以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.車両の構成>
まず、図1~図5を参照して、本発明の実施形態に係る車両1の構成について説明する。
図1は、車両1の概略構成を示す模式図である。図2は、車両1に搭載されるオルタネータ20の概略構成の一例を示す模式図である。図3及び図4は、ステータ巻線21の結線状態がスター結線に切り替えられている場合及びデルタ結線に切り替えられている場合の各場合におけるオルタネータ20をそれぞれ示す模式図である。図5は、車両1に搭載される制御装置100の機能構成の一例を示すブロック図である。
なお、車両1は本発明に係る制御装置が搭載される車両の一例に過ぎず、本発明に係る制御装置は、車両1と異なる構成の車両に搭載されてもよい。
図1に示されるように、車両1は、エンジン10と、オルタネータ(発電機)20と、制御装置100とを備える。さらに、車両1は、バッテリ30と、エンジン回転数センサ51と、車速センサ52と、加速度センサ53と、アクセル開度センサ54と、エンジン水温センサ55と、バッテリセンサ56と、エンジン油温センサ57とを備える。車両1は、具体的には、エンジン10を駆動源として走行する車両である。
エンジン10は、ガソリン等を燃料として動力を生成する内燃機関であり、車両1の駆動輪92を駆動するための動力を出力する。エンジン10の出力軸であるクランクシャフトはギヤ列91の入力側と接続されており、ギヤ列91の出力側は駆動輪92の車軸と接続されている。ゆえに、エンジン10から出力される動力は、ギヤ列91を介して駆動輪92へ伝達され、駆動輪92が駆動される。具体的には、ギヤ列91は変速機を含んでおり、エンジン10から出力される動力は当該変速機により変速されて駆動輪92へ伝達される。
オルタネータ20は、三相の交流発電機であり、エンジン10から出力される動力により駆動されて発電する。オルタネータ20により発電される電力(以下、オルタネータ20の発電電力とも呼ぶ。)は、バッテリ30に充電され、又は、車両1の各種補機に供給される。補機は、例えば、車両内の空調機器又は音響機器等の各種機器を含む。
例えば、オルタネータ20は、プーリ及びベルトを介してエンジン10のクランクシャフトと接続されており、エンジン10から出力される動力がプーリ及びベルトを介してオルタネータ20に伝達されるようになっている。なお、オルタネータ20は、エンジン10のクランクシャフトと直接的に接続されていてもよい。
上記のように、車両1では、エンジン10から出力される動力は、駆動輪92の駆動に利用される他、オルタネータ20による発電にも利用され得る。なお、オルタネータ20は、車両の減速時に、車輪の回転エネルギを用いて発電(回生発電)することができてもよい。
図2に示されるように、オルタネータ20は、例えば、ステータ巻線21a,21b,21cと、ロータ巻線22と、整流回路23と、レギュレータ24と、第1スイッチ25a,25b,25cと、第2スイッチ26a,26b,26cとを有する。本実施形態では、オルタネータ20の巻線の結線状態(具体的には、ステータ巻線21a,21b,21cの結線状態)は、スター結線とデルタ結線との間で切り替え可能となっている。
なお、以下では、ステータ巻線21a,21b,21cをそれぞれ区別しない場合、これらを単にステータ巻線21と総称する。
ステータ巻線21a,21b,21cとロータ巻線22は、それぞれオルタネータ20のステータとロータに巻回されている。なお、ロータはステータの内側に配置されるとともに、ベルト等を介してエンジン10のクランクシャフトに接続され、エンジンの動力によって回転駆動される。ロータ巻線22には励磁電流が印加され、ステータ巻線21a,21b,21cに三相交流の電流が生じるようになっている。
整流回路23は、ステータ巻線21から供給される交流電流を直流電流に整流する機能を有する。例えば、整流回路23は、ステータ巻線21a,21b,21cの各々と接続される三相のブリッジ回路を含んでおり、当該ブリッジ回路にダイオード231a,231b,231c,231d,231e,231fが設けられている。
レギュレータ24は、オルタネータ20の発電電力を調整する機能を有する。具体的には、レギュレータ24は、ロータ巻線22に印加される励磁電流を調整することによって、オルタネータ20の発電電力の電圧を調整することができる。
第1スイッチ25a,25b,25c及び第2スイッチ26a,26b,26cは、ステータ巻線21の結線状態をスター結線とデルタ結線との間で切り替えるためのスイッチである。
具体的には、第1スイッチ25a,25b,25cは、それぞれステータ巻線21a,21b,21cにおける整流回路23側に対して逆側に接続されている。それにより、ステータ巻線21a,21b,21cにおける整流回路23側に対して逆側は、第1スイッチ25a,25b,25cを介して中性点29で互いに接続されている。
また、第2スイッチ26aは、ステータ巻線21aにおける整流回路23側とステータ巻線21bにおける整流回路23側に対して逆側との間に接続されている。第2スイッチ26bは、ステータ巻線21bにおける整流回路23側とステータ巻線21cにおける整流回路23側に対して逆側との間に接続されている。第2スイッチ26cは、ステータ巻線21cにおける整流回路23側とステータ巻線21aにおける整流回路23側に対して逆側との間に接続されている。それにより、ステータ巻線21a,21b,21cは、第2スイッチ26a,26b,26cを介して閉回路を形成するように互いに直列に接続されている。
第1スイッチ25a,25b,25cの全てが閉じられ、第2スイッチ26a,26b,26cの全てが開かれた場合、図3に示すように、ステータ巻線21a,21b,21cにおける整流回路23側に対して逆側が中性点29で互いに電気的に接続される。それにより、オルタネータ20のステータ巻線21の結線状態は、スター結線となる。一方、第1スイッチ25a,25b,25cの全てが開かれ、第2スイッチ26a,26b,26cの全てが閉じられた場合、図4に示すように、ステータ巻線21a,21b,21cは、閉回路を形成するように互いに直列に電気的に接続される。それにより、オルタネータ20のステータ巻線21の結線状態は、デルタ結線となる。
バッテリ30は、電力を充放電可能な二次電池である。バッテリ30としては、例えば、鉛蓄電池が用いられるが、これら以外の電池(例えば、リチウムイオン電池等)が用いられてもよい。
具体的には、バッテリ30は、車両1の各種補機と接続されており、補機に供給される電力を蓄電する。バッテリ30は、上記で例示した空調機器又は音響機器等の補機に加え、エンジン10を始動させるための始動用モータと接続されており、当該始動用モータがバッテリ30の電力を用いて駆動されることによって、エンジン10が始動される。
また、バッテリ30は、オルタネータ20と接続されており、オルタネータ20により発電される電力がバッテリ30に供給されることによって、バッテリ30が充電されるようになっている。
エンジン回転数センサ51は、エンジン10の回転数を検出し、検出結果を制御装置100へ出力する。
車速センサ52は、車両1の速度である車速を検出し、検出結果を制御装置100へ出力する。
加速度センサ53は、車両1の加速度を検出し、検出結果を制御装置100へ出力する。
アクセル開度センサ54は、ドライバによるアクセルペダルの操作量に相当するアクセル開度を検出し、検出結果を制御装置100へ出力する。
エンジン水温センサ55は、エンジン10の冷却水の水温を検出し、検出結果を制御装置100へ出力する。
バッテリセンサ56は、バッテリ30の残存容量(以下、SOC(State Of Charge)とも称する。)を含む状態量を検出し、検出結果を制御装置100へ出力する。
エンジン油温センサ57は、エンジン10の潤滑油の油温を検出し、検出結果を制御装置100へ出力する。
制御装置100は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)、CPUが使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する記憶素子であるROM(Read Only Memory)及びCPUの実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する記憶素子であるRAM(Random Access Memory)等で構成される。
また、制御装置100は、車両1に搭載される各装置と通信を行う。制御装置100と各装置との通信は、例えば、CAN(Controller Area Network)通信を用いて実現される。
なお、本実施形態に係る制御装置100が有する機能は複数の制御装置により少なくとも部分的に分割されてもよく、複数の機能が1つの制御装置によって実現されてもよい。制御装置100が有する機能が複数の制御装置により少なくとも部分的に分割される場合、当該複数の制御装置は、CAN等の通信バスを介して、互いに接続されてもよい。
例えば、図5に示されるように、制御装置100は、取得部110と、制御部120とを有する。
取得部110は、制御部120が行う処理において用いられる各種情報を取得する。また、取得部110は、取得した情報を制御部120へ出力する。例えば、取得部110は、車両1の各センサと通信することによって、各センサから出力される各種情報を取得する。
制御部120は、オルタネータ20の動作を制御する。例えば、制御部120は、判定部121と、レギュレータ制御部122と、スイッチ制御部123とを含む。
判定部121は、エンジン10から出力される動力をオルタネータ20による発電と駆動輪92の駆動とのいずれに優先して利用するかを判定し、判定結果をスイッチ制御部123へ出力する。判定部121による判定結果は、スイッチ制御部123が行う処理に用いられる。
レギュレータ制御部122は、レギュレータ24に対して動作指令を出力することによって、レギュレータ24の動作を制御する。それにより、オルタネータ20の発電電力を制御することができる。例えば、レギュレータ制御部122は、バッテリ30の残存容量及び車両1の要求電力(つまり、車両1の各種補機に供給する電力の要求値)等に基づいて、オルタネータ20の発電電力を制御する。なお、制御装置100は、例えば、車両1の各種補機や当該各種補機を制御する制御装置と通信することによって、車両1の要求電力を示す情報を取得し得る。
スイッチ制御部123は、オルタネータ20の各スイッチに対して動作指令を出力することによって、各スイッチの開閉動作を制御する。それにより、ステータ巻線21の結線状態を切り替えることができる。具体的には、スイッチ制御部123は、オルタネータ20の第1スイッチ25a,25b,25c及び第2スイッチ26a,26b,26cの開閉動作を制御することによって、オルタネータ20のステータ巻線21の結線状態をスター結線とデルタ結線との間で切り替える。
より詳細には、スイッチ制御部123は、上述したように、第1スイッチ25a,25b,25cを閉じ、第2スイッチ26a,26b,26cを開くことによって、図3に示すように、オルタネータ20のステータ巻線21の結線状態をスター結線に切り替えることができる。一方、スイッチ制御部123は、第1スイッチ25a,25b,25cを開き、第2スイッチ26a,26b,26cを閉じることによって、図4に示すように、オルタネータ20のステータ巻線21の結線状態をデルタ結線に切り替えることができる。
上記のように、制御部120は、レギュレータ24の制御の他に、各スイッチの開閉動作を制御することによって、ステータ巻線21の結線状態をスター結線とデルタ結線との間で切り替えることができる。具体的には、制御部120は、後述にて詳細に説明するように、オルタネータ20の発電、車両1の走行、又はエンジン10の温度に関するパラメータの少なくともいずれかと、オルタネータ20の回転数と相関を有する指標値とに基づいて、オルタネータ20のステータ巻線21の結線状態を切り替える。それにより、発電効率及び燃費を適切に向上させることが可能となる。このような、制御部120により行われるステータ巻線21の結線状態の切り替えの制御(以下、切替制御とも呼ぶ。)の詳細については、後述にて説明する。
<2.制御装置の動作>
続いて、図6~図8を参照して、本発明の実施形態に係る制御装置100の動作について説明する。
図6は、本実施形態に係る制御装置100が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。具体的には、図6に示される制御フローは、制御部120により行われるステータ巻線21の結線状態の切替制御に関する処理の流れの一例を示すものである。なお、図6に示される制御フローは、例えば、車両の電源システムが起動した後において、設定時間おきに繰り返される。
図6に示される制御フローが開始されると、まず、ステップS501において、判定部121は、エンジン10から出力される動力を駆動輪92の駆動よりもオルタネータ20による発電に優先して利用するか否かを判定する。エンジン10から出力される動力をオルタネータ20による発電に優先して利用すると判定された場合(ステップS501/YES)、ステップS503へ進む。一方、エンジン10から出力される動力を駆動輪92の駆動に優先して利用すると判定された場合(ステップS501/NO)、ステップS505へ進む。
具体的には、判定部121は、オルタネータ20の発電、車両1の走行、又はエンジン10の温度に関するパラメータの少なくともいずれかに基づいて、エンジン10から出力される動力をオルタネータ20による発電と駆動輪92の駆動とのいずれに優先して利用するかを判定する。
上記パラメータは、例えば、バッテリ30の残存容量、車両1の要求電力、車両1の車速、車両1の加速度、走行路の勾配、車両1のアクセル開度、エンジン10の冷却水の水温、又はエンジン10の潤滑油の油温の少なくとも1つを含む。なお、バッテリ30の残存容量及び車両1の要求電力は、オルタネータ20の発電に関するパラメータの一例に相当し、車両1の車速、車両1の加速度、走行路の勾配、及び車両1のアクセル開度は、車両1の走行に関するパラメータの一例に相当し、エンジン10の冷却水の水温及びエンジン10の潤滑油の油温は、エンジン10の温度に関するパラメータの一例に相当する。また、これらのパラメータは、例えば、制御装置100の記憶素子に記憶されている。
例えば、判定部121は、バッテリ30の残存容量が基準残存容量より低い場合、エンジン10から出力される動力をオルタネータ20による発電に優先して利用すると判定する。一方、判定部121は、バッテリ30の残存容量が基準残存容量以上である場合、エンジン10から出力される動力を駆動輪92の駆動に優先して利用すると判定する。基準残存容量は、例えば、バッテリ30の電力が枯渇する可能性が高い状況であるか否かを適切に判定し得る値に設定される。
また、例えば、判定部121は、車両1の要求電力が基準電力より大きい場合、エンジン10から出力される動力をオルタネータ20による発電に優先して利用すると判定する。一方、判定部121は、車両1の要求電力が基準電力以下である場合、エンジン10から出力される動力を駆動輪92の駆動に優先して利用すると判定する。基準電力は、例えば、オルタネータ20及びバッテリ30から各種補機に供給される電力が要求電力に対して不足しやすい状況であるか否かを適切に判定し得る値に設定される。
また、例えば、判定部121は、車両1の車速が基準速度(例えば、80[km/h]程度)より大きい場合、エンジン10から出力される動力を駆動輪92の駆動に優先して利用すると判定する。一方、判定部121は、車両1の車速が基準速度以下である場合、エンジン10から出力される動力をオルタネータ20による発電に優先して利用すると判定する。基準速度は、例えば、駆動輪92へ伝達される動力が要求値に対して不足しやすい状況であるか否かを適切に判定し得る値に設定される。
また、例えば、判定部121は、車両1の加速度が基準加速度より大きい場合、エンジン10から出力される動力を駆動輪92の駆動に優先して利用すると判定する。一方、判定部121は、車両1の加速度が基準加速度以下である場合、エンジン10から出力される動力をオルタネータ20による発電に優先して利用すると判定する。基準加速度は、例えば、駆動輪92へ伝達される動力が要求値に対して不足しやすい状況であるか否かを適切に判定し得る値に設定される。
また、例えば、判定部121は、走行路の勾配が上り勾配である場合、エンジン10から出力される動力を駆動輪92の駆動に優先して利用すると判定する。一方、判定部121は、走行路の勾配が平坦又は下り勾配である場合、エンジン10から出力される動力をオルタネータ20による発電に優先して利用すると判定する。なお、制御装置100は、例えば、加速度センサ53による検出結果に基づいて、走行路の勾配を算出し得る。
また、例えば、判定部121は、車両1のアクセル開度が基準開度より大きい場合、エンジン10から出力される動力を駆動輪92の駆動に優先して利用すると判定する。一方、判定部121は、車両1のアクセル開度が基準開度以下である場合、エンジン10から出力される動力をオルタネータ20による発電に優先して利用すると判定する。基準開度は、例えば、駆動輪92へ伝達される動力が要求値に対して不足しやすい状況であるか否かを適切に判定し得る値に設定される。
また、例えば、判定部121は、エンジン10の潤滑油の油温が基準油温より低い場合、エンジン10から出力される動力を駆動輪92の駆動に優先して利用すると判定する。一方、判定部121は、エンジン10の潤滑油の油温が基準油温以上である場合、エンジン10から出力される動力をオルタネータ20による発電に優先して利用すると判定する。基準油温は、例えば、エンジン10の暖機が完了しているか否かを適切に判定し得る値に設定される。なお、潤滑油の油温が基準油温より低い場合(例えば、エンジン10の暖機が完了していない場合)には、エンジン10の潤滑油の粘度が高くなっていることに起因して、エンジン10のフリクションが大きくなっているので、駆動輪92へ伝達される動力が要求値に対して不足しやすい状態となっている。
また、例えば、判定部121は、エンジン10の冷却水の水温が基準水温より低い場合、エンジン10から出力される動力を駆動輪92の駆動に優先して利用すると判定する。一方、判定部121は、エンジン10の冷却水の水温が基準水温以上である場合、エンジン10から出力される動力をオルタネータ20による発電に優先して利用すると判定する。基準水温は、例えば、エンジン10の暖機が完了しているか否かを適切に判定し得る値に設定される。なお、冷却水の水温が基準水温より低い場合(例えば、エンジン10の暖機が完了していない場合)には、エンジン10のフリクションが大きくなっているので、駆動輪92へ伝達される動力が要求値に対して不足しやすい状態となっている。
なお、判定部121は、複数のパラメータに基づいて、エンジン10から出力される動力をオルタネータ20による発電と駆動輪92の駆動とのいずれに優先して利用するかを判定してもよい。また、判定部121は、上記で例示したパラメータ以外のパラメータに基づいて、エンジン10から出力される動力をオルタネータ20による発電と駆動輪92の駆動とのいずれに優先して利用するかを判定してもよい。
以下で説明するように、ステップS503及びステップS505では、スイッチ制御部123は、ステップS501での判定部121による判定結果及びオルタネータ20の回転数(具体的には、オルタネータ20のロータの回転数)と相関を有する指標値に基づいて、オルタネータ20のステータ巻線21の結線状態を切り替える。なお、以下では、オルタネータ20の回転数自体を上記指標値として用いる例について説明するが、オルタネータ20の回転数と異なる値(例えば、エンジン10の回転数等)が上記指標値として用いられてもよい。
ステップS501でエンジン10から出力される動力をオルタネータ20による発電に優先して利用すると判定された場合(YESと判定された場合)、ステップS503において、スイッチ制御部123は、オルタネータ20の発電効率を向上させるための切替制御を行う。
具体的には、ステップS503において、スイッチ制御部123は、オルタネータ20の発電電力が大きくなるように、オルタネータ20のステータ巻線21の結線状態を切り替える。この際、スイッチ制御部123は、上記指標値としてのオルタネータ20の回転数に基づいて、オルタネータ20のステータ巻線21の結線状態の切り替えを行う。なお、制御装置100は、例えば、エンジン回転数センサ51による検出結果及びエンジン10とオルタネータ20との間でのプーリ比に基づいて、オルタネータ20の回転数を算出し得る。
例えば、スイッチ制御部123は、オルタネータ20の回転数が第1基準回転数より低い場合にオルタネータ20のステータ巻線21の結線状態をスター結線に切り替え、オルタネータ20の回転数が第1基準回転数以上である場合にオルタネータ20のステータ巻線21の結線状態をデルタ結線に切り替える。第1基準回転数は、例えば、ステータ巻線21の結線状態がスター結線である場合とデルタ結線である場合との間でオルタネータ20の発電電力が等しくなる回転数であり、結線状態がいずれの状態である場合に発電電力が大きくなるかを判定するための指標である。第1基準回転数は、本発明に係る第1基準値の一例に相当する。
図7は、ステータ巻線21の結線状態がスター結線である場合及びデルタ結線である場合の各々についてのオルタネータ20における回転数に対する発電電力の特性を示す模式図である。
なお、図7では、各結線状態についてのオルタネータ20における回転数に対する発電電力の特性があくまでも模式的に示されているものに過ぎず、当該特性は、具体的には、オルタネータ20の仕様に応じて異なる。ゆえに、例えば、第1基準回転数の値についても、オルタネータ20の仕様に応じて異なる。
図7に示されるように、ステータ巻線21の結線状態がスター結線である場合とデルタ結線である場合の双方において、オルタネータ20の発電電力は、例えば、オルタネータ20の回転数の上昇に伴って上昇する特性を有する。
ここで、図7に示されるように、オルタネータ20の回転数が第1基準回転数より低い場合、ステータ巻線21の結線状態がスター結線である場合におけるオルタネータ20の発電電力の方が、ステータ巻線21の結線状態がデルタ結線である場合におけるオルタネータ20の発電電力と比較して大きい。一方、オルタネータ20の回転数が第1基準回転数より高い場合、ステータ巻線21の結線状態がデルタ結線である場合におけるオルタネータ20の発電電力の方が、ステータ巻線21の結線状態がスター結線である場合におけるオルタネータ20の発電電力と比較して大きい。
ゆえに、オルタネータ20のステータ巻線21の結線状態を、オルタネータ20の回転数が第1基準回転数より低い場合にスター結線に切り替え、オルタネータ20の回転数が第1基準回転数以上である場合にデルタ結線に切り替えることによって、オルタネータ20の発電電力が大きくなるように、オルタネータ20のステータ巻線21の結線状態を切り替えることができる。それにより、オルタネータ20の発電効率を効果的に向上させることができる。
ステップS501でエンジン10から出力される動力を駆動輪92の駆動に優先して利用すると判定された場合(NOと判定された場合)、ステップS505において、スイッチ制御部123は、車両1の燃費を向上させるための切替制御を行う。
具体的には、ステップS505において、スイッチ制御部123は、オルタネータ20の駆動負荷(つまり、オルタネータ20を駆動するために必要なトルク)が小さくなるように、オルタネータ20のステータ巻線21の結線状態を切り替える。この際、スイッチ制御部123は、上記指標値としてのオルタネータ20の回転数に基づいて、オルタネータ20のステータ巻線21の結線状態の切り替えを行う。
例えば、スイッチ制御部123は、オルタネータ20の回転数が第2基準回転数より低い場合にオルタネータ20のステータ巻線21の結線状態をデルタ結線に切り替え、オルタネータ20の回転数が第2基準回転数以上である場合にオルタネータ20のステータ巻線21の結線状態をスター結線に切り替える。第2基準回転数は、例えば、ステータ巻線21の結線状態がスター結線である場合とデルタ結線である場合との間でオルタネータ20の駆動負荷が等しくなる回転数であり、結線状態がいずれの状態である場合に駆動負荷が小さくなるかを判定するための指標である。第2基準回転数は、本発明に係る第2基準値の一例に相当する。
図8は、ステータ巻線21の結線状態がスター結線である場合及びデルタ結線である場合の各々についてのオルタネータ20における回転数に対する駆動負荷の特性を示す模式図である。
なお、図8では、各結線状態についてのオルタネータ20における回転数に対する駆動負荷の特性があくまでも模式的に示されているものに過ぎず、当該特性は、具体的には、オルタネータ20の仕様に応じて異なる。ゆえに、例えば、第2基準回転数の値についても、上述した第1基準回転数と同様に、オルタネータ20の仕様に応じて異なる。よって、上述した第1基準回転数と第2基準回転数の大小関係は、具体的には、オルタネータ20の仕様に応じて異なり、第1基準回転数と第2基準回転数とが一致する場合もある。また、第1基準回転数又は第2基準回転数の少なくともいずれかが存在しない場合もある。
図8に示されるように、ステータ巻線21の結線状態がスター結線である場合とデルタ結線である場合の双方において、オルタネータ20の駆動負荷は、例えば、オルタネータ20の回転数の上昇に伴って上昇した後下降する特性を有する。
ここで、図8に示されるように、オルタネータ20の回転数が第2基準回転数より低い場合、ステータ巻線21の結線状態がデルタ結線である場合におけるオルタネータ20の駆動負荷の方が、ステータ巻線21の結線状態がスター結線である場合におけるオルタネータ20の駆動負荷と比較して小さい。一方、オルタネータ20の回転数が第2基準回転数より高い場合、ステータ巻線21の結線状態がスター結線である場合におけるオルタネータ20の駆動負荷の方が、ステータ巻線21の結線状態がデルタ結線である場合におけるオルタネータ20の駆動負荷と比較して小さい。
ゆえに、オルタネータ20のステータ巻線21の結線状態を、オルタネータ20の回転数が第2基準回転数より低い場合にデルタ結線に切り替え、オルタネータ20の回転数が第2基準回転数以上である場合にスター結線に切り替えることによって、オルタネータ20の駆動負荷が小さくなるように、オルタネータ20のステータ巻線21の結線状態を切り替えることができる。それにより、エンジン10から出力される動力がオルタネータ20を駆動するために過度に消費されることを抑制することができるので、車両1の燃費を効果的に向上させることができる。
<3.制御装置の効果>
続いて、本発明の実施形態に係る制御装置100の効果について説明する。
本実施形態に係る制御装置100は、オルタネータ20の発電、車両1の走行、又はエンジン10の温度に関するパラメータの少なくともいずれかと、オルタネータ20の回転数と相関を有する指標値とに基づいて、オルタネータ20のステータ巻線21の結線状態を切り替える制御部120を有する。それにより、上記指標値に基づくステータ巻線21の結線状態の切替制御を、状況に応じて異ならせることができる。具体的には、オルタネータ20の発電効率を向上させるための切替制御と車両1の燃費を向上させるための切替制御とを状況に応じて適切に使い分けて実行することができる。よって、発電効率及び燃費を適切に向上させることができる。
さらに、本実施形態によれば、上記のようにオルタネータ20の発電効率を適切に向上させることができることによって、オルタネータ20をより小型化及び軽量化することができる。
また、本実施形態に係る制御装置100では、制御部120は、上記パラメータに基づいて、エンジン10から出力される動力をオルタネータ20による発電と駆動輪92の駆動とのいずれに優先して利用するかを判定し、判定結果及び上記指標値に基づいて、オルタネータ20のステータ巻線21の結線状態を切り替えることが好ましい。それにより、エンジン10から出力される動力をオルタネータ20による発電に優先して利用する場合にオルタネータ20の発電効率を向上させるための切替制御を適切に行うことができ、エンジン10から出力される動力を駆動輪92の駆動に優先して利用する場合に車両1の燃費を向上させるための切替制御を適切に行うことができる。よって、発電効率及び燃費をより適切に向上させることができる。
また、本実施形態に係る制御装置100では、制御部120は、エンジン10から出力される動力をオルタネータ20による発電に優先して利用すると判定した場合、上記指標値に基づいて、オルタネータ20の発電電力が大きくなるように、オルタネータ20のステータ巻線21の結線状態を切り替えることが好ましい。それにより、オルタネータ20の発電効率を効果的に向上させることができる。
また、本実施形態に係る制御装置100では、制御部120は、エンジン10から出力される動力をオルタネータ20による発電に優先して利用すると判定した場合、上記指標値が第1基準値より低い場合にオルタネータ20のステータ巻線21の結線状態をスター結線に切り替え、上記指標値が第1基準値以上である場合にオルタネータ20のステータ巻線21の結線状態をデルタ結線に切り替えることが好ましい。それにより、オルタネータ20の発電効率を効果的に向上させることを適切に実現することができる。
また、本実施形態に係る制御装置100では、制御部120は、エンジン10から出力される動力を駆動輪92の駆動に優先して利用すると判定した場合、上記指標値に基づいて、オルタネータ20の駆動負荷が小さくなるように、オルタネータ20のステータ巻線21の結線状態を切り替えることが好ましい。それにより、エンジン10から出力される動力がオルタネータ20を駆動するために過度に消費されることを抑制することができるので、車両1の燃費を効果的に向上させることができる。
また、本実施形態に係る制御装置100では、制御部120は、エンジン10から出力される動力を駆動輪92の駆動に優先して利用すると判定した場合、上記指標値が第2基準値より低い場合にオルタネータ20のステータ巻線21の結線状態をデルタ結線に切り替え、上記指標値が第2基準値以上である場合にオルタネータ20のステータ巻線21の結線状態をスター結線に切り替えることが好ましい。それにより、エンジン10から出力される動力がオルタネータ20を駆動するために過度に消費されることを適切に抑制することができるので、車両1の燃費を効果的に向上させることを適切に実現することができる。
また、本実施形態に係る制御装置100では、上記パラメータは、オルタネータ20と接続されるバッテリ30の残存容量を含むことが好ましい。それにより、例えば、バッテリ30の残存容量が基準残存容量より低い場合に、オルタネータ20の発電効率を向上させるための切替制御を行うことができる。ゆえに、そのような場合に、オルタネータ20の発電効率を向上させることができるので、バッテリ30の電力が枯渇することを抑制することができる。
また、本実施形態に係る制御装置100では、上記パラメータは、車両1の要求電力を含むことが好ましい。それにより、例えば、要求電力が基準電力より大きい場合に、オルタネータ20の発電効率を向上させるための切替制御を行うことができる。ゆえに、そのような場合に、オルタネータ20の発電効率を向上させることによって、オルタネータ20及びバッテリ30から各種補機に供給される電力が要求電力に対して不足することを抑制することができる。
また、本実施形態に係る制御装置100では、上記パラメータは、車両1の車速を含むことが好ましい。それにより、例えば、車速が基準速度を超えている場合に、車両1の燃費を向上させるための切替制御を行うことができる。ゆえに、そのような場合に、エンジン10から出力される動力がオルタネータ20を駆動するために過度に消費されることを抑制することによって、駆動輪92へ伝達される動力が要求値に対して不足することを抑制することができる。したがって、燃費をより適切に向上させることができる。
また、本実施形態に係る制御装置100では、上記パラメータは、車両1の加速度を含むことが好ましい。それにより、例えば、加速度が基準加速度を超えている場合に、車両1の燃費を向上させるための切替制御を行うことができる。ゆえに、そのような場合に、エンジン10から出力される動力がオルタネータ20を駆動するために過度に消費されることを抑制することによって、駆動輪92へ伝達される動力が要求値に対して不足することを抑制することができる。したがって、燃費をより適切に向上させることができる。
また、本実施形態に係る制御装置100では、上記パラメータは、走行路の勾配を含むことが好ましい。それにより、例えば、走行路の勾配が上り勾配である場合に、車両1の燃費を向上させるための切替制御を行うことができる。ゆえに、そのような場合に、エンジン10から出力される動力がオルタネータ20を駆動するために過度に消費されることを抑制することによって、駆動輪92へ伝達される動力が要求値に対して不足することを抑制することができる。したがって、燃費をより適切に向上させることができる。
また、本実施形態に係る制御装置100では、上記パラメータは、車両1のアクセル開度を含むことが好ましい。それにより、例えば、アクセル開度が基準開度より大きい場合に、車両1の燃費を向上させるための切替制御を行うことができる。ゆえに、そのような場合に、エンジン10から出力される動力がオルタネータ20を駆動するために過度に消費されることを抑制することによって、駆動輪92へ伝達される動力が要求値に対して不足することを抑制することができる。したがって、燃費をより適切に向上させることができる。
また、本実施形態に係る制御装置100では、上記パラメータは、エンジン10の潤滑油の油温を含むことが好ましい。それにより、例えば潤滑油の油温が基準油温より低い場合に、車両1の燃費を向上させるための切替制御を行うことができる。ゆえに、そのような場合に、エンジン10から出力される動力がオルタネータ20を駆動するために過度に消費されることを抑制することによって、駆動輪92へ伝達される動力が要求値に対して不足することを抑制することができる。したがって、燃費をより適切に向上させることができる。
また、本実施形態に係る制御装置100では、上記パラメータは、エンジン10の冷却水の水温を含むことが好ましい。それにより、例えば、冷却水の水温が基準水温より低い場合に、車両1の燃費を向上させるための切替制御を行うことができる。ゆえに、そのような場合に、エンジン10から出力される動力がオルタネータ20を駆動するために過度に消費されることを抑制することによって、駆動輪92へ伝達される動力が要求値に対して不足することを抑制することができる。したがって、燃費をより適切に向上させることができる。
<4.むすび>
以上説明したように、本実施形態に係る制御装置100は、オルタネータ20の発電、車両1の走行、又はエンジン10の温度に関するパラメータの少なくともいずれかと、オルタネータ20の回転数と相関を有する指標値とに基づいて、オルタネータ20のステータ巻線21の結線状態を切り替える制御部120を有する。それにより、オルタネータ20の発電効率を向上させるための切替制御と車両1の燃費を向上させるための切替制御とを状況に応じて適切に使い分けて実行することができるので、発電効率及び燃費を適切に向上させることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、本明細書においてフローチャートを用いて説明した処理は、必ずしもフローチャートに示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
また、例えば、上記では、図1を参照して、本発明に係る制御装置が搭載される車両の一例として車両1の構成について説明したが、上述したように、本発明に係る制御装置が搭載される車両の構成は上記の例に限定されない。例えば、本発明に係る制御装置が搭載される車両として、車両1に対して他の構成要素を追加した車両が適用されてもよい。具体的には、本発明に係る制御装置が搭載される車両として、エンジンの他に駆動源としての駆動用モータをさらに備える車両が適用されてもよい。
また、例えば、上記では、図2を参照して、本発明に係るオルタネータの一例としてオルタネータ20の構成について説明したが、本発明に係るオルタネータの構成は上記の例に限定されない。本発明に係るオルタネータでは、オルタネータのステータ巻線の結線状態がスター結線とデルタ結線との間で切り替え可能となっていればよい。例えば、本発明に係るオルタネータとして、図2に示されるオルタネータ20に対して他の構成要素を追加したものが適用されてもよい。
また、例えば、上記では、図6のフローチャートを参照して、スイッチ制御部123がオルタネータ20の発電効率を向上させるための切替制御(例えば、ステップS503)と車両1の燃費を向上させるための切替制御(例えば、ステップS505)とのいずれかを実行する例について説明したが、スイッチ制御部123は他の切替制御をさらに実行してもよい。例えば、スイッチ制御部123は、車両1の制動力を高めたい場合(例えば、下り勾配の走行路の走行時に速度が比較的高くなっている場合等)に、オルタネータ20の駆動負荷が大きくなるように、オルタネータ20のステータ巻線21の結線状態を切り替えてもよい。この場合、例えば、スイッチ制御部123は、オルタネータ20の回転数が第2基準回転数より低い場合にオルタネータ20のステータ巻線21の結線状態をスター結線に切り替え、オルタネータ20の回転数が第2基準回転数以上である場合にオルタネータ20のステータ巻線21の結線状態をデルタ結線に切り替える。
また、例えば、上記では、判定部121は、オルタネータ20の発電に関するパラメータ、車両1の走行に関するパラメータ又はエンジン10の温度に関するパラメータの少なくともいずれかに基づいて、エンジン10から出力される動力をオルタネータ20による発電と駆動輪92の駆動とのいずれに優先して利用するかを判定する例について説明したが、判定に用いられるパラメータは他にもあっても良く、例えば外気温、天候、気圧、湿度等を用いてもよい。