JP7222219B2 - 上下振動減衰装置、及び、上下振動減衰構造 - Google Patents

上下振動減衰装置、及び、上下振動減衰構造 Download PDF

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Description

本発明は、上下振動減衰装置、及び、上下振動減衰構造に関する。
上部構造と下部構造との間の隙間(免震層)に設けられる免震装置として、例えば、特許文献1には、免震層の上下方向(鉛直方向)寸法が変化しても、水平方向に一定した摩擦減衰力を発生させることができる摩擦皿ばね支承(上下弾性支承装置の一例)が記載されている。この摩擦皿ばね支承は、皿ばねが一定荷重を支持しつつ変形する性能を活用しており、水平方向の滑り支承と併せて上下応答にも追従可能である。
特開平10-238164号公報
しかしながら、上述したような摩擦皿ばね支承では、上下方向に対して、皿ばね間の摩擦による減衰性能しか有していない。このため、上下方向に十分な減衰性能が得られない(上下振動を低減できない)おそれがあった。
また、免震建物では、居住性、併用する免震装置や制振装置の健全性、及び、エキスパンションジョイント(継目)の健全性の確保などのために一定以上の鉛直剛性が必要であり、上下応答量が僅少となっていることが多い。このため、免震層の上下間に減衰部材(例えばオイルダンパー)を設置しても、減衰性能を発揮するためのストロークを確保することが難しく、上下方向に十分な減衰性能を得ることは困難であった。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、上下方向に十分な減衰性能を確保することにある。
かかる目的を達成するため、本発明の上下振動減衰装置は、上部構造と下部構造の間の免震層に設けられ、前記下部構造に対する前記上部構造の上下振動を減衰する上下振動減衰装置であって、前記上部構造を支承するとともに前記上下振動を吸収する上下弾性支承装置であって、前記上部構造又は前記下部構造の一方に設けられて、前記上部構造又は前記下部構造の他方に対して水平変位可能、かつ、摩擦減衰力で水平方向の振動エネルギーを吸収可能な上下弾性支承装置と、前記上下振動に伴う所定量の上下応答を、前記所定量よりも大きい応答に増幅する応答増幅装置と、前記応答を減衰する応答減衰装置と、を備え、前記上下弾性支承装置は、皿ばねを有する摩擦皿ばね支承であり、上下方向に対して、皿ばね単体間の摩擦による減衰性能を有し、前記皿ばねは、前記摩擦皿ばね支承が配置される上下方向隙間の変化量に対して弾発力の変動が小さい領域内で使用されるように設定されている、ことを特徴とする。
このような上下振動減衰装置によれば、上下応答が僅少であっても、上下方向に十分な減衰性能を確保することができる。
かかる上下振動減衰装置であって、前記応答増幅装置及び前記応答減衰装置は、前記上下弾性支承装置に設けられていることが望ましい。
このような上下振動減衰装置によれば、装置全体のコンパクト化が可能である。また、下部構造と上部構造が水平方向に相対変位しても応答増幅装置の形状が崩れないので、より安定した減衰性能を確保することができる。
かかる上下振動減衰装置であって、前記応答増幅装置及び前記応答減衰装置は、前記上下弾性支承装置を挟む水平方向の両側に一対設けられていることが望ましい。
このような上下振動減衰装置によれば、バランスがよくなる。
かかる上下振動減衰装置を備えた上下振動減衰構造であって、前記上部構造を支承するとともに前記上下振動を吸収する第二上下弾性支承装置が、前記上下弾性支承装置と並列に設けられていることが望ましい。
このような上下振動減衰構造によれば、コストの低減を図ることができる。
かかる上下振動減衰構造であって、前記第二上下弾性支承装置は、積層ゴム支承であることが望ましい。
このような上下振動減衰構造によれば、下部構造と上部構造との位置関係を復元することができる。
かかる上下振動減衰構造であって、前記応答減衰装置は、前記上部構造と前記下部構造との上下方向の隙間が減少するときの減衰性能よりも、前記隙間が増大するときの減衰性能の方が大きいことが望ましい。
このような上下振動減衰構造によれば、上下振動を効率的に減衰することができる。
本発明によれば、上下方向に十分な減衰性能を確保することができる。
摩擦皿ばね支承10の構成を示す図である。 皿ばね13のばね特性を示す図である。 図3A~図3Cは、本実施形態の上下振動減衰装置1を示す図である。図3Aは側面図、図3Bは図3AのA-A´断面図、図3Cは図3AのB-B´断面図である。 図4A及び図4Bは、上部構造3と下部構造2との隙間δが減少する場合の上下振動減衰装置1の動作の説明図である。図4Aは初期状態、図4Bは変形後の状態を示している。 図5A及び図5Bは、上部構造3と下部構造2との隙間δが増大する場合の上下振動減衰装置1の動作の説明図である。図5Aは初期状態、図5Bは変形後の状態を示している。 第2実施形態における上下振動減衰構造を示す図である。 第3実施形態の上下振動減衰部20´の概略説明図である。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
===第1実施形態===
<摩擦皿ばね支承の基本構成について>
図1は摩擦皿ばね支承10の構成を示す図である。図において右半分は側面図を示し、左半分は断面図を示している。
摩擦皿ばね支承10は、下部構造2の上面と上部構造3の下面との上下方向の隙間δ(免震層)に設けられている。なお、下部構造2は、例えば、基礎やスラブなどの構造物であり、上部構造3は、例えば、建物や上床などの構造物(下部構造2よりも上方に設けられた構造物)である。
図1に示す摩擦皿ばね支承10は、滑り板11と、滑り材12と、皿ばね13と、ガイド14と、受け材15と、支持枠16とを備えている。
滑り板11は、下部構造2の上面に固設されており、表面(上面)は滑らかな平坦面となっている。滑り板11は、ステンレス板や、表面にステンレス板が設けられたクラッド鋼等で形成されている。
滑り材12は、上部構造3に設けられている。より具体的には、滑り材12は、後述するガイド14の下端部の受け材15下面に形成された凹部15aに嵌着されて、滑り板11と接触している。滑り材12としては、滑り板11との摩擦係数μに応じて、例えば、四フッ化エチレン、超高分子量ポリエチレン、又は、フェノール樹脂などが適宜用いられている。
また、滑り材12は、皿ばね13によって、滑り板11に圧接されつつ、下部構造2に対して水平方向に滑動(水平変位)可能である。換言すると、摩擦皿ばね支承10のうち、滑り板11を除く部位(上部構造3に設けられた部位)は、下部構造2に対して水平方向に水平変位可能であり、当該部位は上下弾性支承装置に相当する。そして、水平変位の際に、滑り板11と滑り材12との間に発生される摩擦減衰力で水平方向の振動エネルギーを吸収することになる。
皿ばね13は、複数の皿ばね単体13aを同軸状に積層して構成されている。なお、皿ばね単体13aは、中央部に開口部13bが設けられた皿状に形成されている。そして、複数枚の皿ばね単体13aを同じ向きに重ね合わせた複数組(ここでは4組)のばね積層体を、逆向きに交互に突き合わせることにより上記皿ばね13が構成されている。皿ばね13は、上部構造3と下部構造2との隙間δの変化に伴ってたわみ変形する。このとき、互いに隣接する皿ばね単体13a間が擦れ合って摩擦が発生し、この摩擦力が減衰力として作用する。
ガイド14は、円柱形の部材であり、皿ばね13の中心に貫通する開口部13bに挿通されている。このガイド14によって、皿ばね単体13aが積層された状態を保持でき、位置ずれを防止することができる。
受け材15は、ガイド14の下端部に形成されており、この受け材15の上に皿ばね13が載置されている。また、受け材15の下面には、上方側に窪んだ凹部15aが形成されている。そして、前述したように、凹部15aに滑り材12が嵌着されている。なお、本実施形態の受け材15は、平面形状が矩形である(図3B、図3C参照)。
支持枠16は、上部構造3の下面に固設されている。また、支持枠16の下面の中央部には、上方側に窪んだ凹部16aが設けられており、当該凹部16aには、ガイド14の上端部が上下に摺動自在に嵌合されている。摩擦皿ばね支承10を上部構造3と下部構造2との間(隙間δ)に介装する際に、皿ばね13に所定の圧力が付加されるように微調整を行うためのスペーサ(不図示)を、上部構造3と支持枠16との間などに設けてもよい。
図2は、皿ばね13のばね特性を示す図である。図において縦軸は支持荷重(kN)、横軸は上下変形量(mm)を示している。なお、横軸において、皿ばね13の変形量が大きいほど、皿ばね13が圧縮された状態となっている。
図2において、変形量がa1~a2の範囲は、ばね剛性が小さい領域であり、摩擦皿ばね支承10が配置される上下方向隙間δの変化量に対して弾発力の変動が小さい領域である。摩擦皿ばね支承10の滑り出すタイミングを安定させるために、皿ばね13はこの領域内で使用されるように設定されている。これにより、上下振動を長周期化することができ、水平方向の滑り支承と併せた3次元免震となる。
しかしながら、摩擦皿ばね支承10は、上下方向に対して、皿ばね13(皿ばね単体13a間)の摩擦による減衰性能しか有していない。このため、上下方向に十分な減衰性能が得られない(上下振動を低減できない)おそれがある。
また、このような摩擦皿ばね支承10が設けられる免震建物等では、居住性、併用する免震装置や制振装置の健全性、及び、エキスパンションジョイント(継目)の健全性の確保のために一定以上の鉛直剛性が必要であり、上下応答量が僅少となっている。このため、ダンパー(例えばオイルダンパー)等の減衰部材を、免震層(隙間δ)の上下間に設けても、減衰性能を発揮するためのストロークを確保することが難しく、上下方向に十分な減衰性能を得ることは困難である。
そこで、本実施形態では、トグル機構を用いた上下振動減衰部20(後述)を摩擦皿ばね支承10に設けることにより、上下応答量が僅少であっても上下方向に十分な減衰性能を確保できるようにしている。
<本実施形態の上下振動減衰装置1について>
図3A~図3Cは、本実施形態の上下振動減衰装置1を示す図である。図3Aは側面図、図3Bは図3AのA-A´断面図、図3Cは図3AのB-B´断面図である。本実施形態では、図に示すように、互いに交差する3方向として、上下方向、左右方向、前後方向を定義する。なお、上下方向は鉛直方向であり、左右方向及び前後方向は、水平面において直交する2方向(水平方向)である。
本実施形態の上下振動減衰装置1は、摩擦皿ばね支承10と上下振動減衰部20を備えている。
摩擦皿ばね支承10は、図1に示した構成とほぼ同じであるが、本実施形態では、受け材15の下端部の周囲に下側フランジ15bが設けられており、支持枠16の上端部の周囲に上側フランジ16bが設けられている。さらに、本実施形態の摩擦皿ばね支承10には、下側フランジプレート17、及び、上側フランジプレート18が設けられている。
下側フランジプレート17は、例えば、L型アングルであり、受け材15の左右方向の両側部に、前後方向に沿って一対設けられている。具体的には、下側フランジプレート17(L型アングル)の外面(L字の外側の面)のうち、一方の面が受け材15の側面に溶接され、他方の面が下側フランジ15bの上面に溶接されている。
また、下側フランジプレート17の前後方向の両端部には、トグル部材22を取り付けるための側板17aが設けられている。
上側フランジプレート18も下側フランジプレート17と同様のL型アングルであり、支持枠16の左右方向の両側部に、前後方向に沿って一対設けられている。具体的には、上側フランジプレート18(L型アングル)の外面(L字の外側の面)のうち、一方の面が支持枠16の側面に溶接され、他方の面が上側フランジ上側フランジ16bの下面に溶接されている。
また、上側フランジプレート18の前後方向の両端部には、トグル部材22を取り付けるための側板18aが設けられている。
上下振動減衰部20は、摩擦皿ばね支承10を前後方向に挟むように一対設けられている。すなわち、上下振動減衰部20は、摩擦皿ばね支承10を中心として、摩擦皿ばね支承10の前側と後側に一対設けられている。このように上下振動減衰部20を配置することにより、上下振動によって摩擦皿ばね支承10が変形する際にバランスが良くなる。前側と後側の上下振動減衰部20の構成は同じであるので、以下の説明では、そのうちの一方(例えば前側)について説明する。
本実施形態の上下振動減衰部20は、オイルダンパー21(応答減衰装置に相当)とトグル部材22(応答増幅装置に相当)を有している。
オイルダンパー21は、粘性流体であるオイルを用いて振動を減衰する減衰部材である。オイルダンパー21は、水平方向(左右方向)に沿って配置されており、左端には板状の接続部21aを有し、右端には板状の接続部21bを有している。この接続部21aと接続部21bとの水平方向への変位に応じて、オイルダンパー21は減衰力を発生する。
トグル部材22は、オイルダンパー21の左右方向の両側に一対設けられており、後述するように、所定量の上下応答を、所定量よりも大きい水平応答に増幅する。ここでは、左側のトグル部材22について説明するが、右側も同様の構成である。
トグル部材22は、下側腕部22a、上側腕部22b、ピン支持部22c、ピン支持部、22d、ピン支持部22eを有している。
下側腕部22aは、オイルダンバー21の一端(ここでは接続部21a)と、左側の下側フランジプレート17(側板17a)を連結させるための部材である。なお、本実施形態の下側腕部22aは、板状部材が厚さ方向に複数枚(ここでは3枚)重ねられて形成されており、最も外側の板状部材が中央の板状部材よりも長手方向に長く設けられている。そして、この外側の2枚の板状部材で、オイルダンパー21の接続部21a、及び、下側フランジプレート17の側板17aを前後方向の両側から挟んでいる(図3B、図3C参照)。これにより、下側腕部22aが回動する際に、前後方向の一方に力が偏らないようにでき、安定化を図ることができる。
上側腕部22bは、オイルダンバー21の一端(ここでは接続部21a)と、左側の上側フランジプレート18(側板18a)を連結させるための部材である。なお、本実施形態の上側腕部22bも、板状部材が厚さ方向に複数枚(下側腕部22aよりも多い枚数:ここでは5枚)重ねられて形成されている。そして、下側(ピン支持部22c側)では最も外側の板状部材が他の板状部材よりも長手方向に長く設けられており、下側腕部22aを外側の板状部材で前後方向の両側から挟んでいる。また、上側(ピン支持部22e側)では、中央の板状部材のみが長手方向に短く設けられており、上側フランジプレート18の側板18aを、中央を除く板状部材で前後方向の両側から挟んでいる(不図示)。これにより、上側腕部22bが回動する際に、前後方向の一方に力が偏らないようにでき、安定化を図ることができる。
ピン支持部22cは、オイルダンバー21の一端(ここでは接続部21a)と、上側腕部22bの下端部と、下側腕部22aの上端部とがピン接続にて接続された部位である。そして、ピン支持部22cは、オイルダンバー21の接続部21aに対して、上側腕部22b(下端部分)と下側腕部22a(上端部分)とを、それぞれ独立して回動可能に支持している。
ピン支持部22dは、下側腕部22aの下端部と、下側フランジプレート17の側板17aとがピン接続にて接続された部位である。そして、ピン支持部22dは、下側フランジプレート17の側板17aに対して、下側腕部22a(下端部分)を回動可能に支持している。
ピン支持部22eは、上側腕部22bの上端部と、上側フランジプレート18の側板18aとがピン接続にて接続された部位である。そして、ピン支持部22eは、上側フランジプレート18の側板18aに対して、上側腕部22b(上端部分)を回動可能に支持している。
なお、本実施形態において、一対のトグル部材22のピン支持部22d及びピン支持部22eは、ピン支持部22cよりも左右方向の内側(摩擦皿ばね支承10に近い側)に配置されている。
<上下振動減衰装置1の動作について>
図4A及び図4Bは、上部構造3と下部構造2との隙間δが減少する場合の上下振動減衰装置1の動作の説明図である。図4Aは初期状態、図4Bは変形後の状態を示している。
図4Aの状態(初期状態)から、上部構造3が下部構造2に対して下側に僅かな所定量変位すると、図4Bに示すように、一対のトグル部材22において、ピン支持部22dとピン支持部22eとの距離(上下方向の間隔)が小さくなる。
例えば、左側のトグル部材22の場合、ピン支持部22dとピン支持部22eの距離が小さくなることにより、上側腕部22bはピン支持部22eを軸として下端部(ピン支持部22c)が外側(ここでは左側)に向かうように回動する。また、下側腕部22aはピン支持部22dと軸として上端部(ピン支持部22c)が外側(左側)に向かうように回動する。この結果、ピン支持部22cが外側(左側)に移動し、その移動量(水平方向の変形量)は、上下方向の変位量よりも大きくなる。
右側のトグル部材22についても同様に、上側腕部22bはピン支持部22eを軸として下端部(ピン支持部22c)が外側(ここでは右側)に向かうように回動し、下側腕部22aはピン支持部22dを軸として上端部(ピン支持部22c)が外側(右側)に向かうように回動する。この結果、ピン支持部22cが外側(右側)に移動し、その移動量(水平方向の変位量)は、上下方向の変位量よりも大きくなる。
また、オイルダンパー21の一端(接続部21a)は左側のピン支持部22cと接続され、他端(接続部21b)は右側のピン支持部22cと接続されているので、オイルダンパー22は、左右方向の外側に向かって引っ張られる。これにより、上下方向の変位量に対して、水平方向の変位量は数倍(例えば、3~4倍)大きくなる。よって、上下応答が小さくても、水平方向に大きいストロークを確保できるので、上下方向に十分な減衰性能を確保することができる。
また、図5A及び図5Bは、上部構造3と下部構造2との隙間δが増大する場合の上下振動減衰装置1の動作の説明図である。図5Aは初期状態、図5Bは変形後の状態を示している。
図5Aの状態(初期状態)から、上部構造3が下部構造2に対して上側に僅かな所定量変位すると、図5Bに示すように、一対のトグル部材22において、ピン支持部22dとピン支持部22eの距離(上下方向の間隔)が大きくなる。
例えば、左側のトグル部材22の場合、ピン支持部22dとピン支持部22eの距離が大きくなることにより、上側腕部22bはピン支持部22eを軸として下端部(ピン支持部22c)が内側(ここでは右側)に向かうように回動する。また、下側腕部22aはピン支持部22dを軸として上端部(ピン支持部22c)が内側(右側)に向かうように回動する。この結果、ピン支持部22cが内側(右側)に移動し、その移動量(水平方向への変形量)は、上下方向の変位量(変形量)よりも大きくなる。
右側のトグル部材22についても同様に、上側腕部22bはピン支持部22eと軸として下端部(ピン支持部22c)が内側(ここでは左側)に向かうように回動し、下側腕部22aはピン支持部22dを軸として上端部(ピン支持部22c)が内側(左側)に向かうように回動する。この結果、ピン支持部22cが内側(左側)に移動し、その移動量(水平方向への変形量)は、上下方向の変位量(変形量)よりも大きくなる。
また、オイルダンパー21の一端(接続部21a)は左側のピン支持部22cと接続され、他端(接続部21b)は右側のピン支持部22cと接続されているので、オイルダンパー21は、左右方向の内側に向かって圧縮される。これにより、上下方向の変位量に対して、水平方向の変位量は数倍(例えば、3~4倍)大きくなる。よって、この場合も、上下応答が小さくても、水平方向に大きいストロークを確保できるので、上下方向に十分な減衰性能を確保することができる。
なお、トグル部材22において、各腕部の長さや上下の腕部の間の角度を変えることにより、ピン支持部22cの左右方向への移動量の大きさ(上下応答に対する増幅率)を調整することが可能である。
以上説明したように、本実施形態の上下振動減衰装置1は、摩擦皿ばね支承10と、上下振動減衰部20(オイルダンパー21及び一対のトグル部材22)を備えている。そして、上下振動に伴う所定量の上下応答を、トグル部材22によって所定量よりも大きい水平応答に変換し、その水平応答をオイルダンパー21で減衰している。これにより、上下応答が僅少である場合においても、水平方向に大きいストロークを確保することができ、上下方向に十分な減衰性能を確保することができる。このような上下振動減衰装置1は、上下振動を安定して減衰させることができるので、原子力施設などの免震層に設けると特に効果的である。
===第2実施形態===
図6は、第2実施形態における上下振動減衰構造を示す図である。
第2実施形態の上下振動減衰構造では、下部構造2と上部構造3との上下方向の隙間δ(免震層)に、前述した上下振動減衰装置1の摩擦皿ばね支承10と並列に積層ゴム支承30(第二上下弾性支承装置に相当)が設けられている。
積層ゴム支承30は、積層ゴム31(例えば、円形の薄い鋼板とゴム層とを上下に交互に積層してなる円柱状の弾性体)を、上下一対のフランジ板32で挟んで構成されている。また、下側のフランジ板32は、不図示のボルトなどにより下部構造2に固定され、上側のフランジ板32は、不図示のボルトなどにより上部構造3に固定されている。そして、積層ゴム支承30は、上部構造3を支承するとともに、上部構造3と下部構造2との水平方向の相対変位に応じて積層ゴム31が水平方向に剪断変形して、上部構造3の水平振動を長周期化する。また、積層ゴム支承30は、ゴム層により上下振動を吸収する。
さらに、積層ゴム支承30は、変形後に元の状態に戻る復元機能を有している。このため、積層ゴム支承30を併設することにより、免震層に復元機能を持たせることができる。つまり、下部構造2と上部構造3とが相対変位した後に、下部構造2と上部構造3との位置関係を初期状態(変位前の状態)に復元することができる。
なお、積層ゴム支承30は、圧縮方向については積層ゴム31の剛性が十分大きいのに対し、引張方向(伸長方向)については剛性が小さく破断するおそれがある。
すなわち、積層ゴム支承30は引張方向の変形に弱いので、引張方向(オイルダンパー21の圧縮方向)についてはオイルダンパー21の減衰性能は大きいことが望ましい。
これに対し、圧縮方向(オイルダンパー21の伸長方向)については、積層ゴム支承30によって十分に大きい剛性が得られているので、オイルダンパー21の減衰性能は小さいことが望ましい。仮に、オイルダンパー21の減衰性能が大きいと、反力によって滑り板11と滑り材12との間の摩擦力が高くなってしまう。
そこで、第2実施形態のオイルダンパー21は、圧縮時(下部構造2に対して上部構造3が上方に変位する時)の減衰性能を大きくし、伸長時(下部構造2に対して上部構造3が下方に変位するとき)の減衰性能を圧縮時よりも小さくしている。なお、伸長時と圧縮時で減衰性能が異なるオイルダンパーとしては、例えば実開昭60-002035に記載のもの(本体筒内部が二重構造になっており、伸長時と圧縮時とで別々のバルブで減衰力を発生させるもの)を用いることができる。
このように、第2実施形態では、免震層に積層ゴム支承30を併設しているので、免震層に復元機能を持たせることができる。また、オイルダンパー21の伸長時と圧縮時において減衰性能を異ならせているので、積層ゴム支承30を併設した際における上下振動を効率的に減衰することができる。
なお、本実施形態では、積層ゴム支承30を併設していたが、これには限られない。例えば、上下振動減衰部20を設けていない摩擦皿ばね支承10(この場合、当該摩擦皿ばね支承10が第二上下弾性支承装置に相当に相当)を、ばね等の復元部材とともに併設してもよい。これにより、全ての摩擦皿ばね支承10に上下振動減衰部20を設ける場合と比べて、コストの低減を図ることができる。
===第3実施形態===
図7は、第3実施形態の上下振動減衰部20´の概略説明図である。
この第3実施形態の上下振動減衰部20´では、一対のピン支持部22cの水平方向の位置が、一対のピン支持部22dや一対のピン支持部22eよりも内側に配置されている。これ以外の構成については、基本的に前述の第1実施形態と同じであり、対応する部分には同一符号を付している。
この第3実施形態の上下振動減衰部20´では、下部構造2に対して上部構造3が下側に変位する場合(隙間δが減少する場合)には、一対のピン支持部22cが内側に移動する(一対のピン支持部22cの距離が縮まる)ので、オイルダンパー21は左右方向に圧縮される。つまり、第1実施形態の上下振動減衰部20とは逆の動作になる。
また、下部構造2に対して上部構造3が上側に変位する場合(隙間δが増大する場合)には、一対のピン支持部22aが外側に移動する(一対のピン支持部22aの距離が大きくなる)ので、オイルダンパー21は左右方向に引っ張られる。つまり、この場合も第1実施形態の上下振動減衰部20とは逆の動作になる。
この第3実施形態の上下振動減衰部20´においても、上下方向の変位量よりも大きいストローク(水平方向の変形量)をダンパー21に与えることができ、十分な減衰力を発生できる。
===その他の実施形態について===
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
前述の実施形態では、摩擦皿ばね支承10のうち、滑り板11を下部構造2に設け、他の部位を上部構造3に設けていたが、上下関係が逆でもよい。つまり、滑り板11を上部構造3に設けて、他の部位を下部構造2に設けてもよい。そして、下部構造2に設けられた摩擦皿ばね支承10が上部構造3を支承するようにしていてもよい。この場合においても、摩擦皿ばね支承10は、上部構造3に対して水平変位可能であり、上部構造3を支承するとともに、上下振動を吸収できる。
また、前述の実施形態では、上下振動減衰部20(オイルダンパー21と一対のトグル部材22の組み合わせ)が、摩擦皿ばね支承10に設けられていたがこれには限られない。例えば、下部構造2と上部構造3との間(下部構造2の上面と上部構造3の下面の間)に上下振動減衰部20を設けてもよい。ただし、この場合、下部構造2に対して上部構造3が水平方向に変位すると、オイルダンパー21を挟む一対のトグル部材22の形状が崩れる(対称にならない)ことになり、上下方向の振動を安定して減衰させることができないおそれがある。これに対し、本実施形態のように、摩擦皿ばね支承10に設けると、下部構造2に対して上部構造3が水平方向に変位しても、一対のトグル部材22の形状が崩れないので、より安定した減衰性能を確保することができる。また、装置全体のコンパクト化を図ることができる。
また、摩擦皿ばね支承10の構成は前述したものには限られず他の構成であってもよい。また、摩擦皿ばね支承10には限られず、例えば、皿ばね13を用いた転がり支承でもよい。すなわち、摩擦材(滑り材12)の代わりにローラーや球体(不図示)が設けられたものでもよい。この場合、水平方向の振動を減衰させる減衰部材(ダンパー等)を別途設けるとよい。また、皿ばね13を用いない(例えばコイルばねを用いた)支承体であってもよい。
また、前述の実施形態では、一対のトグル部材22の間に設けられる減衰部材としてオイルダンパー21を用いた場合について例示していたが、これには限られない。例えば、摩擦ダンパー、粘性ダンパー、粘弾性ダンパー、履歴型ダンパー、又はこれらを組み合わせたものを用いてもよい。
1 上下振動減衰装置
2 下部構造
3 上部構造
10 摩擦皿ばね支承
11 滑り板
12 滑り材
13 皿ばね
14 ガイド
15 受け材
15a 凹部
15b 下側フランジ
16 支持枠
16a 凹部
16b 上側フランジ
17 下側フランジプレート
17a 側板
18 上側フランジプレート
18a 側板
20 上下振動減衰部
21 オイルダンパー(応答減衰装置)
21a 接続部
21b 接続部
22 トグル部材(応答増幅装置)
22a 下側腕部
22b 上側腕部
22c ピン支持部
22d ピン支持部
22e ピン支持部
30 積層ゴム支承
31 積層ゴム
32 フランジ板

Claims (6)

  1. 上部構造と下部構造の間の免震層に設けられ、前記下部構造に対する前記上部構造の上下振動を減衰する上下振動減衰装置であって、
    前記上部構造を支承するとともに前記上下振動を吸収する上下弾性支承装置であって、前記上部構造又は前記下部構造の一方に設けられて、前記上部構造又は前記下部構造の他方に対して水平変位可能、かつ、摩擦減衰力で水平方向の振動エネルギーを吸収可能な上下弾性支承装置と、
    前記上下振動に伴う所定量の上下応答を、前記所定量よりも大きい応答に増幅する応答増幅装置と、
    前記応答を減衰する応答減衰装置と、
    を備え
    前記上下弾性支承装置は、皿ばねを有する摩擦皿ばね支承であり、上下方向に対して、皿ばね単体間の摩擦による減衰性能を有し、
    前記皿ばねは、前記摩擦皿ばね支承が配置される上下方向隙間の変化量に対して弾発力の変動が小さい領域内で使用されるように設定されている、
    ことを特徴とする上下振動減衰装置。
  2. 請求項1に記載の上下振動減衰装置であって、
    前記応答増幅装置及び前記応答減衰装置は、前記上下弾性支承装置に設けられている、
    ことを特徴とする上下振動減衰装置。
  3. 請求項2に記載の上下振動減衰装置であって、
    前記応答増幅装置及び前記応答減衰装置は、前記上下弾性支承装置を挟む水平方向の両側に一対設けられている、
    ことを特徴とする上下振動減衰装置。
  4. 請求項1乃至請求項の何れかの上下振動減衰装置を備えた上下振動減衰構造であって、
    前記上部構造を支承するとともに前記上下振動を吸収する第二上下弾性支承装置が、前記上下弾性支承装置と並列に設けられている、
    ことを特徴とする上下振動減衰構造。
  5. 請求項に記載の上下振動減衰構造であって、
    前記第二上下弾性支承装置は、積層ゴム支承である、
    ことを特徴とする上下振動減衰構造。
  6. 請求項に記載の上下振動減衰構造であって、
    前記応答減衰装置は、前記上部構造と前記下部構造との上下方向の隙間が減少するときの減衰性能よりも、前記隙間が増大するときの減衰性能の方が大きい、
    ことを特徴とする上下振動減衰構造。
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