10)
テルピネオール1.0gおよび着色剤(青色403号)0.5mgを4.0gのイソパラフィンに溶解させて溶液を得た。l-メントールの結晶の代わりに、得られた溶液を用いた以外は実施例1と同様の手順で内包体を得た。得られた内包体からテルピネオールの香りが漏れていないことを確認した。内包体とは別に、樟脳(福建青松股フン有限公司製(「フン」はにんべんに分))0.02gおよび着色剤(橙色205号)0.05gを35.0gのエタノール(無水エタノール)に溶解させて液相を得た。
得られた内包体および液相を容器に入れて内包体と液相とを接触させ、樟脳の香りを確認した。次いで、容器に吸液芯(アサヒ繊維工業(株)製のポリアクリル芯;直径:2.6mm×長さ:10cm)を入れて静置した。静置してから3日後には、内包体に変化は生じていないものの容器からテルピネオールの香りが発生していた。経時的に、フィルムおよび液相の外観に変化は生じていないものの、吸液芯は静置直後、液相23由来の橙色を呈し、徐々に内包体20に含まれる溶剤由来の青色に変化した。6日後までテルピネオールおよび樟脳の香りを確認することができた。7日後には液相がすべてなくなり、香りもほとんど確認することができなくなった。
(実施例11)
液相において、エタノール(無水エタノール)の代わりに、含水エタノール(エタノール31.5gおよび水3.5g)を用いた以外は実施例10と同様の手順で、図3(A)に示すように、容器に吸液芯24(実施例10と同じ仕様)を入れて静置した。静置してから1日後に、内包体20に含まれる溶剤の一部が容器中に流出し始め、図3(B)に示すように、容器内において液相23と内包体20由来の溶剤とが分離していた。さらに、テルピネオールおよび樟脳の香りを確認することができ、液相23中の着色剤と内包体20由来の溶剤中の着色剤とが一部混合し、液相23および内包体20由来の溶剤は橙色および青色を呈していた。吸液芯24は、静置直後、液相23由来の橙色を呈していたものの、徐々に内包体20由来の青色に変化した。静置してから7日後には、テルピネオールの香りを強く確認することができた。吸液芯24の色の変化で香りの変化を明示することができた。24日後には液相23がすべてなくなり、香りもほとんど確認することができなくなった
(実施例12)
液相において、エタノール(無水エタノール)の代わりに、含水エタノール(エタノール24.5gおよび水10.5g)を用いた以外は実施例10と同様の手順で、図3(A)に示すように、容器に吸液芯24を入れて静置した。静置してから10分後に、内包体20に含まれる溶剤が容器中に流出し始め、図3(B)に示すように、容器内において液相23と内包体20由来の溶剤とが分離していた。さらに、テルピネオールおよび樟脳の香りを確認することができ、液相23中の着色剤と内包体20由来の溶剤中の着色剤とが一部混合し、液相23および内包体20由来の溶剤は橙色および青色を呈していた。吸液芯24は、静置直後、液相23由来の橙色を呈していたものの、徐々に内包体20由来の青色に変化した。静置してから7日後、24日後には、テルピネオールの香りを強く確認することができた。吸液芯24の色の変化で香りの変化を明示することができた。2ヶ月後には、液相23がすべてなくなり、香りもほとんどなくなり、香りもほとんど確認することができなくなった。
1、11、21 第1の揮散性成分を含む組成物
2 フィルム
3、13、23 液相
10、20 内包体
24 吸液芯

Claims (3)

  1. フィルムに少なくとも第1の揮散性成分が内包された内包体を、第1の揮散性成分とは異なる第2の揮散性成分を含む液相に浸漬させる工程を含み、
    フィルムが、ポリビニルアルコール製のフィルムまたはポリエチレン製のフィルムであり、
    液相が、フィルムに対して浸食性を有する溶剤を主として含有し、浸食されたフィルムを介して溶剤が内包体に浸入して第1の揮散性成分を溶解し、
    溶剤が、無水エタノール、含水エタノール、ジプロピレングリコールまたはイソパラフィンであり、
    第1の揮散性成分が、溶剤および第2の揮散性成分の少なくとも一方により浸食されるものの、外観に変化が生じていないフィルムを透過して液相に移動する、
    揮散性成分の揮散方法。
  2. 前記内包体および液相のうち、少なくとも前記内包体に着色剤がさらに含まれる請求項1に記載の揮散方法。
  3. フィルムに少なくとも第1の揮散性成分が内包された内包体と、
    フィルムに対して浸食性を有する溶剤および第1の揮散性成分とは異なる第2の揮散性成分を含む容器と、
    を備え、
    フィルムが、ポリビニルアルコール製のフィルムまたはポリエチレン製のフィルムであり、
    溶剤が、無水エタノール、含水エタノール、ジプロピレングリコールまたはイソパラフィンであり、
    内包体を容器内の溶剤に浸漬させることにより、内包体を構成するフィルムが溶剤および第2の揮散性成分の少なくとも一方により浸食され、
    溶剤が、浸食されたフィルムを介して内包体に浸入し、第1の揮散性成分を溶解し、外観に変化が生じていないフィルムを透過して容器内に移動させる、
    揮散性成分を揮散させるためのキット。
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