以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る障害物検知装置を含む駐車支援システムの要部を示すブロック図である。図2は、実施の形態1に係る障害物検知装置における障害物検知部の要部を示すブロック図である。図3は、実施の形態1に係る障害物検知装置におけるグループ化部の要部を示すブロック図である。図4は、実施の形態1に係る障害物検知装置における識別部の要部を示すブロック図である。図1~図4を参照して、実施の形態1に係る障害物検知装置を含む駐車支援システムについて説明する。
図1に示す如く、車両1は、測距センサ2、障害物検知装置100及び駐車支援装置200を有している。測距センサ2、障害物検知装置100及び駐車支援装置200により、駐車支援システム300の要部が構成されている。
測距センサ2は、TOF(Time of Flight)方式の測距センサにより構成されている。測距センサ2は、例えば、超音波、電波(より具体的にはミリ波)又は光(より具体的にはレーザ光)を用いるものである。以下、測距センサ2により用いられる超音波、電波又は光などを総称して「探査波」という。また、測距センサ2により送信される又は送信された探査波を「送信波」ということがある。また、障害物Oにより反射される又は反射された探査波を「反射波」ということがある。また、測距センサ2により受信される又は受信された探査波を「受信波」ということがある。
測距センサ2は、車両1の左側部に設けられている。または、測距センサ2は、車両1の右側部に設けられている。または、測距センサ2は、車両1の左側部及び車両1の右側部の各々に設けられている。
車両1の左側部に設けられた測距センサ2は、車両1が所定速度(例えば30キロメートル毎時)PV以下の速度Vにて移動しているとき、所定の時間間隔ΔTにて左方領域に探査波を送信するものである。また、車両1の左側部に設けられた測距センサ2は、左方領域内の障害物群OGによる反射波を受信するものである。他方、車両1の右側部に設けられた測距センサ2は、車両1が所定速度PV以下の速度Vにて移動しているとき、所定の時間間隔ΔTにて右方領域に探査波を送信するものである。また、車両1の右側部に設けられた測距センサ2は、右方領域内の障害物群OGによる反射波を受信するものである。
以下、車両1の左側部に測距センサ2が設けられている例を中心に説明する。
ここで、障害物群OGは、0個の障害物O、1個の障害物O又は複数個の障害物Oを含むものである。個々の障害物Oは、例えば、壁、駐車中の他車両(以下「駐車車両」という。)、ガードレール、電柱、ポール、看板、植木、歩行者、自転車、車いす、ベビーカー、縁石、車輪止め又は段差により構成されている。
以下、障害物Oの高さHに対する2個の閾値H_th_1,H_th_2が設定されているとき(H_th_1<H_th_2)、閾値H_th_1未満の高さHを有する障害物Oを「路面障害物」ということがある。また、閾値H_th_1以上かつ閾値H_th_2未満の高さHを有する障害物Oを「路上障害物」ということがある。また、閾値H_th_2以上の高さHを有する障害物Oを「走行障害物」ということがある。
走行障害物は、車両1のバンパ部に接触し得る程度に大きい高さHを有している。走行障害物は、例えば、壁、駐車車両、ガードレール、電柱、ポール、看板、植木、歩行者、自転車、車いす及びベビーカーを含むものである。路上障害物は、車両1のバンパ部に接触し得ない程度に小さい高さHを有しており、かつ、車両1による乗り越えが困難である程度に大きい高さHを有している。路上障害物は、例えば、縁石及び車輪止めを含むものである。路面障害物は、車両1のバンパ部に接触し得ない程度に小さい高さHを有しており、かつ、車両1による乗り越えが容易である程度に小さい高さHを有している。路面障害物は、例えば、段差を含むものである。
また、障害物Oの高さHに対する1個の閾値H_th_3が設定されているとき、閾値H_th_3未満の高さHを有する障害物Oを「低背障害物」ということがある。また、閾値H_th_3以上の高さHを有する障害物Oを「高背障害物」ということがある。
閾値H_th_3は、例えば、閾値H_th_2と同等の値に設定されている。この場合、走行障害物が高背障害物に含まれるものであり、かつ、路上障害物及び路面障害物が低背障害物に含まれるものである。または、例えば、閾値H_th_3は、閾値H_th_1と同等の値に設定されている。この場合、走行障害物及び路上障害物が高背障害物に含まれるものであり、かつ、路面障害物が低背障害物に含まれるものである。
また、障害物Oの幅Wに対する2個の閾値W_th_1,W_th_2が設定されているとき(W_th_1<W_th_2)、閾値W_th_1未満の幅Wを有する障害物Oを「狭幅障害物」ということがある。また、閾値W_th_2以上の幅Wを有する障害物Oを「広幅障害物」ということがある。ここで、幅Wは、車両1の前後方向(すなわち車両1の移動方向)に対する幅である。
広幅障害物は、例えば、壁、ガードレール、縁石及び段差を含むものである。狭幅障害物は、例えば、電柱、ポール、看板、植木、歩行者、自転車、車いす及びベビーカーを含むものである。狭幅障害物の識別に係る閾値W_th_1は、例えば、1メートルに設定されている。
また、狭幅障害物のうちの移動している障害物Oを「動的障害物」ということがある。動的障害物は、例えば、歩行者、自転車、車いす及びベビーカーを含むものである。また、狭幅障害物のうちの静止している障害物Oを「静的障害物」ということがある。静的障害物は、例えば、電柱、ポール、看板及び植木を含むものである。
以下、側方領域LAに障害物群OGが存在している場合において、障害物群OGに複数個の障害物Oが含まれているときの例を中心に説明する。
障害物検知装置100は、例えば、電子制御ユニット(以下「ECU」と記載する。)により構成されている。障害物検知装置100は、障害物検知部11、非連続部検知部12、解析領域抽出部13、グループ化部14、識別部15及び出力部16を有している。駐車支援装置200は、例えば、ECUにより構成されている。駐車支援装置200は、駐車支援制御部21を有している。
障害物検知装置100は、車両1の速度Vを示す情報(以下「車両速度情報」という。)を取得する機能を有している。車両速度情報は、例えば、CAN(Controller Area Network)通信により取得される。障害物検知装置100は、当該取得された車両速度情報を用いて、車両1が所定速度PV以下の速度Vにて移動中であるか否かを判定する機能を有している。
障害物検知装置100は、車両1の位置及び車両1の向きを示す情報(以下「車両位置情報」という。)を取得する機能を有している。車両位置情報は、例えば、CAN通信により取得される。障害物検知装置100には、車両1における測距センサ2の設置位置及び車両1における測距センサ2の設置方向を示す情報(以下「センサ設置位置情報」という。)が予め記憶されている。障害物検知装置100は、当該取得された車両位置情報及び当該記憶されているセンサ設置位置情報を用いて、測距センサ2の位置及び測距センサ2の向きを算出する機能を有している。
または、障害物検知装置100は、車両1のヨーレートを示す情報(以下「ヨーレート情報」という。)及び車両1の操舵角を示す情報(以下「操舵角情報」という。)を取得する機能を有している。ヨーレート情報及び操舵角情報は、例えば、CAN通信により取得される。障害物検知装置100には、センサ設置位置情報が予め記憶されている。障害物検知装置100は、当該取得されたヨーレート情報及び操舵角情報を用いて、車両1の位置及び車両1の向きを算出する機能を有している。障害物検知装置100は、当該記憶されているセンサ設置位置情報を用いて、当該算出された車両1の位置及び車両1の向きに基づき、測距センサ2の位置及び測距センサ2の向きを算出する機能を有している。
以下、車両1が所定速度PV以下の速度Vにて移動中であるか否かを判定する機能を「車両速度判定機能」という。また、測距センサ2の位置及び測距センサ2の向きを算出する機能を「センサ位置算出機能」という。
図2に示す如く、障害物検知部11は、送信信号出力部31、受信信号取得部32、測距値算出部33及び座標値算出部34を有している。
送信信号出力部31は、車両1が所定速度PV以下の速度Vにて移動中であるとき、送信波に対応する電気信号(以下「送信信号」という。)TSを所定の時間間隔ΔTにて測距センサ2に出力するものである。これにより、送信信号出力部31は、測距センサ2に所定の時間間隔ΔTにて送信波を送信させるものである。車両1が所定速度PV以下の速度Vにて移動中であるか否かは、車両速度判定機能により判定される。
受信信号取得部32は、測距センサ2による受信波に対応する電気信号(以下「受信信号」という。)RSを取得するものである。
測距値算出部33は、受信信号RSを用いて、TOF法による測距値Dを算出するものである。TOF法による測距値Dの算出には、公知の種々の技術を用いることができる。これらの技術についての詳細な説明は省略する。
座標値算出部34は、測距値Dを用いて、障害物Oにより探査波が反射された地点(以下「反射点」という。)RPの位置を示す座標値(以下「反射点座標値」ということがある。)C_X,C_Yを算出するものである。座標値C_X,C_Yは、例えば、車両1の前後方向(すなわち車両1の移動方向)に沿う第1軸(以下「X軸」という。)及び車両1の左右方向(すなわち車両1の移動方向に対する直交方向)に沿う第2軸(以下「Y軸」という。)を有する座標系(以下「XY座標系」という。)における座標値である。
具体的には、例えば、座標値算出部34は、以下のようなベクトルを求めることにより座標値C_X,C_Yを算出する。すなわち、座標値算出部34は、対応する探査波が送信された時点における測距センサ2の位置に相当する始点を有し、かつ、当該時点における測距センサ2の向きに相当する向きを有し、かつ、対応する測距値Dに相当する大きさを有するベクトルを求める。このとき、測距センサ2の位置及び測距センサ2の向きは、センサ位置算出機能により算出される。このベクトルは、XY座標系におけるベクトルである。
以下、座標値C_Xを「X座標値」ということがある。また、座標値C_Yを「Y座標値」ということがある。また、X軸に沿う方向を「X方向」ということがある。また、Y軸に沿う方向を「Y方向」又は「奥行き方向」ということがある。また、Y方向について、XY座標系における任意の点に対して、車両1から遠い側を「奥側」ということがある。また、Y方向について、XY座標系における任意の点に対して、車両1に近い側を「手前側」ということがある。
以下、個々の反射点RPに対応する受信信号RSの波形を示す情報を「波形情報」という。また、個々の反射点RPに対応する測距値Dを示す情報を「測距値情報」という。また、個々の反射点RPに対応する座標値C_X,C_Yを示す情報を「座標値情報」という。また、波形情報、測距値情報及び座標値情報を含む情報を「反射点情報」という。障害物検知部11は、反射点情報を非連続部検知部12及び解析領域抽出部13に出力するものである。
以下、障害物検知部11により実行される処理を総称して「障害物検知処理」ということがある。すなわち、障害物検知処理は、送信信号TSを出力する処理、受信信号RSを取得する処理、測距値Dを算出する処理、座標値C_X,C_Yを算出する処理、及び反射点情報を出力する処理などを含むものである。
側方領域LAに障害物群OGが存在している場合において、1個の障害物O又は複数個の障害物Oが障害物群OGに含まれているとき、障害物検知処理が実行されることにより、複数個の反射点RPの各々の位置を示す座標値C_X,C_Yが算出される。換言すれば、障害物群OGに対応する複数個の反射点RPが検知される。これにより、障害物群OGが検知される。
非連続部検知部12は 障害物検知部11により出力された反射点情報を取得するものである。非連続部検知部12は、当該取得された反射点情報を用いて、障害物群OGにおける非連続的な部位(以下「非連続部」という。)DPを検知するものである。非連続部DPの検知方法の具体例については、図10を参照して後述する。非連続部検知部12は、当該検知された非連続部DPを示す情報(以下「非連続部情報」という。)を解析領域抽出部13に出力するものである。
以下、非連続部検知部12により実行される処理を総称して「非連続部検知処理」ということがある。すなわち、非連続部検知処理は、反射点情報を取得する処理、非連続部DPを検知する処理、及び非連続部情報を出力する処理などを含むものである。
解析領域抽出部13は、非連続部検知部12により出力された非連続部情報を取得するものである。解析領域抽出部13は、当該取得された非連続部情報を用いて、グループ化部14による解析用の領域(以下「解析領域」という。)AAを抽出するものである。ここで、解析領域AAは、非連続部DPに基づき側方領域LAを分割してなる領域である。解析領域AAの具体例については、図10を参照して後述する。通常、個々の解析領域AAは、複数個の反射点RPを含むものである。
解析領域抽出部13は、障害物検知部11により出力された反射点情報を取得するものである。解析領域抽出部13は、当該取得された反射点情報のうちの個々の解析領域AAに含まれる複数個の反射点RPに対応する反射点情報をグループ化部14に出力するものである。すなわち、解析領域抽出部13は、解析領域AA毎の反射点情報をグループ化部14に出力するものである。
以下、解析領域抽出部13により実行される処理を総称して「解析領域抽出処理」ということがある。すなわち、解析領域抽出処理は、非連続部情報を取得する処理、解析領域AAを抽出する処理、反射点情報を取得する処理、及び解析領域AA毎の反射点情報を出力する処理などを含むものである。
グループ化部14は、解析領域抽出部13により出力された反射点情報を取得するものである。グループ化部14は、当該取得された反射点情報を用いて、個々の解析領域AAに含まれる複数個の反射点RPをグループ化することにより、個々の解析領域AAにおける個々の障害物Oに対応する反射点群PGを設定するものである。
例えば、複数個の解析領域AAのうちの1個の解析領域AAに1個の障害物Oに対応する複数個の反射点RPが含まれている場合、当該複数個の反射点RPがグループ化されることにより、当該1個の障害物Oに対応する1個の反射点群PGが設定される。また、複数個の解析領域AAのうちの他の1個の解析領域AAに複数個の障害物Oに対応する複数個の反射点RPが含まれている場合、当該複数個の反射点RPがグループ化されることにより、当該複数個の障害物Oと一対一に対応する複数個の反射点群PGが設定される。
ここで、図3に示す如く、グループ化部14は、第1解析部41及び第2解析部42を有している。
第1解析部41は、個々の解析領域AAに対応する反射点情報を用いて、Y座標値C_Yに対する反射点RPの個数を示す度数分布FD_Yを作成するものである。第1解析部41は、当該作成された度数分布FD_Yを解析するものである。より具体的には、第1解析部41は、当該作成された度数分布FD_Yに対するピーク分離処理を実行するものである。これにより、1個以上の度数群FG_Yが設定される。
第2解析部42は、個々の度数群FG_Yに対応する反射点情報を用いて、X座標値C_Xに対する反射点RPの個数を示す度数分布FD_Xを作成するものである。第2解析部42は、当該作成された度数分布FD_Xを解析するものである。より具体的には、第2解析部42は、当該作成された度数分布FD_Xに対するピーク分離処理を実行するものである。これにより、1個以上の度数群FG_Xが設定される。
グループ化部14は、第1解析部41による解析結果及び第2解析部42による解析結果に基づき、個々の障害物Oに対応する反射点群PGを設定するものである。反射点群PGの設定方法の具体例については、図11~図18を参照して後述する。
通常、個々の反射点群PGは、複数個の反射点RPを含むものである。グループ化部14は、上記取得された反射点情報のうちの個々の反射点群PGに含まれる複数個の反射点RPに対応する反射点情報を識別部15に出力するものである。すなわち、グループ化部14は、反射点群PG毎の反射点情報を識別部15に出力するものである。
以下、グループ化部14により実行される処理を総称して「グループ化処理」ということがある。すなわち、グループ化処理は、解析領域AA毎の反射点情報を取得する処理、個々の障害物Oに対応する反射点群PGを設定する処理、及び反射点群PG毎の反射点情報を出力する処理などを含むものである。
識別部15は、グループ化部14により出力された反射点情報を取得するものである。識別部15は、当該取得された反射点情報を用いて、個々の反射点群PGに対応する障害物Oの種別を識別するものである。
ここで、図4に示す如く、識別部15は、幅判断部51、位置判断部52及び高さ判断部53を有している。
幅判断部51は、上記取得された反射点情報を用いて、X方向に対する個々の反射点群PGの幅を判断するものである。これにより、X方向に対する個々の障害物Oの幅Wが判断される。幅判断部51は、当該判断の結果に基づき、個々の障害物Oが広幅障害物であるか否かを判断するものである。また、幅判断部51は、当該判断の結果に基づき、個々の障害物Oが狭幅障害物であるか否かを判断するものである。
位置判断部52は、上記取得された反射点情報を用いて、X方向に対する個々の反射点群PGの位置を判断するものである。これにより、X方向に対する個々の障害物Oの位置が判断される。また、位置判断部52は、上記取得された反射点情報を用いて、奥行き方向に対する個々の反射点群PGの位置を判断するものである。これにより、奥行き方向に対する個々の障害物Oの位置が判断される。
高さ判断部53は、上記取得された反射点情報を用いて、個々の障害物Oの高さHを判断するものである。これにより、例えば、個々の障害物Oが走行障害物、路上障害物又は路面障害物のうちのいずれであるかが判断される。
個々の障害物Oの幅Wの判断には、公知の種々の技術を用いることができる。また、個々の障害物Oの位置の判断には、公知の種々の技術を用いることができる。これらの技術についての詳細な説明は省略する。これに対して、個々の障害物Oの高さHの判断方法の具体例については、図19及び図20を参照して後述する。
識別部15は、これらの判断部(51,52,53)のうちの少なくとも1個の判断部による判断結果に基づき、個々の障害物Oが縁石であるか否かを識別する。個々の障害物Oが縁石であるか否かの識別方法の具体例については後述する。また、識別部15は、これらの判断部(51,52,53)のうちの少なくとも1個の判断部による判断結果に基づき、個々の障害物Oが駐車障害物であるか否かを識別する。個々の障害物Oが駐車障害物であるか否かの識別方法の具体例については後述する。
以下、識別部15により実行される処理を総称して「識別処理」ということがある。すなわち、識別処理は、個々の障害物Oの幅Wを判断する処理、個々の障害物Oの位置を判断する処理、個々の障害物Oの高さHを判断する処理、及び個々の障害物Oの種別を識別する処理などを含むものである。
出力部16は、識別処理の結果を示す信号(以下「識別結果信号」という。)を駐車支援制御部21に出力するものである。
ここで、識別結果信号は、個々の障害物Oが縁石であるか否かを示す情報、個々の障害物Oが駐車障害物であるか否かを示す情報、及び個々の障害物Oの位置を示す情報を含むものである。したがって、障害物群OGに縁石及び駐車障害物が含まれる場合において、縁石及び駐車障害物が互いに近接配置されているとき(すなわち縁石と駐車障害物間の距離が所定距離以下であるとき)、識別結果信号は、少なくとも駐車障害物の位置を示すものである。
以下、出力部16により実行される処理を総称して「出力処理」ということがある。すなわち、出力処理は、識別結果信号を出力する処理などを含むものである。
駐車支援制御部21は、出力部16により出力された識別結果信号を取得するものである。駐車支援制御部21は、当該取得された識別結果信号を用いて、側方領域LAにおける駐車スペースを検知するものである。駐車支援制御部21は、当該検知された駐車スペースに対する駐車支援制御を実行するものである。具体的には、例えば、駐車支援制御部21は、いわゆる「自動駐車」を実現するための制御を実行するものである。駐車支援制御には、公知の種々の技術を用いることができる。これらの技術についての詳細な説明は省略する。
次に、図5及び図6を参照して、障害物検知装置100の要部のハードウェア構成について説明する。
図5に示す如く、障害物検知装置100は、プロセッサ61及びメモリ62を有している。メモリ62には、障害物検知部11、非連続部検知部12、解析領域抽出部13、グループ化部14、識別部15及び出力部16の機能を実現するためのプログラムが記憶されている。かかるプログラムをプロセッサ61が読み出して実行することにより、障害物検知部11、非連続部検知部12、解析領域抽出部13、グループ化部14、識別部15及び出力部16の機能が実現される。
または、図6に示す如く、障害物検知装置100は、処理回路63を有している。この場合、障害物検知部11、非連続部検知部12、解析領域抽出部13、グループ化部14、識別部15及び出力部16の機能が専用の処理回路63により実現される。
または、障害物検知装置100は、プロセッサ61、メモリ62及び処理回路63を有している(不図示)。この場合、障害物検知部11、非連続部検知部12、解析領域抽出部13、グループ化部14、識別部15及び出力部16の機能のうちの一部の機能がプロセッサ61及びメモリ62により実現されるとともに、残余の機能が専用の処理回路63により実現される。
プロセッサ61は、1個又は複数個のプロセッサにより構成されている。個々のプロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ又はDSP(Digital Signal Processor)を用いたものである。
メモリ62は、1個又は複数個の不揮発性メモリにより構成されている。または、メモリ62は、1個又は複数個の不揮発性メモリ及び1個又は複数個の揮発性メモリにより構成されている。すなわち、メモリ62は、1個又は複数個のメモリにより構成されている。個々のメモリは、例えば、半導体メモリ又は磁気ディスクを用いたものである。より具体的には、個々の揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)を用いたものである。また、個々の不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ソリッドステートドライブ又はハードディスクドライブを用いたものである。
処理回路63は、1個又は複数個のデジタル回路により構成されている。または、処理回路63は、1個又は複数個のデジタル回路及び1個又は複数個のアナログ回路により構成されている。すなわち、処理回路63は、1個又は複数個の処理回路により構成されている。個々の処理回路は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、SoC(System on a Chip)又はシステムLSI(Large Scale Integration)を用いたものである。
次に、図7及び図8を参照して、駐車支援装置200の要部のハードウェア構成について説明する。
図7に示す如く、駐車支援装置200は、プロセッサ71及びメモリ72を有している。メモリ72には、駐車支援制御部21の機能を実現するためのプログラムが記憶されている。かかるプログラムをプロセッサ71が読み出して実行することにより、駐車支援制御部21の機能が実現される。
または、図8に示す如く、駐車支援装置200は、処理回路73を有している。この場合、駐車支援制御部21の機能が専用の処理回路73により実現される。
または、駐車支援装置200は、プロセッサ71、メモリ72及び処理回路73を有している(不図示)。この場合、駐車支援制御部21の機能のうちの一部の機能がプロセッサ71及びメモリ72により実現されるとともに、残余の機能が専用の処理回路73により実現される。
プロセッサ71は、1個又は複数個のプロセッサにより構成されている。個々のプロセッサは、例えば、CPU、GPU、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ又はDSPを用いたものである。
メモリ72は、1個又は複数個の不揮発性メモリにより構成されている。または、メモリ72は、1個又は複数個の不揮発性メモリ及び1個又は複数個の揮発性メモリにより構成されている。すなわち、メモリ72は、1個又は複数個のメモリにより構成されている。個々のメモリは、例えば、半導体メモリ又は磁気ディスクを用いたものである。より具体的には、個々の揮発性メモリは、例えば、RAMを用いたものである。また、個々の不揮発性メモリは、例えば、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM、ソリッドステートドライブ又はハードディスクドライブを用いたものである。
処理回路73は、1個又は複数個のデジタル回路により構成されている。または、処理回路73は、1個又は複数個のデジタル回路及び1個又は複数個のアナログ回路により構成されている。すなわち、処理回路73は、1個又は複数個の処理回路により構成されている。個々の処理回路は、例えば、ASIC、PLD、FPGA、SoC又はシステムLSIを用いたものである。
次に、図9を参照して、駐車支援システム300の動作について、障害物検知装置100及び駐車支援装置200の動作を中心に説明する。
まず、障害物検知部11が障害物検知処理を実行する(ステップST1)。次いで、非連続部検知部12が非連続部検知処理を実行する(ステップST2)。次いで、解析領域抽出部13が解析領域抽出処理を実行する(ステップST3)。次いで、グループ化部14がグループ化処理を実行する(ステップST4)。次いで、識別部15が識別処理を実行する(ステップST5)。次いで、出力部16が出力処理を実行する(ステップST6)。次いで、駐車支援制御部21が駐車支援制御を実行する(ステップST7)。
次に、図10を参照して、非連続部検知部12による非連続部DPの検知方法の具体例について説明する。また、解析領域抽出部13により抽出される解析領域AAの具体例について説明する。
いま、図10Aに示す如く、側方領域LAに4個の障害物O_1~O_4が存在している。障害物O_1,O_2の各々は、駐車車両により構成されている。障害物O_3は、縁石により構成されている。障害物O_4は、電柱又はポールにより構成されている。図中、TRは、所定速度PV以下の速度Vによる車両1の移動経路を示している。
この場合、障害物検知処理が実行されることにより、障害物群OGに対応する複数個の反射点RP_1,RP_2,RP_3,RP_4が検知される。具体的には、例えば、障害物O_1に対応する10個の反射点RP_1、障害物O_2に対応する10個の反射点RP_2、障害物O_3に対応する12個の反射点RP_3、及び障害物O_4に対応する4個の反射点RP_4が検知される。
ここで、探査波は、空気中を次第に広がりながら伝搬する。このため、測距センサ2により送信されてから測距センサ2により受信されるまでの探査波の伝搬経路(いわゆる「パス」)は、複数存在し得るものである。
上記のとおり、測距センサ2は、探査波を所定の時間間隔ΔTにて送信する。測距センサ2が探査波を1回送信したとき、当該送信された探査波がN個の障害物Oにより順次反射されることがある。これにより、第1番目~第N番目の反射波が順次受信されることがある。以下、第1番目~第N番目の反射波のうちの第n番目の反射波を「第n波」という。ここで、Nは、2以上の任意の整数である。また、nは、1~Nのうちの任意の整数である。
例えば、測距センサ2が探査波を1回送信したとき、当該送信された探査波が2個の障害物O_3,O_4により順次反射されることがある。これにより、第1波及び第2波が順次受信される。
通常、車両1における測距センサ2の設置高さは、路面に対する数十センチメートル程度の高さに設定されている。このため、小さい高さHを有する障害物O(例えば路上障害物又は路面障害物)については、測距センサ2が探査波を送信したとき、当該送信された探査波が照射されないことがある。この結果、小さい高さHを有する障害物Oについては、測距センサ2により反射波が受信されないことがある。
このため、小さい高さHを有する障害物Oに対する奥側に大きい高さHを有する障害物O(例えば走行障害物)が存在するとき、大きい高さHを有する障害物Oに対応する複数個の反射点RPには、第1波に対応する1個以上の反射点RPと第2波に対応する1個以上の反射点RPとが含まれる状態となることがある。
図10Aに示す例においては、障害物O_4に対応する4個の反射点RP_4に、第1波に対応する1個の反射点RP_4と第2波に対応する3個の反射点RP_4とが含まれている。すなわち、図中、丸印(○)は、第1波に対応する個々の反射点RPを示している。また、図中、三角印(△)は、第2波に対応する個々の反射点RPを示している。
以下、障害物群OGに対応する複数個の反射点RPのうちの第n波に対応する複数個の反射点RPのうちの互いに隣接する各2個の反射点RP間の距離dを「反射点間距離」という。反射点間距離dは、XY座標系におけるユークリッド距離である。図10Bは、第1波に対応する複数個の反射点RPについて、時間に対する反射点間距離dの例を示している。ここで、時間軸は、XY座標系におけるX軸に対応している。
非連続部検知部12は、反射点間距離dを算出する。非連続部検知部12は、当該算出された反射点間距離dについて、以下の条件(以下「第1条件」という。)が満たされたとき、非連続部DPを検知する。すなわち、第1条件は、反射点間距離dが所定の閾値d_thを超えるという条件である。
図10Bに示す例においては、時刻t_1にて反射点間距離dが閾値d_thを超える。これにより、1個の非連続部DP_1が検知される。次いで、時刻t_2にて反射点間距離dが閾値d_thを超える。これにより、1個の非連続部DP_2が検知される。
すなわち、図10に示す例においては、2個の非連続部DP_1,DP_2が検知される。2個の非連続部DP_1,DP_2により、側方領域LAが3個の領域に分割される。これにより、3個の解析領域AA_1,AA_2,AA_3が抽出される。
次に、図11~図18を参照して、グループ化部14による反射点群PGの設定方法の具体例について説明する。
図11は、1個の解析領域AA_2に含まれる複数個の反射点RP_3,RP_4の例を示している。図11に示す如く、障害物O_3に対応する14個の反射点RP_3及び障害物O_4に対応する4個の反射点RP_4が解析領域AA_2に含まれている。
この場合、まず、第1解析部41は、解析領域AA_2について、複数個の反射点RP_3,RP_4に係る度数分布FD_Yを作成する。図12は、度数分布FD_Yの例を示している。図12に示す如く、度数分布FD_Yは、複数個の反射点RP_3に対応する度数(図中F_Y_1)及び複数個の反射点RP_4に対応する度数(図中F_Y_2)を含むものとなる。第1解析部41は、度数分布FD_Yに対するピーク分離処理を実行する。これにより、2個の度数群FG_Y_1,FG_Y_2が設定される。すなわち、度数群FG_Y_1は、複数個の反射点RP_3に対応するものである。また、度数群FG_Y_2は、複数個の反射点RP_4に対応するものである。
次いで、第2解析部42は、度数群FG_Y_1に対応する複数個の反射点RP_3に係る度数分布FD_X_1を作成する。図13は、度数分布FD_X_1の例を示している。図13に示す如く、度数分布FD_X_1は、複数個の反射点RP_3に対応する度数(図中F_X_1)を含むものとなる。第2解析部42は、度数分布FD_X_1に対するピーク分離処理を実行する。これにより、1個の度数群FG_X_1が設定される。すなわち、度数群FG_X_1は、複数個の反射点RP_3に対応するものである。
次いで、第2解析部42は、度数群FG_Y_2に対応する複数個の反射点RP_4に係る度数分布FD_X_2を作成する。図14は、度数分布FD_X_2の例を示している。図14に示す如く、度数分布FD_X_2は、複数個の反射点RP_4に対応する度数(図中F_X_2)を含むものとなる。第2解析部42は、度数分布FD_X_2に対するピーク分離処理を実行する。これにより、1個の度数群FG_X_2が設定される。すなわち、度数群FG_X_2は、複数個の反射点RP_4に対応するものである。
次いで、グループ化部14は、度数群FG_Y_1及び度数群FG_X_1に対応する1個の反射点群PG_1を設定する。また、グループ化部14は、度数群FG_Y_2及び度数群FG_X_2に対応する1個の反射点群PG_2を設定する。これにより、図11に示す如く、2個の障害物O_3,O_4と一対一に対応する2個の反射点群PG_1,PG_2が設定される。
図15は、1個の解析領域AA_2に含まれる複数個の反射点RP_3,RP_4,RP_5の例を示している。図11に示す如く、障害物O_3に対応する21個の反射点RP_3、障害物O_4に対応する4個の反射点RP_4、及び障害物O_5に対応する4個の反射点RP_5が解析領域AA_2に含まれている。障害物O_5は、例えば、看板により構成されている。
この場合、まず、第1解析部41は、解析領域AA_2について、複数個の反射点RP_3,RP_4,RP_5に係る度数分布FD_Yを作成する。図16は、度数分布FD_Yの例を示している。図16に示す如く、度数分布FD_Yは、複数個の反射点RP_3に対応する度数(図中F_Y_1)及び複数個の反射点RP_4,RP_5に対応する度数(図中F_Y_2)を含むものとなる。第1解析部41は、度数分布FD_Yに対するピーク分離処理を実行する。これにより、2個の度数群FG_Y_1,FG_Y_2が設定される。すなわち、度数群FG_Y_1は、複数個の反射点RP_3に対応するものである。また、度数群FG_Y_2は、複数個の反射点RP_4,RP_5に対応するものである。
次いで、第2解析部42は、度数群FG_Y_1に対応する複数個の反射点RP_3に係る度数分布FD_X_1を作成する。図17は、度数分布FD_X_1の例を示している。図17に示す如く、度数分布FD_X_1は、複数個の反射点RP_3に対応する度数(図中F_X_1)を含むものとなる。第2解析部42は、度数分布FD_X_1に対するピーク分離処理を実行する。これにより、1個の度数群FG_X_1が設定される。すなわち、度数群FG_X_1は、複数個の反射点RP_3に対応するものである。
次いで、第2解析部42は、度数群FG_Y_2に対応する複数個の反射点RP_4,RP_5に係る度数分布FD_X_2を作成する。図18は、度数分布FD_X_2の例を示している。図18に示す如く、度数分布FD_X_2は、複数個の反射点RP_4に対応する度数(図中F_X_2_1)及び複数個の反射点RP_5に対応する度数(図中F_X_2_2)を含むものとなる。第2解析部42は、度数分布FD_X_2に対するピーク分離処理を実行する。これにより、2個の度数群FG_X_2_1,FG_X_2_2が設定される。すなわち、度数群FG_X_2_1は、複数個の反射点RP_4に対応するものである。また、度数群FG_X_2_2は、複数個の反射点RP_5に対応するものである。
次いで、グループ化部14は、度数群FG_Y_1及び度数群FG_X_1に対応する1個の反射点群PG_1を設定する。また、グループ化部14は、度数群FG_Y_2及び度数群FG_X_2_1に対応する1個の反射点群PG_2_1を設定する。また、グループ化部14は、度数群FG_Y_2及び度数群FG_X_2_2に対応する1個の反射点群PG_2_2を設定する。これにより、図15に示す如く、3個の障害物O_3,O_4,O_5と一対一に対応する3個の反射点群PG_1,PG_2_1,PG_2_2が設定される。
ここで、第1解析部41及び第2解析部42の各々におけるピーク分離処理には、公知の種々の技術を用いることができる。例えば、度数Fが連続的に所定値を超えている範囲が1個の度数群FGとして抽出されるものであっても良い。また、例えば、k近傍法等のクラスタリング手法が用いられるものであっても良い。
次に、図19及び図20を参照して、高さ判断部53による個々の障害物Oの高さHの判断方法の具体例について説明する。
高さ判断部53は、個々の反射点RPに対応する反射点情報に含まれる波形情報を用いて、個々の反射点RPに対応する受信信号RSの強度(以下「受信信号強度」という。)SSに関する2個の特徴量FA1,FA2を検知する。特徴量FA1,FA2の各々は、受信信号強度SSに対する相関を有するものである。
以下、特徴量FA1を「第1特徴量」という。また、特徴量FA2を「第2特徴量」という。また、時間に対する受信信号強度SSを示す波形を「受信信号波形」という。図19は、受信信号波形の例を示している。
具体的には、例えば、高さ判断部53は、受信信号波形における受信信号強度SSが所定の閾値SS_thを超えている部位の幅(以下「波形幅」という。)WWを検知する。高さ判断部53は、当該検知された波形幅WWを第1特徴量FA1又は第2特徴量FA2に用いる。
また、例えば、高さ判断部53は、受信信号波形における受信信号強度SSが閾値SS_thを超えている部位の面積(以下「波形面積」という。)WAを検知する。高さ判断部53は、当該検知された波形面積WAを第1特徴量FA1又は第2特徴量FA2に用いる。
また、例えば、高さ判断部53は、受信信号波形における受信信号強度SSが閾値SS_thを超えている部位の高さの最大値(以下「波形高さ」という。)WHを検知する。高さ判断部53は、当該検知された波形高さWHを第1特徴量FA1又は第2特徴量FA2に用いる。
すなわち、高さ判断部53は、個々の反射点RPについて、波形幅WW、波形面積WA及び波形高さWHのうちのいずれか2個の値を検知する。高さ判断部53は、当該検知された2個の値のうちの1個の値を第1特徴量FA1に用いるとともに、当該検知された2個の値のうちの他の1個の値を第2特徴量FA2に用いる。
上記のとおり、個々の反射点群PGは、複数個の反射点RPを含むものである。このため、個々の反射点群PGについて、複数個の反射点RPに対応する複数個の第1特徴量FA1が検知されるとともに、複数個の反射点RPに対応する複数個の第2特徴量FA2が検知される。高さ判断部53は、個々の反射点群PGについて、対応する複数個の第1特徴量FA1による統計量(以下「第1統計量」ということがある。)S1を算出する。また、高さ判断部53は、個々の反射点群PGについて、対応する複数個の第2特徴量FA2による統計量(以下「第2統計値」ということがある。)S2を算出する。
ここで、第1統計量S1には、種々の統計量を用いることができる。例えば、第1統計量S1には、複数個の第1特徴量FA1による瞬時値、平均値、分散値又は中央値を用いることができる。または、例えば、第1統計量S1には、これらの値のうちの任意の2個以上の値を組み合わせてなる値を用いることができる。
同様に、第2統計量S2には、種々の統計量を用いることができる。例えば、第2統計量S2には、複数個の第2特徴量FA2による瞬時値、平均値、分散値又は中央値を用いることができる。または、例えば、第2統計量S2には、これらの値のうちの任意の2個以上の値を組み合わせてなる値を用いることができる。
以下、第1統計量S1に対応する第1軸を有し、かつ、第2統計量S2に対応する第2軸を有する座標系を「特徴量座標系」という。高さ判断部53には、特徴量座標系における閾値S_th_1,S_th_2が予め設定されている。図20は、閾値S_th_1,S_th_2の例を示している。ここで、閾値S_th_1は、路面障害物と路上障害物との識別に係る閾値H_th_1に対応するものである。また、閾値S_th_2は、路上障害物と走行障害物との識別に係る閾値H_th_2に対応するものである。
高さ判断部53は、個々の反射点群PGに対応する統計量S1,S2を特徴量座標系にプロットする。当該プロットされた統計量S1,S2が閾値S_th_1以下の範囲R_1に含まれる場合、高さ判断部53は、対応する障害物Oが路面障害物であると判断する。当該プロットされた統計量S1,S2が閾値S_th_1,S_th_2間の範囲R_2に含まれる場合、高さ判断部53は、対応する障害物Oが路上障害物であると判断する。当該プロットされた統計量S1,S2が閾値S_th_2以上の範囲R_3に含まれる場合、高さ判断部53は、対応する障害物Oが走行障害物であると判断する。
例えば、ある1個の反射点群PGに対応する統計量S1_1,S2_1が範囲R_1に含まれる場合(図20参照)、高さ判断部53は、対応する障害物Oが路面障害物であると判別する。また、他の1個の反射点群PGに対応する統計量S1_2,S2_2が範囲R_2に含まれる場合(図20参照)、高さ判断部53は、対応する障害物Oが路上障害物であると判別する。また、他の1個の反射点群PGに対応する統計量S1_3,S2_3が範囲R_3に含まれる場合(図20参照)、高さ判断部53は、対応する障害物Oが走行障害物であると判別する。
次に、識別部15による個々の障害物Oが縁石であるか否かの識別方法の具体例について説明する。また、識別部15による個々の障害物Oが駐車障害物であるか否かの識別方法の具体例について説明する。
〈縁石に係る識別方法の具体例〉
ある障害物Oについて、幅判断部51により広幅障害物であると判断されて、かつ、高さ判断部53により路上障害物であると判断されたものとする。この場合、識別部15は、この障害物Oが縁石であると識別する。そうでない場合、識別部15は、この障害物Oが縁石でないと識別する。
〈駐車障害物に係る判断方法の第1具体例〉
ある障害物Oについて、高さ判断部53により走行障害物であると判断されたものとする。この場合、識別部15は、この障害物Oが駐車障害物であると判断する。そうでない場合、識別部15は、この障害物Oが駐車障害物でないと識別する。
すなわち、側方領域LAにおける走行障害物は、車両1の駐車の妨げとなる蓋然性が高い。そこで、識別部15は、かかる走行障害物が駐車障害物であると識別するのである。
〈駐車障害物に係る判断方法の第2具体例〉
第1の障害物Oについて、幅判断部51により広幅障害物であると判断されて、かつ、高さ判断部53により路上障害物又は路面障害物であると判断されたものとする。また、第2の障害物Oについて、幅判断部51により狭幅障害物であると判断されたものとする。また、位置判断部52により、第1の障害物Oに対する奥側に第2の障害物Oが位置していると判断されたものとする。
この場合、識別部15は、第1の障害物Oが駐車障害物でないと識別するとともに、第2の障害物Oが駐車障害物であると識別する。換言すれば、識別部15は、高さ判断部53による第2の障害物Oの高さHの判断結果にかかわらず、第2の障害物Oが駐車障害物であると識別する。
すなわち、狭幅障害物については、対応する反射点RPの個数が少ないことにより、高さ判断部53による高さHの判断精度が低下する可能性がある。他方、通常、縁石又は段差に対する奥側に位置する狭幅障害物は、走行障害物(例えば電柱、ポール又は看板)である蓋然性が高い。そこで、識別部15は、第2の障害物Oについて、高さHの判断結果にかかわらず、駐車障害物であると識別するのである。
〈駐車障害物に係る判断方法の第3具体例〉
第1の障害物Oについて、幅判断部51により広幅障害物であると判断されたものとする。また、位置判断部52により、第1の障害物Oに対する奥側に第2の障害物Oが位置していると判断されたものとする。
この場合、識別部15は、第1の障害物Oが駐車障害物でないと識別する。換言すれば、識別部15は、高さ判断部53による第1の障害物Oの高さHの判断結果にかかわらず、第1の障害物Oが駐車障害物でないと識別する。
すなわち、通常、走行障害物は、車両1における測距センサ2の取付け高さよりも大きい高さHを有している。このため、広幅障害物に対する奥側に他の障害物が存在する場合において、当該広幅障害物が走行障害物であるとき、当該他の障害物による反射波が測距センサ2により受信されることはないと考えられる。そこで、識別部15は、第1の障害物Oについて、高さHの判断結果にかかわらず、駐車障害物でないと識別するのである。
次に、図21を参照して、障害物検知装置100の効果について、グループ化部14の効果を中心に説明する。
通常、2個の障害物O間におけるY方向に対する反射点間距離d_Yは、実空間における当該2個の障害物Oの位置に応じて定まるものである。これに対して、個々の障害物OにおけるX方向に対する反射点間距離d_Xは、車両1の速度Vに応じて定まるものであり、かつ、測距センサ2により探査波が送信される時間間隔ΔTに応じて定まるものである。すなわち、車両1の速度Vが低いほど、反射点間距離d_Xが小さくなることにより、X方向に対する反射点RPの配置が密になる。他方、車両1の速度Vが高いほど、反射点間距離d_Xが大きくなることにより、X方向に対する反射点RPの配置が疎になる。また、時間間隔ΔTが小さいほど、反射点間距離d_Xが小さくなることにより、X方向に対する反射点RPの配置が密になる。他方、時間間隔ΔTが大きいほど、反射点間距離d_Xが大きくなることにより、X方向に対する反射点RPの配置が疎になる。
例えば、図21に示す例において、反射点RP_3_1,RP_4_1間の反射点間距離d_Y、すなわち反射点RP_3_2,RP_4_2間の反射点間距離d_Yは、実空間における障害物O_3,O_4の位置に応じて定まるものである。これに対して、反射点RP_3_1,RP_3_2間の反射点間距離d_X、すなわち反射点RP_4_1,RP_4_2間の反射点間距離d_Xは、速度Vに応じて定まるものであり、かつ、時間間隔ΔTに応じて定まるものである。
ここで、X方向に対する反射点RPの配置が疎であるとき、図21に示す如く、反射点間距離d_Xが反射点間距離d_Yよりも大きくなることがある。換言すれば、反射点間距離d_Yが反射点間距離d_Xよりも小さくなることがある。
従来の障害物検知装置におけるグループ化部は、互いに隣接する各2個の反射点RPについて、反射点間距離dが小さいときは当該2個の反射点RPを互いに同一の反射点群PGに含めるものであり、かつ、反射点間距離dが大きいときは当該2個の反射点RPを互いに異なる反射点群PGに含めるものであった。
このため、図21に示す例において、反射点間距離d_Yが小さいことにより、反射点RP_3_1,RP_3_2と反射点RP_4_1,RP_4_2とが互いに同一の反射点群PGに含まれることがあるという問題があった。また、反射点間距離d_Xが大きいことにより、反射点RP_3_1と反射点RP_3_2とが互いに異なる反射点群PGに含まれるとともに、反射点RP_4_1と反射点RP_4_2とが互いに異なる反射点群PGに含まれることがあるという問題があった。すなわち、個々の障害物Oに対応する反射点群PGを正確に設定することができないという問題があった。
これに対して、障害物検知装置100におけるグループ化部14は、上記のとおり、個々の解析領域AAにおいて、度数分布FD_Y,FD_Xの各々に対するピーク分離処理を実行することにより反射点群PGを設定するものである。これにより、個々の解析領域AAにおいて、個々の障害物Oに対応する反射点群PGを正確に設定することができる。例えば、図21に示す例においても、2個の障害物O_3,O_4と一対一に対応する2個の反射点群PGを設定することができる。
すなわち、側方領域LAにて縁石(O_3)と駐車障害物(O_4)とが互いに近接配置されている場合であっても、縁石に対応する反射点群PGと駐車障害物に対応する反射点群PGとを設定することができる。
なお、上記のとおり、非連続部検知処理においては、第n波(例えば第1波)に対応する複数個の反射点RPが用いられるものであった。これに対して、反射点群設定処理においては、第1波~第N波に対応する複数個の反射点RPを用いるのが好適である。これにより、個々の障害物Oに対応する反射点群PGを更に正確に設定することができる。
次に、図22を参照して、非連続部検知部12の変形例について説明する。
上記のとおり、非連続部検知部12は、第n波に対応する複数個の反射点RPにおける反射点間距離dを非連続部検知処理に用いるものであれば良い。すなわち、非連続部検知部12は、第1波に対応する複数個の反射点RPに代えて、第2波に対応する複数個の反射点RP又は第3波に対応する複数個の反射点RPにおける反射点間距離dを非連続部検知処理に用いるものであっても良い。
例えば、図22に示す如く、側方領域LAに5個の障害物O_1~O_4,O_6が存在しているものとする。障害物O_6は、例えば、段差により構成されている。図中、四角印(□)は、第3波に対応する個々の反射点RPを示している。
この場合、第1波に対応する複数個の反射点RPにおける反射点間距離dが非連続部検知処理に用いられる場合、非連続部DP_1,DP_2が検知されないことがある。これに対して、第2波に対応する複数個の反射点RPにおける反射点間距離dを用いることにより、2個の非連続部DP_1,DP_2を検知することができる。したがって、第2波に対応する複数個の反射点RPにおける反射点間距離dを用いるのが好適である。
なお、非連続部検知部12は、第n波に対応する複数個の反射点RPにおける反射点間距離dを非連続部検知処理に用いるのに代えて、第1波~第N波の各々に対応する複数個の反射点RPにおける反射点間距離dを非連続部検知処理に用いるものであっても良い。これにより、非連続部DPをより確実に検知することができる。
次に、図23を参照して、非連続部検知部12の他の変形例について説明する。
非連続部検知処理は、第1条件によるものに限定されるものではない。非連続部検知部12は、以下のようにして非連続部DPを検知するものであっても良い。
いま、図23Aに示す如く、側方領域LAに5個の障害物O_1~O_4,O_6が存在している。この場合、障害物検知処理が実行されることにより、障害物群OGに対応する複数個の反射点RP_1,RP_2,RP_3,RP_4,RP_6が検知される。具体的には、例えば、障害物O_1に対応する9個の反射点RP_1、障害物O_2に対応する9個の反射点RP_2、障害物O_3に対応する12個の反射点RP_3、障害物O_4に対応する4個の反射点RP_4、及び障害物O_6に対応する26個の反射点RP_6が検知される。
非連続部検知部12は、各回の送信波に対応する1個以上の測距値Dにおける分散値sを算出する。非連続部検知部12は、当該算出された分散値sに対する時間微分をすることにより、当該算出された分散値sの変化量Δsを算出する。図23Bは、時間に対する分散値sの例を示している。図23Cは、時間に対する変化量Δsの例を示している。上記のとおり、時間軸は、X軸に対応している。
非連続部検知部12は、当該算出された変化量Δsについて、以下の条件(以下「第2条件」という。)が満たされたとき、非連続部DPを検知する。すなわち、第2条件は、変化量Δsが所定の閾値Δs_thを超えるという条件である。
図23に示す例において、障害物O_6,O_1による反射波(第1波及び第2波を含む。)に対応する測距値Dの分散値sは、障害物O_6,O_3による反射波(第1波及び第2波を含む。)に対応する測距値Dの分散値sよりも小さく、かつ、障害物O_6,O_3,O_4による反射波(第1波、第2波及び第3波を含む。)に対応する測距値Dの分散値sよりも小さい。また、障害物O_6,O_2による反射波(第1波及び第2波を含む。)に対応する測距値Dの分散値sは、障害物O_6,O_3による反射波(第1波及び第2波を含む。)に対応する測距値Dの分散値sよりも小さく、かつ、障害物O_6,O_3,O_4による反射波(第1波、第2波及び第3波を含む。)に対応する測距値Dの分散値sよりも小さい。
これにより、時刻t_1にて第2条件が満たされて、1個の非連続部DP_1が検知される。次いで、時刻t_2にて第2条件が満たされて、1個の非連続部DP_2が検知される。すなわち、2個の非連続部DP_1,DP_2が検知される。
なお、分散値sは、第1波~第N波の全てに対応する測距値Dの分散値であっても良く、又は、第1波~第N波のうちの任意の2以上の第n波に対応する測距値Dの分散値であっても良い。ただし、小さい高さHを有する障害物O(例えば縁石又は段差)による反射波に対応する測距値Dをより確実に分散値sの算出に含める観点から、第1波~第N波の全てに対応する測距値Dの分散値を用いるのがより好適である。
次に、非連続部検知部12の他の変形例について説明する。
非連続部検知処理は、第1条件又は第2条件によるものに限定されるものではない。非連続部検知部12は、以下のようにして非連続部DPを検知するものであっても良い。
すなわち、非連続部検知部12は、直前の非連続部DPが検知された時点から現時点までの間に障害物検知部11により算出された複数組の反射点座標値(以下「第1反射点座標値」ということがある。)C_X,C_Yについて、XY座標系における回帰直線又は回帰曲線を算出する。回帰曲線は、例えば、円弧状又は放物線状の曲線である。回帰直線又は回帰曲線の算出には、公知の種々の技術(例えば最小二乗法)を用いることができる。
次いで、非連続部検知部12は、当該算出された回帰直線又は回帰曲線と、障害物検知部11により新たに算出された少なくとも1組の反射点座標値(以下「第2反射点座標値」ということがある。)C_X,C_Yとの距離を算出する。非連続部検知部12は、当該算出された距離を所定の閾値と比較する。非連続部検知部12は、当該算出された距離が閾値を超えている場合、この距離に対応する時点を非連続部DPとして検知する。
このとき、閾値は、例えば、いわゆる「残差分布」に対する定数倍の値に設定される。残差分布は、回帰直線又は回帰曲線の周囲における複数組の第1反射点座標値C_X,C_Yの分布のばらつきの程度を示すものである。
ここで、回帰直線又は回帰曲線は、算出済みの複数組の第1反射点座標値C_X,C_Yにおける連続性に基づく未算出の第2反射点座標値C_X,C_Yの予測値に対応している。また、回帰直線又は回帰曲線と第2反射点座標値C_X,C_Yとの距離は、当該予測値に係る残差に対応している。
すなわち、非連続部検知部12は、当該予測値に係る残差を示す値(以下「残差値」という。)が所定の閾値を超えるという条件(以下「第3条件」という。)が満たされたとき、非連続部DPを検知するものである。これにより、例えば、複数個の反射点RPが曲線状に配置されている場合であっても、非連続部DPを検知することができる。
次に、非連続部検知部12の他の変形例について説明する。
非連続部検知部12は、第1条件及び第2条件が満たされたとき、非連続部DPを検知するものであっても良い。または、非連続部検知部12は、第1条件及び第3条件が満たされたとき、非連続部DPを検知するものであっても良い。または、非連続部検知部12は、第2条件及び第3条件が満たされたとき、非連続部DPを検知するものであっても良い。または、非連続部検知部12は、第1条件、第2条件及び第3条件が満たされたとき、非連続部DPを検知するものであっても良い。すなわち、非連続部検知部12は、複数個の条件により非連続部DPを検知するものであっても良い。
または、非連続部検知部12は、第1条件及び第2条件のうちの少なくとも一方が満たされたとき、非連続部DPを検知するものであっても良い。または、非連続部検知部12は、第1条件及び第3条件のうちの少なくとも一方が満たされたとき、非連続部DPを検知するものであっても良い。または、非連続部検知部12は、第2条件及び第3条件のうちの少なくとも一方が満たされたとき、非連続部DPを検知するものであっても良い。または、非連続部検知部12は、第1条件、第2条件及び第3条件のうちの少なくとも一つが満たされたとき、非連続部DPを検知するものであっても良い。すなわち、非連続部検知部12は、複数個の条件により非連続部DPを検知するものであっても良い。
または、非連続部検知部12は、第1条件、第2条件及び第3条件のうちの少なくとも二つが満たされたとき、非連続部DPを検知するものであっても良い。すなわち、非連続部検知部12は、複数個の条件による多数決の結果に基づき非連続部DPを検知するものであっても良い。
このように、複数個の条件を用いることにより、非連続部DPの検知精度を向上することができる。換言すれば、非連続部DPを正確に検知することができる。
次に、解析領域抽出部13の変形例について説明する。
解析領域抽出部13は、非連続部検知部12により非連続部DPが検知されない状態にて所定時間又は所定距離が経過したとき、非連続部DPにかかわらず側方領域LAを区切ることにより新たな解析領域AAを設定するものであっても良い。換言すれば、解析領域抽出部13は、1個の解析領域AAの幅が所定幅を超えたとき、当該1個の解析領域AAを複数個の解析領域AAに分割するものであっても良い。所定幅は、例えば、車両1用の駐車スペースの幅に対する2倍程度の値に設定される。
または、解析領域抽出部13は、非連続部検知部12により非連続部DPが検知されない状態にて障害物検知部11による測距値Dの算出数が所定数を超えたとき、非連続部DPにかかわらず側方領域LAを区切ることにより新たな解析領域AAを設定するものであっても良い。換言すれば、解析領域抽出部13は、1個の解析領域AAに対応する測距値Dの算出数が所定数を超えたとき、当該1個の解析領域AAを複数個の解析領域AAに分割するものであっても良い。
これにより、非連続部DPが検知されない場合であっても、非連続部検知処理に対する後段の処理(すなわち解析領域抽出処理、グループ化処理、識別処理及び出力処理)を実行することができるとともに、駐車支援制御を実行することができる。また、個々の解析領域AAに対応する反射点情報の量の低減することができる。これにより、個々の解析領域AAに対応する反射点情報用の記憶領域の小型化を図ることができる。
次に、図24を参照して、識別部15の変形例について説明する。
識別部15は、個々の障害物Oが路面障害物、路上障害物及び走行障害物のうちのいずれであるかを判断するのに代えて、個々の障害物Oが低背障害物であるか高背障害物であるかを判断するものであっても良い。
すなわち、高さ判断部53には、特徴量座標系における閾値S_th_3が予め設定されている。図24は、閾値S_th_3の例を示している。ここで、閾値S_th_3は、低背障害物と高背障害物との識別に係る閾値H_th_3に対応するものである。
高さ判断部53は、個々の反射点群PGに対応する統計量S1,S2を特徴量座標系にプロットする。当該プロットされた統計量S1,S2が閾値S_th_3未満の範囲R_4に含まれる場合、高さ判断部53は、対応する障害物Oが低背障害物であると判断する。当該プロットされた統計量S1,S2が閾値S_th_3以上の範囲R_5に含まれる場合、高さ判断部53は、対応する障害物Oが高背障害物であると判断する。
例えば、ある1個の反射点群PGに対応する統計量S1_4,S2_4が範囲R_4に含まれる場合(図24参照)、高さ判断部53は、対応する障害物Oが低背障害物であると判別する。また、他の1個の反射点群PGに対応する統計量S1_5,S2_5が範囲R_5に含まれる場合(図24参照)、高さ判断部53は、対応する障害物Oが高背障害物であると判別する。
次に、識別部15の他の変形例について説明する。
広幅障害物であり、かつ、走行障害物である障害物Oが存在する場合、当該障害物Oと車両1間にて探査波が複数回反射されることがある。これにより、いわゆる「多重反射波」が受信されることがある。多重反射波に対応する反射点RPは、いわゆる「虚像」である。虚像は、当該障害物Oと車両1間の距離に対する2以上の整数倍の値に対応するY座標値C_Yを有するものとなる。虚像は、識別処理の対象から除外されるのが好適である。
そこで、識別部15は、車両1に対して最も手前側に位置する広幅障害物について、当該広幅障害物と車両1間の距離に対する2以上の整数倍の値に対応するY座標値C_Yを有する反射点群PGを識別処理の対象から除外するものであって良い。これにより、多重反射波に基づく虚像を識別処理の対象から除外することができる。
次に、出力部16の変形例について説明する。
出力部16は、縁石に対する奥側に駐車障害物が位置している場合において、当該縁石と当該駐車障害物間の距離が所定距離よりも大きいとき、当該駐車障害物に関する情報を識別結果信号から除外するものであっても良い。換言すれば、出力部16は、縁石に対する奥側に駐車障害物が位置している場合、当該縁石と当該駐車障害物間の距離が所定距離以下であるときのみ、当該駐車障害物に関する情報を識別結果信号に含めるものであっても良い。
これにより、駐車支援制御に不要な情報が識別結果信号に含まれるのを回避することができる。この結果、障害物検知装置100と駐車支援装置200間の通信量を低減することができるとともに、駐車支援装置200における演算量を低減することができる。
次に、駐車支援システム300の変形例について説明する。
駐車支援システム300は、1個の測距センサ2に代えて、複数個の測距センサを含むものであっても良い。すなわち、車両1の左側部、車両1の右側部、又は車両1の左側部及び車両1の右側部の各々に当該複数個の測距センサが設けられているものであっても良い。
この場合、第1統計量S1は、当該複数個の測距センサの各々による1回以上の送受信により複数回分の送受信が実現されるとき、当該複数回分の送受信に係る複数個の第1特徴量FA1による統計量であっても良い。また、第2統計量S2は、当該複数回分の送受信に係る複数個の第2特徴量FA2による統計量であっても良い。
以上のように、障害物検知装置100は、車両1に設けられた測距センサ2を用いて、移動中の車両1に対する側方領域LAにおける障害物群OGを検知する障害物検知部11と、障害物群OGにおける非連続部DPを検知する非連続部検知部12と、非連続部DPに基づく解析領域AAを抽出する解析領域抽出部13と、解析領域AAにおける複数個の反射点RPに係る度数分布FD_Y,FD_Xを解析することにより、障害物群OGに含まれる複数個の障害物Oに対応する複数個の反射点群PGを設定するグループ化部14と、複数個の障害物Oの各々が縁石であるか否かを識別するとともに、複数個の障害物Oの各々が駐車障害物であるか否かを識別する識別部15と、縁石と駐車障害物間の距離が所定距離以下であるとき、少なくとも駐車障害物の位置を示す信号(識別結果信号)を出力する出力部16と、を備える。グループ化部14を備えることにより、縁石及び駐車障害物が互いに近接配置されている場合であっても、縁石に対応する反射点群PG及び駐車障害物に対応する反射点群PGを設定することができる。これにより、少なくとも駐車障害物の位置を示す信号(識別結果信号)を出力することができる。
また、非連続部検知部12は、第1条件が満たされたとき非連続部DPを検知するものであり、第1条件は、第n波に対応する複数個の反射点RPにおける反射点間距離dが算出される場合において、当該算出された反射点間距離dが閾値d_thを超えるという条件である。第1条件を用いることにより、非連続部DPの検知を実現することができる。
また、非連続部検知部12は、第2条件が満たされたとき非連続部DPを検知するものであり、第2条件は、各回の送信波に対応する1個以上の測距値Dにおける分散値sが算出される場合において、当該算出された分散値sの変化量Δsが算出されるとき、当該算出された変化量Δsが閾値Δs_thを超えるという条件である。第2条件を用いることにより、非連続部DPの検知を実現することができる。
また、非連続部検知部12は、第3条件が満たされたとき非連続部DPを検知するものであり、第3条件は、算出済みの複数組の反射点座標値C_X,C_Yにおける連続性に基づき未算出の少なくとも1組の反射点座標値C_X,C_Yの予測値が算出される場合において、当該算出された予測値に係る残差値が算出されるとき、当該算出された残差値が閾値を超えるという条件である。第3条件を用いることにより、非連続部DPの検知を実現することができる。
また、非連続部検知部12は、第1条件及び第2条件のうちの少なくとも一方が満たされたとき非連続部DPを検知するものであり、第1条件は、第n波に対応する複数個の反射点RPにおける反射点間距離dが算出される場合において、当該算出された反射点間距離dが閾値d_thを超えるという条件であり、第2条件は、各回の送信波に対応する1個以上の測距値Dにおける分散値sが算出される場合において、当該算出された分散値sの変化量Δsが算出されるとき、当該算出された変化量Δsが閾値Δs_thを超えるという条件である。複数個の条件を用いることにより、非連続部DPを精度良く検知することができる。
また、非連続部検知部12は、第1条件及び第3条件が満たされたとき非連続部DPを検知するものであり、第1条件は、第n波に対応する複数個の反射点RPにおける反射点間距離dが算出される場合において、当該算出された反射点間距離dが閾値d_thを超えるという条件であり、第3条件は、算出済みの複数組の反射点座標値C_X,C_Yにおける連続性に基づき未算出の少なくとも1組の反射点座標値C_X,C_Yの予測値が算出される場合において、当該算出された予測値に係る残差値が算出されるとき、当該算出された残差値が閾値を超えるという条件である。複数個の条件を用いることにより、非連続部DPを精度良く検知することができる。
また、非連続部検知部12は、第2条件及び第3条件のうちの少なくとも一方が満たされたとき非連続部DPを検知するものであり、第2条件は、各回の送信波に対応する1個以上の測距値Dにおける分散値sが算出される場合において、当該算出された分散値sの変化量Δsが算出されるとき、当該算出された変化量Δsが閾値Δs_thを超えるという条件であり、第3条件は、算出済みの複数組の反射点座標値C_X,C_Yにおける連続性に基づき未算出の少なくとも1組の反射点座標値C_X,C_Yの予測値が算出される場合において、当該算出された予測値に係る残差値が算出されるとき、当該算出された残差値が閾値を超えるという条件である。複数個の条件を用いることにより、非連続部DPを精度良く検知することができる。
また、非連続部検知部12は、第1条件、第2条件及び第3条件のうちの少なくとも一つが満たされたとき非連続部DPを検知するものであり、第1条件は、第n波に対応する複数個の反射点RPにおける反射点間距離dが算出される場合において、当該算出された反射点間距離dが閾値d_thを超えるという条件であり、第2条件は、各回の送信波に対応する1個以上の測距値Dにおける分散値sが算出される場合において、当該算出された分散値sの変化量Δsが算出されるとき、当該算出された変化量Δsが閾値Δs_thを超えるという条件であり、第3条件は、算出済みの複数組の反射点座標値C_X,C_Yにおける連続性に基づき未算出の少なくとも1組の反射点座標値C_X,C_Yの予測値が算出される場合において、当該算出された予測値に係る残差値が算出されるとき、当該算出された残差値が閾値を超えるという条件である。複数個の条件を用いることにより、非連続部DPを精度良く検知することができる。
また、解析領域抽出部13は、解析領域AAに対応する測距値Dの算出数が所定数を超えたとき、解析領域AAを複数個の解析領域AAに分割する。これにより、個々の解析領域AAに対応する反射点情報の量を低減することができる。この結果、個々の解析領域AAに対応する反射点情報用の記憶領域の小型化を図ることができる。
実施の形態2.
通常、駐車支援システム300が駐車スペースを探索するとき、車両1は、広幅障害物(例えば縁石又は段差)の長手方向に沿う方向に移動する。このため、広幅障害物に対応する複数個の反射点RPの配列方向(以下「反射点配列方向」という。)は、車両1の移動方向に対して平行又は略平行な状態となる。すなわち、反射点配列方向は、X軸に対して平行又は略平行な状態となる。以下、平行又は略平行を総称して単に「平行」という。
しかしながら、車両1の進路によっては、反射点配列方向が車両1の移動方向に対して非平行な状態となることがある。図25は、かかる状態における1個の解析領域AA_2における複数個の障害物O_3,O_4に対応する複数個の反射点RP_3,RP_4の例を示している。
この場合、まず、第1解析部41は、解析領域AA_2について、複数個の反射点RP_3,RP_4に係る度数分布FD_Yを作成する。図26は、度数分布FD_Yの例を示している。図26に示す如く、度数分布FD_Yは、複数個の反射点RP_3,RP_4に対応する度数(図中F_Y)を含むものとなる。第1解析部41は、度数分布FD_Yに対するピーク分離処理を実行する。これにより、複数個の反射点RP_3,RP_4に対応する1個の度数群FG_Yが設定される。
次いで、第2解析部42は、度数群FG_Yに対応する複数個の反射点RP_3,RP_4に係る度数分布FD_Xを作成する。図27は、度数分布FD_Xの例を示している。図27に示す如く、度数分布FD_Xは、複数個の反射点RP_3,RP_4に対応する度数(図中F_X)を含むものとなる。第2解析部42は、度数分布FD_Xに対するピーク分離処理を実行する。これにより、複数個の反射点RP_3,RP_4に対応する1個の度数群FG_Xが設定される。
次いで、グループ化部14は、度数群FG_Y及び度数群FG_Xに対応する1個の反射点群PGを設定する。これにより、図25に示す如く、2個の障害物O_3,O_4に対応する1個の反射点群PGが設定される。
このように、反射点配列方向が車両1の移動方向に対して非平行であるとき、個々の解析領域AAにおいて、個々の障害物Oに対応する反射点群PGを正確に設定することができないという問題が生ずる。実施の形態2に係る障害物検知装置は、かかる問題の解消を図るものである。
図28は、実施の形態2に係る障害物検知装置を含む駐車支援システムの要部を示すブロック図である。図29は、実施の形態2に係る障害物検知装置におけるグループ化部の要部を示すブロック図である。図28及び図29を参照して、実施の形態2に係る障害物検知装置について説明する。
なお、図28において、図1に示すブロックと同様のブロックには同一符号を付して説明を省略する。また、図29において、図3に示すブロックと同様のブロックには同一符号を付して説明を省略する。
図28に示す如く、車両1は、測距センサ2、障害物検知装置100a及び駐車支援装置200を有している。測距センサ2、障害物検知装置100a及び駐車支援装置200により、駐車支援システム300aの要部が構成されている。障害物検知装置100aは、障害物検知部11、非連続部検知部12、解析領域抽出部13、グループ化部14a、識別部15及び出力部16を有している。図29に示す如く、グループ化部14aは、第1解析部41、第2解析部42及び補正部43を有している。
補正部43は、反射点配列方向が車両1の移動方向に対して非平行な状態であるとき、グループ化部14aにより取得された反射点情報に含まれる個々の反射点座標値C_X,C_Yを補正することにより、反射点配列方向が車両1の移動方向に対して平行な状態にするものである。補正部43による補正方法の具体例については、図31及び図32を参照して説明する。
第1解析部41は、補正部43による補正後のY座標値C_Yを度数分布FD_Yの作成に用いるようになっている。また、第2解析部42は、補正部43による補正後のX座標値C_Xを度数分布FD_Xの作成に用いるようになっている。
以下、グループ化部14aにより実行される処理を総称して「グループ化処理」ということがある。すなわち、グループ化部14aにより実行されるグループ化処理は、グループ化部14により実行されるグループ化処理に含まれる処理と同様の処理に加えて、個々の反射点座標値C_X,C_Yを補正する処理などを含むものである。
障害物検知装置100aの要部のハードウェア構成は、実施の形態1にて図5及び図6を参照して説明したものと同様である。このため、図示及び説明を省略する。すなわち、障害物検知部11、非連続部検知部12、解析領域抽出部13、グループ化部14a、識別部15及び出力部16の各々の機能は、プロセッサ61及びメモリ62により実現されるものであっても良く、又は専用の処理回路63により実現されるものであっても良い。
次に、図30を参照して、駐車支援システム300aの動作について、障害物検知装置100a及び駐車支援装置200の動作を中心に説明する。なお、図30において、図9に示すステップと同様のステップには同一符号を付して説明を省略する。
まず、ステップST1~ST3の処理が実行される。次いで、グループ化部14aがグループ化処理を実行する(ステップST4a)。次いで、ステップST5~ST7の処理が実行される。
次に、図31を参照して、補正部43による補正方法の第1具体例について説明する。
まず、補正部43は、X軸に対して平行な直線(以下「基準直線」という。)SL_refを設定する。また、補正部43は、グループ化部14aにより取得された反射点情報を用いて、反射点配列方向に沿う直線SLを検出する。次いで、補正部43は、基準直線SL_refに対する直線SLの角度θを算出する。
次いで、補正部43は、対応する解析領域AAにおける全ての反射点RPの位置が当該算出された角度θに応じた回転角度(-θ)にて回転するように、上記取得された反射点位置情報に含まれる個々の反射点座標値C_X,C_Yを補正する。当該回転により、反射点配列方向が車両1の移動方向に対して平行な状態を実現することができる。
このとき、当該回転の中心には、XY座標系における任意の点を用いることができる。当該回転の中心は、対応する解析領域AAにおける全ての反射点RPにより共用されるものである。
なお、直線SLの検出には、公知の種々の技術を用いることができる。例えば、補正部43は、対応する解析領域AAにおける複数個の反射点RPに対して、Hough変換を用いた直線検出を実行することにより、直線SLを検出するものであっても良い。
または、例えば、補正部43は、RANSAC(Random Sample Consensus)アルゴリズムを用いた直線検出を実行することにより、直線SLを検出するものであっても良い。これにより、広幅障害物と異なる障害物(例えば図31における障害物O_4)に対応する複数個の反射点(例えば図31における反射点RP_4)が含まれる解析領域AAにおいても、直線SLを精度良く検出することができる。
次に、図32を参照して、補正部43による補正方法の第2具体例について説明する。
補正部43には、M個の角度φ_1~φ_Mを示す情報が予め記憶されている。ここで、Mは、2以上の任意の整数である。
補正部43は、対応する解析領域AAにおける全ての反射点RPの位置を角度φ_1に応じた回転角度(-φ_1)にて回転させた状態において、Y座標値C_Yに対する反射点RPの個数を示す度数分布FD_φ_1を作成する。また、補正部43は、対応する解析領域AAにおける全ての反射点RPの位置を角度φ_2に応じた回転角度(-φ_2)にて回転させた状態において、Y座標値C_Yに対する反射点RPの個数を示す度数分布FD_φ_2を作成する。以下同様にして、補正部43は、回転角度(-φ_3~-φ_M)にそれぞれ対応する度数分布FD_φ_3~FD_φ_Mを作成する。これにより、M個の度数分布FD_φ_1~FD_φ_Mが作成される。
このとき、当該回転の中心には、XY座標系における任意の点を用いることができる。当該回転の中心は、対応する解析領域AAにおける全ての反射点RPにより共用されるものである。
次いで、補正部43は、当該作成された度数分布FD_φ_1~FD_φ_Mの各々における最大値F_maxを算出する。これにより、M個の度数分布FD_φ_1~FD_φ_Mと一対一に対応するM個の最大値F_max_1~F_max_Mが算出される。
次いで、補正部43は、M個の最大値F_max_1~F_max_Mのうちの最も大きい値を選択する。補正部43は、M個の角度φ_1~φ_Mのうちの当該選択された値に対応する角度φを選択する。
次いで、補正部43は、対応する解析領域AAにおける全ての反射点RPの位置が当該選択された角度φに応じた回転角度(-φ)にて回転するように、上記取得された反射点位置情報に含まれる個々の反射点座標値C_X,C_Yを補正する。当該回転により、反射点配列方向が車両1の移動方向に対して平行な状態を実現することができる。これは、φ=θであるときF_maxの値が最大となることを利用したものである。
なお、角度φ_1~φ_Mは、互いに異なる値に設定されたものであれば良い。換言すれば、角度φ_1~φ_Mの各々は、如何なる値に設定されたものであっても良い。ただし、角度φ_1~φ_Mは、以下のような値に設定されるのがより好適である。
いま、測距センサ2による探査波の送信方向に対応する角度、すなわちY方向に対応する角度がθcであるものとする。また、当該方向に対する送信波の広がりを示す角度がθwであるものとする。このとき、角度φ_1~φ_Mは、下限値φ_min以上かつ上限値φ_max以下の角度範囲ΔφをM等分してなる値に設定されるのが好適である。ここで、下限値φ_minは、以下の式(1)に基づく値である。また、上限値φ_maxは、以下の式(2)に基づく値である。
φ_min=θc-(θw/2) (1)
φ_max=θc+(θw/2) (2)
すなわち、これは、下限値φ_min未満の角度範囲における障害物Oには探査波が照射されないことを考慮したものである。また、これは、上限値φ_maxを超える角度範囲における障害物Oには探査波が照射されないことを考慮したものである。
なお、障害物検知装置100aは、実施の形態1にて説明したものと同様の種々の変形例を採用することができる。また、駐車支援システム300aは、実施の形態1にて説明したものと同様の種々の変形例を採用することができる。
以上のように、グループ化部14aは、反射点配列方向が車両1の移動方向に対して平行な状態となるように個々の反射点座標値C_X,C_Yを補正する。これにより、車両1の進路にかかわらず、個々の障害物Oに対応する反射点群PGを設定することができる。
実施の形態3.
図33は、実施の形態3に係る障害物検知装置を含む駐車支援システムの要部を示すブロック図である。図34は、実施の形態3に係る障害物検知装置における識別部の要部を示すブロック図である。図33及び図34を参照して、実施の形態3に係る障害物検知装置について説明する。
なお、図33において、図1に示すブロックと同様のブロックには同一符号を付して説明を省略する。また、図34において、図4に示すブロックと同様のブロックには同一符号を付して説明を省略する。
図33に示す如く、車両1は、測距センサ2、障害物検知装置100b及び駐車支援装置200aを有している。測距センサ2、障害物検知装置100b及び駐車支援装置200aにより、駐車支援システム300bの要部が構成されている。障害物検知装置100bは、障害物検知部11、非連続部検知部12、解析領域抽出部13、グループ化部14、識別部15a及び出力部16を有している。駐車支援装置200aは、駐車支援制御部21aを有している。図34に示す如く、識別部15aは、幅判断部51、位置判断部52、高さ判断部53及び動き判断部54を有している。
動き判断部54は、識別部15aにより取得された反射点情報を用いて、識別部15aにより駐車障害物であると識別された個々の障害物Oが動的障害物であるか否かを判断するものである。動き判断部54による判断方法の具体例については後述する。
以下、識別部15aにより実行される処理を総称して「識別処理」ということがある。すなわち、識別部15aにより実行される識別処理は、識別部15により実行される識別処理に含まれる処理と同様の処理に加えて、個々の駐車障害物が動的障害物であるか否かを判断する処理などを含むものである。
出力部16は、識別処理の結果を示す信号、すなわち識別結果信号を駐車支援制御部21aに出力するものである。ここで、実施の形態3における識別結果信号は、個々の障害物Oが縁石であるか否かを示す情報、個々の障害物Oが駐車障害物であるか否かを示す情報、及び個々の障害物Oの位置を示す情報に加えて、個々の駐車障害物が動的障害物であるか否かを示す情報を含むものである。
駐車支援制御部21aは、駐車支援制御部21により実行される駐車支援制御と同様の駐車支援制御を実行するものである。すなわち、駐車支援制御部21aは、例えば、自動駐車を実現するための制御を実行するものである。
ただし、駐車支援制御部21aは、側方領域LAに動的障害物が存在する場合、車両1の警笛を鳴らす制御を実行するとともに、動的障害物を自動駐車における回避の対象から除外するようになっている。これは、通常、動的障害物は人間を含むものであるところ、車両1が警笛を鳴らすことにより、動的障害部が車両1を回避するように移動する蓋然性が高いことを利用したものである。これにより、自動駐車において、車両1による不要な回避がなされるのを抑制することができる。
障害物検知装置100bの要部のハードウェア構成は、実施の形態1にて図5及び図6を参照して説明したものと同様である。このため、図示及び説明を省略する。すなわち、障害物検知部11、非連続部検知部12、解析領域抽出部13、グループ化部14、識別部15a及び出力部16の各々の機能は、プロセッサ61及びメモリ62により実現されるものであっても良く、又は専用の処理回路63により実現されるものであっても良い。
駐車支援装置200aの要部のハードウェア構成は、実施の形態1にて図7及び図8を参照して説明したものと同様である。このため、図示及び説明を省略する。すなわち、駐車支援制御部21aの機能は、プロセッサ71及びメモリ72により実現されるものであっても良く、又は専用の処理回路73により実現されるものであっても良い。
次に、図35を参照して、駐車支援システム300bの動作について、障害物検知装置100b及び駐車支援装置200aの動作を中心に説明する。なお、図35において、図9に示すステップと同様のステップには同一符号を付して説明を省略する。
まず、ステップST1~ST4の処理が実行される。次いで、識別部15aが識別処理を実行する(ステップST5a)。次いで、ステップST6の処理が実行される。次いで、駐車支援制御部21aが駐車支援制御を実行する(ステップST7a)。
次に、動き判断部54による判断方法の第1具体例について説明する。
動き判断部54は、個々の反射点RPに対応する反射点情報に含まれる波形情報を用いて、個々の反射点RPに対応する受信信号RSの波形に対する周波数分析を実行する。これにより、第1ドップラーシフト量が算出される。次いで、動き判断部54は、当該算出された第1ドップラーシフト量から車両1の移動による成分を差し引く。これにより、第2ドップラーシフト量が算出される。このとき、車両1の移動による成分は、車両速度情報を用いて算出される。車両速度情報は、例えば、障害物検知装置100bがCAN通信により取得したものである。
すなわち、第1ドップラーシフト量は、対応する障害物Oの車両1に対する相対的な移動に基づくドップラーシフト量である。これに対して、第2ドップラーシフト量は、対応する障害物Oの絶対的な移動に基づくドップラーシフト量である。
次いで、動き判断部54は、当該算出された第2ドップラーシフト量と対応する反射波が受信された時点における音速とに基づき、対応する障害物Oの移動速度を算出する。このとき、当該時点における音速は、当該時点における車外温度を示す情報(以下「温度情報」という。)及び当該時点における車外湿度を示す情報(以下「湿度情報」という。)を用いて算出される。温度情報及び湿度情報は、例えば、障害物検知装置100bがCAN通信により取得したものである。
次いで、動き判断部54は、当該算出された移動速度を所定の閾値と比較する。移動速度が閾値よりも大きい場合、動き判断部54は、対応する障害物Oが動的障害物であると判断する。そうでない場合、動き判断部54は、対応する障害物Oが動的障害物でないと判断する。
次に、図36及び図37を参照して、動き判断部54による判断方法の第2具体例について説明する。
通常、動的障害物(例えば歩行者)の表面形状は、静的障害物(例えば電柱、ポール又は看板)の表面形状に比して複雑である。このため、動的障害物に対応する受信信号波形は、所定の幅wを有する判断用の時間窓(以下「判断窓」という。)JW内に複数個のピーク部Pを有するものとなる。すなわち、動的障害物に対応する受信信号波形は、略林状のピーク部Pを有するものとなる。図36は、判断窓JW内に3個のピーク部P_1,P_2,P_3を有する受信信号波形の例を示している。幅wは、例えば、狭幅障害物に係る識別用の閾値W_th_1に対応する値に設定されている。
他方、静的障害物(例えば電柱、ポール又は看板)の表面形状は、動的障害物(例えば歩行者)の表面形状に比して単純である。このため、静的障害物に対応する受信信号波形は、判断窓JW内に1個のピーク部Pを有するものとなる。すなわち、静的障害物に対応する受信信号波形は、略板状のピーク部Pを有するものとなる。図37は、判断窓JW内に1個のピーク部Pを有する受信信号波形の例を示している。
そこで、動き判断部54は、個々の反射点RPに対応する反射点情報に含まれる波形情報を用いて、個々の反射点EPに対応する受信信号波形における判断窓JW内のピーク部Pの個数を算出する。当該算出された個数が所定数(例えば2個)以上である場合、動き判断部54は、対応する障害物Oが動的障害物であると判断する。そうでない場合、動き判断部54は、対応する障害物Oが動的障害物でないと判断する。
なお、障害物検知装置100bは、実施の形態1にて説明したものと同様の種々の変形例を採用することができる。また、駐車支援システム300bは、実施の形態1にて説明したものと同様の種々の変形例を採用することができる。
また、障害物検知装置100bは、グループ化部14に代えてグループ化部14aを有するものであっても良い。この場合、障害物検知装置100bは、実施の形態2にて説明したものと同様の種々の変形例を採用することができる。
以上のように、識別部15aは、駐車障害物が動的障害物であるか否かを判断する。これにより、駐車障害物が動的障害物であるか否かの判断結果を駐車支援制御に用いることができる。この結果、より適切な駐車支援制御を実現することができる。
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。